「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」

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1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
ここは
都市伝説と契約して他の都市伝説と戦ってみたり
そんな事は気にせず都市伝説とまったりしたりきゃっうふふしたり
まぁそんな感じで色々やってるSSを書いてみたり妄想してみたりアイディア出してみたりするスレです


「まとめwiki」 ttp://www29.atwiki.jp/legends/


まとめ(途中まで) ttp://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/urban_folklore_contractor.html


避難所は↓だよ!規制中やスレが落ちている間はこっちでゆっくりしていようね!
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/13199/
2以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 15:40:22.18 ID:lxnzU1xG0
よくある質問



 このスレってジャンプの某読みきりと関係あるの?



始めにこのスレを立てた>>1が何を考えて、スレを立てたのか
今となっては、その真相はわからない
ただ、ここに集まった者たちは、各自思い思いに妄想をぶちまけていき、今のこのスレの形となっていった


まぁ、結果としては関係あるかどうかとか、どうでもよくね?
ぶっちゃけ、ほぼ関係ない内容だし
3小ネタ  ◇nBXmJajMvU(代理):2010/03/26(金) 15:41:26.17 ID:lxnzU1xG0
 学校町繁華街
 ここに、ウェイトレスの制服が色々と有名なファミレス、フェアリーモートがある
 もっとも、一番有名なのはウェイトレスの制服だが、デザートがおいしい事でも有名である
 そのせいか、この店の客層は大きく分けて、二つ
 ウェイトレスの制服目当てか、デザート目当てである

「んー、このケーキはなかなか」
「うむ、美味しいのじゃ」

 そして
 彼女達は、その後者の客であった
 もっとも、一人はウェイトレスの制服を見て「良きかな良きかな」とか言っているような気もするが

 四人の少女達
 1人は中学生にも見えなくもないが、全員、小学生程度の外見である
 …1人は、そんな可愛らしい年齢ではないのはさておき
 一応、その1人も表向きは小学生程度の年齢という事になっているので、問題ないだろう

「まぁ、今の状況でのんびりケーキ食べていていいのか、とも思うけどね」
「いいんじゃない?こう言う時だからこそ、息抜きしないと」

 ぽつりと呟いた望に、そう言ったのは詩織
 …学校町は、今、悪魔の囁きやらコーク・ロアやらで大変な状況で
 しかも、望と詩織にとっては、その事態に家族が巻き込まれている状態
 ここで、友人達とのんびりするのが、気が引けるのかもしれない
 …ただ、詩織のいう事ももっともだ
 気を張りすぎていては、精神が疲弊しすぎてしまう
 無駄に気を張りすぎても、倒れるだけだ
 ……まさしく、翼がその状況になりかけている訳で
 その周りにいる望や詩織まで、気疲れする訳にもいかないのだ
4小ネタ  ◇nBXmJajMvU(代理):2010/03/26(金) 15:43:53.46 ID:lxnzU1xG0
「んー、色々と話は聞くんだけど、私は遭遇してないんだよねぇ」

 あむ、とケーキを口にしつつ、そう言ったのは友美
 都市伝説の事を色々と知りながらも、直接的な被害にはほとんどあっていないという、学校町において稀有な少女である
 今回も、悪魔の囁きやコーク・ロア支配型の話を聞き、気をつけろと言われてはいるのだが、それらに襲われてはいない
 ……もしかしたら、幸運の女神にでもとり憑かれているのかもしれない

「まぁ、遭遇しない方が幸せであろうな。報告を聞く限り、厄介な相手が多いようじゃからのぅ」

 友美の言葉にそう言って苦笑したのは、ヘンリエッタ
 「組織」に所属しており、ほぼ外に出る事が許されなかった彼女だが、初詣で望達と知り合い、友人になって以来、こうやってちょこちょこと外に出る自由が増えてきていた
 …いや、時折、また無断で出歩いてはお説教をくらっているのだが

「そうね……私達は見ていないけど、ライオンの都市伝説とか、洒落にならないわよ」
「よくもまぁ、ニュースで騒がれないわよね。ライオンなんて」
「直接の目撃例が少ないからじゃろ。「組織」でも、一応情報操作しとるしの」
「ライオンねー…こないだ、ライオンみたいな猫みたけど、それは違うの?」
「…猫サイズなら、違うんじゃない?」

 ケーキをつつきつつ、そんな事を話していく
 …店内から見える繁華街の様子は、いつも通り
 とりあえず、今のところ、都市伝説騒動の気配は感じない
 都市伝説の気配も、詩織とヘンリエッタ以外は感じない
 ……ひとまず、今は警戒をとこうか
 自分達が気を張りすぎても…それもまた、翼を追い詰める事になりかねない

「…いやー、それにしても、ヘンリエッタちゃん、いい食べっぷりだね。私のも一口食べる?」
「おぉ!良いのか?」

 友美の申し出に、キラキラと瞳を輝かせるヘンリエッタ
5小ネタ  ◇nBXmJajMvU(代理):2010/03/26(金) 15:45:21.56 ID:lxnzU1xG0
 話し方はどこか老獪な彼女だが、こうしていると、その外見相応の少女に見える
 …と、言うか…望達と一緒に行動するように、なってから
 彼女は、初めに初詣の時に出会った時よりも、どんどん生き生きとしてきているように見えた

「ヘンリエッタも、「組織」にいるからにはやっぱ忙しいんでしょ?大丈夫?」
「うむ、妾は大丈夫なのじゃ」

 詩織の問いかけに、ヘンリエッタは笑って答える
 …望達には秘密だが、ヘンリエッタは「組織」上層部に所属している
 現場に出る機会は少なく、また、彼女は書類仕事もほとんど回されない為…この「組織」が忙しい中でも、まだ余裕があるのだ
 そんな彼女でも、最近、少し忙しいが…

「…だから。お前達が危険な目に合いそうになったら、妾にすぐに連絡するのじゃ!すぐに助けに行くのじゃ!」
「お、頼もしいね」

 ヘンリエッタの言葉に、友美はそう言って笑う
 うむ!とヘンリエッタは、そのまな板レベルの胸を張って見せた

「特に、望、詩織……お前達には、顎砕き飴の騒動の時、何もしてやれんかった。だから、今度こそ…何かあったら、お前たちを助けさせておくれ」
「ま、連絡できる状況だったら、お願いするわ」

 望の答えに、うむ、と頷くヘンリエッタ


 …ヘンリエッタにとって
 望達は、大切な友人となってきつつある
 かつて諦めた、少女らしい日常
 それを、ほんの少しでも味あわせてくれる、彼女たちが

 ……大切な、大切な
6小ネタ  ◇nBXmJajMvU(代理):2010/03/26(金) 15:47:33.22 ID:lxnzU1xG0
 親友に、なってきつつあって


 そして
 ある事実に気づきつつ、ヘンリエッタはそれからは目をそらす
 それに気づいてはいけない、と言い聞かせる


 自分に出来る事は、ただ
 いつか、自分が殺されるその日まで
 この、大切な友人をせめて護ってやる事と


 彼の復讐を手伝う事
 ただ、それだけなのだから




to be … ?
7残された思いの読み手 ◇caHoDnkdag(代理):2010/03/26(金) 15:48:58.05 ID:lxnzU1xG0
「あの、此処が何処か確認してもらって良いですか? 私の勘があの町はヤバいって言ってるんですけどぉ」
「うん? オイオイ、学校町かよ。面倒な所に来ちまったな」
学校町のすぐ手前の道で、《女の勘》の契約者、菅野紗江良と《残留思念》の黒服S.No-560が乗ったバイクが停止した。
《ドリブルババア》から逃げ出した2人は、紗江良の能力によってトラブルに巻き込まれない様に、『組織本部』へと向かっていたのだが。
交通規制等によって、ルートが狭められて日本で最も都市伝説関係の事件が多い此処にやって来てしまったのだ。
それも、よりにもよって《悪魔の囁き》などが暗躍している、この時期にだ。

「如何、しましょうか? 噂通りならあの町で都市伝説関係者がトラブルに巻き込まれる可能性は、かなり高そうですしぃ」
現在の状況を詳しく知らずとも、組織内での学校町の簡単な噂ぐらいは、紗江良もSから聞かされている。そのため、彼女は少々不安そうだ。
だが来た道を戻るとすれば、それは、大幅な回り道となってしまう。
話し合った末に、結局、2人はこのまま進む事を決め、学校町の中へと入って行った。
「お前の勘で行きゃあ、そうそう面倒な事には成らないだろう」
「むぅ、信頼してくれるのは嬉しいですけど。色恋沙汰以外だと、精度が落ちますよぉ」
「そうそう、長居する訳じゃあないんだ。気楽にいこうぜ」
そんな事を喋りつつ、女性はエンジンを掛けて、バイクを走らせた。

本人達は、学校町をすぐに抜け出す気でいるようだ。だが、それが叶うかどうかは、誰にも分りはしない。

「ふあ!? 何か、不吉な事を言われた気がぁ!」
「ど〜した?」
「いえ。何でも無いですぅ」
走行中に行き成り声を上げた紗江良をいぶかしむSだが、本人が何でも無い様に言うので気にしない様にした。
8残された思いの読み手 ◇caHoDnkdag(代理):2010/03/26(金) 15:51:40.08 ID:lxnzU1xG0

しばらくの間、何事も無く2人は町の中を進んでいた。
だが、このまま無事にこの町を抜け出せるほど、この世界は都合よく出来てはいなかった。

突然、ブレーキを掛けられ、Sは紗江良の背中に、顔をぶつけてしまう。
しかし、それに文句を言うつもりは無い。何故ならば、この急ブレーキの理由を感付いているからだ。
パッと見で、停止する理由が見当たらないこの現状で、彼女がブレーキを掛けるとなればそれは一つしか無いだろう。
彼女の勘が、何かを察知したのだ。それなりに、コンビを組んでいるのだそれ位は分る。
そう思い。ぶつけた鼻を擦りながら、Sは紗江良にたずねる。
「イテテテ。で、何を感じたんだ?」
「……都市伝説や契約者です。それも、あちこちから気配がしますよぉ」
「この時間の上に、この土地だからな。気にする程か?」
すでに薄暗くなっており、都市伝説が異常に集まる、学校町という場所である事からSが言う。
しかし、次いで出されたこの言葉に、警戒を強める。
9残された思いの読み手 ◇caHoDnkdag(代理):2010/03/26(金) 15:53:20.65 ID:lxnzU1xG0
「ただの気配ならそうですけど。ほとんどが、特に契約者が友好的な物じゃ無いんです。悪意に溢れて居るって言うかぁ」
そして、その中の1つの単語に何か、引っかかる物を覚えた。
「悪意、悪意ね。そう言えば、あの時飲まされたのは……」
「たしか、《悪魔の囁き》の除去薬でしたねぇ」

あの、人々が死に絶えて居た街の処理をしに来た『組織』の黒服に、そう説明されて渡された薬。
《七人みさき》の報告をした際に、渡されたら飲むよう言われ。
自分の報告の際に、詳しく説明すると告げられたソレ。
「関係あると思うか?」
「うぅん。私の能力の専門分野じゃ無いから、絶対とは言えませんけど。あると思いますよぉ」
「そうか……」
10残された思いの読み手 ◇caHoDnkdag(代理):2010/03/26(金) 15:56:26.15 ID:lxnzU1xG0
何かを考え込むように、黙り込むS。
しばらくの間、考え込んだ末に携帯を取り出し。
「取り合えず。この町の現状くらいは、知っておかないとな。関わる、関わらないは別としても」
そう、紗江良に説明しながら、Sは誰かに連絡をし始めた。

「あぁ、……か? 俺だ、S.No-560だ。ちょいと、教えてほしい事があるんだが――」

続く
11ケモノツキ ◇kemono..Qk(代理):2010/03/26(金) 15:57:47.50 ID:lxnzU1xG0
【ケモノツキ_06_黒服の名前】


 繁華街から帰宅した悠司。帰るや否や、自分の部屋に入り、ベッドに腰掛ける。
 うなだれ、顔を手で覆い、目を閉じる。脳裏に浮かぶのは、三人の黒服。
 D-No.962こと、大門 大樹。H-No.360こと、広瀬 宏也。
 そして、自分の担当、A-No.218。

 予想はしていたし、少し期待もしていた。だが、出来れば目を背けていたかった。
 あの元・人間の黒服たちは、名前を持っているという事実。
 それと同時に突きつけられた、自分の担当黒服には、名前が無いという事実。

「……だけど…もしかしたら…。」

 悠司はポケットから携帯電話を取り出す。
 思い出すのは、黒服Hの言葉。

 ――――ナンバーで名乗る訳にもいかねぇだろ?だから、ちゃんと人間としての名前も用意されてんだよ。
 ――――ま、俺の場合、偽名だがね。人間の頃の名前は忘れちまったから。

 あの言葉通りならば、自分の担当黒服にも、人間としての名前があるのかもしれない。
 たとえ偽名だとしても、呼ぶべき名前が。そう信じて、悠司は黒服に電話をかける。

「橘野悠司、どうしました?」
「あ、あの…。今、時間…いいですか?」
「かまいません。どうしました?」

 どう切り出すべきか、一瞬悩む。

「あの、今日…広瀬 宏也さんと、大門 大樹さんに会いました。」
12ケモノツキ ◇kemono..Qk(代理):2010/03/26(金) 15:58:55.03 ID:lxnzU1xG0

