「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」

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1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
ここは
都市伝説と契約して他の都市伝説と戦ってみたり
そんな事は気にせず都市伝説とまったりしたりきゃっうふふしたり
まぁそんな感じで色々やってるSSを書いてみたり妄想してみたりアイディア出してみたりするスレです


「まとめwiki」 ttp://www29.atwiki.jp/legends/


まとめ(途中まで) ttp://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/urban_folklore_contractor.html


避難所は↓だよ!規制中やスレが落ちている間はこっちでゆっくりしていようね!
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/13199/

2以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 20:29:24.89 ID:p8+Zq2LhO
なんか久々すぎて感動した・・・
3ドクターとバイトくん (代理):2009/12/07(月) 20:29:33.74 ID:HcdMBV3X0
22:25頃 視聴覚室横階段前

――この男、関わりがあった『十三階段』の契約者と。ついでにこちらの面々も試すつもりか
やれやれといった調子で肩を竦め、ドクターは階段に足を掛け
一段、二段と躊躇せず足を運び、十一段目で足を止める
「君は、『組織』を黙らせたり、協力させたりする手があると言ったな?」
「ああ、そこの黒服ならそれが可能かどうかちゃぁんと判ってるはずだぜ?」
「いやぁ、『組織』にいるうちはいいと思ってたんだがな。まさかこんな関係になるとは思っていなかった」
虚実入り混ぜて話す黒服だが、ここで『十三階段』の契約者と口裏を合わせる意味は無いだろう
「さて、ぶっちゃけた話をしよう」
ドクターは真剣な面持ちで『十三階段』の契約者を見据える
「『組織』の一つや二つでどうこうできると思うな、馬鹿者」
「ドクターさん、説得! 説得は!?」
女装少年のツッコミをガン無視して、ドクターは言葉を続ける
「『夢の国』級の都市伝説を保有してる都市伝説集団が世界中にどれほどあると思っている。言うなれば核保有国が乱立して絶賛冷戦中といった有様だぞ。そんな中で独立戦争の挙句に全世界に向けて宣戦布告するような真似を、止めない方がどうかしているというものだ」
ばしん、と
平手で壁を叩き声を荒げる
「ハーレムを作る……その素晴らしい計画自体は賞賛しよう!」
「いや、しちゃダメでしょそれ」
最早ツッコミ疲れた女装少年の力の無い声
「だが目標はともあれ経過はどうなる? 戦乱に身を投じるという事は、傍にいる親しい友を、愛しい誰かを失う危険とも隣り合わせになるという事だ。
 今回の戦いだけで、君の仲間はどれほど傷付いた? これから更に傷付き傷付けあうためにただ力を欲するようになる姿を見たいのか?」
『十三階段』の契約者の脳裏に浮かぶ、儚げな笑顔
「五月蝿ぇ……あんたらに俺達の何が解る」
「解らんさ。だから対話を求めている。少なくともここにいる者は君達に敵意は持っていない。ただ君達の計画を止めて、君達に向かう敵意も止めたいだけだ」
「口だけでは何とでも言えるだろうが……奇麗事を並べただけで信用されると思うな」
「正しい判断だ。マッドガッサーも当然、そう警戒するだろう。だからこそ、仲間としてマッドガッサーに信頼されてる君の協力が必要だ」
そう言うとドクターは、階段の十二段目に足を掛ける
4ドクターとバイトくん (代理):2009/12/07(月) 20:30:27.32 ID:HcdMBV3X0
「ボクを信用できないなら、それでいい。だがせめてボクの言葉をマッドガッサーに伝えてもらえるとありがたい」
「……何のつもりだ?」
「既に上に行っている面々もいるはずなのでね。暴力沙汰になるようなら、できる事なら止めておきたい」
「俺が『十三階段』を解除するとでも思っているのか?」
「いいや?」
真顔で返すドクターに、『十三階段』の契約者はおろか後ろに控えている面々すら呆気に取られた顔をする
その中で一人だけ平然と二人のやり取りを眺めている黒服H
「これはボクなりの覚悟だ。『スパニッシュフライ』に操られてた馬鹿者とはいえ、自分の部下が君達を助けたいと言っていたのだ。それを受けた上司が意気込みを見せないでどうするのだね?」
「ここに来る途中、『十三階段』のスペックは説明したと思うが。お前さん、マジで死ぬぞ?」
「死なないものに踏み込んでも覚悟は見せれないだろう?」
黒服Hの問い掛けに、ドクターは全く動じた様子もなく応える
「ボクが『十三階段』に落ちて戻ってこれないようなら、まあアレだ。窓から三階へ昇ってくれ。今まで校舎内の様子を見た限り窓の一枚や二枚は破壊しても許容範囲だろう。君の髪なら彼女らの運搬ぐらいは可能だろう?」
「できなくもないが、ちょいとパワー不足かもしれんな」
「何ならそこで気絶してる馬鹿者を好きにしていいぞ?」
「既に色々やったが上司公認か……ちょっとやる気が出てきたかもしれん」
髪の毛をざわざわと蠢かせる黒服H
「って、ちょっと待って! それなら別にドクターさんがそこで危ない事する必要は無くない!?」
「だから言っただろう、覚悟の意思表示だと。マッドガッサーを止められるのはボク達じゃあない、仲間である彼らだ」
ドクターは不敵に笑い
「どうか君達が一人も欠ける事なく平穏な生活を得られる事を祈っておこう。ついでにボクが生きてそれを確認できれば最高だが……まあ贅沢は言うまい」
十三段目に、何の躊躇いも無くその一歩を踏み出した



ドクター「まあ彼が動いてくれれば良しとしよう。ダメだったら仕方ない、後のボクの仕事はバイトくんに罰ゲーム感覚で引き受けてもらおうじゃないか」
バイトちゃん「仕事はいいんですがマジで死んだらどうするんですか」
ドクター「さあね? 運が良ければ都市伝説化して蘇れないものかね。女の子を脅かす裸白衣の痴女とかで」
バイトちゃん「せめて現存してる都市伝説にして下さい、というかそういう真似をしてたんですかあんたは!?」
ドクター「冗談だよ、冗談。ボクはTPOは弁えているとも」
5マッドガッサー決戦編 ブラッド・シー (転載):2009/12/07(月) 20:31:23.59 ID:HcdMBV3X0
○月×日 22:28 視聴覚室横階段………13段目


 −−−−ずるり
 それが、階段の13段目から、出現する
 無数の亡者共の手が、獲物を見つけて歓喜する
 老若男女、無数の手が、13段目に脚をかけたドクターに群がった

 ずるり…………

 一瞬で、ドクターの体は亡者達によって階段の13段目に引きずり込まれた


 「13階段」は、顔色一つ、変えていない
 彼にとって、能力を用いての殺人は「生きる手段」だ
 幼い頃から「組織」に置いて殺人の駒として育てられたが故に、能力を使っての殺人に罪悪感も、戸惑いも、躊躇も感じない
 一歩、何か間違えていたら…ただの殺人人形と成り果てていたであろう人間なのだ、彼は

「…やれやれ。参ったね」

 小さく、黒服Hは苦笑する
 まさか、本当に踏み込むとは
 …このまま死亡すれば、「第三帝国」の人材を目の前で死なせた事になるが…さて、どうするか?

(……ま、なるようになるさ)

 しかし、黒服Hは深刻には考えない
 どちらの結末になろうが「どうだっていい」
 心から、そう考えているが故に
6マッドガッサー決戦編 ブラッド・シー (転載):2009/12/07(月) 20:32:40.80 ID:HcdMBV3X0
だが、その考えを表には出さない


 −−−−ただ
 こちらをじっと見詰めてきて、何か言いたげな表情浮かべた「13階段」相手に
 しぃ……と、秘密でも伝えるかのように、口元に指先を当てて見せたのだった



「−−なるほど、こうなっているのか」

 「13階段」の異空間に飲み込まれ、ドクターは一人、冷静に周囲を観察していた
 とぷり、真っ赤な液体に、体が沈んでいる
 …足が付くか、つかないか、ギリギリの深さだ
 この真っ赤な液体……血の海から、首から上だけが辛うじて、出ている状態
 時間がかかれば、力尽きて沈んでしまう、といったところだろうか
 見回した限り陸地は見えず、頭上を見上げても吸い込まれそうな闇が広がっているだけだ

「…いや、力尽きるのを、待つまでもないのか」

 ちゃぷり
 ちゃぷり、ちゃぷり、ちゃぷり…
 血の池から…腕が、伸びる
 ドクターを引きずり込んできたのと、同じような腕
 肉が半ば落ちているものもあれば、既に骨と化している腕もある
 恐らくは…今まで、「13階段」の能力で引きずり込まれ、命を落とした者も混じっていることだろう
 亡者が、仲間を増やそうとその腕を伸ばしてくる
 じぃ、とその腕を見詰めて…
 ドクターは、ぽそりと呟いた
7マッドガッサー決戦編 ブラッド・シー (転載):2009/12/07(月) 20:33:30.48 ID:HcdMBV3X0
「………ふむ、半数が女性か」
『−−−−−−−−っ!!??』

 ぴくりっ
 亡者たちの手が…一部、動揺を見せた

 ドクターの観察は当たっている
 今、ドクターに腕を伸ばしている亡者のうち、半数は女性だ
 その男女比の割合に意味はない
 ただ、たまたまでしかない……「13階段」の能力で今まで飲み込まれていった者達の男女比率が大体同じだった
 ただ、それだけのこと

 そう、ただ、それだけであり…この能力の効力発揮に男女差の意味などない
 よって、今回とて、通常ならば、いつも通り亡者達は、犠牲者であるドクターを血の海に静めんと、その体に絡みつき引きずり込もうとする事だろう

 だが
 その亡者達の中で、染色体的に女性に分類される亡者達は…このドクターに対し、ただならぬものを感じた
 ヘタに近づいては、貞操の危機なのでは?
 最早、心も魂もないはずの亡者でありながらも、彼女たちは確かにそれを自覚した
 そして、その動揺は、残りの亡者達にも伝わる

「…おや、なかなか初々しい亡者達だ」

 さて、どうしたものか
 こちらに手を伸ばす事を躊躇った亡者達を前に、ドクターは笑みを浮かべて見せたのだった


8マッドガッサー決戦編 ブラッド・シー (転載):2009/12/07(月) 20:34:31.86 ID:HcdMBV3X0
「−−−っ!?何か悪寒が?!」
「ん〜?風邪か?インフルエンザ流行ってんだから気をつけとけよ」
「うるせぇよっ!てめぇは、さっき引きずり込んでやった女の心配でもしとけっ!」

 異空間内の亡者達の感じた感覚が、伝わったのだろうか?
 悪寒に体を震わせた「13階段」なのだった










とぅーびー?


9以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 20:35:44.57 ID:rj4tlr0q0
スレ立て乙!名前欄が代理の代わりになってて久々だな、と感動した
10花子さんと契約した男の話 (転載):2009/12/07(月) 20:36:01.84 ID:HcdMBV3X0
○月×日 21:20 大体育館


 かさかさ
 かさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさ…

「みー!?どんどん出てくるのーっ!?」
「どんだけいるんだよGっ!?」

 ぶっちゃけて言おう
 何このG地獄、ふざけてるの?
 潰しても潰してもまだまだ出てくるとか、何この地獄絵図
 大体育館が順調にGの墓場になっていってんぞおいっ!?
 いや、ここに逃げ込んだ俺達が悪い気もしないでもないけどなっ!!

「う〜、さすがに気持ち悪いね…」

 自分の首を抱えた少年が呟く
 いつぞや知り合った、「自分の頭をボールにして遊んでいる男の子」だ
 相変わらず、この体育館に住み着いていたのだ
 怖い連中がいるとかで隠れていたようだが、俺や花子さんの危機を感じ取って、出てきてくれたようだ
 体育館のバスケトボールやバレーボールを操ってGを潰してくれているんだが…多勢に無勢とは、この事を言うのか
 っつか、G潰したボールとか、今後の授業であまり使いたくねぇなぁ…

「…やっぱ、体育館から出るべきか?」
「その方がいいかも…ヘタにここで追い詰められたら危ないよ」
「みー……怖いの」
11花子さんと契約した男の話 (転載):2009/12/07(月) 20:38:50.65 ID:HcdMBV3X0
 ぎゅうううう
 花子さんは、俺にしっかりしがみ付いて離れない
 うん、まぁ、女の子だし、怖いよな
 俺だって、若干怖いわ、このGの海

「お前はどうする?校内にいる限り、どこだって危ないぞ?」

 少年に尋ねると、少年は血塗れの頭でこちらを見あげてきながら、答える

「僕は平気、いざとなれば、姿は隠せるから」
「そうか…」

 ……ならば、せっかく合流してアレだが、別行動させてもらおうか
 この少年が一番力を発揮できるのは体育館
 ここ以外での戦闘で、守ってやれる余裕は…あまり、ない

「花子さん、行くぞっ」
「う、うん!」

 花子さんを抱え、俺は走る
 俺達の背後で、少年がGに群がられそうになって…っふ、と姿を消した
 急いで大体育館を出て、入り口を閉めようとする
 せめて、この中にある程度閉じ込めれば……

「け、けーやくしゃ、黒いのがどんどん来るの!」

 かさかさかさかさかさかさかさかさかさかさ
 うぉおおおおいっ!?もはやGの群れってか海だろ、あれ!?
 どんだけG潜んでたんだよ、この学校!?
 もしくは、あれも都市伝説かっ!?
12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 20:40:05.56 ID:Wu/1cmLg0
ここで俺が前スレ落ちてからのまとめを投下してみるしえん

パス:toshi
ttp://kissho6.xii.jp/14/src/1yon26748.zip.html
13花子さんと契約した男の話 (転載):2009/12/07(月) 20:40:20.23 ID:HcdMBV3X0
 とにかく、扉を閉めないと!
 …だが、大体育館の扉は結構重たい
 俺と花子さんだけでは、締め切るのに時間がかかる

 かさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさ……

 −−−ヤバイ、間に合わないっ!?
 Gの海が、俺たちに迫って……


 −−−−−っばんっ!!と
 扉が、勢いよく…閉められた


「へ?」
「間に合ったか」

 聞こえて来たのは、女の声
 恐る恐る振り返ると…そこには、やけにデカ胸をした西洋人っぽい女と、花子さんくらいの年齢と思われる小さな女の子がいた
 どうやら、扉を閉めてくれたのは、女のほうのようだ
 俺より背も高いし、力もあるようだ

「…ありがとう、助けてくれて」

 何者かは知らないが、助けてもらった礼は言わないと
 そう思って、俺がそう言うと
14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 20:40:35.40 ID:D37eQVa5O
久しぶりだな
こっちに立てるの
15花子さんと契約した男の話 (転載):2009/12/07(月) 20:41:41.36 ID:HcdMBV3X0
「なぁに、気にするな、ロリの危機を救うのは当然」
「自重しなさい」

 ……うん
 多分、話し方とかから察するに…この女、マッドガッサーの被害者か?
 これで元々女だったら、それはそれであんまり関わりあいたくないのだが

「み、ありがとーなの」

 Gの恐怖から脱出する事ができたからだろう
 花子さんが、にぱ〜、と笑って女を見上げた
 女は、そんな花子さんをじっと見詰めて…

「…ナイスロリータ」

 と、小さく呟いた
 よし、わかった、こいつロリコンだな

「自重しなさいって言ってるでしょ!!」

 −−−−ガスっ!

