「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」

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1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
ここは
都市伝説と契約して他の都市伝説と戦ってみたり
そんな事は気にせず都市伝説とまったりしたりきゃっうふふしたり
まぁそんな感じで色々やってるSSを書いてみたり妄想してみたりアイディア出してみたりするスレです


「まとめwiki」 ttp://www29.atwiki.jp/legends/


まとめ(途中まで) ttp://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/urban_folklore_contractor.html


避難所は↓だよ!規制中やスレが落ちている間はこっちでゆっくりしていようね!
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/13199/

2以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 13:16:22.78 ID:hQzf5Wux0
よくある質問



 このスレってジャンプの某読みきりと関係あるの?



始めにこのスレを立てた>>1が何を考えて、スレを立てたのか
今となっては、その真相はわからない
ただ、ここに集まった者たちは、各自思い思いに妄想をぶちまけていき、今のこのスレの形となっていった


まぁ、結果としては関係あるかどうかとか、どうでもよくね?
ぶっちゃけ、ほぼ関係ない内容だし

3カップル自重しろ  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 13:20:04.94 ID:hQzf5Wux0
 喫茶店「兎の尻尾」
 そこは、都市伝説事件に悩む人が訪れる場所であると同時に、都市伝説契約者が集いやすい場所でもある
 かの有名な喫茶店ルーモアとは違い、住宅街の一角で看板も出さずに営業しているこの店は、知る人ぞ知ると言う雰囲気が強く、今日も客の数は少ない
 せいぜい、男の二人連れの客が一組いるだけだ

「…っつか、この状況、誠に見られたら、殺される気がする」
「いや、いくらなんでも、そんな事はしないだろ、あいつも」

 ぼそ、と辰也が呟いたその言葉に、翼は小さく苦笑した
 まさか、親友がそんな事をするわけあるまい、と翼はそう考えているのだが
 まぁ、実際のところ、見られたらどうなるかは…それは、神のみぞ知る事である

 たまたま、バイト帰りのところ、これまた仕事帰りらしい辰也と顔を合わせて
 悪魔の囁きなどに関する情報交換もかねて、たまたま傍にあったこの店に入ったのだ
 マッドガッサー騒動以降、同じ歳同士という事もあってか、恵や直希も含め、5人でわりと仲がいいのだ

「葵の腕の怪我の具合、どうなんだ?」
「…ジャッカロープの乳飲めば、一発で治るレベルだよ。マッドとイチャつきたいが為に、自然治癒に任せてる状態だからな」

 ため息をつきつつ、コーヒーに口をつける辰也
 若干、ストレスが溜まっているようにも見える

「右腕怪我したから、利き手を怪我したから日常生活大変だってのはわかるよ。よくわかる………だけどだよ!だからって、食事の度に「はい、あ〜ん」をやるなってんだ!」
「やってんのかよ!?」

 辰也の言葉に、思わず突っ込む翼
 辰也に突っ込むべきではないとわかっているのだが、突っ込む相手がいないのだから仕方ない

「やってやがるよ畜生。食事のたびに食卓がピンクのオーラでラブハリケーンだよ。見てるだけで腹いっぱいだっての」
「…誰か突っ込まないのか?」
4以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 13:22:10.45 ID:7UUdJkHai
>>1
頭おかしいんじゃネーの?
5以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 13:23:25.26 ID:dIYnm3MlO
糞つまらん
6カップル自重しろ  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 13:25:04.10 ID:hQzf5Wux0
「マリと留美は、むしろそれに乗じて自分達もイチャつこうとするし。誠は面倒がって突っ込まないし魔女は面白がってやがる」
「恵は?」
「状況を性格に理解できず、きょとんとしてた。ジャッカロープは何考えてるかわかんねぇ」

 …あぁ、と
 その状況を鮮明に想像する事ができて、翼はうん、と頷いた
 ……確かに、恵は携帯で恋愛小説なんぞ書いているくせに現実のそれに鈍いから、そうなりそうだ

「いい加減、この状況続くとリア充いい加減にしろな勢いで嫉妬で押しつぶされそうなんだが」
「……まぁ、頑張れ。悪魔の囁きには気をつけろよ」
「わかってる」

 はぁ、と再びため息をついた辰也
 辰也としては、自分だって恵と…と言う思いが、あるのかもしれないが
 いまだに、恵は元々男であり、メンタル面も男と言う事を考えて、告白できないままだ
 そう言う事情があるから、翼としても、無責任に背中を押してやる訳にもいかず
 どう、アドバイスしてやったらいいものか、悩むのだった




続く予定なんざないので終わる


7笛、これは正直投下して良いのだろうか? ◇rpv9CinJLM (代理):2010/03/31(水) 13:28:52.29 ID:hQzf5Wux0
【電磁人の韻律詩23〜デュエル!〜】


三月某日。
その日の二人は晩のおかずで対決していた。

「お袋の味を思い起こさせるスッキリさわやか味付けの肉じゃがだ。」
「いいや、コテコテの焼き肉だね! 」

※どうやら豚肉があまっているようです

さて、明日真と恋路が仲の良いカップルとはいえ意見が対立することはよくある話だ。
この場合、二人はとある勝負をして借った方の結論に従うことにしている。

「良いぜ恋路、だったら決闘(デュエル)だ!」
「勿論!」

明日と恋路はお互いのデッキを取り出すとテーブルに座った。

「「――――――――――決闘(デュエル)! 」」

ここに、第一次明日家晩飯大戦が始まったのである。


8笛、これは正直投下して良いのだろうか? ◇rpv9CinJLM (代理):2010/03/31(水) 13:32:49.50 ID:hQzf5Wux0
「お前らさ、あんまり喧嘩するの良くないぜ?」

話は二週間前に遡る。
二人は笛吹丁に説教を受けていた。

「いや、別に喧嘩するなとは言わないよ?
 人間だしそりゃあ腹が立つ時だってあるさ。
 でもさ、二人が喧嘩するといざって時危ないよね?
 精神的に隙ができたりするし。」
「笛吹、それはあんたが言って良いことじゃねえよ。」
「私達が喧嘩した隙を突いて攻撃しかけてきたのは所長だよねえ。」
「ああ、その節は済まなかったねえ。」

いつの間にか立場が逆転していた。

「まあそれは今回の話とは直接関係はないんだよ。
 そうじゃなくてだね、今度からお前ら喧嘩したらこれで決めろよ。」

ポスン
笛吹丁は二人の前に紙束を置いた。
それはどちらもスリーブに入っており丁度40枚にそろえられている。

「カードゲーム?」
「カードゲーム。」
「カードゲームか?」
「カードゲームだ。」

そう言って笛吹はにやりと笑った。
9笛、これは正直投下して良いのだろうか? ◇rpv9CinJLM (代理):2010/03/31(水) 13:35:48.77 ID:hQzf5Wux0
さてさて、話は現在に戻る。
なんだかんだで笛吹から渡されたカードゲームに嵌ってしまった二人は今日も勝負を始めるのであった。

「私のターンからだ!
 カードを一枚ドローする!」

恋路がデッキからカードをドローする。
何か良いカードが来たようだ。

「来た!カードを魔法・罠ゾーンに二枚セットして……」
「なんだよ、嫌な予感しかしねえなあ……。」
「うふふふ、残念ながらそれは的中だぜ。
 モンスターゾーンにカードを一枚セットしてターン終了。」

「オーケィ、じゃあ俺は手札からアナザー・ネオスを召喚。
 アナザー・ネオスで攻撃だ。」
「アナザー・ネオスの攻撃力は1900か。
 私は電池メン-ボタン型の守備力は100、破壊だね。
 でもこいつは表になったときに効果を発動するよ。」

恋路は自らの伏せカードを見てニヤリと笑う。


10笛、これは正直投下して良いのだろうか? ◇rpv9CinJLM (代理):2010/03/31(水) 13:39:11.14 ID:hQzf5Wux0
「電池メン-ボタン型の効果発動だ。
 デッキから電池メンー単三型を攻撃表示で特殊召喚する!
 さらに速攻魔法【バーサーカーソウル】!」

どうやら恋路はアニメも見たようである。

「バーサーカーソウル?」

アニメのネタにとりあえず乗ってあげる明日。
しばらく沈黙した後に恋路は項垂れて
「……嘘です。」
と言った。

「気を取り直して速攻魔法、地獄の暴走召喚発動!
 このカードは攻撃力1500以下のモンスターカードを特殊召喚したときに発動可能!
 特殊召喚したモンスターカードと同じモンスターカードを手札・デッキ・墓地から特殊召喚する!」
「そして俺もデッキから自分のフィールドに居るモンスターを召喚できる……と。
 じゃあ良いぜ、アナザー・ネオスを一枚、デッキから召喚だ。」
「電池メン単三型は場に攻撃表示で三体揃った時、攻撃力が3000になるよ。」

「それじゃあ速攻魔法発動!バーサーカーソウル!」
「バーサーカーソウル?」
「……嘘です。」

この二人、なんだかんだ言って似たもの同士なのだ。
11笛、これは正直投下して良いのだろうか? ◇rpv9CinJLM (代理):2010/03/31(水) 13:42:50.11 ID:hQzf5Wux0
「サイクロン発動。
 お前の魔法・罠ゾーンに残った一枚を破壊させて貰うぜ。」
「ああ、私の魔宮の賄賂が!」
「だろうと思ったよ。」

魔宮の賄賂。
相手にデッキからカードを一枚引かせて相手の魔法・罠カードの発動を無効にするカードである。

「まったく、悪い子だな恋路。」
「アスマは良い子過ぎるんだよ。」
「じゃあ悪い子にはおしおきだ、俺は手札からもう一枚魔法カードを発動。
 デュアルスパークだ。
 デュアルと名の付いたモンスターを一枚生け贄に捧げてフィールド場のカードを一枚破壊する!」
「悪い子にはお仕置きだ、って言うとエロいよね。」
「ああ、そうだな。アナザー・ネオスはデュアルモンスターだ。
 こいつを生け贄に捧げて電池メンを破壊!これで電池メンの攻撃力は2000だ。
 さらにデュアルスパークの効果でカードを一枚ドローするぜ。ついでに地割れ。
 お前の場に居る攻撃力のもっとも低いモンスター、電池メンを破壊だ。
 ターン終了。」
「あーうー…………。」


12笛、これは正直投下して良いのだろうか? ◇rpv9CinJLM (代理):2010/03/31(水) 13:45:53.74 ID:hQzf5Wux0
恋路の表情は苦笑いである。
ご自慢の電池軍団がこんなに簡単に崩されるとは思っていなかったようである。

説明しよう。
恋路のデッキは【電池メン】と呼ばれる電池を模したモンスターが中心のデッキだ。
その電池メンが三体揃うと発動できる魔法カードに漏電がある。
このカードは相手の場のカードを全て破壊できる強力なカードだ。
これを中心にして彼女のデッキは組み立てられている。
「じゃあ私のターン、カードを一枚ドロー。」
明日の手札は四枚、恋路の手札も今のドローで四枚である。

彼は漏電を警戒している。
恋路は明日が伏せているカードは確実に電池メンを破壊するカードであろうと読んでいた。
そこで電池メンを何枚破壊されても関係のない戦法を使うことにしたのである。
「私は手札からハリケーンを発動する!
 お互いの魔法・罠ゾーンに置いてあるカードを全て手札にもそる!」
「もそる?」
「噛んだ、ええ噛みまみたよ。戻るですとも。」
「じゃあ俺は罠カードを発動するぜ。ヒーローブラスト!
 墓地のアナザーネオスを手札に戻してお前の電池メンを破壊する!」
「かかったな?」

恋路は邪悪に笑う。

「墓地にある二枚の電池メンを除外して!手札より電池メンー業務用を召喚!」
「あっ、しまった!」

明日は自分のうかつさに気付いた。
13笛、これは正直投下して良いのだろうか? ◇rpv9CinJLM (代理):2010/03/31(水) 13:48:58.24 ID:hQzf5Wux0
「電池メンー業務用は墓地に存在する電池メンと名の付いたモンスターを二体除外することで召喚できる。
 さらに、私は手札からガーディアン・オブ・オーダーを召喚する!
 ガーディアン・オブ・オーダーは場に光属性のモンスターが二体以上居る場合、手札から特殊召喚できる!」
「これを狙って居たのか……。」
「まぁね。」
「だけどお前の手札は残り一枚だぜ。」
「関係無いよ、場に残ったモンスターで総攻撃だ!
 電池メンー単三型が攻撃力1000、業務用が2600、ガーディアン・オブ・オーダーが2500だね。
 アナザーネオスは1900だから……4200ダメージだ。」
「うわああああああ!」

明日真のライフは初期ライフの8000から3800に減った。
いきなりピンチである。

「私のターンは終了だ。
 焼き肉の下ごしらえでもしてこようかな?かな?」
「うっぜえええええ!正義の味方は何時だって負けないぜ!
 俺のターンドロー!よっしゃ!
 ヒーローにはヒーローに相応しい戦う舞台って物があるんだ!
 摩天楼― スカイスクレイパー ―を発動!
 さらにE・HEROキャプテン・ゴールドを召喚だ!
 キャプテン・ゴールドでガーディアン・オブ・オーダーに攻撃!」
「スカイスクレイパーの効果でE・HEROと名の付くモンスターは
 そのモンスターより攻撃力が高いモンスターに攻撃する時に攻撃力が1000上がる。
 まずオーダーを壊しに来たか。
 キャプテン・ゴールドの攻撃力は2100、スカイスクレイパーで私の業務用の攻撃力を600越えた。」
「どうだ!これがHEROの力だ!カードを一枚伏せてターン終了!」

これで恋路ライフは7400である。
14笛、これは正直投下して良いのだろうか? ◇rpv9CinJLM (代理):2010/03/31(水) 13:52:13.34 ID:hQzf5Wux0
「私のターンだ。」

この時点で彼女の手札は二枚。
このまま黙っていれば次のターンには彼女の電池メンは倒されてしまう。

「単三型を生け贄に超電磁稼働ボルテックドラゴンを召喚!
 こいつの攻撃力は単三型を生け贄にしたことで1000アップする!
 攻撃力は2400から3400になる。」
「その瞬間、奈落の落とし穴を発動!
 こいつは召喚された攻撃力1500以上のモンスターを除外する!
 ボルテックドラゴンを除外だ!」
「あーうー。」

だがあーうー言っていても戦局は切り拓けない。
恋路は狙い通り雷族モンスターを一体墓地に送ったのだ。
ならば彼女が狙うことは一つ。

「電池メンー業務用の効果を発動!
 墓地の電池メン単三型を除外してアスマの場に居るモンスターと魔法もしくは罠を一枚ずつ破壊する!」
「………やべぇ。」

明日の場に居たキャプテン・ゴールドと次元幽閉は破壊されてしまった。

「次元幽閉かよっ!」
「だって下手に破壊するとお前墓地の電池メン使って何かするジャン。
 その点攻撃してきた相手を除外する次元幽閉なら完璧って思ったんだもん。」
「まぁそうだけど……。業務用で攻撃!」
「うわああああ!」
「カードを一枚セット、これで私はターン終了だ。」
明日のライフポイントは残り1200である。
15笛、これは正直投下して良いのだろうか? ◇rpv9CinJLM (代理):2010/03/31(水) 13:53:39.21 ID:hQzf5Wux0
「くっそぉ……カードをドロー、モンスターカードを一枚セット、
 魔法・罠カードを二枚伏せてターン終了だ。」

明日の手札はこれで残り零枚である。

「どうしたアスマ、カードが来なかったのか?」

そう言ってドローする彼女の元には何か良いカードが来たようだった。

「行くぜ、罠カード発動!異次元からの帰還!
 私はライフポイントを払って除外された三体の電池メンー単三型を召喚する!
 これで私のライフポイントは3800だぁ!
 そして手札から漏電を発動!
 そのセットされたカード全てを破壊する!」
「残念だったな、恋路。
 メタモルポットの効果が発動するぜ!
 お互い手札を全て捨てて五枚ドローする!」
「なんだって!だけどアスマの場はがら空きだ!
 電池メンー単三型三体で攻撃する!」
「甘いぜ恋路、俺は手札からバトルフェーダーの効果を発動!
 こいつを特殊召喚してバトルフェイズを終了する!
「ナニソレズルイ。ターン終了。
 そしてこのターンが終わると異次元からの帰還の効果で電池メンはまた除外されるよ。」
「このターンはしのいだか……。」


16笛、これは正直投下して良いのだろうか? ◇rpv9CinJLM (代理):2010/03/31(水) 13:54:59.63 ID:hQzf5Wux0
「俺のターン、ドロー!
 手札からミラクルフュージョンを発動!
 墓地に眠るバブルマンとアナザーネオスを融合!
 E・HERO アブソルートZeroを召喚する!
 さらに魔法カード発動!『H-ヒートハート』!
 これでZeroの攻撃力は500あがって3000だ!
 さぁこいつで攻げ……」
「あ、ちょっと待って薬缶にお湯かけっぱなしだったから火止めてくるね。」

恋路は急にキッチンに向かってしまった。
急いでいたらしく彼女の手札が散らばる。
恋路はそれに気付かずに行ってしまった。

「……あ。」

恋路の手札の中に彼はオネストと書かれたカードをみつけてしまった。
オネスト
このカードは自分のフィールドに表側表示で存在する光属性のモンスターが戦闘を行うときに、
手札からこのカードを捨てることでそのターンの間バトルした相手のモンスターの攻撃力分の攻撃力をあげるカードだ。
恋路にこれを発動されると明日は残り1200のライフポイントを全て失う。

「だから何も伏せなかったのか?
 伏せる必要が無いと……。」

明日は恋路にそれがばれないように彼女の手札をまとめておくと、そのまま彼女を待った。
17笛、これは正直投下して良いのだろうか? ◇rpv9CinJLM (代理):2010/03/31(水) 13:56:23.60 ID:hQzf5Wux0
「で、攻撃するの?」
「いや、ちょっと待ってくれ……。ああそういえば通常召喚を忘れていた。」
 手札からE・HEROボルテックをを召喚。」

(どうしよう……)

明日真の手札には超融合がある。
このカードは相手と自分のモンスターの融合を可能にするカードなのだ。
丁度場にいるのは電池メンー業務用、明日はE・HERO The シャイニングを召喚できる。
しかしそれはずるいのではないか?
明日は葛藤していた。

(俺は肉じゃがを食べたい)
(恋路の作った肉じゃがを食べたい)
(芋がふっくらとしていて肉のうまみがジューシーな肉じゃがを食べたい!)

『使えよ明日真、貴様にはその資格がある。』

ハーメルンの笛吹きの声が聞こえる。

『この焼き肉定食の未来を力により変革するしか、目的を成し遂げることはできない。』

(肉じゃがを食べたい、恋路の愛の籠もった手作りホカホカ肉じゃがを!)

だがこんな覇王みたいなことをハーメルンの笛吹きは言っていないぞ。


18笛、これは正直投下して良いのだろうか? ◇rpv9CinJLM (代理):2010/03/31(水) 13:57:59.83 ID:hQzf5Wux0

「愛故に、人は苦しまねばならぬ……。」
明日はポツリと呟く。
「え?」
「いや、なんでもない。」
後の聖帝明日真である。
「手札より超融合を発動する!」
「それはっ!」
「手札を一枚捨てて……、お前の場にある電池メンとボルテックを超・融・合!
 E・HERO The シャイニングを召喚だ!」
「あーうー……。」
「HERO二体で攻撃だッ!」

シャイニングの攻撃力は2600、ZEROの攻撃力は2500。
恋路のライフポイントを軽く上回っている。

「負けたあ……。ちぇっ、それじゃあ肉じゃが作ってくるよ。」
「わーい、ありがとう!」
「まったく、そんな顔されたら断れないじゃないか。
 アスマも割と悪い奴だね。」
「へへへ…………。」

その言葉にかなり良心の痛みを覚えながらも恋路の作る肉じゃがに期待して、
嬉しそうに笑う明日なのであった。
彼はこの瞬間、聖帝への階段を一歩登ったのである。
【電磁人の韻律詩23〜デュエル!〜fin】
19ソニータイマー (代理):2010/03/31(水) 13:58:44.41 ID:hQzf5Wux0
「黒いキューピー人形」
…追ってこない。どうやら僕達はあの可愛いショt…じゃなくて、少年に襲われることは無いようだ
一君は家が近いから、僕達と一緒に帰ることになった。このまま何事も無く帰れる…と思っていたけれど…

ぶーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん

大量のハエが飛ぶ音…『黒いキューピー人形』に襲われた。
堂寺「うわぁあああああ!!!!でたぁああああああ!!!」
光輝「兄さん、驚きすぎ。黒いキューピー人形だね」
小奈美「これはまずいわね…」
一「黒いキューピー人形ですか。これはカメラに収めねば!」
任天兄妹は臨戦態勢にはいり、一はカメラを構える
堂寺「ソニータイマー午後4:15分でセット…起動」 只今の時刻 16時14分59秒→16時15分00秒
黒いキューピー人形のハエの1匹を破壊する
光輝「毒殺」
ハエが数匹落ちる。彼の『ポケモン』の一つである、『もりのようかんでは毒殺事件が起きた』の能力だ
小奈美「行って!スズメバチ!」
小奈美の持っているゲームからスズメバチが飛び出す。以前仲間にしたスズメバチだ。蜂がハエを5匹倒した

なんとハエはおきあがりなかまになりたそうにこちらをみている!なかまにしますか?▼
→はい ピッ
 いいえ
3人は能力を使い応戦するが、一向に数が減らない。これが数の暴力というやつなのだろうか
堂寺「ソニータイマーセット起動、セット起動…だめだ、キリが無い…」
特に堂寺の『ソニータイマー』は対象1つずつにしか使えないため、数の多い相手は苦手なのだ
光輝「確かにこのままじゃ…それなら!」