 悩んだ末、人間としての名前を口にした。

「…H-No.360と、D-No.962ですね。彼らに何かされたのですか?」
「い、いえ!そういうわけじゃないんです。」

 あわてて、それを否定する。
 …尤も、あのときの黒服Hの心中を考えれば、何かされたと言っても過言ではないかもしれないが。

「それで…広瀬さんが言ってたんです。身分証明とかのために、人間としての名前があるって。」
「はい。「組織」には彼らのように、人間としての名前や戸籍を持っている黒服も居ます。」

 『黒服”も”居る』。その言葉に少し不安を覚えたが、言葉を続ける。

「…黒服さんにも、そういう名前があるんじゃないですか?」
「私はあまり現場に出ないので、その必要性がありません。ですので、私に名前は与えられておりません。」

 かすかな希望が、打ち砕かれる。
 ショックを受ける悠司に対し、黒服は更に言葉を続ける。

「それに、私たちは人間ではなく、「組織」の黒服という都市伝説です。基本的に名前は不要です。」

 『人間ではない』。その言葉が深く、悠司の心に突き刺さる。
 なぜ、そんな悲しいことを平然と言ってのけるのか。
 なぜ、そんな簡単に自分の人間性を否定するのか。
 なぜ、あなたが人間であると認めさせてくれないのか。
13ケモノツキ ◇kemono..Qk(代理):2010/03/26(金) 16:01:54.83 ID:lxnzU1xG0

「…黒服さん…っ。」

 自らの担当黒服を、”黒服さん”と呼ぶ。そう呼ぶしかない。そうとしか呼べない。
 確かに相手を認識してるのに、相手の”個”を否定しているような錯覚を覚える。
 名前を呼べないというのは、こんなにも不安で、もどかしく、苦しいものなのか。

「私には、A-No.218というナンバーがあります。それでは不十分ですか?」

 人を番号で呼ぶことなど、できるわけがない。
 人を人と思わずに扱うなど、できるわけがない。
 そんな悠司の心を、この黒服はわかってくれない。

「番号で…呼ぶなんて……。」

 声を絞り出す。
 その声は震えていたかもしれない。

「あなたが私をどう呼ぼうと、何の問題もありません。もうよろしいでしょうか。」
「……はい。」
「何かあれば連絡してください。失礼します。」

 プツン、と電話が切れ、部屋が静寂に包まれる。

 自分の担当として最も長く付き合ってきた、この黒服。
 それに対して、つい最近、数回出会っただけの、黒服Dと、黒服H。
 なのに、なぜこんなにも、黒服Dと黒服Hは近く、この黒服は遠く感じるのだろうか。
14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 16:02:02.25 ID:LhdhSAib0
スレたて乙支援!
15ケモノツキ ◇kemono..Qk(代理):2010/03/26(金) 16:05:20.82 ID:lxnzU1xG0

 都市伝説は、人間ではないのか?
 黒服は、人間ではないのか?
 黒服は、人の形をした”何か”に過ぎないのか?


 人の形をした、人間ではない”何か”。
 人間でないなら、それは…”化け物”なのか?


 ぞくり。
 背筋に悪寒が走り、悠司はその恐ろしい考えを振り捨てる。
 違う。黒服は人間だ。黒服が”化け物”だなんて、ばかげている。

 そんな考えに至った自分を責め、悔やみ、嫌悪する。
 震える唇をぎゅっとかみ締め、自分に言い聞かせるように、言葉を搾り出す。

「…黒服は…人間だ……っ!」

 口の中に、血の味が広がった。



【ケモノツキ_06_黒服の名前】    終
16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 16:06:00.33 ID:LhdhSAib0
ネタ書きつつ支援
17ケモノツキ ◇kemono..Qk(代理):2010/03/26(金) 16:06:18.06 ID:lxnzU1xG0

 悠司との電話を終えた、黒服A-No.218。
 目の前のノートパソコンには、[通信記録完了]の文字が浮かんでいる。
 ノートパソコンにつながった携帯電話を閉じて、ヘッドセットを外す。

『黒服。』

 目の前のノートパソコンから、声が響く。

「どうしました、エイダ。」
『なぜ、名前を教えなかったのですか?』
「…私に、名前はありません。」

 エイダの問いかけに、一瞬の間をおいて答える。

『貴方には、マスターが付けた名前があるはずです。それを、橘野悠司に教えればよかったのでは?』
「あれは、彼が私に対して用いていた呼称に過ぎません。あれが私の名前であるという情報は、誤りです。」

 名前ではなく、呼び方に過ぎない。そう言った黒服。

『では、もしマスターと同じように、橘野悠司があなたに名前をつけたら、あなたはその名前を名乗りますか?』
「名前をつける、という言い方は適切ではありませんが、橘野悠司がその呼称を用いることを、私は拒否しません。」

 名前は無いが、名前で呼ばれることを否定しない。
 その矛盾した自らの考えに、黒服は疑問を抱かない。

 ――――「組織」の黒服、A-No.218。「組織」の黒服に、名前は不要。
 ――――「組織」の黒服は、ただ忠実に、「組織」に臣従していればよい。

A-No.218_conversation_01_fin
18七人みさきの人に土下座  ◇nBXmJajMvU(代理):2010/03/26(金) 16:07:37.60 ID:lxnzU1xG0
 その日
 「組織」本部で書類事務をしていた黒服Cは、同僚からの情報提供を求める電話を受けていた

「はい、S-No.560ですね?…教えて欲しい事、ですか?」
『あぁ。今の学校町の状況について。出来る限り、詳しく』
「学校町の?……もしかして、今、学校町にいるんですか?」

 ぷるんっ、と
 某セクハラ黒服の見立てによればEカップのその胸を揺らし、Cは首をかしげる

『あぁ、そうだ』
「……今、学校町は、悪魔の囁きが起こしている騒動の関係で、危険ですよ。早く抜けた方がいいと思います」
『どう危険なのか、出来れば具体的に教えて欲しい』
「えぇと…そうですね」

 なるべく具体的に、そして正確に、Cは情報を伝えていく
 悪魔の囁きを含め、三重契約を結んでいる都市伝説契約者が存在し、それが、悪魔の囁きを街中にばら撒く事で悪意を広めている事
 その悪魔の囁き契約者は、多重契約している他の都市伝説の影響で、酷く戦闘力が高い事
 同じく、その契約者が多重契約しているクールトーの能力で、犬が襲い掛かってくる可能性
 悪魔の囁き契約者の部下には「セイレーン」「タコ妊娠」「カイザー」「ツァボの人食い」の片割れが少なくとも存在している事
 部下…と言うか、ほとんど使い捨ての駒状態だが、コーク・ロア支配型で操られている人達が大勢いる事…

「悪魔の囁きは、いつ、どこで卵を植え付けられるかまったく予想がつきませんから、どうかお気をつけて」
『一応、駆除剤は摂取したんだが』
「あれ、予防薬として摂取した場合、摂取から24時間しか効果が続かないそうですから、どちらにせよ急いだ方がいいかと」
『そうか……それにしても、厄介だな』
19以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 16:07:44.92 ID:LhdhSAib0
しえしえ
20七人みさきの人に土下座  ◇nBXmJajMvU(代理):2010/03/26(金) 16:11:39.88 ID:lxnzU1xG0
 受話器の向こう側で、S-No.560がため息をついたのがわかって、Cは苦笑する
 気持ちは、よくわかる
 学校町は本当に、都市伝説関連のトラブルが起きすぎる

「あ、あの、学校町を出るまでの間、護衛をつけましょうか?あなたも、あなたが担当なさっている契約者の方も、戦闘は苦手ですよね?」
『いいのか?今、学校町担当の黒服や契約者は忙しいはずじゃ?』
「私が担当している契約者は、今、特に任務を請け負っていませんし。大丈夫ですよ』

 Cの申し出に、S-No.560は一瞬、悩んだようだったが
 さほど間をおかず、答えてくる

『…相手次第だな。まずは、会って見ないとわからない』
「わかりました。担当契約者をそちらに向かわせますね。今、どちらに?」

 S-No.560が、今いる位置を聞き出し
 そこからあまり動かないよう次げて……Cは、己の担当契約者に、連絡をとる事にした





「はいよ………ん?仕事?……………はぁ!?俺が護衛!?」

 その日
 モンスの天使契約者、門条 天地は、担当黒服から告げられた言葉に耳を疑った
 …自分が、護衛?
21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 16:14:16.98 ID:LhdhSAib0
支援
22七人みさきの人に土下座  ◇nBXmJajMvU(代理):2010/03/26(金) 16:14:46.03 ID:lxnzU1xG0
 はっきり言おう
 向いていない

『確定じゃないですよ?あちらは、相手を見てから決めるって言ってたから…』
「……そりゃ、俺が護衛に相応しいかどうか見極める、って事かよ」

 ………っふ
 面白い
 ならば、認めさせてやろうではないか!!
 天地の中の負けず嫌い精神が動き出す!!

「…直希誘って映画行くつもりだったが……まぁ、いいや。それはまた今度だ」

 自分は、「組織」に所属しているのだから
 まずは、仕事優先だ
 携帯の通話を切ると、天地は指定された場所へと向かう事にしたのだった


to be … /
23以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 16:15:43.12 ID:LhdhSAib0
しえしえ
24笛 ◇rpv9CinJLM(代理):2010/03/26(金) 16:18:27.97 ID:lxnzU1xG0
【上田明也の探偵倶楽部18〜禿、追撃〜】


「筋肉の鍛錬は完璧か? 」

そう啖呵を切ると俺はマ神に正面から戦いを挑んだ。
決して勝つ自信が有った訳ではないのだが蜻蛉切を握っていると無意識のうちに気分が高揚してくるのだ。
忘れがちだがあれも妖刀村正の系譜に繋がる都市伝説。
持ち主の戦闘意欲を向上させる働きがあるのだろう。
「截断工程第一過程完了、寸断工程第二過程完了、両断工程第三過程完了。
 目の前の肉塊の構造を鑑賞し設計を理解し概念を想像する。
 演算終了。
 戦況を切開しよう。」
紫とピンクのオーラを練り上げ、その身に纏った禿がこちらに突っ込んでくる。
ギリギリまで力を抜いて腰に修めた蜻蛉切を引き抜く。
それを頭上に掲げ、突っ込んでくる禿に向けて両手でまっすぐ振り下ろす。
その動作が客観的に見て速いのか遅いのかは知らないが、
俺にはその動作が朝起きて歯を磨きに行くまでの時間のようにゆったりとした物に感じられた。

しかしだ。

それはあの禿の黒服にとっても同じ事だったらしい。
彼は水鳥が湖上でステップでも踏むが如く俺の渾身の一太刀を躱して見せたようだ。
「初撃必殺、一之太刀を疑わず、成る程悪くない一撃だ。思わず躱したくなった。」
「………ありゃ、外れていたのか。」
刀を振るい終わってから俺は躱されたことに気がついた。
斬り合いは蜻蛉切に全て任せてしまっているので俺自身の反応はどうしても一瞬遅れるのだ。
25以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 16:19:30.51 ID:LhdhSAib0
支援!!!
26笛 ◇rpv9CinJLM(代理):2010/03/26(金) 16:19:50.88 ID:lxnzU1xG0
「アブドミナル・アンド・サイ! 」

俺が一瞬だけ気を緩めた隙を突いて禿の黒服は妙なポーズを取り始めた。
なんだあれは……?
見ているだけで頭が痛い。
吐き気もしてきた。
グルグルグルグルグルルグルグルグルグルグと視界が揺れる。
目を瞑って彼の姿を視界の外に追い出す。
そうすれば隙ができている勘違いした禿の黒服は俺の背後をとるに違いない。

「――――――そこだ! 」
「アッー! 」

一瞬だけ俺の背後の空気が揺れた。
俺の履いていたデニムに何か生暖かい物が押しつけられる感触もする。
半ば反射のように俺は後ろをなぎ払った。

「危ない危ない、去勢されるところでした。」
「されちまえ。」
「それはお断りしましょう。」

彼がそう言った瞬間、その何気ない会話の一瞬を狙ってもう一度村正を振るう。
狙うのは勿論首。
彼のような筋肉の塊を殺害するには筋肉が比較的付きづらい首筋を狙うしかない。

「サイドトライセップス!! 」
辺りに響く金属音。
強調される上腕三頭筋が斬撃を受け止めた。
27笛 ◇rpv9CinJLM(代理):2010/03/26(金) 16:20:42.93 ID:lxnzU1xG0
「………貴方の攻撃は非常に読みやすい。」
俺の蜻蛉切を簡単に受けた禿は呟いた。

「都市伝説の力によって何の修練もなく修めた剣技、それは良い。
 精神に感応して切れ味を増す刀、それもまた良い。
 しかし、肝心の貴方はその特質を生かし切れているのか? 」

「――――――どういうことだ? 」
「貴方の一撃は全て殺す為に振るわれている。
 それはそれは効率の良い攻撃だし単純に誰かを殺すならばそれがベストなのだろう。
 しかし貴方の持つ技術全てが意識するとしないとに関わらずパターン化されてしまっている。
 だったら攻撃を読んで防御するなりカウンターするなりは非常にやりやすい。」
「つまり……。」
「ええ、貴方の技は全て見切った。もう貴方に勝ち目は無い。」

