「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」

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1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
ここは
都市伝説と契約して他の都市伝説と戦ってみたり
そんな事は気にせず都市伝説とまったりしたりきゃっうふふしたり
まぁそんな感じで色々やってるSSを書いてみたり妄想してみたりアイディア出してみたりするスレです


「まとめwiki」 ttp://www29.atwiki.jp/legends/


まとめ(途中まで) ttp://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/urban_folklore_contractor.html


避難所は↓だよ!規制中やスレが落ちている間はこっちでゆっくりしていようね!
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/13199/
2以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 12:50:53.34 ID:d1BH0oii0
よくある質問



 このスレってジャンプの某読みきりと関係あるの?



始めにこのスレを立てた>>1が何を考えて、スレを立てたのか
今となっては、その真相はわからない
ただ、ここに集まった者たちは、各自思い思いに妄想をぶちまけていき、今のこのスレの形となっていった


まぁ、結果としては関係あるかどうかとか、どうでもよくね?
ぶっちゃけ、ほぼ関係ない内容だし
3星は夜空で光るもの ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/04/11(日) 12:52:12.44 ID:d1BH0oii0
自分には人を好きになり人に好かれる価値が無いと思っている少女
自分には人を好きになり人に好かれる資格が無いと思っている男
「あたしは」
黒服Hに庇われるように立っていた佳奈美が、泣きそうな声を出す
「Hさんの事、化物だなんて思った事は無いよ。今まで会ってきた人も、都市伝説も、みんなそう。他の人と何か違う外見や能力があったって、一緒の世界で生きるのに……何も都合の悪い事なんて無いよね?」
声に震えが混じり、所々つかえながら
「復讐とか、確かにあんまり良い事じゃないけど……Hさんにどうしても必要な事なら、仕方なかったんだと思う。騙したり利用したりした人達には……ちゃんと謝って、許してもらおうよ」
涙をぼろぼろと零しながら
「あたし……Hさんと……宏也さんと、ずっと一緒にいたいよ……」
佳奈美が、およそ生涯で初めて、他者よりも自分の気持ちを優先して発した言葉
それを聞き届けて、星はやれやれといった調子で天を仰ぐ
「完璧にフラれたなー、俺」
《だーかーらー、最初っから俺の言う通りにしてりゃ角を立てずにだなぁ》
「うっさい。『俺から離れろ』」
《ちょ、こら待て!? 力の使い方をレクチャーしてやったり、戦闘のサポートしてやったりした恩義を忘れたかコラ!?」
『悪魔の囁き』の声は、途中からその場にいた全員に聞こえていた
星の背中からころりと転げ落ちる、子猫ほどの大きさをした、蛇の頭をした尻尾を生やした山羊頭の悪魔
「ゲェー!? 何で実体化までしてやがんだ!?」
「知らないよ。成長したら実体化できるって言ってたし、俺の力の余波じゃないの?」
首の後ろを摘まれて、じたばたと足掻く『悪魔の囁き』
「成長してたらこんなサイズのわけあるか!? つーか犬を放たれたらぺロリと食べられるサイズだろこれ!?」
「俺と一緒にいれば大丈夫じゃない? 面倒ぐらいは見てやるよ」
ひょいと頭の上に『悪魔の囁き』を乗せ、悠然と二人に向き直る星
4星は夜空で光るもの ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/04/11(日) 12:53:56.84 ID:d1BH0oii0
「おい……また能力を使ったのか」
「手っ取り早いだろ? どうせあんたの薬とか、とっくにこいつには効かないし」
「こいつの力で強化されてたのと、一回打たれて耐性もついてたしな。もう意味無ぇけど」
星の頭の上で、不貞腐れながら金色に染まりゆく髪の毛をわさわさと掻き分けてへばりつく『悪魔の囁き』
「カナお姉ちゃんも言ったろ。都市伝説に飲み込まれても、人間でなくなったとしても、俺という確固たる存在があれば何も都合の悪い事なんて無いのさ。それが『手塚星』か『ゴールデンアップル』かの違いだけ。何にも問題は無い」
「問題無いわけがあるか! お前の両親は! 友人は! 佳奈美の気持ちはどうなる!」
「大丈夫さ。だって『手塚星という存在に関する記憶と記録は、全てこの世から消滅する』んだから」
「なっ……!?」
星の全身から湧き溢れた黄金色の輝きが、空高くまで舞い上がり町全体を越えてもっと遠くまで、広く広く降り注ぐ
その髪の毛はあっという間に全て金色に染まり、都市伝説が具象化した存在へと成り果てた
「ふざけるなっ……佳奈美がお前の事をどれだけ心配してたか、判ってるのか!」
記憶を改竄されたせいか、意識を失いくたりと倒れ込む佳奈美
都市伝説そのものであるHは、大きな影響を受けなかったようで、記憶には一切揺らぎが無い
「判ってるさ。だからこそだよ」
星は僅かに笑う
「こんな事があった以上、この先カナお姉ちゃんはずっと俺の事を心配しただろうさ。自分のせいで大変な事になったって。そんな重荷を負わせられないだろ?」
「だからって、誰もお前の事を覚えてない世界で! お前だけが誰とも噛み合わない思い出を抱えた状態で! 生きていくってのか!」
「思い出? そんなもん、これから作るからいいさ」
あっけらかんと言い放つ星に、Hは絶句する
「カナお姉ちゃんが幸せなら別にそれでいい。だからあんたはカナお姉ちゃんを幸せにしろ。あんたが半端なところでくたばったら、絶対許さないから覚悟しとけよ」
「お前……本当に『悪魔の囁き』取れてんのか? 新しいの憑いてねぇだろうな」
「残念ながら、今更新しい種なんか憑いたってこいつに太刀打ちできねぇよ……あーくそ、貧乏籤だよもう」
星の頭の上でぶつくさ呟く『悪魔の囁き』
「あんたがカナお姉ちゃんの事が好きだってのも、人間になって一緒に居たいってのも……改めて言葉にして誓えよ。語り続ければ奇跡は必ず起こる、そういう都市伝説そのものである『ファンタ・ゴールデンアップル』が言ってんだから間違いは無いさ」
5星は夜空で光るもの ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/04/11(日) 12:55:10.29 ID:d1BH0oii0
あくまでノリノリで調子の良い星に、意識を失っている佳奈美を抱き寄せたまま、Hは疲労感たっぷりの溜息を吐いた
「お前の事を真面目に心配してた俺が馬鹿みたいじゃねぇか」
「俺の事を心配してたカナお姉ちゃんを心配してた、の間違いだろ?」
「うるせぇ……それよりもお前はこれからどうすんだ。全ての記憶と記録から消えたって言っても、そりゃあ表の話だ。俺程度の半端黒服にすら効いてないんだ、『組織』の連中に目ぇ付けられてるのは確実だぞ」
「さてね。あんたやカナお姉ちゃんに迷惑を掛けない程度に、俺なりになんとかやってくから大丈夫だよ」
そう言って星は二人に歩み寄ると、意識を失ったままの佳奈美の頬をそっと撫でて、その首に掛けられていた安っぽいネックレスを外してポケットにしまい込む
「ホワイトデーにあげたプレゼント。あんたの前で開けるなって言ってたやつ」
少しだけ
ほんの少しだけ寂しそうに微笑むと
「それじゃ、またな」
「ああ、またな」
星は頭に乗せた小さな悪魔と共に、のんびりと歩み去って行き

―――

「や、また会ったな」
「早ぇよ!?」
目を覚ました佳奈美を家に送り届けた後、疲労感で一杯になりながら『組織』へ戻ったHを出迎えたのは、先程しんみりとした空気で別れた星だった
「何でお前がここにいるんだよ!?」
「いやほら、『組織』に目を付けられてるのは確実だってあんたが言ってたろ。いやマジでその通りでさ。なんか人手が足りないって勧誘された」
「誰だよこんなの勧誘した馬鹿は!?」
その言葉に反応し、『組織』の中の誰かがくしゃみをしたが
それが誰なのかはHが知る事は無いのであった
6噂をすれば (代理):2010/04/11(日) 12:56:26.61 ID:d1BH0oii0
3月
毎週行われる写真部定例会。
珍しく集まった部員全員が、珍しく背筋を伸ばし、部長に注目している。
部長は、ゆっくりと口を開き、話を始めた。

部長「さて、これから今年最後の、私が部長として最後の定例会を始める。」


第9話 別れの言葉


部長「...2年前、私が写真部、いや、そのころは写真愛好会だったか。それを作ったとき、部員は私と副部長のの2人だけだった。そこから少しずつ部員が増えて

いって、いまや7人となった。他の部と比べると多いともいえないが、みんなよく来てくれたと思っている。コンクールなど実績を残したわけでもなく、ただ好き勝手やっ

ていただけだが、この2年間私は楽しかった。みんなと遊び、写真を撮っては見せ合い、毎日ふざけあったり。私の高校生活の思い出は、ほとんどこの写真部で作

られたといっても過言ではない。」

すすり泣く声が聞こえる。
涙もろいけーちゃんのようだ。
部長は微笑んで続ける。

部長「正直名残惜しくて仕方がない。許されるならずっとこのままみんなといたい気持ちだ。だが、私は卒業する。みんなと別れるのは寂しくもあるが、みんなに見

守られて卒業できるのがうれしくもある。」

部長は隣に座っている副部長、服部琴葉と目を合わせる。琴葉は無言で立ち上がる。

部長「来年からは琴葉に部長をやってもらうことにする。みんな異論はないだろう。」
7噂をすれば (代理):2010/04/11(日) 12:57:34.10 ID:d1BH0oii0
部長の言葉に全員がうなずく。

琴葉「部長、いや、長谷部先輩。いままでありがとうございました。魂抜かれたり、廃墟に放置されて襲われたり、泥棒追いかけさせられたりしましたが、」

琴葉は軽く笑う。

琴葉「いまとなってはいい思い出です。」
部長「これからの写真部をよろしく頼んだよ」
琴葉「...はい!」
部長「副部長は、ヒラについてもらおうと思う。」
平井「はは、もうヒラ部員じゃないんですね。」
琴葉「しっかりしなさいよ、雑務は頼んだから。」
平井「ちょ」
部長「会計とホームページ管理は、それぞれ引き続きけーちゃんとコナにやってもらう。」
けーちゃん「グスッ…ふぇぇん…せんぱぁい」
コナ「先輩のページもちゃんと残しときますからね。」
部長「最後に、みんな、いままでありがとう。私はこの写真部が大好きだ、私がいなくなった後も、ずっと部員のみんながここで笑っていられることを願うよ」
そよ「また、いつでも遊びに来てくださいね。」
スケベ「みんな待ってるっすよ」
部長「ふふ、ありがとう。そうだ、最後にみんなで記念撮影をしないか?」

部長の提案に、みんなで並んで写真を撮る。
三脚を使ってセルフタイマーで何枚か撮り、最後の一枚を撮るとき、琴葉は見てしまった。
部長が、今年最大の笑顔を見せていることを。

琴葉「ま、待って、なんかいやな予感gカシャッ

…暗転
8噂をすれば (代理):2010/04/11(日) 12:58:25.05 ID:d1BH0oii0
全員が目を覚ますと、そこに部長はいなかった。
3月の陽気に、皆夢から覚めたようにぼーっとしていた。

ヒラ「…結局、最後まであの人に振り回されっぱなしだったわね」
琴葉「確かに、あの方らしい去り際でしたわ」
そよ「まあ、あの人に湿っぽいのはにあわねえからな」
スケベ「あれ?」
けーちゃん「ん?」

最初に気付いたのは誰だろう。
自分の体の異変に。
そして誰もが思い出す。
人の魂を抜いて、自由にいじくりまわす部長のチート能力を

コナinけーちゃん「体が・・・入れ替わってる?」

全員「「「「「「ぎゃあああああ!!」」」」」」

ヒラin琴葉「おお、胸がある」モニモニ
琴葉inそよ「さ、さわんなぁぁぁぁ!!」ドゴッ
そよinスケベ「こ、これはまさか...」バタリ
コナinけーちゃん「ああっ、スケベ、いやそよ先輩?が倒れたー!!」
けーちゃんinコナ「あわわわわ」
スケベinヒラ「...ちくしょう、何で俺はヒラなんだよ、何で女子じゃないんだよ…」
琴葉inそよ「ああああの部長、最後にやってくれたなあもう!!!」
9噂をすれば (代理):2010/04/11(日) 12:59:31.22 ID:d1BH0oii0
大騒ぎを遠くで聞きながら、長谷部映は高らかに笑っていた

映「あっはっはっはっは!あー愉快愉快。これでもう心残りはないな」

うん。満足だ。これで自分は十分楽しんだ。
迷い無く旅立とう。
映は、すっきりとした顔で、学校を後にした。

桜が、少しずつ咲き始めている3月のことだった。

fin


10そして彼女もまた裏切る  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 13:00:31.55 ID:d1BH0oii0
 けほ、と
 小さく咳をする沙々耶
 …体が、熱い
 思考がぼんやりとする

 人間になって、いや、生まれて初めて
 彼女は、風邪を引いていた

「だいじょぶ、ですか?おくすり、いる、ですか?ドクター、呼ぶ、いいですか?」
「いらない…あんなやつ、よばなくても……」

 心配してきた、ウィンチェスターミステリーハウスの契約者である少女に、そう答えようとして…
 ……沙々耶は、ふと考え…いや、と重たい頭を振る

「…あのおんな、でも……そーとー、とかいうやつでも、どっちでも、いい…よべ」
「よんでくる、ですか?」
「あぁ……」

 沙々耶の様子に、少女はこくり、頷いて…てちてち、部屋を出て行く
 その後ろ姿を見送って…沙々耶は、小さくため息をついた

「……なにを…かんがえているんだろう……」

 あんな、恐ろしい目にあっておいて
 まだなお、我が主を裏切るというのか、自分は
 ……いや
 悪魔の囁きという都市伝説ではなく、人間となってしまっている、今
 きっと、自分にとって、あの方は…もう「主」ではないのだ

 それよりも
11そして彼女もまた裏切る  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 13:03:36.78 ID:d1BH0oii0
 自分を、人間にしたあの女や、自分を匿っている者達に、心のよりどころが映ってきている自分に、気づいて
 熱に浮かされながら、沙々耶は小さく、苦笑した





「…ぶむ、「病は気から」、か。そう言えば、最近、診療所を訪れる患者が増えているな…」
「……たぶん……それのせいだと、おもうー……」

 沙々耶の容態を確かめる為に、やってきたドクター
 彼女に、沙々耶は元・自分の契約者…朝比奈 秀雄に協力している「組織」の裏切り者……H-No.9について、話していた
 主に、H-No.9の能力について

「もしかしたら、君の風邪もその能力の影響である可能性があるな」

 そっと、沙々耶の汗を拭いてやりながら、そう口にしたドクター
 確かに、沙々耶は朝比奈に消される事を警戒し、ずっとずっと怯え続けていた
 その弱った精神状態は、「病は気から」の能力にとって、絶好の獲物である
 精神状態が弱っていれば弱っているほど、「病は気から」の能力で、病気を植え付けられやすい

「…かぜ、くらいなら、いいけど……もっと、つよいびょうきも…うえつけられる、はずー…」
「未知の病気を植え付ける可能性は?」
「……ない、はずー………たしか…ほんにんがにんしきして、りかいしているびょうきしか…うえつけられないはずだから…」
「そうか…」
12そして彼女もまた裏切る  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 13:06:39.07 ID:d1BH0oii0
 ふぅ、とため息を吐いて
 そして、ドクターはそっと、労わるように沙々耶を撫でる

「…よく、話してくれた。あんな恐ろしい目にあったというのに…」
「……おまえたちが、まもってくれるんだろー?……まもってくれなかったら、ばけてでるぞー……」

 沙々耶の言葉に、小さくドクターは苦笑する
 …やっと、頼ってくれるようになった
 その事実が、ドクターは嬉しかった

「……もと、あるじのー………ぶかのことも、はなすかー…?」
「いや、今は、体調を回復させる事が優先だ。ある程度は情報も入ってきているし、話せる時で構わない」

 わかったー…と、頷く沙々耶
 話して、疲れたせいだろうか、少し眠たい

「薬を用意しておこう…なんなら、座薬も用意するが」
「……にがいのといたいのは、やだー……」

 苦いのはともかく、座薬は痛くはないぞ?とそう、ドクターが苦笑している声を聞きながら
 沙々耶は静かに、意識をゆっくり眠らせていったのだった




おしまい


13ソニータイマー (代理):2010/04/11(日) 13:09:54.08 ID:d1BH0oii0
「非リア充たちの嫉妬」
ああ、妬ましい妬ましい…
相変わらず減らないカップル達を見て呟いている妬見女疾風。
本当にどこを見てもカップル、カップル…。そのうち『学校町にはカップルがたくさんいる』とかいう
都市伝説でもできるのではないか。そんな風に思うほどたくさんいる
もう本当に妬ましい、妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい…!
疾風「リア充死ね、爆発しろ!」
そのころ…
悪魔の囁き契約者の一味である坊池 一人も
爆ぜろ、爆ぜろ爆ぜろ…
どこを見てもカップル、カップル、カップル…
「爆ぜろ」
『ソウダッ!!!殺ッチマエエエエエエエエ!!!!』
二人の非リア充がカップル達を爆破しながら歩いていた


14ソニータイマー (代理):2010/04/11(日) 13:13:49.20 ID:d1BH0oii0
疾風「爆発しろ!」
「爆ぜろ」
疾風「爆発しろ!」
「爆ぜろ」
そして…
疾風「爆発しろ!!」「爆ぜろ」
二人が鉢合わせした
疾風「!! ねえ悪魔の囁きこの人は誰なの?(小声)」
『アア、コイツハ坊池 一人。オマエト同ジ『りあ充爆発シロ』ノ契約者ダ』
疾風「坊池さん…ですか? ホント妬ましいですよね…どこ行ってもカップルばっかで」
「…ああ、まったくだ。どいつもこいつもリア充しやがって…」
疾風「ですよね。ああもうホント妬ましい妬ましい妬ましい妬ましいっ!リア充死ね!爆発しろ!」
「爆ぜろ爆ぜろ爆ぜろ爆ぜろ爆ぜろ爆ぜろ爆ぜろ爆ぜろッ!」
あっと言う間に二人は意気投合し、リア充たちをさらに爆破していった
疾風「爆発しろ! 爆発しろ! 爆発しろ!」
「爆ぜろ!爆ぜろ!爆ぜろ!」
疾風「ところで坊池さん。リア充どもに屈辱を味わせてやるってのはどうですか? 例えば彼女の目の前で兄貴に掘られるとか」
『…ヤッパリコイツ悪魔ダヨコイツ…俺ッテ何ノ為ニ居ルンダ…』
「…まあ、それも確かに名案だが…兄貴はそう簡単に見つからないと思うぞ」
疾風「ですよねー」
そんな会話をしたり、リア充を爆破したりしながら二人は歩いた
この日、町でたくさんの爆発が起こったという…


              つづく
15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 13:16:19.80 ID:daLgrqKc0
支援
16恋と愛の旗  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 13:16:45.19 ID:d1BH0oii0
 ……狐二匹が、筋肉と死闘を繰り広げたり広げなかったりしていた、一方
 その頃、病室では、しゃりしゃりと、リンゴの皮を剥く音が、小さく響いていた
 ベッド脇の腰掛に座る広瀬 美緒が、リンゴの皮を剥いているのだ
 どうやら、今日は仕事を休んでいるらしい彼女
 何かと、蔵人の世話を焼いてくれるのだ

 …自分のせいで、彼が傷を負ってしまったのだ、と
 彼女は、酷く自分自身を責めていて
 その、謝罪もかねているのかもしれない

 …………
 とりあえず、あれだ
 この沈黙が、非常に……非常に、気まずい

「…あの、広瀬さん」
「はい、何でしょうか」

 話し掛ければ、すぐに返事が返って来る
 呼んではみたものの…特に話題がある訳でもなく
 えぇと
 蔵人は、やや間を置いて…ようやく、なんとか無難な話題を見つける

「あの、広瀬さんは……都市伝説と契約しようと、考えた事はないんですか?」
「……私が……ですか?」
「はい」

 都市伝説と関わる事を決めた女性
 都市伝説事件に、部下が関わらないよう…「組織」と関わる事を決めた人
 ここまで深く都市伝説に絡むというのならば、都市伝説と契約していないのが、不自然に思えたのだ
 もっとも、蔵人が知らないだけで、広瀬 美緒が都市伝説と契約している可能性はある訳だが…
17恋と愛の旗  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 13:19:46.87 ID:d1BH0oii0
「………私は」

 ふっ、と美緒の視線が、降りる
 やや俯いて…リンゴの皮が剥き終わり、切り分けも終わったようで
 可愛らしい、狐の顔の飾りつきのフォークを刺した、切り分けられたリンゴの乗った皿を渡される
 ありがとうございます、と受け取って、しゃくり、一つ口にした

 そうしていると…
 …美緒が、俯いたまま、答えてくる

「…私は…………都市伝説が、好きではありません」
「……嫌い、と言うか、怖い、という事ですか?」

 蔵人の場合、幼い頃から都市伝説とかかわり続けたせいか、都市伝説に対する嫌悪感や恐怖心は、さほど強くない
 しかし、大抵の人間は…都市伝説が実在するという事実に、精神が耐えられない場合も多いし、耐えられたとしても、その存在に嫌悪感や恐怖心を持つ場合が多い
 美緒も、そうなのだろうか?
 蔵人の問いかけに、美緒は俯いたまま続けてきた

「…わかりません.ただ、はっきりしているのは………私にとって都市伝説は、父親を殺した存在であり、私の兄の失踪に関わっている存在だと言う事実です」

 呟くようなその声に、蔵人はしまった、と思った
 …彼女も、都市伝説事件で大切な人を、失っていたのだ
 その辛さは……蔵人も、体験しているがゆえに、わかる
 しかも、美緒の場合……失ってしまっているのは、肉親だ

「す、すみません。おかしな事を聞いてしまって…」
「……構いません…私のような体験をしている者は、表沙汰になっていないだけで……本人達すらも、その事実に気づかないだけで、たくさん存在しているはずですから」

 淡々と、そう口にした美緒
 感情を押し殺した、そんな声だ
18恋と愛の旗  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 13:22:49.33 ID:d1BH0oii0
「…このように、私自身が、都市伝説をあまり好いていない事と…「組織」の連絡員として私に接触してきています黒服が言いますには、私は、都市伝説を受け入れるための容量が小さいのだそうです。ですので、都市伝説との契約は、私では不可能でしょう」

 美緒が、顔をあげる
 強い、強い……決意を秘めた表情だ

「私は都市伝説との契約が不可能ですし……都市伝説と契約するつもりも、ありません。それゆえに、都市伝説事件の解決は、あなた達「組織」の人間や、他の都市伝説契約者に頼らざるを得ません……都市伝説事件をもみ消す事で、その代償を支払っているつもりです」

 じ、と
 美緒は、蔵人を見つめてきた
 強い意志を感じさせる眼差しだが……しかし、何故だろうか
 蔵人には、彼女の存在は酷く脆く、弱々しく見えた

「そう、だというのに………今回、私のせいで、あなたを負傷させてしまいました。私が踏み込みすぎなければ……あなたが、負傷する事もなかったでしょうに」
「美緒さんのせいでは、ありませんよ」

 いくら、蔵人がそう言っても
 それでも、彼女の沈痛な表情派崩れない
 それほどまでに、蔵人の怪我に、彼女は責任を感じているのだ

「どう報いればよいのか、私にはわかりません……せめて、「組織」の事などは関係なく、あなたの願いを、私ができる範囲でなんでも一つ、叶えさせてください」

 ………まいったな
 真面目な表情でそう言って来た美緒の様子に
 蔵人は小さく、苦笑するしかないのだった



to be … ?
19悪意が誘う  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 13:26:11.91 ID:d1BH0oii0
 粗方、爆破させて、満ち足りた表情の坊池
 ……いや
 違う
 彼は、まだ満ち足りてなどいない

 もっと
 もっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっと
 もっと、リア充共を爆破させなければ
 全てのリア充共を、爆破させなければ
 この渇きは、癒える事はない

『ナラ、ドウスリャイイノカ………ワカッテンダロォオオオオオオ??』

 あぁ、そうだ、わかっている
 己の内側で響く声に、坊池は笑う

「…お前、見所があるな」
「え?」

 先ほどまで、共にカップルを爆破させていた少年…疾風に、坊池は暗く笑いながら、そう言う

「…どうだ?お前もこっちの計画に、一山乗らないか?」
「計画…?」
「そうさ……あるお方が、この街を支配下に置く、そして、ここから、世界中を支配していく……そのあかつきには、俺たちに充分な見返りがある」

 提示された、その条件の、どこまでが真実か…坊池にはわからない
 だが、坊池はその真偽を見極めようとしない
 …悪魔の囁きで狂わされた心は、目先の利益の事しか考える事が出来なくなってきつつあった

「リア充共を爆破させて、街を混乱に陥れる。それが、俺たちのできる手伝いだ。リア充共を抹殺できて、俺たち美味しい思いができる…最高だろ?」
20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 13:27:53.47 ID:nzxIH/XIO
支援
21悪意が誘う  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 13:28:53.80 ID:d1BH0oii0
「…「あるお方」とやらが、約束を反故にしたらどうするんです?」
「なぁに、その時は爆破させてやればいい…あるお方は、愛人ありのリア充だからな」

 …口に出していったら、結構な殺意が芽生えた訳だが、今は我慢だ
 今は…街に溢れるリア充を、全滅させる方が先だ

「気が向いたなら、お前も街でたっぷり騒ぎを起こしな……迎えに行ってやるよ」

 くつくつと笑って、坊池は疾風の前を後にする
 さて、用意されているホテルに帰るとしよう
 その最中、坊池は、道ばたにとまっている車の車内で、カップルがイチャついている様子を目撃して


「−−−−−−爆ぜろ」


 何の躊躇も、なく
 その車を……爆発させた





「−−−−っ!?」

 坊池が、一瞬の躊躇もなく、車を爆発させたのを
 …人が乗っていた車を、爆発させたのを
 疾風は、はっきりと見てしまった
 燃え上がる車
 まだ、中に人がいる
22悪意が誘う  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 13:31:41.48 ID:d1BH0oii0
「…っけ、警察…いや、その前に、消防車……!?」

 慌てて、携帯を取り出す疾風


 その心で、囁き声が響く


『見捨テチマッテモイインジャネェノォ?ドウセ、相手ハりあ充ダゼェ?』


 あぁ、そうかもしれない
 坊池の能力が発動したのだ
 相手は、リア充に違いない

 だが
 だけれども

「……………っ」

 響く囁き声を振り払うように、疾風は携帯を操作した
 間に合わないかもしれない
 けれど、とにかく、消防車と救急車を呼ぶ事にする

『…ナンダヨ、ツマンネェナァ』
「……人の命が……かかっているんだよ……!」
23以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 13:33:54.33 ID:EpBfalbZO
てす
24悪意が誘う  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 13:35:21.53 ID:d1BH0oii0
 リア充滅べ
 疾風は、心からそう思う


 けれど
 彼は、まだ少年だ
 死んでしまえと思いながらも
 その命を奪うまでの行為に、踏み込むつもりはないし
 …もしかしたら、奇跡的に助かるかもしれない命を見捨てる事も、できない


 激しく燃え上がる車
 それを、半ば呆然と見つめながら


 …一瞬の躊躇もなく、他者の命を奪い取る行為を行った、坊池
 あの瞬間の、暗い笑顔を思い出して
 疾風は、小さく身震いしたのだった



to be … ?


25以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 13:35:24.51 ID:TdDevsWY0

ちなみにガンガンオンラインで似たような設定の漫画あるぞ
26学校町の車窓から (代理):2010/04/11(日) 13:39:11.77 ID:d1BH0oii0
ガタンゴトン
ガタンゴトン

日曜日の昼間。
学校町へと向かう電車に、一人の女性が座っている。
年齢は20代半ばくらいだろうか。やや派手な化粧に、茶色い髪をくるくると巻いている。
車内には、彼女の他にほとんど乗客はいない。


「えーっと、今回のターゲットはー。」
私はバッグから指令所を取り出して、内容を確認する。
乗り物酔いはしないほうなので、これくらいは余裕だ。

「うんうん。次の駅を越えたら、学校町ね。西側に見えるグラウンド、と。時間も…おっけーぴったり。」

指令書には、標的は電車から西側に見えるグラウンドに、毎週この時間にいる。と書いてある。
部活でもしているのだろうか。貼付された写真を見るに、標的は高校生くらいだ。
ちょうど今が青春真っ只中だろう。未来を夢見る年頃だ。
私の任務は、標的の抹殺。
こんな未来ある若者まで標的になるなんて、心が痛む。が、

「ま、いっかー。どうせ上からの指令だしー。」

まあ、きっと悪い都市伝説とでも契約して、それで何人か*してるんだろう。多分。
別に標的に対して何か思い入れがあるわけでもなし、そもそも上からの指令に逆らうつもりもない。
私の仕事は標的を消す。それだけだ。
27学校町の車窓から (代理):2010/04/11(日) 13:41:58.56 ID:d1BH0oii0
電車は駅に着いた。わずかに残っていた乗客も降りてしまい、車両には私だけが残った。
ラッキーだ。人がいてもばれたりすることはないが、やはり誰にも見られない方がやりやすい。
といっても、ただぼーっと外を眺めているだけなのだが。
電車が発車する。ゆっくりと、外の景色が流れていく。
私は、流れていく景色の、建物の屋根の上を視線でなぞっていく。
するとだんだん、屋根の上を走る、何か黒いものが見えてきた。
景色の流れが速くなるにつれ鮮明になる。それは高速で走る黒装束だ。
私の乗っている電車と併走するように、屋根の上を飛び移っている。
そして

「いた。」

流れる景色の中に、グラウンドでサッカーボールを蹴っている標的をみつけた。
視力、動体視力、観察力は訓練されている。見間違える事はない。

「やれ。『車窓忍者』」

屋根の上を走っていた『車窓忍者』は、背中にさした刀を抜き、音もなくグラウンドに飛び降りる。
標的は、突然現れた黒装束に驚いて、何かを呼び出そうとするが、

ザンッ

都市伝説を呼び出す時間など与えない。逃げる暇などなおのこと。
『車窓忍者』は一瞬で標的を切り捨てると、すぐまた屋根に飛び乗った。
28学校町の車窓から (代理):2010/04/11(日) 13:44:00.69 ID:d1BH0oii0
標的が倒れていく景色が流れ、すぐに小さくなって見えなくなる。
周りから見たら、なにもないのにいきなり標的が切られたように見えただろう。
多分大騒ぎになるが、おそらく上の連中が何か手を打っているだろう。

「よーっし。任務かんりょー。おつかれさまー」
小さく伸びをする。

任務を終えた私は、携帯を出してメールを打つ。

"任務完了ー(≧ω≦)b。あとヨロシクー。"

「送信っと。そうだ!帰りに駅でおいしいものでも買ってこっかなー」

はしゃぐ彼女を乗せたまま、電車は何事も無かったかのように次の駅に着いた。


fin
29以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 13:46:31.43 ID:nzxIH/XIO
しえ
30カニとババアの人 ◇O1qyI9JUPg (代理):2010/04/11(日) 13:48:19.92 ID:d1BH0oii0
「トントントマト まっかっかのフンフンフ〜ン♪」
「あら、懐かしい」
「ムグムグ…なんですか?その歌?…ハムッ」
「なんだっけ?…忘れちゃったよ」
他愛のない会話をしながら町を散策する龍敏・磐江・栗子の三人
ウィンドショッピングをしてみたり、ドーナツを買ったり、鯛焼きを買ったり
ティッシュ配りのバイトの子を口説こうとしたり、サンドウィッチを買ったりと…
特に問題もなく、デート(?)を満喫していたのだが…

「おっと…目的地に到着しましたよーっと」
一行はとある病院の前で歩みを止めた
「?ハフッ…なんです?頭でも診て貰うんですか?…モグ」
「あなたの場合、病院では手に負えないと思いますが…」
「いろいろとひどい事言うね君たち…」

二人の言葉の暴力に耐えながら、建物を一通り見まわす
煙が反応してるのは…あの三階の角部屋の辺りか
31カニとババアの人 ◇O1qyI9JUPg (代理):2010/04/11(日) 13:50:23.30 ID:d1BH0oii0
「流石に高いなぁ…ねぇ母さん」
「はい、なんでしょう?」
頭の上に「?」とクエスチョンマークを浮かばせつつ首を傾ける
右目を隠すように垂らしている髪を揺らし、寝ているかのような細目を一層細くするその姿はまさに
「綺麗で優しくておっとりしたお姉さん」といった所だろう

「惚れ直したよ、磐江。」
「あらあら、なんですか?急に。」
「っと、それは置いといて…あそこまで跳んで連れてってくれない?」
「いいですよ」
「モガ…何考えてるんですかムグ…龍敏さんそんな無茶な事って。ええ!?」

思わず口から食べかけのアンパンを落とした
急展開過ぎて付いていけていない栗子を尻目に、なにやら屈伸運動を始める磐江


32以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 13:51:14.31 ID:EpBfalbZO
しえ
33カニとババアの人 ◇O1qyI9JUPg (代理):2010/04/11(日) 13:51:32.45 ID:d1BH0oii0
「さて、二人とも行きますよ。しっかり手を握っててくださいね?」
「え?いやちょっと、ほんとに跳ぶんですか?冗談ですよね?」
「いやぁ、母さんにリードされるのも久し振りだなぁ…ほら栗子ちゃん、おいで。初めては誰しにもくるもんなんだから観念しなさい」
「変な言い方しないでください、叩き潰しますよってどこ触ってるんですか!いい加減にしろこのエロ親父!!」

「うふふ…行きますよ、せぇ…の!!」

ググッと足を踏み込み、跳躍体勢に入る
直後、ドォンと派手な音がした場所には、既に三人の姿は見えなくなっていた

「え、ちょっとまだ心の準備がイヤアァァァァァァ!!!!!!!!」

文字通り、清水 磐江はその足で跳んだ
混乱する栗子が、意識を手放す前に見たものは
近付いてくる建物の窓から見えた、ベットに寝ている青年と隣に座っているスーツの女性の姿であった

―清水 龍敏の優雅な散歩―plan.1:跳躍淑女A
to be....?


34セイレーン契約者の事  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 13:53:10.37 ID:d1BH0oii0
 う〜ん、と考え込んでいる様子のマドカ
 見ているのは、Tさんから渡された「セイレーン」の契約者の似顔絵だ
 朝比奈 秀雄の部下の1人、はっきりと顔がわかっていて、なおかつ、写真ではないものの容姿を伝える絵姿が存在している者
 そのセイレーンの姿を見て…マドカは、見覚えがあるような、ないような
 酷く曖昧な反応を示していた

「姐ちゃん、そいつ、知ってるのか?」
「いや……う〜ん…」

 眉を寄せるマドカ
 どうやら、見た事があるような覚えはあるらしいのだが……
 だが

「…知ってる相手、のような気はするがね。雰囲気が違いすぎるのさ」
「雰囲気?」

 首を傾げた舞に、マドカはあぁ、と頷く

「あたしの知ってる相手は、もっと陰気臭い顔をしていたねぇ。こんなテンション高い表情するような女には見えなかったよ」

 「セイレーン」の契約者は、マドカにとって、ある意味両親の次の元亭主の次くらいには腹の立つ相手と、同じ顔だった
 はっきりと、覚えている
 元亭主の隣に立っていた、あの陰気臭い顔を
 昨年の秋に、テレビに映っていた元亭主の隣にいた、あの顔を
 マドカは、忘れるはずもない
 あの陰気な女と、よくよく似ている顔、ではある
 だが、あまりの印象の違いに、同一人物だと断定する事ができないのだ
 マドカのそんな反応に、Tさんはふむ、と考え込む

「ほぼ、同一人物と言って良い程似ているが…表情の印象だけが一致しない、と言ったところか?」
35セイレーン契約者の事  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 13:54:34.36 ID:d1BH0oii0
「あぁ、そうさね」
「…都市伝説との契約が、性格形勢などに影響を及ぼすパターンも、少なからずある。その可能性を視野に入れた方がいいかもしれないな」

 都市伝説との契約により性格が変化したり…変化した、と見せかけて、隠されていた裏の性格が出てきただけ、という事があったりと
 時として、都市伝説との契約は、精神面にも強い影響を与えるのだ

 セイレーンは、その歌声で人を誘い、破滅させる存在だ
 女性の姿をしていると言う点からか、その歌声に誘われる存在は船乗り…自然と、男が多くなるからだろうか
 そのせいだろうか、セイレーンは人を誘い殺す存在でありながらも、どこか明るい性格と思われがちで、陰気なセイレーンと言う者は少ない
 もしかしたら、セイレーン契約者も、セイレーンとの契約によって性格が変化しているのかもしれない

「…なるほどねぇ」

 納得したように頷くマドカ
 だとしたら、このセイレーン契約者は、あの女に間違いないのだろう
 自分から元亭主を奪った、あの…

 ………
 ……………

 うん
 当時のむかっ腹が、何だか復活してきた

 セイレーン契約者の似顔絵が描かれた紙を、握りつぶすか破り捨てたい衝動にかられつつも、一応手がかりなのだからそれをやる訳にもいかず
 ちょっぴり、リカちゃんが怖がるようなオーラを背負いながら、マドカは「あの女、今度あったら泣いても殴るのを止めない」と決めるのだった


とぅーびー?
36人間を止めた少年と人間に戻りたいと思う男  ◇nBXmJajMvU (転載:2010/04/11(日) 13:56:09.80 ID:d1BH0oii0
 …頭が痛い
 そうか、あのお人好しはいつもこんな痛みを抱えていたのか、とHはやや、他人事のように考える
 ……直後、体内に感じた痛みに、けほ、と小さく咳き込んだ
 急いでスーツの内側からピルケースを取り出し、中の錠剤を飲みこむ

「…あれ、その薬、全部飲みきってなかったっけ?」
「お前さんと別れた後に補充したんだよ…ったく、あの時、一回くらいは死んでたぞ、俺」

 嘘と言う鎧を剥がされた事で生じた、体の異変
 一応、それは今は落ち着いているが……だが、発作の感覚やら何やらと、あの瞬間の体の崩れ具合…消失具合から、見るに
 そろそろ、辰也に精製してもらっている薬では…持たなくなる
 そうなってくると、体を保つ事を「賢者の石」に完全に委ねる事になってしまう
 それは、却下だ
 復讐を終えるまで、無駄に「賢者の石」を使う訳にはいかない

 …と、なると…体内に「賢者の石」を仕込む前まで、投与され続けていたあの薬を、再び投与されなければならない
 今までごまかしごまかししてきたメンテナンスを再び受けないことには、体が持たないのだ

 ……それは、困る
 佳奈美を護る為にも…彼女と共に生きるためにも、それでは困るのだ

「…あー、くそ、仕方ない。お嬢さん達に話すか…………お前さん、上司が誰になるか決まったか?」
「いや、まだだよ」

 星少年……いや、都市伝説に飲み込まれ「ファンタ・ゴールデンアップル」と言う都市伝説そのものになった彼を、その名前で呼び続けてもいいのかどうか、不明だが…の答えに、そうか、と頷くH
 ならば、話は早い

「だったら、付いて来い。強硬派や過激派の連中の下につかれても面倒だ。俺の上司紹介してやる」
「まぁ、カナ姉ちゃんのためになるんなら、いいけど」
「少なくとも、強硬派過激派につくよりは、彼女のためになるさ」
37以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 13:56:20.40 ID:EpBfalbZO
むにゅ
38人間を止めた少年と人間に戻りたいと思う男  ◇nBXmJajMvU (転載:2010/04/11(日) 13:57:16.64 ID:d1BH0oii0
 来い、と歩き出したHの後を、星はついていく
 …悪魔の囁きは、星の頭の上に乗ったまま
 よくもまぁ、研究班に回収されていないもんだ
 もしかしたら、この小さな姿やら何やらで、悪魔の囁きだと認識されていないのかもしれない

「……ねぇ」
「うん?」
「…あんたは、まだ、復讐を続けるの?」

 Hは、まだ復讐を終えていない
 殺すべき相手は、あと4人
 まだ、4人も残っている

 佳奈美を除いた周囲の者を、たっぷりと巻き込んで
 緩やかに、だが、早急に、復讐を進めていた

 佳奈美に、本心を吐露した後ではあるが
 だが

「……当たり前だろ。その為に、俺ぁ今まで生きてきたんだからな」
「…カナ姉ちゃんを悲しませるような結果にはなるなよ?」
「止めろとは言わねぇか。ま、言われても止められないがね」

 星少年の言葉に、肩をすくめるH
 その通り、止めろと言われても止める気はないし
 それに

「…佳奈美を悲しませるような事は、しないさ。どちらにせよ、あの連中を始末しきらない事には、佳奈美だって危なくないと言い切れねぇしな」

 人を人とも思わぬ
39人間を止めた少年と人間に戻りたいと思う男  ◇nBXmJajMvU (転載:2010/04/11(日) 13:58:23.87 ID:d1BH0oii0
 命を命と思わぬ、あの連中を
 殺し尽くさぬ事には、安心でいない
 大切な存在を護る為にも、護りきる為にも
 ……復讐を止める訳には、いかないのだ

「あぁ、そうだ」
「何?」
「俺は、奇跡は信じない」

 −−−−きっぱりと
 そう、Hは言い切った
 その言葉に、ややむっとした表情の星に続ける

「そんなもん、信じても裏切られるってのはわかってるからな……そんなもんにすがれる程、若くもねぇしな」

 人間に戻れるかもしれない
 その奇跡に、一時はすがった
 だが、同じ奇跡にすがっていたはずの彼女はそれをとっくに諦めていて
 …その姿に、最早奇跡にすがる事など無意味だと、気づいてしまった

「…人間に、戻る手段……それに関しては、奇跡じゃなくて、実例があるようなんでな。そっちにすがらせてもらうさ」
「その方法が見付かった。それこそが奇跡だとは考えないんだ」
「うっせぇ」

 奇跡にすがるのは、もう疲れた
 これ以上、心をすりきらせたくはなかったから

 だが
 その奇跡が、奇跡ではなく現実として目の前にあるのならば
 それを放す積りはない
40人間を止めた少年と人間に戻りたいと思う男  ◇nBXmJajMvU (転載:2010/04/11(日) 13:59:23.66 ID:d1BH0oii0
 許された
 許されてしまった
 こんなにも血に塗れた、化け物でしかない存在を…彼女は、認めてくれたから

 傍にいる事が、許されるはずがない
 だが、彼女が望んでくれるのならば……傍にいようと、そう思った
 護り続けようと、そう思った
 己は、幸せになる事など許される存在ではない

 だが、せめて
 彼女だけでも、幸せにしてやりたい
 自分などに、それができるかどうかは、わからないが


(……こいつに、人間やめさせちまった責任もあるし、な)

 人間を止めてしまった星
 その姿に……一度、都市伝説に飲み込まれかけた辰也の姿をふっと思い出し
 Hは小さく、気づかれぬように、自嘲した笑みを浮かべるのだった



to be … ?
41悪夢と今の  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 14:00:18.31 ID:d1BH0oii0
 ーーーー夢を見る
 思い出したくもない、記憶の夢を

 歪んだ視界
 何かの投薬実験を受けている最中の記憶だろう
 どっぷりと薬品で満たされた巨大なビーカーのようなプールの中で、半覚醒状態で沈められている自分
 プールの外で起きている光景は、透明なプールの壁を通して全て見える
 見えるだけで…外で起きている光景を、「理解」する事はできない状態

 自分と違い、点滴での投薬実験を受けている、自分と同じくらいの年齢の餓鬼共がいる
 全員、意識がない状態なのだろう
 皆、実験台に横たわった状態で、微動だにしない
 ………だが
 その内、一人が、大きく体を痙攣させはじめた
 カッ、と両目が開かれ、その目から……開け放たれた、口から
 大量の血が溢れ出す
 その様子を、白衣を着た研究員が、淡々と記録に納めていっている
 ……そいつはやがて、ぴたりと動きを止めた
 研究員が、つまらなそうにそいつを荷台に乗せて運んでいく

 今度は、別の奴の手が、びくりっ、と小さく動いた
 直後……そいつの体が、どろりと溶け出す
 ゆっくり、ゆっくりと
 筋肉の繊維が露出しだし、グロテスクな姿をさらしていく
 その様子も、別の研究員が記録に納めていって……そのうち、そいつは骨だけ残して、完全に溶けてしまった

 −−−−−ごぽ、と
 自分のすぐ傍で、大きな気泡が生まれた
 薬品プールでの投薬実験を受けていたのは、自分だけではなかったらしい
 そいつは、その大きな気泡を吐き出して………ぷかり
42以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 14:01:11.20 ID:EpBfalbZO
むにむに
43悪夢と今の  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 14:04:19.83 ID:d1BH0oii0
 プールに、浮かび上がったようだった
 ざば、と回収されたらしい音が響く
 研究員が、ぐったりとして動かない…どうやら、死んだらしいそいつを研究台の上に乗せて
 メスを手に、その体を切り裂きはじめる
 ぐちゃり、ぐちゃり
 内臓を取り出し、その様子を確認したり、さらに切り刻んだりしていた

 共に育てられてきた、仲間たちが、そうやって命を落とし、物のように扱われていく様子を
 ただ、自分は見ていることしかできず、そして、その様子を理解することすらできず…




「−−−−−−−−−−−−−っ!!」

 …そこで、目が覚めた
 心臓の鼓動がやけに早い
 全身に、嫌な汗をかいているのがはっきりとわかった

「……あぁ、くそが」

 ぜぇ、と
 荒れている呼吸を、辰也は何とか落ち着かせようとする

 …何故、今更、あんな夢を
 「組織」にいた頃の、忌々しい記憶
 実験台として育てられ、道具のように扱われた記憶

 自分は、運良く投薬実験を耐え抜き、戦闘訓練を生き延び、任務で命落とす事もなく
 こうやって、今もプロジェクト「Obedient Piece」の、唯一の生き残りだ
44悪夢と今の  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 14:05:54.60 ID:d1BH0oii0
 百を超える仲間が、時に投薬実験で拒絶反応を起こして命を落とし、時に戦闘訓練中の事故や「殺し合い」の訓練で命を落とし、任務で命を落とし…
 使い捨ての道具のような、いや、ほとんど使い捨ての道具同然の扱い
 研究者たちは皆、こちらを人間ではなく「実験動物」としてしか見てはこなかった
 だからこそ、名前は与えられず、ただ、ナンバーでだけ呼ばれ続け
 …宏也から「広瀬 辰也」と言う名前を与えられるまで
 自分は、人間ではなかったのだ

 夢の内容が、再び脳裏に浮かぶ
 死んでいく仲間達
 解剖されていく仲間達
 その死に際が、はっきりと

「………」

 その光景を振り払うように、頭を振った
 気持ち、悪い
 寝直そうにも、意識がはっきりと覚醒してしまったし…今、眠ってしまうと、あの夢の続きを見てしまいそうだ
 ふらりと寝台から起き上がり、部屋を出て、真っ直ぐに台所に向かう
 …酒でも飲んで、無理矢理寝てしまおう
 夢を見る余地もないほど、深く、深く

 台所で、普段はマリが飲んでいるような度の強い酒を開けて
 ぐ、と一気に煽る
 早く酔い潰れて、さっさと眠ってしまいたい
 そう、考えていると

「……?…辰也……?」
「ぁ?……恵?」

 きぃ、と
45以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 14:06:14.37 ID:EpBfalbZO
くにくに
46悪夢と今の  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 14:07:10.45 ID:d1BH0oii0
 台所に、恵が入り込んできた
 眠たそうな表情で、こちらを見つめてくる

「…どうした…?……眠れない、か…?」
「あぁ、ちょっとな……恵こそ、どうしたんだよ」
「…………サイトの更新、してたら…この時間だった……」

 …あぁ
 前からやっていた、本業の方か
 一度読ませてもらった事があるが、読んでいて恥ずかしくなるほどの純愛小説だった
 それが受けて書籍化もされて、こいつには結構な印税が入っている訳で…正直、自分達の貴重な収入源の一つだ
 まぁ、だからと言って、こいつは誰かに強制されている訳ではなく、好きで書いているのだが…
 小さく苦笑して、恵の頭を撫でる

「集中するのはわかるけど、夜更かしはやめとけ。お前、そんなに体強くないんだからよ」
「……ん……」

 …全くもって、現金な話だと思う
 恵が男だった頃は、そんな事もまったく心配しなかったと言うのに
 女になった途端、これだ
 男だった頃はろくに心配もしなかった癖に、女になった途端に過剰に心配されるようでは、恵も迷惑だろうに

「ほら、もう寝とけ」
「………辰也、は…?」
「…俺も、すぐ寝るから」

 眠れるかどうかは、わからないが
 無理矢理にでも、寝てしまわないと

 ……じ、と
47悪夢と今の  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 14:08:59.57 ID:d1BH0oii0
 恵は、こちらを見つめてきて
 …………ぎゅ、と
 こちらが寝間着代わりに着ていたシャツを、掴んできた

「恵?」
「…辰也……眠れない夢、見た、のか…?」
「…なんで、そう思うんだよ」
「……辛そうな…顔、している……」

 …表に出しているつもりなど、なかったのだが
 いつでも、仲間の様子を気にしている恵は、ちょっとした変化でも敏感に気づいてくるらしい
 心配そうに見あげられては、白状するしかない

「……ちょっと、な。でも、すぐ眠れるから、平気だよ」
「…そう、か…?」

 あぁ、まったく
 そんな目で見るな
 ……勘違いしそうになる

「…眠れない、なら……一緒に、寝る、か…?」
「………は?」
「……一緒、なら、眠れる事もある、と…葵や、留美が、言っていた……」

 ……あぁ
 そりゃ、あの二人は恋人がいる訳で
 辛い記憶を夢で見たとしても…その相手がいれば、それすらも忘れさせてもらえるのだろうが

「…お前な、いいのか?」
「……?辰也は、嫌、か…?」
48以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 14:10:54.05 ID:EpBfalbZO
むぎゅ
49悪夢と今の  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 14:11:38.41 ID:d1BH0oii0
 いや、そうではなく
 …女の姿になって、どれだけ経っていると思っているのか
 いや、メンタル面がずっと男だから、仕方ないのか…いや、男でも、どうかと思うが

「…じゃあ、一緒に寝るか?」

 と、冗談交じりに言ってやれば

「………くけ」

 と、恵は、小さく、小さく
 こくり、頷いてきた



「…うん、期待はしてなかったよ」

 すぅ、と
 聞こえてくる恵の小さな寝息
 自分と恵の間には、仰向けで熟睡しているジャッカロープがいる訳で
 わかっていたよ
 恵と二人きりで寝るなんざ夢のまた夢だよなど畜生

(……でも、まぁ)

 ………俺にゃあ、これでも勿体無いくらいか

 辰也は小さく苦笑して、静かに目を閉じた
 …再び、あの悪夢を見ないことを祈りながら
fin
50笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/04/11(日) 14:13:03.65 ID:d1BH0oii0
【上田明也の探偵倶楽部19〜ヨフケノディテクティブ〜】


「ぅおーおぉー、りすとぅざみゅーじぃっく♪
 ぅおーおぉー、りすとぅざみゅーじぃっく♪
 おーざたーぁあぁーいむ♪」
「所長うるさい。」
「ドゥービーブラザーズを歌っている人間に五月蠅いとはずいぶんな言い様じゃないか。
 素直に音楽を聴いてくれよ。」
「CDの曲聞こえて無いじゃないですか」
「なるほどね。」