16花子さんと契約した男の話 (転載):2009/12/07(月) 20:42:52.59 ID:HcdMBV3X0
 女と一緒に居た女の子の回し蹴りが、女の膝裏に直撃するっ!!
 おぉおおおお……と痛みに悶えている女
 み?と花子さんが首を傾げている

「…あんたたちは、マッドガッサーの仲間ではないのね?」
「あぁ…お前たちもか?」

 …どうやら、仲間に出会えたようだ
 これで、少しは行動しやすくなるだろうか?


 …どちらに、せよ
 痛みに悶えている状態から脱出するのを待つしかないかもしれないが


 俺は小さくため息をついて…今後の行動に付いて、考えてみるのだった



to be … ?


17以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 20:45:18.66 ID:Wu/1cmLg0
スレたて乙紫煙
18死人部隊 (代理):2009/12/07(月) 20:45:25.02 ID:HcdMBV3X0
コン「兄貴が・・・落ちた」
禿「・・・・・・」
女死人「殆ど外れてましたよね?」
中年「こんな雑に雷落とすのはウチの首領殿位か?」
子供「将門様すごい」
サンダーバードとはまた違う雷が兄貴の一部を落とした
それは、つまり、将門並みの能力なら兄貴を倒せると言う事だ

中年「希望が見えてきたな」
コン「兄貴とアイツを同じ物だと思わない方が良いぞ、別格だから」
子供「大丈夫、この世に無敵なんて存在しない」
女死人「・・・何か思いついたんですか?」
子供「どんなに強くて化け物染みた奴でも、あれは元人間の都市伝説・・・ならば」
中年「ならば?」
子供「食べ物だ」
珍しく良く喋ると思えばソレか
金髪の嬢ちゃんも何言ってんのこの子って顔してるし


19死人部隊 (代理):2009/12/07(月) 20:47:14.52 ID:HcdMBV3X0
禿「お話は済みましたか?」
中年「纏まっては無いような気もするが・・・まぁ、何とかなるだろう」
兄気とか言う訳の判らない力で異常なまでの防御力を誇る、か・・・
中年「それはつまり兄気を解いている今がチャンスって事だよなぁ」
禿「ん バァンッ がっ!?」
ぼやく様に言った俺の言葉に禿が反応するとほぼ同時
ほぼ同じタイミングで禿の肩から血が吹き出した
コン「何だ?!」
金髪の嬢ちゃんが叫ぶ、より早く新たに出現した5人の死人がその手に担いだ巨大な銃、俗に対物ライフルと呼ばれるソレを禿に向け放つ
禿「グッ!?ガァッ!?」
さっきまでの銃とは違い、放たれた弾は確実に禿に突き刺さりダメージを与えていく


20死人部隊 (代理):2009/12/07(月) 20:48:45.21 ID:HcdMBV3X0
コン「何アレ!?何アレ!?」
中年「アンチ・マテリアル・ライフル・・・戦車の装甲すら貫く大口径の銃だ、兄気を纏う前なら効くんじゃないかと思ったが、結構いけそうだな」
コン「でも、アイツなら狙われた時点で気づくんじゃ・・・」
中年「対物ライフルの射程は1000m以上、流石に1キロ離れりゃ気付かれないだろうよ・・・に、しても頑丈だな、普通の人間なら吹き飛んでもおかしくないんだが・・・」
普通こんな資金距離で食らったら一撃で消し飛んでもおかしくないのに、何で原型留めてられるんだ・・・?
コン「そこは、まぁ、禿だし・・・」
禿「・・・・・・・クッ!!」
遂に、禿が膝を付いた

続く?


21上田明也のRADIO GA GA (代理):2009/12/07(月) 20:50:25.09 ID:HcdMBV3X0
【上田明也のRADIO GA GA 其ノ一】

碧いうさぎ 祈り続ける どこかに居るあなたのため
今の二人 救えるものは きっと真実だけだから………

ラジオから聞こえてくる一昔二昔前のアイドルの曲。

曖昧に笑いながら今日もラジオは始まる。
パーソナリティーは日替わり週替わり
誰がなるかは解らない
今日は偶々この二人だし
明日も偶々この二人かもしれない
さぁ、放送を始めよう


22上田明也のRADIO GA GA (代理):2009/12/07(月) 20:51:20.75 ID:HcdMBV3X0
「と言うわけで始まりました!
 上田明也のRADIO GA GA!
 パーソナリティーはこの俺、『家庭教師のにーちゃん』こと上田明也と!」
「はい、『とくに呼び名は無し』のハーメルンの笛吹きことメルでお送りしたいと思います!」

「ちなみにさっきの曲だけど最初は俺がボヘミアン・ラプソディー流そうぜって言ったのに
 nknhtが勝手にあおいうさぎにしちゃってマジ腹立ったわぁ〜」
「クイーンですか?私はクイーンよりスピードワゴンの方が……」
「なんか音がストレートすぎて俺は好きじゃねえなあ……。
 さて、そんなことより今日もさっそく最初のコーナーいってみようか!」
ツクツクツクツク………テン!
鳴り響くドラムロール、誰がならしているのかとか考えてはいけない。
「視聴者の質問に答えるBBSコーナー!」

中の人から説明させていただくと
好きな漫画にこんな感じのコーナー有ったから真似ただけです。
ちなみに設定としては中の人の声は上田達には聞こえませんのであしからず。


23以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 20:52:14.40 ID:Wu/1cmLg0
すえん
24上田明也のRADIO GA GA (代理):2009/12/07(月) 20:52:34.91 ID:HcdMBV3X0
「で、今日の質問は何が来てるの?」
「え〜っと……R.N『中の人@』さんですね。
 
 こんにちわ、上田さん。
 最近本編ではシリアスモードとか暗い過去とか色々出てきそうでそうですが、
 僕は幼女幼女叫んでいる上田さんが大好きです。
 ぶっちゃけ昔の幼女幼女叫んでいる頃のギャグもやるって気迫が欠けてると思います。
 猫耳なんて甘い、テキーラとか持ったままメイド服とかやりましょ……」

「わー!わー!わー!聞こえねえよ!!」
おもいっきり叫んで無理矢理質問をかき消す。
本当にやらされたら洒落にならないと思っているようだ。

「良いじゃないですか、マスター。
 ギャグ漫画は生き残りやすいってジャンプの三浦さんも言ってましたよ。」
「駄目だよ!だってあの人の言うこと一々怪しいもん!
 担当はさっさとあの蛸の人に戻すべきだ!
 ていうかね、女装してテキーラの配達とか一部の人にしか解らないだろうに。
 まさに誰得だよ!」
「いやあ……、従妹の唯ちゃんだって男装しているのに……。」
「そう言う問題じゃないから!」

「ちなみにリクエストは天城越え、もしくは氷雨(ジェロ)だそうで。」
「リクエストまで誰得だなおい!」


25以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 20:52:48.74 ID:C1yzIdaB0
乙だ支援
26上田明也のRADIO GA GA (代理):2009/12/07(月) 20:53:42.15 ID:HcdMBV3X0
「……あぁまぎいいいいいいごおぅおyeahhhhhhhhhhhhh!!!」
まあなんだかんだでリクエスト曲も終了と。
テキーラ如何ですか〜、とか面白いと思うんだけどね。

「はい、次の質問。メル、読んでくれ。」
「え〜っと、R.N『中の人A』。

 こんにちわ、メルさん。
 町はすっかり秋の色に染まって美しい景色を僕たちに見せてくれますね。
 ところで色と言えば今日のパンt………」
「ストォーーーーップ!
 駄目!セクハラの香りしかしないよそれ!
 お前も読むな!」
「いや、これで黒と答えてガッカリさせてやろうかと。」
「黒でガッカリって贅沢な奴だなおい!」

アハハハハ
笑い声の効果音が入る。
ちなみにアシスタントは操られた人々とか怖い事考えないように

「……ちなみにリクエストは?」
「筋肉少女帯のサーチライトだそうです。
 中の人はヒトカラの時にしか歌えないのでぶっちゃけ辛いそうです。
 語りの時に店員さんが水もって来て恥ずかしさの為にさらに熱が入ったと書いてあります。」
「ドMだな中の人!
 あとその曲長いから無しな。」


27上田明也のRADIO GA GA (代理):2009/12/07(月) 20:54:47.86 ID:HcdMBV3X0
「次のお手紙、これで最後な。」
「マジッスか。じゃあ最後のお手紙。
 R.N『中の人B』

 ぶっちゃけ橙さんとはどこまで行ったんですか?
 A?B?C?Dは……無いよね?
 ……というのは嘘で。
 上田さんとメルさんの音楽の趣味はなんですか?
 あとついでにサンジェルマンとか橙とか唯ちゃんの隠れた趣味を教えて下さい。
 
 あ、ちなみに私は音楽はそれ程好きじゃないです。
 強いて言えば演歌かなあ……。」

「ABCDとか大分古いな……。
 まあメルは演歌を歌う時だけマイク離さないからな。
 本当に困るわあれは。
 俺の好きな音楽は一昔前のイギリスのロックかな?
 あとは筋肉少女帯、これは大学の頃は隠していた。イワンの馬鹿は何かこう……、良い。
 毒を飲むことさえ許されなかった子供はどう生きれば良いんだろうな?
 橙の趣味は読書だ、見えない目であいつは何を読んでいるんだろうな。
 それを考えるだけで少々文学的な気分にさせられるよ。
 サンジェルマンはボトルシップと錬金術だな。
 偶に俺の飲んだ酒の瓶の中にガレオン艦が建造されていたりする。
 俺はフリゲートが好きなんだよ、まったく……。
 家の連中は基本インドアだから困る。」
「アウトドアだと危ないじゃないですか。何時襲撃来るか解らないし。」
「ごもっともで。」


28以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 20:56:29.60 ID:CWBDrWzPO
久しぶりに見たな支援
29上田明也のRADIO GA GA (代理):2009/12/07(月) 20:57:10.29 ID:HcdMBV3X0
「はい、それじゃあ次のコーナー行くか?」
「そうですね、今日のゲストDEトークのコーナーです。」

パフパフパフ!
アシスタントは操られている人々とか考えてはいけない。
パフパフ鳴らしているのはラジオ局の方々です、多分。

「今日のゲストは?」
「黒服Hさんですね。」

流れる沈黙。
沈む沈黙。
飛翔する沈黙。
髪をゆらゆら揺らしながら黒い服を着た男が入ってきた。

「よう、ハーメルンの笛吹きのオジョウチャンと契約者。
 しかし良いのか?俺は一応、組織の黒服なんだが……。」
「いや、良いと思うぞHさん。
 一応此処はパラレルワールドみたいな扱いだし……。
 普段のしがらみとか関係無しで……どうですかね?」
「お久しぶりです、Hさん……。」
「そうか……、じゃあ良いのか。
 ハーメルンの笛吹きはメルちゃんって呼ばれているんだっけ?
 俺もそれで呼ばせて貰うぜ。」
「はい、わかりました。」


30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 20:57:37.77 ID:C1yzIdaB0
支援支援支援
31上田明也のRADIO GA GA (代理):2009/12/07(月) 20:58:07.65 ID:HcdMBV3X0
「それじゃあ最初の話題、俺達と黒服Hさんの出会いから行くか。
 あれは夢の国との戦いの後だったよな?
 俺達が溺れているのを助けてくれたのって。」
「そうそう、引っ張り上げたのが
 まさか組織で危険な都市伝説としてマークされている奴らとは思わなかったわ。」
「ぶっちゃけ知っていたでしょうに。」
「さぁ?あの時は仕事が忙しかったから知らないね。
 まああの事件は上の奴らには良い教訓になったんじゃないのか、
 黒服が大分削られて痛手だったろうけどな。」
「最近俺達が襲われないのもそれが理由だったり?」
「お前らが最近子供を殺して回って居ないからじゃないのか?」
「いや、それは都市伝説として有名になる為には事件が現在進行中だと都合悪いじゃない。
 あくまで伝説になって貰わないと困るんだから。
 俺はメルにとって必要だったら幾らでもやるけどね。
 ああ、あとこれは貴方にだけ聞いておくが……。
 都市伝説を強くするのには知名度をあげるだけが方法じゃないよなあ?」


