「都市伝説戦う為に、都市伝説と契約した能力者たち……」
1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 13:21:23.21 ID:EtzFu76s0
よくある質問
Q
このスレってジャンプの某読みきりと関係あるの?
A
始めにこのスレを立てた
>>1が何を考えて、スレを立てたのか
今となっては、その真相はわからない
ただ、ここに集まった者たちは、各自思い思いに妄想をぶちまけていき、今のこのスレの形となっていった
まぁ、結果としては関係あるかどうかとか、どうでもよくね?
ぶっちゃけ、ほぼ関係ない内容だし
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 13:21:54.48 ID:sd69lvqsP
つまんねーから落とせよ
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 13:22:11.62 ID:0GoLdQ4e0
いい加減飽きた
5 :
わんこの事情 ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/01(火) 13:23:48.73 ID:EtzFu76s0
ペットショップ「ゲルマニア」
そこにやってきた、一匹の大柄な尾なしの犬
「ど、どどどどどどどどど、どーしてこいつがここにいるんだー」
がくがく、ぶるぶる
その犬を見て、震えて金色の長い髪の少女の背後に隠れる、銀髪の少女が一人
自分よりも小柄な、幼女とも呼べる少女の後ろに隠れる様子は、ちょっと情けない
銀髪の少女の名前は、沙々耶・マイツェン
人間になった元・悪魔の囁き
尾なしの犬は、クールトー
…悪魔の囁きの契約者であった朝比奈 秀雄と、今でも契約している都市伝説である
その、クールトーの能力で操られた犬に、襲われた経験のある沙々耶
クールトーを目の前に、震えることしかできない
「だいじょうぶ、です。こわい、ちがう、です」
「ど、どどどどど、どこがだー」
なでなで、金髪の少女…ウィンチェスターミステリーハウスの少女に頭を撫でられても、恐怖は消えない
クールトーは、そんな沙々耶を……見つめているわけでもなく、興味なさそうにしていた
「怖がらなくても大丈夫だ。今のクールトーに、誰かを襲う意思はない」
そう言ったのは、「ゲルマニア」の店長である総統だ
沙々耶を落ち着かせるように、優しく続ける
「一連の騒動の罪滅ぼしをしたい、というのが、クールトーの契約者である朝比奈 秀雄の考えらしくてな」
「も、もとあるじさまのかんがえはとにかく、どうしてこいつがここにこなきゃだめなんだー」
6 :
わんこの事情 ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/01(火) 13:25:56.54 ID:EtzFu76s0
「クールトーが出したのは、主に犬に関した被害……だからこそ、ここで罪滅ぼしをしたいのだそうだ」
それが、クールトーの考えなのか、それとも、朝比奈 秀雄の考えなのかは、不明だが
とにかく、今のクールトーには、無闇に人を襲う意思はない
「第三帝国」に出張している、と言うような立場であり、総統の言葉に従う、との事だ
「…ちょっと、まて。じゃあ、こいつ、ずっとここにいる、のか…?」
「罪の償いが終わるまでは、な。もっとも、あちらの事情で戻る事もあるだろうが…」
……と
総統が話していると…クールトーが、すっく、と立ち上がった
びくん!!と、沙々耶はクールトーのたったそれだけの動きにも、過剰に反応してしまう
てとてと、クールトーは沙々耶に近づき…すんすん、匂いをかいで
べろんっ
「〜〜〜〜〜〜〜っ!!??」
がくんっ!
クールトーに舐められて…沙々耶は、一瞬で意識を失った
「だ、だいじょうぶ、ですか!?」
慌てて、沙々耶の介抱にあたるウィンチェスターの少女
っふ、と馬鹿にしたような表情をしたクールトーの様子に、総統は躾に関しては、まだ前途多難であると感じたのだった
おわれ
スレ立て乙ほ
8 :
恐怖の大王―正義と勇気 (代理):2010/06/01(火) 13:27:57.67 ID:EtzFu76s0
夏休みが終わり、学校もまた児童で賑わう、そんな日の出来事。
通学途中、少年は1人で歩いていた。いや、もう1人・・・。
少年「らんららーん♪今日から学校だー。」
大王「普通、学校とは忌み嫌われる存在じゃないのか?」
[少年]の横には契約した都市伝説、【恐怖の大王】がいた。
本来なら今頃、世界を支配して名の通り恐怖の大王になっていたのだが
少年「え、なんで?友達といっぱい話ができるじゃん。」
大王「お前はもっと社会に対する反抗心を持て!」
[少年]が相手では流石の[大王]も歯が立たないようだ。
9 :
恐怖の大王―正義と勇気 (代理):2010/06/01(火) 13:30:34.90 ID:EtzFu76s0
少年「ところで、なんで[大王]が付いてきてるの?学校行きたくないんでしょ?」
大王「いや、別に、お前の学校はどういうところなのかと思ってな。」
少年「ふーん。」
大王「(全く、もしお前が死んだら俺も死ぬんだぞ。
家でゆったりしていたら死んだ、なんて大王の死に方じゃないだろ。
そんな事を考えてたら離れるのが怖くなるだろうが。)」
契約者が死ぬと都市伝説も死ぬ。その制約によって少年が気がかりなのだ。
そんな事を考えている内に、向こうから人が見えてきた。
少年「あ![友]くんだー!」
どうやら[少年]の友達だそうだ。
[少年]は向こうの少年のところへ走っていく。無論[大王]もそのあとを追いかける。
10 :
恐怖の大王―正義と勇気 (代理):2010/06/01(火) 13:33:02.06 ID:EtzFu76s0
友「よ、[少年]。どうだ?都市伝説は見つかったか?」
どうやらこの少年も都市伝説を知っているようだ。
[大王]はふと、出会った時にこの少年の名前が出ていた事を思い出した。
[少年]はこの[友]という少年から都市伝説の事を聞いていたのだ。
こいつさえいなければ、[大王]は心底そう思った。
少年「それがねー。」
そう[少年]が言ったところで[大王]が止めた。
大王「あまり都市伝説の事は話さない方がいいと思うぞ。
無駄な混乱を招くだけだ。」
[少年]はつまらなそうな顔をしたが、おとなしく言う事を聞く事にしたようだ。
少年「別にいなかったよ、都市伝説なんて。」
友「本当か?いるはずなんだけどなぁ。」
大王「(だいたい、こいつは何処でそんな情報を仕入れてきたんだ?)」
11 :
恐怖の大王―正義と勇気 (代理):2010/06/01(火) 13:35:58.57 ID:EtzFu76s0
色々話している内に、少年たちは学校に着いた。
[少年]が教室に入ると、急に少女が話しかけてきた。
少女「[少年]君!」
ふと[大王]が[少年]の顔を見ると、とても嫌そうな顔をしていた。
こいつもこんな顔するんだな。[大王]は少々驚いた。
そんな事も知らず(あるいは知っててか)少女は[少年]に抱きつく。
少年「やめてよ[少女]ちゃん、暑苦しい。」
[少年]は[少女]という子を引き離した。すると[少女]はムッとなって[少年]に言う。
少女「だってしばらく[少年]君と会えなかったんだもん。
電話しても出てくれなかったしー。」
当たり前である。おそらくこの少女は学校町に行っている間に電話しようとしたのだろう。
そんなに会いたかったのか、この少女は。
急に話題が変わり、[友]はこんな事を言い出した。
12 :
恐怖の大王―正義と勇気 (代理):2010/06/01(火) 13:38:01.79 ID:EtzFu76s0
友「そんな事より、知ってるか?【フォトンベルト】の話。」
少女「なにそれ?」
【フォトンベルト】とは『20XX年に地球はフォトンベルトに突入する』というもの。
フォトンベルトに突入すると強力な電磁波により太陽や地球の活動に大きな影響が出て
『人類の遺伝子構造が変化し人類が進化する』とも、『電子機器が使用できなくなる』とも言われている。
『20世紀末から異常気象や火山活動・地震が頻発しているのは
地球がフォトンベルトに入り始めたから』という話もある。
という話を[友]は簡潔に話した。
少年「へぇー、本当?」
少女「まーた人類滅亡系の話?そんなの当たる訳ないじゃん。」
友「ま、けっこう『ウソだ』っていう話も多いんだけどね。」
少年「ウソなの?」
少女「当たり前じゃん!わたし気付いちゃったもの。
人類滅亡系の話は全部ウソだって。
【恐怖の大王】も【2000年問題】も結局 何も無かったじゃん。」
13 :
恐怖の大王―正義と勇気 (代理):2010/06/01(火) 13:41:00.13 ID:EtzFu76s0
大王「(おいおい、【恐怖の大王】はここにいるぞー。
少年と契約していなければ今頃 俺はこの世界を・・・
ん?【2000年問題】・・・『2000年』?!)」
友「【2000年問題】は皆が がんばったから何も無かったんだけどね。」
少女「だいたい20XX年なんてX年も未来じゃない。そんなのいつか忘れられるわよ。」
大王「(20XX年−X年=200X年 だから、やはり1999年では無いのか!
そんな、X年も間違えて来るとは・・・。
【恐怖の大王】の名が泣くな・・・。)」
少年「(あれ?[大王]が外に行っちゃった。)」
[大王]はしばらく外でたそがれる事にした。
[少年]は少し気になったが、急に[少女]が話題を変える。
14 :
恐怖の大王―正義と勇気 (代理):2010/06/01(火) 13:44:03.96 ID:EtzFu76s0
少女「そういえば知ってる?
この近くで【口裂け女】が出るんだって。」
友「【口裂け女】?ベタな都市伝説だな。」
知らない人はいないだろうが、あえて説明させていただく。
【口裂け女】とは、大きなマスクをした女の事で
『夕暮れに現れて通行人に自分の美しさを問い、
否定したら何もしないが肯定した場合、
マスクを取り、耳元まで大きく裂けた口を晒し「こんな顔でも?」と問う』というもの。
『鎌を持っていて・・・』というおまけもあるが。
少女「出会わないように[少年]くん気をつけてね。
もし出会っちゃったらきっと[少年]くん 食 べ ら れ ちゃうぞぉー。」
[少年]を怖がらせたいのか、声色を変えてそういった。
いや、食べないだろ!そのクラスの児童は皆そう思っただろう。
少年「別に、怖くなんかないもん!
もし見つけたら、ボク倒しちゃうから!」
少し涙目の[少年]の口から強がりのような言葉が出たところでチャイムが鳴る。
全員が席に着き、そのまま特に変わった事は無く、下校時間となった。
[少年]と2人きりになったところで、[大王]が問いかける。
15 :
恐怖の大王―正義と勇気 (代理):2010/06/01(火) 13:47:05.74 ID:EtzFu76s0
大王「あの少女はいったいなんなんだ?
(窓から見ていたが)妙に話しかけてきたみたいだが。」
少年「[少女]ちゃんは保育所の時からずっといっしょなんだ。」
つまり、俗に言う幼馴染みというやつか。世の大人が聞いたら都市伝説扱いだ。
少年「でもね、ボク保育所のときに
[少女]ちゃんにお世話してもらっていたらしいんだよ。
ボクは覚えていないんだけどね。
そのせいなのかな?ボクの事、子ども扱いするんだ。
だからボク、[少女]ちゃんあんまり好きじゃないんだ。」
聞けば聞くほどうらやましい、そう思われる方もおられるだろうが、大王は別のところに目をつけた。
大王「(嫌いな人間がいる。その程度の邪心だけで人は悪人に変わる事ができる。
少年が本当にあの少女の事が嫌いならそこに付け込めば、手下にできる!)」
少年「だからボク、[少女]ちゃんを見返してやるんだ。
大きくなったら警察官になって悪い人をいっぱい捕まえて
ボクは子供じゃないんだぞ、って言ってやるんだ!」
[少年]には付け込むスキは無かった。
[少年]は怒りや憎しみのエネルギーをバネにして、自分を伸ばすタイプの人間だった。
ダメだこいつ。早く何とかしないと![大王]は作戦を練った。
16 :
恐怖の大王―正義と勇気 (代理):2010/06/01(火) 13:49:04.91 ID:EtzFu76s0
ふと前見ると、大人の女性が1人で立っていた。そしてその女性が問いかける。
?女性?「私、きれい?」
どこかで聞いた言葉。このテンプレート、顔に付けられたマスク、まさか!