先程から俺が歌っている曲は「The Doobie Brothers」の「Listen To The Music」だ。
このバンドは1971年にデビュー、1972年に俺の歌っているこの曲で一躍有名になった。
音楽性としてはサザン・ロックと呼ばれるアメリカ南部の音楽のカラーを強く打ち出している。
初期はとにかく豪快で明るいサウンドが中心だったのだがジェフ・バクスターやマイケル・マクドナルドの加入を経て
静かに聞かせるタイプの音楽が中心になっていく。
この変化には賛否両論であったが1978年にはグラミー賞をとっている。
これからアメリカの南部を回る以上、このバンドの曲を外すことは出来ないと思うのだ。
みんなだって函館に来たらさぶちゃんの『函館の女』を聞こうとするだろう?
え、さぶちゃんを知らない?
駄目だなぁ。
51笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/04/11(日) 14:14:18.87 ID:d1BH0oii0
「そういえばお兄ちゃんの英語の発音が変になってるよ?」
「ジャスラッ●対策かな?」
「ジャス●ック?なぁにそれ?美味しいの?」
「穀雨ちゃんも大人になれば解るよ。」
「ふぅん。」

禿との戦いが終わった後、俺はすぐにニューヨークを離れた。
お気に入りのフィアットに最低限の荷物を載せてメル&穀雨とアメリカ横断旅行を楽しもうと思っていたのだ。
普段は探偵家業が忙しいので休暇も兼ねている。
とりあえず向かう先はケンタッキー州。
できるだけ都市伝説と関係なさそうな場所でのんびり過ごしたいのだ。
その点ケンタッキー州は最適である。
アメリカという土地自体、都市伝説がさほど多いというわけではない。
その中でもケンタッキー州はUMA等の事件が割と少ない。
精々ビッグフットレベルである。
これならば俺もメルも穀雨も平和で楽しい休暇が過ごせるという物である。
52笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/04/11(日) 14:15:51.69 ID:d1BH0oii0
「マスター、でもドゥービーブラザーズってカリフォルニア出身ですよ?」
「こまけえこたぁ気にするなよ。
 どうせケンタッキー出身で俺の好きな歌手なんて居ないんだ。
 南部の雰囲気味わえれば良いんだよ。」
「マカロニウェスタンみたいな適当さ加減を感じますねえ……。」
「うっせぇ。」
「メルちゃん、そういえばケンタッキー州ってどんな所なの?」
「えっとねー、ケンタッキーフライドチキン創業の地だったかなあ?」
「わーい、私フライドチキン大好き!お兄ちゃん絶対に行こうね!」
「ケンタッキーはどこでも食べられるんじゃないかなぁ?」
「むぅ……!」

穀雨吉静は食いしん坊だ。
その小さな身体の体積の3〜4倍は平気な顔をして平らげてしまう。
当然、食費も馬鹿にならない。
しばらくは今回の依頼の報酬のおかげで大丈夫だろうが我が家の財政が意外と逼迫しているのも事実である。


53笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/04/11(日) 14:17:40.29 ID:d1BH0oii0
「天下の名探偵上田明也が何みみっちいこと言っているんですか。」
「まぁ、お前にそう言われるとそうするしかないんだけどさあ。
 しばらく別行動だった分しばらくはお前の言うこと聞いてやるよ。」
「それはそれはありがたい。」
「Zzz………。」
「あれ、寝てる?」
「仕方ないですね、もう夜の十一時です。」

時計を見てやっと気付いた。
もうそんな時間だったのだ。

「あれ?もうそんな時間か。この辺りに宿は……?」
「あ、見て下さいよ所長、ケンタッキー州です。」
「ほぅ、ここがか……。」

俺の見つけた看板には『ケンタッキー州へようこそ』の文字が躍る。
どうやらここが第一の目的地らしい。


54笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/04/11(日) 14:19:07.60 ID:d1BH0oii0
「おー、ユナさん?こっちでFBIの捜査官が使ってるホテルとか無いー?」

とりあえず俺はホテルの予約をすることにした。
完全にそれを忘れていたのだ。
まさか子供を連れて車中泊をするわけにはいかない。

「言えるわけ無い、そりゃそうだ。
 いや、宿の手配を忘れていてさ。
 うん解ったー、切るぜ。
 え?ああー、ケンタッキーには着いたぜ、了解。
 ホテルは良い部屋手配してくれよ?」

幼女二人を連れている怪しげな東洋系の男を泊めてくれるホテルなど何処にもない。
だから今回は適当にFBIの権力を貸して頂くことにしたのだ。
と、いうかユナさんのコネである。感謝。

「持つべきモノは友人だね。」
「物?」
「モノ。」
「モノですか。」
「そうだよ、人はモノだ。それよりも早く行こうぜ。
 ケンタッキーの我が家が待っている。」

と、言った所で。
プスン、プスンプスン……
まるで気の抜けたコーラを開けた時のような情けない音を立てて
俺の愛する赤いフィアット500は物の見事にエンストした。
55笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/04/11(日) 14:20:51.67 ID:d1BH0oii0
さて、それから数十分後。
穀雨を『赤い部屋』の中に連れて行き、俺はメルと二人きりで車の中で休憩していた。
不運というより他にない。

「ところで所長、いいやマスター。」
「なんだね、ハーメルンの笛吹き。」
「これからどうするんですか?」
「親切な人に助けて貰うかJAFでも呼ぶか、どっちが良いか考えて居た。」
「成る程、マスターは相当天体観測がお好きなようだ。」

時刻は夜である。
しかもこの辺りは相当な田舎道だ。
俺達の頭上を行き交うのは空に瞬く星ばかり。
人っ子一人通りはしない。

「いやしかし実際冷えてきたな。」
「はい、そうですね。」
「人肌が恋しくなったりはしないかい?」
「変態。」

ずいぶんご機嫌斜めなようだ。

「そういえば気になっていたんですけど赤い部屋ってどんな都市伝説なんですか?
 私会ったことが無いんですよね。」

原因はそれらしい。
56以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 14:22:50.45 ID:EpBfalbZO
ヒュン
57以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 14:28:20.87 ID:EpBfalbZO
ヒュルルン
58以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 14:30:56.29 ID:nzxIH/XIO
サルか
59以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 14:31:16.39 ID:mSPfwdrKO
スレ立て乙ですー
60以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 14:34:01.91 ID:mSPfwdrKO
もしもしは連投規制が辛いぜ
61以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 14:41:43.94 ID:1i1zOnep0
スレ立ておつー
62笛 ◇rpv9CinJLM (代理2):2010/04/11(日) 14:44:59.79 ID:1i1zOnep0
「まあ便利なだけだよ。俺の容量は空いていたから使ってみただけみたいな。」
「ふぅん。」
「もしかして怒っている?」
「別にそれほど怒っちゃ居ないですよ、ただ自分の命を狙った都市伝説をなんでわざわざ使うのかと……。」

成る程ねえ、と呟きながら俺はシートを倒す。
確かに俺らしくはないか。
昨日の敵は今日の友。
なんて嘘だ。
敵は敵である。

「俺が人肌恋しくなった。ちょっと膝の上に座れ。」
「えー?」
「ふん、命令だ。」
「そう言われるとしがない都市伝説は契約者の命令に従うしかないんですけどね。」

とりあえずメルの怒りを誤魔化す為に少しばかり甘えてみる。
メルが運転席まで移動してきて俺の膝の上にチョコンと座った。
ふむ、相変わらずミルクのような甘い香りがする。
少しウェーブのかかっている金色の髪は手触りも滑らかで絹のようだ。

「怪我の調子は大丈夫か?」
「ええ、サンジェルマン伯爵のおかげで。」
「それは良かった。……ところでお前少し背が伸びたか?」
「ええ、いくらか人間っぽくなっちゃいましたから。」
「元々人間だったんだろう?」
「まあ……。」

大して覚えていませんけどね、そう付け加えて彼女は笑った。
63笛 ◇rpv9CinJLM (代理2):2010/04/11(日) 14:46:34.18 ID:1i1zOnep0
ハーメルンの笛吹きは元々子供達の大量失踪事件が都市伝説化したものだ。
故にハーメルンの笛吹きは死んだ子供達の無数の自我と肉体を持つ都市伝説であり
メルもその集合体のうちの一つとして俺の前に現れたに過ぎなかった。

「最初の百数十人の内の一人なんだっけ?」
「ええ、その子と同じ顔、同じ姿、そしてそれに都市伝説の自我。
 それらが合わさって私になりました。」

沢山の姿沢山の意志沢山の自我。
沢山沢山沢山沢山沢山沢山沢山。
一人殺しては葬列に取り込み、
二人殺しては提灯をかざして、
三人殺しては祝杯をあげる。
殺した子供の自我と肉体を取り込み続ける群体。
それがハーメルンの笛吹きである。
その中でもメルは、“彼女”は、最初にドイツはハーメルンで死んだ子供達の一人である。
……と聞いたが本当かどうかは知らない。
64笛 ◇rpv9CinJLM (代理2):2010/04/11(日) 14:47:22.95 ID:1i1zOnep0
数十分後。
相変わらず俺とメルは無駄話を続けていた。
そんな時だった。

「メル、そういえばさっきから妙な気配がしないか?」
「え?」

草木も眠る丑三つ時。
悪意を持った誰かの視線を確かに感じるのだ。
辺りを見回しても確かに何も居ないが絶対に何かが俺の周りに居る。
根拠もない確信ばかりが頭の中を支配していた。

「私はまったく何も感じませんよ?」
「いや、そんな筈は……。」

ピチャリ

真後ろで水のしたたるような音が響く。
やはり何か居る。

「うわあっ!?」

思わず情けない声を出してしまった。
怖い。
ひどく寒気がするせいだろうか?

「どうしたんですか?マスター変ですよ?」

それは俺も解っている。
65以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 14:47:30.47 ID:EpBfalbZO
ザシュッ
66以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 14:48:17.46 ID:d1BH0oii0
てすしえ
67笛 ◇rpv9CinJLM (代理2):2010/04/11(日) 14:50:18.44 ID:1i1zOnep0
「ちょっと外を見て回ってくるよ。」

声が震えているのが解る。
理由も解らずに俺は恐怖を感じている。

「駄目です、今のマスターの精神状態で外に出たら危ないですよ。」
「いいや、いい行かないと……。ここ、声がするんだよ。」
「声?」

メルが俺の持っていた都市伝説についてまとめられたファイルをパラパラとめくり始めている。
だがこの状況に於いてそんな悠長なことをしている時間はない。
急いで行かないと。
何処へ?
急いで行かないと。
何処へだ?
急いで急いで急いで急いでとにかく急いで外に出るんだ。

「とにかく行ってくる、お前はここで待っていろ!」

俺はメルを振り払うと車の外に出た。
68笛 ◇rpv9CinJLM (代理2):2010/04/11(日) 14:51:37.58 ID:1i1zOnep0
ピチャピチャ

車を出ると遠くからメルの声が聞こえる。
急いで戻らないと。
その為にはこの訳のわからない声を消さないと行けないのだ。
誰だ?
一体誰が俺につきまとっているんだ?

そもそもさっき俺を呼んでいたのは本当にメルか?
メルの声ってどんな声だったっけ?

ピチャピチャ

ああ、思い出した。
このピチャピチャとした声が特徴だったんだ。
待て、そんな訳がない。
これは俺につきまとっている物の声だ。
くそっ、訳がわからない。

「マスター、こっちです。」

そうそうこっち。
これが彼女の声だ。
声のする方向に向かうとしよう。
そう思うと俺の意識は一気に遠のいていった。
69以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 14:52:04.17 ID:d1BH0oii0
サルとけた!支援に回る!!
70笛 ◇rpv9CinJLM (代理2):2010/04/11(日) 14:52:47.28 ID:1i1zOnep0
「しまった……。」

ハーメルンの笛吹きことメルは己の失態を悔いていた。
彼女は無理矢理にでも上田明也を止めるべきだったのだ。

「うわああああああああ!?」
「マスター!」

遠くから彼女の契約者の悲鳴が聞こえる。
彼女はその方向に走り出した。
メルは不慣れな森の中を駆け回る。
しかし、声がしたはずの方向に彼女の契約者の姿はない。

その時、彼女の脇を一陣の風が通り抜けた。
彼女の目にはそれがはっきりと映っている。
人のような姿をしたそれは彼女に向けてにやりと笑った。

『じゃあな。』

それはメルに向けて“上田明也”の声、しかも英語ではっきりとそう言った。
71以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 14:53:36.65 ID:d1BH0oii0
しえーん
72笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/04/11(日) 14:58:04.02 ID:d1BH0oii0
「これはひどい…………。」

メルが慌てて車のあった場所に戻るとそこには大量の鉄くずが転がっていた。
彼女は鉄くずを掻き分けて先程読んでいた都市伝説についてのファイルを探す。

「人にだけ気配が感じられる。
 人間に姿を見ることは出来ない。
 人の声真似が可能。
 高速移動を可能とする。
 そしてアメリカに生息している。」

今までに見た特徴を呟きながら彼女はファイルの中を探し続ける。

「あった………。」

謎の都市伝説の正体に当たりの付いたメルは再び走り始めた。
彼女の推測が正しければ彼女に与えられた時間は少ない。
問題は上田明也がどこに居るかである。
それが解らなければ彼女にはどうしようもない。

メルは考えた。

大声で呼びかけるのはどうだろう?
いいや、相手が声真似で答えてくる可能性がある。
鼠を使って探すことは出来ないか?
いいや、大量の鼠に対してそこまで複雑な条件設定は不可能だ。
そもそもだ。
メルと上田が契約しているのならば本能的にその繋がりをたどることは出来ないだろうか?
そう考えたメルは直感に従って走り始めたのである。
73笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/04/11(日) 14:59:00.08 ID:d1BH0oii0
「はっはっは、あまりべたべたするなよハルカ…………ッて!あれ?
 俺は十二人の妹たちと添い寝していたはずなのに!
 何処へ行った!
 俺の妹たちは何処に行った!もっというとハルカは何処に行った!
 大和撫子は幻想だったのか?
 夢か!夢幻だったのか!?
 俺だってハルカちゃんとチュッチュしたいんだよぉ!」

目を覚ますと、俺はパンツ一丁のまま荒縄で身体を縛られて巨大な冷蔵庫の片隅に転がされていた。
そこら中に氷が張っていて寒い。
冗談じゃなく寒い。
だが先程と違って頭の中はハッキリしている。
どうやら俺は新手の都市伝説の攻撃に嵌ってしまったらしい。
俺を攻撃した都市伝説に対処する為にそいつの正体を推理してみよう。

まず、メルには奴の気配を感じ取ることが出来なかった。
これは重要なヒントだ。
メルは生物を操る操作系の都市伝説である以上、生物の気配には敏感なのだ。
そのメルが気付かなかったということは隠れたりするのが得意なのだろう。
次に俺だけが奴の気配を感じ取りながらも、最後まで姿を確認できなかった。
これは先程のヒントの補足になる。
姿を隠すのが得意ということのさらなる証明になるだろう。
寒気、これも重要なヒントだ。
襲われた対象が寒気に襲われる都市伝説など少ない。
ほらほら、大分限られてきた。
それと俺を誘った声。
他者の声真似が出来る相手らしい。
そして俺が冷蔵庫の中でハムのように転がされているこの状況。
敵の正体は完全に把握した。
74笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/04/11(日) 14:59:55.56 ID:d1BH0oii0
「あいつの正体はウェンディゴだな……。」

説明しよう。
ウェンディゴとはアメリカ北部からカナダにかけて生息する都市伝説だ。
というより妖怪だ。
本来旅人に数日の間つきまとって旅人の精神を消耗させるだけの存在である。
しかし伝承によっては人を食うとも伝えられており危険な妖怪なのだ。
人の声を真似たり風よりも速く走るとも伝えられている。
ちなみに氷の精なので炎に弱いそうである。

「蜻蛉切……。」

力なく俺の所有する刀の都市伝説の名前を呼ぶ。
精神が消耗しているので切れ味が鈍っているようだが荒縄を切るのにはこれで十分だ。
自分を縛っている縄を切り裂くと俺は辺りを見回した。
先程言った通りウェンディゴは炎に弱い。
俺は自分と同じように洞窟の中に捕まえられているはずの人々を探し出すことにした。
服は後だ。


75以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 15:00:42.04 ID:EpBfalbZO
ズバッ
76笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/04/11(日) 15:00:54.89 ID:d1BH0oii0
「マスター!マスター!」

メルは上田を呼びながら走り続ける。
彼女は確かに上田の捕まっている洞窟に近づいていた。
彼女のとった選択は過ちではなかったのである。
契約したからというだけではない。
上田明也とメルは一緒に様々な死地をくぐり抜けた故に強く繋がっていたのかもしれない。

「――――――あそこだ!」

メルの目の前には大きな洞窟が広がっていた。
恐らくここに上田が居るのだろう。
そうおもってメルは真っ直ぐ走った。

「おっと、動くな。静かにしてくれ。」

その声と共に後ろからぬるりと手が伸びて走り出したメルを捕まえた。

「まったくよぉ、久しぶりの人間かと思ったら不味そうな男なんてなあ……。
 もう一人いた都市伝説を捕まえた方が良かったよねえ。」

ウェンディゴは不機嫌だった。
最近中々食事にありつけず、ひさしぶりに捕まえた人間は成人男性だったのだ。
牛や鶏もそうだが若くて瑞々しい方が美味しい。
前に捕まえた人間は干し肉にしていたがどうにも困った物である。
とりあえず彼は目の前の新しい獲物に満足することにした。


77以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 15:03:33.91 ID:EpBfalbZO
ぎゃー
78笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/04/11(日) 15:07:02.93 ID:d1BH0oii0
「あいつがウェンディゴか……。」

俺は相も変わらずパンツ一丁で森の奥に座っていた。
視界の中では大きめの鳥を手に持ったウェンディゴが一匹で洞窟の中に入っていくのが見える。

「3、2、1…………ドカァーン!」

洞窟の奥から火柱が噴出した。
ウェンディゴが身体を火だるまにしながら転げ回っている。
どうにか狙い通りになったらしい。

俺は縄でしばられた状態から脱出した後、俺と同じようなウェンディゴの被害者を捜していた。
すると、都合良く干し肉に加工された哀れな犠牲者を発見することが出来た。
さらにそこら辺にあった枯れ草や服に仕込んだ後に没収されていた手榴弾も回収。
冷蔵庫の電線をショートさせて干し草に点火、
その後、哀れな干し肉を燃料にして火を点け、冷蔵庫内部を高温にしてバックドラフトを発生させた。
冷蔵庫を開ければ一発で火だるまである。
人とは便利な物だ。

全部狙い通り。

あとは服を着て車に戻るだけである。

ガチャリ

なんて楽な戦いだったのだろう。

『動くな、動けば撃つぞ。』

最後の最後に思わぬ敵が現れたことを除けば。
79以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 15:10:33.95 ID:nzxIH/XIO
支援
80笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/04/11(日) 15:12:22.47 ID:d1BH0oii0
『ウェンディゴの契約者か。』
『ああ、そうだよ。』

体格の良い黒人男性が俺に散弾銃を突きつけていた。
あのウェンディゴには契約者が居たのだ。

『日本人かい?運が悪かったな、あいつはグルメでね。人間以外食えないんだ。
 ソテーが大好きなんだよ。』
『その前にあいつの方がソテーになったみたいだが?』
『おいおい、契約者を得た都市伝説がそれ位でくたばると思うかい?』
「うぐ、くっそ……!一杯食わされた!」

ウェンディゴだけが日本語で話しているように聞こえる。
しかし俺の後ろをとった黒人男性が英語でそれに返事している所から見るとこれはテレパシーみたいな物なのだろう。

『おいウェンディゴ、餓鬼の都市伝説はどうした?』
「あ?そんなのしらねーよ。お前がおびき寄せておいてくれたんだろう?」
『その後急に洞窟に向かっていたんだよ、見ていねえのか?』
「……え?」
『え?』

俺は口笛を吹いてハーメルンの笛吹きの能力を発動させた。


81笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/04/11(日) 15:15:55.69 ID:d1BH0oii0
「うりゃあああああああああ!!」

メルがその小柄な肉体に見合わぬ勢いで黒人男性に体当たりを決める。
グモ、と蛙が潰れたような音をあげて彼は吹き飛ばされた。
近くの木に身体をぶつけ、脳髄を零して全身の関節があらぬ方向に曲がっている。
まあ即死だ。
俺が手に入れたハーメルンの笛吹きの能力には二つある。
一つは鼠や子供を操る能力。
もう一つは最初の能力の効果を受けている者の姿を効果を受けていない者から隠す能力。
どちらもハーメルンの笛吹きの童話をモチーフにした能力である。

俺は洞窟に仕掛けを施して脱出した所でメルと出会って
前者の能力を応用してメルの身体能力を極限まで引き出し、
後者の能力を利用してメルの存在を隠していたのだ。

「本来、ウェンディゴは北アメリカに住んでいる都市伝説だ。
 アメリカ南部に野生のウェンディゴが生息しているなんてあり得ない。
 よって、お前には契約者が居る可能性がある。
 だからそこの男の存在だって予想済みだったよ。」

俺はウェンディゴの方に向き直る。

「それじゃあ綺麗に騙して並べて揃えて殺して爆(バラ)してやるよ。」

さっき使い忘れた手榴弾をパンツから取り出すと
俺はそれのピンを抜いて契約者を失ったウェンディゴに投げつけた。
チェックメイト。
【上田明也の探偵倶楽部19〜ヨフケノディテクティブ〜fin】
82以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 15:18:55.54 ID:1i1zOnep0
しえん
834コマっぽいの  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 15:19:13.80 ID:d1BH0oii0
葵「爆やんも、一人で風呂入れるようになったんやなぁ」
留美「女体化した自分の体に、そろそろ慣れたのね」
恵「くけっ………慣れないと、困る…」

マッドガッサー「残念だったな、辰也。結局、恵を風呂に入れて洗ってやる事ができなくて」
辰也「やかましい」 ←毎回覗こうとしては排除されていた男

マリ(金髪ボインモード)「で、実際どれだけ女体に慣れたのか…どれ」
恵「くけっ?」(マリの胸元に顔を埋められる)
 ………
 ぶはっ(恵鼻血)

マッドガッサー「自分以外のはまだ駄目か」
葵「それでこそ爆やんやなぁ」
辰也「恵!?恵っ!?」(鼻血出して気絶してる恵を解放)

やっぱり、メンタル面は微妙に男
844コマっぽいの  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 15:21:50.67 ID:d1BH0oii0
葵「に、しても、マリは自前で女性になれるし、誠はんは一回女体化した事あるし…」
留美「マっちゃんは、しなくても体格以外は女っぽいし」
マッドガッサー「黙れ」

葵「…で、爆やんは、絶賛女体化中のまま」
留美「と、なると。後、女になった姿を見てないのは…」

葵&留美「「( ゚ω゚ ) 」」

辰也「こっち見んな」
恵「……くけ??」

多分、女体化したらDカップ


85子供と風邪の子 ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/04/11(日) 15:25:41.13 ID:d1BH0oii0
頭の中で熱が渦を巻く
脈拍に合わせて締め付けられるような頭痛が絶え間なく襲ってくる
ただただ喉が渇き、呼吸の度に繰り返される異物感を払拭しようと、何度も何度も咳が出る
咳は頭痛を更に酷くし、喉の痛みを伴って新たなる咳の呼び水となる
人の理から外れ肉体を持たない存在だった頃には、想像すらできなかった苦痛
人間にとってはこの程度ですら、日頃の不摂生で患う程度の病気でしかない
「みずまくら、ひょうのう、かえる、です。おきる、できる?」
「ん……だいじょうぶ……」
からからと氷の音がする水枕を抱えてやってきたウィンチェスター少女に、沙々耶は気だるそうに応える
少女は氷嚢を外し、沙々耶の身体を支えて起き上がらせ、不慣れな手つきで温くなった水枕を取り替える
「あせ、だめ。きがえ、する、です」
じっとりと湿った寝巻きを見て、ぱたぱたとタンスへと駆け出し、用意されていた新しい寝巻きと下着を用意して戻ってくる
「あせ、ふく、しっかり、です。できる、です」
沙々耶がのろのろと寝巻きを脱いでいると、今度は温かい濡れタオルを持ってきて、汗でべたついた身体を手早く拭ってくれた
「……おまえは、どくたーのじょしゅかなにか?」
その言葉に、少女はふるふると首を振る
「やりかた、おしえる、もらう、です」
汗を拭った身体に触れる、新しい寝巻きの乾いた肌触りが気持ち良い
「なんで、そんなにいっしょうけんめいめんどうをみてくれるの? あったばっかりなのに」
「かぜ、くるしい、みんな、おなじ、です。げんき、うれしい、です」
86子供と風邪の子 ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/04/11(日) 15:30:32.76 ID:d1BH0oii0
伸び放題の金髪に隠されてその表情は読み取れない
「はやく、げんき、なる、いい、です、ね?」
小さな身体を一生懸命に動かして布団を整え、横になった沙々耶の頭に取り替えた氷嚢をたぷんと乗せる
「ごはん、つくる、です。たべる、しない、げんき、でる、ない、です」
「うん……ありがと」
少女が能力を発揮している間、家の外の事を感知できるのは彼女だけ
沙々耶に聞こえるのは、少女があちこち走り回り世話を焼いてくれる音だけ
かつての主も、その部下も、操られる人間や犬もいない
ただ苦しいだろうからと世話をしてくれる、自分よりもずっと小さく、華奢で、日本語の下手な女の子だけがいる空間
「ごはん、たべる、くすり、のむ、わすれる、ない、です」
「……にがいのいや」
沙々耶はほんの少しだけ安心というものを感じながら、ゆっくりと眠りに落ちていった

―――

なお、解熱剤としての座薬が投入される折に微妙に大騒ぎになったりしたが、それはまた別のお話である


87顎砕きの学校町紹介 ◇ijXVtdIY/Y (代理):2010/04/11(日) 15:34:48.98 ID:d1BH0oii0
皆さんこんにちは
顎砕き飴の契約者こと雨村在処です
今日は学校町の隠れた名所を紹介したいと思います
「誰、話してる、ですか?」
「そういうツッコミは無粋だと思いますが」
「?」
首を傾げているのは私の助手「ウィンチェスター・ミステリー・ハウス」の契約者の少女…嘘です
たまたま犬の散歩中の彼女と再会しただけです
「では行きましょうか?」
「どこ、行く、ですか?」
「良い所です」


88顎砕きの学校町紹介 ◇ijXVtdIY/Y (代理):2010/04/11(日) 15:38:50.58 ID:d1BH0oii0
「…これ、何、ですか?」
「お寺です」
西区には一つお寺があります
とても小さく寂れているので知る人ぞ知る場所ですが
住職のお爺さんが一人で暮らしています
「オー、在処サン、久ブリデース」
             _,. -―,.、
          _,. '" .:.   ヽト-、_
       _,. -'´   .:     丶、_ ``ー_ッ'" ̄`丶、
    _, '´    〃 >ー'""丶ソ ` ̄ ̄:.:.:.:.:.:.:.:......:.`ヽ、
  ,. "   丶.: "":.   /彳ニ=彡'ヾミ、.:.:.:.:.:.:.:   :.:.:.:.:.:.:.:.. ヽ
 /    . '.:.:.:.:.:.:.:. 、,l /r'',二,_,.、ti} .:.:.:.:.、          l
 l     :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.v':,(ヾ'、r。ュ;;t,。ッf7:.._.:.:ノ    、ヽ.   l| l
 {   .: :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. し! `゙ラ、_)゙´l|':.:.:.:.:.:.:.:z、  _  ヽ ,トシr'
 '、  .: :.:.:.:.:.:.:.:.:.,. - /,ヘ '卞= 'ライ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}   丶  :.:./
  ヽ .:  .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:{ヽ` ー-彡イ:.:.:.:.:.:.:.:.:.ノ-、   / :./
   l:. .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:{:.:.:.:.|:.:>‐。‐f´:.|:.:.:.:.,、_:.:.:ヾ"'  _,ィ":.:.l
   l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}/:.:|。:.:|:.:.:|:i:.:.:. t::.ヾ::.  .:.:.:.:.:.:.:/
   `ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./|:.:.:{。:.:.!:.:ノ:l:.:. r- ニ..:.:.:.:.:.:.:.:.:./
    '、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. /:.:|:.:.从__|/:.:.l:.:.、ヾ:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:/
     ヽ、:.:.:.:.:.:  /:.:.:ヽノ「l:.:|:.:.:.:',:.:.:.、___,,. ィ"
     /`丶、:.:,イ:.:.:.'、;.:.:.lニ ニl!:.:.:.:.',:/ |:.:.....   ',
     !:.:.:.:.:.:`´:ト-、_',:.:.:.:l」:.:L_ノ:. ノ!:.:.:.:.....  」
     「 ̄ ̄``l:.:.:.:.:.:.:` ̄ ̄`T'ー:.'"´ L.:-‐.:'´..l


89顎砕きの学校町紹介 ◇ijXVtdIY/Y (代理):2010/04/11(日) 16:00:25.41 ID:d1BH0oii0
「お久しぶりです、住職さん」
「・・・・・・ローマの人ですか?」
「ワタシ、日本人デース」
「違う、思う、です」
「改めて紹介しましょう、このお寺の住職のベネディクトさんです」
「・・・名前、危ない、思うです・・・何処、出身、ですか?」
「東京デース」
「・・・・・・」
『ウィンチェスター・ミステリー・ハウス』の少女が黙り込んでしまいました
どうしたんでしょ「引ったくりー!!」!?
見ると倒れたお婆さんと鞄を抱えて走る男が
何てわかり易い図でしょうか
ああ言う輩は爆破するにかぎります
「在処サン、暴力ハイケマセン」
住職さんに止められました
90以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 16:05:31.88 ID:EpBfalbZO
えぅ
91顎砕きの学校町紹介 ◇ijXVtdIY/Y (代理):2010/04/11(日) 16:05:47.96 ID:d1BH0oii0
「コンナ言葉ガアリマース、『隣人を愛せ』、悪人ガ相手デモ暴力ハイケマセーン」
「それ、キリスト、思うです」
少女の言葉を無視して住職さんはひったくりの前に立ちはだかります
「ソノ鞄ヲ、返シナサーイ」
「うるせぇ!」(ドカッ
あ、殴られた
「仕方アリマセンネ・・・・・・」
住職さんが立ち上がり手のひらを引ったくりに向けました
92以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 16:09:52.35 ID:EpBfalbZO
しえ
93顎砕きの学校町紹介 ◇ijXVtdIY/Y (代理):2010/04/11(日) 16:10:34.24 ID:d1BH0oii0
『マハラギオン』
              ,,,ノニミ=ミ-、、
     .∩「)')     /=7 ̄ ̄〜7)、、
    n._|_{|_||_|    |彡二フ''"~^^"`}.))
    ヽー`  },r'フ ,へノノ   、、 ,, }ノ                            ,、-ーっ
     { ' ̄ ( ノ―-〉} !   イ迯 '〈ョ{                           _ノ 二ニフ
     ヽ   .∧   ヾ i    フ,” j`〈                         ,,,/  ,/
   ノ^~}   {ー=7、  \ イー=='/ー---、,,,,、_,-ー〜' ̄ ̄! ̄)ー-ー―――;;「{'"   ∠ニ 、
   ノ |  ヽー フ ヽ   \. \___二}'     ヽ ヾ  }  // /  --- ー―-{ ヾフー--ーー'
   | |_,,,ノ" 入 \   ミニ/  {      ヽ } } / / /  ̄ ̄       {―"
  ノ| └―''''`   } 、 \  \ V''""ヽ      レ /// /           |
 /|       入ゝ ヽ   ヾ `旦 ヽ      V  / /    ,,,,,-―ーー"" ̄
 | {      ノレ ノノヽ 〉   \ \ 〉      }//,,,-ー'''"
 | |人ー―'''" ノ   ヽ_|    ヽ  〉 ヽ     } //
 | |  |ヽ ,ー<     |     } }∩ }      |
 | |  | ’       | '|     .} <○、}      |
 | |  |  ノ      〉 |      |() 〉 `<)     {
 ヽ { |  /       ` |      | ^ヽ 〈     |
  り |          |     |  `ー'|     |


94以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 16:14:00.42 ID:EpBfalbZO
やん
95顎砕きの学校町紹介 ◇ijXVtdIY/Y (代理):2010/04/11(日) 16:14:55.82 ID:d1BH0oii0
するとどうでしょう、引ったくりは燃え上がり倒れました
「コウイウ言葉ガアリマース『目には目を、歯には歯を』」
「それ、キリスト、違う、です」
「オ嬢サン、私ハ仏教徒デース」
「・・・・・・もう、良いです」
鞄は無事お婆さんの下へ戻り、引ったくり犯は警察に引き渡しました
警官が銃で威嚇してた様な気もしますが妥当な対応でしょう
「どうです、素敵な所だったでしょう?」
「何か、違う、思います」
何処が駄目だったんでしょうか?
げんなりとした様子の『ウィンチェスター・ミステリー・ハウス』の少女に私はただただ首を傾げるしかありませんでした

続く?


96以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 16:15:05.92 ID:nzxIH/XIO
しえ
97以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 16:17:37.04 ID:d1BH0oii0
残り百レスを切った所で、夕食作りその他の為一端代理投下終了
風呂上りにスレが残っていて誰も代理してなかったら、続き代理していきますね


俺…風呂上りに、代理投下中に書き終えたネタ投下するんだ…
98以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 16:47:30.67 ID:nzxIH/XIO
99以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 17:07:58.73 ID:qu8S5ifuO
100怪奇同盟の学校町紹介(代理):2010/04/11(日) 17:24:04.16 ID:1i1zOnep0
都市伝説4コマ風劇場


美「・・・・・・街の施設紹介?」
盟「そうです」

姫「なんでまたそんなことするのよ?」
盟「電波ジャックのネタが切れました」

美「対テレビ系都市伝説用の番組やってるんだと」
姫「ふーん。用件は分かったわ、でもね・・・・・・」
盟「なにか?」

姫「なんで朝から私たち空飛んでるの?」
盟「一日中歩くのは大変ですよ?」
姫「一日中やるの!?」
101怪奇同盟の学校町紹介(代理):2010/04/11(日) 17:25:34.46 ID:1i1zOnep0
都市伝説4コマ風劇場


美「俺が紹介するのは東区の一画にある「ジュ○ス」だ」
姫「初っ端からアウトね・・・・・・」

美「安価な値段、豊富な商品で他の店と競合している」
文「常連客もなかなかいるようですしね」

美「ただ、この店には不思議な噂もある」
サ「噂?」
姫「まあ予想できるけど・・・・・・」

美「夜中になると女性店員の幽霊が出るらしい」
姫「普通の怪談話!?」
※テレビに入る子供の話もあるそうです
102怪奇同盟の学校町紹介(代理):2010/04/11(日) 17:29:05.61 ID:1i1zOnep0
都市伝説4コマ風劇場


美「・・・しかもあの一帯だけよく霧が出てな」
姫「その話は終わり!公園ついたから!!」

文「あ、ここって姫さんがランニングに使っている公園ですね」
姫「そ、ここって広いから」

サ「私もたまに来るよー♪」
文「サキュバスもですか?」

サ「うん、食事しに☆」
美「次いこうか」
文「聞いた私がバカでした」
103怪奇同盟の学校町紹介(代理):2010/04/11(日) 17:31:26.22 ID:1i1zOnep0
都市伝説4コマ風劇場


文「場所は明言しませんけど、オススメできる小物類のお店があるんですよ」
美「なんで明言しないんだ?」

文「ヒントだけ渡して探させる宝探し方式にしようかと」
姫「なるほどね」

文「それに、見れば一発ですよ。骨董品とかも置いてあったりするんですが、一番分かりやすいのは・・・・・・」
美「分かりやすいのは?」

文「すごく年季のいったお爺さんがよくカウンターにいるんです」
姫「いやいやいやいや、わかりづらい!」
104怪奇同盟の学校町紹介(代理):2010/04/11(日) 17:34:28.20 ID:1i1zOnep0
都市伝説4コマ風劇場


サ「ふふっ、私の番ね♪それじゃあムードのでるホテルでも」
美「却下だ」

サ「・・・・・・じゃあ、豊富な品揃えの玩具店とか」
姫「駄目ね」

サ「・・・・・・・・・・・・わ、私のオススメデートスポットを」
文「出直してください」

サ「先に帰って飴ちゃんと遊んでていい・・・・・・・・・?」ウルウル
盟「え、ええ・・・・・・」



ネタが思いつかないのでこれでオシマイ
105顎砕きの学校町紹介 ◇ijXVtdIY/Y(代理):2010/04/11(日) 17:35:44.49 ID:1i1zOnep0
皆さんこんにちは
顎砕き飴の契約者こと雨村在処です
今日も学校町の隠れた名所を紹介したいと思います
「誰に向かって言ってるんだ?」
「そういうツッコミは無粋です」
「みー?」
首を傾げているのは花子さん、そしてこっちの少年は獄門寺先輩
極道みたいな名前ですね
でも恐い名前とは裏腹にヘタレだと私は踏んでいます←失礼
「では行きましょうか?」
「何処に?」
「良い所です」
106以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 17:36:03.91 ID:nzxIH/XIO
支援
107以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 17:37:59.45 ID:e8szxNe40
お出かけ前に一発支援ー
108顎砕きの学校町紹介 ◇ijXVtdIY/Y(代理):2010/04/11(日) 17:38:23.47 ID:1i1zOnep0
で、東区
「ここは・・・」
「そう、多分日本一有名なハンバーガーチェーン店マクド○ルド・・・その学校町支店です」
「この店に来たのは初めてだな・・・ここが良い所なのか?」
「そうです」
「みー?普通のお店じゃないの?」
そう、この店は一見普通に見えますがかなりユニークなんです
109顎砕きの学校町紹介 ◇ijXVtdIY/Y(代理):2010/04/11(日) 17:39:35.55 ID:1i1zOnep0
「いらっしゃいませー」
               ,..-──- 、
              / : : : : : : : : : : \
             / : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
            ,!: : : :,-…-…-ミ: : : : : :',
            {: :: : i.'⌒';;;;;;'ー i: : : : : :}
           . {: : : | ェェ  ェェ  |: : : : : :}
             { : : |   ,.、   |: : : : :;!
            .ヾ: : i .r‐-ニ-┐ | : : : :ノ
              `イ! ヽ 二゙ノ イゞ‐'
                ノ` ー一'´, ‐'ヽ
               / !  _, ‐"   _ !
              .,レ‐''´   _, -'  !、
.             // ,|   . , -'´  __ !
            // /‐''    /___|
            !/ /      ,/ ,/ ____!
               |' /_--!、  ,/ "l'´ ___  ',
           |l7    ! .|`‐イ┘ __ ̄ |
           //,| !^i^! | |__  ! ./   ̄|
           !/ ! | l | /  !、. ̄|-------ーl,
           j/  `―‐'   ヽ .l-----、  |
          ,l〉             `i(´`‐-、 ヽ、,|
             ,l′        ,/  \  `ーイ
             |           ,/ .\  .\ /
         |       .,/ . ヽ、 \ ./
          ,!ノ!、    イ \  \ .ノГ
          |.\ \ ,r'  .\ \ /  |
          !  \. \     \ノ   |
          !    .\ \  У    |
110顎砕きの学校町紹介 ◇ijXVtdIY/Y(代理):2010/04/11(日) 17:40:48.14 ID:1i1zOnep0
「・・・・・・」
「みー・・・」
「反応薄いですね」
かなりユニークだと思うんですが
「都市伝説・・・?」
「さぁ?」
「知らないのかよ!?」
私、感知能力とかありませんし、上から与えられた情報しか持ちえませんし
「在処ちゃん、お友達かい?」
「学校の先輩です」
「そうかそうか・・・ドナノレドは今男子に夢中なんだ、今度一緒にお話しようよ」
「断る、つか子供の前でそんな話するんじゃねぇ!!」
「みー?」
「店長は男の人が大好きなんです」
「男の人なのに男の人がすきなの?」
「お前も説明するんじゃない!!」
「どれ位好きかって言うとね、犯バーガーが四個分位かな?」
「判りづらいわ!!」
私と店長の間を流れる様に行き来する先輩
その洗練された動きとテンポに私は先輩への認識をヘタレから改める必要がある事を理解しました
そう、先輩はヘタレなんかじゃありません、超一級のツッコミです
111顎砕きの学校町紹介 ◇ijXVtdIY/Y(代理):2010/04/11(日) 17:42:10.90 ID:1i1zOnep0
「つ、疲れた・・・」
「けーやくしゃ、だいじょーぶ?」
机に突っ伏し花子さんに頭を撫でられてる先輩の頬が僅かにですが緩んでるように見えます
先輩もロリコンなんでしょうか?
だとしたらこの町は危険ですね、一体どれだけのロリコンがいるんでしょう(D-962とか赤い靴とか笛吹きとか)
「ねぇ、けーやくしゃ」
「ん?」
「男の人が男の人を好きなる事あるのー?」
「・・・」
あ、固まっグェッ!?
「お前なぁぁぁ、花子さんに何を教えておるんじゃぁぁぁ!?」
「みー!?けーやくしゃおちついてー!!」
「ギブ!ギブです先輩!!」
極まってる極まってる!!

「あーその、何だ・・・花子さんがもう少し大きくなったら説明してやる」
「みー?」
キレた先輩は恐い様です
「あ、先輩・・・一つだけ注意が」
「んぁ?」
「ここで、マク○の悪口だけは言ってはいけません」
「言わないけど・・・なんで?」
「店長がキレます、あんな風に」
「みー?」
私が指差した先にはガラの悪い青年が
「あの青年は先ほど『マッ○のハンバーガーは安いだけで味はモ○が上』と発言しました」
「・・・で、その結果があれか」
112以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 17:46:08.34 ID:mSPfwdrKO
帰宅中支援ー
113以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 17:57:40.18 ID:mSPfwdrKO
しええん
114以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 18:07:58.85 ID:1i1zOnep0
ためしに
115顎砕きの学校町紹介 ◇ijXVtdIY/Y(代理):2010/04/11(日) 18:09:37.29 ID:1i1zOnep0
   +   .、
     /.:.:\ +          ,..-──- 、
  く\ノ.:.:.:.:.:.: \       /. : : : : : : : : : \
   \\:.:.:.:.:.:.:__ヽ     /.: : : : : : : : : : : : : : ヽ
     \\:./       ,!::: : : :,-…-…-ミ: : : : :',    _____________________
      \\      {:: : : : :i '⌒_, ,_⌒' i: : : : :}   /
        \\     {:: : : : | ェェ  ェェ |: : : : :} <  おい表へ出ろ、話はそれからだ
.        \\.   { : : : :|   ,.、   |:: : : :;!   \
            rヘ \_ ..ヾ: :: :i r‐-ニ-┐ | : : :ノ     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          }  >'´.-!、 ゞイ! ヽ 二゙ノ イゞ‐′
         |    −!   \` ー一'´丿
         ノ    ,二!\   \___/   /`丶、
        /\  /   \\  /~ト、   /    l \
       / 、 `ソ!     \\l::::|ハ/     l-7 _ヽ
      /\  ,へi       r''ー-ゝ_`ヽ、    |_厂 _゙:、
      ∧   ̄ ,ト|      >‐ ̄`    \.  | .r'´  ヽ、
     ,ヘ \_,. ' | |      丁二_   7\、|イ _/ ̄ \
     i   \   ハ       |::::|`''ー-、,_/  /\_  _/⌒
116顎砕きの学校町紹介 ◇ijXVtdIY/Y(代理):2010/04/11(日) 18:10:34.93 ID:1i1zOnep0
「○スの方がウチより上だぁ!?嬉しい事言ってくれるじゃねーか」
「え、いやその・・・」
「ゴー、アクティーブ!!ドナルドは嬉しいとつい殺っちゃうんだ!!」ドカッドカッベキッバキッ
「ギャァァァァァァァァァァァッ!!」
「こっちの方が良いかな?それともこれか?これか?これか?」ザクッドムッグフッゲルググッ
「ギャンッ?!」
「ドナルドは男子に夢中なんだ!イクよ、せーのらんらんるー!!」
「アッー」
【お見せできません】
「・・・・・・」
「みー?けーやくしゃまえがみえないよ?」
「花子さんは見ちゃいけません」
「みー?」
客(だった物)の上で店長が誇らしげポーズを取っています
「I'm love it」
117顎砕きの学校町紹介 ◇ijXVtdIY/Y(代理):2010/04/11(日) 18:11:26.81 ID:1i1zOnep0
で、

「面白い所だったでしょ?」
「二度と行かねーよ」
残念ながら先輩の御気には召さなかったようです
後、この日以来委員長なる人物からの視線が厳しくなった様な気がしますが
気のせいである事を願います
続く?
118ラジオ de 都市伝説 出張版  ◇nBXmJajMvU(代理):2010/04/11(日) 18:13:02.07 ID:1i1zOnep0
赤マント「久々のラジオ de 都市伝説、本日はスタジオから出て収録だ!
     パーソナリティはいつもとおりこの私、赤マントと」
赤いはんてん「あぅあぅ、赤いはんてんなのですよ!」
赤マント「さて、何故スタジオから出ているかと言うと、今回は学校町案内と言うテーマだからだ!」
赤いはんてん「因みに、何でいきなり学校町案内かと言うと、ブームに乗ってみたりとか
       うっかりと悪魔の囁き騒動がうまく進まないのでヤケになったとかそんな感じなのです」
赤マント「はっはっは、赤いはんてんよ、容赦ない言葉に我々の中の人のハートがズタズタだぞ!」
赤いはんてん「んな事知ったこっちゃないのです。とりあえず、とっとと進めるのですよ」
赤マント「ふむ、そうだな。では、ぱぱっと進めるとするか」
赤いはんてん「あぅ、ちなみに、中の人が出した学校町の施設とかで、紹介してほしい場所があるなら
       リクエストを出してくれるとありがたいのですよ」
赤マント「リアルタイムで書いていっているので、ネタを書き終わる前にリクエストをしてくれるとありがたいな」
赤いはんてん「では、最初の場所に行くのですよ、赤マント!」
赤マント「うむ、まずは紹介する店の多い繁華街から向かうとしようか」
119ラジオ de 都市伝説 出張版  ◇nBXmJajMvU(代理):2010/04/11(日) 18:14:19.41 ID:1i1zOnep0
赤マント「さて、まずは一部の人に大人気!ファミリーレストラン「フェアリーモート」だ!!」
赤いはんてん「いきなりここですかーっ!?」
赤マント「言うまでもないが、元ネタはひ○らしの「エンジェルモート」だ。制服もほぼまんまだしな」
赤いはんてん「あぅ、あの制服の黒い部分が白くなっていると思えば早いのですよ」
赤マント「まぁ、それ以外にもちょこちょこと違うイメージらしいが」
赤いはんてん「この制服のおかげで、一部のマニアな客が多いのが特徴なのですよ」
赤マント「一般客も多いぞ?デザートに定評があるらしいからな
     ちなみに、季節の変わり目にはデザートフェアをやっていてだな」
赤いはんてん「そこまで元ネタ通りですかっ!?」
赤マント「うむ、元ネタ通りだ。チケットが入手困難なのも同じだな。
     店でアルバイトをしている知り合いがいたら、そちら経由で手に入れると良いだろう」
赤いはんてん「ネット通販での入手はオススメできないのですよ」
赤マント「うむ、今チェックしたら恐ろしい値段を叩きだしているな」
赤いはんてん「場所は南区の繁華街なのです。繁華街の大通りの、わりと目立つ場所にあるですよ」
赤マント「一部の人に大人気と言いつつ、一般客も入りやすい雰囲気だ。気軽に訪れると良いだろう」
赤いはんてん「なお、登場キャラの中では、日焼けマシンの契約者こと、翼がバイトしているのが決定済なのです」
赤マント「厨房の方だがな。店では接客バイトを募集中だそうだ」
赤いはんてん「当然ながら、女性限定なのですよ!」
120ラジオ de 都市伝説 出張版  ◇nBXmJajMvU(代理):2010/04/11(日) 18:15:32.17 ID:1i1zOnep0
赤マント「次は、学校町を中心に展開するファーストフード店「ハッピーピエロ」だ」
赤いはんてん「元ネタは中の人の地元で展開しているファーストフード店なのです」
赤マント「うむ、笛の人には一発で元ネタがバレたな」
赤いはんてん「ハンバーガーとカレーライスが店の中心メニューなのです」
赤マント「…で、ここが少々ややこしいところなのだが
     学校町にいくつか展開している店舗のうち、一部店舗でしか扱っていないメニューという物がある」
赤いはんてん「代表的なのは、神社横店のラーメンやチャーハンなのですよ」
赤マント「オムライスやパスタ、ピザなど、やってない店舗の方が少ないメニューもあるしな」
赤いはんてん「お店を訪れる時は気をつけるのですよ」
赤マント「ここも、最近デザートに力を入れているらしいな。ケーキが美味いそうだ」
赤いはんてん「あぅ、赤マントに買ってこさせたケーキは美味しかったのですよ!」
赤マント「それと、この店の特徴は、全体的にメニューのボリュームが大きい事だな」
赤いはんてん「ハンバーガーのボリュームは、マッ○の1,5倍から2倍くらいあるのです」
赤マント「それだけではなく、でぶっちょバーガーやマウンテンバーガーと言った、明らかに大食い用メニューもあるしな」
赤いはんてん「その辺りはまだ可愛いのですよ。3sカレーとか6sカレーなんて、誰が注文するですか!」
赤マント「目撃情報に寄れば、小さな子供が平気な顔で平らげていたそうだが」
赤いはんてん「………世の中広いのですよ」
赤マント「なお、ここも翼のバイト先の一つだな。どの店舗でバイトしているかは不明だそうだが」
赤いはんてん「厨房・接客共にバイト募集中だそうなのですよ!」
121ラジオ de 都市伝説 出張版  ◇nBXmJajMvU(代理):2010/04/11(日) 18:17:20.75 ID:1i1zOnep0
赤いはんてん「あぅあぅ、次は中華料理屋さんですか?」
赤マント「うむ、中華料理店「青春軒」だ。繁華街の映画館の傍にあるぞ」
赤いはんてん「場所柄、映画を見た後によると言うお客さんが多いのですよ」
赤マント「気軽に食べられるラーメンから、財布に余裕がある時じゃないと食べられないメニューまであるな」
赤いはんてん「……あぅぅぅ!?この鮑のスープとか「時価」って書いてあるですよ!?」
赤マント「うむ、正直怖くて注文しにくいな」
赤いはんてん「コースメニューなんてのもあるですか」
赤マント「値段は少々張るが、味はそれに見合っているぞ」
赤いはんてん「某辛いメニューが有名な中華料理店がライバルだったりするですか?」
赤マント「あの世紀末を思い起こさせる店名のあそこか?」
赤いはんてん「あそこです」
赤マント「そう言う事はないようだな。客層が違うそうだ」
赤いはんてん「まぁ、こっちには激辛メニューはないですしね」
赤マント「この店も、厨房・接客共にいつでもバイト募集中だ」
赤いはんてん「厨房では、やっぱり翼がバイトしているのですよ。どこにでもいやがるのです」
赤マント「まぁ、そう言うな。中の人が最低でも店名だけは出した店の紹介だから、自然とそうなってしまう」
122ラジオ de 都市伝説 出張版  ◇nBXmJajMvU(代理):2010/04/11(日) 18:19:16.80 ID:1i1zOnep0
赤いはんてん「赤マント、食べ物の店の紹介が続いて、若干胃が苦しいのですよ」
赤マント「その店に付くたびに何かしら食べているからだろう、君は…
     …では、小休止を兼ねて、飲食店以外の紹介といこうか」
赤いはんてん「中の人も、布団敷くために一端休憩したそうなのです」
赤マント「OK,中の人の実況自重だ。
     …さて、紹介するは雑貨店、「ペリシャ雑貨店」だ」
赤いはんてん「あ、盟主達の学校町案内でも話題にあがったのですよ…こんな店名だったですか?」
赤マント「うむ、今決まった」
赤いはんてん「相変わらず行き当たりばったりなのですよ」
赤マント「気にするな。さて、店構えが若干地味なせいか、客入りが少ない雑貨店だな」
ククージィ「ほっといておくれ。まぁ、それでも商売は成り立ってるでな」
赤マント「仲介者からの仕事の斡旋があるからであって、店は赤字だと思うのだがね」
赤いはんてん「品揃えはわりと普通なのですよ。店の奥の世界各地のアンティークを除けば」
ククージィ「普通の商品は少しは売れるんじゃが、奥の商品がなかなか売れんのだよ」
赤いはんてん「あぅ、正直、買ってどうするんだって物もあるのです」
赤マント「世界各地の民芸品マニアにはたまらない物もあるのだがね…
     …だが、正直そのような物が、こんな雑貨屋にあるとは思うまい、マニア達も」
ククージィ「うむむ…アンティークを扱っている事も前面にアピールすべきか?」
赤マント「経営相談はさておき、だ。店の場所は繁華街の一角、としか決まってないそうだ」
赤いはんてん「女装少年がバイトでいない日は、ククージィ1人か、愛想ない男性店員と二人で接客中なのです」
ククージィ「祐樹は接客が苦手でな…一応雑貨屋という事で、女性アルバイトはいつでも募集中じゃ」
赤マント「では、中の人が布団を敷いてくるので、一端休憩だ!」
赤いはんてん「続きはいつになるか不明なのですよ。あぅあぅあぅ」


