「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」

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1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
ここは
都市伝説と契約して他の都市伝説と戦ってみたり
そんな事は気にせず都市伝説とまったりしたりきゃっうふふしたり
まぁそんな感じで色々やってるSSを書いてみたり妄想してみたりアイディア出してみたりするスレです


「まとめwiki」 ttp://www29.atwiki.jp/legends/


まとめ(途中まで) ttp://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/urban_folklore_contractor.html


避難所は↓だよ!規制中やスレが落ちている間はこっちでゆっくりしていようね!
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/13199/
2以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/26(月) 13:43:35.13 ID:72l4IhLD0
よくある質問



 このスレってジャンプの某読みきりと関係あるの?



始めにこのスレを立てた>>1が何を考えて、スレを立てたのか
今となっては、その真相はわからない
ただ、ここに集まった者たちは、各自思い思いに妄想をぶちまけていき、今のこのスレの形となっていった


まぁ、結果としては関係あるかどうかとか、どうでもよくね?
ぶっちゃけ、ほぼ関係ない内容だし
3二頭で一つの   ◇nBXmJajMvU (代理):2010/04/26(月) 13:44:19.76 ID:72l4IhLD0


 生きたかった

 望まずして得た生であったとしても

 生きたかった

 他の生物達と共に、ただ、自由に生きたかった

 本来の姿では、それは叶わぬと知って
 自分達は、力を捨てた
 記憶を捨てた
 そうすることで、姿かたちの似た生物達に混じって、生きる事ができたから

 もう
 もう二度と、この力を振るいたくはなかった
 もう、二度と、あの記憶を思い出したくはなかった

 だが
 この恩義を返すため


 今一度、この力を振るおう


4二頭で一つの   ◇nBXmJajMvU (代理):2010/04/26(月) 13:45:48.59 ID:72l4IhLD0
 雄叫びが響き渡る
 ビリビリと空気を振動させるかのようなその雄叫びを、山田は半ば他人事のように聞いていた
 目の前で、百獣の王が二頭、睨みあい、激しく威嚇しあっている
 その片割れは……目の前で巨大化した、猫
 否、子ライオンだった存在だ

 ……あぁ、やっぱり猫じゃなかったんだ
 ライオンの子供だったんだ
 うん、でもまぁ、あんだけ小さけりゃ猫って呼んでもいいよな、うん
 だとしても、あんなに大きくなるとか反則だろう
 普通のライオンより明らかにデカいって、あれ
 つーか、俺の周りにいるのは人間ペット問わず都市伝説関係者ですかそうですか

 山田の思考が、全力で現実逃避の方向に向かう
 それほどまでに、子ライオンの正体が、都市伝説…それも、どう見てもダークネスと同じ姿
 …つまり、人食いの都市伝説であったことに、衝撃を受けているのだ

「山田さん、山田さんっ!?」
『オラ、イツマデ呆ケテンダ、へたれ。正気ニ戻レヤこら』

 がくがくがく
 ぺちぺちぺち

 未来に体を揺さぶられ、頭の上に実体化したデビ田にぺちぺち尻尾の先で叩かれて、正気に戻る山田
 ……前方では、子ライオンだった存在が、飛び掛ってくるダークネス相手に応戦している
 …わぁお、ダークネスの振るった前足が、柱に直撃して粉砕した
 ライオンの腕力超えてる、確実に
 そりゃあ、自分の腕も吹き飛ばされる訳だ、もう再生したけど
 再び彼方へと旅立ちそうになった意識を、山田は寸でのところで抑えた
 現実逃避をしている場合ではない
5二頭で一つの   ◇nBXmJajMvU (代理):2010/04/26(月) 13:47:42.75 ID:72l4IhLD0
「あの子……ゴースト、だったんですね」

 ぽつり、呟く未来
 子ライオン…ゴーストが、本来の姿に戻った事で、今まで読み取る事ができなかった情報が、はっきりと読み取れるようになったのだ
 そして……未来には、わかる
 ゴーストと、ダークネス
 本来ならば、互角のはずの実力が……今は、ダークネスの方が、わずかに勝っている、事実
 悪魔の囁きがとり憑いている事によって、ダークネスの力が増している
 このままでは…

『……オイ、へたれ。コノママジャ、ごーすと……オ前ガ猫ッテ呼ンデタ奴ガ、死ヌゾ』

 山田の頭に上にいる、デビ田が
 その、残酷な現実を口にする

「っやっぱり、悪魔の囁きが憑いている方が、強いからか!?」
『マァ、ソレモアルケドヨォ…』

 ゴーストは、明らかに己の後方の、山田や未来を意識して戦っている
 …ダークネスがそちらに向かわないように、引き付けながら戦っているのだ
 それもまた、ゴーストを不利な状況に追い込んでしまっている

『ソレダケジャネェ、アノ勝負、ドチラガ勝ッテモ……ドッチモ、死ヌゾ』
「−−−−−−っ!!??」


 どちらが勝っても
 どちらも、死ぬ?

6二頭で一つの   ◇nBXmJajMvU (代理):2010/04/26(月) 13:49:15.53 ID:72l4IhLD0
 ゴーストが
 子ライオンが
 死ぬ?


「ま、待てよ、それはどう言う事だっ!?」
「…もしかして…あの子達が、ツァボの人食いだから……ゴースト&ダークネスという、都市伝説だから、ですか?」

 山田の疑問の声に、未来がぽつり、続いた

 ツァボの人食い
 ゴースト&ダークネス
 それが、あの子ライオンの、正体

『ソウサ。アイツラハ二頭デ一ツノ存在ダ……ここまで言えば、わかるな?』
「……な」


 二頭で一つの都市伝説
 ならば
 その片割れが死ねば?


『ごーすとガ死ネバだーくねすガ死ヌ。だーくねすガ死ネバごーすとガ死ヌ。アイツラハソウ言ウ存在ナンダヨ』
「ゴーストちゃんは、ダークネスを殺さないように戦っているみたいですけど……でも、ダークネスの方は…」

 …山田でも、わかる
 ダークネスの全身から湧き上がっている、その殺意が
 ダークネスは、完全にゴーストを殺すつもりで戦っている
 事実、ゴーストの体には、何時の間にかいくつかの傷が出来ていた
7二頭で一つの   ◇nBXmJajMvU (代理):2010/04/26(月) 13:51:02.97 ID:72l4IhLD0
 ゴーストは唸り声を上げながらダークネスを睨みつけながらも、しかし、積極的に攻撃しようとはしていない

「…っそれじゃあ、加勢しようにも、どうすれば…!」

 せめて、未来だけでも逃がすべきか?
 そう考える山田


 だが
 ダークネスは、そんな思考を走らせる暇すら、与えてくれようとしない


 雄叫びを上げるダークネス
 その胸元に……ぽつん、と黒い染みが現れた
 それは、ダークネスの全身を、覆いだす

「…っんな、なんだあれ!?」
「あ、悪魔の囁きが、実体化しようとしてるんじゃ…?」
『アァ、ソウダナ………コリャア、やばいゾ』

 ダークネスの全身を、黒いそれが覆っていく
 悪魔の囁きに完全に体を覆われたダークネスの姿は……まるで、恐ろしい化け物のように変貌していた

 短い鬣が、長い鬣に……否、鬣のように、無数の蛇が頭から生えている
 尻尾も、まるで長い蛇のようになっていて、そこについている蛇の顔が、ケタケタと笑った

『−−−アァ、ソウダ、殺セ!!本能ノママニ暴レマワレ!!!』

 −−−−−ぉおおおおおおおおおおん!!!
8二頭で一つの   ◇nBXmJajMvU (代理):2010/04/26(月) 13:52:38.86 ID:72l4IhLD0

 己に憑いた悪魔の囁きの言葉に答えるように、ダークネスが咆えた
 



 …………片割れよ
 そんなものに、お前は惑わされたのか
 それが、お前を狂わせたのか


 ならば
 我輩が、それを払おう
 お前を解放してやろう


 それによって、我輩がどうなろうが、知った事ではない
 片割れ、お前を救おう
 それが、全てを忘れていた我輩を支えてくれた者達の為にも、なるのだから



to be … ?


9『陰謀論』は語る ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/04/26(月) 13:54:29.63 ID:72l4IhLD0
虚空に無数のモニターが浮かび、数十人のオペレーターが様々な情報を処理している『アメリカ政府の陰謀論』の本拠施設
ステレオタイプなアメリカ人男性の姿をした『陰謀論』は、その全てを見渡す椅子に座り様々な思索を巡らせていた
「ジョン・スミス様」
英語圏における非常にポピュラーな名前であり、偽名の代名詞とも言える呼称で呼ばれ、『陰謀論』が意識をそちらに向ける
「日本の『組織』が、当組織の構成員により殺害された事に関して抗議の声明文を送ってきましたが。報告によるとCチームが活動中の模様です」
「被害は?」
「現状では末端の構成員が一名です」
「なるほど」
ジョン・スミスは深く頷き、様々な情報に目を走らせる
「アメリカ全土における、日本の『組織』の一人により引き起こされた『マッスル・ハザード』による被害総額を伝えてやれ。主力数十名が戦闘不能になった事、都市伝説の隠匿作業、筋肉男の残党処理などの分も含めてな」
「学校町に潜伏している人員に関しては如何致しましょうか」
「そちらで好きなようにしろと伝えておけ。邪魔なら始末してもこちらは文句は言わんが、返り討ちに遭っても知らん。苦情があるならあの筋肉が引き起こした事象を全て片付けてから言えとな」
「それで納得するとは思えませんが」
「納得できないのなら、直接話をしろと言っておけ。書面でのやりとりなどでは伝わる事も伝わらん……まあそのような度胸のある輩など、指を折って数える程もいないだろうがな」
『アメリカ政府の陰謀論』の能力は、リアルタイムで声を聞かせた命令を自主的に行動させるというものである
その効果は通信や放送でもリアルタイムに伝わるものであれば効果を発揮する
つまり、直接対話をすると言う事は、操られる事を前提としなければいけないのだ
これに抵抗するための力は、個としての強さではなく世界への影響力の強さであり、国家の首長に匹敵する政治力を有する必要がある
命令を口にする前に殺せばいいと思われがちだが、彼の存在の根底となっているのはアメリカという国家であり、これを消滅せしめるか陰謀を巡らせられるだけの国力を削がなければ、彼はすぐにどこかで再発生して活動を再開するのだ
「まったく、私は私なりに世界の常識を都市伝説から守ろうとしているというのに。まったく……MIBという存在の派生如きが私に要求をしようなどとは」
10『陰謀論』は語る ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/04/26(月) 13:55:22.83 ID:72l4IhLD0
「Cチームは撤退させなくてもよろしいので?」
「好きにさせておけばいい。アレは策に溺れる程度の策士だ、そろそろ捨て頃だったという事だよ。あの程度の連中に潰されるほどあの町はヤワじゃない。残念な事にな」
ジョン・スミスは懐から煙草を取り出すと、一本咥えてライターを取り出す
「まあ、どうにかしろとしつこく要求してくるなら……望み通りどうにかしてやるとも。そうなると堂々と正面から私達の戦力を投入する機会を戴けるわけだが」
「前述の『マッスル・ハザード』で当組織のエースラインは半ば全滅しておりますが。あと何度も言いますがここは禁煙です」
「ああ、CチームぐらいならAチームの面子が一人いれば潰せる。あいつらが作っている『祟り神』程度なら、人員を使い捨てれば我々には影響は無い。あれで潰せるのは精々国一つだ。太平洋を隔てた我が国には届かんよ」
渋々といった様子でライターをしまい、席を立つジョン・スミス
「日本への通達は前述の通り。要点は筋肉をどうにかしろ、金を払え、それが嫌なら下っ端一人くたばったぐらいでガタガタぬかすな、だ」
「了解しました。そのように返信します」
煙草を咥えたまま部屋を出ていき、無機質な廊下で改めてライターを取り出し火をつける
ぷかりとだらしなく紫煙を吐き出しながら、ジョン・スミスは気だるげに嘲う
「世界が全部アメリカになってしまえば、もっと楽なんだがな……まったく、日本という国は何時になっても面倒事しかもたらさん」
そんな独り言に割り込むように、廊下の何処かに仕込まれたスピーカーが、先程のオペレーターの声を響かせる
《廊下も禁煙です。所定の喫煙所かプライベートルーム、または応接室までお引き上げ下さい》
「……あいつは私がこの組織の長だとわかってるのかね」
《そのように私を作ったのはあなたです。空調設備と防災設備に影響がある前に速やかに消火及び移動をお願い致します》
「やれやれ、秘書はかくあるべしと思って多少厳しく作ってみたがここまでとは」
そう呟いて火を点けたばかりの煙草を、そのままぽとりと床に落とし――煙草は跡形も無く消滅していた
「さて、そろそろ麻雀を打ちにいく時間だな。そういえば麻雀でも日本にはしてやられてばかりだ……まったく、あの国は本当に厄介だ」
こつこつと静かな靴音を鳴らし、ジョン・スミスは何処かヘと姿を消すのであった


11残された思いの読み手 ◇caHoDnkdag (代理):2010/04/26(月) 13:56:41.40 ID:72l4IhLD0
やって来た天地から2人が感じたのは、彼が護衛には向かないだろうと言う印象だった。
そして、それは間違ってはいないのだろう。戦力と言う点では、現在のSと紗江良よりも上なので良いのかもしれない。
ただ、《モンスの天使》と言う都市伝説は先程の光景からも分るように、どうにも目立ち過ぎる。
だが、紗江良の勘が「他に人が居ない」と告げているので、チェンジも不可能だろう。

(さてと、如何すっか? 見た所、護衛向きって感じじゃ無いんだよな。紗江良の勘が言うには、他に人が居ないって事だし。
 とは言え、俺も紗江良も好戦的って訳じゃない。土地勘もこの町の住人であるこいつの方が上だし、ガイドって考えれば良いか)

なのでSは、街の案内をメインとして天地に護衛を頼む事に決めた。
元々、大体の危険に関しては、紗江良の勘で察知できるのだ。護衛が必要になるのは、広範囲に影響を及ぼす能力か高速で移動が可能な能力と言った、分ってても回避不能な能力だ。
そう考えれば、遠距離と広範囲に攻撃が出来る《モンスの天使》の力は妥当と言えるだろう。
後は、契約者である天地が、どの様な人間であるかだ。

「取り合えず、あんたの護衛を受ける事にするよ」
「ああ、任せとけ。俺と天使達が守るんだ、大船に乗ったつもりでいな」

握手をしようと差し出したSの手を、自信に溢れた台詞と共に握り返す天地。
その触れた手を介してSは、《残留思念》の能力を発動した。有機、無機の区別なく触れた物の『思い』を読み取れるのだ。
そして、それは攻撃に使う事も可能になっている。ただ、触れなければ使えないので、戦闘時に発動するのは武闘派じゃ無いSには難しい。
今回は、相手に気付かれない程度に抑えているので、あまり詳しく調べられなかったが、基本的な人格は分った。


12残された思いの読み手 ◇caHoDnkdag (代理):2010/04/26(月) 13:57:46.68 ID:72l4IhLD0
(悪い奴じゃないな。だったら、問題は無いか)
「んで、何時まで手ぇ、握ってるつもりだ?」
「と、すまんすまん」

握ったままだった手を放しSは、天地から視線をずらし《モンスの天使》達の方を見た。
表面上の『思い』を読んだだけでも、彼がこの都市伝説たちを、どれだけ自慢に思っているのかが理解出来た。
そんな彼女達は、何やら紗江良と話している。

「うんうん、良いよね。損得なしの愛って言うのはぁ」
「そーですよ。私達、ご主人様のためなら」
「理由なんて、要りませんよ〜」
「全力で、お手伝いしま〜す」

キャイキャイと、紗江良に返す天使達の表情は、笑顔で本当に天地のために働くのが、楽しいと思われる。
そんな彼女たちを見る紗江良も嬉しそうだ。愛が関わる事象については異常なまでの勘が働く彼女にとって、純粋な彼女達は好ましいモノなのだろう。
まあ。たとえ裏のある愛だろうと、彼女にとっては楽しむべき物なのかもしれない。

「貴女の方は、どーなんですか?」
「好きな人って居ますか? 応援しますよ」
「あ。当然、ご主人様はダメですよ」

「……………………ええとぉ」

天使達の何気ない言葉に、紗江良は言葉に詰まってしまった。
彼女のその様子に、何か不味い事を聞いてしまったのかと天使達も慌てだしている。
13残された思いの読み手 ◇caHoDnkdag (代理):2010/04/26(月) 13:59:42.57 ID:72l4IhLD0
その様子を見かねたSが、助け船を出すように紗江良へと話しかける。
天地も珍しく何かを察したのか、天使達を呼び戻す様に手招きをしている。

「それじゃあ、さよならでーす」
「バイバーイ」
「また、お話しましょうねー」
「ありがとな、お前達」

呼び出していた天使達をその頭を撫でながら戻して、天地はSと紗江良を見る。

「それで、これからどうするんだ。このまま本部まで行くのか?」
「いいや、止めとこう。折角、学校町に来たんだ。少しは見て回りたいしな」
(今は、《悪魔の囁き》で組織も精一杯だろう。これ以上、厄介事を持って行く訳にもいかないな)
「あ、私もです。噂は聞いてたけど、結局、今まで来た事が無かったから気になって居たんですぅ」
「んな、見て回る様な所なんざ無いと思うけどよ」

そう言いながらも、天地はまぁ良いかと思い、歩きだそうとした。
だが、2人は何かを見ていて動き出す様子は無い。一体、何だとその視線の方角を向くとそこには、
―――――壊されたバイクがあった。
そのバイクは、紗江良の所有物で2人の移動手段として、彼らが今まで使っていた物だった。
《モンスの天使》達は《兄鬼》を狙っていたとはいえ、あれだけの乱射だ流れ弾が当たっていたとしても不思議ではない。

「何と言うか。その、スマン」
「いや。銃だけで、あんな破壊は出来ないだろう。多分、あの《兄鬼》が逃げるときに壊しておいたんだろう」
「……私達の追いかける手段を減らすため、って事ですかぁ」

それに気付いて謝る天地だが、Sの言う通りバイクの壊れ具合は銃弾によるモノも有るが、最も大きな損壊は力任せに押し潰された様な痕だった。
あの兄気同士を炸裂させ、目くらましをして逃げ出すまでの一瞬で、使いモノに成らなくなる程に《兄鬼》はバイクを破壊したらしい。
冷静にSが分析し、紗江良の勘もその通りだと言っている。彼女の方は、未だ少しショックが残っているようだが、もう殆んど抜けているようだ
14残された思いの読み手 ◇caHoDnkdag (代理):2010/04/26(月) 14:02:26.68 ID:72l4IhLD0
「う〜ん。壊れちゃったのは、仕方が無いですね。修理も無理そうですし、新しく買いますかぁ」
「そうだな。いっその事、サイドカー付きの奴にするか? この前みたいに、移動中に襲われても、そっちの方がやりやすいだろう」
「……気にして無いんなら、良いけどよ」

予想外にあっさりとした反応で、若干ながら調子を外された天地だが、気を取り直すように言う。

「壊れちまってちゃ、仕方無いな。バイクは、このまま置いてくとするか。一先ず、町の案内をお願いできるか」
「おう、任せときな」

そして、騒がしい護衛を加え3人は、夕闇に包まれた学校町を歩きだした。
後には、壊れたバイクだけが残されていた。

END


15赤い靴  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/26(月) 14:05:48.98 ID:72l4IhLD0
 ………気配が
 都市伝説の気配が、街中に溢れている
 それも、あまりよくない、気配が

「…やはり、この騒動中は、大人しくしていた方が良さそうだぞ」
「そんなに多いの?」

 契約者の言葉に、あぁ、と頷く赤い靴
 学校町のあちらこちらで感じる気配
 それは、噂に効く悪魔の囁きとやらに関連した気配なのだろう
 …あまりにも、多すぎる
 半端に手を出したら、怪我ではすまない
 ここは、大人しくしているべきだ

「あー、もう、ストレス溜まるわね」
「うむ、ロリがストレスを溜めるのはいかんな…ルーモアにでも行って、一息いれたらどうだ?」

 赤い靴の提案に、そうね、と頷く契約者
 ルーモアのマスターが死に、そこが「組織」の管理下に入っていた頃は、あまり近づかないようにしていたのだが…マスターが復活した今では、また、そこに立ち寄るようになっていた二人
 契約者は、先ほどまでの不機嫌はどこへやら、足取り軽く歩き出す

 …実際の、ところ
 ルーモアが「組織」の管理下に入っていた頃は、赤い靴が、そこに行くのを反対していたのだ
 赤い靴は、「組織」が好きではない
 恩人が酷い目に合わされた事がある為、むしろ嫌いな存在だ
 だからこそ、あまり「組織」には関わりたくない
 自分自身が関わりたくないのは当然の事だし、契約者にも関わって欲しくない
 まぁ、あのお人好しの黒服程度なら、まだいいが…

(……この悪魔の囁きとやらの騒ぎ、どこまで「組織」が解決のために動いているやら)
16赤い靴  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/26(月) 14:08:38.89 ID:72l4IhLD0
 むしろ、騒動を煽るような事はしていないだろうな、と疑う赤い靴
 恩人をあんな目にあわせた連中なら、やりかねない
 まぁ、穏健な奴らもいることはわかってはいるが…

 穏健派と強硬派・過激派に分かれているらしい「組織」
 秋祭りでの「夢の国」の騒動までは強硬派・過激派の勢力が強かったらしいが、今は穏健派が立場を逆転させているという
 いっそ、強硬派も過激派もそのまま壊滅しろ、とこっそりそう考える赤い靴
 そうすれば

「……もう、お前も隠れ続けなくてすむだろ……ダレン」

 ぼそりと、小さく呟いた、赤い靴
 契約者が、首をかしげて振り返った

「何か言った?」
「…いや、何も。ルーモアに行くのだから、ショタと会えるのが楽しみなだけだ」

 ごがすっ!!!

「輪君に何かやったら蹴り飛ばすわよ」
「うん、むしろ、何かする前にこうやって蹴り飛ばされた訳だが」

 若干、塀に頭をめり込ませつつ
 赤い靴は、契約者といつものコミュニケーションをとったのだった



終われ
17望VS要in…? ◇xhUOONoO3o (代理):2010/04/26(月) 14:11:30.88 ID:72l4IhLD0
「レストランの招待券?」
あった矢先に友美からチケットを眼前につきつけられた。

「この前たまたまいったレストランの店長さんと仲良くなっちゃってね。
 今度は友達でも連れてこいってこれもらったの」
「見ず知らずのアンタに招待券渡すなんて、どんな店長よ」
「え、アンタのこと知ってるような口ぶりだったけど?」「え」


おかしい…知り合いにレストランの店長なんていなかったはずだけど…

「…一応聞くけど、そこなんて店?」「うわさの産物」


……

「で、結局来るのね」「あそこの店、なかなか面白い料理作るのよ」
「まぁ確かにあのオススメ定食はあんたの好みそうな味だわ…」
来たときに食べたのを思い出したのだろうか、少々顔が青ざめている。

「何で友美が私の知り合いだって知ってたのか気になるけど…まぁただで食べられるなら文句はないわ」
18望VS要in…? ◇xhUOONoO3o (代理):2010/04/26(月) 14:14:36.92 ID:72l4IhLD0
「さて、そろそろ着くわね…!!」

私は見つけてしまった…

道の向こうから歩いてくる一人の男を…



「…何で俺まで連れてくる…」「店長曰く、一人でも多くの意見を聞いてこそ一流の料理人だってさ」
「食用でないものまで調理するのは一人前の料理人なのかね…!!」

どうやら向こうのほうも私に気づいたようだ。


「奇遇だな」「全くね」
そういう彼の手はすでに上着の内ポケットに入っている。
すかさず私もポケットの中にある「アレ」に手をかける。

その手を抜いたのは同時だった。


「「決闘!!」」「ちょっと待ったー!」

いきなり店の中から店長が大声をあげて飛び出してくる。
「待ってたぜお二人さん。さぁとっとと中へ中へ!」
「「えっ?ちょ待っ」」思いきり気勢をそがれた二人は、店長の勢いにのまれ、店内に引きずられていく…

「「…計画通り」」
取り残された二人がほぼ同時に呟いた。
19望VS要in…? ◇xhUOONoO3o (代理):2010/04/26(月) 14:17:48.28 ID:72l4IhLD0
……

うわさの産物店内…
本日のお店はいつもとは違う熱気に包まれていた…
「みんなー乗ってるかー!」

ワァァァァァァァァァァァァ!

「熱い決闘を見たいかー!」

ウォォォォォォォォォォォォォ!

一段せり上がったステージの上で観客達を煽る店長。そしてそれにこたえるように叫びをあげる観客。
「よっしゃー、場内のボルテージも高まってまいりました!そんなところで本日の決闘者たちの紹介だぁ!
 まずは西方!シンクロ融合デッキデス!低速バーンからワンキルまで!無限のデッキを使いこなす、学校町のデッキマン!村井 要ー!
 対する東方!決闘の女神を強引に振り向かせる圧倒的火力!超強力ハイパワーデッキが全ての者を蹂躙する!学校町のパワー嬢!大門 望ー!」
ウォォォォォォォォォォォォォ!
「何、この流れ…?」「さぁ…?私もさっぱりよ」

先ほど店の中に二人が連れ込まれてすぐこんな状況だ。言っておくがこの二人には何の説明もなされていない。
簡潔にいえば、今ここの空気に置いてかれているのは二人のみなのだ。

「あの、店長…?これ一体どういうことなのさ?」
「おっと、急ぐあまりお二人さんに説明を忘れていたな…まぁ急ぎだから簡潔に言おう…
20望VS要in…? ◇xhUOONoO3o (代理):2010/04/26(月) 14:20:45.77 ID:72l4IhLD0
 これから二人には決闘をしてもらう。ルールは簡単、三戦して先に二勝したほうの勝ち。一戦ごとのデッキの変更は自由だ。」
「…でも、なんでこんなステージでやらなきゃならないのよ」
「客寄せのためだ。大丈夫、試合後にはちゃんと御馳走してあげるから」
「乗った!」「早い!食べ物につられすぎだろ!」

「よーし、双方の了解も得たところで…」「いや俺まだ何も言ってn「あら、逃げるの?」…売られた決闘は買うのが真の決闘士ってもんだ…やってやるよぉ!」
「さっそく第一戦目だ!」

ワァァァァァァァァァァァァ!
「要ー!やったれー!」「望ちゃーん!頑張ってー!」
双方に観客から歓声が浴びせられる。まるでどこかの大会の決勝戦のように、会場全体で熱気が渦を巻いている。

「こんな状況で決闘するのは、初めてだな…」「私もよ…見られてるって分かると緊張しちゃうわね…」
「まぁ、お互いに全力でぶつかりあおうじゃないか!やるからにはな!」「もちろん、そのつもりよ!」


「「決闘!!」」
ウォォォォォォォォォォォォォォォ!


「先行は俺だ!ドロー!モンスターとカードを一枚ずつセットし、ターン終了だ」
(まずは相手のデッキの内容を知らないと、な…)
21望VS要in…? ◇xhUOONoO3o (代理):2010/04/26(月) 14:23:40.23 ID:72l4IhLD0
「私のターン、ドロー!…よし、この手札なら…!まずは《増援》を発動し、デッキから《ダーク・グレファー》を手札に加えるわ」
「グレファー…闇主体か、それに準ずるデッキ…」
「そして手札に加えたダーク・グレファーを自身の効果、手札からレベル5以上の闇属性モンスターの《インフェルニティ・デストロイヤー》を捨てることにより特殊召喚!」
「…インフェルニティか…!」

インフェルニティ…アニメの中でも1位2位の人気を誇るともいわれるキャラ、鬼柳京介の使用していたカード群である…
手札をわざとゼロにすることによって効果を持つモンスターで、俗にハンドレスとも呼ばれる極悪非道なデッキだ…

「そしてダーク・グレファーの効果を発動!手札から闇属性モンスター《インフェルニティ・ビートル》を捨てデッキから闇属性モンスター1体を墓地へ落とす。
 私は《インフェルニティ・デーモン》を墓地へ送るわ。さらに《おろかな埋葬》を発動しデッキから《インフェルニティ・リベンジャー》を墓地へ送るわね。」
「くっ…どんどんと墓地が肥えていく…」
そう、すでに墓地にはインフェルニティの主要カードがほぼ送られているのだ。
「そしてカード一枚をセットし、《インフェルニティ・ネクロマンサー》を召喚!召喚時、自身の効果によって、守備表示になる。
 この瞬間…私の手札はすでにゼロ…ここからよ、私のインフェルニティは…!」

先ほど言ったように、インフェルニティモンスターは手札がゼロの時に真の能力を発揮する…ここからが本領発揮だ。
「ネクロマンサーの効果発動!ハンドレスの時、墓地からインフェルニティモンスター1体を特殊召喚できる!私はデーモンを特殊召喚し、デーモンの効果を発動!
 ハンドレスの時に特殊召喚された場合、デッキからインフェルニティと名のつくカードを手札に加えることができる。これにより私は永続魔法《インフェルニティガン》を手札に加え発動!
 ハンドレスの時、このカードをリリースすることで墓地のインフェルニティモンスター2体を特殊召喚!私はリベンジャーとビートルを特殊召喚!」
「…流石インフェルニティ…展開力の次元が違うぜ…」
22望VS要in…? ◇xhUOONoO3o (代理):2010/04/26(月) 14:28:38.66 ID:72l4IhLD0
「まだ終わらないわよ…レベル3ネクロマンサーとレベル4デーモンに、レベル1リベンジャーをチューニング!

 漆黒の帳下りし時、冥府の瞳は開かれる。舞い降りろ闇よ!シンクロ召喚!出でよ、《ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン》!

 そしてビートルの効果!ハンドレスの時自身をリリースしてデッキ、手札から同名モンスター2体を特殊召喚!
 レベル4ダーク・グレファーにレベル2ビートルをチューニング!黒き戦士は深き闇へと染まり、黒の先で新たな力を得る…
 シンクロ召喚!《大地の騎士 ガイア・ナイト》!さらにレベル6ガイアナイトにレベル2ビートルをチューニング!

 死者と生者、零(ゼロ)にて交わりし時、永劫の檻より魔の竜は放たれる!シンクロ召喚!出でよ、《インフェルニティ・デス・ドラゴン》!

 ワンハンドレッドの効果発動!墓地のレベル6以下の闇属性、ネクロマンサーを除外することでそのモンスターと同じ効果を得る!
 そしてその効果によってデーモンを特殊召喚!デーモンの効果によってデッキからネクロマンサーを手札に加えるわ」
「……あれ、コレ後攻1ターン目…?」
望のあまりの一人プレイっぷりにあれだけ盛り上がっていた会場全体が静まり返っている…
その相手をしているはずの要からすれば、これほど暇なこともないだろう。
「まだまだ行くわよ!ここで伏せておいたインフェルニティガンを発動!1つ目の効果を発動!
 手札のインフェルニティモンスター、ネクロマンサーを墓地へ送るわ。そしてガン自身をリリース!
 墓地からビートルとネクロマンサーを特殊召喚!レベル4デーモンにレベル2ビートルをチューニング!

 氷結界より放たれし、全てを無に帰す海竜の幻は現世へと舞い戻る!シンクロ召喚!出でよ、《氷結界の龍 ブリューナク》!

 そしてネクロマンサーの効果によって墓地からデストロイヤーを特殊召喚!バトルフェイズよ!」

「やっと…終わるのか…」


23望VS要in…? ◇xhUOONoO3o (代理):2010/04/26(月) 14:31:40.19 ID:72l4IhLD0
「《インフェルニティ・デストロイヤー》で裏守備モンスターに攻撃!ゼロ・デストロイ!」
「破壊された《魔知ガエル》の効果を発動…墓地へ送られたときデッキから魔知ガエル以外のガエルを手札に加える。
 俺が加えるのは《鬼ガエル》だ…」
「デストロイヤーの効果発動!ハンドレスの時にモンスターを戦闘破壊し墓地へ送った時、相手ライフに1600ダメージを与える!」
「くぅ…」8000→6400

「そしてブリューナクでダイレクトアタック!スノーゲイルブラスト!」
「ぐっ…」6400→4100
「ワンハンドレッドでダイレクトアタック!インフィニティ・サイト・ストリーム!」
「があっ…!」4100→1100
「そしてデスドラゴンでとどめよ!デス・ファイア・ブラスト!!」
「ぐあぁぁ…!」1100→0


……後攻1ターン目である。紛れもない。
8000あったはずのライフカウンターは、あっというまに0を示している。

「…ぁ、勝者、東方大門 望!」
店長さえも宣言を忘れるほど、一方的であった。
店内は、試合中と変わらない様子で静まり返っている。
「ふぅ…満足したわ!」
その覚めきった店内とは対照的に、御満悦な様子の望。


24望VS要in…? ◇xhUOONoO3o (代理):2010/04/26(月) 14:35:43.45 ID:72l4IhLD0
そしてそれとさらに対照的な、ただただ呆然とするだけの要。
「…何もできなかった…だと…?」「どう?もう2戦目始める?」


…その敗北に、要の目つきが変わった。

その眼は、ただ勝利のみを求める男の目。ただ獲物を狩る事のみを欲する男の目。


「…いいぜ、君がワンターンキルだというのなら…こっちにも手があるさ」
そう言って要はデッキの中から何枚かのカードを取り替える。
「サイドチェンジってわけね…あくまでガエルに拘るのね」
「まさか、お前を使うことになるなんてな…こいつらが、お前を呪い尽くす!」


「では2戦目…開始!」

「負けた俺から先行を貰う!ドロー!フッ…この決闘、俺の勝ちだな」
「…何ですって?」「おぉっと、先行1ターンで勝利宣言だぁ!」


25望VS要in…? ◇xhUOONoO3o (代理):2010/04/26(月) 14:38:41.99 ID:72l4IhLD0
「俺は手札の《鬼ガエル》を手札のガエルモンスター、《引きガエル》を捨てることで特殊召喚!
 さらに《イレカエル》を通常召喚し、魔法カード《二重召喚》を発動!」
「通常召喚の機会を増やすカード…?一体何をする気?」
「それはこれを見れば分かるさ!二重召喚の効果によって俺はもう一度だけモンスター召喚の機会を得る!
 そして俺は手札から《スパルタクァの呪術師》を召喚!」
「……まさか!」「そう、そのまさかさ!」
何かに気づいた様子の望と、その様子を見てニヤリと笑う要。

「スパルタクァの呪術師が場に存在する時、デッキからモンスターが特殊召喚される度に相手に500ダメージを与える…
 そしてイレカエルの効果をイレカエルをリリースし発動!デッキからガエルモンスター1体を特殊召喚する!
 デスガエルを特殊召喚!リリースし黄泉ガエルを特殊召喚!リリースし(ry」

「くっ…!」8000→7500→7000→(ry
ガエル達が次々と特殊召喚され、その度に僅かながらダメージが蓄積していく…


……

そして…
「16体目ェ!魔知ガエルを特殊召喚!この瞬間、500ダメージを相手に与える!スパルタン・スペル!」
「……そんな」500→0

……先行1ターンである。紛れもない。
ルール上、先行1ターンは攻撃を行えないはずである。
しかし、8000のはずのライフカウンターは、すでに0を示している。
26望VS要in…? ◇xhUOONoO3o (代理):2010/04/26(月) 14:41:46.63 ID:72l4IhLD0

「……ぇ、勝者、西方村井 要!」
今回も、宣言を忘れてしまうほどにあっという間な試合展開である。
店内は、再び静まり返っている。まぁ方法は違うといえども2戦立て続けにワンターンキルを見せつけられたのだ、無理もない。
「ふぅ、すっきりしたわー」
それとは対照的に、とても晴々した様子の要。

そしてそれとも先ほどの彼女とも対照的な、やはり呆然とするしかない望。
「…ターンも回ってこないなんて…」「これでおあいこだな」

これで、1対1…決着は3戦目へと託された…
「さぁ、これが最後だ…力と力で、ぶつかり合おうぜ!」「ええ、望むところよ!」

ウォォォォォォォォ!
真っ向勝負宣言に、今まで冷え切っていた会場の熱気が一気に高まる。

「さぁ!3戦目は会場全体盛り上がるような熱い決闘を期待してるぞ!」




「第3決闘、開始…と行く前に……前半戦終了だ!」


27さらば百獣の王よ  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/26(月) 14:44:53.99 ID:72l4IhLD0
 二頭のライオンの雄叫びが、廃工場中に響き渡る
 その雄叫びは空気を振動させ、びりびりと空間を震わせる
 二頭は同時に床を蹴り、跳び……空中で、交差した

「っ!?」

 ぱっ、と、飛び散る鮮血
 ゴーストの体に、ざっくりと、爪で引き裂かれた傷が生まれた
 ダークネスの爪が、悪魔の囁きがその体の表面を覆うように実体化した為に伸びていて…攻撃射程範囲が、僅かに広まっていたようだ
 そのわずかな差が、ゴーストの体に傷をつけ、そして、ダークネスには、ゴーストの爪は届いていない

 決して浅くはない傷を負い、しかし、ゴーストは戦意を衰えさせようとはしない
 片割れを止めるのだと言う決意が、恩義を感じている人間達を護ろうとする想いが、決してゴーストを止めない
 再び突進してきたダークネスの体当たりを避け、ゴーストはその首筋に噛み付こうとした
 肉食獣の鋭い牙が、ダークネスの首に喰らいつき…