大王は少年を守るために逃げる準備をするが
少年「・・・きれいだと思うよ。」
大王「(何?!まさかこいつ、本気で戦う気なのか?)」
女性がマスクを取る。想像通り口が耳元まで大きく裂けていた。やはり【口裂け女】である。
口裂け「こ ん な 顔でもー?」
少年「ぎゃあぁぁー!!【口裂け女】だぁぁぁー!!」
涙目になりながら悲鳴を上げる[少年]。
って、分からなかったのか!?[大王]は少し見直そうとした事を後悔した。
【口裂け女】は例によって鎌を構え、[少年]を襲おうとしている。
大王「少年、逃げるぞ!」
[大王]は[少年]を抱えて飛んだ。
飛ぶ、と言っても数十cm浮いているだけである。それでも走るよりも幾分か速い。
17 :
恐怖の大王―正義と勇気 (代理):2010/06/01(火) 13:51:15.95 ID:EtzFu76s0
口裂け「待ぁてぇぇー!」
だが【口裂け女】も速い。『100mを3〜6秒で走るほど速い』という話もある。
誰だ、そんな設定を作ったやつ。[大王]は恨んだ。
[大王]も都市伝説だが、あくまで【恐怖の大王】。身体能力は常人よりも上なだけだ。
大王「くっ!こうなったら・・・。」
[大王]が念じると、[大王]の少し上ぐらいに紫がかった黒い雲が現れた。
【口裂け女】がその下を通ろうとした時、[大王]が叫ぶ。
大王「くらえッ!」ドゴォォォ・・・ン
その瞬間、雲から雷が落ちる。雷は【口裂け女】の前に落ち、何とかひるませる事に成功した。
その内に[大王]は路地裏に隠れた。
大王「ふぅ・・・。少年、異常な怖がり様だったが?」
少年「ごめん、大王。幼稚園ぐらいの時に【口裂け女】の話を聞いて怖くなって泣いた事があったの。
それ以来どうしても【口裂け女】は・・・」
大王「じゃあなんであの時、質問に答えたんだ?答えなきゃ追いかけられずに済んだのに。」
少年「それは戦うためだよ。
自分のニガテを克服したかったし、それに悪い都市伝説は倒さないとね。」
18 :
恐怖の大王―正義と勇気 (代理):2010/06/01(火) 13:52:03.09 ID:EtzFu76s0
大王「(そうか。本当に戦う気だったんだな。
しかし、いざ戦おうとなると怖くなったのか。
子どもの割にはまぁまぁ立派だ。ほめておいて
いやいやいやおかしいおかしい。)
お前まだそんな事言っていたのか!
だから俺は悪いやつと戦う気なんて」
少年「それが契約だから。ボクだって皆のために戦いたい。」
少年「だからお願い[大王]、ボクに力を貸して。」
目の前の悪は放っておけない『正義の心』。
それは裏を返せば、どんなに強い相手にでも立ち向かう『勇気』に変わるのかも知れない。
たとえ本当は力があったとしても、戦う勇気が無ければ無力と同じ。
これは善であろうと悪であろうと、戦闘において重要な要素の1つ。
ここで否定するのは[少年]の成長に関わる。[大王]は決心する。
大王「(今回ばかりはその『正義』、買わせてもらおう!)
いいだろう。貸してやる。」
少年「やった。」
少年が小声で喜ぶ。しかし、どうやってあいつを倒すのか。そもそも倒せるのかも分からない。
19 :
恐怖の大王―正義と勇気 (代理):2010/06/01(火) 13:53:10.82 ID:EtzFu76s0
少年「ところで[大王]、さっき雷 落としてなかった?」
大王「あぁ、まだ俺の能力を言っていなかったな。
俺の能力は『任意の物体を降らせる』だ。
つまり、降らせたいものを降らせる事ができる。
さっきは『電気』を降らせた、という訳だ。」
少年「そうなんだ。」
人々が「何が降ってくるのか」考えた事により与えられた力。
色々なものを降らせることができるが、限界は分からない。
その能力で何ができるのか、[少年]は考える。
少年「ねぇ[大王]、前に『お菓子を降らせる事ができる』って言わなかった?」
大王「あぁ。(誘惑の時のやつか。)
やろうと思えばできると思う。だが何をする気だ?」
少年「じゃあ『べっこう飴』を降らせてよ」
大王「はぁ?そんなもの後で」
少年「『べっこう飴』は、【口裂け女】の弱点だよ。」
大王「なるほど。好物に目を奪われている隙に雷を落とす、という事か。」
少年「待って。あれは当たりにくいんじゃない?もし外れたら次があるか分からないよ。」
何故分かったのだろうか。【口裂け女】に当てていなかったからだろうか。
確かに、雷は何故か命中率が低い。おまけに少々体力を使うようだ。
少年はまだ小さいその頭で考え―――そして閃く。
20 :
恐怖の大王―正義と勇気 (代理):2010/06/01(火) 13:54:00.73 ID:EtzFu76s0
少年「そうだ![大王]、―――できる?」
大王「ッ!可能だが、よく考えたな。」
大王「しかし、1度も見たことも無いものを作れるかどうかはあやしい。
『べっこう飴』の現物があれば・・・。」
少年「あるよ。」
ポケットから『べっこう飴』を取り出す。同時に、貰った時の事を思い出す。
(少女「【口裂け女】は『べっこう飴』に弱いんだって。
だからこれ。出会ったら、ちゃんと投げつけるんだよ。」)
少年「しゃくだけど、あいつのアメが役に立った。」
口裂け「見ぃつけたぁー。」
入ってきたところから【口裂け女】が覗いている。しかし、狭い上に足場も悪い。飛べるこちらが有利。
[少年]は―怖がっていないらしい。なんとか耐えているようだ。
[少年]は[大王]につかまり、[大王]は飛ぶ。速く。なるべく広く、何も無くて、人のいないところへ。
路地裏を抜けると、そこには河川敷が。広く、砂利になっていて、幸い人もいない。チャンス!
口裂け「待ぁてぇぇー!」
【口裂け女】を河川敷に誘い込んだ。計画開始だ。
21 :
恐怖の大王―正義と勇気 (代理):2010/06/01(火) 13:55:08.56 ID:EtzFu76s0
少年「よし、[大王]、『1つ目』いって!」
大王「了解。」
【口裂け女】の上、既に用意されていた雲から何かが大量に降ってくる。そう、『べっこう飴』の雨だ。
それを見た【口裂け女】は止まる。本能か、呪いか。『べっこう飴』に眼を奪われる。
口裂け「アメぇ、アメぇぇぇ。」
想像通り、アメを拾おうとしている。
少年「今だ。[大王]、『次』!」
大王「分かっている!」
先ほど『べっこう飴』を降らせていた雲からまた何かが大雨のように降ってくる。
今度は液体のようだ。ただ、妙なニオイがする。
唯一分かったのは、『べっこう飴』が台無しになった事で
【口裂け女】はその身にかけられた呪いから開放された事である。
口裂け「きさまら・・・コロす!」
少年「[大王]!『最後』の!」
大王「了解!」パチン
[大王]が指を鳴らすと、雲から今度は火の粉が降る。
火の粉がチラチラと揺らめく。やがて、ずぶ濡れになった「口裂け女」の服に―――引火。
22 :
恐怖の大王―正義と勇気 (代理):2010/06/01(火) 13:56:00.34 ID:EtzFu76s0
口裂け「ギィヤァァァー!!」ボオォォ・・・ゥ
【口裂け女】が炎上した。これが[少年]の作戦である。
まず『べっこう飴』を降らせて気を引き、次の攻撃を絶対に当てる。
次に『ガソリン』を降らせる。これが最初でも良かったが
相手の脚の速さから、確実に当てるためにこの様になった。
最後に『火の粉』を降らせてガソリンに引火させる。
結果、【口裂け女】は火だるまになった、という訳だ。
これが小学1年生の発想か?こいつ、策士の才能があるかもしれない。[大王]は[少年]の才能に感動していた。
少年「おーい!もう2度と悪い事しないって言ったら助けてあげるよー!」
大王「(この甘ささえなければ完璧なのに)」
口裂け「ふざけるなッ!喰いコロしてやるゥゥゥ・・・!!」ボオォォ・・・ゥ
だんだんと【口裂け女】の悲鳴は小さくなっていき、やがて聞こえなくなった。
その後、すぅっと炎が消えた。
大王「(本当に人を食べるのか。)」
少年「どうか生まれ変わったら、いい都市伝説として生まれ変わりますように。」
[少年]は手を合わせて拝んだ。
そんな事はしなくてもいい。[大王]は非情だ。
23 :
恐怖の大王―正義と勇気 (代理):2010/06/01(火) 13:57:07.98 ID:EtzFu76s0
少年「そうだ。ガソリンで水、汚れないかな?」
大王「あぁ、問題ない。俺が作ったものは時間が経てば消えてなくなる。
それより、あんな作戦よく考えたな。見直したぞ。」
少年「えへへ。」
大王「その『力』を大切にな。
そうだ、明日から俺が鍛えてやる。
そうしたらお前も戦えるようになるしな。」
少年「本当!?やったぁー!」
大王「(こうやってゆっくり準備をしておけば
後で手下にした時に役に立つからな。)」
少年「ボク、悪い人を捕まえるためにいっぱいがんばるよ!」
うーん、道を間違えているようだが、まだ良いだろう。
今の内に鍛えておいて、隙を見つけて誘惑する。その日が来るまでゆっくり待つとしよう。
[大王]はそんな事を考えつつ[少年]の家に帰るのであった。
世界征服への道は遠い。
第2話「正義と勇気」―完―
24 :
優しい人 ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/01(火) 13:58:07.17 ID:EtzFu76s0
それは、7人みさきの契約者である美咲が、ダレンと言う青年と遭遇してから、三日も立たないうちの事
「まぁ、可能ではありますが…」
人気のないその空間で、男女が向かい合っている
男性の方は、ダレンだ
女性のほうは…4,50代といったところだろうか
綺麗な金髪に、緑色の瞳をしている
どこか、占い師のような神秘的な雰囲気を漂わせている女性だ
「本当?それじゃあ、お願いしてもいいかな、ダリア」
「お願いなんて、しなくとも。命令さえしてくれればよいのですよ、ダレン様」
くすり、微笑んだダリアと呼ばれた女性の言葉に、ダレンは、どこか困ったような表情を浮かべた
「命令なんて…僕は、そんな事できる立場じゃないよ。それに、強制するわけじゃないんだし…」
「あら…」
…あなたは、私の上司ですのに
その言葉を、ダリアは飲み込んだ
それを主張しても、きっと、ダレンを困らせるだけだろう
「それでは、ダレン様の「お願い」、このダリア・デ・ラッツァが、聞き入れましょう」
「あ…いいのかい?」
「もちろんですわ」
微笑み、ダリアはす…と、大きな水晶球を取り出した
曇り一つない、その水晶球をテーブルの上に置くと、ダリアはそれに、触れるか触れないか、ギリギリの位置まで手を近づける
「ダレン様、お手を重ねてくださいませ。そして、あなたが心配なさっている、その少女の姿を思い浮かべてくださいませ」
25 :
優しい人 ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/01(火) 13:59:21.22 ID:EtzFu76s0
「……うん」
そっと、ダリアの手の上に、ダレンの手が重ねられる
すると、水晶球が、ぼんやりと光り始め
次の、瞬間
水晶球に、ここではない場所の光景が映し出された
中央に捉えられるは、七人みさきの契約者、美咲
水晶球に映し出される光景は、彼女を追い続けている
ダリア・デ・ラッツァは、この「水晶球」の契約者である
人々は、水晶には不思議な力があると信じた
特に、このような美しい球体をした水晶球は、占いなどに用いられ、魔法でも使用されると信じられた
ダリアは、契約した水晶球を使い、遠くの光景などをこうやって見る事ができるのだ
その気になれば、過去や未来を覗く事も可能である
もっとも、それは彼女の体に重い負担を負わせてしまうのだが…
「…はい、彼女の位置は捕捉出来ましたわ。後は、私一人でも、彼女を見る事ができます」
「そうか、良かった……ありがとう、ダリア」
ほっとしたように微笑むダレン
釣られたように、ダリアも微笑んでみせる
「この少女の事が気になるのでしたら、彼女の未来を見る事もできますよ?」
「あ、そ、それは駄目だよ。君の体に負担がかかってしまうから…」
あぁ、もう
本当に、優しい人
26 :
優しい人 ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/01(火) 14:00:06.33 ID:EtzFu76s0
自分を助けてくれた時から、何も変わらない、とダリアは微笑む
とても、とても優しい人
とても強いのに、誰よりも他人を傷つけることを嫌う人
ダリアが知っている限り、ダレンはこの世で一番優しい人だ
この世に必要な、慈悲深い優しい人
だから、こそ
彼を殺そうとした、「組織」が
ダリアは、何よりも大嫌いなのだ
「それじゃあ、その…彼女の事を、見ていてくれるかな……何かあったら、僕に教えて?」
「了解しましたわ、ダレン様」
ダレンの、力になる事ができる
それを、ダリアは心から喜んで
どこか申し訳無さそうに笑うダレンに、微笑んで見せるのだった
「……ん〜?視線を感じるような……」
…この日、から
美咲は、監視されていると言うよりは…心配そうに、見守られているような
そんな視線を、どこからか感じる事が多くなったのだった
to be … ?