そう言う訳で一端切り!
123顎砕きの学校町紹介 ◇ijXVtdIY/Y(代理):2010/04/11(日) 18:19:59.62 ID:1i1zOnep0
皆さんこんにちは
顎砕き飴の契約者こと雨村在処です
今日も学校町の隠れた名所を紹介したいと思います
「誰に向かって言ってるんだ?」
「そういうツッコミは無粋です」
「みー?」
首を傾げているのは花子さん、そしてこっちの少年は獄門寺先輩
極道みたいな名前ですね
でも恐い名前とは裏腹に超一流のツッコミだと私は踏んでいます←失礼
「では行きましょうか?」
「何処に?」
「良い所です」
124以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 18:52:50.82 ID:EpBfalbZO
にゅ
125以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 19:11:08.53 ID:X2fuNn660
久しぶりに開いてみた
最近どう?
126以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 19:36:59.25 ID:aRFoui4C0
お久しぶりです。いつぶりでしょうか?
127以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 19:39:01.28 ID:GaubCLkp0
>>125
オニーサン、ヒサシブリネー

相変わらずのんびり続いているよ
いつ以来かによるけど、面子は少しずつ変わっているかもしれないね
128顎砕きの学校町紹介 ◇ijXVtdIY/Y(代理):2010/04/11(日) 19:39:57.84 ID:aRFoui4C0
で、東区
「またこの展開かよ!?」
「お約束って奴です、もしくはバンクと言っても構いません」
「 作 者 仕 事 し ろ !」
「メタな発言は控えましょうか、先輩」
「みー?」
さて、本題
「今回紹介するのはケンタッキーフライド○キン」
略してKF○と表記される事もありますね
「既にオチが見え透いてるな・・・」
「それは言わないお約束です
 このお店には何とですね・・・」
「皆まで言うな・・・居るんだろ?アレが」
「そう、にっくき我が仇敵、カーネルが居る!」
「みー、てんちょーさん」
「やぁ、皆こんな寂れた鳥狂いの店なんて止めてウチに来なさいそうしない
 今ならハンバーガー4個分位サービスするから」
「ソレは聞き捨てならんな・・・」
129顎砕きの学校町紹介 ◇ijXVtdIY/Y(代理):2010/04/11(日) 19:42:07.54 ID:aRFoui4C0
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130顎砕きの学校町紹介 ◇ijXVtdIY/Y(代理):2010/04/11(日) 19:44:18.78 ID:aRFoui4C0
「やっぱりか」
「みー、何処かで見たことあるおじさん」
「紹介します、店長のカーネルさんです」
この人はドナノレドさんと違って都市伝説と判明しています
「あん?何言ってんのお前?
 足三本生えたキメー鳥食わせる様な店から客守るのは当然だろうが?」
「ふん、ミミズを食わせる店に言われたくは無いな・・・道頓堀に沈めたろか貴様」
二人が往来のど真ん中で睨みあっています
「ある意味夢の対決ですね」
「夢と言うか悪夢だ・・・」
「みー」
131以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 19:45:18.76 ID:FAWqANov0
ただいま支援
132顎砕きの学校町紹介 ◇ijXVtdIY/Y(代理):2010/04/11(日) 19:46:27.93 ID:aRFoui4C0
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
                   _______
                  /: : : : : : : : : : : : : : : \
                /:: : : : : : : : : : : : : : : : : : ::丶
    チャキ         /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
            /|    / : : :: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ::: : ヽ
         /! |   /: : : : ; : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :; : : : \
          ! ! |   ;;:!: : : : : : : :/-・・・――・・・―ミヾ; :: : : : :ヾ  
    -──|┼|─‐-/ : : : : : : :ノ           ミ,: : : : : : : ;; 
  /  -─┼|┼‐-、,,!;; : : : : : : I  /~ :  ;’\    I,: : : : : : : :,,   
./ .// ̄ ! ! |`ヽ {:: : : : : : : |    |! ii/       |: : : : : : : :}
  / .      ! ! |   {:: : : : : : ::|  エエ;;;;;;;;;;;;エエ   |: : : : : : : :}
    r‐-、 |┴|   {: : : : : :: ::|            |: : : : : : : }   ドナノレドマジックで消してやるよ
    ト-イ /^Y´\  {: : : : : : :|     ,,丶     |: : : : : : ,,.!
    |-‐!/o/´\o\ ヾ: : : : : :|     −      |:: : : : : ノ
    入 /o/   \o\ ヾ: : : :i  /゛――゛'l   |: : : : /
   _( /\/\    入o\ ゞ彳  |  ̄ ̄ ̄゛|   イゞー
  (  \__)/`ァ─‐' /\/__/|\  ` ̄ ̄ ̄  /| \__
  (`ー-r'ヽ /   r‐' ̄ ̄/ |   \ ____/   ト、 \ ̄`\
  `r‐‐'     _/   /   ト、           / ∧  \   \
  /\    /        ト、\         // !       `ヽ
133以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 19:47:48.38 ID:FAWqANov0
しえええん
134顎砕きの学校町紹介 ◇ijXVtdIY/Y(代理):2010/04/11(日) 19:48:37.96 ID:aRFoui4C0
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
               _,. -‐…─---、_
            ノ ノ´r‐= 、、ヽ  \
.             f|: ´_/⌒``" ̄ ̄ヽ ∧
.             lll : |:::..     _,,  |: ::: :〉
            {_|:l_|:__,ニニ.__r===┬r=く          _______
            トマヘr=¬厂匸三リ リ)|      /ワシに永遠に服従し
            ∨:::::`フ´{:___ト、__  〈/    _ノ  チキンをカリカリに揚げることを
.            ヾl:::::ィ::;厶-一ヵ> :ト'     ヽ   誓うのだコノクソドモガ
             _〕::::いミニニイ l/::ト-、_       \_______
            /__ト、::ヽヽ 川.〈 /::/|:  `ー-、__
        ,. -‐'´.: : .:|!:.:`\{::  ノ ´ ::|::...         ̄``ー-、
    _,. --r'´.:.:.:.::  ..:.:∧:.:.:.:r‐≧='-‐┐:|:.:.:.:...    r       \
 r‐'´ _:.:.:ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l |!:. └‐1大'ー┘ |;;;;:.:.:.:>....:.|:..       、 ヽ 国産ハーブ鶏肉100%!!
:.:.:.:.::.´:.:.:.:.:.:.:.:\_____ヾ:.:.:.:.:.| ハ∨>:┴…'´ー‐-、|:.:.:.. \:   |:.:.: |、
:. /了:.:.:.:.:.:.:.:.: /:.:.:.:.:.:.:. ``ー-、L.l _l_〉'"        \:.:.:.:.:.:.ヽ:.:./:.:.:/: \
/__/:.:.:./:.:.:.:/-、:.:.:...     __  .:Y´:: _,.     =ミ:.:\_;;;;;V;;;/ヽ  l
:.:.:.:.:.,.イ:.:.:.:.:.:ノ|! _}‐‐::.:.:.. ,r‐'´ ノ. . ::lr'´::"          :;;;|:.:.`ー'⌒  |  |
:.:.:.:厶;;辷==' /⌒|::.:_;. -'´...:/   :.:l!:.:::            :;;;;;|:.:.:    ',     ∧
:.::イ:.:.:.:´ `ヾ|::  レ'ヽ:.:.:.:/ .:.:.:.:.:.:.:.:.|!:.:.:...     rぅ...:.;;;;;:∧:.:.:.   ヽ.  |: \
:.:/:.:.:     :.:.|::/ /r─  ̄〉.:.:.:.:.:.:.人;;;;;;;;;,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,;;;;;/::∧:.:.:.:...... ヾ \
:.:.:.:.:.:   :.:/: :/.:.:/__ノィ' ̄〉‐一'´___  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄lヾ、:/ :::\_::::::.: . l|  :ヽ
:.:.:.:.:.:..  .:.://.:.: _,/ -´___厶-‐ '´__ノ::.....         , rく\;;;;;;;;/`ヽ、;;;l| .:./|
:.:.:.:.:.:.:.:._,ノ:.:.:.:.:.:´:.:.:.:r‐'´:.:.:.:.:: ,.-'´. ‐个‐-、:.::..    /ノ }lァヘ:/     l八 ./ :|
\rー'´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:::/ :/::. ...:|:.:.:.:.::\:.:..    ...:/:::|ー'/    |:.:. /! |
:.:.:.:/:.: /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:. ,r≦_,:.|:.:.:.:.:.:.:.|;,;,:.:.:.:.: |ヽ;;;;;;;;;/ 厶/   .  |:.:.:.:.| ::l |
135顎砕きの学校町紹介 ◇ijXVtdIY/Y(代理):2010/04/11(日) 19:51:01.90 ID:aRFoui4C0
                                               .,..-──- 、
                                            r '´. : : : : : : : : : :ヽ
                                           /.: : : : : : : : : : : : : :: ヽ
        ,、__                                 ,!::: : ::: ,-…-…-ミ:: : :',
       /ヽ   ``ヽ .                           _,,.{,,.;;;; ; :i ,,;ノ;´:`ゞ、i: : :.:}
      // ̄' ̄ ̄ヽ. \;;;              _,,,,,, ------;--, ''"    `.|《;_・;} 《;・;} |: : : }
       `i ,_ ゞ __ノ_、 i   .` 、,,,,,,.---.,,,,,,,,.--.'''''"       '  i        :| 、  ,.、 | : : :;!
       ト|{;・;》〉{;・_;;》ー.    i  ''  - ,,__ '''''' - ,-.'''' - ,,__::::::..i....i.....      i...ir‐-ニ┐| : :ノ
       |,.レ,..、   i .    i;':::::.;'.     '/- ,,,_`/-.,,_  /`''''"-,>;:::::::::: :_丿ノヽ 二゙ノ:::イ
       irイTTTゞr /;;;:.....::::::::/┬-'.,,,,,,,,,,,,,__./....  /   :`/..、'' ,/:::';:`:>ー;;;ノ,: i. ` ー一r'
       ヽ ゞ;;;;;;;;/ //----'"::::i:::::/::::::::::::;;>''''''''.-:;;;;_...../.... :::/ ::ヽ:/:/:\ i__ /ヽ
        ,.‐`'´‐<;.r: '^''''--,;  〉,-"           '''' .'''.-;/-'>-///\'"::::  ヽ/
      r"::::: / /::::::...   '''i;;;',:::、               /:::::::::::::::://i- '^ ̄''i":::::::`.、
      i::::::::, ヽ .:i:ヽ::::::::::::::....../::|:::.',                /:::::::::::::-.//..   ...::'i  :::::'i
     . !;:::::::.. ::'' -!;:. `i----┬"; .;i:::::i              / :::::::'..,;;; //!::::::::::::::::;/-.''''''''''!
      . ';::::::::...:',  '.;..i"'''-  .!,| |;.':i:::::.',              /:.. :::::;::::://y''i,,,,,,,i'''",.-.''''''''''/
        '.;::::::::;' .:: ':i:::::  .: i| |;.':i::::::::.i            / :. ::::;::://::i''ヽ, ;;;;;/i  ......:::::/
         >:::y::::::: .::i::::. .: .i| | /:::::::::: :',          ノ  :::::::;;//::i :  ::::i,.-.''''''::/
         'ヽ;::::::::: i:::::: . : .i:::/:::::::::::: `i,          >、 ::::://:::i :  ....::i ...::';;;」
          ヽ:. :::::::(!::::..::::  i:|:::::::....:::::::::i         /'::::::::,//:;::/、______ノ:::i,.-.':/
           '>;::::::::::::: ..:: /:|:::::::::::::::::::::::i、       /:::::::::::::;;:`:::;(;:  ::. :::/:':::::/i
            :`::-:;;:::::::::;:'::::::::::::::::::::::::::::::i       i::::::/::::::::::::::::ヽ:ー:ー::::::/i
136以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 19:52:02.28 ID:FAWqANov0
支援
137顎砕きの学校町紹介 ◇ijXVtdIY/Y(代理):2010/04/11(日) 19:53:10.71 ID:aRFoui4C0
「では、今日はここまでと言う事にしましょうか」
「え?!」
「だってもう紹介できる状況じゃありませんし」
「ドナルドーマージック!!」
「道頓堀カーネル!!」
「俺達何しに来たんだ?」
続かない?
138ラジオ de 都市伝説 出張版  ◇nBXmJajMvU(代理):2010/04/11(日) 19:55:55.50 ID:aRFoui4C0
赤マント「さて、そろそろ再開だ!」
赤いはんてん「あぅあぅ、そろそろおなかも落ち着いたのですよ」
赤マント「さて、次に紹介するは学校町内でのみチェーン展開をしているコンビニ「イトウストア」だ」
赤いはんてん「……?そんな店名、作品内で出たことあったですか?」
赤マント「ないな。なかなか出す機会がなかったので、今出すそうだ」
赤いはんてん「いい加減なのですよ!」
赤マント「ほっといてやれ。さて、このイトウストア、基本的には普通のコンビニと変わらん。
     ただ、一部惣菜や弁当は、店内で作って販売しているな」
赤いはんてん「店内に調理スペースがあるですか?」
赤マント「うむ、客も、店員が焼き鳥を焼いているところを見る事ができるぞ…焼き鳥と言いつつ、肉は豚だが」
赤いはんてん「あぁ、元ネタはあそこですか」
赤マント「人気メニューはその焼き鳥を使った焼き鳥弁当だ。学校町外からも買いに来る客がいるぞ」
赤いはんてん「買ってすぐ食べられるように、店内に飲食スペースがあるのも特徴なのです」
赤マント「ちなみに、深夜にどこかの店舗を訪れれば、バイト中の翼の姿を見られるかもしれんな」
赤いはんてん「あいつは、いくつバイトをかけもちしていやがるのですか」
139以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 19:56:40.20 ID:FAWqANov0
sien
140ラジオ de 都市伝説 出張版  ◇nBXmJajMvU(代理):2010/04/11(日) 19:58:05.38 ID:aRFoui4C0
赤マント「さて、次はラーメン店「六華」の紹介だな」
赤いはんてん「あぅあぅ、赤マント。この店名、漢字を一文字変えただけで、読み方は元ネタと一緒なのですよ」
赤マント「気にするな。読み方を公表していないからそう簡単にはバレるまい」
赤いはんてん「そんな問題じゃないのですよ」
赤マント「さて、赤いはんてんの言葉は流して、だ。
     やや高級感の漂う「青春軒」と違い、こちらは親しみやすい価格のメニュー中心だな」
赤いはんてん「ランチメニューもあるのです。平日にサラリーマンが一杯来そうなのですよ」
赤マント「あぁ、実際、平日の方が客が多いな。ここは」
赤いはんてん「ラーメンは塩が中心らしいのです」
赤マント「そうだな。因みにオススメメニューはチャーシュー麺と五目ラーメン、それに固ヤキソバと餃子だ」
赤いはんてん「チャーシュー麺は、でっかいチャーシューが三枚も入ってるのです。
       五目ラーメンと固ヤキソバは野菜たっぷりなのです。五目どころじゃなく野菜たっぷりです」
赤マント「ギョーザはニンニクを使っていないから、女性でも食べやすいな」
赤いはんてん「私は、百円プラスで食べられるアイスが好きなのですよ」
赤マント「場所は繁華街のどこかだ。ゆっくり探してくれたまえ」
141以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 19:59:26.96 ID:X2fuNn660
>>126>>127
http://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/urban_folklore_contractor.html
に1月分のログ乗せて以来だ
空気は良いみたいで安心した
142ラジオ de 都市伝説 出張版  ◇nBXmJajMvU(代理):2010/04/11(日) 20:00:22.37 ID:aRFoui4C0
赤マント「さて、次で繁華街エリアラストだな」
赤いはんてん「あぅ、そうは言っても、繁華街エリア以外で特に紹介する場所なんてないのですよ」
赤マント「そう言うな!!中の人が次の紹介エリアで紹介すべき場所が一ヶ所しか思い当たらなくて悩んでいるから言うな!!
     ……さ、さておき、紹介するは創業120年の老舗、「至宝院」だ」
赤いはんてん「赤マント、多分、店名だけだと何の店かわからないのです」
赤マント「ふむ、そうかもしれんな……この店は、主に洋食を提供しているレストランだ。
     気軽に食べられるカレーから、フランス料理のフルコースまであるぞ」
赤いはんてん「一見、正装していないと入れないイメージなのです」
赤マント「そんな事はないぞ。学校の制服姿でも構わんし、上下ジャージだろうが長靴履いていようが入店は拒否されん」
赤いはんてん「それはちょっと極端なのですよ」
赤マント「ちなみに、流石に全裸は入店拒否されるだろうがな」
赤いはんてん「むしろ、その前に猥褻物陳列罪で逮捕されるのです、それは」
赤マント「店の雰囲気だが、いかにも老舗のレストラン…と言ったところだろうか。
     冠婚葬祭の祝いも行えるホールがあるから、時折、正装した男女が多数いるのが見られるな」
赤いはんてん「そんなのを見ると、余計に正装じゃないと入れないのかと勘違いなのです」
赤マント「待合室のソファーもふかふかだしな。全体的に派手ではないが、どこか高級感が漂う雰囲気かもしれん」
赤いはんてん「オススメメニューはあるですか?」
赤マント「有名なのはカレーなのだが…オススメは洋食とカレーのセットだ。
     1500円以内で様々な料理を食べられる、大人のお子様ランチと言ったところか」
赤いはんてん「……あぅ!?赤マント、この辛口カレー、わりと容赦なく辛いのです!!」
赤マント「いつのまに食べていたのだね…その通り、辛口カレーは一見辛そうに見えんのだが、辛い。
     美味い事に変わりはないのだが…激辛好き以外は気をつけたまえ」
赤いはんてん「あぅあぅあぅ…辛いのです………ちなみに、カレーはお土産で缶詰になっているのを買えるですよ」
赤マント「場所は、繁華街の一角だ。接客している店員は、どこかクラシックなウェイターとウェイトレスを思わせるシックな制服を着ているぞ」
143以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 20:01:16.08 ID:FAWqANov0
しえええん
144ラジオ de 都市伝説 出張版  ◇nBXmJajMvU(代理):2010/04/11(日) 20:04:32.01 ID:aRFoui4C0
赤マント「ふむ、繁華街エリアの紹介は以上だな」
赤いはんてん「食べ物の店ばっかりだったのですよ」
赤マント「そう言うな。正直、中の人が店名だけでも出した店となると、翼のバイト先が中心になってしまうからな」
赤いはんてん「次回は住宅街エリアですか?」
赤マント「そうなのだが…さーて、本当に一ヶ所しか紹介場所が思い当たらずどうしようか」
赤いはんてん「どこまでも行き当たりばったりなのですよ」
赤マント「まぁ、そのうちどうにかなるだろう。次回がいつかも決まっていないしな」
赤いはんてん「あぅあぅあぅ…いい加減にしやがれなのですよ、作者!」
赤マント「とまれ、今回はここで終了だ。それでは、また次回」
赤いはんてん「ラジオ de 都市伝説は、いつでもリクエスト募集中なのです!!」



いつ続くかわからないまま終わる
145散歩の途中で  ◇nBXmJajMvU(代理):2010/04/11(日) 20:06:53.46 ID:aRFoui4C0
 我輩は百獣の王の息子である
 名前はまだない

 そう、名前はまだ、ないはずなのだ
 しかし、何故だろうか
 昔、昔……ずぅっと、昔に
 何らかの名前を持っていたような気がするのだ

 だが、我輩はこの通り、まだまだ幼き百獣の王の息子
 そのような昔から存在していたはずなどないのだが
 はて、これが前世の記憶とか言う奴であろうか

 時折、ふと、妙な夢を見るたびに
 血塗れの夢を見るたびに
 そのようなことを考えるのである



 ぎゃしゃー

 てちてち、てちてちと、子ライオンが街を駆ける
 てちてち、てちてち、てちてちてちてち
 最早、日課となっている散歩である
 春めいた暖かい気候が続く最近では、炬燵に篭る回数もめっきり減って、毎日外を駆け回っているようだ
 …余談だが、山田家で炬燵を仕舞う機会を逃し続けているのは、この子ライオンのせいらしい
 てちてちてちてちてちてちてち
 ぽかぽかなお日様の光を浴びながら、調子よく走っていた子ライオン

 ………が
 突然、ピタリ、脚を止めた
146以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 20:08:53.05 ID:FAWqANov0
しえーーーん
147散歩の途中で  ◇nBXmJajMvU(代理):2010/04/11(日) 20:09:02.56 ID:aRFoui4C0
 く、と視線をあげて……そこを見あげる

 そこは、小さなビルだ
 何か、小さな企業が、そこのビルを丸まる全部使っているようで、企業名も書かれているのだが…この子ライオン、人間の文字は理解できない

 しかし、何故だろうか
 子ライオンは、じっとそのビルを見上げて、動かない
 じぃっと、じぃっと
 何かを、見つけようとするように見あげて…

「ふぅ、捕まえた」

 ひょいっ
 ……しゃぎゃ??

 持ち上げられた体
 ふぅ、と未来がほっとした表情で子ライオンを抱き上げる

「そろそろ、帰る時間ですよ?」

 …しゃぎゃー

 じたばた、じたばた
 未来の腕の中で暴れる子ライオン
 いつもと少し違う様子に、未来は首をかしげる

「…?どうしたんですか?」

 ぎゃしゃー
148散歩の途中で  ◇nBXmJajMvU(代理):2010/04/11(日) 20:11:12.09 ID:aRFoui4C0
 子ライオンは、じっとビルを見上げている
 未来も、そのビルを見上げてみたが…何の特徴もない、普通のビルだ
 怪しい点は見当たらない

 ……少なくとも、表向きは

「ほら、帰りましょう?」

 …ぎゃしゃー!

 じたばた、じたばた、子ライオンは暴れるのだが
 未来によって、そのまま帰路に着くことになったのだった




 −−−−−同時刻
 その、ビルの一室で
 ぴちゃり、ぐちゃり
 肉を食いちぎり租借する音が響き

「…………?」

 巨大な、鬣のないライオンが
 懐かしい気配を感じたような気がして、首をかしげていた




to be … ?
149糸井和弥と中身の少女 ◇OgWxfIe4h2(代理):2010/04/11(日) 20:14:32.20 ID:aRFoui4C0
『来ない』とか言ってた従兄が来た。五月蝿かったので縛り上げた。
厨ニ病と言われたので軽く絞め上げた。多重人格探偵でもやれと言われたのでもっと絞め上げた。その上昼飯まで奢らされた。ナンテコッタイ/(^o^)\
夕方、帰ってきた俺は幸司から渡された弁当箱らしき物の中からカプセルの入ったビンを取り出した。ちなみに幸司は、「一人で歩いてみたい」とほz・・・ゲフンゲフン言ってたので放ch・・・ゲフンゲフンお言葉に甘えて先に帰ってきた。。
ビンのラベルには「肆葉焔治謹製性転換薬Ver.ββ(D.I.D.患者治験用試作品)」と書いてあった。
そしてこうも書かれていた。「この薬は投与後3〜4時間で効果を発揮します。
夕方くらいに飲めば夜に効果が出るから一人×××したり×××したりするのにオススメです(はぁと)。効果・効能の詳しいお問い合わせや経過レポートなどは電話080-××××-×××× 肆葉焔治まで・・・」・・・深くはツッコまないようにしよう。
まあ、効果も気になるので服用する事にする。「用法・容量 高校生:一回4錠 その都度」ラベルにはそう書いてあったので、ビンから4錠取り出し水と一緒に流し込む。
・・・まあ、飲んだ直後はあまり変化は見られない。当たり前だが。夜まで気長に待とう。
夜。すっかり暗くなった自分の部屋で俺は一人佇んでいた。そろそろ薬の効果が現れてもいい頃だが・・・
(・・・ねえ、自分の身体よく見てみたほうが良いんじゃない?)
「それってどういう意味d」
カズネの言うとおりに身体を見ると、傍目から見てもなんら変わりはない。
「じゃあ・・・」
俺は恐る恐る男なら付いている筈のモノの有無を確かめた。
・・・案の定、と言うべきかやはりなかった。
そして鏡を見ると、そこには見知った顔の少女がいた。女の時の俺の顔だ。
(どう?これで分かった?じゃああとは私の出番ね。)
「・・・夜はお前の時間だからな。好きにしろ。俺は眠らせてもらうぜ。」ドン!
「・・・昼の間お疲れ様。さてと、好き勝手させてもらいますか。・・・あら?」
ちょうど従兄の幸司が出て行くのを見かけた。
「こんな時間に何処行くのかしら・・・?ついてってみよっと♪・・・っと、その前に」
こういう時でもおしゃれは欠かさないらしい。流石は女の子だ。ちなみに俺こと和弥は先ほど「寝る」とは言ったが暇なのでこうしてナレーターをしてるって訳だ。
「そういえば、幸司君にクレジットカード渡したって伯父様言ってたわね。こうなったら・・・♪」
・・・どうやらこいつ、幸司にたかる気満々らしい。
「何よ、文句あるの?私には何も買ってくれないくせに、この馬鹿和弥っ!」
あー、はいはい。そうでございましたね。でもなぁ、男が女性物の服とか買うわけにはいかないだろうが。
「うっさい!それとこれとは話が別でしょっ!あーあ、和弥も誰かのためなら散財したって構わないくらいの広い心を持ってたらなぁ・・・」
ぐっ・・・痛いところついてくるな、お前。それより、幸司追わなくて良いのか?
「・・・!!!すっかり忘れてたわ!!全く・・・、あんたの相手するんじゃなかったわ。」
・・・ったく、よく言うぜ。さて、明日辺りにでも伯父さんに報告がてら詳しいところを聞いてみるか。
150以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 20:16:01.18 ID:FAWqANov0
支援!!
???「あー、あー、マイク、マイクテストにござる」
???「おい、昼のうちにテストしてあるから大丈夫だぞ」
???「何だよー先に言ってよー」
???「言う前からテスト始めたのはどこのどいつだ…っておい本番始まってる!」
???「えっ…」

……

???「…さあというわけで始まりました緊急ラジオ『松尾と与一のしょんぼりラジオ』でござる」
???「何事もなかったようにするなよおい」
バショー「さてお相手は拙者、松尾芭蕉と」ヨイチ「…那須与一がお勤めいたす」
バショー「急に新キャラ登場でござるがそこはスルーしていただければありがたい」
ヨイチ「まぁ私は既に本編登場が確定してるからその宣伝と思っていただければ」
バショー「チキショーいいよなぁお主は登場が確定してて…拙者なんか作者が急に
     『ござる口調っていいよね』とかいう謎の電波発進のキャラでござるからな」
ヨイチ「まぁ落ち着け。ここで使いやすかったらきっと本編にも出れるだろう」
バショー「よし、そうときまればさっそく頑張って参るでござるよ!」
ヨイチ「で、何でこんなに急に招集がかかったんだ?」
バショー「最近スレでよく学校町の紹介を行っているからでござる」
ヨイチ「確かに最近は新規参入者さんのために改めて学校町、というか都市伝説という設定を紹介することが多くなっているな」
バショー「故にそれに便乗して作者が出した店だけでも紹介しておこうという魂胆にござる」
ヨイチ「まぁ確かに他の作者様のところを紹介しても絶対に説明不足になるだろうしな」
バショー「うむ。そういう訳で今回は二つのお店を紹介させていただくでござる」
バショー「まず一つ目は『レストラン うわさの産物』にござる」
ヨイチ「作者の代表と言ってもいいくらい前面に出してる店だな」
バショー「この店はいろんなものに独創性を見出したがる店長こと神野守殿が経営を行う飲食店でござる」
ヨイチ「方向性は間違ってると思うがな。…まぁ確かに一度食べたら忘れられないことは間違いない」
バショー「有名なのは『ミミズハンバーグ』でござろうか…食べた瞬間卒倒する悪い意味で奇跡の味でござる…」
ヨイチ「他にも食べたら感電する『いかづち重』や謎の昆虫が材料の『半バーグ』とか…あぁあと鬼畜食べ合わせ盛り合わせとかもやってたな」
バショー「その他にも期間限定の料理が多くて一年中楽しめる(?)お店でござる」
ヨイチ「気をつけて欲しいのは紹介した料理は全部『店長のきまぐれ定食』のメニューだから何が出てくるかは分からないところだな。
    それと常連になってしまうと試作料理の試食に誘われることだな」
バショー「試作料理を食べたMさんはその後三日間腹痛が止まらなかったそうな…」
ヨイチ「おぉ恐ろしい…」

バショー「…それとこの店舗、実はちょっとした秘密がござってな」
ヨイチ「おおっと忘れるところであった」
バショー「緊急時になると巨大ロボに変化して戦う…なんてことがあるのでござる」
ヨイチ「そうそう。なんでも店長が『昔見たロボットものの建物が変化して怪獣を倒す、ってのをやりたい』という希望から実現したロボらしい」
バショー「実際に『夢の国』襲来時や対マッドガッサー時には敵を倒すだけにとどまらず、多作者様にも多大なる迷惑をかけたのでござる…」
ヨイチ「…Gカプセルだな…茶色き悪魔のことだな…」
バショー「全く…この店は保険所とか来ないのでござろうか」
ヨイチ「まぁ毒はないから(?)大丈夫なんじゃなかろうか…警察の人とかはたまに来店するらしいぞ」
バショー「…悪食の感覚は分からないでござる」ヨイチ「全くだ」
バショー「さて、こんなところでござるかな」
ヨイチ「うむ。さて、特にすることもなくなってしまったがどうする?」
バショー「…俗に言う『尺余り』でござるな」ヨイチ「それを言うな言っちまうとgdgdに絶対なるから」
バショー「もうなってる気が…」ヨイチ「気にしたら負け」

バショー「…じゃあ拙者たちの紹介も兼ねて趣味の俳句を一句詠ませていただくでござる」
ヨイチ「お、俳諧の名手、松尾芭蕉殿の本領発揮か?」


バショー「では一句…
     これからも 都市伝説スレ よろしくね」


………



バショー「どうでござる!?どうでござるか!?」
ヨイチ「…あぁ、うん…また次回、お会いしよう」バショー「流された!?」
ヨイチ「お相手は鎌倉一の弓取、那須与一と」
バショー「…伊賀の忍の俳諧師、松尾芭蕉でござった…松尾ばしょんぼり」
ヨイチ「それ言いたかっただけだろおい」
154以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 20:21:23.47 ID:FAWqANov0
支援!!
155本能と願い  ◇nBXmJajMvU(代理):2010/04/11(日) 20:23:25.47 ID:aRFoui4C0
 …夜道に、足音が響き渡る

「……はぁ」

 暗い道を、藤崎は1人でぼんやりと歩いていた
 ふらふらと歩くその表情に…正気の色は、もはや残っていない
 タコ妊娠に半分以上飲み込まれかけ、タコ妊娠の本能で、餌である女性を求め続け
 そして、辛うじて残っている藤崎 沙織としての心は、ただ

「…日景君…どこにいるんだろ…?」

 ただ、翼のみを求め続けていた
 ふらふら、ふらふら
 夜道を彷徨い、翼を捜し続けている

 しかし、以前遭遇して以来…翼と、遭遇できていない藤崎
 会えないがゆえに、さらに心は翼を強く求める

「日景君………日景君、会いたいよ…」

 呟きながら、ふらふら、ふらふら
 彷徨う彼女の、長い、スカートの裾から


 ………じゅるり
 太い、太い、タコの足が見え隠れする


「…会いたい……会って……私だけの、ものに…」
『ソウサァ、オ前ダケノモノニシテシマエ!一生、他ノ誰ニモ奪ワレナイヨウニ!!!』
156以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 20:26:43.96 ID:FAWqANov0
しえーん
157本能と願い  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 20:30:09.40 ID:FAWqANov0
 内側から響く声に、藤崎は笑う
 くすくす、微笑みながら歩いていると…前方に、高更生くらいの少女達が、たむろっている様子が見えた
 こんな深夜に、タバコを吸いながら集まっている様子から見るに…不良少女達なのだろう
 少女の1人が藤崎に気づき、やや不機嫌そうに睨みつける

「っだよ?見てんじゃねーぞ」
「………」

 …ゆっくりと
 藤崎は、少女たちに近づいていく
 そんな藤崎の様子に、少女達は憂さ晴らしの対象にでもしようと思ったのか、それとも、カツアゲでもしようと思ったのか…彼女を取り囲み始める

「あたしらに何か用かよ?」
「ここ通るんなら、通行料よこしな!」

 そんな、少女達の問いかけに…藤崎は答えない
 代わりに……じゅるり
 スカートの裾から…触手のように伸びた、タコの足が
 少女の1人を、捕えた

「え………きゃああああああああああああああああ!!??」
「な……っ!?」
「っちょ、え、な、何だよ、これ……」

 くすくす
 藤崎は笑う
 どこか、うっとりとした表情で、笑って

 べちゃり
 彼女の足の間から……巨大なタコが、落ちた
158本能と願い  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 20:33:49.44 ID:FAWqANov0
「タ、コ……?」
「−−−っひ!?や、な、何だよ、これぇ………っ!?」

 しゅるり
 じゅるり
 タコの8本の足が、少女達を全員、捕えてしまった
 タコの足は、少女達の太ももを捕え、その先へと進んでいく

「気持ち悪………っ、ひ、やあああああああああああああ!!!???」
「やだ、やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ………っ!?」
「誰か、助け………っ」

 べちゃり
 続けて、二匹目のタコが、また落ちて
 じゅるり、少女達に向かっていく

「…うん、もっとタコを増やさなくちゃ…日景君に会った時、不便だもん……増やさなくちゃ……」

 くすくす、くすくす笑いながら
 藤崎は、目の前でタコに弄られていく少女達を、見下ろしているのだった



to be … ?


159ソニータイマー (代理):2010/04/11(日) 20:37:07.96 ID:FAWqANov0
「嫉妬少年のその後」
ウーウー…
消防車のサイレンが響き渡る。その様子を小さく震えながら眺める少年、妬見女疾風
「一体何があったんだい?」
そう聞かれる疾風。都市伝説の力で爆発した、なんて言っても信じてもらえる訳がない
疾風「車…を見てたら…突然…爆発…して…」
震えながら声を絞り出すように答える疾風。これでいくらか誤魔化せたはずだ

帰り道
疾風「…「あるお方」に協力、ね…どうするかなー」
『美味シイ思イガデキルッテンナラ、協力シテモイーンジャネェノ?』
疾風「でもなーリア充だって言ってたからなぁ…。妬ましいし…」
『ソウカ…マァ好キニスリャイーンジャネーノ?』
疾風「そう。それじゃあ協力すんのはやめとこうかな。全リア充は僕の敵だし」
『ジャア敵対スンノカ? オソラクアイツニ狙ワレルゼ』
疾風「うーん…あの人は同志だからね…まぁ僕はリア充を爆破していくよ」
どうやら協力する気はないようだ。リア充は今までどうり爆破するようだが
そして、帰り道の途中…部員に出会った
蒼介「ゴホゴホ…あ、疾風君」
疾風「あ…蒼介君」


160ソニータイマー (代理):2010/04/11(日) 20:40:49.74 ID:FAWqANov0


         同じ部員で帰る方向も同じだったので、一緒に帰ることにした
不幸「へぇ…同じ都市伝説の契約者と出会ったんだ…」
疾風「うん。何か協力しないかって言われたんだ」
幽夜「へぇ…それで君はどうするんだい?」
疾風「誘いには応じないことにしたよ」
こんな会話をしていた。すると…

          <着メロ>
蒼介「ゴホ…メールだ。差出人不明?」

564219
蒼介「!!? みんな、やばい。都市伝説に狙われた…ゲホッ」
「「「!?」」」
すると蒼介の背後に包丁を持った男が現れ、…刺した
蒼介「ゲホッ…ゴホッ」
蒼介を襲ったのは『564219』。ポケベルに564219という数字が出て…という都市伝説である
不幸「ちょ…蒼介君大丈夫? 生きてる?」
蒼介「大丈夫…傷はやばいけど、死なないから…ゴホ」
蒼介は新しい都市伝説と契約していた。それは『病弱は生存フラグ』。彼が何らかの病気にかかっている間、彼は死なない
蒼介「おそらくコイツは『564219』。契約してる可能性があるから気をつけて…ゲホッ」
不幸「フフフフフフ…それじゃ…僕らで何とかしますか…」
疾風「どこからともなく現れて攻撃できる能力…妬ましい」
幽夜「夜じゃないと戦いづらいけど…がんばるかぁ…」
3人が臨戦体制に入る。
不幸「…『564219』の契約者は僕たちとの戦いが終わったら、結婚…するんだ」
不幸が今使ったのは『一級フラグ建設士』の能力。対象者に自由にフラグを立て、回収したり折ったり出来る。これで『564219』の契約者に死亡フラグが立った
そして、幽夜がピューと口笛を吹く
161ソニータイマー (代理):2010/04/11(日) 20:43:36.01 ID:FAWqANov0
幽夜「まだ夕方だからこれくらいしか出ないかぁ…」
そういって鬼火を呼び出す
疾風「ああ…妬ましい。爆発しろ」
『564219』を爆破する疾風
だが、契約者がなかなか見つからない
すると…

トゥルルルルルルルルルルルルル…
蒼介の携帯に電話がかかってきた
蒼介「知らない番号…? いや、どこかで見たような…ケホ」ピッ
「もしもし、私メリーさん。貴方達がずいぶん困ってるみたいだから、加勢してあげるわ。あ!勘違いしないで。あの時の借りを返すだけだから」
蒼介「ああ、うん。ありがと」
蒼介「皆、朗報だよ…ゲホ。『メリーさん』がべ○ータ的な理由で一時的に加勢してくれるらしい」
疾風「ベ○ータ? ああ、ツンデレか。…妬ましい」
疾風は少し嫉妬するが、何とか抑えた
メリー「まぁ、私に任せなさい! 『564219』の契約者を探してるんでしょ?」
そういうと、メリーさんは電話をかける
メリーさん「もしもし、私メリーさん。今、私“達”貴方の後ろに居るの」
メリーさんがそういうと、疾風たちは男の背後にワープしていた
不幸「フフフフ…見つけた。それじゃ、『フラグ回収』」
不幸がそういうと、車が走ってきて…『564219』の契約者が…轢かれた
疾風「え? 倒した? それじゃあ救急車を」
疾風が救急車を呼び、皆はもう帰ることにした
こうして、初めての契約者もちの都市伝説との勝負は、幕を閉じるのであった…


               つづく


162せんみつとお嬢様  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 21:00:14.30 ID:FAWqANov0
 視線が痛い
 さぁて、どうしたら良いものか
 目の前で涙目でこちらを睨んでくるヘンリエッタと、今すぐにでもこちらを殺さんとせんばかりの勢いで睨みつけてきているGを前に、黒服Hは小さく苦笑した

「……つまり。お前はマッドガッサーの騒動以降、ロクにメンテナンスをせず、都市伝説存在固定剤を薄めた物を飲むだけで体をもたせていた、と?」
「それと、賢者の石の効果な。まぁ、こっちはあんまり使いたくはねぇんだが」

 あの男と戦う、その時まで
 賢者の石の残り残量は、あまり使いたくはないのだ
 あの不死身の男相手に戦うのならば、こちらもある程度の不死身性を保たないと、きつい

「−−−−−−っの、馬鹿者が!!」

 ぺち!
 ヘンリエッタが、Hに殴りかかった
 とは言え、彼女の本来の腕力で、ではなく、その愛らしい少女の姿に相応しい力で
 ぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽか
 そのまま、叩き続ける

「痛いんだが、お嬢さん。っつか、うっかり本来の力で殴ってくるなよ?少なくとも一回は死ねる」
「煩い!この大馬鹿者めが!!何故、妾に一言も相談せんかった!?妾は、お前の状態を全て把握していなければならんのだぞ!!」

 ぽかぽかぺちぺち
 ヘンリエッタはHを叩き続け……ぽろぽろ、ぽろぽろ
 大粒の涙をこぼし続けている

「お、お前の状態を把握出来ておらんと……っ、お前の状態に合わせて、薬の成分の調整も、できんじゃろうが……っ」
「まず、俺はその薬の投与をサボってたんだし、問題ねぇだろ」
「大有りじゃ!!そうだから、体がボロボロになっておるのじゃろうが!!」
163せんみつとお嬢様  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 21:04:14.73 ID:FAWqANov0
 ようやく、Hを叩く手が、止まり
 ヘンリエッタは、ただ、涙を流す

「妾、は……お前に、死なれては…………困るのじゃ…」
「…はいはい、悪かったよ」

 ぼふん、と
 ヘンリエッタの頭を撫でてやるH
 …Gからの視線が、大変と痛い
 少しは、フォローしなければ駄目だろう

「流石にきっつくなってきたから、こうやって打ち明けただろうが」
「もっと早く打ち明けんか!!……とにかく、今から検査と薬の投与を始める。逃げるでないぞ?」
「わかってるって……それと、あの話だが」
「ふむ、ファンタ・ゴールデンアップルに飲み込まれた少年じゃな?お前の言う通り、Gの下につかせよう」
「そうしてくれ。あの能力が強硬派や過激派に確保されるのは厄介だ」

 任せろ、と頷くヘンリエッタ
 てとてとと、部屋の奥に向かおうとしていて

 …その、後ろ姿に
 そうだ、とHは声をかける

「ついでだ、お嬢さん。「第三帝国」は知ってるな?」
「うむ?知っておるぞ。我がライバルのムチプリがいるのじゃ」
「いつ、あのドクターがお前のライバルになったのかはさておき、だ……そのドクターが、都市伝説を人間にする方法を見つけた、ってよ」


 −−−−ぴたり
 ヘンリエッタが、動きを止めた
164せんみつとお嬢様  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 21:08:01.26 ID:FAWqANov0


「…どう言う事だ。H-No.360」

 今まで無言を貫いていたG-No.1が、口を開いた
 低い、低い…怒気交じりの、声
 殺意一歩手前のその怒気は、Hにまっすぐに向けられていた

「言葉通りの意味さ。お嬢さんとお前さんが何百年とかけて見つけられなかったその方法、人間であるドクターが見つけちまったのさ」
「…それは、事実か?」

 あぁ、とヘンリエッタに頷いてみせるH
 どこか意地悪く、笑ってみせる

「……どうだ?方法が見付かったなら………人間に、戻りたいか?」
「…………」
「…H-No.360、貴様…」

 俯いてしまったヘンリエッタ
 彼女の心を乱す発言をしたHを、Gはとがめようとして
 …しかし、ヘンリエッタが、それを遮る

「良い、G-No.1……そうじゃな、確かに、妾は人間に戻りたい……………だが、まだ、人間に戻る訳には、いかぬ。「組織」を正しい方向に導くまで…まだ、戻る訳には、行かぬのじゃ」

 友人になった少女達が、危険な目にあった事で
 ヘンリエッタは、より、「組織」の過激派や強硬派相手に厳しい態度をとるようになった
 少なくとも、それらを全て駆逐するまでは人間に戻るわけにはいかない…そう言う事か

「じゃから、H-No.360。お前は、自分の事だけ考えておれ。その人間に戻る方法、お前が使えば良いじゃろう」
「そうかい」
165せんみつとお嬢様  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 21:12:07.32 ID:FAWqANov0
 わかった、とHが頷いたのを確認して…ヘンリエッタは、検査の準備をすべく、奥の部屋へと姿を消した 
 部屋には、HとGだけが残されて

「…何のつもりだ、H-No.360」

 ぎろり
 Gが、Hを睨み付けた

「何の事だ?」
「とぼけるな………!今更、お嬢様に希望を抱かせて、どうするつもりだ」

 普段、感情を押し隠し、感情などないように振舞っている男が
 Hの前では、こうもあっさりと、怒気を露にしてくる
 その様子が楽しいものだから、ついつい、挑発してしまうのだ
 くくくっ、とHは笑ってみせる

「俺は事実を伝えたまでさ。すげぇだろ?寿命が定められている人間の身で、奇跡としか言いようがないその技術を実現させたんだからな」

 H自身は、まだその人間化した都市伝説の姿を見てはいないのだが
 辰也が言ったのだから事実だろう、とそう考えていた
 辰也の嘘を見抜くくらいはできる

「……お嬢様を殺すと言っている、お前が…………お嬢様に希望を抱かせ、何を企んでいる」
「……………さぁねぇ?」

 …Gのその問いかけに、Hは誤魔化すように肩をすくめて 
 それ以上、答える事は、なかった


to be … ?
166犬メイドは見張られる ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/04/11(日) 21:17:38.59 ID:FAWqANov0
「っかしいな……この辺のはずなんだが」
新しく調達した、体格に合わせた小型バイクから降り、ヘルメットを脱ぎぺたりと潰れた犬耳を撫でる
「この耳と尻尾だけはどうにかしねぇとなぁ……バイクだとメットで耳が辛いし、車だと尻尾でまともに座れん」
ぶつぶつと独り言で文句を呟きながら、エプロンのポケットから学校町の地図を取り出す
「えーと、A-124の耳がここで、可聴範囲がこんだけ。B-534とY-227がこんだけだから……やっぱこの辺だよな」
辺りは閑静な住宅街で、一戸建ての家屋が建ち並んでいる
『壁に耳あり』の能力で各戸別に聞き耳を立ててみるが、取り立てて異常な気配は無い
「あん時にバタバタしてから、それなりに経ってるしな……結界なり空間作成なりで遮断や潜伏されたか、もしくは逃げられたか。お前のせいだぞ、お前の」
「あ゛ー」
胸の谷間に挟まって唸っている子悪霊の顔をぐりぐりと指で突付きながら、改めて地図に視線を落とす
「お前のご主人の方はどうだ? どっか怪しげなとこが見つかったとか報告は無いのか」
「あ゛ー」
ふるふると顔を振る子悪霊だが、それが否定なのか胸の谷間の感触を楽しんでいるのかの判断は少々微妙だ
犬メイドは諦めて、地図の確認に意識を向ける
「とりあえず、目立たない時間に目立たない格好で改めて調査するか……動きやすい服、調達しないとな」
犬メイドなどと呼称されている現状、何故か用意されている衣類はどれもこれもメイド服かその亜種ばかり
普通の服も買ってみたりはするものの、女物の服の組み合わせなど考えた事も無かったため、いまいちしっくりとこないのだ
「ま、作業着ならぶっちゃけ目立たない動きやすいだけでいいしな、帰りに買ってくか……つーかこの格好でうろついて不審がられないこの町ってホントすげぇわ」
そんな犬メイドの様子を、離れた場所から伺う女黒服の姿
彼女はその視線を介して、結界の中に引き篭もる中華黒服達への情報中継を行っているのだ

―――


167以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 21:20:30.59 ID:X2fuNn660
[58]〜[76]スレ目までログ載せました
wikiではこのスレは(Part056)となっていますが
こちらでは[77]になります(3/31以降にスレが建っていた場合更にズレます)
168犬メイドは見張られる ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/04/11(日) 21:20:47.50 ID:FAWqANov0
「どうする、また面倒な輩が嗅ぎ回っているぞ」
「呂布めの拾い物だ。黒服のような『そのもの』ではない、人間のままの契約者だ」
「どちらにせよ探られるのは居心地が悪い」
「捕らえるか」
「消すか」
「どちらにせよ呂布に悟られると面倒だ」
「彼奴め、勘だけは恐ろしく良いからな」
「結界に気付かれなければ放置しても問題あるまい」
「『悪魔の囁き』の主めが跋扈しているうちは、大人しくしていると決めたばかり」
「巻き込まれてはたまったものではない」
「泳がせておけばよい、どうせ我らの元へは辿り着けぬ」
「この一騒動が落ち着いても我らの周りを嗅ぎ回るようであれば」
「その時には捕らえ黙らせれば良い」
「呂布めは暴れれば目立つ、監視はこの女に絞っておく方が無難であろう」
「どうせ無頼を気取っていても、あやつめは我らを裏切れまい」
学校町を映し出していた水鏡が、その映像を消して透明な水面を取り戻す
その底には一人の女性が脈動する何かに包まれるような姿で沈んでいた

―――

背中を貫く凄まじい怖気に、犬メイドの尻尾の毛が思わず逆立つ
「今、なんかすげぇヤバい気がしたんだが……やべぇな、相手に感付かれたか」
どこかへっぽこな印象が目立つ彼女も、曲がりなりにも国家のお抱え諜報員である
「相手の正体も掴めないうちにコレか……どうすんだ俺、死亡フラグ立てちまったか、マジで」
ぺたりと寝た耳を更に伏せ、げんなりしながら物資調達のためににバイクを走らせていた
169わんことおうま ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 21:25:29.45 ID:FAWqANov0
 …犬メイドが、バイクを走らせていた、その時

『−−−−−聞こえているか?』

 街中に張り巡らせている「耳」の一つが、マステマの声をキャッチした
 場所は…どこかの住宅の中
 恐らくは、彼の住いか

「聞こえてる。どうした?」

 悪霊が拾う声は届いていると言う事を聞いていたので、ひとまず、胸に挟み込んでいる悪霊にそう答える犬メイド
 悪霊は、小さく「あ゛ー」と返事をしてくる

『お前、後付けられてるぞ』
「…やっぱりかよ」
『俗に言う黒服っぽいが、顔色悪いし額に札張ってあるし、キョンシーっぽいぞ。どうする?消すか?』

 別の悪霊を通して、こちらの後をつけている相手の姿も確認したようで、そう言ってきているマステマ
 その言葉に、犬メイドはどうすべきか、勘が得る
 ……ヘタにその相手を消しては、警戒される可能性もあるからだ
 逆に、泳がせた方が良い事もある
 どうすべきか、答えに迷っていると

『………っと、待て。後つけてきてた奴が、何かに撥ね飛ばされた』
「…………は?」

 …撥ね飛ばされた
 それは、どう言う事か、たずねようとした時

 ………ぱからっ、ぱからっ、と
170わんことおうま ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 21:28:56.38 ID:FAWqANov0
 聞こえてきた、蹄の音

『あー、何か、人間乗せた白馬が』
「…蹄の音がばりばり聞こえてるよ、畜生。こっちを追いかけてきてるか?」
『あぁ、来てるな』

 ぱからっ、ぱからっ、ぱからっ、ぱからっ……
 こちらはバイクで疾走中だと言うのに、蹄の音はどんどん近づいてきている

『でも、敵意とかはないぜ?』
「……?…ひとまず、一端会話切るぞ?」

 わかった、という返事を最後に、声が聞こえなくなった
 相手が何者かは知らないが…逃げる事に集中しなければならなくなったら、会話をしている場合ではない

 ぱからっ、ぱからっ、ぱからっ、ぱからっ、ぱからっ、ぱからっ、ぱからっ………

 近づき続ける音
 そして、とうとう…犬メイドが操るバイクの隣に、それは、並んだ

「−−−−っ!?」

 それは、純白の白馬
 額から、一本の長い角を生やした…白馬だった
 ユニコーン
 それが、日本の街中を疾走している
 その事実に驚くと同時に…その背中に乗っている人物に、犬メイドは驚いた
 人形を思わせる整った容姿の西洋男性
 ……犬メイドは、この男に見覚えがあったのだ
171わんことおうま ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 21:32:03.67 ID:FAWqANov0
 バイクと並走しながら……くるり
 その男は、犬メイドに熱い視線を送ってくる!!