禿の黒服はそう言うと再びアブドミナル・アンド・サイの構えをとる。
黙って見ていると脳に悪いことが解ったので俺は禿に対して背中を向けた。

「あえて背中を見せて私の動揺を誘う気か? 」

そのまま男体化しているユナを抱えて走り去る。

「………って逃げた!?」

後ろから禿の絶叫が聞こえた。
28以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 16:20:47.64 ID:LhdhSAib0
っし、ネタかけた支援
29笛 ◇rpv9CinJLM(代理):2010/03/26(金) 16:23:17.82 ID:lxnzU1xG0
「待て!」
上田明也は逃げ出した!
しかし回り込まれた!
「やはり駄目だったか……。」
「う、う〜ん……。」

どうやらユナさんが目を覚ましたようだ。

「あれ、私は……?」
「目を覚ましたみたいですね、ユナさん。
 只今今回のラスボスと戦闘中です。」

ユナはガバッと起き上がって辺りを見回し、自分の身体をぺたぺた触る。

「やっぱり男になっている……。」
「………ご愁傷様です。犯人はそちらの方でございます。」
「目を覚ましましたか、安心して下さい、その男体化ガスはまだ不完全なので………。」
『いやああああああああああああああああ!!!! 』

当然の反応である。

「笛吹さん、私のこの姿を見た人は……今何人いますか? 」
「ええと、村長とその人と俺だけじゃないでしょうかネエ……。」
「……コロス。ブッコロス。」
余程見られたのが恥ずかしかったのだろう。
しかし殺害対象は俺も含めてなのだろうか?正直怖くなってきた。
30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 16:24:57.30 ID:LhdhSAib0
そろそろ一端席はずすので、書いたねたは代理投下スレに落として起きます支援
31笛 ◇rpv9CinJLM(代理):2010/03/26(金) 16:25:07.48 ID:lxnzU1xG0
「笛吹さん、ここは私に任せて下さい。」
「は、はい……。」
ユナさんの表情が引きつっている。
『都市伝説【ルーシー7】、行きます! 』
彼女、今は彼がそう言うと禿の背後からいきなり包丁を持った男性が現れた。

「――――――何ッ!? 」

包丁による背後からの一撃を背筋で受け止める禿。
その隙を突いてユナは銃器を取り出す。

「ユナさん、そいつに拳銃やらは効かないぞ! 」
「大丈夫です! 」

BANG!BANG!

ユナのキャリコM100が禿に向けて火を噴く。
キャリコM100、1986年にキャリコ社(Calico Light Weapon Systems)が開発した短機関銃だ。
最大の特徴はヘリカルマガジンと呼ばれるユニークな弾倉で、
通常の銃だと弾倉がトリガー前部や内部にあるのに対し、
M100の弾倉は銃後方(他の銃で云うストック部)にある。
円筒状の弾倉の中には螺旋状に銃弾がストックされていて、
コンパクトな見た目とは裏腹に実に50発もしくは100発の.22LR弾が装填可能である。
32以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 16:27:08.45 ID:LhdhSAib0
支援
33笛 ◇rpv9CinJLM(代理):2010/03/26(金) 16:27:10.72 ID:lxnzU1xG0
「そのような銃弾など……! 」

当然禿はその山のような筋肉で銃弾を受け止める。
1秒、2秒、3秒、4秒、5秒、すかさずもう一丁キャリコを取り出す……10秒。
「笛吹さん、彼を足止めする手伝いお願いできます?
 できればその間に貴方が先程の蜻蛉切とやらを準備してくれるとありがたい。
 銃弾が尽き次第、もう一度蜻蛉切であの禿げた黒服を切って下さい。
 彼にダメージを与えうる武器はそれだけでしょうから。」
「解ったユナさん、これを使え。」
俺も丁度持ってきていたMP7を取り出して彼女に渡す。
10秒+3秒の足止めだ。

一秒経過

確かに銃弾の一発や二発では禿は倒れない。
しかし、そんな銃弾一発でもその中にはプロボクサーのパンチ並の運動エネルギーが込められているそうだ。
故に、いくらこれを受けて死ななくても喰らい続ければ動きは止まる。
更に言えば禿の性格上、銃弾を正面から受け続けようとする。
その予想通り、禿は銃弾を真正面から受け止めてジワジワと近づいてくる。

二秒経過

本当に蝸牛のようにゆっくりゆっくりと近づいてくる。
10cm?5cm? そんなのどちらでも良い。
禿は一歩ずつ近づいてくる。
一歩でもわずかでも近づいてくる。
銃弾を正面から受け止めて近づいてくる。
それが恐怖。
俺は今確実に恐れている。
34以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 16:28:53.18 ID:LhdhSAib0
しええええええん
35以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 16:31:26.21 ID:nt9KFbrH0
                                 ,.へ
  ___                             ム  i
 「 ヒ_i〉                            ゝ 〈
 ト ノ                           iニ(()
 i  {              ____           |  ヽ
 i  i           /__,  , ‐-\           i   }
 |   i         /(●)   ( ● )\       {、  λ
 ト−┤.      /    (__人__)    \    ,ノ  ̄ ,!
 i   ゝ、_     |     ´ ̄`       | ,. '´ハ   ,!
. ヽ、    `` 、,__\              /" \  ヽ/
   \ノ ノ   ハ ̄r/:::r―--―/::7   ノ    /
       ヽ.      ヽ::〈; . '::. :' |::/   /   ,. "
        `ー 、    \ヽ::. ;:::|/     r'"
     / ̄二二二二二二二二二二二二二二二二ヽ
     | 答 |   厨  二  病     │|
     \_二二二二二二二二二二二二二二二二ノ
36笛 ◇rpv9CinJLM(代理):2010/03/26(金) 16:31:51.53 ID:lxnzU1xG0
三秒経過

恐怖を制御しろ。
呼吸は極限までペースを落とせ。
恐れることは恥ずべきではない。
そんなことより大事なのは最高の状態を作り出すことだ。
恐れていても良い。
だがその感情すらいとも容易く手放せる心境が必要だ。
その心が身体に究極の脱力を生む。
脱力から緊張までの圧倒的な落差が爆発的な破壊力を生み出す。
手元にあるだけの破壊力をすべて爆発させて尚敵うか否かの相手なのだ。
禿は近づいてきている。
まるで王者のように薄ら笑いさえ浮かべているように見える。
俺がまだ恐れているからそう見えるのだろう。
ならばもっと感情を薄くしろ。
生まれた時の状態まで戻るんだ。
風の音が聞こえてきた。
よし、これで良い。
腰の刀に重量を感じる程の脱力。
37笛 ◇rpv9CinJLM(代理):2010/03/26(金) 16:34:05.67 ID:lxnzU1xG0
「……動けない?」
禿の足下がまるでコンクリートで固められたかのように動かない。
「それがルーシー7の能力の一つです。
 ルーシー7は彼らの起こした7つの事件にちなんだ能力を扱えます。
 ちなみに先程貴方につかったのは『ルーシーseventh』、ルーシー序列七番目の殺人鬼を相手に直接送りつけます。
 一応切り札のつもりだったんですが……。」
 只の人間ではそいつは倒せない。殺人鬼が殺せるのは人だけってことですよね。
 しかし今あなたに使った能力は違う。
 ルーシーthirdの子供達をコンクリ詰めにした事件からとった能力だ。
 名前はそのままルーシーthird、
 私の半径6m以内に居る事を条件に、
 10秒以上半径1mから外に動かない人間をコンクリ詰めのように金縛りにします。」

ユナはそう言うと俺に目配せをする。

「ただしこのルーシーthirdの能力。
 相手を殺せません。
 これを使っている間は私も動けないんですよ。
 そこで上田さん、……一撃で頼みます。
 攻撃を一撃でも食らえば金縛りは解けます。」

千載一遇の禿の黒服を殺すチャンス。
そう思った瞬間に俺の脱力にわずかな隙が生じていた。

「截断工程第一過程完了、寸断工程第二過程完了、両断工程第三過程完了。
 目の前の肉塊の構造を鑑賞し設計を理解し概念を想像する。
 演算終了。」

呪文のようにその言葉を唱える。
自分の身体がこれ以上なくスムーズに動くのを確認してから俺は禿に斬りかかった。
38以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 16:35:55.24 ID:LhdhSAib0
夕食準備前支援
39笛 ◇rpv9CinJLM(代理):2010/03/26(金) 16:36:34.91 ID:lxnzU1xG0
俺の一撃は禿を確実に捉えたように見えた。
しかしそれは違った。

「あなたの攻撃は、既に見切っている。」
「……馬鹿な。」

禿の首筋からわずかばかりの血液が零れている。
それが意味する所は俺の攻撃の失敗だ。

「……そこまで貴方は説得されたくないのか?」
「掘削の間違いじゃないのか?」
「おや、その二つの意味は違ったか?」
「ほらね。」
「じゃあ仕方ない、私が貴方を討伐せざるを得ないようだ。」

禿の拳が俺に迫る。
今の俺の精神状態じゃ防ぐことは出来ないし間に合わない。
死んだかな?と思い俺は禿の瞳を静かに見つめた。
……絶対に目は閉じない。

ドバァン!

死を確かに覚悟した次の瞬間、俺達を土砂崩れが襲った。
40笛 ◇rpv9CinJLM(代理):2010/03/26(金) 16:38:16.74 ID:lxnzU1xG0
「マスター、ずいぶん苦戦なさっているみたいですね。」
「遅いぞメル、待ちわびた。」

すっかり傾いてしまった陽の光を背に、土砂崩れの元になった山の上からこちらを見下ろす影がある。
ハーメルンの笛吹き、メルだ。
こちらにむけてトテトテ歩いてくる。
あ、転んだ。流石我らがチームの癒し要員である。

「メル、ユナさんは?」
「心配には及びません、誰ですかその子?」
「俺の契約している都市伝説だ。名前はメルとでも呼んでやってくれ。」
「ああ、貴方多重契約者だったんですか?」
「まぁね。」

俺達だけを見事に避けた土砂崩れは禿だけを飲み込んで河の中に消えていった。
この調子ならば禿が出てくるのにはまだしばらく時間がかかるだろう。
約10秒くらい。

「とにかく二人とも急いで車に乗ってくれ。
 禿が出てくる前にこの町を離れよう。」
「え、車?」
ユナが首をかしげる。
「あんたを助けに来る途中、どっかの家から鍵ごと盗んだ。」

先程のどさくさに紛れて車と鍵を盗んでおいて正解だった。
41笛 ◇rpv9CinJLM(代理):2010/03/26(金) 16:42:01.92 ID:lxnzU1xG0
「それじゃあ行くぜ、二人とも乗ったな?」
「「はーい」」

ユナとメルが乗ったのを確認してエンジンをかける。
車はランボルギーニのカウンタック。
今まで乗ったことはないが多分乗りこなせるはずである。
後ろから土砂を吹き飛ばす音が聞こえる。
俺達は急いで発進することに決めた。

山道を軽快に飛ばしてしばらく経つと後ろから禿がおいかけてきた。

「マスター、来ましたよ。」
助手席のメルがバックミラーを確認して俺に教える。
「解っている。しかしおかしいな、実は俺300km/h前後出しているんだが?」
「笛吹さん、なんでブレーキ踏まないでカーブ曲がれるんですか?」
「え、踏んでるよ?」
「ごめんなさい、そろそろ酔ってきて……。」

本日の犠牲者一名である。
俺は車に誰かを乗せる度にこのような不幸を運んでしまうのだ。

「マスター、横につけてきました。」
「構わん、カウンタックを舐めるな。」
ハンドルを小刻みに揺らして車を回転させる。
まだ冬の香りの残る路面なのでよく回ってくれた。
42笛 ◇rpv9CinJLM(代理):2010/03/26(金) 16:44:59.82 ID:lxnzU1xG0
禿の黒服は予想もしない攻撃に丁度良く前に吹き飛ばされた。
このまま一気にひき殺すとしよう。
アクセルを全力で踏み込む。
スピードメーターもエンジンの回転数も先程から限界を迎えているようだ。
スピードはまったく変わることなく禿につっこむ。

ゴトォン!