20ソニータイマー (代理):2010/03/31(水) 14:00:02.55 ID:hQzf5Wux0
そういうと光輝は紙とペンを取り出し絵を描く
光輝「いけ!イシツブテ!いわなだれ!」
光輝が絵を描いた紙から岩のようなポケモンが飛び出す。彼の『ダークライはカナダの子供が描いた絵が元』の能力。
描いたポケモンを実体化できる。これでハエはかなり倒せたが…まだまだ数が多い
小奈美「ハエも行って」
先ほど仲間にしたハエを使って戦う。でもやはり数がほとんど減らない
堂寺「それなら…」
ポケットから黒魔導師クランを取り出し、『ゲーム脳』の力で具現化する
堂寺「クランの効果発動!相手の数×300ポイントのダメージを与える!」
クランの効果が発動し黒いキューピー人形にダメージを与える。スタンバイフェイズ?何それ美味しいの?
ぶーーーーーーーーーーーーーん
でもやはりまだまだたくさんいる。正直、もう3人は結構疲れていた。が、その時…
「…雪女」
「はーい」
その声とともに黒いキューピー人形が凍りついた
この能力はもしかすると…
堂寺「白雪さん?」
白雪「…うん」
雪女「助太刀にきましたよー」


21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 14:02:32.87 ID:rIcrmiPu0
戦闘によってボタン型の効果が発動する場合は暴走召喚は発動できない
22ソニータイマー (代理):2010/03/31(水) 14:04:59.21 ID:hQzf5Wux0
やはりそうだった。確かに白雪さんの雪女の力は黒いキューピー人形には有利だ
光輝「でもどうしてここが分かったんですか?」
白雪「…偶然近くを通りかかったら…ちょうど貴方達が見えたから…」
雪女「もしやと思って近づいてみたんですよー」
小奈美「あ、ありがとうございました」
堂寺「相変わらず可愛いな小奈美」ボソッ
光輝「自重しろシスコン」
こうして、任天兄妹の都市伝説退治は終わった

一「カイザーに黒いキューピー人形、雪女とさらに都市伝説のバトルシーン! 今回はかなりネタが集まりましたね」
そういって帰ってゆく新聞部もいたのだが


              つづく


23栗子の小ネタ ◇O1qyI9JUPg (代理):2010/03/31(水) 14:08:07.66 ID:hQzf5Wux0
「ズルズルズルズル」
グツグツと煮だった鍋焼きうどんは、その温度を保ったまま胃袋へ流し込まれた。
「ゴクゴクゴクゴク」
カレーは飲み物です。と言わんばかりの勢いで、カツカレーは、消え失せた。
「モグモグモグモグ」
この会社の食堂の牛丼は、値段、量、味共に高水準で、以前とあるローカル番組でも取り上げられたという、料理長自慢の一品である。が、目の前にある空の丼からは、それらの情報は読み取れない。

「……いつも思うんだが、よくそんなに食べれるね」
自分の分まで取られるんじゃないかと心配しつつ、目の前で繰り広げられるビックリ人間ショーを堪能する龍敏
「…ふぇんふぃはふひんふぇすほ」
「飲み込んでから喋りなさい」
頬を膨らませる栗子は、その体の小ささと栗毛のせいでリスにしか見えない


24栗子の小ネタ ◇O1qyI9JUPg (代理):2010/03/31(水) 14:12:10.65 ID:hQzf5Wux0
「…ング、ふぁ…燃費悪いんですよ、私の能力」
「いや、それにしたって限度があるでしょ?僕は一番安い定食で我慢してるってのに。」
「龍敏さんが奢ってくれるっていったんじゃないですか。はあ…まだ足りないなぁ」
「え?何?聞こえない。あ〜あ〜聞〜こえ〜なぁいぃぃぃぃ〜!!」
それにしてもこの親父、必死である
と、
「お、嬢ちゃん。今日もいい食いっぷりだねぇ ほれ、俺の鯖やるよ」
「栗子ちゃん、こんにちは。はい、バウムクーヘンあげるわ。沢山食べて大きくなるのよ〜」
「栗子ちゃ〜ん、差し入れあげる!」
「毎日毎日、よく食うなお前…よし、なんか食いたいもん言ってみ?奢ってやるよ」

可愛らしい女の子があれだけの量の料理を食べるのだ。1ヶ月もあればちょっとした有名人にもなる。
テーブルの上に、どんどん料理が追加される。
「まるで餌付けだな…」

ホッケをほじくりつつ、そう呟く龍敏であった…


「あ、チョコレートパフェ。何杯でも食べていいんですよね?」
「…………まだ食うの?」

終わり


25Tさん ◇mGG62PYCNk (代理):2010/03/31(水) 14:16:19.94 ID:hQzf5Wux0


            ●


 煙草を握りつぶしたりして先程まで騒いでいたのが信じられないくらい静かな、それでいて複雑な表情で沈黙した携帯電話を見つめているマドカ。
 いきなり対面、とまではいかなかったが互いに対話の意思が明確になった。
未だ隔意は抱いているようだが、まあ少しは関係も良い方向に傾いたという所だろうか。
 Tさんはそんな彼女を見て思う。
 さて、と一息し、マドカへと声をかけた。
「今貴女は一家が離散していて家なしの状態だったな?」
「それがどうしたんだい?」
 携帯をTさんへと返したマドカはTさんたちが最初に会った時と同じ、少し豪快さを感じさせる笑みを浮かべた。
「今夜泊まる場所はあるのか?」
 そう言ってTさんは頭上を示す。
 既に陽は翳り、街灯が灯り始めていた。この時期、まだ夜は冷える。
「今日の宿泊場所は、まあ決めてないけど……」
 どうにかならぁね。と言うマドカに舞が言う。
「なら今夜くらいウチに泊まってけよ」
「そうするの!」
 続くように同意を示したリカちゃん。Tさんも頷いて「そうすると良い」と言う。マドカは数瞬迷うような表情を見せたが、
「そうだね、そろそろ懐が苦しくてねぇ、世話になろうかな」
 困ったような笑みで答えた。


26Tさん ◇mGG62PYCNk (代理):2010/03/31(水) 14:20:18.33 ID:hQzf5Wux0

            ●


 舞たちが住んでいる集合住宅、その居間でマドカは万年コタツに足を突っ込み、リカちゃんをコタツ机の上に乗せて、特にすることもなくテレビを見ていた。
「なあ、姐ちゃんはそんなにチャラい兄ちゃんのじいちゃんばあちゃんが嫌いなのか?」
 キッチンで夕餉の準備をしている舞が好奇心に惹かれたと言った体でマドカに話しかけた。
「糞爺も鬼婆も旧家の体裁が大事な奴らだったんだよ。やれ見合いだやれ次期戸主だとか縛られ続けてみなさいな、嫌気が差すよ」
 リカちゃんを手で弄くりながら答えるマドカ。
「体裁かあ……」
 調味料を適当に振り入れながら舞は苦笑した。
 この調味料の入れ方は「こんな適当かつ大雑把な入れ方をしているから味付けが濃くなり嗜好もそちらに傾くのだ」とTさんに何度か注意されている。
舞本人にもそれなりの自覚はあるが、だからといって無理に直そうとは思わない。
理由は「俺の性に合わねえから」だ。マドカはそのような性に合わない無理な矯正を何度も、しかもかなり強引に受けたのだろう。
 そいつはしんどいよなあ。性格に合わないこたぁやっぱやりたくねえしな。
 意に沿わぬ事を無理にやらせられ続ければグレるのも当然だ。少なくとも舞などはそう思う。
「うちの親はそこら辺自由っちゃあ自由だからなー」
 舞も高校生の一人暮らしで部屋に男を連れ込んでいるクチだ。
 実家の方には適当に言ってあるし、基本的に舞の自由にさせてくれる親である。
 旧家の体裁とかは良く分からない。だけど翼の親として振る舞う態度は間違っていたというのはよく分かる。
でも反省してるんだしチャラい兄ちゃんもとりあえず話をしてみようぜ。それが舞の結論で、感想だった。
 そうこうしている内に料理が完成した。


            ●


 配膳作業をTさんに任せて舞は調理器具の片付けをする。食卓に着き、食事が開始されるとTさんがマドカへと言った。
「朝比奈マドカ、貴女が青年に会いたいと言うのなら日景の当主に会わないわけにはいかないだろうな」
 それは電話口で黒服が提示した条件である。彼は未だ彼女の事を嫌っているようだ。
27Tさん ◇mGG62PYCNk (代理):2010/03/31(水) 14:24:23.41 ID:hQzf5Wux0
 彼の冷たい声を思い出したのか、舞がいや参った参ったと苦笑する。
「黒服さん、あの電話での声音からしてもう怖いのなんのって」
「くろいふくのおじさん、おこってたの?」
「ありゃ雰囲気的に警戒してたとかそんな感じだったんじゃねえかな」
 Tさんは舞の言葉に「そうだろうな」と頷く。
「黒服さんや青年にとっての貴女は、貴女にとっての日景の当主と同じようなものだろう」
 会いたくはない存在だと、つまりはそういうことだ。それでももし青年に会おうと言うのなら、
「いくら会いたくなくとも、それくらいの条件は飲むしかないだろうな」
「分かってるさね」
 不承不承と言った感じでマドカ。それよりも、とTさん、舞、リカちゃんを見て彼女は訊ねる。
「バカ亭主が起こしてる騒ぎのこと、もっと詳しく教えてくれないかい?」
「ああ、確かにそりゃ知っておいた方がいいぜ。――なあ?」と舞がTさんへと顔を向ける。
 朝比奈秀雄のことは電話中に軽く話した程度だ。朝比奈マドカは都市伝説の事についても知っているようだし、無関係な問題でもない。教えておいた方がいいだろう。
 Tさんは舞へと頷き、自分たちが見てきた今回の騒動についてマドカに話す。
 この町で≪コーク・ロア≫および≪悪魔の囁き≫が大量に発生している事。朝比奈秀雄がそれらを操っているであろう事。彼には他にも都市伝説契約者の取り巻きがいるらしいこと。
その目的がおそらく翼を利用した権力の奪取にあることを改めて説明し、今回の件のあらましを伝えた。


28Tさん ◇mGG62PYCNk (代理):2010/03/31(水) 14:28:27.06 ID:hQzf5Wux0
 全てを聞いたマドカは「あーなるほどね」と呟く。
「それでさっき≪ユニコーン≫が走ってった後、私が狙われていたのなら≪悪魔の囁き≫の件が濃厚とか言ってたのね」
「ああ、まあ確証は無いのだがな」
「いろいろと教えてもらって悪いね」
「構わんさ。あの青年にも世話になったしな」
「ああ、本当にな……」
 Tさんの言葉に少し遠い目で舞が深く頷く。
 十中八九写真に収めた数々の思い出が頭の中を駆けまわっているだろうな。
 Tさんが思っていると、マドカが興味を惹かれたような顔になる。
「ねえ、あんたたちから見た翼のこと、教えてくれるかい?」
 マドカが息子の翼の事を知りたいと思うのも道理だろう。それに話すだけならロハだ。
そう思い、Tさんは「いいだろう」と答える。
 ≪首塚≫の事などは伏せた方がいいだろうな……。
 頭の中でどの話をするか取捨選択していると、突然舞が勢いよく立ちあがった。
「任せとけ!」
 そのまま自室へと駆けて行く舞。
「あの子、どうしたんだい?」
 勢いよく駆けて行った舞を呆然と見送ったマドカにTさんは苦笑気味に言う。
「さて、どうしたのだろうな?」
 写真を取りに行ったであろうことは明らかだ。
 さて、この人にあれを見せたものか。Tさんは割と真剣に悩みながら少し味付けの濃い料理を口に入れた。


29望誕生日ネタ  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 14:32:33.02 ID:hQzf5Wux0
 それは、3月27日の、夜のこと
 キッチンから漂ってくる、いい匂い
 どれも、望の好きな料理の香りだ
 …本日も、家事に逃避している翼
 多分、今日の夕食は豪勢な事になるだろう
 手伝う事はあるか、と一応聞いたのだが

「今日は、お前はゆっくりしとけ」

 と、言われてしまった
 そう言われても、特にやる事もなく
 さて、どうしたものか…

 ……ちゅちゅー

「あら?どうしたの、ノロイ」

 ちゅー

 ちょこちょこ、いつの間にやらまたハムスターケージを抜け出し、望のすぐ傍までやってきたノロイ
 …何か、持ってきたようだが

 ちゅちゅちゅー

 ちょこん、と後ろ足だけで立ち、咥えて来たそれを前足で器用にもって、望に差し出してきたノロイ
 …何と言うか、本当、ハツカネズミを超越した生き物になりつつある
 まぁ、それはさておき、だ
 差し出されたのは、飴玉の空き袋か何かの中に何か入っていて、その開き口をリボン辺りの切れ端で結んだ物
 …まさか、これもノロイが自分でやったのか
 都市伝説になりかけのはずだが、もう都市伝説なのではないか、この鼠
30望誕生日ネタ  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 14:36:47.54 ID:hQzf5Wux0
「何?それ、くれるの?」

 ちゅう

 望を見上げたまま、頷いてきたノロイ
 ありがとう、と受け取っておいた
 …この感触……向日葵の種か?
 どこで拾ったのか、それとも餌の残りかどっちだ
 ころり、甘えるようにくっついてきたノロイ
 そんなノロイを軽く指先で撫でながら、望は夕食が出来上がるのと、黒服が帰ってくるのを待っていた


 −3月27日と言う、この日
 この日は、望の誕生日だった
 昼間には、詩織や友美からもプレゼントをもらって
 翼も、夕食を誕生日の祝いとして豪勢に作ってくれた他にも、プレゼントをくれて
 ……そして

「望さん」

 黒服に、声をかけられて
 ぴくり、望は慌てて顔をあげた
 今、詩織は風呂に入っているし
 翼は、自分の部屋に行っている……ノロイは、ハムスターケージの中の寝床で寝ているし
 今、リビングは
 自分と黒服の、二人きり
 その事実に、望はやや、緊張してしまう
 …黒服や翼と共に生活するようになって、黒服と二人きりの状況など、今まで何度もあったと言うのに
 何故、今でもこうやって緊張してしまうのか
 ……世間一般では、それを「乙女心」と呼ぶ
31望誕生日ネタ  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 14:40:23.28 ID:hQzf5Wux0
「ど、どうしたの、黒服」
「いえ、まだ、渡していませんでしたので…お誕生日、おめでとうございます」

 どうぞ、と手渡されたそれ
 可愛らしい包装紙に包まれている
 …クリスマスに、黒服からプレゼントを貰った時の事を、思い出す

「あなたの好みに、合えば良いのですが」

 小さく苦笑し、そう言って来た黒服
 望くらいの年頃の少女の好みが、よくわからないのだろう
 そんな黒服の言葉に…望は渡されたプレゼントを大切そうに抱きしめ、微笑み返した

「あなたが私の為に選んでくれたのなら、私の好みに合わない訳がないじゃない……ありがとう」

 望の言葉に、ほっとしたような笑みを浮かべた黒服
 …そんな黒服を見つめ、望はふと、考える

 黒服は、翼のことを「翼」と呼び捨てで呼んでいる
 だが、望の事は「望さん」とさん付けだ
 それは、黒服と知り合ってからの関係の長さが、関係しているのだろうけれど
 翼の方は呼び捨てで、自分は違う…と言うのは、少し、悔しい

「……ねぇ、黒服」
「?何でしょう?」
「一つ、お願いがあるんだけど……いい?」

 望のその言葉に、構いませんよ、と答えてくれた黒服
 視線を合わせるような体勢になって、聞いてくれる
32望誕生日ネタ  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 14:44:29.17 ID:hQzf5Wux0
 …何を、緊張しているのだろうか
 別に、緊張する必要など、ないはずだ
 ただ、単純な願い事なのだから

「その…私のこと、「さん」付けじゃなくて……望、って。そう、呼んでくれる?」

 もっと
 もっと、黒服に近しい存在になりたい
 近しい存在でありたい
 その想いをこめて…望は、そう、黒服に頼んだ

 望の、その願いに
 黒服は、一瞬、きょとんとしてきて
 ……しかし、すぐに微笑んでくれた

「えぇ、あなたが望むのでしたら、それで構いませんよ……望」


 とくんっ、と
 鼓動が、高鳴ったのを感じた

 黒服に、名前を呼び捨てにされた
 …ただ、それだけの事で
 こんなにも、嬉しいと感じてしまう


「…?どうかなさいましたか?」
「い、いえ、何でもないわ」

 頬が、赤くなっているのを自覚しつつ
33望誕生日ネタ  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 14:48:44.98 ID:hQzf5Wux0
 そう、誤魔化した望
 黒服は、そんな望の様子に、小さく首を傾げてきて

 …そして、そっと
 望の頭を撫でてきて、くれて

「お誕生日、おめでとうございます」

 改めて、そう、言ってきてくれて

「生まれてきてくれて、ありがとうございます」

 黒服がかけてくれた、その言葉が
 酷く、酷く嬉しくて

「…どういたしまして」

 と、黒服から渡されたプレゼントを抱きしめながら
 そう言って、幸せに笑って見せたのだった



 あなたが生まれてきてくれた、奇跡に、ありがとう



fin
34伝える事  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 14:50:39.36 ID:hQzf5Wux0
 …朝比奈 秀雄との遭遇から、一週間以上が過ぎて
 翼の精神状態は、酷く追い詰められていっていた
 それでも、共に暮らしている家族や友人達の支えもあり、致命的な段階までは、まだ追い込まれていない
 少し持ち直したり、また落ち込んだり…その、繰り返しだ
 朝比奈 秀雄がばら撒いた悪意…悪魔の囁きや、コーク・ロア支配型による事件の話は、嫌でも翼の耳に入ってくる
 その度に、翼は自分のせいで、と考え込んでしまっている
 ……将門の言葉ではないが、翼は責任を背負い込みすぎる
 せめて、もう少し、翼の心を楽にしてやれれば良いのだが
 どこかに隠れ潜んでいる朝比奈 秀雄を見つけ出し、それを捕縛するなり無力化するのが一番なのだが…まだ、行方はわからない
 「組織」は、拡大する悪魔の囁きやコーク・ロアの事件の沈静化で、精一杯で、そこまで捜査が及ばないのだ


「…なぁ、大樹」
「はい?……翼、どうしましたか?」

 考え込んでいた黒服に、ふと、翼が声をかけてきた
 もう、夜も遅い時間、望や詩織は自分達の部屋で眠っている
 翼は、これからコンビニの深夜勤から帰ってきた所
 黒服も、翼のバイト先の人間に悪魔の囁きが憑いていないか調べるためにそのバイト先を訪ね…先ほど、二人で一緒に帰ってきた所だ

 翼は、念のためなんだが、と前置きして尋ねてくる

「…糞親父が、俺のこと見張ってる、って事は…ない、よな?」
「そうですね…ある程度、こちらの動きを把握している可能性はありますが、24時間見張っている事はないでしょう。都市伝説能力梨にそれを成し遂げるのは難しいですし、都市伝説能力を使ってあなたをそうして見張っていたならば、私か望が気づきますから」

 黒服の言葉に、そうか…と、ほっとした表情を浮かべる翼
 今度は、黒服が翼に、気遣うように尋ねる

「…やはり、彼に見張られていないか、不安ですか?」
「ん…まぁ、そう言うのも、あるけど」
35伝える事  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 14:52:33.66 ID:hQzf5Wux0
 ちょっとな、と
 翼は、やや力なく笑ってみせる

「今度、爺ちゃんの見舞いに行こうと思ってたから。親父がそっちにまでちょっかいだしたら嫌だったからさ」

 …その、翼の答えに
 黒服は、小さく動揺した
 翼の言う、「爺ちゃん」
 それは、つまり…

「日景 宗光さんのお見舞い、ですか?彼は、どこか体を壊していらっしゃるので?」
「あ、いや。ただ、元々あんまり病気した事なかったのに、去年の暮れ、少し大きな病気だかで、入院したみたいでさ。もう治って退院してんだけど、少し気が弱ってるんだよ。もうどこも悪くないって言うけど、病は気からって言うし。やっぱ、心配で」

 と、ここまで答えて
 あれ、と翼が首を傾げてきた

「…大樹、俺の爺ちゃんのこと、知ってたっけ?」
「………っ」

 しまった、と黒服は一瞬、焦る
 翼は、己の母の実家が…日景家が、どう言う家なのかをよく知らない
 ただ大きな家だ、とそれくらいの認識しかなく
 日景 宗光と言う祖父が、どれほど有名な人物であるかを、知らないままなのだ
 黒服が、彼のことをある程度把握している事も…当然、知らない

 黒服は、誤魔化そうとして……いや、と考え直す

 話した方が、いいのだろう
 話す、べきなのだろう
 日景家が、どう言う家なのかを
36伝える事  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 14:53:52.43 ID:hQzf5Wux0
 …その家が、翼が狙われる原因であろう事も
 それが、翼の心にどんな影響を与えてしまうのか…正直、黒服いは予測がつかないし、翼に、家の事を伝えず、権力争いから遠ざけようとしている日景家の人間達の意志にも、反してしまうかもしれない
 ……だが、いつまでも隠しとおせることでもない
 それに、翼はその事実を知ったとしても、権力を握る事に興味を持つような子でもない

「…大樹?」

 考え込んだ様子の黒服に、首を傾げ来た翼
 …大丈夫だ
 この子なら、きちんと、真実を受け入れられる
 黒服は、そう、翼を信じる事にした

「翼、少し、話しておきたい事があります」
「?俺に?」
「はい…お疲れの所、申し訳ないのですが…」
「俺は、別に疲れてないし平気だよ。話があるなら、聞くぞ」

 翼の言葉に、黒服は申し訳ありまえsん、と小さく苦笑して
 ………そして、翼に、日景の家のことを、ゆっくりと話し出した


 …初めは、驚いていた様子の翼だったが
 それでも、黒服の話を大人しく聞いて行って…それを、真実をして、受け入れていっていた
 若干、思い当たる点もあったようだが…よもや、自分の母親がそんな由緒ある家系の生まれだとは、考えた事もなかった為、気づかなかったらしい

「…だってよ。あの糞ババアが、そんな由緒ある家の生まれだなんて、想像つくかよ?」
「……まぁ、私もあなたの母親とは、何度か接触した経験がありますが………失礼ながら、想像つきませんね」