27 :
ある「組織」の構成員の憂鬱 ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/01(火) 14:03:06.08 ID:EtzFu76s0
翼がマドカと和解し、マドカも己の両親と和解…した直後に、マドカが両親と壮絶な親子喧嘩を始めたのはさておき
とにかく、二世代親子の和解が成立した、その後の事…
「…そうか。「日焼けマシンで人間ステーキ」の青年は、朝比奈 秀雄とも和解できたのか」
「はい……まだ、完全に、ではないかもしれませんが」
それでも…関係は、改善されていっている
その事実に、黒服はほっとしていた
これからは、親子が憎しみあうような事がない事を、祈るばかりである
日景家本家からの、帰り道
舞が望と詩織と共に三人がかりで翼をからかって遊んでいるらしい様子を前方に見ながら、黒服はTさんに、今回の騒動の顛末などについて話していた
……なお、翼の隣には、獄門寺と花子さんもいるのだが、花子さんはリカちゃんと話していて翼が女三人に玩具にされている様子に気付いていないし、獄門寺は何を考えているのか、とりあえず、翼を助ける気はないようで
…頃合を見計らって、翼に手を差し伸べてやらなければ
黒服は、こっそりと考える
「確か、朝比奈 秀雄の部下には、ゴースト&ダークネスの、ダークネスがいたそうだが…それは、どうなっただろうか?」
「ダークネス、ですか…秀雄さんとの戦いの時、あの場にいた青年を覚えていますか?」
「あぁ…随分と小さな悪魔の囁きを連れていた?」
「はい。どうやら、ダークネスは彼のところにいるようですね…片割れであるゴーストと、一緒に」
どう言う事だろうか?と首を傾げたTさん
黒服としても、その状況を知った時は、驚いた
「どうやら、ゴーストもダークネスも、子供のライオンの姿をとっているようなんです……当人達は、都市伝説として人を襲う事を、拒絶しているらしいです」
…その代わり、本来人食いである都市伝説
人食いをしない代わりに、食欲がすざましい事になっているそうだが…
「…とにかく、ゴーストもダークネスも、人を襲う事はない、と言う事か」
28 :
ある「組織」の構成員の憂鬱 ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/01(火) 14:06:14.39 ID:EtzFu76s0
「そのようです」
もし、元の姿に戻って暴れられたら、大惨事になりかねないが
…黒服としては、人を襲う事を拒絶したと言う、ゴーストとダークネスの考えを、信じてみたかった
人を襲う都市伝説として生まれたからと言って、必ずしも、人を襲い続ける必要などない
……都市伝説とて、生き方を変える事ができるのだ
真っ赤なマントを羽織った友人の姿を思い浮かべながら、黒服はそう考えるのだ
「藤崎 沙織や、鳥井 静香は?」
「鳥井さんは……少々、負傷してはいましたが、命に別状はありませんでしたし。今まで通り、秀雄さんの秘書として働くようですね」
罪の償い
それもかねてのことだ
……マドカとは、微妙に火花を散らしたとか散らさなかったとか、という話も聞いているのだが
恋愛面には疎い黒服、その理由はよくわからない
「藤崎さんは、私の上司が身柄を保護しました。「タコ妊娠」との契約を解除させて…都市伝説絡みの記憶も、消去させたそうです」
「それは……彼女は、この騒動についての記憶を失った、ということか?」
はい、と頷く黒服
彼女は、自分が犯してしまった悪事すらも
その記憶から、消し去られた
無意識下で、ある程度の記憶が残っている可能性はある
だが、表面上、記憶は抹消されて……よほどのことがない限り、思い出すことはないだろう
「藤崎さんは元々、都市伝説に対しては恐怖心を抱いていた方ですから……悪魔の囁きに憑かれさえしなければ、都市伝説との契約など、勘が得なかったでしょうし、それに…」
「……よりによって、「タコ妊娠」だからな。正気に戻った時、それと契約してしまった事を認識すれば…心が、壊れかねない、か」
そう言う事です、と、黒服は少し悲しそうな表情浮かべた
事実、彼の上司が藤崎を保護した時、彼女は発狂寸前だったと言う
29 :
ある「組織」の構成員の憂鬱 ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/01(火) 14:09:51.80 ID:EtzFu76s0
「タコ妊娠」と言う、女性にとっては嫌悪すべき都市伝説
少しでも遅ければ……もはや、精神的な死を迎えてしまっていたかもしれない
藤崎の無事を知って、翼もほっとしていた
ただ、記憶が戻る事を恐れて、彼女と接触するつもりはないようだが
「ユニコーンの契約者であるヘンリー・ギボンヌだが。あの男も、まだ暫く学校町に滞在するらしいな」
「………はい、そうなんですよ」
…Tさんの、その言葉に
軽い、頭痛を覚える黒服
Tさんが、怪訝な表情を浮かべる
「…どうかしたのか?」
「…その、ヘンリーさん、なのですが……何せ、「教会」お抱えの存在ですからね。それも、かなり重宝されていて、「教会」の管理下から出ることを許されていなかった程です」
そんな存在が、学校町に滞在し続ける
…その事実に、軽い頭痛を覚える
「もし、万が一、ヘンリーさんが事件に巻き込まれて、大怪我をしたり命を落とすような事があれば…」
「……なるほど、理解した」
苦笑してきたTさん
つまりは、そう言う事なのだ
ヘンリーに何かあれば、「教会」が学校町に手を出してくる口実を与えてしまいかねない
恐らく、ヘンリー本人には自覚はないだろう
だが、彼は今現在、歩く国際問題と言ってもいい状態なのだ
ヘタにその自覚を持たれるよりはマシだが、どちらにせよ頭と胃が痛い問題である
彼を擁護している「教会」メンバーが、「教会」内でも穏健的な考え方である事が、唯一の救いか
支援
「あまり、無理はしないようにな」
「…はい」
気遣うようなTさんの言葉に、黒服は苦笑してみせる
一応、騒動終結後、しばらく休みを取るように上司には言われているが
…それでも、あと2,3日もすれば、仕事に戻るつもりだ
まだ、悪魔の囁き・コーク・ロアの騒動の事後処理は山のように残っているし
それに……
「…黒服さん?まだ、気になる事が、あるのか?」
「……えぇ」
…今回の、騒動の発端
朝比奈 秀雄
彼の運命を捻じ曲げ、悪魔の囁きと契約するきっかけを与えてしまった、その出来事
「門条 晴海という女性についてです」
「…朝比奈 秀雄が口走っていた名前か」
そうです、と黒服はゆっくりと頷く
「あの時、あなたは、朝比奈 秀雄の運命を捻じ曲げたのは「組織」だと、そう言っていたな」
「はい…門条 晴海という女性を、殺してしまったのは…「組織」、ですから」
黒服の、その言葉に
Tさんが、僅かに眉をひそめる
「…都市伝説関係者だったのか?」
「いえ、違います……どうやら、当時のHNoに、実験体として拉致されていたようなのです」
「…「組織」の闇の部分、か」
32 :
ある「組織」の構成員の憂鬱 ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/01(火) 14:41:28.12 ID:yHeg+ksK0
「はい……彼女が、どのような実験に巻き込まれてしまったのか。そこまでは、私の権限では調べられませんでしたが…非人道的な実験であった事は、確かなようです」
HNoの実験
それは、大半が非人道的なものであったと言う
かつては、都市伝説に飲まれた人間を元に戻す研究などもしていたらしいのだが……それは、いつからか暴走を初め、誰にも止められなくなってしまっていた
門条 晴海という女性が巻き込まれた実験もまた、その非人道的な実験の一つであったと思われる
「彼女は実験体として5年間、「組織」の研究施設で囚われ続けた後、そこを脱走して………機密保持の名目で、殺されています」
「…「組織」の研究施設に囚われていた以上、嫌でも「組織」の情報を持っているから、か」
記憶消去、と言う手段すらとられず
抹殺する、と言う選択肢をとられてしまったのだ
それは、脱走した彼女の対処を任せられたのが強硬派であったから、と言うだけでないのだろう
記憶消去では、何かの機会に記憶が戻る可能性がある
…それを、恐れられたのだ
それほどまでに、重要な秘密を知ってしまったという門条 晴海
一体、囚われていた五年間で何があったのか…調べたくても、黒服の権限では調べきれない
恐らく、当時の資料も大半が破棄されてしまっているだろう
「門条 晴海さんの一件は、今回の秀雄さんの件にも絡んできますし、それに…」
「それに?」
「…「組織」内で、門条 晴海さんと、同じ苗字を持つ人が、いるんです」
門条、という苗字は、決して多い苗字ではない
どちらかと言うと、珍しい苗字だ
「それは、つまり…門条 晴海の、関係者?」
「わかりません、ただ、無関係ではないような気がして…」
33 :
ある「組織」の構成員の憂鬱 ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/01(火) 14:42:35.93 ID:yHeg+ksK0
もし、関係者であるならば
彼は、門条 晴海と言う女性を知っているのだろうか?
…彼女が
「組織」に殺されてしまった事を…知っているのだろうか?
「……何か…そこから、悪い事が起きなければ良いのですが…」
「考えすぎだ…と、言いたい所ではあるが。確かに、珍しい苗字であるだけに、同じ苗字だと言うのは気になるな…どう言う人物なんだ?」
「門条 天地。モンスの天使と契約している青年です。元は過激派に所属していましたが、昨年、担当の黒服が変わって、穏健派に転向した事になってはいますね」
モンスの天使
その単語に、Tさんが反応を見せる
「…モンスの天使、というと。まさかだが」
「はい。昨年のマッドガッサー騒動の際、Tさん達が巻き込まれた無差別攻撃。それを行った人物です」
モンスの天使の契約者なんて、「組織」では一人しかいないし
…それも、その召還されるモンスの天使が、弓矢ではなく、重火器を使い、しかも、可愛らしい少女の姿をとっているのだ
そんなモンスの天使と契約している人間など、世界中どこを探しても、一人しかいない
その天地の、以前の担当の黒服が、何者かに「殺害」され、それがキッカケで担当の黒服が穏健派の黒服に変わった、というのも、どこか引っかかる
誰かが、天地を過激派から、無理矢理引き剥がしたような
そんな印象を受けるのだ
「本当に……何も、悪い事が起きなければいいのですが」
そう呟き、黒服はため息をついて
…前方で遊ばれている翼を、いい加減救助すべき頃合になったことに気付いて
小さく苦笑しながら、望達に追いつくべく、歩調を速めるのだった
−−−−−−−いつか来るであろう脅威に、彼らが巻き込まれるかどうか
それはまだ、誰にもわからない to be … ?