32以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 20:58:26.10 ID:Wu/1cmLg0
しえん
33上田明也のRADIO GA GA (代理):2009/12/07(月) 20:59:06.25 ID:HcdMBV3X0
「……さぁ、知らないね?
 下手なことは言えないからな。」
「じゃあ、あまり下手なことは聞けないなあ……。
 ところでメルとは以前に面識があるとか?」
「ああ、先代のハーメルンの笛吹きの契約者を(ピー)したことか。
 あれには協力者が居たから楽だったよ。」
「今のマスターに比べると無能も良いところでしたよ。
 ていうか私は今まで本当にろくな契約者を掴まえられた試しがない。」
「ぶっちゃけどんな奴だったの?」
「二週間で私に飲み込まれていましたね。」
「俺が発見した時はもう手遅れだったっけなあ。
 子供を誘拐しようとして能力を暴走させていたから厄介だったんだよね、事後処理。」
「その節はお世話になりました……。」
ぺこりと頭を下げるメル。
いやいや、と笑う黒服。
置いてけぼりになって不機嫌な上田。


34上田明也のRADIO GA GA (代理):2009/12/07(月) 20:59:54.27 ID:HcdMBV3X0
「さてと、それではそろそろ夜も更けてきたし得意分野の方でも……。」
おもむろに話題を切り替える上田。
「お、良いねえ!」
髪をシュルシュルと伸ばす黒服H。



「時間で〜す。」
時計を見ながら呟くメル。


「「え?」」

同時にがっかりした声を上げる二人。
どうやら今回はもう時間のようである。

それでは皆さん、さようならさようなら。

プツッ


「この番組は
 あまりの旨さに広がる噂、レストラン『怪奇の産物』と
 注文の多さに定評のある人肉料理店、
 そして世界に飛び立つ夢の国の遊園地が
 応援しています!
 勝手にスポンサーに使って作者も反省しているのでなにとぞゆるしてやってください」
【上田明也のRADIO GA GA 其ノ一 fin】
35赤い二人 (転載):2009/12/07(月) 21:02:00.29 ID:HcdMBV3X0
○月×日 21:02 一年生教室


 −−−−ぴくり
 気を失っていた赤マントが…動き出した
 赤マントからはスパニッシュフライは排出されてはいるが…それでも、アクマは念のために警戒する

「……ふむ」

 むくり
 体を起こした赤マント
 軽く頭を振り、教室内を見回して…状況を、把握しようとしているようだ
 そして……アクマと、視線があい
 倒れているアクマの契約者を見て、小さく苦笑した

「…申し訳ない。迷惑をかけてしまったな」
「操られている間の記憶があるの?」
「それはもう、完璧にな……操られている間に伝わってきたスパニッシュフライ契約者の感情までも、完璧に」

 立ち上がった赤マント
 ふらふらと青いはんてんに近づき、体を揺さぶっている

「む〜〜……あと、5分……」
「そんな事を言っている場合ではないだろう、起きたまえ」

 むにゅむにゅむにゅ
 なかなか目を覚まさない青いはんてんに苦戦している赤マント
 ……こちらも、そろそろ契約者を起こさなきゃなぁ
 教室に備えられた大きな時計を確認しつつ、アクマはそんな事を考える
36赤い二人 (転載):2009/12/07(月) 21:02:51.08 ID:HcdMBV3X0
 ……むにん
 ようやく、起き上がった青いはんてん
 ひらりっ、赤いはんてんに戻る

「あぅあぅ…酷い目にあったのです」
「うむ。まったくだ」

 ゆさゆさ……むくり
 それと、ほぼ同時にアクマの契約者も起き上がった

「…お前、大丈夫なのですか?人間のような都市伝説のような、微妙な気配を感じるのですよ」
「あぁ、大丈夫だ…そっちこそ、大丈夫なのか?」
「幸い、生まれながらの都市伝説故に、体は丈夫なのだよ」

 問題ない、と赤マントは笑う
 赤マントも赤いはんてんも、先ほどの戦いのダメージはほぼ残っていないようだ
 ……何だか理不尽と言うか不公平だ、とアクマの契約者は思ってしまう

「ねぇ、二人とも。どうやって三階まであがったの?」

 アクマが、素朴な疑問を赤マントと赤いはんてんにぶつけた
 学校中の階段には「13階段」の能力が発動されているはずなのだ
 階段を使わずに、どうやって三階まで上った?
 …まぁ、アクマと契約者も、階段を使わずに三階まであがったのだが
37以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 21:03:56.13 ID:C1yzIdaB0
俺だ代理結婚してくれ支援
38赤い二人 (転載):2009/12/07(月) 21:04:01.68 ID:HcdMBV3X0
「うむ、壁を走ってきただけだが?」
「さらっと言い切ったな、おい」
「あぅ、赤マントは移動能力がチートなのです。転移が封じられてさえいなければ、一気に屋上まで転移も可能なのですよ」

 なんと言う移動能力限定チート
 …そちらに能力が傾いているからこそ、戦闘能力がほぼ皆無なのだろうか?

「相手に「13階段」がいる事は把握していたのでね。階段を使っての移動は自殺行為だろう?」
「でも、壁を伝っていっても危なかったのです。屋上から狙い撃ちとスパニッシュフライなのです」
「と、なると…やはり、「13階段」の解除方法を探すしかないか」
「何時の間にか、外に雷たくさん落ちてるし…外、ますます危険だよね」

 何時の間にか、校舎の外で巨大な鳥と巨大ロボットのバトルがはじまっていたようだった
 ……何、この特撮みたいな現状、ふざけてるの?

「…どうやら、相手にこちらの動きは丸見えらしいからな。ここに留まるのは危険かもしれん」
「なるほど…それじゃあ、移動しようか」

 立ち上がるアクマの契約者とアクマ
 その時……かさかさ、と
 小さな音が、聞こえてきた

「…何の音?」
「あぅあぅ…虫でも這っている様な音に聞こえるのですよ」

 かさかさ
 かさかさかさかさ……
 音の出所に…一同は、そ〜〜〜っと視線を向ける
39赤い二人 (転載):2009/12/07(月) 21:05:05.28 ID:HcdMBV3X0
 かさかさ
 かさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさ………

「「「「なぁあああああああああああああ!!!!!!!!?????????????」」」」

 そこには
 無数の黒いゴのつく魔物の姿が!!!!!

 かさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさ………

「こ、こっちからも来てるよ!?」

 …黒い魔物とは、反対方向、から
 そこから…無数の、蜘蛛が迫ってきていた
 なんと言う昆虫パニック状態っ!?

「あ、赤マント!まだ転移はできないのですか!?」
「むぅ、無理だ。何かによる妨害が働いている」

 黒い魔物と蜘蛛
 無数のそれらに囲まれて…一同は、絶体絶命状態に陥ろうとしていた


to be … ?


40闇子さんの契約者と黒服 (代理):2009/12/07(月) 21:06:03.24 ID:HcdMBV3X0
「ねぇねぇ、くぅーちゃん」
「なんですか?」

少年が黒服の持っていた鞄を指差す。

「そのおっきな鞄何が入ってるの?」

気になるのも無理はない、小学生なかば程度の体型程度の黒服が持っていた黒いボストンバッグは、
やろうと思えばその体を収納できるほどの大きさだったのだ。
両手でなんとか抱えている現状からしても、どうしても気になる。

「いろいろな道具が入ってます」
「道具?どんなの?」

黒服は「見ますか?」といってバッグをその場に置いた。

「うん、見たいみたい!」
少年は首を大きく縦に振る。それを見た黒服は、バッグを開けた。

「とりあえず、私の持ってこられる範囲のものを持ってきました」
バッグに手をつっこみ、ごそごそとあさる。
そして、なにかの包み紙のようなものをとりだした。

「これはユニコーンのユニコーンの角の粉末です」
「ユニコーン?あの角のはえた馬みたいなの?」
「はい」
「え?そんなのいるの?」
「います」
黒服はキッパリとこたえる。
41以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 21:06:54.67 ID:Wu/1cmLg0
しえ
42闇子さんの契約者と黒服 (代理):2009/12/07(月) 21:07:54.92 ID:HcdMBV3X0
「へー、すごいねー他にはどんなものがあるの?」
黒服はさらに鞄をあさる。
「これはメリーさんの黒電話です」
そして、黒い家電話をとりだした。
電話からはコードが伸びておりそのさきは鞄の中へと続いている。
「この先はどうなっているの?」
少年はそのコードを指差した。
「企業秘密です」
黒服は両の人差し指でバッテンマークを作りこたえた。

「そっかー、じゃあ他には…」
その後、黒服は次々と鞄の中から物を取り出していく。
その量はあきらかに鞄の入りきるものではなっかった。

「あ、これ何?」
少年がその中のひとつを指差した。

「ポロリ温泉伝統製品初の支援型モルスァ試合専用ガンです」
「え?なにそれ」
「ポロリ温泉伝統製品初の支援型モルスァ試合専用ガンです」

異様なな空気が流れた。

「へ…へぇ…そうなんだ。ちなみにどうやって使うの?」
「わかりません」
少年は思った。では、何故もってきたんだ、と…

43以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 21:08:07.06 ID:D37eQVa5O
とお
44厨二病の休息 集いし薬師 (代理):2009/12/07(月) 21:08:54.61 ID:HcdMBV3X0
○月×日 22:10 クラブハウス・武道場

「…ちょっと無理しすぎたかね」
久々にどえらい強敵と戦ったので、体がついていかなかったのか。それとも俺の能力の限界だったのだろうか…
自らの疲労も合わせてなのか、どうやら予定より早く薬の副作用が来たようである。
「ヒッヒッ、大丈夫かぁい?よかったらこの薬を飲んでみなさい」

…そう言って魔女の一撃から差し出された薬は…



真ピンク。


…色は置いておこう、色は。実際さっきは真っ赤っかの薬飲んでるんだから。


何この甘ったるい匂いは?

いや駄目なんだけど俺マジ甘いの苦手なんだけどケーキ屋行ってもチーズケーキしか食べないほど甘いの苦手なんだけど


「…悪いが、遠慮しt「ほぅ…その薬…主成分、デビルアップルと見た!」


45以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 21:09:02.88 ID:p8+Zq2LhO
支援策
46厨二病の休息 集いし薬師 (代理):2009/12/07(月) 21:10:11.63 ID:HcdMBV3X0
声のしたほうを見ると、俺が突撃の時に勢い余って作った壁の穴からロン毛ババアがこちらへと来ていた。
「バァさんいつの間に…」「なぁに、外はえらいことになってるからねぇ…こっちに来てみたら、薬師がいるじゃないか」
「ほぉ…アンタ、分かるクチじゃのぉ?…面白い」

…なにやら話を始めた…なんか楽しそうだからいいか…


「…とりあえず…俺寝よ」
バァさんと魔女が楽しそうに話してるのを華麗にスルーしながら、俺の意識は暗闇へと落ちて行った…




「…これは…隠し味に駱駝の(ピー)を使っておるな?」「ヒッヒッ…甘いのぅ、魔女さんや…隠し味は麒麟の(ピー)じゃ」

「…なるほど…柿ピーにそんなものを突っ込むとはのぅ…流石は魔女さんじゃ」「いや、ウコンがそれに使えるとは知らなかったねぇ」

…薬師同士の話とは、恐ろしいものである。


47小ネタ (転載):2009/12/07(月) 21:11:31.54 ID:HcdMBV3X0
○月×日 22:07 クラブハウス・武道場


「厨2病、大丈夫か?」

 疲労の色が濃い「厨2病」を気遣ってか、「日焼けマシン」の契約者は声をかけた
 大丈夫だ、と「厨2病」は返してくるが…立ち上がることができないようだ

「それより、お前はさっさと服でも調達したらどうだ?」
「…?別に、このままでも」
「問題あるわよ」

 はないちもんめの少女が、「日焼けマシン」の契約者に突っ込んだ
 …問題は、ある
 多々、ある
 今、「日焼けマシン」の契約者は、上がほぼ裸の上に、黒服のスーツの背広を羽織っているだけと言う姿
 はっきり言おう
 胸元を隠せているようで微妙に隠せていない
 どう見ても胸チラしまくりです、本当にありがとうございました
 この格好のまま歩き回るのは、色々と問題がある

「ここはクラブハウスなんだし…服くらい、あるでしょ。探すわよ」
「そんな事する暇あったら、とっとと校舎に戻ってマッドガッサー達の所に行くのが先だろ?」

 「日焼けマシン」の契約者の言葉ももっともだ
 ………だが
 この格好のまま歩き回る事がどれだけ問題か
 「日焼けマシン」の契約者はカケラも自覚してはいない
48以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 21:12:59.92 ID:Wu/1cmLg0
試演
49小ネタ (転載):2009/12/07(月) 21:13:03.69 ID:HcdMBV3X0
 どうやって、その重大性をわからせる?
 体が女の状態でもメンタルが100%男の「日焼けマシン」の契約者に、その重大性を理解させるのは難しい
 いや、だからと言って、メンタル面まで女になられても困るのだが
 とにかく、時間が惜しいのだ
 急いで説得できる方法はないか、少女が考えていると

「ホ………チャラ男」
「何だ?」

 「日焼けマシン」の契約者を見上げていた「厨2病」が、ぽつり、呟く

「その格好、乳揺れしまくるのはさておき……痕も、丸見えだぞ」
「へ?」

 ……………
 …っは!!と
 気づいたらしい「日焼けマシン」の契約者
 慌てて、それを隠した
 …魔女の一撃の契約者につけられたキスマーク
 胸元の露出は恥ずかしくなくても、こっちは恥ずかしいらしい
 …どう言う心理なのか、少女にはやや理解不可能である
 三人のやり取りを聞いていた黒服は…小さく、苦笑して