 苦笑する黒服の言葉に、だろ?と頷いてくる翼
 本人には悪いのだが、翼の母親たる朝比奈 マドカからは、そう言った家の生まれを思わせる気品と言うか何かというか、そのような雰囲気は備わっていないのだ
37伝える事  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 14:55:07.36 ID:hQzf5Wux0
「なぁ、大樹」

 …ぽつり
 翼が、口を開く

「俺が……爺ちゃん達を、頼っちまって。糞親父や糞ババアと同じ苗字が嫌だ、って言っちまったから……俺が、「日景」を名乗るようになったから。糞親父が、今みたいな騒ぎを、起こしちまったんだろうか」
「…そんな事は、ありませんよ」

 あぁ、この子は、また
 また、自分が悪いと、背負い込もうとして

 黒服は苦笑すると、そっと、翼の頭を撫でてやる

「あなたの責任ではありませんよ。あの頃、あなたはただ、会った事のない祖父母に会いに行った。そして、その時、初めて顔を合わせたあなたを受け入れてくれた。ただ、それだけです」
「……でもよ」
「翼」

 少しでも、翼の負荷を軽減させようと
 優しく、黒服は言葉を続ける

「あなたが、日景の家を訪れた事を否定してしまえば。「日景」の姓を名乗る事を許された事を否定してしまえば…それは、あなたを受け入れてくれた、宗光さん達の思いも、否定する事になってしまいます」

 日景家当主達は、自分達が勘当して追い出した娘が生んだ子供が尋ねてきても、それを追い払いはしなかった
 むしろ、温かく、日景家に迎え入れたのだ
 …最も、長く頼る事を嫌い、翼はその家に住まう事は、なかったが

 翼は、やや悩んだ様子だったが………うん、と頷く

「そう、か……ありがとうな、大樹。教えてくれて」
「いえ、どういたしまして」
38伝える事  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 14:56:11.43 ID:hQzf5Wux0
 笑ってくれた翼
 まだ、以前の笑顔ではないが…それでも、少し、力が戻った

「それで、さ。ちょっと、頼みがあるんだよ」
「頼み、ですか?」
「あぁ…明日、爺ちゃんの見舞いに、あの家に行くつもりだけど。ついてきて、くれるか?」

 じっと、黒服を見あげて
 翼は、そう頼んでくる

「糞親父の目的が、家の権力を手に入れることなら…今、爺ちゃんが弱ってるのが、心配で」
「何かの、都市伝説能力の影響を受けている可能性がないか、調べて欲しい……ですか?」

 黒服の言葉に、翼は頷く
 朝比奈 秀雄が、翼を利用して日景家の権力を手に入れようとしているのならば……現当主の宗光の存在は、いずれ邪魔になる
 宗光だけではなく、現在の時期当主候補である、日景 薫にも、なんらかの害が与えられる可能性は、高い
 翼は、それを心配しているのだろう

「わかりました。あなたさえ宜しければ、付いて行かせていただきます」
「あぁ。頼んだ」

 翼の家族として、契約者として
 翼の負荷を、少しでも軽減できるのならば
 自分は、その努力を惜しむつもりはない

 そう考え、黒服は翼に、優しく笑いかけてやるのだった



to be … ?
39彷徨うみさき ◇caHoDnkdag (代理):2010/03/31(水) 14:58:01.72 ID:hQzf5Wux0
襲撃に合った街から離れ、少し遠くの街に美咲は辿り着いた。

「はぁ。幸い此処までは、無事に来れたけれど」
「今の状況は、普通にヤバイだろうね。あの騒動じゃあ、確実に組織が動くだろう」
「その上、こっちは赤マント£Bの修復が終わっちゃいねぇ。代わりの奴を出せば良いが、戦力は落ちちまう」
「鬼女≠ウんは、コストが高すぎますもんね」
傍から見れば、喋っているのは美咲ただ1人。だが、実際には彼女と同化している亡霊少女達との会話なのだ。
まぁ、そんな事知りもしない人々には、独り言で会話を続ける少女にしか見えない訳で……。
それ故に不気味さから、腹部が薄らと赤く滲んでいる彼女に声を掛けるのを皆、戸惑っている様だ。
痛みを感じている様子は無いので、その汚れはインクか何かだろうと思い直している人も居るかもしれない。
……かすかに鼻に付く、鉄の臭いを気のせいとして。

「取り合えず、どっかで休まない? 普通に疲れたし眠いんだけど」
「そ〜だね。これでエネルギー使っちゃ、勿体無いよ〜」
深夜になり、店仕舞いをした店舗が幾つかある街を、美咲は見渡し歩く。


40彷徨うみさき ◇caHoDnkdag (代理):2010/03/31(水) 14:59:45.59 ID:hQzf5Wux0
彼女が探しているのは、個室が有り夜を明かす事が可能な施設。
都市伝説と魂のレベルで融合しているとは言っても、肉体的には契約時の十代後半の少女の体のままなのだ。
だから休息は、絶対とは言えないが必要となってしまう。その上、亡霊少女達はその身を嬲られた末に命を消され、美咲もあと一歩でそう成りかけた。
なので、安心して眠れる場所を望むのだ。

「発見」
1つの建物を見て呟く。
それは、ネットカフェだった。
個室が利用でき、ネットを通して情報の収集も可能となるソレは、確かに便利な施設だ。
深夜という時間帯が面倒だが、まぁ、大丈夫だ問題は無い。
そう判断し、美咲は、ネットカフェの中に入っていく。


41彷徨うみさき ◇caHoDnkdag (代理):2010/03/31(水) 15:01:00.70 ID:hQzf5Wux0

「っしゃいませぇ〜ふぁ」
カウンターに居た店員が、入って来た彼女の姿を見て、眠そうな声で言う。
「何番の席をご利用なさいますか?」
「それじゃあ、この席でお願いします」
「了解しました。……会員証か、身分証明書をお持ちですか?」
美咲とのやり取りをしている内に、彼女の外見から疑問に思った店員がそう切り出した。
実際の年齢は違うとしても、こんな時間に見た目高校生の少女が来たのだ、家出かと思ったのかもしれない。
そんな店員に、美咲は。
「う〜ん。成長しないってのも厄介だね」
「はい?」
「ま、予想は出来てたけどな。チョッと、私の目を見てくれっか?」
そう言って目を合わせる美咲、その瞳からポワンと光が発せられ、それが店員の目に入ったと同時に、
「それでは、ごゆっくり」
先程まで、訝しげに美咲を見て居た店員が何事も無かったようにソレを渡す。
アレだ、何時に来たのか書いてあるレシートとかが乗ってる板、何て名前だったけか?
まぁ良い。
兎に角、まるで疑ってすらいなかった様な店員から、ソレを受け取り美咲は個室へと向かう。

「あ〜あ、1日も経たない内に、《気功術》と《催眠術》の2つも使ってしまいましたか。」
と、小さく言い残して。

続く


42以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 15:05:10.33 ID:T8uPCf+20
43日景家本家にて  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 15:05:54.58 ID:hQzf5Wux0
 …日景家の門構えは、かなり大きい
 門の向こう側に、古い日本式建築の大きな屋敷が見える
 古くから続く旧家に相応しい貫禄が、そこにはあった
 その前に立ち、黒服は隣に立つ翼のちらり、視線をやった

「どうしましたか?翼」
「…いや、その」

 やや、緊張している様子の翼
 そんな翼に、黒服は小さく苦笑した

「日景家がどのような家だとわかったからと言って、緊張する必要はないでしょう。宗光さん達も、それは望まないでしょうし」
「…あぁ」

 だよな、と
 軽く頭を振って、気持ちを切り替えた様子の翼
 大きな門をくぐりぬけ、中に入っていく
 黒服も、その後をついていって

「………?」

 …かすかに
 翼が契約しているのとは…別の、都市伝説の気配を感じた
 あの、屋敷からだ
 悪意を感じる気配ではないが…

「大樹?どうしたんだ?」
「いえ、なんでもありません」

 気のせい、だといいのだが
44日景家本家にて  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 15:09:48.65 ID:hQzf5Wux0
 そう考えながら、翼の後をついていく

 …てん
 てん、と
 鞠をついている音が、聞こえてくる
 てん、てん、と
 屋敷の広い前庭で、小さな子供が鞠をついて遊んでいた
 小学校低学年くらいだろうか
 和服の似合う、可愛らしい子供だ
 その子供は、敷地内に入ってきた黒服と翼に気づくと、鞠をつくのを止めて視線を向けてきて
 ………ぱぁ、と
 瞳を、輝かせてきた

「翼にーちゃん!」

 てちてちてち
 鞠を抱えて、子供が走ってくる
 タックルするように駆け寄ってきたその子供を、翼は抱きとめてやっている

「よぉ、武。爺ちゃん、起きてるか?」
「ううん、調子悪いって言って寝てるよ。でも、翼にーちゃんが来たなら、調子悪いの忘れて起きてくるよ!」

 翼の問いかけに、無邪気にそう答える子供
 …翼が「武」と呼んだ辺りを見ると、少年だったようだ
 武は、じ、と黒服を見上げてきて…首を傾げてくる

「だーれ?」
「あ、私は…」
「ほら、前に話しただろ?俺の大事な奴だよ」
45日景家本家にて  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 15:13:59.75 ID:hQzf5Wux0
 黒服の言葉を遮って、そう答えた翼
 その答えに、武はまた、きょとん、と首をかしげて………
 …うん、と、何やら納得した表情を浮かべてきた

「武、おじさんいるか?」
「おとーさんは、わかがしらって人がお客さんで来てるから、その人の相手してるよ。おじーちゃんに用事あるなら、おばーちゃん呼んでこようか?」
「あぁ、頼んだ」

 わかったー、と、武がてちてち、屋敷に向かって走っていく
 その後ろ姿は、女の子にしか、見えない

「…翼、あの子は」
「ん、おじさんの息子さん。ここで世話になってた時遊んでやってたから、懐かれてて」

 そうですか、と黒服は納得した
 翼はわりと年下相手に面倒見がいいから、懐かれすい面がある
 あの子供にも、そうやって懐かれたのだろう

 玄関に二人で向かうと……からからと、戸が開き、上品な老婦人が、顔を見せた
 老婦人は翼に視線をやり、微笑む

「いらっしゃい、翼さん……そちらの方は」
「……はじめまして。大門 大樹と申します」

 小さく、老婦人に頭を下げる黒服
 あら、と老婦人は微笑んでくる

「もしかして、翼さんがいつも言っている大事な方かしら?…ふふ、あがってくださいな。主人も、すぐに起きてきますから」

 微笑みながら、二人を促してきた老婦人
46日景家本家にて  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 15:18:08.25 ID:hQzf5Wux0
 屋敷に上がらせてもらいながら…はて、翼は、この家の人間に、自分のことをどう、話していたのだろう、と
 黒服は、若干、不思議に感じたのだった



 奥の座敷に通され、二人で待っていると…小さく、足音が聞こえてきて
 そして、静かに障子が開けられて……その人物が、姿を現す
 どこか風格ある老人…彼が、日景家現当主 日景 宗光だ

「爺ちゃん、久しぶり、おきて大丈夫なのか?」
「あぁ、今日は少し具合が良くてな」
「…今朝は、調子が悪い調子が悪い、って仰っていたじゃありませんか」

 くすり、宗光の後をついてきた老婦人…日景 千鶴が小さく苦笑する
 宗光は、見たところ、特に体の調子が悪そうには見えない
 翼の言う通り、気持ちが弱っているだけで、実際には体の調子は悪くないのだろう
 少なくとも、黒服にはそう見えた

 翼に、祖父としての顔を向けていた宗光
 つ、と黒服に、視線を向けてくる

「…あなたが、いつも翼が話していている…」
「大門 大樹です。翼には、いつも世話になっています」

 そう言って、小さく頭を下げる黒服
 翼が、慌てて口を開く

「っちょ。大樹…世話になってんのは、俺の方だよ」

 翼はこう言ってくるが、家事はほとんど翼や望達に任せきりなのだし
47日景家本家にて  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 15:22:56.63 ID:hQzf5Wux0
 黒服としては、翼達に世話になっている、という感覚の方が強いのだ
 二人の様子に、宗光はやや、複雑そうな表情を浮かべてきた
 「やはり、あのろくでなしな娘のせいで女嫌いになってしまったのか………いや」などと小さく呟いているのだが、幸いと言うか何というか、その呟きは翼と黒服の耳には、届いていない

「…とりあえず、爺ちゃんが元気そうで、良かったよ」
「いつも、こうなら良いのだけどな。どうにも歳のせいか調子が」
「朝食に二杯もご飯をお変わりする人が何を言いますか。あなたはまだまだ50年は生きられますよ」
「…千鶴や、お客さんの手前、もう少し気遣ってくれても良いのではないか?」

 千鶴の笑顔での言葉に、ややいじけている様子の宗光
 その様子には、威厳ある旧家の当主という風格は、やや薄い
 ………対外的にはともかく、普段はこのような感じなのだろう
 長く続く旧家の当主といえど、一人の人間である事に変わりはないのだ
 祖父母のこんなやり取りに、宗光があらためて、体調に問題を抱えていない事を確認できたのだろう
 翼が、ほっとしたような笑みを浮かべる

 …そして、
 一瞬、表情を暗くして
 しかし、宗光達を心配させない為か、その暗さを振り払い、彼らに尋ねる

「…その、爺ちゃん、婆ちゃん。最近、俺の親父かお袋、爺ちゃんたちを訪ねてこなかったか?」

 翼の、その問いかけに
 宗光も千鶴も、不思議そうな表情を浮かべてきた

「いや、マドカも秀雄君も、ここ数年間、本家にも分家にも来ていないが」
「秀雄さんの姿なんて、マドカを家から追い出したとき以来、見ていないわねぇ」
「そうか……」

 ほっとした表情を浮かべる翼
48日景家本家にて  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 15:27:04.54 ID:hQzf5Wux0
 マドカはともかく、秀雄が日景家に何かしてはいないか、心配だったのだろう

「秀雄さん達が、どうかしましたか?」
「い、いや、何でもない」

 千鶴に尋ねられ、慌てて首を左右に振る翼
 都市伝説の事を知らないだろう宗光たちを、事態に巻き込みたくないのだろう

 …黒服は、「組織」に、朝比奈 秀雄の狙いが翼である事
 そして、その目的が日景家に関係してあるであろう事は……報告、していない
 それを報告する事によって、「組織」の手が翼や日景家に必要以上に介入する事を、恐れてだ
 今現在、穏健派が「組織」の主導権を握っているとはいえ、強硬派や過激派が動くとも限らない
 ……だが、そのせいで、「組織」の者を、日景家に警護に漬けられないのも、事実
 黒服としては、それが酷く、歯痒い

 …そうして、黒服が悩んでいると
 そっと、部屋の襖が、開いた
 ひょこり、武が部屋を覗いてきている

「翼にーちゃん、おじーちゃんが元気なのわかったでしょ?遊んでよー」
「武、お前はもうちょっと、爺ちゃんを心配してやれよ」

 カケラも宗光を心配していない様子の武に、翼は小さく苦笑した
 そして、ちらり、宗光に窺うような視線をやる

「わしは、久しぶりにお前の顔が見られただけで充分だよ。武と遊んでやってくれるか?」
「わかった……ほら、武、行くぞ?」
「わーい!」

 嬉しそうに、翼に飛び掛った武
49以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 15:27:32.25 ID:Oy4jvieNQ
スレ立て乙ですしえーん
50日景家本家にて  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 15:32:35.27 ID:hQzf5Wux0
 翼は、そんな武の体を軽くキャッチし、部屋から連れ出す

「あ、大樹、その…」
「…あぁ、翼。わしらが、大門さんに話があるでな…少し、この人を借りるぞ?」

 宗光の言葉に、翼が首をかしげる
 翼が心配そうな視線を向けてきたので、黒服は軽く微笑んで見せた

「私も、宗光さん達に少々お話がありますので…問題ありませんよ」
「そうか?…なら、いいんだけどよ」
「翼にーちゃん、早くー!」

 武に急かされ、引っ張られていく翼
 ぱたぱたと、足音が遠ざかっていく

 …しぃん、と
 部屋の中が、静まり返った

「……いい子でしょう、翼は。あんなロクでなしの娘から生まれたとは、思えません」

 初めに口を開いたのは、千鶴
 小さく苦笑し、そう言って来た

「そうですね…あの子は、いい子です」

 千鶴の言葉に、そう答えた黒服
 時折、若干頭が足りない部分はなきにしもあらずだが、翼はいい子だ
 その認識は、初めに翼と出会った時から、何一つ変わっていない

「マドカが、息子を生んだ事は知っていた。だが、会える事はないだろうと思っていたから…正直、ここを尋ねてきた時は、驚いたものだ」
51日景家本家にて  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 15:37:12.52 ID:hQzf5Wux0
 ふぅ、とため息をつく宗光
 彼らにとっては、会う事はないだろうと思っていた孫が尋ねてきてくれたのは嬉しいが…勘当した娘が、また色々とやらかした事実が、頭に痛いらしかった

「お話を聞いた限りでは、私のことは、翼から窺っていらっしゃったようですが…」
「あぁ。翼は、あなたの事ばかり話すのだよ……マドカと秀雄君の話など、ほとんど話した事がない。大半が、あなたのことか、友人達のことばかりだ」

 再び、ため息をつく宗光
 その表情に、やや影が混じる

「…朝比奈 秀雄。マドカの見合い相手として連れてきた時……マドカと会わせた事を、一瞬、後悔した。それほどまでに、野心の強い男だった。だが、連れて来た手前、マドカが彼を選んだ事を、否定する事はできなかった」
「その結果、二人の間に生まれた翼さんには、随分と辛い思いをさせてしまったようです」

 千鶴も、ため息を吐く
 …娘はともかく、孫の事はずっと心配だったらしい
 あの二人の下、翼がどう育つのか、不安だったのかもしれない
 ……もっとも、翼本人は、「俺の両親なんかよりも、もっと酷い親から生まれちまった奴もいるんだから」と、己の生まれの不幸を、不幸ではないと考えるようになっていた
 …望の親の事を、考慮してなのかもしれない

「…それでも。あの子は、明るく良い子に、育ってくれましたよ」
「あなたのおかげもあるのだろう。翼は、あなたに世話になったと、あなたのお陰であの二人の下で耐えられた、とそう言っていたからな」

 そう言って、宗光はやや羨ましそうに、黒服に視線をやった
 実の祖父母である自分達よりも、この黒服が頼られている事実が、羨ましいようだ

「それで。あなたは、わしらに話があるようだが」
「はい……その、翼の両親。特に、朝比奈 秀雄の事で、少々」

 黒服の言葉に、宗光はふむ?と関心を向けてきた

「秀雄君が、何か?」
52日景家本家にて  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 15:42:17.57 ID:hQzf5Wux0
「…もし、彼があなた達に面会を申し出てきた、としても…出来る事ならば、断っていただきたいのです」

 単刀直入に、そう告げた黒服
 その黒服を、宗光は真正面から見つめ返す

「それは、何故?」
「…無礼は承知です………ですが、少々…あの子が、日景の姓を名乗っている事で、問題が」

 黒服が、そう告げたことで
 彼が何を言わんとしているのか、わかったのだろう
 宗光が、沈痛な表情を浮かべた

「……秀雄君は……まだ、この家の持つそれに、未練があるのか」
「…………そのようです」

 この事実を伝えるのは、黒服としても、心苦しい
 だが、せめてその点だけは伝えなければ、秀雄との接触を阻止する事ができないと判断したのだ

 朝比奈 秀雄と、日景家の人間との接触は、出来る限る避けるべきだ
 朝比奈 秀雄が、その野望をかなえる上で宗光達の存在はどうしても邪魔になる
 彼が、日景家の人間に害を与えないと、言い切ることなど到底できない
 だからこそ、警戒しておくべきなのだ

「…翼は、この家が、どう言う家なのか」
「伝えました。私から」

 黒服の言葉に、そうか、と頷いた宗光
 黙っていても、いずれ知るだろうと、そう感じていたのだろう

「……翼を、どうしても人の醜さが浮き彫りになる当主争いには、巻き込みたくなかった。だから。家の事を知らなかった翼に、その事は何も話さずにいたのだが…結局、巻き込んでしまうか」
53日景家本家にて  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 16:01:30.96 ID:hQzf5Wux0
「…あなた」

 宗光に、気遣うような声をかけた千鶴
 大丈夫だ、と宗光は小さく首を振った

「…千鶴や……「アレ」を、持ってきてくれるか?」
「…!………よろしいのですか?」
「翼が信用している相手だ。問題あるまい」

 宗光の言葉に、わかりました、と立ち上がる千鶴 
 静かに、部屋を後にした

「…大門さんや……これから話す事は、少々、現実味の薄い話だ。信じてくれんでも構わない…ただ、そう言う事実が存在している、ただ、それだけの事なのでな」
「…それは、どう言う…?」
「………都市伝説、と言うのを、ご存知かね?」

 宗光が口にした、その言葉に
 黒服は、体を強張らせた

「都市伝説……ですか?」
「あぁ、最近は、そう呼ばれるらしい。昔は怪談とか言ったものだが、最近は色々な呼ばれ方をしているものだ」
「…それが………何か」
「それらは、実在している………それを、わしらは認識しておる。世間で話されているその全てが実在しているかどうかはともかく…そうやって人に語られる不可思議な存在、それが、ある程度実在している事を、知っておる」

 …千鶴が、部屋に戻ってきた
 何か、布で包まれた……小さな物を、持ってきて
 それを、そっと、黒服と宗光の間を隔てるテーブルの上に、置いた

「何故、それを認識しているか?……日景家では、それを所有しているからだ」
「…………!!」
54日景家本家にて  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 16:07:08.98 ID:hQzf5Wux0
 目の前に置かれた、布で包まれた、それ
 それから感じる、強い、強い都市伝説の気配に、黒服は一瞬、眩暈を覚えた
 