「そこの麗しきレディ!!ぜひとも、すぐ傍の公園のベンチ辺りで、俺に膝枕を………………っ!?」

 ………男の言葉は、最後まで続かなかった
 彼を乗せていたユニコーンが、ふいに、ぽーーーい、と
 男を、前方に放り投げたのだ
 突然の事に、対応しきれなかったらしい男
 そのまま放り投げられて……はるか前方の住宅街の壁に、激突した

 ……ひひひん

 ユニコーンが小さく嘶き、犬メイドに熱い視線を送ってくる

「……えーっと……」
「あ゛ー??」

 ……あー、うん
 …その…

 あぁ、頭が痛い
 思わず頭を抱えたくなるのを、片手運転になっては危ないと、犬メイドは抑えた

「……どうして、「教会」お抱えの契約者が、日本の、それも学校町に来てるんだよ……」

 …「教会」お抱えのユニコーン契約者…ヘンリー・ギボンヌ
 彼がこの街にいる事実に、犬メイドはひたすら嫌な予感しか感じないのだった

to be … ?
172蜘蛛の伝言  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 21:36:07.28 ID:FAWqANov0
 かさかさ、かさかさ、かさかさかさ
 蜘蛛が走るよかさかさかさ
 おやおや坊や、どうしたの?
 怖がらなくても大丈夫
 蜘蛛はどこにだっている
 だから

 いつでも見られているんだから
 今更怖がる必要なんて、ないんだよ??




 ……それは、ハーメルンの笛吹き契約者 上田 明也が、日本に戻る少し前の事

「………ん?」

 視線を、感じた
 覚えのある視線だ
 そう、以前、一度感じた事のある視線

 部屋の中を見回す
 メルも穀雨も、今はもう寝ている時間だ
 一応警戒しながら、その視線の主を探し

「…また、お前か」

 かさかさ
 壁を這いまわる、一匹の蜘蛛を見つけた
173以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 21:41:07.69 ID:1i1zOnep0
しえしえん
174以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 21:47:26.24 ID:W5+rqkay0
sieeeen
175以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 21:57:06.98 ID:mSPfwdrKO
>>167
wikiのxxスレ目ってやっぱりずれてたか
そっちの表記に合わせたほうがいいのかな?
176蜘蛛の伝言  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 22:00:16.71 ID:FAWqANov0
「俺は蜘蛛が苦手だって言ったろ。今度こそティッシュで潰して捨てるぞ」
『OK、落ち着け。俺がちょいと意識を借りているだけの罪のない蜘蛛だから、無駄に殺すなって』

 頭に響いた声
 …テレパシーか
 意識を借りている、という言葉から、蜘蛛に変身して入り込んだのではなく、たまたま部屋の中か、それとも傍にいた蜘蛛の意識に接続しているという事か
 ……以前、蜘蛛の姿で現れた時も、あれはただの蜘蛛を媒介にしていただけにすぎないのかもしれない

 イクトミ
 アメリカの、主にスー族の民話に頻繁に登場する蜘蛛の神であり、ネイティブアメリカンの神話を代表するトリックスターの1人
 以前、上田の前に愉快な理由で現れ、何となく上田と気があった相手である

「何の用だ?っつか、できれば人間の姿をとって欲しいんだが」
『いやー、そうしたいのは山々なんだが……今、俺の本体はワイフによって拘束されている。そっちに行くの無理』
「何やった。何やって拘束された!?」
『いい事を教えてやろう。男たる者、たとえワイフがいようとも、据え膳を食わずにいられるか』

 駄目だ、このエロ蜘蛛神
 早く何とかしないと

『ま、そう言う訳で、用件だけ言うな…………尾なしの犬に気をつけろ』
「……尾なしの犬?」

 イクトミの言葉に、眉を潜める上田
 かさかさ、かさかさ
 イクトミの意識を宿した蜘蛛は、そんな上田の様子を気にすることなく、這いまわっている

「どう言う事だ?」
『さぁてね?俺にわかるのは、お前が日本に帰った時……それが、お前にとって不吉な存在になりうる、って事だけだな。命に関るかどうかは確定事項じゃないからわからねぇ』
177蜘蛛の伝言  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 22:04:38.85 ID:FAWqANov0
 …卑猥な伝承が多いイクトミだが、しかし、こんな言い伝えも存在する 
 それは、白人の圧迫が強まってきた頃に成立したとされる民話だ
 イクトミは、風に乗って各地の部族の間を飛び回り

『白い座頭虫がやってくる。彼らは嘘吐きで、強欲で、途中の全ての部族を食いつくし、土地をむさぼりながら、ゆっくり進み、お前たちも踏みつけにするだろう』

 という、警告のメッセージを流したのだ
 それは、即ち…白人の襲来を予知するような、言葉
 なお、この言葉は、スー族の英雄的酋長が晩年に残した呪詛と、申し合わせたようにぴったり符号しているとも言う


 …その話の曲解か、と上田は判断した
 軽い予知能力のようなものを持っているのだろう
 それを使って、上田のなんらかの危険を感知したようだ

「警告感謝するがね。どうして、俺にそんな警告を?お前は「組織」の者なんだろう?俺は敵じゃないのか?」
『ま、確かに俺は「組織」所属ではあるが、まぁ、この通りいい加減なんでね。別にお前を殺すつもりもないしそんな能力もないしな』

 かさかさかさ
 蜘蛛が……じ、と上田を見つめる

『それに……………お前みたいな奴は、生かしていた方が面白そうだし?』
「酷い奴だな」

 イクトミが笑った気配が、伝わってくる

『ま、そう言うなって』
「…できれば、その尾なしの犬のことは詳しく聞きたいんだがな」
『そうだなー。つっても、俺も詳しくは感知しきれてな………………あ、やべ、意識が本体にないのバレ……………っ』
178蜘蛛の伝言  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 22:08:26.58 ID:FAWqANov0
 −−−−−っふ、と
 唐突に…テレパシーが、切れた

 かさかさ
 蜘蛛は、先ほどまでの動きと違い…上田の視線を避けるように、逃げ出し始める

「…あれ?おい、中途半端なところで切るなっ!?」

 蜘蛛にそう訴えるが、蜘蛛はかさかさかさかさかさかさ
 …部屋の隅に、逃げ込んでしまった
 あの蜘蛛の中に、もはやイクトミの意識は、ない

「…………まったく」

 中途半端な予言ほど、たちの悪いものはない
 上田は小さくため息をつきながら、夕蜘蛛は親でも殺せ、との事で、そっとその蜘蛛をつぶしたのだった



fin?


179犬メイドと一角馬 ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/04/11(日) 22:12:33.30 ID:FAWqANov0
犬メイドは風を切ってバイクで走っていた
その傍らをユニコーンが優雅に走っていた
その後ろから必死の形相で青年が走ってきていた
「お前という奴は! どうしていつも麗しきレディの膝を独り占めしようとするのだ!」
というか何でお前はバイクと馬の速度に追いついてこれるんだ、と疑問に思った瞬間
ユニコーンの後ろ足で蹴飛ばされ、アスファルトの上をもんどりうって転げ視界から消えていった
「……おい、いいのかアレ」
思わず漏れた呟きに、ユニコーンはふひんと鼻で笑うように嘶いた

―――

公園の入り口に停められたバイクを目印に、ユニコーンの契約者であるヘンリーが追いついてきたのはそれから僅か数分後の事だった
「レディの膝枕は貴様には渡さんぞ!」
犬メイドに頭を撫でられているユニコーンに、真剣な顔でびしりと指を突きつけるヘンリー
「落ち着け。お前は相変わらず過ぎだ」
「相変わらず? はて……このような見目麗しいレディと出会った事があれば、忘れるはずは無いのだが」
「覚えてたら凄ぇよ、顔も声も違うっつーのに」
「整形か!? だが俺は心清らかであれば身体を作り変える事にも寛容だ! むしろ美しくなるのであれば推奨して然るべき!」
「その程度なら良かったんだがな……パスカル・ハドソンって名前に心当たりはあるな?」
「ああ、そんな名の友人もいたが。何だね、あの女誑しの知人かね? いかんぞ、あんなのと付き合いがあってはいつ汚されるか判ったものじゃない」
「……本人だ馬鹿野郎」
その言葉に、ヘンリーの表情が凍りつく
「いやいや、そんなはずはあるまい。俺はともかくユニコーンに性別を偽る事など出来るはずも無い」
「とある都市伝説に女になるガスぶっかけられたんだよ。現状ではこの身体は完全に女だ……言っておくが中身は俺のままだからな」
180犬メイドと一角馬 ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/04/11(日) 22:16:16.54 ID:FAWqANov0
「タイム」
びしりと手のひらを突き出し、ユニコーンと共に犬メイドから距離を取って何やら話し込み始める
何やら真剣な顔で語り合う一人と一頭を見て、犬メイドはややばつが悪い表情で頭を掻く
「流石に元男を口説きかけたのはショックだったか」
かと言って、ユニコーンの角で突き殺されるわけにもいかない
やや警戒態勢を取りつつも、話が終わるのを待ち
やがて十数分の時間を経て戻ってきた
「協議の結果、俺達の間では『あり』って事になった」
満足げに頷く一人と一頭に、犬メイドは思わずひっくり返りそうになる
「待てコラ。元男の知人相手に『あり』って何だ『あり』って」
「気分を害したなら謝罪し、言葉を改めよう。過去がどうであろうと今が清らかな乙女であれば、何ら問題はないと!」
「そういう意味じゃねぇよ!?」
彼が言うには、肉体的に完全な変質を経た時点でその身は清められたという事らしい
「つーか、俺としてはユニコーンには近付きたくないんだが。女の身体になった後、記憶が曖昧な部分があってだな」
「俺とユニコーンの感覚を信じろ。お前は今のところは間違いなく穢れ無き乙女だとも」
「喜んでいいんだか悲しんでいいんだかわからんお墨付きだよ……」
がっくりと項垂れる犬メイドだったが、はっと顔を上げる
「ユニコーンって毒や病気を治せるよな!? 俺の男に戻せって言ったら嫌がるかもしれんが、せめてこの耳と尻尾ぐらいはどうにかできないか!?」
その言葉を聞いて、ヘンリーに耳打ちするように小さく嘶くユニコーン
「全部まとめて治るだろうから嫌だそうだ」
「そうか、やっぱりそうなるか」
犬メイドはこれ以上無い程の深い溜息を吐き、どんよりとした顔でヘンリーに向き直る
「ていうかお前ら、何でこんなとこにいるんだよ。『教会』はこの町に不干渉のはずだぞ」
「そういう『MI6』はどうなのかね? あちらもこの町には不干渉のはずだが」
181犬メイドと一角馬 ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/04/11(日) 22:20:22.79 ID:FAWqANov0
「干渉はしねぇっての。調査と監視だけ……だったのに何でこんな事になってんだよもう」
近くにあったベンチにぺたんと座り込む犬メイド
ヘンリーはおもむろにその隣に腰掛けると、ごろんと横になって犬メイドの太股に頭を乗せる
「何で膝枕してんだ」
「話をする間ぐらい良いじゃないか、俺とお前の仲だろう」
「膝枕するような仲じゃ無ぇよ!? つーかお前、膝枕するとすぐ寝るだろが!」
「失敬な。寝たふりをして長らく膝枕の感触を楽しんだりはするが、本当に寝てる事はほとんど無いぞ」
「余計タチ悪いだろうがそれ!?」
うっとりとした顔で膝枕を堪能しているヘンリーの側頭部を、ユニコーンが前足を上げて蹄を引っ掛け
「ごふっ!?」
ぐいと押し退けたついでに思い切り踏んだ
更にはしばらくぐりぐりと踏み躙り、ヘンリーが動かなくなったのを確認してベンチの傍らで膝を折り、犬メイドの膝にぽすりと頭を乗せる
「……お前ら、ここまで仲悪かったっけ?」
そんな犬メイドの疑問をユニコーンはスルー、というか通訳であるヘンリーが沈黙している状態ではどうしようもない
「俺でいいなら膝枕ぐらいしてやるから、あいつが起きたらちゃんと話させてくれよな? ほれ、お前さんあっちの芝生の方がいいだろ」
その言葉に、立ち上がったユニコーンは急かすように犬メイドの背中を押す
「そう急かすなよ、ったく……てか膝枕で満足したら、俺の身体治したりしてくんない?」
即座にぷいと顔を逸らすユニコーン
「なんか俺、一生このままな気がしてきたよ……半ばその覚悟はしてたからいいけどさ」

春先の公園で、芝生に座るメイドとその膝に頭を垂れるユニコーン
そして頭部に蹄の跡を残して意識を失い横たわる英国人男性
幻想的なんだか猟奇的なんだかよくわからない光景であった
182恐怖のサンタ ◇c1fBPhtoT6 (代理):2010/04/11(日) 22:24:42.85 ID:FAWqANov0
 ――――四月。
 各地で新生活の始まる今月の初旬は、どこも忙しいものらしい。
 この学校町もその例外ではなく、うちのアパートの空き室にも、何人か新しく入居者が越してきていた。
 こんな都市伝説がうようよしている町によく越してくるものだ。
 越してきている当人の事情は千差万別なのだろうが、少なくとも俺ならこの町を選ぼうとは思わない。
 ……都市伝説退治なんて奇怪な職を生業にしている俺が思うべきことではないのかもしれないけれど。
 とにかく、今は何かとこの町に不慣れな人間が多くなる。
 それはつまり、この町の地理に詳しくない人間が増える事を意味するわけで。

「………………」
「――――えぐ、うぐっ」

 今俺の目の前で泣いている迷子らしき少女もまた、そんな被害者なのかもしれなかった。

**************************************************

「ええと、その、なんだ。……どうした?」
「えぐっ、うっ……」

 内心びびりまくりながら少女に尋ねてみるも、返答は泣きじゃくる声のみ。
 幸い平日の、それもまだ昼にもなっていないような時間だからか、周囲に人影はない。
 もし仮に第三者がこの光景を見た場合、俺がこの少女を泣かせているように見える事請け負いである。
183恐怖のサンタ ◇c1fBPhtoT6 (代理):2010/04/11(日) 22:28:35.10 ID:FAWqANov0
「泣いてても分からないだろ。えっとほら、どこから来たとか、どこでお母さんとはぐれたとか」
「うぐっ……えうっ……」

 ……迷子の子猫を前にした犬のお巡りさんはこんな気持ちだったのだろうか。
 外見から推察するに五歳くらいの年齢であろう少女は、先程から一言もまともな言葉を発していない。
 やり辛い所の話ではない。正直な話、俺の方も泣きそうである。

「(イイジャネェカ。見捨テチマエヨ)」

 駄目押しとばかりに、脳に俺以外の声が直接響いてくる。
 普通の感性を持つ人間なら跳び上がりそうなそれは、別にテレパシストが俺に語りかけているわけでも、漫画なんかで見られる俺の分身である悪魔が語りかけているわけでもない。

「(誰カガソノ内何トカスンダロォ? テメェガ立チ去ッテモ誰モ文句ナンカ言ワネェッテ)」

 そう俺を怠惰な方向へと引きずり込もうとしてくるのは、デビ田。
 今学校町を騒がせている「悪魔の囁き」という都市伝説の一個体である。
 俺を堕落させ、支配するはずが失敗。現在は「悪魔の囁き」の大元から役立たずの烙印を押され、いつ消されるかとびくびくしながら俺の中で生活をしている。

「(泣いてる迷子を見捨てるわけにもいかないだろ、常識的に考えて)」
「(ハッ! ンナ『常識』ノセイデテメェノ家ハ都市伝説ダラケジャネェカ、イイ加減学ビヤガレ、へたれガ)」
「(はいはい。どうせ俺はお人よしですよー)」

 どうしたものかと考えながら、適当にデビ田をあしらう。
 デビ田が俺の中に巣食ってから数週間。
 不本意ではあるのだが、この毒舌にも大分慣れてしまった。
184恐怖のサンタ ◇c1fBPhtoT6 (代理):2010/04/11(日) 22:32:30.37 ID:FAWqANov0
「……けど、どうすっかなぁ」
「えう、うぐっ……」

 見捨てはしない。そう考えた後ではあるのだが、解決策が一個も思い浮かばない。
 手がない訳ではない。
 一応、俺は都市伝説の契約者である。
 その気になればこの少女の記憶を読み取って、それを元に親御さんを探す事も出来る。
 それをためらってしまうのは、やはりまだ俺の中に「倫理観」が残っているせいか。
 いや、捨てるつもりは全くないのだから、それで全然構わないのだけれど。

「……うぐっ、ぐすっ……」
「あー、えっと、んー……」

 泣きじゃくる少女と困惑する俺。
 そんな光景はしばらくの間続いた。

【終】


185親子のような兄弟のような  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 22:36:25.90 ID:FAWqANov0
「なぁ、辰也」
「何だよ」
「もっと怒ってもいいんだぞ?」

 佳奈美に想いを告げて以降
 黒服Hは、復讐のために利用していた相手に、謝罪をしていた
 …復讐を、やめるつもりは毛頭ないが
 利用していたその事実を、佳奈美に言われたとおり、謝罪していたのだ
 ヘンリエッタとG-No.1に謝罪して…その次の謝罪相手が、辰也だった
 その謝罪に、ほぼノーリアクションだった辰也にかけた言葉が、冒頭のそれである

「別に、俺だってお前を利用してるんだし、怒る必要はねぇからな」

 さらりと、そう答える辰也
 どっちもどっちだ、と割り切った表情で言ってくる

「お前が復讐を止める、とかぬかしやがったら、怒るがな」
「安心しろ、止める気はさらさらねぇ」
「なら、いいんだよ」

 辰也の答えに、Hは小さく苦笑した
 ……いっそ、怒ってくれた方がどれだけ楽だったか
 このような態度をとられると、逆に申し訳なくなってしまう
 …自分にも、その程度の良心は残っていたらしい事実に、少し驚いてもいるが

「で?その謝罪行脚、残りは誰相手だ」
「んー、愛華と明日達だな」
「どマゾ女と正義の味方気取りか。正義の味方気取りにたっぷり怒られとけ。どマゾは怒らないだろうからな」

 その呼び方はやめとけ、と嗜めつつ…辰也の言葉を、あまり否定できない
186以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 22:48:58.95 ID:EpBfalbZO
にゅ?
187親子のような兄弟のような  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 23:00:35.42 ID:FAWqANov0


 きっと、愛華は怒らないだろう
 むしろ、「もっと利用してくださいまし」、と、それくらい言ってきそうで怖い

 彼女からの好意には気づいていた
 ただ、気づかぬふりをし続けた
 こちらが気づかぬふりをしている事すら、彼女は見抜いてきて
 決して叶わぬ想いと知りながらも、それを貫き続けてきていたのだ

 …その強さが、Hは少し、羨ましい
 自分は、叶わぬと思えば諦めて、その癖して未練を持ち続ける、タチの悪い性格だから


「……なぁ、辰也」
「あ?今度は何だよ」

 怪訝そうに、Hを見上げてくる辰也
 いつの間にか、自分が都市伝説に飲み込まれた頃と同じ歳になろうとしている辰也を見下ろし、Hは小さく苦笑し、尋ねる

「…俺は………人間に戻っても、いいのかねぇ…?」


 こんなにも、薄汚い血で汚れた復讐鬼が
 今更、化け物から人間に戻っても、いいのか?

 佳奈美と共に生きていこうと決めた今ですら
 それに、かすかに迷いを抱える
188親子のような兄弟のような  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 23:04:51.42 ID:FAWqANov0

 だが、Hのその迷いに
 辰也は、呆れたようにため息をついて

「…誰よりも人間に戻りたがってたくせに、今更何言ってやがる。戻りたければとっとと戻れ」
「お前な…とっとと戻れ、つっても、ドクター次第だろうがよ。H-No.9のせいであそこの診療所も忙しいだろうに」

 それに、と
 体内に仕込まれた賢者の石の存在を感じつつ…低く、呟く

「……連中を皆殺しにするまでは………まだ、戻れねぇさ」

 復讐を果たすには
 脆弱な人間の身では、難しいから

 だから、残りあと四人
 それを全員殺すまでは、まだ
 まだ、人間に戻るわけにはいかないのだ

「別に戻ってもいいんだぞ。残りの連中は、全部俺が殺してやってもいいんだし」
「お前さんじゃ、全員はきついだろうさ。俺もある程度ヤるよ」


 ……特に
 H-No.1
 そいつだけは、自分が殺してやろう
 あの不死身の男の息の根を、自分が止めてやるのだ

 他の三人は、辰也に譲るとしても
 そいつだけは、必ず
189親子のような兄弟のような  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 23:08:53.99 ID:FAWqANov0


(……辰也とあの野郎を、遭遇させる訳にゃあいかないしな)
「…………?何だよ」

 Hの視線に、何かを感じたのか
 やや気味悪そうに、後退してきた辰也

 何でもねぇよ、と子供相手にするように頭を撫でて
 子供扱いするな、と、Hはその手を叩き落とされたのだった












 世界には知らなくてもいい事実が存在している
 知らぬままでいた方が良い事実が存在している



 あんな事実を、お前さん達が知る必要なんざないんだ

                      Black Suit H
190以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 23:11:50.30 ID:aRFoui4C0
さすがにこの量はきっついなー支援
191以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 23:12:04.36 ID:EpBfalbZO
にゃあ
192悪意は揺るがず  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 23:13:22.24 ID:FAWqANov0
 獣の雄叫び夜道に響く
 血飛沫飛び散り命が消える
 届かぬ刃が空を切り
 それはただ、全てを見下す


 クールトーの能力で操られた無数の犬達が、黒服達に襲い掛かる
 純粋な「組織」の黒服である彼らは、光線銃でそれを迎撃していた
 犬達は次々と倒れていくが、しかし、目を爛々と光らせ、牙を剥き出しにした口からだらだらと涎をこぼし続けていく犬達は、臆する事無くその敵対者たちに襲い掛かっていった
 黒服達も、次々と喉笛に噛み付かれ、その命を散らしていっていた

「………」

 その様子を、朝比奈は灰色のコートをはためかせ、クールトーとともにつまらなそうに見下ろしていた
 自ら、悪魔の囁きの卵をばら撒こうと夜道を歩いていたところを、襲ってきた黒服達
 人間らしさの感じられないそれらは、まるでロボットのように動きが単調で、決まった攻撃しか繰り出してこない
 犬達の雄叫びと、黒服達が放つ光線銃や拳銃の音があたりに響き渡り、やかましい事この上ない
 こんなつまらない相手、クールトーに任せて己は卵をばら撒く事に集中するか
 朝比奈がそう考え出した、その時

 ……ぴくり
 クールトーの耳が、音を拾う
 その小さな音は、クールトーとの契約で、聴覚が強化されている朝比奈の耳にも届いた


 −−−−−−−んせ、−−−−−−−−りゃんせ、ーーはーーーのーーーーじゃ


 聞こえて来たのは、歌声のような声
 それがどんな歌であるのか気づき…朝比奈は、ますますつまらなそうな表情を浮かべた
193悪意は揺るがず  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 23:17:52.92 ID:FAWqANov0
 声の発信元は……黒服達の、向こう側
 こちらを攻撃してきている黒服達は囮、という事なのだろう

「……見くびられたものだ」

 その程度の、肉の防壁で
 こちらの攻撃が防げるとでも、思っているのか

 じゃり、と一歩前に出た朝比奈
 その意図に気づき、クールトーが後ろに下がった

 銃弾が、光線が、襲い掛かってくる
 しかし、銃弾は朝比奈の皮膚に弾かれ、光線も大してダメージを与えられない

 ………すぅ、と
 息を吸い込む朝比奈

 直後
 その口から吐き出された紫色の吐息が……あっと言う間に、黒服達を
 黒服達に襲い掛かっていた、犬達を
 そして………黒服達を壁にして、歌い続けていた…元・人間の黒服を
 その全てを、包み込んでしまった


「ちょっと通してくだしゃんせ ご用のない者容赦せぬ…」

 −−彼女は、元・人間の黒服だった
 強硬派に所属する彼女、A-No.497は、「とおりゃんせ」の契約者だった
 とおりゃんせは、神隠しを歌った歌だ、と言う都市伝説が存在する
 それに飲み込まれた彼女は、この歌を歌う事によって、唄を聴いた者全てを、神隠しにする事が……消失させる事ができる
194悪意は揺るがず  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 23:22:38.87 ID:FAWqANov0
 今、彼女がとっている作戦が成功すれば、当然、壁にしている黒服達も消えるが…知った事ではない
 ついでに言えば、この歌声をたまたま聞いた通りすがりの人間も巻き込まれるだろうが、知った事ではない
 ただ、目標である朝比奈 秀雄の抹殺だけが、彼女の目的だったからだ
 いつまでも、穏健派に大きな顔をさせているわけにはいかない
 悪魔の囁きとコーク・ロアを振りまく朝比奈を強硬派の自分が抹殺する事で、強硬派の発言権を再び強化する
 それが、彼女の願いだった


 だがしかし、それが叶う事はない


「行きはよいよい、帰りは怖い………っ!?」

 視界が、青紫色に染まる
 朝比奈が吐き出したそのブレスを、歌っていた彼女は、吸い込んでしまった
 直後……体の内側が、溶けていくような激痛を感じた

「−−−−っが、これは…毒………!?」

 見れば、犬達が、壁にしていた黒服達が…次々と血を吐き、倒れていっている
 猛毒の吐息は彼女まで届き、容赦なくその体を蝕んでいく
 歌おうにも、声が出ない
 血を吐きながら、彼女は倒れ付した

 ……かつん、と足音が響いて
 灰色のコートを着た朝比奈が、彼女を見下ろしてきた

「…まだ、生きているか……やはり、離れると毒性が薄れるな…」

 冷たく見下ろしてくる眼差し
195以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 23:27:22.56 ID:EpBfalbZO
にゃん
196悪意は揺るがず  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 23:28:18.08 ID:FAWqANov0
 獣のような双眸が、彼女を射抜いた

「………まぁ、いい」

 ゆっくりと
 その足が、あげられて

「すぐに、楽にしてやろう」

 −−−−−−−ぐしゃり
 彼女の頭は、朝比奈によって、あっけなく踏み潰された
 それによって、彼女の命の炎は、あっけなく消えてしまったのだった




「……で?被害は?」
「A-No.497が死亡。純粋な「組織」の黒服も、ざっと30人は死にましたね」
「あー、これだから、強硬派の奴は……もうちょっと相手の戦力わかってから動けよ…」

 部下から、強硬派の黒服が勝手に朝比奈 秀雄の討伐に動いた、という話を聞いたG-No.0
 …止める事は、間に合わなかったようだ

「犬の死体が大量に落ちていたそうですが…回収前に、他の犬が来て」
「食い散らかした、か。全世界の犬好きを敵に回してるな。朝比奈は」

 やれやれ、とため息をつくG-No.0
 監視カメラが辛うじて捕えた戦闘の様子を何度もリピートしつつ、眉を潜める

「……毒の吐息まで吐くか。どこまで厄介な相手なんだ」
197以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 23:30:10.97 ID:aRFoui4C0
しえーん
198以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 23:32:37.48 ID:mSPfwdrKO
もう30分で日が変わるし、切りのいいところで休んだほうがいいと思うんだぜしえーん
199悪意は揺るがず  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/11(日) 23:33:00.50 ID:FAWqANov0
 怪力、高い防御力…特に炎や熱に対する無敵性。炎と毒の吐息
 わかってきた能力を並べるだけで、軽く眩暈がしてくる
 その戦闘力の高さと………そこから推察できる、三つ目の契約都市伝説の、正体に、だ

「………いざとなったら、どっかの海にでもおびき出して怪獣王に……………いや、そんな作戦に引っかかるほど莫迦ではないか。さて、どうする……?」

 A-No.497を踏み潰した瞬間の、朝比奈の様子を見つめながら
 G-No.0は、憂鬱に思考をめぐらせるのだった







to be … ?


200以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 23:38:59.36 ID:FAWqANov0
あかん、力尽きる
避難所の方に今日書いた分投下して寝ます、おやすみー
明日、スレが残っていてくれれば幸せだ!
201以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 23:59:19.82 ID:EpBfalbZO
にょーん
 歌声が響き渡る
 甘美な、誘う歌声が
 その歌声に誘われて…ふらり、ふらり
 数人の男女が、そこに集まってきていた
 ばさり、ばさり、その様子を見下ろして
 セイレーン契約者、鳥井 静香は歌い続ける

「さ〜〜〜〜ぁ〜〜〜♪そこにある飲み物を飲んでねぇ〜〜〜〜〜♪」

 無邪気に歌い続ける鳥井
 その歌声に従って…彼らは、そのコーラを
 コーク・ロア支配型の能力下におかれたコーラを…飲んでしまった
 即座に、彼らは契約者の支配下におかれる

 ばさばさ、ばさばさ、はばたきながら
 鳥井は、どこまでも無邪気に歌い続けている

「ふふ〜〜〜♪これで、兵隊が増えて、ご主人様も喜んでくれるわぁ〜〜〜〜♪さぁ〜〜〜♪もっともっと、兵隊を増やさなきゃぁ〜〜〜♪さぁさ、ここにいらっしゃぁ〜〜〜〜〜〜い♪」

 歌い続ける鳥井
 今の彼女に課せられた役目は、コーク・ロア支配型が使う兵隊を増やす事
 朝比奈からのその命令を忠実に実行し
 彼女は、夜空で歌い続ける



 ……そして
 その、コーク・ロア…「コーラにはコカインが含まれている」の支配型能力の、契約者は
 薄暗い密室の中、拘束されて
 鳥井の歌声を、ただ延々と、音楽プレイヤーで聴かされ続けていたのだった
203顎砕き ◇ijXVtdIY/Y(代理):2010/04/12(月) 00:28:16.56 ID:TSN+iXqZ0
組織 ハク
「じょーきょーほーこくー」
「もう少し気を張ってください、こっちが萎えます」
「えー、疲れるからヤダ」
だらんと机に垂れる少年、K-bOの姿にハクは軽い頭痛を覚える
「・・・D-962の元に日景翼と新島愛美がたどり着きA-333と交戦状態に入ったようです
 はないちもんめの契約者は顎砕き飴の契約者と交戦中
 良いんですか?」
「何が?」
「貴方自身は介入できなくとも我々は可能です
 現に蔵人達も何時でも動ける様に待機しています
 この戦闘を止めなくて良いのですか?」
「A-333は強硬派だよ?
 邪魔をすれば強硬派に対して角が立つ、ここは首塚の諸君に頑張ってもらうとしよう」
「そう、じゃあ私は無駄足だったわね」
部屋に響いた老婆の声に思わず身構える
「誰です?」
「誰とは失礼な奴だね・・・」
暗闇から現れる深い皺の刻まれた顔
何処と無く見覚えのある・・・まさか
「梅・・・?」
「28年ぶりかしらねぇ・・・白面金毛の・・・少し面白い話があるんだけど聞かないかい?」
204顎砕き ◇ijXVtdIY/Y(代理):2010/04/12(月) 00:30:24.91 ID:TSN+iXqZ0
東区 公園 在処
何、コレ?
いくつもの飴を投げ爆破する
けど、その全てを避けられる
それだけじゃない、避けた上で着実に奴は距離を積めて来ている
「・・・爆発のタイムラグと範囲は見切った、私に顎砕き飴は効かない」
この数回の攻撃でもう見切ったと言うの・・・?
「くっ!」
何にせよ、一度距離を取って ジャラッ ?!
腕に5円玉を繋げた鎖の様な物が絡みつく
「逃がさないッ!」
思い切り鎖を引っ張られ思わず躓き倒れてしまう
自分より4つも年下のこの小さな少女の何処にこんな力が・・・ぐっ
見るとはないちもんめの少女が私の上に馬乗りになって見下ろしてきている
「返せ」
「あっ!?」
物凄い力で捕まれ首に指が食い込む
205以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 00:32:04.63 ID:tgnoaiY5O
しえん
206以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 00:33:26.32 ID:5/2yYlOB0
しえん
207以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 00:52:48.85 ID:tgnoaiY5O
しぇー
208顎砕き ◇ijXVtdIY/Y(代理):2010/04/12(月) 00:56:07.87 ID:TSN+iXqZ0
「返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ
 返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせ
 かえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせ
 カエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセ」
余りに強い力で首を絞められ朦朧として来た意識の中、呪詛の様に繰り返される言葉だけが耳に響く
父さんの敵を取る
ずっとそれだけを考えて組織でやって来た
組織で強くなって来た
この力があれば父さんを殺したコイツに勝てると思っていた
だけど、私は何か勘違いをしていたんじゃないだろうか・・・
コイツは、私が4年間強くなろうとした位で追いつける存在じゃなかったんじゃないのか?
「黒服を・・・返せ!!」
その言葉を最後に、私の意識は途切れ− ぱきんっ
『コンナ所デ終ワルンジャネェヨ』
何かが割れる音と共に私の中で誰かが囁いた・・・
209顎砕き ◇ijXVtdIY/Y(代理):2010/04/12(月) 00:58:18.45 ID:TSN+iXqZ0
組織の一室 ハク
「・・・・・・本当ですか?」
「私のいう事が信じられないのかしら?」
「いや・・・しかし!」
「僕の能力で確認したけど、彼女の言葉は本当だよ・・・組織って本当にあくどいよねぇ」
K-0が呆れた様に言うがその顔は笑っていない
「・・・蔵人達と共に出撃ます」
「良いよぉ、止めるのも面倒臭くなっちゃったし」
「私も行こうかぃ?」
「棺桶に片足突っ込んでる様な老人に何が出来ます?大人しくしておいてください」
「あらあら、相変わらず失礼な事」
こういう言い方をしたが彼女は恐らくこちらの意図を理解している
他のK-bェ別件で動いている今、私達がここを離れるとK-bOの護衛が居なくなってしまう
だが、彼女が居るなら話は別だ
かつて、あの「はないちもんめ」を鍛えた彼女なら−
210顎砕き ◇ijXVtdIY/Y(代理):2010/04/12(月) 00:59:59.80 ID:TSN+iXqZ0
東区 詩織
「あー、もう!!望は何処?!」
東区を探し回るが一向に望の姿がみえない
「早くしないと・・・」
望の様な感知能力が無い為位置は判らない
だけど、彼女のコピーな為か望の現状はある程度わかる
無意識の内に「はないちもんめ」の能力を今の望の限界以上に引き出してる
そんな使い方を続けたら・・・・・・
「急がないと」
「はないちもんめ」に呑まれる・・・
211以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 01:21:45.42 ID:tgnoaiY5O
ねむ
212以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 01:22:00.17 ID:thw3hwlAO
213以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 01:40:35.09 ID:5/2yYlOB0
214喜怒哀楽にはツボがある ◇W5H6Y5Rl3M(代理):2010/04/12(月) 01:53:54.26 ID:TSN+iXqZ0
「さて、あまりボクの芸風ではないのだが」
沙々耶の世話を引き受けてくれた『ウィンチェスター』の少女に薬を渡した後
診療所への帰り道を走るロールスロイスの後部座席でドクターは呟いた
「如何なさるおつもりで?」
運転手の問いに、ドクターはいつもの余裕の笑顔を消して冷たい視線を流れ行く景色に向ける
「ボクの身内に手を出したんだ。心の底から謝罪するまで、ボクは許すつもりは無い」
「謝罪程度で許すのですか。随分と寛大な措置ですな」
「非を認めて謝るような輩ではあるまい。だからこそ……『謝るまで許さない』んだよ」
基本的にドクターは寛大を通り越してお人好しな人間である
自分に向けられるものなら、殺意でも敵意でもスルーして対話を求め、まず相手を理解しようとする事から始める
無論、理解した上で敵対し合う事も無いわけではない
だが対話すらしようとせずに敵対心を露わにするという事は、少なくとも運転手が彼女と行動を共にしてからは見た事が無かった
「親族が語り掛け続けた事で植物状態から回復した者がいた。友人と笑顔で過ごす事で手の施しようのない癌から回復した者がいた。
もう一度満開の桜を見るために治療法の無い難病を克服した者がいた。あの能力……『病は気から』というのは、本来そういう使われ方をするものなんだ」
ドクターの医者としての腕は人間としては規格外のレベルである
が、そんな彼女でも手遅れと判断せざるを得ない状況は多々あった
「相手の情報は沙々耶様から聞けたようですが、居場所はどのように調べるので?」
「ここ数日で増えた患者の分布から、行動範囲を絞り込む。それに、『エニグマ暗号機』の二人には怪しい電波を傍受できたら連絡をするよう伝えてある。後は……対象が女性らしいのでな、ボクの勘で探す」
「なるほど、了解致しました。ではこちらも色々と備えておきますので、何なりとご用命を」
「ああ、流石に徒歩で探すにはこの町は広い。診療所の都合もあるし足はどうしても必要だ……何より、捕まえるのに君が居た方が手っ取り早い。黒服なら車で撥ねた程度では死ぬ事はあるまい」
「では、そのように」
相手が相手とはいえ物騒極まりない話を終え、二人は獲物を求めて町を徘徊し始めたのだった
215カニとババアの人 ◇O1qyI9JUPg(代理):2010/04/12(月) 02:33:36.44 ID:TSN+iXqZ0
ヒャッフウウゥゥゥゥ!!!!!!!楽しいィィィィ!!!!!」
「お父さぁぁぁん!!あんまり騒がないで下さいよぉぉぉ!!ヤッホォォォ!!」
空中遊泳…いや、空中暴走をする龍敏達
どんどん病院が近づいてくる
それにしてもこの夫婦、ノリノリである
栗子はというと『…。』 返事がない。ただの屍のようだ。
「あ!、母さん壁壁壁ェェェ!!」
「わかってますよぉぉぉ!!!よっと!」
体をクルリと回転させ、眼前に迫る外壁に足を向ける
その姿勢はどこぞの改造人間バッタライダーとよく似ている
「いっっっけぇぇぇぇぇぇ!!!!」スパァァァン ガリガリバキバキズドォン
が、威力に関しては桁が違うと言って良いだろう
先ほど跳んだ時の音とは比べものにならない大きさの破裂音と共に、
病院の外壁の1/3と、影守と広瀬のいる部屋の半分を含む数部屋を消滅させた

「!!! 朝比奈 秀雄の手先か!?」
いや、そんなはずはない。組織の管理下に置かれている施設だ。そう簡単には………
もうもうと立ち込める砂煙の中から、2つの影が見える
何やら声が聞こえるな…
「…どうしましょう、はしゃぎ過ぎて病院を………」
「なぁに、大丈夫。組織の黒服が何とかしてくれるさ」
2人……いや、もう一人いるか…?
あの抱えられているのは…子供?
能力は…駄目だ。壁がなくなっている…
影が近づいて来る
身構える影守

「さて…アポイントメントもなしに面会に来た事を深くお詫び致します。どうも初めまして、
『あなたの恋人』清水龍敏です。よろしくどうじょべぁっふ!!!」
そして、影の主は飛び起きざまに盛大に蹴り倒された
216カニとババアの人 ◇O1qyI9JUPg(代理):2010/04/12(月) 02:45:21.86 ID:TSN+iXqZ0
何なんだこいつ…不用心に間合いに入るなんてバカ過ぎるだろ…
それより…後ろの女性に抱えられているのは…組織の黒服か
「痛い…流石の僕でも今のはかなりきたね…でも女の子のツンデレキックだと想像すれば寧ろ御褒b
「その黒服の子を離してもらいましょうか。」
「え?いや……僕は組織の…あー。…………HAHAHAHAHAHA!!!!甘いぞ、小僧!人質を解放して欲しくばだなぁ…我が要求を飲む他に手立てはないぞぉ?」
「…随分古典的な台詞ですね。まぁ聞きましょう、要求とは?」
「あー、チューさぁせて?(はぁと)」
そして、清水龍敏が25年もの歳月をかけ会得した(自称)最萌ポーズが一つ…アルティメットブリっ子ポーズを決める
後に「いやぁ、あの時のポーズはとてもブリッキッシュ(ブリっ子に見える、の意)だった…今世紀最高峰のデキと言っても過言ではないだろう」と語ったそうだが、割とどうでもいい

何だろう、この…何とも形容しがたい寒気は…
キモい、兎に角キモい全体的にキモい 何処かの筋肉達磨達を見た時と同じような感覚を覚える
「…セクハラですね、けど訴える気も起きません」
「同感です…その要求は全身全霊をもってお断りします!!!」シュッ
一気に距離を詰め、龍敏の首に斬りかかる…が、あと少しというところでかわされてしまった
「うわあっぶね!今死ぬ所だった!!ねえ母さん、僕今死ぬ所だった!」
「…あなたは、一度死んだ方が世の為人の為になると思いますよ。」
「え?ヒドイ…今のはすっごい傷ついt『少し黙ってて下さい』…ゴメンナサイ」

「…兎に角、これじゃあ埒が明かないねぇ。」
「誰のせいだと思ってるんですか…」
「さあ? 刀の青年よ、ちょっと本気ださせて貰う……よ!!」シュタタッ
張り詰める緊張感を削ぐ様な言動
人を苛つかせるヘラヘラとした笑み
そのどちらからも想像できない人間離れしたスピードで、影守の眼前に迫る
「な…、早っ!え、あちょt」
すっと、影守の顎に右手をあてがう
反対の手を頭にまわし…互いの息の音さえ聞こえてしまう距離まで顔を近づけ
そして…
217カニとババアの人 ◇O1qyI9JUPg(代理):2010/04/12(月) 02:47:30.94 ID:TSN+iXqZ0
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青少年の教育上又、作者の精神衛生上大変よろしくない表現が含まれるため、割愛させて頂きます。



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218カニとババアの人 ◇O1qyI9JUPg(代理):2010/04/12(月) 02:49:43.07 ID:TSN+iXqZ0
「うわぁ」
「これはひどい」
女性3人(1人は気絶しているが)見事にドン引きである。
「…プハ、いや僕だって好きでこんな事してる訳じゃないんだよ?」
「……うそ…つけ…この…変態…っ」ガクッ
「!!! 陰守さん!!!」
「あー、流石にかわいそうかなぁ…ねぇそこのスーツのお嬢さん?」
倒れる影守を抱えつつ、広瀬 美緒に近付いていく
「なんですか?こっち見ないでください。セクハラで訴えますよ?」
「見るだけで!? いや、ちょっとお願いがあるんだけど…」
「お願い?いやです断固拒否します。それと息しないで下さい。セクハラで訴えますよ?」
「死ねと!? あのさ、彼にキスしてやってくれない?流石に男からキスされたらショックだろうからさ。ちなみに答えは……聞いてないッ!!!」
気絶しかけている影守を半ば投げつける様に押しつける
殴り倒すわけにも、避けるわけにもいかず。
情緒もムードも感慨に耽る余裕も全て揃っていないこの状況で
「は?ちょっと待…むぐぅ!?」
主に男女間で行われる、互いの愛を確かめ合う行為…広瀬 美緒にとっては人生初の…キスをした

「HAHAHAHAHAァ〜〜〜〜!!!それではさらばだ御二方。願わくば、また会える事を信じて!」
「本当にごめんなさい!主人には後でキツーく言っておきますので…本当ごめんなさい。」
「…まだ食べ足りないれふよぉ…ふふふ…」

ドォォォン
こうして、病院やら影守の精神やら広瀬の初めてやらを荒らした彼らは、嵐のように過ぎ去っていった


終われぇ
219カニとババアの人 ◇O1qyI9JUPg(代理):2010/04/12(月) 02:52:00.37 ID:TSN+iXqZ0
―清水 龍敏の優雅な散歩―plan.2:接吻親父A
220笛 ◇rpv9CinJLM(代理):2010/04/12(月) 02:54:32.75 ID:TSN+iXqZ0
【電磁人の韻律詩24〜こどものじかん〜】


「ったくもう…………。
 だから子供って面倒なんだよ。」

明日真はバイクに乗りながらブツブツと文句を言っていた。

話はその日の朝に遡る。
笛吹探偵事務所で探偵代理をしていた明日は一通の手紙を受け取ったのだ。
それは笛吹丁からの手紙で今日明日中にも日本に帰るという内容だったのだ。
内容そのものは彼にとってたいして問題ではなかった。
問題はそれを持ってきた人間である。

「お兄ちゃん、お腹減ったー!」

穀雨吉静。
笛吹探偵事務所が誇る食いしん坊幼女。
子供が苦手な明日にはどうにも面倒な相手だった。
困った明日はとりあえず彼女を食べ放題の店に連れて行くことにしたのだ。
しかしそれが間違いだった。
彼女は食べ過ぎて完全に動けなくなってしまったのだ。
明日は仕方なく、吉静と乗ってきたバイクを店に置いて一旦家に帰り、
その後でわざわざ店までバイクを取りに来たのである。
221笛 ◇rpv9CinJLM(代理):2010/04/12(月) 02:56:42.69 ID:TSN+iXqZ0
「大体なんで子供の世話なんかしなきゃいけないんだ。
 そりゃああの時は恋路が居なかったから俺がしたけどさぁ……。
 それにしたってなんで上田はあのタイミングで俺に……。」

明日は善人だ。
だから子供の世話を中途半端にするような無責任なことはしない。
しかし嫌いな物は嫌いなので相当ストレスがたまっていたようだ。

そんな時。
彼は見覚えのある影をみつけた。

「あ、おい、そこの少年。」

バイクを停めると明日は公園でゲーム遊んでいる少年に声をかける。

「あ、お兄さん。また会ったね。」

明日が声をかけた少年は明日の姿を確認すると彼に近づいてきた。
222笛 ◇rpv9CinJLM(代理):2010/04/12(月) 02:58:54.74 ID:TSN+iXqZ0
明日真はこの少年と面識がある。
彼はこのところ町を騒がせている悪魔の囁きの一味だ。
悪いことをしている人間は止めなくてはいけない。
明日が彼に声をかけたのは当然の行為だった。

「お兄さん、この前見逃してあげるって言ったんだからもう僕に構わないでよ。
 僕たちの仲間になる気はないんでしょう?」
「当たり前だ。
 それより君に聞きたいことがあるんだ。」
「なぁに?」

少年はまっすぐな瞳を明日に向ける。
悪ではない、と明日は感じる。
それが合っているとは限らないのだが明日はどうしても彼を悪人だとは思えなかった。

「君、悪魔の囁きの所を離れて『組織』に来る気は無いか?
 少なくともあの悪魔の囁きの傍に居るのは君にとっても危ない。
 『組織』には俺の知り合いの黒服も居るから紹介できると思う。
 そこなら君だって保護して貰える筈だしさ。どうかな?」
「お兄さん、何を言っているの?世界を貰えるんだよ!」
「世界?俺には世界の価値なんて解らないな。
 そんなことより、人殺しは犯罪だぜ。君がそれを続けるなら俺は止める。」

世界なんて要らない、明日ははっきりそう言った。
その表情はとても自信に満ちている。
それを見た少年は訝しげな表情を浮かべた。
223笛 ◇rpv9CinJLM(代理):2010/04/12(月) 03:01:07.58 ID:TSN+iXqZ0
「訳がわからないなあ……。
 さっさとどこかに行ってよ。
 もう僕には用がないんでしょ?僕たちの邪魔をするって言うなら……」
「いいや、あと一つ用がある。
 言って聞かない子供には、身体で善悪を叩き込まないと。
 少年、君はここで俺が倒す。
 これ以上、君を悪の道に進ませることは誰あろうこの俺がさせない。」

それを聞いて少年は一瞬キョトンとするがすぐにクスクスと笑い始めた。

「お兄さん、お兄さんの能力で僕が倒せると思っているの?
 精々お兄さんの能力は物を熱するだけなんでしょう?
 僕のカイザーに勝てるわけがないよ!」
「いや、倒す。俺は正義の味方だからね。」
「わけわかんないや、でもお兄さんが僕と戦うんなら仕方がないや。
 カイザー!」

少年が呼びかけるとどこからともなくドラゴンのような生き物が飛んできた。

「じゃあ行くよ、お兄さん。」
「来い!君の悪事は俺が止める!」
「カイザー、かえんほうしゃ!」

ゴォウ!
明日の目の前で火炎が踊る踊る。
明日は一度深呼吸をすると意を決して業火の中に歩を進めた。
224笛 ◇rpv9CinJLM(代理):2010/04/12(月) 03:03:30.28 ID:TSN+iXqZ0
「カイザー!切り裂く!」

それから数分後、戦いはいまだ続いていた。
カイザーの鋭い爪が大地を切り裂く。
只の人間である明日がこれを受けてしまえば一溜まりも無いだろう。

「チックショウ……、やっぱずるいよなそれ。」
「お兄さん、逃げてばっかりじゃ勝てないよ?」

明日は自らの都市伝説『電子レンジで猫をチン』を発動させ、照準をカイザーに向ける。
バチバチとスパーク音が響いて、明日の右腕の周りの空気が震え始めた。

「2500W……、喰らえ!」

カイザーの右目の辺りから急激に蒸気が立つ。
カイザーが一瞬よろめいた隙に明日はすばやくカイザーの右に回り込んだ。
死角からの連続攻撃でカイザーを一気に倒すのが狙いだった。

「カイザー、たたきつける!」

ブゥン!
カイザーの太く逞しい尻尾が明日の胴を的確に捉える。
明日自身はカイザーの死角に居る筈なのにまるで見えているようだ。
明日は派手にフェンスに叩きつけられるとガクリと膝をついてしまった。
225笛 ◇rpv9CinJLM(代理):2010/04/12(月) 03:05:40.80 ID:TSN+iXqZ0
「視覚を契約者と共有しているのか……。」
よろめきながらもなんとか立ち上がる明日。

「いいきずぐすり、っと。」
明日の目の前でカイザーの傷口はどんどん塞がっていく。
明日はため息を吐くと笛吹から貰った拳銃を取り出した。

「あいつの物を使うのは正直気が引けるけど……。」

どうやら彼が拳銃に手をかけたのはまだ気づかれていない。
BANG!BANG!BANG!
明日は笛吹に教えられた通りカイザーに狙いを定めて何発か銃弾を撃ち込んだ。

「お兄さん、拳銃なんか持っていたの?」
「正義の味方だからな。」
「正義の味方って拳銃も持っているの?」
「正義の味方は白いマントとカッチョ良いバイク、それに二丁拳銃って相場が決まっている。」
「ふーん、でもカイザーにはそんな物効かない……ってあれ?
 HPがすごく減っている!?」

ところで、皆さんはダムダム弾という物をご存じだろうか?
イギリス軍が、当時植民地だったインド・コルカタ(カルカッタ)近郊のダムダム兵器工場で開発・生産した殺傷力の高い弾丸である。
これは弾頭に十字型の切れ込みがあり、目標に命中すると切れ込みに沿って弾頭が広がり、
弾頭エネルギーを打ち込むと共に、分裂した弾丸が内部(内臓)を激しく傷つけるという特性を持った弾頭で、
本来は動物などの狩猟用に使われていた弾丸である。
しかし、陸戦に使用した所、非常に“実戦的”だった為、陸軍に採用され、
後にその“実用性”故にハーグ陸戦条約で禁止されることになるのである。
勿論、現在では製造生産されていないがそれに類似する物は幾つも作られている。
そして、今明日真が撃った弾丸もその中の一つだ。
226笛 ◇rpv9CinJLM(代理):2010/04/12(月) 03:07:57.66 ID:TSN+iXqZ0
「くそっ、まんたんの……!」
「やらせないぜ!」

明日は弾を撃ち尽くした銃を少年のゲームボーイに向けて投げつける。
拳銃は結構重い、それをぶつけられた少年はゲームボーイを手から落としてしまった。
少年に隙が出来た。
だが明日が狙うのは少年ではない。
あくまで目の前のカイザーだけだ。
明日はもう一丁持っていた弾倉を抜いた拳銃を少年に向けて構える。
それで、少年の動きがまた一瞬止まった。
その隙を突いて明日は素早くカイザーの腹に空いていた傷の中に掌を差し込む。

「最大電力、加熱開始だ!」

“実戦的”な弾丸による傷はカイザーの腹に巨大な穴を開けていた。
明日はそこにありったけのマイクロ波を流し込んで傷口から体内を加熱する。
こういう巨大生物との戦いが普段の明日の「組織」における任務である以上、迷いはなかった。

苦しげなうめき声をあげてカイザーはゆっくりと崩れ落ちる。
それを確認した明日は少年に弾倉を抜いた銃を向ける。
227笛 ◇rpv9CinJLM(代理):2010/04/12(月) 03:10:19.97 ID:TSN+iXqZ0

「もう一度聞くぞ少年、“悪魔の囁き”の所で君が行っているのは悪いことなんだ。
 これ以上、君は悪事を働いてはいけない。
 『組織』に来て貰うよ。今ならカイザーもまだ治療が間に合う。」
「…………悪事悪事って、正義の味方のつもり?」
「つもりじゃない、そのものだよ。」
「ここまでするのが、正義の味方なの?」
「ああ、そして君はいまここで悪だよ。
 殺すな、憎むな、赦しましょう。
 と言うわけで俺は君が『組織』に来てくれることを…………」

少年は憎しみに満ちた眼で明日を睨む。

「動くなよ、君にゲームボーイを触らせるのは『組織』の黒服が来てからだ。
 俺だってこれの引き金を人間に引きたくない。」
弾は無いのだが。
「いいや、…………その必要はないよ。カイザー、そらをとぶ。」
明日の後ろで巨大な物が動く音がする。
「原作と同じでひでんわざは体力が無くても使えるのか!?」
次の瞬間、もう動けないと思われていたカイザーは明日の後ろから突然体当たりをかけてきた。
まともにぶつかって明日は簡単に吹き飛ばされる。
カイザーは傷ついた身体に少年を乗せて空に飛び上がってしまった。

「お兄さん、次会ったら……許さないよ!」

少年はそう言い残して去っていった。
228笛 ◇rpv9CinJLM(代理):2010/04/12(月) 03:12:28.52 ID:TSN+iXqZ0
明日の両腕はともに間接が有らぬ方向に曲がり、血で真赤にそまっている。
胸の辺りにも激痛が走っている以上、肋骨も無事ではないだろう。

「ああ〜、まっずいなあ。
 助けを呼ぼうにも電話使えないし……。」

気合いでなんとか立っているが明日真は人間である。
都市伝説で肉体が強化されているわけでもない只の人間なのだ。
ついに意識がもうろうとし始めたようだ。

「これだから困るんだよ子供って……。
 まぁ良いぜ、最悪恋路が愛の力で助けに来てくれるに違いない。」

明日はしばらく困って困って困って困って…………。
まあ誰かが助けてくれるだろうと思い、考えるのをやめた。

【電磁人の韻律詩24〜こどものじかん〜fin】
229以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 03:56:59.44 ID:0NGerewt0
てす
230以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 05:03:46.37 ID:thw3hwlAO
231以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 06:13:15.01 ID:rWpzofhNO
232以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 07:51:34.60 ID:rWpzofhNO
233以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 09:16:47.95 ID:uYLHDuk2O
おっしゃああああ規制解除ォ!!
保守!保守だ!
保守をしてやるぜええええぇ!!
そして…そう、今の私は、支援だってできるのだ!!
234世界が焼き尽くされる前に  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/12(月) 09:20:50.51 ID:eVke4ZRc0
 …望が、「はないちもんめ」の力を、己の限界以上まで、引き出そうとしてしまっているのを
 黒服は、確かに感じ取っていた
 契約者の状態を感知する彼の能力は、それを確かに認識していた
 今すぐ、止めに行くべきだ
 だが、しかし

 目の前で、翼もまた、「日焼けマシンで人間ステーキ」に飲み込まれようとしていた
 いや
 飲み込まれるなら…まだ、マシなのかもしれない

 限界以上まで引き出されようとしている「日焼けマシンで人間ステーキ」の力は、翼を飲み込むよりも前に……彼を、焼き尽くしてしまうだろう
 A-No.333を焼き殺す為に、憎悪と怒りに思考を支配され、力を暴走させてしまっている翼
 揚がり続ける体温は、そのうち………翼を、内側から焼き尽くしてしまう

「翼…………っ!?」

 駆け寄ろうとして、黒服は膝をついた
 …顎砕き飴の契約者に痛めつけられた体が、悲鳴をあげる
 元より、人間より少し丈夫でしかなかった体だ
 「夢の国の黒服」としての力もつかえるようになった今でこそ、再生力が少しあがってはいるが…それでも、まだ回復しきれていない


 駄目だ
 翼も、望も、止めなければ 
 二人とも、大切な家族なのだ 
 自分などと契約してくれて、家族になってくれた、優しい子達
235世界が焼き尽くされる前に  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/12(月) 09:22:16.32 ID:eVke4ZRc0
 その子達を…都市伝説に、飲み込ませて溜まるか
 焼き尽くさせて、溜まるか

 絶対に
 失って、たまるものか


 激痛を堪え、立ち上がる
 まずは、翼を止めなければ
 A-No.333だけではなく、この工場そのものすら…………いや

 世界そのものすら、焼き尽くしてしまいそうなほどに
 「日焼けマシンで人間ステーキ」の力を、「厨2病」の力で引き出そうとしてしまっている、翼から…



to be … ?