『ムダァッ!!!!』
「ーーーーっ!!」

 ダークネスの、まるで長い鬣のような無数の蛇の頭が…悪魔の囁きが、ケタケタ笑う
 その蛇の半分以上が、ダークネスに喰らいつこうとしていたゴーストの体に、がっぷりと噛み付いていた
 …個体差は存在するが、しかし、悪魔の囁きには戦闘能力など、ない
 しかし、これによってゴーストに一瞬の隙ができ…それは、致命的な隙となる

 一瞬、動きを止めてしまったゴースト
 その体に、ダークネスの前脚が襲い掛かり…………ゴーストの体は、轟音と共に殴り飛ばされた
 吹き飛ばされた体は、太い柱にぶつかってようやく止まる

 −−おぉぉん
28さらば百獣の王よ  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/26(月) 14:48:04.32 ID:72l4IhLD0
 よろめきながら立ち上がるゴースト
 激痛が、その意識を奪おうとする
 沈みそうになる意識を、ゴーストは叱咤した


 戦え 
 倒れている場合ではない
 戦うのだ
 片割れを、止めなければならない
 片割れに、あの人間達を襲わせはしない

 自分達は、人食いを止めたのだ
 生き延びる為に、他の都市伝説達との争いを避ける為に…人食いの力と記憶を、捨てたのだ
 そうすることで、生き延びてきた

 片割れが、再び人を喰らう道を選ぶというのなら
 …自分が、それを止めなければならないのだ


 ダークネスが、ゆっくりとゴーストに近づいていく
 その、息の根を止めようとするように
 そうする事で、己の存在すら消えることを…悪魔の囁きによって操られているダークネスは、自覚できていない

『サァ、行ケ!!殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ!!!』

 けたけたけたけたけたけたけたけた
 楽しげに笑う悪魔の囁き
 ダークネスは牙を剥き出し…ゴーストに、飛び掛った
29さらば百獣の王よ  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/26(月) 14:51:29.44 ID:72l4IhLD0


 赤い赤い、血が、飛び散る


「−−−−っ!?」

 ダークネスの牙は、ゴーストに届いていない
 ダークネスの、牙は

『痛ェエエエエエ!?何、無茶シヤガッテルカ、コンノへたれ!!!』

 ゴーストとダークネスの間に、飛び込んだ
 山田の体に…食い込んでいた

「…っ、ね、こ、いや、ゴースト!」

 がぶり、と、肩にダークネスの牙を、食い込ませながら
 山田は、ダークネスの体を押さえ込もうとしていた
 暴れるその巨体を、必死に押さえ込む

「鬣を、狙え!デビ田や未来ちゃんが言うには……っ、そこだけは、悪魔の囁きだけで、ダークネスの体には影響がないって…!」
『ンナァ……!?キ、キサマ、同類ヲ裏切ルカァ!?』

 山田の言葉に、ダークネスの鬣の蛇達が、山田の頭上に実体化しているデビ田に向かって叫んだ
 山田の体に牙が食い込む痛みにのた打ち回りながら、デビ田がそれに答える

『ッハ、ドウセ、オレサマハ元主様ニ見捨テラレタ身ダカラナァ?テメェラガドウナロウガ、知ッタコッチャネェヤ』
『キサ、マァ……!!クソ、ハ、放セ…!放セヨォオオオオオオオオオオオオオ!!!!!』
30さらば百獣の王よ  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/26(月) 14:52:43.85 ID:72l4IhLD0
 悪魔の囁きが、ダークネスを暴れさせる
 山田に押さえ込まれている事で、ダークネスの心の中にもぐりこめないのだ
 その体の表面を覆うように実体化するという方法をとったが為に、それが不可能となってしまった

 …よろり
 ゴーストが、ダークネスを…いや
 ダークネスを覆う、悪魔の囁きを、睨んだ

 ゴーストの巨体が
 ダークネスに、飛び掛る

『ヤ、メ……!?』

 ガブリ
 その牙は………ダークネスの鬣に
 無数の蛇達に、喰らいついた

『ヒギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!???』

 悪魔の囁きの絶叫が、響き渡る
 ぶちっ
 ぶちっ、ぶちっ、ぶちっ……と
 何かが引きちぎれるような、嫌な音が、山田の耳に届いた

『ッへたれ、手ヲ放セ!!』
「うわっ!!??」

 ずるっ!!
 悪魔の囁きが…ダークネスの体から、離れた
 解放されたダークネスの体が、床に倒れこむ
31さらば百獣の王よ  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/26(月) 14:54:19.35 ID:72l4IhLD0
『グ、ァ……放、セ………!』

 ゴーストに咥えられた悪魔の囁きが、呻く
 ダークネスから引き剥がされてしまえば、それはただの無力な存在だ
 無数の蛇が絡み合ったようなその醜悪な姿も、見せ掛けだけのものでしかない
 ゴーストは、そのまま……がぶり、と
 咥えていた悪魔の囁きの体を、噛み砕いた
 悪魔の囁きは、あっさりと噛み砕かれて……そのまま、消滅してしまったのだった



「やったの、か?」
『ソウミテェダナ』

 ほっと、息を吐く山田
 そんな山田に、未来が駆け寄ってくる

「山田さん、大丈夫ですか!?」
「俺は大丈夫………でも」

 山田の肩の傷は、再生を始めている
 不死身である山田の方は、何の問題もない
 …だが

 ……ずぅん、と
 巨体が、倒れた音が響いた

「…ゴースト!!」

 悪魔の囁きを噛み砕いた、ゴースト
32さらば百獣の王よ  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/26(月) 14:55:11.81 ID:72l4IhLD0
 その体が…倒れた
 山田と未来は、慌ててゴーストに駆け寄る

 …酷い傷だ
 無数の小さな噛み傷、爪で引き裂かれた大きな傷
 おそらく、骨も何本か折れているだろう
 こんな状態で、ゴーストは戦っていたのだ
 ……ぐぉん、と、その口から漏れ出た鳴き声も…酷く、弱々しい
 早く、治療しなければ…命が、危ない

「おい、しっかりしろ!死ぬんじゃないぞ!」

 ……ぐぉぉん

 山田の呼びかけに、弱い声で答えるゴースト
 く、と顔をあげて…ぺろ、と山田の傷口を舐めようとしている
 ……ざりっ

『ッチョ、痛ェエエ!!??オマ、舐メルニシテモ手加減シロ!?テメェノ力デ普通ニ舐メタラ人間ノ皮ナンゾべろット剥ケルンダゾ!?』

 …ぐぉん?

 デビ田の抗議通り、ゴーストが舐めた山田の傷口は、むしろちょっぴり抉れたわけだが…まぁ、すぐに再生が始まるので、問題はない
 …己が傷ついても、ゴーストは山田の身を心配していたのだ

 幼い姿になっていた自分を世話した人間への、恩
 それを、ゴーストは抱えていたのだ


 ……じゃり、と
33さらば百獣の王よ  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/26(月) 14:56:51.74 ID:72l4IhLD0
 足音が、聞えてきた


「…っ!」

 …ダークネスが
 既に、起き上がり…ゆっくり、ゆっくりと
 山田達に、近づいてくる

「…まさか、まだ、やる気か!?」

 警戒するように、ゴーストと未来を庇う位置に立とうとした山田
 が、その山田を未来が制した

「待って、ください。山田さん…あの子、もう、戦うつもりは、ないみたいです」
『正気ニ戻ッテルハズダシナ』

 ゆっくり
 ゆっくりと
 ダークネスは、体をふらつかせながら、近づいてくる
 そして、傷ついたゴーストを、じっと、見下ろして

 ……ぺろり
 その傷口を、労わるように、優しく、優しく、舐め始めた
 …ぉぉん、と、小さく鳴き声をあげ、ゴーストを気遣っているようにも見える

 ……ぐぉん
 ぐぉぉん

 何やら、意思疎通を行っているらしいゴーストとダークネス
34さらば百獣の王よ  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/26(月) 14:58:18.21 ID:72l4IhLD0
 その、二頭の体が
 ……光に、包み込まれだした

「…ッ今度は何がおきるんだ!?」

 だんだんと強くなっていく光り
 そして…顔をあげていた、ゴーストの、体が
 がっくりと、脱力したのを…山田は、見た

 …まさか
 間に合わないのか?
 もう、助からないのか?
 山田の脳裏に、最悪の光景が浮かぶ

 体が光に包み込まれた状態でも、ダークネスは、ゴーストの体を舐め続けて
 光は、強く、強く
 山田達の視界を埋め尽くすほどに、強く、なって…


 山田達の視界が復活した時
 そこには

「………え」
「…あれ?」
『…何ダ、コリャ』

 …ぎゃしゃー

 そこには、傷つき倒れた子ライオンと、その子ライオンを舐め続ける子ライオン
 小さな子ライオンが、二頭の姿が、あったのだった                    to be … ?
35ソニータイマー (代理):2010/04/26(月) 14:59:30.68 ID:72l4IhLD0
「たまには息抜きを」
小奈美「お兄ちゃ〜ん! デュエルしよー」
小奈美がデッキを持って堂寺の部屋に入っていく
堂寺「あ、小奈美。ちょっと待ってね。デッキ取ってくるから」
堂寺が引き出しからデッキと、その他デュエルに必要なものを取ってきた
堂寺「お待たせ!じゃ、行くよ!」
「「運命のダイスロール!!」」
堂寺:2 小奈美:4
小奈美「私のターン! ドロー! 宝玉獣トパーズタイガーを攻撃表示で召喚。さらに魔法発動、宝玉の樹!私はこれでターンエンドよ」
小奈美:LP:8000 デッキ:35枚 手札:2枚 フィールド:攻モ1、永魔1、伏せ1
堂寺「僕のターン、ドロー! 僕はモンスターをセット!カードを二枚伏せてターンエンド!」
堂寺:LP:8000 デッキ:35枚 手札:2枚 フィールド:裏モ1、伏せ2
小奈美「私のターン、ドロー! 私はレスキューキャットを召喚。さらにレスキューキャットの効果発動!このカードをリリースすることで
デッキからレベル3以下の獣族を特殊召喚できるわ。私はレスキューキャットをリリースして、宝玉獣アメジストキャットを2体特殊召喚!
バトルフェイズよ。トパーズタイガーで伏せモンスターを攻撃! トパーズタイガーは相手モンスターに攻撃する時、攻撃力が400ポイントアップするわ」
伏せモンスター→ニードルワーム、破壊
堂寺「ニードルワームのリバース効果! お前のデッキからカードを5枚墓地へ送る!」
小奈美:デッキ:32→27
小奈美「うぅ… アメジストキャットでダイレクトアタック!」
堂寺:LP:8000→5600
36ソニータイマー (代理):2010/04/26(月) 15:00:54.95 ID:72l4IhLD0
小奈美「エンドフェイズ時、レスキューキャットの効果で特殊召喚したモンスターは破壊されるわ。アメジストキャットの効果でアメジストキャットを魔法ゾーンに置くわ。
魔法ゾーンに宝玉が置かれたことにより、宝玉の樹にジェムカウンターが2つ置かれる! 私はこれでターンエンドよ」
小奈美:LP:8000 デッキ:27枚 手札:2枚 フィールド:攻モ1、永魔3、伏せ1
堂寺「僕のターン、ドロー! 魔法発動、浅すぎた墓穴! お互いの墓地からモンスターを裏守備で特殊召喚! さらにモンスターを守備表示。そして魔法カード、太陽の書を発動! ニードルワームを
表にする! さらにニードルワームの効果でデッキから5枚墓地へ送る!」
小奈美:デッキ:27→22
堂寺「さらにリバースカードオープン、月の書! ニードルワームを裏守備にする! トラップ発動、砂漠の光。自軍のモンスターを全て表守備にする!」
ニードルワーム→表、メタモルポット→表
堂寺「ニードルワームの効果でデッキからカードを5枚墓地へ送る」
小奈美:デッキ:22→17
堂寺「さらにメタモルポットの効果発動! お互いの手札を全て捨て、デッキから5枚ドローする」
堂寺:手札:0→5 デッキ:34→29、小奈美:手札:2→0→5 デッキ:17→12
小奈美「もうデッキがこんなに…ホントえげつないわね、お兄ちゃん」
堂寺「ありがとう」
小奈美「いや、褒めてはないけど」
堂寺「僕はモンスターをセット。カードを3枚セットし、ターンエンド!」
堂寺:LP:5600 デッキ:29枚 手札:1枚 フィールド:裏モ1、守モ2、伏せ3
小奈美「私のターン、ドロー! …お兄ちゃんがカードを墓地に送りまくってくれたおかげで条件が揃ったわ!」
堂寺「まさか…」
小奈美「そう、そのまさかよ! トラップ発動、虹の引力!」
堂寺「虹の引力…? ハッ!あの時…!」
小奈美「そう、最初のターンで伏せてたあのカードよ」
堂寺「…ふぅん。流石だと言いたいが、甘いぞ小奈美! リバースカードオープン、魔宮の賄賂! 相手がドローする代わりに、そのトラップの発動を
無効にする!」
37ソニータイマー (代理):2010/04/26(月) 15:04:12.64 ID:72l4IhLD0
小奈美「えぇ!?」
小奈美:手札:6→7 デッキ:11→10
小奈美「うぅ… なら私は手札から究極宝玉神 レインボー・ドラゴンを特殊召喚!」
堂寺「手札にも居たんだ…」
小奈美「デュエルはパワーだぜ! レインボー・ドラゴンでニードルワームを攻撃!」
堂寺「速攻魔法、皆既日蝕の書! お互いのモンスターは全て裏守備になる!」
小奈美「くっ… フィールド魔法発動、虹の古代都市-レインボールイン! カードを2枚セットして、魔法発動、無欲な壺!私の墓地から2枚デッキに
戻す! さらに謙虚な壺で手札から2二枚デッキに戻すわ」
小奈美:デッキ:10→14 手札:7→1
小奈美「ターンエンド!」
堂寺「エンドフェイズ時、小奈美の場の裏守備モンスターを表守備にして、その数だけ相手はカードをドローする!」
小奈美:LP:8000 デッキ:12枚 手札:2枚 フィールド:守モ2、永魔3、伏せ2
堂寺「僕のターン、ドロー!」
小奈美「トラップ発動! 宝玉の祈り!アメジストキャットを墓地に送ってメタモルポットを破壊!」
堂寺「クッ… 僕はニードルワーム2体を反転召喚! 効果で合計10枚墓地へ送る!」
小奈美:デッキ:12→2
小奈美「キャッ…後2枚しかない…」
堂寺「でも…まだまだ終わらないよ! 魔法カード、手札抹殺!」
小奈美「ホントえげつないわ…でも、トラップ発動、マジックジャマー!」
堂寺「躊躇なんてサービス、ロシアにはないよ☆トラップ発動、魔宮の賄賂!」
小奈美「ここは日本よ…」
38ソニータイマー (代理):2010/04/26(月) 15:08:38.78 ID:72l4IhLD0
魔宮の賄賂→有効、マジックジャマー→無効、手札抹殺→有効
小奈美:デッキ:2→0 手札:2→1→3 堂寺:デッキ:28→27 手札:1
堂寺「ターンエンド!」
小奈美「…私のターン… 私の負けよ…」
勝者、任天堂寺 勝利条件、デッキ切れ
堂寺「ねぇ、小奈美。あの時の虹の引力、僕のエンドフェイズに発動すればよかったんじゃない?」
小奈美「あ!」
堂寺「まぁ、可愛いからゆるs」
カチャッ
光輝「自重しろシスコン!」
バタンッ!
堂寺「何で聞こえたんだ…? まあ、そんなことより」
「「今日の最強カードは! 究極宝玉神-レインボー・ドラゴン!!」」
堂寺と小奈美がレインボードラゴンを持つ
堂寺「レベル10/光属性/ドラゴン族/攻撃力4000/守備力 0
このカードは通常召喚できない。
自分のフィールド上及び墓地に「宝玉獣」と名のついたカードが
合計7種類存在する場合のみ特殊召喚する事ができる。
このカードは特殊召喚されたターンには以下の効果を発動できない。
●自分フィールド上の「宝玉獣」と名のついたモンスターを全て墓地に送る。
墓地へ送ったカード1枚につき、このカードの攻撃力は1000ポイントアップする。
この効果は相手ターンでも発動する事ができる。
●自分の墓地に存在する「宝玉獣」と名のついたモンスターを全てゲームから
除外する事で、フィールド上に存在するカードを全て持ち主のデッキに戻す! 特殊召喚されたターンは
効果を発動できないけど、強力な効果と高い攻撃力を持っているよ!」
39ソニータイマー (代理):2010/04/26(月) 15:12:30.02 ID:72l4IhLD0
小奈美「…今回は活躍できなかったけどね…」
「「と、言うわけで…ソニータイマー、次回もよろしくね!」」
こうして、堂寺と小奈美の息抜きは幕を閉じるのであった…


               つづく

407人みさきの人に焼き土下座   ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/26(月) 15:16:27.18 ID:72l4IhLD0
 モンスの天使契約者たる門条 天地が、黒服Sと紗江良の護衛…と言うか、ガイドをする事に決まった
 その、直後だった

 ……くぅぅぅう

 なんとも、愛らしい小さな音が、響く

「………」
「………」

 つ、つ、つ……と
 天地とSの視線が、自然と音の発信元へと、向けられた
 発信元は………紗江良

「わ、わわわ、私じゃないですよぉ?」
「いや、誤魔化さなくても良いから。ほっとしたら腹が減ったんだろう」

 Sの言葉に、うぅ、と若干頬を赤らめている紗江良
 事実、ある程度の安心が保証された事で、気が抜けたのだろう
 時刻は、三時少し過ぎ
 …まぁ、おやつ時でもあるし

「すまない。ゆっくり話す意味でも、この辺りで軽く食事を出来る店はあるか?」
「この辺りで、なぁ」

 Sに言われ、考える天地
 …実は天地、学校町出身ではあるものの、その行動範囲は非常に、狭い
 物心ついた時には「組織」に所属していて、訓練やら何やらで外に出る機会はあまりなく
 そして、任務で外に出るようになってからは、しょっちゅうやりすぎて謹慎をくらい…まぁ、自由に外を出歩く時間が、極端に少なかったのだ
 それでも、直希と友人になってからは、それなりに外を出歩くようにもなったのだが
417人みさきの人に焼き土下座   ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/26(月) 15:21:10.30 ID:72l4IhLD0
 …よって
 知っている店など、少ない
 その少ない知識を絞り、天地は二人を店に案内した
 その、店は

「いらっしゃいませー!」
「フェアリー・モートにようこそ!」

 ………
 ……………

「どうした?」
「いや…」

 一瞬、思考をフリーズさせたSだったが、何とか正気に戻る
 鎖骨、背中、太ももが露になっており、胸元も大胆なことになっている制服
 それを着こなした女性店員達が忙しく働くファミリーレストラン…フェアリー・モート
 決して、アッチ系の店ではない
 普通のファミリーレストランである
 男性なら、目のやり場に困りそうな店ではあるが…
 天地の場合、己の計約都市伝説である「モンスの天使」達も、超ミニスカートで胸元も大胆な事になっているので、慣れがあって大して気にならないのd

「俺は食べた事ないけど、デザートが美味いって聞いてるから。軽く食べるにはいいだろ?」
「…まぁ、そうですねぇ」

 店員の制服に、ちょっとあっけにとられている紗江良
 …やっぱり、この街は色々と特殊らしい、とSはこっそり考えたのだった


終われ
42恐怖のサンタ ◇c1fBPhtoT6 (代理):2010/04/26(月) 15:25:41.12 ID:72l4IhLD0
 ――さて、状況を整理しようじゃないか。
 まず、猫はライオンだったらしい。
 それは何となく想像もついていたので、別に俺としては比較的どうでもいい事柄ではある。
 ただ、その子ライオンは都市伝説だったらしい。
 確かに、ここは日本である。動物園から逃げ出したわけでもないのに子ライオンなんかが平気で生息しているはずもない。
 そこら辺を考慮すれば、子ライオンが「普通」ではないのは明白な事なのかもしれなかった。

 しかし、だ。
 一体どこの誰が、仕事の仲立ち人の身内の人間が偶然拾ってきた猫と思わしき動物が偶然ライオンの子供で、しかも偶然アフリカの都市伝説だったなんて想像するのだろうか。
 いや、別に子ライオンが都市伝説だったのは百歩譲ってよしとしよう。
 なぜ、偶然俺の家で飼う事になった都市伝説、「ツァボの人食いライオン」のもう一方の片割れまでもがこの日本の、しかも学校町にいるんだろうか。
 おかしい。色々とおかしい。
 俺は何か神様に恨まれるような所業でもしたのだろうか。こんな平々凡々とした俺の人生のどこを神様は気に入らないというのか。

 ………………ああ。
 ……そうだ、そういえば殺人はどこの宗教でも基本禁止されてたっけ。
 あれ? じゃあ俺って神様の加護なんて期待しちゃ駄目な人間?
 いやいやそんな、偶然とはいえ良子は生き返ったし、毎日真面目に都市伝説退治に励んでいる俺にそんな――――

 ――――いや待て。もしかして都市伝説退治も殺人? もしかして俺って神様から見れば殺人鬼? あれ? あれー?

「…………どうしたんですかね、山田さん」
「ホットケホットケ。ソノ内戻ッテクルダロォヨ」

 ぎゃしゃー?
 しゃぎゃー?

 どこか遠い目をして一人思考に耽る山田の隣で。
 じゃれあっていた二匹の子ライオンは、揃ってその小さな首を傾げていた。 【終】
43ちょっとした小ネタ ◇MERRY/qJUk (代理):2010/04/26(月) 15:30:04.77 ID:72l4IhLD0
ある昼下がりの篠塚家での出来事

「けっこう奥まで入れたけど、痛くない?」
「大丈夫、です。それより早く……ひゃ!?いっ、いきなり動かないでください!」
「ごめんねー。あ、溜まってるみたいね♪」
「そんなこと言わなくていいですから!」
「はいはい……でもさー、穴をかき回すってちょっとグッとこない?」
「きません」
カリカリッと小さな音が部屋に響く。
今、雨村在処はサキュバスの膝枕の上に頭を乗せて耳掃除をされていた。
「飴ちゃんは飴耳じゃないんだね。その方がやりがいあるけどっ☆」
「飴耳?」
「耳垢って、湿ってるのと乾いてるのがあるの。湿ってるのが飴耳」
「そうなんですか」
コリッと少し大きな音を響かせた後、サキュバスはゆっくり耳かきを外に出す。
そして横においてあるティッシュの上に今取った耳垢をそっと落とした。
「梵天ターイム」 「あうっ」
サキュバスが耳かきを反転させ、柄についた梵天で在処の耳をくすぐる
「はい!こっちは終わりー。次は反対側」 「んー」
体をゴロンと反転させサキュバスの方を向いた在処は、チラリと見えた光景に軽く首をかしげた。
「なんで目が赤くなっているんですか?」
「あ、これ?こっちの方が奥まで見やすいからー」
「普通は夜に活動するんですもんね。暗闇で見えないと意味がない」
「そういうこと♪」
さっきと同じ工程を繰り返し耳をキレイにしていく。
「………(ボー)」
それがすべて終わる頃には、もう在処の目はトロンとしていた。
それを見てサキュバスはクスリと笑うと、毛布を手繰り寄せてそっとかけた。
「……おやすみ、在処」
優しく頭を撫でながら彼女は在処の枕になり続けるのであった。                終。
44せんみつと正義の味方   ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/26(月) 15:35:39.96 ID:72l4IhLD0
 お人好しの同僚から連絡があった
 明日真が酷い怪我を負って、倒れていた、と
 怪我自体はあのお人好しが「蝦蟇の油」を使って治癒したようだし、ちゃんと家にも送ったようだ
 お人好しの同僚に感謝しつつ、同時に、自分の担当契約者がそのような状況に陥った訳で、一応、確認を取らなければ
 とりあえず、本人に事情を聞きに行ったわけだが

「……で、カイザーの契約者と遭遇して、戦った、と」
「………はい」

 案の定、というべきか
 明日から話を聞いて、黒服Hは小さく苦笑した

「お前とは相性が悪すぎるから戦うのはやめておけ、って言ったろ?」
「…すみません、でも」
「まぁ、お前さんらしいがね」

 そうだ、明日らしい行動だ
 正義の味方であろうとする、明日らしい
 …目の前で、悪事を行った相手を、明日は見逃せないだろう
 まだ小学生でしかないその相手が、「組織」によって殺される可能性もあるならば……自身が何とかして、悪の道から救いだろうと考えるのかもしれない
 非常に明日らしい行動ではある
 だが、その代償は大きすぎる
 もし、あのお人好しの同僚が見つけていなかったら、どうなっていた事か

「あんまり無茶を続けてると、恋路ちゃんが泣くぞ?」
「わかっています……それでも」
「正義の味方として、ってか?………罪な仕事だねぇ、正義の味方って奴も」

 くっく、とどこかからかうように笑うH
 ……っふ、と
45せんみつと正義の味方   ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/26(月) 15:43:33.90 ID:72l4IhLD0
 その笑いが、自嘲するようなそれに、変わる

「…まぁ………復讐の為に他人を平気で巻き込む復讐鬼よりゃあ、マシか」
「………」

 …Hの、その自嘲するような呟きに…反論しようとしていた明日が、押し黙った

 明日から、怪我をして倒れていた事情を聞きだすより、前に
 Hは、己の復讐の為に、明日をも利用しようとしていた事実を、正直に話し、謝罪した
 ……許されずともよい
 ただの自己満足でしか、ないのだが
 それでも、謝罪しないわけにはいかなかったから
 今後、復讐の為に明日を利用するつもりはない、ともきっぱりと告げた
 復讐を止める、とは言っていないし、止めるつもりもさらさらないが

「………それで、明日。お前さんは、どうしたいんだ?」
「え?」
「そのカイザー契約者のお子様と、もし、また遭遇したら…お前さん、どうする?」

 明日は、既に二度、その契約者と遭遇している
 これは、何らかの縁でもあるのかもしれない…あまり、嬉しくない縁ではあるが
 それに、今回の戦いで、明日は相手を敗北寸前まで追い詰めている
 相手が、根に持っている可能性も高い
 再び遭遇する可能性は、0とは言えないのだ

 考え込むように、視線を落とした明日
 ………まぁ
 きっと、答えは決まっているのだろう

「…お前さんが、その契約者を止めたい、って言うんなら。その行方がわかったら、お前さんに知らせてやるぞ」
46せんみつと正義の味方   ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/26(月) 16:09:34.87 ID:RgJLxkYT0
「え……いいんですか?」

 あぁ、と頷いてやるH
 …利用しようとしていた件での、せめてもの償いだ
 この程度で許されるとは、思ってはいないが

「なんだったら、しばらく、他の契約者が動かないように働きかけてもいい…ただ、長時間、他の契約者を向かわない、ってのは不可能だからな。その間に、きっちりけりつけておけ」
「……充分です」
「ただし、絶対に無茶はするなよ?お前さんが正義の味方だろうが、なんだろうが……お前さんのことを心配してくれる、お前さんが死んだ時に泣いてくれる相手がいる限り、死ぬんじゃねぇ」

 …いい加減に、「組織」も朝比奈 秀雄の居場所を見つけ出す時期だろう
 決着の時は近い

 その戦いで、明日が、カイザーの契約者が、どんな結末を迎えるのか
 …予知能力など持たぬHは、ただ、その時を待つ事しか、できないのだ



to be … ?
47幸せと相談と  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/26(月) 16:12:11.89 ID:RgJLxkYT0
 それは、とある商店街の、中心からは少しはなれた場所
 そこに店を構えている八百屋は、いつでも繁盛している
 街中の主婦が集まっているのでは?と錯覚するほどに、たくさんの主婦が集まっているのだ
 若干、都市伝説の影響もある現象とは言え、戦争状態の購買か、バーゲンセールまっただなかの光景に見えてしまう
 そんな主婦の群れの中、一人、混じっている青年の姿

 −−−っぱし!

 青年が、主婦達にもみくちゃにされかねないその現状で、しかし、その流れに流される事なく、素早く動いて野菜を手にする
 それは、ぽ〜ん、と後方に放り投げられて…ぱし!、と、そこで待ち構えていた他の青年が、器用にキャッチした
 その拍子に、金色に染められた髪が、さらさらと揺れる

 −−−っぱし!
 ぱしっ、ぱしっ、ぱしっ

 そうして、いくつかの野菜が宙を舞い、それを後ろで待っている者達がキャッチする
 先ほど、ニンジンをキャッチした金髪の青年の他に、その青年と同じくらいの髪の長さで、しかし、こちらは黒髪で耳元に銀色のピアスをつけた青年と、小柄で大人しそうな印象の少女が、次から次へと野菜をキャッチしていく
 粗方戦利品を手に入れて、青年は勘定を、用意されているバケツに放り込む
 この店、勘上はこのバケツに入れておけば問題ないのだ
 それを終えて、青年はするり、主婦達の群れから抜け出てきた
 あの群れの中にいて、しかし、服装は全く乱れを見せていない

「…相変わらず凄いな、お前」
「……くけ」

 ピアスの青年、辰也が呆れたような声をだし、少女…恵が、小さく頷いた
 二人の言葉に、誠は笑って答える

「ま、修行の成果だな」
「それも修行の成果でいいのかよ」
48幸せと相談と  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/26(月) 16:15:08.30 ID:RgJLxkYT0
 金髪の青年、翼は、誠の言葉にやはり、どこか呆れたような笑いを浮かべる
 まぁ、誠のおかげで、あの店での買い物が楽で、大変と助かるのだが

「…に、しても翼。その野菜の量、お前んとこだけで食べるには、多すぎないか?」
「あぁ、いや。俺達んとこだけじゃなくて、他んとこで飯作ってやってる分の野菜もこみだから」
「………へぇ?」

 …誰に、料理を作ってやっているのか?
 やや、嫉妬を滲ませる誠
 ……今ごろ、「死人部隊」の中年は、くしゃみでもしているか、身に覚えのない殺気でも感じているかもしれない

「そっちも、大分多いと思うけどな」
「こっちは、マリがよく食うからな」
「…くけ……一番食べるのは肉、だが…」

 翼の言葉に答えるのは、辰也と恵
 マリ・ヴェリテの食欲が非常に旺盛である為、彼らの月の食費はかなりのものだ
 この八百屋のお陰で、大分助かっている面がある

「んじゃ、そろそろ行くか」
「ん、あぁ」

 歩き出した翼
 その後を、誠が慌てて追いかける
 辰也と恵は、その後をゆっくりとついていく
 直希がいれば、この二組の間に直希が入っているところだ
 五人出歩いている時は大抵そうなのだが、今日は直希はいない

「…恵、俺がもう少し荷物持つか?」
「…?…いや、平気…大丈夫、だ」
49幸せと相談と  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/26(月) 16:18:11.47 ID:RgJLxkYT0
 よたよたと歩いていた恵を、心配するように辰也が言うが、恵は小さく首を左右に降る
 ……が、明らかに、恵には重たそうな荷物
 辰也は、やや強引にそれを自分で持つ

「……ぁ」
「無理すんな。俺も誠達ほどじゃないが、お前よりは力あるから、大丈夫だ」
「……すまない」

 重たい荷物を辰也にとられ、軽い荷物だけを持った恵
 てとてとと、辰也の横を並んで歩く

 …こうやって、恵と並んで歩けるだけで、辰也は充分に幸せだ
 それ以上の幸せを望むなど、贅沢だと考える
 ……H-No.9を殺して以来、ずっとそう考える
 自分には、普通の人間のような幸せを望むなど……相応しくなどないのだ
 これだけでも、幸せを得られるだけ…充分だ

「…辰也、どうした?」

 と、辰也がやや俯いたのに気づき、恵が心配そうな声を出した
 何でもない、と辰也は慌てて、それを誤魔化す
 …恵を、心配させたくは、ない」

「辰也?どうかしたのか?」
「いや、なんでもないっての」

 翼にまでやや心配そうな声を出され、ますます辰也は誤魔化した
 …今の、翼を取り巻く現状に置いて…翼をヘタに心配させては、誠に殺されかねない
 と、言うか、こう言う時くらい、翼は自分のことだけを考えていればいいと言うのに
50幸せと相談と  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/26(月) 16:21:11.43 ID:RgJLxkYT0
「そうか?でも、何かあったら相談しろよ?」
「コミュニケーションは大事、ってか?エリカさんの言葉だな?」

 ややからかうような誠の言葉に、う、と翼は押し黙る
 辰也達からはその表情は見えないが、若干、赤くなっているかもしれない
 エリカという女性を、辰也と恵はよく知らないが…どうやら、翼の初恋の相手で、今でも憧れの相手らしいから

「…相談については、お前が言うな、って言いたいがな」

 ぼそ、と
 そう、呟いた誠
 翼が、何もかも1人だけで背負いがちな事を言っているのだろう
 う、と、翼が気まずそうな声をあげる

「……これでも、昔よりは相談してるつもり、なんだけどな」

 …それでも、長年の経験から、周りには相談しにくいのだろう
 辰也も、その気持ちはわからないでもない
 相談すれば、巻き込む
 自分一人だけの問題ではなくなる
 ……巻き込みたくないから、相談できない
 それが大きな問題であればあるほど、余計に

「……辰也」
「うん?」

 じ、と恵が辰也を見上げてくる
 相談云々に関し、誠が翼にまだ何か言っているようで…こちらの話は、多分、向こうには届いていない
 向こうの話も、こちらには届いていないし
51幸せと相談と  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/26(月) 16:24:23.38 ID:RgJLxkYT0
「…本当に…大丈夫、か…?」
「……大丈夫だよ」
「でも……辰也、この間から……あまり、元気、ない…」

 …あぁ、まったく
 どうして、こうも簡単に見抜かれるのか
 そう言ったことは、表に出さないようにしていると言うのに

「…大丈夫だって。ここんとこ、悪魔の囁き騒動でゴタゴタしてるからな…少し、疲れてるだけだ」
「…そう、か…?」

 そうだよ、と笑ってやる
 やや納得言っていない様子の恵だったが…それ以上は、問いただしてこない
 いや、何か言おうとした恵の言葉を遮り、辰也は続ける

「…そろそろ、あのおっさんの居所もわかるだろ。そうなったら、ちったぁ翼の手伝いをしてやるか」
「……あぁ…そう、だな…」

 …朝比奈 秀雄
 恵に関する事で…辰也にとっても、それは殺したい相手であるのだが
 だが、翼の方が恨みは深いはずだろう
 そう考えて、辰也は朝比奈 秀雄には、直接殺意をぶつけるつもりはない


 …直接、牙を剥くべき相手は、他にまだいるから


 決戦の時は近い
 辰也は、それを予感するのだった
to be … ?
52モデルケース (代理):2010/04/26(月) 16:27:08.89 ID:RgJLxkYT0
昔から速いものが好きだった。
トンボが好きだった。いくら走っても追いつけず、捕まえられず、いつも悔しい思いをした。
犬が好きだった。買ってた犬と良く走ってた。グングンと先に走って行ってついには帰ってこなかった。
兵隊さんの飛行機が好きだった。シューと煙を吹きながら自分たちの頭の上を掠めて行って近所の爺さんが発作で死んだ。
かけっこで一番速かったよっちゃんが好きだった。空襲の時私の手を引いてものすごい勢いで駆けていった。あたしは足が速くなかったから足をもつらせて転んでしまった。
でもよっちゃんは全然走るをやめなかった。走って走ってズルズル引き摺られて、なんとか立って走って、ボロボロと涙が出た。
こんなにも速く走れるなんて。よっちゃんはあたしにとって兵隊さんの飛行機と同じだった。
よっちゃんとは幼馴染で、いつも一緒に遊んで、疎開していく中で私達だけしなくて、戦争が終わった後も一緒で、当然のように結婚した。
しばらくして、夫は会社を辞めてレーサーになった。あたしは泣いて喜んだ。
親戚には馬鹿にされ、気が違ったのかと心配されていたけど、夫は立派なレーサーになることができた。
正直言うと羨ましかった。出来ることならあたしもレーサーになりたかった。ビュンビュンと風を切って、誰よりも速くなりたかった。
でも、近くの自転車漕ぎ競争で8人中4位のあたしには不可能な話だった。
レーサーだった夫は、ある日世界記録を更新した。誰よりも早くトラックを走り抜け、見事優勝したのだ。そしてスピードを緩めることなく事故を起こして死んだ。
私の目の前で。
車が好きだ。私でも速く走ることができる。この間向かいのババアを撥ねかけた。
飛行機が好きだ。海外へだってひとっ飛びだが窓際に座れないときは泣いて席を代わってもらう。
レースが好きだ。速さを競ってさらに速くなるのがたまらない。夫が死んでなお。
『ターボババア』は嫌いだ。あたしはババアが嫌いだ。速くなけりゃいる意味がない。