 この屋敷の門をくぐった時に、感じた都市伝説の気配
 それは…………これだ

「…これが、その都市伝説だと?」

 動揺を押し隠し、そう尋ねる黒服
 あぁ、と宗光は頷いた来た

「そうだ。日景家が栄えるに至った、そのはじまり。日景家の至宝にして、この家の始まりの全て」

 する、と
 宗光が、布を取り払っていく


 現れたのは
 中身の見えない……小さな、小瓶


「願いかなえる小瓶の魔人………イフリート。それが、我が日景家で所有し、封印している都市伝説だ」


 目の前に現れた、神話級一歩手前の強さを感じる、都市伝説
 それを前に…黒服は、意識を引きずられぬようにするので、精一杯だった


to be … ?
55以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 16:11:13.78 ID:Sjgq5zeN0
し・え〜ん
56日景家本家にて 続き  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 16:12:38.05 ID:hQzf5Wux0
 それは、昔の話

『…こうして、ご先祖様は、小瓶の中の魔人の力を借りて、危機を脱出する事ができたのでした…』

 和装の女性が、布団に潜る少女に、昔話を聞かせていた
 この家に代々伝わる、昔話を

『小瓶の魔人は、どうなったの?』
『ご先祖様が幸せになったのを見届けた後、小瓶の中に戻ったそうよ』

 少女の問いに、女性はそう答えた

『魔人の入った小瓶は、どこにいったの?』
『今でも、この屋敷に保管されているのよ』
『………私も、その小瓶が見たい!』

 そう言って、布団から起き上がろうとした少女
 しかし、女性によって、そっと布団に戻されてしまった

『まだ駄目よ。あなたが大人になったら、見せてあげる』
『大人になるまで、待たなきゃ駄目なの?』

 不満そうな少女を宥めるように、寝かしつけるようにしながら
 女性は、ゆっくりと続ける

『魔人の小瓶は、この家に伝わる至宝。あなたが大人になって、日景家の次期当主候補となった、その時に、その小瓶の管理を託します。ですから、それまで我慢するのですよ?』
『……はぁい、お婆ちゃん』

 不満はあるようだったが、祖母の言葉には逆らえないのだろう
 少女は渋々、引き下がるしかなかったのだった
57日景家本家にて 続き  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 16:17:26.15 ID:hQzf5Wux0



 やがて、少女は小瓶の魔人の存在を信じなくなった
 そんな者が存在するはずがない、と

 しかし、後に都市伝説と契約し、大人になろうとしていた少女は、小瓶の魔人が存在するかもしれないと考えるようになった
 けれど、その時既に、少女は小瓶の魔人と出会う権利を失っていた




 てちてちと、立派な日本庭園を少女……否、少年が駆ける
 くるり、少年は振り返って、その人物がちゃんとついてきているかどうか、確認する

「翼にーちゃん、こっちだよー」
「っと……待てっての、武」

 少年、武の後をついていっていた青年、翼は、和服に下駄と言う恰好にも関わらず、身軽に走るその様子に小さく苦笑した
 慣れのせいなのだろうが、自分には、あぁ言う芸当は無理だ
 和装やら下駄やらに、昔からてんでなじみがないのだ
 …今にして思えば、母は意図して、その手の物を自分に買い与えていなかった気がする
 恐らくは、この家での生活を、思い出さない為に

「………」

 一瞬、考え込み、しかし、すぐに振り払う
 わかっているのだ、いつかは解決しなければならない問題であると
 だが、今の翼には、その事までを考える余裕はなかった
 ……今は、ただ、学校町を騒がせている父親を、どう止めるか…それ以外のことを考えることは、難しい
58日景家本家にて 続き  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 16:22:51.10 ID:hQzf5Wux0
 家事をしている間や、アルバイトをしている間は、そちらに集中して、その事を忘れられるのだが
 そのような時間が、いつまでも続く訳ではなく
 結局、翼はまた、考え込んでしまうのだ

 …自分の手で、父親を殺すしか、止める手段はないのだろうか、と

「……翼にーちゃん?」

 ぺと、と
 何時の間にか傍に来ていた武が、翼に脚にくっつく
 …気づかぬうちに、脚を止めてしまっていたらしい
 武が、心配そうに翼を見あげてくる

「どうしたの?どっか、痛いの?」
「…いや、なんでもない」

 誤魔化すように笑ってやると、そう?と首を傾げてきた武
 ぎゅう、と翼の手を握ってくる

「ちゃんとついてこないと駄目なんだよ」
「わかったわかった。っと、引っ張るなって…」

 武に引っ張られていく翼
 その間も、思考はただ……戦わねばならぬ父親の事で、占められていた



 圧倒的な存在感を感じさせる、小瓶…その中の、都市伝説の気配
 それに、黒服は内心、冷や汗をかいた
59日景家本家にて 続き  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 16:27:32.34 ID:hQzf5Wux0
 願いをかなえる魔人
 …ランプの精が有名だが、そのバリエーションとして、小瓶に封じられた魔人の話も存在する
 もっとも、小瓶の魔人で有名な話は、人間に恨みを抱く魔人が、漁師に騙されて再び小瓶に封じられる話だが…
 ……しかし、小瓶に封じられた魔人が、人間の願いをかなえると言う話が、ない訳でもない
 そんな存在が、今、黒服の目の前にあった

 …これほどの存在を、「組織」が今の今まで見逃して…
 ………いや
 「組織」と言うものが出来上がる前から日景家はこの都市伝説を所有していたのだろう
 黒服は、そう考えた
 「組織」の歴史は、実際の所、あまり長くない
 「薔薇十字団」や「教会」などと比べれば、その歴史はあまりにも短いのだ
 「組織」ができる以前から、日景家がこの小瓶の魔人を所有し……隠匿し続けていたの、なら
 「組織」がその存在を察知できていなくとも、おかしくはない

「…封印している、そう、仰いましたね?」

 小瓶から感じるプレッシャーに抗いながら、黒服はそう、宗光に尋ねた
 うむ、と宗光は頷いてくる

「『小瓶の魔人を起こすべからず。その夢を覚ますべからず。それが破られし時は、魔人自身が決める事』…そう、言い伝えられていましてな」

 小瓶の中の魔人の眠りを守る事
 小瓶の魔人を、日景家の者以外に渡してはならない
 …それが、日景家当主が護るべき、勤めなのだと、宗光は言う

「そのような貴重な物の存在を、何故、私などに知らせたのですか?」
「翼が、あなたの事を誰よりも信頼しているようだからな……それこそ、わしらよりも」

 黒服に、どこか羨ましそうな視線を向けて、そう言ってくる宗光
60日景家本家にて 続き  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 16:32:02.17 ID:hQzf5Wux0
 だが、その視線に混じっている感情は、羨むものばかりではない
 …信用、してくれているようだ

「ただ、この存在は内密に」
「翼に対しても、ですか?」
「…本来ならば、当主とその伴侶以外には、存在を隠しておかねばならぬものだからな」

 ただ、と
 …宗光は、静かに続けた

「もし……翼が、「都市伝説」の存在を知っているのならば…知らせても良いのでは、と、そう考えている。もっとも、この魔人と契約するという事に、考えがいたって欲しくはないが…翼なら、大丈夫だろう」

 都市伝説との契約のことも、知っているのか
 …もっとも、相手は願いかなえる魔人
 この手の存在が人間に契約を持ちかけてくるのはよくある話だ
 その存在が伝えられている家なら、知っていても、おかしくはない

「…大門さんや」

 じ、と
 宗光と、千鶴が…まっすぐに、黒服を見つめ
 そして、告げてくる

「翼の事、よろしく頼んだ。あの子は、あのろくでなしの娘のせいか、少々、世間から外れて生きようとしてしまう面はあるが…本当に、いい子ですので」
「…それは、私も認識しています」

 髪を染め、言葉づかいを荒くし、世間から外れるようにして生きていても
 その、根っこの優しさまで、曲げてはいない
 決して、曲がる事はない
 ……それが、翼だから
61日景家本家にて 続き  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 16:36:36.94 ID:hQzf5Wux0
「たとえ、あなた達の言葉がなくとも…私は、あの子達を護ると、決めていますから

 翼も、望も
 大切な家族であり、契約者である二人を
 必ず、護りぬいてみせる

 以前は、命に変えても、とそう考えていた
 だが、今は…共に生き続け、護り続けたいと
 そう、強く願うのだ

 黒服の言葉に、一瞬、宗光が複雑そうな表情を浮かべたのだが、黒服はそれには気づいていない

 …くすり
 千鶴が、小さく笑った

「…本当、翼さんは良い人にめぐり合えましたね。お陰で、マドカに育てられ……いえ、あのロクでなしは翼さんをロクに育てもしなかったようですが、それでも、真っ直ぐに育ってくれたのでしょう」
「そうだな………マドカには、もっと、子供との接し方と言うか、育て方を教えるべきだった

 ふぅ、と
 ため息をついた、宗光と千鶴
 千鶴は、そっと、魔人の入った小瓶を再び布で包みだしていた
 …小瓶が視界から消えた事で、少し、圧迫感が消える

「…あんな母親だと言うのに…母親と呼ばれる資格すら、危ういと言うのに。翼は、あんな事を頼んできたのだからな」
「……そうですね…翼さんの思いを無駄にしない為にも、私たちも、もう少し丸くなるべきなのかもしれませんが……」
「……?どう言う事ですか?」

 宗光と千鶴の言葉に、小さく首をかしげる黒服
 千鶴は、困ったように微笑み、言って来る
62日景家本家にて 続き  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 16:42:02.12 ID:hQzf5Wux0
「初めて、この日景家に来た時…翼さん、私たちがマドカを勘当したときの話を聞いて………私達に、頼んできた事が、あるのですよ」


 …この時、語られた、その内容が
 黒服の、マドカに対する態度を、ほんの少し、軟化させるに至った事に
 翼が気づくのは、まだ、もう少し先の話



「…願いかなえる魔人、なぁ」

 日景家から、戻ってきて
 黒服から小瓶の魔人の話を聞いて、翼は考え込む

「宗光さん達が仰るには、朝比奈 マドカは、一応、その話を祖母から……翼から見れば、ひいお婆さんになりますね。その方から、昔話として聞かされていたそうなのですが。翼は、彼女からその話を聞いたことは?」
「…いや、ねぇな。あったかもしれないけど、覚えてねぇや」

 小さく、首を左右に振る翼
 …残酷な事を聞いてしまった、と黒服は後悔する
 そもそも、マドカから母親らしい事をほとんどされなかった翼だ
 親から寝物語を聞かされる経験も、ないだろう

「…申し訳ありません」
「だ、大樹が謝る事ねぇよ」

 謝罪してきた黒服に、慌ててそう言った翼
 …そして、ふと、心配になったのか
 やや不安そうに、黒服に尋ねる

「…なぁ……その、小瓶の魔人の話。親父は、知ってると思うか?」
63日景家本家にて 続き  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 16:45:45.71 ID:hQzf5Wux0
「……わかりません………朝比奈 マドカが、その話を彼にした事があるかどうか。そこにかかってしますが…」

 …彼女の場合、酔った勢いで話してしまって、それを忘れている可能性も捨てきれない
 つまり、朝比奈 秀雄が、願いをかなえる魔人の存在を、把握している可能性は、ある

 ……そうなると
 朝比奈 秀雄が、日景家の実権を、握ろうとしているのだと、したら
 その理由には、たあd、表向きの権力を手に入れることだけではなく
 …小瓶の魔人を手に入れること
 それも、理由に入っている可能性がある

 むしろ
 それが、狙いだと、すれば
 ここまで執拗に翼を狙う理由に、説得力が出来てしまう

「…大樹。爺ちゃん達、親父に狙われたりしないだろうか…?」
「……念のため、「薔薇十字団」に、日景家の人間の護衛を頼んで見ます。「組織」には、小瓶の魔人の存在を隠す意味でも、頼めませんから…」
「…わかった。ありがとう」

 礼を述べてきた翼に、むしろ、それくらいしかできない事を謝罪したくなった黒服
 しかし、口を開こうとした、その時……携帯に、着信が入った
 すみません、と一言告げてから、電話にでる
 この番号は…Tさんからだ

「…Tさん?どうかなさったのですか?」
『あぁ、少々話が………朝比奈 マドカ。今、彼女がここにいてな』
「−−−−−−−っ」

 何という、タイミングだろう
 昼間、翼の祖父母から、あんな話を聞かされた、その後にとは
64以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 16:50:31.50 ID:Sjgq5zeN0
しえしえ
65日景家本家にて 続き  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 17:00:48.19 ID:hQzf5Wux0
 黒服の反応に、首を傾げてきた翼に、苦笑してみせる

「……いえ、何でもありませんよ、翼………Tさん、少々、お待ちください」

 …話が少しでも、翼に漏れたくない
 あんな話を聞いた後ではあるが…翼は、朝比奈 秀雄のことで、精神的に負担を抱えている最中だ
 その最中に、朝比奈 マドカのことまで考えさせたくない

 翼に、話が聞こえないよう部屋を移動して…黒服は、話を再開させる

「…失礼………朝比奈 マドカが、どうかしましたか?」
『彼女と、会って話してもらいたい事があるのだが』

 …Tさんからの、その提案に
 黒服は、動揺を覚えながらも、それを押し隠し………宗光達から聞いた話の事も考えながら
 冷静を装い、対応していったのだった


 …まだ、その時には早い
 それでも、いつかはその時を迎えなければならない
 その事実に、悩みながら



to be … ?
66言葉にしなければ伝わらない事 ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/03/31(水) 17:06:01.53 ID:hQzf5Wux0
時間にしてほんの十数秒
運転席と助手席という位置関係から、やや不自然な体勢で抱き合っていた二人は、ゆっくりと身体を離す
真っ赤になったまま、やや乱れたコートの襟を正して照れ隠しの作り笑いを浮かべる佳奈美
「心配掛けてごめんね、Hさん。なんかまたあたし一人でテンパってたみたいだね」
「別にお前だけのせいじゃない。俺も『組織』に関わる話は全然してなかったからな」
急ブレーキで不自然な角度で停まっていた車を、ハンドルを切り返して路肩に寄せる
「あたし、ね」
佳奈美は、ぽつりと呟いた
「ずっとHさんに助けられてばっかりだなって」
秋祭り後の通り魔
クリスマスの謎のサンタクロース
年明けには白蛇
謎の寒気
分身の造反
そして今回カードの呪い
当然ながらそれら以前にも様々な事に巻き込まれては助けられている
1〜2ヶ月に1回ほどのペースで何らかの騒動に巻き込まれている彼女は、Hが居なければ何回死んでいるだろうか
「自分の能力をちゃんと使いこなせてれば、Hさんに迷惑掛けずに済んでたかもしれないのに」
「そうは言うがな。狙われやすいお前さんをマークしておく事で、事件解決の手掛かりになる事も多いんだぜ、実は」
秋祭りに佳奈美を襲った『夢の結末』の契約者などはその典型だ
「囮!? あたし囮!?」
「そういう意味じゃない。居るだけで何かと助かってるって事だよ」
その言葉には、Hにとっては二重の意味が掛けられている
が、真意は上手く伝わってはいないようで、少女は首を傾げてうーんと唸っている
「それに、俺の能力を使うにあたっては、随分と貢献してもらってるしな」
67言葉にしなければ伝わらない事 ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/03/31(水) 17:12:06.54 ID:hQzf5Wux0
「忘れろー!?」
「忘れたら俺、戦えないだろ」
「妄想! 妄想でカバー! Hさんならできるでしょ!?」
「ふむ、じゃあ佳奈美のあんな姿やこんな姿を妄想してみよう」
「やめー!? やっぱり妄想やめー!!!」
にょろにょろと髪が伸びる様子を見て、真っ赤になって喚きながらHをぽかぽか叩く佳奈美
彼女と過ごしている時間は、過去も、復讐の事も、全て忘れそうになる
だが結局それらを忘れる事はできるはずもなく
彼女と離れた時に感じる寂しさと、失われるかもしれないという不安が日に日に大きくなるばかり
だからこそ
「久し振り」
車の正面に突如現れた少年の姿は、その心を大きく揺さ振る
外見は15か16歳ほど、身長は180には幾分か届かない程度の男子高校生といった頃合の少年だ
黄金色の瞳と、一房だけ金髪になった黒髪を見て、Hは小さく舌打ちする
「車ぶっ壊されたくないだろ? 降りてこいよ」
「佳奈美、待ってろ」
「え? あ、でも」
佳奈美は車の前に立つ少年とHを交互に見て、不安げに訪ねる
「あれ……星くん、だよね?」
身長も、体格も、服装も、瞳の色すら違う少年を見て、一目でその正体に気付いた佳奈美
「いいか、絶対に車を降りるな。俺に何があっても、あいつに何があってもだ」
「え、でも」
さっさと車を降り、言葉を遮るようにドアを閉め
変わり果てた姿の星に、つかつかと歩み寄る
「そんな様じゃ、やっぱり佳奈美は任せられねぇな?」
68言葉にしなければ伝わらない事 ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/03/31(水) 17:17:08.55 ID:hQzf5Wux0
「はっ、あんたが俺じゃあ間に合わないとか言うから、ちょっと追いついてやっただけさ」
「『悪魔の囁き』はまだ憑いてんのか?」
「ああ、とっくに俺に干渉なんかできなくなってるけどな」
《……いっそ離れてぇよもう》
『悪魔の囁き』の泣き言をスルーして、星は静かに笑みを浮かべる
「そう構えるなよ、喧嘩しに来たわけじゃないんだからさ……まだ、な」
「その姿を佳奈美に晒すだけで、充分喧嘩売ってるぜ。あいつがどれだけ心配すると思ってんだ」
「しょうがないだろ、カナお姉ちゃんとあんたの二人共いないと確かめられないんだからさ」
ちりちりと音を立てて、星の髪がまた一房金色に染まっていく
「『カナお姉ちゃんは車を降りて、ここに来る』」
その言葉と同時に、ばんと助手席側のドアを開けて佳奈美が飛び出してくる
「待ってろって言ったろ!」
「でも! 星くん、なんかおかしいよ!?」
星の元へ駆け寄ろうとした佳奈美を、Hは抱き留めて制する
「別に危ない事なんか何もないよ。ただ確かめたい事があるだけだから……『俺の質問に、正直に答えてよ』」
言葉が楔のように心に打ち込まれる
「カナお姉ちゃんは、その黒服の事を、愛してるの?」
「ふぇっ!? ちょ、星くん! 何言って……」
「カナお姉ちゃん……『はいかいいえで、すぐ答えて』?」
佳奈美を抱き留めていたHなら、その口をすぐ塞ぐ事ができただろう
だが、僅かな心の揺らぎがその行動を一瞬遅らせる
Hが押さえ込むよりも早く、佳奈美は答える
「はい」
ぽろりと口から零れ落ちた言葉に、一番動揺しているのは佳奈美本人だった
今までにない程に顔を真っ赤にし、額にぶわりと汗が浮かべ、もの凄くうろたえた顔でHと星を交互に見る
69言葉にしなければ伝わらない事 ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/03/31(水) 17:21:58.06 ID:hQzf5Wux0
「いやでもねHさんって結構モテモテっぽいし歌手のおねーさんとかものすっごい美人だしHさんの事大好きみたいだしあたしみたいなちんちくりんが出る幕とか全然ないよねっていうか生きててごめんなさーい!?」
半泣きになりながら、Hの腕の中でじたばたと暴れる佳奈美
「そっか。多分そうだろうなぁと思ったから、俺も色々先走っちゃったわけだけど」
佳奈美とは対照的に、星は落ち着いた様子だった
「さて、そんなカナお姉ちゃんの気持ちを受けて……黒服、あんたの気持ちはどうなんだ?」
ちりちりと髪を金色に染めながら、星は心に楔を穿つ
もし彼が佳奈美の事を女性として愛し己のものとしたいと思っていないのであれば、殺してでも奪い取る事に躊躇は無い
だが彼が、佳奈美の事を愛しているのならば
佳奈美が求めるものを与える存在ならば
「『正直に答えろ』よ……あんたはカナお姉ちゃんの事をどう思っている?」
星は、彼女の傍にいたかった
その笑顔を見ていたかった
だが、彼女が笑顔でいるために、一番近くにいなければないのが自分でないのならば
《車ん中で抱き合ってる二人を見てたろ。あいつらの仲はぶっ壊してやんなきゃ彼女はお前のもんにならないんだって。どうせ聞いてねーだろ、ばーかばーか》
ああ、俺は馬鹿なんだ
それ以上に、やっぱりガキでしかなかったんだ
だから、難しい事なんて
出来やしないんだ


70偽りが殺ぎ落とされて  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 17:27:06.52 ID:hQzf5Wux0
 −−−−−−剥がれていく

「俺、は………」

 −−−−−−「嘘」と言う鎧が、剥ぎ落とされていく

「…初め、は……約束、したから………」
「Hさん…?」
「………だが」

 駄目だ
 口に出すな
 それを認めてはいけない
 その感情を認めるな
 認めてしまえば……後戻り、できなくなる

「佳奈美の傍に、いる事が……佳奈美を、護る事が、俺の目的に…なって、きた」

 彼女との約束も、関係なく
 傍にいたいと願うようになった
 …彼女との、約束を守ること
 それが、己に人間としての要素がほんの少しでも残っている証拠であったというのに
 それを、気にしなくなってしまうとは

「佳奈美の傍にいたい、佳奈美を護り続けたい………許されるなら…………佳奈美と共に、生き続けたい」

 駄目だ 
 駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ
 口に出すな
 認めるな
71偽りが殺ぎ落とされて  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 17:31:00.09 ID:hQzf5Wux0
 後戻りが、できない

「……俺は……………佳奈美を、愛している」


 はっきりと
 黒服Hは…そう、口にした
 せんみつの彼が、星の能力によって、自分すら偽り続けたその本心を……口にした


 っぽ、と
 その答えに…佳奈美が、頬を赤らめた
 耳まで真っ赤になって、硬直してしまっている


 自嘲するように、黒服Hは笑う
 あぁ……もう、駄目だ
 佳奈美の傍に…いられなく、なってしまう

「…だが、な」

 −−−つぅ、と
 黒服Hの、口元から
 一筋の血が…流れ出した
 げほげほと咳き込みだし、佳奈美から顔をそむける

「え、Hさん!?」

 苦しそうに咳き込み続ける黒服H
 …その口から、血が吐き出され始めた
72偽りが殺ぎ落とされて  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 17:34:28.61 ID:hQzf5Wux0
 己の本心すら、偽り続けていた黒服H
 その「嘘」という鎧が剥がされた弊害が、発生し始めている