「う……。」
「マスター!ユナさんが!ユナさんの三半規管が崩壊します!」
「うるせえ、とりあえず逃げ切るのが先決だ。ユナさん、応援呼べる?」
「……できるだけ、ウップ、頑張ってみます。」

もう一杯一杯みたいである。
だがもう少しだけ頑張って欲しい。
ユナさんは携帯電話で自らの所属する組織に応援を頼む。
車酔いで限界を迎えているのはわかるがこのままでは逃げ切れる気がしない。

先程轢いた禿の黒服はまだ生きているようだ。
本当に化け物だ。
恐らく村正で会心の一撃を放った所でびくともしなかったのではないだろうか?
43笛 ◇rpv9CinJLM(代理):2010/03/26(金) 16:51:11.16 ID:lxnzU1xG0
「マスター!また近づいてきましたよ!」

山道も終わりにさしかかってあとはカーブを一つ越えれば直線だ。
只の直線道路になれば流石に禿でもスーパーカーには追いつけない筈だ。
しかしカーブを目の前にした直線で禿はまたも現れた。
ここからが本当の正念場だ。

「メル、そこらへんの物に捕まっていろ。」
「ユナさんも……。」

ユナ・オーエン、もしくは『ルーシー7』の契約者、乗り物酔いにより再起不能。
死体に構っている暇はない。
そろそろタイヤもエンジンも限界だ。
ここで一気に抜けるしかない。
カーブがドンドン迫ってくる。
しかし俺は構わずまっすぐに突っ切った。
ガードレールを破壊してカウンタックは宙を舞う。
俺のドライビングテクニックで直線道路に見事着地。
そのまま真っ直ぐに禿から逃げる。
44笛 ◇rpv9CinJLM(代理):2010/03/26(金) 16:53:15.93 ID:lxnzU1xG0
数分後、禿の気配が無い。
無事に町中にも入れたしどうやら俺達は逃げ切ったようだった。
流石に禿も町中に出るのは『組織』に止められたのだろう。
とりあえずこれであの村はゲイパレスからプレゼントパレスに戻った筈だ。

そう思った瞬間だった。

妙な音を立ててカウンタックが動きを止める。
どうやら使いすぎたようだ。
俺が乗る車はどれもすぐに壊れてしまうから困る。
車を路肩に適当に止めると半死人になっているユナとメルを車から運び出した。

「あれ、無事帰って来たんですか?」
「なんとかね、とりあえずあとはNYまでなんとかして帰らないと……。」
「いえ、その必要は無い。」

場が凍り付く。
後ろに禿が居る。

「……まだ居たか。」
「貴方達もこれで終わりです。」


『いいや、終わりなのはお前だよ。』

俺達の目の前には黒い馬に乗った新しい黒服が現れた。
45笛 ◇rpv9CinJLM(代理):2010/03/26(金) 16:54:21.14 ID:lxnzU1xG0
『あんたは誰だ?』
『そこの黒服の同僚だ。』

俺達の目の前に現れたのはどこからどう見てもカウボーイとしか言い様のない黒服だった。
カウボーイの服装なのに全てが黒。
しかもサングラス着用である。

「おお、アメリカ支部の黒服ですか……。」
『K-No.あんたは少しやりすぎた。反省して貰う。
 あとこんな所で暴れられると一般人への記憶の消去が大変なことになる。』

どうやら今回は俺達の敵じゃないらしい。
カウボーイの黒服はKをロープで縛るとどこかに連れて行こうとする。

『お前ら、つかハーメルンの笛吹き、一応お前も俺達の敵だが……。
 さっさと行ってくれ。
 俺が殺意を抑えられている内にだ。
 俺はお前みたいな男が一番嫌いだ。』
『恩に着る。』

俺はカウボーイの黒服の言うとおりにユナとメルを連れてとりあえずニューヨークに戻ることにしたのである。

【上田明也の探偵倶楽部18〜禿、追撃〜fin】
「杉沢村伝説……?」

『そうだ、都市伝説――杉沢村、それが私の本来の名前だ』

謎の声――杉沢村と名乗ったその声は、
その後、小一時間近く『都市伝説との契約』という物について、延々と講釈をたれていた。

『そして私の依り代、私の力の器と成るべき存在が、契約者――即ちお前だ』

「…………」

『我々は物質的な意味での肉体を持たない存在、単独では、この物質世界において大した事象を起こす事は出来ない、
故に都市伝説は肉体を持つ者――契約者にたいして自らの力を譲渡し、目的を達成する為の助力を願う――ここまでは解るな?』

「ああ、よーく解ったよ……」
どうやら僕が罹ったのはノイローゼでは無く、厨二病と言うやつらしい、それもかなり重度の。

『む、どうにも信じていないようだな……』

僕が怪訝な表情をしている事に、杉沢村が不満そうに呟く。

「当たり前だよ、いきなり出てきて都市伝説とか契約とか――」
まだ、自分の方がおかしくなったのだと、そう考えた方が納得できる。

『君は中々に自虐的な性格のようだな、個人的には好感が持てるぞ』
杉沢村は何処か含み笑いとも嘲笑とも取れる一言を放つ。

「それはどーも……」
というか馬鹿にされた気がする。
47我は都市伝説―と奴はのたまった(代理):2010/03/26(金) 17:01:29.20 ID:lxnzU1xG0
『まあ、そう難しく捕らえるな、世の中には往々にしてこういう事象も在るという事だ』

「って言ってもなぁ……」

どうしても煮え切らない、昔から事実は小説よりも――とは言うが、
現実は小説ほど奇では無い筈だ。

『悩む事は無い、それにこの契約はお前にとっても悪い話ではないぞ?』

悪い話ではない?
今の話から、どんなメリットを見出せと言うんだろうか。


『お前の望みを何でも一つ叶えてやる』


杉沢村は不意に、とんでもなく大それた事を、
いけしゃあしゃあと言ってのけた。

『どうだ? 好きな望みを言え、可能な限り叶えてやる』

これは予想だにしない、意外な展開だ。

「好きな望みって、そうそう簡単に……」

……いや、考えてみればこいつは所謂ところの『人外の存在』と言うやつだ、
古来より人が人外の存在と取引し、人知を超えた奇跡を得る話は往々にして存在している。

ならば、あながち在り得ない事では、無いかもしれない。
48我は都市伝説―と奴はのたまった(代理):2010/03/26(金) 17:02:43.73 ID:lxnzU1xG0

「望みねえ…………」

『そうだ、世界征服でも永遠の命でも、先祖のヘタレ駄目メガネを更生させて欲しいでも』

「……お前は、ドラ○もんをも超える力を持っていると言うのかっ!!?」

『当然だ』

肯定された…だと……


『もちろんジョークだ』


……どうやら都市伝説とは冗談を言う存在らしい。
49杉沢村 惨劇の帝 第3話 《契約》(代理):2010/03/26(金) 17:05:06.22 ID:lxnzU1xG0
『しかし、本当にお前の望みを叶える事はやぶさかではない――何故なら、それが《契約》となりえるからな』

「? どういう事だ」

『契約とは、即ち等価交換と相互利益の上に成り立ち、双方の合意によって執り行われるべき物――
故に都市伝説は契約者の望みを叶え、契約者はその代償に肉体を我々の依り代として貸し与え、我々都市伝説の目的に助力する』


それが――《契約》


「えーっと、つまり、僕の願いを叶える代わりに、お前の望みを叶えろって事か……」

『然り』

杉沢村は満足そうに頷く(姿は見えないが)


「………」

システムとしては実に単純明快――互いの利益の為の、文字通りの意味での契約――。
50《契約》(代理):2010/03/26(金) 17:07:18.81 ID:lxnzU1xG0
そこまで理解して、ふと、疑問が浮かぶ。


「……じゃあ、今の僕らはどういう状態なんだ? 
僕は契約ってのに同意した覚えも、望みを叶えて貰った覚えも無いんだが」


『そうだ、故に――今の我々は完全に契約しているとは言えない、言うなれば仮契約状態といった所か』

「……仮契約」


『そうだ、だから早く望みを言え』

そういった杉沢村の言葉は、何処か焦っているようにも聞こえた。

「…………」

何だこれ、まんま悪魔との契約みたいじゃないか……?
51《契約》(代理):2010/03/26(金) 17:09:33.15 ID:lxnzU1xG0
「なあ……都市伝説の――お前の目的って、何なんだ?」

魂を売り渡せと囁き、自らを代償として――そこまでして契約を行って、叶えようとする願いとは、何なんだ?


『……我々の目的、少なくとも私の目的は《他に都市伝説としての本質を誇示する》――その一点だ』

「本質を……誇示する?」

『都市伝説とは、すべからく元々は根も葉もない噂話から生まれた概念――
本来すぐに消滅してしまう様な、非常に脆弱な存在だ。

しかし、人々の口承によって伝えられる事で、都市伝説はその存在を補強する事が可能となる、
多くの人間に認知される事によって、不安定な概念を確固たる物へと昇華させる事が出来るのだ』

「つまり……要約すると沢山の人間に都市伝説が知られれば知られる程、強くなる――と」

『そうだ、故に我々にとって、己の存在――即ち都市伝説としての「話の本質」を誇示する事が我々の存在意義、
レーゾンデートルで在り、また存命の為の行為でも在る』

しかし概念的存在たる都市伝説が、直接的に物質的世界に干渉できる力は微々たる物だ。

――だから、人と契約を結ぶ


「そして、自分の都市伝説を広める手伝いをさせる……か」

『その通りだ、契約者――さあ、望みを言え』
52《契約》(代理):2010/03/26(金) 17:13:24.63 ID:lxnzU1xG0
「アンタの言いたい事は大体わかった……」

都市伝説――杉沢村。
こいつは僕を利用して己の存在を高めようとしている訳だ。

その為に、僕の欲にかこつけて契約ってのを結ぼうとしている。
しかし、その為には僕の同意と利益が必要になるわけだ。

「つまり、僕が望みを言わなければ、その契約は成立しない――」


『…………』

「違うのか?」

『いいや、その通りだ』

一瞬、躊躇うような沈黙の後、杉沢村は僕の仮定を肯定した。


ならば答えは決まった。

「悪いけど、僕は契約――しない」

ハッキリと、自分の考えを述べる。
53《契約》(代理):2010/03/26(金) 17:17:21.08 ID:lxnzU1xG0

『……良いのか? 願いが叶うかもしれないんだぞ?』


最後確認、というような雰囲気で杉沢村が尋ねる。

「僕は無欲な人間なんだ、得体の知れない物にすがり付いてまで叶えたい願いなんて、持ってないよ」

『無欲な人間など、この世に存在せんよ』

「…………」

『しかし、まあ、契約したくないと言うのならば仕方が無い』

「……予想外に潔いじゃないか」

『こればかりは私にもどうしようもない、強制する事も出来ないからな』

「そりゃ助かった――なら」

『ああ、仕方が無いが別の契約者を探す事にしよう』


「是非、そうしてくれ……」

軽口のような拒否の応酬――
その少しの沈黙の後、都市伝説――杉沢村の声は、全く聞こえなくなった。


続く
 …それは、「合わせ鏡に死に顔が映る」の契約者、佳奈美が、「組織」へ行くのはどうしたらいいだろうか、と悩みながら町を歩いていた時の事

「…佳奈美?どうしたんだ?」
「ふぇ!?…あ、Hさん?」

 きっ、と車が佳奈美のすぐ傍で止まって…そこから、彼女の担当黒服であるHが、顔を出した
 黒塗りの…何と言うか、怪しく見えなくもない車なのは、やはり、「組織」の黒服だから、だろうか

「今、帰るところか?なら送っていくぞ」
「え、いいの?」
「あぁ。今は、何かと物騒だしな」

 Hの言葉に、佳奈美はんー…と、考えて
 確かに、近頃学校町は色々と物騒なのも、事実
 Hの言葉に、甘える事にした
 ……まさか、車の運転中にセクハラなんて、そんな危険なことはしてこないだろう、うん
 そんな希望を抱きつつ、車の助手席に乗せてもらった
 シートベルトを絞めつつ、ふと、疑問に思った事を口にする

「…って言うか、Hさん、車の免許持ってたんだ?」
「まぁ、一応仕事で使うこともあるからな。外回りの仕事ある奴は、免許持ってる奴多いぞ」

 ほら、と免許証を佳奈美に見せるH
 それを見て、佳奈美はあれ、と首をかしげる

「…「広瀬 宏也」…?」
「ん?…あー、お前には教えてなかったか。俺の人間としての名前だよ」

 車を発進させるH
 佳奈美を乗せているせいか、安全運転だ
「そっか………あ、それじゃあ。その…そっちの名前で呼んだ方が、いい?」
「うん?」
「その…Hさん、じゃなくて」

 人間の、名前で
 H、という、まるで記号のような…いや、記号そのものの呼び名では、なく
 …人間の名前で

 佳奈美のその言葉に…Hは、一瞬、複雑そうな表情を浮かべて
 しかし、その表情は、決して佳奈美には見せない
 そうすることで、己の本心すら、欺き続けるように

「ま、どっちでも好きな方で呼んでくれや。俺はどちらでも構わないからな」
「そ、そう?」

 そうさ、と気軽に返事を返すH
 角を曲がろうとした、その時

「−−−−−−−っ!?」
「にゃっ!?」

 がくんっ、と
 車が、揺れた
 一瞬、ハンドル操作を誤りかけ、電信柱にぶつかりかける

「え、Hさん、大丈夫?」
「あぁ、だいじょ………!?」
「ど、どうしたの?」

 …今の角は、無事曲がれた
 だが

「……心して聞けよ」
「すっごく嫌な予感がするよ!?」
「うん、まぁ予感的中な訳だが……ブレーキが効かねぇ」

 ………
 …………
 ……………

「えぇえええええ!!??そ、それって…」
「とりあえず、あれだ。しっかり捕まってろ」

 佳奈美にそうつげ、ハンドルを切るH
 交差点を飛び出してきた車とぶつかりかけたが、事なきを得る
 …ついでに言うと、アクセルもおかしくなっているのだろうか
 スピードが、勝手に上がり続けている

「……っかしいな。さっきまで、普通にブレーキ効いてたんだが」
「で、でも、今は効いていないんだよね!?」
「あぁ、ついでに言うと………っ!?」

 まただ
 車とぶつかりかける

 いや、むしろ
 車が、こちらに迫ってきたような………?