34 :
悪役、暗躍、だれの役 ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/06/01(火) 14:45:36.72 ID:yHeg+ksK0
「宮定繰さん、ですね?」
柔和な笑みを浮かべた見知らぬ黒服の男に、怪訝な顔をする繰
「遅くなって申し訳ありません。新しくあなたの担当となる者です」
「随分と遅かったのね。相当ゴタゴタしてるの?」
「何しろ『組織』の人手不足は昔からですから……こうして呼び出させていただいたのも、早急に片付けるべき仕事がありまして」
前の担当はどちらかと言えば無表情無感情なタイプだったが、今度の担当はどこか芝居掛かった胡散臭いタイプだ
そんな感想を繰が抱いているのを知ってか知らずか、笑顔を崩さず黒服は告げる
「今回のお仕事は、前任者を殺害したと想定される別組織の黒服の討伐です」
「そう……ターゲットの居場所は掴めてるの?」
「どうやら複数によるグループらしく。都市伝説や契約者と遭遇していない、一般人に危険を及ぼす可能性のある者から順次排除していく事になります」
「それなら急いだ方がいいわね。案内お願い……えっと、あんた達って個別の呼び名って無いの? 前任者の時にちょっと面倒だったんだけど」
繰の言葉に黒服の男は人の良さそうな声で告げる
「そうですね、所属する派閥やグループでコードやナンバーが割り振られていますので。A-No.18782が私の識別番号ですので、お好きなように覚えて下さい」
「三桁以上の数字とか覚えられないっての。とりあえずAさんね、細かい事は後で相談」
「了解しました。それでは行動を開始しましょう」
―――
35 :
悪役、暗躍、だれの役 ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/06/01(火) 14:48:01.38 ID:yHeg+ksK0
盟主の技の一つであるプラズマ攻撃を、各々手にした武具であっさり弾き散らす中華黒服達
大樹が鋸で切り倒されるように、電気が金属に制され流れを変えるように
五行の理として木行である雷は金行によって剋される
「蟲毒を破られる前に我らの命を喰らわせて毒を満たしても良いのだが」
「まず破られぬ事が大事」
「そもそも我ら全員の命より、貴様ら一人の命の方が上質よ」
「霊とて神とて殺せぬものなどこの世に無し」
「我らが力の礎となれ」
好き勝手に喋り、じりじりと間合いを詰めてくる中華黒服達
盟主は将門の元まで退き、焦りを覚えながらも声を抑えて囁く
「急いで下さい。私では相性が悪過ぎて抑えられません」
「力任せに破るわけにもいかんのでな、もう少し時間が掛かる。なかなかに面白い遊戯よ」
「楽しんでいる場合ではありません。そもそもあなたのお仲間は来てないのですか」
「大陸無双と戦うにしても、お主と逢引きするにしても、連れがいては邪魔ではないか。来るなと念を押してある」
「ああもうこの落ち武者死ねばいいのに……とりあえずここを離れて態勢を立て直しましょう」
「その必要は無い」
将門の声と共に中華黒服達の動きが突然止まり、将門と盟主を取り囲んでいた一角が押し退けられるように崩れる
「待ちかねたぞ?」
「呼ばれてもいないのですから、来る事を期待しないで下さい」
「我が『蟲毒』を破ろうとする事は察していたのであろう? それに、『蟲毒』の結界を破るために町中に気を張っていたからな。来る様子は判っておったわ」
36 :
悪役、暗躍、だれの役 ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/06/01(火) 14:50:17.84 ID:yHeg+ksK0
周囲を囲む者達と同じ黒服姿ではあるが、その雰囲気は全く違う
この町きっての人格者にして苦労人、『組織』の過労死候補No.1と名高い黒服Dである
「……あなたは戦闘向きではないなずですが」
盟主の問いに、黒服Dは静かに頷く
「ですが、『蟲毒』を破るまでの盾としてはこれ以上はない特性があります。『アメリカ政府の陰謀論』の支配下にある黒服の弱点ですよ」
中華黒服達と、将門と盟主の間に立ちはだかる黒服D
「彼らは『夢の国』に関係した存在に直接危害を加えられません。『陰謀論』から直接の命令をされていれば別ではありますが、独断で行動しトップからの干渉を絶っている状態ではそれも無いでしょう」
『夢の国』の著作権を保護するために法改正を続けている、そんな都市伝説もまた『アメリカ政府の陰謀論』の一部であるという事
『夢の国の地下トンネル』の力を持つ黒服Dを、彼らは戦闘に巻き込む事は出来ない
中華黒服達はその言葉に押し黙るが、その沈黙こそが最大の肯定となっていた
「強硬派が彼らの排除に乗り出しています。『蟲毒』を先に破らなければ、結果的には彼らの目的は達せられてしまいます。急いで下さい」
「急くな。この町に呪詛の欠片一つたりとも残さず取り払うためだ」
わざとらしい悠長な態度に中華黒服達はぎりと歯軋りをするが、攻め手に回れないと判断すると町の方々へと散って行った
「逃がしてしまって良いのか?」
「ここに戦えるものを招くよりはマシでしょう」
『組織』の強硬派が現れれば『首塚』との関係を悪化させる事態になりかねない
だがそれ以上に、こと戦闘となれば嬉々として加わり止めようもないであろう化物が一人いる
「随分と都合良く事が運ぶな。全ては貴様の手のひらの上か?」
その化物、今までの様子をじっと眺めていた呂布がそう問うと、将門はからからと楽しそうに笑う
「天運よ。我のではなく、この町のな」
―――
37 :
悪役、暗躍、だれの役 ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/06/01(火) 14:52:36.63 ID:yHeg+ksK0
水鏡の前に立ち、ぎりと歯軋りをする中華黒服
町全体を『蟲毒』の状態にする結界が破られるのは時間の問題となり、町中に散った黒服達の戦果も微々たるもの
手は数あれど悠長に構えていた事が災いし、時間が足りず
必要に足る力となるには、僅かばかり届かない
町中に散らせた黒服達を並列思考から自律活動に切り替えると、中華黒服は足元に転がる犬メイドを見据え使い道を思案する
首を落とし臓腑を抉り血を捧げ贄として、僅かばかりでも毒の足しにするか
房中術で精を搾り取り、違う種の力ではあるが混ぜて足しにするか
どちらにせよ不確定極まりないものではあるが、やらないよりはマシという状況が迫りつつある
中華黒服は僅かばかりの苛立ちが混じった顔で、身動き一つできない犬メイドにその手を伸ばした
38 :
『何か』が道をやって来る ◇DkTJZY1IGo (代理):2010/06/01(火) 14:53:37.21 ID:yHeg+ksK0
高元道男はつい最近、学校町の高校に転任してきた教師である。
風采の上がらぬ35歳のおっさんで結婚はしていない。
身長は160cm。七三に丸い黒ぶち眼鏡を掛けている。
本当は民俗学が好きで、専門に研究したかったのだが、
今は古文や英語を生徒たちに教えている。
身につけた理由と言うのがまた変わっていて
古文や国語は古い日本の書物を紐解くのに役立つし
英語は外国の都市伝説や民話を原文で読むためにである。
この街では不思議な事件や怪奇現象が起こりやすいという話があるのも
道男にとってはありがたいことだった。
普通気味悪がるところだが
道男の場合是非実物を見てみたいという興味のほうが勝る。
幸いなことか、不幸なことか、いまだに道男は怪奇に遭遇したわけではないが…
ある日、たまたま用事があった道男が校舎を囲む塀の前を通りすがったとき……
39 :
『何か』が道をやって来る ◇DkTJZY1IGo (代理):2010/06/01(火) 14:54:56.91 ID:yHeg+ksK0
「ぽぽ、ぽぽっぽ、ぽ、ぽっ…」
と不規則な音が聞こえた。
機械音ではなく、誰かが口で言っている音だ。
眼をそちらに向けると
麦藁帽子が校門の上をスウッ、と移動しているのを見かけた。
その下を目を追うと帽子が独りでに動くわけも無く、
白っぽいワンピースを着た綺麗な若い女性が被っていた。
顔を出して塀から教室のほうを眺めている。こちらには気が付いていないようだ。
「ぽぽっぽ、ぽ、ぽぽ」
なるほど、この音は彼女が出している、ハスキーボイスで奇妙な笑い声だったわけか。
ずいぶん背の高い人だ。道男が小柄なため余計にそう見える。
「保護者の方ですか?御用があるのならお聞きしますが」
そう尋ねると、彼女は虚を付かれた様にフッと視界から消えた。
「あ、あれ……?ちょっとまてよ……この壁二メートルはあるよな……」
冷静に考えると怖くなってきた。
それにこれに良く似た都市伝説をネットで見たことがある。
40 :
『何か』が道をやって来る ◇DkTJZY1IGo (代理):2010/06/01(火) 14:56:48.88 ID:yHeg+ksK0
それに興味を持って民俗学のフィールドワークの一環として
実際に○市の大字×村まで赴いて聞き取り調査をしたことも或る。
どこで聞いたか知らんがその話はしたくないと渋る老人を学問のためと粘り強く説得して
聞きだした話とそっくりだ。
その名は「八尺様」
聞き込み調査をした結果はかなり深刻だった。
古くから×村に封印されていた『モノ』
地蔵によって封印されていると言う話だが
正確には村から出さないよう塞の神や地蔵で道を封じてあるだけなのだ。
数年から十数年に一度、見入った若者を取り殺す。
これは道をより来るたぐいの魔、祟り神、荒御霊であろう。
なぜそんなものを村人が受け入れたか。
それは昔と今とでの事情の違いがある。
八尺様を受け入れる代わりに、水利権や回りの村より便宜を図ってもらう。
水利権は当時の農村では死活問題だ。
水が足りず凶作に当たれば何十人も飢えて死ぬ
それに流行り病にいくさ。人はどんどん死んでいく。若者の死亡率は今より高い。
それにくらべれば、数年か数十年に一度の八尺様の祟りは事故として受け入れることが出来たのだろう。
41 :
『何か』が道をやって来る ◇DkTJZY1IGo (代理):2010/06/01(火) 14:58:06.25 ID:yHeg+ksK0
水利権と周囲の村に便宜を図ってもらうこと、全体の利益を優先した。
八尺様への恐れが、周囲の村からの援助を引き出す……
民俗学的に大変興味が尽きぬ話だが会ってしまった現在では洒落になっていない。
「きっと、まだ大丈夫だ……八尺様は古くから伝わる伝承だから対処法が有る」
だが思い出した。八尺様は怪異譚と都市伝説との二つの性質を持つことを。
都市伝説では、この話を語った少年は生還している。
しかし最後の落ちが問題だ。封印が解き放たれたことである。
最近ではいい加減な道路工事業者のせいによって道祖神、塞の神、地蔵の数は減っている
壊されたり正しい位置から移動されたり……
信じる信じないはともかくとして
由緒ある祠やら何やらを打ち壊すのは歴史的価値、民俗学的価値を無視している!と強く憤りを感じた。
「待てよ」
対処法→八尺様は村から出られない→血の繋がりの有る人とともに車で脱出
……しかし現在は地蔵が壊されている!だから自由になった八尺様はこの街まで……
「詰んだあああああああああああ!!!」
42 :
『何か』が道をやって来る ◇DkTJZY1IGo (代理):2010/06/01(火) 14:59:04.27 ID:yHeg+ksK0
何とかしなければ確実に数日のうちに取り殺される。
人間は自ら、八尺様の弱点を破壊してしまった。
しかし、更なる問題は何とかしなければ八尺様を見てしまった自分だけではない。
おそらく、高校を見ていたと言うことは更なる贄を求めているのだろう……
研究者である前に俺は教師だ。
やる気が無かったり不良な奴もいるが
若者は新しい時代を担うのだ。
まだ見ぬ発明をするかもしれない。
如何様なる未来も広がっている。
その可能性を摘み取ってはならない。
それをまだ助けられるのかもしれないのに見捨てて、教師を名乗るほど恥知らずにはなれなかった。
何としても生徒は守らないといけない。
「考えろ……考えるんだ……何とかする方法を……」
ふと、思いついた。
教師・高元道男は決断した。ある方法を実行する事を。
43 :
『何か』が道をやって来る ◇DkTJZY1IGo (代理):2010/06/01(火) 15:00:36.98 ID:yHeg+ksK0
その日の夜……
高元は自宅で用意をして待っていた。
午前一時ごろになると……
「ぽぽっぽ、ぽ、ぽぽ…」
アノ声が聞こえ、部屋のドアがノックされた。
高元は意を決して言った。
恐怖で体がこわばりそうだ。
「部屋のドアは開いております!」
音も無く部屋のドアが開かれていき……
高元はそちらを見ずに、部屋にひれ伏した。
この部屋には小さな祭壇が作られ、沢山の供え物が供えられていた。
高元の格好は高校のスーツではなく、神官の白装束である
「八尺様に伏してお願いの儀申し上げます!」
そう、高元は決断したのだ。八尺様を祭ることを。
八尺様が悪神、祟り神の性質を持つ都市伝説であることを知っていた。
悪神、祟り神は正しく手厚く祭り上げることが出来たなら――
そのさがを鎮めることが出来ると。
44 :
『何か』が道をやって来る ◇DkTJZY1IGo (代理):2010/06/01(火) 15:02:55.64 ID:yHeg+ksK0
「私は殺されてもかまいません!あなたを封印した人間に対する怒りももっともなものでしょう!