「…まぁ、非常事態ですから。申し訳ありませんが、ここで上着を調達しましょうね?」
「………あぁ」

 こくり
 ようやく素直になって、「日焼けマシン」の契約者は頷いたの合った

とぅーびー?
50以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 21:13:38.37 ID:CWBDrWzPO
支援
51以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 21:13:43.34 ID:Wu/1cmLg0
がんばれ支援
52上田明也のRADIO GA GA (代理):2009/12/07(月) 21:15:24.90 ID:HcdMBV3X0
【上田明也のRADIO GA GA 其ノ二】

サーチライトは月の光と共に
タイトロープを照らせ………

ラジオから聞こえてくる一昔前のロックバンドの曲。

曖昧に笑いながら今日もラジオは始まる。
パーソナリティーは日替わり週替わり
誰がなるかは解らない
今日は偶々この二人だし
明日も偶々この二人かもしれない
さぁ、放送を始めよう


「はい、こんにちわ。
 人に地球に厳しい男、上田明也と。」
「はい、こんにちわです。
 ライアーゲームで真っ先に負ける都市伝説ランキング一位のハーメルンの笛吹きで。」
「「お送りしたいと思います」」


53上田明也のRADIO GA GA (代理):2009/12/07(月) 21:16:29.67 ID:HcdMBV3X0
「今日のOPは筋肉少女帯のサーチライトでした〜。」
「マスターは好きですねえ、そういう妙な……」
「なんか言ったか?」
「ヒィッ><」
「筋肉少女帯というとその独特な歌詞に注目されがちだが
 実はギターが凄く良い。
 橘高文彦のギターソロは清く正しく美しいロックで……」

「と言うわけで今日もBBSコーナー!」
チッ
舌打ちする音。
「舌打ちしても駄目です。
 語り始めると止まらないんですから。」

「なんだよもう……、じゃあ今日は俺がお手紙読むぜ。
 
 ラヂオネーム『演歌大好き』さんから

 メルさんが演歌を歌い出すとテンションがあがると聞いたので
 メルさんに夜桜お七を歌って貰いたいです。

 ……だとさ。」


54以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 21:16:48.97 ID:Wu/1cmLg0
しえ
55上田明也のRADIO GA GA (代理):2009/12/07(月) 21:17:20.28 ID:HcdMBV3X0
「お、私への振りですか。超嬉しいですね。
 ただそんなに歌う気は……。」

どこからか流れるイントロ。
そう、これは間違いない。
夜桜お七のイントロだ。
すかさずマイクを差し出……した瞬間に取られる上田。
それでは歌います、メルで夜桜お七。

「赤い鼻緒がぷつりと切れた
 すげてくれる手ありゃしない
 置いてけ堀をけとばして
 駆けだす指に血がにじむ

 さくら さくら いつまで待っても来ぬ人と
 死んだひととは おなじこと
 さくら さくら はな吹雪
 燃えて燃やした肌より白い花
 浴びてわたしは 夜桜お七
 さくら さくら 弥生の空に
 さくら さくら はな吹雪……」

意外な美声。
すこし弱い感じもするがこぶしの聞いた見事な歌声でしたとさ。


56上田明也のRADIO GA GA (代理):2009/12/07(月) 21:18:03.08 ID:HcdMBV3X0
「こんなんで良かったのか……?」
「良いんじゃないですか、誰得っていうか私得。
 それじゃあ次のお手紙。」

「え〜っと、ラヂオネーム『妹萌え』さんから

 上田さんはロリコンだそうですが妹は嗜むのでしょうか?
 嗜む場合は理想のシチュを
 嗜まない場合はその理由を答えて下さい。
 
 なんか英検の面接試験思い出すなこれ……。」
「エイケン?」
「ああ、気にするな。
 俺は妹も一応嗜むぜ。
 理想なのは相思相愛なんだけどあと一歩が踏み出せない状況で
 主人公が物凄い葛藤の中で死にたい状況一歩手前まで迷ったあげく
 いきなり襲いかかっちゃうようなのが良いよね。
 人間という存在が愛によって如何に狂い如何に倫理を踏みにじるかの過程をゆっくり鑑賞できるじゃない。」
「これ、流せるんですかマスター?」
「うん、本スレ用のネタじゃないよね。
 まあ避難所だし良いじゃない。」


57以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 21:18:04.10 ID:C1yzIdaB0
けっこん しえ ん
58上田明也のRADIO GA GA (代理):2009/12/07(月) 21:19:56.66 ID:HcdMBV3X0
「それじゃあ最後のお葉書です。」

「え〜っと、ラヂオネーム『犬のおまわりさんは良いけどおまわりさんの犬だとあれだよね』さん。

 もうそろそろ雪が降ってきて本格的な冬が始まりそうです。
 純白の雪は街を白く包み人々の心の傷も覆い隠すのでしょうね。
 白と言えばメ………」


ビリビリビリィ!

「またおまえか……。」
「第一話に続いての登場ですね。
 中の人がこの流れを気に入っているに違い有りません。」
「代わりのお手紙だ。
 ラヂオネームは『何処までも行ける切符』さん。

 中の人に質問です。
 ぶっちゃけ上田の物語は何処に行き着くのですか。

 うわ……、俺は聞かないからな!」


59上田明也のRADIO GA GA (代理):2009/12/07(月) 21:20:48.42 ID:HcdMBV3X0
と言うわけで中の人
まあ三つほどルートを考えております。
メルとイチャラブってのハッピーエンド。
メルに裏切られた後、自らのトラウマを乗り越えてとある都市伝説と再契約。
本当になりたかった正義の味方として戦うことを決意するトゥルーエンド。
都市伝説を飲み込んでウアー!ってなっちゃうノーマルエンド。
というか逆に聞きたいのが都市伝説を飲み込むってどんな人間じゃと。
トゥルーエンドのコースは黒服の人達巻き込みかねないし賛否両論すぎるのでできないかと。
まあハッピーエンドっぽく続くんじゃないのかな?と。

こっちの話はおわったよー

「あ、なんか終わったらしい。」
「私は全部聞いてましたけどね。まああり得なくもないですよね、それなら。」
「未来なんて解ったら死にたくなるジャンよ?」


60上田明也のRADIO GA GA (代理):2009/12/07(月) 21:21:44.94 ID:HcdMBV3X0
「ところで今日のゲストは誰ですか?」
「居ないね、代わりに別のコーナー入ってるよ。
 俺達の戦いがシミュレーションゲームになるから紹介するんだってさ。」
「私達関係のお話だけで良いんですか?」
「良いんです、流行っているのだから乗ろうや。」

「それじゃあ今度〜〜で発売される最新ゲーム、フォークロア(仮)の紹介だ。
 主人公は学校町の住人になってどこかの都市伝説組織に加入したり
 フリーの契約者としてフラフラしながら日常を過ごしていくんだよな。」
「恋愛シミュなんで攻略相手によってEDは千差万別ですね。
 シリアスからギャグまで……本当に色々あってフリーダム。
 戦闘システムは固有スキルやパーティーメンバーの組み合わせで様々なコンボが発動するから
 かなり戦略的に遊べますね。」
「で、俺達関係のお話か。
 まあ最初の家にイベントNo.14をこなして俺達と戦ってみてくれって所だな。
 メルと俺を倒せばザコ敵は逃げるから優先的に俺達を狙った方が良い。
 ボス補正がかかっていて厄介だし俺はHPが30%以下になると発狂性能になるから囲んで倒すに越したことはない。
 メルは……まあ本当に居るだけだから。」


61上田明也のRADIO GA GA (代理):2009/12/07(月) 21:22:29.58 ID:HcdMBV3X0
「なんと!失礼な!
 イベントNo.28での戦闘で主人公と一緒に戦うのはマスターだけですね。
 其の後の戦闘から私が出てきます。
 ホロゥさんや黒服H、鏡あわせのアクマと相性が良いので使ってみると楽でしょう。
 まあ隠しイベントでは私以外の専用都市伝説に変わるらしいですけれど。」
「誰それ?」
「中の人がトゥルーエンドで出せないキャラを妄想だけでもこっちに出したいそうです。
 操作系の戦闘で出来ない激しい肉弾戦メインのキャラですね。」
「聞いてないぞ……。」
「あ、そろそろ時間です。
 それじゃあまた来週!」
「ええ!?」

それでは皆さん、さようならさようなら。

プツッ


「この番組は
 発売日未定、でも超大作「フォーク☆ロア(仮)」
 が応援しています!」
【上田明也のRADIO GA GA 其ノ二 fin】
62マッドガッサー決戦編 血の池地獄の亡者達 (転載):2009/12/07(月) 21:23:30.77 ID:HcdMBV3X0
○月×日 22:32 「13階段」内血の池地獄


『−−−−−い』
『ニクい……』
「………?」

 聞こえてきた声に、ドクターは眉を顰める
 広い空間に響きだした、声

 …ちゃぷり
 血の池から、亡者達が顔を出してきた
 土気色の顔、腐り落ちていきつつある顔、完全に肉が落ちて骨だけの顔
 無数の顔が、姿を現す

『ニクい……13カイダンめぇ……!』
『どうしてボクをコロしたの?どうしてどうしてどうしてどうして……』
『13カイダンのヤロぉおおおおお!!!!コロしてやるコロしてやるコロしてやるコロしてやる……!!』

 響き渡るは恨みの声
 「13階段」への、亡者達の恨みの声
 それが、響き渡り空間を揺らす

「…なるほど、「13階段」の被害者達、ということか…」

 「13階段」を恨みながらも、「13階段」の能力で使役され、操られる憐れな存在
 …そんなところか
63マッドガッサー決戦編 血の池地獄の亡者達 (転載):2009/12/07(月) 21:24:12.71 ID:HcdMBV3X0
『H−360のヤロぉ!オレをはめやがったなぁあああ!!』
『Hめぇ……チクショオ、オレのノウリョクをあいつにオシえたなぁ!!』
「……む?」

 …おや?
 「13階段」を恨む者だけかと思ったら…あの黒服に対する恨みも混じっている?

「なるほど、彼は「13階段」に関わっていたようだからな…「13階段」の殺しにも、ある程度関わっていたか」

 ちゃぷり、ちゃぷり
 血の池を揺らし、亡者達はゆっくり、ゆっくりと…ドクターに近づいてくる
 亡者達の口からは…恨みだけではなく、死の間際の、最後の言葉まで漏れ出していた

『やめて、やめてよ……H−96、おネガい、やめて……タスけて…』
『ミノガしてくれよ!H−96!!お、オレタチ、イッショにソダったナカだろぉ!?』
『ナニをする、H−96……っ!まさか、「ソシキ」をウラギるのか!?』

 恨み、死の間際の言葉
 …心を侵し、生きる気力を奪わんとする声

「…H−96…?誰の事だ?」

 しかし、ドクターはその影響すら、ほぼ受ける事無く
 ただ静かに、せまり来る亡者達を観察しているのだった


to be … ?
64糸井和弥と中身の少女 (代理):2009/12/07(月) 21:25:37.78 ID:HcdMBV3X0
22:35 the 3rd Floor At One of the 7th Grade Classrooms

私はおもむろに席を立つ。
(おい、何をする気だ?)
「戦力は少しでも多いほうがいいと思ってね。」
(それはどういう―)
「まあ、見てれば分かるわ。」
そう言って私は集中する。
「『蜘蛛乃糸参拾伍式 複身』」
数多の糸が編み込まれ、人の形を成していく。
数秒後、そこには一人の女性が立っていた。突然の出来事に俺は咄嗟に身構える。…あれ?カズネはどこに行った?
「ちょっと!私に向かって警戒態勢とらないでよね!」
聞き覚えのある、いや、いつも聞いている声だ。
「まさか、カズネなのか?」
「ええ、見様見真似でやってみたけど、案外上手くいったわね。」
「見様見真似って…何で覚えた?」
「何って…格ゲーから。」
「見様見真似の癖に本家よりも上いってんじゃねえか。」
「細かいことは気にしちゃだめよ?」
「はいはい…」


65以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 21:26:48.59 ID:p8+Zq2LhO
支援支援
66マッドガッサー決戦編 彼らの事情 (転載):2009/12/07(月) 21:28:38.44 ID:HcdMBV3X0
○月×日 21:00 パソコンルーム


「…状況、は…?」

 「爆発する携帯電話」の契約者が、静かに尋ねる
 すると…教室中のパソコンの電源が、一斉に入った
 パっ、パっ、パッ……と、それぞれに監視カメラの映像が映し出される

『カミナリノオトデワカッテルカモシレナイガ、さんだーばーどガタタカイダシタゼ、バカデケェろぼっとトナ。アトハ、ショクドウノマエニズイブンナオオニンズウガアツマッテンノト……ア〜、ニカイノキョウシツデモタタカイガハジマッテンンナ』

 パソコンから聞こえてくる機械的な声
 教室の中央のパソコンに、男性の映像が映し出された
 都市伝説「スーパーハカー」が作り出した、彼自身の(理想とする)姿だ
 本来の姿を持たない彼は、こうやって擬似的に姿や声を作りだし、他人とコミュニケーションをとるのだ

「なるほど、これで少年が傷ついた事がわかったのですね?」
「……あぁ」

 オーナーの言葉に、「爆発する携帯電話」はこくりと頷く
 この校舎内の監視カメラは、完全に「スーパーハカー」の支配下におかれているのだ
 校舎内に侵入した者達の様子も、全て感知する事ができる