「…佳奈美」
「は、はい!?」
57以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 17:32:38.61 ID:dtifqz1VO
お、今日もやってんな
支援支援
「今日、何か拾い物しなかったか?」
「ひ、拾い物!?」

 ブレーキの効かない、スピードが上がり続ける車
 とにかく、人のいない方向、いない方向へと走らせる
 佳奈美の家からは遠ざかってしまうが、仕方ない

「ほら、あからさまに呪われてそうな人形とか札とか」
「そんな怪しい物拾わないよ!?って言うか、そんなの見つけても見なかった事にするよ!?」
「OK、それからもそうしてくれ……と、なると、遠隔攻撃かそれとも…」

 いや
 待てよ
 拾っては、いなくとも…

「…鞄の中でもポケットの中でも、下着の中でもどこでもいい!何か、入れた覚えのないもん入ってないか!?」
「少なくとも、下着の中にはないと思うよ!?」

 突っ込みつつ、慌てて鞄の中を調べ始める佳奈美
 スプリングコートのポケットも探って、そして

「…あ、あれ…何、これ…」

 …それは
 とある人気ゲームの、カードゲーム版の…とある、カード
 そのカードから、明確な都市伝説の気配を
 そして、悪意を感じて……Hは、ぞくりと悪寒を感じた
 それは、決して、自分と佳奈美を意図的に狙った悪意ではなく
 あくまでも…無差別にばら撒かれた、悪意
 意図して狙われたのでないならば、その契約者が誰でもいい
 まずは、この状況をどうにかしなければ

「貸せ、ってかこっち渡せ!」
「あ、う、うん!」

 佳奈美から、カードを受け取る
 どこかかくかくとした、愛らしいキャラクターの描かれたそのカード
 Hは、小さく苦笑した

「お前さんに、罪はないんだがね」

 ……だが、悪いが
 この事態の原因は、このカード
 だから、Hは車の窓を開け放つと……ぺい、と
 そのカードを投げ捨てた
 人気のない北区の道
 カードは風に流されて飛んでいき、すぐに見えなくなった

 がっ!と強くブレーキをふむ
 耳に悪い音を立てて……
 …………車は、ようやく止まった

「佳奈美、大丈夫か?」
「う、うん…さっきのカードが、原因だったの?」
「あぁ」

 とある人気ゲームの、カードゲーム
 それの、とあるカードを持っていると……交通事故で、死ぬ
 そんな、都市伝説
 どこから発生した都市伝説かは不明だが、確かに、そんなものもあるのだ
「誰か、その都市伝説と契約している奴が、お前さんのコートのポケットにカードを入れたんだろ………あそこで、お前を拾っておいて良かった」

 そうじゃ、なければ
 佳奈美は、交通事故にあって…死んでいたかもしれない
 あそこで、佳奈美と見つける事が出来た幸運に感謝する

 ………ズキリ
 一瞬、体内に激痛が走った
 無意識に、あのカードから都市伝説の気配を感じ取ろうとしたせいだろう
 体内が…「組織」の黒服の能力を使ったことで、崩れ出す
 けほ、とHは小さく咳き込みだした

「だ、大丈夫?」

 佳奈美の呼びかけに、咳き込みながら頷く
 ピルケースを取り出し、中からどす黒い錠剤を取り出し、飲み干し
 …何とか、吐血する前に、症状を抑える事に成功した

「…体。どこか、悪いの?」

 じっと
 佳奈美に見つめられ、Hは小さく苦笑する
 ……彼女にだけは、知られたくない
 知られてはいけない
 そう考え、軽く首を左右に振った

「いや、別に。大丈夫さ」
「でも……」

 ……あぁ、頼むから
 そんな顔を、しないでくれ


「…あのね」
「うん?」
「どこか、悪いなら…本当、無理、しないでね?」


 見あげてくる、その表情に感じる罪悪感
 佳奈美を騙している事に、強い罪悪感を感じるようになったのは、いつからだ?


「その、あのね……」

 小さく、小さく、俯いて
 佳奈美が…告げる、その言葉に

「私、ね…「組織」で、あなたの事、聞こうと思ったの……何だか、体調悪そうだし。どこか悪いのかな、って思って…」

 全身の血の気が失せたような
 そんな感覚を、感じた

「…「組織」に行って、か?」
「う、うん…その、「組織」にどう行ったらいいのかわからなかったから、まだ、行ってなかったけど…」
「……そうか」

 良かった、と
 ほっと、Hはため息をつく
「本当に、俺は大丈夫だから。「組織」になんて行く必要ねぇよ」
「で、でも、今だって、何か、薬飲んで…」
「……大丈夫なんだ」


 一瞬
 佳奈美は、己の身に起きた状態を、理解するのが遅れた
 先ほどまで見えていたHの顔が、見えなくなる
 温かい感触…以前、寒さで凍え死にそうになった時、感じたような
 ぎゅう、と抱きしめられているのだと
 気づいたその瞬間、佳奈美は耳まで真っ赤になる


「あ、え」
「………だから、よ」


 …そして
 Hが口にする、その言葉が、酷く弱々しいような、気がして
 言葉を、飲み込んでしまった


「お前が、「組織」になんて行く必要ねぇよ…」
「え……そ、その」
「………行かないでくれ」


 ぎゅう、と
 しっかり、しっかり
 強く、強く、抱きしめられて



「頼むから…お前は、これ以上「組織」に近づかないでくれ」

 それは、懇願の言葉

「俺なんかの、為に……あんな場所に、行こうとしないでくれ」


 頼むから
 どうか、行かないでくれ
 あそこには、まだ、悪意がたまりすぎている
 佳奈美のような、何も知らない少女が、あんな場所に行ったら
 強硬派や過激派に、おかしな事に利用されてしまう可能性が高い

 それだけは、それだけは
 何としてでも、防ぎたい
 あんな連中に、佳奈美を好きにさせて溜まるか


「「組織」になんざ行かなくとも、知りたい事があったら、俺が教えてやるから…だから。頼むから、「組織」には、行くな」

 行かないでくれ
 懇願の言葉を口にして、佳奈美を抱きしめるH
 その表情は、佳奈美には見えなくて


 佳奈美は、どうしたら良いのか、わからず
 …ただ
 Hの体が、かすかに、震えているような気がして

 ………ぎゅう、と
 その体を、落ち着かせるように…抱きしめ返したのだった



 この時
 漏れ出した、Hの言葉は
 全て、彼の嘘偽りない本音で

 この時
 Hが感じた、佳奈美への感情は
 Hが目逸らし続け、自分を偽り続けてきた………その、真実の感情で

 それを、真正面から突きつけられて
 Hの中で………作るつもりのなかった、未練が
 確かに、生まれた



 生まれて しまった



to be … ?
65以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 18:20:27.94 ID:lxnzU1xG0
以上、代理投下でした

ネタを書きたい気持ちはあるが、今はそれより本を読んでいたい…
ということで、読書に戻るぜー
落ちないように保守はするけどね!
66以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 18:40:50.49 ID:g/xPbAL30
hosyu
67以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 18:49:35.08 ID:lxnzU1xG0
読了
そしてあと4冊…読みたいけど読んだら間違いなく時間が…
よし、書こう
68以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 19:19:57.86 ID:lxnzU1xG0
ネタ書きつつほー
69以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 19:25:55.61 ID:9tAZ/CcV0
ごちそうさまでしたー!
代理投下に乙と感謝!!
70以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 19:41:19.75 ID:lxnzU1xG0
外出前ほー
71以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 19:59:59.76 ID:9tAZ/CcV0
ネタ構想しつつほ
72以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 20:12:37.41 ID:Fu6A93kVQ
ほし
73保守ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/03/26(金) 20:16:57.91 ID:9tAZ/CcV0
恋愛要素(?)で10のお題  「いつも見ています」


 がたん、がたんと電車が揺れる
 今日も僕は、電車から窓の外を見つめ続ける
 あと少し 
 あと、少しで…

「……ぁ」

 あぁ
 今日も、彼女と目が合った
 いつも、窓から外を眺めている君
 いつも、目が合うたびに幸せで
 いつか
 いつか……直接、会いたいな、と
 願い続けるが、敵わない
 いつか
 いつか、必ず…
 そう、僕は願い続ける


 今日も、彼と目があった
 彼と目があうたび、幸せで
 あぁ、でも、お願いでs
 どうか、会いに来ないでください
 だって、私は都市伝説
 「いつも目があっていた相手は首吊り死体だった」と言う都市伝説
 真実を知れば、あなたは私に恐怖するでしょう
 だから、どうか、お願いです………私に会いに、来ないでください
74以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 20:35:05.84 ID:9tAZ/CcV0
引き続きネタ構想ほ
75以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 20:54:51.74 ID:9tAZ/CcV0
俺しかいない予感ほ
76以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 20:58:30.29 ID:Xl4UfAxC0
面白そうなんでwikiにある奴片っ端から読んでます
77以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 21:10:22.45 ID:lxnzU1xG0
>>76
ありがとう!そして都市伝説スレへようこそ!
ごゆるりと楽しんでくださいな
78以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 21:15:39.97 ID:9tAZ/CcV0
>>76
ようこそ!
ゆっくりしていってね!
79以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 21:16:26.94 ID:g/xPbAL30
>>76
おお!読んでくれる人が来るとは!
最近は書き手さんのレスが多かったから嬉しいな!
このスレはもっと感想とか、あの話は良かったよなぁ〜とか語り合うべきだと思うんだ!
80以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 21:20:01.72 ID:Xl4UfAxC0
まだまだ全然途中までしか読んでないけどみんな頭捻り過ぎだろ
でもこうして見るとみんなが知ってる都市伝説ってそんなにないんだね
81以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 21:21:34.51 ID:9tAZ/CcV0
感想もらえるとやる気でるよな、書き手としては
感想もらえなくても、ひたすら書くがな!書きたいから!!!
82以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 21:32:09.93 ID:lxnzU1xG0
始めはとりあえず適当に書いてみて、続けられそうになければすっぱり辞めて読み手に戻ろうと思ってたが
感想を貰って、クロスもしてもらって、そしたらテンションが上がる上がる
もう二度と辞めようなんて思わないよ!思えないよ!
83以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 21:40:29.84 ID:g/xPbAL30
>>80
メジャーな都市伝説は限られているってのと
知られている都市伝説でも、話に生かすのは難しいってのがあるよなぁ
登場する都市伝説が少なくなるのも仕方ない
本当に皆、頭捻ってると感心する


感想といえば、俺は
「置行堀」の人の文章の巧みさが今でも忘れられないな
あれがもし10代の若い人の書いたものだとしたら失禁するわ、いや、マジで
84小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/03/26(金) 21:41:06.35 ID:9tAZ/CcV0
 学校町内の、とあるホテルの一室にて

「どうしてなんだろうなぁ?」

 ベッドに腰掛、首をかしげる西洋人男性一人
 美青年と呼ぶに相応しい、まるで人形のように整った顔立ちの青年である

 ひひん、と
 青年の呟きに同調するように、嘶く純白の白馬…ユニコーン
 ホテルの一室で、人間と馬が向き合っているというのは、なんともシュールな光景である

「ユニコーン、俺たち、別に無茶な要求はしていないよな?」

 ひひん

「キスとか性交渉求めてる訳じゃないもんな。膝枕を要求しているだけで」

 ひひひん

「…どうして、断られるんだろうなぁ?」

 ひひーん?

 首をかしげる、青年とユニコーン
 本気で、断られる理由がわかっていないようである

「……まぁ、いいや。処女の膝枕もほしいが……ここに来た目的は、それじゃない」

 …すぅ、と
 その、整った表情に…狂気が、浮かびだす
85小ネタ  ◆nBXmJajMvU :2010/03/26(金) 21:41:49.36 ID:9tAZ/CcV0
「ビッチは全て殺す。それが、俺たちの目的だからな」

 ひひん!