しかし生徒や若者は未来を担うもの。
どうか荒ぶる御心を鎮め、この供物をお受け取り祭られることをお受け入れください
なにとぞ、なにとぞお願いします」
民俗学の知識を元に儀式を実行したが……
成功する保証などどこにも無い。
高元の体にとめどなく冷や汗が流れる
高元の生徒を守りたいと言うのは本心だ。
心の底から言葉を発さずして、神も魔も絶対に動いてくれるわけが無い。
部屋の中に沈黙が落ちる。
「ぽっぽぽ、ぽ、ぽっ、ぽぽぽ…」
さも楽しそうな奇妙な笑い声が高元の頭上から響いた。
――面白い――
――ちと歳を取りすぎているのが不満だが――
――よかろう、お前を選んでやる――
45 :
『何か』が道をやって来る ◇DkTJZY1IGo (代理):2010/06/01(火) 15:05:35.29 ID:yHeg+ksK0
伏している高元の顔の前に、何かがひらりと落ちてきた。
途轍もなく古びた一枚の和紙。
「……連判状……」
草書で何事か書き込まれている。
昔の日本で、一揆などで農村で用いられた円環状の署名形式。
これが契約書に間違いが無いだろう。
契約書まで古風というかそれらしすぎる。
その一点が開いている。
ずき、と人差し指に痛みを感じる。
いつのまにかそこから血が滴っており
「ここに名前を書け。と?」
八尺様は頷いた。
名前を書くと、一陣の風が部屋に巻き起こり……
八尺様も。連判状、供物も消えていた。
すべてが夢であったかのようだ。
「はっ……はぁ……はぁ……」
かくして、高元道男もまた契約を交わし、この街の都市伝説に関わることになる。
【プロローグ・終了】
46 :
レギオン ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/01(火) 15:08:07.05 ID:yHeg+ksK0
犬メイドに伸ばされた、中華黒服の手
しかし、それは犬メイドに、届かなかった
ばしっ!!と
どこからか伸びてきた漆黒の触手が、その手を払う
「む……!?」
「……あ゙−」
ちょんっ、と
どこから入り込んだのか、小さな、小さな、黒い毬藻のような悪霊が、まるで犬メイドを護ろうとしているかのように、犬メイドと中華黒服の間に入り込む
それは、犬メイドの胸元にもぐりこんでいて、犬メイドの呼吸でのモールス信号を受けて、胸元から出て行ったはずの、悪霊
ざわざわと、その小さな体から、どこに収まっていたのだと突っ込みたくなるような触手が伸び続けている
「邪魔だ、どけ…!」
「あ゙−」
中華黒服の苛立ち混じりの声に悪霊はふるふると首…と言うか、体全体を降った
ぽこんっ
(……へ?)
悪霊が戻ってきた事に、あっけにとられていた犬メイド
目の前の光景に…思考が停止しかけた
体を降った、悪霊
…その体が、増えた
「あ゙−」
47 :
レギオン ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/01(火) 15:10:56.23 ID:yHeg+ksK0
ぽこんっ
ぽこんっぽこんっぽこんっ
悪霊が、その小さな体を振るたびに
悪霊が、増えていく
「あ゙−」
「あ゙−」
「あ゙−」
増え続ける悪霊
それらは、全てが中華黒服を睨みあげ、激しい敵意を向けていた
「邪魔だ、いくら増えようとも……」
「……あ゙−!!」
何か、口走ろうとした中華黒服
それを遮り、増えた悪霊たちが、武器皆叫び声をあげた
まるで、某国民的RPGの雑魚キャラのように、悪霊達が一箇所に固まって
−−−っぼん!!
その体が、巨大な悪霊へと姿を変えた
初めから存在した悪霊だけがそれに加わらず、ぷるぷる体を振って、悪霊を増やし続けている
…犬メイドは思い出す
この悪霊が、マステマが召還した悪霊である事に
マステマが操る悪霊の本質は、レギオン
その一体一体が、個体でありレギオンである
48 :
レギオン ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/01(火) 15:13:00.98 ID:yHeg+ksK0
つまり…一体いれば、いくらでも、増える
そして、集団が個体になる事も可能
そう言う事なのか?
巨大になった悪霊が、中華黒服の体を押さえつけた
何か喋ろうとした口に、巨大悪霊の体が入り込み、言葉を封じる
動きを封じただけで、殺すつもりはないようだ
「…ヘタに殺したら、毒になっちまうからな」
ばさり
黒い羽が舞い落ちる
「悪い、遅れた。すぐにエリカも来て、少なくともお前のその状態だけでも解除するから、待ってろ」
ばさり、ばさり
漆黒の翼をもった、仮面をつけた堕天使…マステマが、犬メイドの傍らに降り立って
じろり、巨大悪霊に押さえつけられる中華黒服を、仮面の下から睨みつけるのだった
to be … ?
Project-ACE case03:Sample /検体候補/
ここは、とある実験室。
多数の黒服が歩き回る中で、立ったまま向かい合う黒服の男と白衣の男。
白衣の男、code:01は、黒服、A-No.206から渡された資料に目を通している。
最期の1ページを読み終えると同時に、code:01は興奮した面持ちで顔を上げた。
「いいですねぇ、”これ”!是非ともいろいろ調べたいですねぇ!”これ”の捕獲予定は?」
「既に「組織」内の過激派や強硬派の中に、こいつを捕らえようという動きがある。…が、」
「それは素晴らしい!早速実験用の資料を作らなければ!ああ楽しみだなぁ、早く捕まらないかなぁ。」
「…お前は表向きには普通の契約者だ。よしんば捕獲に成功しても、調査に参加する権利はない。」
「……なんですかそれ、期待させておいて突き落とすんですか…。相変わらず酷い人だ…。」
うなだれるcode:01。
ふと、何かをひらめいたように顔を上げる。
「勢い余って殺しちゃったことにして、こっちに持って来ればいいじゃないですか。」
「「組織」の精鋭を差し置いて、そんなことが簡単に出来ると思うな。」
一蹴された。
再びため息をつき、うなだれる。
「上の奴らが捕獲に成功した場合、調査データは確保する。それを元に、各種プロジェクトを進行させろ。」
「……直接調査できないのは不満ですが、まぁそれで我慢しましょう。」
落胆を隠せない様子で顔を上げるcode:01。
手に持った資料に、再び目をやる。
「”七人みさき”……実に興味深いですねぇ。」
50 :
Project-ACE ◇kemono..Qk (代理):2010/06/01(火) 15:18:54.38 ID:yHeg+ksK0
「複数の”何か”を呼び出し、殺した者から都市伝説のエネルギーを吸収。加えて、ビルを容易く粉砕する能力。
擬似的な多重契約に、高効率のエネルギー回転、そして強大な破壊力…。カタログスペックならcode:06以上ですねぇ。」
「code:06は究極の”生命体”だ。その”化け物”とはベクトルが違う。」
「くっくっく…。”生き物”と”化け物”の境界なんて曖昧なモンですよ。
あんただって人の形をした人じゃない存在…いわば”化け物”じゃないですか。」
からかうように笑いながら、毒を含んだ言葉を吐きかける。
それを受けてNo.206は、ゆっくりと口を開く。
「…そうだ、我ら都市伝説は所詮”化け物”だ。人と化け物の融和などという甘い理想は、決して成らんのだ。」
「いいですねぇ。それでこそ私も、人間を捨てた甲斐があったってもんですよ。」
くっくっく、と愉しそうに笑うcode:01。
手に持った資料をひらひらと振り、No.206に背を向けながら話しかける。
「これは後々のために貰っておきますよ。そろそろProject-ACCの検体が入るんで、私はそちらの確認に行ってきます。」
code:01が部屋を後にし、残されたNo.206は足元に横たわる大きなカプセルを見下ろす。
その中に横たわる青年は、時間の流れから隔離されたように身じろぎ一つせず、静かに静かに眠っていた。
Project-ACE case03:Sample /検体候補/ END.
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 15:20:10.88 ID:yHeg+ksK0
以上で、代理投下終了ー
もうちょいたったら、代理投下中に書いたネタ投下しますねっと
52 :
淫魔は夢で舞う ◆nBXmJajMvU :2010/06/01(火) 15:27:58.26 ID:yHeg+ksK0
「大丈夫。君がしたいように生きればいい。誰かの考えに従い続ける必要なんて、ないんだよ。君の人生は、君だけのもの。君が選んでいけばいいんだ」
あなたの、あの言葉があったから
僕は、今でも在り続けている
にゃー
ばさり
暗闇の中を、美女が飛ぶ
当然、普通の人間ではない……都市伝説だ
「今夜はいいえも……ご飯いないかな〜?」
ばさり、ばさり
その美女、サキュバスは、のんびり空を飛びながら、獲物…と言うか、夜食を探す
淫魔である彼女、当然、一番のご飯は人間の精である
それ以外でも食事はとれるが、効率が悪いのだ
だから、殺さない程度に素敵な淫夢を見せつつ、美味しくご飯を頂く
微妙に人間に迷惑かけてはいるが、まぁ、加減間違えて殺さなければ大丈夫だよね!
そんな、お気軽気分でばさり、ばさり
空を飛んでいると
「……あ、あれ、いいかも」
目をつけたのは、とある廃墟
そこの窓から見えた人影を見て、サキュバスは本日の夜食を決定した
こう言う場所にもぐりこんでいるのだ
恐らく、真っ当な者ではあるまい
気配を押し殺し、家に近づき…廃墟故の、壊れた窓から、中に入り込む
……すぅ、と
その人影は、静かに寝息を立てていた
短い黒い髪に、褐色の肌、なかなかの整った顔立ちの青年だ
「それじゃあ……いただきま〜す」
ちゃんと、食前のご挨拶をして
しえ
56 :
淫魔は夢で舞う ◆nBXmJajMvU :2010/06/01(火) 16:03:27.02 ID:yHeg+ksK0
サキュバスは、青年の夢の中へともぐりこんでいった
さて
サキュバスは、夢の中で相手の理想の姿へと変身してみせる
そうする事で、より効率よく淫夢を見せて、精を奪い取るのだが
(…ん〜………あれ……?)
その青年の、夢の中に入ってはみたのだが
姿が、変わらない
……この青年の、女性の理想像、と言うものが、つかめないのだ
おかしいなぁ、と首を捻りつつ…とりあえず、人間の姿をとって、夢の中のその青年に近づく
青年は、辺りをきょろきょろと見回していた
そして、サキュバスの姿に気付く
にっこり、サキュバスは青年の警戒を解くように笑いかけて見せた
「こんにちは、お兄さん」
「え、あ……こ、こんばんは」
おたおたと、青年がサキュバスの言葉に答えてくる
随分と、気弱そうな雰囲気だ
これは、押せ押せでいってしまって大丈夫かな?
「ぁ………あ、えっと、その……」
じり、と
後ずさる青年に、笑いかける
57 :
淫魔は夢で舞う ◆nBXmJajMvU :2010/06/01(火) 16:06:01.62 ID:yHeg+ksK0
にじりにじり、少しずつ、距離を詰める
「あ、ま、待って……き、君、サキュバス、だよね?」
「あれ?……わかるの?」
ありゃ?
正体を知られている?