「…っつか、映像の数すげぇな。いくつ監視カメラあるんだよ」
「……20台は超えている、らしい……」
『イヤダネェ、カンシシャカイッテヤツハ』

 それを利用していることを棚に上げて、スーパーハカーが肩をすくめた
67以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 21:29:26.39 ID:CWBDrWzPO
しえ
68マッドガッサー決戦編 彼らの事情 (転載):2009/12/07(月) 21:29:44.87 ID:HcdMBV3X0
 ……と、映像内に、黒い群れから逃げている女性の姿が映った
 その様子に、「爆発する携帯電話」がぴくり、小さく反応したが…女性が階段を登って逃亡したのを見て、小さくほっとしたようにため息をつく

「何じゃ、あのゴキ○リの群れは?あれも、お前さん達の仲間の仕業かの?」
「……違う…あれ、知らない…」

 ふるふる
 ひきこさんの問いかけに、首を左右に振る「爆発する携帯電話」
 先程のネズミの群れと言い…校舎内に、マッドガッサー一味以外の勢力によるアニマルパニックやGパニックが起こっているようである

「…そうです、一つ、聞いても良いですか?」
「……?何、だ…?」
「司祭様…マリ・ヴェリテは、以前、静かに暮らしたいと、そう言っていました……その発言は、彼の真意なのでしょうか?」

 オーナーの問いかけに…「爆発する携帯電話」は、考え込むように俯いた
 …やがて、ぽそぽそと答える

「…本音、だと、思う…」

 ぴすぴす、ジャッカロープが鼻を鳴らしながら頷いた
 「爆発する携帯電話」の考えに、同意しているようだ

「…マリ、は…ヨーロッパに居た頃……何度か、人食いをやめようとした、と……人を襲わずに生きようとしたことがある、と、聞いて…いる」
「それじゃあ…」

 どうして、まだ人食いを続けているのか
 少年が尋ねようとしたその内容を察したのだろう
 「爆発する携帯電話」が、続ける

「…信じてもらえなかった…と、聞いている」
69以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 21:32:52.34 ID:bT5BwRJ90
支援
70以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 21:35:57.25 ID:qbQEuRl8O
支援
71マッドガッサー決戦編 彼らの事情 (転載):2009/12/07(月) 21:38:11.44 ID:bT5BwRJ90
「信じて……ですか」

 オーナーは、以前、マリが司祭の姿で話していたことを思い出す

『向こうには、都市伝説と呼ばれる存在を狩る事を生業としている者も多いんです。その手の者は、その都市伝説がほんの少しでも悪い噂から…人を害する噂から生まれた、となれば、たとえその都市伝説が人間と分かり合おうとしていても、狩りたてようとしますから』

 信じてもらえなかった
 それは、間違いなく、マリの実体験だったのだろう
 人食いをやめようとしても、人を襲うのをやめようとしても
 ……誰にも、信じてもらえなかった

「じゃから、人食いを続けていた、と?」
「っちょ、ばーちゃん!」
「……………」

 −−−ひきこさんの言葉に俯いてしまう「爆発する携帯電話」
 ぴすぴす、ジャッカロープが心配そうに見あげる

「……罪を」
「…?」
「罪、を……押し付けられた、と…聞いた…」
「…罪を?」

 こくり、頷く「爆発する携帯電話」
 −−「爆発する携帯電話」も、詳しくは聞いていない
 マリが、その経験を詳しくは話さなかったから

 ただ
 「罪を押し付けられた」と、そう、苦々しい表情で言っていた
72マッドガッサー決戦編 彼らの事情 (転載):2009/12/07(月) 21:39:50.22 ID:bT5BwRJ90
 「マリ・ヴェリテのベート」と言う都市伝説を人食いであらせようと…「悪」のままでいらせようとした存在が居る
 その事実が、確かに存在している
 静かに暮らす事すら、彼は許されなかったのだ

「…自暴自棄になってしまったのかもしれませんね。「悪」と言うレッテルを、強制的に押し付けられて」

 ぽつりと、オーナーがそう呟いた
 どんなに望んでも、人食いである事を強制させられて
 誰とも、心を許し会う事すらできずに生き続けた都市伝説
 その心が歪まずにいられたならば、それは一種の奇跡だろう

 今のマリ・ヴェリテには、この「爆発する携帯電話」のような仲間がいる
 長い長い生の中、ようやく手に入れた仲間
 それを、決して失いたくはないのだろう

 だからこそ、今回の行動を起こした
 世界中、全てを変えるために
 世界中の全てから、自分達を害する者を排除する為に

 どこまでも自分勝手で、しかし、どこまでも仲間を思うが故の行動

 だが、だからこそ、止めなければならない

「マッドガッサーは、屋上にいるんだよな?」
「あぁ………でも……」
73マッドガッサー決戦編 彼らの事情 (転載):2009/12/07(月) 21:40:39.93 ID:bT5BwRJ90
『ソウカンタンニャア、セットクニオウジナイトオモウゼ?』

 「爆発する携帯電話」の心境を、スーパーハカーが代弁した
 そう簡単に説得に応じる程度の覚悟で、今回の行動を起こせるはずもない
 「爆発する携帯電話」だけではなく…他の者も、説得すれば
 マッドガッサーを、思いとどまらせる事はできるだろうか?

「…マッドガッサーと、マリを、説得できれば……多分、止められる」
「じゃが、その為には他にも誰か説得しなければいかんと言う事じゃな?」
「………くけっ」

 こくり、ひきこさんの言葉に頷く「爆発する携帯電話」
 ならば…まずは、他の誰かを説得するまでだ

「携帯のにーちゃんの仲間は、屋上以外にどこに!?」
『ン〜…アァ、まりガイマ、ぐらうんどニイルナ。マジョノイチゲキモソコニイル。13カイダンガセイトカイシツヨコノカイダンノオドリバデ…………−−−−−−っ!?』
「……?どうした……?」
『はにー!イソイデソコカラハナレロ!!』
「……え」

 慌てた声を出すスーパーハカー
 彼が、とある監視カメラの映像を慌てて映し出す
74マッドガッサー決戦編 彼らの事情 (転載):2009/12/07(月) 21:41:31.79 ID:bT5BwRJ90
 それは…「爆発する携帯電話」達がいる、パソコンルームの前の廊下だ
 そこを……かさかさ
 かさかさかさかさかさ
 無数の、黒い………Gが、縦横無尽に走っていて

「−−っちょ!?まさか、囲まれてんのかよ!?」
『コノご○ぶり、ジカンガタツゴトニフエテヤガルッ!?コノキョウシツノマエデドンドンゾウショクシテンゾ!!』
「…これは、何とかしないと、ここから脱出できなくなるかもしれませんね…」

 冷や汗をかくオーナー
 相手がゴキブ○とは言え、都市伝説の影響を受けている可能性があるのだ
 ただの○キブリを侮ってはいけない

 ……とにかく
 誰かを説得しに行くとしても…まずは、このパソコンルームから脱出するのが、先だ
 少年とオーナーは、手にした獲物を静かに、構えなおしたのだった



to be … ?
75マッドガッサー決戦編 彼らの事情 (転載):2009/12/07(月) 21:42:24.56 ID:bT5BwRJ90
○月×日 22:32 視聴覚室横階段前


「……………」

 その視線に、殺意に気付いて
 黒服Hは、一瞬、ほんのわずか眉をひそめた
 校舎の外……窓の向こう側、はるか、はるか遠くから
 こちらに向けられる、殺意交じりの視線

(……ったく、連中、押さえつけられなかったのか…)

 どうする?
 黒服Hは考える
 どの契約者が差し向けられたのかは、知らない
 だが、恐らくは無関係の者を巻き込む事に躊躇しない者が選ばれているはずだ
 無関係の者達と一緒にいる事は、保険にはならない

 …いつでも、対処できるようにしなければ
 スーツのポケットに入れた携帯にかすかに触れながら…外からの殺意に警戒していることを悟られないようにしたまま、「13階段」を見あげるのだった


to be … ?
76以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 21:42:36.67 ID:Wu/1cmLg0
しえん
77マッドガッサー決戦編 彼らの事情 (転載):2009/12/07(月) 21:43:57.17 ID:bT5BwRJ90
ぎゃあ名前欄間違った
>>75は『黒服H 殺意の視線』でお願いします・・・
○月×日 22:33 二階踊り場


 たんっ、と踊り場に降り立った一同
 スロープ状になった怪談の、その向こう側…二階の、その場所に、複数の人影見つけた

「…あ、髪の伸びる黒服さん!」
「ん?……おぉ、来たか」

 Tさんの契約者の声に、黒服Hが反応した
 ひらひらと、気軽に手を振ってくる
 そして、どこかた楽しげに笑って…三階への階段の踊り場方向を見上げて、誰かに声をかけている

「…なぁ、時間が経つごとにこっちの人数は自然と増えそうな予感な訳で。お前さんにゃ不利になるぜ?」
「俺が能力を解除しない限り、三階に上れないのは変わりがないだろ?」

 聞こえてくる、一堂には聞き覚えのない、声

「もしかして……「13階段」?」
「どうやら、そうらしいな」

 契約者を抱えたまま、スロープを一気に飛び越すTさん
 そこには黒服Hと、メイド姿の少女を背負った巨大な黒犬、爆乳少女という組み合わせの一向がいて
 ……そして
79以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 21:44:55.72 ID:p8+Zq2LhO
支援
 彼らが見あげる、三階への階段の踊り場
 そこに…一人の青年が立っていた
 Tさんと契約者、リカちゃんには見覚えのある姿だ
 あの黒服が見せてくれた写真で、顔は確認してる

 −−−−「13階段」

 Tさんや姫さんたちの姿に、「13階段」はやや動揺したような様子を見せながらも……しかし、余裕は崩さない

「何人増えようが同じだ。ここは通さないぜ」
「……やっぱり、無理みたいだ」

 降参
 そうとでも言うように、黒服Hは肩をすくめた

「だ、だから、諦めちゃ駄目ですってば!ドクターさんも助けないと…」
「あいつの能力で引っ張り込まれたら、あいつでも救出不可能だぞ、あれ。異空間制御に長けた奴がいりゃあ別だが」
「…説得に、手間取っていると言った所ですか?」

 妹ちゃんの言葉に、ザクロが困ったように…しかし、背負っているメイド少女を落とさないようにしつつ、頷く

 階段の前に増えた勢力
 それでも…「13階段」は、意地を通し続けようとしていた

to be … ?
81以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 21:45:56.94 ID:LKUdsnXz0
支援
82Tさん (転載):2009/12/07(月) 21:47:28.03 ID:bT5BwRJ90

 階段を前にして足止めを食らっちまった。
 その足止めを担当している、黒服さんに見せてもらった写真の通りの≪13階段≫の兄ちゃんを見ながら、写真を見せてもらった時に聞いた話を思い出す。
「黒服さんから聞いた話だと≪13階段≫って遠距離攻撃に無力なんだよな?」
 そう言ってTさんに顔を向ける。
 Tさんは、ふむ、と相槌を打ち、
「では一発いってみるか?」
 手に光を灯して≪13階段≫の兄ちゃんに向けた。
「つーかーな仲だな」
 髪が伸びる黒服さんが呟いている。
 すると、
「待ってくださいませ!」
「うぉっ!? 犬が喋った!?」
 メイドの姉ちゃんを背負ったでっかい黒犬がなにやらTさんを止めるように喋った。
「喋る人形を普段から連れておいて何を言っているんだ」
 Tさんはそう言いながら黒犬を見て訊ねる。
「ドクターがどうとか言っていたな。それが問題か?」
「ええ」
 黒犬の姉ちゃんの話だとドクターとかいう人物が≪13階段≫に飲まれちまったらしい。
「気絶させれば戻ってくる……わきゃないか」
「下手をすると≪13階段≫の異界へ侵入するルートを潰すことになりかねんな」
 俺の一言を受けてTさんがぼやく。
83以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 21:47:37.77 ID:HcdMBV3X0
支援にまわる!!
84以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 21:49:17.00 ID:qbQEuRl8O
しえん
85以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 21:49:28.39 ID:Wu/1cmLg0
しえーん
86以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 21:53:33.81 ID:xDyPWfeB0
おっぱい支援
87以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 21:55:52.19 ID:xDyPWfeB0
アニキ「舐めろ舐めろ」
アニキ「舐めるぞ舐めるぞ」
アニキ「舐めろ舐めろ」
アニキ「舐めるぞ舐めるぞ」