236悪意は反省せず  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/12(月) 09:25:24.88 ID:eVke4ZRc0
 てくてく、てくてく
 夜道を、旧式のゲームボーイを抱えた少年…竜宮 海造が1人、歩く
 その表情は、やや不機嫌そうだ

「…もう。何なんだよ…」

 ぶつぶつと呟く海造
 今日、彼は敗北した
 完全敗北ではない
 だが、逃亡せざるを得ない状況まで、追い詰められてしまったのだ
 これは、敗北だ
 カイザーを戦闘不能状態に陥れられたのは、二度目だ
 空飛ぶ魔女を見つけておそってみたら、突然空から落ちてきた雷がカイザーに直撃して以来…二度目

「やっぱり、技を調整しなきゃ………でも、四つまでしか覚えられないんだよな…」

 げんきのかけらでカイザーを回復しつつ、考え込む海造
 しばし、ぶつぶつ言いながら歩いていると

「………海造?こんな時間に、一人でどうした?」
「!!」

 声を駆けられ、警戒して顔をあげた海造
 ……が、声をかけてきた相手を確認し、すぐに警戒をといた

「若か。どうしたの?」
「…お前まで、その呼び方をするのはやめてくれ」

 はぁ、とその相手はため息をついてきた
 高校生ほどの少年……獄門寺 龍一だ
237悪意は反省せず  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/12(月) 09:29:20.07 ID:eVke4ZRc0
 海造の叔父が龍一の父親の部下である為、海造は彼と何度か面識があった
 その時、叔父が龍一を「坊ちゃん」だとか「若」と呼んでいたのを見て、海造も龍一を「若」と呼ぶようになっていたのだ
 …龍一は、全力で嫌そうだが
 そんな龍一の傍らに、首を傾げている、おかっぱ頭で白いブラウスで真っ赤な吊りスカートの女の子の姿がある事に、海造は気づいていたが…口には出さない
 龍一が、海造には知られたくないように振舞っているようなので、気づかないふりをしているのだ

「…とにかく。小学生がこんな時間まで出歩くな。補導されるぞ」
「若だって、こんな時間に出歩いてるじゃないか。高校生だって補導されるよ」
「……だから、その呼び方はやめろ」

 はぁ、と
 また、ため息をつく龍一
 龍一は、昔から随分と、ため息をつく癖があるように、海造には見えた
 あんまりため息ばかりついていると、幸せが逃げていくと思うのだが

「…とりあえず、家まで送る。このところ物騒だしな」
「平気だよー。若に送ってもらうなんて恐れ多いよ」
「……俺は、そんな大層な存在じゃ、ない」

 海造の言葉に、龍一はやや憂鬱そうに、そう答えてきた
 そんな事はない、と海造は思う
 龍一は、いつか、あのたくさんの強面の男達を従える立場につくらしいのだ
 叔父がそう言っていたからそうなのだろう、と海造は信じている
 大分先のこととは言え、それは保証されているのだ
 もし、朝比奈と接触する前にそれを知っていれば、海造は朝比奈の部下になる事よりも、身近な相手である龍一の部下を目指していたかもしれない
 …もっとも、時、既に遅しなのだが

 行くぞ、と言って歩き出した龍一
 海造は、慌ててその後を付いていった
 てくてく、てくてく
238以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 09:29:31.43 ID:m1zlsz2y0
てす
239悪意は反省せず  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/12(月) 09:32:32.36 ID:eVke4ZRc0
 おかっぱ頭の女の子が隣に並んできたが、その存在には気づかないふりをする

「ねー、若ー」
「…何だ」

 いい加減、訂正するのを諦めたのか
 海造の言葉に、やや諦めた表情で、振り返ってきた龍一
 その龍一に、海造は尋ねる

「若はさ、もし、世界の全部とか、十分の一を手に入れることができるようになったら、どうする?」
「………は?何だ、いきなり」
「もしもだよー」

 海造の、突然のその問いかけに、龍一は、やや面食らったようだったが
 …すぐに、どこか面倒そうに、答えてきた

「…いらない。そんな物を背負える覚悟は、俺にはない」

 −−−−周りだけで、精一杯だ
 小さく呟かれたその言葉は、海造の耳には届かない

「そっかー。欲がないんだね、若って」

 ほっといてくれ、とそう言って、海造から視線をそらしてきた龍一
 海造もそれ以上は特に話もせずに、彼の後をついていく


 ……竜宮が抱えているゲームボーイの中で
 カイザーが、龍一が抱える「もう負けたくない」と言う思いに連動するように…脈動した事に
 まだ、誰も、気づかない
240単発ネタ (代理):2010/04/12(月) 09:35:47.66 ID:eVke4ZRc0
組織というのは、契約者に興味がないらしい。明らかに相性の悪い敵と戦わされる事もある、と黒服さんは言っていた。
しかし、これはどうなんだ。相性とかそんな問題ではなく、組織に討伐しろと言われた相手は、父親だった。

「ハルナ!?なんでお前が!?」
「お父さんこそ」
どうして組織を敵にまわすような事しちゃうかな。
「わかってるのか!!母さんは組織に殺されたんだぞ!!」
そんな口角泡を飛ばすように叫ばなくてもわかってるよ。てか、お母さん殺したのも私だよ。
「母さんは何も悪い事なんてしていなかったのに!」
何かしてたから組織に殺されたんだろ。
てか、黒服さんは組織は世界を護るためにあるって言ってたぞ。その組織に狙われるって、母さんのが悪者じゃん。
「それなのに組織に味方するのか!」
うるさいなあ。てか、もう攻撃しても良いよね。
「な、なんだそれは!」
おー、驚いてる驚いてる。てか、四肢のないカエルに羽と尻尾がついた生き物を見たら誰でもビビるか。それなりにでかいし。
241単発ネタ (代理):2010/04/12(月) 09:39:14.46 ID:eVke4ZRc0
「ウォーター・リーパーですよ。知らないんですか?」
まあ、あのおっさんがイギリスの妖精なんか知ってるとは思ってないけど。てか、知ってたらびっくりだ。
「どうしてもやるのか?組織に味方するなら、容赦しないぞ。たとえ娘でもだ!」
おや、その女の子はどちらさま?隠し子ですか?てか、メリーさんなんだけど。
あ、電話。
『もしもし、あたしメリーさん。今 あなたの後ろにいるの』
知るか。目の前からメリーさんが消えたけど、後ろに行くしか能がないのかね。てか、声の聞こえる範囲にいるならどうでもいいや。
鳴いて、ウォーター・リーパー。
ウォーター・リーパーから発せられる大音量の金切り声。その声にお父さんもメリーさんも気絶する。てか、死んだかも。
「どっちでもいいや。ウォーター・リーパー、食べて良いよ」
さて、終わったから黒服さんに連絡するか。黒服さん褒めてくれるかなあ。

お父さん、お母さん、ごめんなさい。あなた達を殺して。でも私は黒服さんには逆らえないんです。
だって黒服さんイケメンなんだもん♪


242「首塚」組織の憂鬱  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/12(月) 09:43:31.97 ID:eVke4ZRc0
「おなかすいたー」
「っちょ、こら、待て。まだそれ火ぃ通ってねぇっつの!」
「だいじょうぶー。ウマー」
「大丈夫じゃない、豚肉は生で食うなっ!?」

 キッチンから、賑やかな声が聞こえてくる
 あぁ、もう、またか
 「死人部隊」と契約している中年は小さくため息をつくと、キッチンに向かい、翼から調理中の豚肉を奪おうとしている「一年生になったら」の契約者を摘み上げた

「調理中に邪魔したら危ないだろうが」
「おなかすいたー」

 怒られても、ただひたすら空腹を訴える子供
 なんと言う暖簾に腕押し
 じたばた、じたばた
 中年に摘み上げられた状態で、子供は翼の調理中の、その料理を狙っていて
 翼は小さく苦笑すると、既に出来ていて、タッパ詰めする為に覚ましている最中だった煮付けを差し出してやる

「ほら、これ食べてろ」
「メシウマー」

 もっもっもっもっもっ
 いい勢いで、煮付けを食べていく子供
 相変わらず、見事な食欲だ

「いつも悪いな」
「いいんだよ。お前に料理教える時間惜しいし」

 それは、つまり教えるのに時間がかかるという事か
 こちらの覚えが悪いとでも言いたいか
243「首塚」組織の憂鬱  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/12(月) 09:47:38.71 ID:eVke4ZRc0
 ……いや、何度か簡単な料理を教えられつつも、食事をカップ麺やら冷凍食品やらレトルトやらですませ続けたのは自分だが

 「顎砕き飴」の騒動以降、翼は中年と子供の元に顔を出しては、何日か分の食事を作って、温めれば食べられる状態にして冷蔵庫にいれていっている
 気を許した相手にはどちらかと言うと甘いし、そうでなくとも、子供には甘い翼
 「一年生になったら」の子供が、いつも「おなかすいた」と言い続けている様子などを見て、気にしていたようだ
 …まぁ、それだけではなく、「成長期の子供に食品添加物どれだけとらせてんだ」と言う突っ込みもあっての事のようだが

(……いや、それ以外にも、理由がありそうだが)

 母親の手料理なんて食べた事がない、と以前、翼が漏らしていたのを聞いた事がある
 いつも、カップ麺やら冷凍食品ばかり食べさせられていた、と
 ……自分のような体験を、子供にさせたくないのかもしれない、翼は

「………っと、これで良し」

 …中年がぼんやりと考えているうちに翼は調理を終えたようだった
 なお、子供も、鍋一杯にあったはずの煮付けをぺろりと完食している

「これは、今夜中に温めて食べた方がいい。それ以外の料理はいつも通り冷蔵庫と冷凍庫に入れておいたから、温めたり解凍して食べろよ」

 エプロンを外しながらそう言って来た翼に、わかった、と頷く
 鍋一杯の煮つけを食べきったにも関わらず、「おなかすいたー」と言い続ける子供には、ひとまず買い置きのバナナを一房与えて黙らせる事にする
 ひとまず、食べている間は大人しくなるから

「今日もこれからバイトか?」
「いや、今日は店の方が臨時の休みだからバイトねぇんだ。だから、少し買出しして帰るよ」

 料理を始める前に掃除したリビングを横切り、玄関に向かう翼
 ……ちなみに、リビングは確かにしっかりと掃除したはずなのだが、既に死人達が遊んだり何だりで若干散らかっている
 その事を翼が何も言わないのは、いい加減慣れたという事か。そんな事に慣れなくとも良いと言うのに
244「首塚」組織の憂鬱  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/12(月) 09:50:38.82 ID:eVke4ZRc0
 いつか、翼はこの死人達を本気で焼いてもいい権利を手に入れるような予感が、中年はした
 いや、いっそ今でも、軽く焼いてくれても構わないとは思っているが

「お前らは、「悪魔の囁き」とか「コーク・ロア」とは遭遇してないのか?」
「今のところはないな」

 玄関で翼を見送るついでに、軽く情報交換をしておく
 今のところ、遭遇はしていない…もっとも、差金やたらとホームレスの数が減っており、子供の食料が減っていて困ってはいた
 恐らく、ダークネスと言う「ツァボの人食い」の片割れのせいだろう
 あれも、確か人食いの都市伝説だから…あちらに、先に食われてしまっているとしか考えられない
 中年としては、子供がダークネス相手に、(食欲的な意味で)変な対抗心を抱かない事を祈るばかりである

「そうか。でも、気をつけろよ?」
「こちらは問題ない。お前こそ、警戒しておけ」

 中年の言葉に、翼はわかってるよ、とどこか力なく、小さく苦笑して、部屋を出て行った

 今回の騒動の親玉に狙われているらしい翼
 解決を焦ろうとして、無茶をしなければいいのだが
 怒りに任せて戦っていた「顎砕き飴」の騒動で、己の身すら焼く程に力を暴走させた翼を思い出し、中年はそんな事を考え…

「えー、今回の議題は「週一で掃除とか調理をしに来ている翼は通い妻と呼んでいいのかどうか」についてだ」
「審議長!野郎という時点で「妻」はありえないと思います!」
「一部界隈では、そう呼んでも問題なさそうだが」
「そっちの気はねぇwwwwwwwwwwwwww」
「それを言ったら、翼だってその気はないだろう」
「いや、だが、将門様や黒服さんへの対応を見るに………翼は、年上男性に弱い」
「では、俺たちの契約者も守備範囲内か!?」

 …………
245「首塚」組織の憂鬱  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/12(月) 10:00:52.78 ID:eVke4ZRc0
 とりあえず、あれだ
 あまりにもアレな内容を、わりと大きな声で話し合っている近所迷惑な己の契約都市伝説と、マンションの女幽霊相手に
 中年は、鉄拳制裁を行う事にしたのだった




 何故、その鍵を捨てずにずっと持っていたのだろうか
 いっそ、捨ててしまえばいいと、頭のどこかでそう考えて
 だが、どうしても捨てる事が出来ず、どうしても手放す事ができなかった

 ……もう
 もう、二度と
 この鍵を使う事はないと思っていた

 錆つきかけたそれを手に、日景 翼は家の前で、ぼんやりとそう考えていた
 「死人部隊」の中年には、買出しして帰るとは言ったが、実際にはそうではなく…別の場所にきていた

 以前に…まだ、「朝比奈」と言う姓を名乗っていた頃に、住んでいた家
 両親だとは思いたくもない両親と共に暮らしていた家だ
 この家を飛び出した時、家の鍵は持ったままだった
 小学生の頃からずっと、家に帰ると誰もいないと言う日が続いたがために、鍵はいつでも持ち歩いていたから…その時も、たまたま、上着のポケットに鍵を入れたままだったのだ
 …小学生の頃、修学旅行で買った、安っぽいキーホルダーについた、その鍵
 それを手に、家の敷地内に入る
 表札は「朝比奈」のままだし、売り物件の張り紙もない
 多分、名義上、まだ父親の持ち物のままなのだろう

 玄関には、鍵がかかっていた
 鍵を使い、中に入る
246「首塚」組織の憂鬱  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/12(月) 10:03:48.26 ID:eVke4ZRc0

「……っ」

 けほ、と
 埃っぽさに、小さく咳き込んだ
 長い間、人が足を踏み入れる事がなかったのだろう
 玄関には、埃が溜まっていた
 そこから見える廊下にも、埃の層が出来ていて
 翼は、持ってきていたスリッパを取り出すと、玄関でそれに履き替えて、家の中に入り込んだ
 ゆっくりと、リビングに入り込む

「…あの時のまま、か」

 埃が積もっている事以外、家の中は、翼が飛び出した時と、ほぼ変わっていなかった
 …リビングの荒れ具合まで、そのままだ
 あの日は、両親が離婚やら何やらで酷い喧嘩をしていて、特に母親が父親にぼんぼんと物を投げつけていて、酷い事になっていた
 もっとも、あの父親は、それらを平気でキャッチしたり避けたりしていて、一個も直撃していなかったが
 結果、床には割れた食器などのカケラが散乱していて…それまで、そのままなのだ

「俺が、あの時家を出て……んで、親父は海外出張があるとか言ってたから、多分、次の日にはあの鳥井とか言う女と出て行ったんだろうし……お袋も、あの後すぐ、家を出たのか…?」

 そして
 それ以来…この家には、誰も足を踏み入れなかったのか
 その事実を、翼は今、初めて認識した

 リビングを抜けて、自分の部屋だった場所に向かう
 ここも、昔のままだった
 決して、多くはなかった私物
 それも、中学の頃短い家出をする度に誠の家に私物を置かせてもらっていた為、余計に少なくなっていた
 その頃にはもう使っていなかった教科書やノートなどが、置き去りにされたまま埃を被っている
247「首塚」組織の憂鬱  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/12(月) 10:05:38.13 ID:eVke4ZRc0
 完全に、自分が出て行った時、そのままの部屋
 …自分が家を出てから、誰もこの部屋に踏み込まなかったのが、わかる

 そっと部屋を出て、次に向かったのは、母親が使っていた部屋
 薄く扉を開き、中を覗くと…物の見事に、散らかっていた
 記憶の中の母親の部屋よりも、なお、散らかっている
 まるで、泥棒にでも入られたかのようなありさまだ
 クローゼットやタンスが開けっ放しで、服が取り出されたり中途半端に取り出されたまま放置されているようなその状況を見るに…多分、感情任せに家を飛び出す際、適当な服を鞄に詰め込み、そのまま飛び出した、と言ったところか
 あの女らしい、と翼は考える
 昔から、カっとなりやすい性格だった
 自分はその怒りを向けられた事は一度もなかったが、父親や浮気相手相手に、もの凄い剣幕で怒っているのを何度か見たことがある

 埃がなくとも足の踏み場がなかった母親の部屋を出て、次は……父親が使っていた部屋
 今、自分を狙ってきているその男が使っていた部屋に、そっと入り込む
 埃を被っている事以外、ここも、記憶の中に残っているその部屋と、全く同じだった
 無駄な物が何一つない部屋
 ただ、寝るためだけに使われていたような部屋だ
 あの男は家にいる事もほとんどなかった
 常に仕事ばかりで、省みられた記憶はまったく、ない
 家族のために働いていたのではなく、全て、自分のためだけに働き続けていた
 …あの頃は、まだ、都市伝説とは契約していなかったはず
 だが、あの頃から、権力への渇望が強かった事は事実なのだろう
 あの女と結婚する事で手に入れるはずだったそれを逃してしまったあの男は、代わりの権力を欲して働き続けていたのかもしれない

 ……小さく、翼はため息をついた
 あの頃から、何も変わらぬ家
 住人を失って、ただゆっくりと、朽ちていくだけの家
 翼は、長い事、この家に近づく事すら嫌だった
 この家に近づく事自体が、恐ろしくてたまらなかった
 家に近づけば、父親か、母親かのどちらかに見付かってしまうのではないか
248以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 10:06:10.34 ID:s4BnSAYiO
(´・ω・`)いよう
突然だが君に【祝い】をかけたよ
おしりがかゆくなる「おしりかいかい病」になる祝いをね
たぶん一年以上は絶対治らないがひとつだけ治療する方法があるから落ち着いて欲しい
それは↓のスレに
http://jbbs.m.livedoor.jp/b/i.cgi/otaku/5556/1270568744/

うんこうんこうんこブリブリブリ
うんこうんこうんこブリブリブリ
うんこうんこうんこブリブリブリ
うんこうんこうんこブリブリブリ
うんこうんこうんこブリブリブリ
うんこうんこうんこブリブリブリ

と書くだけなんだ。それじゃ健闘を祈るよ
249「首塚」組織の憂鬱  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/12(月) 10:08:39.91 ID:eVke4ZRc0
 そう考えると、恐ろしくて仕方がなかった
 父親の元にも、母親の元にも、引き取られたくなかった
 ただ、あの両親の下から逃げ出したかった
 愛情を向けられる事なく、物のように扱われるのがひたすら苦痛でたまらなく……もう、二度と、そんな思いをしたくはなくて、逃げ続けた
 アルバイト先に、何度か母親が客として姿を見せてきた事があったが、どちらかと言うと厨房の仕事に回されていた為、顔を合わせずにすんでいた
 いや、その時ですら、なるべく顔を見せないよう逃げ続けていた

 長い、長い間、両親とまともに顔を合わせることはなく
 ……久々に、まともに父親である朝比奈 秀雄と顔を合わせたのが、つい先月
 それも、最悪の形での再会だった

「…………」

 暗く沈みそうになった思考を、引き上げる
 あれが父親であろうが、学校町を混乱に陥れる悪事を働いている事は事実
 「首塚」にとっても、討伐すべき相手なのだ
 だから……自分がすべき事は、いつも通りだ
 ただ、あれを倒す、殺す
 ただ、それだけ
 …ずっと、やってきた事ではないか
 そもそも、あんな男、父親だと思いたくもない
 ずっと、そう考えていたはずだ
 だから…殺してしまっても、構わない

 かまわない、はずだった

 だが……確かに、自分は父親を憎み続けていたが
 しかし、殺したい程までに憎んだ事は…ただの一度も、なかった
 望の事情を知ってからは、あんな両親でもまだマシだったのだと考え始めて…何かキッカケさえ出来れば、和解してもいいのではないか、と
 そう、考えるようになっていたのだ
250「首塚」組織の憂鬱  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/04/12(月) 10:11:45.94 ID:eVke4ZRc0


 ……そんな時に、知ってしまった事実
 それは、確実に翼を打ちのめしていた

 父親とは、永遠にわかりあう事ができない
 あの男は、自分を息子としてみてくる事などなく……結局、都合のいい道具としてしか、見てこないのだ、と
 その事実を、突きつけられたのだから

「……さっさと居場所突き止めないとな……これ以上、他の誰かに迷惑かけるわけにもいかねぇし……」

 自分に言い聞かせるように呟く
 早く、父親を見つけなければ
 そして

「………俺が、殺してやる」

 自分の父親が元凶ならば、自分がこの手で、何とかしなければ
 翼は、自分にそう言い聞かせ続ける
 殺したい程までは憎んでいなかった存在に、無理矢理殺意を抱きながら





to be … ?
251占い師と少女 ◆8SAuypmHlgjS :2010/04/12(月) 10:19:40.39 ID:q2ARwzJv0
 山田家でのデビ田の背信行為から約半時間後。
 占い師は自宅で愛好会のメンバーにデビ田から得た情報をそのまま伝えていた。
 彼の傍らには、つい先ほど散歩から帰ってきた未来がちょこんと座っている。
 一見無防備に見える未来ではあるが、実際には老人の奇襲に備えて十重二十重に結界まがいのようなものをその周囲に張り巡らせている。

「……ふむ」

 その警戒対象である老人は、占い師の言葉を反芻するように目を瞑っていた。
 その身体はいつものように縫いとめられてこそいないが、老人の背後では長身の女性が既に両刃の剣を抜いて正座している。
 この場での信頼関係が良く分かる図だった。

「……うむ、殺そう」
「いきなり物騒だな、おい」
「諸悪の根源を殺せば全て丸く収まる。これは全世界共通の理じゃて」

 ついでに、殺す前にちょっとだけ女体化もさせようと頷く老人。
 翼という青年を追う変態仲間からの情報で、この件の首謀者が彼の父親であると、老人は知っていた。
 息子に女装が似合うのなら、当然父親だって似合うに違いない。
 そんな結論を出した老人はしかし、翼の外見が母方の影響である可能性を一切考慮していない。

「殺すと言っても、まだその首謀者の契約している都市伝説は判明していないのでしょう」
「下手に討ち入りしても返り討ちに遭うだけッスよ」
「なに、その時はこの馬鹿弟子を使えばよかろう」

 暴走しそうな老人をなだめようとした愛好会のメンバーである二人に、老人は占い師を指差して答える。
 刺された側の彼は一瞬顔を面倒くさそうにゆがめたが、特に反論はしなかった。
 既に一度、彼が守るべき少女にも、悪魔の囁きの卵が植え付けられた事がある。
 現状その対象が不特定多数だとは言え、また未来が狙われる可能性は少なからず存在するだろう。
252占い師と少女 ◆8SAuypmHlgjS :2010/04/12(月) 10:23:25.01 ID:q2ARwzJv0
 そんな占い師の内心を知らない未来は、何も言わない彼に少し首を傾げて、老人に尋ねる。

「けど、肝心のその人の居場所も分かってないんですよね?」
「皆目つかん」

 きっぱりと答えた老人に、周囲の面々は重い溜息をついた。
 この町へ来てから、彼ら愛好会のメンバーは何度か「捜索」を行っている。
 刑事のような足ではなく、彼らの能力を使って行われたそれは、平時ならものの一日で敵のアジトなり何なりを見つけられる、はずだった。

「全然引っかからないんスよねぇ、これが」
「……結界か何かを張っている、と?」
「それは実際に確かめてみん事には何とも言えん。向こうにそんな都市伝説がおるのかもしれんし、この町自体に問題があるのかもしれん」

 そう言う老人の顔に、落胆の色はない。
 元より老人自身、その探索方法が万能ではない事を知っている。
 自分たちでできるような事は「組織」だって当然出来るだろうし、その組織が未だに見つけられない以上、老人たちが死力を尽くした所で見つけられる可能性は少ない。

「面倒じゃが、虱潰しに探していくしかないの」

 老人の言葉に、その場に居合わせた面々が頷く。
 敵勢力は未知数。
 対して彼らは僅か6人しかいない。

(……いざとなったら、あの時の誰かに協力でも仰ぐべきか?)

 さほど重苦しくもない空気の中。
 占い師は密かに、マッドガッサーの事件の際に出会った人間達を思い浮かべていた。

【終】
253以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 10:26:45.36 ID:q2ARwzJv0
そう言えば占い師たちが騒動に参加するのがまだ確定してなかったなぁ、と
微力ながら、裏でこそこそと動き回る事が決定しました
特にこれといった敵もいないので、情報集めに集中する事になると思います
254以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 10:27:08.15 ID:eVke4ZRc0
占い師の人様乙ー!!
…ちゃっかり、子ライオンが相手の居場所見つけてんだよなぁ、未来との散歩中にwww
このシーンの前か後かは不明だが
が、見つけた自覚はまったくないというどうやって伝えたらいいんねん状態ww
255以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 10:42:33.88 ID:q2ARwzJv0
>>254
>が、見つけた自覚はまったくないというどうやって伝えたらいいんねん状態ww
ですよねー
今の所考えているのは、子ライオンの正体が判明した後、「そういえば」的な感じで思い出すっていう事くらいかなぁ
そんな感じで居場所が判明したとしても、爺はちょいチートなので戦闘には不参加。それ以外の面々が向かうか、知り合いに居場所を知らせるって事くらいしか出来ませんが。
256以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 10:50:13.39 ID:eVke4ZRc0
昼過ぎにスレが残っていれば幸せだ!!
スレ残ってたらユニコーン契約者のまともなシーン書こう

>>255
今、俺が悩んでいるのは朝比奈との戦闘を、居場所たるビルでやるか、別の廃工場かどっかでやるかという事
どちらにせよ、戦闘場所になればそこ、盛大にぶっ壊れる事確定だからなぁ
先に居場所がバレるかバレないかで、戦闘場所変わるかも

子ライオンは、きっと片割れと無意識に引かれあってそのうち遭遇して正体判明する、はず!!
…散歩中に遭遇したら御免、未来ちゃん
257以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 10:56:30.92 ID:q2ARwzJv0
     ∧_∧ 
     ( ・ω・) <12時までの保守は任せろ―
     (っ囗と) バリバリ
     ./   )
     ( / ̄∪ 

>>256
>どちらにせよ、戦闘場所になればそこ、盛大にぶっ壊れる事確定だからなぁ
朝比奈は廃工場くらい一撃で粉砕しそうで怖い

>…散歩中に遭遇したら御免、未来ちゃん
むしろバッチコイ
258以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 11:33:37.17 ID:q2ARwzJv0
ho
259以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 12:01:43.68 ID:q2ARwzJv0
ho
260以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 12:27:13.44 ID:mgwrXZ+k0
ごちそうさまでしたただいま
構想するぜするぜ

>>257
>むしろバッチコイ
いいのかよwwwwwwwww
261小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/12(月) 12:55:45.05 ID:mgwrXZ+k0
 わりと容赦なくぐりぐりと踏み躙られたはずのヘンリーだったが、平均的なカップ麺が出来る時間で復活してきた
 ……なぜか、この手の変態は、異様に復活速度が早いのだ
 世界七不思議のひとつに数えてもいい謎ではないか、と犬耳メイドはこっそりと考える

「………で、どうしてお前、この街に来てるんだよ」

 膝枕してやっているユニコーンの鬣を撫でてやりつつ、犬メイドは血の涙を流してユニコーンを羨ましがっているヘンリーにそう尋ねた
 処女厨の変態ではあるものの、ヘンリーは「教会」お抱えの契約者だ
 貴重な治癒系能力者、それも、ユニコーンと言う(本性さえ知らなければ)神聖な生き物と契約しているのだ
 そんな存在を、近年弱まってきたとは言え、ヨーロッパで絶大な勢力を誇っている「教会」が放っておくはずがない
 ヘンリーはヘンリーで、「「教会」には処女が多い」と言う理由で、大人しく子飼いに納まっていたはずだ
 …それが、何故、学校町に来ている?
 「教会」の命令で、マリ・ヴェリテのベートに「悪」と言う存在を押し付け続ける為に、連れ戻しにきた、とかだったら厄介である
 言っちゃ悪いが、あそこならそれくらいやりかねないからだ

「いや、ただ、観光に来ただけだよ」

 やや視線を逸らしつつ、そう答えてきたヘンリー
 怪しい
 この飢えなく、怪しい
 だが、その証言を完全否定できる材料もまた、存在しない

「少なくとも、マリ・ヴェリテには手を出さない方がいいぞ?あいつら、「首塚」と協定を結んだみたいだから、そっちも敵に回す」
「あー、それだけは嫌だな。まぁ、そっち狙いで来た訳じゃないからいいが」

 うんうん
 頷くヘンリー
 ……嘘は、見えない
 幸い、あちら狙いではないようだ
262以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 12:59:16.59 ID:q2ARwzJv0
>>260
>いいのかよwwwwwwwww
むしろ今か今かと待ってるんですヨ?
263小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/12(月) 12:59:34.84 ID:mgwrXZ+k0
 ………では、何の為に?
 観光目的ではないだろう
 犬メイドは、そう核心していた

「…ところで。そろそろ膝枕代われ」

 ひひん

 ヘンリーの言葉に、ユニコーンは小さく嘶いて答えた
 動く気、0
 どう見ても代わるつもりなさそうです、本当にありがとうございました

「お前、もう充分に堪能しただろ!?」

 ひひひん

「っく!?お前はそうやっていつも俺に膝枕譲らないだろうが!?ってか、どうして乙女達は、ユニコーン相手の膝枕は許すのに俺には許してくれないっ!?」
「動物相手かそうじゃないかの違いだろ」

 きっぱり、突っ込む犬メイド
 …ヘンリーは、一応、「黙っていれば美形」の良い見本である
 そう、黙っていれば
 口を開けば高確率で処女厨である事がバレる為、年齢=彼女いない暦まっしぐらな男だ
 そんなこの男に、膝枕をしてくれる乙女(処女)はめったにいない
 ユニコーンなら、わりと膝枕してくれる相手がいるのだが

「くそ…俺はただ、膝枕を堪能したいだけなのに…」

 がっくりと、わりと本気で項垂れるヘンリー
 同情すべきか、否か
264小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/12(月) 13:02:23.08 ID:mgwrXZ+k0
 同情したら調子にのりそうだからしない方がいいな
 一瞬で、犬メイドが答えを導き出した、その時

「………」

 −−−ぴくり
 ユニコーンの耳が、何か物音を拾ったように、動いた

 その音は、犬耳になっているせいか、微妙に聴覚があがっていた犬メイドの耳にも届く

「水音……?」

 公園の中の、小さな池
 そこから……音が、した

 犬メイドがユニコーンに膝枕してやっている芝生から、さほど離れていない位置にある、池

 ぽこっ
 ぽこっぽこっぽこっ
 そこに、小さな泡が上がり始める

 すっく、と
 ユニコーンが立ち上がり、警戒するように池を見つめた

「…何か、いるのか?」

 ひひん

 ユニコーンの声が、心なしか機嫌悪そうだ
 項垂れていたヘンリーも、顔をあげる
265以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 13:03:05.29 ID:q2ARwzJv0
しえ
266小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/12(月) 13:05:54.15 ID:mgwrXZ+k0
「池…水……こいつが嫌がって……………っ!!」

 −−−−ざばぁっ!!と
 そこから、巨大な何かが飛び出した
 それは、真っ直ぐに、警戒するように立ち上がろうとしていた、犬メイドに向かって突進してくる

 目の前に迫ってくる、それ
 それは、巨大なビーバーに、見えて

「う、わっ!?」

 ぐい、と
 首根っこをつかまれ…体が、宙に浮いた
 傍にあった木の上まで、視界が一気に上がる

「−−−っぶな。何で日本に、あんな野郎がいるんだ」

 すぐ傍から聞こえてきたヘンリーの声
 どうやら、彼につかまれて助けられたようだ
 ユニコーンの身体能力を手に入れているせいか、彼は脚力が格段に上がっている
 犬メイドを引っつかんで、木の上まで一気に跳び上がるくらいは、朝飯前なのだ
 …もそもそ、犬メイドの胸元で、悪霊がヘンリーに見つからないよう、深く潜る

 …つつつ、と
 犬メイドは、視線を下に降ろして…

「−−−アーヴァンク!?」

 自分に襲い掛かってきたその存在の姿を確認した
267以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 13:08:52.07 ID:q2ARwzJv0
しえ
268小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/12(月) 13:09:33.32 ID:mgwrXZ+k0

 アーヴァンク
 イギリスに伝わる、巨大なビーバーの姿をした怪物だ
 鰐や大蛇に匹敵する力を持ち、鋭い牙と爪を持っている。
 人間を襲う存在だが、美しい乙女に目がなく、誘拐して身近にはべらせておくと言われている
 ある伝承に置いて、人間に捕えられたアーヴァンクは、発見された時、乙女の膝枕で寝ていたところだったと言う…


 ……なるほど
 ユニコーンが、感じた気配を嫌がった理由が、わかった
 すなわち……「膝枕を奪われたくない」
 ただ、それだけの理由だったのだろう
 事実、今、ユニコーンは、アーヴァンクに角を突きつけ、激しく威嚇している
 そして、アーヴァンクもまた、ユニコーンを敵と認識したのだろう
 牙を剥き出しにして、激しく威嚇していた

「まったく…俺の膝枕を奪おうとは、いい度胸だ」
「いつ、お前の膝枕になったよ、おい」

 ヘンリーの言葉に突っ込む犬メイド
 が、ヘンリーはそんな突っ込みなど気にせず、ユニコーンに指示を出す

「やれ!ユニコーン!!」

 −−−ひひん!!

 言わなくとも、とでも叫ぶように、ユニコーンが地を蹴った
 毒を浄化し、病気を癒すその角は……同時に、ユニコーン最大の、武器
 象をも一突きに殺すと言われるそれが、アーヴァンクに襲い掛かる
269小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/12(月) 13:13:20.74 ID:mgwrXZ+k0
 −−−−っぎん!!と
 響いた、音

 ユニコーンの角を…アーヴァンクが、牙で、受け止めた
 己を突き刺さんとする角に噛み付き、噛み砕かんとするように渾身の力を込めている

「っちょ、ヤバくないか?」
「いや、問題ないさ」

 −−−−−どろ、と
 一瞬、ヘンリーの胸元に、黒い染みが浮き出た事に
 犬メイドは、気づかない

「ユニコーン!!」

 ヘンリーの声に呼応するように、ユニコーンの力が増していく
 ぐ、ぐ、ぐ……と、角は、段々と、アーヴァンクの口の中に、進んでいって


 次の、瞬間
 アーヴァンクの後頭部を………角が、貫通した


「−−−−−−−−っ!?」

 脳天を貫かれたアーヴァンクは、ぶらり、全身の力が抜けていき
 ……その体は、光となって、消滅した


「物騒な街だな、ここは」
270小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/12(月) 13:16:40.22 ID:mgwrXZ+k0
 っとん、と
 ヘンリーが、犬メイドを抱えて地面に降りた
 ユニコーンは、角がアーヴァンクの血で汚れたのが落ち着かないのだろう
 ぱかぱかと、アーヴァンクが出てきた池に近づき……池の水が、清らかさを保っている事を確認し、ぱしゃぱしゃと角を洗い始める

「都市伝説が異様に集まりやすいからな。あぁやって、国産以外の都市伝説まで現れる始末だ」

 はぁ、とため息をつく犬メイド
 …とっととイギリスに帰りたい
 いや、まだまだしばらく、無理なのだが

「なるほど。アァ言う乙女が危険に晒されるような都市伝説が現れるのはいけないな」
「それ以外はいいのか」

 犬メイドのツッコミをスルーし、考え込んでいるヘンリー
 ……うん、と何やら頷いている

「まぁ、いい。俺はしばらくこの街にいるし、何かあったら連絡しろ。今のお前だったら助けてやる」
「元の俺なら助けないとっ!?」
「乙女なら助けるが、それ以外はどうでもいい!!」

 駄目だ、この処女厨
 早く何とかしないと!?

「…と、言う訳で。俺に膝枕してください、お願いします」
「土下座するなっ!?どこで土下座なんて覚えたっ!!??…わかったわかった。やってやるから、顔あげろ」

 犬メイドの言葉に、いやっほぅ!!と喜んでいるヘンリーの姿に
 軽く頭痛を覚えつつ、犬メイドは膝枕してやったのだった
終われ
271以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 13:22:53.96 ID:mgwrXZ+k0
三面鏡の人に焼き土下座
ついでに、ヘンリーに死亡フラグなんだか生存フラグなんだかよくわからんフラグがたったような気がしないでもない
間違っても恋愛フラグではないからどうでもいいか

改めて、ヘンリーの設定投下

・ヘンリー・ギボンヌ
 イギリス出身の25歳
 人形を思わせる端整な容姿をした「黙っていれば美形」の良い見本
 「教会」お抱えの契約者だが、あくまでもお抱えと言うだけであって、正式に「教会」に所属している訳ではない
 ユニコーンと契約する以前から処女厨であり、むしろ、処女厨だからこそユニコーンと契約できたのだと思われる
 どうしようもなく変態だが、処女の為なら命もかけられる紳士とか騎士っぽいと言えなくもないようないややっぱ変態か
 ユニコーンとの契約により脚力がアップし、そして、やたらと乙女の膝枕を求めるようになった

 現在、「悪魔の囁き」にとり憑かれ、朝比奈 秀雄の手下となっており、処女ではない女性に対してやたらと攻撃的になっている
 その事実が「教会」にバレた日には、絞首刑がギロチン刑か鉄の処女送りになるだろう
272以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 13:25:29.83 ID:mgwrXZ+k0
>>262
>むしろ今か今かと待ってるんですヨ?
未来ちゃん戦闘力ないのにいいのかwwwwwwwwwwwwwwwwwww

いや、いざとなったら子ライオンが、おやつの恩を返すために身を張って護りますが
273以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 13:35:53.48 ID:q2ARwzJv0
>>272
>未来ちゃん戦闘力ないのにいいのかwwwwwwwwwwwwwwwwwww
ほら、うん、偶然誰かが居合わせたり。山田とか山田とか山田とか
ついでに子ライオンがね、うん、正体明かしたりしやら面白いな、なんて考えてないわけですが
274以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 13:37:18.68 ID:mgwrXZ+k0
>>273
>ほら、うん、偶然誰かが居合わせたり。山田とか山田とか山田とか
確かに、現在構想している遭遇シーンでは山田が居合わせたことにするつもりだったがwwwwwww
275小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/12(月) 13:56:03.26 ID:mgwrXZ+k0
 街中を、長い白髪の、黒いスーツの上に白衣を纏ったの女が1人、歩く
 H-No.9
 …「組織」を裏切り、朝比奈 秀雄に都市伝説の契約書を大量に横流していた女だ
 裏切りが判明し、今は「組織」から追われている身
 しかし…まだ、「組織」は自分には手を出してこないだろう
 彼女は、そう確信していた

「まだまだ、悪魔の囁きやコーク・ロアの騒動で忙しいでしょうからね…」

 きゅう、と黒いルージュが引かれた唇を笑みの形にして、彼女は呟く
 得に、街中に広がっている悪魔の囁き
 それの対処で、「組織」はまだ忙しいはずだ
 自分に対して、手を割いている暇などないはず
 …何せ、「組織」内部にすら、悪魔の囁きが入り込んだのだ
 内部に入り込んだ囁きの対処は大分終わったはずだが、外回りの黒服が拾ってくる可能性だってある
 これ以上の混乱を避ける為に、「組織」では朝比奈 秀雄を倒す手段を探すと同時に、悪魔の囁きの駆除を徹底している
 とり憑かれぬ方法なども探っているようだが、まぁ、それは無駄な徒労に終わる事だろう
 …悪魔の囁きの卵は、誰にだって植え付けられる可能性があるのだ
 それを防ぐ事など、誰にもできやしない

 自分に、「組織」の手が伸びないならば
 自分は、朝比奈に自分が仕える存在である事をアピールするだけだ
 「病は気から」の能力を使い、学校町にさらに悪意を振りまき続ければ、いつか、認められるだろう 
 研究施設さえ整っていれば、研究者としての力もアピールできるのだが…

「……あぁ、また、人体実験がしたいですね……」

 危険な言葉を、どこかうっとりと呟くH-No.9
 また、薬物実験をしたい
 自分が作り出した薬で、人間が、都市伝説が、どんな反応を見せるのか
276小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/12(月) 13:58:33.47 ID:mgwrXZ+k0
 どんな効果が及ぶのか
 あの快感を、また味わいたい
 自分が作り出した薬で、命が左右され、存在が左右される
 それを見ていると、ゾクゾクしてくるのだ
 あぁ、また、また
 あれを、味わいたい…

「また、H-No.96のような良い実験体が見付かればいいのですが……あぁ、あれは良かった。拒絶反応も起こさず、実験に耐え続けて……まだまだ、投与したい薬がありましたねぇ…」

 くすくす、小さく笑いながら、彼女は学校町を彷徨い歩く
 彼女の行く先々で、些細な病気をばら撒いて

 かつて、「組織」で手にしていた権利を
 他者の命を踏み躙る、研究者としての立場を取り戻す事を、夢見ながら


 己の命が、複数多数に狙われている事実を失念したまま
 彼女は気楽に、学校町を彷徨い続けているのだった





to be … ?
277以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 14:01:35.64 ID:mgwrXZ+k0
研究者タイプの癖に微妙に頭の足りないH-No.9でした
っつか、俺の出す悪役は全体的に頭がどっか足りなくて困る
278以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 14:16:01.67 ID:q2ARwzJv0
乙乙

>>274
>確かに、現在構想している遭遇シーンでは山田が居合わせたことにするつもりだったがwwwwwww
山田と子ライオンがいれば、きっと大丈夫さ、うん
山田の精神には危機があるかもしれないけど
279以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 14:19:17.32 ID:mgwrXZ+k0
>山田の精神には危機があるかもしれないけど
山田ぁああああああああああああああ!!!???
だ、大丈夫だよ、山田
子ライオンなんて、むしろ死亡の危険性があるんだから……って、あれ、どっちがマシなんだろう
280以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 14:25:14.42 ID:q2ARwzJv0
>>279
>子ライオンなんて、むしろ死亡の危険性があるんだから……って、あれ、どっちがマシなんだろう
山田「なにその『はいかYESで答えなさい』並みの理不尽さ……」
281以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 14:30:09.41 ID:mgwrXZ+k0
>山田「なにその『はいかYESで答えなさい』並みの理不尽さ……」
頑張れ山田
ガッツだ山田
君ならきっと大丈夫!!

デビ田「俺ノ死亡ふらぐヨリハましダロ」(朝比奈死亡or悪魔の囁き契約解除で消滅する奴)
282以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 14:35:25.40 ID:q2ARwzJv0
>>281
>頑張れ山田
>ガッツだ山田
>君ならきっと大丈夫!!
山田「HAHAHA…………はぁ」

>デビ田「俺ノ死亡ふらぐヨリハましダロ」(朝比奈死亡or悪魔の囁き契約解除で消滅する奴)
そういえばデビ田の方がのっぴきならぬ状況なんだっけかwww
けど良いコンビだし、消したくないなぁ。全く打開策が思いつかないけど
283以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 14:37:52.76 ID:mgwrXZ+k0
>全く打開策が思いつかないけど
実は一個、打開策案があったり
そのフラグ立てるネタ考えようかなぁと構想妄想中なんだぜ

…契約解除ってか朝比奈が契約している「悪魔の囁き」本体死亡でもデビ田消滅するしね!!
デビ田「打開策アルト言イナガラ死亡ふらぐ強化スンナッ!?」
 HAHAHA、よくある事さ
284以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 14:42:25.12 ID:q2ARwzJv0
>>283
>実は一個、打開策案があったり
なん……だと……
あるなら是非に! としか俺は言えないなぁ

>…契約解除ってか朝比奈が契約している「悪魔の囁き」本体死亡でもデビ田消滅するしね!!
朝比奈が何だかんだあって善人になったとしても、悪魔の囁きとは確実に契約解除されるだろう事を考えると、もはやデビ田の運命は暗い
285以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 14:47:50.34 ID:mgwrXZ+k0
>あるなら是非に! としか俺は言えないなぁ
ならばフラグを立てていくしかあるまい
本格的に構想開始すりゅー

>朝比奈が何だかんだあって善人になったとしても、悪魔の囁きとは確実に契約解除されるだろう事を考えると、もはやデビ田の運命は暗い
全くだ
286以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 15:06:13.17 ID:q2ARwzJv0
>>285
>本格的に構想開始すりゅー
気長にwktkしてるんだぜー!
287小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/12(月) 15:08:45.72 ID:mgwrXZ+k0
 主に見捨てられた都市伝説、悪魔の囁きの一体であるデビ田は、時折ふっと考える
 いくら、山田に囁き続けても、彼を堕落させられない
 悪へと誘い込む事ができない
 己の契約者たる朝比奈 秀雄に見捨てられてからも、デビ田は悪魔の囁きとしての本能に従い、山田に囁き続けていた
 ………しかし
 いくら囁き続けても、一向に、山田は堕落してくれない
 なんと言う意志の強さだろうか
 …いや、もしかしたら、意志の強さと言うか別の何かのせいかもしれないのだが

(…ッタク、自信無クスヨナァ)

 山田の中で、デビ田はぼんやりとそう考える

 悪魔の囁きには個体毎に自我が存在している
 しかし、個体毎の能力差は、存在しないのだ
 だからデビ田の悪魔の囁きとしての能力が、劣っている訳ではないのだ
 だが、しかし……ここまで、まったく堕落させられない状態が続いていては、自信を無くすというものだ

(俺様、悪魔ノ囁キダヨナァ?……実ハ別ノ都市伝説デシタ、トカ言ウおちジャネェダロウナ)

 そんな事はない、と思いつつも、そのような方向にすら、思考が迷う
 悪魔の囁きでありながら、悪魔の囁きとしての存在を示せていない
 こんな自分は、一体何なのだ?

(……イッソ、別ノ都市伝説トシテ生マレタカッタナ)

 悪魔の囁き、ではなく
 別の都市伝説として生まれていれば、こんな悩みなど抱かなかったのだろうか

 自分は、悪魔の囁きだ
288小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/12(月) 15:12:11.78 ID:mgwrXZ+k0
 人に害なす存在
 人間を、それ以外の存在すらも、悪の道へと引きずり込む存在
 そんな存在は、いつか消されるに決まっている
 主を裏切った事で、今、辛うじて存在が許されているようなものだ
 そうでなければ……この存在、知られた時点で退治されているだろう


 もし
 もし、別の都市伝説として、生まれていれば

(…コイツラト、生キ続ケル事モ、出来タンダロウカ)


 山田や、その周りとの生活は
 デビ田にとって、楽しいものだった
 そりゃあ、山田が感じた痛みが連動して自分に与えられて、いっそ殺せ!!と言う状況に陥った事も多々あるが
 …だが、それでも
 己と言う存在が認められ、消される事なく、生き続けられる生活が
 誰かに存在を認識されながらも、死なずにすむ、この生活が
 悪魔の囁きとして生まれた以上、決して手に入らなかったはずのそれを、体験して


 いつか消え去るだろう事に、未練などなかったはずだと言うのに
 確実に芽生え始めている未練に、デビ田は抗う事など、できなかった

 己に生じ始めている、その変化に
 気づく事など、ないまま

to be … ?
289以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 15:13:29.64 ID:mgwrXZ+k0
そんな訳で、デビ田にフラグをたてたよ!!
…あれ、これ、見ようによっては死亡フラグにも見えね?