『−−−ソウサァ!殺シチマエ!!テメェノ気ニ食ワネェ奴ハ、ミィンナ殺シテシマエバイイノサァ!!』

 青年の内側で響く声
 それは、青年と契約しているユニコーンの心にも響く

 悪魔の囁き
 数年単位でそれにとり憑かれているこの青年の心は、その囁きによって攻撃的に歪められていた

 処女以外の女は殺す
 それを邪魔した男も殺す
 攻撃的なその思考に、彼は完全に支配されきっていた

「明日も獲物を探すぞ、ユニコーン」

 ひひひひん

 相方の嘶きに、青年は満足そうに頷く


 完全に狂気に歪んだ、その心に
 悪魔の囁きは、けたけた、けたけた笑い続けているのだった


to be … ?
86以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 21:43:15.09 ID:9tAZ/CcV0
俺は、確か他の作者様に土下座しなきゃいけないネタの構想中だったはずなんだが、気づくと変態のネタを書いていた
…あれ??おかしいな???
そして、こいつの名前いい加減どうしよう
87以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 22:03:36.07 ID:lxnzU1xG0
やはり出かける時間が惜しかったほ
88以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 22:11:21.94 ID:AFlW2ZqA0
保守
89以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 22:16:54.58 ID:lxnzU1xG0
・しょ
【処】【初】【所】【杵】【書】
【庶】【渚】【暑】【疎】【署】
【緒】【諸】【鋤】【礎】

・じょ
【女】【如】【助】【序】【除】

・ちゅう
【中】【仲】【虫】【沖】【肘】
【宙】【抽】【注】【忠】【昼】
【柱】【酎】【紬】【厨】【誅】
【鋳】【駐】


はい、無理でした

そして明日は休日なのに早起きせねばならんので、一足先におやすみー
予告してた投下ができなくて申し訳ないぜ
明日は忙しいんだよなぁ…スレすら見れんかもしれん…ちくしょう
90以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 22:18:32.91 ID:9tAZ/CcV0
>>89
おやすみー

俺も昨日からネタ構想の調子悪くて、予告してたネタ投下できるかどうか微妙だorz
91以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 22:38:33.87 ID:9tAZ/CcV0
ほ??
92以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 22:41:11.20 ID:g/xPbAL30
【礎除柱】
 礎(いしずえ)から柱を取り除く、全体が崩れる様な危険な行為のことを指す

【庶助誅】
 支配者の圧政から庶民を助ける為、支配者を誅すること
 庶助誅を行う人物を【庶助忠】と呼ぶこともある

【鋤如鋳】
 本来は鍛冶により作られるものを鋳型に嵌めて作る技術
 または、鋤の様な形をした鋳物を作ること
 転じて、簡便な安物のことを指す
93どこかへ向かう止まらない歩み ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/03/26(金) 22:45:53.59 ID:9tAZ/CcV0
ぽつり、ぽつりと雨粒が地面に水玉模様を作り上げていく
空はそれほど暗くなく、通り雨だろうと判断して、傘も差さずに能力を使い濡れるのを防いでいた手塚星
彼の身体はそれまでの小学生らしい姿ではなく、想い人に見合う年齢の姿へと変質していた
「俺は、強い、強い、まだまだ強くなれる……」
《一気には無理だっての。身体が持たねぇってマジで。俺のアドバイスは割と的確なんだぜ?》
ぶつぶつと呟きながら歩く星に、呆れたような声で諭す『悪魔の囁き』
「足りないんだよ……無敵の能力も発動させる前に攻撃されて倒されちゃ意味がない」
その外見は変わる事無く、その骨が、筋肉が、皮膚がぎちりと強度を増す
「能力の強さだけじゃない。身体も強くならなきゃいけないし、武器も必要だ」
ふと、遠くで馬が嘶いたような音がした
この町なら馬の一頭や二頭、都市伝説絡みでうろついていてもおかしくはない
そうは思っていたのだが
それは馬の呼吸と嘶きではなく
バイクの排気とエンジンの音
大柄の男が跨る大型のバイク
真紅に染め抜かれたその胴体には、『SEKITO』の文字が刻まれていた
そのバイクの主である呂布は、バイクのエンジンを掛けたままアスファルトに足を下ろす
まるで突風に煽られているかのような威圧感に、『悪魔の囁き』が星の頭の中で喚く
《逃げるぞ! これはマジで洒落になりそうにない!》
「……だろ」
《お前が死んだら俺も巻き添えで死ぬんだからな! 聞いてんのかおい!》
「こういうのが闊歩してるなら、ぶっ倒せなきゃお姉ちゃんは守れないだろ」
退くのではなく、有利な距離を確保するための後退
やや広げた間合いで、星は力を込めて言葉を放つ
「俺の手には武器がある!」


94どこかへ向かう止まらない歩み ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/03/26(金) 22:47:27.26 ID:9tAZ/CcV0
じゃらりと音を立てて星の手に握られたのは、それは先端を鋭く削ぎ落とした細い鉄パイプのようなものの束
「速く速く何より速く飛ぶ! そして確実に敵をぶち抜く!」
星の手から放たれた得物は、様々な軌道を描きながらあらゆる方向から呂布に襲い掛かる、が
呂布もまた中空から引き摺り出すように得物を手に取り、一閃でその全てを薙ぎ払う
《お前の能力が干渉する力より、あいつの存在と意思力が強ぇんだよ! 逃げ隠れなら力が干渉するのはお前だから何とかなる、早くしろって!》
「だが武器は形を変えて敵を拘束する!」
《頼むから話を聞けよ!?》
「ぬう!?」
打ち払われた鉄針がワイヤーのように細く長く伸びて呂布の全身に絡み付き、鋭利に尖った両端は勢いをそのままにアスファルトに突き刺さる
「この程度で俺を止められると思うな!」
皮膚を裂きながらも、力を込めてそれを振り解くが
「俺は高く高く跳ぶ! ぶった斬るだけの武器を、奴目掛けて叩き込む!」
何も持っていなかったはずの手に戸板ほどもある巨大な剣が現れ、呂布の頭上から思い切り振り下ろした
轟音を立ててアスファルトに突き刺さる鉄塊のような剣
それは半ばから真っ二つに叩き斬られており、砕かれたアスファルトの真ん中に両手で戟を構えた呂布が立っていた
「俺に両手を使わせるか。楽しませてくれる」
「楽しませてるつもりなんか無い」
殺意に満ちた目で呂布を睨み付け、星は叫ぶ
「燃えろ燃えろ燃え尽きろ! お前の身体は炎に包まれた!」
爆音を立てて火柱が吹き上がり、雨粒を蒸発させながら周囲を焦がし呂布の身体を包み込むが
「憤っ!!!」
気合一閃その炎は吹き散らされて、陽炎となって散り消える
「言葉を現にする能力か」
そう言うと呂布はつまらなそうに殺気を鎮め、戟を一振りして何処かへと消してしまう
「何だよ、素手でも充分だとでも言うのかよ」


95どこかへ向かう止まらない歩み ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/03/26(金) 22:49:41.87 ID:9tAZ/CcV0
「それ以前だ。貴様と戦う価値は見出せん。貴様は俺を楽しませるつもりは無いと言ったが、確かにその通りだな」
「――っ!!! 見えない刃で貫かれろ!」
くるりと踵を返す呂布の背中に、星は不可視のナイフを具現化し雨霰と叩き込むが、見えないはずのそれすらも振り返りすらせずに片腕で薙ぎ払われる
「そこに無いものさえ作り出す能力がありながら、何故にもっと直接殺せる手を使わん。口に出すだけで良いのなら、頭の中を抉るなり心の臓を潰すなりできるのだろう?」
「それ、は……相手の身体に直接干渉するのは、相手が強ければ効果を発揮しにくくて」
「だからといってまず試さぬ道理は無かろう。単に貴様は死合うほどの気概が無いだけだ。死ぬのは怖くはないが、殺すのが怖いといったところか」
「うるさいっ! 俺はお姉ちゃんを守る為だったら、誰だって殺してやる!」
「そのような事を口にしているうちは無理だな。覚悟が出来ているのならば、言葉にせずとも手は下しているものだ」
焼け焦げたライダースーツの煤を払いながら、いつの間にか戦闘領域から避難していた赤兎の元へ歩み進む呂布
「試さぬのなら俺は別の強者を探しに行くぞ」
赤兎に跨る呂布に、声を発する事なく立ち尽くす星
呂布はつまらなさそうに顔を背けると、そのまま赤兎のエンジンを嘶かせ走り去って行った
《そう落ち込むな、相手が悪かっただけさ。生きていただけでめっけもんだって。もうちょいまともな相手なら臓腑を捻り潰すぐらいやれるさ、なあ?》
「……ああ、そうだとも。俺はお姉ちゃんの為なら、何だって出来るんだ」
自分に言い聞かせるように、その言葉を己の心に刻み付けるように、力を込めた言葉を紡ぐ
あちこちが砕け崩れた心に刻み込まれた言葉は、そこからまた新たなるひび割れを生んで崩壊を進めていく
「ここでの、戦いは、無かった」
そのほとんどが自分が揮った力の影響だという事もあり、言葉一つで荒れ果てた道路は瞬きする間もなく何事も無かったかのように修復される
「何でも、できる、俺は、お姉ちゃんを、守る、できるんだ、やるんだ」
《おい、大丈夫か? 都市伝説に呑まれかけてんじゃねぇのか、おい》
星は『悪魔の囁き』の声など聞こえないかのように、ただ独り言を呟きながら歩き出す星
黒かったはずのその瞳は、何時の間にか金色に染まっていた
96以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 23:09:11.64 ID:9tAZ/CcV0
にゅ
97以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 23:33:07.82 ID:9tAZ/CcV0
みゅ
98以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/26(金) 23:47:30.85 ID:9tAZ/CcV0
駄目だ、力尽きる…おやすみなんだぜー
俺…明日、スレが残っていたら、明日こそケモノツキの人に土下座なネタ書くんだ・・・
99以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 00:07:33.29 ID:6QyvPZsr0
100以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 00:25:02.18 ID:6QyvPZsr0
101以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 00:46:12.28 ID:GlWpa9mf0
102以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 00:58:39.90 ID:6Wp/CUjt0
103以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 01:30:46.34 ID:6QyvPZsr0
104以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 02:00:39.63 ID:2VjCw0SiO
105以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 02:09:03.68 ID:GOmk+PT50
106以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 02:27:34.62 ID:6QyvPZsr0
107以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 02:40:55.95 ID:GOmk+PT50
明日の昼飯が今決定された
108以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 03:19:58.85 ID:GlWpa9mf0
そうですかほ
109以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 03:51:14.48 ID:GlWpa9mf0
ほしゆ
110以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 04:27:13.00 ID:GOmk+PT50
おひたしほ
111以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 04:31:34.24 ID:GlWpa9mf0
ねる・ほうれんそうの?
112以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 06:36:20.26 ID:Fco4HgRK0
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
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113以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 07:18:37.16 ID:1QVATCup0
あさだほ
114以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 08:34:31.91 ID:1QVATCup0
そろそろ朝飯喰うか
115以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 09:34:52.12 ID:HRN/Gtzu0
おっはよほ
116以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 09:34:55.80 ID:wlUwgNxc0
保守ー
117以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 09:58:55.89 ID:HRN/Gtzu0
118以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 10:19:44.49 ID:HRN/Gtzu0
119以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 10:27:01.12 ID:HRN/Gtzu0
昼食終わっても残ってたら何か投下したいなぁ
120以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 10:49:00.55 ID:lDgWmKF90
スレタイ:ちょっとVIP終わったな
本文:終わったのにずるずる引きずってなかなか終わらないな
121以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 10:49:02.06 ID:IHPNCYp00
スレタイ:ちょっとVIP終わったな
本文:終わったのにずるずる引きずってなかなか終わらないな
122以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 12:13:48.60 ID:6LtsltBiP
てす
123以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 12:15:42.70 ID:6LtsltBiP
うお、間違えた。そして規制終わってねえ
やっぱ期限が来そうなP2に頼るしかないのか・・・・・・
124以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 12:55:01.84 ID:1QVATCup0
本をダンボールに納めようとしたら、一つじゃ足りない…だと…?
文庫本+コミックスがこんなに多いとは思わなかった

そしてやっぱりネタ書く暇がないっていうね
125以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 14:00:21.18 ID:1QVATCup0
休憩中ほ
126保守がてらー 悪夢:2010/03/27(土) 14:50:59.74 ID:mFKTijKv0
「・・・・・・・・・」
黒く、黒く染まる地面
足元から染みていく、漆黒
そこから現れたのは黒い炎 「火の悪夢」

僕は悪夢が見やすい体質だった
だからこそ、あれに出会えたのかもしれない

炎は一瞬で周りに飛び火し、巨大な壁のようになって襲い掛かってくる赤いマントをつけた男を焼き払った
・・・一人
次、包丁を持ち、こちらに向かってくるマスクで顔を隠した女を前に、今度は薄黒い水を放出させる 「水の悪夢」
水は一箇所に集まって塊となり、口裂け女を包み込む
暴れても、表面が波打つだけで逃れることは出来ない
少し経って、口裂け女の抵抗が無くなるのと同時に水が弾ける様にして消えた
・・・二人
最後、後ろから飛び掛る包丁を持った人形
それを視界に入れないまま次の攻撃を発動させる
空にはいつの間にか侵食していた黒が雲のように渦巻き始めた
放電の音を放ちながら雷を一点に溜める  「電気の悪夢」
次の瞬間、幾筋もの黒い光が人形を貫く 人形は黒く焦げたその身体を倒れさせた
・・・・・・終わり
緊張が解け、安心と能力の反動で片膝をつき、息を整える
と、
127保守がてらー 悪夢:2010/03/27(土) 14:52:31.72 ID:mFKTijKv0
「オラァッ!」
「ガッ・・・」
目の前を人の顔をした犬が真横に飛んでいく
飛んできた方向を見ると、4本の腕を生やした怪物がその右下の拳を前に突き出しているところだった
おそらく、あれで犬を殴り飛ばしたのだろう
「・・・少しぐらい安全確認をしてもいいと思うよ?」
「悪い悪い でも当たらなかったからいいだろ」
「そういう問題じゃないと思う」
怪物が体色をピンクに変化させる ピンクは粘土の様に捻れ、歪み、一人の少年の姿となると色を取り戻し始めた
「だから悪かったって言ってるだろ?」
ケラケラと笑いながら言う彼に反省の色は見えない
別に当たってないのであまり気にはしないが
・・・当たったら当たったで一ヶ月くらい悪夢見せ続けてやるんだけど
「じゃ、俺は帰るからなー」
そういいながら再び体をピンクの粘土のようなものに変え、今度は小さな狐のような姿となる
「テレポート!」
そう言った瞬間、キツネを光が包み、淡くなる頃にはそこに彼の姿はなかった
「・・・それじゃ、僕達も帰ろうか」
その声に反応したかのように僕の隣に黒が現れる
水に絵の具を落としたように揺らいだ後、すぐ形となり、色を帯び始める
魔法使いのような黒衣、頭部からは白い髪のようなものがのび、首の周りには牙のような赤い突起
・・・悪夢を具現化したような姿
「――ダークライ」
「それ」は肯定の意味を持ってこくりと頷き、僕と自分を影に包み込んだ