かごめ「アッーッッッーーーーーッッーッ」


午前二十三時くらいを お知らせしまう
88以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 21:56:50.83 ID:xDyPWfeB0
スマン 今日は頭が緩い ねる
89Tさん (転載):2009/12/07(月) 22:00:35.55 ID:bT5BwRJ90
 さてどうしたもんかと首を巡らせていると髪が伸びる黒服さんと目があった。どうも≪13階段≫の件はいろいろ難しそうなので先にこっちの疑問を晴らしておくことにする。
「そういや髪がのびる黒服さん、≪スパニッシュフライ≫から逃げられたんだ?
 突然消息不明になるし、かと思ったらとりあえず戦意喪失した≪魔女の一撃≫が≪スパニッシュフライ≫に髪の伸びる黒服さんは操られてるって言ってたからちょっと心配してたんだぜ?」
 見た感じだと髪の伸びる黒服さんは無事そうだ。
「ああ、おかげでいろいろと殴られたけどな。
 それにしても、奴らの戦力を一つ潰したのか。そいつは良好だな」
 そう言って笑う表情もこの前会った時と大して変わらなく見える。
「……髪の伸びる黒服さんはマッドガッサーを止める側でいいんだな?」
 Tさんが尋問するように訊ねた。
「おいおい、じゃなきゃこんなところで真面目に説得なんてしてないぜ?」
「あんまりまじめにみえないのー」
「人形が、しゃべった……?」
 爆乳嬢ちゃんがなんか驚いてる。俺的にはその体系こそが驚きなんだけどな……。
 髪の伸びる黒服さんは、あー、と唸ると、
「それは、アレだ。じっくり相手を刺激しない戦略なのと、あと、このハーレム状態を長く味わっていたくてな。また女率が増えたわけだしな。――なんならTさんも女体化してみるか?」
「いらん」
 女体化したTさん。見たいかもしれない……。そしてそれをハーレム的な意味で見たがるこの黒服さん、変態なのかもしれない。
「≪魔女の一撃≫が髪の伸びる黒服さんはマッドガッサーの計画に共感していた、と言っていたからな。そしてその能力を持っていてドクターを階段に飲みこまれている現状……少し疑いたくなった」
 共感っつーと、
「確か『人間と都市伝説の境界を取っ払えるんだとしたら素晴らしい』ってやつだっけ? 俺もそれ自体はいいことだと思うぞ?」
 俺が言うとTさんは首肯。
90Tさん (転載):2009/12/07(月) 22:01:34.77 ID:bT5BwRJ90
「確かに俺もその考えには賛成だが、マッドガッサーのやり方にまで賛同されていたらかなわん」
「おいおい、一応数人に対して妨害に動いていたがそれは≪スパニッシュフライ≫に操られていたからであってな?」
 弁解する髪の伸びる黒服さんを見てTさんは頭をかく。
「ああ、だろうな。――すまない、結構連戦していて多少疲れているようだ」
 言ってTさんはため息を吐く。
 そして皆に対して、
「さて、俺たちは≪魔女の一撃≫とその契約者の戦意喪失以上の交渉材料を持っていないわけだが……」
「困りましたね」
 結界嬢ちゃんも言葉の通り困り顔で言う。
「ドクターって奴は大丈夫なのか?」
「いや、急がないと危険なんじゃないかと思う」
 階段を見ながらの独り言に爆乳嬢ちゃんが答えてくれた。
「だろうな」
 Tさんも階段上を見上げる。
「……もし実力行使に出るのなら声をかけてくれ。それまでは、待機か」
 階段前、最上階に上るために通らなければならない通路を目の前にしながら、ひとまず待つしかないのだった。


22:35 二階踊り場
○月×日 22:34 「13階段」内血の池地獄


『H−360めぇええええ!!こいつにナニをオシえた!?H−96にナニをしたぁああ!!??』
『ヨケイなコトを……っやめろ「13カイダン」!!そいつのイうコトをキくのをやめろぉおお!!!』

 怨念の声が響く
 死の間際の声が響く
 生温い血の海が、声に反応して揺れ揺れる

「…常人ならば、気が狂うかもしれんな」

 亡者達を見回し、ドクターはそう呟いた
 ゆっくり、ゆっくりと、ドクターに近づく亡者達
 はじめ、ほんの一瞬は止まったものの…しかし、やはり亡者達は、本来の目的を
 ドクターを血の池の中に引きずり込むと言う作業に、戻ってしまったようだ
 ちゃぷり、ちゃぷり
 血の池が揺れて、亡者が近づき…

 がしり

 とうとう、一体の亡者の手が、ドクターを掴んだ
 完全に、白骨化した手
 血に濡れた白骨の手が、ドクターをしっかり掴んで…髑髏が、ドクターを見詰めてくる

『やめて…シにたくない……ッタスけて……』

 漏れ出す、死の間際の言葉
92以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 22:03:57.61 ID:HcdMBV3X0
支援!!
 ずるずると、ドクターを血の海に引きずり込もうとする、その手を
 そっと、ドクターは逆に掴んだ

「……享年、20歳といった所か……これから、人生を楽しむ所だったろうに」
『−−−−−っ!?』

 手を捕まれ、亡者が動揺した
 血の海の中、ドクターはその白骨化した亡者の腰に手を添える

「人生の楽しみを奪われ、辛かったろうに……」
『!?っ、!!???』

 混乱している亡者
 他の亡者達がざわめきだす
 ドクターの行動が、「13階段」の能力で操られた亡者達に、ありえない反応を返させる
 うろたえる白骨女亡者を前に……ドクターは、その形のいい唇を釣り上げ、笑った


○月×日 22:36 階段踊り場

「−−−−自重しろよおいぃいっ!?」
「「「!!??」」」

 突然叫んだ「13階段」
 警戒して一同が彼を見上げると……何か、悪寒でも感じたように嫌そうな表情を浮かべている

「何かあったのかしら?」
「ただの予感なんだが…異空間内で何かあったのかもしれないな」
『ドクターが何かしたと?』

 多分、と黒服Hは頷いた
 そうとしか、考えられない

「…なぁ、何か集中乱れてるみたいだし、この隙に「13階段」の能力が解除されるって事は」
「ない。一旦発動したら、解除まで集中いらないからな」

 駄目か、と残念そうに呟くTさんの契約者
 周囲に受け答えをしつつも……黒服Hは己の背後の窓の向こう側から
 はるか遠くから向けられる……その、殺意を相手に
 警戒を解く事は、なかったのだった


to be … ?
95以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 22:08:07.41 ID:HcdMBV3X0
しえーん
96「組織」の誰か(やられ役) (転載):2009/12/07(月) 22:09:18.45 ID:bT5BwRJ90
○月×日 22:35 中央高校より500q 建設途中のマンション屋上


「よし…H−360を確認……あとはH−96だけだな…」

 ーーー騒動の現場より、はるか離れたそこで
 黒尽くめの不審な男が、その決戦の現場を望遠鏡を使って眺めていた
 ターゲットの一人は補足した
 あとは、もう一人
 もう一人が、ここから見える位置に現れれば…!

「……出来損ないのHナンバー共が。裏切り者の失敗作共め…上層部が何を考えてあの連中を生かしているのかは知らないが。上層部が始末しないなら、俺が始末するだけだ」

 …ひらり
 男の傍らに舞い散る、純白の羽
 いつでも攻撃はできる
 いつでも、連中を殺せる


 後は、もう一人の目標が、あの窓に姿を現すのを、松だけだ


to be … ?
97小ネタ (転載):2009/12/07(月) 22:10:35.97 ID:bT5BwRJ90
○月×日 22:20 クラブハウス


 サッカー部の部室でユニフォームを失敬した「日焼けマシン」の契約者
 これで、胸元やら痕やらを隠す事が出来た
 …首筋の痕は、まぁ、髪でギリギリ隠れるだろう、多分

「よし、行こうぜ」
「本当に、大丈夫ですか?もう少し休んでいた方が…」
「平気だって」

 黒服の言葉に、そう言って「日焼けマシン」の契約者は笑った
 本当は、まだ若干ふらつくが…急がなければならないのだ
 一刻も早く、マッドガッサーの野望を止める為にも、校舎に戻らなければ

「階段には、「13階段」の能力が働いてるん…だよな?俺が階段登った時は平気だったけど…」
「恐らく、あなたは発動の対象から外されていたのでしょう…マッドガッサー達は、あなたの顔を知っていたようですし」

 魔女の一撃の契約者が執着していた相手だからこそ、「13階段」の能力発動の対象から外されていた
 運が良い話だと、黒服は思った
 そうではなかったら…きっと、この子はとっくに、「13階段」に引きずり込まれて、死んでいる

「そうか…じゃあ、非常階段使う訳にもいかねぇな」
98以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 22:10:57.08 ID:HcdMBV3X0
しぇーん
99以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 22:11:36.74 ID:qbQEuRl8O
しえ
100小ネタ (転載):2009/12/07(月) 22:12:13.59 ID:bT5BwRJ90
「そうね。うまくいえば三階まで直行できるけど…「13階段」を解除しない限りは、危険すぎるものね」

 はないちもんめの少女が、「日焼けマシン」の契約者の言葉に頷いた
 …非常階段の場所を知っていても、今、使えなければ意味がない

「ここから一番近い、公者に入れる出入り口はわかりますか?」

 「日焼けマシン」の契約者は、この学校の卒業生だ
 黒服は、「日焼けマシン」の契約者に尋ねる

「クラブハウスからだと……食堂の職員が使ってる出入り口が一番近い。でも、十中八九鍵がかかってるぜ?」
「…非常事態だもの。壊すしかないでしょ」

 今更、鍵の一つや二つ壊れた所で、何も変わるまい
 そもそも、マッドガッサー一味が学校に入り込んだ時点で、正面玄関は破壊されていたのだし

「そうですね…非常事態ですし。鍵を破壊してそこから入りましょう」

 黒服の言葉に、「日焼けマシン」の契約者とはないちもんめの少女が頷く
 三人はクラブハウスを出て、雷が落ちるグラウンドを抜けて…再び、校舎に向かったのだった


to be … ?
101以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 22:14:16.07 ID:HcdMBV3X0
支援
102赤い靴 (転載):2009/12/07(月) 22:19:28.62 ID:HcdMBV3X0
○月×日 22:38 職員室前 階段前


 ナイスロリータを連れた少年と共に、念のため校舎一階をくまなく探索しておいた
 恐らく…一階には敵対勢力や他のマッドガッサーを止める為にやってきた勢力はいないはずだ
 やたらと広い学校だから、すれ違っている可能性も否めないが…

 ちなみに、大体育館は調べていない
 あそこは、完全に封印状態だ
 ……多分、空けた瞬間に黒い悪魔が溢れ出す
 あれは、危険すぎる。精神ダメージ的な意味で

「…後は二階か」
「み、上に上がるの!」

 ナイスロリータである花子さんと、その契約者がそう言ってくる
 確かに…マッドガッサーを止める意味でも、一階にいる理由は最早ない

「階段がスロープ状になってるところがあったわよね?あそこから行けば「13階段」の能力にも引っかからないわよね」
「そうだな。他に二階へあがる手段は…まぁ、なりふり構わなければいくつかあるが。一番安全に、となるそこだな」

 さて、そこまで走るとするか
 契約者の体を、抱きかかえようとして

「………うん?」
103以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 22:20:18.97 ID:Wu/1cmLg0
おっとあぶないリロードしてよかった紫煙
104赤い靴 (転載):2009/12/07(月) 22:21:03.60 ID:HcdMBV3X0
 ふと
 すぐ傍の階段から…違和感を感じた

「どうしたの?」
「…いや」

 目の前の階段には、「13階段」の能力が発動している
 階段の13段目に、異空間への扉が出来上がっているのが、はっきりと自分には見えるから
 その……「13階段」による異空間から
 人間の、気配を感じたのだ
 それも、都市伝説契約者の

「…誰か、「13階段」の能力で飲み込まれているみたいだな」
「え…わかるのか?」

 花子さんの契約者の言葉に、あぁ、と頷いてやる
 一応、今現在はまだ生きているようだが…
 助けるべきだろうか?

「みー…?助けられないの?」

 …おぉう!?
 ナイスロリータがしょんぼりしている、だと!?
 これは、何とかしなければ!!

「…異空間に干渉して、引っ張り出してみていいだろうか?」
「できるの?赤い靴」
「あぁ。異空間を使った転移は封じられているが、他の異空間に干渉するくらいなら」

 やってもいいか?と契約者に尋ねる
105以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 22:21:29.73 ID:qbQEuRl8O
支援
106赤い靴 (転載):2009/12/07(月) 22:22:45.00 ID:HcdMBV3X0
 こくり、契約者は頷いてきて
 よし……ナイスロリータに笑顔を取り戻す為にも、やるか!

 目の前の階段に、手を伸ばす
 そこに作られた異空間への扉に、手をかける感覚
 こじ開けるように、異空間を開き……中を、見た

「−−−−−−っ」

 これは、また…悪趣味な空間だ
 感じた、濃密な血の匂い
 血の海が、どこまでもどこまでも広がっている

 その、血の海の中に
 一人……生きた、人間の姿が見えた
 他は全て「13階段」の能力で使役されている存在のようだが…あの人間だけは、違う
 恐らく、あれが「13階段」の能力で引きずり込まれた存在だ

 その、髪の短い女性に手を伸ばす
 血の海に手が入ってしまうが、仕方ない
 がしり、彼女が着ている服に手がかかった

 −−−−これで、引きずりあげられる!

 ずるり、と……干渉した異空間の狭間から、その女性を引きずり上げた
107赤い靴 (転載):2009/12/07(月) 22:23:28.20 ID:HcdMBV3X0
「おや?」
「うん、どうやら死人一歩手前と言う訳でもなかったみたいだな」

 引き上げられた女性は、やや不思議そうな……そして、少し残念そうな表情を浮かべていた
 …何故、残念そう?
 首から下が血で真っ赤に染め上げられているが、とりあえず外傷はなさそうだ

「大丈夫か?」
「み?だいじょーぶなの?」

 少年と花子さんが、女性を気遣うように声をかけた
 契約者は、やや胡散臭そうに女性を見詰めている

「あぁ、ボクの事なら、何も問題はない」

 女性はそう言って…こちらを、見あげてきた
 ババアだが、世間一般で言う美人に該当する顔立ちだろう
 だが、どこか冷たさと言うかそんなものも、同時に感じて

 ……さらに
 全身を、何かが走りぬけた

 どさっ!!

「「「あ」」」
108以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 22:25:11.66 ID:qbQEuRl8O
しえ
109赤い靴 (転載):2009/12/07(月) 22:25:13.75 ID:HcdMBV3X0
 女性から手を離してしまい…女性は、床に落ちた
 咄嗟の事で受身が取れたかどうかは、わからない

「痛いじゃないか」
「よくわからんが、背筋を悪寒が走った。むしろ、本能が逃げろと叫んだ。反省はしていない」
「幼女相手にあんたがそれを感じられるならともかく、なんであんたがそれを感じたのよ」

 契約者に突っ込まれたが、自分でもよくわからないから仕方ない
 よくわからんが、この女性に……女体化してしまっている自分は、長時間接近していてはいけないような
 そんな予感を感じたのだ


 ーーーーーいや、もしかしたら
 彼女の全身に纏わりつく、この血の匂いに
 忌まわしい記憶を掘り起こされつつある事を
 自覚してしまったからかも、しれないが



to be … ?