モデルケース『ターボババア』A



『ターボババア』

ジェットババアや100キロババアなどの呼び名もある都市伝説。車を道路で走らせているとお婆さんがものすごい勢いで後ろから走ってきて追い抜いてしまう。
危害を加えてくることはないが、場所によってはターボババアが原因で事故に遭うという噂もある。
そんなターボババアがとある町の近くの高速道路でたびたび目撃されていた。しかし、だれも与太話だと信じて疑わない。
53モデルケース (代理):2010/04/26(月) 16:30:11.90 ID:RgJLxkYT0
見たと言っている人間は大抵暴走族で、その中でも所謂『走り屋』と呼ばれる連中だからである。
その高速道路は一直線に長く幅員が広いことで有名で、よくそういった手前が来るのだ。だれもそんな連中の話など信じない。
それでも噂を聞きつけてやってくる輩がいないわけでもない。だが、大抵は見れずに帰っていくことになる。
そんな中でターボババアに興味も無く、ただ走りに来ただけの一団がいた。
しかし、それはただの走り屋ではなかった。ベンツやポルシェ、ジャガーなど錚々たる車が8台もその場にあるのだ。すべてが最高級車。
見るものが見れば爛々と目を輝かすだろう。乗っているはすべて20代かそこらの若者である。
親の金で買ったのか、それとも若くして多くを稼ぐ企業家なのか、おそらくは前者だろう。
この高速道路は深夜には全くと言っていいほど人通りがなく、走るにはちょうどいい。彼らはそれをいいことに広い幅員を利用して横一列に並んでいく。
それでも車間を考え、横6台しか並べていない。その6台の後ろに2台の車が並ぶ。
後ろに並んでいる車の内、ポルシェ・カレラGTの助手席から一人の男が降りて前の方へ走っていく。彼の手にはレースなどでよくつかわれる白黒のモザイク旗。
彼がスタートを知らせるらしい。彼はすべての車の前のちょうど真ん中に立つ。すでに各々の車のエンジンは温められエンジン音を道路中に響かせている。
彼が旗を振り上げる。10秒、20秒、旗は振り下ろされない。運転手たちが息が唾を飲む。30秒に差し掛かるか掛からないかというとき、旗が勢いよく振り下ろされた。
その瞬間唸りを上げ車が一斉に発進し、中央に立っていた男の横を次々と通り過ぎて行った。
走り出した瞬間から、ある程度差がつき始める。何秒で時速が何キロ出るか、最初の初速の段階からすでに勝負は始まっているのだ。
ここで離されれば、勝つことはあり得ないだろう。それをわかっているからこそ皆アクセルを目一杯踏み込み、なるべく早く加速しようと試みる。
しかし400メートルほど走れば、やはりマシンスペックの差により距離がついてしまった。
2位を走っているのは後ろに並んでいたポルシェ・カレラGTとランボルギーニ・ムルシエラゴのLP640。この2台にほとんど差はない。
そしてそれより20メートルほど先を行く車があった。ポルシェ・カレラGTと同じく後ろに並んでいたはずのサリーン・S7。
サリーンはル・マン24時間レース用レースカーであり、一般車両として発売されているものもそれに準じた性能となっている。
最高時速は399キロで世界でも最上級クラスの速さを誇るスーパーカーである。カレラGTがMAX336キロ、ムルシエラゴがMAX342キロ、比べるとその凄さが際立つだろう。
この一団の中でも最高速度の車である。ブガッティ・ヴェイロンなどいったバカみたいな車でも無ければ抜くことはできない。
サリーンはすでに時速230キロに達し、後はこのまま悠々とゴールを目指せばいいだけだった。

「……なんだぁ?」
54モデルケース (代理):2010/04/26(月) 16:33:13.45 ID:RgJLxkYT0
ふとバックミラーを覗いた時、サリーンの運転手は違和感を覚えた。
自分の後ろを走っているカレラGTとムルシエラゴ、この2台と自分の差が明らかに開きすぎている。その2台よりさらに後ろの車との差も開きすぎている。
今のような調子ならこれほどの差は絶対にできないのだ。いくらスペックに差があってもこれほどはあり得ない。
おかしい。様子を見る限りマシントラブルではなさそうだ。故意にスピードを落としたとしか思えない。
高速道路の幅員をギリギリまで使ってするこのような迷惑走りをする走り屋は誇れることではない。しかし、彼らには譲ることができないプライドがある。
スピードを緩めないこと。走りぬくこと。それが彼らの誇りなのだ。誰よりも早く走りたいからこんなことをしているのだ。
その誇りを捨ててまでサリーンの後続車両は減速している。

「なんだってんだ一体よぉ!?」

サリーンの運転手は足にさらに力を込め、足がアクセルから離れないように完全に固定する。
何が起こっているかはわからない。しかし、スピードを緩めるつもりもない。不測の事態への不退転の決意である。
バックミラーをもう一度見る。何怪しいものは映っていない。時速はもうすぐ240キロに達する頃。
ふと、視界の端にサイドミラーが入り込んだ。そのまま何気なくサイドミラーを覗きこむ。

「なんだよこりゃ……っ!」

サイドミラーに映っていたものに思わず息をのむ。
サリーンの右後方、車から大体1メートルほどの所に人影が浮かんでいるのだ。足は見えない。腕も見えない。顔はよく見ると老婆のようにも見える。

「チクショウッ!意味わかんねぇ!」

サイドミラーに映る老婆は段々と近づいているように思える。ありえない。
メーターを見る。時速は262キロに達していた。サリーンの性能上まだまだ速度は上がる。まだまだ上がり続けている。なのに、なのにあの人影はついてくるのだ。

「嘘だ嘘だ嘘だ!俺に!こいつについて来れるわけがねえ!」
55モデルケース (代理):2010/04/26(月) 16:36:47.97 ID:RgJLxkYT0
270キロ。280キロ。290キロ。300キロ。
混乱しながらも足はアクセルから離さず、速度は順調に上がっていく。

「300だ!まだ上がる!こいつは最強のスーパーカー!俺は行ける!幻覚だろうがホンモンだろうがぶっちぎる!」

今の速度は時速302キロ、少しでも操作をミスすれば車は吹っ飛び即お陀仏。死は確実。頭は焦っていても、覚えこまされた体は冷静だった。
しかし、悪夢を振りきることはできなかった。サリーンの運転手はサイドミラーを覗きこもうと首を動かし、自分の真横にある顔と目があった。

「…………」

何も言葉が出てこない。
手も足も無い紺のダウンジャケットを着た老婆が自分の真横にいる。時速は300キロをすでに超えている。
よく見ると、手足がないのではないことがわかった。あまりにも速く動かしているので見えなかったのだ。よくよく見れば、紺色の腕がぶれにぶれている。足も同じだ。
不意に老婆が口を開ける。何かを言っているらしい。しかし、運転手には聞こえない。
しかし、何と言っているかはわかる気がした。

(ま・だ・ま・だ・お・そ・い)

そういう風に口を動かしたように見えた。
老婆は運転手に向かって片手を掲げ口を動かした。

(じ・や・あ・な)

そう口を動かしたのかと思った瞬間、老婆はサリーンを抜き去りサリーンの前をしばらく走ってどこかへ消えてしまった。
運転手は放心しながら時速を確認する。時速は311キロ。それの前を走っていたのだ。
体が放心した意志に呼応したかのように、減速を開始する。運転手は思い出す。ターボババアの噂を。

「あれが、ターボババア…?ありえねえ。でも俺シャブなんてやってねえ。じゃあホンモンだって認めるしか、ないのか?」
56以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/26(月) 17:12:54.41 ID:nygUuDG4O
57以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/26(月) 17:39:02.59 ID:NX2S1nUY0
保守
58以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/26(月) 18:16:00.45 ID:nygUuDG4O
ほし
59以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/26(月) 19:11:33.34 ID:nygUuDG4O
60モデルケース (代理):2010/04/26(月) 19:29:12.72 ID:ZWRg9hd/0
まさか実在していたとは思わず、どう対処していいのか運転手は思いつかなかった。
しかし、言えることはある。

「ターボ過ぎるぜババアのくせに……。300超えて遅いとか」

彼は座席に深々と座り込むと大きく深く息を吐いた。

そんな彼とターボババアのデッドヒートを観察していた者がいたとは、ターボババアもサリーンの運転手も知らなかった。

さて、そんな事件があった次の日の夕方、事が起こった高速道路に近い町のある広場では奇妙な3人がたむろしていた。
背中まで伸ばしたオールバックの髪に灰色のパーカー、そして黒いジーパンを履いた女。歳は20代中盤といったところ。背は180センチに届くかもしれない。
寝癖をそのままにした乱れた短めの髪型に茶色いセーター、とび職が履く紺色の七分を身に付けた少年。高校生ぐらいだろう。
後ろ髪をひざ裏まで伸ばし、大きなマスクで顔を覆い、真っ赤っかなコートを羽織った女。髪が長すぎてマスクから上にあるであろう目も見えない。
すべてタイプがばらばらな3人組だった。
オールバックの女が右腕に付けている時計を確認する。女はさっきからそれの繰り返しだ。1分も経たぬうちに時計を確認する。
ほかの2人は手持無沙汰なのだろう、なにもせず、ポケットに手を突っ込んで肩を揺らして寒さを凌いでいる。

「おい!いい加減帰ろうぜ麦野さんよぉ!帰んねえならぶっ殺すぞ!」

しばらくすると少年は声を荒げる。その顔は怒りに満ち、瞳はオールバックの髪をした女、麦野と呼んだ女を睨んで視線を外さない。
耳は真っ赤に染まっていて、それは決して怒りだけによるものではない。おそらく長い間ここに立ちっぱなしなのだろう。
寒さによる苛立ちと生来の気性が合わさり、少年の怒りは普通では考えられぬほどに膨れ上がっていた。
おそらく少年は本当に麦野と呼ばれた女殺すだろう。しかし、麦野は少年を横目で見ただけで再び時計に目をやった。
61モデルケース (代理):2010/04/26(月) 19:32:52.23 ID:ZWRg9hd/0
「おい、いい度胸じぇねえか!口調が定まんねぇ似非外人のくせによ!」
「……君は本当に気性が荒い。我慢を覚えた方がいい。それと、私は似非外人じゃないわ。正真正銘の外人だ」
「うぜえな!喋んなよ!」
「…………」

なおも喚く少年にあきれた視線を向けつつ、麦野は再び時計に目をやる。安物のデジタル時計は15時34分と表示している。

(遅い)
「おい!無視か!むかつくんだよしたり顔で振り回しやがってよ!ぶっ殺してやる!」

顔中を真っ赤にしてポケットから手を出すと、その手にはナイフが握られていた。
少年はそのまま麦野に飛びかかる、直前に真っ赤なコートを羽織った女に抱きつかれ動きを拘束させられる。

「ストップ!ストップして光輝君!」
「離せよジュリアナ女!てめえはジュリ扇持って踊ってりゃいいんだよ!」
「む、昔やってただけよ!そのネタをそんなに引っ張らなくても」

ジュリアナ女と呼ばれた女は、光輝と呼んだ少年を抱き締めつつ、それでも態度は変わらない。
少年とはいえ高校生にもなろう男が全力で振りほどこうと暴れているのだが、ジュリアナを振りほどくことはできない。
ジュリアナは軽く抱きしめているように見えるのだが、どうやらそうでもないらしい。その態度にも焦った様子も無く、むしろ余裕から来る偽りの慌て方だ。

「じゃあ離せよ!」
「それはダメ」
「元気だなー君たち」
「麦野さんもそんなこと言ってないで止めてくださいよ!」
「いや、正直坂本君に切られても死なないからどうでもいい」

少年の名はどうやら坂本光輝というらしい。
62モデルケース (代理):2010/04/26(月) 19:35:20.53 ID:ZWRg9hd/0
「あ!?なら刺されてみろよ!ぜってえ死ぬから!」
「いい加減にしてよ光輝君!麦野さんがいなかったら今頃私達はどうなってたか」
「知るか!何とかなってただろ!」
「最近沸点低いよ。どうしたの?」

沸点が低くなっても仕方のないことだと麦野は思う。麦野、坂本、ジュリアナ女が出会ったは約3週間ほど前。坂本が起こした事件がきっかけで3人で旅をしている。
この3週間、移動寝食そのほとんどが車内である。最初の方こそその新鮮さを楽しんでいた坂本だが、今ではそれが嫌で嫌でたまらない。
しかし、これから日本中を回るのだからこれぐらいで根を上げてもらっては困るというのが麦野の本心である。

(そのうち慣れるでしょう)

彼女には他人の都合など知ったことではない。

(それにしても何をやっているんだ彼らは)

時計を見ながら心の中でつぶやく。麦野が言う『彼ら』とは、もちろん坂本などのことではない。
麦野は待ち合わせをしているのだ。しかし、40分は待ちぼうけを食らっている。それに付き合わされている坂本やジュリアナ女はいい迷惑だ。怒っても何ら不思議はない。
時計から目を離した麦野の視界の端に、ふと見慣れないものが入り込んだ。首をそちらに向ける。
坂本を押さえているジュリアナ女の肩の先に、大型トレーラーがこちらに向かって走ってきているのが見える。赤い車体に青いコンテナ。

(間違いない。あれだ)

待ち人ようやく来たる。さんざん待たされた分来た時の反動は大きいもので、麦野の心にあった苛立ちはどこかへ消えてしまった。
坂本とジュリアナ女も麦野の視線に気がついたのか、麦野の視線を追って振り返る。
63モデルケース (代理):2010/04/26(月) 19:38:24.46 ID:ZWRg9hd/0
「あー、んだあのド派手なトラックは?」
「真っ青なコンテナは正直ないですね」
「そんなことを言ってあげないでくれ。赤と青はあの会社のイメージカラーよ」
「だせ」
「ちょっとセンスが足りない感じが」
(ジュリアナも案外ひどいな)

3人が会話を交わす間に、トレーラーは広場に入ってきた。そしてそのまま減速して、麦野たちの目の前に横付けされた。
見れば見るほど赤い車体。ドアには大きく『かけ橋未来堂』と白文字で書かれている。青いコンテナにも同様の文字が書かれている。

「名前までセンスがねえな」
「私の方がもう少しいい名前考え付きますね」
(こういうのを批判の嵐というのだろうな)

車体はセミトレーラーに分類される。このコンテナには何が入っているのだろうか?なかなかの大きさである。坂本もジュリアナ女も検討がつかない。
横付けされているトレーラーの運転席と助手席からそれぞれ一人ずつ人が降りてきた。2人ともクリーム色のつなぎに同じ色の手袋とつば付き帽をかぶっている。
運転手は中々恰幅がよい男だ。背は麦野と同じほど、180センチほどだろうか。助手席の男は160後半といったとこで、髪を茶髪に染め如何にも今時の若者といった感じだ。
2人はそのまま麦野の前まで小走りで集合し、整列する。

「遅れて申し訳ありませんでした!」
「せんっした!」

2人は一斉に頭を下げて謝った。一糸乱れのない見事な謝り方である。文句のつけようがない。
何度頭を下げればこれだけの謝り方ができるのだろうか。そう思わせるだけの迫力ある謝り方だった。
その謝りに圧倒され、文句を言おうとしていた坂本の口すら止まってしまう。しかし、麦野の目は冷めていた。とても見慣れているものといった感じの目である。
64モデルケース (代理):2010/04/26(月) 19:41:25.51 ID:ZWRg9hd/0
「謝るのはいいから。早く荷を下ろしてくれないか?こっちはさんざん待ったのよ」
「はいただいま!」
「まー!」
(いやいや!まともに喋れよ茶髪!)

そんな坂本の気持ちなど露知らず、つなぎの2人は急いで車の後方へ、コンテナの収納口へ走り、入口を開けると茶髪がコンテナの中へ乗り込んだ。
恰幅のいい男はコンテナの中へ手を伸ばすと、ブリッジを引きずり出し設置する。続けてもう一つのブリッジを設置すると、自分もコンテナの中へ乗り込んだ。
そして2人で荷物をして出てきた。荷物とは車だった。
真新しい白い車。トヨタのソアラだ。角ばった車体ながらも、車体の要所要所に曲線を取り入れた車体からこのソアラは2代目のZ20型だとわかる。
販売期間は1986年から1991年と、それなりに古い車のはずなのだが、このソアラはどう見ても新品、もしくは新品同然の品物である。
そんなソアラがコンテナからブリッジを上を渡り地面に降ろされた。下った勢いでしばらく後ろに下がって、そこで停止する。スムーズなタイヤ回りだ。
つなぎの2人が準備している間にコンテナの入り口にまで移動していた麦野たちはその様子をばっちり見ていた。

「んだぁ?車?」
「車ですね」
「ああ、車だよ」
「ご注文の修理、機能の追加、スペックの向上、それらすべてが完了したソアラのお届け、完了しました!」
「ましたー!」

坂本は怪訝な顔を、ジュリアナ女は目の前の事実を口に出し、麦野は2人に対して肯定した。

「こんだけ待って車ぁ!?舐めてんのかよ!ピーポー車からこっちに乗り換えるってか!?どう見てもこっちの方が狭いんだけどよ!」
「ピーポー車?なによそれは?よくわからないスラングを使わないでくれる?話からして救急車のことだと思うが」
「救急車であってますよ。でもピーポー車なんて幼子ぐらいしかいいませんけどね」

余計な口をきいたジュリアナ女を叩き責め立てる坂本を無視し、麦野はつなぎの2人に近づいた。
恰幅のいい男はそれにいち早く気がつき、すぐさま麦野に頭を下げ会釈する。それ気がついた茶髪も慌てて頭を下げた。
65モデルケース (代理):2010/04/26(月) 19:44:28.57 ID:ZWRg9hd/0
「ずいぶんと遅かったじゃないか。何をしていたんだ?」

近づいた麦野は開口一番疑問を口にする。
その疑問に対して恰幅のいい男は苦笑し、茶髪は明らかにイラついた顔をした。
その変化に気付きながらも麦野はそれを無視し、車に近づきソアラに触れた。そしてその車体をなでる。
その態度が茶髪に口を開かせた。

「遅れたのはあんたのせいだよ!」
「吉田(ヨシタ)、やめろ」
「止めないでください今井さん!この人は俺らがどれだけ大変な思いをしてこのソアラを運んできたかわかってないっすよ!」

吉田と呼ばれた男は今井と呼ばれた男の制止を振り切って、車を触っている麦野の肩を掴むと自分の方へと向き直らせる。

「危険なことさせて!勝手に期間作って!こっちどんだけメーワクしたと思ってんだ!?」
「それが君たちの仕事だろ?新入り君」
「ぁんだとぉ!?」
「やめろって言ってるだろ吉田」
「今井さん!でも!」
「この人は前からこんなもんさ。お前以外は皆知ってるよ」

麦野は今井の言葉に肯定を表すように頷きながら車のドアを開け、中に乗り込んだ。
なかなかいい座り心地だと思ったが、6億も支払ったのだからこれぐらい当然だと麦野は自分の考えを否定する。

「うわ、すっげえ普通に乗り込みやがった……」

吉田の言葉に麦野は眉をひそめる。
乗るために買ったのだから、乗り込むのは当然のことだろうといわんばかりに。ふと麦野は体にとある違和感を感じた。
しかし驚くことはない。半ば予想していた感覚だ。こういった感覚には慣れている、2秒、3秒ほどで違和感はすぐ治まった。
66モデルケース (代理):2010/04/26(月) 19:47:33.07 ID:ZWRg9hd/0
(慣れているといってもあまりいい気分ではないけども)
「何早速乗ってんだよてめえ!」
「ん?」

気がつくと麦野のすぐそばに坂本が立っていた。その顔は先程までと違い幾分かストレスを発散したすっきりした顔をしている。
坂本の背後数メートルにはジュリアナ女が大の字で寝転がっていた。いや、恐らく倒れているのだろう。
すっきりしているのはジュリアナ女を叩きのめしたからだろう、と坂本のストレスの変化に麦野は理由をつけた。

「こういったのに最初に乗るのは俺だろうが!」
(子供だなー)
「聞いてんの、、、え、う、うげ」

坂本がソアラのドアに手をかけた瞬間、坂本の体に変化が起きた。
目を大きく見開き、全身から脂汗が滲みだす。そしてその場に膝をついたかと思うと、急激にゲロを吐いた。
そんな彼のすぐそばにいつの間にかジュリアナ女が控えており、坂本の背中をさする。

「大丈夫光輝君!?」
「……」
「えっ!なんであのガキ普通に触ってんの!?」
「知らなかったみたいだな」

坂本の反応に四者四様の反応である。
ジュリアナ女は純粋に坂本を心配し、吉田は心底疑問に思い、麦野と今井はずいぶんと冷めた目だ。
しばらく後、ようやく落ち着いたのか坂本がゆっくりではあるが立ちあがった。

「んだよ今の。まじでなんなんだよ……」
67モデルケース (代理):2010/04/26(月) 19:50:36.20 ID:ZWRg9hd/0
彼を襲った感覚は、自身を侵略される感覚。目、耳、鼻、口、臍、果ては尿道、アナル、毛穴といった穴という穴から何かが無理やり捩じりこんでくる感覚。
心の中まで浸食され、何か自分に制御できないものが填まり込んでしまった感覚。そのすべてが生理的に受け付けない。
受け付けないのに、自分には何が起こったのかもわからないから対処のしようもない。
襲われたことのない未知の感覚に、彼の心は相当まいっていた。

「それしても困りましたね。まさかなんにも感じずに契約しちゃうなんて」
「けいやくぅ?!」

ジュリアナ女の漏らした言葉を聞き逃さず、追求する。

「俺はお前としか契約してないはずだぜ!お前とだけだ『口裂け女』!」
「へえ、やっぱその人口裂け女だったんだ」
「うるせえ!口挟んでんじゃねえよ茶髪が!」
「茶、茶髪ってお前……」

会話に入ってきた吉田を黙らし、追求を続ける。

「契約ってどういう事だ」
「いや〜、そういえば言ってませんでしたね。それはこっちの落ち度かもしれません。契約した時にもっと細かく言っとくべきでした」
「いいから言えよ」
「私達都市伝説の中には、本人の了承を得ずに一方的に契約してしまうことのできる都市伝説があるんです」
「……はあ?」
「双方の合意なしで契約が成立する都市伝説には一貫した共通点があります。それは力が強いこと。それも異常なまでに」

まるで理解ができないといった顔をしている坂本に、ジュリアナ女は肩をたたく。

「あなたが契約したのは通称『白いソアラ』と呼ばれる都市伝説です」
「白いソアラ」
「今私が乗っている車。これがソアラだ」
68モデルケース (代理):2010/04/26(月) 19:51:26.86 ID:ZWRg9hd/0
ジュリアナ女の代わりに麦野が語り始める。

「この都市伝説は簡単にいえば、乗った人間は須らく首が胴体とバイバイしてしまうというものだ」
「まじで?」
「そして、今私が乗っているこれはすごいぞ。乗車した人間は100%死に、それどころか生身で触れただけでも強制的に契約させられて死ぬ。
 この車で死んだ人間は有に200人は超えるわ。あと、もちろんすでに私も契約済みだ」

ハッとして坂本は車を運んできた吉田と今井を見る。
二人とも車を出すときに車に触れているはずだからだ。しかし、二人は全く焦った様子はない。よく見れば吉田も今井も頭以外肌をさらしている部分はない。
手袋もよく見れば厚手である。

「このソアラはいわくつき専門のオークションで売られていてね。本来の都市伝説通りなら安く買えたはずだけど、本物の『白いソアラ』なものだから8000万円もしたわ」

見つけるのに苦労したと語る麦野とは反対に、目を限界まで見開き瞬きすらしない坂本。
麦野の話を聞くうち、だらしなく開いていた坂本の口は段々と閉じられ、ついには歯を食いしばるほど力が溜まる。

「オークションで競り落としたこれを前に住んでいた学校町に送っ……」
「なっ!?」

吉田の短く、しかし心よりの驚愕の声が漏れる。
麦野の言葉が止まった。否、止められた。坂本の手によって。坂本の手刀が麦野の喉に突き刺さっていた。文字通り手によって言葉は止められていたのだ。
坂本光輝は『口裂け女』との契約者であり、得た力は身体能力の強化である。素手で人の肉体を破壊することなど何の苦でもないのだ。
しかし喉に深々と、後部にまで指が貫通しているというのに麦野は身じろぎひとつせず、瞳の力も失っていない。そもそも、手が喉を貫通しているのに死んでいない。
血の一滴すら流れていないのだ。
麦野の手が動く。麦野の手は坂本の腕を掴むと力を込めて坂本の手を引き抜いた。
すでに坂本の腕には力はなく、引き抜くのは容易だった。引き抜かれたその手には、やはり血など着いていない。
そして手が引き抜かれた喉は、手が貫通していた証拠などどこにも見当たらない。刺さっていた痕跡が一切見当たらない。何の異常も無い普通の喉に戻っていた。
麦野アブラカダブラも契約者である。複数の都市伝説と契約し、そのうちの一つによって不完全ながら不死である。
69モデルケース (代理):2010/04/26(月) 19:52:28.74 ID:ZWRg9hd/0
「本当に手が出るのが速いね君は」
「……俺は死ぬのか?」
「ん?」

坂本の顔から血の気が引いていた。自分の死に対して、死に直面しかけて震えているのだ。

「都市伝説と契約した人間なんて碌なもんじゃないわ。自分から遠ざけない限り一生係わり続けていくことになる。こんなことはどんどん増えていく。
 死に直面することなんて、他人の数十倍になるだろう」
「俺は、俺は、まだ、、、、死にたくない」
「都合がいいことを言うんじゃない。君は人殺しだろ。望んで力を手にして、望んで殺したんだろ。君は契約を軽く考えすぎた」
「……」

なんだかんだで彼はまだ高校生である。高校生の彼にとって自分の死とは容易に語れるほど身近なものではなかった。
しかし、これから身近になるといわれ、萎縮してしまった。
気性の荒い彼は、自分の死という現実を、これからも直面し続けていく現実を受け入れられず黙りこくるしかなかった。

「あの、その、大丈夫よ光輝君。大丈夫!私が守ってあげるわ!」

そんな契約者の肩を抱きしめ、口裂け女であるジュリアナ女は優しく、力強く言葉を紡ぐ。

「あなたが契約したのは『口裂け女』よ。日本で都市伝説といえば何?パッと出てくるのは私なの。『口裂け女』なのよ!」
「いや、俺『人面犬』っすね」
「うっさい!」
「……」
「そんな日本を代表する私が、たかが『白いソアラ』ごときに負けるはずないんですよ。知名度も、実力も、何もかも!私が劣っているところないんです!」

深々と契約者を抱きしめる口裂け女。その瞳には冗談などまるでない。ただひたすら契約者を元気づけている。
70モデルケース (代理):2010/04/26(月) 20:01:52.18 ID:ZWRg9hd/0
「信じてください。私を。あなたが契約した伝説の強さを」
「……うぜえ。死ぬなんて思ってねえし」
「そうですか」
『麗しい愛だな』
『若いですね』
『口裂け女より人面犬っすよやっぱ』

しばらく口裂け女に抱きしめられていた坂本だが、虫でも振り払うがごとく振りほどく。

「んで、麦野さんよ。このソアラで何しようってわけ?」
「そういえばそうですね。移動には救急車があるわけですし」
「このソアラも修理しただけじゃないからな。急ぎで色々改造させられたんだぜ」
「「改造?」」

吉田の言葉に坂本とジュリアナ女は首をかしげる。
坂本はふと思い出した。つなぎたちが車を届に来た時に聞いた言葉を。彼らは修理のほかに『機能の追加』と『スペックの向上』と言ったのだ。
ただソアラを手に入れるだけならばそんなことは必要ない。

「一体どんな改造したんだ?」
「えーと、まず理論上MAXで時速482キロ出るようにして、そのスピードで車が吹っ飛ばないようにして、それとナイトラス・オキサイド・システム。
 世間一般で言うニトロを積んだ。簡単に言うとこれぐらいか」
「時速482キロ?それはえーのかよ?」
「速いも何も市販車のMAXが時速407キロだからな?はえーなんてもんじゃないから。運転ミスったら死ぬから。マジでパねえから」

吉田の説明にますますわからなくなる坂本と口裂け女。なぜそんな速度がいるのだろうか?

「なんで要るんだこんな車?」

単刀直入。それが一番早い。そして遠慮することでもない。その心で坂本は麦野に尋ねた。
71モデルケース (代理):2010/04/26(月) 20:05:09.19 ID:ZWRg9hd/0
「うん。ここらあたりは噂でよくターボババアが出ると言われている」
「ターボババアってあれか。ものすげー速く走って車を抜くって都心伝説」
「そう、それだ。この町のすぐそばにある高速道路に良く出没する。今回ターボババアと戦おうと思ってそんな改造を施してもらった」

速い相手にはそれに対抗できる手段を用意する。当然のことだ。しかし、ふと素朴な疑問が浮かんでくる。

「なあ、素朴な質問なんだけどよ。ターボババアとの勝負を『白いソアラ』でやろうと思った理由は?」
「私は5年ほど前、アメリカでとある団体に所属していたんだ」
「うん」
「そこでフォークロア、つまり都市伝説を研究していてね。この日本に来てからまだ『白いソアラ』にも『ターボババア』にも遭遇していない」
「……うん?」
「『白いソアラ』の力を体験しながらターボババアと戦う。これは相当面白くない?」

坂本は無言のままナイフを麦野の額へと突き刺した。



登場人物
ターボババア……生意気
走り屋……社会のごみ
麦野アブラカダブラ……自己中心的
坂本光輝……キレる十代
ジュリアナ女……長生き
吉田(ヨシタ)……彼女が契約者
今井……契約者

かけ橋未来堂……学校町でひっそりと営まれている会社。都市伝説によって技術開発をしている
72以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/26(月) 20:06:09.53 ID:ZWRg9hd/0
以上で、代理投下終了です
はないちもんめの人様のネタは、代理しなくてもいいみたいなことをお書きになっていたので、一応代理しないでおきました


もうちょい経ったら、昼間代理してた時に書いたネタ投下しますねー



に、しても人がいない
さすが魔の月曜日
73悪意がざわめく:2010/04/26(月) 20:15:44.56 ID:ZWRg9hd/0
『………』
「デビ田?どうしたんだ?」

 …ゴーストとダークネスの戦いが終わり、二頭がちみちゃい子ライオンの姿になり
 ボロボロだったゴーストの傷の手当てを終えた頃
 山田の中のデビ田が、何か考え込むように、黙り込んでいた

『……ヤバイカモシレネェナ』
「え?何が?」
『だーくねすニ憑イテイタ悪魔ノ囁キガ消失シタノハ、元主様モスグ気ヅクハズダカラナ。何カ動キヲ見セテクルカモシレネェゾ』

 朝比奈 秀雄を裏切った存在とは言え、朝比奈が契約している悪魔の囁きから生まれた存在であるデビ田
 朝比奈 秀雄の動きを、完全ではないにしろ、ある程度は感知する事が、できる

 だからこそ、気づいた
 朝比奈 秀雄が、何か、動きを見せ始めた、事に




 暗闇の中、灰色のコートを纏った男が、窓から外を見下ろしていた
 …ダークネスに憑けていた悪魔の囁きが…消失した
 その直前に、その悪魔の囁きは、何者かによってダークネスから引き剥がされている
 何者かと戦闘を行って…負けた、という事か

「……片割れのみとは言え、ツァボの人食いに打ち勝つとは……」

 一体、何者がダークネスを打ち倒したというのか?
 ……流石の朝比奈も、それがダークネスの片割れたるゴーストであるとは考えない
 まさか、アフリカの大地のどこかにいるはずのゴーストが、日本に来ているなどとは考えなかった
74悪意がざわめく:2010/04/26(月) 20:18:49.02 ID:ZWRg9hd/0
 ただ、ダークネスが敗北した
 ダークネスが、己の管理下からいなくなった
 それだけを、間違いようのない事実として認識する

 兵力が削がれた
 朝比奈が強く感じた印象は、それだ
 コーク・ロアの契約者や被害者、それに、クールトーが操る犬という兵力とは、段違いの力を、削り取られた
 その気になればいくらでも兵力は増強できるとは言え…今回削られた戦力は大きすぎる

 さて、どうするか?
 この街を掌握する為にも、一定以上の兵力は必要だ
 これ以上、力をそがれる訳にはいかない
 ……まだ
 まだ、翼が、折れていないのだ
 翼の心が、折れていない
 これだけ、翼に直接被害を与えず、周囲に害を与え続けても…まだ、翼の心は折れようとしない
 朝比奈に対して、屈服してこようとしない
 …翼が、一人で必死に耐えているのだとしたら、もうとっくに、その心は折れていただろう
 だが、翼の周囲の人間達の支えが、翼の心を支えていて…それが、翼を朝比奈に屈服させようとしない
 周りに、ある程度だけとは言え相談できるようになった翼は、もう1人だけで全てを抱え込もうとはしないから

 朝比奈の、目的を達成する為には
 翼の存在が、必要不可欠なのだ
 日景の家の権力を、己のものにする為に
 ……あの家が所持しているはずの、都市伝説……「小瓶の魔人」を、手に入れて、それを操る為にも
 翼の存在は必要不可欠
 何がなんでも、己の下に置かなければならない

「…手間取らせてくれる…」
75以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/26(月) 20:18:59.96 ID:CGk6GiR00
このスレもよく落ちるし次から製作に立てた方がいいかも?
76悪意がざわめく:2010/04/26(月) 20:21:44.36 ID:ZWRg9hd/0
 思い通りに行かぬ状況に、朝比奈は忌々しげな表情を浮かべた
 翼が、自分の元に来ない
 …あの、黒服と、少女達と共に生活している翼
 あの、翼が家族と呼ぶ存在達が、翼を支えて、朝比奈の元には向かわせない

「……化け物共が…化け物と餓鬼如きが、私の邪魔をすると言うのか……!」

 忌々しげな、憎悪交じりの声 
 その瞳にも、強い憎悪が宿る

「…いいだろう……貴様等がその気ならば………翼を渡さぬと言うのならば……考えが、ある」

 …朝比奈の傍らで腰を下ろしていたクールトーが…顔を、あげた
 朝比奈の表情にリンクするように、邪悪に笑う

「……翼、後悔するがいい…………お前がこちらに来ないのならば……この街を、血の海に変えてやろう」


 今以上に
 この街をメチャクチャにしてやろう
 ほら、お前がこちらに来ないからだ
 お前のせいで、関係のない人間が傷つくぞ?死ぬぞ?
 それは嫌だろう?
 自分が傷つく事は平気だと言うのに、他人が傷つく事を酷く嫌っているからな

 さぁ、来い
 早く、私の元へ来い
 お前を一番うまく使ってやれるのは私だ
 お前は、私の管理下にあるべきなのだ
77悪意がざわめく:2010/04/26(月) 20:24:42.72 ID:ZWRg9hd/0



 お前が、あんな化け物などの元にいる必要など
 あるはずが、ないのだ




to be … ?
78以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/26(月) 20:28:01.92 ID:ZWRg9hd/0
ダークネス敗北直後の秀雄の様子でした
H-No.9がつかまった時とか死んだ時と反応違いすぎ罠
これは酷い

多分、この翌日の夕方辺りから何かやらかします
レッツ・決戦の時は近し

>>75
前々から言われてるけど、その度うやむやになってお流れになってるんだよね
なんだかんだで、VIPでどうにかなってるし
79以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/26(月) 20:29:09.62 ID:5inZP8iz0
読みにくぃ
80以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/26(月) 20:40:19.88 ID:ZWRg9hd/0
81以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/26(月) 20:40:59.34 ID:JkEPCgozP
うん
82以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/26(月) 20:48:49.50 ID:ZWRg9hd/0
みー
83以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/26(月) 20:54:13.93 ID:JkEPCgozP
うふふ…
84以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/26(月) 21:03:37.32 ID:ZWRg9hd/0
ネタ構想中ほ
85以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/26(月) 21:14:26.19 ID:ZWRg9hd/0
86以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/26(月) 21:24:14.91 ID:heBlaDxVQ
スレ立て&代理&投下乙ですー

PCでネタ書きつつ携帯で保守
87以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/26(月) 21:35:37.56 ID:ZWRg9hd/0
>>86
wktkしてるほ
88以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/26(月) 21:49:37.90 ID:ZWRg9hd/0
みゅ
89以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/26(月) 22:04:01.49 ID:E83wSG5t0
ho
90以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/26(月) 22:14:58.82 ID:ZWRg9hd/0
mo
91以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/26(月) 22:17:22.05 ID:heBlaDxVQ
no
92以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/26(月) 22:37:28.84 ID:zIsdiqSf0
ra
93以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/26(月) 22:41:26.77 ID:heBlaDxVQ
ta
94以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/26(月) 22:51:33.28 ID:zIsdiqSf0
みー
95以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/26(月) 23:00:52.99 ID:zIsdiqSf0
みーみー
96以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/26(月) 23:11:31.25 ID:zIsdiqSf0
ぬー、今夜中にもう一個投下したかったんだが、PCフリーズで消えたりなんだりで間に合いそうにない
おやすみなんだぜー

俺…明日、スレが残っていたら、朝比奈達に学校町でちょこっとだけ派手に悪さ開始させるんだ…
97以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/26(月) 23:39:06.99 ID:heBlaDxVQ
携帯だとアプリ切り替えが辛いほ
98以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/26(月) 23:57:50.88 ID:NX2S1nUY0
保守
99以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 00:27:04.50 ID:gMKPV9xOQ
寝る前干し湯
100以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 00:57:39.53 ID:Q0iRBd9g0
101以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 01:11:35.97 ID:9eorjCmd0
102以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 01:52:41.90 ID:Q0iRBd9g0
103以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 02:27:43.10 ID:Q0iRBd9g0
104以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 03:05:17.55 ID:9eorjCmd0
105以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 03:30:21.92 ID:Q0iRBd9g0
106以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 04:45:16.92 ID:Tu+Gtj13P
107以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 06:58:35.08 ID:CcHGpKZDO
108以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 07:23:35.60 ID:gMKPV9xOQ
109以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 07:26:07.19 ID:MZXXHSGj0
110以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 09:15:15.55 ID:jjuC+MCS0
ho
111以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 10:06:10.04 ID:gMKPV9xOQ
ほほ
112以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 11:37:58.81 ID:CcHGpKZDO
113以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 12:18:12.77 ID:8ky6s2e30
残ってたいやっほぅほ
114笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/04/27(火) 12:29:24.00 ID:8ky6s2e30
【拝戸直の人殺し 第六話「拝戸直は人恋し」前半】

生まれた時から人間は平等じゃない。
たとえば才能、たとえば環境。
努力じゃきっと埋められない差。
俺と同じ通りを歩いているあの赤いコートの男はまったく赤の他人だ。
俺と同じ通りを歩いているあの黒い服の男はまったくの他人だ。
彼らはきっと俺みたいに人殺しはできない。
でも彼らには彼らにしか出来ないことがきっと有る。
人ってなんて不思議なんだろう。
人ってなんて愉快なんだろう。
――――――――まぁ、死ねばみぃんな一緒だけどね。
俺の才能は全てをイコールにする才能。
死を振りまく才能。
神様が許してくれた創作行為。
俺はそれを存分に楽しみたいのだ。


115笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/04/27(火) 12:32:17.91 ID:8ky6s2e30
「題名【月と罪と土の下】。」

“私”の目の前には首吊り死体が有った。
この狂おしい月の明かりの下、私の目の前にいる人間は死を選んだのだ。
今回の作品には手がかかった。
まず誰もいない山の奥に人間を二人拉致監禁。
一人の首を落として地面に埋め、もう一人の首に縄をかけ、腕を縛り一日放置。
その間、相手と会話を交わすことは絶対にしない。
ただゆっくりゆっくり死にたい気分にさせるのだ。
このすばらしく悲惨で悲惨な惨状は爽やかな夜の風を血の香りで染めた。
胸一杯にそれを吸い込むと流石の私でも吐き気がする。
我が愛しのみぃちゃんはというとすでに卒倒しており、私の背中ですやすや眠っている。
口裂け女というにはあまりに愛らしい寝顔だった。
口が裂けたり裂けなかったりを繰り返すその姿さえ私の胸をときめかせる。
なんということだろう。
やはり私は彼女に勝る作品を作れないのだろうか?
いいや、そんなことはない。
彼女とともに創作活動を続ければいつかきっともっとすばらしい作品が出来るはずだ。
そうなったらその時こそ、私は胸を張って彼女に愛を告げよう。
たとえ作品として劣っていても、私の彼女への愛情は変わらないのだ!