少し経って、その場所にあるのは すでに燻っている黒い炎、水の痕、焦げた地面
そして、消えていく都市伝説たち それだけだった

続く・・・?
128保守がてらー 悪夢:2010/03/27(土) 14:54:33.59 ID:mFKTijKv0
少年(仮) (主人公)
「ダークライは自殺した少年の絵が元」の契約者
自らの悪夢を具現化させ、操る
また、殆どの戦闘に役に立たないが夢を操ることができ、猿夢なんて相手にした日にゃ絶対無双のフルボッコで敵対都市伝説が見るも無残な状態になると思う
使える悪夢は今のところくっきり分かれているのでは両手で数えられるほどしかない

友(仮)
「全てのポケモンはメタモンの変身した姿」の契約者
ポケモンへと姿を変え、そのポケモンの技を使うことができる ただし、一度使用すると最低一日、最高1ヶ月ほど使えなくなる(伝説だと一ヶ月ぐらい)
アルセウスなど本来ならば厨ニ性能なポケモンでも、技しか使えない ただ、強さは比例する
129以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 15:10:22.32 ID:BNuxel0V0
ただいま0
悪夢の人乙なんだぜ!
130やっと書けたよエピローグのみだけどory ◇O1qyI9JUPg (代理):2010/03/27(土) 15:15:37.24 ID:BNuxel0V0
「〜〜〜!!!」

「〜!!だから……〜〜!!」

「〜〜、おい!これコピー取っといてくれ!!」


ここは、学校町に本社を構える梢累商事の一部署のオフィス
先代が戦後のカニ貿易で一山あて、それを基軸にそこそこの成長をしながら、今に至る企業である。
元々の業務内容である貿易商を中心に、出版印刷、玩具・食品の開発販売、建設に…と
あげればキリがない数のジャンルに手を出している。
現社長が新物好きであると共に、親から受け継いだ先見の目を駆使した結果だ。
今も尚、成長中の企業だからなのだろう、兵器開発にも着手してるとか、荒事専門部署があるとか
開発部のアイツと受付のあの子がデキてるとか、寝ながら給料貰ってる奴がいるとか
ミミズがどーたら…とか、兎に角黒い噂は絶えない。

「まーあ、噂レベルに抑えられてるのは僕のお蔭なんだけどね」

戦場と化しているオフィスの一角で、のんびりと煙草を吹かしながら、お茶を啜る
白スーツに青のストライプのシャツを着た男…清水 龍敏はこう呟いた。


―清水 龍敏の優雅な散歩―epilogue
社員親父Aと黒服少女A、時々セクシャルハラスメント


131やっと書けたよエピローグのみだけどory ◇O1qyI9JUPg (代理):2010/03/27(土) 15:18:34.40 ID:BNuxel0V0
「…龍敏さん、ここ禁煙ですよ?それに流石に仕事しているフリでもしてないと…怒られるんじゃないですか?」

その後ろで、栗毛色のショートボブの髪の毛先を弄りながら、心底どうでもよさそうに注意する女性…否、女の子と言うべきか

そばかすが残る幼い顔には、どう考えても似合わない大きめのサングラスがかかっている。黒いスーツに身を包む様は、コスプレにしか見えない。

「いーの、いーの。どうせ、皆、僕が普段の仕事出来ないってわかってるし。大体、未だにオフィス確保出来てないからここにいるだけだし…あーあぁ、暇だよ〜」

「えっと…交渉及び特務担当、でしたっけ?」

「そそ、交渉…はいいとして、特務は…まぁ、なんでも屋って事さ。上下左右、裏表、揺り籠から墓場まで何でも御座れって感じさ。」

「はぁ…そうですか…。ついでなんですが、いい加減契約してる都市伝説を教えて下さいよ」

「…おっぱい揉ませてくれたら教えt『叩き潰しますよ?』…ごめんなさい」


132やっと書けたよエピローグのみだけどory ◇O1qyI9JUPg (代理):2010/03/27(土) 15:21:47.46 ID:BNuxel0V0
龍敏の担当になってから一か月、ずっとこんな調子である。彼女―C-No.034は深くため息をつく

「…前の担当の娘は揉ませてくれたんだけどなぁ…」

「知りませんよ、そんな事。…情報の一つも貰えぬまま、配属されたこっちの身にもなって下さい。」

「『おっぱいを揉むと、強くなる』という都市伝説と契約してるんだ」

「……………」

「だからおp『縊り殺しますよ?』…すみません。」


…本当に殺してしまおうか?
と、C-No.034は本日五度目のため息を吐きながら、そう思案するのであった…



....to be


133やっと書けたよエピローグのみだけどory ◇O1qyI9JUPg (代理):2010/03/27(土) 15:24:56.56 ID:BNuxel0V0
「清水さーん、お客さんが来てます!」
「あ、はいはーい。応接室に案内しといて〜、っと栗子ちゃんはそこで待ってなさい。」

「その呼び方止めて下さい。あと、上層部に報告しなければいけないので付いていきます」

龍敏の後ろをチョコチョコと歩くC-No.034もとい栗子
白スーツの男についてゆく黒服の女の子という図は、やはり目を引く。

「…今日だけだからさぁ〜頼むよ、ね?」
「そのセリフを聞くのは、今日で十八度目です。」
表情一つ変えず即答する
が…

「…社員食堂の特製鍋焼きうどん」

ピクリ、と一瞬栗子が反応する。それに追い打ちをかけるように龍敏は続ける

「…カツカレー大盛り」
ピクリピクリ
「…牛丼特盛り」
ピクリピクリピクリ
「…デザートにチョコレートパフェなんてのもいいね」
…………………

「…何杯でも?」「うん、何杯でも」
「…龍敏さんは、いつものように茶を飲みながら煙草を吸い、時折女性社員にセクハラをして冷たい目で見られつつ午前の業務を終えた。これでいいですか?」

堕ちた。龍敏はニヤリと笑う。
134やっと書けたよエピローグのみだけどory ◇O1qyI9JUPg (代理):2010/03/27(土) 15:27:33.00 ID:BNuxel0V0
「完璧だ、そしたら僕のデスクにでも座って待ってなさい。あ、でもデスクの棚の上から二番目の引き出しは開けないでくれよ?絶対だぞ?」
「どうせ、Hな本でも隠してるんでしょ?それより…約束、守って下さいよ?」
「だぁいじょうぶ、じゃあちょっくら行ってくらあ」

「いてらっしゃい、では」
プイと、後ろをむく栗子
顔はいつものように仏頂面をキープしていたが、足元まで意識がいかなかったのだろう、スキップをしながら戻っていく
「…足元がお留守だぜ、ってか」
それを見送る龍敏の顔は、彼女のそれとは対照的に笑っていた。
その笑みは、どこか暗さを含んでいるものだが…
「さぁて、注文していた情報は揃ってるかなぁ〜」

栗子は、昼食の事で頭がいっぱいで全く気付けなかった

「朝比奈 秀雄の…ね」

龍敏の黒い笑みも、

「……それなりに用意していますよ。それなりに。」

そこにいた契約者の存在も…

「期待してるよ?…さて、交渉の時間だ」


.....to be?
135死んでも治るかちょっと微妙 ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/03/27(土) 15:33:00.09 ID:BNuxel0V0
駅の一角にある寂れた公衆トイレ
その一室で、一人の女子高生が恐怖に顔を引きつらせて震えていた
「青い紙ではなく赤い紙を欲しいんだね? それじゃあお前は血塗れで死ぬんだ!」
鎌を持った人間の形をした何かが、トイレの個室の扉と天井の隙間から個室の中に入り込もうとしている
「ひっ……嫌……こ、来ないで……」
「けけけけけけけ、ダメだねぇ。答えちまったからにはもう逃れる事はできな」
「何をしとるか貴様ーっ!?」
「いべぶっ!?」
個室の扉と天井の隙間から中に入り込もうとしていた『赤紙青紙』
その足を個室の外から思い切り引っ張られ、支えを失った身体が思い切り床に叩き付けられる
「な、何だ貴様は!?」
「それはこっちの台詞じゃー!? 女子トイレという禁断の聖地に侵入するだけならいざ知らず、使用中の個室にまでアタックを仕掛けるなどという羨ましい真似を見過ごせるかっ!」
『馬鹿は死ななきゃ治らない』の契約者、葉霞南八は『赤紙青紙』にびしりと指を突きつけ叫ぶ
「女子トイレや女子更衣室の前を通る度に悶々としてきた俺の気持ちが解るか!? 貴様のような奴は天が許しても俺が許さん!」
「いやちょっと待て、俺がどういう存在か解ってて言ってるのか?」
「お前が何者かなんぞ知るかーっ!? 待ってて下さい可愛い声のお嬢さん! この痴漢はすぐに警察にでも突き出してやりますんで!」
扉の向こうで姿が見えていないはずの相手に、輝く笑顔でポーズを決め

ざくり

その側頭部に思い切り鎌が突き刺さった
「のお゛――――――っ!? なんか! なんか刺さった!? 痛ぇ、すっげぇ痛ぇ――――――っ!?」
136死んでも治るかちょっと微妙 ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/03/27(土) 15:36:35.17 ID:BNuxel0V0
「ちょっと待て!? 今の死ぬだろ!? 普通死ぬだろ!」
「死ぬような事をやらかしたのか貴様っ!?」
「死ぬような事をしてんだから死ねよ!?」
なんかもう半泣きで南八の身体にざくざくと鎌を突き立てる『赤紙青紙』
「ごふっ!? がはっ!? ぐえっ!? ……っていい加減にせんかー!? 痛いわ服がボロボロになるわ血は出るわ大変だろうがっ!?」
「いやもう死ねよ!? というかどうやったらお前死ぬんだよ!? 殺す都市伝説としての立場無いだろもう!? 畜生、次に出会ったら絶対殺してやるからな、覚えてやがれ!?」
そう捨て台詞を残して、空気に溶けるように消えていく『赤紙青紙』
「うわ、消えた!? なんだったんだあいつ……」
不思議そうに首を傾げていると、一つだけ閉じていた個室のドアが恐る恐るといった感じでゆっくりと開く
「あ、あの……大丈夫、ですか?」
「大丈夫ですともお嬢さん!」
女性の声を感知するや否や、びしりと元気そうに立ち上がりポーズを決める南八
その血塗れの笑顔に、少女は即座に卒倒し
「何か騒ぎが起きているという通報があったんですが……」
丁度タイミング良く、いや悪く、駅職員と警察官が踏み込んできた事により、南八はあっさりと御用となった