110マッドガッサー決戦編 意地(代理):2009/12/07(月) 22:32:59.58 ID:Wu/1cmLg0
○月×日 22:40 視聴覚室横階段踊り場


「…………」

 …己の契約している都市伝説で作り出した異空間
 そこに取り込んだはずの女性が、何者かによって救出されたことを、「13階段」は確かに感じ取った
 転移系能力は、魔女の一撃が描いた魔法陣によって封じられている
 異空間に干渉する能力だって、ある程度封じられているはずなのだ
 だと、言うのに…異空間に干渉してきて、中に取り込んだ相手を救出した
 異空間操作のエキスパートが、校内に入り込んでいる
 …それは、確かだ

 ちらり、傍に置いてある携帯電話に視線をやった
 そこには、一階職員室傍の階段の前に集まる男女…と言っても男は少年一人だが…の姿を映し出していた
 あの、デカい胸の女の仕業か
 確か、あれは…女に変えてやった、赤い靴か
 くそ、あの赤い靴、異空間操作に長けているのか
 目の前の連中に、悟られる訳にはいかない

「…なぁ、意地を張るのはやめないか?」

 黒服が、声をかけてきた
 自分に、色々と教えてきた黒服が…本気なのかやる気がないのか、なんとも中途半端な態度でこちらを見あげてきている

「意地?何の事だ?」
「お前さんは、意地を張ってるだけだろ。今の状況も全部わかっていて「13階段」の能力を解除しないのは、お前さんが意地を張っているだけだ」

 他の連中よりは、一歩退いた位置…窓際に寄りかかるような体制で、黒服はこちらを見あげてきている
111以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 22:34:39.51 ID:qbQEuRl8O
しえん
112マッドガッサー決戦編 意地(代理):2009/12/07(月) 22:34:57.44 ID:Wu/1cmLg0
 …相変わらずの、どこかニヤけた顔
 何もかもわかっているようなふりをして、大嘘をつくときの顔
 まったく、気に食わない

「ま、意地を張りたくなる気持ちもわかるがな。説得に応じないのは、マッドガッサーやマリのことを考えてのことだろ?連中、説得しに来た「ふりをした」連中に騙されかけたり騙されたりしてきてるからな」
「…………」

 …どこまでを、本当に知っているのか
 それとも、ハッタリや推測を含んでいるのか
 あぁ、畜生が
 あのど変態、真面目な考えをしていやがる時は、全く考えが読めない

「俺達が本当にお前さんたちに危害を加えたくなくて説得しようとしているのか…いや、俺たちがそうだとしても、俺たちの上司やら関係者やら。その辺に悪意がないとは言い切れない。だからだろ?」
「っちょ、Hさん…」
「−−−−−あぁ、そうだよ」

 胸のでかいガキが黒服に何か言おうとしたが、無視して、答えてやった
 あぁ、そうだ
 こいつらに善意があったとしても、こいつらの仲間までそうとは限らない
 …特に、「組織」は
 俺は「組織」を信じない
 信用などしない
 だから、信じてなどやるものか

 …それに、あの白衣の女だって
 俺の「13階段」に、踏み込んできたが…あの女の覚悟は感じてやったが、あの女の「上」を信用する気はない
 研究者肌の奴だったようだが、もし、あの女の所属組織も、そう言う研究タイプだったら…特に、科学的な研究タイプだったら
 なおさら、その説得を聞く気にはならない
113マッドガッサー決戦編 意地(代理):2009/12/07(月) 22:35:54.72 ID:Wu/1cmLg0
 マッドガッサーもマリも、そう言う連中に酷い目に合わされている
 まぁ、マリを一番酷い目にあわせたり、魔女の一撃にも酷い事をしやがったのは「教会」の連中だが…

 ……まぁ、いい
 どちらにせよ、俺は「13階段」の能力を維持し続けるだけだ

「俺としても、お前たちを信用する気はない…だから、通さねぇよ」

 屋上に、行かせてなるものか
 屋上への階段を全て封じるのが……今回の作戦で、俺が「唯一」できる事だ


「…意地だな、まったく」

 黒服Hは小さく苦笑した
 「13階段」の能力以外、彼には戦闘能力がない
 …今回の戦いで、彼が唯一できること
 それが、屋上への道を封じる事だ

 だから、そう簡単に能力を解かないだろう
 唯一できるその仕事を、そう簡単には放棄しないはずだ
 絶対的に不利な状況になろうとも…きっと、彼はその意地を貫き通しかねないな、と黒服Hは小さく苦笑したのだった


to be … ?
114ドクターとバイトくん(代理):2009/12/07(月) 22:37:41.68 ID:Wu/1cmLg0
手を握り、抱き締め、怨嗟の言葉を受け止め慈しみの言葉で返す
そんな一時の安らぎを与える事は、本当に良い事なのだろうかと疑問に思った事は何度もある
それが苦しみの中の一時の救いとなるのか、一時しか救われる事のない絶望となるのか
「一時凌ぎでも手を尽くす。医者とは因果な商売だよ、まったく……今日はサービスデーだ、男性でも生の温もりを感じたければ来るといい」
己を血の池に沈めようと迫る亡者達に慌ても怯えもせず、むしろ自ら歩みより手を伸ばす
「君達はもう元の生活には戻れない。だが都市伝説の一部として、契約者と共に歩む事は出来るんだ」
聞こえているか、理解されているか
そんな事は気にしない
「君達を陥れて苦しめていた彼もまた、陥れられ追い詰められ苦しんでいたのだろう。どうか、彼を赦して欲しい。そして彼にも君達を赦して欲しい。都市伝説と契約者は共に歩む存在なのだから」
戸惑う亡者達に、柔らかい笑みを浮かべ
丁度その時――その襟首を誰かに掴まれた
身体にまとわりつくような濃密な感触から解放され、たっぷりと赤黒い液体を染み込ませた白衣が重く身体にへばりつく
一瞬で周囲の光景が切り替わり、ドクターは夜の校舎へと引き戻されていた
「おや?」
亡者達を説き宥め安らぎを与える事ができれば、『十三階段』にも多少は影響がないだろうか
単純に、医者として苦しんでいる者達を少しでも救いたかった
亡者女性に囲まれる状況をもう少し堪能したかった
そんな考えが2:3:5ぐらいでブレンドされた微妙な表情で、自分を救い出してくれたであろう存在に意識を向ける
少なくとも敵ではない
雰囲気からすれば、マッドガッサー達を始末しに来たというよりは止めに来たという雰囲気だ
内訳は、少年、少女、少女、美女
よし、比率的にはまずまず問題なし
少女達はまだ愛でる範囲内の年齢として、自分を異空間から救出してくれたであろう美女は――実に良い
などと考えていたのが伝わったのか、支えられていた手を放されて床に尻餅をついてしまう
「痛いじゃないか」
もう少し丁寧に扱ってくれてもいいだろうと思ったが、思考が漏れ出していただろう自分の非を内心で咎めておく事にする
そして、既に白衣とは呼べない代物に成り果てた衣服を見て、僅かに溜息を漏らす
「後日、同じサイズのものを買って返すとして。当面の着替えをどう調達したものか」
115以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 22:38:23.93 ID:qbQEuRl8O
支援
116少し昔の話(代理):2009/12/07(月) 22:38:26.32 ID:Wu/1cmLg0
 −−−−「13階段」が「組織」を離脱する、4,5年ほど前の話ーーーーー


「それじゃあ、またね」
「あぁ、次の任務が終わったらな」

 少年と少女は笑いあって、互いに軽く口付けあった
 同じ「組織」に所属する者同士
 年齢が近いせいもあってか…いつからか、親しい仲になった
 とは言え、少年にとって、これが「恋」である自覚こそあれど、「愛」であるかどうかはわからなかった
 自分は、まだ子供だ
 そして、自分は「日常」と言うものをほとんど知らないがゆえに、人を愛する、と言う事についてもまだよく知らない
 自分に色々と教えてくれるあの黒服も、それについてはまだあまり教えてくれないし

 …ただ
 少女と一緒にいる事は、少年にとって安らぎだった
 任務付けの生活
 特に、少年の任務は全て「殺し」だ
 少年の能力は、殺すための能力なのだから
 ただただ、殺していく生活の中、明るい少女との関わりは安らぎだった

 自分も、少女も、いつ任務で命を落とすかわからない
 場合によっては、「組織」に処分される可能性だってあるだろう
 もし、少女が命を落としそうになったら、「組織」に処分されそうになったら
 気が向いたら守ってやってもいいかな、と思う程度には好きだった
 自分の契約している「13階段」は最強なのだ
 きっと、守ってやれると思う
117少し昔の話(代理):2009/12/07(月) 22:42:23.64 ID:Wu/1cmLg0
 そんな事を考えながら、少年は任務に向かう

 −−−自分を見送る少女が、どんな表情をしていたのか
 幸い、少年は気づかぬままだった



 あぁ、面倒くさい
 まったく、あの馬鹿めが、本当にまったく気づかないとは
 そろそろ、「仕事」に入ってもいいだろう
 H−96が「失敗作」である事は明白だ
 順調に調整が進んでいたはずだったが…何者かが、横槍を入れたようだ
 全くもって、忌々しい
 少女はため息をつきながら、上司に連絡を入れようとした

「……H−83です。報告を……………?」

 …ふと
 視界の隅に、何かが入り込んだ
 これは…糸?
 真っ黒い、漆黒の……糸?

 いや
 違う、これは………!?

 気づいた時には、もう遅かった
 それは、あっと言う間に少女の体に絡みついていく
118以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 22:42:36.64 ID:qbQEuRl8O
しえ
119少し昔の話(代理):2009/12/07(月) 22:44:20.83 ID:Wu/1cmLg0
 通信機が、一瞬でバラバラに切り裂かれる
 通信機を切り裂いたのと同じ……髪が
 少女の全身を、しっかりと縛り上げた

「−−−っH−360!」
「いよぅ」

 しゅるしゅると
 髪を少女に絡みつかせ、その黒服は笑っていた
 少女はもがくが、髪から脱出する事が出来ない
 ここは、「組織」管理のアパートの一室
 この時間帯、他の部屋には誰もいないはず
 助けを求める事すら出来ない
 己の契約している都市伝説を使おうにも…この状態では、使用できない

「そうか、お前さんもHナンバーだったか。まいったね」
「H−360.私に何か用ですか?彼なら、任務に出かけて…」
「お前さんに用があってきたんだよ……いや、まぁ、もう目的の半分は達したんだがな」

 しゅるしゅると
 話しながらも、髪が少女に絡みつき続ける
 その動きから、明白な殺意を感じて…少女は、震えた

「お前さん、あいつを監視してたんだな?」
「……だとしたら、何なの?」

 しらばっくれても無駄か
 そう考え、少女は本性を現した
120少し昔の話(代理):2009/12/07(月) 22:45:58.58 ID:Wu/1cmLg0
 本性を現した少女の様子に、黒服はやれやれと肩をすくめる

「まいったねぇ。監視ついでに、失敗作とみなしたら殺すつもりだったとは……あいつは一応、俺の愛弟子なんでね?やめてくんねぇ?そう言うの」
「−−っ、H−96の調整を邪魔したのは貴様か!!」

 −−−この、失敗作め!
 同じHナンバーの癖に、こちらの計画を邪魔しようとは…!

「おぉっと、無駄な抵抗は止めておけ。痛いだけだぜ?」
「こんな事をして、ただで済むと思っているのか、H−360!!」
「ま、普通はただじゃすまないわな」

 ……だが、と
 黒服は、ニヤリ…残酷に、笑った

「俺の上司は、俺の勝手をある程度もみ消してくれるんでねぇ?」
「−−−っ何を馬鹿な…」
「あぁ、それと」

 ギリ
 髪が、少女の肌に食い込みだした

「あの「お嬢様」、今は実験反対派なんだわ、これが」
121以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 22:48:02.86 ID:CWBDrWzPO
しえーん
122少し昔の話(代理):2009/12/07(月) 22:51:43.18 ID:Wu/1cmLg0
「−−−−−−−っ!?」

 …馬鹿な!?
 「あのお方」が実験反対派に回るなど、そんなはずが…

「そう言う事で。実はこれ、俺の勝手じゃなくて上の指令だったりするんだな、これが。ま、そう言う訳で…」
「−−−−−何故だ!?」

 少女は叫ぶ
 信じられない、と言う表情で黒服を見詰め…叫び続ける

「貴様、何故H−96に肩入れする!?貴様とあいつに、特別な接点など……」
「…任務で家族のふりを一度だけした。接点はそれだけと言えばそれだけさ」

 …しゅるり
 髪が、完全に少女を覆い隠し


 直後、少女の体は、一瞬で肉片と化した


「そう、たったそれだけ。ただの偶然。たまたま俺が気に入った、それだけ……あいつも不幸だよなぁ?」

 しゅるり
 髪を戻しながら、黒服は頷いた

「あいつの彼女だから、殺したくはなかったんだが……まぁ、仕方ないか」

 肉片を見下ろして…皮肉げに、黒服は笑った
123以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 22:51:57.46 ID:D37eQVa5O
H―360 →変態
H―96 →エロ
ということはH―83 も
124少し昔の話(代理):2009/12/07(月) 22:52:52.26 ID:Wu/1cmLg0
 …上の指令、と言うのは嘘だ
 少女が監視者であった事は、まだ上に報告していない
 完全に、彼の独断なのだ