「俺は……化け物、だから」

 自虐的に、笑って
 星の能力によって、正直に答えられさせ続けている黒服Hの言葉が、続く
 …佳奈美に対する、正直な、想いが、その口から語られ続ける

「…大嘘つきで………残虐な、人殺しで…………っ、目的のために、手段を選ばねぇ…復讐鬼の、俺が…佳奈美の傍に、いられる訳が、ねぇだろ……?」

 傍にいられるはずがない
 自分のような男が…佳奈美の傍に、いられるはずが、ないではないか

「復讐の為に…お嬢さんやGだけじゃなく、辰也や、愛華や……明日まで、巻き込んでいるんだ……俺みてぇな卑怯な男が、佳奈美の傍にいる事が、許されるはずがねぇ…」

 血を吐き続けながら、続けられる言葉
 自虐的に、黒服Hは笑う

 「嘘」と言う鎧が、剥ぎ落とされた時
 そこにいたのは……復讐に狂いながらも、辛うじて完全に狂う事すらできなかった、中途半端な復讐者だった

「…俺は、化け物なんだ……佳奈美の傍になんか、いられる訳が……ない……」

 だが
 それでも

「…許されるなら………佳奈美の傍にいたい……人間に、戻りたい……人間に戻って…佳奈美の、傍に……」

 嘘をつく事によって、己を偽り続けた
73偽りが殺ぎ落とされて  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 17:39:39.61 ID:hQzf5Wux0
 己を偽る事で、己の存在を保ち続けた

 自分には、人間らしい部分が残っている
 自分は、まだ人間だ
 ほんの僅かでもそう思う事で、己を保ち続けた
 そう偽る事で、自分が化け物出る事を否定し、何とか存在を保とうとした

 ……しかし
 「嘘」と言う鎧が剥ぎ落とされ…それが、できなくなる
 体の崩壊が、始まっていく
 内部だけでは、ない
 外側も、崩れて…

 だが
 赤い、どこか禍々しさすら感じさせる、電流のような光が、黒服Hの体を走る
 体内に仕込まれた賢者の石が、崩れ行く体を高速で再生させていく
 体が崩れるたび激痛が走り、しかしすぐに治され、また崩れ
 激痛が、黒服Hの精神を蝕んでいく

 立っていることすらできず
 佳奈美を抱きしめ続ける事も叶わず、黒服Hは膝をついた
 激しく咳き込み、吐血し続ける

「Hさん……Hさん!?ねぇ、しっかりしてよ!」

 あぁ、頼むから
 そんな声を、出すな
 …泣き出しそうな声を、出さないでくれ
 俺には、お前に……そんなに心配される資格すら、ないのだから
74偽りが殺ぎ落とされて  ◇nBXmJajMvU (転載):2010/03/31(水) 17:42:39.56 ID:hQzf5Wux0
「…大丈夫…大丈夫、だから」

 辛うじて、佳奈美に対してそう、伝えて
 ピルケースの中に入っていた残りの錠剤を、全て口内に流し込む
 激しい激痛が数秒間続いて……ようやく、止まった
 よろり、口元の血をぬぐいながら、黒服Hは立ち上がり…星に、視線を向けた

「……ったく……30過ぎのおっさんの、こっぱずかしい本音と知られたくねぇ事実を、無理矢理話させるんじゃねぇよ…」

 苦しそうに、黒服Hと佳奈美を見つめてきている星
 …彼の心境は、黒服Hには、わからない
 だから、彼ができることは

「さぁて……この化け物の本音を聞き出して、どうする?坊主。俺としては、お前さんに憑いている悪魔の囁きをとっぱらって、お前さんを元に戻してやりたいんだがねぇ?」

 そうだ
 星についている悪魔の囁きをとり払い、あの少年を、元に戻してやらなければ
 今、自分ができることは、それだけだ

 間に合わない、と
 黒服Hは、彼にそう、口にした
 それは、年齢の事だけではない
 能力を扱いこなせるようになるまで、そして、その能力を充分に制御できるだけ、心が成長するまで、間に合わないという意味だった
 …少年に、それはうまく伝わらなかったらしい

「…それ以上、能力を使うなよ…?飲み込まれて、俺と同じ、後戻りできねぇ……二度と人間に戻れねぇ、化け物の領域に、入り込むことになっちまうぞ?」
75以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 18:19:14.36 ID:Sjgq5zeN0
76偽りが殺ぎ落とされて  ◇nBXmJajMvU(代理):2010/03/31(水) 18:43:18.46 ID:Sjgq5zeN0
星の都市伝説化だけは、阻止しなければ
 佳奈美の心に傷が残るような自体にはなってほしくない


 ………佳奈美には、笑っていて、ほしいから


 とんっ、とんっ、と
 軽く、地面を片脚のつま先で叩きながら
 黒服Hは、佳奈美を庇うように立ち…星に、警戒の視線を向け続けていた



to be … ?
77曖昧な境界 ◇O1qyI9JUPg(代理):2010/03/31(水) 18:44:15.87 ID:Sjgq5zeN0
「龍敏さん」
「なーにー?」
デスクに戻った後も、モグモグと差し入れを食べていた栗子が、小声で呼びかける
「都市伝説が暴れている。と情報が入りました 行きますよ。」
「はぁ〜、面倒くさ。」
「…上層部にいろいろバラしますよ?」
「さて、行こーか。ちゃちゃっと倒してとっとと帰ろう」


……………


「うわぁ、これはこれは思ってたより面倒くさそうだなぁ… ねぇ帰ろうよ。他の契約者に任せてさ」

オフィスビルとホテルの間

「人手が足りないから無理ですよ…何でかは知りませんが」

そこには鳥、ネズミ、犬、猫そして人間のゾンビがひしめくという光景が広がっている。

そしてそのゾンビ集団の中心には、他とは異質な―――鳥の羽で作った冠に、葉で作った腰蓑、そして赤や黄色のカラフルなボディペイントが目立つ男がいた。
78曖昧な境界 ◇O1qyI9JUPg(代理):2010/03/31(水) 18:45:34.17 ID:Sjgq5zeN0
――あれが本体だろうな
それにしても、数が多いなぁ。面倒くさい……うん、よし。

「栗子ちゃん、僕の代わりにコイツら倒してくれない?晩御飯奢るからさ〜」
「…わかりました。離れてて下さい。巻き込まれますよ?」

言うと同時に彼女は腕を振り上げる





ピチャリ
と、いつの間にか栗子の足元には大きな水溜まりが広がっていた

その水溜まりから、大きくて白い人間の腕の様なものが出てくる

15〜20mもあるその腕は、栗子が腕を振り下ろすのと連動してその巨腕を動かす

振り下ろす先にいるゾンビ達は、断末魔をあげる暇もなく



グシャリ


潰れてしまった
79曖昧な境界 ◇O1qyI9JUPg(代理):2010/03/31(水) 18:47:59.71 ID:Sjgq5zeN0
「…流石、燃費の悪さに見合う火力だね」
「…どうも。これでも、まだ使いこなせてないんですけどね。さて行きましょう、消費しちゃった分はしっかり食べないといけませんから。」
「はいはい、っと、栗子ちゃん先戻っててくれない?」

「………ばっくれたりしないで下さいよ?」


先に帰って行く栗子を見送ると、龍敏は一人路地裏の奥へと向かう

「さて……………まだ息があるか?気分はどう?最低最悪って感じかな?」

その先には、息も絶え絶えで壁に寄りかかる都市伝説の本体がいた


「……ゼェ、うるせぇ…くそっ…………グッ……ハァ」
「このままじゃあ、1時間もしないうちに存在が消えてしまうだろうね。ハイ、さようなら〜バイバ〜イってね。残念無念、ご愁傷様〜」

軽い口調でヘラヘラと話しているが、目は全く笑っていない
「………ッツ………分かってん……なら……消え失せろ…カンに触るんだよ…テメェ……」
「……… 契約でもすれば、助かるんだろうなぁ。例えば、君の前にいるカッコいいオジサンとか…ね。」

「!!」
80曖昧な境界 ◇O1qyI9JUPg(代理):2010/03/31(水) 18:49:11.41 ID:Sjgq5zeN0
「このままじゃあ、1時間もしないうちに存在が消えてしまうだろうね。ハイ、さようなら〜バイバ〜イってね。残念無念、ご愁傷様〜」

軽い口調でヘラヘラと話しているが、目は全く笑っていない

「………ッツ………分かってん……なら……消え失せろ…カンに触るんだよ…テメェ……」
「………契約でもすれば、助かるんだろうね。例えば、君の前にいるカッコいいオジサンとか…ね。」

「!!」
都市伝説は迷う
何だコイツ、俺の事を完全に消そうとしに来たと思ったら契約をしよう、なんてほざいてきやがった

罠か……?
…… いや、どうせもう消える身だ
四の五の迷ってる暇はねぇ…
「…ククッ、それじゃあ……契約しようじゃねぇか……オッサンよぉ……」

返答を聞いた龍敏はニコッと笑い

「OK、じゃあ―――」
自身の能力を発動し、その都市伝説を……



「――――― 死ね」
バコン、と
ビルの壁と地面の一部ごと消し去った
81曖昧な境界 ◇O1qyI9JUPg(代理):2010/03/31(水) 18:50:25.80 ID:Sjgq5zeN0
「……勘違いしないで欲しいね。さっきのは例えばの話だ。僕は君みたいなヤツとなんか死んでも契約したくないよ。」

都市伝説の本体がいた空間には、綺麗な球の断面が出来上がっている。
肉片の欠片さえ見当たらない。

「さようなら、都市伝説くん。」

踵を返し、その場を去る龍敏。
その表情は少し険しく見える。
人の形をしたものを殺めてしまった故か…



ズキリ

「あ〜ヤバいかもな…そろそろ。」

能力を使った為に激しくなった右目の鈍痛の故かは、誰も…龍敏本人でさえも、わからなかった。少なくとも今、この時点では…………


to be…?
82以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 19:22:07.13 ID:o+8om4cz0
ただいま
代理投下続き乙!!!
83以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 19:40:21.62 ID:o+8om4cz0
もうちょいたったら投下する
84小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/03/31(水) 19:45:41.04 ID:o+8om4cz0
「へー、じゃあ、チャラい兄ちゃんって、それくらい昔から女装が似合ってたんだ」
「あぁ。まさか、出来心で着せた女物のコートがあんなに似合うと思わなかった。後悔はしていない」

 …なにやら、うっかりと翼の女装の話で盛り上がってしまった舞とマドカ
 Tさんは、こっそりとここにいない翼に同情した

「まぁ、あたしの弟も、どっちかと言うと女装が似合うタイプだからねぇ……日景の血筋の男は、女装が似合うのかね?」
「姐ちゃんの弟もかー……ん?」

 あれ?と言った表情で、首をかしげる舞

「どうたしたんだい?」
「どうしたの?お姉ちゃん」

 んー?と考え込んでいる様子の舞に、マドカとリカちゃんが尋ねる
 いや、と前置きして、舞はマドカに答えた

「いや、勝手なイメージなんだけどよ。姐ちゃん達の家って、旧家なんだよな?そう言うとこって、どっちかってぇと当主候補とかって言うのは、男が優先されそうなイメージがあるんだよ」
「まぁ、実際、そう言う家も多いようだな」

 なるほど、とTさんは舞が首を傾げた理由に気づく
 マドカに弟がいると言うのなら……次期当主候補は、そちらが優先されるのではないか?
 舞は、そう考えたのだろう
 それに対して、マドカは小さく苦笑して答えてくる

「やっぱり、普通そう思うよねぇ?でも、あの家は開祖が女だったせいか、そう言う事はあまり関係ないんだよ」
「かいそ??」
「日景の苗字は、昔、別の字があてられていたらしいんだけどねぇ。今の字になるようになったキッカケとなった人物を、あの家ではそう呼んでるのさ」

 一応、元は次期当主候補だったせいだろうか
85小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/03/31(水) 19:48:46.43 ID:o+8om4cz0
 それなりの知識は持っているらしいマドカ
 続けて、言って来る

「日景家には、開祖様が小瓶の魔人と契約して、それで家を栄えさせたって話があってねぇ。それの影響なんだろうよ」
「………小瓶の魔人??」

 首をかしげる舞とリカちゃん
 …その単語に、心当たりがあったのだろうか
 Tさんが、やや、難しい表情を浮かべる

「小瓶か?ランプの魔人ではなくて?」
「あ、ランプの魔人ならわかる。願いを叶えてくれる魔人だよな」

 アラジンの話に出てくるような魔法のランプ
 それに封じられている願いかなえる魔人の話は有名だ
 Tさんの疑問に、マドカはそうさ、と答える

「その小瓶の魔人も、願いをかなえる存在だったらしいね。開祖様は、それと契約して、日景家を栄えさせたんだとか……昔、ババ様が寝物語で聞かせてくれたよ」

 どこか、懐かしそうにそう言ったマドカ
 へぇ、と、舞は感心した様子だったが
 Tさんは、ますます難しい表情を浮かべてきた

「…その話、他の誰かに話したことはあるか?」
「え?」

 Tさんにそう尋ねられ、きょとんとするマドカ
 ううん。と記憶を辿りだす

「そうさね………お伽話だと思っていたし、他の奴に話した事なんて………あ」
86小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/03/31(水) 19:49:57.99 ID:o+8om4cz0
 …やや、嫌な予感を抱えたような、表情で
 マドカは、それを思い出した

「…一度だけ。酒に酔っていた時に………バカ亭主に、話した事があるような、気がする」

 その、事実の重大性に
 マドカは、自分自身の軽率さに、いい加減嫌気が刺した
 ……秀雄に、自分が小瓶の魔人の存在を話してしまっていたら
 …あの男が、その存在を知ったならば
 手に入れようとしないはずがない
 己が野望をかなえるために、何としてでも手に入れようとするだろう

「もう一つ、聞こう」

 …あぁ、わかる
 わかっている
 自分も、嫌な予感がしているのだから

「その魔人が入った小瓶は…今、どこにあるんだ?」
「……日景家で、封印しているって、聞いたことがあるよ。あたしゃ、それを見たことはないけどね……」

 だが、きっとあるのだろう
 都市伝説の実在を知った今ならば、それを疑う事はできない


 …朝比奈 秀雄の目的は、日景家の権力掌握だけじゃ、ない


 ………願いかなえる小瓶の魔人すら、手に入れようとしているに、違いない
to be … ?
87以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 19:51:59.89 ID:o+8om4cz0
Tさんの人にスライディング焼き土下座!!!orz
Tさんのネタからの続きです
あるぇー、千鶴さんがマドカのしつけに薙刀持ち出した話出せなかったや(どうでもいい
88以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 20:09:47.52 ID:o+8om4cz0
にーにー
89以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 20:29:31.84 ID:o+8om4cz0
にーにーにー
90以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 20:46:51.37 ID:8uBObLseO
そのにーにー言うのをやめなさい!
91以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 20:58:37.12 ID:Oy4jvieNQ
『あにぃ』もしくは『兄君』と呼びなさい
92以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 21:00:29.96 ID:o+8om4cz0
お兄さん
兄さん
お兄ちゃん
兄ちゃん
お兄様
兄様

兄貴
アニキ
あにぃ
兄君
にーにー


まったく、兄の呼び方にも無数のパターンがあるもんだぜ
…某ゲームから考えるともっとあった気がするんだけど、ぱっと浮かんだのこれくらいだった
まだまだ未熟
93以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 21:06:39.29 ID:GzgqHfza0
個人的に「にぃに」とかいいと思います
あとは「あにさん」とか「にーたん」とかそんなん?
94以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 21:09:18.45 ID:o+8om4cz0
>>93
自分で作品内で出した癖に「おにーたん」の呼び名を忘れていた俺駄目すぎorz
「にぃに」もいいなぁ
95以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 21:11:04.54 ID:I4GQ2VvL0
「兄者」とか?
96以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 21:17:10.19 ID:GzgqHfza0
>「兄者」とか?
弟にしろ妹にしろ「兄者」って呼ばれ方はなんか遠慮したくないか?w

同じ呼び方でも表現の仕方で大分変わるよね、「兄様」と「にいさま」と「にーさま」みたいな
97以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 21:19:56.39 ID:o+8om4cz0
>>96
ひらがな呼びだと、子供っぽいイメージかも
幼女キャラのセリフっぽくなるね
98以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 21:23:31.25 ID:I4GQ2VvL0
弟からなら「兄者」でもいい 妹からはちょっとアレだが

某スレのせいで幼女キャラは「にぃに」が基本な俺
99以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 21:36:23.12 ID:o+8om4cz0
「兄貴」「兄さん」「お兄ちゃん」「おにーたん」「にーちゃん」
俺が出した兄系キャラへの呼び方はこれくらい…だったようなまだあったようなうろ覚え
100以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 21:38:18.73 ID:GzgqHfza0
妹からの「兄者」はなんかアレだけど無邪気な幼女からの「あにじゃ」ならアリかなーと思ってしまった。
べ、別にロリコンってわけじゃないんだからっ!

リアル弟からは「(名前)ちゃん」って呼ばれ方なのがとても惜しい今日この頃
101以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 21:40:50.87 ID:8uBObLseO
兄者とかお兄様とか外で呼ばれたら恥ずかしくないか?
102以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 21:51:52.85 ID:o+8om4cz0
>>101
可愛ければいいじゃない!
103以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 22:11:32.07 ID:o+8om4cz0
にー
104以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 22:32:16.81 ID:o+8om4cz0
にーにー
105以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 22:34:13.13 ID:GzgqHfza0
話は変わるけど、このスレにいる人達は幽霊とかそういうの信じてるんだろうか?
ちょっと気になる
106以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 22:35:28.58 ID:o+8om4cz0
>>105
いるかもしれないしいないかもしれない
ただ、いないと完全否定するのはロマンが足りないと思ってみる派なんだぜ!
107以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 22:57:11.81 ID:o+8om4cz0
今夜中にもう一個ネタ投下したいが果たして間に合うだろうか
108以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 23:00:54.28 ID:I4GQ2VvL0
>>105
超常現象的な何かはあるって思ったほうがなんか楽しくなるじゃない
109以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 23:06:16.58 ID:GzgqHfza0
あなたの速筆なら余裕で間に合うさーって他人事な感じに励ましてみる。
でも不摂生は体によくないから控えめにーって諫めてもみたり。

ネッシーとかもそうだけど、やっぱ目に見えるものだけじゃロマンがないとは言わないけど、足りないよね。
俺も同じ考えなんだぜー

・・・ついさっき弟がいきなり何もない空間見て喋りだして、どうしたのか聞いてみたら「あそこにながいかみのおねーさんがいるー」だってさwww
マジで怖くて俺涙目www
110以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 23:17:02.34 ID:4WPRPD6R0
フリーズから華麗に復帰

>>109
だって最近執筆スピードがまた落ちてるんだぜー
書きたいネタが溜まっていくのは精神的にイクナイ

そして、幽霊とかいないと言い切るのはロマンがないといいつつ、幽霊に会いたいと思わない俺は多分わがまま
だって、怖いの嫌だし
111Tさん ◆mGG62PYCNk :2010/03/31(水) 23:17:45.84 ID:AOBXlvB/0
スレたてや代理投下等、いろいろ皆さん乙です!

>>87
>>千鶴さんがマドカのしつけに薙刀持ち出した話
割とアグレッシブだったんすね、千鶴さんww
あと寝物語だと夫婦ないし男女間でのお話みたいな意味合いだったような気がするるるるるるる

写真で妙に盛り上がってるのはさすがですw
112以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 23:19:51.55 ID:4WPRPD6R0
>>111
>割とアグレッシブだったんすね、千鶴さんww
千鶴は獄門寺の母親の薙刀の先生だぜぜ

>あと寝物語だと夫婦ないし男女間でのお話みたいな意味合いだったような気がするるるるるるる
おぉっと、しまったwwwwwwwwwwwwwwww
wiki掲載時に赤面しつつ直すんだぜぜ
113以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 23:28:21.67 ID:4WPRPD6R0
…あ、そうだ、人いないけどちょいと質問
今書いてるネタで、白髪で白衣と言うキャラを出すんだが、男と女どっちがいいだろう、性別
女の場合、ボインかそうでないかも



なお、ふた○なりと言う答えは受け付けんぞ、今回はww
114以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 23:30:18.61 ID:AOBXlvB/0
そして寝物語ちょっと調べてみたけども必ずしもピロートークのような意味合いを持っているわけでもないようです。いらんこと言ってすみませんでした

そういえば獄門寺さんとことも知り合いだったな日景さん
ウチの子はこのまましばらく花子さんの人に任せておけばおkですかね?

幽霊はいたらおもしろいよね! ね!! 派です!
115以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 23:38:39.57 ID:4WPRPD6R0
>そして寝物語ちょっと調べてみたけども必ずしもピロートークのような意味合いを持っているわけでもないようです
そうなのかー
うん、多分wiki掲載時に直ってるかどうかは、その時の気力によるなww

>ウチの子はこのまましばらく花子さんの人に任せておけばおkですかね?
それでよろしいのなら、このままこそこそと巻き込ませたりしたいと思いますです
少なくとも、ユニコーンと契約者は、まだ舞の膝枕を狙ってるよ!
116以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 23:39:24.88 ID:AOBXlvB/0
>>113
 ボ イ ン 
117以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 23:47:03.12 ID:AOBXlvB/0
>>115
おkというかむしろいいんだろうかと不安になってみたりするのですよw

>>ユニコーンと契約者は、まだ舞の膝枕を狙ってるよ!
狙われてたwwww

特に戦闘相手がいないようならば最終的に≪ユニコーン≫と戦えるとそれはそれでおいしいかなと思ってますw
118以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 23:49:39.74 ID:4WPRPD6R0
>>116-117
了解したんだぜ!つまりは女って事ですね、わかります!!