誰もが気づいているとは思うが私こと拝戸直は世界一幸福な恋する殺人鬼なのだ。

116笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/04/27(火) 12:35:13.91 ID:8ky6s2e30
「―――――――――さて、帰るか。」

“俺”は作った作品をデジカメで撮影してから破壊すると、気絶したみぃちゃんを背負って山を下りることにした。
幸い夜とはいえ月も明るく、山道は大変歩きやすそうだったのである。
俺は月明かりがふんわり落ちてくる夜は、作品のことばかり考えている。
考えても考えてもつきることはないことは知っているが、月の美しい夜というのは死体が映えるのだ。
赤い月をにらむ生首。
朧月夜の水死体。
薄月の下の白骨。
青月に笑う轢死体。
残月が照らすバラバラ死体。
君はこの情景を想像できるだろうか?
どれもこれも死体が情趣にあふれた芸術作品に変わる瞬間だ。
ネクロでファンタシーな素敵ビューポイントだ。
君も一度殺せば絶対に解る。
あれは綺麗だ。
まさしくあれこそ文学と言うべき物だ。

「なーんて、話をすると泣かれるからやらないけどね。」

背中で寝ている愛すべき同居人を起こさないように俺は夜の山道を歩き続けた。
すると、もうすぐ山道も終わりというところに男が一人立っている。
気配から察するになかなか良い素材になりそうだ。
俺はその男を少し解して持って帰ることにした。


117笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/04/27(火) 12:39:35.15 ID:8ky6s2e30
ところで、自慢ではないが俺は人間を殺すのが得意だ。
初めて人を殺した時以来、出会った人間にもっとも似つかわしい死に様がなんとなく解るのだ。
それが実現されるように動けばおおむね相手は死体になっている。
抵抗する相手であってもそれは同じ、というかそんな相手を嬲るのも殺人鬼のたしなみである。
というわけで俺はみぃちゃんを背負ったまま男に接近した。

「あのー、すいませんが……。」

男は“私”に声をかける。
遠くてよくわからなかったが外国人らしい。
こんな夜遅くに山道を歩いているとは怪しい外国人だ。
私は口裂け女との契約で得た脚力を生かして男の心臓に一気に跳び蹴りを決めた。
ライフルのように鋭く狙い澄まされたつま先が男の胸を貫通する。
男は音もなく倒れた。
即死である。

「すいませんが、あなたがハイドさんですか?」

即死である。
そう私が判断したのに死体は起き上がって私に質問を繰り返す。
男は私の返答を待ちながら胸の傷に何かの薬を塗っている。
まったく、やれやれだ。
どうやら彼もまたまともな人間ではないらしい。


118笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/04/27(火) 12:42:32.53 ID:8ky6s2e30
「その通り、俺が拝戸直だ。番屋町のハイセンスでハイエンドな殺人鬼。
 絶賛売り出し中だからどうぞよろしくお願いします。」

こういう場合、嘘を吐くのは良くない。
こちらから正々堂々名乗り出てやろう。
案外、俺のファンという可能性がある。

「なるほど、ところでそちらの女性は?」
「ああ、俺の作品【口裂け女】。みぃちゃんって呼んでくれ。」
「みぃちゃん、なるほどねえ……。
 正直に答えていただいてありがとうございました。
 正直な答えには率直な質問で応えたいと思います。」
「質問?なんだいそりゃ。」

俺男は敵という雰囲気ではない。
俺の圧倒的人間観察眼がそれを告げてくれる。
俺に胸を貫かれていた時、確かにあの男は喜んでいた。
あれは想像以上の物を見つけられて喜ぶ人間がする顔だ。
間違いない。


119笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/04/27(火) 12:45:42.25 ID:8ky6s2e30
「えぇっとですね、私の友人の従妹が貴方に一度酷い目に遭わされたと聞いています。
 その友人が大変ご立腹でして、すこし貴方には活動を制限していてほしいんですよ。
 何も殺すなって訳じゃないんですが……。
 人間相手の殺し、とくに高校生を対象にした物はやめてもらいたいんです。
 もちろん、こちらも見返りは用意します。
 貴方の殺人ライフをより健やかにするための支援などの準備は整っています。
 私も貴方が殺人を自ら芸術と呼びライフワークにしているのは知っています。
 ですからできればダヴィンチやミケランジェロにスポンサーが居たように、私は貴方の支援者になりたいのです。
 そしてできれば友人として私の個人的な趣味の手伝いもしてほしい。
 了承していただけますかね?」
「つまりあの男装少女に関わるなってか。まあ、別に彼女への興味はもう無いしそれは良いが……。」

それにしても、だ。いきなり人殺しを助けてやろうなんて怪しすぎる。
それを行ったところでいったいこいつに何のメリットがあるのだろうか?
とはいえ俺をだまし討ちにかけるならもうとっくにかけているはずだし……。

―――――――うん、小賢しいことはやめだ。

「決めてくれましたか?」
「良いぜ。ただし条件がある。ハーメルンの笛吹きってあんた知っているか?」
「へ?そりゃまあ知っていますけど。」
「俺ってばあの人のファンでね、あの人との面会をセッティングできるんならその話に乗るぜ。
 返事は今すぐ頼む、もう疲れてへとへとだから速く家に帰りたい。」

相手にしないで適当にふっかけてお帰りいただこう。
これだけ無理難題を言えばこいつだって対応出来ないはずだ。
120笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/04/27(火) 12:49:02.11 ID:8ky6s2e30
「良いですよ。」
「へ?」
「ハーメルンの笛吹き、彼もまた私の友人です。
 貴方にお願いしたようなことと同じお願いをして協力してもらっていました。」
「いやいやいや、嘘だろう。」

こんな都合のいい話が有って良いわけがない。
だが目の前の男の筋肉、呼吸音、その他様々なところから判断する限り、少なくとも彼は嘘を吐いているわけではなさそうだ。
これでも俺は人一倍人殺しをしてきた殺人鬼だ。
人間の肉体に現れる微妙な変化から感情を読み取ることなんて簡単である。
だからこそ解せない。
俺の目の前にいる男は誰なのだ?

「まっさか、貴方に対して嘘を吐くわけにはいきませんよ。
 これから友人になってもらう人間ですもの。」
「……まあ嘘じゃないのは解るが、俺みたいな殺人鬼ばかり友人にしてどうしようと言うんだ?」
「殺人鬼だけじゃあないですよ、政治家、社長、変わり種ではプロスポーツ選手。
 私は一種独特な才能と精神の持ち主ばかりを捜しては友人になっているんです。
 言い忘れていましたが私も都市伝説の一種でして、名前をサンジェルマン伯爵と申します。
 以後、よしなに。」
「はぁ、よろしく。」

伝説上の貴人を名乗る男が俺の目の前にいる。
しかも彼は俺が殺しても死なない。
俺は段々その男に興味を持ち始めていた。
とりあえず俺はこの男の目的から調べてみることにした。
121笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/04/27(火) 12:52:25.31 ID:8ky6s2e30
「ところであんたはそういうアブノーマルな奴らを集めて何をする気なんだ?」
「世界征服しようかと思っています。」
「ほへぇ……、あんた暇人だね。」
「ええ。」
「あと、あんたの言う才能と精神って何?」
「世の中に天才って居るじゃないですか、アインシュタインとか。
 まさにあれです。
 私は世に出ない天才から世に出る天才、さらには世を捨てた天才まで手広く集めています。」
「じゃあ俺は何?人殺しの天才?」
「ええ、そんなところです。貴方以上に人を殺すことを楽しむ人間は私の知り合いには居ません。
 いや、もちろん生きている人間に限ればですけどね。」
「うれしいこと言ってくれるじゃないか。」

俺の芸術が多少なりとも解る人種らしい。
そのうち俺の秘宝館に案内してやろう。
あそこには目玉で作った数珠とか、人の皮膚を使ったジグソーパズルが有る。
きっと見せてやれば彼は喜ぶに違いない。

「じゃあ、あんたに一つだけ良いことを教えてやるよ。」
「何ですか?」
「俺はまだ一度も人を殺したことがない。」
「…………どういうことでしょう?」

サンジェルマンとやらはなかなか話のわかる奴らしい。
もしかしたら俺の話を理解してくれるかもしれない。
俺は誰にも話したことのない話を始めた。
122笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/04/27(火) 12:55:34.14 ID:8ky6s2e30
「そもそも、俺の定義する殺人とは芸術であり、文学だ。
 それは解っていただけたか?」
「まあ言葉の上では理解しています。」
「よし、それだけ解っているなら充分だ。
 芸術というのは発表されて人々の目に触れなければ意味がない。
 例えモナリザといえど発表されなければ子供の落書きと変わらない、と俺は思う。
 俺は人の命を奪うとそれで芸術らしき物は作るがそれを発表したことは無い。
 大抵、自分でその出来を楽しんだ後に破壊してしまう。
 陶芸家も不出来な作品は壊すだろう?
 だから俺は芸術作品を作っていない以上、人殺しは出来ていないんだよ。
 あれは只の殺戮で、虐殺だ。文学からは未だほど遠い。」

さて、解ってもらえただろうか?
まあ解ってもらえなくても話を聞いてくれただけで感謝するとしよう。

「…………さっぱり解らない。」

ですよねー。

「解らないですが、殺人=芸術、芸術の定義は誰かに評価されること。
 よって芸術の定義を満たさない殺人は殺人ではない。
 すなわち自分は人を殺していない。
 ってことで良いですかね?」
「解ってるんじゃないか。そんな感じだよ。」
「理解できていたなら幸いです。」

サンジェルマンはニコリと微笑んだ。
無邪気な微笑だった。
123笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/04/27(火) 13:00:31.82 ID:8ky6s2e30
「成る程、やはり貴方は変わっている。」
「そうなのか。」
「ええ、貴方とは良い友人になれそうだ。」
「そうかそうか、じゃあ次の質問良いかな?
 あ、あと車乗りながらで良いかな次の質問。」
「構いませんよ。」

とりあえず俺はサンジェルマンとみぃちゃんを車に乗せると会話を再開した。

「ところで俺が殺人の天才なのは良いんだが……、
 そうなると俺はハーメルンの笛吹きとキャラがかぶらないか?」
「いいえ、彼は人殺しの天才ではありません。
 さしずめ会話の天才、でしょうかね。」
「会話の天才?」
「彼は七カ国語をネイティブレベルで操れるんですよ。
 英語、ロシア語、中国語、スペイン語、フランス語、ギリシャ語。それに日本語。
 私もそこまでしか聞いたことがないけどもしかしたらほかの言語も操れるのかも。」
「それじゃあ只のスーパー通訳じゃないか。
 俺のあこがれた殺人鬼はそんなつまらない男なのか?」
「ふむ、ところでハイドさん。あなたは天才の定義ってなんだと思います?」
「天才の定義?考えたこともないよ。」

サンジェルマンはそれを聞くとにやにやと笑った。
どうやら持論を語りたくてしょうがないらしい。
124笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/04/27(火) 13:04:04.75 ID:8ky6s2e30
「良いですか、天才というのは普通の人間が一生かけても到達しない域に生まれながらに到達している人間です。
 人並みの努力で神の力の一部を手にすることの出来る人間の総称です。
 私はこれまで長い時間を生きてきました。
 その間いろいろ勉強したので世界のあらゆる言語を話すことが可能です。
 しかし、ハーメルンの笛吹きは私が生きてきた時間の数百、数千分の一で同じことができます。
 私が以前、ギリシャ語を教えた時など三日で基礎文法を全て体得し、
 その上で慣用表現は一週間で全て覚えました。
 あれは正しく誰かと話すために生まれてきたのでしょう。
 まあそれだけならもの凄い一般人ですが、
 彼の語る言葉は何故か人に強力な暗示作用を示す。
 只の人間であるはずの彼が、まるで魔法使いのように人を言葉で操れるのです。
 彼は只の人間で有るはずなのに、口先だけで都市伝説を倒したりもできるんですよ?
 これをスペシャルといわずになんと言うんでしょう?」
「ふぅん…………。なんだ、ハーメルンの笛吹きって殺人鬼じゃないみたいじゃないか。」

だとしたらとてもつまらない。
いかに彼が天才だろうとそれでは意味がないのだ。
次のサンジェルマンの言葉は俺を完全に落胆させた。

「ええ、そうですね。彼は殺人鬼じゃない。只の天才だ。」
「なんだ……。がっかりだよ。」
「んー、よく寝た……。ってあれ?私いつの間に車の中に!?」

突然目覚めたみぃちゃんが無性にうるさかった。
空気読め。
125以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 13:06:23.07 ID:LeCWHJWH0
面白そうだと思ったけどとても新規が入れるスレじゃないことはわかった
126笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/04/27(火) 13:07:33.18 ID:8ky6s2e30
みぃちゃんに適当に今までの経緯を説明する。
みぃちゃんはあまり納得が出来ていないようで首をかしげていた。
サンジェルマンはこれだから一般人は……みたいな顔していたがどう考えても異常なのはこの状況である。
訳がわからなくて当たり前だ。
ついでに言うならみぃちゃんは口裂け女である。
そんなことを考えながら俺の住むマンションに帰り着くと俺はサンジェルマンを秘宝館に案内することにした。
秘宝館はマンションの外に有るのだ。

「ああ、その前にですが……。」

マンションの外に出ると急にサンジェルマンが話を始めた。
いったい何だというのだろう。

「あなた、今でもハーメルンの笛吹きに会いたいですか?」
「え?そりゃあ、殺人鬼でも無いのにあれだけの殺戮芸術を行った人間に興味はあるが……。
 興味がないと言えばそれは嘘だが……。
 さっきまでの情熱は無いな。
 同じ殺戮を芸術として志す同志じゃないわけだし。
 まあー、つまらないかな、思っていたよりも。」

「そうかそうか、成る程ね。」

頬にピリピリとした感覚が走る。

「俺をつまらないと。うん、根性はすばらしい。」

その時俺が感じたのは紛れもない恐怖、俺は迷うことなく真後ろに飛び退いた。
127以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 13:08:23.49 ID:8ky6s2e30
>>125
そんな事ないよー
新規はいつでもウェルカムだ!!

難しく考えず、まずは書いてみないかい??
128笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/04/27(火) 13:10:37.26 ID:8ky6s2e30
「お初にお目にかかる、ハーメルンの笛吹きこと笛吹丁だ。
 もちろん偽名だが、気にせずに仲良くしてくれ。」

俺の正面には顔の左半分が焼けただれた男が居た。
何時からそこにいた?
サンジェルマンは慌てて笛吹と名乗ったその男を止めにかかる。

「笛吹さん、貴方はまだ動いてはいけないのですがね?」
「良いだろう?ここ数日でこれだけ治したんだ、許可しろ。」
「貴方を説得するのは骨が折れそうだし……。
 殺さないでくださいよ、彼は都市伝説同士の戦いには不慣れなんですから。」
「あんたが笛吹きか?」
「ああ、そしてサンジェルマンにお前を止めるように頼んだ人間さ。」
「従妹の敵討ちか?殺しちゃいないんだが……。」
「馬鹿言うな、敵討ちなんかで動けるほど立派な人間やってるつもりはねえよ。
 ただ単に、お前に対して少し興味がわいただけだ。」
男はコートの袖からたなびく包帯を腕に巻き直すと短刀を俺に向けて構える。
「確かに俺は殺人鬼じゃない。
 俺の殺人は手段であって必要にかられたものであって趣味じゃない。
 偽物だ。
 偽物だが……、それでもつまらないと言われるような物じゃない。
 腹立ち紛れも兼ねて、お前の芸術とやらで魅せてくれよ。」

いつの間にか頬に付いていた傷からの出血が止まらない。
何が殺人鬼じゃない、だ。
今俺に向けている眼はどうみても人殺しの眼じゃないか。
どうやら、かなり楽しめそうだ。
129笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/04/27(火) 13:13:42.48 ID:8ky6s2e30
「じゃあ胸を貸していただきます、先輩。」
「来いよ、俺は昔から面倒見の良い先輩で通っているんだ。
 なんならみぃちゃんとやらも呼んで良いぞ?」
「ふふ、女性は惨殺するもので戦わせるものじゃないです。」
「流儀に反する、か?」
「解っているんじゃないですか。」
「俺もアニメのバトルヒロインは嫌いだよ。そしてヒロインに戦わせる男はもっと嫌いだ。
 お前とは話が合いそうだ。軽く遊んでやるから後で酒でも酌み交わそうや。」
「良いですね、あなたとは中々すばらしい殺し合い(ブンガク)ができそうだ。」

懐から真っ赤な鋏を取り出す。
今まで何人も屠ってきた得物だ。
まあ本気でやっても中々死なないだろうと信じて、俺はそれで笛吹という男に斬りかかった。
【拝戸直の人殺し 第六話「拝戸直は人恋し」前半fin】


130以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 13:15:20.75 ID:8ky6s2e30
代理投下終了ー
まったり保守しつつネタ構想してますねっと
131以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 13:16:22.90 ID:LeCWHJWH0
>>127
色々語り合ってるのかと思ったらSSスレ以上にSSしかなくてちょっと引いた
132以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 13:17:21.88 ID:8ky6s2e30
>>131
今は規制されてる人も多いから、余計にそうなってるのが現状
規制厳しい時じゃなけりゃ、もうちょい語り合ってるよ
133以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 13:23:51.41 ID:CcHGpKZDO
雑談って避難所でしてる事の方が多いよね
134以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 13:25:10.65 ID:8ky6s2e30
>>133
本当…規制がな…
こっちでも人いる時ならわりと雑談してるような気がするんだけど


って言うか、こっちでも雑談したいです、先生
雑談しながらの方がネタ書きやすいし
135以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 13:31:34.53 ID:CcHGpKZDO
規制もアレだけど
そもそも昼間は人がそんないないから
「ほ」
とかばっかりに
136悪意が忍び寄りて  ◆nBXmJajMvU :2010/04/27(火) 13:44:19.75 ID:8ky6s2e30
 ……その日
 学校町は、いつもとちょっとだけ、様子が違った

 野良犬が行列を作って街から消えた謎の現象以降、久々に、野良犬の姿を学校町内で見かける事ができた
 しかし、その犬達は常に涎をだらだらたらし、様子がおかしい
 そんな犬達が、数箇所に、まるでグループでも作っているかのように固まっているのだ
 犬好きでも、近づく事を途惑ってしまいそうな程…それは、異常であった

 虚ろな目をした者達が、街中をふらついている
 その異常さを前に、誰もがそれらに関わろうとせず、一定の距離を保つ
 普段なら、こんな表を堂々と歩くのではなく、裏に潜んでいるはずのそれらが…ふらふら、ふらふらと
 何かを待っているかのように、街中のあちらこちらで、ぽつりぽつりと姿を見せていた


 何かが起きるのではないか?
 誰かが予感する
 何かって何だろう?
 それ以上はわからない

 危険な事が起きるのではないか?
 まさか、そんな事はあるまいて
 もし起こったとしても、自分だけは大丈夫

 皆、誰しもそう考える



 …くすくすと、女が笑う
 両腕が鳥の羽になっている女は、くすくす笑いながら歌う
 暗い暗い、その部屋には、録音された女の歌を聞かされ続けている「コーラにはコカインが含まれている」の支配型契約者が、虚ろな表情で椅子に腰掛けていた
137悪意が忍び寄りて  ◆nBXmJajMvU :2010/04/27(火) 14:01:13.31 ID:8ky6s2e30
「…それじゃあ〜〜〜、あなたもお願いねぇ〜〜〜〜?ご主人様のお役に経つ為の〜〜〜〜ぉ、道具として働いてもらうから〜〜〜〜〜ぁ♪」

 歌いながら、女は笑う
 この日、場所を変えて何度も繰り返す作業
 主の望みをかなえるために
 セイレーンの契約者、鳥井 静香は、残酷な命令をばら撒き続ける

「ご主人様の〜〜〜〜ぉ、息子さんに、こっちに来て貰う為に〜〜〜〜〜ぃ………この街に、犠牲になってもらいましょぉ〜〜〜〜〜〜♪」



 …その日、「リア充爆発しろ」の契約者たる坊池 一人に、彼の主から指令が来ていた
 ……本日、夕刻より……街中で派手に暴れろ
 好きなだけ、殺せ、と

「…いつも以上に、リア充共を爆発させればいい、って事か…」

 その指令に、坊池は笑う
 暗く、暗く、笑い続ける

 あぁ、今日はなんて素晴らしい日だろう
 リア充共を全滅させる勢いで殺していいって?
 あぁぁ、今日はなんて素晴らしい日

 よし、まずはこの街からだ
 まずは学校町から、リア充共を全滅させるのだ
 そうして、その内、世界中のリア充共を殺してやろう

『ソウサ、殺セ。りあ充ハミィンナ、オ前ノ敵ダ。殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ!!!!』
「あぁ、わかっている……みぃんな、殺してやる」
138悪意が忍び寄りて  ◆nBXmJajMvU :2010/04/27(火) 14:04:22.45 ID:8ky6s2e30
 坊池にとり憑いた悪魔の囁きが、坊池の狂気を加速させる
 あぁ、早くその時が来ないだろうか?
 坊池は楽しげに楽しげに、しかし、同時に暗く暗く、笑い続けていた



 あぁ、やっと、その日が来るんだ
 「タコ妊娠」契約者の藤崎 沙織は、この日が来た事を喜んだ
 翼を、こちら側に引き寄せる為に
 今日、大々的に動くのだと言う

「やっと、なんだ…やっと、日景君を、手に入れられるんだ…」

 くすくすくすと、沙織は笑う
 その彼女の回りでは、タコの苗床にされた女性や少女達が、虚ろな表情で横たわっていた
 …まだ、足りないだろうか?
 もっと、苗床が必要だろうか?
 半分以上タコ妊娠に侵食され、しかし、まだ辛うじて自我を保った思考で考える

「…日景君を、確実に手入れる為にも……うん………もっと、必要だよね……」

 必ずだ
 必ず、手に入れてみせる
 もう、後悔なんて、したくない
 想いを告げる事もできず、何も行動できないまま終わってしまうのは、もう嫌だ
 多少強引であろうとも、愛しい人を手に入れてみせる
 必ず、必ず


 藤崎 沙織は気づかない
139悪意が忍び寄りて  ◆nBXmJajMvU :2010/04/27(火) 14:08:53.63 ID:8ky6s2e30
 既に己が、決定的に間違った手段を選んでしまった事を
 藤崎 沙織は気づかない
 今回の計画が成功したところで、愛しい相手が己のものになる事はない事を
 藤崎 沙織は気づかない
 自分がいつ、捨て駒にされてもいいような状況に、陥っている事に



 ホテルの、その一室で
 ユニコーンの契約者であるヘンリー・ギボンヌは、相棒であるユニコーンにブラッシングしてやっていた
 ひひん、とユニコーンが気持ちよさげに声をあげる

「…さっき、ボスから指令が来たぞ」

 ……ひひん?

 ブラッシングしながらそう言って来たヘンリーに、ユニコーンが首をかしげる

「派手に暴れろ、だそうだ。今までみたくなるべく目撃されないように、じゃなくて、目撃されてもいいってよ」

 …ひひひん?

「あぁ、そうさ。つまり、ビッチ殺し放題」

 ひひん!

 尻尾を振り出したユニコーンに、ヘンリーは笑う

「そう、好きなだけ殺し放題さ」
140悪意が忍び寄りて  ◆nBXmJajMvU :2010/04/27(火) 14:12:23.71 ID:8ky6s2e30
 笑うヘンリーの表情は、暗い
 悪魔の囁きにとり憑かれ続けたが故の狂気が、彼を支配している
 ………が

「…だが、一つ問題がある」

 ひひん?

「いくらでも殺し放題、目撃されてもOK………だが!その現場を、乙女に見られる訳にはいかない!!乙女の心にトラウマを残す訳にはいかないからな!!!」

 ひひひひん!!

 こくこく、頷くユニコーン
 ヘンリーの意見に同意なようである

 ……この男、数年単位で悪魔の囁きにとり憑かれ、その心を深く侵食されながらも、乙女…処女に対する態度は、一環してこのままである
 悪魔の囁きであれど、そこだけは歪められなかったようである
 ある意味で褒めるべき意志の強さではあるのだが、なぜか褒めるのを途惑う事実である

「よって、俺たちは乙女にその現場を目撃されないよう、かつ、わりと目撃されるようにビッチを殺さなければならない。頑張ろうじゃないか、相棒」

 ひひん!!

 力強く頷いたユニコーン


 …しかし、同時に
 己の契約者の中に存在する、暗い、邪悪な気配に
 かすかに、ユニコーンは不安を覚えているのだった
141悪意が忍び寄りて  ◆nBXmJajMvU :2010/04/27(火) 14:16:22.33 ID:8ky6s2e30
 ぴこぴこと
 初期型のゲームボーイを弄る少年、竜宮 海造
 ゲームのなかにいるカイザーの技を調節し、回復の為のアイテムを集める

「今夜は忙しくなるからね。しっかり準備しておかないと」

 …ゲームの中で、カイザーが鳴き声をあげて、海造の言葉に答えた
 海造はそれが嬉しくて笑う

 今日、思いっきり暴れれば
 朝比奈 秀雄の目的が、達成されれば
 世界の何分の一かを、分けてもらえるのだ
 ならば、思いっきり、暴れてやろう

 海造は、一連の事をゲームのように考えている
 まだ、人の命の重さが、海造にはよくわからない
 だから、平気でこの残酷な事をやってのける
 そこに、戸惑いや躊躇はない

 …自分の命もまた、朝比奈 秀雄によってそれと同じくらいに…
 ……いや、それ以上に軽く見られている、その事実に
 海造は、気づかないままだ



 …彼らが、暴れ出す、その時が
 ゆっくりと、近づいている
                     to be … ?
142以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 14:18:31.74 ID:8ky6s2e30
朝比奈達大暴れ直前の様子をこそこそと
勘のいい人や都市伝説、都市伝説契約者は、嫌な予感を感じるかもしれません
143以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 14:37:54.03 ID:8ky6s2e30
144以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 14:58:38.51 ID:8ky6s2e30
145以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 15:18:37.12 ID:8ky6s2e30
146以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 15:39:23.84 ID:8ky6s2e30
147以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 16:00:43.51 ID:8ky6s2e30
148以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 16:21:17.18 ID:8ky6s2e30
149以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 16:43:05.65 ID:8ky6s2e30
や                            夕食後もスレが残っていますように
150以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 17:01:38.03 ID:9eorjCmd0
乙でしたー!
本格的に動き始めましたか!
一番救われなさそうなのが藤崎だなあ……
≪悪魔の囁き≫が実体化する条件って何かあったっけ?
151以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 17:20:11.01 ID:MZXXHSGj0
投下乙でした〜
152以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 17:54:03.18 ID:9eorjCmd0
153以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 18:35:14.65 ID:9eorjCmd0
154以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 19:06:18.86 ID:KW5x2LMC0
規制解けろおおおおおおお!
155以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 19:07:17.80 ID:KW5x2LMC0
というわけで規制が解けていたのでここで雑談でもしてみようかしら。
誰か居ないのかしら。
156以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 19:24:39.14 ID:9eorjCmd0
(゚д゚)ヨンダ?
157以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 19:30:45.29 ID:1gdpR5TY0
>>150
実は、実体化には特に条件ないです
ただ、ある線以上までとり憑いた相手の心に入り込めてないと、デビ田みたいなちんまい姿で実体化するから、弱そうに見えるうえに実際打たれ弱いよ!!

>>155
ごちそうさました俺が惨状
158以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 19:35:34.81 ID:jjuC+MCS0
久々に単発を投下してみようと目論んでいる俺参上!

で、雑談のネタはなんだい?
159以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 19:36:01.19 ID:9eorjCmd0
>>157
打たれ弱いのか……
打たれ弱いのかwwww
160以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 19:38:19.30 ID:1gdpR5TY0
>>158
単発wktk
俺も単発の構想はあるが、どう考えても投下できないネタスレ行きの内容だから困る

>>159
って言うか、ある程度大きく育っていても打たれ弱いよ!!
所詮、戦闘向きじゃないしね!!

悪魔の囁きの外見が悪魔を連想させる外見なのは、名前に関連してってのもありますが、恐ろしい外見で相手を威嚇するって意味もあります
まぁ、見掛け倒しなんだがな!!
161以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 19:39:53.03 ID:9eorjCmd0
よし、単発wktk待機だ!
162以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 19:43:44.66 ID:KW5x2LMC0
うわ、いつの間にか人来てたw
ネタ何にしようkしら
163以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 19:46:05.00 ID:1gdpR5TY0
>>162
ネタがないなら雑談しながらネタ考えようぜ!
164以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 19:50:10.93 ID:KW5x2LMC0
>>163
そだねー。
いや、あまりにも雑談がなさ過ぎると言われたからその通りだなあと思ってさ。
165以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 19:52:19.69 ID:1gdpR5TY0
>>164
スレたて直後の代理投下中とか、大規模規制中とかはどうしても雑談がないからなぁ
俺は、代理投下中でも人がいれば、メ欄つかって雑談するが、人いない時はもくもくと代理投下するしかないし
166以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 20:02:25.61 ID:9eorjCmd0
>>160
打たれ弱いのかw
167以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 20:02:52.35 ID:KW5x2LMC0
>>165
だよねえ。
雑談見てる人はどんな雑談してたらおもしろいかしら。
制作秘話とか語ればいいのかなあ?
168以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 20:03:02.54 ID:jjuC+MCS0
やっべ、単発のタイトル決めてなかったwww
もういいや、単発だしw

10レス以上なんで、雑談しながらの支援求む!
169以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 20:04:00.33 ID:1gdpR5TY0
>>166
打たれ弱いってかむしろ弱いよ!!!

>>167
どんな雑談だろうなぁ

少なくとも、俺には制作秘話らしい制作秘話はないから困る
何か買い物の最中に突然思いついたとかそんなんばっかりで
170たんぱつ!:2010/04/27(火) 20:05:23.62 ID:jjuC+MCS0

『私は、彼との契約を解除した方が良いのではないだろうか?』

最近の自分はこの事ばかりを考えている。
いつからだろう……こんな風に思う様になったのは……。

15年
共に過ごした時間は、気付くと15年にもなっていた。

思い返す……
私があの男と契約したのは、男がまだ子供の頃で……
小学生、それも低学年の頃の男はとても可愛らしく、同時にひどく弱々しかった。

都市伝説に狙われていたところに、たまたま通りがかり、何となく助けに入り

『ねぇ、君……私と契約してみない? そしたら、助けてあげられると思うのよね。』

契約を結び、相手を撃退した。

テンプレートの様な出会い。
171以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 20:06:35.11 ID:1gdpR5TY0
>>168
了解、支援していくんだぜ!!
172以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 20:06:51.76 ID:9eorjCmd0
タイトルww支援
173たんぱつ!:2010/04/27(火) 20:07:07.68 ID:jjuC+MCS0
以降、私は自然と彼を守る様になる。

私に力を与えてくれる契約者であるという事も守る理由のひとつではあったが
彼自身には何の力も付与はされなかったというのが、その主な要因だったのだろう。

契約者は、契約により身体能力が高まるという例があるらしいのだが
私たちはその例から漏れてしまったという事だ。

特別、どうという事もない。
私が守れば良いというだけの事……
私には、彼を守るに十分な程の力が与えられているのだから。



小さな頃の彼はオドオドしていて、イジメの対象になる様な子だった。
ひどくイジメられた次の日は、登校を拒否する事も度々あった。

都市伝説たちに狙われる事もあった。
私は、ただ守っていた。

その後も色んな事があった。
数え切れない程の出来事……それでも、確かに思い出せる。

少しずつ、彼は成長し……
徐々にだが、守る必要もなくなって行った様に思う。
174以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 20:07:23.69 ID:KW5x2LMC0
たんぱつ!
思わず歌い出したくなるなw
175たんぱつ!:2010/04/27(火) 20:08:21.22 ID:jjuC+MCS0
そんな彼も、今では普通の社会人だ。
朝から晩まで普通に仕事をして……本当に、普通の大人になった。
社会人になって3年目、仕事にも慣れて充実した日々を送っている。

最近ではあまり会話もしない。
最後に話をしたのは、いつだっただろうか。

普通の生活を送る彼に……
果たして、私という非日常は必要なのだろうか?
もう、契約を解除すべきなのではないだろうか?

そんな風に思う様になっていた。
この15年という歳月が、自分を変えたのかもしれない。

今日こそは、今日こそは……そう思い、ずるずるとここまで来た。
でも……
今日こそは本当に、契約解除の話を切り出そうと心に決めている。

以前、ある仕事で知り合った都市伝説に……
ソイツは本当に、胡散臭くて変態な都市伝説なのだが……

『全く……何を悩んでいるのか知らんが……キミらしくもない
 ガツンと言ってやれ、その方がお互いの為になるのだろう?』

悔しい事に、アイツの言葉に背を押され、心を決めた。

アイツにまともな事を言われると、何故か腹が立つ。
これ以上、言わせておくワケにもいかないと思ったのも要因ではある。
176以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 20:09:04.28 ID:1gdpR5TY0
タイトルがwwwwwwwwwwwww支援
177たんぱつ!:2010/04/27(火) 20:09:28.31 ID:jjuC+MCS0
世間はゴールデン・ウィーク

天気は晴れ、快晴だ。
この寂しい気持ちには似つかわしくない天気の様にも感じる。

彼は今日、休みで家にいる。
すぐ目の前のソファーに座り、一人でテレビを見ている。

「ねぇ、少し……話があるんだけど……いいかしら?」

振り向く彼。
私の表情を見て、首をかしげ、その後、すぐにテレビの電源を切る。

「いいよ。」

大事な話だと分かってくれた様だった。

「外で話しましょうか……いい天気だし……」
「そうだね。」
「じゃあ、少し歩いて公園まで行きましょう。」

歩いて15分くらいはあったはずなのに、公園へはすぐに着いてしまった。
時間の感覚が麻痺しているのかもしれない。
178たんぱつ!:2010/04/27(火) 20:10:36.29 ID:jjuC+MCS0
公園にあるベンチに並んで腰を掛け、お互いに前を見る。

「私、アンタとの契約を解除しようと思うの。」

キッパリと言う。

彼がどんな反応をするのか、興味があった。

驚いたという表情をするのだろうか?
寂しいという表情をするのだろうか?
どんな表情をするのだろうか?