デビ田「コノ野郎」
 だ、大丈夫、ちゃんと生存フラグだから!!
290以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 15:16:19.27 ID:q2ARwzJv0
速筆乙ー!
生存フラグなのか死亡フラグなのか分からねぇwwwww
291以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 15:23:01.83 ID:mgwrXZ+k0
>生存フラグなのか死亡フラグなのか分からねぇwwwww
今回はちゃんと生存フラグだよ!!
292以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 15:27:22.77 ID:q2ARwzJv0
>>291
>今回はちゃんと生存フラグだよ!!
安心したんだぜー!
293以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 15:31:49.76 ID:mgwrXZ+k0
>安心したんだぜー!
ただしますます山田と一蓮托生な存在になることは確実なので、今のうちに山田に紐なしバンジー剣山焼き土下座orz
294以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 15:36:10.24 ID:q2ARwzJv0
>ただしますます山田と一蓮托生な存在になることは確実なので、今のうちに山田に紐なしバンジー剣山焼き土下座orz
いやまぁ、俺が元々出したキャラだしなぁww
295以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 15:43:27.16 ID:mgwrXZ+k0
>いやまぁ、俺が元々出したキャラだしなぁww
そして、貴殿が出したデビ田でネタ書くのが大変楽しく感じる俺wwwww

悪魔の囁きがこんなにいろんな方に使っていただけるとは思ってなかったんだぜ
三面鏡の人の星君のところにいる悪魔の囁きにも生き延びてほしいもんだ
296以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 15:49:37.08 ID:q2ARwzJv0
>そして、貴殿が出したデビ田でネタ書くのが大変楽しく感じる俺wwwww
それは出した側としてはなによりだぜー!
最初はほとんど単発状態で出してそのまま消滅させる予定だったけど、想像以上に山田と相性が良かったんだよなぁ

>悪魔の囁きがこんなにいろんな方に使っていただけるとは思ってなかったんだぜ
ちょっと変な悪魔の囁きの使い方とか考えるのが好きで申し訳ないですorz
書くのは楽しいんだけどね!
297以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 15:56:13.52 ID:mgwrXZ+k0
夕食後もスレが残っていれば幸せだと言いつついったん離脱!
決戦シーンに向けて書かなきゃ駄目なネタが最低4つはある罠

>>296
>最初はほとんど単発状態で出してそのまま消滅させる予定だったけど、想像以上に山田と相性が良かったんだよなぁ
一回きりの登場のはずがその後も登場し続けるとか、よくある事だと思いますwwwwww
そのせいで増えたキャラがたくさんいる俺が言うんだから間違いない

>ちょっと変な悪魔の囁きの使い方とか考えるのが好きで申し訳ないですorz
むしろありがたいんだぜ!!
298以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 16:05:25.00 ID:q2ARwzJv0
     ∧_∧ 
     ( ・ω・) <5時過ぎくらいまでの保守は任せろ―
     (っ囗と) バリバリ
     ./   )
     ( / ̄∪ 

>>297
>一回きりの登場のはずがその後も登場し続けるとか、よくある事だと思いますwwwwww
>そのせいで増えたキャラがたくさんいる俺が言うんだから間違いない
同族殺しなんかはある意味その典型だよなぁ
ただの保守代わりの1レスネタだったし
キャラが増えると全員出すのが大変になって来るんだぜー……

>むしろありがたいんだぜ!!
それはなによりwww
今の所書くつもりはないけど、もしかしたらまた変なのを出すかもしれないんだぜ
299以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 16:31:53.60 ID:q2ARwzJv0
300以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 17:10:57.36 ID:q2ARwzJv0
301以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 17:25:03.58 ID:TSN+iXqZ0
乙ですよー!
仙人のじいちゃんの信用されなさ加減に泣いたww

そしてユニコーンと契約者が両方とも念願の処女の膝を手に入れててよかった
あれは、天然モノということでいいんだろうか?

派生した悪魔の囁きはさてどうなるのだろうか、そこもまた楽しみですな
302以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 17:49:57.12 ID:TSN+iXqZ0
303以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 18:07:19.75 ID:tgnoaiY5O
悪魔の囁き、蛇の姿なら下水に流せば別の都市伝説と混ざったり


ならないか
304以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 18:36:23.58 ID:TSN+iXqZ0
305以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 18:42:57.28 ID:thw3hwlAO
皆様乙!
悪魔の囁き事件はいろんな人物が多角的に事件に関わってて情報のまとめが大変そうだ
読む側はとりあえず翼とDさん、秀ちゃんとマドカさん辺りを注意してればいいかな?
306以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 19:01:57.99 ID:TSN+iXqZ0
どうなんだろうなー
知ってる情報、知らない情報のまとめがあると花子さんの人便利だろうか?
307以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 19:04:25.16 ID:TSN+iXqZ0
って秀ちゃんwwwww
なんか受けたwww
308以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 19:19:56.15 ID:5/2yYlOB0
帰宅ほ
309以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 19:26:27.53 ID:smO58j1r0
ごちそうさまでしたただいまー

>>303
下水の蛇に変化ですね、わかります

>>305>>306
書き手が一番情報に関してこんらんしてきたとか秘密でいいと思った

>読む側はとりあえず翼とDさん、秀ちゃんとマドカさん辺りを注意してればいいかな?
一応メインはその辺なんで、そこら辺注意していただければありがたいかな、と

>知ってる情報、知らない情報のまとめがあると花子さんの人便利だろうか?
正直かなり便利です
310Tさん ◆mGG62PYCNk :2010/04/12(月) 19:35:30.54 ID:TSN+iXqZ0
>>309
ウチの子たちのはこんな感じ?

・何らかの都市伝説よって操られた犬や、巨大なライオン型の都市伝説、藤崎≪タコ妊娠≫・少年≪カイザー≫・≪コーク・ロア≫を大量に振りまいた組織内部の協力者の存在が当面の敵と認識

・藤崎の翼への懸想に気が付いてはいるが精神的に不安定な翼に事実を伝えることに躊躇いあり
・マゾサンタは変態ストーカーと認識
・はないちもんめの分身は舞は双子、Tさんとリカちゃんは都市伝説と認識
・直希とエリカと知り合いに、≪光輝の書≫の契約者と把握、更に仲介者と呼ばれていることも把握
・≪セイレーン≫契約者(人相が変わる程に明るくなっている)のかなりの精度を誇る似顔絵をもらう
・翼の元クラスメイトたちの≪悪魔の囁き≫の調査は終了、マドカ、終了、(バイト同僚達については知らない)
・日景の家について理解(翼の立場も)(日景は開祖が≪小瓶の魔人≫と契約した事によって栄えた事を把握)
・黒幕が翼の父親、朝比奈秀雄だと把握(最後の一つ以外の契約都市伝説も把握:≪クールトー≫≪悪魔の囁き≫)(権力欲が目的と認識)(小瓶の魔人も目的、か?)
・マドカの勘当の理由、翼に嫌われている理由、翼を愛している事を把握、なんらかの都市伝説と契約している事を把握
・黒服の朝比奈秀雄殺害も辞さない決意を把握
・≪ユニコーン≫とその契約者が≪悪魔の囁き≫に取り憑かれているのかはわからない
・黒服、マドカの会談時、日景の当主夫妻も同席することを条件に会談を承知したことを聞く。
・翼を始めて女装させたのはマドカと知る

もしかしたら取りこぼしがあるかもしれません
311以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 19:37:39.47 ID:smO58j1r0
>>310
了解なんだぜー
ってか、わりとどうでもいい情報も混じってるwwwwwwwwwwwwwwww
マドカの契約都市伝説把握ネタはただいまもっさり構想中なんだぜー
312以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 19:41:20.84 ID:TSN+iXqZ0
勢いで書きつけたものなので意味がとれないものがあったら言ってください

どうでもいい情報もきっとどこかで役に立つ……はず?
313以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 19:46:56.37 ID:thw3hwlAO
>>307
いや、なんか愛嬌が必要かなと思ったので
反省はしてる
314以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 19:48:31.90 ID:smO58j1r0
>>312
だいたい大丈夫のはずなんだぜー

>どうでもいい情報もきっとどこかで役に立つ……はず?
つまり、舞がマドカから翼の初女装写真をゲットですね、わかります

翼「燃やす!!ネガごと燃やしてやるっ!!」
マドカ「あっはっはっはっは、写真もネガも、学校町外に住んでる友人に預けてるからねぇ。見つけられるもんなら見つけてみな」
翼「こんの糞ババアっ!!??」
 まだ、本編ではこんなフレンドリーな会話できる状態じゃありませんが
315以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 19:53:50.21 ID:TSN+iXqZ0
>>313
こらこらww

>>314
女装写真で振り返る翼の半生
                〜著・伏見舞〜

値段:お前のチャラい兄ちゃんへの愛≠金銭で

舞「大もうけだな!」
T「いや、値段が付けられないと言われて結局売れずじまいになるだろう」
316以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 20:00:59.39 ID:smO58j1r0
>>313
50代のおっさんだが愛嬌は必要だろうかwwwwwwwwwww

>>315
>値段:お前のチャラい兄ちゃんへの愛≠金銭で
誠が全財産差し出しかねないwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
いや、んな事する前に翼に殴り倒されるだろうがwwwwwwwwwwww
317以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 20:12:18.33 ID:thw3hwlAO
>>316
動物軍団の長としてムツゴロウさんばりの愛嬌をwww
・・・すみませんすみません!

>>315俺も買うぞ!
318以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 20:29:38.96 ID:smO58j1r0
>>317
>動物軍団の長としてムツゴロウさんばりの愛嬌をwww
愛嬌ある秀雄を想像してみた


…逆に怖いwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
319以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 20:47:42.83 ID:smO58j1r0
ネタ書きつつほ
320以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 20:59:06.59 ID:tgnoaiY5O
組織にはどこまで情報がいってるんだらう
321以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 21:05:11.45 ID:smO58j1r0
>>320
・ボスは朝比奈 秀雄。悪魔の囁きとクールトーと、もう一つ何らかの都市伝説と契約していると把握
・朝比奈の第三の都市伝説と思わしき能力は怪力、高い防御力、炎と毒のブレスを吐く事であると把握
・部下に「セイレーン」、「ツァボの人食い(ダークネス)」、「カイザー」、「タコ妊娠」がいると把握
・「コーラにはコカインが含まれている」の支配型契約者を数名保持している事を把握
・H-No.9が朝比奈に都市伝説の契約書を横流しした事を把握
・H-No.9が「病は気から」に飲み込まれた存在である事を把握
・「リア充爆発しろ」による爆発被害が多数発生している事を把握。関連を確認中

こんな感じ、かな?
322以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 21:13:14.76 ID:tgnoaiY5O
>>321
おぉ、ありがとう
翼の家関連の事はDさんがまだ隠してるんだな
323以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 21:24:37.35 ID:smO58j1r0
>>322
翼の家に迷惑かける事を考えて、黙ってますね、Dは
特に、「小瓶の魔人」について「組織」が知った日にゃ、過激派や強硬派が狙ってくる事は確実なので、絶対に「組織」に報告しない
なお、「組織」が得ている情報はDにも入ってきますので、ここら辺の情報を、今度Tさんとの情報交換ネタで伝える予定なり


ついでに
後で、>>321で書いた情報に
・朝比奈の出生と言うか生い立ちについて
が追加される予定です
324ソニータイマー (代理):2010/04/12(月) 21:43:40.95 ID:smO58j1r0
「二次元研究部」
僕は中央高校1年、江本鍵人(えもとかぎひと)。『萌え擬人化』と契約してます。所属部活は二次元研究部
「よー江本ー」
彼は麻蔵 快(あさくらかい)。契約都市伝説は『魔改造』。
鍵人「あ、麻蔵。じゃ、いこうか」
そして僕達は部室に入っていった
先に部員を紹介しておきます。部長、虹原 吉夫。『二次元への切符』の契約者。副部長、小野 男女(おの おとめ)。『こんな可愛い子が女の子のはずがない』の契約者。
土肥 渉。『玩具は夜になると動き出す』の契約者。江本 仁次(えもと ひとつぎ) 。僕の兄で、『二次創作で追加される萌え属性』の契約者。そして、中人本規と中人釘実

ガラッ
鍵人「鍵人と麻蔵、到着しましたー」
快「到着しましたー」
吉夫「おっ、皆揃ったか?」
男女「副部長の私はいますよ」
渉「俺もいます」
仁次「僕も居ます」
本規「ボクもぉいますよぉお」
釘実「アタシもいますよ」
部員がそれぞれ返事をする。
吉夫「よしっ。じゃあ二次元研究部の活動を開始するぞ。この学校に萌えのすばらしさを、二次元の偉大さを伝えるために!」


325ソニータイマー (代理):2010/04/12(月) 21:48:42.44 ID:smO58j1r0
男女「了解しました! 私は校舎南を担当しますね。皆に『男の娘』の素晴らしさを教えてあげますよ!」
渉「じゃあ俺は東側を担当します。人形の萌えを知らしめてやりますよ」
仁次「なら僕は北を担当しますよ。生徒に萌えを与えて萌やし尽くしてやります!」
本規「ではボク達は校庭の方を担当しまぁぁす」
釘実「声優萌えを伝えて来ます!」
快「それなら僕達は体育館側を担当しますよ」
鍵人「擬人化萌えの素晴らしさを思い知らせてやりますよ!」
吉夫「おk。僕は部室棟を担当する。ではっ、解散!」
二次元研究部が各々の持ち場に移動し活動を開始した。萌えを学校に広めるために
男女「!! こ…『こんな可愛い子が女の子のはずがない』っ!!!」
校舎南の方に迷い込んでいた女の子…小学生位だろうか。その子を男女は能力で男の子に…いや、男の娘にしてしまった
「なにこの子…可愛い!」
ぞろぞろと女子が集まってきた
堂寺「幼い男の娘…だと? やばい、これは可愛い! それじゃあ…って人多すぎ〜!(泣)」
光輝「自重しろロリコ…いや、この場合はショタコンか? どっちでもいいけどとにかく自重しろ」
少し変なのも混ざっていたが
渉「さあ、動け!人形達よ。リアルローゼン○イデンを繰り広げるんだ」
仁次「…あれにツンデレを+、そっちにドジっ子を+っと…さあ、萌えるがいい…」
本規「ぶるああああああああ!!!」
釘実「このバカ犬〜!」
快「よし、この卓球ラケットをテ○スの王子様っぽくなるように改造しよう」
鍵人「そしてそれを僕が擬人化! 萌えは身近なところにもあるんだよ」
吉夫「えー…二次元に行きたい奴は居ないか? この切符を使えばすぐ行けるぞ〜。無料だから財布の心配は無用だぜ」
こんな風に各々がそれぞれの萌えを伝えるために頑張っていた。もっとも、この萌えが受け入れられているのは極一部の人間にだけだが…
それでもこの国は(多分)世界一の萌え国家なのだ。いずれこの学校、いや、町も萌やし尽くしてやる!

そんなことを考える部員達なのであった…


                 続く
326以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 21:59:21.12 ID:5/2yYlOB0
代理おつ〜。
さ〜て、投下しますよ。

今回は、花子さんとかの人と、はないちもんめの人に土下座するべきかなぁ?
327以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 22:03:10.23 ID:smO58j1r0
wktk支援
328残された思いの読み手 ◆caHoDnkdag :2010/04/12(月) 22:03:41.74 ID:5/2yYlOB0
学校町に対する情報収集のためにSは、同僚であるCに電話をしている。
その最中も、紗江良は自身の能力で周囲の警戒を欠かす事は無い。相変わらず周囲の悪意は多いが、今の所此方に来る様子は無い。

「…相手次第だな。まずは、会って見ないとわからない」
その言葉を最後に、Sは携帯を切った。それを見て紗江良は、一旦警戒を緩め、情報を聞く事にする。
「それで、どんな状況だったんですかぁ?」
「何から説明するか。取り合えず……」
Cから聞いた《悪魔の囁き》を含む3つの都市伝説と契約した男が、数人の部下を連れ暗躍している事などを説明する。
その説明は大雑把な所も有ったが、紗江良は感覚的にその内容を理解している。
「はぁ、厄介な事に成ってるんですねぇ」
「そうだな」
ヤレヤレと、動作を交えながら言う紗江良に同意するS。
それも、当然だろう、《夢の国》やマッドガッサーと言う厄介な事件が解決したと思ったら、今度は《悪魔の囁き》だ。その上、こちらも《七人みさき》なんてモノを見つけてしまった。
もしかしたら、アレもこの町に来るかも知れないなと、Sは思考を巡らせ。
「で、ボディーガードが来るんですよねぇ」
それを、紗江良の声が遮る。
「ん。あぁ、どんな奴かは知らないけどな。そいつが来るまで此処で待つぞ」
「っちょ、何言ってるんですか?! こんな所で待ってて襲われたら如何するんですかぁ!?」
騒ぎだした自分の担当に、Sはその通りだと思いながらも、騒いでは逆に危ないと宥めはじめる。
329残された思いの読み手 ◆caHoDnkdag :2010/04/12(月) 22:05:54.34 ID:5/2yYlOB0
如何にか紗江良を落ち着かせたその時に、ドガン!! と何処かで轟音が響いた。
戦闘が、何処かで始まったのかもしれないし、違うかもしれない。
ただ、その後も悲鳴や人が吹き飛ばされる音が、聞こえ続けた事から戦いが起こっているのは確信できた。。
音のしたと思われる方向に向けていた目を、紗江良に向け直すと思いっ切り警戒している。
「如何したんだ。もしかして、あの音に何か在るのか?」
「えぇ。とんでもなく強いのが、辺りの悪意を吹き飛ばしながら、こっちの方に向かって来てま……」
ドーン!!!
言い終わる前に、その、とんでもなく強いのが、2人の目の前にやって来た。
それは、上半身裸だった。それは、下半身に道着を身に付けて居た。それは、筋肉の塊だった。
「《兄貴》か? 道着を付けた奴なんて聞いた事無いぞ」
それは、組織の恥部が生み出す都市伝説、《兄貴》にそっくりだった。
「否! 我が名は《兄鬼》、強きを望む一介の修羅よ!!」
そう喋る、半裸の筋肉達磨。無駄に、熱さを感じてしまう。
「? 《兄貴》だろ、何が違うんだ?」
「多分、字が違うんじゃないですか。貴いじゃなくて鬼って字なんだと思いますよぉ」
筋肉達磨もとい《兄鬼》に注意を向けながら、紗江良はSの疑問に答える。
それに、《兄鬼》がニィッと笑った事からどうやら合っているようだ。
「で、一体何の用だ? 言っとくが、掘らせはしないぞ」
「安心しろ、オレはホモじゃあ無い」
330以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 22:06:50.92 ID:smO58j1r0
しえーん
って、っちょwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
331残された思いの読み手 ◆caHoDnkdag :2010/04/12(月) 22:07:29.13 ID:5/2yYlOB0
……え?
《兄鬼》の言葉に、驚いた表情を見せるSと紗江良。亜種と言っても、元が《兄貴》で在る以上当然ガチホモだと思っていたのだから。
「フン。オレは《兄貴》の中の、誰よりも強い肉体を得ようとする意志のみが凝縮されて誕生した。
 だからこそ、ホモと言う概念は不純物として排除されている」
大胆不敵という言葉が相応しい様な態度で、《兄鬼》が己と言う存在を話す。
そこに、嘘を言っている様子は無く。そう言う《兄貴》も在るのかと2人は思った。
「故に、オレは強者を望む! 強き物を打ち倒し、己が強さを証明するのだ!!」

「言っとくが、俺たちは強くなんか無いぞ」
「だろうな。オレのセンサーに反応が無い。偶々お前達が、進行方向に居ただけだ」
「センサーって、何ですかぁ?」
「一定以上の強さの存在が近くに居るとな、オレの筋肉が疼くのだ」
現在の自分達に害が無いと、理解したらしい紗江良がした質問に、アッサリと答える《兄鬼》のその腕の筋肉が一瞬ザワリとした。
もし、先程の言葉の通りならば、《兄鬼》の言う一定以上の強さの持ち主が、この近くにやって来るらしい。
そして、Sには1人だけ心当たりがあった。自分達の護衛に来る人間だ。ただ、それが誰かをまだ知らないので確信を持つ事が出来ない。
332以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 22:08:06.04 ID:smO58j1r0
多分、そのセンサーに引っかかるほど天地強く無さそうだwwwwwwwwww支援
333残された思いの読み手 ◆caHoDnkdag :2010/04/12(月) 22:10:34.06 ID:5/2yYlOB0
そんな風に考えていたSを、行き成り紗江良が突き飛ばして、一緒に倒れこんだ。
「っ、と行き成り何す……」
ダダダダダダ!!!!!
Sの文句を遮るように、銃弾が幾つか撃ちこまれて来た。
「すみません。《兄鬼》さん? に気を取られて、銃撃を感じるのが遅れましたぁ」
さんを一応付けて《兄鬼》の事を言う紗江良が謝罪を述べる。
だが、もし彼女が突き倒さなければ。あの銃撃に当たって居たかもしれないのだ。その事をすぐさま理解したSには、紗江良へ悪態をつく気は無い。
逆に感謝しても良いくらいだ。
弾丸の飛んでくる方角をチラリと見れば、銃器を構えた数体の天使が居た。
それを見て、Cが自分達の護衛に派遣した契約者の正体が《モンスの天使》の契約者だと、Sは気付いた。

「フン。人の会話を邪魔するとはな」
そんな銃弾の雨の中で、何もせずに《兄鬼》は立っていた。
避けるでも、防ぐでも無く、本当に何の反応もせずに立っていた。天使達の撃っている弾丸はその全てが筋肉に弾かれている。
否、見ればその身体の表面を、何かが薄く覆っていた。それは、《兄貴》達の特徴の一つとして知られる、兄気と呼ばれるエネルギーだった。
ただ、《兄貴》たちの兄気とは違い。皮膚の表面にピッタリと、高密度に集束され張り付いている。
「集団による銃撃戦法か。……確かに強いが、オレの望むモノでは無いな」
言いながら、両手の兄気を発散させて、パンッと柏手を打った。すると兄気同士が、ぶつかり合い辺りが閃光に包まれた。
334残された思いの読み手 ◆caHoDnkdag :2010/04/12(月) 22:11:38.44 ID:5/2yYlOB0
「撃て、撃て〜! 筋肉をヤッツケ、キャア」
「あの人達を助けて、ご主人様のイメージアップだ〜。ウワッ」
「あぁ〜ん。全然効かない〜。ヒャアッ」
銃を乱射していた天使達は、その閃光に驚き。銃を撃つのを止めた。
「眩しいよぉ〜」
「何だか、男臭いぃ〜」
「うわぁ〜ん。ご主人様〜」
喚き騒いでいる天使達は、兄気の閃光によって視覚を潰されて銃の狙いをつける事が出来ない。
彼女達の視力が元に戻った頃には、《兄鬼》はその場所から居なくなっていた。

「あぁ〜。取り合えず、《モンスの天使》の契約者が俺達の護衛になるって事か」
《兄鬼》を取り逃がし、主の命令を果たせなかった事に落ち込んでいる天使達の様子を見ながら、Sはそう呟いた。
その隣では、銃撃が終った事に胸を撫で下ろしている紗江良の姿があった。

続く
335以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 22:11:50.29 ID:smO58j1r0
しええええええん
336以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 22:17:57.25 ID:smO58j1r0
7人みさきの人乙なんだぜ!!
兄鬼強いwwwwwwwwwwwwwwww
後で反応ネタ書きますねっと
337残された思いの読み手 ◆caHoDnkdag :2010/04/12(月) 22:19:48.41 ID:5/2yYlOB0
はい、Cとの電話の後の2人です。

ちょっと前に、《七人みさき》に取り込まれる可能性として出した《兄騎》を《兄鬼》として登場させました。
設定としては、この前話したのと同じです。《兄貴》との識別方法は下半身は道着だという事です。DBよろしくの絶対に破れない系の。
《兄鬼》は黄金の兄気は使えないが、制御技術は格段に上手いってイメージです。

《モンスの天使》達は、筋肉に絡まれている黒服と女性を天地が発見、あいつを倒して俺の凄さを見せてやる行け、天使達。
といった感じに。


余談ですが、紗江良の名前の由来は、菅野は、そのまま勘ので、紗江良は、良く冴えるからです。
338以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 22:26:20.42 ID:smO58j1r0
天地サイドの反応ネタ構想してたら天地もげろって気分になった
ちょいと頭冷やしてくる
339小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/12(月) 22:36:50.76 ID:smO58j1r0
「世話になったねぇ」

 マドカが舞とTさんの住いに泊まった翌朝、そう言ってマドカは笑った
 玄関先に立ち、早速タバコを取り出そうとしている
 …どうやら、家の中ではタバコを遠慮してくれていたらしい

「姐ちゃん、これからどうするんだ?」
「どうするのー?」

 舞とリカちゃんの問いかけに、マドカはそうさねぇ、と笑う

「翼の事も心配だけど……その前に、バカ亭主がやらかしている事を止める方が、先みたいだからねぇ?」
「相手の能力に不明な点が多い。無理はしない方がいい」
「なぁに、あたしだって都市伝説契約者さ。そう簡単にやられたりしないよ」

 Tさんの言葉に、カラカラとそう答えてきたマドカ
 ようやくタバコを取り出し、火をつけようとしている

「…そう言えば、姉ちゃんの契約都市伝説って、何なんだ?」
「ん?……あぁ、そう言えば、話していなかったねぇ?」

 舞の言葉に、タバコに火をつけようとしていた手を止めて
 ニヤリ笑って、マドカは続ける

「そうさね…泊めてもらった恩だ。見せてあげるよ、あたしの契約都市伝説の力」

 マドカがそう言った、次の瞬間


 辺りが、強い光に包み込まれた
340小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/12(月) 22:38:26.43 ID:smO58j1r0


「へ?」

 きょとん、としている舞
 光が消えた、その時……マドカの手に、持っていたはずのタバコが、消えていた

「あれー??」

 リカちゃんも、首をかしげる
 光で視界が遮られたのは、ほんの一瞬
 マドカが、身に纏っている服のどこかにタバコを隠す事は不可能
 足元に落とした、という訳でもない……彼女の足元に、タバコは落ちていない

 火がついていなかったあのタバコは、どこに消えた?

「……なるほど」
「え?Tさん、わかったのか?」
「恐らく、だが」

 …………………………ではないか?と
 尋ねたTさんに、マドカは笑った

「−−−ビンゴ。よくわかったねぇ?」
「まぁ、タバコがどこに消えたのか、から予測したまでだが」

 からから笑いながら、マドカは新たなタバコをとりだした
 火をつけ、咥える

「生物、無生物問わず、ほぼ問答無用で発動できるよ。まぁ、それしかできないんだがね」
341小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/12(月) 22:39:30.50 ID:smO58j1r0
「充分、強力だろう」

 問答無用で発動すると言う事は、問答無用で相手を無力化できる能力なのだ、マドカの契約都市伝説は
 むしろ……そのまま、相手を殺す事も可能な力
 なるほど確かに、自分の身を護る事は可能だ
 油断さえ、しなければ

「何かわかったら、伝えてくれるかい?」
「了解した。そちらも、何かわかったらすぐに伝えてもらえるとありがたい」
「あぁ、任せとくれ」

 それじゃあ、と
 舞達に別れを告げて、立ち去るマドカ


 …彼女が立っていた場所から、ほとんど離れていない位置の壁から
 まるで、そこを作る際に埋め込まれていたかのように……タバコのフィルターが、ほんの少し、はみ出ていた事に
 その時、舞ははじめて気づいたのだった



to be … ?
 
342以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 22:41:01.33 ID:smO58j1r0
Tさんの人に焼き土下座!!orz
マドカお泊りの翌朝でした
マドカの契約都市伝説を、Tさんは把握したようです

…何?
登場人物が把握しても、作者が把握できてないと意味がない?
なぁに、多分大丈夫さ







…大丈夫そうじゃなかったら、後でこっそり避難所のチラ裏で暴露するんだぜぜぜぜ
343以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 22:49:03.83 ID:5/2yYlOB0
>>338
まぁ、落ち込んだ天使達を宥める天地は嫉妬の対象ですね、分ります。

紗江良は、そんな彼らの様子を微笑ましく見ています。
「仲が良いなぁ」って感じに。
Sは、特に反応は無いかなぁ? 嫉妬するタイプでも無いし。

ともあれ、マドカとTさん一家の様子おつでした。
344以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:00:35.92 ID:smO58j1r0
>>343
>まぁ、落ち込んだ天使達を宥める天地は嫉妬の対象ですね、分ります。
どう考えてももげろです、本当にありがとうございました
そんな天地への二人の反応了解だぜー
二人とも大人の対応してくれる人で良かった
345以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:07:42.07 ID:UJNGUi1x0
tst
346以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:10:38.60 ID:smO58j1r0
>>345
おめ!
347以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:11:45.39 ID:5/2yYlOB0
>>344
《残留思念》で、もっと酷いのとかドロドロの愛憎とかを沢山見て慣れてるSと、《女の勘》の影響で、天使達と天地の愛情を詳細に理解できる紗江良です。

2人はもげろと思う事は無いが、逆に思われる可能性はかなり高いという……。

Sと紗江良はどっちも、恋愛無関心主義者なんですけどね。
付け加えると、紗江良の方は、恋愛ってのは傍から見るから面白いって考えの持ち主ですね。
348以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:17:18.28 ID:TSN+iXqZ0
乙です!
とりあえず兄鬼に超噴いたwwww

マドカさん旅立って行かれたかぁ
能力は≪フィラデルフィア計画≫の鉄板無しで機械とかと超融合したお話ですかね?

349以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:20:13.00 ID:smO58j1r0
>>347
そうか、どっちかと言うと「もげろ」って思われる側かwwwwwwww

>>348
旅立ったって言っても、学校町内を彷徨ってますけどね
多分、今後は知り合いの家とかに泊まってると思う。懐寂しいから
350以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:28:30.38 ID:TSN+iXqZ0
>>347
思われる側……だと!?

>>349
それでも荒れ放題の家には帰らないのか……
351以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:30:47.92 ID:smO58j1r0
>>350
>それでも荒れ放題の家には帰らないのか……
実は、家を飛び出した際に感情任せに鍵捨てちゃってて、あの家には帰るに帰れないマドカ
352以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:33:27.93 ID:TSN+iXqZ0
ドジっこwww
353以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:33:33.99 ID:UJNGUi1x0
あれ?復活してた?
じゃあ明日は一つ投下することにして今日は寝るぜ
354以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:36:26.23 ID:smO58j1r0
>>352
カっとなると後先考えずに行動しますから、彼女wwwwwwww

>>353
wktkしつつ俺も寝る、おやすみー
残り書くべきネタの一覧纏めつつ、優先順位に悩むぜ
…もっとも、優先順位関係なく書く事が多いが
355以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:41:49.56 ID:5/2yYlOB0
>>348
>とりあえず兄鬼に超噴いたwwww
今回は、まだチョイ役としての登場ですからね。
取り合えず、Tさんは《兄鬼》の対象になるのは違いないです。

>>349
両者とも、容姿は高ランクな方ですし。
ホテルに宿泊する際は、2人で同じ部屋に泊まるのを迷いません。

それなのに、美人なお姉さんな紗江良は、実はまだ処女って設定がががが。
356以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:09:32.42 ID:3E/n65CU0
ほしゅ
357以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:26:48.22 ID:3E/n65CU0
358以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:36:57.75 ID:iaFAKvX8O
359以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 01:05:19.00 ID:AhrVgPV+O
360以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 01:29:53.31 ID:AhrVgPV+O
361以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 02:03:33.96 ID:AhrVgPV+O
362以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 02:29:52.14 ID:3E/n65CU0
363以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 02:53:35.13 ID:AhrVgPV+O
364以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 03:19:51.36 ID:3E/n65CU0
365以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 04:04:49.68 ID:gpJgL00g0
366以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 06:22:35.29 ID:T05zFKp1O
367以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 07:53:08.09 ID:AhrVgPV+O
T
368以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 08:28:01.25 ID:T05zFKp1O
369以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 10:31:12.14 ID:AhrVgPV+O
370以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 11:52:24.12 ID:T05zFKp1O
371以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 12:29:25.93 ID:zs25bz8r0
ごちそうさまほ
372哀れな末路へ続く道 ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/04/13(火) 12:39:36.23 ID:zs25bz8r0
手元がぶれて見えるほどの速さでキーを叩く少女の姿
小さな携帯端末から伸びたケーブルは、磁気カードの入った小さな機械に繋がれており
「完成であります。ドアロック程度のものなら一分掛からないでありますよ。直接繋げられればもっと速いのでありますが」
小さな電子音と共にしゅるりと飛び出した磁気カードを、事も無げに差し出すエニグマ姉ことコンスタンツェ
続けてキーピックを取り出すと、鍵穴にそれを優しく挿入し、ものの数秒でかちんと音を立てる
「カバー程度の破損でも大家に悪いからな。第三者に掛ける迷惑は最小限にしておきたい」
磁気カードを受け取ったドクターは、それをドアの横に付いた読み取り機に差し込み、無造作に扉を開けて室内に踏み込んでいった

―――

とある高級マンションの一室で、H-No.9は一人物思いに耽っていた
『都市伝説の契約書』の横流しは想像以上に上手くいった
『組織』の情報を引き出しそれを伝える事も
残る戦力を把握し想定される動向を弾き出し情報を撹乱して戦力を分散させ各個撃破の流れを作り、いなくなった自分への調査を手薄にさせ
『悪魔の囁き』の駆除や感染対策、そして何より朝比奈秀雄という男に対する調査に手勢を割く事を余儀なくさせる
『組織』にはまだ一撃必殺の致死攻撃や封印能力を持った黒服が残っているが、そんな能力は得てして発動までの条件が厳しく、相応の人員がいなければ発動前に叩き潰されるのが目に見えている
事実、懸念材料の一つであった『とおりゃんせ』の女黒服は、笑えるほどに呆気なく文字通りの意味で潰された
研究が止められ、強硬派の中でも特に武闘派の彼女らに組織内の地位を奪われていた身としては、笑いが止まらないほどに滑稽な死に様だった
そんな風に上手く片付けてしまえば、残るただ強いだけの能力など朝比奈にとっては物の数ではない
彼女、H-No.9にとっては、『組織』に与する理由はほとんど残っていない


373哀れな末路へ続く道 ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/04/13(火) 12:40:58.02 ID:zs25bz8r0
強硬派はほとんど力を殺がれ、自らが深く関わった実験の関係者は次々と暗殺されている
迂闊に裏切れば暗殺が粛清に変わるだけという追い詰められた状況で、この流れは渡りに船と言わんばかりの状況だった
彼女にとっては、人体実験さえ出来れば上にいるのが何者でも構わない
ただ、自分が頂点に立つ事だけは決して望んでいない
そんな立場にいれば、自由に実験ができなくなる
直に検体を弄繰り回し、命を、意識を、存在そのものを、その手で弄べなくなる
自分を、自分の望む形で使いこなしてくれる、そんな都合の良い支配者を彼女は待ち望んでおり、朝比奈という男はその理想にかなり近い存在であると思っていた
ほう、と艶かしい溜息を吐いて、ベッドに横たわるH-No.9
「ああ、早くもっと自由に人体実験がしたい……」
「なるほど、話に違わぬ性格のようだ。外見はともかく中身にはこれっぽっちも食指をそそられない」
「――っ!?」
入り口から堂々と入ってきた白衣の女と軍服の少女、ドクターとコンスタンツェの存在に、H-No.9はベッドから跳ね起きて懐から光線銃を抜く
「貴様、一体何処から!」
「何処からも何も、玄関から鍵を開けて入って来たが?」
空間転移や物質透過による侵入や、破壊工作による襲撃に関しては充分な警戒をしていた彼女ではあるが、都市伝説や契約者の能力を警戒する余りに通常の犯罪行為への警戒を失念していた
「大人しく同行してくれるのであれば、その身の安全は保障しよう。その上で君が行ってきた数々の行為について謝罪と賠償をし、今後その贖罪のために全霊を注ぐというのであれば、ボクは君を助けるために尽力しようと思うが」
「謝罪? 何を言うのかと思えば……私は謝罪が必要な事など何一つした覚えは無いわ。全ては世界の為であり全ては組織の為であり、何より全ては私の為にやった事の何処に謝罪が必要な要素があるというの?」
その言葉にドクターは、安堵の笑顔を浮かべる
「万が一、活動を強要されていたり洗脳されていたりといった事態も考えていなくはなかった。だがその言葉が君の偽らざる本心だと確信し、ボクは心から神に感謝したい」
ドクターの言葉の意味が理解できず、光線銃を構えたまま硬直しているH-No.9


374哀れな末路へ続く道 ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/04/13(火) 12:42:27.62 ID:zs25bz8r0
「ボクは生まれて初めて、女性に対してなんの遠慮も配慮も思慮もせずに思う存分好き放題する機会を得られたんだ」
じり、とドクターが間合いを詰める
その気配は餌を目の前にした大型の肉食昆虫のようで
「動くな! これの威力は通常のものとは違う! 益体も無い都市伝説と契約した程度の身体なら簡単に!」
「当たればだろう?」
例え突きつけられて引き金を引かれても当たらない
そんな自負を持っているかのような、自信満々の態度
「君は引き金を引けない。引けても当たらない。その手元を見て理解できないはずもない」
はったりだ
そう思いつつも、僅かに視線を光線銃を握る手元に向け
その手元に、自分のものではない指が絡みついているのが見えた
「なっ!?」
視線を外した直後に一気に間合いを詰めてきたドクターが光線銃を握る手を絡め取り、バナナの皮でも剥くかのような手付きでその指を引き剥がし光線銃を取り上げてしまった
「今、何をした!?」
「何をされたと思う?」
放り投げられた光線銃が、毛足の長い絨毯の上にぼすりと落ちる
「君とボクは同じ研究者だが、見ている部分が違うという事だ。人間の形をした生物の身体構造をきちんと理解していれば」
片手で掴んでいたH-No.9の指をくいと捻り上げ
「いっ、があっ!?」
「大した力を込めなくてもこのぐらいの芸当はできるわけだ。もっとも本気で修練を積んだ者には到底敵わないがね」


375哀れな末路へ続く道 ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/04/13(火) 12:43:36.07 ID:zs25bz8r0
痛みに怯んだところへ、あっさりと腕を極められベッドへうつ伏せに倒される
「さて、大人しくしていれば痛くも恥ずかしくもない縛り方をしてやろう。抵抗した場合は、人に見られたら二度と表を歩けないような縛り方か、真っ当な人生を送れない性癖に目覚めるような縛り方をされると思いたまえ」
ドクターが取り出したのは手錠などの拘束具や目立たないワイヤーなどではなく、何故か細めに編み込まれた荒縄だったりした
H-No.9の脳に身の危険を知らせる警報が全力で鳴り響き
「……は、ぅ?」
拳銃を手に警戒態勢を取っていたコンスタンツェの身体が、ぐらりと揺れた
効かずとも仕方ないと思いつつも発動させた『病は気から』の能力が、効果を発揮したのだ
とっさの事で、今までばら撒いていたものと同じ重めの風邪程度の症状だったとはいえ、ドクターの気を逸らすには充分だった
僅かに緩んだ手を振り解き、ふらつくコンスタンツェを突き飛ばして部屋の外へと飛び出していく
「ど、ドクター……小官に構わず、早く追うであります!」
「落ち着きたまえ、ボクが何もせずに獲物を逃がすと思っているのかね?」

―――

廊下での待ち伏せも無く、二人が乗ってきたであろうエレベーターはそのまま留まっていた
背後を確認しながらボタンを押し、1Fのボタンを押して閉ボタンをガチャガチャと乱暴に連打する
追っ手の気配も無くドアが閉じ、H-No.9は安堵の溜息を吐いた
エレベーターが下降していく中で、今後の行動について思案する
本格的に潜伏するか、この町から逃げるか、それとも戦力となる人員の傍にいるか
とりあえずは朝比奈と連絡を取るべきかと考えながら、1Fで停止したエレベーターを降りてエントランスを抜け、マンションの外へと駆け出した瞬間


376哀れな末路へ続く道 ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/04/13(火) 12:44:34.62 ID:zs25bz8r0
H-No.9は車に撥ねられた
それはもう見事な放物線を描き、二度三度とアスファルトの上を跳ねごろごろと無様に転がったところでやっと動かなくなった
「……じ、こ……だと……この私が……交通事故……!?」
人外としての生命力で辛うじて立ち上がるH-No.9
その耳に届く、獣の咆哮じみたエンジン音とアスファルトを擦るタイヤ音
そして眼前まで迫るロールス・ロイスの車体
彼女は再び宙を舞い、どちゃりと地面に激突した
「こっ……殺され……」
這うように逃げ出そうとしたH-No.9の後頭部が、ぐりと力を込めて踏み付けられる
「何を言っている、ボクは医者だぞ? 君のように検体を使い捨てるような真似などはせん、きちんと治療してやるとも」
コンスタンツェを背負い、エレベーターで降りてきたドクターが見下すように嘲笑う
「その腐った性根と曲がった根性の治療は、ボクでも難しそうだが……なに、『病は気から』と言うだろう? 治るまで一緒に頑張ろうじゃないか」
ロールス・ロイスから降りてきた運転手の手により、手早くだが確実に、まるで梱包でもされるかのように縛り上げられトランクに放り込まれるH-No.9
彼女の身柄はこうして『第三帝国』により確保され、診療所の研究室に監禁拘束される事となった


377以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 13:00:36.75 ID:v/ypp2Mf0
サンタは果たして完結済みに乗せるべきだろうかと悩む今日この頃支援
378以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 13:05:09.99 ID:zs25bz8r0
うぉっと、代理投下終了宣言忘れていた

さて、首の骨を折るか顎引き裂くか心臓握りつぶすか顔面殴り潰すか
正直悩むところだ

>>377
メインの話は完結、って感じで載せてもいいんじゃないかな
マッドガッサーも、そんな感じで完結済に載せたし
379以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 13:06:23.13 ID:n7F737uK0
a
380以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 13:08:38.65 ID:v/ypp2Mf0
>>378
>さて、首の骨を折るか顎引き裂くか心臓握りつぶすか顔面殴り潰すか
なwwんwwのww話wwだww

>メインの話は完結、って感じで載せてもいいんじゃないかな
一区切りついてるって事で載せようかしら
ちょっと編集してくる―
381以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 13:10:38.59 ID:zs25bz8r0
>>380
>なwwんwwのww話wwだww
え、H-No.9の死に様の話ですが
全身バラバラミンチの刑は諸事情で見送りになったので
他に何かあったかなー

>ちょっと編集してくる―
ジャンルやあらすじがどんな感じで書かれるかwktkしてる
382以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 13:29:10.80 ID:zs25bz8r0
ネタ書きつつほ
383以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 13:35:44.95 ID:T05zFKp1O
酷く即死させるか酷くなぶり殺すかが問題だな
384以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 13:46:51.26 ID:zs25bz8r0
>>383
できれば返り血ぶしゃあな死に様が良い訳で

…と、なると首の骨を折るよりは、首を引きちぎる方がいいか
385以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 14:06:31.16 ID:zs25bz8r0
俺しかいない予感ほ
386せんみつ二人と少年  ◆nBXmJajMvU :2010/04/13(火) 14:26:35.32 ID:zs25bz8r0
「H-No.9を捕えた?」
『あぁ、これからじっくりとお仕置きするところだが』

 「第三帝国」のドクターに、黒服Hの件などで話があり、連絡を撮っていた辰也
 その際に、ドクター達がH-No.9を捕えたという情報を聞いた


 …H-No.9
 あの白髪の女研究者を、辰也ははっきりと覚えている
 自分達に数々の実験を施してきた、冷酷な研究者の1人
 彼女は特に、投薬実験と言う行為そのものを楽しんでいた女だった
 H-No.9が行った「不要な」投薬実験で死亡したり、暴走して処分された被験者もかなりいた事を、覚えている

 目の前で、死んでいった仲間を覚えている
 自分に、楽しげに投薬してきていたあの顔を覚えている


 湧き上がる憎悪
 それを、辰也は隠そうともしない

「…その女、殺すなよ。そいつは俺達の獲物だ」
『俺達、と言うのは、君とあの黒服の事か』

 そうだ、と低く答える
 H-No.1からH-No.10までの10人
 6人殺して残り4人
 その1人である、H-No.9
 自分達の復讐相手の一人であるそいつを、他の誰かに殺されては困る

『安心したまえ、殺すつもりはない。ただ、「お仕置き」するだけさ』
387せんみつ二人と少年  ◆nBXmJajMvU :2010/04/13(火) 14:31:09.39 ID:zs25bz8r0
 …恐らく、ドクターはこの言葉を、いい笑顔で言い切ったことだろう
 その笑顔がはっきりと想像できる

『お仕置きを終えても反省しないようならば、君かあの黒服に引き渡すさ』
「……反省なんざ、する訳ねぇだろ。あの狂人が」

 吐き捨てるように言い切った辰也
 H-No.9は、その程度で反省するような存在ではない
 彼女だけではない
 Hナンバーの研究者たちは、皆そうだ
 死んでも反省する連中ではない

「とりあえず、この事は宏也にも伝えておく」
『わかった。それでは』

 …通話を切った、その時

 がしり、と
 辰也は、何者かに足首を掴まれた

「………」

 特に驚いた様子もなく、辰也は視線を降ろした
 そこでは、辰也の「13階段」に飲み込まれようとしている男が……最後の抵抗と言わんばかりに、階段の14段目に立っていた辰也の足首を掴んでいる
 まるで、道連れにしようとしているかのように

 悪魔の囁きが街中に広がっている中、この相手もまた、悪魔の囁きに感染した相手だ
 もっとも…感染以前より、悪事を働いていた相手である
 この男がばら撒いたカードで、随分と交通事故が多発した
 だから、その退治と言う「仕事」をしていただけのこと
388せんみつ二人と少年  ◆nBXmJajMvU :2010/04/13(火) 14:36:41.45 ID:zs25bz8r0
 辰也は、己の足首を掴んでいた手を振り払うと…そのまま、踏み躙った
 男は悲鳴を上げ………そのまま、どぷんっ、と
 「13階段」に、完全に引きずり込まれた

「………ふぅ」

 小さく、ため息をつく辰也
 「13階段」内の血の池に男が落ちたのを……そのまま、亡者達によって、血の池の中に引きずり込まれていっている事実を、しっかりと感じ取る
 物の数分もしないうちに、溺れ死ぬ事だろう
 これで、仕事は終了だ

 やはり、自分にはこのような仕事の方が、向いているのだろうか
 昨年の騒動以降、情報屋としての仕事もしているが……このように、誰かを「殺す」仕事の方が、どうしてもスムーズに進む
 元々、「組織」にいた頃も、暗殺のような汚れ仕事ばかりしてきていたのだ
 自分には、汚れ仕事の方が似合っているという事か

 ……全く
 マッドガッサーやマリ達が、今までとは変わって行こうとしているというのに
 自分は、なんてざまだろうか

「……まぁ、俺らしいか」

 暗く沈みかけた思考を振り切り、帰ろうと階段を上がりきる

 ……っが、ふっ、と
 近づいてきている気配を感じて、立ち止まった
 気配は、階段の下から近づいてきている
 一度発動を切った「13階段」を再び発動させて、辰也は気配を警戒する

 …現れたのは、高校生と思われる少年だった
389せんみつ二人と少年  ◆nBXmJajMvU :2010/04/13(火) 14:41:58.94 ID:zs25bz8r0
 じ、と辰也を見上げてくる

「…「13階段」の、契約者さん、ですね?」
「………そうだったら、何だ」

 都市伝説契約者の気配
 他に仲間がいないか探るが、一人だけだ

「そうでしたら…「組織」の人間として、あなたを討伐します」
「…「組織」か」

 隠しもせず、舌打ちする
 辰也は、今でも「組織」からは追われている立場だ
 討伐か、捕縛か………どちらにせよ、「組織」に追われている現状に代わりはない
 「首塚」や「薔薇十字団」と、マッドガッサー達が協定を組んでいることで、おおっぴらに捜索される事こそないものの、見付かれば敵対行動をとられる事破明らかだ
 何せ、元「組織」に所属していた身であるが故に、顔を知られてしまっている運が悪ければ、こうやって見付かる事もある

 …少年は「討伐」と言った
 少年自身か、少年の担当の黒服が、強硬派か過激派なのだろう
 確か、穏健派は「捕縛」と言う方向性になっていたはずだ

 辰也は、少年を見下ろす
 自分と少年の間には、階段がある

「…できるものならやってみろ、ガキ。俺の能力を知っているんだろ?」

 「13階段」の契約者、と少年はこちらをそう呼んできた
 能力を知っている証拠だ
 ならば、この状況でうかつに近づいては来ないだろう
 遠距離攻撃を持っているなら別だが……その時はその時で、こちらは「13階段」を発動したまま、逃走すれば良いだけのことだ
390せんみつ二人と少年  ◆nBXmJajMvU :2010/04/13(火) 14:47:19.60 ID:zs25bz8r0
「知っています……けれど」

 っふ、と
 少年の顔つきが………変わった

「−−−13段目を、踏まなきゃいいって話だろ!!」

 顔つきも、話し方もガラリと変わった少年が、階段を駆け上がりだす
 …13段目だけ、飛び越えてくるつもりか
 なるほど、「組織」には、まだ「13階段」が、13段目を踏まなくとも…その上を飛び越えようとしただけでも発動することは、知られていないようだ

 ならば
 この少年は…そのまま、引きずり込まれるだけだ

 逃げようともせず、「13階段」の発動を止め様ともせず
 辰也は、近づいてくる少年を見下ろして…


「あー、ちょっと待った、少年」


 少年が、13段目を飛び越えようとした、その瞬間

「っ!?」


 しゅるり……と
 どこからか伸びてきた黒い触手……否、髪が、少年を捕えた
 そのまま、少年を階段の下まで引き摺り下ろす
391せんみつ二人と少年  ◆nBXmJajMvU :2010/04/13(火) 14:51:47.39 ID:zs25bz8r0
「………宏也?」
「よぉ、辰也」

 しゅるり
 髪を伸ばしているHが、辰也に笑いかけてくる
 Hに捕えられた少年は、やや困惑したように、Hを見上げていた

「Hさん?」
「悪いな、坊や。流石に返り討ちにあいそうなところを見逃す訳にはいかないんでね」

 …いつの間に、あのお人好しのような事を言うようになったのか
 ………いや、違うか
 一瞬浮かんだ疑問を、辰也はすぐに否定した
 あのHの顔は…何やら、楽しんでいる顔だ
 決して、あの少年を本心から心配した顔ではない

「それと、あいつに手を出されては困るんでねぇ?」
「え、でも…あの人は討伐対象なんじゃ…………あれ?」

 辰也とHが、名前で呼び合っていた事に、違和感を感じたのだろうか
 少年が、首を傾げている

 ……その、様子に
 Hがこれまた、楽しそうな表情を浮かべたのを、辰也は見逃さなかった
 これは、また…何か、やらかすつもりか

「お前さんを担当している黒服のナンバーは?」
「え……A-No.218、ですけど…」

 Aナンバー
392せんみつ二人と少年  ◆nBXmJajMvU :2010/04/13(火) 14:56:34.36 ID:zs25bz8r0
 なるほど、やはり、強硬派の黒服が担当していたのか
 ナンバー毎に所属する派閥が決まっている訳ではないが、Aナンバーは元々強硬派が多い