>おkというかむしろいいんだろうかと不安になってみたりするのですよw
こちらこそいいのかな?と言う感じでドッキドキなんですがwww

>特に戦闘相手がいないようならば最終的に≪ユニコーン≫と戦えるとそれはそれでおいしいかなと思ってますw
よろしければ、あの変態とエロ馬の相手をしてやってくださいませだぜ
119悪意が企む  ◆nBXmJajMvU :2010/03/31(水) 23:54:37.98 ID:4WPRPD6R0
 暗い暗いその部屋に、灰色のコートを着た男が帰ってきた
 尾なしの犬を引き連れ、部屋に戻った男は……部屋の中にいた先客に、機嫌悪そうな表情を浮かべる

「……何の用だ」
「つれないですね。私は、あなたの協力者だと言うのに」

 その女は、男…朝比奈 秀雄に、楽しげにそう、笑いかけた
 白い髪が、ぱさぱさと揺れている

 H-No.9を名乗る、「組織」の黒服だ
 もっとも、黒いスーツの上に白衣を纏うと言うやや珍妙な出で立ちのせいで、「組織」の黒服と呼ぶには、やや違和感も覚える
 しかし、彼女は間違いなく「組織」の黒服であり…朝比奈に、「都市伝説との契約書」を「組織」から持ち出し、与え続けた女である
 とは言え…最早、その事実は「組織」にバレてしまった
 消される前に「組織」を抜け出し、その際に持ち出してきた「都市伝説の契約書」が全て使い尽くされたならば…この女は、朝比奈にとってもはや用無しである
 こちらの事情を知る相手は出来る限り少ない方がよい
 使えなくなった駒は、消すに限るのだ

「用があるのなら、さっさと言え。化け物が」
「まぁまぁ、そう言わずに……どうでしょう?私の契約都市伝説の力、あなたの計画に役立てるよう、使って差し上げましょうか?」

 形のいい唇を釣り上げ、重たそうな胸を支えるように腕を組みながら、そう言って来たH-No.9
 …確か、この女の能力は…

「…「病は気から」、か」
「そうです。この力を使えば……あなたがその権力を欲する家の今の当主の、三日以内にその命、終わらせる事ができますよ?」
「……余計な事をするな」

 低く、そうH-No.9に告げる朝比奈
 彼の不機嫌な思考に連動するように、クールトーが唸り声を上げる
120以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 23:55:58.32 ID:AOBXlvB/0
え……筋肉で(ry

女性ですよ! ええ! 危うくまたアレな人間が増えるところだったぜ……


>>よろしければ、あの変態とエロ馬の相手をしてやってくださいませだぜ
了解です
これで翼の手助けに行くのが少なくとも遅れる→翼が苦しむ割合もおそらく増える→俺が悦ぶ

完璧だ

>>こちらこそいいのかな?と言う感じでドッキドキなんですがwww
俺は黒服Dやらさっちゃんやらもうなんと謝り倒したらよいのか分からん状態ですよww
121悪意が企む  ◆nBXmJajMvU :2010/03/31(水) 23:56:48.75 ID:4WPRPD6R0
「あの男に、今の状態で死なれては困る……翼が、次期当主に着く事を、確定させるまでは」
「他の当主候補を全員殺してしまえばいいのでは?」
「それでは、世間から不審の目を向けられる。それでは意味がない。なりふり構わぬのなら、それでも良いが」

 冷酷に、そう口にする朝比奈
 目的の為ならば、己の息子すら平気で利用する男だ
 かつて伴侶にした女の家族すらも、目的の為ならば容赦なく殺せる冷酷さは持っている

 だが、それでは、目的を達する上で、不都合なのだ
 だから、まだ殺さない
 ただ、それだけだ

「こちらの役に立つというのなら、その能力で街に不幸でもばら撒いておけ…ただし、日景の家以外にな」
「そうですか。それならば、そうしましょう」

 笑い、H-No.9は部屋を後にしようとする
 その直前、朝比奈とすれ違い……どこか妖艶に、笑った

「…ところで。いい加減、あなたの三つ目の都市伝説、教えていただいても宜しいのでは?」
「……私が貴様を殺す事になったならば、その瞬間に知る事になるのだから、必要はない」
「………酷い人」

 肩をすくめ、部屋を後にしたH-No.9
 朝比奈は、忌々しげに彼女が出て行った扉を見つめた

「……化け物が………増長するようだったら、さっさと消してしまうか…?」

 …いや
 あの能力には、まだ使いどころがある
 あの女が、裏切ったり、敵の手に落ちるようならば、その時に消せばいいだけのことだ
122悪意が企む  ◆nBXmJajMvU :2010/03/31(水) 23:58:06.33 ID:4WPRPD6R0
 利用価値がある限りは、生かしておいてやってもいいだろう
 その価値がなくなるまで、使い潰してやればいい

「…しかし、コーク・ロアの兵が増えぬのは不便だな……対策を考えておくか」

 兵は多ければ多い方がいい
 だが、所詮は使い捨てだ
 使えば減るのだから、増やす方法も考えねばならぬ
 さて…どうしようか?

 朝比奈は、どこか残酷な笑みを浮かべながら、思考をめぐらせるのだった



to be … ?
123以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 23:59:00.72 ID:AOBXlvB/0
順当に女性でよかったしえんw
124以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 00:01:34.63 ID:UbqoApGA0
ふぅ、無事に日付変更前に間に合ったぜ!!
ってな訳で、「組織」の裏切り者、H-No.9の初顔見せと能力紹介ですた
わりとただそれだけのネタ

>>120
>え……筋肉で(ry
待てwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
今深夜のテンションでおかしいから、そう答えられたら本気でそうしてたぞwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
>完璧だ
鬼!鬼!!wwwwwwwwwwwwwwwwwww
俺も喜ぶので問題ありませ(このレスはウェルダンにされました)

>俺は黒服Dやらさっちゃんやらもうなんと謝り倒したらよいのか分からん状態ですよww
こちらも、今のうちに土下座な予感な訳でorz
125以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 00:06:19.90 ID:+KZSbFvk0
乙でした!
このボインの姉ちゃん=iここ、強調)はやっぱりHの復讐相手なんだろうか
126以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 00:12:46.81 ID:UbqoApGA0
おやすみー、明日もスレが残っていてくれれば幸せだ!
俺…明日スレが残っていたら、シリアス書くの疲れたんで、やるきない人に土下座なネタ書くんだ…

>>125
>このボインの姉ちゃん=iここ、強調)はやっぱりHの復讐相手なんだろうか
うん、Hと辰也の復讐相手の一人
よって、ご自由に使ってくださって構わないけれど、二人のどっちかに殺される予定なので死なせチャ駄目なんだぜ



・黒服 H-No.9

 長い白髪にナイスバディな、元人間の「組織」の女黒服
 HNoの研究者の為か、黒いスーツの上に白衣を身に纏っている
 「組織」で主に人体実験や非人道的な実験を担当していたが、H-No.0の方針転換により、そのような実験を行えなくなったのに不満を感じる
 それがキッカケで、たまたま遭遇した朝比奈 秀雄に「組織」から持ち出した「都市伝説の契約書」を横流しする事により、「組織」内部を混乱させる
 やっていた事がバレたので、現在は「組織」を脱走
 学校町内のホテルを点々とする生活を送っている

 人間時代の契約都市伝説は「病は気から」
 自分を中心に半径5q以内の、気分が弱っている人を病気にしてしまう事が出来る
 なお、病気の種類や強さはH-No9が自由にチョイスできる

 …ちなみに、身体能力は研究者らしく激弱である
127以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 00:36:53.81 ID:+KZSbFvk0
128以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 00:58:43.18 ID:+KZSbFvk0
129以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 01:20:35.60 ID:z0Vao0Ps0
130以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 01:35:24.45 ID:MpmSp0jh0
131以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 01:41:53.24 ID:MpmSp0jh0
おいおいちょっと待てよ
まさか「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」シリーズも、
エイプリルフールネタをぽんぽん炸裂させんのか!?
132以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 01:49:47.88 ID:+KZSbFvk0
投下を楽しみにしてるぜ!
133以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 02:39:02.47 ID:oODmsu700
134以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 02:55:44.33 ID:+KZSbFvk0
135以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 03:30:28.79 ID:JPkf1nN+0
136以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 04:37:34.11 ID:+KZSbFvk0
137以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 04:39:50.45 ID:+KZSbFvk0
wikiwwwwwwwww
138以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 06:30:31.96 ID:eyoDBu4rQ
おはほ
139以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 07:11:25.35 ID:0VmvsLaA0
ぐっもーにん
140以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 07:32:44.15 ID:0VmvsLaA0
っちょ、wikiの管理人さん何やってんすかwww
141以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 08:48:26.93 ID:+KZSbFvk0
142以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 09:33:09.90 ID:4tpq+PDF0
おっはよー

…って、っちょ、wikiwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
くそ、避難所も何かネタやりたいけど何も考えてなかったwwwwwwwwwwww
悔しいwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

そして、エイプリルフールネタカケラも考えてなかったwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
もっと悔しいwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
143以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 09:47:15.56 ID:4tpq+PDF0
お昼ご飯過ぎにスレが残っていてくれれば幸せだ!!
144以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 10:23:39.56 ID:bKnuFeA+P
145以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 11:12:10.59 ID:Mk7+Io/b0
ふぉ
146以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 11:51:22.26 ID:Mk7+Io/b0
ガチムチメイド喫茶…
147以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 12:19:46.84 ID:0VmvsLaA0
>ガチムチメイド喫茶
いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!?
148以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 12:27:29.36 ID:qA3f1rkz0
4月1日限定で世界中のアニキから後ろの処女を狙われるTさん…
149以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 12:49:02.68 ID:WBs7Mq5l0
ごちそうさまっしたー!
150以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 13:11:17.45 ID:qA3f1rkz0
4月1日にネタにされまくる赤い靴…
151以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 13:11:58.64 ID:0VmvsLaA0
梅ねりが美味しすぎて生きるのが辛い・・・
152小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/01(木) 13:33:36.16 ID:WBs7Mq5l0
>>150


「赤い靴、あんたに私の知り合いを一人、紹介してあげるわ」

 契約者が、突然そんな事を言ってきた
 どうやら、クラスメイトを1人、紹介してくれるようだ
 …ふむ、紹介か
 期待してしまうのはロリコンの宿命か
 とまれ、実体化して、契約者がその相手を連れてくるの待つ
 そうしていると…

「ほら、こっちよ」

 契約者に手を引かれて、こちらにやってくるのは…


 和装ロリ!!!


 素晴らしい
 肩より少し上まで伸ばされた髪、それを一房、愛らしい飾りつきの髪ゴムで結んでいる
 からころ、からころ、赤い下駄を鳴らしてこちらにやってくる様子はなんとも愛らしく


 和装ロリいやっほぉおおおおおおおおおおおおお!!!!!!


 赤い靴のテンションゲージが、MAXまで上がっていく!!!!
153小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/01(木) 13:35:47.87 ID:WBs7Mq5l0
「みーちゃん、この人は?」
「ほら、いつも話している変態よ」
「…俺の事をどう紹介しているんだ、一体」

 ひとまず、そこは突っ込んでおく
 折角の和風ロリに怖がられたら困るだろう!!

 その和風ロリは、契約者の言葉にふぅん、と頷いて
 じ、と赤い靴を見あげてきた
 大きな愛らしい瞳に見あげられて、ますますテンションがあがっていく

「みーちゃんのボディガードさんだね?始めまして。日景 武だよ」

 そうかそうか、日景 武…


 …………
 …………………


 Why???


「武?」
「うん」
「……男?」
「うん」


 ………………
154小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/01(木) 13:37:49.17 ID:WBs7Mq5l0
「契約者よ。俺は、ロリを紹介してくれると聞いた様な覚えがなきにしもあらず」
「えぇ、言ったけど。今日が何月何日かわかってる?」

 今日?
 今日は四月1日………

 −−−−−−−−−−−−−−−−−−あ!?

「っちょ、騙したのか!?」
「えぇ」

 どきっぱり
 堂々、契約者に言い切られて

 赤い靴はが静かに、orzの状態で力尽きる


「ほら。面白い反応でしょ?」
「うん!」

 赤い靴の契約者が、クラスメイトに悪い遊びを教えてしまっているようだが
 まぁ、それはどうでもいい事である



終われ
155おまけ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/01(木) 13:38:42.17 ID:WBs7Mq5l0
「−−−−−−−−いや、待て!!!ショタもいいよね!!!」
「…武、ちょっと下がっていなさい。お仕置きしてくるから」
「はーい」






 −−−−−−−−−−−−−以下、あまりにショッキングなシーンな為、描写を控えさせていただきます










今度こそ終わる
156以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 13:39:58.81 ID:WBs7Mq5l0
>>150
のリクエスト(?)に答えてみた
赤い靴契約者と翼のいとこがクラスメイトって裏設定はあったんで、ちょうど良かった
120%ノリと勢いで書いたので、正直イマイチ
反省はしているが後悔はしていない
157以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 14:09:51.88 ID:WBs7Mq5l0
既に本日フリーズ二回……
やはり今時Meたんでは駄目なのか…
158以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 14:27:53.31 ID:WBs7Mq5l0
にー
159以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 14:47:03.26 ID:WBs7Mq5l0
にーにー
160以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 15:05:59.45 ID:WBs7Mq5l0
にーにーにー
161以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 15:23:27.38 ID:pz2KsD1M0
たー
162以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 15:52:07.03 ID:r2R8oHrk0
っもっもっもっもっもっもっもっも
163以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 16:14:24.16 ID:WBs7Mq5l0
みゅう
164以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 16:32:11.43 ID:+KZSbFvk0
乙ですwww赤い靴はそうでなくちゃな(失礼)
165以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 16:42:54.20 ID:WBs7Mq5l0
むぅ、大した事ないネタなのになかなか進まないとか
夕食終わった後もスレが残っていてくれれば幸せだ

>>164
久々に普通に変態な赤い靴が書けて満足なんだぜwwwwwwwwwww
166以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 17:09:15.63 ID:+KZSbFvk0
167以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 17:41:00.02 ID:0VmvsLaA0
花子さんの人、乙ですー!
赤い靴・・・Mな上にロリコン、更にショタコンも加わったかw
168以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 17:43:21.55 ID:+KZSbFvk0
実はルーモアの人の輪君を見た時から彼はロリもショタもイケる紳士なんだぜ!
169以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 18:20:33.10 ID:0VmvsLaA0
>ロリもショタもイケる紳士なんだぜ!
「紳士」と書いてルビは(へんたい)ですね、とてもよく判りますw
赤い靴にとっては確か10歳以上はババアって認識だったから、やっぱショタも10歳以下しかダメなんだろーか?
170以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 18:27:19.81 ID:+KZSbFvk0
それは気になるところだな……
171以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 19:13:58.02 ID:+KZSbFvk0
172以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 19:16:03.62 ID:eyoDBu4rQ
酒の怖さを知りましたほ
173以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 19:23:05.33 ID:0VmvsLaA0
実年齢優先か見た目優先か・・・まあどっちにしろ変態なのに変わりは(ry

ていうか実年齢優先の方が危険度は上で(ry
174以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 19:26:21.11 ID:3rtszlcT0
ごちそうさまー

>>169
うーん、ショタの年齢はどうだろうな、赤い靴
どっちが面白いだろ
175以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 19:32:15.08 ID:s7nYTNNN0
「『アメリカ出張中のハズな黒服禿が
4月1日に日本支部の男性構成員を全員掘る為に帰国する』という
誤情報が流れて、日本の『組織』が大混乱を引き起こす」
なんてネタを思いついたが3秒でやめた
176以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 19:40:41.31 ID:s7nYTNNN0
どうでもいいがIDがNNN臨時放送な件について
177以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 19:52:49.31 ID:3Cr3BoZ+0
都市伝説って魔獣の絆の『伝説の住人』みたいなもん?
それともMissingの怪異みたいな感じ?
178以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 20:01:30.71 ID:3rtszlcT0
>>175
黒服D「…?掘る、とはどう言う意味で?」
黒服H「お前は知らないままでいろ。できれば永遠に」
黒服G「……アメリカ支部に、「いっそ日本に返さず始末して構わない」と連絡するか」(ボソリ

>>177
むぅ、俺派どちらも元ネタがわからんでうまく説明できんのだが

人々に語られる都市伝説、民間伝説などが、実体を得た存在…って感じかな
179以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 20:13:18.12 ID:+KZSbFvk0
>>177
伝説の住人みたいなのも(将門公、夢の国の創始者etc)
Missingの怪異みたいのも(夢の国の住人、赤い部屋etc)
居るよー(上の振り分け方で合ってるか自身無いけどもw)
180以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 20:31:23.48 ID:0VmvsLaA0
まあ細かいことはあまり気にせず、フレキシブルだろうがなんだろうが
楽しんで書いたり読んだりできればそれでおk、みたいな感じだと思うよ!
単なる噂話レベルなものとかも結構あるし。

うし、そろそろ寝るかー
181以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 20:32:44.93 ID:eyoDBu4rQ
帰宅星
182以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 20:39:54.25 ID:3Cr3BoZ+0
>>178
『伝説に語られている何か』ではなく『伝説から発生した何か』なのか

>>179
まとめにはシェアワールドってあるけど基本・共通となる設定がわからないっす。






183以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 20:43:30.82 ID:pz2KsD1M0
うわさや迷信、怪談話…地方伝承に神話まで
世界規模のビッグな話から町内規模の超ローカルな話まで
あらゆる創作心が、このスレの活力です
184以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 20:44:36.20 ID:3rtszlcT0
>>182
「伝説に語られている何か」的なのもいるよ!いるよ!!
正直、シェアワールドと言っても結構アバウトなんだぜ



とりあえず、こそこそと代理開始するよー
185はないちもんめ 四月馬鹿 ◇ijXVtdIY/Y  (代理):2010/04/01(木) 20:46:16.61 ID:3rtszlcT0
「さて問題です、今日は何の日でしょう!?」
「4月1日・・・エイプリルフールね」
無断にテンションの高い詩織にPCに目を向けながら答えてやる
円谷と型月は今年も絶好調ね
「そう!エイプリルフール!!今日は嘘を言っても許される日!」
「で?」
「黒服に好きな人が出来たっtあべしっ!?」
私のアッパーが綺麗に詩織の顎に入った
「ちょぉっとお話聞かせてもらえるかしら?」
「ちょっ、ギブ!ギブ!首絞まってる締まってる極まって ゴキリッ ニャ!?」バタッ
無論四月馬鹿の嘘でした

186はないちもんめ 四月馬鹿 ◇ijXVtdIY/Y  (代理):2010/04/01(木) 20:48:00.76 ID:3rtszlcT0
「でもそっか、今日エイプリルフールなんだ」
「もっと早く気付いて欲しかったかなぁ」ズキズキ・・・
詩織が首を押さえて呻いているけどそんなの知った事じゃない
うん、首が160度位回ってるけど問題は無いわ
「じゃあ私も何か一つ試しについてみようかしら」
「ほう」
丁度良い所黒服が来た
「黒服ー」
「どうかしましたか?」
「私ね、黒服の事・・・」
「はい」
「だぁい嫌い!」
言ってから後悔しました
・・・どうなったかは察せ

続くかもしれない
続かないかもしれない
187そしてこれは続きを書かざるをえない  ◆nBXmJajMvU :2010/04/01(木) 20:52:58.02 ID:3rtszlcT0
「…私は、何か、望の機嫌を損ねてしまう事をしたでしょうか」

 深刻な表情で悩んでいる黒服
 あえて表現するならば、「1人目の子供の初めての反抗期に悩む親」と言った所だろうか
 母親的に見えるか父親的に見えるかは、各自に任せる

「…で、望に「大嫌い」と言われたと」
「はい」

 悩んでいた様子なので、何気なく話し掛けてみれば…
 翼は、小さく苦笑した

「大樹、今日は何月何日だ?」
「今日ですか?四月一日ですね」
「それで、何か思いあたらないか?」

 翼の、そんな言葉に
 黒服は、しばし、首をかしげ…
 ………あぁ、と
 ようやく、納得したような表情を浮かべた

「そうでした、今日はエイプリルフールでしたね………しかし、望の言葉が嘘であるという、確証は」
「嘘だよ、確実に。あいつがお前の事、嫌いな訳ないだろ?」

 端から見ていて、じれったいほどに
 望は、黒服を好いているから

 …もっとも、それは自分が伝えるべき事ではない
 望自身が、伝えるべき事である
188以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 20:57:08.11 ID:pz2KsD1M0
しえん
189そしてこれは続きを書かざるをえない  ◆nBXmJajMvU :2010/04/01(木) 20:57:09.03 ID:3rtszlcT0
 そう考えているから、翼はそこまでは伝えない

 望の言葉が、嘘であった、と
 それを、ようやく事実として認識したのだろう
 黒服が、ほっとしたような表情を浮かべる

「…と、なると、本日「組織」内で起こった騒動の原因も、元はと言えばどなたかの悪戯だったのかもしれませんね」
「何かあったのか?」

 「組織」内で起こった騒動
 そうなると、黒服が巻き込まれなかったか、翼はそれが心配だ

「はい。アメリカ出張中の同僚が日本に戻ってくるという情報が流れまして…ついでに、何か、男性にパニック状態を発生させる情報も混じっていたようで、何人かが発狂しかけたり、即座に失神しました」
「どんな同僚だっ!?」

 割と、盛大に突っ込む翼
 どんな同僚だ
 そして、どんな情報が混じっていた!?
 日景家本家を訪れた一件で、ある程度精神的余裕を取り戻していた翼の、そんな突っ込みの言葉に、黒服は小さく苦笑する

「私には、少々理解しかねる情報だったので、よくわかりませんが…私の上司が、本格的に悩んでいましたね」

 しかし、それは後で誤報だとわかっている
 …多分、誰かが悪戯で流した情報が、大事になってしまったのだろう
 黒服は、そう判断した

 …さて
 それにしても、先程の望の言葉
 あれが、嘘だったのなら………
190そしてこれは続きを書かざるをえない  ◆nBXmJajMvU :2010/04/01(木) 20:59:42.44 ID:3rtszlcT0

『だぁい嫌い!』

 と、そう言った直後
 やや顔色を青くさせて、自分の部屋に逃げ込んでしまった望
 その姿を思い出して、黒服は立ち上がった



 どうしよう
 どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう
 ベッドの中にもぐりこみ、望は己の発言を激しく後悔していた

 今日は、エイプリルフールだ
 嘘をついても許される日
 …しかし
 しかし、だ
 嘘とは言え、黒服に「大嫌い」などと言ってしまうだなんて
 あの時の、黒服の表情から察するに………嘘だと、受け取ってもらえなかったかもしれない 
 どうしよう
 どうしよう
 先ほどから、同じ考えがぐるぐる、ぐるぐる回り続けている

 ……と、こんこん、と
 小さく、部屋をノックする音が、聞こえてきた
 ぴくりっ
 望は、小さく体を跳ねらせる
191そしてこれは続きを書かざるをえない  ◆nBXmJajMvU :2010/04/01(木) 21:02:43.66 ID:3rtszlcT0
「望」

 かけられた、黒服の声
 ぐるぐる、ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる
 思考が、ますますパニックに陥りそうになる

「…部屋に入っても、宜しいですか?」
「……え、えぇ」

 辛うじて、そう返事できた
 そっと、部屋の扉が開け放たれる
 ベッドにもぐりこんだままだから、わからないが……黒服がこちらに近づいているのが、気配でわかった

 ……そっと
 毛布越しに、頭が撫でられる

「…私は、このような日でも、気の効いた嘘を思いつくことができなくて、申し訳ありません……だから、正直な言葉を、伝えさせていただきます」

 優しい声
 それが、ゆっくりと続けてくる

「私は、あなたにどう思われようとも……あなたを、大切な家族だと、そう思っています」
「………っ」
「ですから……どうか、そのように落ち込まないでください。今日がどんな日であるか、私は認識しましたから」

 ……あぁ
 良かった
 嘘だと、わかってくれたのか
 認識してくれたのか
 その事実に、望はほっとして
192そしてこれは続きを書かざるをえない  ◆nBXmJajMvU :2010/04/01(木) 21:05:14.01 ID:3rtszlcT0
 ひょこ、と
 そっと、ベッドから顔を出す

「……ありがとう、黒服……………それと、ごめんなさい」

 嘘とは言え、あんな事を言ってしまって
 望の言葉に、黒服は優しく、笑ってくれて

「お気になさらないでください。今日という日は、嘘をついても構わない日なのですから」

 と、そう言ってくれて


 …あぁ、嘘だとは、わかってくれたけれど
 ……あのように言ったという事は、つまり
 その反対の感情を、あなたに抱えているのだと言う、事実
 それには、気づいてもれなかったのだな、と

 少し、それが寂しかったけれど
 ………でも
 黒服に嫌われずにすんだのなら、それでいい


 そう考えて、望はしばし、黒服が頭を撫でてくれる感触の心地よさに、目を閉じたのだった

fin
193以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 21:05:55.64 ID:3rtszlcT0
はないちもんめの人に焼き土下座orz
どうして、俺の書く望は必要以上に乙女になるんだろう
194以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 21:12:14.69 ID:eyoDBu4rQ
皆様方、投下乙ですー!