でも、返ってきたのは……

「そうか……やっと……やっと、契約を解除してくれるんだ。」

予想していたものとは大分違う言葉
期待していたものとは大分違う言葉

浮かんだ表情は、安堵……
私との契約が解除されるのを待ち望んでいたという事だろう。
179以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 20:12:00.11 ID:1gdpR5TY0
しえーーん
180たんぱつ!:2010/04/27(火) 20:13:13.91 ID:jjuC+MCS0
そうか……やはり、私は……
彼の日常に影を落とす存在だったのだ。

でも、これが当然の結果だとも思う。
普通に考えたら、都市伝説なんてものは邪魔にしかならない。
だからこそ、契約解除について考え続けていたのだ。

「ええ、解除しましょう。私はもうアンタには必要ないと思うの。」
「必要ない……そうだよね……俺にはもう、貴女は必要ないんだ。」
「分かってくれるのね……」
「ああ、分かってると思うよ。」
「そう……良かったわ……」
「あれ?ひょっとして嫌がると思ってた?」
「え?……そんな事……ないわよ……」
「だよね……俺だって、もう子供じゃないんだからさ。嫌がったりしないよ。」
「そうね、随分……成長したわよね……もう、大人なのよね……」
「そうだよ……だから、もう必要ないんだ。」
「ええ、そうね……必要ないわね。」

人間の言葉がこんなに重く感じるとは
私は、随分と弱くなったものだと思う。
181たんぱつ!:2010/04/27(火) 20:14:06.94 ID:jjuC+MCS0
明るい表情で彼は続ける。

「ねぇ、口裂けお姉さん……」
「何?」
「俺ね、ずっと考えていたんだ……」
「何を?」
「口裂け女の都市伝説ってさ……子供達を怖がらせる話だよね……」
「そうね……」
「でも、それってさ……怖がらせる事によって……
 寄り道せずに、遅くならない内に、家に帰すのが目的だっていう話があるよね?」
「そうね……そんな話もあったわね。」
「俺さ……この話、信じてるんだよ。」
「そう……」

何でこんな話をするのか、この時の私には理解できなかった。

「それで、思ったんだ。」
「……」
「俺が信じたこの話……口裂けお姉さんにも影響を与えているかもしれないって……」

私はただ、無言で、彼の言葉を待つ。
182以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 20:15:48.41 ID:1gdpR5TY0
口裂けお姉さんってもしや支援
183たんぱつ!:2010/04/27(火) 20:16:00.47 ID:jjuC+MCS0
「もし、影響を与えているとしたら……

 俺みたいな役立たずの契約者と……何で、ずっと一緒にいてくれるのか……

 それはきっと……俺が役立たずで弱い子供のままだからなんだと思う。

 だから……

 小さい頃、苛められてた俺が、それに耐えられる様な心を持って

 もっと、もっと、成長して、成長して……

 他人に迷惑をかけない様な、ちゃんとした男にならないと……

 そうやって……俺がしっかりしていかないと……

 口裂けお姉さんが、安心して俺との契約を解除できないんじゃないかってさ。

 じゃないと、他の子供達の事を見てあげられないんじゃないかって。

 だから俺……そう考えてから、ずっと頑張って来たんだ。

 もう大丈夫だねって、契約を解除しようって言ってくれる日を……

 ずっと、待ってたんだ。」
184以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 20:17:00.86 ID:9eorjCmd0
となると変態って……!
185たんぱつ!:2010/04/27(火) 20:17:43.32 ID:jjuC+MCS0
だから、契約解除をあんなにも喜んでいたのか……
と、そう理解した。

今度は理解できた。

そして、私は思う。
彼の言っている事が、正しい様な気がする……と。

私はこの時をずっと待っていたのだと、そう思う。

人間の言葉がこんなに重く感じるとは
彼は、随分と強くなったものだと思う。

「大人に……なったわね……本当に……見違えるくらい……本当に……」

「うん、ありがとう……俺さ……昔、月曜日が怖かったよ……情けない話だけどね。
 でも、そういう時に、お姉さんが言ってくれた言葉があるんだ。
 憶えてるかな?俺も正確に憶えてるわけじゃないけどさ。」
186以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 20:18:03.53 ID:1gdpR5TY0
支援!!
187以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 20:30:29.43 ID:KW5x2LMC0
支援
188たんぱつ! (代理):2010/04/27(火) 20:37:33.08 ID:1gdpR5TY0
『確かに、月曜日は憂鬱ね。

 嫌な事があるかもしれない。

 そう思うと、脚も、胃も、重くなる。

 でも、今までの人生を振り返って見て、楽しい事もあったでしょ?

 月曜日は、そういう事が起こる日かもしれないし

 少なくとも、楽しい事が出来るチャンスがある日なのよ。

 これはね、言うなれば、宝くじみたいなものよ。

 だから当選発表があるまでドキドキしていればいいの。

 はずれたっていい、気にする事ないわ。

 また、次があるもの。また、チャンスがあるもの。

 ほら、月曜日って何だかワクワクしてこない?

 家に引き篭もってるだけじゃ、絶対、そのチャンスは巡って来ないの。

 分かるでしょ?

 さあ、行ってらっしゃい。

 嫌な事からは、私が助けてあげるわ。』
189以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 20:41:12.15 ID:jjuC+MCS0
サル解除されたかな?

けど、代理支援だ!頼みます!
190たんぱつ! (代理):2010/04/27(火) 20:41:23.46 ID:1gdpR5TY0
「憶えてるわ……でも……」

学校を休まれると、一日中、相手をしなくてはならないから……
面倒だなって思って、考え出した言葉だった。

でも、そんなこと……今更、言えないか……

「良い言葉だと思うんだ……今でも、これを支えにして乗り越えてる。」

まぁ、私らしい言葉だった様にも思う。

「私、アンタが嫌がる様な事があっても……」
「そうだね……一度も助けてくれなかったんだよね。」
「ふふ……そうね。」
「でも当時は、騙されたって思いながらも、同じ事を言われると今度こそって思ってた。」
「まぁ、いいじゃない……そのお陰で今のアンタがあるのよ。」
「認めたくない様な気もするけどね。」

そう言って、笑い合う。
快晴には、こんな笑顔が似合う。

けれど、やらなければいけない事がある。

「じゃあ、そろそろ……解除しましょうか……」
「分かった……やろう……俺は、どうすればいい?」
「私の言う事、する事をそのまま受け入れてくれればそれでいいの」
「分かった、契約の時と同じだよね……」
「ええ」
191以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 20:42:01.71 ID:jjuC+MCS0
自分を支援だ
192以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 20:45:31.43 ID:9eorjCmd0
しえん
193たんぱつ! (代理):2010/04/27(火) 20:45:40.53 ID:1gdpR5TY0
私は、右手で彼の頬を撫でながら、見つめ……爪先立ちになり、軽く抱擁する。
そして、彼の耳元でそっと囁く。

「両者の同意をもって、我、汝との契約を解除する。」

彼も静かに、後を追う。

「我、汝との契約を解除する。」

ふつ、と何かが切れる音が聞こえた様な気がした。

「これで、おしまい……」
「うん……今まで、確かに繋がってたんだって感じたよ。」

繋がりが切れた事よりも、繋がっていた事を改めて意識した。

「そうね……私も、そう感じたわ。」

もう一度、彼の頬を撫でながら見つめる。

「背……高くなったわね……」
「うん……」

「体つきも逞しくなった……」
「うん……」

「私がいなくても、もう大丈夫ね……」

「……うん」
194以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 20:47:21.41 ID:AOoIsGi80
どうでもいいが
「きゃっうふふ」じゃなくて「きゃっきゃうふふ」だからな
次からは間違えるなよ小僧
195以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 20:49:13.15 ID:jjuC+MCS0
>>194
そう思ってはいたが、放置プレイしてた!
196たんぱつ! (代理):2010/04/27(火) 20:52:32.56 ID:1gdpR5TY0
すっ、と爪先立ちになり
マスク越しに、口づけする。

ほんの僅かな時間
一瞬だけ、時間が止まった気がした。
でも、一瞬だ。

「じゃあね、さよなら。」
「……あ……ああ……元気で……」
「寄り道しないで、帰るのよ?」
「……分かってる……遅くならない様に帰るから大丈夫。」

私は全てを振り切って踵を返し
振り向かず
彼の家とは反対へと歩を進める。

彼の歩き出す気配が感じられた。
遠のいて行く。
追っては来ない。

さよなら。

こんな形の契約解除もあるのだな……
と、この時……何となく思った。
197たんぱつ!:2010/04/27(火) 20:54:08.18 ID:jjuC+MCS0
行く当てもなく歩き続けると、前方には見知った顔。
アイツだ。
知り合いの都市伝説。

「ひょっとして、見てた?」
「見てたねー、全部見てたねー。」
「死にたいの?」
「……すまんすま……いや……すみませんでした。」
「まぁ、いいわ……今日のところは許してあげる。」
「ぶたれたり、なぶられたりするのは、むしろ歓迎だったんだが……死ぬのはちょっと。」
「やっぱ、死んどく?」
「……本当に、すみませんでした。」

これでも、心配してくれているのだろう。
でも、そう思うと無性に腹が立つ。

まぁ、いいわ
今日は、気分が良い……。

「ねぇ……私、綺麗だった?」

確かな声で、力強く

「ああ、綺麗だった! イイ女だったと思うぞ!」

知り合いの都市伝説は、そのどこか人懐こい顔を私に向けて返答した。
198たんぱつ! (代理):2010/04/27(火) 20:56:00.22 ID:1gdpR5TY0
行く当てもなく歩き続けると、前方には見知った顔。
アイツだ。
知り合いの都市伝説。

「ひょっとして、見てた?」
「見てたねー、全部見てたねー。」
「死にたいの?」
「……すまんすま……いや……すみませんでした。」
「まぁ、いいわ……今日のところは許してあげる。」
「ぶたれたり、なぶられたりするのは、むしろ歓迎だったんだが……死ぬのはちょっと。」
「やっぱ、死んどく?」
「……本当に、すみませんでした。」

これでも、心配してくれているのだろう。
でも、そう思うと無性に腹が立つ。

まぁ、いいわ
今日は、気分が良い……。

「ねぇ……私、綺麗だった?」

確かな声で、力強く

「ああ、綺麗だった! イイ女だったと思うぞ!」

知り合いの都市伝説は、そのどこか人懐こい顔を私に向けて返答した。
199たんぱつ! (代理):2010/04/27(火) 20:57:05.11 ID:1gdpR5TY0
世間はゴールデン・ウィーク

天気は晴れ、快晴だ。
この寂しい気持ちには似つかわしくない天気の様にも感じる。

だけど、こんなに胸いっぱいに寂しさを詰め込むと
なんだか、満たされた様な気にもなるから不思議だ。

「さて、私には……これからも子供達を導く仕事が待ってるのよね。」
「そうだな」
「さしあたって、まずは……何をすれば良かったのかしら……」
「Q&Aの続きだろうな」
「ああ、そうね……wikiのご新規さん向けガイドライン……完成させないといけないわよね」
「うむ」

人面犬と私は、花ちゃんの待つ学校へと向かう。
次はどんな話が待っているのだろうか。

少なくとも、楽しい話が出来あがる可能性が、ゼロではないのは間違いない。
書かずに待っているだけじゃ、絶対、その可能性はゼロのままだ。

「さあ、今日もやるわよ!」

私は口裂け女

15年という歳月が、契約者の想いが、私の都市伝説としての存在意義を変えた。

どうやら今は、子供達を導く存在らしい。

【END】
200たんぱつ!:2010/04/27(火) 20:57:13.42 ID:jjuC+MCS0
世間はゴールデン・ウィーク

天気は晴れ、快晴だ。
この寂しい気持ちには似つかわしくない天気の様にも感じる。

だけど、こんなに胸いっぱいに寂しさを詰め込むと
なんだか、満たされた様な気にもなるから不思議だ。

「さて、私には……これからも子供達を導く仕事が待ってるのよね。」
「そうだな」
「さしあたって、まずは……何をすれば良かったのかしら……」
「Q&Aの続きだろうな」
「ああ、そうね……wikiのご新規さん向けガイドライン……完成させないといけないわよね」
「うむ」

人面犬と私は、花ちゃんの待つ学校へと向かう。
次はどんな話が待っているのだろうか。

少なくとも、楽しい話が出来あがる可能性が、ゼロではないのは間違いない。
書かずに待っているだけじゃ、絶対、その可能性はゼロのままだ。

「さあ、今日もやるわよ!」

私は口裂け女

15年という歳月が、契約者の想いが、私の都市伝説としての存在意義を変えた。

どうやら今は、子供達を導く存在らしい。

【END】
201以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 20:59:29.46 ID:1gdpR5TY0
代理終了ー!!!
って、あるぇ、後半被っちゃったね
申し訳ないんだぜorz


とまれ、たんぱつ!の人、乙でありました!!
口裂けおねーさんにこんな過去があったとは…!!
202以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 20:59:36.44 ID:jjuC+MCS0
orz……すまん

以上

契約者:のび太
都市伝説:口裂けおねーさん

でした!
203以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 21:00:23.62 ID:9eorjCmd0
おつでしたー
まさかの口裂けお姉さんに泣いた
そしていつもwiki編集乙です!
204以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 21:04:35.46 ID:1gdpR5TY0
>契約者:のび太

ちょっと待てwwwwwwwwwwwwwww
205以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 21:07:51.46 ID:KW5x2LMC0
のび太かよwwww
206Wiki”管理”人 ◆wiki//UC.I :2010/04/27(火) 21:09:31.54 ID:jjuC+MCS0
>>204-205
えっ?!

のび太『僕がしっかりしなきゃ、ドラえもんは安心して未来に帰れないんだ! 』

えっ?!
207以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 21:11:15.41 ID:1gdpR5TY0
>>206
>のび太『僕がしっかりしなきゃ、ドラえもんは安心して未来に帰れないんだ! 』

ある意味そんな感じな内容ではあったけどさぁwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
208 ◆wiki//UC.I :2010/04/27(火) 21:15:58.72 ID:jjuC+MCS0
>>207
>ある意味そんな感じな内容ではあったけどさぁwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

うん、パクったんだ

制作秘話ってやつだね!
209以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 21:18:31.36 ID:9eorjCmd0
どストレートな制作秘話ww
しかしこの契約者つまり幼馴染な女の子の風呂を覗く天運にめぐまれているということか……
210以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 21:20:28.14 ID:1gdpR5TY0
ストレートに告白するなwwwwwwwwwwwwwwww

>>209
>しかしこの契約者つまり幼馴染な女の子の風呂を覗く天運にめぐまれているということか……
ある意味羨ましい天運だなおいwwwwwwww
211以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 21:33:51.60 ID:1gdpR5TY0
みー
212以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 21:40:25.19 ID:jjuC+MCS0
野比のび太

特技:射撃

早撃ちではプロの殺し屋(ギラーミン)に一騎打ちで勝っている
初対面であるギラーミンの技量を一目で見抜き、長期戦は不利と悟り一瞬で片を付ける気で勝負した。

ヤドリの親玉が憑依した巨大ゴーレムにわざと掴みあげられ、ヤドリがゴーレムから飛び出して
襲いかかってくる瞬間を狙撃して倒すなど、子供とは思えない度胸と実力を発揮している。

1個の空き缶にピストルの弾丸6発を空中で全弾命中させるという離れ技も見せている。


のび太、カッコよすぐるwww
213以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 21:43:48.86 ID:1gdpR5TY0
>>212
こうやってみると凄い奴に思えるから困るwwwwwww


そう言えば、某webサイトのドラえもんパロののび太は、これにくわえてあやとり技でも戦闘できるやつになっていたようなwww
214以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 21:55:15.56 ID:1gdpR5TY0
ネタ構想中ほ
215以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 21:55:41.12 ID:gMKPV9xOQ
口裂けお姉さんの誕生秘話か
彼女にもいろいろあったんだね…

のび太は銃使いと糸使いの属性を持ってるからなぁ
どのパロでも戦闘能力が高すぎるwwwww
だがそれがいい
216以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 21:55:49.96 ID:KW5x2LMC0
弦術師野比のび太……
あれ、なんか格好良い
217以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 22:01:54.83 ID:jjuC+MCS0
SSスレだとのび太は強くてクールだったりするから困る。

弱いイメージが固定されているはずなのに
強くても受け入れてしまう上、何か魅力的なんだよな。

あと、出来杉と絡むSSが結構好きだ……
のび太が出来杉に欲情する話とかなんだけどな!
218以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 22:05:43.79 ID:1gdpR5TY0
>>217
あ、SSスレじゃないってか2ちゃん外でのドラえもんパロの話だけど
出来杉が女装少年でのび太にほれてる話なら知ってるぜwwww
あの話ののび太は色々最強すぎて困るwwwww
219以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 22:09:53.65 ID:jjuC+MCS0
>>218
「○○えも」 ですね、わかります。

今、久々に見に行ったらまだ続いてるとか凄過ぎるなwww
220以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 22:20:51.13 ID:1gdpR5TY0
>>219
あそこは色々と凄いからなぁwwwwww
はいてないギガゾンビ萌え
221悪意が動く  ◆nBXmJajMvU :2010/04/27(火) 22:35:00.38 ID:1gdpR5TY0
 カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ
 キーボードを叩く音が、その広い部屋に響き渡る
 その部屋は、「組織」上層部メンバーの一人にあてがわれている部屋だ
 能力の関係上、めったに前線に出られない彼、G-No.0は、そこで軟禁状態に陥っているに近い
 そのせいか、その部屋は「組織」本部の中でありながら、完全に生活スペースになっていると言う奇妙なスペースでもある
 そんな部屋の中で、パソコンの前に座り、彼はキーボードをひたすら叩いていた
 末端メンバーからの報告に目を通しながら、学校町内で朝比奈 秀雄が潜んでいると思わしき場所を探し出す
 書類仕事は全滅な彼だが、情報処理能力は高い
 普段仕事をしない…と言うより、させてもらえない分、本来ならもっと下の者がやるべき仕事を、自分に適任だからと勝手に引き受けていたのだ
 カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ………

 −−−−ッタン

「……見つけた!」

 やや興奮した声をあげるG-No.0
 この場所は……繁華街の端っこ辺り、か
 こんな場所に、堂々と潜んでいたとは…

 とりあえず、連絡をせねば
 G-No.0は同じ穏健派メンバーであるH-No.0に連絡を取ろうとして

「……ん?」

 直後、入ってきた報告に…眉をひそめた

「…おいおい。やっと見つけたってのに……あちらも、ちょうど動き出す所だったとでも言うのか?」


222悪意が動く  ◆nBXmJajMvU :2010/04/27(火) 22:39:34.44 ID:1gdpR5TY0

 時刻は、夕刻6時を半ばほど回った頃
 それらは、ゆっくりと動き出していた

 ーーーぉぉぉぉん、と、どこからか響く、遠吠え
 それに答えるように、だらだらと涎を垂らした犬達が……路地裏から、表通りへと出ようとしている
 ギラギラと、その瞳は、獲物を狙う眼差しで表通りを歩く人間達を見つめていた
 表通りを歩く人間達はその狂気に気づかない

 犬達が、一斉に表通りへと駆け出そうとした
 その、瞬間

 どぉん!!と
 爆発音が、響き渡った

「うわっ!?」
「きゃぁっ!?」

 −−−きゃいん!?

 路地裏と表通りの、その中間辺り
 そこにあった、消火栓が…突然、爆発したのだ
 何か、すぐ傍にあった爆発物が、消火栓を巻き込んで爆発したらしい
 それによって、辺りに水が撒き散らされる
 その水に、犬達は怯えて、表通りに出る事はできなかった

 同時に
 その爆発音に驚いたことで…何者かの支配を脱したのだろうか
 統一された動きから、勝手バラバラな動きへと変化していったのだった
223悪意が動く  ◆nBXmJajMvU :2010/04/27(火) 22:44:41.38 ID:1gdpR5TY0

 …ほっと、恵は息を吐く
 スーパーハカーが見せてくる、表通りを映す監視カメラの映像を見て…ひとまず、クールトーに操られた犬達が、表通りに出る事を阻止できた事を確認したのだ
 …消火栓を壊してしまったのが、少し、申し訳ない

「…連中、動き出したか」
「……くけっ」

 辰也の呟きに、恵はこくりと頷く
 昼間、買い物に出ていたマッドガッサーと葵が、妙な集団を見かけた
 コーク・ロアに操られているようではあったが…今までのように人を襲いはせず、潜むような動きをしていた集団を
 …何か、おかしい
 違和感を感じ、警戒をしていたら…案の定
 本格的に、学校町で暴れ出すつもりだったらしい

「…誠、たち……大丈夫、だろうか?」
「大丈夫だろ。あいつらがそう簡単に負けるか」

 心配そうな恵に、そう言ってやる辰也
 ……自分がするべきことは、恵を護ることだ
 小さな空きビルの、階段の踊り場
 自分にとって、もっとも戦いやすい、その場所で
 辰也は、心配そうにスーパーハカーが見せてくる街の監視カメラの映像を確認している恵を見守るのだった



 街中に散らばっていた、コーク・ロアに操られた被害者達が…一斉に、暴れ出した
 自分達を操っている存在からの指令を感じ取り、一斉に動きを見せる
 襲え、暴れろ
 単純な指令を果たそうと…彼らは、まずは視界に入ってきた青年と少女に襲い掛かった
224以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 22:46:52.59 ID:L/DZENYh0
どうせパー速でやらねぇんだからせめてsage進行にしろや
気持ち悪いんだよ
225以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 22:48:11.71 ID:Q0iRBd9g0
しえんするぞ
226悪意が動く  ◆nBXmJajMvU :2010/04/27(火) 22:50:05.35 ID:1gdpR5TY0
 ヴェールを纏った少女は、彼らの動きに素早く気づき

 ニヤリ、笑った

「ぎゃっ!?」
「ぐがっ!!??」

 コーク・ロアの被害者達の体が、一斉に殴り飛ばされた
 少女の姿は、何時の間にか2mほどの巨大な人狼に姿を変えており
 その元少女の隣に立っていた青年は、くるり、身軽な動きで宙に跳びあがり、襲い掛かってきた相手の頭上を飛び越える
 そのまま着地し、周囲の相手を一瞬で殴り倒した

「…駄目だ、全然駄目だな。いくら身体能力を強化しようが、元が駄目じゃあ雑魚のままだ」
「まったくだな」

 誠と、マリ・ヴェリテ
 コーク・ロア被害者達の動きを警戒していた二人
 いつでも戦える状態でいて、正解だったようだ

「…あのおっさん。これ以上、翼を苦しめようってのか…」

 ぼそり、誠が憎悪交じりの声で呟く
 おおっぴらに暴れ出したコーク・ロアの被害者達
 今まで以上に、街に被害をもたらす事だろう

 …それを知れば
 朝比奈 秀雄が、己を苦しめる為に悪事を重ねていることを知っている翼が、どれだけ苦しむか

「…で、どうすんだよ、誠。ここまで大規模に相手が暴れるとなると「組織」も動くし、面倒だぞ?」
「……「組織」の動きなんざ、知るか。あのおっさん見つけ出して、叩き潰す!!」
227悪意が動く  ◆nBXmJajMvU :2010/04/27(火) 22:56:06.90 ID:1gdpR5TY0
 …こりゃ、駄目だ
 完全に、頭に血が上っている様子の誠に、マリは肩をすくめた

 ……まだ、周囲には、コーク・ロアに操られている被害者達がいる
 まずは、食欲が働きそうになるのを抑えつつ、こいつらを叩きのめすのが先か

 そう考え、マリは向かってくるコーク・ロアの被害者達に、獰猛な肉食獣の眼差しを向けた



「……了解した。D-No.962には、G-No.1から連絡させる。指揮はお前に任せたぞ」

 H-No.0、ヘンリエッタは、G-No.0からの連絡に、そう答えた
 …朝比奈 秀雄が、動きだした
 学校町のあちらこちらで、一斉に騒ぎが起こっている
 ならば

 外に出かけようとしたヘンリエッタ
 それを、G-No.1が止める

「…お嬢様、どちらへ?」
「現場に出る!お前はD-No.962に、朝比奈 秀雄の居場所を知らせよ。どうやらこの件、あの男の身内が巻き込まれておるようじゃしの」
「…D-No.962への情報伝達に付いては、了解いたしました。しかし、お嬢様が現場に出る必要性はございません」
「何を言うか!」

 ぴし!と、畳まれた状態の日傘で、G-No.1を指すヘンリエッタ
 彼女はきっぱりと、力強く告げる

「こう言う時だからこそ、現場に出るのじゃ!都市伝説の力を用いて悪事を働く者を放置する訳にはいかんじゃろう!」
「……ですが」
228以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 22:58:24.35 ID:9eorjCmd0
お嬢さんは身内が巻き込まれてるのを察してるのか、それとも知っているのか支援
229悪意が動く  ◆nBXmJajMvU :2010/04/27(火) 23:02:49.75 ID:1gdpR5TY0
「この件、妾の友人の家族が巻き込まれておるのじゃ!黙っていろとでも言うのか!!」

 ヘンリエッタは、己の意見を曲げるつもりは、一切ない
 強い意志をもって、G-No.1に命令する

「妾は、顎砕き飴の契約者が起こした事件の際、全く彼女の力になれんかった……じゃから、今度こそ、力になりたいのじゃ!だから、どけ、G-No.1!!妾も、騒ぎを収めるために、現場で動く!」
「…………」

 ヘンリエッタを、じっと見つめて…G-No.1は、小さくため息をついた
 こうなっては、ヘンリエッタが何を言っても聞かないのは、数百年の付き合いでよくわかっている

「…わかりました。ですが、私も行きます。お嬢様だけを、戦いの場に赴かせる訳にはいきません。私が、あなたの盾となります」
「……盾になる必要などないわ、馬鹿者が」

 G-No.1の言葉に、ヘンリエッタは一瞬、悲しげな表情を浮かべて
 …しかし、すぐに顔を上げ、歩き出す

「…ならば、行くぞ。連中を制圧する」
「任務了解」

 ヘンリエッタの目が、一瞬、赤く光る
 G-No.1の体が…一瞬、かすかな機械音をたてる

 めったに現場に出る事などないはずの、上層部メンバーが
 …この戦いにおいて、表舞台に姿を現そうとしていた



to be … ?
230以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 23:05:26.34 ID:1gdpR5TY0
そんな訳で、秀雄の部下達が一斉に暴れ出したようです
学校町在住の皆さんは、ゆっくり巻き込まれていってね!!

俺…今日中には間に合わないけど、これを受けての大門家の動きと、三面鏡の少女を護るべく彼女の家の傍で待機しているHのシーン書くんだ…
231以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 23:10:02.91 ID:9eorjCmd0
おつでしたー
決戦ktkr
232以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 23:16:17.66 ID:gMKPV9xOQ
投下乙でしたー
決戦の予感にwktkが止まらないぜ!!

私の創作環境では決戦に参加できそうにないので、悪魔の囁き編に全く関係しないネタを書きためておきますねっと
233以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 23:20:03.77 ID:1gdpR5TY0
まぁ、ぶっちゃけ決戦といっても、D&翼VS秀雄のシーンは後回しになって、他のぶつかりあいを優先して書く事になりそうなヨカーン

結局、坊池とセイレーン契約者の相手、名乗り出てくれる人いなかったので、セルフで自キャラをぶつけておきますねっと
234以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 23:30:00.29 ID:gMKPV9xOQ
もし創作環境が整っていたら、今月いっぱい使って坊池の対戦候補を書けたんですがね…
物事はうまく行かないもんだ
235以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 23:37:14.94 ID:1gdpR5TY0
ちなみに、坊池とセイレーン契約者の相手、今からでも「やってやるぜ!」って方がいらっしゃったらお任せするんだぜ!!!

むしろ、坊池と戦う自キャラがいまだに定まらない罠
どっちにすっかなぁ
236◇HdHJ3cJJ7Q (代理):2010/04/27(火) 23:43:24.02 ID:1gdpR5TY0
 繁華街のとあるビルの屋上。屋内からそこへと続く扉には鍵が掛けられていて、本来ならそこは立入禁止になっている場所。
 そこにある給水塔の上で寝そべり、街を見下ろしている赤いコートの女がいた。

「なーんか変だな……きな臭い感じがするな」

 女の視線は大通りの人混みに向いていた。その中をフラフラと歩き、やや周りから浮いている男
 虚ろな目で人混みをふらつく様は、組織で報告のあったコーク・ロアの被害者の症状とよく似ている
 しかし今までの被害者達は廃ビルだとか路地の奥などの人目に付きにくい場所に居た。こんな目立つ場所での目撃情報は聞いていない。
 それなのに何故いるのか。ただの偶然なのか。

「さて、どーすっかなー」

 給水塔から飛び降り、屋上の縁に座りぼやく。
 ポケットから茨の装飾の付いた小ぶりのナイフを取り出し、指で弄りながら不審な男を眺める
 このナイフは、お守り代わりに持っておけ、と言われて無理矢理渡された物である。実用には向かない、儀式などに使われる物だ
 それに、刃物なら能力を使えばいくらでも出せる彼女にとっては、ただのナイフなど持って居てもあまり意味はない

 ナイフをしまい、立ち上がってコートに付いた埃を払う
 コーク・ロアの被害者をほっておく訳には行かないが、今は人目が多い。騒がれて余計な被害が出るとめんどくさい。
 となると後を付けて行くか。人目の少なくなったところで路地にでも引き込んで大人しくさせればいい
 どこか目的地があるのなら、そこまで付いていっても良いかもしれない
 赤いコートの女は口の端を吊り上げ笑みを作った。先ほどまで普通の大きさだった口は、今や耳の近くまで裂けていた
 屋上の縁へ足を掛け、10メートル以上離れている隣のビルへ跳び移る

「連絡は……めんどくせぇ、後でいいや」

 何か動きがあればその時に連絡すればいい。そう考え、赤いコートを羽織った女は男を追い掛けるため、屋上から屋上へと移動していった

おわり
237以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/27(火) 23:48:05.70 ID:1gdpR5TY0
おやすみ
明日もスレが残っていますように
238以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 00:06:49.46 ID:v+SQrzvzQ
代理乙ですー

さて、いつ頃まで起きてようか
239以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 00:35:02.10 ID:v+SQrzvzQ
六時間後まで残ってることを祈りつつお休みー
240以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 00:51:12.09 ID:HpQPeRKI0
気づけばGWが近い今日この頃
241以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 01:15:51.76 ID:HpQPeRKI0
そろそろ金を下ろさなければ
242以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 01:46:37.02 ID:HpQPeRKI0
飢える
243以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 02:07:58.19 ID:zXauoGyT0
お、お大事に
244以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 02:32:12.11 ID:HpQPeRKI0
皆様もお財布には気を付けましょう!
寝るほ
245以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 02:43:16.45 ID:n+JtSnrb0
てすほ
246マジレス担当/KYっち ◆/jTK9YThWTOQ :2010/04/28(水) 02:44:57.82 ID:fIFvqGqM0
247以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 03:01:53.13 ID:zXauoGyT0
248以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 04:07:14.92 ID:JmUNyqyr0
ほす
249以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 04:07:17.79 ID:n+JtSnrb0
ほいしょー
250以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 06:43:33.62 ID:v+SQrzvzQ
おはよーほし
251以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 07:25:50.50 ID:/HyL4qnM0
代理投下乙!

あの、僕のとこのキャラを坊池と戦わせても良いですか?
252以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 08:29:47.76 ID:v+SQrzvzQ
おっと、坊池の対戦相手が現れたか
ちなみにあなたはどちらさま?
253以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 10:08:09.90 ID:a7DwVqa/O
254以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 12:14:16.69 ID:WCK1G7ZC0
255以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 12:19:18.28 ID:GBWCZmON0
ごちそうさまでしたー

>>251
もしやだが、ソニータイマーの人かな?
構わないんだぜ!!



よし、おっぱいポロリシーンはボツだな
256以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 12:37:17.07 ID:GBWCZmON0
257以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 12:57:46.26 ID:GBWCZmON0
258以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 13:15:46.61 ID:GBWCZmON0
259以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 13:23:59.29 ID:v+SQrzvzQ
おっぱいポロリシーンと聞いて真っ先に浮かんだのが、禿の胸筋だった
俺の脳は何を求めているんだ
260以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 13:24:32.96 ID:WIoqE6IcP
261以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 13:24:58.74 ID:GBWCZmON0
>>259
そっちかよwwwwwwwwwwwwwww
普通に推定Dカップ以上のぽろりを想定してたのにwwwwwwwwwwwwww
262以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 13:52:06.87 ID:fvnLh7Sg0
GW突入記念
263以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 14:14:12.17 ID:GBWCZmON0
なぜなに悪魔の囁き講座


悪魔の囁きが、宿主の体内から表にでてくるのは悪魔の囁き本人のテンションが上がってきた時が多いです
ようは、調子に乗ってる時ですね
もしくは、宿主がヤバい状態とか、正気に戻りかけている時
そんな時も、発破かけるために出てきて囁き続けます

ちなみに、表に出てきた悪魔の囁きは、攻撃能力及び攻撃力はほとんどありません
牙や爪や角を持っていても見掛け倒しです(ダークネスに憑いてた悪魔の囁きがちょっと例外)
その上、打たれ弱いので攻撃されればアッサリと消える予感も


Q なら、なんで表に出てくんのよ
A 多分、悪魔の囁きがある意味馬鹿だから
264以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 14:34:53.53 ID:GBWCZmON0
みー
265以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 14:54:12.59 ID:GBWCZmON0
みーみー
266以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 15:14:42.69 ID:GBWCZmON0
みーみーみー
267ある組織の構成員の憂鬱 ◆nBXmJajMvU :2010/04/28(水) 15:31:46.39 ID:GBWCZmON0
 朝比奈 秀雄が潜伏している場所がわかったと、上司から連絡があった
 今現在も、そこにいるかどうかはわからない
 だが、高確立で、そこにいるであろう事はわかる

「…翼」

 黒服から、その話を聞いて
 翼が、決意を固めたような表情を浮かべた
 …その決意に、悲壮な色を感じ、黒服は僅かに表情を暗くする
 ……いや、今は、そんな事を考えている場合ではない
 いざという時、翼には手を下させない
 それは、自分の役目だ
 「薔薇十字団」から借り受けたアイテムと、「組織」から借り受けたアイテム
 その二つをスーツの内ポケットに入れたまま、黒服は考える

「今から、私はそこに向かいます。学校町内で、コーク・ロアの被害者達やクールトーに操られていると思わしき犬達が、一斉に暴れ出したとの報告もあるそうです。他にも、悪魔の囁き憑きの被害者達にも影響が出ているようですし…」

 全ては、朝比奈 秀雄を倒せば、止まる
 余波はすぐには止まらないだろうが、元を断つ事で、かなりの抑止力になるはずだ
 黒服の言葉に、翼はすぐに答える

「俺も行くに決まってるだろ。っつか、俺一人でも充分だよ」
「…一人で行かせる訳には、いきません」

 本当に、一人でそこに向かいかねない翼を、黒服は止めた
 一人で朝比奈 秀雄と戦うなど、危険すぎる

「決して、一人で先走ってはいけませんよ?」
「………わかった」
268ある組織の構成員の憂鬱 ◆nBXmJajMvU :2010/04/28(水) 15:35:36.84 ID:GBWCZmON0
 こくり、小さく頷く翼
 …朝比奈 秀雄本人を目にした時、どうなるかはまだ、わからないが
 それでも、何も言わないよりはマシだ
 朝比奈 秀雄と遭遇するまでに、少しでも、翼の心が波立たないようにしてはおきたいが…
 ………顎砕き飴の騒動の、時のように
 自分の身をも焼き尽くそうとするほどに、能力を暴走させない事を祈るばかりだ

 そんな事を考えながら、翼と共に家を出ようとすると

「…黒服、翼」
「望?」

 ひょこ、と
 望が、やや面倒臭そうな表情の詩織を引っ張って、二人の後をついてきた
 じ、と二人を見上げてくる

「…あの男、しばき倒しに行くんでしょ?私達も行くわよ」
「私は面倒だから寝ていt「行くわよ」………はい」
「……あの、無理矢理連れて行くのは、どうかと思いますが…」

 望と詩織のやり取りに、小さく苦笑する黒服
 問題ないわよ、と言い切る望と、半分諦め顔の望
 翼は、少し心配そうに二人を見下ろした

「無理しなくていいんだぞ?俺と大樹だけでも…」
「あんたと黒服だけで行って、大樹に何かあったらどうするのよ」
「おいっ!?」

 俺は!?と突っ込む翼
 冗談よ、と望は言ったが…八割方、本気で言った表情ではあった
269ある組織の構成員の憂鬱 ◆nBXmJajMvU :2010/04/28(水) 15:38:32.37 ID:GBWCZmON0
 黒服は、それに気づいていないようだが

「…無理だけは、ダメですよ?」
「わかってるわよ」

 黒服の言葉に、頷く望
 ……もっとも、いざ戦いの場に出れば、どうなるかはわからない
 それでも、黒服としては、こう言うしかないのだ
 望にも…顎砕き飴の騒動の時のような、無茶はしてほしくない
 二人とも、黒服にとって大切な契約者であり…………それ以上に、大切な家族なのだから
 無理など、無茶など、決してしてほしくない
 そのためにも、自分が二人を護らなければ
 そう、強く考える
 詩織とて、そうだ
 彼女も、大切な家族なのだから
 自分が、護らなければ

「場所は?」
「繁華街の端ですね…急ぎましょう。街中での騒ぎが大きくなる前に、決着をつけられれば良いのですが…」

 四人は、家を出て、繁華街へと向かう
 朝比奈 秀雄が潜んでいると思われる、その雑居ビルを目指して


 …望が着ているコートの、そのポケットに
 何時の間にかノロイが入り込んでいたことに一行が気づくのは、もうちょっと後の事である



to be … ?
270以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 15:40:43.06 ID:GBWCZmON0
誰もいない時間帯に、ひっそりと大門家の動きを少々
騒ぎが怒り出して数分後、一行は繁華街の秀雄が潜伏先として使っていた雑居ビルに向かいます
以前子ライオンが散歩中、前で止まったビル


ちなみに、翼から「首塚」メンバーや、辰也などマッドガッサー一行に
黒服Dからは、Tさんとかに、潜伏先や町での騒ぎの事などが連絡されると思われます
271以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 16:00:49.77 ID:GBWCZmON0
みー
272以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 16:25:02.33 ID:GBWCZmON0
みーみー
273以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 16:50:20.23 ID:a7DwVqa/O
みぃ
274以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 17:04:08.80 ID:GBWCZmON0
みーみーみー
275以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 17:19:43.33 ID:GBWCZmON0
夕食後もスレが残っていますように!!
276以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 17:31:24.98 ID:HpQPeRKI0
乙っしたー!
今日中にお話を書きたいけどもこれから外出だぜいやっほぅ!
277以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 18:04:05.40 ID:/HyL4qnM0
>>255
正解
あの後すぐ登校したので、返事が遅れてしまいました
では書かせていただきますね
278ソニータイマー:2010/04/28(水) 18:30:11.14 ID:/HyL4qnM0
「引き篭もり魔法使いの外出」
538歳引き篭もりの『錬金術』の契約者。何を思ったか、彼は荷造りをしていた
「よし。これだけ持てば大丈夫でしょう…」
とても重そうな荷物を背負い、彼はドアから外へ出た
「最近何か事件が起きてるみたいですからね…。外のことも知っておかないと」
荷物は魔法で浮かべているので重さは感じない。外の様子を探りながらとぼとぼ歩いていく『錬金術』の契約者
「…犬!?」
紐で繋がれていない犬が現れた。明らかに敵意をむき出しにして
「どうして? 僕まだ何もしてないのに…」
実は彼は犬が苦手だった。能力との相性もあまりよくない
「そういえば犬を操れる能力者が居るって聞きましたけど…それにしては本体が見えないし…」
そんなことを考えているうちに犬との距離が近づいていく
「…まずい、どうしよう…魔法で何とかするかそれともアイテムで…だめだ、詠唱もアイテムも間に合わない」
そしてついに…飛び掛ってきた
279ソニータイマー:2010/04/28(水) 18:31:03.92 ID:/HyL4qnM0
「うわあああああ!! 殺される! 死なないけど死ぬー!!!」
犬が噛み付いてくる。首をかまれようが血が何リットル出ようが死ぬことは無いのだが、犬嫌いな彼にとっては耐え難い状況である
神司「あれ? どうしたの?」
樹「クスクスクス…犬とじゃれ合っているんですか…」
「そんなわけ無いでしょ! 襲われてるんですよ! は、早く助けて!」
樹「クスクスクス…仕方ありませんね…助けに行ってあげなさい」
樹の後ろから人が現れ、犬に向かって飛び掛る。彼の『樹海には自殺未遂者達の住む集落がある』の能力である
「ワンッ」
そして犬を取り押さえる。まあ、噛み付かれているわけだが
神司「それじゃ… 通りゃんせ 通りゃんせ ここはどこの細道じゃ 天神様の細道じゃ…」
神司が能力で細い道を出現させる
神司「それじゃ、あの道にその犬を放り込んで」
樹「了解…」
樹が集落の村人達に犬を放らせる
「ワンッワンッワンッ…」
そして、犬は道の奥へと消えてしまった
神司「どこかの世界にあると言う犬と猫の住む星…そこに送っておいたよ」
「あ、ありがとう…助かったよ…。そうだ、お礼と言ってはなんだけど、送っていこうか?」
樹「クスクス…では、お言葉に甘えさせてもらうとしますか…」
「それじゃあ、乗って」
鞄からじゅうたんを取り出し、広げる『錬金術の契約者』。そしてそれを魔法で飛ばし、彼らを家に運ぶ
その日、じゅうたんが空を飛んでいると大騒ぎになったが、本人達は全く気にしていないようである


                    続く
280以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 19:18:23.84 ID:a7DwVqa/O
281以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 19:40:35.67 ID:qcc57Jli0
ごちそうさまでした
ソニータイマーの人、乙です!!