不思議に思ったサキュバスだが……「ま、いっか」と気楽に考えた
正体がバレているのなら、むしろ、話は早い
「わかってるなら、いいや。それじゃあ、いただきまーす」
瞬時に、サキュバスは元の姿に戻った
勢いよく、青年の体を押し倒す
「わ、わわ……っ、ま、待って、お願いだから、待って!」
「待てって言われて待つ人はそんなにいないよ〜?大丈夫、気持ちよくさせてあげるから」
「そ、そう言う問題じゃ、なくて………え、えぇと、その……………っ、」
わたわたと、圧し掛かってきたサキュバスを押しのけようとしていた青年
何か、言おうとして、うまく言葉にできずに
言葉で示すよりも
行動で示した方が、早いと感じたのだろうか
ばさり
青年の背中から……サキュバスの背中から生えているのと同じような翼が、生えた
58 :
淫魔は夢で舞う ◆nBXmJajMvU :2010/06/01(火) 16:09:00.61 ID:yHeg+ksK0
「あれ?」
青年の短い髪が、伸び始める
黒い瞳が、赤く光りだした
黒髪の間から、山羊を思わせる角が生え始める
姿を変貌させた青年
その姿は…どこか、サキュバスに似ていた
「あれ?………もしかして、お仲間?」
「う、うん……」
こくり、サキュバスの言葉に、どこか気弱に頷いた青年
そう、サキュバスと似たような、その姿
……インキュバス
サキュバスと同じ、淫魔だ
サキュバスと違い、主に女性を襲う淫魔
青年は、どうやらそのインキュバスだったらしい
「そ、その……ど、同族を襲っても、ほとんど、エネルギーにならない、よね……?」
困ったように、押し倒された体勢から、サキュバスを見あげるインキュバス
サキュバスは、インキュバスをじっと見つめて…
…がくーん、と
静かに、項垂れた
「…せっかく、美味しそうな夜食を見つけたと思ったのに…」
「あぅ……ご、御免ね…」
59 :
淫魔は夢で舞う ◆nBXmJajMvU :2010/06/01(火) 16:12:21.90 ID:yHeg+ksK0
あぅあぅと、申し訳無さそうにサキュバスに謝って来るインキュバス
…別に、謝る必要性はないと思うのだが
うっかり、同族と知らずに襲ってしまった、サキュバスが悪いのだから
とは言え、サキュバスにもあまり非はない
インキュバスという、夜が本領発揮の淫魔の癖に、ぐっすり眠っていたこのインキュバスも、悪いと言えば悪いのだ
サキュバスが、同族だとわからなかったのも、無理はない
がくくーん、と、項垂れ続けているサキュバス
インキュバスは、それを慰めようとして…
……刹那
周囲の光景が、突然変わったことに警戒し、動きを止める
「…あれ?」
周囲の光景が変わったことに、サキュバスも気付いた
先ほどまでは、どこかのホテルの一室…と言う感じに、サキュバスが「していた」はずだった
相手の夢に入り込み、淫夢を見せるサキュバス
夢を操る事ができるのだから
だが
今の、周囲の様子は……まるで、電車の車両の中のようだ
ガタン、ゴトン、と電車が走っている音も聞えてくる
「え、えっと……こ、これ、君がしたんじゃ、ないんだよね?」
「違うよー、あなたじゃないの?」
「っち、違うよ、違うよ。僕は、この夢の支配権は持っていないし…」
60 :
淫魔は夢で舞う ◆nBXmJajMvU :2010/06/01(火) 16:15:11.28 ID:yHeg+ksK0
背筋を走る、悪寒
サキュバスは周囲の光景を元に戻そうとした
……だが、できない
夢の支配権を、誰かに取られてしまったようだ
それは、つまり…他の都市伝説が、この夢の支配権を手に入れたということ
そして
電車の中という光景
ここから導き出される、この夢の支配権を手にした、都市伝説の正体は…
「次は活けづくり〜活けづくりです」
聞えてきた、どこか陽気で、しかし、酷く不気味なアナウンス
その声と共に、サキュバスとインキュバスの周囲に、ボロを纏った小人が現れた
その小人たちは、皆、手に物騒な刃物を持っていて
「…猿夢っ!」
人の夢に入り込み、人を殺す都市伝説、猿夢
契約者付きか、それとも都市伝説単体かは知らないが……この夢の支配権を奪取してきたのは、間違いなく、この猿夢のようだ
小人達は、狂気をにじませた瞳でサキュバスたちを見つめ、一斉に襲い掛かってくる
しかし、サキュバスは恐怖など抱かない
先ほどは失敗してしまったが、その気になれば、夢の支配権を奪う事ができる
そうすれば、猿夢を無力化させるくらいは………
「−−−−っ危ない!!」
しえん
62 :
淫魔は夢で舞う ◆nBXmJajMvU :2010/06/01(火) 16:18:11.15 ID:yHeg+ksK0
「え?」
が
夢の支配権を、奪うよりも、前に
インキュバスが……どん、とサキュバスの体を、迫ってくる小人達から護るように突き飛ばして
「わきゃっ!?」
べちゃっ!
突き飛ばされてしまったサキュバス
思い切り、顔を床にぶつけてしまった
「いったた…もう、何するの………って、あれ…?」
周囲の光景が、再び変わる
電車の中では、なく…廃屋の、中に
夢の中、ではない
現実世界に戻ってきている
先ほど、インキュバスはサキュバスを突き飛ばして…その体を、夢の世界から、現実世界へとはじき出したらしい
現実世界に、出れば
猿夢からは、逃げられる
猿夢は、このインキュバスの夢に入り込み、支配権をえてきたのだから
その夢の侵入者であったサキュバスは、夢から脱出さえすれば、問題なく逃げられるのだ
しかし
夢を見ている当人である、インキュバスは………
63 :
淫魔は夢で舞う ◆nBXmJajMvU :2010/06/01(火) 16:21:10.94 ID:yHeg+ksK0
「……ぅ、あ……っ」
「………!」
ぶつり
眠っているインキュバスの、露出した肌の面に…突然、切り傷が出来て、血が流れ始める
夢の世界での負傷が、現実世界に影響を及ぼしているのだ
猿夢の攻撃を、まともにくらっているのだろう
ぶつっ、ぷつっ、ぷつっ、と
次々に、肌に傷が生まれ、血が流れ始める
一つ一つの傷はさほど深くなく、致命傷には至っていないようだが…
…このまま傷つき続ければ、都市伝説と言えど、命の保証はできない
どうする?
サキュバスは考える
このインキュバスは、そもそも赤の他人だ
見捨てる事は容易い
だが…
「…流石に、目覚めが悪いよねぇ」
赤の他人、とは言え
同じ淫魔同士、見捨てるのも何か悪い気がする
「いっちょ、やりますか」
すぅ、と深呼吸して
サキュバスは、再び、目の前のインキュバスの夢へと入り込む
サキュバスは、気付かなかった
64 :
淫魔は夢で舞う ◆nBXmJajMvU :2010/06/01(火) 16:24:08.37 ID:yHeg+ksK0
夢へと再び入りこむ、その少し前から
インキュバスの体に刻まれ続ける傷が……突如、その刻みを止めた事に
再び、夢の中に入った時
まず、感じたのは、濃密な……………甘い、香りだった
血の臭いすら塗りつぶすほどの、甘い、甘い、香り
長く嗅いでいると、くらりと思考を押しつぶされそうなほどの甘い香りが、夢の中に立ち込めていた
サキュバスは、即座にその甘い香りの正体に気付く
…淫魔が使う、誘惑の香りだ
それも、この甘さはどちらかというと、サキュバスが使うそれ
男を誘惑し、性的欲求を呼び起こさせるもの
だが、この香りは…
(………強すぎる)
甘すぎる香り
香りが強めれば強いほど、それは強い誘惑の力を持つ
だが、強すぎる誘惑の力は………対象の精神を、破壊しかねない
今、この場に満ちている香りは……間違いなく、並の人間ならば一瞬で廃人にしかない程の強さを誇っていた
とにかく、インキュバスの姿を探す
彼は、すぐに見付かった
「あ……も、戻ってきちゃったの……?」
サキュバスの姿に、困ったような、おどおどとした声をあげる彼
65 :
淫魔は夢で舞う ◆nBXmJajMvU :2010/06/01(火) 16:27:28.32 ID:yHeg+ksK0
いや
今は、「彼」ではない
…「彼女」になっている
インキュバスとサキュバスは、同一の存在とも語られる
恐らく、あのインキュバスは、その説を取り込んでいる存在なのだろう
襲ってきた猿夢の小人は、どうやら男性体のようだった
相手から逃れる為に、サキュバスの姿で誘惑でもしようと思ったのか
長い髪などはそのままに、美しい女性の姿になっていた
体に刻まれてしまった切り傷は痛々しいが、むしろ、それすらも性的な欲求を呼び起こさせる材料にしかなりえない
その、インキュバス…いや、今はサキュバス姿なのだが、ややこしいのでこのまま表記する…の周囲で
小人達が、体を痙攣させて倒れている
サキュバスの予測通り、インキュバスが放っている誘惑の香りが、強すぎたのだろう
精神を破壊されてしまっているのだ
−−すぅ、と周囲の光景が歪んでいく
小人だけではなく、猿夢本体すらも、誘惑の香りで精神を破壊されたのだろう
……即ち、「死んだ」のだ
夢の支配者であった猿夢が死んだ事で、夢が終わる
次の瞬間、サキュバスは再び、現実世界に戻っていた
ぱちり
インキュバスも…現実世界では、男性体のままで、目を覚ます
「気弱そうに見えるのに、やる事結構えぐいね」
「あ、ぅ……こ、ここまで、するつもりは、なかったんだけど……」
起き上がったインキュバスにサキュバスが告げると、インキュバスはどこか、悲しそうな表情を浮かべた
体中の傷が痛むのだろう、少し顔を顰めながら、続ける
花子さんの人のパソコンって電源切ったらID変わらなかったっけ
67 :
淫魔は夢で舞う ◆nBXmJajMvU :2010/06/01(火) 17:01:01.63 ID:yHeg+ksK0
「…ぼ、僕は……サキュバスの姿を取った時、あの香りを制御できないから…」
「……制御できない?」
「うん」
「あの姿だと、常に垂れ流し?」
「……う、うん」
他者の精神(男性限定)を易々と破壊する香りを常に垂れ流し
……何と言うはた迷惑
何と言う、男性相手限定リーサルウェポン
と、言うか、自分の誘惑の香りを制御できない淫魔など、聞いた事もない
……ある意味で、落ち零れだ
あれでは、相手の精を奪い取るどころか、その前に相手を廃人にして殺してしまう
それでは、淫魔としての役目など果たせない
どうやら、インキュバスの姿では、そう言う事がないようだが…
……だと、しても、淫魔として、非常に大きすぎる問題を抱えている
同族として、ほんのちょっぴり、同情しないでもない
「えっと…君は、怪我、してない…?」
「え?…してないよ。襲われる前に、あなたに夢からはじき出されたんだし」
「そっか…………良かった」
己の怪我など、気にした様子もなく
サキュバスが無傷である事実に、ほっとしているインキュバス
……淫魔らしくない
目の前の同族を相手に、サキュバスはそんな印象を抱いたのだった
to be … ?
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 17:03:15.72 ID:yHeg+ksK0
何度もサルさんに巻き込まれつつ、投下終了ー
アクマの人に焼き土下座orz
サキュバスに、インキュバスを遭遇させてみました
この後どうするかとかさっぱり決まっていない件
そして、サキュバスのキャラ間違っていたらごめんなさいorz
>>66 その通りだけど、サルさんくらったからって電源入れなおすってのも悩むんだ
そして、夕食の仕込みしてくる
夜にスレが残っていてれれば幸せだ
代理投下乙ほ
ほ
投下乙ですー!
これはいい受けインキュバス…いやヘタレ攻めインキュバス…サキュバス…?ふたなり…?
ええい、複雑すぎて理解の範疇を超えているwwwwwwwww
ん
ほし
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 19:18:34.40 ID:Rr13QoRU0
ごちそうさまでしたー
>>71 一往メンタル面男なので、インキュバスですよwwwwwww
受けなのかへたれ攻めなのかは見ている人の判断に任せる
75 :
シャドーマン † 契約 (代理):2010/06/01(火) 19:28:31.21 ID:Rr13QoRU0
俺はレツヤ。 小学2年生。
『邪を裂く』って書いて「裂邪」だ。
・・・読めないよな? 学校でもよく言われる。
親父が警察官だから名づけたんだろうけど・・・まぁいいや。
俺は虫とかが好きで、よく山に行ったりして遊ぶ。
・・・一人で。 友達いないし。
夏休みが終わった頃だけど、セミもまだ鳴いてたし、結構暑かった。
でも・・・セミなんかより凄いモノを見つけたんだ・・・
山の奥の方だった。 デッカイ木の根元に、黒い・・・なんていうんだろうな・・・
マントじゃなくて・・・ローブかな? それを被った人が倒れてた。
顔は暗くて見えなかった、というより、なかったのかも。
アシダカグモを素手でつかむぐらい肝の据わっている俺は、
そのローブを着た「何か」に話しかけた。
(裂邪>・・・あんた誰? 人間? 怪我でもしたの?
(「何か」>・・・質問ノ多イ子供ダナ・・・
低く、重い声だった。
76 :
シャドーマン † 契約 (代理):2010/06/01(火) 19:31:50.06 ID:Rr13QoRU0
(「何か」>人間達ハ我々ヲ『シャドーマン』ト呼ブ。
(裂邪>『シャドーマン』・・・あ、ネットで見た事あるよ。
実体はないのに影はある、っていうヤツでしょ?・・・ってことは、あんた都市伝説!?
(シャドーマン>・・・展開ガ早イナ・・・
オ前ノ言ウトオリ、我々ハ都市伝説・・・
(裂邪>でも都市伝説なのにおとなしいね。 口裂け女とかは襲ってくるって聞いたけど。
(シャドーマン>我々ニ人ヲ襲ウ意思ハナイ・・・
特ニ今ノ私デハ人ヲ襲ウコトスラデキマイ・・・
(裂邪>そうだ、どうかしたの?