花子さんの人は、相変わらず速筆すぎるwwwww

さて、ようやくPCが届いたのはいいのだが、いささかグロッキーなので今日は早めに寝させてもらいます…
週末までには、何かネタを書き上げて投下したいところだぜ
195一発ネタ  ◆tXEh2PsRcs :2010/04/01(木) 21:16:03.77 ID:bKnuFeA+P
久しぶりに投下したいんだけど酉はこれで良いのかな
196「ニュージャージーの悪魔」  ◆tXEh2PsRcs :2010/04/01(木) 21:18:57.33 ID:bKnuFeA+P
『彼』は、生まれて落ちるまでは確かに人間だった

ニュージャージー州のリーズ家に生まれた、唯の人間として生きる筈であった

『彼』を変貌させたのは、難産だった母親が出産間際につい零してしまった、ほんの些細な冗談


――――こんなに苦しませる子なら、悪魔が生まれてくればいい――――


彼女にとっては他愛無い冗談に過ぎなかっただろう

だが、その「冗談」は『彼』にとっては最悪の呪詛を呼び起こす文言であった
197「ニュージャージーの悪魔」  ◆tXEh2PsRcs :2010/04/01(木) 21:20:05.36 ID:bKnuFeA+P
「悪魔!!」


産声を上げた『彼』に最初に与えられた物は、母親の愛情でも産婆の祝福でも無かった
ただ、恐怖に慄いた者達からの悲鳴と罵倒

両親とてその例外ではない

「撃ち殺してやるッ!この化け物め!!」
母親は失神し、父親に至っては銃を持ち出して来た

生を受けた瞬間に世界から拒絶された『彼』は、
背中の蝙蝠の様な筋張った翼を広げ、暖炉に飛込んだ

言葉を解さぬ赤ん坊が母親の愛情を理解するように、『彼』もまた周りからの憎悪と恐怖を感じ取ったからだ

馬の様な胴体に蹄、蝙蝠のような翼、蛇の尾、長く鋭い牙に真っ赤な目

煤けた煙突を飛び出し、屋根に降り立ったその姿は、伝承に謳われる悪魔に余りにも酷似していた
屋根を見上げた通行人が悲鳴を上げる

以降200年以上に渡ってニュージャージー州を恐怖に陥れた悪魔の誕生の瞬間であった
198「ニュージャージーの悪魔」  ◆tXEh2PsRcs :2010/04/01(木) 21:21:10.46 ID:bKnuFeA+P

姿を晒せば、人々は恐怖に駆られ、銃弾が飛んできた
日々の糧に獣を襲えば、警備隊が出動した

『彼』は悲しんだ

何故自分はこのような醜く不気味で、人々に疎まれる姿に生まれてしまったのか
何故人間の子に生まれながら、悪魔の身体を与えられたのか
何故悪魔の身体を与えられながら、人の心を持って生まれてきてしまったのか

疑問は時を経るに連れ、彼の心を凍りつかせていく

彼が人間に対して激しい憎しみを抱くまで、そう時間は掛からなかった

十分に成長し力を付けた彼は、容赦なくその牙を敵対者に剥くようになった
成熟した彼の強靭な体は銃弾をものともしない

ある時は州軍を相手に死闘を演じ、またある時は怒りに任せて市街地を襲撃した


リーズ家の悪魔<ジャージー・デビル>は名実共に悪魔と成り果てたのだ
199「ニュージャージーの悪魔」  ◆tXEh2PsRcs :2010/04/01(木) 21:22:19.62 ID:bKnuFeA+P

ある日のこと


悪魔は己のねぐらである森で、巨体を丸めていた
一対の肺がゴロゴロと規則正しい音を奏でる

彼は主に夜に活動する

太陽が出ているこの時間は惰眠を貪っていた
が、突如その長い耳がピクリと跳ねた

彼がこの森を活動の拠点に定めてからは、この森には野生動物すら余り近付かなくなっている
人間などもってのほかだ

しかし彼の鋭敏な聴覚は確かにある音を拾っていた
二本足でしっかりと地を踏みしめて、此方に向かい来る足音を

(・・・人間)

グルグルと悪魔の喉が唸り声を上げた
長い首をもたげ、前方を睨み据える


そこには背の高い人間の男が一人
日影に溶け込むような、黒いコートを着ている

200以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 21:22:45.67 ID:3rtszlcT0
支援!!
201「ニュージャージーの悪魔」  ◆tXEh2PsRcs :2010/04/01(木) 21:23:22.47 ID:bKnuFeA+P

悪魔の瞳に憎悪の色が燈った


――――妬ましい、と人の心が喚く

その健常な肢体が、翼の無い背中が、人間らしい姿が妬ましい

――――憎らしい、と悪魔の身体が軋む

己を異端として攻撃し、悪魔に仕立て上げた生物が憎らしい


悪魔の殺意に空気が冷えて行く


そんな彼を見た人間の反応は通常二種類に分けられる

悲鳴を上げて逃げ出すか
罵声を上げて銃を取り出すか、だ

しかし、その男は悪魔の予想外の行動を取った

敵意を感じさせない歩みで、ゆっくりと悪魔に近付いてきたのだ
202以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 21:24:28.80 ID:3rtszlcT0
しえええん
203「ニュージャージーの悪魔」  ◆tXEh2PsRcs :2010/04/01(木) 21:24:33.53 ID:bKnuFeA+P

思わず後ずさった悪魔に、彼は跪いて手を差し伸べた


「僕と契約して欲しい。君の力が必要なんだ」


悪魔は驚愕に目を見開いた
生みの親にも拒絶された彼が、他者に必要とされることなど、初めての経験だったからだ
混乱しながら悪魔は男に問うた

何が目的だ

私のような悪魔に協力を求めて、一体何をする気だ


悪魔の問いに、男は笑って答える


「戦うためさ、伝説とね」


後に数々の怪異を駆逐し、英雄と崇められ、悪魔と畏怖された契約者の誕生の瞬間であった


fin


<続けたくない>
204以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 21:25:38.85 ID:3rtszlcT0
乙でしたー!!
ジャージデビルも、出自は悲しいんだよなぁ…

続けたくないといわず、是非続きを希望なんだぜ!!
205以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 21:32:00.08 ID:bKnuFeA+P
>>204
どうもです
奇跡が起きれば続き書く気になるかも
206以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 21:41:10.73 ID:3Cr3BoZ+0
ジャージーデビルかぁ。向こうは面白そうなネタ多いよな。モスマンとかスターチャイルドとか。

今まとめ読んでるんだがやっぱりよくわからん。契約?契約コスト?
世界観は共通?それとも共有しているのは『都市伝説』というテーマのみ?
207以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 21:48:20.01 ID:3rtszlcT0
>>205
いつでも続き待ってるぜ!

>>206
んーと、世界観的に、都市伝説は人間と契約する事により、通常以上の力を発揮できるようになったりするんだ
たとえば、女子トイレからほぼ離れられないはずのトイレの花子さんがそこから移動できるようになったり
「骨を溶かすコーラ」が、骨以外も溶かせるようになってみたり、と……

で、人間には、都市伝説との契約を受け入れる「器」みたいなのがあるイメージで
都市伝説毎に、契約する際、その器をどの程度使うか、みたいなのがあるんだよ、それが契約コスト
「器」以上の契約コストのものと契約すると………まぁ、人間やめる事になったり死んだりします

一応、一番共通されている設定は「学校町」の設定かな?


説明ベタで伝わりにくくて申し訳ないorz
208以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 21:55:29.79 ID:DuJKiLpwO
「都市伝説」が登場するなら設定はなんでも良い
ただ最近は「学校町」を舞台にして他の作品とクロスしている話が多い
209以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 22:06:54.72 ID:pz2KsD1M0
>>206
ちょっと自分でも何言ってるか分からなくなりそうだけど例え話してみる

都市伝説ってのは「液体」をイメージしてみてください
種類によって、体積も温度も色も違う…みたいなもので
そして人間は「容器」をイメージしてください
作られた時点で、容量が確定したガラスの瓶…みたいなもので

「容器」に「液体」を注ぎ込んで形を安定させる…それが「契約」
「液体」が温かければ「容器」も温かくなって、「液体」が赤ければ「容器」も赤く見える
逆に「容器」が温かければ「液体」も温かくなって、「容器」が赤ければ「液体」も赤く見える
要は、お互いに干渉しあって「都市伝説と契約した人間」が存在するということ。
干渉の例は>>207のような…

「容器」が満杯にならない限り、「液体」を注ぐことはいくらでもできる。
しかし「容器」から「液体」があふれてしまうと…
「容器」は「容器」としての役割を失ってしまい壊れてしまう…

伝わりづらくて申し訳ない…
210以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 22:20:09.36 ID:+KZSbFvk0
皆さん乙でしたー!
Dさんはきっとはっきり言われるまで気づかねえにちげえねえ!

ジャージーデビルは悲しいよな……これは心を取り戻す続きを期待してみたいところ!

容器のイメージは分かりやすいですね。
ってもけっこうそこらへんアバウトな所あるからなぁw
211以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 22:22:18.63 ID:3rtszlcT0
>Dさんはきっとはっきり言われるまで気づかねえにちげえねえ
うん、はっきり言われないと気づかないよ!ないよ!!
212以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 22:37:32.48 ID:3Cr3BoZ+0
ありがとう。よくわかったぜ。
連載作品だけでもかなりあるみたいだけどオススメとかある?
213以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 22:41:43.24 ID:3rtszlcT0
>>212
個人的に、完結済作品では
「喫茶ルーモア・隻腕のカシマ」「Tさん」がオススメ。そして、Tさんを読むのなら「夢の国」も一緒にどうぞ
連載中作品では
「騎士と姫君」「恐怖のサンタ」「ハーメルンの笛吹き」「わが町のハンバーグ」など

正直、俺が書いた作品以外は全部オススメなんだぜ!!
214以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 23:00:43.91 ID:3rtszlcT0
にゅ
215二つの闘技箱 ◆xhUOONoO3o :2010/04/01(木) 23:05:08.92 ID:pz2KsD1M0
第二の箱『バトルルーム:龍神の間』

「何もないな…誰もいないし」
植物温室を抜け、進んだ先。友人は何もない部屋へとたどり着いた。

「『植物温室』を抜けたようだな、侵入者君」その部屋に、先ほどより反響してあの声が響き渡る。

「今君がいるのが第二の箱、バトルルーム。名付けて『龍神の間』だ。
 ここはQ-No.18、通称龍爺が君のお相手をする。老人だからとみくびってかかると痛い目にあうぞ〜?」


「…老人も何も、誰もいないが」

「…え」「壁に大きな穴があいてるだけだぞ」



…しばらくの沈黙。


「…んのやろ〜!洗脳しきれてなかったのか…!また逃げやがって!だから人間育ちの黒服は嫌いなんだ!!」

…何やら不測の事態が起こったようで。
「…まぁいい。お前の墓場はこの次の部屋、バトルルームその二、名付けて『植神の間』になるのだからな!」
…いいのか。

「まぁいいや。とっとと先に…ん?」
次の部屋への出口と、この部屋の入り口とのちょうど間。つまり、この部屋の中央当たり。
何やら紙が落ちている。
「…誰かのメッセージが書いてある…しかしえらく達筆だな…」
216以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 23:06:55.68 ID:3VqB+5/D0
おっと、支援なう
217以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 23:06:57.77 ID:3rtszlcT0
しえーん
逃げたのかよwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
218二つの闘技箱 ◆xhUOONoO3o :2010/04/01(木) 23:09:31.35 ID:pz2KsD1M0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
侵入者さんへ


今君がこれを呼んでいるということは第一の箱を抜けてきたということじゃろう。

あの部屋を抜けてきた君なら、28を救い出すことができるじゃろう。

わしは君と戦うつもりは毛ほどもない。いや、戦って君の実力を試してもいいのじゃが…

そこまですると君の体が持たないと思って逃げさせてもらった。

とまあ、No-0の言葉を借りるならば「エゴ」な言い方にはなってしまうが、君に28の救出を託す。

ついでと言っては何だが、ここの一番上のNo-0のアホな企みも潰してやってくれ。

あやつは自分しか信じとらんでな、わしが何を言っても曲げられんのだ。

まぁあまり長くしても面倒じゃから、わしからの伝言はここで終わりにさせてもらう。

追伸
28の救出に成功したら、あやつの好きなようにさせてやってくれ。

なにぶん、外の世界を知らんもんで興味のあるものは何でもしたがるんでな。

それに、外の世界を見せてやることが、孫娘のような28に対するわしの願いじゃからの…


                          龍爺ことQ-No.18
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
219以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 23:10:20.31 ID:3rtszlcT0
しえしえ
220二つの闘技箱 ◆xhUOONoO3o :2010/04/01(木) 23:13:13.44 ID:pz2KsD1M0
「…頼まれなくっても、救い出してやるっつーの」

元々誰かに頼まれてやっているわけではない。俺が助けたいからやってるんだ。

「No-0とやらも一発ぶん殴ってやりたいし」

さっきの部屋で聞いた奴の野望。まったくもって意味が分からん。
正直『組織』なんてどうなろうが知ったこっちゃないが、雪歩ちゃんを巻き込むのは許せん。

エゴイストだ何だといわれても、やらなきゃならないことがある。


「正義ってのはいつも、独りよがりなもんだからな」

雪歩ちゃんを助け出す。今はそれが、俺の正義だ。

それのついでにNo-0をぶん殴る。連れ去った主犯なんだからそのくらいのことやっても許されるだろ。


「誰に何言われても自分の正義を貫け、って言ってたかな、あいつは」

「だったら、俺は俺の正義を貫くまでだ。誰が正しい、とかじゃねぇんだ」
221以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 23:13:59.86 ID:3rtszlcT0
しぇーん!!
222以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 23:16:07.34 ID:+KZSbFvk0
支援!
223以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 23:16:43.19 ID:3VqB+5/D0
しえん
224二つの闘技箱 ◆xhUOONoO3o :2010/04/01(木) 23:17:48.51 ID:pz2KsD1M0
「ようやくお終いか…暇もすっかり吹き飛んじまった」

研究所の入り口に、幾人もの黒服の山。その上に座る忠二が呟く。
「俺も侵入、と言いたいところだが…これ以上はもたねぇかな」
疲労感が今まで以上にどっぷりと来ており、正直歩くのもしんどいくらいだ。

「ま、俺の目的は果たしたし帰るかな……」


黒服の山から下りて、研究所の門へと向かおうとしたとき。


ギャオォォォォォン!


「ッ!な、何だ!?」
不意に、何かが叫ぶような声。人ではない、何かが。

声の方向を見ると…


「…ド、ドラゴンじゃねぇか…」
225以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 23:21:19.90 ID:3rtszlcT0
ドラゴンキターーーーーーーーーーーー!!!支援
226二つの闘技箱 ◆xhUOONoO3o :2010/04/01(木) 23:21:25.09 ID:pz2KsD1M0
研究所の脇に、ドラゴンが飛んでいた。

いや、その風貌は龍と呼んだほうがしっくりくるだろうか。
ヘビのような体に申し訳程度についた手。長い紐のような髭に、立派なツノ。
まるで水墨画に描かれているような、真っ黒な体。


ギャオォォォォォン!

黒い龍は、聞く者すべての身を震え上がらせるような大きな雄叫びをあげて上空へと飛び立っていく…
その神々しい姿に、忠二は思わず見とれてしまった…


……

「…ありゃ、『組織』の…?それとも、何か別の…あら?」
忠二の目の前に、一枚の紙が落ちている。
「さっきまでなかったよな、これ…」
その紙を拾い上げて見てみる。何かのチケットのようで、何かが書いているが…

「…達筆すぎて、読めん…」
達筆というか草書体に近い文字で書かれたそれは、忠二には読むことができない…
「将門様なら読めるかね、これは…?」
227以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 23:23:23.22 ID:3rtszlcT0
>「…達筆すぎて、読めん…」
あぁ、あるよな、達筆すぎて読めない文字wwwwwwwww支援
228二つの闘技箱 ◆xhUOONoO3o :2010/04/01(木) 23:23:47.24 ID:pz2KsD1M0
第三の箱『バトルルーム:植神の間』

「ここが、最後か…」「その通り…そしてこの部屋でお前の相手をするのが、部屋の中央に立っているH-No.10、元名信子だ」


そこに立っていた、いやあったのは、蔦の塊のようなもの。

「…人なの?これ人なの?」「もちろん。いや、『元』人間と言ったほうが正しいかな」
ゆっくりと、蔦の塊がほどけていく。その中央に、人影が見て取れる。

が。


「…ひと?」

友人が見た者は、誰がどう見てもサボテンであった。

確かに人のような形をしてはいるが、緑の肌にトゲ。どう見てもサボテンにしか見えない。


違うのが、頭にあたる部分から髪の毛が生えていること。それと、頭にとても大きな花がある事か。

地にまでつきそうなほどの長髪。

それに加え、サボテンらしからぬとても大きな花を頭に咲かせている。
229以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 23:24:00.64 ID:+KZSbFvk0
達筆過ぎる字は下手な字と変わらんと思うのですよ支援
230二つの闘技箱 ◆xhUOONoO3o :2010/04/01(木) 23:25:50.64 ID:pz2KsD1M0
「あの…どう見てもサボテンなんだが」「あぁ、人間の体に寄生させてるからな」

寄生?

「ちょいと昔話をしてあげよう。
 この研究所が活動し始めた当初、まぁ十数年前ね。その当時の目的…それは一人の少女にあった。
 その昔、組織のとある研究施設で大きな事故のようなものがあってね。そこで一命は取り留めたが意識が戻らないという少女が一人。
 その少女は組織の中でも異端でね。トップでさえもその少女の契約した都市伝説を知らなかったんだ。
 これをチャンスと思ったのか何なのか…組織はその少女の都市伝説をここぞといわんばかりに調べさせた」

「その少女が、今俺の前に立ってるサボテン人間か?」
「話は最後まで聞きなよ。まぁ結論的にはそうなんだけどね。
 結局、彼女の都市伝説は今でも不明のまま。そして今も彼女は昏睡状態の植物人間さ」

植物人間…!?

「てめぇ…まさか」「そう、そのまさかさ」


「彼女は今、間違いなく植物人間。人間でもあり、植物でもある。植物となった体を、寄生花たちが操る。
 寄生花たちは僕の忠実なしもべ。つまり彼女は今もっとも僕に忠実な最高の手駒というわけさ!」

そんな状態の人間まで利用するなんて…!


俺の中の何かが音を立てて切れた。


「…てめぇは俺が許さねぇ…お前のところまで行って、死ぬまでぶん殴る!いや、死んでもぶん殴る!」
「ほぉ。それは面白い。…でもお前はそこで屍になるからそれは果たせないねぇ!行けNo.10!」
231以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 23:26:52.88 ID:3rtszlcT0
しえーーーん!!
232以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 23:28:09.86 ID:3VqB+5/D0
しえんするゥ゛お(^ω^)
233二つの闘技箱 ◆xhUOONoO3o :2010/04/01(木) 23:28:58.48 ID:pz2KsD1M0
声に反応してサボテン人間が活動を開始し、右腕の先から茨が伸び始める。
「先手必勝!」
そう叫び、一直線に友人が向かっていく。その右腕は、大量のGに覆われて。

「恨みはねーが、通らせてもらうっ!」
走り込んだ勢いそのままに、サボテンに拳を振るう。


ガッ……!