では、坊池戦は任せましたよっと
282以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 19:56:41.41 ID:/HyL4qnM0
保守
283以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 20:16:04.43 ID:qcc57Jli0
にゃ
284以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 20:29:49.73 ID:HpQPeRKI0
帰ったほ
285以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 20:30:09.98 ID:qcc57Jli0
>>284
お帰りなさいませ
お風呂にする?
ご飯にする?
それとも兄貴にする?
286以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 20:40:06.94 ID:HpQPeRKI0
まずは書き物にしますわ

その後にご飯で……え? 兄貴? いらな、や……やああああ!?
287以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 20:55:58.36 ID:qcc57Jli0
>>286
気まぐれで最後の選択肢を「兄貴」にしたばっかりに大変な事に!?
288以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 21:15:17.53 ID:qcc57Jli0
みー
289以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 21:35:55.13 ID:qcc57Jli0
ネタ構想しながらほ
290以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 21:48:44.03 ID:v+SQrzvzQ
投下乙ですー

それぞれの対戦相手は決まったみたいですが、マドカがどう動くのか気になるところ
やっぱり元亭主&亭主の浮気相手を殴りにいくのだろうか
291彷徨うみさき ◆caHoDnkdag :2010/04/28(水) 21:53:30.70 ID:zXauoGyT0
少し狭く区切られたスペースで、血が滲んだ服の少女が深く椅子に腰かけ眠っている。
彼女の正面にあるモニターは暗く、何も映してはいない。

……簡潔に言えば、美咲がネカフェの個室で休んでいるだけの話である。



「ん、ん〜〜〜。ふぁあ」

十分に睡眠を取ったらしく、大きく伸びながら美咲は目を覚ました。
体の凝りをほぐす様に、ポキポキと音を立てながら、彼女は体を動かしている。

「ぐっすり。とは言えませんが、だいぶ眠れましたね」

全快とは言えないまでも、8割程の体力を回復した美咲が呟く。
292彷徨うみさき ◆caHoDnkdag :2010/04/28(水) 21:54:55.03 ID:zXauoGyT0
「おはおは」
「ええ、おはようございます」
「テケテケ≠フ修復は、終ったよ。後の3体は、まだ掛かりそうだ」
「そう、ですか。やはり暫くの間は、大人しくしておきますか」

亡霊少女と人格を入れ替えながら、彼女は会話する。
今回出て来たのは、口数の少ない亡霊少女と、中性的な口調の亡霊少女だ。
彼女が伝えた情報に、戦力が整うまでの潜伏を改めて決定する。
恐らく、今まで隠し通してきた自分達の存在が、組織にバレてしまっただろう。
下手に動くのは良くない。

「ん〜。そー言えば、変なのが有ったよ」
「変なの、ですか?」

3人目の、どちらかと言えば子供っぽい喋り方の亡霊少女の話しに美咲は反応する。
亡霊少女達が居るのは彼女の内面であり、そこに変なモノが有るならば、精神に異物が有る様なものだ。

「おう、何か卵が有ったぞ。嫌な感じがしたんで壊しといた」

男っぽい言葉遣いの4人目の亡霊少女の説明に、終った事としてその話題を切る美咲。

その卵は、当然ながら《悪魔の囁き》なのだが、取り憑いた相手が悪かった。
精神内に6つの人格が存在する《七人みさき》が、相手では隠れる事は出来なかったのだろう。
だが、既に終わった話だ。
293彷徨うみさき ◆caHoDnkdag :2010/04/28(水) 21:56:28.55 ID:zXauoGyT0
「取り合えず、情報収集でもしますか」

パソコンの電源を入れ、今まで取り込んで来た知識の中から、必要と思う物を持ってくる。
普通に扱う程度なら、美咲だけでも可能だが、少し奥の情報を得るには専門的なモノも必要なのだ。

「ん。と、これは学校町ですか……。面白そうですね」
「で、でも。危なく、ないですか? 色んな所の、注目を集めてる、みたいですし」
「だけど、色んな都市伝説が溢れてるみたいだし。戦力補充には良いかもね」

あるサイトで見つけた、学校町と言う町に興味を示した。今までも、何度か話に聞いていたが。
どうやら、噂以上の都市伝説スポットらしいではないか。
ただ、それ故に色々と興味を集めている町でも有るらしく、5人目の気弱そうな亡霊少女が心配し。
最後の1人が、学校町へ向かう事で、得られるであろうメリットを告げる。
そんな、2人の意見を踏まえて、美咲の出した結論は、

「往きましょう、学校町に。もう、隠れていても意味は無いでしょうしね。
 ただ、暫くは止めておきましょう。何の準備も無しに行くのは無謀ですしね」

だった。

続く
294以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 21:56:40.73 ID:qcc57Jli0
みさき支援!

>>290
セイレーンの対戦相手が決まったんでまだ未定だが
少なくとも、浮気相手は殴らせたいなぁww
295以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 21:59:44.38 ID:qcc57Jli0
おっと、支援と思ったら乙でした!!

ひぃぃ、やはり目をつけられたか
学校町危うし……と、言いたいところだが、むしろ美咲逃げてぇえええ!!!って思うのはそこが学校町だからなのだろうかwwww
296彷徨うみさき ◆caHoDnkdag :2010/04/28(水) 22:03:00.96 ID:zXauoGyT0
えぇ、実は《悪魔の囁き》にとり憑かれていた美咲でした。
基本的に放浪生活の彼女(達)なら、何処かで憑かれていたかもしれませんしね。
もっとも、卵が孵る前に除去されましたけども。

そして、遂に学校町に興味を示しました。
ただ、まだまだやって来るのには時間が掛かると思いますね。
(構想がシッカリと出来ていないので;)
297以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 22:05:57.03 ID:HpQPeRKI0
彷徨うみさきのかた、乙でした!
とり憑かれておったのかw
しかしまあ憑いた相手が悪い事悪い事www
298以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 22:06:59.83 ID:qcc57Jli0
まぁ、悪魔の囁きは弱く儚い生き物ですからwwwwwwww
あっさりと消されるわなwwwwwwwwwwwww
299以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 22:11:12.09 ID:zXauoGyT0
>>295
>学校町危うし……と、言いたいところだが、むしろ美咲逃げてぇえええ!!!って思うのはそこが学校町だからなのだろうかwwww
確かに、美咲も危ないよなぁ。
美咲と亡霊少女全員で歩くだけで、一般人全滅だからなぁ。色んな所の恨みを買ってしまいそうだ。
もっとも、亡霊少女達ってあんま強くないから、外に出る事は殆んど無いんで。

まぁ、学校町に関する知識は調べられるだけ調べると思いますよ。
たとえば、《黒服》とかを取り込んだりして……・…・。
300以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 22:11:19.14 ID:HpQPeRKI0
んではぼちぼち投下します
301以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 22:12:41.94 ID:qcc57Jli0
支援体制に入る!!

>>299
どう考えてもあちらこちらからの討伐対象です、ありがとうございました
302Tさん ◆mGG62PYCNk :2010/04/28(水) 22:14:12.12 ID:HpQPeRKI0


            ●


 南区、賑やかな通りから少し外れた路地裏にてTさんは携帯を開いていた。通話相手は黒服だ。
「――状況はだいたい掴めた。≪日焼けマシーンで人間ステーキ≫の青年や≪はないちもんめ≫の少女もそうだが、
黒服さんも十分注意してほしい……特に朝比奈秀雄には」
『はい、Tさんたちもお気をつけて』
「ああ」
 答えてTさんは携帯を切る。
 さて、どう立ち回るか……。
 そう考えながら先程の通話の声から伝わってきた悄然とした気配に不安を感じずには居られなかった。
 携帯をしまうと、そのタイミングを見計らって舞が言う。
「Tさん、こいつらどうする?」
 そう言う舞の足元には幾人かの男女とそれ以上の数の犬が倒れている。
皆突然襲い掛かって来た≪コーク・ロア≫や≪クールトー≫の影響を受けた者達だ。
「そうだな……」
 そう言いながらTさんは倒れている者達へと手をかざした。
「目が覚めたら≪コーク・ロア≫の影響が抜けていれば幸せだ」
 ≪ケサランパサラン≫への祈祷が為され、応えるように光が淡く放射された。
「これで良いだろう」
 告げるTさんに舞はほっとした顔をし、次いで怪訝そうに口を開いた。
「はぁ……まったく、なんでまたこんなにイカれた奴らが湧いて出たんだ? ……やっぱり春だからか?」
303以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 22:15:00.61 ID:qcc57Jli0
支援!!
304以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 22:17:49.59 ID:zXauoGyT0
支援

>>301
>どう考えてもあちらこちらからの討伐対象です、ありがとうございました
最初に言った筈ですよ、彼女は倒される事を前提にしているとね。
まぁ、倒されたから如何なるって訳でも無いんですけど。
305Tさん ◆mGG62PYCNk :2010/04/28(水) 22:18:12.91 ID:HpQPeRKI0
 今まで南区のような人通りの多い場所で≪コーク・ロア≫の被害者達に出会うようなことは無かった。いったいどういうことだろうか?
 そう疑問する舞にTさんはつい先ほど得た答えを示した。
「どうやら朝比奈秀雄が派手に動きだしたらしい」
 言葉に、舞は「うぇ」と嫌そうに顔を顰めながらも納得したように頷いた。
「こいつら全員朝比奈のおっちゃんの被害者か……」
 まったく迷惑な。と文句を垂れる舞にTさんも同意する。と、
「お兄ちゃん、さっきのおでんわ、なんだったの?」
 鞄から様子を窺っていたリカちゃんが舞に頭の上をねだりながら訊いてきた。
「黒服さんから、どうやら彼らは元を叩きに行くようだな」
 その言葉にリカちゃんを頭上にセットしていた舞が、ん? と声を上げた。
「っつーことは敵さんの居場所ってわかってんの?」
「そのようだ」と答え、Tさんは指をその方向へと向けて突き出した。
「向こう、繁華街の端、そこにある雑居ビルが朝比奈秀雄の隠れ家だそうだ」
「繁華街ってーとここら辺のことだよな。結構近いじゃねえか」
 舞が驚きに目を瞠る。
「いくの?」
 舞の頭上で首を傾げたリカちゃんに舞が力強く頷く。
「だな。臭いは元から絶たねえと」
「その方がいいだろうな」
 朝比奈秀雄を止めれば≪悪魔の囁き≫も止まる。彼の取り巻き達も大人しくなるだろう。
306Tさん ◆mGG62PYCNk :2010/04/28(水) 22:20:22.42 ID:HpQPeRKI0
「それに……」
 朝比奈秀雄が動いていることは今回の件の情報を持っている者が今目の前に倒れているような者達の様子を見ればだいたい分かる。
 そうなると……。
「そういやTさん、マドカ姐ちゃんに連絡しなくて良いのか?」
 舞の言葉にTさんは眉間に皺を寄せた。
「……それだが」
 以前、何かあったら伝えると彼女と約束はしたが……。
 朝比奈秀雄の居場所には黒服や翼が向かっている。
正直に言ってこの中に彼女を一人で行かせるのはとても躊躇われた。
 しかし連絡をしないのは不義理か……。
 Tさんはしばし考え、結論を下した。
「……向こうから連絡が無い限り、もう少し……そうだな、せめて俺たちが件の雑居ビルに辿りつくまでは黙っていることにしよう」
 現場の人間関係に思いを馳せたのか、舞が「あー了解だ」と重々しく頷いた。リカちゃんはよく理解できていないのか首を傾げている。
「では、行こうか」
 そう言ってTさん達は倒れている者を表通りに放りだして後、裏道を繁華街の端へと向かって移動しだした。

307以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 22:21:12.38 ID:qcc57Jli0
しえええん
308Tさん ◆mGG62PYCNk :2010/04/28(水) 22:23:08.68 ID:HpQPeRKI0
土下座を敢行しつつ

そんなわけで雑居ビルに向けて移動です!

マドカには人間関係の問題で連絡は遅れますが
マドカ本人から何か知らないか聞かれた場合、またはTさん達の雑居ビル到着をもって連絡が為されます

問題があったら言ってくださいねー
309以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 22:24:27.76 ID:qcc57Jli0
乙でしたー!
特に問題はないとですよー

さて、マドカはTさんから情報をもらえるか、それとも山田関連からもらえるか



そして、Tさん達にヘンリー&ユニコーンをぶつけるべく構想しておきますね!


>>304
でも、彼女だって、元は犯罪の被害者なのだから、救いが必要です
そう考える俺偽善者
310以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 22:30:18.87 ID:HpQPeRKI0
>>304
彼女にも救いが必要です!

>>309
≪ユニコーン≫達の件お任せいたします!

あ、そういやマドカさん山田からも情報もらえるのか
壮大な家庭外家庭抗争が……!
311以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 22:36:25.68 ID:zXauoGyT0
>>309
>でも、彼女だって、元は犯罪の被害者なのだから、救いが必要です
えぇ。彼女も元々は被害者なんですよね。
だから、救いが必要だって言われたら、その通りなんですよ。

ただ、人を殺して《七人みさき》維持のための力を貯えないといけないし、
契約を解除しても、精神に異常をきたしてしまうと。
そんな状態なんですよ。
あれです、死こそが救いって奴ですよ。

……いや、あいつ等を出したら死んでも大丈夫か?
312黒服H  ◆nBXmJajMvU :2010/04/28(水) 22:36:50.31 ID:qcc57Jli0
 髪が、まるで別の生き物のように伸びて、それらに襲い掛かる
 その家の傍を通ったコーク・ロアの被害者達が、次々とそれに捕えられていって

 −−−ぶす、と
 何か、薬品を注射されて…次々と、倒れていく

「…あぁ、わかってるっての、さっきからそう言う連中見てるよ。一応、コーク・ロアの解毒剤も受け取ってるから、いいけどよ」

 それを行っている男…黒服Hは、何やら携帯で誰かと連絡を取り合っていた
 そうしながらも、髪は動き続け、目標を細くし、捕え、解毒剤を打ち込み続けている

「解毒剤が切れても、まぁ、ある程度は何とかなる。ただし、個人的に護りたい相手がいるからこっからは動かねぇぞ」

 電話の向こうから、苦言を呈するような声が聞えてきたが
 Hは、自分の意志を曲げるつもりは、一切ない

 護るのだ
 佳奈美を、どんな悪意からも、護りきってみせる
 佳奈美の家の屋根の上で、佳奈美の家に近づく悪意を払いながら、Hはそう考える

「…愛華は、今回の件にゃ向かないから、待機させておくぞ。で、明日だが………よし、カイザー契約者の居場所もわかったか。俺から伝えておく。他の連中があのお子様を殺さないよう、頼んだぜ?……なぁ、G-No.1」

 最後は、少し意地悪く念を押すようにそう言って、携帯の通話を切ったH
 ……とりあえず、この辺りをうろついていたコーク・ロアの被害者は、粗方片付けたようだ

「で、俺はどうすればいいんだ?」
『トリアエズ、俺様ハ安全地点ニ居タインダヨ畜生メ。オ願イ主様殺サナイデぷりーず』

 Hの隣にいた星が、Hにたずねた
 星の頭の上では、かつて星にとり憑いていた悪魔の囁きが、小さな姿で縮こまっている
313以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 22:38:30.42 ID:HpQPeRKI0
支援
314黒服H  ◆nBXmJajMvU :2010/04/28(水) 22:39:44.84 ID:qcc57Jli0
 そうだな…と、Hは髪を戻しつつ、考える

「コーク・ロアの解毒剤が切れた時の事を考えりゃあ、ここにいてくれた方がありがたいんだがな。いざとなれば、解毒剤は他にどうにかなるから、無理にここにいる必要はねぇが」
「そうか…さて、どうするかな」

 うーん、と考え込んでいる星
 …佳奈美と、佳奈美の家族が、この騒動の間家から出ない
 そんな事を、口にしていた星
 ファンタ・ゴールデンアップルとなった星によって、その言葉は現実に反映されている

「悪いな。佳奈美を護る為にお前の力借りといて、無責任で」
「心から謝ってないだろ?」
「あぁ」
「やっぱり」

 …しゅるり
 また、Hの髪が伸び出す
 コーク・ロアの被害者達が、近づいてきている

「俺は佳奈美を護る為に、手段を選ぶつもりはないからな」
「…ま、いいけど。それは俺も同意権だし」


 護りたい
 その願いは、目的は、同じ
 かつての恋敵同士は、今、同じ目的の下、動いているのだった



to be … ?
315以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 22:41:48.92 ID:qcc57Jli0
とりあえず、騒動開始直後のHの様子
佳奈美を護る為に手段は選びませんとも、えぇ
後で、明日にカイザー契約者の居場所を知らせたはず
316以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 22:46:04.55 ID:qcc57Jli0
おぉっと、大事な事を言い忘れていた
三面鏡の人に焼き土下座orz
星君お借りしました
317以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 22:47:59.57 ID:HpQPeRKI0
乙でしたー
Hさんが良い意味で輝いてる!!
318以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 22:57:11.29 ID:qcc57Jli0
騒動中に書くべきネタ整理中
とりあえず、Tさん達と遭遇するヘンリーのシーンが何度考えてもシリアスにならないのは何故だ
319以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 23:04:03.22 ID:HpQPeRKI0
……ま、まあ、英国紳士ですし(何を言いたいのやら)www
320以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 23:07:18.59 ID:qcc57Jli0
英国紳士と言えば変態ですね、よくわかります
321以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 23:11:36.77 ID:v+SQrzvzQ
行動理念が『乙女の膝枕』な紳士と獣じゃ、シリアスにしようがないwwww
乙女のピンチを目の前にすれば彼らもシリアスになれるだろうか
322以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 23:13:06.03 ID:qcc57Jli0
>>321
実は、ヘンリーがビッチ嫌いな理由はそれなりにシリアスな理由があったりなかったり
まぁ、今親父が見ている「21世紀少年」のDVDの音声聞きながら布団敷きながら、即興で考えた理由ですが
323以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 23:29:15.39 ID:qcc57Jli0
さて、Tさんたちとヘンリーが遭遇するネタ描き始めたけど、今夜中に間に合わない事確実だ
明日に備えて寝よう、おやすみー



そう言う訳で…俺、明日スレが残っていたら、Tさんたちがヘンリーと遭遇するシーン書くんだ…
324以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/28(水) 23:59:01.66 ID:v+SQrzvzQ
ギャグキャラにも重い過去があるのか…
やっぱりキャラの経歴は重要ですね
325以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 00:01:49.55 ID:m5K9y0qE0
皆さん投下乙です
さて、そろそろ寝るか
326以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 00:21:59.77 ID:EUs+5mi7Q
お休みー
眠気を我慢しながらネタなんて書けないよね…
私も1時前には寝よう
327以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 00:49:07.90 ID:EUs+5mi7Q
そろそろ寝るぜー
明日もスレが残ってますように
328以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 01:17:24.49 ID:wPOA3HHJ0
329以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 01:43:16.14 ID:M12anVtn0
しゅ
330以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 02:20:09.56 ID:6QCXe4720
331以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 03:16:23.52 ID:M12anVtn0
332以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 05:06:05.41 ID:wzgXw0jtP
333以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 05:47:25.98 ID:6QCXe4720
334以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 07:43:46.71 ID:nLthTzqSO
335以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 09:30:03.71 ID:m5K9y0qE0
336以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 09:57:58.18 ID:m68EzNtF0
おはよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!
337閑話休題(それはさておき) ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/04/29(木) 10:02:56.54 ID:m68EzNtF0
「おとーさーん、ごめんなさいってばー」
寝室のドアを叩きながら、困り果てた声を上げる佳奈美
しばらくの間登校拒否に陥っていた佳奈美が元気になったという事で、両親にその事で少し話をしたのだが
原因を訊ねられた折に、言葉を濁しながらも彼氏ができた事を漏らしてしまったのだ
別に反対された訳でも、問いただされた訳でもない
「相談しなかったのは、頼りないからとかそういう事じゃないんだってばー。機嫌直してよー」
異性との関係で悩んでいた事を相談されなかったのが、自分が頼りない存在だったのかとか、妻にばかり愛情を注いでいて娘には足りなかったのかとがっくり落ち込んでしまったのだ
「佳奈美、どう?」
様子を身に来た母に、佳奈美は首を振って応える
「中学の時以来ね、ここまで拗ねちゃったの」
「あの時ほどショッキングじゃないと思うんだけどなぁ」
中学の三年間ほぼ丸々といじめを受けていたという事実を隠していたのが発覚した折に、佳奈美の父はこんな風に自分を責めて引き篭もってしまった事があった
「お父さん、自分の事は平気なのに他人事だと打たれ弱いのよねぇ。佳奈美のお父さんなだけあるわね、ホント」
「おかーさん、言う事キツイ」
げんなりした顔の佳奈美に、母は微笑を浮かべる
「しょうがないわねぇ、晩御飯作ってくるからもう少しお話してみててくれる?」
「うーん、お母さんがお話した方が良くないかな?」
「原因はあなたなんだから、ちゃんと納得させないとダメよ? それに晩御飯の支度、佳奈美一人じゃできないでしょ」
「あぅ」
言葉に詰まる佳奈美を置いて、ぱたぱたとキッチンに戻っていく母
338閑話休題(それはさておき) ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/04/29(木) 10:04:39.25 ID:m68EzNtF0
困った顔でドアの傍らに座り込む佳奈美
「おとーさん、内緒にしてたわけじゃなくてね? あたしも何を相談していいのかわかんないぐらいだったんだってばー」
結局、顔を合わせて話をして落ち着くまでには相当な時間を要する事になる
そして――近いうちに彼氏を紹介する、そんな約束を母に取り付けられたりして佳奈美が頭を抱えたりもしていた
これが、外で黒服Hと共に戦っている手塚星の『佳奈美と、佳奈美の家族が、この騒動の間家から出ない』という状況を望んだ結果という事は、星本人以外は全く知る由も無かったのであった

―――

「うん、ネタバレしたら怒られそうだから絶対言わないでおこう」
「何か言ったか?」
「ううん、別にー?」
『コーク・ロア』の被害者をまた一人組み伏せ、その力で無力化しながら
星は共に戦う男に、内心でこっそり頭を下げていた


339以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 10:13:17.66 ID:EUs+5mi7Q
残ってたー
代理乙です
340以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 11:06:48.15 ID:CvsJ/45V0
341以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 11:43:54.25 ID:wPOA3HHJ0
342以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 12:38:10.79 ID:wPOA3HHJ0
ta
343以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 13:20:33.11 ID:EUs+5mi7Q
外出前ほ
344以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 13:41:42.51 ID:FESKtbjb0
ネタ構想ほ
345以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 14:03:50.90 ID:M12anVtn0
ほしゅ
346以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 14:22:21.59 ID:JQbaTuD50
にゃあ
347以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 14:40:42.99 ID:IHs5hFVl0
うー
348以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 14:58:33.52 ID:IHs5hFVl0
うーうー
349以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 15:16:41.40 ID:IHs5hFVl0
うーうーうー
350以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 15:34:30.20 ID:IHs5hFVl0
うーうーうーうー
351以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 15:42:49.48 ID:EUs+5mi7Q
電車待ちなう
352以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 16:01:17.83 ID:IHs5hFVl0
誰もいない
投下するなら多分今のうち
353悪意渦巻くその中で ◆nBXmJajMvU :2010/04/29(木) 16:05:07.71 ID:IHs5hFVl0
 −−−彼の母親は、男遊びが好きだった
 子供達の事など省みず、若い男を漁り続け、しかも、金遣いも荒く
 彼の父親は、それでも彼女を愛していたが……彼女の為に働き続け、とうとう過労で死んでしまった
 父親が死ぬと、母親はもうこの家には用無しだ、とでも言うように、彼らを捨てて家を出た

 −−−彼の姉もまた、母親に似た性格だった
 あの母親のせいで散々苦労したと言うのに、母親と同じような事を繰り返そうとしていた
 その苦労は、まだ少年だった彼に全て押し付けられた

 憎かった
 母親も、姉も
 その憎しみは、世の中の女性全てに向こうとしていた

 ……しかし、彼はそこで考え直す
 全ての女性が悪い訳ではない
 汚れなき乙女には、罪はない
 …悪いのは、男に対して尻軽な汚れた女共だ

 彼のその考えは、めったに人間の前に姿を現すはずなどない…それも、男の前に友好的に姿を現すはずもない、一頭の都市伝説を引き寄せた
 その都市伝説とわかりあった彼は、そのままその都市伝説と契約する
 自分の人生が、激的に変わる事など、その時予感などせずに




 Tさん達が、朝比奈 秀雄の潜伏先である雑居ビルに向かっていた、その時

「−−−っ!」

 足を止めるTさん
354以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 16:08:06.55 ID:m5K9y0qE0
支援
355悪意渦巻くその中で ◆nBXmJajMvU :2010/04/29(木) 16:08:20.24 ID:IHs5hFVl0
 舞が、その背中にぶつかって、わぷっ!?と小さく声をあげる

 どさっ!と
 彼らの前方に、何者かが、弾き飛ばされてきた
 その、体からは

『グァァ………ク、クソ……!!』

 にゅるにゅると、蛇の姿をした悪魔の囁きが、姿を表している
 …悪魔の囁き憑きの、被害者だろう
 朝比奈 秀雄が、派手な行動を見せ始めた
 コーク・ロアの被害者達だけではなく…秀雄の管理下にはない悪魔の囁き憑き達も、暴れ出しているのだろうか

 起き上がろうとする、悪魔の囁き憑きの被害者
 悪魔の囁きが、発破をかける

『…アァ、畜生ガ!起キロ起キロ起キロ起キロ、早ク起キロ!!ジャネェト………−−−−−−ッヒィ!?」』

 …ぬぅ、と
 悪魔の囁き憑きの…いや、悪魔の囁きの、前に、それは現れた

 2mを超える長身の…黒服
 顔に、大袈裟な手術痕のようなつぎはぎが走っており、それが、見る者に強い威圧感を与える
 その雰囲気に威圧されたのか、悪魔の囁きも、それに憑かれた被害者も、小さく悲鳴をあげて

 …その、直後
 無造作に手を伸ばした男によって……悪魔の囁きは、あっさりと握りつぶされてしまった
 悪魔の囁きに憑かれていた被害者は…ビクリ、一瞬体を震わせて目を見開くと…そのまま、意識を失ってしまう

「…何?何があったんだ?」
356以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 16:09:23.49 ID:M12anVtn0
支援
357悪意渦巻くその中で ◆nBXmJajMvU :2010/04/29(木) 16:11:14.75 ID:IHs5hFVl0
「さて…どう、対応したらよいものか」

 明らかに、「組織」の黒服と思われる
 できれば、「組織」の者とはあまり関わりあいたくないのだが…
 ……道を、変えるか
 Tさんが、そう考え出した、その直後

「む?お前ら、何をしておるのじゃ?」

 …ひょこん
 大柄な黒服の、その背後から…黒いゴスロリ服の少女が姿を現した
 Tさん達とも、面識のある少女…ヘンリエッタだ
 てちてちと、ヘンリエッタがTさん達に駆け寄ろうとすると

「…お嬢様」

 大柄な黒服が、ヘンリエッタを押し止めた
 むぅ、と、ヘンリエッタは、やや不機嫌に顔をあげる

「そう警戒するでない。この者達は悪魔の囁きにはとり憑かれておらぬし、この騒ぎに応じて悪事を働くような者ではない」
「………」

 ヘンリエッタの言葉に、大柄な黒服はヘンリエッタを静止する手を止めた
 てちてちと、ヘンリエッタはそのまま、Tさん達に駆け寄ってくる

「嬢ちゃん?あのデカいの、ひょっとして嬢ちゃんを担当してるって言う黒服なのか?」
「う………む、そうなのじゃ」

 舞に尋ねられて、頷くヘンリエッタ
 …頷くまで、ややタイムラグがあったように思えたが、Tさんはあえて、それを指摘しなかった
358悪意渦巻くその中で ◆nBXmJajMvU :2010/04/29(木) 16:14:41.73 ID:IHs5hFVl0
 じ、とヘンリエッタは、やや心配そうに二人とリカちゃんを見上げてくる

「…それよりも、お前達。悪魔の囁きやコーク・ロアの被害者達が、暴れ出しておる。街中を動き回るのは、危険じゃ」
「危険は承知だ…知り合いが巻き込まれているからな」
「ほっとくわけにはいかねぇだろ」
「なの」

 ヘンリエッタの言葉に、そう答えるTさん達
 むぅ、と、ヘンリエッタは、やや困ったような表情を浮かべてくる

「ヘンリエッタ嬢は、「組織」として動いているんだな?」
「うむ……できれば、元を叩きたいところなのじゃが。D-No.962…大門が、何やら関わりがあるようで、そちらに向かっておるしの。妾達が、うかつに関わる訳にもいかぬ」
「……我々の今の役目は、コーク・ロア支配型の契約者を確保する事だ」

 ヘンリエッタの言葉に続いて、大柄な黒服が口を開いた
 感情の薄い声、その表情にも、感情らしい感情はあまり感じられない
 …もっとも、見る者によっては、それは無理矢理に感情を押し殺すよう、振舞っているようにも見えたかもしれないが

「コーク・ロアの契約者を?」
「……H-No.9が「組織」を追われて以降、コーク・ロア支配型の被害者の姿は目撃されているが、肝心の契約者の姿が全く見つからない。どこかに潜んでいるものと思われる」
「じゃから、その契約者を確保すれば、せめて、街中で暴れているコーク・ロアの被害者達を抑えられるのじゃ」

 ヘンリエッタの言葉に、なるほど、とTさんは頷く
 …悪魔の囁き憑きの被害者やクールトーに操られた犬達を抑えるには、朝比奈 秀雄をどうにかすべきだが…コーク・ロアの被害者達を一気に抑えるには、それが一番だろう
 ただ、問題は

「その、コーク・ロア契約者の潜伏先は、わかっているのだろうか?」
「…わからぬ。朝比奈 秀雄の膝元にいるとは限らぬでな。「組織」で把握しているこのところの連中の動きを見ると、むしろ、別の場所におると思うのじゃが…」

 …だからこそ、こうやって、怪しい場所をしらみつぶしに探している、といったところか
359悪意渦巻くその中で ◆nBXmJajMvU :2010/04/29(木) 16:18:20.26 ID:IHs5hFVl0
 その途中、悪魔の囁き憑きなどに襲われたら対処している
 そんなところだろう

「妾達は、このままコーク・ロア契約者を探すが………お前達も、気をつけるのじゃぞ?」
「嬢ちゃん達もな?」
「妾達は大丈夫じゃ!妾はこう見えても戦えるし、ジェラルドも強いのじゃ!」

 舞の言葉に、そう答えたヘンリエッタ
 言葉の中に、どうやらジェラルドという名前らしい、大柄な黒服への強い信頼が透けて見える

「では、行くぞ、ジェラルド」
「…了解いたしました、お嬢様」

 歩き出したヘンリエッタの後を、付き従っていついていくジェラルド
 …気絶した悪魔の囁き憑き被害者を放置しているのが、いいのだろうか

「やっぱ、「組織」も動いてるんだな」
「だろうな…黒服さんは「組織」から朝比奈 秀雄の居場所の情報を得たようだしな」

 …さて、彼らは、もう目的地に辿り着いただろうか?
 いや、恐らくまだ、だとは思うが…

「少し、急ごう。時間がかかればかかるほど、途中で厄介ごとに巻き込まれる可能性が高い」
「ん、わかった」

 Tさんの言葉に頷き、舞はTさんの後をついて駆け出す
 路地裏から、少し、大きな道へと出ようとした

 …その、瞬間だった
360悪意渦巻くその中で ◆nBXmJajMvU :2010/04/29(木) 16:21:19.71 ID:IHs5hFVl0

 何者かが、二人の前に踊り出る
 その、人形のように整った容姿を見て…げ、と、舞が若干、嫌そうな声をあげた

「麗しきレディ!三度も出会えるなどこれもきっと運命!!…だが、残念ながら今宵は訳ありで少々街中は危険で満ち溢れている。よって、膝枕は後日という事でここはせめてレディを安全圏まで送り届がはっ!!??」

 ユニコーン の とっしん !!
 きゅうしょ に あたった !!