―――

「不審者ってなんじゃー!? 女の子を庇って怪我までしたのにこの扱いかー! 弁護士を呼べーっ!!!」
「冤罪はともかくとしてお前の存在は不審者はそのまんまだろうがっ!? 弁護士が必要な状況じゃないから大人しくしてろっ!」
扉の向こうから聞こえてきた会話に、最上椿は応対にでた警察官にこう伝えた
「できれば無期懲役か死刑になるようお願いします」
「いやいや、痴漢か婦女暴行の未遂って感じで確保されちゃいましたけど、実際は逆でして」
「逆……なるほど。一度ガチホモにでも掘られればいいんです、あいつは。何で未遂で確保しちゃったんですか」
「いや、最近はホモの痴漢騒動はめっきり収まってますんで……ていうかそういう意味じゃなくてですね。不審者に襲われてた女の子を助けたんですよ、彼」
人の良さそうな顔をした年配の警察官は、頭を掻きながら苦笑を浮かべる
「何かの間違いです。逃げた痴漢と獲物の奪い合いにでもなったんです」
137死んでも治るかちょっと微妙 ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/03/27(土) 15:41:05.18 ID:BNuxel0V0
「いやいや、被害者の女の子の証言ですからね?」
「急な事態に錯乱しているんでしょう。冷静になればきっとあの馬鹿を真犯人だと理解してくれるに違いありません」
「どこまで彼を犯罪者にしたいんですか」
そんな会話をしている間も、取り調べ室からは馬鹿丸出しな声が響き渡っている
「国家権力の横暴には俺は屈せんぞー! 俺に話を聞かせたければ美人の婦警さんを連れてこーい!」
「やかましい! 身元引受人はとっくに来てるんだ! さっさと帰れ馬鹿野郎!」
「不当逮捕までされて警察署までしょっ引かれたんだ! 美人の婦警さんの一人も拝まんで帰れるかー!?」
「今は婦人警察官じゃなくて女性警察官だよそもそも!?」
「婦警という呼び方には漢の浪漫が詰まっとるんじゃー! お堅いながらもセクシャルな雰囲気を漂わせる素敵ワードを訂正させるとは、言葉狩りまでしようというのか!? 言論の自由を守らせろー!」
「本気で逮捕されたいかお前は!?」
「やれるもんならやってみろ国家権力の犬め!? 釈放の暁にはマスコミにある事ない事喋りまくったるわい!」
扉の前で椿は、これ以上ない程の極上の作り笑いを、案内してくれた警察官に向ける
「アレを合法的に幽閉、できれば抹殺する方法は無いんでしょうか」
「日本は一応、まがりなりにも法治国家だからねぇ。本当に何かやらかすまではどうもね」
がちゃりと扉を開けて、警察官は室内でエキサイトしている二人に声を掛ける
「お迎えの人をあんまり待たせるもんじゃないよ?」
「いかーん! 国家権力の不当な強権行使に対する謝罪と賠償を認めるまで俺は帰らんぞー!」
取調室の机の上で天井に向かって吠えている同僚の姿を見て、椿のこめかみにびきりと青筋が浮かぶ
「……こっちも仕事の合間を縫って迎えに来てるんだ。警察に迷惑掛けてないでとっとと帰るぞ」
「その声は最上さん!? 俺のためにわざわざこんなむさ苦しいところに来てくれたんですか!」
「ああ、お前のせいでわざわざ仕事を中断して来る羽目になった」
ぎちぎちと何かが軋むような雰囲気を漂わせ、椿は押し殺した声を喉から絞り出す
「しかし俺には国家権力の言論弾圧と戦うという崇高な使命が!」
「そんなもんティッシュに包んでゴミ箱にでも捨てとけ。年度末でどんだけ忙しいと思ってる」
「む……最上さんがそこまで言うんなら。だがそれならせめて……その胸で俺の悲しみを癒して下さい!」
ここが警察署である事と、それ故に攻撃衝動を抑え込もうと気を張っていた事が、状況対応を僅かに遅れさせた
138死んでも治るかちょっと微妙 ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/03/27(土) 15:45:12.25 ID:BNuxel0V0
ぽふん

僅かな衝撃に数歩後退り、壁に背中を預ける形になった
その胸には南八の顔が埋められており、更に両手はしっかりと背中に回されている
「俺はこのまま死んでもいい――――――っ!!!!!」
ぐりぐりと頬擦りをしているその頭に、そっと両手が添えられて
万力のような力で み し り と固定する
「のぐぉっ!? 最上さんなんか凄ぇ痛いんですが!?」
「大丈夫だ、もっと痛くするから」
ヒールの高い靴をぽいぽいと脱ぎ捨てて、足の裏でしっかりと床の感触を確認する
「このまま死んでもいいと言ったな?」
後頭部を押さえ付け、頭をがっちりと胸に挟み込んだ状態で、その顎に思い切り膝が抉り込まれた
形容し難いもの凄い音を立てて、南八の身体からだらりと力が抜ける
白目を剥いてぐったりとしている南八の襟首を掴み、椿はぺこりと頭を下げた
「お騒がせしました。それでは私達はこれで」
ずるずると男を引き摺って歩いていく椿の後姿を見送った後、残された二人の警察官のうち取り調べを担当していた男がぼそりと呟いた
「傷害の現行犯、だったんですかね」
「正当防衛でいいんじゃないかい?」
「というかあの有様で出て行ったら途中で誰か止めませんかね」
「どうだろうねぇ、最近は皆慣れてきてるし」
「慣れていいもんなんですかね」
「妥協ってのは大事だよ。この町じゃあ特にそうかもしれんなぁ」

おわれ
139以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 16:05:52.75 ID:BNuxel0V0
ネタ書きつつほ
また出かける前に投下したい…!
140ある組織の構成員の憂鬱 ◆nBXmJajMvU :2010/03/27(土) 16:16:57.12 ID:BNuxel0V0
 学校町南区 ファミリーレストラン「フェアリーモート」の、裏手にて
 厨房の裏口から、一人の青年が顔を出した
 金色に染めた髪に、まだ春先に入ったばかりだと言うのに、健康的に日焼けした肌をした若い青年だ
 青年は、きょろきょろと辺りを見回して……す、と、その裏道に入ってきた影を見つけ、ほっとしたような笑みを浮かべ
 …だが、どこか、かすかに不安を抱えた表情に、戻ってしまった

「…その、どうだった?大樹」
「大丈夫ですよ、翼。ここの従業員の方で、悪魔の囁きにとり憑かれている方は、いらっしゃいません」

 黒服の言葉に、青年…翼は、今度こそほっとした表情を浮かべた
 …翼の周囲の人間に、たて続けに悪魔の囁きがとり憑いた状況
 かつてのクラスメイトの中には、もうとり憑かれた者はいなかったが…そうなると、バイト先の人間の事が、心配になってくる
 他にも、コンビニの深夜勤や中華料理店「青春軒」、それにラーメン店「六華」などの従業員に、悪魔の囁きがとり憑いていないか黒服に調べてもらった訳だが…ここの従業員にも、憑いていなかった
 その事実に、酷くほっとする

「後は…ケーキ店でのアルバイトと、ピアノ教室の臨時教師でしたか?」
「あ、それとフォーチュン・ピエロと至宝院の厨房……悪い、調べる先、たくさんあって」
「いえ、問題ありませんよ。あなたが働き者な証拠ですから」

 申し訳無さそうな表情を浮かべた翼の様子に、黒服は安心させるように、微笑みかけた
 あちらこちらのアルバイトを掛け持ちしている翼
 誰かに頼らず、一人で生き続けようとした、その結果である
 今、黒服達と共に生活している状況でも、そのアルバイトは全て続けていた
 …働きすぎで倒れなければいいのだが、と黒服は自分の事を棚にあげて、考える

「それでは、これから至宝院のある方向に行きますし。調べてみますね」
「あぁ……その、ありがとう」

 申し訳無さそうにそう言って来た翼
 自分のせいで、黒服の仕事を増やしてしまっているのが申し訳ないのだろう
141ある組織の構成員の憂鬱 ◆nBXmJajMvU :2010/03/27(土) 16:20:11.28 ID:BNuxel0V0
 大丈夫ですよ、と改めて黒服は、翼に笑いかけた
 優しく、落ち着かせるように、翼の頭を撫でてやる
 ……それで、少し落ち着いたのだろうか
 翼は、いつもよりは力がないが、それでも笑顔を浮かべて、黒服を見あげる

「それじゃあ…大樹も、仕事、無理ないようにな?お前の事、大事だから……お前が倒れたら、嫌だ」
「大丈夫ですよ。あなたこそ、無理をなさらぬように」

 もう一度翼を気遣い、黒服は翼と分かれた
 厨房に入っていく後ろ姿を見送る

 …少しでも、翼の負荷を軽減させてやりたい
 その為にも、翼の周囲の人間に、悪魔の囁きが憑いていないか調べなければ
 そして……もし、憑かれていたならば、それを除去していこう
 己の契約者であり、家族でもある翼の為に、黒服はそう考える

 裏道を出ようとした…その時

「あ……Dさん」
「…おや、橘野さん」

 見知った顔と出会い、小さく笑みを浮かべる
 橘野 悠司
 「醤油を1l飲むと死ぬ」の契約者を保護する時に顔を合わせて以来、時折顔を合わせる「組織」所属の契約者だ
 黒服としては、まだ未成年である彼に、あまり「組織」の仕事を任せたくない、というのが本音なのだが…

「さっき、話していた人も、「組織」の人ですか?」
「え……あぁ、あの子の事、ですか」

 悠司に尋ねられ、黒服は小さく苦笑した
142ある組織の構成員の憂鬱 ◆nBXmJajMvU :2010/03/27(土) 16:25:01.86 ID:BNuxel0V0
 ……さて
 翼が「首塚」所属である事は、流石に黙っていた方がいいだろう
 一応、「組織」と「首塚」は今でも対立している状態だ
 …何せ、とある騒動で、過激派や強硬派相手限定とは言え、「首塚」の「組織」に対する祟りは、また始まってしまったのだから
 翼が「首塚」所属である事は隠しつつ、答える

「いえ、あの子は「組織」の所属ではありませんよ」
「そう、なんですか?」

 翼が、黒服に対して「お前の事、大事だから」といった発言を聞いていた悠司
 てっきり、翼も、この黒服が担当している契約者だ、と思ったようだ

「「組織」所属ではありませんが…私の、家族です」
「……かぞ、く?」

 きょとん、とした表情の悠司
 えぇ、と黒服は頷いてみせる

「…その、家族、って」
「あぁ、血の繋がりはありませんけれど」

 途惑った様子の悠司に、そう続ける黒服
 黒服の外見は、20代後半程度
 翼のような、20代前半の子供がいるようには見えないだろうし、外見から、兄弟にも見えない事だろう
 ……いや、この黒服の実際の実際の年齢を考えれば、翼くらいの年齢の子供がいても、おかしくはないのだが

「あの子は私の契約者なんです」
「契約者…」
「「組織」の黒服も、都市伝説である事に変わりはありませんから。契約者を得る事も可能なんです」
143ある組織の構成員の憂鬱 ◆nBXmJajMvU :2010/03/27(土) 16:26:16.14 ID:BNuxel0V0
 …もっとも、この黒服は「夢の国の黒服」も混じった、なんとも特殊な黒服なのは、さておき
 「組織」の黒服も、人間との契約が可能な事実に変わりはない

「あの子達は、私のような者と契約してくださった上に、家族としても認めてくださっています……いい子達ですよ」
「家族…」

 その言葉を、反復するように口にする悠司
 …かすかに、悩んだような、その表情に
 黒服は、心配そうに悠司を見つめる

「…?どうかなさいましたか?」
「あ、いえ、何も」

 慌てて、首を振る悠司
 何でもないです、と苦笑してくる

「その…Dさんは、ちゃんと人間としての名前もあるし……家族も、いるんですね」
「はい……「組織」の黒服らしくは、ないかもしれませんけれど」

 それでも、と
 黒服は、笑って見せた

「…今の状態を、私は幸せに思います。ですから……私に、こんなにも幸せを与えてくれる、あの子達を、護りたいと思います」


 ……たとえ、この手をどれだけ血で染めようとも


 その決意を、黒服はそっと、胸に秘めるのだった
to be … ?
144以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 16:27:40.75 ID:BNuxel0V0
ケモノツキの人に剣山焼き土下座orz
いや、メインは翼のバイト先とか、そこら辺の情報提示なんですが
うん、その、あの程度なら別に誤解ワードでもないよなと思いたい今日この頃
最近、翼に誤解ワード言わせれてないなぁ
もっと言わせたい

…なお、翼のバイト先の店、いくつかは筆者の地元の店が元となっていたり
全部の元ネタわかった人がいたら噴く
145以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 16:34:57.13 ID:BNuxel0V0
また出かけてくる
夜帰ってきた時スレが残っていれば幸せだ!!
146以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 17:15:00.58 ID:6Wp/CUjt0
補修
147以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 18:01:48.52 ID:1QVATCup0
代理&投下乙です!

ちくしょう、せっかく悠司を黒服Dと会わせてくれたのに、ネタを書く時間がないぜ…
向こうのネット環境も危ういし、これの返答ネタは書けそうにないです…申し訳ない
148以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 18:14:09.77 ID:sgcaG4hH0
明らかにおかしなタイトルのメールが送られてきた。
誰かのいたずらに違いないから、中身も見ずに削除しようとした。
だけど削除できないんだよ。何故か。
気味が悪いから携帯の電源を消してすぐに寝た。

で、朝起きたらさ、居たんだよ。棒が。
棒。
棒人間?というかなんというか。
棒人間が、黒い服着て鎌持って、目の前に。
で、考えられるのがあのメールしかないから、急いでメールの中身を確認した。
「このメールは私の元に来た死神」だの、「あなたの元にもきっと棒が訪れます」だの書いてあった。
確かに棒が訪れたことは訪れたし、死神と言えば死神っぽい。
だけど棒人間が死神の格好をしてやって来るとか。反則だろ。
149以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 18:15:15.63 ID:sgcaG4hH0
こんなもんが部屋に居るんじゃ、部屋の中に居られない。
棒人間の隙をついて、窓から部屋を脱出した。
だけどあっちもしつこい。
どこまで逃げても追ってくる。
住宅街、公園、商店街。
様々な所に逃げたが、あいつは追ってくる。
町中走り回ったが、あいつを振り切ることは出来なかった。
ついには、俺の足が棒になり……って
「本当に足が棒になっている!?」
驚いている間にあいつに追いつかれ、捕まえられた。
「……足を直したいなら、契約するんだな」
契約の事はよく分からなかったが、棒になった足を直せないのはまずい。
「分かった。契約とやらをしてやるから」

それからすぐに足は普通に戻ったが、その代わり俺の部屋には棒人間が住みついた。
誰か助けてくれ。
150以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 18:16:40.46 ID:sgcaG4hH0
と、言うわけで「棒の手紙」でした。
しかし、「不幸」と「棒」なんて、似てないよな
151以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 18:22:18.43 ID:6Wp/CUjt0
>>150
インド人を右に

字が汚いというのはそういう事なんだ
152以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
さて、そろそろ作業再開だ…
風呂後までスレが残ってますように