「……なっ!?」
友人の拳は、サボテンには届いていなかった。

友人が殴ろうとしたちょうど左頬の部分。そこから蔦が何本も伸びて拳を受け止めていた。
そしてその蔦は友人の右腕を丸ごと包み込む…!

「うわっ、ちょ…!」
一瞬のうちに、後方へ投げ飛ばされてしまった。
そのうちにサボテンからは、数多の蔦が天井全体に張り巡らされていく。

「っんなろっ!」ビシュッ!
空中に放り出されたまま、右腕のGたちをブーメラン状に変えてサボテンへ投げる。
空を裂いて、Gスラッガーが蔦へと一直線に突き進む…


それに反応してか、蔦から何かが生えてくる。
234以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 23:29:34.52 ID:3rtszlcT0
しえしえしえ
235二つの闘技箱 ◆xhUOONoO3o :2010/04/01(木) 23:31:49.47 ID:pz2KsD1M0
現れたのは、二枚貝のような形をした葉。
Gが近づくにつれて、その葉はどんどんと大きさを増していく…
そして、その葉にGが当たろうとしたとき。


バクンッ!

…目にもとまらぬ速さで、Gの塊を丸のみにしてしまった。。
「食虫植物か…また厄介な、っとおわぁ!」ズダダダ…
空中で体制を整え着地したそこからすぐに退く。その直後、その場所に何かが大量に降ってきた。
見上げると、大きな実がいくつも成っている。その裂けた部分からは赤い果実が飛び出している。

「ありゃ、柘榴か?…品種改良甚だしいな」

弾けた実が落ちた部分には、いくつもの穴。
「どうすりゃいいんだ…ん?」
違和感を感じ、再び上を見上げる。蔦には続々と成っている実に加えて花まで咲き始めている。
その花は真っ赤な花弁を堂々と咲かせる。

…そして、その花は萼ごと落ちる…
236以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 23:33:52.48 ID:3rtszlcT0
支援!
237二つの闘技箱 ◆xhUOONoO3o :2010/04/01(木) 23:34:05.51 ID:pz2KsD1M0
ドン!


「…嘘だろ」
その花が地面にふれた瞬間、大きな爆発が起きた。
花が落ちたところには、既に先ほどまで開いていた小さな穴たちはなく、大きなクレーターができていた。
「こうなったら作戦変更だ!とっととこの部屋を抜け…て…」


で、出口はどこだ…?

いつの間にか天井だけでなく、壁までもが蔦に覆われている。
360度蔦に覆われていて。最早どこから入ってきたのかさえもわからない。
しかも蔦はうねうねと動いており、近づいただけで飲みこまれてしまいそうだ。

「結局…倒さな通れないわけかね」
改めてサボテンに向き直る。その手には、すでにGがたくさん。


「とっとと倒して、雪歩ちゃんを助ける!そしてNo.0をぶん殴るッ!」

                …続く
238以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 23:37:36.53 ID:3rtszlcT0
乙でした!!
友人頑張れー!!

そして、龍爺が厨二病においていった紙に何が書いてあるのか気になる……!!
239以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 23:38:20.30 ID:3VqB+5/D0
おつ!
240以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 23:41:13.62 ID:pz2KsD1M0
第二の箱を軽くスルーして第三の箱でピンチな友人です
きっとここではまだ第八契約まではいかないと思います…最終的には行く予定ですが

次回は植物少女の都市伝説判明まで行きたいなぁ…あと新たな黒服登場も

>>238
救出編終わったら書く予定だよ!
…まぁ忠二修行編へと向かうための鍵なんだけどね
241以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 23:45:29.64 ID:3rtszlcT0
昨夜核よ!と言っていたネタが明らかに間に合わない件
…明日こそ書くよ!!と言い逃げしてお休みー
明日もスレが残っていますように

>>240
wktkしてるぜー!
あ、そうだ、いい機会なのでちょいと貴殿に質問
作品時間内にて4月の初め〜半ば頃には、忠二修行編に入っているでしょうか?
それによって、お花見ネタで彼がいるかどうかが決定するんだ
242以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 23:45:49.72 ID:3VqB+5/D0
修行というものには浪漫がある
良いものだ、うむ

さてと、簡単に新規さん向けのまとめでも作ってみるかな
243以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 23:50:35.57 ID:pz2KsD1M0
>>241
書き始めの時期によってきまるから一概には言えないけども、今のペースから考えるにきっと五月ごろから修行編が始まると思われる
だから花見の時はいると思うよ!
244以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 23:52:40.40 ID:3rtszlcT0
>>243
了解!
なら、忠二も翼のお手製の花見弁当食べられますね


さて、お休みと言いつつその前に代理投下開始するよ!
245かごめかごめ ◇ijXVtdIY/Y:2010/04/01(木) 23:55:19.65 ID:3rtszlcT0
とある病院の一室
「すみません、私の所為で…」
「これ位大した事無いですから気にしないで下さい」
申し訳無さそうと言うか思いつめた表情の刑事さん
そんな顔されるとこっちが居た堪れなくなって来る
実際この火傷は大した傷では無いし・・・まぁ、あの232の【検閲】に比べればどんな傷でも大した事無くなるんだが
あの時狐を連れていなかったのは自分のミスだ
狐が居れば咄嗟に狐を盾にする事もできた
だからこの傷に関しての責任は自分にある
それより・・・
「すいませんが僕の都市伝説見ませんでしたか?
 金髪の双子の女なんですけど」
「私は見ていませんが?」
何処に行ったんだ?
誰かに迷惑をかけてなければ良いが・・・・・・
246かごめかごめ ◇ijXVtdIY/Y:2010/04/01(木) 23:56:28.02 ID:3rtszlcT0
病院の裏手
「其処を退きなさい!」
「退ける筈無いでしょう・・・」
対峙するは金色の長髪の二人の女性と上半身裸のマッスルモンスター
「彼が怪我で入院と聞きました、大人しくしてるわけには行きません
 私の愛で速やかに治療せねば!」
「済んでるから!もう治療済ませたから!」
「貴方の愛を注がれたりしたら今度こそ本当に壊れかねません・・・それは困ります」
その言葉を聞いた筋肉がハァとため息を付く
「言って判らないのであれば力尽くで押し通すしか有りませんね」
「やってみろ若造」
「私達には育ての親として彼を守る義務があります」

病院の裏で
二頭の九尾の狐と
一体の筋肉がぶつかった

続かねぇ
247以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 23:57:31.08 ID:3rtszlcT0
代理投下終了
今度こそお休みー


…折れ、明日、スレが残っていたら……昨夜言ってたネタと、このかごめかごめのネタの続きを書くんだ……
248以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金) 00:05:55.60 ID:w2KIZkG70
投下&代理乙なのぜ
Kナンバーの存在感は圧倒的だな、やっぱりw
249以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金) 00:28:53.59 ID:1daqb70T0
250以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金) 00:40:12.29 ID:w2KIZkG70
251以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金) 01:12:44.47 ID:ul/rJ3iD0
252以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金) 01:18:10.84 ID:cPgRjp1n0
253以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金) 02:04:40.11 ID:D4OeH6Zj0
254以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金) 02:56:57.89 ID:D4OeH6Zj0
255以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金) 03:22:12.29 ID:1daqb70T0
256以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金) 03:59:52.94 ID:D4OeH6Zj0
257以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金) 04:30:42.85 ID:ASDd8BxO0
258以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金) 05:09:50.39 ID:D4OeH6Zj0
259以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金) 06:13:43.37 ID:Z6bGXsquP
260以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金) 07:53:43.32 ID:Z6bGXsquP
261以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金) 09:11:39.01 ID:Mlf6JMjoO
STOP
262以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金) 10:52:48.55 ID:1daqb70T0
THE
263以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金) 11:34:24.01 ID:/HEfpZOv0
END
264以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金) 12:12:24.25 ID:/HEfpZOv0
OF
265以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金) 12:38:01.65 ID:vn9KkYFy0
ごちそうさまでした
266引っかき廻すぜ〜超引っかき廻すぜ〜 ◇O1qyI9JUPg (代理):2010/04/02(金) 12:41:39.02 ID:vn9KkYFy0
「母さ〜ん」
「はい、何でしょう?」
「デートしよう」

沈黙が流れる

「………エイプリルフールは過ぎましたよ?」
「ねぇそんなに信用ない?僕?」
「ええ、勿論。」
「…………」
「…………」

再び沈黙が流れる

「……まぁ、黒服の子も連れてくんだけどね」
「あぁ…あなたがよく話してる」
「そそ、あの子。さて」

煙草に火をつけ、ポポポと様々な方向に輪を作る龍敏

「ひぃ、ふぅ、みぃ…意外と多いなぁ」

作った輪の一部は消えずに、ハート形に形成されていく
その一つを指差し宣言する
「まずは……こっちから行こう」
「その方向には…確かスーパーとか病院とかありましたよね」
「だねぇ、よし行くか」


続く?
267以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金) 13:05:11.82 ID:vn9KkYFy0
にゅ
268以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金) 13:26:21.87 ID:vn9KkYFy0
にょ
269以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金) 13:44:32.27 ID:T+Twe6z10
にー
270以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金) 14:04:32.37 ID:T+Twe6z10
ネタ掻きながらほ
271小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/02(金) 14:15:23.04 ID:T+Twe6z10
 それは、ある日の事
 仕事から自宅…「組織」が用意している、主に元人間の黒服達が利用しているマンションに戻った黒服C
 近頃は忙しい日々が続いており、ややぐったりとしていたのだが…
 ……郵便受けに入っていたそれを見て、その疲れが吹き飛ぶ
 やっと届いた!
 部屋に入り、うきうきとそれを郵便受けから取り出す
 がさがさとあけて、中身を確認
 うん、間違いない!

「ふふ〜♪」

 上機嫌になっていく黒服C
 さて、早速使わせてもらおう
 そう考えて、彼女はそれを、す、と構えた


 そして、その翌日
 彼女は、職場にもそれを持ち込んでいた
 ……うかつだった、と彼女は思う
 せっかくそれが届いたのに、自分はそれを満足に活かせる状態ではなかったのだ
 もうちょっと、我慢していれば良かった…!
 が、過ぎた事は仕方ないことだ
 ならば……これを活かせる状態の相手を、見つけ出すだけである

(…そうは言っても…)

 今、「組織」は酷く忙しい状況だ
 昨年から発生し続けていたコーク・ロア…「コーラにはコカインが含まれている」の、支配型契約者の大量発生
 それが、今年から発生し始めた「悪魔の囁き」の騒動に関係している事がわかり
 そして、その二つの騒動は先月の終盤辺りから、一気に拡大していったのだ
272小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/02(金) 14:18:53.53 ID:T+Twe6z10
 ただでさえ、昨年秋祭最中の「夢の国」騒動以降、元人間ではない、純粋な「組織」の黒服の数が激減し、それはほとんど補充されていない
 「組織」の方針転換で、元人間の黒服を中心とした組織作りを目指すようになったせいだ
 かく言う彼女自身もまた、「夢の国」騒動以降に補充された…と言うか、発見された…元人間の黒服なのだが
 とにかく…そうやって人員があまり補充されていないせいで、1人1人の仕事は自然と増える
 そんな状態で、この騒ぎである
 忙しくない訳がない
 当然、彼女自身も、忙しさに押しつぶされそうである
 それを試す余裕も、それを使う相手を見つける余裕もない

「ふ〜……」

 ぐぐぅ、と背伸びする黒服C
 体勢的に、その見事なバストが強調されるような姿勢
 彼女本人は、無駄に大きいだけで肩がこりやすいし恥ずかしいと感じているのだが、もたざる者にとっては羨ましい限りの胸である

「少し、休憩したら?」

 声を駆けられたので顔をあげると、先輩同僚である黒服Oの姿があった
 黒服Cより数段、デスクワーク能力は高い彼女は、黒服Cにとってはちょっと憧れの存在だ

「い、いえ、あの、だ、大丈夫です」

 わたわた、そう返事するのだが
 黒服Oは小さく苦笑して、続けてくる

「疲れを溜め込んだ状態で仕事を続けても、効率が下がるだけよ?過労死候補の彼なんかは、そんな状態でも仕事の効率、不思議と下がらないけど」
「……だから、過労死候補生って呼ばれるくらいに、疲労を溜め込んじゃうまで仕事しちゃうんでしょうね…」
「真面目なせいもあるけどね…」

 うん、と
273小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/02(金) 14:23:09.68 ID:T+Twe6z10
 二人で納得したように頷きあいながら、その過労死候補生な先輩同僚の姿を思い浮かべる黒服C
 ……黒服H辺りに、彼を見習わせたいものだ

「それじゃあ、ちょっと仮眠室行ってきます…」

 立ち上がり…その瞬間、少しよろけた
 思ったより、疲れていたし寝不足だったようだ
 てとてとと仮眠室に向かう
 そこには…

「…………あ」
「あ」

 あ
 …目があった
 仮眠室には、先客がいた
 これまた、先輩同僚の黒服Yだ
 寝ていた様子にも見えなかったが、ひょっとして…

「………サボり、ですか?」
「あー……うん、その、Oには黙っててね?」

 やや子供っぽい仕草をしつつ、そう言って来た黒服Y
 また、黒服Oに怒られるのが嫌なのだろう
 それなら、サボらなければいいのに

 ………
 待てよ、と
 黒服Cは、少し考えて…
 にこり、黒服Yに笑顔を向けた
274小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/02(金) 14:28:28.48 ID:T+Twe6z10
「…何?そのちょっと嫌な予感がする笑みは」
「え?そんな事ないですよ?」

 にこにこにこにこにこにこにこ
 微笑みながら、仮眠室の扉を閉める

「さぼってた事は黙ってますから……ちょっと、お願いしていいですか?」
「何?仕事以外の頼みなら聞くけど」
「…もう。本当に、Oさんに怒られちゃいますよ?」

 小さく苦笑して、仮眠用の硬いベッドに腰掛ける
 そして、ぽんぽん………と、己の膝を、叩いた

「はい、頭を置いてください」
「…………?」

 首をかしげる黒服Y
 そんな彼を眺めつつ、黒服Cは、懐からそれを取り出す

「…耳かき?」
「はい。耳掃除させてください」

 にっこり、微笑みながらそう告げた黒服Cの言葉に、黒服Yは、やや気の抜けた表情を浮かべる

「お願いって、耳掃除させてって事?」
「そうですよ。ほら、早く早く。他の人が来たらまずいですし」

 早く、先日届いたばかりのこの耳かきを試したい
 うずうずした様子の黒服Cに、黒服Yは苦笑しながらも…
 ぽふん、と
275小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/02(金) 14:29:56.83 ID:T+Twe6z10
 彼女の太ももに、頭を置いてきた

 …………いざ!!

 黒服Cは、うきうきと黒服Yの耳掃除を始めた
 耳の縁から、丁寧に丁寧に、耳かきを滑らせて行く

「注文していた耳かきが折角届いたのに、私、最近自分の耳掃除をしたばっかりで……うまく、これを活かせる状態じゃなかったんですよね」
「何?耳かきって、注文してまで買う物?」

 かり、かり、かり、かり…
 耳掃除しつつ口にした黒服Cの言葉に、黒服Yがやや呆れたようにそう言って来た
 だって、と黒服Cは笑う

「一本一本、手作りで作るって言う名人お手製ですよ。買いに行きたくても、仕事で忙しくてそこまで行けないし。そうなったら、注文するしかないじゃないですか」

 …かり……がさ、がさ……ぺりっ

「いや、まず注文するって発想がなくてさ……ドラッグストアとか、最近はコンビニにも置いてるでしょ、耳かき」

 かり、かり……ぺり、……ずりずり………がさがさ

「うーん、そうなんですけど、そう言うのももってますけど…やっぱり、どうせならいい物を試してみたいじゃないですか」

 かり…………こり、こり……………ぺりっ

「…ひょっとして、C、耳掃除マニア?」
「え?あ、ま、マニアって、事もないと思いますけど」

 わたわた
276小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/02(金) 14:30:54.60 ID:T+Twe6z10
 思わず手を止めて、言い訳を開始する黒服C

「べ、別に、マニアって程じゃないですよ?ただ、耳掃除の瞬間って気持ちいいな〜って思ったり、そうしていると疲れとか色々吹き飛んだり、自分の耳だけじゃなくて他人の耳をやってもそんな気持ちになったり。
 その至福を味わう為に色んな耳かき試していつの間にか10本以上溜まってたりしてますけど、マニアじゃないですよ?」
「いや。マニアって言っていいと思う、それは」

 あぅあぅあぅあぅあぅあぅ
 …どうやら、言い訳したつもりが墓穴を掘ってしまったらしい
 ぷっしぅ、赤くなってフリーズする

「…それで、終わったの?」
「あ、まだです。反対の耳もまだですし」

 ……えぇい
 バレてしまったなら、仕方ない
 彼の耳で、思う存分、欲求不満を解消するまで

 色々と、開き直った黒服Cによって
 黒服Yは、しばし解放されなかったそうだが………まぁ、彼は元々仕事をサボリ勝ちだったので、特に問題は起こらなかったと言う




終われ
277以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金) 14:32:31.76 ID:T+Twe6z10
さぁ、やる気ない黒服の人に紐なしバンジー焼き土下座だ!!!orz
アホなネタに使ってしまって申し訳ありません
巨乳以外特に特徴がない黒服Cに特徴をつけようとした結果が、ごらんのありさまだよ!!orz


耳掃除相手、折角ならCNo繋がりで栗子ちゃんにしようかとおも思いましたが、彼女には耳掃除によりもむしろ何か食べさせたいのでお流れに
栗子ちゃんもいつかクロスさせていただきたいなぁ………先行焼き土下座orz
278以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金) 14:51:48.51 ID:T+Twe6z10
にー
279以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金) 15:19:11.59 ID:T+Twe6z10
にーにー
280小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/02(金) 15:35:26.17 ID:T+Twe6z10
 …とある、病院の裏手にて
 二頭の狐と、一体の筋肉がぶつかり合っていた
 その様子を見て………男は、深々とため息をついて
 無造作に、それに近づいていく
 そして…


「−−−−−−K-No.232、動くな」


 低く、そう口にした
 その瞬間…………ぴたり
 筋肉…K-No.232の動きが、止まった



「っ!?」

 K-No.232が動きを止めたのを見て、コンとハクは、やや驚いた様子でそれを見つめる
 まるで、ロボットが、電源を落とされたかのように……ぴたりと、硬直しているK-No.232

 …かつかつと、足音が響き渡り
 K-No.232の背後から…ぬぅ、と人影が現れる
 こちらも、黒服だ
 ただ、その身長は2mを超え、がっちりとした体付きをしており…顔には、手術痕のような縫い目が走っている

「…この病院は「組織」が絡んでいる病院では、あるが。騒ぎは起こしてもらいたくない」
「………G-No.1、ですか?上層部との連絡係が、何故ここに?」
「…九尾の狐、か………君達とも契約している影守 蔵人が、朝比奈 秀雄と遭遇したとの報告を受けている。話を聞きに来たのだが…」
281小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/02(金) 15:38:41.43 ID:T+Twe6z10
 …ちらりと
 ハクにG-No.1と呼ばれたその黒服は、K-No.232を見て…小さく、ため息をつく

「…この黒服を回収する方が先のようだな」
「はい、回収してください」
「いっそ、処分してくれ」

 ハクとコンの、その言葉に
 ふむ、とG-No.1は考え込む

「…前向きに検討したいのだが。残念ながら、K-No.232は私の管轄ではない。K-No.0に直訴してほしい」
「「いや、無理だから」」

 上層部メンバー…一部では0ナンバーなどとも呼ばれる彼らは、めったに人前に姿を現さないと言われている
 いや、そう言われているだけで、顔を知られていない状態でちょろちょろと姿を現している者もいるのだが
 それらの所在は、「組織」内ではトップシークレット扱い
 そもそも、顔を合わせることすら困難であるし………色々と特殊なKナンバー相手に、そう言う頼み事が聞くかどうか、不明である

(…G-No.1。H-No.0の忠実な部下。主のためならば己の体も改造できる狂人、ですか)

 G-No.1を前に、「組織」で聞いた事のある噂を思い出すハク
 元・人間の黒服……いや、厳密に言えば、「組織」の黒服ではないG-No.1
 「組織」と言う存在が出来る以前に都市伝説に飲み込まれたと言う彼が、「組織」の黒服であるはずがない
 …「フランケンシュタインの怪物」と言う都市伝説に飲み込まれている彼は、己の主の為ならば、己の体に平気で手を加える
 有名な所では、その両目に記憶捜査用の、あの赤い光を発する能力を仕込んでいるという
 先ほど、K-No.232を止めた声も、恐らく、自分の喉を改造した結果だろう
 純粋な「組織」の黒服相手に、強制的に命令を聞かせる事ができるのかもしれない……本人に、代償がある可能性もあるが

「…それでは、私はこれで。影守氏には、後で話を聞きに来よう」
「……わかりました。伝えておきますね」
282小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/04/02(金) 15:42:24.30 ID:T+Twe6z10
 がしり、とK-No.232を引っつかみ、ずるずると引きずっていってしまったG-No.1
 ……その後ろ姿を見送り、コンが小さくため息をついた

「…やれやれ。感情のない黒服相手とはまた違うけど…感情が「ないふり」をしている相手ってのも、向かい合って敵持ちのいいもんじゃないな」
「………そうですね」

 …まぁ、とりあえず
 あの筋肉を回収してくれたのは良かった
 これで、再び、自分達の契約者の尻及び精神に多大なダメージが行く事はあるまい
 二頭はほっと、ため息をついたのだった




終われ
283以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金) 15:48:53.93 ID:T+Twe6z10
今度ははないちもんめの人に焼き土下座だよ!!orz
勝手にK-No.232を回収しちゃって御免なさい


でも……でも、俺、これ以上かごめかごめの尻が【検閲】になるところは見てられない………っ
そして、あるぇー???…俺、警官上司(美緒)がかごめかごめを看病してるシーンも書くはずだったんだけどあるぇ〜?
…後で書こうっと
284以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
夕食後もスレが残っていてくれれば幸せだ!!