 …一方的に捲くし立てていた西洋人男性は、突如現れたユニコーンによって、容赦なく突き飛ばされた
 
 ひひん

 ユニコーンが、期待に満ちた眼差しを、舞に向けてくる

「−−−痛ぅ………この、エロホース!時と場合を考えろ!!確かに乙女の膝枕を逃すのは惜しいが、今はそれどころではないだろう!」

 ……ひひひん

 契約者たる青年の言葉など、知るか、とでもいった様子で
 ユニコーンは、あっけに取られていると言うか呆れている舞に、期待の眼差しを送り続けているのだった




to be … ?
361以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 16:22:21.14 ID:IHs5hFVl0
Tさんの人に焼き土下座!!orz
ヘンリー&ユニコーンと、Tさん達を遭遇させてみました

っつか、そのシーンだけを書くはずだったのに、なぜかヘンリエッタ達とのやり取りの方が長くなるって言うorz
何やってんの俺
362以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 16:26:56.64 ID:IHs5hFVl0
夕食後もスレ残ってますように!
363以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 16:31:16.63 ID:M12anVtn0
乙でした。
やっぱり、ヘンリーとユニコーンはギャグキャラなんですね。
364ソニータイマー:2010/04/29(木) 16:32:19.31 ID:m5K9y0qE0
「新聞部の活動3」
「これは大変です…大スクープです! 早く編集長に伝えないと…」
カメラを構え高速で空を飛んでいる『天狗の新聞』。何やらとんでもない現場を目撃したようである
真「どうしたんだ? そんなに慌てて」
「大変なんです! 悪魔の囁きの契約者の仲間たちが本格的に暴れだすみたいなんです! 写真も撮ってきました」
真「何? よし、今すぐ文子と一を呼んで来い」
「了解しましたー」
ピューン
風のように飛んでいく『天狗の新聞』。そして…
ピューン
「連れてきました」
文子「ど、どうしたんですか部長」
一「急に呼び出したりして…何かあったんですか?」
急な召集に驚く文子と一
真「ああ…実はな、悪魔の囁きの契約者の仲間たちが本格的に暴れだすらしい」
一「な、何ですって? それは大変です」
文子「でも、私たちに何が出来るんです? 戦闘力なんて殆どありませんよ?
この前魔改造してもらったおかげで少しは戦えるようになりましたけど…」
真「誰が戦うと言った? ボク達に出来るのはそんなことじゃないだろう。ボク達は新聞部だ
新聞部である僕たちがする事は唯一つ。皆にいち早く情報を提供することだ。と、言うわけで記事を書くぞ」
一「台詞なg…じゃなかった。はい、分かりました。では、記事の製作に取り掛かります」
真「今なんか言いかけなかったか?」
365以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 16:34:50.51 ID:m5K9y0qE0
一「いえ、別に」
真「そうか」
そして、新聞記事を書き始める部員達と『天狗の新聞』。そして、数時間後…
文子「出来ました!」
真「よし、じゃあ廊下に張り出すぞ。天狗は町中にばら撒いて来い」
一「え…でも」
真「大丈夫だ。一般人と悪魔の囁き契約者の仲間にはただの新聞記事に見えるように細工してある」
一「分かりました。では、僕は東側に張り出してきます」
文子「では私は西側に」
「すぐにばら撒いてきますよ!」
こうして、新聞部の書いた記事は学校長中で読まれることになったのでした


              つづく

366ソニータイマー:2010/04/29(木) 16:38:12.82 ID:m5K9y0qE0
ああー!
名前入れんの忘れてた!
それと花子さんの人乙です
367以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 16:59:21.46 ID:M12anVtn0
ソニータイマーの人乙です。
368以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 17:26:54.74 ID:PE+nW+FH0
乙ほ
369以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 17:58:59.28 ID:M12anVtn0
保守るぜ
370以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 18:28:13.60 ID:nLthTzqSO
保るぜ
371以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 18:30:05.13 ID:EUs+5mi7Q
投下乙です保
372Tさん ◆mGG62PYCNk :2010/04/29(木) 18:59:23.20 ID:wPOA3HHJ0
お二方とも乙でした!

花子さんのおひとー
ヘンリー達とこのまま戦闘の流れでよろしいんでしょうか?
373以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 19:23:48.06 ID:WmCWn7Ev0
ごちそうさまでした
食後のおやつのコンソメWパンチ美味いです

>>372
はい、構いませんよーーー!!
374以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 19:26:36.56 ID:wPOA3HHJ0
あいさー!
……今日は無理っぽいので明日あたりには、出来るといいなーと思ったり。
がんばって紳士的に散らせて魅せる……! たぶん!
375以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 19:32:20.92 ID:WmCWn7Ev0
っと、言い忘れてた。ソニータイマーの人乙ー!
…そう言えば、真さん達はもう卒業したのかと思ってたら、まだだったのか
と、いう事は、悪魔の囁き騒動時点で真さんとかが3年生、一君が一年生……
……って、あれ、ちょっと計算合わないか

>>374
wktkしてるー!
376以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 19:50:43.31 ID:WmCWn7Ev0
みー
377以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 20:09:31.38 ID:wzgXw0jtP
みーみー
378以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 20:17:54.03 ID:EUs+5mi7Q
本日四度目の帰宅中ほ
379以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 20:20:29.91 ID:WmCWn7Ev0
>>378
おかえりなさいませ
お風呂にする?
ご飯にする?
それとも都市伝説にする?
380以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 20:39:28.51 ID:WmCWn7Ev0
ネタ構想中ほ
381以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 20:43:51.81 ID:EUs+5mi7Q
シャワーから血が出てきて、
蛇口からは髪の毛が出てきて、
晩ご飯はウミガメのスープとナポリタンで、
蠢く布団の中でお猿の電車に乗る夢を見るんですね、わかります
382以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 21:05:56.55 ID:WmCWn7Ev0
うー
383以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 21:20:27.19 ID:M12anVtn0
すー
384以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 21:48:44.18 ID:WmCWn7Ev0
そう言えば、GW突入した訳で
また規制強化されていたりするんだろうかほ
385以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 22:03:50.31 ID:m5K9y0qE0
>>375
僕の作品は都市伝説<サザエさん時空>の効力を受けてる設定なんで、みんな歳をとらないんですよ
決して卒業ネタを忘れてた訳じゃありませんよ!
だから真はずっと三年だし、一はずっと二年なんです
386以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 22:06:48.25 ID:WmCWn7Ev0
>>385
あいさ、了解っす
ならば、「真たちが卒業したら、新聞部一君独りぼっちになっちゃうんじゃ…」って心配してたのは無用の心配だったのかwww
ひとまず、いつ「組織」に消されてもおかしくない状況な彼らの今後にドッキドキです
387以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 22:20:41.77 ID:wPOA3HHJ0
ふー
388以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 22:36:39.26 ID:m5K9y0qE0
保守ー
389以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 22:53:11.90 ID:wPOA3HHJ0
ヘンリーとユニコーンは膝枕とビッチ殺害のどっちが(主な)目的なんだろうか?
390以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 22:54:04.80 ID:WmCWn7Ev0
>>389
本当なら膝枕だけど、今はヘンリーが悪魔の囁きにとり憑かれているのとボス(朝比奈)からの命令があるのとで、一応ビッチ殺害優先
391以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 22:57:36.23 ID:wPOA3HHJ0
おお! 迅速な対応どうもです。
そんなヘンリーさん、膝枕的な未来の展望としては
全処女の膝枕をコンプリートして膝枕ソムリエになるのを目指されているのでしょうか?
392以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 22:59:14.78 ID:WmCWn7Ev0
>>391
>全処女の膝枕をコンプリートして膝枕ソムリエになるのを目指されているのでしょうか?
ヘンリー「それ……いいなぁ」
ユニコーン「ひひん」
 実は、未来の展望をあんまり持ってなかった男
 「教会」のお抱えに収まってるのだって、母と姉殺して行き場なかったところを拾われたからって理由だけだし
393以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 23:02:14.29 ID:wPOA3HHJ0
も、もうちょっとこう、世間に受け入れられる将来の展望をもちましょうーーー!?
いや、実害あまりないからいいけどもww
処女はとりあえず拒まず、ビッチ死ね的な思考で考えておkですか?
394以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 23:03:03.75 ID:WmCWn7Ev0
>>393
>処女はとりあえず拒まず、ビッチ死ね的な思考で考えておkですか?
そんな感じ
ついでに、ビッチ殺すのをジャマする男も死ね、状態ですね、悪魔の囁きのせいで
395以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 23:06:31.33 ID:wPOA3HHJ0
あい了解です
ガチで戦うシーンが少し入るかも知れないかもしれない
396以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 23:08:57.64 ID:WmCWn7Ev0
むぅ、今描いてるネタが確実に今夜中に間に合わない
やはりペース落ちてんなぁ

>>395
wktkしてるぜ!
397以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 23:30:34.03 ID:WmCWn7Ev0
みー
398以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 23:57:10.75 ID:M12anVtn0
399以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 23:57:17.21 ID:cMml6cX10
400笛 ◇rpv9CinJLM(代理):2010/04/29(木) 23:57:46.66 ID:wPOA3HHJ0
【拝戸直の人殺し 第六話「拝戸直は人恋し」後半】


キィン!
ガキィィイン!

笛吹の腕が二回、わずかに動いた。
その後からほんの少し遅れて金属音が響き渡る。
俺の手元から、まるで手品のように真っ赤な鋏が消えて無くなった。

笛吹は何事も無かったかのように右手を腰に当ててまるでギリシャ彫刻のように目の前で佇んでいる。
辺りをキョロキョロと見回すと俺の鋏はマンション前の道路に深々と突き刺さっていた。

「取りに行っていいぞ。」

そういって大きく一つあくびをする笛吹。
馬鹿みたいに隙だらけだ。
あんな人間を殺すなんてたいして難しいことではない。
俺は素直に鋏を取りに行くと、鋏の中止めを外して片方を笛吹に向けて投げつけた。

甲高い金属音。

また、俺の足下に鋏が突き立つ。
401笛 ◇rpv9CinJLM(代理):2010/04/29(木) 23:59:54.90 ID:wPOA3HHJ0
笛吹丁。
21歳、男性。
運動神経はかぎりなく無いに近い。
過去に何か武道をかじった程度の体裁き。
体格は標準よりすこし背が高い程度。
鋭い顔つきではあるが俗に言う美形とは少々違う。
アメリカに行けばやせ形と言われる、という表現がまさにぴったりだ。
髪型はオールバック。
香水をわずかにつけているらしい。
ハーメルンの笛吹きの契約者。

これが俺の持っている笛吹丁に関する情報だ。
これだけ見れば彼を殺すのはとてもたやすいように思われる。
しかし現実は違う。
何故、彼を殺せない?
あの焼けただれた顔を切り裂き、筋肉をあらわにして、
それから筋繊維の一本一本を寸断することなんて大した労苦ではないはずなのに。

顔?
焼けただれた顔?

何かがおかしい。
火傷の面積が少なくなっていないか?
402笛 ◇rpv9CinJLM(代理):2010/04/30(金) 00:02:15.28 ID:94jmL2pY0
「どうした、ボサッとするなよ。怖いのか?
 本式の殺人鬼様が、しがない私立探偵を恐れるのか?
 何を恐れる?
 ここに立っているのは人間一人。
 まず間違いなく貴様の得物だ!
 さぁ!さぁ!さあ!
 ここに居るのはお前の被害者になるかもしれない男だ!
 昔は悪人だったが今はスッパリ足を洗い世の為人の為に働いている善良な男だ!
 お前はそれを殺れないというのか!?
 言わないよなあ、言えない。
 そんなの殺人鬼ではない。
 むしろそんな人間を殺してこその殺人鬼だ、違うか?
 言ってみろ、今此処でこの時俺が許可しよう。
 言え!今すぐに言え殺人鬼!
 そしてそれを以て、この夜更けに俺は貴様に宣告しよう!
 古めかしい推理小説のごとく宣告し断定しよう。
 貴様が犯人だ!
 そして俺が探偵だ!
 ストーリーはたったいまクライマックスを迎えたんだ!」

安い、いいや高い挑発だ。
確かに魅力的な口説き文句ではあるが、
まるで自分が歌劇の主演を張っているかのような陶酔感を覚えるが、
あれに乗ってはならない。
あれは恐らく、俺の殺戮と同じようなものだ。
一度あれに魅入られればきっと俺の芸術より悲惨なことになる。
面白い、あれが笛吹丁か。
403笛 ◇rpv9CinJLM(代理):2010/04/30(金) 00:04:33.53 ID:94jmL2pY0
言葉を交わす必要はない。
彼が言葉で会話で自らの世界を形成するならばそれには踏み入れない。
あの世界は俺の織りなす殺戮で迎え撃たなくてはならない。
口を開けば確実にあいつに飲まれる。

まずは正面から口裂け女の脚力で近くに迫る。
ギリギリまで迫って迫って……一気に真上に飛び上がろう。
思い切り踏みきって力は十分にたまった。
あとは真上から彼を解体するだけだ。

その時、ゾワッと背中に気持ちの悪い気配を感じた。
彼に近づくのをやめて真横に回り込む。

「…………逃げたな?」
「殺しにかけては只の人……か。」

俺がさっきまで居た場所のコンクリートには深い亀裂が走っていた。
まただ。
また、彼が何をしたか確認できなかった。
もっと近づいて、あの正体不明の攻撃について調べなくてはいけない。
殺気が襲ってくるタイミングでならギリギリ反応して逃げられる。
404笛 ◇rpv9CinJLM(代理):2010/04/30(金) 00:07:11.41 ID:94jmL2pY0
「今の攻撃の正体が気になってしょうがないって感じだな。
 教えてやろうか?
 教えて欲しいとお前が言えば教えてやらないこともない。」

駄目だ、あの言葉を聞いてはならない。
会話が始まってしまえばきっとあいつの独壇場だ。
それだけは許してはいけない。

あいつは人殺しだけならば肉体的にも技術的にも完全に俺に劣っている。
俺に劣ることが出来ている時点でそこそこ立派なのだが今はまあ別の話だ。
そんなあいつが。
そんな笛吹という男が。
何かは解らないがたった1モーションだけ俺に遙かに勝っている。
それを可能にするのはきっと気が遠くなるような修練だけだ。
才能なんて物ではあの動きはできない。
同じ行為のルーチン、そして最適化。
それの究極、最終地点、人間には不可能な時間の積み重ね。

じゃあここで考えよう。
それを可能にする物ってなんだ?

そうだ、都市伝説だ。
405笛 ◇rpv9CinJLM(代理):2010/04/30(金) 00:09:33.73 ID:94jmL2pY0
鋏を二本に分解して投げつける。
タイミングは微妙にずらす。
そしてその鋏の後ろから俺は一気に走り寄る。

魅せてみろ見せてみろハーメルンの笛吹き、悪魔を騙る偽殺人鬼。
貴様がその背中に背負う物は蝙蝠の翼か天使の羽か?
貴様がその腕でふるうのは悪魔の笛か龍の爪か!

第一撃

駄目だ、また見えない。
鋏の片割れが弾け飛んだ。

第二幕

笛吹が何か持っている。
今度は鋏が二つに切り裂かれた。

大惨劇

まっすぐ俺を狙う白刃。
このままなら死ぬ、だが鋏は一本だけじゃない。



“私”はもう一本の鋏を懐から取り出して…………
406笛 ◇rpv9CinJLM(代理):2010/04/30(金) 00:14:52.79 ID:94jmL2pY0
「――――――――――二人とも、そこまでです。」

サンジェルマンの澄んだ声が辺りに響く。
どうやらゲームセットらしい。
俺は笛吹の“心臓に突きつけていた”鋏を引いて、そこら辺に投げ捨てる。
笛吹も俺の“眼球に突きつけていた”刀を引いて、鞘に収めた。

「…………あそこで防御しないのかい。」

笛吹は呆れたように恐れるように呟いた。
“私”は最後の最後で笛吹を確実に殺すことを選んだ。
殺されるまえに殺せば俺の勝ちだからである。

「忘れていました。先輩の言葉を聞いてたらテンションあがってたのかも。」

「笛吹さん、もう満足でしょう。
 貴方の方が強いかもしれませんが、それだけです。
 彼は貴方を殺し得ます。」
「ああ、そうだな。面白い物見せてもらった。」

それだけ言うと、笛吹丁は夜の町の中に消えていった。
その背中は心なしか満足気であった。
407笛 ◇rpv9CinJLM(代理):2010/04/30(金) 00:17:06.64 ID:94jmL2pY0
「ところで、よく土壇場で守りを捨てられましたね。
 てっきりもう一本出した鋏で身を守ると思っていましたけど。」
「だって、そうしたら鋏ごと切られるじゃないか。
 なんだあの無茶苦茶ずるい都市伝説。
 結局正体も今一よくわからなかったぜ。」
「私の手伝いをしてくれるなら貴方にピッタリの物を用意しても良いですよ?
 あれは笛吹さんに一番相性が良い都市伝説ですから駄目ですけど。」

成る程。
こうやって自分の手元に強力な都市伝説契約者を増やしているのか。
確かに彼がいくら都市伝説を所持していたところで、
それを使いこなす契約者が居なくてはそれは只の死蔵品だ。
ばらまいておいてそのなかで誰か助けてくれれば良いやって所か。
ずいぶん適当な物だ。

「ふん、解った。
 でもそれよりみぃちゃんが可愛がれそうなペットを一匹用意してくれ。
 あいつは意外と動物好きなんだが都市伝説になってからという物、嫌われっぱなしらしいんだ。」
「は、はぁ……。まあ探しておきましょうか。」


それにしてもこの男には笛吹のような知り合いが何人もいるのか。
ならば、少し彼の目的に付き合うのも悪くないような気はしてきた。
俺はあくびをすると、とりあえず自分の部屋に帰ることを決めたのである。
【拝戸直の人殺し 第六話「拝戸直は人恋し」後半fin】

408以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 00:35:27.17 ID:94jmL2pY0
笛のひと乙でしたー!
ペットが何になるのか気になるところ……とみせかけて全く別のものが来るか!?
409以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 00:44:21.88 ID:94jmL2pY0
410以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 01:08:13.95 ID:UOYYZyPr0
代理乙です。

さて、サンジェルマンは拝戸に何を与える気なんだろうか。
そして、ペットは一体?
411以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 01:29:31.71 ID:94jmL2pY0
412以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 01:30:20.23 ID:MHGABMB6Q
お休み前ほ
413以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 02:02:47.85 ID:94jmL2pY0
414以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 02:24:22.39 ID:UOYYZyPr0
415以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 02:58:33.86 ID:94jmL2pY0
416以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 04:14:04.18 ID:50ePx9/Z0
417以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 04:51:12.41 ID:94jmL2pY0
418以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 06:02:49.73 ID:MHGABMB6Q
419以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 07:42:38.35 ID:MHGABMB6Q
420以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 09:37:47.19 ID:p8cOHcdKO
無感情の黒服は過激派とか穏健派にどうやって分かれるんだろう
421以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 09:52:00.58 ID:wcZfyPq80
>>420
管理してる上司しだいじゃねほ
422◇HdHJ3cJJ7Q (代理):2010/04/30(金) 10:03:49.41 ID:wcZfyPq80
 表通りから少し奥にはいった路地に、コーク・ロアに操られている者達が集まっていた。
 あてもなくフラフラと街をさ迷っているように見えたが、一応目的はあったようだ。おそらく、他にも集まっている所が多数あるのだろう。
 コーク・ロアの契約者からの『暴れろ』という単純明快な指示を受け彼らは歩を進める

「なぁ、『あたし、きれい?』」

 その声に路地を進む集団はたった今自らが通った道を一斉に振り返った。
 そこには異様な雰囲気の集団に臆することもなく不敵な笑顔を浮かべた女が立っていた。
 黒いスーツの上に真っ赤なロングコートを羽織るというやや違和感のある服装以外は特に不審な点は無く、どこにでもいそうな姿だ。
 集団の中で女の近くにいた男が、見つけた獲物に襲い掛からんと、女に向かって駆け出した。

「ハハッ! 答えれる正気は残ってないか。まぁ気にすんな、オレはそんなもんで計れるモノじゃない。お前らはただ私を」

 女に接近し腕を振り上げ、顔を目掛けて殴り掛かろうとする男。それを見ても女は慌てず、半歩後ろに下がるだけで男を躱した
 そこから女は一歩前に踏み込み、空振りして体制を崩した男を握りしめた拳で殴り返した
 殴られた男は吹き飛ばされ、すぐ後ろにいた別の男を巻き込んで地面に倒れこんだ

「畏怖すればいい」

 女は耳元まで裂けた口を歪ませ、笑った

―――
――


つづくかも
423以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 10:21:03.52 ID:wcZfyPq80
昼食終わってもスレが残っていますように
424以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 11:23:21.88 ID:MHGABMB6Q
昼飯求めて外出ほ
425以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 12:14:15.94 ID:p8cOHcdKO
組織の黒服は組織を裏切れないって設定があった気がするけど
勝手に都市伝説契約書をばらまくのは大丈夫だったんだろうか
426以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 13:07:17.69 ID:OVH2GNm0P
427以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 13:08:07.29 ID:MHGABMB6Q
何をもって『裏切り』とするのかが微妙なところ

H-No.9の契約書ばらまきは、少なくとも「組織」を潰すことが目的ではないはず
実験を強制終了させた「組織」に不満があって革命じみたことをやろうと目論みたんじゃないかな?

強硬派と穏健派の勢力争いも本質は「組織」の基盤を磐石にすることだし、「組織」を潰そうとか考えない限りは黒服個人の行動は縛られないと思う

と、考えてみたがどうだろうか
428以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 13:42:30.82 ID:p8cOHcdKO
たしかに本人が組織の為だと思っているなら裏切りとは言えないか
納得した

ところで、黒服Dは組織と夢の国の黒服が混ざっているから、組織の方で黒服Dの行動を把握できない事がたまにあるって描写があった気がするけど
あれ、長い間誰も気づいてなかったみたいだけど、普段は監視してないんだろうか
監視してたらばらまかれなかっただろうに
429以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 13:53:19.07 ID:5i8H376m0
えー、一連のH-No.9の「都市伝説契約書バラまきって大丈夫だったん?」ですが
彼女、厳密には「組織」の黒服違うんですよ
都市伝説に飲み込まれた存在ではありますが、彼女が都市伝説に飲み込まれたのは「組織」が出来るより前の事
よって、「組織」の黒服になる訳ないんですね
「組織」にスカウトされたんで、黒服らしく黒スーツ纏ってはいましたが

よって、実は監視システムには引っかかっていませんでした
そのせいで、バリバリ裏切り行為でしたが気づかれるのが遅かったみたいです
430以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 14:11:43.68 ID:5i8H376m0
431以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 14:18:53.30 ID:p8cOHcdKO
あぁ、そういう事もあるのか
てことは、ヘンリエッタとかも比較的自由に動けるタイプか
432以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 14:20:11.13 ID:MHGABMB6Q
帰省中ほ
433以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 14:21:45.53 ID:5i8H376m0
>>431
そんな感じのイメージですた
少なくとも、俺は
434以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 14:40:41.65 ID:5i8H376m0
ネタ構想中ほ
435以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 15:00:25.50 ID:5i8H376m0
みー
436以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 15:20:27.41 ID:5i8H376m0
にー
437以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 15:41:11.25 ID:5i8H376m0
にーにー
438悪意がそこに  ◆nBXmJajMvU :2010/04/30(金) 16:02:53.31 ID:5i8H376m0
 ぐるるるるる………
 犬達の唸り声が、路地裏に響き渡る
 ぽたり、ぽたり、口の端から涎をたらす犬達は、狂気に彩られた瞳で、前方からかけてくる集団を睨み付けた
 敵だ
 喰らえ、殺せ
 どこからか聞えてくる遠吠えが、そう命じてきている
 犬達は、そうやって命じられるまま、前方からの集団に襲いかかろうとして

 集団の先頭にいた黒服の男が、何か、犬達の頭上に向かって放り投げてきた
 それは、透明な石……水晶と呼ばれる、それ
 水晶は、犬達の頭上でぱぁん、とはじけて、キラキラした光となって、犬達に降り注ぐ
 その光に触れた犬達は、己らを支配してきていた力から、解放されて
 己らの身を蝕んでいた病から、解放されて
 その反動でか、その場で意識を失い、次々と倒れていったのだった


 気絶した犬達の横を通り過ぎていく黒服達
 黒服の上司であるG-No.1からもたらされた情報により判明した、朝比奈 秀雄が潜伏していると思わしき雑居ビルに向かっている最中なのだが…なるべく裏道を通っているというのに、それでも、コーク・ロアの被害者や、クールトーに操られた犬達と遭遇してしまう
 先ほどのように、黒服が知り合いから譲り受けているパワーストーンを使って、支配されている相手を解放するなどして、なるべく戦闘は行わずに進んでいるのだが
 …表通りで、どれだけの被害が出てしまっているだろうか
 「組織」なりどこなりで、抑えられていれば良いのだが…

「黒服、あとどれくらい?」
「…もう少し、ですね」

 望の声で、思案から引き上げられた黒服
 …今は、朝比奈 秀雄の元に向かう事を優先すべきだ
 表通りの状況に関しては、「組織」や他の組織を信じるしかない

 ……ちらりと、翼の様子を確認する黒服
439悪意がそこに  ◆nBXmJajMvU :2010/04/30(金) 16:07:42.31 ID:5i8H376m0
 その顔に浮かんでいるのは、強い決意
 迷いは、完全に消えた訳ではないだろう
 だが、迷っている場合ではないのだ、と、そう自分に言い聞かせて納得しているような、そんな気配を感じる

 …あまり、無理はさせたくない
 そう考えながら、黒服は翼や望達を先導して…


 −−−−−ちゅーーーー!!!!


「きゃっ!?」
「!?」

 突如響いた鼠の鳴き声に、思わず足を止める
 振り返ってみれば、驚いている望のコートのポケットから、小さなハツカネズミ……ノロイが、顔を出していた

「っちょ…ノロイ、あなた、いつの間に!?」

 ちゅちゅちゅちゅ、と泣き続けているノロイ
 その姿は、驚いた声をあげている望に、何かを訴えかけているようにも見えて


 べちゃり、と
 その不気味な音は…進むはずだった前方から、聞えてきた


 べちゃり
 ぐちゃり
 そこには、すぐ傍のビルの窓からでも、落下してきたのだろうか
440悪意がそこに  ◆nBXmJajMvU :2010/04/30(金) 16:12:41.31 ID:5i8H376m0
 人間大のタコが、数匹……ぐちゃぐちゃと蠢いていた
 ノロイの泣き声に驚いて立ち止まっていなければ、落ちてきたそれにそのまま捕えられていたことだろう
 ノロイは、あのタコの襲撃を伝えてきていたのか

「…あれぇ?おかしいなぁ、ちゃんとタイミングあわせたつもりだったのに……どうして、立ち止まっちゃうかなぁ」

 心底不思議そうな、女の声が聞えてくる
 前方から現れた、その女性は……藤崎 沙織
 また一段と、「タコ妊娠」に飲み込まれた気配を感じる
 それでも、まだ辛うじて、その存在は完全に都市伝説に飲み込まれてはいない
 今の状態から引き剥がせば、まだ間に合うだろう

「藤崎…」
「待ってたよ、日景君」

 くすくすと藤崎は笑い、翼を見つめてくる
 どうやら、彼女はどんな理由からか知らないが、翼に執着があるらしい
 だからこそ、悪魔の囁きの卵を植え付けられてしまったのかもしれないが…

 無駄だろう、と思いつつ、黒服は翼を庇うような位置に立ち、藤崎に声をかける

「…申し訳ありませんが、我々は急いでおりますので、通していただけないでしょうか?」
「日景君以外は、通ってもいいよ?私が用事があるのは、日景君だけだから……………今度こそ、日景君を、手に入れてみせる」

 後半は小声で、黒服や翼の耳には届かない
 ただ、藤崎の言葉に反応するように、タコ達はにゅるにゅると、一行に迫ってくる

 …べちゃ、ずちゃ
 見れば、後方にも、タコが現れ始めている
 …囲まれた
441悪意がそこに  ◆nBXmJajMvU :2010/04/30(金) 16:17:50.12 ID:5i8H376m0
 このままでは、進む事も退く事もできない

「ねぇ、黒服さん…………日景君から、離れて?そっちの女の子達も…………じゃないと、私…何するか、わからないよ?」
「−−ッ藤崎!」

 翼が、黒服の前に出る
 翼の視線が、…「日焼けマシンで人間ステーキ」の能力が、前方から迫ってきていたタコを焼いていく
 後方から迫ってきていたタコ達も、危険を感じたのか、一瞬、動きが止まる

「お前が、どうして俺を狙ってくるのかは知らねぇが……お前の相手をしている暇は、ねぇんだ。通してくれ」
「……駄目だよ…日景君だけでも、残ってくれなきゃ…………私は、日景君に、用があるんだから……!」

 ーーーとぷんっ
 藤崎の両足の間から、新たなタコが生み出される

「…日景君を、捕まえて!」

 それは、じゅるじゅると黒服達に向かってこようとして…


「買って嬉しい、はないちもんめ」


 響いた歌声
 その歌声に反応するように、前方から迫ってきていたタコは、突然、方向転換して

「え?」

 にゅるり
 方向転換したタコは、契約者であるはずの藤崎の脚に絡みつき、その動きを封じた
442悪意がそこに  ◆nBXmJajMvU :2010/04/30(金) 16:22:45.54 ID:5i8H376m0
「え…どうして?」
「どうしてだと、思うかしらっ!?」

 ぶん、と
 何かが、黒服と翼の間を、放り投げられ、飛んでいく
 べちゃり、藤崎の肩に当たって、彼女をよろめかせたのは、タコ
 見れば、望が5円玉で作った鎖を振り回していた
 …これで、後方から迫ってきていたタコを絡め、能力を発動し……ついでに、自身の身体能力を強化させて、タコを藤崎に投げつけたのだろう
 いや、投げつけたのは詩織の方か?
 いつの間にやら手袋を身につけていて、それがべっとり、汚れている

「うー、粘液気持ち悪い、これって、直接肌に触れたらヤバイんだよね?」
「えぇ…決して、直接肌に触れないようにしてくださいね?」

 …良かった、詩織が身につけていたのが、ゴム手袋で
 これが軍手などだったら、布越しにじわじわと染み出てくるそれが、詩織に影響を与えてしまう

 じゃり、と
 望は鎖を手に、一歩、前に出る

「…黒服、翼。ここは私と詩織が何とかするから……先に、行って」
「っでも、望」

 望に、心配するような視線を向けている翼
 黒服が望に向けている眼差しも、同じ感情を含んでいる

 タコ妊娠は、特に女性相手にその恐ろしさを発揮する都市伝説だ
 まだ少女であるとは言え…二次成長を遂げた望に対しても、充分にその力を発揮してしまう
 そんなタコ妊娠と契約している藤崎の前に、望と詩織を置いていくなど…
443悪意がそこに  ◆nBXmJajMvU :2010/04/30(金) 16:27:44.64 ID:5i8H376m0
「翼」

 しかし
 望ははっきりと、こう、告げてくる

「あんたは、あの男がやってる事を早く止めたいんでしょ?だったら、こんな場所で時間を食ってる場合じゃないわ」
「……それ、は」
「…あんたが、あの男をどうやって止める気かは、聞かない………ただ、せめて一発、ぶん殴ってやるくらいの資格は、あんたにはあるんだから。さっさと、ぶん殴ってきなさい」

 ぐるん、と、望は鎖を振り回す
 藤崎は、己の脚に絡み付いてきているタコを、操ろうとして操れず…あれ?と首を傾げていて
 操り直すのを諦めたのか、他のタコを使って、それを引き剥がそうとしていた

「……ほら、さっさと行きなさい。私達が、あんな雑魚に負けるわけないでしょ」
「まぁ、どうにかなるからさ。急いでるんだし、二人だけ、先に行ってよ」

 詩織も、そこか気楽な様子でそう言って来た

 じ、と
 望が、黒服を見あげてくる

「…大丈夫、だから…………信じて」
「………」

 望の、その真剣な、眼差しを受けて
 …黒服は、小さく、頷いた

「危険だと感じたら、退くのですよ?」
「えぇ、わかってるわ」
444悪意がそこに  ◆nBXmJajMvU :2010/04/30(金) 16:32:47.60 ID:5i8H376m0
 藤崎を睨みつける望
 もぞ、とその望のコートのポケットに、ノロイがごそごそと避難を開始している

「翼、行きましょう…そして、朝比奈 秀雄を、一刻も早く、止めましょう。彼を抑えれば、悪魔の囁き憑きの被害者達も解放されますから」
「……わかった」

 こくり
 翼は、黒服の言葉に頷いて
 藤崎を睨む望に、告げる

「…できれば、殺さないでやってくれよ?」
「………善処するわ」

 藤崎がタコを引き剥がせずにいる、その隙に
 黒服と翼は、一気に彼女の横を駆け抜けた

 あ、と、藤崎はどこか、間の抜けた声をあげる

「日景君…待って……!」

 …ぶじゅる
 新たなタコが、ビルの窓から落下してきた
 そこに、苗床となっている被害者を放置しているのかもしれない
 ……後で、回収しなければ

 ちらり、振り返れば、望と詩織が、藤崎への攻撃を開始しようとしていた
 ……早く、朝比奈 秀雄を倒し、彼女達の安全を確保しなければ
 望の無事を祈りながら、黒服は翼と共に、先を急ぐのだった

to be … ?
445以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 16:35:36.11 ID:5i8H376m0
はないちもんめの人に、熱した剣山に向かって紐なしバンジー焼き土下座ぁああああああああああ!!!!!orz
藤崎の相手をしてくださるとの事で、望&詩織、オマケでノロイを藤崎とバトル開始直前状態にしておきました

なお、場所的には、目的地のすげぇすぐ近く
秀雄のいる雑居ビルのめっちゃすぐ傍です
戦闘終わったら、すぐにそちらに迎える感じですね
446やる気なさそうな人 ◇HdHJ3cJJ7Q (代理):2010/04/30(金) 16:39:41.95 ID:5i8H376m0
 路地に多数の人間が倒れていた。一部は道の端に死体のように積み上げられている。
 それらの状況を作った赤いコートの女は、倒れている男を足で道の隅に寄せながら電話をかけている。数回のコール音の後、通話状態になった。

「こちらスネイク、大佐、応答してくれ」
『何があったスネイク』
「実は……しまった敵襲か!」
『どうしたスネーク!? スネェェェェe『えいっ』ぐはっ!』

 電話の向こうからは、掛け声とともに、まるで鈍器で人間を殴ったような音が聞こえた。

『はい、電話の持ち主が戻りましたですよ』
「おぅ戻ったか。報告しなきゃ悪いことがあってな」

 赤いコートの女は足で人を隅に片付けながら状況を説明した。被害者なのだからもう少し丁寧に扱ってもいいと思うのだが。

『むぅ、何で見つけた地点で報告しなかったのかは後で問い質すとして……
  あなたはそのままコーク・ロアの被害者を見つけしだい無力化していって下さい。被害者の保護、後始末には他の要員を向かわせます』
「任せろ」
『お願いしますね』

 赤いコートの女は電話を切ってポケットにしまい、目を閉じ長く息を吐き出した。

「……さて、行くか」

 女は真っ赤なロングコートをたなびかせ、走り出した。
447以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 17:01:24.52 ID:5i8H376m0
にゅ
448以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 17:13:22.14 ID:MHGABMB6Q
とうとう黒幕に急接近か…
望たちが心配でならないぜ
449以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 17:24:41.80 ID:5i8H376m0
>>448
望と詩織とついでにノロイなら大丈夫と信じつつ夕食準備してくるー
夕食終わってもスレ残っていれば幸せだ



…まぁ、ぶっちゃけ朝比奈 秀雄とぶつかる翼と黒服Dの方が危険度は倍率ドン
450以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 17:25:42.36 ID:nieqJCkW0
さむっ ここも糞SSスレか

スレストしろよ無能警察共め
451以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 18:09:24.24 ID:p8cOHcdKO
452以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 18:38:07.05 ID:MHGABMB6Q
地元の夜は寒いぜほ
453以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 18:47:30.20 ID:5xhHBvik0
保守
454以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 19:11:13.41 ID:94jmL2pY0
帰宅お二方乙ですほ
455以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 19:31:05.03 ID:1fmOyFAQ0
ごちそうさまでしたほ
456以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 19:55:05.05 ID:fVy8amSG0
nya
457以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 20:16:17.67 ID:fVy8amSG0
458以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 20:37:24.85 ID:fVy8amSG0
459以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 20:55:58.89 ID:fVy8amSG0
460以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 21:03:26.54 ID:5xhHBvik0
461以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 21:21:21.88 ID:fVy8amSG0
462以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 21:40:20.09 ID:fVy8amSG0
463以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 22:00:41.62 ID:fVy8amSG0
ネタ構想中ほ
464以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 22:18:46.39 ID:fVy8amSG0
むぅ
465以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 22:24:35.97 ID:94jmL2pY0
ぼちぼち行きますよー
466以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 22:25:16.30 ID:fVy8amSG0
書きつつ支援!
467Tさん ◆mGG62PYCNk :2010/04/30(金) 22:26:45.63 ID:94jmL2pY0


            ●


 ≪ユニコーン≫が向けてくる期待の視線を目を逸らすことで回避する舞。それを横目にしながらTさんは目の前の一人と一頭に声をかけた。
「≪ユニコーン≫、それにヘンリー・ギボンヌだな?」
「名前、知ってるのか?」
 意外そうな顔をするヘンリーにTさんは「まあな」と答える。
「人づてに聞いた。……大人しくヨーロッパに帰れ」
「そうはいかない」
 Tさんに即答し、ヘンリーは続ける。
「俺には世界中のビッチを殺して乙女を守り、その膝枕に浸るという崇高な目的がある!」
 そう言うとヘンリーと≪ユニコーン≫はグルリと勢いよく首を回して舞を見た。
 心持ち舞が引くのに構わずヘンリーは言う。
「麗しきレディ! さあここは危ない、俺が送り届けるので急いで逃げて、そして今度こそ安全な場所で三度目の正直、ぜひとも俺に膝枕をっ!」
「いやいやいや落ちつけよ!? だいたいさっき兄ちゃん膝枕は後日とか言ってたろ? 時と場合を考えろとか!」
「このエロホースに負けるわけにはいかないんだ!」
 そう訴えるヘンリー。≪ユニコーン≫がそんなヘンリーを好敵手を見るような目で見、その意見に応じるように鼻ぶるいする。
 その執念じみた剣幕に舞はTさんの背にそっと隠れる。苦笑してTさんがヘンリーらの視線上に立った。
「乙女以外は殺すか……随分と過激な事だな」
「尻軽ビッチには当然の制裁だ! そしてどけ。レディの御尊顔が拝めない」