「なるほど、Aナンバーか。それじゃあ、知らされてないだろうな」

 …わかる
 辰也には、はっきりとわかる
 今のHの表情は……大嘘をつくときの、顔だ

「知らされていない、って…」
「あいつ、辰也な。本当は、「組織」の討伐対象じゃないんだよ」
「え?」

 嘘をつけ
 喉元まででかかった言葉を飲み込む辰也
 今回は、どんな嘘をつくつもりだ

「で、でも、あの人は「組織」を裏切ったって、そう聞いてますけど…」
「表向きはな。だが、実際は「組織」を裏切ったふりをして、極秘任務に付いてる最中なんだよ」

 大嘘をつくな
 再びでかかった言葉を、飲み込む
 やや呆れたような表情で、辰也はHを見下ろす

「極秘、任務……?」
「あぁ。俺も詳しくは聞かされてないが………そうだよな?辰也」

 突然、Hは辰也を見上げてきて、そう話をふってきた
 えぇい、楽しそうに笑うな、腹が立つ
 話をあわせろ、という事か
393せんみつ二人と少年  ◆nBXmJajMvU :2010/04/13(火) 14:59:29.63 ID:zs25bz8r0
 面倒な事をやらせるな

「……答える義務はない」
「ま、極秘任務だしな?」

 ニヤニヤと笑っているH
 少年は……あぁ、あの顔は、信じ始めているな

「任務の性質上、極一部にしか知らされていない情報だからな。お前さんが知らなかったのも無理ないさ。お前の担当の黒服も、多分、聞かされてないだろ」

 少年を拘束していた髪を解きながら、そういうH
 訳ありげにニヤリと笑いながら、続ける

「お前さんの担当に、この事は聞かない方がいいぜ?多分、知らされていないだろうし…ヘタにその事を知ったと上層部に知られたら、お前さんもろともその黒服も消されるかもしれないしな」
「っ!」

 …担当黒服に聞かないよう、予防線まで張ったか
 この極悪人が
 少年は、Hの話を半分以上、信じてしまっている
 「組織」ならば、そう言う事もありうると、考えてしまっているのだろう
 …Hの話を肯定できる材料はない、が、同時に、否定できる材料も存在しないのだから

 そろそろと、まだ、どこか困惑を抱えている表情で、少年は辰也を見上げてきて

「その……すみません。何も知らないで…」

 と、謝ってきた
 いや、嘘なのだから、謝る必要性など存在しないのだが
 むしろ、Hが少年に謝るべきだろう
394せんみつ二人と少年  ◆nBXmJajMvU :2010/04/13(火) 15:00:46.14 ID:zs25bz8r0
「別に、いい」

 短く、そう答える
 これ以上、Hの嘘に付き合わされて溜まるか

「そうそう、今、こいつと行動しているマッドガッサー達。あいつらも、極秘任務についている奴らだから。手を出さないようにな?」
「は、はい」

 ……まぁ、いいか
 こちらの身の安全を、作ってくれているようだし
 戦わずにすむのなら、それがいいだろう
 面倒臭くないのだから

「…「組織」は秘密主義だからな。こう言う事はよくあるんだ。気をつけとけよ?」

 ニヤリと、楽しそうに楽しそうに笑っている、Hの姿に
 辰也は呆れたように深くため息をついて、少年に同情したのだった




fin
395以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 15:03:10.11 ID:zs25bz8r0
三面鏡の人様とケモノツキの人様に紐なしバンジー剣山焼き土下座!!orz
勝手に達也にH-No.9捕縛の情報流させちまいました
そして、悠司君、名前を出せず申し訳ない
名前こそ出ていませんが、話中の少年は悠司君です
Hが悠司君に大嘘ついてしまって改めて焼き土下座orz
396以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 15:23:34.57 ID:zs25bz8r0
構想中ほ
397以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 15:46:45.63 ID:zs25bz8r0
ほほ
398以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 16:08:23.48 ID:zs25bz8r0
399恐怖のサンタ ◆8SAuypmHlgjS :2010/04/13(火) 16:23:13.02 ID:v/ypp2Mf0

「……契約者、まさか子どもにまで手を出すなんて。外道ですか? 鬼畜なんですか?」
「待て。いきなり何でそんな事を言われなきゃならん」

 迷子と思わしき少女を見つけてから約1時間後。
 俺は良子を筆頭とする同居人4人と合流していた。
 元々一人で探すつもりだったのだが、いかんせん少女が泣きやまないのだ。
 住所を聞いても、名前を聞いても、少女はただ泣くばかり。
 いい加減俺の方が泣きたくなってきたので、頼みの綱の女性陣にお呼びがかかった次第である。
 呼ばれた側の女性陣の一人、二条 佑香はげっそりとした俺の顔と、現在良子によってあやされている少女を見比べて

「……ロリコン?」
「違う」
「……ペド?」
「……それも違う。つーか、仮にも10歳のはずだろ、お前。何でそんな単語知ってんだよ……」
「今の子供は、みみとしまし」
「ませ過ぎだろ……後、『みみとしまし』じゃなくて『みみどしま』な」
「どっちも大して変わらないの思うの」
「変わるわっ!」

 ……なんという不毛な会話だろうか。
 子どもの事は子どもに、と佑香も呼んだのだが、この状況を鑑みると間違いだったのかもしれない。
 マゾは論外として、良子と沙希だけを呼ぶべきだったと、今更ながらに後悔する。

「…………ん? そういえば沙希は?」

 つい最近山田家に住まい始めた一人の女性を思い浮かべて、周囲を見渡す。
 合流する際に姿を見たはずなのだが、それから一度もその姿を見ていなかった。
 今までの会話を聞いて、呆れて帰ってしまったのだろうか。
 彼女の性格からしてそれはないと考えつつも、何となく不安になる。
400以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 16:24:54.27 ID:zs25bz8r0
しえーん
401恐怖のサンタ ◆8SAuypmHlgjS :2010/04/13(火) 16:26:31.75 ID:v/ypp2Mf0

「沙希さんなら、そこにいるじゃないですか」

 しかし、そんな心配も杞憂だったらしい。
 マゾの指差す先、少女をあやす良子の後ろに隠れるように、沙希が立っていた。
 春なのに未だに赤いコートを着ている彼女は、その派手な格好と対照的に何だか縮こまっているように見える。
 時折手を少女に伸ばそうとしてはひっこめているのは、まだ人間の、それも小さな女の子にあまり慣れていないからか。
 当人としては真面目なのだろうが、見ているこちらとしては何とも微笑ましい限りである。

「沙希さんは何をやっているんでしょうか」
「さぁ……?」

 マゾと佑香が、その光景を見て首を傾げあう。
 佑香はともかく、マゾは多少そう言った機微に聡そうなイメージが俺の中に存在していたのだが、どうやら俺の想像は外れていたらしい。
 いや、そもそも嫌われている事を自覚せずにストーカーを続けている時点で、そう言った機微を微塵も理解していないのかもしれないが。

「それで、人海戦術ですか、契約者」

 傾げていた首を途中でこちらに向け、マゾが尋ねる。
 実際はともかく、こうしてみるとただの可愛い女の子である。

「あの子の親を探すには探すけど、たった5人で人海戦術は何だか違うだろ」
「5人ジャネェダロ、6人ダロウガヨォ」
「……いや、お前断りそうだったし、そもそも悪魔を数えるのは『人』であってるのか?」

 唐突に頭上から響いた声の主は、デビ田。
 いつの間に実体化したのか、小さな蛇の姿で俺の頭の上にとぐろを巻いていた。
 ぺちぺちと、不機嫌そうに尾で俺の頭を叩いている。
402以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 16:28:06.96 ID:zs25bz8r0
デビ田は「人」ってか…姿的に「匹」?支援
403恐怖のサンタ ◆8SAuypmHlgjS :2010/04/13(火) 16:29:27.75 ID:v/ypp2Mf0

「オレサマハテメェカラ離レラレネェンダヨ。テメェガ動イタラオレサマモ着イテイカナキャナンネェダロウガ」
「素直じゃないのな、お前。あれか、ツンデレか」
「誰ガつんでれダ、誰ガッ! オレサマハ事実ヲ言ッテルダケダロォガ。ソレモ分カンネェノカ、オイ?」
「相変わらず口の悪い蛇だね、山田。山田が飼いならしてないから動物は反抗するんだぞー」
「蛇ジャネェッ!? 悪魔ノ囁キダヨ、悪魔ノ囁。イイ加減覚エヤガレ、チッコイノ」
「ふ、山田の頭に乗る様な子蛇に『ちっこいの』なんて言われても」
「ウッゼェ! コノちびマジデウッゼェ!」

 ……うぜぇのはいいから、俺の頭上で議論しないで欲しい。
 実体化してもデビ田の声は俺の頭に直接響くように伝わって来るので、正直先程から軽いめまいに襲われていた。
 感覚を共有しているはずのデビ田が何ともない事を考えると、もしかしたら精神的なダメージによって引き起こされたものなのかもしれない。

「…………はぁ」

 溜息をついて、自分の周囲を見回す。
 俺から少し離れた所で、良子と沙希は少女にかかりきり。
 佑香とデビ田は、俺の頭上で口喧嘩。
 マゾはあの三人の内の誰かを見つけたのか、匂いがどうのと言ってさっさと消えてしまっていた。
 つまり、俺だけ一人、ある意味蚊帳の外である。

「…………はぁ」

 もう一度、今度は少し小さめの溜息をつく。
 少女の親を見つける事が出来るのは、大分後になりそうだった。

【終】
404以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 16:33:51.34 ID:v/ypp2Mf0
迷子と山田のその後を少し
悪魔の囁き騒動にほとんど関わってないので、山田たちは呑気に毎日を過ごしてます

>>402
>デビ田は「人」ってか…姿的に「匹」?
山田「それだ!」
デビ田「死ネ!」
405以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 16:34:06.00 ID:zs25bz8r0
乙でした!!!
頑張れ山田、精神的ダメージはデビ田にはいかないから君だけが味わうダメージだ!!

>マゾはあの三人の内の誰かを見つけたのか、匂いがどうのと言ってさっさと消えてしまっていた。
一定範囲内に三人のうちの誰かが入ると感じ取るんだろうなぁwwwwwwwwwwww
406以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 16:42:28.93 ID:v/ypp2Mf0
>>405
>頑張れ山田、精神的ダメージはデビ田にはいかないから君だけが味わうダメージだ!!
山田「そんな特権欲しくない……」
デビ田「ソノ代ワリ肉体的苦痛ハ全部オレサマニ来ルダロォガ」

>一定範囲内に三人のうちの誰かが入ると感じ取るんだろうなぁwwwwwwwwwwww
マゾ「いるだけで存在、息遣いを感じるなんて、まるで恋人同士!」
山田「ねーよ」
デビ田「ネーヨ」
407以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 16:47:04.49 ID:zs25bz8r0
夕食後もスレが残っていてくれれば幸せだ!!
ユニコーンリターンかカイザーバグか、どっちか今夜中に書きたいなぁ

>>404
>悪魔の囁き騒動にほとんど関わってないので、山田たちは呑気に毎日を過ごしてます
せいぜいデビ田と関わった事と、山田とマゾが爆破させられたくらいだしな
マゾはタコにも襲われてるが

>マゾ「いるだけで存在、息遣いを感じるなんて、まるで恋人同士!」
ねーよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
その感覚はある意味凄い事だがwwwwwwwwwwwww
408以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 16:56:23.86 ID:v/ypp2Mf0
いってらー

>>407
>せいぜいデビ田と関わった事と、山田とマゾが爆破させられたくらいだしな
>マゾはタコにも襲われてるが
あれ、マゾ方面からなら結構切り込める……?
……リア充爆発が本当にリア従になったらどうなるかとか一瞬頭に浮かんだけど、マゾ的にどう考えても没です本当にありが(ry
藤崎関係で攻めてみるのもありかなぁ

>その感覚はある意味凄い事だがwwwwwwwwwwwww
もはやある意味悟りの境地
409以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 17:28:12.70 ID:v/ypp2Mf0
夕飯前ほ
410kk:2010/04/13(火) 18:00:41.76 ID:V/S+XBuj0
このレスを、見たら
7日後以内に死にます
無残な姿で死にます
回避する方法は1つ
このレスをコピペしてほかのスレに7つ張る事です。
100%これをやってください
ほんとうに、死にます
411以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 18:32:20.92 ID:gpJgL00g0
夕飯作るぜほ
412以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 18:41:06.62 ID:T05zFKp1O
帰宅ほ
413以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 19:05:08.44 ID:T05zFKp1O
PCで書きつつ携帯でほ
414以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 19:28:58.11 ID:USOyJRqd0
ごちそうさまでしたただいま
415カウントダウン ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/04/13(火) 19:34:50.61 ID:USOyJRqd0
暗い
暗い暗い部屋
何も見えない、何の音もしないその部屋は
彼女にとってとても大好きな『におい』がした
暗闇の中でありながら、部屋の中にある道具の数々の存在が手に取るように判る
判るからこそ
彼女は恐怖した
己がそこに拘束されているという事実に
「ようこそボクの研究室へ」
ぱちん、と音を立てて無機質な蛍光灯の明かりが室内を照らす
手術台へと拘束されたH-No.9と、それを悠然と見下ろすドクター
H-No.9の四肢は素材不明のベルトでしっかりと拘束されており、暴れようとしてもびくともしない
「身体の調子はどうだ、どこかまだ痛むところはあるかね?」
その言葉に、ふと力を込めた四肢に不自然な痛みが全く無い事に気が付く
「都市伝説の耐久力と回復力があるとはいえ、『飲むだけで傷を癒す薬』の効果は上々というわけだ」
「……どういうつもり?」
「どうもこうも、怪我をしていては存分に愉しめないだろう?」
何を言いたいのか理解できず、混乱するばかりのH-No.9
そんな彼女の唇を、ドクターの唇が覆い塞ぐ
「んっ!?」
ドクターを自分と同じタイプの人間だと想定していたH-No.9からすれば、余りにも予定外の出来事だった
だが予想外とはいえ混乱はすぐに収まり、口腔へ侵入してくる悪寒にも似た快感を遮断するべく反射的に抵抗する
「――っ」
僅かに眉根を寄せて、ドクターは口元を押さえて身を引いた
口中に広がる血の味に、残念そうな顔をして肩を竦める
416カウントダウン ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/04/13(火) 19:35:45.24 ID:USOyJRqd0
「随分と手厳しいな」
「肉欲と快楽で愛でも教えようって魂胆? その程度でどうこうできるなんて思わない事ね」
血の味を確かめながら、己の優位を確保しようと余裕の笑みを浮かべ語ろうとしたその時
室内に金髪の看護婦がぺこりと頭を下げて入ってくる
「まったく、事が済んでから紹介するはずだったというのに」
この女は何を言っているのだろうか
そんな疑問に答えるかのように、看護婦が微笑みながら自己紹介をする
「初めまして、ドクターの契約都市伝説の『エイズ・メアリー』です」
「……な、に?」
口腔に広がる血の味と、僅かに残る事故の際の傷の感触が、鮮烈に蘇る
「貴様、まさか最初から、このつもり、で?」
「君が反省し今までの行いを悔いるようであれば。この言葉を言わずに済んだのかもしれないのにね」
心底残念そうに溜息を吐き、ドクターはH-No.9の耳元でそっと囁いた
「Welcome to the world of AIDS」
全身にぶわりと嫌な汗が浮かび上がらせ
明らかに動揺した目で、ドクターとメアリーを交互に見る
「『組織』の黒服なら、都市伝説が本物かどうかぐらいは判るのだろう?」
血の混じった唾液でその唇を濡らし、拘束されたままのH-No.9の身体に優しく触れる
「ボクはね、君の非人道的な実験の数々に関しては咎める権利は無い。その一端を利用させてもらった立場でもあるからね。だが、無差別に病をばら撒くという行為には、医者として反省を促さなければいけない」
服のボタンを外し、少しずつ、少しずつ肌を露わにさせながら
踊るように、啄ばむように、肌の上に指を走らせながら
「実験に関する報いは後から来る者に任せて……ボクには、病を患うという事の苦痛と苦悩と恐怖を、じっくりと体感した上で感想を述べていただこう」
連絡を受けた黒服Hと辰也が診療所を訪れるまでの間
H-No.9には、感染という恐怖を内包した数多の快楽が与え続けられた
417カウントダウン ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/04/13(火) 19:37:36.65 ID:USOyJRqd0
―――

「というわけで、お楽しみモードに入ったので私は引き上げてきました」
「ドクターってああ見えてドSですからねー」
「いやいや、普段からどう見てもドSだから。ていうかドクターって感染能力使えたっけ?」
「使えませんよ。私の契約者としての能力は、あくまで私の扱うウイルスの影響を受けないための耐性能力だけです」
地下にある研究室の声は全く届かない、地上の診療室
茶飲みに訪れるご老人方から戴いた羊羹をつつきつつ、のんびりとお茶を啜る診療所の面々
「第一、本当に私の力で『都市伝説級のエイズ』を感染させたら、Hさん達に引き渡す前に死んじゃいます」
「そういやそうだな。本場の黒服でさえ秒殺だったし」
白衣姿のバイトくんが、出会った当時の事を思い出しながら苦笑する
「姉さんも総統のところに預けてきましたし、看病の手伝いにはミツキさんも行きましたし。黒幕に関わるつもりが無ければ、我々は一件落着といったところですか」
エニグマ妹、デリアがやれやれといった調子で羊羹をつつく
「それにしても……姉さんもあんな能力にしてやられるなんて。能天気に見えて気苦労が多いんですかね」
エニグマ姉、コンスタンツェの苦悩の原因が自分にあるとも知らず、のんびりと羊羹を堪能するデリア
最も、そんな事に気付いているのはコンスタンツェのみなのだが
「ところで、Hさんと辰也さんは何時頃到着するんですか?」
「さあ……なんだか忙しそうだったので何時になるかは」
ドクターの洗練され過ぎた技術を知っているメアリーは、地下で快楽漬けにされているであろうH-No.9に大きな哀れみと小さな嫉妬の念を送るのであった


418以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 19:41:26.76 ID:USOyJRqd0
代理終了ーなんだぜ
419以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 19:41:58.04 ID:T05zFKp1O
代理乙ですー
そして風呂前ほ
420以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 19:58:55.44 ID:gpJgL00g0
皆様乙です

H-No.9はもう長くはないな……ってかドクターwwwww

山田の哀れっぷりが他人事に見えなくて泣けたぜ!
421以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 20:18:30.60 ID:USOyJRqd0
やられ役雑魚何にするかなと悩みつつほ
422以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 20:33:20.53 ID:gpJgL00g0
よし、では投下します!
423以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 20:35:38.38 ID:USOyJRqd0
wktk支援
424Tさん ◆mGG62PYCNk :2010/04/13(火) 20:36:31.26 ID:gpJgL00g0


            ●


 去ったマドカが歩いて行った先をのんびりと見つめながら舞はぽつりと呟いた。
「姐ちゃん、本当にあんまり無茶しなけりゃいいんだけど……」
「……そうだな」
 マドカの様子を見て分かったが、彼女は大分直情的だ。朝比奈秀雄と接触するようなことがあったらカッとなって無茶をしかねない。
 自重してくれるといいのだが。
 Tさんがそう考えて彼女の心配をしていると、頭に軽い重さが来た。
 リカちゃんが舞の頭からTさんの頭へと飛び移って来たのだ。何事かと問いかけると返答代わりに質問が来た。
「お兄ちゃん、あのお……お姉ちゃんのけーやくしていたとしでんせつってなんだったの?」
 なぜ一度「お」で言葉が止まったのかは訊かないのが情けというものだろう。
 Tさんと舞はアイコンタクトを取り、無言で頷き合う。
「気になるか?」
 頭上に向けて言うと、「うん」と返事があり、舞からも「俺も気になる」と返答があった。
 Tさんは分かった。と頷くと、「では一つヒントだ」と指を一本上げた。
「あれは、今までに舞やリカちゃんも見たことがある都市伝説だな」
「え?」
「みたこと……あるの?」
 疑問符を浮かべて二人は記憶を辿ったようだが、ものの数秒で音を上げた。
「……もう一つヒント!」
「朝比奈マドカが能力を使った時に起こった現象を思い出してみろ」
「んー?」
「ぱーって光ったの」
 リカちゃんがTさんの頭上で手をパーっと広げる。舞は「そういや、光ったな」と頷き、
「いや、光るって事だと割と皆ピカピカ光ってなかったか?」
 ほら、浅井のおっちゃんのネックレスとか夢子ちゃんの電飾が付いたパレードとか、と言っている舞にTさんはもう一つヒントを出した。
「光と共に、転移の方にも着目してみたらどうだ?」
425以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 20:37:45.59 ID:USOyJRqd0
おば、ですね支え(このレスは光に包まれた後、壁に埋め込まれました
426Tさん ◆mGG62PYCNk :2010/04/13(火) 20:39:15.55 ID:gpJgL00g0
 転移? と呟いてリカちゃんと舞が顔を見合わせた。
「「――あ!」」
 気付いたようだ。その能力者の女性の愛称を連呼しながらしきりにリカちゃんと舞は頷いている。
 Tさんが正解。と告げると二人はひとしきり喜び、その後、リカちゃんが覗き込むようにTさんの頭上から顔を出して問いかけてきた。
「お兄ちゃん、あれだけみてわかったの?」
「特徴的だからな」
 リカちゃんに答えてやると舞がいやいやと感心した顔で手をパタパタと左右に振った。
「それでもあれだけで分かるんだから寺生まれってやっぱすげえよ」
 それに「まあ」と返す。舞とリカちゃんは「いやあスッキリした!」「すっきりしたの!」と言い合いながら部屋へと戻るべく歩き出した。
「元気な事だ」
 それを好ましいことだと思い、Tさんは二人にのんびりと付いていきながら、
懐から端の方がマドカに握りつぶされてグシャグシャになっている≪セイレーン≫の契約者の似顔絵が描いてある紙を取り出した。
 思案する。
 玄宗エリカと≪日焼けマシーンで人間ステーキ≫の青年は知り合いだったから既に≪セイレーン≫の契約者の絵を保持していることだろう。
もしこの人物の正体が分かっていないようならば、人相が変わってしまっている事を前提とした上で≪日焼けマシーンで人間ステーキ≫の青年にこの絵をもう一度よく見てもらうか……。
 マドカが≪セイレーン≫の契約者の正体に当たりを付けた時の様子からして、おそらくそれなりの因縁があった相手なのだろう。
だとしたら翼が≪セイレーン≫の契約者の正体を知っている可能性もある。言ってみる価値はあるだろう。現状、情報は多いに越したことはない。
 それに、
 日景の家についてもだ。
427以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 20:40:47.86 ID:USOyJRqd0
実は以前、直希とエリカが翼を他の人達からちょっと引き話した時に聞いてるんですよ支援
「見覚えあるような気がするけど違うような気がする」って答えたけどね
428Tさん ◆mGG62PYCNk :2010/04/13(火) 20:42:01.63 ID:gpJgL00g0
 昨日電話で黒服は日景の家に翼と共に赴き、日景がどういう家なのか聞いてきたと言っていた。
何を聞きに行っていたにせよ、黒服側から現在の日景の家長へと話をしに行ったのならば
注意を促すために権力を狙っている朝比奈秀雄の件について少しは言及したことだろう。
 それならば当主の側から現在の日景繁栄の元である≪小瓶の魔人≫についても話が及んだだろうか? 
都市伝説の存在を確信している当主の側がそこに思い当る可能性は高い。しかしそれを外部の者に話すだろうか?
 ……いや、言及していなかった場合は俺が黒服さんに話をすればいいか。
 知ってしまった以上、≪悪魔の囁き≫の件に深く関係のある≪小瓶の魔人≫の件は黒服にも知っておいてもらうべきだろうとTさんは思う。
 何よりも問題なのは、
 ≪小瓶の魔人≫の存在を朝比奈秀雄が知っている可能性が高いということか……。
 もし朝比奈秀雄が日景家の≪小瓶の魔人≫の存在を知っているとなると、彼は権力だけでなく≪小瓶の魔人≫の力をも欲していることになる。
 ≪小瓶の魔人≫、アラブのジンが入っていたという話の具現、下手をするとかなり高い位階のジンが封印されている可能性がある。
更に彼は≪悪魔の囁き≫という、力を引き出す事が出来る都市伝説とも契約している。それらを持って悪意を振り播かれるのは、
「御免こうむりたいな」
 先を歩く舞とリカちゃんを見て思う。
この子たちに悪意は触れさせはしない、と。
429Tさん ◆mGG62PYCNk :2010/04/13(火) 20:44:29.22 ID:gpJgL00g0
さあ、花子さんの人に向けて接足作礼だ!

マドカ出発後の話
懸念とか伝えなければならないかなとTさんが思ったことをつらつらと
情報交換は構想があるようなので花子さんの人にパス!

>>355
うちの子は殺さない程度に自由に使ってくださいませませええええ!


>>427
やっぱり絵を持ってたw

>>425
ええ、おば――
430以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 20:44:30.09 ID:USOyJRqd0
しえええん
431以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 20:45:47.89 ID:USOyJRqd0
っと、乙っしたー!!
情報交換シーンと、舞のところにユニコーンリターンを構想中だぜ!!
まぁ、順番的にはユニコーンリターンが先ですが

>ええ、おば――
一緒に壁に埋まろうか
432以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 20:47:45.63 ID:gpJgL00g0
ええ、大人しく壁に埋まりましょう
リカちゃんの代わりだと思えば……
433以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 20:49:44.11 ID:USOyJRqd0
>リカちゃんの代わりだと思えば……
リカちゃんが壁にハマって、じたばたしてる様子を想像してしまったじゃないか



しかし、ほぼ一撃必殺のこれも、秀雄相手には一撃必殺にならないんだよなぁ
まぁ、そうならないように秀雄の第三の都市伝説決めたのは俺だが
434以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 21:02:53.59 ID:gpJgL00g0
>>リカちゃんが壁にハマって、じたばたしてる様子を想像してしまったじゃないか
いかん、かわいいww

>>しかし、ほぼ一撃必殺のこれも、秀雄相手には一撃必殺にならないんだよなぁ
これは壮大な(元)夫婦喧嘩のフラグか……!?
435以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 21:11:14.03 ID:USOyJRqd0
>いかん、かわいいww
リカちゃんなら、転移すれば問題ないしなwwwwwwww

>これは壮大な(元)夫婦喧嘩のフラグか……!?
決戦の構想が固まれば固まるほど、壮大な親子喧嘩と壮大な(元)夫婦喧嘩になって困るwwww
436以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 21:13:59.61 ID:v/ypp2Mf0
Tさんの方、乙ですー!

夫婦喧嘩で家が全壊した、とか学校町じゃ日常的に起きてそうで怖い
437以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 21:29:38.81 ID:USOyJRqd0
>夫婦喧嘩で家が全壊した、とか学校町じゃ日常的に起きてそうで怖い
ありそうだけど、限りなく近所迷惑だwwwwwwwwwwwwwwwwwwww


直希「…一度だけ、朴達の両親が夫婦喧嘩をした事があったが、あれは酷かった」
エリカ「……思い出したくないわね」(遠い目)
438以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 21:34:44.26 ID:T05zFKp1O
Tさんの人乙でしたー

彼氏の姉と大喧嘩したあげく家を全壊させて意気投合した奴もいるくらいだ、多分一日一軒くらいは家が吹き飛んでるだろう
学校町住民は救急車が通った程度にしか思ってなさそうだが
439以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 21:45:30.57 ID:USOyJRqd0
>学校町住民は救急車が通った程度にしか思ってなさそうだが
そう言えば俺の好きなライトノベルの短編の方で、街で大規模破壊が起きても、住人が慣れちゃってて自分達で街を治し始めたシーンがあったなぁwwwwww
最早自然災害扱い
440以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 22:00:03.35 ID:T05zFKp1O
ネタ書きつつほし
441小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/13(火) 22:09:36.84 ID:USOyJRqd0
 暗闇の中、火花が飛び散る
 対峙しあうは、大きなドラゴン…カイザーと、巨大な鎌を持った老婆…ダッシュ婆あ
 暗闇の中、二体は鋭く睨みあっていた
 その様子を、カイザーの契約者たる竜宮 海造はじっと見下ろす

「…さぁ、行くよ、カイザー」

 …強くなった自分達の実力を、示すのだ


 カイザーが、先端がめらめらと燃えている巨大な尻尾を振り回し、ダッシュ婆あに叩きつける
 カイザーの「たたきつける」だ
 しかし、それはダッシュ婆あの素早い動きで避けられてしまった
 このダッシュババア、契約者なしの野良都市伝説である
 だが、人間に近い姿をしている彼女、人間に混じって生活した経験もあり…カイザーの正体を、知っていた
 ゲームから生まれた都市伝説
 それ故に、強くとも制限が存在しいている
 たとえば…使える技は4種類まで、と、ゲームに忠実な点などだ
 よって…技を四つ見切ってしまえば、勝機はある

 カイザーが、口をあけた
 めらめらと、口の中に生まれる炎………「かえんほうしゃ」か「だいもんじ」と言ったところか
 吐き出されたそれ(「かえんほうしゃ」だった)、を、ダッシュ婆あは持ち前のスピードで避ける
 そのまま鎌を構え、目二も止まらぬスピードで近づいて…

 直後
 カイザーの姿が、消えた
 後ろに生まれた気配
 それは、ダッシュ婆あと同じくらいのスピードで飛び、接近してくる
 …「こうそくいどう」か
442小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/13(火) 22:14:05.29 ID:USOyJRqd0
 そして、それはダッシュ婆あに狙いをつけて……高く、飛び上がった
 今度は。「そらをとぶ」

(……四つ目!)

 四つ
 四つ、技を使った!!
 空中からの体当たりを、すんでのところで避けた
 これで、相手の技はわかった
 あとは、相手の技に合わせて戦うだけだ!

 鎌を構え、駆けるダッシュ婆あ
 すれ違いざま、車のタイヤを切り刻むのと同じ要領で、カイザーを滅多切りにした
 全身に切り傷を作り、地を流すカイザー
 しかし、ぴろりん♪と電子音が響いて、その傷はすぐに治ってしまった
 やはりゲームと連動しているか
 どうせ、回復のアイテムは全てMAXまで持っているのだろう、四天王虐めで金稼ぎして
 ならば……契約者を、直接叩くのが一番だ
 契約者はどこにいる!?
 辺りを見回すダッシュ婆あを、カイザーが鋭く睨んできた

 大きく口を開くカイザー
 口の中でちろちろと燃える炎……また、「かえんほうしゃ」か!
 吐き出されるそれを、ダッシュ婆あは再び避けようとして


 しかし
 先ほどの「かえんほうしゃ」とは全く違う動きで迫ってきたそれに……囲まれてしまった

443小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/13(火) 22:18:49.28 ID:USOyJRqd0
「な!?こ、これは…」

 これは…「かえんほうしゃ」ではない
 「ほのおのうず」だ

「バカなっ!?」

 既に、技は四つ全て出してきたはず!?
 「たたきつける」「かえんほうしゃ」「こうそくいどう」「そらをとぶ」の四つのはず
 …「ほのおのうず」を使う隙間はないはずだ!?

(い、いや、だが……これは、チャンスだ!)

 「ほのおのうず」の最中は、相手も身動きできないはずだ……初代版ならば
 ならば、この炎からうまく脱出して、契約者を探せばよい!!


 …そのダッシュ婆あの思考は、叶う事はなかった
 ダッシュ婆あを囲む炎の向こう側で、大きく口を開いたカイザー
 その口の中で……炎は、燃えておらず
 代わりに、鋭い光が生まれて

 その口から発射された「はかいこうせん」によって
 ダッシュ婆あは、消し炭同然にされて吹き飛ばされて……その体は、すぐ近くを流れていた川に落下して、流されていってしまった



「……やったぁ!!」

 無邪気に笑う海造
444小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/13(火) 22:20:54.24 ID:USOyJRqd0
 …やった!
 成功だ!

 ばさり、カイザーが海造の元にやってくる

「やったね、カイザー!」

 ぐぉぉん、嬉しそうに返事をするカイザー
 もう負けたくないという、海造の想い
 それを受けて…カイザーは、新たな力を得た

 バグとして生まれる存在の力
 カイザーの噂が流れているゲームには、いくつかのバグ技が存在している
 バグってしまった存在
 故に……そのゲームの制約から「外れた」存在
 技は四つのみ、というその制約が……外れたのだ

 もっとも、これは危険な試みだ
 一歩間違えば、カイザーはバグってしまった存在として、暴走しかねないのだから
 HPを4ケタ以上にするなど、他にもできそうなこともあるが……まずは、これだけでいいだろう
 危険を背負うリスクは、少ない方がいい

「これで、もうあのお兄ちゃんにも負けないよね」

 そうだ
 もう、負けてなるものか

 自分は、世界の十分の一をもらうのだ
 そう、約束している
 負けるわけにはいかないのだ
445小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/13(火) 22:21:43.66 ID:USOyJRqd0
「沙織おねーちゃんにも、幸せになってもらいたいしね」

 姉のように慕う、藤崎 沙織
 彼女の願いも叶えばいい、と海造は考える
 その願いがどんなものなのか、海造はよく知らないけれど
 彼女には幸せになってほしいと願うのだ

 そして
 自分も、幸せになってみせる
 世界の十分の一を、手に入れる事ができたならば
 大好きな彼女に、プロポーズしてみせるのだ


 子供っぽい、無邪気な願いを抱えて
 海造は、残酷なその行為から、抜け出す事など考えもしなかった



 己の行っている行為の残酷さに
 この少年は、まだ、気づいていない
 



to be … ?
446以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 22:23:10.11 ID:USOyJRqd0
サブタイが決まらなかった時「小ネタ」で纏めるのは悪い癖だと思う今日この頃
とりあえず、カイザーがパワーアップしたようです
技の種類の上限がなくなりました
ついでに…元ネタとなったポ○モン二種類が使えないはずの技も、使えるかも



ちなみに、流されたダッシュ婆あがどうなったかは知らん
どうせ、ヤラレ役用の一発キャラだし
447笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/04/13(火) 22:38:41.13 ID:USOyJRqd0
【橙レイモンのブギーバック2〜ダブルフェイス首吊り判事〜】
(一部、現在の制限などを豪快に無視した描写がございますが
 そのような描写に不快感を感じる方などは今すぐブラウザの戻るなどを押して下さい
 ……正直D-HEROの規制がひどすぎるしちょっと破るくらい良いよねって話です)
 
こんにちわ、橙だ。
みなさんは●●王とかD●とか呼ばれているカードゲームを知っているだろうか?
私が自由を得てからと言う物、上田明也が盛んにやろうと誘ってくるので、
私も仕方なくデッキを組んでみたのだ。
というかデッキを一つ押しつけられたのだ。

「これが、アルカナデッキだ!
 さぁ勝負だ!
 すぐに勝負だ!
 全速前進DA☆」

ルールも知らない私に上田明也は細かく丁寧に戦い方を教えてくれた。
はっきり言って上田明也にはデュエルの才能は無い。
カードのプレイングだってコンピュータのように覚えた物を状況に応じて行っているだけだし、
あっと驚くような奇抜なデッキ構成ができる訳でもない。
しかし私とカードで遊んでいるときの彼の眼は少年のように輝いていた。
特に巨大ロボットを模したモンスターを出すときは

「はっはっはっは!ヒーローは何度でも蘇るのさッ!」

とか言っていた。
キャラブレークも甚だしいのである。
448笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/04/13(火) 22:40:32.67 ID:USOyJRqd0
今日はそんな上田明也と久しぶりにとある物を賭けて勝負することになっていた。
彼の使用するデッキは俗にマシンガジェと呼ばれる類の物だ。
マシンナーズ・フォートレスというモンスターを過労死するんじゃないかって位使い続けるデッキだ。
上田はそのモンスターのことを正義の為に戦うロボットだと称していたが……
あの姿はどう見たってゾンビである。
あんなしつこい正義の味方はお断りだ。

カランコロン
笛吹探偵事務所のドアに備え付けられた鈴が鳴る。

「よぅ、橙。待っていたぜ。」
「上田明也、約束は忘れていないよな?
 今日こそお前に勝ってみせるぞ!」
「良いぜ、お前が勝ったらドイツ旅行でも何でも連れて行ってやるよ!
 ただし負けたら解っているな……?」
「勿論だ、それじゃあ……。」
「おう!」
「「デュエル!!」」

かくして私は上田明也を独占しつつ
両親が居るはずの生まれ故郷であるドイツを巡る旅の権利を賭けて
勝負することになったのである。
449以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 22:40:39.07 ID:gpJgL00g0
乙ですよー

>>リカちゃんなら、転移すれば問題ないしなwwwwwwww
と言うことはマドカの能力は融合させるんじゃなくて転移させるだけ?

カイザーがついにバグの道に入ったぁああ!
バグか……懐かしいな……最終的にロクな結果にならんかったが
450笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/04/13(火) 22:41:53.70 ID:USOyJRqd0
「私の先攻だ!ドロー!
 私はD-HEROダイヤモンドガイを召喚する!
 ダイヤモンドガイの効果を発動!
 ダイヤモンド・シルエット!
 デッキトップのカードをめくり、通常魔法だった場合はその効果のみを次の私のターンに発動する。
 私がめくったのは【終わりの始まり】、こいつの効果はデッキからカードを三枚ドローすること。
 さらに魔法・罠ゾーンにカードを一枚セットしてターン終了だ!」

「それじゃあ俺のターン、ドロー!
 ふむ……そういえば橙、お前いつの間にD-HEROなんて使うようになった?
 俺が渡したのはアルカナだった筈だぜ?」
「私が求めていたのはヒーローだからな。
 決して運命を操る力じゃないよ。
 運命は操ったり予言したりするんじゃなくて、打ち破ってこそだ。
 まぁ、…………お前のことだよ、上田明也。」
「お前にとっては俺がヒーローか?
 明日姉弟にでも聞かせてやりたいぜ。
 
 俺はそんなものじゃない。
 
 俺がヒーローであって良いものか。」

上田明也は吐き捨てるようにそう言うと手札を確認する。


451以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 22:43:48.01 ID:USOyJRqd0
>>449
>と言うことはマドカの能力は融合させるんじゃなくて転移させるだけ?
はい、融合って言うより、壁なり地面なりに対象の50%以上をめり込ませる能力ですね
まぁ、並大抵の力じゃ脱出不可能ですね
…転移能力保持者にはあっさりにげられるのがたまに傷ですが

>バグか……懐かしいな……最終的にロクな結果にならんかったが
所詮、バグはバグだからなぁ、としみじみ
452以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 22:45:23.88 ID:gpJgL00g0
おおなるほど。

支援
453笛 ◇rpv9CinJLM (代理2):2010/04/13(火) 22:52:09.75 ID:gpJgL00g0
「まずはサイクロン、お前の場にある伏せカードを破壊させて貰うぞ。」
「良いだろう、スキル・サクセサーを発動だ。」

スキルサクセサーにはモンスターの攻撃力を400上げる効果がある。

「ふぅん……。これでダイヤモンドガイは攻撃力1800。
 まあ良いか、俺は手札から豊穣のアルテミスを召喚しよう。
 さらにカードを二枚セットしてターン終了だ。」

「ヒーローじゃない、とか言う割には天使を使うだなんてな。
 悪魔の方がお前に似合っているぞ。」
「それは俺と天使と悪魔とヒーローに対する無知と偏見と差別と幻想というものだよ。」

「そうか、それじゃあ私は一枚ドローして……。
 ここでダイヤモンドガイが墓地に送った終わりの始まりの効果が発動する。
 私は山札から三枚ドローしよう。
 …………ふむ。
 ここで私は手札断殺を発動しよう。
 プレイヤーは手札を二枚選択して墓地に送り、デッキからカードを二枚ドローする。
 私が落とすのはダンディライオンとD-HEROディアボリックガイだ。」

「ほうほう、じゃあ俺はネクロガードナーと幸運の笛吹きを落とそう。」

「ダンディライオンの効果を発動する。
 こいつは墓地に送られた時に二体の綿毛トークンを場に残すぞ。
 トークンとD-HEROダイヤモンドガイを墓地に送り、D-HEROドグマガイを召喚!
 Wake up the HERO!Come on, Destiny Hero - Dogma!」
454笛 ◇rpv9CinJLM (代理2):2010/04/13(火) 22:54:33.13 ID:gpJgL00g0
私にはハッキリと解った。
いつもはあんなに穏やかに微笑みかける上田明也の顔が引きつっている。
どうやら彼はこれから起きることがはっきり解っているようだ。

「なぁ橙、俺達もっと紳士的な戦い方ができると思うんだがどうだろう?」
「お断りだ。D-HEROディアボリックガイを墓地より除外してディアボリックガイの効果発動!
 こいつはディアボリックガイを一体、自分フィールド場に召喚できる。」
「ふはははははははは!」
「ここでディアボリックガイを生け贄に魔法カード発動、モンスターゲート!」

説明しよう。
モンスターゲートはフィールド場のモンスター一体を生け贄に捧げて、
通常召喚可能なモンスターが出るまでデッキをめくり、
そのモンスターを特殊召喚するカードである。
他のめくったカードは全て墓地に送られる、つまりだ。

「ば、馬鹿な………。」

上田の目の前で私のデッキは半分以上に削られていった。
墓地には20枚以上のカードが積み上げられている。


「名推理発動!
 上田明也、お前はカードのレベルを指定しろ。」
「…………レベル6かな?」

もう一度言うが上田明也はこれから私にどう倒されるか解っている。
余裕を装っているが彼は半ば泣きそうになっていた。
455笛 ◇rpv9CinJLM (代理2):2010/04/13(火) 22:56:41.05 ID:gpJgL00g0
念のために説明しておこう。
名推理の効果とは以下のようなものである。
相手プレイヤーはモンスターのレベルを宣言する。
通常召喚が可能なモンスターが出るまで自分のデッキからカードをめくる。
出たモンスターが宣言されたレベルと同じ場合、めくったカードを全て墓地に送る。
違う場合、出たモンスターを特殊召喚し、残りのカードを墓地へ送る。
早速私はデッキをめくり始めた。

「流石名探偵、当たりだぞ上田明也!
 私が引き当てたのはD-HEROダッシュガイ!
 これでダッシュガイは今までめくった大量のカードと共に墓地に送られる!
 私は手札を丁度すべて伏せてターン終了だ。」

「はいはい、じゃあ俺のターンっと。」

「ここでドグマガイの効果発動!
 こいつが生け贄を使って特殊召喚された次のターン、お前のLPは半分になる!
 さらに罠カード【マジカル・エクスプロージョン】発動だ!
 こいつは自分が手札0枚の時に発動可能!
 自分の墓地に存在する魔法カードの枚数×200ダメージをお前にうけてもらうぜ!
 私の墓地に存在する魔法カードは20枚を越えているわけだが……。
 さて、上田明也、私をドイツに連れて行って貰えるかな?」

上田明也、破れたり。
私は軽い征服感と共に上田の頬をつついてみた。
思いっきり頬を揉みしだかれてしまった。
胸を揉んでやろうかとか小声で聞こえたが気にしない。
456笛 ◇rpv9CinJLM (代理2):2010/04/13(火) 22:58:55.32 ID:gpJgL00g0
「なぁ、あまりにもえぐいんじゃないか?」
「いや、勝つ為にはやらざるを得なかったというか……。」
「解った、ドイツ旅行には連れて行ってやる。
 ただしもう一度勝負に付き合え。」
「い、良いけど…………。」

やった!
私は柄にもなく飛び上がりたい気分になっていた。
まあそんな子供みたいなことしないのだが。
ちなみに再戦を求める上田の眼は笑ってない。
そして棚から何か怪しげなブリーフケースを取り出してきた。

「さて橙、これを使わされたのはお前で三人目だよ…………!」

ガチャリ、と大きな音がしてケースに掛けられた錠が落ちる。
というか暗証番号七桁の錠が二つもついているってどれだけ封印したかったのだろう?

「俺の“所有”する都市伝説は2つ有る。
 一つは村正・蜻蛉切。
 もう一つは憑喪神。
 このカードのアニメでカードの精霊って居るだろう?
 あれはまるっきり嘘って訳でもなくてね。
 ある日、俺の憑喪神が偶然、俺のもう一つのデッキの切り札に取り憑いたんだだよ。
 それ以来そいつはそのカードの姿で俺の前にやたらめったら現れるようになってだな……。
 ――――――――――当然、封印したよ。」

その黒く艶やかに光るケースから出てきたのは金色のスリーブに包まれたデッキだった。
私の見間違いだろうか?
それはなんとなくドス黒い雰囲気のような物を纏っている気がする。
457笛 ◇rpv9CinJLM (代理2):2010/04/13(火) 23:01:13.34 ID:gpJgL00g0
「憑喪神なんてものは本来、人間への恨み憎しみから生まれた存在だ。
 人間に大人しく使われているような物じゃない。
 俺の下に現れたカードの憑喪神もまあろくな存在じゃなかった。
 さぁ、シャッフルしろ橙。
 デッキを少し入れ替えても良いぞ。
 それは一度対策されると弱い類のデッキだからなあ。」

正直あまりムキになってもらっても困るのだが
彼の指摘も正しいので私はデッキを入れ替えることにした。
勿論、彼の嘘である可能性はあるがそれよりも本当に対策された時の方が怖い。
別に1killは私のメインの戦法じゃないし。
私の目的は達成したのだからそれはそれで良い気がするのだ。

HEROは愛の為に戦う。
愛のないHEROはHEROじゃない。
…………気がする。

「さぁ始めよう。
 カードに封じ込められた悪意の精霊達の織りなす宴を!
 こいつらの大好きな闇のデュエルをなぁ!」

上田明也の両手に強い光が満ちる。
次の瞬間、私と彼を真っ黒な霧が包んだ。
458以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 23:01:20.35 ID:USOyJRqd0
そろそろサル解除のはず支援
459以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 23:01:58.04 ID:I/Iwd9K/O
契約社員
460笛 ◇rpv9CinJLM (代理2):2010/04/13(火) 23:03:26.52 ID:gpJgL00g0
「ククク……、これが俺様のような闇のデュエリストのデュエル。
 通称、闇のデュエルだ。
 この学校町でも俺様と同じような闇のデュエリストは居るが……、
 その中でも俺様が最強の闇のデュエリストだ!
 橙・レイモン、貴様は今、ドグマブレードという“もっともやってはならないこと”を行った!
 この罪は誰にも裁けない……。
 ならば俺様が裁いてやろう!
 この闇のゲームにおいて貴様の司る運命すら俺様が断罪する!」

完全に言いがかりである。
大人げなさもここまで来ると可愛らしい。
普段はすかした顔して余裕ぶっているのに自分が負けたり負けそうになると必死になるのだ。
後で頭を撫でてやることにしよう。
というか闇のデュエリストとして覚醒すると一人称が変わるのか?
まったく、更に可愛いではないか。
録音して皆に聞かせてやりたいくらいだ。
十分に脅しのネタとして使える筈である。

「良いぞ、上田明也。闇のゲームとやらに乗ってやろう!
 いいや闇のデュエリスト、アキナリ!」
「俺様を名前で呼ぶなあああああああああああああああ!
 今の俺様は闇のデュエリスト“ジャスティス”だ!」

そう言って上田は左右の手の甲に光る白と黒のJの文字を見せつける。

「わ、解った…………。」

どうやら都市伝説に飲まれかけているようだ。
というか彼の使う憑喪神の容量の殆どってこれの為の容量なのじゃないだろうか?
461笛 ◇rpv9CinJLM (代理2):2010/04/13(火) 23:05:40.14 ID:gpJgL00g0
「解れば宜しい。それじゃあ開廷だ。」
「来い。」
「「決闘!!」」
「それでは俺様が先攻だ!
 デッキよりカードを一枚ドローする!」

ついにデュエルが始まった。
それと同時に私達の首に縄のような物がかかっている。

「これは…………?」
「ふん、これは闇のデュエルならではの特別ルールだ。
 足下に小さな穴があるだろう?
 ライフポイントが減れば減るほどに足下にあるその穴は大きくなる!
 0になれば当然穴は完全に広がり貴様を飲み込むのだ!
 そこで貴様の処刑は完遂される!」

成る程、話から推察するに絞首刑ということか。
しかし私の縄に関する質問にはまったく答えていない。
これが遊●王恒例の会話のドッジボールか?