(シャドーマン>・・・我々ハ影ノ中デシカ行動デキナイガ、私ハ誤ッテ、コノ木陰ニ出テシマッタノダ。
木漏レ日ニ当タッタ今ノ私デハ、喋ルノガヤットナノダ・・・
(裂邪>どうにかなんないのか?
(シャドーマン>恐ラクナ。 コノママ消エルマデ待ツトシヨウ・・・
何故だろうか、俺はこいつが放っておけなかった。
暫く考えてたら、色んなことが頭に思い浮かんだ。
(裂邪>そうだ! シャドーマン、今すぐ俺と契約できない?
(シャドーマン>契約?・・・アァ、契約カ。 デキナイ事ハナイガ・・・
(裂邪>んじゃやろうよ!
(シャドーマン>・・・待テ少年。 今ノ私ト契約シテ何ニナル?
ソレニ、契約スレバドウナルノカ知ッテイルノカ?
(裂邪>知ってるよ。 他の都市伝説と戦うんだろ?
いいよ。 俺、喧嘩で負けたことないし。
あと、『やって無駄なことはない』って親父が言ってた。
契約したら、きっと元気になるって!
(シャドーマン>・・・フッ、シタタカナ少年ダナ・・・
良カロウ、私ノ命・・・オ前ニ預ケヨウ!
77 :
シャドーマン † 契約 (代理):2010/06/01(火) 19:36:11.53 ID:Rr13QoRU0
(裂邪>やったー! で、何すればいいの?
(シャドーマン>何モシナクテ良イ。
口頭デモ契約ハ完了スル筈―――ッ!?
直後、瀕死だったはずのシャドーマンがスクッと立ち上がる。
(シャドーマン>・・・?
(裂邪>お〜! 元気になったじゃん! あれ? 光に当たって・・・
(シャドーマン>・・・ドウヤラ平気ニナッタ様ダ。
契約後ノメリット、ト言ッタ所カ・・・
(裂邪>マジ? よかったな! これでいつでも俺と散歩できるぜ!
(シャドーマン>・・・オ前ニハ命ヲ助ケラレタコトニナルナ・・・
アリガトウ、少年。
(裂邪>・・・なんか照れるなw いいよ、別に。
(シャドーマン>ダガ、今日カラオ前ハ都市伝説ノ戦イニ参加シタコトニナル。
モシカスルト明日、オ前ハ死ヌカモ知レナイトイウ危険ガ常ニ付キ纏ウノダ。
ソレヲ忘レルナ。
(裂邪>うん、わかってる。 心配すんなってw
(シャドーマン>我々ヲ呼ビタケレバイツデモ呼ベ。
我々ハ、オ前ノ影サエアレバ現レル・・・・・・
そういって、シャドーマンは俺の影の中に消えるように入っていった。
(裂邪>・・・行っちゃったか。
78 :
シャドーマン † 契約 (代理):2010/06/01(火) 19:39:33.15 ID:Rr13QoRU0
(裂邪>・・・ウヒヒヒ・・・こんなに早く手に入れられるなんてね・・・
世界を支配する為の力・・・!
今日から邪魔な都市伝説共を全部ぶっ飛ばして、
この世界を征服して、王になってみせる!
見てろよ・・・ヒヒヒ・・・ヒハハハハハハハ!
(シャドーマン>(・・・ウワァ・・・本当ニ子供カ?
トンデモナイ奴ト契約シテシマッタ・・・
マァ、今更悔クヤンデモ仕方ナイナ。正直ドウデモ良イ・・・)
(裂邪>あ、シャドーマン?
(シャドーマン>ドキッ! ア、アァ、呼ンダカ?(聞コエタ?)
(裂邪>『我々』って言ってたけど、シャドーマンって一人じゃないの?
(シャドーマン>我々ハ基本的ニ影ノ中デハ集合体トシテ存在シテイル。
今ノ私ハソノ一部ニ過ギナイ。
私ガ死ネバ、私以外ノ者達モ共ニ消エル・・・
(裂邪>集合体・・・? どんな感じなの?
(シャドーマン>ドンナ、ト・・・ソウダナ・・・「クダクラゲ」ヲ知ッテイルカ?
(裂邪>クダクラゲ? 聞いたことないな〜・・・興味深い。
家帰って検索しよっと♪
(シャドーマン>エ・・・ア・・・ソ、ソウカ・・・
クダクラゲ:集合体を形成し、個々体の役割が分担されているクラゲの一種。
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 19:57:22.80 ID:yBYlKIi+0
乙です。
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 19:59:07.41 ID:Rr13QoRU0
にゃあ
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 20:13:42.24 ID:y45PDBSrP
ワン
諸々乙です!
このインキュバス、きっと実は本気出すといろいろと口に出せない意味でスゴイにちげえねえ!
裂邪……あれほどDQNネームには気をつけろと(ry
きっと父親も凄いに違いない!
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 20:37:19.79 ID:Rr13QoRU0
>>82 >このインキュバス、きっと実は本気出すといろいろと口に出せない意味でスゴイにちげえねえ!
一年に数回しか淫魔っぽい食事できてなくて、いつもエネルギーギリギリだけどね!!
>裂邪……あれほどDQNネームには気をつけろと(ry
天使(エンジェル)よりはマシだと思うぜ!!
日々生きていける糧があればいいという平和共存的な考え方ですね、わかります
そしてちまちま投下
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 20:49:02.34 ID:Rr13QoRU0
wktkと支援を下賜する!!
●
日景のでっかいお屋敷からの帰り、
≪はないちもんめ≫の嬢ちゃん達と一緒になってチャラい兄ちゃんをからかってたら黒服さんとTさんに邪魔されて隔離されちまった。
もうチャラい兄ちゃん達は随分先の方を歩いている。
まったく、俺がせっかく今回いろいろと気疲れしただろうチャラい兄ちゃんを構ってやることで疲れを癒してやろうと思ってたのに……。
――まあそれはいいとして、
「Tさん、黒服さんとなんか難しい話でもしてた?」
訊ねるとTさんは「わかるか?」と言いたげな顔をして俺を見た。
そりゃわかる。こっちが楽しくしてんのにこう、暗い顔で黙々と相談してんだもんな。
言うとTさんが苦笑する。
「事後処理等、色々あるらしいからな。
黒服さんはまた働き詰めになるだろうし、今回は≪日焼けマシーンで人間ステーキ≫の青年や日影の家が深く関わっている。気苦労が顔に出たんだろう」
「ああ、そいつはまた……」
≪組織≫には≪小瓶の魔人≫とか伏せて説明しなきゃならねぇだろうし、秀雄のおっちゃんの弁護とかも大変だろうな。
納得しているとTさんがしかし、と少し晴れやかな声で言った。
「これで今回の件は片がついたと見ていいだろうな」
「だな、事後処理なんつー言葉が出てくるくらいだしな」
そう俺は答えて、ついでに気になってた事もTさんに訊いてみた。
「そういや今回の件に絡んで悪さしてた奴らってさ、どなったかTさん分かるか?」
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 20:53:59.98 ID:Rr13QoRU0
Dはもう、いつものことですからwww支援
ちなみに
>日々生きていける糧があればいいという平和共存的な考え方ですね、わかります
それもあるけど、気弱すぎてほとんど女性を襲えないってのもあるけどな!!
Tさんはふむと少し考えるそぶりを見せて、やがて頷いた。
「今度かいつまんで話そう、――とは言っても俺も全員を把握しているわけではないがな……
俺達が話に聞いたり姿を実際に見た中では……あのゲームから生まれたという都市伝説、あれについて情報は皆無だ」
「……それなら俺が知っています」
「え?」
声に振り返る。≪花子さん≫の契約者、どうも日景の家とも関係があるお家柄らしい龍一兄ちゃんが振り返った俺に会釈をして答える。
「マジ?」
「はい」
兄ちゃんは目が見えないくらいに長い前髪を揺らしながら頷いた。
兄ちゃんは竜、≪カイザー≫とかいう都市伝説と契約者は両方とも止められたと俺たちに話して、
「海造――契約者も、都市伝説の方も無事だ。やってしまったことは反省しているし、けじめもつけさせます」
「随分と親しげだな」
知り合いか? とTさんが問うと少し俺たちを窺うような間があって、
「一応、身内のようなものだから……」
「そうか」
兄ちゃんの答えにそうとだけ言ってTさんはそれ以上を聞かなかった。
兄ちゃんならしっかりやると思ったのか、何か男同士で分かり合うものがあったのかはよくわからないけど、
去年中央高校で見た兄ちゃんの様子ならまあたぶん大丈夫だろうと俺も思う。
「――ああいう突っ込み役は割と面倒見が良いもんだ」
「え?」
「いや、なんでもねえよ?」
ついつい漏れ出た心の声に見事に反応した兄ちゃんに俺はその思いをより強くする。
しばらく腑に落ちない顔をしていた兄ちゃんはふとTさんに言葉をかける。
「日景の家の事情を知る者として、マドカさんを連れて来てくれたこと、今一度礼を言います。
――当主は大きい手術とかした後で気が弱ってたから、話が出来るうちに見つけ出そうと探偵に頼んだりもしたんですがなかなか身柄を保護することができなくて……」
俺は兄ちゃんに「そりゃしょうがねぇ」と笑い返した。
「マドカ姐ちゃん根無し草だし、俺達も偶然マドカ姐ちゃんに会っただけだしな……ってか気が弱って……た?」
仲直りした瞬間に即行喧嘩をおっぱじめてたあのおっちゃん達が?
「みー?」
「二人ともとっても元気だったの」
兄ちゃんのそばをついて歩いていた≪花子さん≫の頭上でリカちゃんが首を傾げる。≪花子さん≫も首を傾げて――あ、リカちゃん落ちた。
「病は気からというものかな……マドカさんと再開して気力が戻ったみたいだ」
口の端を歪めて兄ちゃんが言う。長い髪の奥の目は困ったようにも、呆れているようにも見える。
俺はそれに苦笑で応える。
「んー、今度は刃傷沙汰にならなきゃいいけどな」
でも、
「チャラい兄ちゃんもマドカ姐ちゃんも仲直りしたみたいでよかったな」
「それぞれの親子仲も収まる所に収まったようでなによりだ」
俺とTさんの言葉に兄ちゃんはああ、と頷く。
「ほんとうに良かった」
「……それにしても」
俺はおもむろにカメラを取り出した。
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 20:58:49.58 ID:Rr13QoRU0
突っ込み役は面倒見がいい法則支援
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 21:00:52.39 ID:Rr13QoRU0
リカちゃん落ちたwww支援
「流石はチャラい兄ちゃんの大元の家……!」
重々しく言ってカメラを操作する。液晶には≪花子さん≫と一緒に武というらしい名前の男の娘が映っている。
――そう、男の娘だ。
一見しただけでは男と分からないその女装もなかなか素晴らしいものがあるなと非常に感心せずにはいられない。
しかもチャラい兄ちゃんのように撮影を嫌がらない辺り優秀な被写体と言わざるを得ない……っ!
「……いつの間に」
呆れたように言ったのは龍一兄ちゃんかTさんか。
しかし俺はそんなことは気にしない。
遠い目で暮れなずむ空を見つめて呟く。
「チャラい兄ちゃんと言い、やっぱりそういう趣味の家系なの……かな?」
「あれは護法の類だろう」
「あれは魔除けの一種だと思う」
格式と知識に則ったツッコミが俺を射抜いた。
「リカちゃーん、花子さーん、二人がいじめるー」
傷心したので俺は癒しを求めて花子さんとその頭上によじ登ったリカちゃんを抱きしめる。
きゃっきゃと喜ぶちっこいの二人の声に混じってTさんのしょうがないとでも言いたげな吐息が聞こえた。
「あまり≪花子さん≫に迷惑をかけないように」
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 21:03:37.88 ID:Rr13QoRU0
ちみっこを味方につけるとはやるなwwwww支援
あ、日景家漁れば、薫の幼少期の女装写真もでると思うよ
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 21:03:55.45 ID:hfEirTu60
え?ここは学園都市じゃない、、、?
とミサカはミサカは困惑してみたり!