468以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 22:27:34.75 ID:fVy8amSG0
ナイス変態支援
469Tさん ◆mGG62PYCNk :2010/04/30(金) 22:29:29.00 ID:94jmL2pY0
 ヘンリーはTさんを見てつまらなそうに言い、そしてそこで初めて気付いたように眉を浅く上げる。
「お前は以前もビッチを殺そうとした俺の邪魔をして更にそこのレディに触れることも邪魔した奴か……何度も邪魔をするな」
「断る」
「俺が乙女を安全圏まで送り届けて膝枕を手に入れるのを邪魔するのか?」
「邪魔も何も……なあ?」
 ヘンリーの言葉に舞とリカちゃんがTさんを困ったような顔で見る。Tさんも一つ頷き、
「安全圏もなにも危険なのはお前たちだ。ヘンリー・ギボンヌ、≪ユニコーン≫。悪いが止めさせてもらうぞ」
 Tさんの声を聞いたヘンリーが≪ユニコーン≫を傍に寄せて暗く暗く言う。
「穢れなきレディを傷つけるわけにはいかないが、それを邪魔する野郎は関係ないな……」
 殺気がこもった言葉と共に、ヘンリーの胸元に黒い染みが浮き出した。
「Tさん!」
「お兄ちゃん!」
「ああ」
 舞とリカちゃんに答えつつTさんはヘンリーの胸元から湧きだした染みを確認する。
 ≪悪魔の囁き≫か……。見た限りでは≪悪魔の囁き≫が憑いているのはヘンリー一人のようだな。
 そう当たりを付けて舞たちに言う。
「ある程度ダメージを入れて≪悪魔の囁き≫を引きずり出す。宿主が窮地に陥れば奴も出て来ざるを得んだろう」
 言い置くと同時、ヘンリーが殺気も露わに叫ぶ。
「邪魔するんならビッチ同様――死ねっ!」
 ≪ユニコーン≫が応じて高く嘶き、ヘンリーと≪ユニコーン≫、両者が地を駆けた。
470以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 22:30:32.04 ID:fVy8amSG0
支援!!
471Tさん ◆mGG62PYCNk :2010/04/30(金) 22:31:47.29 ID:94jmL2pY0


            ●


 駆けだした一人と一頭のうち、突出してきた≪ユニコーン≫が馬蹄の音を力強く響かせ、その額に生えた角をTさんに向けて突き込んだ。
 Tさんは半歩身をかわして眼前を貫く角を右手で掴む。
「っ!」
 身体を有無を言わさず引きずって行こうとする≪ユニコーン≫の突進。Tさんは左の手に光を現し、
「砕けろ!」
 手を振るう。撃ち出された光弾が≪ユニコーン≫の足元を砕いた。
 足をとられ、バランスを崩した≪ユニコーン≫をTさんは突進の推進力を利用して地面へと引き倒した。
 更に光を新たに溜めた手を≪ユニコーン≫へと向ける。それを放とうとして、
「ビッチ擁護と乙女の独占をする奴は死ね!」
 飛び込んできたヘンリーの蹴撃に阻まれた。
 ヘンリーはTさんへと肉薄し、蹴足を連続して繰り出す。
それらの蹴り一発一発が≪ユニコーン≫との契約の恩恵で壮絶な力を秘めている。更に今は≪悪魔の囁き≫により攻撃性が増している状態だ。
 直撃は避けたい……!
 Tさんが黒服から聞いた話を元に蹴りを警戒して避けていると、視界の端で≪ユニコーン≫が立ち上がったのが窺えた。
角を再びTさんに照準するのを気配で感じとる。
「処女ではないからと言ってそれら全てを攻撃対象にするのはおかしくはないか?」
 ヘンリーの足先を地に伏せかわし転瞬、顎を蹴り抜こうと蹴りを放つTさん。
「穢れた女は皆ビッチで十分だ!」
 ヘンリーは蹴りに合わせて真上に跳ね飛んだ。Tさんの蹴りは回避される。
ヘンリーは更にTさんの蹴り足が引き戻される前にそれを足場にし、バランスを崩しがてらもう一段高くへと跳びはねる。
 良い反応をしている!
 足場にされた負荷に耐え、しかし態勢を崩されながらTさんが小さく舌打ちしていると、横合いから≪ユニコーン≫の突撃が来た。
472以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 22:34:09.61 ID:fVy8amSG0
マジバトル支援!!
473Tさん ◆mGG62PYCNk :2010/04/30(金) 22:34:35.31 ID:94jmL2pY0
鋭利な角の先端に集約する殺気を感じながらTさんは祈る。
 ――真上に跳ね飛ぶことができれば幸せだ!
 直後、先程≪ユニコーン≫に対して放とうとして手に溜めた光弾を崩された態勢のまま自身の足元の地面に打ち付けた。
 小規模の爆発が起きる。
「自爆、か?」
 爆発からすんでのところで逃れた≪ユニコーン≫を視界の端に捉えながら煙に目を凝らすヘンリー。
「――いいや」
 そこに声がかかった。
 即座に反応して振り向いたヘンリーは、宙、自身よりも更に高い位置にTさんが吹き飛ばされている姿を視界に捉えた。彼の手足には光が宿っている。
 Tさんは身を捻って姿勢を整えると気楽に言った。
「仲良く落ちようか」
 手からの光を推進剤に空を飛び、足をヘンリーに押しつけた。そのままヘンリーは踏みつけにされる。
「――このッ!」
「遅い!」
 ヘンリーが反撃に出る前に両者は地面へと突っ込んだ。
 路面を砕く鈍い音に舞が声を上げる。
「Tさん!」
「問題無い」
 そう答え、いつの間にか舞に近づいていた≪ユニコーン≫に牽制弾を放って追い払うとTさんは舞の傍に移動した。
474以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 22:35:29.81 ID:fVy8amSG0
しええええん!!
475以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 22:36:52.14 ID:UOYYZyPr0
し・え・ん
476Tさん ◆mGG62PYCNk :2010/04/30(金) 22:37:35.96 ID:94jmL2pY0
舞は即座に問いかける。
「あの兄ちゃんは!?」
「落下の瞬間足で跳ねとんだ。おそらく大した怪我を負ってはいまい」
 Tさんの発言通り、ヘンリーは見た目的にはほぼ無傷で砕かれた路面の向こうに立っていた。牽制弾に身を退いた≪ユニコーン≫に文句を言っている。
「てめえ人が割と危険な時になにレディにお近づきしてやがる!?」
 対する≪ユニコーン≫は『それがどうした、お前よりも乙女の方が大事だろ』とでも言いたげに鼻を鳴らした。
 そのヘンリーの様子にTさんは、「まだ実体化はしないか……」と徐々に濃くなっていくヘンリーの胸元の染みを見ながら呟く。
「……徹底的にやるしかないか?」
 実体化してもらわなくては≪悪魔の囁き≫のみを撃つ事は不可能だ。しかしヘンリーと≪ユニコーン≫が≪悪魔の囁き≫の被害者である以上あまり傷つけたくはない。
 そうTさんが考えていると、呟きを聞いた舞が少し考え込むようにして、
「……よし、ならここは俺に任せとけ」
「……?」
 疑問顔を向けるTさんに「大丈夫大丈夫」と舞とリカちゃんは意気揚々、ヘンリーと≪ユニコーン≫の前に立った。
 問いかける。
「なあ、≪ユニコーン≫にヘンリーの兄ちゃん。そんなに膝枕、してほしいか?」
「か?」
 舞とリカちゃんの言葉に一瞬場の動きが止まる。ヘンリーと≪ユニコーン≫は顔を見合わせ、
「イエスッ!!」
 激しく頷いた。「うぉ……」と気圧されながらも舞とリカちゃんは「おーけーおーけー」と頷き、一人と一頭を手招きし出した。
「じゃあおいでおいで」
「おいでー」
 それに「はーい」と言われるままに従う二人。だがそれに待ったをかける存在があった。
477以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 22:38:39.27 ID:fVy8amSG0
っちょ、この変態めwwwwwwwww支援
478Tさん ◆mGG62PYCNk :2010/04/30(金) 22:41:45.24 ID:94jmL2pY0
『オイ、チョット待テッ!?』
 声と共にヘンリーの胸元の染みが急速に拡大し、飽和。ヘンリー自身と≪ユニコーン≫を包むように染みから黒い影が溢れだし、それは黒い双頭の蛇の姿をとった。
「≪悪魔の囁き≫……か」
 Tさんがどこか呆れた声を出す。
 ≪悪魔の囁き≫は両の頭にある大口を開き、一人と一頭に馬鹿か阿呆かよく考えろとステレオで喚き立てている。
その様子を観察し、まだその尾がヘンリーの胸元に繋がっている事を確認した。
 まだ全身では無いか……。
 ちらりとTさんを見てきた舞たちに小さく首を振って答える。舞は小さく頷いていらえを返し、手招きを続行した。
 ≪悪魔の囁き≫は尚も喚き立てている。
『ドウ見タッテ罠ダロォッ!? 待テヨ馬鹿野郎ォォォッ!』
 それに答えるヘンリーと≪ユニコーン≫の態度は毅然として一貫したものだった。
「いや、穢れなき乙女が膝枕をすると言っているのだ! これを断ってなるものか!」
 同意するようにひたすら首を上下に動かす≪ユニコーン≫。
『チッタァ考エロヨ阿呆カァアアッ!?』
「……なんつーか、憑いた相手が悪かったなぁ、お前」
 舞が同情気味に言う。
「あ、ところで兄ちゃん」
「何でしょうかレディ?」
 何故か丁寧語になっているヘンリーに、うん、と舞が言う。
「兄ちゃん達って会った時から膝枕膝枕って言ってるけどさ、乙女の膝枕ならなんでもいいの?」
「そうですね、俺は世の乙女達全ての膝枕を味わい尽くさねばならないという使命があります故!」
 両手を広げて≪悪魔の囁き≫の声を無視しながら宣言するヘンリーと同意を全身を使って表現する≪ユニコーン≫。
479以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 22:44:02.16 ID:fVy8amSG0
うん、どう考えても憑いた相手が悪いwww支援
480Tさん ◆mGG62PYCNk :2010/04/30(金) 22:45:47.94 ID:94jmL2pY0
 それになるほど。と答えて舞は頭上のリカちゃんに問いかけた。
「なあリカちゃん。どう思う?」
 リカちゃんは重々しく首を左右に振る。
「だめなの」
「だよな〜」
「……? 一体何が?」
 問う一人と一頭に舞は「ん〜?」と唸りながら頭からリカちゃんを取りあげて左腕にマウントする。
 ≪悪魔の囁き≫が慌てた声を上げた。
『! オイ、オマエラ、トットト退ケ! ジャネエト――』
 舞は≪悪魔の囁き≫の言葉の途中から一歩、二歩と軽やかにヘンリーと≪ユニコーン≫の方へと近づいて行った。
≪悪魔の囁き≫がヘンリーのせいか、それとも元々何も出来ないのか、舞たちに手出ししてこないのを確認すると笑みを作る。
「つ・ま・り」
 ヘンリー達に近づきながら笑顔で右の拳を握り、
「乙女なら誰の膝枕でも良いっていう返答は……」
 左のリカちゃんを構える。
「乙女心的には――」
 最後の一歩は気持ちの良い踏み込みで、
「不合格っ!」
 舞のアッパーがヘンリーを、リカちゃんの手が≪ユニコーン≫を強かに打った。
 それぞれ思い思いの悲鳴を上げて地に倒れる≪ユニコーン≫と宙を舞うヘンリー。
「リカちゃーん、よろしく!」
 舞はダメージの浅いヘンリーに向けてリカちゃんを放り投げた。
「はーい!」
『ヤメロオオオオオオオォッ!?』
 ≪悪魔の囁き≫を完全無視してリカちゃんの答えに「がんばー」と声援を送り、更に舞は小さく付け足した。
 ――Tさん以上のいい男になったら膝枕くらいしてやらぁ。
 リカちゃんがヘンリーの胸部を、その姿からは想像できない膂力で殴り付ける音が鈍く響いた。
 地面に激突したヘンリーを見て舞はぽつりと言う。
「……まあ、無理だろうけどな」
481以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 22:46:34.99 ID:fVy8amSG0
まぁ、不合格だろうなwwwwww支援
482Tさん ◆mGG62PYCNk :2010/04/30(金) 22:50:18.28 ID:94jmL2pY0


            ●


『コノ変態野郎共ガアアアァッ!』
 地に打ちつけられたヘンリーから≪悪魔の囁き≫がその全容を現した。
 黒い双頭の蛇はその顎でヘンリーと≪ユニコーン≫を咥え上げ、長大な尾を荒々しく振るって怒りを表現する。
『コウナッタラ俺ガ直接コノ馬鹿共を操ッテ――』
「やっと全身を現したな」
 猛る≪悪魔の囁き≫に向けてTさんが掌を向けた。≪悪魔の囁き≫は、グッ、と言葉に詰まるとヘンリーと≪ユニコーン≫を盾にでもするかのように前に突き出した。
『チィッ! 撃チタキャ撃ッテミロ! ダガコイツラモ撃ツノカ? コイツラモレッキトシタ被害者ダゼェ?』
 嘲弄交じりに告げる≪悪魔の囁き≫に「ああ、問題無い」と答え、Tさんは≪悪魔の囁き≫へと向けた掌に光弾を現した。
 祈る。
「≪悪魔の囁き≫のみを撃ち抜いてくれれば、幸せだな」
 Tさんの言葉を≪悪魔の囁き≫が嘲笑う。
『アッヒャハハハ!! ンナ都合ノ良イ事ガアル筈ガ――』
「済まんな」
 それがあるんだよ。
 笑みで告げるとTさんは叫んだ。
「破ぁっ!」
 幸せは寸分違わず履行された。
483Tさん ◆mGG62PYCNk :2010/04/30(金) 22:52:55.56 ID:94jmL2pY0

            ●


「寺生まれってすげえ……」
「≪悪魔の囁き≫は見た目だけだ。表に現れたアレを倒すのはそう難しい事じゃない」
 一撃で完全消滅した≪悪魔の囁き≫の居た空間をまじまじと見る舞に地面に倒れたヘンリーと≪ユニコーン≫を軽く検分しながらTさんが答える。
 彼はしばらくヘンリーと≪ユニコーン≫の様子を見ると、最後に攻撃性の無い光を浴びせ、息を吐き出した。
「これで問題無い。目覚めればもう普通に動く事くらいは出来る」
 そうすれば後は自分達で勝手に身を振るだろう。そう言ってTさんは立ち上がり、舞を見て苦笑した。
「それにしても、『無理』とは大きく出たな」
 Tさんが言っているのは先程ヘンリーを殴り倒した時に舞が言っていたことだ。
「げ、聞こえてた?」
 ああ、とTさんが答えると舞は頬を引き攣らせ、
「いいじゃん別に。それにどうせこいつらはそのうち俺の膝枕なんざ興味無くなるだろうし」
 早口にまくしたてるとそっぽを向いた。
 Tさんは相好を崩すと笑いを押し殺しながら頷いた。
「……そうだな。いずれ、な」
「おう……」
 そう言って小さく頷く舞。何の事かと頭に疑問符を浮かべながら舞の頭上の定位置に戻ったリカちゃんがTさんを評する。
「お兄ちゃん、おうまさんたちよりもすごいの!」
「ありがとうリカちゃん。リカちゃんも舞も凄かったな。正直あれでいけるとは思わなかった」
 えへんと胸を張るリカちゃんを褒め、舞が大きく息を吸い込んで言った。
「ほら! さっさと行くぞ! この馬鹿騒ぎもちゃちゃっと終わらせようぜ!」
 Tさんに背を向けたまま言う舞。ただ、髪間に覗く彼女の耳は赤く染まっている。
「そうだな。早々にケリをつけに行こう」
 しばらく舞の顔は見てやらないようにしよう。Tさんはそう思いながら足を進めた。

484以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 23:00:01.23 ID:fVy8amSG0
まさか支援中にサルくらうとは…
乙っしたー!!
マジバトルあり変態あり、素晴らしかったですー

さて、この直後のシーンが思い浮んだんでいっちょ書くか
485Tさん ◆mGG62PYCNk :2010/04/30(金) 23:00:34.09 ID:94jmL2pY0
最後でサルった
さあて、まずはいろいろと土下座しなきゃねっ! なんかね? おかしいの! 途中からヘンリー達がそっち方向に動いてね!?

……ま、まあいいさ! 俺の文章力が無いのがわるいのさ!

何かあったら言って下さい。がんばって直します!
486戦いのその後に  ◆nBXmJajMvU :2010/04/30(金) 23:05:27.82 ID:fVy8amSG0
「……………」

 Tさん達がその場を離れた、直後
 むくり、ユニコーンは起き上がった
 …痛みは感じない
 自分達を倒したあの青年が、治癒してくれたのか

 −−−ひひん

 小さく嘶き、ユニコーンはヘンリーに近づく
 気絶しているその傍らに腰をおろし、そっと寄り添った


 −−−−許せ、我が契約者よ
 お前に、また罪を重ねさせてしまった
 私のせいで、お前は肉親殺しになってしまった
 あれ以来、私はお前に罪を重ねさせぬようにしていたつもりだったというのに
 …あの邪悪な気配がお前に憑く事を、止められなかった
 お前の衝動を、止められなかった
 やはり、私の本性は、人々が思うような清らかな存在ではなく………ただの獰猛な獣のようだ

 だから、せめて
 お前が命の灯火を消す、その瞬間まで
 お前を守る事が、私の務めだ
 今回の件で「教会」がお前を討伐しようとしたとしたら……お前を連れて、世界の果てまで、逃げよう

 ユニコーンは静かに、己の契約者を護る決意を新たにしているのだった


fin
487以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 23:07:06.11 ID:fVy8amSG0
sんな訳出、勢いだけで直後のシーン書いた
正直反省している

さて、支援中に書いたネタも続けて投下するよー!


>>485
>なんかね? おかしいの! 途中からヘンリー達がそっち方向に動いてね!?
ヘンリーとユニコーンだから、何ら問題はない
488以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 23:11:25.46 ID:94jmL2pY0
早いw
そして男に優しいユニコーン……だと?
だが既に全裸な俺は風呂に行かねばならんのです
489天使が飛び立つ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/30(金) 23:11:54.75 ID:fVy8amSG0
「はい……あぁ、直希。どうしたんだ?今、街中は悪魔の囁きやコーク・ロアの被害者が暴れ出してるから危険だぞ」

 学校町で悪魔の囁き憑きやコーク・ロア被害者達がおおっぴらに暴れ出した、その時
 天地は、担当している黒服C…ではなく、その上司から自宅待機を命じられていた
 ……それは、そうだろう
 「組織」としては、都市伝説の存在は隠蔽しておきたいのだ
 ただでさえ都市伝説の存在が公けになりかねないこの状況で、目立ちすぎる天地の「モンスの天使」達には現場に出て欲しくないだろう
 …天地としては、大変不満な状況だが

『あぁ、それは知っている…だからこそ、僕はこの現状を、どうにかしたい』

 携帯の向こう側から聞えてくる直希の声は、相変わらず、感情の薄い淡々とした声だ
 かすかに、何かがはばたくような音も入ってきているところを見ると、すぐ傍に天使を具現化させているのだろうか

『…天地、君の力を、借りる事はできるだろうか?』
「俺の?」
『あぁ。僕は、コーク・ロア支配型の契約者を見つけ出して、一人でも多く無力化させるつもりだ。そうすれば、街中で暴れている被害者達を解放させられるしな』

 直希の、淡々としたその言葉に、相槌を打ちながら考える天地
 それは、つまり…

「俺の天使で、広範囲を探せ、って事か?」
『そうだ。僕も天使を出しているし、親友や仕事関係者に協力してもらっているが……まだ、足りない。学校町は広いからな』

 それは、そうだろう
 途中、コーク・ロアの被害者やら何やらと戦闘状態になる可能性も考えると尚更だ

 天地の「モンスの天使」は、数が多い
 明確な人格を持っている天使だけでも10人以上いるし、それ以外の天使も数えれば、ざっと百近く一気に召還できるのだ
 いつもは、明確な人格を持っている天使だけを呼び出しているが…そう言う事ならば
490天使が飛び立つ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/30(金) 23:15:04.79 ID:fVy8amSG0
「わかった、俺とモンスの天使に任せとけ!!コーク・ロア契約者なんて、全員見つけ出して殲滅してやる!」
『あ、少し待ちたま』

 っぴ、と、直希が何か言おうとしていた事に気づかず、通話を切った天地
 天地の周囲に、明確な人格を持ったモンスの天使達が姿を現す

「お呼びですかー?」
「お仕事ですかー?」
「殲滅ですかー?」
「デストローイ!ですかー?」
「仕事ではないな…だが、学校町の為になるし、「組織」のためにもなる…コーク・ロアの契約者を見つけ出して、無力化しろ!ちょっとくらいは派手にやってもいいぞ!」

 天地の、その命令に
 美しきモンスの天使達は、その華やかな容姿に似合わぬ、重々しい重火器を手にしだす!

「了解いたしましたー!」
「お任せくださいですー!」
「ご主人様の為に頑張りますー!!」

 ばん!と窓を開け放つ天地
 天使達が、窓から外へと飛び出していく
 何時の間にか、明確な人格を持つ彼女達の周囲に、明確な人格を持たぬ天使達も姿を現し、街中へと散っていく
 その数…ざっと、50以上

「これだけ出せば、大丈夫だろ」

 かすかに疲労感を感じつつ、頷く天地
 明確な人格を持つ天使以外も召喚し、かつ、同時に使役するのは久しぶりだ
 流石に、負担は大きい
491天使が飛び立つ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/30(金) 23:19:00.36 ID:fVy8amSG0
 …だが、それでも
 学校町の為になるのなら
 「組織」の為になるのなら
 …友人の、力になれるのなら
 天地は、力を振るう事に戸惑いはない

 −−−そうだ
 これは、「組織」の為にもなる
 自分は、「組織」の役に立つのだ

 ……そう

「…恩知らずの裏切り者の、H-No.96とは………違うんだよ、俺は……」

 そう呟いた、天地の表情は
 強い憎しみと、寂しさで彩られているのだった



「…むぅ」
「どうかなさいましたか?我等が主(マイ・マスター)」
「……いや」

 ………さて
 ただ、コーク・ロア契約者の居場所さえ見つけ出してくれれば、自分の天使なり誰かなりをそこに向かわせ、相手を無力化するつもりだったのだが…

「…やりすぎて、「組織」から謹慎処分でも喰らわなければ良いのだが」

 携帯越しに感じた、友人の気配に
 直希は小さく、ため息をついたのだった        to be … ?
492以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 23:21:17.79 ID:fVy8amSG0
僧道中の天地や直希の様子ですた
あちこちの廃ビルやら空家やらで、「セイレーン」の歌を聴かされながら放置されているコーク・ロア契約者達を何とかすれば、騒ぎは一部どうにかなります


>>488
実は、倒された時の反応はある程度考えてたんでwwwwww
ユニコーンはヘンリーに罪の意識があるんで、まぁこんな感じになりました
493はないちもんめ ◇ijXVtdIY/Y (代理):2010/04/30(金) 23:25:10.69 ID:fVy8amSG0

「日景君…待って……!」
翼を追いかけようとする女の足に更に蛸を絡ませ阻害する
アイツがどんな決着の着け方をするかは判らない
判らないけど・・・少しでもマシな方へ進ませる為にも邪魔を入れる訳には行かない
「邪魔・・・しないでくれないかなぁ?」
「拒否、私に言わせるならアンタこそ翼の邪魔するんじゃないわよ」
「翼・・・?」
翼の名前に反応した・・・
やっぱりそういう事か
運が悪いというか何というか
少しだけ同情してやっても良い
けど、手加減するかどうかは別だ
「アンタさぁ、翼に惚れてるんだ?」
「・・・・・・そうよ」
「でも、残念
 どんな事してもアイツがアンタの方を向く事は無いわ」
「・・・え?」
だって
「アイツは今、私達(家族)に夢中だから」
思い切り意地の悪い笑みを浮かべて言ってやる
さぁ、乗って来なさい!!


494はないちもんめ ◇ijXVtdIY/Y (代理):2010/04/30(金) 23:30:10.14 ID:fVy8amSG0
「そっかぁ・・・じゃあ・・・あなた達を消さないとね・・・
 日景君の目を覚まさないと・・・うん
 幼女趣味は犯罪だよ・・・」
「そうね、ロリコンは犯罪で病気だわ」
「全部わかってる上で言っちゃうんだから望も性質悪いよね・・・」
詩織、それは褒め言葉よね?
「うん、あなた達が日景君を誑かしてるって事が良くわかったよ・・・
 そんな悪い女は消しちゃわないと!!」
複数の蛸と一緒に女もこっちに向かってくる
かかった!!
「詩織!!」
「わかってる!!」
詩織に向けて投げたのは50円玉
ソレを詩織が掴み、握った
「買って嬉しいはないちもんめ!!」
私が歌うと同時に詩織が一気に女に詰め寄る
マッドガッサー事件の際に誠が身体のリミッターを外す事で力を増幅したのを覚えているだろうか?
アレを私の能力で再現した
それも人間離れした都市伝説としての身体能力を持つ詩織のリミッターを外したのだ
今の詩織の力は兄貴にも匹敵する


495はないちもんめ ◇ijXVtdIY/Y (代理):2010/04/30(金) 23:35:09.29 ID:fVy8amSG0
「早い?!」
「ハァッ!!!」
ドォンッと爆発の様な音を響かせ詩織の拳が女の腹を捕らえビルの壁まで吹き飛ばした
「やったか!?」
「望、それフラグ!!」
「ちゅー!!」
ノロイにまでツッコまれてしまった
「そうだね・・・このタイミングでその台詞は失敗フラグだよ」
朦朦と沸く砂埃の中から蛸が飛び出す
「うわッ!?」
「詩織!」
詩織の腕に蛸が絡みついた
ヤバイ!!
「人間って飛ぶんだね
 初めてだよ・・・飛んだの」
煙が晴れると無傷の女が


496はないちもんめ ◇ijXVtdIY/Y (代理):2010/04/30(金) 23:39:40.02 ID:fVy8amSG0
私の能力で強化された詩織の拳はビル位なら一撃で倒壊させる
そんなのを食らって人間が無事で住む筈が無い・・・どういう事?
打たれ強いだけなのかそれとも別の何かか・・・
「望!考えてるのは良いけど助けて!!
 ヤバイから!!あっ、こら何処触ってッ・・・やめろ!!」
あぁ・・・考えてる内に詩織がちょっと人様に見せられない姿に・・・ってヤバい!!
「買って嬉しいはないちもんめ!!」
詩織の身体を無理矢理動かし蛸を振り払わせる
それと同時に私も女に向かって走り
ジャッ
と、鎖を女の首に巻きつけた
「買って嬉しいはないちもんめ!!」
支配権行使
「折れろ!」
「!?」
私の言葉と共に女の手足がありえない方向に曲がる
でも、何かおかしい・・・


497以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/30(金) 23:49:26.70 ID:UOYYZyPr0
支援
498以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 00:16:50.44 ID:jy09AY1b0
499はないちもんめ ◇ijXVtdIY/Y (代理2):2010/05/01(土) 00:44:11.29 ID:jy09AY1b0
「・・・まさか」
「何、するのかゃ!?」
女の首を180度回してやる
「酷いなぁ・・・前が見えないよ?」
「アンタ・・・そこまで・・・!!」
わかった・・・詩織の拳に耐えられた訳
この女・・・「蛸妊娠」の影響で体が軟体なんだ
都市伝説に飲まれ掛けと言っても良い
だから打撃も関節技も効かない
「分が悪いわね・・・ちっ」
鎖を離して一気に下がる
「詩織、一度下がるわよ!」
「へ?」
「良いから来い!!」
蛸を何とか振り払った詩織の手を引いて走る
対抗策を考えないと
500はないちもんめ ◇ijXVtdIY/Y (代理2):2010/05/01(土) 00:45:50.82 ID:jy09AY1b0
近くの路地裏
「ノロイ、どう?」
ノロイに尋ねると首を左右に振った
少なくともここは安全という事か
「まさか、相性最悪とはね・・・」
女に対して圧倒的な能力を持つ蛸妊娠
そして、体が軟体故の打撃、関節技の無効化
分が悪い・・・せめて刃物でもあれば・・・
「詩織、何か案無い?」
「・・・・・・望」
「ん?」
「ゴメン」
「うわっ!?」
気付くと私は倒れていて
上に詩織が乗っかっている
「・・・ちょ、まさか」
「うん、色々我慢できそうに無い」
失念していた・・・蛸の粘液の媚薬効果
朝比奈の所へ向かう道中に遭遇した蛸妊娠
何とかソレを振り切った物の、更に厄介な状況に追い込まれてしまい
軽い頭痛を覚えた
「・・・本当、どうしようかしら」



続く
501はないちもんめ ◇ijXVtdIY/Y (代理2):2010/05/01(土) 00:48:01.84 ID:jy09AY1b0
>避難所
>望と詩織の続きをノロイ視点で所望しようか!

「望・・・」
詩織が望を押し倒してしまった
その直前にポケットから脱出していたので何とか外には居られるが
自分では詩織を止める事が出来ない
自分にわかるのは危険が近づいているかどうかだけだ
今はそんな事をしてる場合じゃないのに
何とかして詩織の目を覚まさせないと・・・
「詩織・・・」
502はないちもんめ ◇ijXVtdIY/Y (代理2):2010/05/01(土) 00:48:56.38 ID:jy09AY1b0
望が詩織の肩にポンッと手を置いた
それも、物凄く素敵な笑顔で
でも、自分にはわかる
あれは・・・物凄く怒ってる
「ちょっとは空気読みましょうか、買って嬉しいはないちもんめ」
「へ ゴキャッ みゃっ!?」
詩織の首が上下逆さになった
あれは痛い
「私達は翼を手伝う為に着てるのよね?
 ソレを高々媚薬食らった位で自分を見失ったりして・・・恥を知りなさい」
「え!?ちょっ望待っ−」
「買って嬉しいはないちもんめェェッ!!!」



数分後、地面から下半身だけ生えた「犬神家の一族」状態な詩織が出来上がったりするのだが・・・
まぁ、それは置いといて良いだろう
うん
続く



先に言って置く、俺は謝らない
503はないちもんめ ◇ijXVtdIY/Y (代理2):2010/05/01(土) 00:49:54.01 ID:jy09AY1b0
「首が痛い・・・」
「首が痛いで済んで良かったわね?人間なら即死よ?」
「ちっとは容赦を下さい」
「媚薬にやられた位で同性押し倒すような奴にはあれ位がちょうど良いの・・・さて、落ち着いた所で反撃に移るわよ」
「出来るの?」
詩織の疑問は最もだ
確かに奴の能力に私達の技は効かない
「えぇ、私の感知に面白い物が引っ掛かったからね・・・詩織、アンタの力使わせてもらうわよ」
「?」
504はないちもんめ ◇ijXVtdIY/Y (代理2):2010/05/01(土) 00:51:54.45 ID:jy09AY1b0
数分後
「何処行ったのかな?」
無数の蛸を引き連れて藤崎は町を徘徊していた
あの二人を消さないと
翼がロリコンになってしまう・・・
内容的には多大な勘違いを含んでいるが・・・それは置いておく
「早く見つけないと「こっちこっち!!」?」
パンパンと手を叩きながら望が藤崎の前を通り過ぎる
「見つけた」
「ほら、来なさい!
 鬼さんこちら、手の鳴る方へ!
まるで挑発するかのように
藤崎の手に届きそうで届かない距離をキープしながら蛸達を避け続ける望
「どこへ行く気かな?
 逃げてるだけじゃ私は倒せないよ?」
「着いてからのお楽しみよ!」
逃げて逃げて逃げて望は一件の店に飛び込んだ
今や日本中に存在する子供服メーカー LOLIQLOの店に
505はないちもんめ ◇ijXVtdIY/Y (代理2):2010/05/01(土) 00:54:16.44 ID:jy09AY1b0
「こんな所でどうする気かな?」
恐らくは罠
でも、こんな所で臆していたら翼を手に入れることは出来ない
意を決して藤崎が店の中に入ると・・・
「いない?」
望の姿が無い
「皆、探して」
蛸達を店の中に放ち探させるが望の姿が見当たらない
「一体何処に・・・あ」
見ると試着室に望の姿が・・・
「見付けた!!」
蛸達が試着室に飛び込み藤崎もそちらに駆け寄る・・・しかし
「!?」
506はないちもんめ ◇ijXVtdIY/Y (代理2):2010/05/01(土) 00:55:11.99 ID:jy09AY1b0
蛸達は望に届く事無く
見えない壁にぶつかった
「何!?」
その壁は僅かに光ると蛸達を吸い込みはじめる
「残念、ハズレ」
「!?」
後ろからかけられた声
振り返ると後ろに望の姿が
「嘘・・・じゃあ、今のは!?」
再び試着室に目をやるとやはり望の姿がある
「簡単な事よ・・・あれは試着室の鏡に映っている詩織
 元は鏡の都市伝説だからね、鏡の中に入る位簡単なのよ」
「くっ」
騙された
その事実が藤崎の反応を僅かに遅らせ
「遅いのよ」
『はないちもんめ』で強化された望の拳が藤崎の身体に叩き込まれ
再び、宙を待った藤崎は試着室に向かって飛び
「捕まえたよ」
鏡の中から伸びた腕に掴まれ
そのまま鏡の中に吸い込まれていった
507はないちもんめ ◇ijXVtdIY/Y (代理2):2010/05/01(土) 01:29:34.65 ID:jy09AY1b0
「・・・あ」
藤崎が立ち上がるとそこはさっきまで居たLOLIQLOの店
しかし、全てが左右反転している
「何・・・?」
試着室の鏡を見ると望と詩織が写っている
『そこは鏡の中の世界・・・一度入ると普通の手段では二度と出てこられないわ』
「二度と・・・・・・嘘・・・嘘よ」
『嘘じゃない・・・心配しなくても良いよ
 後で『鏡の中のアンタ』を鏡から出しておいてやる・・・後の事は『鏡の中のアンタ』が引き継ぐ
 良かったね、世間的には死んだ事にならずに済むよ・・・アンタは一生誰にも気付かれないままそこで過ごすんだけどね』
「いや・・・嫌!!
 出して!!ここから出して!!!!」
『心配しなくても良いわ・・・一人じゃ寂しいだろうから仲間を入れて置いてあげたから・・・後ろを見て御覧なさい』
「え?」
望に言われ、恐る恐る後ろを見る
そこには・・
508はないちもんめ ◇ijXVtdIY/Y (代理2):2010/05/01(土) 01:34:01.47 ID:jy09AY1b0
それは光っていた
それは盛り上がっていた
それは筋肉だった
「・・・へ?」
思わず藤崎も目が点になる
それもそうだろう
不意打ちで閉じ込められた挙句
「フンッ」
「ハァッ」
等と妙な掛け声と共にポーズを取る二体の筋肉達磨と遭遇したのだから
「おう、新入りかい?」
「何だ、女みたいな顔した奴だな」
「え、え!?
 いや、私女ですが・・・」
そう、蛸妊娠の影響でフタ○リと化してはいるが藤崎はれっきとした女である
だが・・・
「ちっちっち、俺達は騙されないぜ」
「そうとも、女物の服着て誤魔化してる積りかもしれないが、その股間のビッグマグナムの気配は俺達兄貴には隠しきれない」
兄貴には通じなかった
509はないちもんめ ◇ijXVtdIY/Y (代理2):2010/05/01(土) 01:42:06.27 ID:jy09AY1b0
ずい、ずい、ずい、と兄貴達が藤崎に近づいてくる
「い、いや・・・」
「おい、肩の力抜けよ」
「良いのかい?ホイホイ入ってきちまって
 俺達はノンケでもかまわず食っちまう兄貴なんだぜ?」
「い・・・いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁァッー!!」
鏡の世界に藤崎の絶叫が響き渡った
しかし、それは鏡の外に届く事は無かった





「思ったより、時間を食ったわね・・・」
「翼達無事だと良いけど・・・」
翼に「できるだけ殺すな」と言われたから何とか殺さずに済ませた
後で鏡の中の中から『鏡の中の藤崎』を引っ張り出せば対外的には藤崎は浄化され元に戻ったという扱いで通る
「急ぐわよ」
「うん」
望と詩織は、再び雑居ビル目指して走り出した


続く?
510以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 01:43:59.33 ID:jy09AY1b0
代理終了
511以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 02:21:58.60 ID:jy09AY1b0
512以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 03:07:11.17 ID:jy09AY1b0
しゅ
513以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 07:07:37.32 ID:WnZDmGns0
保守
514以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 09:06:52.34 ID:MiY++XPT0
おはよー!
代理引継ぎ感謝
515以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 09:37:26.88 ID:MiY++XPT0
みー
516以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 09:48:45.44 ID:sLlBphXJQ
517以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 11:04:28.72 ID:sLlBphXJQ
保守
518以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 11:40:02.60 ID:oO8hT4Rr0
投下乙ですほ
519以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
外出前ほ