「と言うわけで俺様はモンスターカードを一枚セット!
 さらに魔法・罠ゾーンにカードを一枚セットしてターン終了だ。」

あれだけ騒いでおいて初手は地味である。
良いだろう、私のD-HEROの力を徹底的に見せてやる。
あんな恥ずかしい男に負けて堪るかと言う物だ。
462以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 23:05:48.65 ID:USOyJRqd0
しええん
463笛 ◇rpv9CinJLM (代理2):2010/04/13(火) 23:07:49.17 ID:gpJgL00g0
「それでは私のターン!ドロー!
 私は手札からD-HEROダイヤモンドガイを召喚する!」

アニメのようにモンスターがリアリティのある映像で現れた。
これも憑喪神の力なのだろうか?
贅沢なことだ。

「ダイヤモンドガイの効果発動!
 説明は省略して…………
 ダイヤモンドシルエット!」
私は山札の一番上をめくって見せた。
【デステニー・ドロー】だ。
このカードは手札からD-HEROを捨てることで山札から二枚ドローすることが出来る。
「チッ、良いカードを引きやがる。」
「悪いな、私のドロー力は53万だ。」
「なん…………、だと?大した奴だ。」
「ダイヤモンドガイで攻撃!
 クレイジー・ダイヤモンド!」
「オリジナルの技名まで叫ぶとは貴様も闇のゲームに染まってきたじゃないか!
 ここで俺様は攻撃されたモンスターのリバース効果を発動する!
 ライトロード・ハンター ライコウの効果発動だ!
 フィールド上に存在するカードを一枚破壊し、自分のデッキの上からカードを三枚墓地に送るぜ!
 俺が指定するのは勿論ダイヤモンドガイ!」

やばい、なんて恥ずかしい上田明也なんだ。
これはむしろ惚れてしまうかもしれない。
ちなみに墓地に落ちたカードは
ゾンビ・キャリアと聖なるバリアミラーフォースとライトロード・パラディン ジェインだった。
読者の皆様はデッキ構成的に上田明也の方が裁かれろと思っているに違いないが
……可哀想なので言わないでやって欲しい。これでも私の保護者なのだ。
464以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 23:08:44.67 ID:sLbJyMqg0
まあ気持ち悪い
465以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 23:09:01.34 ID:USOyJRqd0
支援
466笛 ◇rpv9CinJLM (代理2):2010/04/13(火) 23:11:04.57 ID:gpJgL00g0
「ふむ、私のターンは魔法・罠ゾーンにカードを一枚伏せてターン終了だ。」
「ヒャッハァー!それじゃあ俺様のターンだ!
 俺様は手札よりライトロード・マジシャン ライラを召喚する!
 こいつの効果を発動だ!
 こいつは表側の時に攻撃表示から守備表示に変更することで相手の魔法・罠を一枚破壊する!
 フラッシュ・マジック!」
「くそっ、私の次元幽閉が!」

なんということだろう。
敵のモンスターの攻撃に反応して、攻撃したモンスターを除外する効果を持った罠を破壊されてしまった。
これでは攻撃がそのまま通ってしまうではないか。

「さらにここで伏せておいた罠カードを発動!
 閃光のイリュージョンだ!
 こいつは墓地に存在する☆4以下のライトロードを蘇生する!
 俺様はジェインを特殊召喚!
 さらに効果で手札よりガーディアン・オブ・オーダーを特殊召喚!
 こいつは場に二体以上の光属性のモンスターが居ると特殊召喚が出来る!
 さらに俺は手札をデッキトップに戻してゾンビキャリアの効果発動!
 こいつを墓地から特殊召喚できる!
 ただしこいつが次にフィールドから離れた場合は除外される。
 ジェインとキャリアをシンクロして……
 絶対零度の裁きを此処に、判決せよ氷結界の龍ブリューナク!」

上田……もといジャスティスのフィールドには氷の龍が現れる。
なんか裁判っぽい口上である。
そういえばあいつは都市伝説に出会うまでは弁護士だか検事だかを目指していたそうだ。
恐らくそれが原因だろう。
467以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 23:11:42.97 ID:USOyJRqd0
代理投下が終わるまで眠れない支援
468笛 ◇rpv9CinJLM (代理2):2010/04/13(火) 23:13:24.56 ID:gpJgL00g0

「それでは行くぞ!
 ブリュ(攻撃力2300)とオーダー(2500)でダイレクトアタックだ!」
「ってうわああああああ!」

ナレーションしている間にLPが8000から一気に3200まで減ってしまった。
一気に足下の穴が広がってしまった。
落ちないように足を広げる。
あれ?
何か穴の下に眼が見える。

「ジャスティス、なんだアレは?」
「ああ、それは正義の眼だ。
 今にも刑が執行されそうな罪人を見届ける眼だぜ。
 ちなみに俺様の視覚とリンクしている。
 たまーに、手札が見えたりパンツが見えたりするが気にするな。
 …………白か、正にジャスティス!」
「どどどどど、ド変態!?」
「変態ではない、白は正義だ!」

そういえばこいつは真性のペドフィリアだった。
とんだ正義もあった物である。

「まぁ良い!これで俺様のターンは終了だ!
 カードを三枚めくって墓地に送るぞ、
ライトロード・モンク エイリン、ウォリアー ガロス、クリッターを墓地に送る。」

非常に良い笑顔をしてらっしゃる。
469以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 23:15:05.32 ID:USOyJRqd0
支援
470笛 ◇rpv9CinJLM (代理2):2010/04/13(火) 23:15:33.81 ID:gpJgL00g0
「私のターン、ドロー!
 ここでデステニー・ドローの効果を発動してカードを二枚引く!
 私はダイヤモンドガイを召喚して効果を発動!
 ダイヤモンドシルエット!
 私が当てたのは終わりの始まりだ!
 説明は省略する!」

よし、一気に畳みかけてやる。

「ダイヤモンドガイでライラを攻撃!」
「チッ、ライラを倒されたか。しかしまだ俺様の場には大型モンスターが二体居るぜ。」
 さらに私は手札より速攻魔法【超融合】を発動!
 このカードの効果で手札を一枚墓地に送って相手のフィールドのモンスターと自分のモンスターを融合できる。
 私はダイヤモンドガイとブリューナクを選択!
 出てこい、絶対零度の正義の味方、E・HEROアブソルートZero!」
「なにっ!?D-HEROでE・HEROを融合召喚だと……!」
「ちなみに私が墓地に“捨てた”のはダンディライオンだ!
 こいつは墓地に送られた時、私のフィールドにトークンを二体呼び出す。
 手札から捨てる場合はこいつの墓地に送られた時の効果を使えるぞ、念のためね。
 再び速攻魔法を発動、【突進】!
 こいつはモンスターの攻撃力を700あげる!
 これでゼロは攻撃力3200だ!
 ゼロでオーダーに攻撃!」
「くそっ、仕方ないか……。」

これでジャスティスのLPは7300だ。
471笛 ◇rpv9CinJLM (代理2):2010/04/13(火) 23:17:44.59 ID:gpJgL00g0
「魔法・罠ゾーンにカードを二枚伏せて私はターン終了とする!」
「それじゃあ俺様のターンだ。くそっ、手札が腐ってやがる……!
 一枚ドロー!」

その瞬間、空気が変わった。
恐らく気のせいだが主人公専用の逆転BGMまで流れている気がする。

「俺様は手札からソーラーエクスチェンジを発動!
 ライトロードと名の付くモンスターを手札から捨てて二枚カードをドロー!
 さらに二枚デッキトップからめくって墓地に捨てる!
 俺様が捨てるのはライトロードケルビム!
 そして二枚ドロー!二枚めくって捨てる!
 墓地に落ちたのはカオス・ソーサラーと冥府の使者ゴーズか。
 クククククク…………。
 悪いな橙、どうやらこのデュエルは俺の勝ちだ。
 正義の光が世に満ちる、悪を裁けと轟き叫ぶ!
 出でよ、裁きの龍!」

ドスン
大地が揺れる。
ドスン
大気が震える。


来る。
何かとても恐ろしい物が来る。

そう思い、顔を上げた私の目の前に現れたのは純白の巨龍だった。
472以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 23:18:36.90 ID:USOyJRqd0
支援!!
473笛 ◇rpv9CinJLM (代理2):2010/04/13(火) 23:19:53.11 ID:gpJgL00g0
「サレンダーするなら今の内だよ、橙。」

優しい声で上田明也……もといジャスティスは語りかける。
私の目には、ラプラスの悪魔の眼には、私の敗北がハッキリと映っている。
私はあの龍に蹂躙されて死ぬ。
闇のゲームの敗者になる。
奴のことだから罰ゲームも適当にセクハラ決める程度で終わるはずだが……
しかしそれでもただ一つ、気に入らないことがある。
この私が運命に従うことだ。
私は、私に運命に打ち勝つ事を教えてくれた男性の前で運命に屈したりはしない。

「かかってこい、ジャスティス!」
「良かろう!貴様の望み通りにしてやる!
 裁きの龍、1000LPと引き替えに場の全てのカードを破壊しろ!」
「それはさせないよ、速攻魔法【禁じられた聖杯】を発動する!」

効果は以下のような物である。
フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動する。
エンドフェイズ時まで、選択したモンスターの攻撃力は400ポイントアップし、効果は無効化される。

「私は裁きの龍の効果を無効にする!」
「ほう…………、ならば良いだろう。
 俺様は裁きの龍でトークンに攻撃だ!」
「甘い、罠カード【攻撃の無力化】だ。
 裁きの龍の攻撃を無効にして戦闘を終了させる。」
「凌いだか……。俺様は魔法・罠ゾーンに二枚カードを伏せてターン終了だ。」

これで私に逆転の目が出てきた。
474以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 23:21:46.82 ID:USOyJRqd0
しえーーーん
475笛 ◇rpv9CinJLM (代理2):2010/04/13(火) 23:22:07.15 ID:gpJgL00g0
「私のターン、山札から一枚ドロー。
 終わりの始まりの効果でさらに三枚ドロー。」

来た。
私の最強のヒーローが!

「サイクロンを発動!右側の伏せカードを破壊する!」
「しまった!俺様の次元幽閉が!」
「ラプラスの悪魔は全部お見通しだよ、どっちが危ないかは解るよ。
 そして私はD-HEROダンクガイを召喚する。
 
 私は私のHEROで、私のヒーローである、貴方を倒す。

 トークン二体とダンクガイを生け贄に……
 Wake up the HERO!Come on, Destiny Hero - Dogma!」

言わせるな、恥ずかしい。

「くくく……最高の愛情表現ありがとう、そのうち抱いてやりたいぜ。
 そして来たか貴様の切り札!」
「お前が言うと洒落になってない!ドグマガイで裁きの龍に攻撃!」
「俺は本気だ!っと、これで400ダメージか……。」
「さらにアブソルートzeroで攻撃、2500ダメージ!」
「がぁ……!良い攻撃だ。」
「私はこれでターン終了だ。」
これでジャスティスのLPは3600、次のターンではそれの半分になる。
カードを一枚伏せてターンを終了した。
このカードならば裁きの龍が来ても私は勝てる。
476以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 23:25:36.31 ID:USOyJRqd0
支援だ!!
477笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/04/13(火) 23:28:23.75 ID:USOyJRqd0
「じゃあ俺様のターンだ…………。
 手札は0枚。
 この一枚で全てが決まるな。
 そうだな、これ一枚で全てが決まるならば…………!」

上田明也は引いたカードを天高く掲げる。

「それは即ち絶対に逆転の一手が来るってことだ!
 まずはさっきからブラフとして伏せていた地割れを発動!
 貴様の場で最も攻撃力の低いモンスター、アブソルートzeroを破壊する!
 そして、この瞬間アブソルートzeroの効果が発動。
 zeroが場を離れた時に相手の場のモンスターを全て破壊するんだが……
 俺様の場にはモンスターは居ない。残念だったな。」

「だからどうしたって言うんだ?
 どのみち残り1800のライフポイントと一枚の手札で何が出来る?
 もう一枚裁きの龍を入れて居るのか?
 ならば教えてやろう、私が伏せているのはスターライト・ロードだ。
 お前の全体除去は無効化されるぞ?」

「そうか、それじゃあ俺様の勝ちだ。
 出てこい、俺様のデッキの真の切り札“ダーク・アームド・ドラゴン”!」

闇の奥から龍が顔を出す。
私を倒す龍は先程の奴では無かったというのか?
自らが現れた闇で武装した龍は私を標的だと認識するとニタァと笑った。
478笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/04/13(火) 23:31:59.68 ID:USOyJRqd0
「ダーク・アームド・ドラゴンは墓地に闇属性のモンスターが三体のみいる時に手札から特殊召喚ができる。
 こいつは墓地にいる闇属性のモンスターを一枚除外することで
 フィールドに存在するカードを一枚選択して破壊する。
 俺はドグマガイを破壊する。」

だが、まだ諦めるわけにはいかない。

「あまいぞ、私は速攻魔法【禁じられた聖杯】を発動!
 その効果は無効だ!」
「さっきのは嘘だったのか?俺様仕込みのハッタリも板に付いたじゃないか橙!

「攻撃力3200でもドグマガイは倒せないか。
 まあ俺様はもう何もやることはないからターン終了だ。」

なんとか凌いだようだ。
私はカードを一枚ドローする。
手札は二枚。
私のLPは3200残っている。
ドグマガイでダーク・アームド・ドラゴンを攻撃してジャスティスのLPは残り1400になった。
この手札では何もできない。
よりによってダブルガイとディアボリックガイ、両方とも生け贄を必要とするモンスターだ。
私も何もすることが無いのですぐにターンを終了した。
479笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/04/13(火) 23:36:31.18 ID:USOyJRqd0
「これは「試練」だ。
 運命に打ち勝てという「試練」と、オレは受けとった。
 極限までに高められた「餓え」が!「乾き」が!
 そこから生まれる「貪欲」が!
 俺様を勝利に導く!幾らでも飢えてやろう!ただし誰より気高く飢えさせてもらう!」

上田明也、もといジャスティスはそう叫んでカードを引いた。
解っている、打ち勝つどころか彼に運命は味方している。

「ドロー!
 俺が引いたのは貪欲な壺だ!
 モンスターカードを五枚デッキに戻してシャッフル、
 その後カードを二枚引く!
 俺が戻すのはダムド、裁きの龍、ゴーズ、ブリューナク、ライト・オブ・オーダー!
 そして二枚ドロー!
 手札より光の護封剣を発動!
 モンスターカードをセットしてターン終了だ。」

執念、である。
並の、いいや、どんな人間にも持ち得ない意志の強さ。
彼が今見せているそれがひたすらに恐ろしい。
これが単なるゲームであることを忘れてしまいそうになる。
私はカードを一枚セットするとターンを終了した。


480以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 00:13:34.75 ID:8Oq4VwJG0
しえほ
481以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 00:38:05.35 ID:h+OZ7fA10
ねるほ
482笛 ◇rpv9CinJLM (代理)2:2010/04/14(水) 00:49:53.68 ID:8Oq4VwJG0
「カードを一枚ドローする。
 俺様は伏せていたモンスターをリバース!
 こいつはメタモルポットだ!
 お互いに手札を捨ててデッキから五枚ドローしてもらおうか。
 そして俺は……、裁きの龍を再び特殊召喚!

 月光蝶でああぁる!

  1000LP払って場に存在する全てのカードを破壊する!
 ターンX……じゃなくて裁きの龍でダイレクトアタックゥ!」
「これで残りLP は200か。」
「ふふふ、俺様は3枚のカードを伏せてターンを終了する……!」

ここに来て、ここに来てそれがまだ来るのか。
残りたったの400LPでも細い勝利への可能性をたどり私に向かってくるのか。
これが上田明也か。
やっと彼の本当の恐ろしさが解った。
確かに彼は知恵が回る。確かに彼は運が良い。確かに彼の言葉は人間を操作する力がある。
だがそんなのあくまでとびきり上等な、付属品だ。
上田明也が上田明也で居るのは、ひとえにこの意志なのだ。
この強い意志にそれらの付属品がついてきているに過ぎないのだ。

「解った、私のターンだ!」

だが、今の私ならばやれる。
私の手札には私の究極のカードがやってきていた。
483笛 ◇rpv9CinJLM (代理)2:2010/04/14(水) 00:50:43.11 ID:8Oq4VwJG0
「まずは大嵐を発動!」
「甘い、カウンタートラップ【魔宮の賄賂】を発動する!
 貴様の大嵐の魔法・罠を破壊する効果は無効だ!」
「ならば次に手札を一枚捨ててライトニングボルテックス!
 ダンディライオンを捨てているのでトークンが二体召喚される!
「神の宣告!LPを半分にしてそれを無効化だぁ!」
これで彼もまた残りLPが200になった。
「上田明也、お前は本当に……、耐えるんだな。」
「俺様は勝つからな。」
「しかたないか……、私は墓地に落ちたディアボリックガイの効果を発動!
 こいつを除外してデッキからディアボリックガイを特殊召喚する!
 トークン二体とディアボリックガイを生け贄にして私は……、運命を越える!
 D-HERO Bloo-Dを召喚だ!
 Bloo-Dの効果を発動する!アズライト・ディスティニー!
 裁きの龍を装備カードとしてこいつに装着だ!
  Bloo-Dは裁きの龍の半分の攻撃力を手に入れる!」
「ハッ!裁きの龍を手に入れて勝ったつもりか?
 伏せカードはまだ一枚残っているんだぜ!」

上田明也、もといジャスティスの目は自信に満ちている。
ここで倒れることは無いと信じているようだ。
だが、だからこそ、私には解る。
あの伏せているカード、それはブラフの一枚だ。
神の宣告、魔宮の賄賂、この二枚を使っておいてそれはあり得ない……と誰もが思う。
だからこそ、かれはそれを行ってくるのだ。
彼が顔色一つ変えない状況も私の推測を確信に変える。
484笛 ◇rpv9CinJLM (代理)2:2010/04/14(水) 00:53:05.20 ID:8Oq4VwJG0
「D-HERO Bloo-Dで攻撃!」

これ以上ないハッキリとした宣言。
無間の闇に静寂が聳えている。
私の声ばかりが反響もせずに其処へ吸い込まれていった。

一歩
また一歩
Bloo-Dがジャスティスの所に歩みを進める。
上田明也はニヤニヤと笑っている。

「良いぜ、来いよ。」

そう言って、
彼は笑ったまま笑ったまま

Bloo- Dの攻撃は通った。

そのままの表情で上田明也の足下の穴が大きく広がる。

「ふん、良く解ったな。
 ……………… 良い女だ。」

ポツリと呟くと上田明也はその穴に飲み込まれていった。
悪いが、まだ子供だよ。
主を失った闇の空間は密度を増して私を飲み込み始める。
私は自分の意識がゆっくりと薄らいでいるのに気付いた。
485笛 ◇rpv9CinJLM (代理)2:2010/04/14(水) 00:58:00.15 ID:8Oq4VwJG0
「……ってあれ?」
「おーう、目が覚めたか。」
「おい、上田明也、お前はペナルティを受けた筈じゃ……?」

気付くと私はベッドの上でぐっすり眠っていた。
上田明也が私のすぐ横で私が起きるのを待っていたらしい。

「馬鹿にするな、首を吊られた程度で俺は死なないよ。」
「そんなアホな……。あのペナルティは手を抜いているようには見えなかったぞ?」
「気合いで乗り切った。
 それにしても駄目だなぁ、俺が正義を語るとどうにも上手く行かないぜ。
 本当にいつも正義を実行できるどこかの馬鹿野郎も偶には尊敬してやりたくなるよ。」
「なぁ、私が負けたらああなっていたのか?」
「いいや、マインドクラッシュと称したセクハラのみでした。」
「それと…… お前の手札の残り一枚ってなんだったんだ?」
「ふん、大した物じゃないよ。」

ラプラスの悪魔の能力で調べればそれはすぐに解った。
でもその答えと彼の言った言葉は少し違って……
でもこれだから
これだからこいつは堪らないんだ、と私は思った。
私が上田に抱きつくと彼はくすぐったそうに笑った。
【橙レイモンのブギーバック2〜ダブルフェイス首吊り判事〜fin】
486以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 01:18:47.82 ID:+6gqJzHA0
代理投下乙です
487以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 02:16:01.85 ID:8Oq4VwJG0
488以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 03:03:58.86 ID:8Oq4VwJG0
しゅ
489以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 06:18:23.22 ID:LoPy32+aO
おっと
490以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 08:21:05.88 ID:Xf5B0AbHO
っと
491以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 09:59:16.63 ID:Xf5B0AbHO
とうっ
492以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 11:27:30.21 ID:Xf5B0AbHO
うりゃ
493以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 11:52:40.50 ID:zxFEyg030
494以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 12:26:13.43 ID:8/eEjmw80
代理投下乙!!
495以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 12:50:39.62 ID:8/eEjmw80
ネタかきつつほ
496以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 13:13:42.20 ID:8/eEjmw80
497小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/14(水) 13:29:00.71 ID:8/eEjmw80
「……何だったんだ、あの変態」

 どこか呆れたようにそう呟きながら、Sと紗江良の前に、一人の青年が現れた
 黒髪を逆立てたような髪形に、額に巻かれた白いバンダナが特徴的な青年だ
 青年……の、はずである
 ただ、まだどこか幼さを感じるというか餓鬼っぽいと言うか
 大人であるはずなのだが、大人と呼ぶには若干、違和感を感じる印象
 紗江良の勘は、「肉体的及び年齢は成人済だが、精神的にはまだ未熟である」と告げてきている

「ご主人様ぁ〜!」
「ごめんなさぁ〜い!」
「逃げられちゃいましたぁ〜!」

 きゃあきゃあわきゃわきゃ
 モンスの天使達が、一斉にその青年の元へ飛んでいき、抱きつき、謝罪の言葉を口にしている
 …と、言うか
 一斉にあれだけの人数に抱きつかれたら潰されるのではないだろうか
 実際、微妙に潰されてるような窒息しかけているような

「っちょ、こら、落ち着けっての………大丈夫だよ、護衛対象が無事なら」
「本当ですか?」
「デストロイできなかったけど大丈夫?」
「ご主人様怒ってない?」

 じーーーっ、と、複数の美少女天使に見つめられて
 大丈夫だ、と答えている青年
 天使達はほっとしたように、わきゃわきゃ騒いでいる

 …と
 青年が、Sと紗江良に視線を向けた
498小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/14(水) 13:30:08.62 ID:8/eEjmw80
「S-No.560と、菅野紗江良だな?「モンスの天使」の契約者の門条 天地だ。あんた達が学校町にいる間、護衛をするように言われている」
「…なかなかに、派手な護衛だな」

 ひっそりと苦笑するS
 先ほどのモンスの天使達の攻撃方法を見ていれば…「密やかな護衛」など、まず無理な存在だ
 と、言うか、そもそも護衛向きではなのではないだろうか?
 いや…モンスの天使と言う存在を、即時召還できる能力であるのだから、戦闘時はともかく、それ以外ならば問題ないのだろうか
 この天地と言う青年を派遣した黒服Cが何を考えて彼を派遣したのか、そこまではSにはわからない
 …紗江良の勘は、「手が空いているのがこう言うのくらいしかいなかったからだ」と告げていなくもないのだが

「正直、護衛なんてやった事ないからな。俺があんた達に付いて行って、必要な時にモンスの天使を召還すればいいのか。それとも、モンスの天使達をあんた達の護衛につければいいのか。判断はそっちに任せる」
「天使さん達、私たちのいう事、聞いてくれるんですかぁ?」
「俺が前もって言う事聞くように言っておけば、問題ねぇよ」

 紗江良の言葉に、そう答える天地
 天使達も、きゃいきゃいと答えてくる

「ご主人様のご命令ならば、従います〜!」
「お守りいたしますねぇ」
「怪しい奴が来たらデストロ〜イ!」
「先手必勝ですぅ!」

 不安だ
 激しく、不安だ
 紗江良の勘も「微妙」、と告げてきている訳で
 さて、この護衛、断るべきか否か
 Sは、判断に迷うのだった


終われ
499以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 13:30:50.50 ID:8/eEjmw80
7人みさきの人に焼き土下座orz
兄鬼が立ち去った後のシーンですた
500以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 13:50:27.20 ID:8/eEjmw80
も一個ネタ書きつつほ
501処女と処女と処女厨と ◆nBXmJajMvU :2010/04/14(水) 14:05:42.30 ID:8/eEjmw80
 賑やかな繁華街の一角
 そこで、一人の少女がむぅ、と思案顔になっていた
 小学校低学年程度、と想われる外見の、黒いゴスロリ衣装を纏った少女だ
 黒いレース生地の傘を差し…むむむぅ
 それを前に、思案している

「……これは、どうやったら手に入るのじゃ?」

 少女…ヘンリエッタの前にあるのは、クレーンゲーム機
 ゲームセンターの店先に置かれた、可愛らしいヌイグルミの入ったクレーンゲーム機だ
 ででん!と、人気のだれだれ熊のヌイグルミが一つ、その中にある訳だが
 …ヘンリエッタは、どうすればこのヌイグルミが手に入るのか、わからない
 まだまだ、今のご時世の一般常識などが欠落しているヘンリエッタ
 まだ、クレーンゲーム機、と言う物がよくわからないのだ
 だが、欲しい
 この世間を舐めきった表情をした、だらけた熊のヌイグルミが欲しい!!
 何とか、手に入れる方法はないものか
 ヘンリエッタが、思案を続けていると

「…嬢ちゃん、どうしたんだ?」
「む?」

 突如、背後から声をかけられ、振り返る
 そこには、高校生ほどの、ヘンリエッタとしてはなんだか親近感を覚える胸をした少女が、立っていた



 そして、数分後

「おぉ〜!」
502処女と処女と処女厨と ◆nBXmJajMvU :2010/04/14(水) 14:09:27.90 ID:8/eEjmw80
 ヘンリエッタは、無事、熊のヌイグルミをゲットしていた
 声をかけてきた少女が、ゲットしてくれたのだ

「ありがとうなのじゃ!」
「ん、どういたしまして」

 礼を述べるヘンリエッタに、笑ってそう言ってくる少女
 ヘンリエッタの能力が、少女は都市伝説契約者であると告げてきているのだが、特に悪意や敵意、危険性は感じない
 気にしなくても良いだろう、とヘンリエッタは考える

「何か、お礼がしたいのじゃ」
「いや、いいよ、礼なんて」
「そう言うでない。親切にされたからには、お礼をするのじゃ!」

 断固、そう主張するヘンリエッタ
 どんなお礼をしたら良いか、考える
 そんなヘンリエッタの様子に、少女は参ったなぁ、と言った表情をして

 …と、その時
 ピピピピピピピピピピピピピピ………、と
 周囲に、電子音が響いた

 ヘンリエッタが肩から下げている、黒いレースのついたゴスロリ仕様のポシェットからだ

 ……その、音に
 ヘンリエッタは、かすかに表情を強張らせた

「む、すまぬ。少々待っておくれ」

 ごそごそ、ポシェットから、ポケベル…に、見えるそれを取り出した
503処女と処女と処女厨と ◆nBXmJajMvU :2010/04/14(水) 14:13:39.07 ID:8/eEjmw80
 …「悪魔の囁き」が、一定範囲内にいるかどうか、それを調べるための機械だ
 Gから、「今の時期外を出歩かれるのでしたら、その装置を必ず持ち歩き、作動させておいてください」と煩く言われていたので、仕方なく持ち歩き、作動させていたのだが
 ……これが、悪魔の囁きの気配を、告げている
 目の前の少女からではない
 だが…………近い
 このゲームセンターのすぐ傍の、路地裏辺りに反応があるようだ

 ヘンリエッタが、そちらに視線を向け、路地裏に入ろうとしたせいか

「ん?何かあるのか?」

 と、少女も、そちらに視線を向けた

「あ、い、いや、何でもないのじゃ」

 慌てて誤魔化そうとするヘンリエッタ
 自分に親切にしてくれた少女を、都市伝説絡みの事に巻きこむ訳にはいかない
 そう考えたのだが……しかし、遅かった

 その、路地裏から
 何者かが、飛び出してきて


「また会えましたね、麗しきレディ!!是非、膝枕をばっ!!??」


 ごっすーーーーん
 飛び出してきた、それは…純白の白馬に、あっさりと、蹴り飛ばされた

「…何事じゃ?」
504処女と処女と処女厨と ◆nBXmJajMvU :2010/04/14(水) 14:17:42.37 ID:8/eEjmw80
「うわ、なんかすっげぇデジャヴ」

 思わず呆然とするヘンリエッタと…何やら、大変と覚えのある光景を見たらしい少女

 …ひひん、と
 純白の、額から角を生やした白馬が、少女の前に跪いた
 ユニコーンだ……何故、こんな貴重な都市伝説が、日本に?
 ヘンリエッタは、先ほどユニコーンに蹴り飛ばされた人物が、その発言からユニコーンの契約者であろうと当たりをつけ、蹴り飛ばされた先に視線をやる
 …後頭部に馬の蹄の跡などつけて、気絶していたようなのだが

「……っの、エロホース!毎度毎度不意打ちはやめろっ!?」

 ずんずんずん、と
 物の数秒で復活して、ユニコーンに文句を言っている
 なんと言う回復力だ

「…嬢ちゃん、ちょっと、下がってた方がいい」
「む?」

 す、と
 少女が、ヘンリエッタを庇うような位置に立った
 ごそごそと、少女が持っていた鞄から、人形が出て来て顔を出す

 ……なるほど
 ヘンリエッタが都市伝説であると気づいていないようだ
 いや、都市伝説の気配を感じる能力でも持っていない限り、そう簡単には気づかないだろうが

「あぁ、警戒しないでくれ、レディ。俺達は、ただレディに膝枕してもらいたいだけだ」

 警戒態勢を示す少女に、そう告げる男
505処女と処女と処女厨と ◆nBXmJajMvU :2010/04/14(水) 14:21:50.77 ID:8/eEjmw80
 人形のように端整な顔立ちではあるが……やや、変態よりの性格のようである

「こないだ、人を襲ってたじゃねぇか」
「それは相手がビッチだったから。俺は全世界の乙女(処女)の味方!!乙女は決して襲わない!!!」

 少女の警戒心たっぷりの言葉に、堂々とそう告げた男
 ひひん、とユニコーンも同調している
 駄目だ、この処女厨共
 早く何とかしないと

「…と、言う訳で、膝枕してくださいお願いします」
「土下座っ!?」

 っば!!と
 目の前で土下座してきた男に、少女はむしろますます警戒するように後ずさった
 …ここは、自分が何とかしなければ

 ずい、と
 ヘンリエッタは、今度は自分が、少女を庇うように前に出た

「あ、嬢ちゃ…」
「お前が何者かはわからぬ。だが、この者は困っておろう。膝枕なら、妾がしてやる」

 少女にとってもらったヌイグルミを抱きかかえたまま、そう宣言したヘンリエッタ
 ……じ、と
 男とユニコーンはヘンリエッタを見つめて

「………駄目だっ!?乙女である事に変わりはないが、俺はロリコンではないっ!?」

 ひっひひん
506処女と処女と処女厨と ◆nBXmJajMvU :2010/04/14(水) 14:25:41.85 ID:8/eEjmw80
 男もユニコーンも、悩むように項垂れた!!

「む!?失礼な。妾がお子様だとでも言うかっ!?」
「…あー、うん、世間一般では、嬢ちゃんはお子様の範疇だと思うぞ?」

 少女にも、そう告げられてしまったヘンリエッタ
 …実際は、明らかにこの中で一番年上なのだが、誰もわかるまい

 ……に、しても
 この失礼な男、ちょっと血でも吸ってやろうか
 ヘンリエッタが物騒な事を考え出した、その時……「悪魔の囁き」の気配を探る機械が、再び作動した
 機械は告げてくる
 …目の前の相手は、「悪魔の囁き」にとり憑かれている、と

 まずい
 ヘンリエッタは考える
 この男が、悪魔の囁きによってどんな願望を増幅されたり、歪められてしまっているかはわからない
 …だが、危険な存在である事に変わりはない
 駆除剤を持っているのだ、それを注射してやれば良いとは思うが…悪魔の囁きにとり憑かれている期間が長ければ、駆除剤を一度注射しただけでは、引き剥がす事はできない
 ヘタに駆除剤を打とうとすることで、敵と認識されて戦闘状態になったら…自分は平気だが、自分に親切にしてくれたこの少女を巻き込んでしまう

 ならば、どうするか?

「…お前、逃げるのじゃ」
「へ?」
「こやつ、少々厄介なものにとり憑かれておる。妾が何とかするから、お前は逃げるのじゃ」

 せめて、この少女を逃がすべきだ
 そう考えて、逃げるよう告げながら…ヘンリエッタは、ポシェットから、駆除剤を入れた注射器を出そうとして
507処女と処女と処女厨と ◆nBXmJajMvU :2010/04/14(水) 14:29:50.02 ID:8/eEjmw80
「とり憑かれて…?え、やっぱ、あの兄ちゃん、悪魔の囁きにとり憑かれてんのか?」

 少女が口にした、その言葉に
 思わず、ヘンリエッタは、動きを止めた

 …悪魔の囁きのことを、この少女は知っている?

「……ん?囁き?何の事だ?」

 首を傾げてくる男
 …が、どろ、と
 その胸元に…黒い染みが、浮き出始めている
 どろ、どろ…………と
 それはやがて、黒い双頭の蛇となって、ヘンリエッタと少女の目の前で、実体化した!!


『ドウシタァアアアアアア?欲シンダロォ?膝枕。ダッタラ、無理矢理手ニ入レチマエヨォオオオオ!!??』


 双頭の蛇が囁く
 ユニコーンの契約者である男に、悪への誘いを囁きかける

 男の全身に絡みつくほど大きな姿で実体化した双頭の蛇
 これは…相当、長い間とり憑かれていたようだ
 駆除剤では、駆除しきれない
 ヘンリエッタは小さく舌打ちし、駆除剤をポシェットに戻す
 相手を実力行使で気絶させるか…ここは一度、撤退するしかない
 この男と遭遇経験があるようで、さらに、悪魔の囁きの存在も知っているこの少女を逃がす事を優先するとなると…逃げた方が良いか

 悪魔の囁きに囁かれる男
508処女と処女と処女厨と ◆nBXmJajMvU :2010/04/14(水) 14:30:58.40 ID:8/eEjmw80
 …ゆらり
 少女とヘンリエッタに、視線を向けて…

「−−−っいや!!!乙女に乱暴を働く訳にはっ!!膝枕は同意の上で!!!!」
『コノ野郎ォオオオオオッ!!!???ココダケハ譲ラネェノカッ!?変ナトコロデ常識固持シテンジャネェゾコラァアアアアアアアアッ!!??』

 よし、よくわからないがチャンス
 ヘンリエッタは、少女を見上げて、告げる

「…何故、お前が悪魔の囁きの事を知っているのかは、わからぬ。だが、ここは危険じゃ…逃げるぞ」
「へ?」

 ばさ、と
 ヘンリエッタの背中から、蝙蝠のような羽が生えて
 そのまま飛び上がり…ヘンリエッタは、少女の体を持ち上げた

「う、わ!?」

 ばっさばっさばっさ
 少女の体を軽々持ち上げ、ヘンリエッタは空中へと跳び上がる!

「ユニコーン契約者ならば、空まではついてこれんじゃろう」
「いや、そうだけど……うわ、飛んでる!?」
「おそらとんでるの?」

 ひょこり
 少女の鞄から顔を出していた人形が、地面を見下ろしてそう呟く
 そのまま落っこちそうになった人形を、慌てて少女は抱きかかえた

「嬢ちゃん、都市伝説契約者だったのか?」
509処女と処女と処女厨と ◆nBXmJajMvU :2010/04/14(水) 14:31:57.00 ID:8/eEjmw80
「うむ、まぁ、そんな所じゃ。ひとまず、安全な所まで逃げ………っ!?」

 …この時
 ヘンリエッタ達は……信じられないものを見た

 だんっ、と
 ユニコーン契約者の男が……そのジャンプ力だけで、ヘンリエッタ達と同じ高さまで、跳んで来たのだ
 …何と言う、身体能力だろう
 ユニコーンとの契約の影響に加えて、悪魔の囁きのせいで強化されているのか?

「待ってくれレディ達!怖がらずに逃げないで…」

 ばっさばっさばっさ
 飛ぶ高度をあげたヘンリエッタ
 そして、相手は飛んでいるのではなく、「跳んでいる」のであって

「あ」

 ひゅぅうううううう………
 そのまま、自然落下していった

 ぐしゃ

「うわ、リカちゃん、見ない方がいいぞ」
「みちゃだめなの?」
「うむ、あれはちょっと見ない方が良いな」
510処女と処女と処女厨と ◆nBXmJajMvU :2010/04/14(水) 14:33:57.40 ID:8/eEjmw80
 うん
 見なかった事にして、ヘンリエッタは少女を抱えたまま、空を飛び移動する
 …自分よりも大きな少女を抱えて空を飛ぶ幼女など目立ちそうなものだが、意外と気づかれぬまま飛んでいく
 と、言うか、目撃されても見なかった事にされるだけだろう

「さて、どこで降ろそうかの?」
「あ…それじゃあ、ルーモア、って言う喫茶店、行ってくれるか?待ち合わせしてるんだよ」
「ルーモア、か?では、場所を教えてくれるかの?」

 OK、とヘンリエッタに、そのルーモアと言う店の場所を教えてくれた少女
 ヘンリエッタは少女を抱え、その店へ向かって飛んでいくのだった





続く
511以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 15:00:58.39 ID:8/eEjmw80
久々にコメントの段階でサルった……だとorz


我ながらひでぇサブタイだってそれはさておき
Tさんの人に紐なしバンジー剣山焼き土下座!!orz
舞をヘンリーと再遭遇、そして、ヘンリエッタと知り合わせてみました
何かぐしゃってなったけど、ヘンリーは10分くらいすればきっと復活するんで問題ない

この後、TさんとDの情報交換シーンも続けて書くつもりでしたが、長くなったんで一端切りー
後で続きシーン書きますねっと

512以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 15:21:20.47 ID:8/eEjmw80
人いないのでほ
513Tさん ◆mGG62PYCNk :2010/04/14(水) 15:42:07.29 ID:h+OZ7fA10
早く学校はけたよ乙でしたー

モンスの天使の契約者、肉体的には大人……だと? つまりそいうことか? そうなんだな!?

そして、ヘンリー、流石は英国人! 紳士だぜ!

続きをwktkしてる
514以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 15:50:04.66 ID:8/eEjmw80
またTさんたちに変な人を知り合わせてしまって今のうちに土下座だorz
続きも今日か明日中に書くぜ書くぜ!!

>モンスの天使の契約者、肉体的には大人……だと? つまりそいうことか? そうなんだな!?
あいつはとっくに童貞卒業済ですよもげろ
515以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 15:59:57.50 ID:h+OZ7fA10
く、やはりかああああああああ!!

ヘンリエッタは(見た目)結構まともな方ですしぜんぜんかまわないのですよwww
516以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 16:02:53.59 ID:8/eEjmw80
>く、やはりかああああああああ!!
まぁ、そうじゃなくても天地は今年で21歳だし、肉体的には大人で構わんでしょうwwww

>ヘンリエッタは(見た目)結構まともな方ですしぜんぜんかまわないのですよwww
見た目はまともだけどロリバb(このレスは血を吸い尽くされました)



まぁ、以前TさんがHナンバーの事ちらっと気にしてたので、いつか知り合わせたかったんだ、ヘンリエッタは
517以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 16:12:01.99 ID:h+OZ7fA10
>>516
21……くっ、なんだ? この敗北感www

おお、そういえば電話の声を聞いているからヘンリエッタの声で正体に気付くかもしれんなTさん
518以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 16:19:50.92 ID:8/eEjmw80
>21……くっ、なんだ? この敗北感www
安心してくれ、童貞捨てた年齢知ったらもっと敗北感感じる事間違いなしだもげろ

あー、そう言えば正体気付くかも
そこら辺も考えて続き構想執筆するんだぜ
519以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 16:32:50.02 ID:8/eEjmw80
夕食後もスレが残っていれば幸せだと叫びつつ一端離脱!
520以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 16:36:52.62 ID:h+OZ7fA10
書きづらいようでしたら電話越しだったし正体に気付かなかったよ的な展開でもいいとおもうのですほ
521以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 16:56:28.62 ID:h+OZ7fA10
522以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 17:25:32.73 ID:h+OZ7fA10
523以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 17:42:28.99 ID:GZVv22Ql0
ただいまほ
524以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 18:02:23.16 ID:h+OZ7fA10
保守
525以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 18:15:38.22 ID:h+OZ7fA10
ガイドライン更新乙です!
口裂け女さんwwww
526以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 18:37:17.06 ID:GZVv22Ql0
携帯がついにオワタして折角書いたデータがトびやがった。
結局SD間に合わなかったし、心が折れるよママン・・・

まあそれはともあれ、花子さんの人も代理の人も乙なのです!
天地はまあもげとくとして、だんだんユニコーンたちが可愛く思えてきた俺はどっかおかしいんだろうか・・・
527以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 19:27:29.22 ID:VGbdelFi0
ごちそうさまっしたー

>>520
構想は浮かんでるので後は形にするだけだから問題ないんだぜ!

>>526
それは心が折れる…と、PCあぼんにより色々データがとんだ経験をもつ俺が呟いてみる

>だんだんユニコーンたちが可愛く思えてきた俺はどっかおかしいんだろうか・・・
ユニコーンたちは、現在敵サイドで唯一のギャグ担当ですから!!
528以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 19:47:29.41 ID:VGbdelFi0
ネタ書きつつほ
529以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 20:05:52.84 ID:VGbdelFi0
ほほ
530以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 20:14:34.91 ID:h+OZ7fA10
>>526
うわあああああ!! 書きなおすのはしんどいんですよねえ
531以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 20:34:06.00 ID:VGbdelFi0
今夜中にもう一個投下しますほ
532以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 20:53:29.21 ID:VGbdelFi0
533以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 21:14:24.51 ID:VGbdelFi0
にゅ
534ある組織の構成員の憂鬱 ◆nBXmJajMvU :2010/04/14(水) 21:19:51.66 ID:VGbdelFi0
 4月某日 喫茶店 ルーモアにて


「…そうか。「日焼けマシンで人間ステーキ」の青年のアルバイト先にも、悪魔の囁き感染者はいなかったか」
「はい、今のところではありますが」

 黒服とTさんは、悪魔の囁き騒動に関する事で、情報交換を行っていた
 電話でも話せる事ではあるが、直接顔を合わせて情報交換を行うのが一番だ

「朝比奈 秀雄の三つ目の都市伝説に関しましては、まだ、正体が確定できません。いくつか、心当たりはあるのですが…」
「…怪力に高い防御力、炎と毒のブレスか……心当たりはあるが、それでだけはあってほしくない、と考えたいところだな」

 Tさんの言葉に、全くです、と小さく苦笑する黒服
 …「組織」内部でも、これでは、と予測は立てられ始めている…の、だが
 まだ、核心できるほどの情報は少ないのだ
 もっとも、朝比奈 秀雄の最後の都市伝説がそれであると「認めたくない」だけなのかもしれないが
 何せ、それは……あまりにも、強力すぎる都市伝説だ
 単体契約でも、それと契約した瞬間に飲み込まれる可能性が高い
 それを含めた多重契約をしているのなら……朝比奈自身の「器」は、はたしてどれだけ強大なのか
 それを考えるのが、恐ろしいのかもしれない

「それと…朝比奈 秀雄に、都市伝説の契約書を横流ししていました「組織」の裏切り者が、判明しました」
「…「コーラにはコカインが含まれている」の支配型の契約者が増大した原因を作った者か」
「はい…H-No.9。「病は気から」に飲み込まれた存在です。私は担当部署が違いますので詳しくは知りませんが、元々は研究班に所属していたようですね」

 …「13階段」の契約者たる広瀬 辰也にとっては、因縁のある相手である事を、この黒服も把握している
 彼が、今回のその事実を知ったならば…H-No.9が「組織」から離脱し、討伐対象になっている事を知ったならば…復讐の為に、先走った行動をしなければ良いのだが
 この黒服は、それを心配する

「それと……その、朝比奈 秀雄の目的なのですが。翼の実家の権力以外にも、狙っているものがある可能性が、出てきました」
535ある組織の構成員の憂鬱 ◆nBXmJajMvU :2010/04/14(水) 21:22:49.23 ID:VGbdelFi0
「……それはもしや、「小瓶の魔人」か?」

 Tさんの口から、「小瓶の魔人」と言う単語が出て
 黒服は、思わず眉をひそめた
 …まさか、だが

「あぁ、朝比奈 マドカから聞いたんだ」
「…やはりですか」

 彼女の軽率さに、かすかに頭痛のようなものを覚える
 相手が、Tさんだから良かったものを
 あのような存在については、あまり口外すべきではない

「黒服さんも、それについて知っていたか」
「…日景家を訪問した際に、その小瓶を拝見しました。小瓶の中から、威圧感を感じる程の強い都市伝説の気配を感じました…あまり、長くそばにいると、その威圧感に押しつぶされるのではないかと言う錯覚を覚えましたよ」
「なるほど、本物か」

 はい、と頷く黒服
 …朝比奈 秀雄が、その存在を把握している可能性がある
 朝比奈 マドカが、その存在を口走ってしまっている可能性が高いからだ
 こう言っては悪いが、彼女は後先を考えない部分がかなり、あるようだから
 そうじゃなくとも、酒の勢いで口走ってしまった可能性も、高い

「…Tさん、申し訳ありませんが。その事は、できればご内密に」
「あぁ、わかっている。願いをかなえる都市伝説を保有している、と言うのは………不幸を招く情報だからな」

 自身も、そう言った経験をしているからだろうか
 神妙な表情のTさん

「「日焼けマシンで人間ステーキ」の青年は、その情報は」
536ある組織の構成員の憂鬱 ◆nBXmJajMvU :2010/04/14(水) 21:26:05.74 ID:VGbdelFi0
「把握しています。あの子も、朝比奈 秀雄はその小瓶も目的としている可能性が高いのでは、と言っていました」

 だからこそ、翼は余計に、朝比奈 秀雄を倒さなければ、と考えている
 …たとえ、その命を奪う事になろうとも
 だが、優しい翼の心が、肉親殺しと言う業に耐えられるとは思えない

 ……だから
 いざと言う時は、自分が、翼の代わりに手を下そう
 黒服は、そう決意する

「……黒服さん。背負い込みすぎないようにな」
「はい。お心遣い、ありがとうございます」

 黒服の表情から、何かを感じ取ったのだろうか
 Tさんの言葉に、黒服は小さく苦笑して答えた

 さて、あと、Tさんに伝えていない情報は何であったか
 黒服が、情報を整理していると

 …からん…ころん…

「あ、いたいた。Tさーん、黒服さーん」
「おにいちゃーん」

 店内に、Tさんの契約者の舞と、リカちゃんが入ってきた
 そして、舞の後を付いて来るように、ゴスロリ服の少女が入り込んでくる
 その少女の姿に覚えがある黒服は、おや、と小さく声をあげた

「ヘンリエッタさん?」
「おぉ、D-No.962か」
537以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 21:27:32.45 ID:h+OZ7fA10
そういえばマドカさん不用意だなww
支援
538ある組織の構成員の憂鬱 ◆nBXmJajMvU :2010/04/14(水) 21:28:00.63 ID:VGbdelFi0
「…あれ?黒服さん、知り合い?」

 首を傾げた舞に、はい、と答える黒服
 てとてと、舞達は黒服とTさんの席へと近づいてくる

「私の上司が担当しております、契約者さんです」
「うむ。そして、望の友達なのじゃ!」

 どこか誇らしげに、ない胸をはってそう言ったヘンリエッタ
 ヘンリエッタの声に、Tさんが聞き覚えがあるような表情を浮かべたのだが、黒服は気づいていない

「なぁ、Tさん。あのユニコーンの兄ちゃん、やっぱり、悪魔の囁きにとり憑かれてたみたいだぞ」
「…!また、遭遇したのか?」

 頷く、舞とリカちゃん
 黒服も、眉を潜める

「…また、悪魔の囁きにとり憑かれている者が、現れたのですか?」
「うむ、妾が調べたのだから、間違いないのじゃ!」

 再び、胸を張って言うヘンリエッタ
 黒服は、難しい表情を浮かべる

「…近頃、「リア充爆発しろ」の能力によるものと思われる爆発事故が多発していまして。「組織」としては、その契約者が悪魔の囁きに騒動に関連している可能性を調べていましたが……ユニコーン、ですか」

 ユニコーンは、貴重な都市伝説だ
 確か、ヨーロッパでも数えるほどしかユニコーンと契約した存在はいない
 後で、「薔薇十字団」に問い合わせれば、何かわかるかもしれない

 新たな情報を手にして、黒服は思考をめぐらせるのだった
539以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 21:29:45.06 ID:VGbdelFi0
行数制限でto be … ?が入らなかった罠
とりあえず、Tさんの人に焼き土下座だ!!orz
ちまちまと、情報のやり取りをば
Dは、ヘンリエッタの正体を知らず、本当にG-No.1が担当している契約者だと信じています
それがちょっと気まずいヘンリエッタだけど、立場上本当の事も言えないという
540以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 21:36:56.80 ID:h+OZ7fA10
乙でした!
お嬢さんはHbフボスなんだよなー、≪コーク・ロア≫をばらまいたH-No.9のことも伝わるのだろうか?
そして非常にどうでもいいんだが他の≪ユニコーン≫の契約者も皆ああなのかwww?
541以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 21:40:38.49 ID:VGbdelFi0
>>537
後先あんまり考えない人ですからwwww
まぁ後先考えて行動する人は、出産日当日に様子を見にこなかった旦那に向かって、病室のテレビぶん投げたりしないと思いますが
>>540
>お嬢さんはHbフボスなんだよなー、≪コーク・ロア≫をばらまいたH-No.9のことも伝わるのだろうか?
H-No.9が日人道的な実験を主に行っていた事や、能力の詳細を説明してくれると思う

>そして非常にどうでもいいんだが他の≪ユニコーン≫の契約者も皆ああなのかwww?
ご想像にお任せしますww
542以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 21:43:34.41 ID:8Oq4VwJG0
乙でした。

あぁ。願いを叶える力を持つからこその苦しみは、誰よりもTさんが理解してるんですね。
そして、無ネを張って望の友達だと答えるとは、そんなに友人が出来たのを自慢したいのかヘンリエッタよ。
543以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 21:50:50.24 ID:VGbdelFi0
>>542
>そして、無ネを張って望の友達だと答えるとは、そんなに友人が出来たのを自慢したいのかヘンリエッタよ。
人間だった頃は、貴族の娘で目立った友達を作る機会に恵まれず
都市伝説に飲み込まれてからは、化け物扱いされ続けて友達なんて作れず
「組織」にスカウトされてからは、気にかけてくれていたD-No.0と友達になれるチャンスもあっただろうけれど、意地を張っている間にD-No.0は暗殺されてしまい

…まぁ、ぶっちゃけると、望が生まれて初めての友達です、ヘンリエッタにとって
544以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 21:57:37.50 ID:8Oq4VwJG0
>>543
無ネへの反応がゼロだと……

>気にかけてくれていたD-No.0と友達になれるチャンスもあっただろうけれど、意地を張っている間にD-No.0は暗殺されてしまい
もしかして、ヘンリエッタが現在穏健派として頑張ってるのは、Hさんとの事だけじゃ無くて、D-No.0の遺志を継いで居るってのも有るんでしょうか?
545以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 22:01:37.65 ID:VGbdelFi0
>>544
>無ネへの反応がゼロだと……
え、だって胸ないのは事実だs(このレスは血を吸い尽くされました)

はい、D-No.0の遺志を継いでる、ってのもありますね
穏健派として頑張ると同時に、D-No.0と仲が良かった現在行方不明のX-No.0の捜索にも熱心なのがヘンリエッタ
まぁ、そちらはヘタに見つけても、手出しできないんですが
546以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 22:06:59.17 ID:u1o1r0+uO
>穏健派として頑張る
ヘンリエッタってちゃんと仕事してたんだ
547以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 22:17:57.12 ID:8Oq4VwJG0
>>545
見た目ロリだから、胸は無い方が普通と言えば普通なんですよね。
だから、気にする程じゃあ無いです、だからこっちに来ないでヘンリエッタお嬢s(このスレも血を吸い尽くされました)
D-No.0とX-No.0は仲が良かったのか。
548以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 22:20:37.14 ID:h+OZ7fA10
>>無ネ
無茶しやがって……

何気にTさんの昔話が拾われてて嬉しかったり
このシーンの続きを少し書かせてもらおうなどと思っているのですがどうでしょうか?
549以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 22:21:50.06 ID:8Oq4VwJG0
うお、何でスレが血を吸い尽くされてんだwwww
間違えたレスだった。
550以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 22:23:32.90 ID:VGbdelFi0
>>546
>ヘンリエッタってちゃんと仕事してたんだ
少なくともイクトミよりは仕事してる
ってか、顎砕き飴騒動以降、一気に仕事が増えてますね

>>547
無茶しやがって…

>D-No.0とX-No.0は仲が良かったのか。
洒落にならない能力同士、仲が良かったです
X-No.0が「組織」を裏切って行方をくらませてからも、D-No.0だけは連絡とりあって居場所を知っていたのですが…D-No.0が暗殺されたせいでX-No.0の居場所は不明となり、「組織」復帰の可能性も0になったのでした

>>548
>何気にTさんの昔話が拾われてて嬉しかったり
Tさんの過去上、反応はあっておかしくないかな、と

>このシーンの続きを少し書かせてもらおうなどと思っているのですがどうでしょうか?
はい、書いてくださるなら是非!
551以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 22:25:58.24 ID:h+OZ7fA10
>>550
あいさー
何か他にDさんから回してもらうべき情報、こちらから回すべき情報はありますかね?
552以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 22:29:30.95 ID:VGbdelFi0
>>551
んー…あ、そうそう、日景家ですが、「組織」からは護衛を回せないので(小瓶の魔人のことを話せないので)、「薔薇十字団」から、こっそりと護衛を回している事を伝えてくれると思います
…実は、その他にも獄門寺経由で蛇城さんが護衛についているんですが、Dはその辺は感知してないって言う
Tさんから、セイレーン契約者が人相変わってる可能性がある事と、ユニコーン契約者の外見とかについてDに伝えていただけるとありがたいかな、と

あ、ちなみに
ヘンリエッタ、Tさんのことを「組織」に黙っていてほしいなら、頼めばそれを承知してくれます
舞にクレーンゲームのヌイグルミをとってくれた恩があるので
553以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 22:34:35.34 ID:h+OZ7fA10
>>552
了解です
うん、恩は売っとくもんだな!

>>550
ん、Tさんはたぶんそういうのには反応しますね。自分の殺しの原体験に繋がってますし
554以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 22:37:56.17 ID:VGbdelFi0
>>553
>うん、恩は売っとくもんだな!
まぁ、ぬいぐるみの件がなくとも、ケーキか何か甘い物でも奢れば黙っててくr(ry

しっかりしてるんだか適当なんだか、ヘンリエッタはその辺微妙
555以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 22:56:29.97 ID:VGbdelFi0
資料あさりつつほ
556以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 23:17:00.84 ID:iDvEG+Om0
ヤー
557以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 23:17:12.81 ID:VGbdelFi0
みんな寝たな
おやすみー
明日もスレ残ってるといいなぁ
558以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 23:27:06.87 ID:LoPy32+aO
日付が変わるまで頑張ろうほ
559以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 23:48:51.83 ID:+6gqJzHA0
保守ー
560以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/15(木) 00:02:03.44 ID:LoPy32+aO
洗濯物の乾燥が終わらないと寝れないほ
561以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/15(木) 00:11:24.71 ID:z1Gn+KJH0
どんまいほ
562以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/15(木) 00:31:14.70 ID:z1Gn+KJH0
563以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/15(木) 00:47:47.50 ID:z1Gn+KJH0
ねるほ
564以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/15(木) 00:58:49.04 ID:yAigcTuJO
どう見ても寝坊フラグです。本当にありがとうございました。

寝るほ
565以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/15(木) 01:29:03.69 ID:iHhiTFgU0
ho
566以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
こんな時間まで起きてるから授業中にガン寝するんだよな保守