>:.´:.ヽ:. <_ノ) {つ{ ヽ
/:. :. :. :. :. :. :ヽ:. :\ 〉 >、_:}
ノ:. :./:./:. :./:. :. };}:. :. ヘ\ _ / ,イ l
/イ:. :/:./:. :. ./:. :. ノ:.!'ヘ;. :ハ`ヽ >':/ / l
///:. :. :./:. 从レイ:./!:ノ ハ:.}ハ / / / }
//:. :. :.从ハハ! ナメ ∠´ハ}/ / / ´ i
/7,ィ:. レナv` `,> 、⊂つ´ / / / l
ノハ:. :\ ; ⊂つ、_, ィ ノ:ハ´ /: : ," ;' /
´ ∧:ハ:.`:/ 、 ( //、:.ノ _. '´: : : / }
〈 /ハ从く ` ー`彡ハノ >´: : : : " ;' }
〉: : ,. `\′ //: : : : : : : : ;' }
/ `ヽ、 `yく: : : : : : : : : " ;' l
! / `〉::: : : : . : ,:′ :}
!: : : ヾ : :/ / !:::::: : : : : : / : : : i
∧:::::: : : :ノ / !::::::::: : : : : : : : : ::: : l
〈 ` ー ´ / l:::::::::::: : : : : : : : : : :::::: : : : : i
「分かってるって」
言いながら名残惜しく≪花子さん≫から離れてリカちゃんを自分の頭上にセットする。
そろそろ帰り道が分岐する。ついでだしこのまま晩の買い物も済ませてしまおうと思いながら花子さん達に別れの言葉をかける。
「じゃあまたなんか縁があったら会おうな、兄ちゃん、≪花子さん≫」
「荒事でなければ歓迎します」
「まったくだな」
野郎二人の苦笑をもって道を別れる。
ちっこいの二人のいつまでも続くばいばーいをBGMに俺はTさんに片手を伸ばし、
「とりあえずTさん、お疲れさん!」
「お疲れ様、舞」
笑みをと共に柔らかく手が握り返された。
大きく、優しく包み込んでくれる手の感触に自然に顔がほころぶ。
手を繋ぐだけでこんなに幸せな気持ちにしてくれる寺生まれはやっぱりすげえと思いながら笑みのまま言う。
「帰ろうぜ! 腹が減った!」
陽が落ちて行く、最近明るい時間が長くなったとはいえ日が落ち切ってしまうと流石に少し肌寒い、
俺はそんな事を自分への言い訳にしながらTさんに身を寄せた。
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 21:11:46.19 ID:Rr13QoRU0
っく、い、イチャつきやがってぇ支援
花子さんと契約者をお借りしましたー
よく考えたらしっかり彼等と絡んだのは今回が初という事実!
エピローグにてこちらの無理を聞いて頂いて感謝の言葉もありません
そしてうちの子のコーク・ロア編はこれにて幕ですな
龍一と花子さんについて何か問題があったら言ってください。
蛇足:
獄門寺の姓が作中で使用されていないのでうちの子二人は龍一の家の事情は知りません(とりあえず名家の一角なんだな程度の印象)
姓を言っても「ああなるほど」と思うのはTさんだけですが。
舞「一千万……」
T「俺達は知らない設定だろう。それに金に困っては無いだろうに」
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 21:15:50.39 ID:Rr13QoRU0
乙でしたー!!
龍一達、特に問題ないっすよー!
気になったのは「日景」が一箇所「日影」になっていたと言う細かい部分だけさ
そう言えば、苗字で呼んでなかったしなwwww
武は龍一の事「わかがしら」って呼んでるから、そっちを聞いていたら「?」になったかもしれんがww
了解〜修正してきますわよー
100 :
シャドーマン † 初陣 (代理):2010/06/01(火) 21:46:52.98 ID:Rr13QoRU0
真夜中の公園にて―――
ナトリウムイエローに照らされた寂しい公園。
当然子供の影など一つもないが、別な影が一つあった。
ニット帽にサングラス、マスク・・・風貌からして男性らしい。
(男>さ〜て、今日はどうしようk―――
(少年>おっじさん♪
(男>ぅおわ!?
男を後ろから驚かすように突き飛ばす子供。 ・・・裂邪である。
(裂邪>こんな時間に公園で何してるの?
(男>(な、なんだ、ガキか・・・よし、こいつにしよう)
ぼ、坊やこそ、こんな時間に何してるんだ?
もう遅いから家に帰りなさい。危ないよ。
(裂邪>おじさんこそ危ないよ。
この辺りはね、夜中に変な人が出るんだって。
(男>へぇ〜、そうなのか・・・ところで・・・
その人の顔って、もしかしてこんなかお―――
(裂邪>そもそも「顔」なんてねぇだろ!
いきなり裂邪はサングラスをかけた男の眉間めがけて渾身のパンチをあびせた。
真夜中の公園で子供に顔面を殴られるとは思っていなかった男は流石に混乱し、
思わずサングラスとマスクを取ってしまった。
>>93 魔除け云々抜きにして本当にそういう趣味の家系なんじゃ……
102 :
シャドーマン † 初陣 (代理):2010/06/01(火) 21:48:31.53 ID:Rr13QoRU0
裂邪の言うとおり、その男には目、鼻、口・・・「顔」を構成する要素が全くなかった。
「のっぺらぼう」である。
のっぺらぼうの目があったであろう位置には先ほどのサングラスの破片が刺さり、赤い涙のように血が頬を伝っていた。
(のっぺらぼう>ク・・・クソッ・・・ガキが!
(裂邪>ヒヒヒ・・・まさか平成にもなってのっぺらぼうに会えるなんて思ってなかったよ・・・
でもお前みたいな古い妖怪でも一応都市伝説らしいし・・・悪いけど、消えてもらうよ?
(のっぺらぼう>ほぅ・・・ガキの分際で・・・やれるもんならやってみろ!
のっぺらぼうは拳を振りかぶり、裂邪に向けて迫ってくる。
(裂邪>・・・シャドーマン、来い。
ナトリウムランプの光によってできた、裂邪の前方に伸びる長い影から、
黒いローブの「人の形をした何か」が1体現れ、のっぺらぼうの行く手を遮る。
(のっぺらぼう>ぬお!? 影から・・・!? 契約者か!
(シャドーマン>「ノッペラボウ」・・・絶滅シテナカッタノカ・・・
(裂邪>子供に殴られて血ィ流すくらいだから、大した事はなさそうだ。早いとこ片付けよ!
(シャドーマン>了解シタ。
(のっぺらぼう>生意気な!
のっぺらぼうは尚も襲い掛かろうとするが、裂邪は逆方向に走った。
(のっぺらぼう>何だ?今更逃げようってか!
(裂邪>(んなわけねぇだろバーカ♪)
103 :
シャドーマン † 初陣 (代理):2010/06/01(火) 21:53:31.59 ID:Rr13QoRU0
裂邪はこの公園で一番大きな木の後ろで止まった。のっぺらぼうもすぐに追いついたが、自身が罠にはまった事には気づいていない。
(のっぺらぼう>覚悟しろよガキィ・・・泣いても許してやんねぇからな!
(裂邪>泣くのはそっちだよ。 シャドーマン? あとヨロシク♪
その瞬間、のっぺらぼうの足を無数の手が掴んだ。
(のっぺらぼう>な・・・何だこれは!?
(裂邪>シャドーマンはこの世と別次元を行き来する存在・・・その扉は“影”。あと、シャドーマンは大きな影があると、客人を自分達の世界に招き入れることができるみたいだよ。そのあとはどうなるか知らないけどね。
(のっぺらぼう>なんだと!?
そう話してる間にのっぺらぼうの体は既に腰までが影の中に沈んでいる。腹、胸、そして右腕・・・とうとう首まで沈んでいった。
(のっぺらぼう>ひぃ・・・た・・・助けて・・・くれ!
(裂邪>あれれ〜? 「泣いても許さない」って言ったの誰だっけ? なのに自分だけ命乞いするなんて大人気無いよ?
(のっぺらぼう>チク・・・ショ・・・呪ってや・・・
(裂邪>しぶといねぇ。 さっさと沈め♪
裂邪がのっぺらぼうの頭を踏みつける。 「あっ」という間にのっぺらぼうは“影”に沈んでいった。彼の姿は、もう、どこにも無い・・・
(裂邪>ウヒヒヒヒ・・・記念すべき一体目がのっぺらぼうっていうのはちょっと惜しいけど、なんかクセになりそうで怖いな。 どうにかなっちゃいそう♪
(シャドーマン>・・・・・・
(裂邪>ん? どうかした?
(シャドーマン>オ前・・・変ワッテルナ・・・ダガ気ニ入ッタ。 コウナレバ最後マデツキ合ワセテモラオウ・・・
(裂邪>そうか、よかった。
一仕事を終え、裂邪は家路を急いだ―――
(裂邪>―――あ、シャドーマン、ちょっといい?
(シャドーマン>ン?
支援?
そして俺は落ちる……一週間くらいPC使えないかもしれない
105 :
シャドーマン † 初陣 (代理):2010/06/01(火) 22:07:00.34 ID:Rr13QoRU0
翌日の放課後―――
裂邪はインターネットの動画サイトを見ていた。
(裂邪>ウヒヒヒ・・・見てみなよ、昨日のことなのにもう投稿されてる。「公園の監視カメラに写ったシャドーマン」・・・
これがあればずっと有名だし、強くなるんでしょ? その力でこの世界を・・・ヒハハハハハ! これで世界は俺のもn―――
(少年>ただいまー!
(裂邪>ウヒッ!?
裂邪は驚いた拍子にネットを閉じた。 彼の弟が帰ってきたようだ。
(弟>あ、お兄ちゃん、いたの?
(裂邪>おいおい、兄に向かって「いたの?」はねぇだろ・・・ところで。いつもより帰るの遅くない? もう5時前だぞ?
(弟>あ、えと・・・いろいろあってね・・・
(裂邪>・・・ま た 彼 女 か?
(弟>いないよそんなの!
(裂邪>じゃあそのポケットの膨らみは何だ?
(弟>あぁ、これはベッコウ飴・・・
(裂邪>『彼女にもらった』、だろ? それにベッコウ飴ってことは?「口裂け女に出会ったらこれを投げつけて逃げてね☆」なんて言われたんだろ?
お熱いお熱い・・・青春だねぇ、秋なのに。
(弟>うぅ〜! あってるけど違う!・・・ところでさっき「世界は俺の」・・・とかいってなかった?
(裂邪>あぁ、世界征服の計画を練ってたところだ。
(弟>まだそんなこと考えてたの!? 世界征服なんていけないって毎日言ってるでしょ!
(裂邪>やめろといわれて「はいそうですね」で通る世界だと思ってたならお前はまだガキだ!
(弟>いい!? お兄ちゃんが大人になるまでに、ボクが絶対にいい人にしてみせるからね!
(裂邪>やれるもんならやってみろ! 俺は一生悪を貫く!
(弟>絶対にしてみせるからね!・・・はぁ、もう疲れた。 『555』の映画見よっと♪
(裂邪>へっ、やっぱまだガキだな・・・(待てよ?『555』の映画はかの有名なオーガ様の活躍する・・・)待て! 俺も見る!
“初陣”...END
投下&代理乙でしたー
この弟君は正義の味方のあの子か…
なんという両極端な兄弟wwwwwww
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 22:10:55.60 ID:Rr13QoRU0
>>104 おやすみだぜー
一週間か…リアルをお大事にだぜ
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 22:32:22.49 ID:Rr13QoRU0
みー
遅くなってすみません、代理投稿ありがとうございました〜
>>106 両極端な性格は我々兄弟のそれをそのまま反映させました
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 22:51:54.66 ID:Rr13QoRU0
規制されてないなら、直接本スレに投下しても問題ないんだぜー!
>>110 そうなんですか?
今度からそうした方がいいですかね?
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 23:09:29.48 ID:Rr13QoRU0
>>111 うん、本スレに投下しちゃって何ら問題ないんだぜ!
>>112 了解しました〜 次回からそうします
ではお先に失礼します
・・・眠れるかなorz 暑いな今夜は・・・
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 23:31:47.87 ID:Rr13QoRU0
>>113 本スレある時は本スレにカモーン、ですぜ
落ちちゃってるときは代理投下スレで問題ないが
おやすみなさーい
寝苦しい暑い夜は、怖い話を想像して涼み…・・・って、余計眠れんか
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 23:35:49.44 ID:Rr13QoRU0
そして力尽きるぜおやすみー
俺…明日もスレが残っていたら、花見ネタに向けてちまちまネタ描いていくんだ…
日付変更前に寝るほ
ほ