 だから、まだ殺す必要はなかった
 だが、殺さずにはいられなかった

「…せめて、お前さんが。あいつをちゃんと名前で呼んでくれりゃあ、殺さなかったんだがなぁ」

 ぶちゃり
 肉片を踏み潰し、暗く笑う


 …あのナンバーは名前じゃない
 名前は、自分がつけてやった
 あれがあいつの名前なのだ
 もう、あのナンバーはあいつを縛りなどしないのだから


「…あぁ、でも、殺しちまったのはやっぱあいつに悪かったよなぁ……どうするかねぇ…」

 黒服は一人、そうぼやく


 …彼が罪滅ぼしをする事が出来たのは、これより4,5年程後
 少年が青年となり、「組織」を離脱し……マッドガッサーの一味に加わった、後の事である


to be … ?
125以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 22:53:50.09 ID:HcdMBV3X0
支援

>>123
H−83はビッチという裏設定がありますが何か
126以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 22:56:04.74 ID:CWBDrWzPO
>>125
まともなのがいないなwww
127ドクターとバイト青年@出会い編の裏(代理):2009/12/07(月) 23:01:18.46 ID:Wu/1cmLg0
あちこちが焼け焦げた麦畑
金属塊が散乱し、異形の屍が転がる中に『彼女』はいた
「派手にやられちゃったなぁ、もう」
長い金髪を首の後ろで束ねた青い瞳の女は、黒いスーツの襟を正しサングラスを掛ける
「UFO船団とリトルグレイ軍団は私達の組織とも相性抜群だったはずなのになぁ。上手く騙されて私を人質にできたと思い込んで、本国との交渉材料に『使って』くれたとこまでは良かったんだけど」
燃え盛るUFOと共に墜落し無残な姿となったリトルグレイ達を一瞥し
「契約者無しとはいえ、こーんなあっさり全滅してるようじゃ使えないかぁ……骨折り損」
はふぅと溜息を吐いて、焼け爛れたリトルグレイの死体を蹴り飛ばす
「大人しくしといて、彼を引き込んだ方が良かったかなぁ。見通し甘いなぁ、私」
既に熱を失い冷たくなったUFOの残骸に腰を下ろし、彼女は今までの生活に思いを馳せる
「仕事は真面目だったし、誰にでも優しかったし。あーあ……彼に、リトルグレイ達にわざと捕まったとことか見られなかったら、交渉も上手くいって元の生活にも戻れたのかなぁ」
彼女は独り言のように語りながら、懐から拳銃を抜き放つ
「リトルグレイが言い間違いをしたって事にすればなんとかならないかなぁ、お姉さん?」
「ふむ、それはそれで妙案だとは思うのだがな」
倒れた麦をさくりさくりと踏みながら、悠然と歩いてくるドクター
「独り言を聞く限り、リトルグレイを蹴散らした青年が助けたかったのは君という事かね」
「そういう事になるねぇ。私としては今からでも助けられて、彼と一緒にうちの組織に帰りたいんだけどな。この有様で成果なしじゃ組織から怒られそうだし」
彼女に悪びれた様子は一切無い
「君の組織次第だね。黒服は何処にでも居過ぎて把握し切れないから困る」
「あはは、私も前に同僚だと思って仕事の話をしたら全然違う組織の人でびっくりした事があったなぁ」
手にした拳銃を、ドクターにむけてぴたりと狙いを定める
「彼、生きてるよね?」
「死んでたら仇討ちでもするつもりかね?」
「契約者だし車で撥ねたぐらいじゃ死なないと思うけど。私の彼氏なわけだし、返してくれないかなぁ?」
「君の所属組織次第だと言ったはずだ」
正確に眉間を狙う銃口に怯んだ様子も無く、静かに問い掛けるドクター
脅しが効かないと判断した彼女は銃を下ろし、ぽりぽりと頬を掻きながら困ったように小さく唸る
「言ったら返してくれなさそうだもんなぁ」
「想定される最悪の一箇所以外なら、そんな事も無いのだがな」
128ドクターとバイト青年@出会い編の裏(代理):2009/12/07(月) 23:02:22.57 ID:Wu/1cmLg0
「んー、じゃあ無理かな。お姉さん、アメリカのおっきい組織は嫌いでしょ?」
「特に政府関連の組織は大嫌いだな」
「しょうがないなぁ。それじゃ、せめて私は死んだ事にしといて」
彼女はのんびりと立ち上がり、ドクターに背を向ける
「彼はそう思い込んでいるし、問題は無いだろうが。組織を抜けて彼の元に戻るという選択肢は無いのかね?」
「あー、それは無理。組織を抜けるとか裏切るとか、そういう選択肢は絶対に選べない。そういう『モノ』なの」
肩越しに振り返り、苦笑を浮かべ
「だから見逃して帰るのがギリギリの妥協点。お姉さん、あなたや彼の事は上に報告しなきゃいけないから。近日中に刺客が放たれると思うんでよろしくね」
「君が来るならある意味で歓迎なんだがね」
「それは無理かなぁ、しばらく謹慎か……またどっかにスパイとして潜り込まされるかだろうし」
さくり、さくりと
荒れ果てた麦畑を踏み越えて、彼女の姿は夜闇の中へと消えていく
「それに、私が刺客だとしたら。お姉さんに運転手さんに彼、まとめて秒殺だよ?」
闇の中で、くすりと微笑む彼女
その姿が見えなくなってから、ドクターは軽く片手を上げ
それと同時に、独逸軍服を着た工兵達が続々と駆け寄ってくる
「合図があるまで来るなという事でしたが。あの黒服を逃して良かったのですか?」
「ボクらの仕事はUFOの残骸の回収と調査だ。何も問題は無いさ」
「はぁ……また総統閣下に怒られますよ?」
「与えられた仕事をきちんとすれば問題は無いさ。それに、ここで我々が全滅するよりはずっとマシだろう」
「全滅、ですか?」
重武装の工兵達は首を傾げるが
「ただの駒ではない覚悟と能力がある黒服というのは、非常に厄介なものなのだよ」
129以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 23:02:33.72 ID:qbQEuRl8O
しえ
130以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 23:02:58.82 ID:HcdMBV3X0
しえーん
131ドクターとバイト青年@出会い編の裏(代理):2009/12/07(月) 23:03:02.95 ID:Wu/1cmLg0


黒服の彼女
『アメリカ政府の陰謀論』の部下の中で数少ない元・人間の黒服
金髪碧眼な以外は『スパニッシュフライ』の契約者にそっくり
のんびり屋でマイペースな性格で、戦闘時以外はややドジっ子
外見年齢は18歳

『アレクサンドリアの大灯台』
黒服の彼女が契約している都市伝説というか伝説
紀元前332年、アレクサンドロス3世によってナイル河口にアレクサンドリアが建造された『世界の七不思議』の一つ
戦時には鏡の反射光を敵の船めがけて照射して、船が海岸に到達する前に燃やすことができたという伝説があり
そのままの通り大型船を一撃で炎上させるほどの威力がある熱線を発射でき、射程距離も洋上まで届くほど
光を反射するものからしか発射できない制限はあるが、自分の瞳でも発射可能なので実質制限は無いに等しい
また、熱や光、エネルギー系の攻撃を問答無用で反射できる



書くだけ書いて投下忘れてたよorz
132以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 23:03:14.03 ID:D37eQVa5O
しえ
133占い師と少女(代理):2009/12/07(月) 23:03:43.35 ID:Wu/1cmLg0
○月×日 22:16

 光の無い、完全に真っ暗な空間。
 美術準備室の天井裏の隙間は狭く、ついでに黴っぽかった。
 もちろん、誰かが掃除をしてくれるはずもなく、それが当然ではあるのだけれど。
 私たち一行は、不良教師さんを先頭に、弟さん、白骨標本さん、人体模型さん、金さん、占い師さん、大将、私の順に、屈みながら先を急いでいた。

 ――――そして、数分後

 カコン、と何かが外れるような音。
 それと共に、微かながら光が入ってきた。
 その光を目印に、私たちはぞろぞろと天井裏から這い出ていく。
 …………途中、鼠の糞のような物を踏んだような気がしたけど……気にしないでおこう、うん。
 天井裏から抜け出すと、視界に薄暗い教室が入ってきた。二階にあった教室と場所が同じだとすれば、結構な距離を歩いてきた事になる。

「あー。ずっと屈んでたせいで腰がいてぇや」

 私の隣で、大将が腰を叩いていた。

「なに、これからしばらくは説得待ちだ。ゆっくりすればいい」
「ちょっと戦う位なら、僕はもう大丈夫だよ」

 凝った体をほぐそうと柔軟体操を始めた弟さんに、占い師さんが声をかけた。
134占い師と少女(代理):2009/12/07(月) 23:05:00.45 ID:Wu/1cmLg0
「もし説得が失敗したら、また階段を溶かしてもらう事になるかもしれないからな。今は休んでおいたほうがいい」
「でも、あれ疲れるんだけどなぁ」
「その時は兄貴に労をねぎらってもらえばいいさ。なぁ、弟思いの青年?」

 占い師さんの言葉に、不良教師さんは少し苦い顔をした。

「まぁ、労をねぎるくらいな――――」
「本当っ!? じゃあ、次の連休、2日とも一緒にどこか行こうよ、兄さん」
「……いや、待て。そこまでの約束は――――」
「これだけ働いてるんだ。一日や二日くらいどうって事ないだろう?」

 ああ……占い師さんが黒い……。
 言葉を遮られ、どんどんと逃げ場を失っていく不良教師さんを見て、合掌。

 ――――そんな時だった。

『……ん? 何か聞こえまへんか?』

 唐突に放たれた人体模型さんの言葉。
 一瞬、私たちに緊張が走るも、これと言って何か怪しい音は聞こえてこない。
135占い師と少女(代理):2009/12/07(月) 23:06:02.39 ID:Wu/1cmLg0
『私には、何も聞こえませんが……』
「……私も、もともと石像ですから、そんなに耳はいい方じゃありませんね」

 白骨標本さんと金さんも、揃って首をかしげていた。
 しかし、周囲を占い師さんが視て…………その顔が、強張った。

「おい、教師の青年。この学校ではゴ(ピー)が繁殖してるのか?」
「繁殖はしていないだろう。もちろん、一匹や二匹なら時々見かけるが」
「いや、一匹や二匹じゃなく何十……違うな、何百匹のゴ(ピー)の波が、この教室に向かってるんだが……」

 その言葉が終わるか終らないかの時点で、私たちにもその足音が聞こえてきた。

かさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさ…………

 その音は、占い師さんの言葉通りこちらへ向かっていて、

かさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさ…………

 非常灯だけに照らされた薄暗い教室で、その足音は余計に強調されて、

かさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさ…………

 その足音が教室に入ってきた時

ドッシャーーーーーーーーンッ!!!

 唐突に落ちた雷が、「それら」を照らした。
 「それら」は黒い塊で、一匹一匹に触覚が映えていた。
 「それら」は黒い絨毯のように行動を共にし、尽きる事のない波となっていた。
 「それら」はゴ…………じゃない、Gだった。
136占い師と少女(代理):2009/12/07(月) 23:06:43.10 ID:Wu/1cmLg0
「ひっ…………」

 人間、恐怖を感じると叫ぶか、押し黙るかの二つに分かれるらしい。
 そして、どうやら私は後者だったようだ。
 かさかさと群れを成す「それら」を見て、私は息をのんだ。
 動けない私たちをよそに、「それら」はどんどんと距離を詰めてくる。
 そして、その距離が数メートルにまで近づいた時

「いやあああああああああああっ!!」

 ……私は、思い切り叫んだ。
 前言撤回。どうやら、私は押し黙った後に叫ぶタイプの人間だったらしい。
 私の叫び声に反応したのか、「それら」が一斉に私へと向かって歩みを進めてくる。

かさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさ…………

 波が、動けない私を飲み込もうとうねり、

「危険を感じたら動け。そんなんじゃこの後命がいくつあっても足りないぞ」

 ふわり、と。
 波が私を飲み込む直前、占い師さんが私を抱え、右へと退いた。
 黒い波は、ついさっきまで私がいた所へと殺到し

じゅううううううううう…………っっ!!
ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ!

 コーラの波に呑まれ、白い刃で切られていった。
137以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 23:08:07.35 ID:qbQEuRl8O
支援
138占い師と少女(代理):2009/12/07(月) 23:08:24.62 ID:Wu/1cmLg0
「こんなに沢山見たのは初めてだよ」
「出来れば二度と見たくないもんだ」

 見ると、弟さんがコーラを繰り、黒い波を、ペットボトルから出るコーラで溶かしていた。
 その取りこぼしを、白骨標本さんが切り落としている。

「大丈夫か、未来」
「あ、はい。えっと……ありがとうございました」

 占い師さんに尋ねられ、抱きかかえられた事に多少赤面しながら、私は頭を下げた。

「今度からは気をつけろ。次何かあった時、俺が助けられる位置にいるとは限らないからな」
「はい…………ごめんなさい」
「なに、一回の間違いくらいは誰にでもある。二回も同じ間違いをしたら、その時は本気で怒るけどな」

 軽く私の頭に手を乗せて、占い師さんは黒い波へと目を移した。
 その視線の先、弟さんと白骨標本さんが、襲いかかってくる黒い波を駆除していた。
 どうやら周囲を丸くコーラの輪が囲っている関係か、黒い波は私達や彼らの元にまでは辿り着いていない。

「切られても死なない上、驚異的な繁殖力、か…………都市伝説のゴ(ピー)とはまた、この学校には奇妙な物ばかりがいるな」

 私たちの視線の先で、白骨標本さんに切られた物体は、少し蠢いたた後に体が再生していた。
 再生するG……出来れば、一生のうちで一度も会いたくなかった。
 切られても再生する、という事実にに気付いたのか、白骨標本さんは少し驚いたような顔をして(表情が分からないから推測だけれど)、コーラの輪の中へと退散した。
139占い師と少女(代理):2009/12/07(月) 23:10:40.82 ID:Wu/1cmLg0
その状況を見て、占い師さんが、黒い波を挟んで反対側、弟さんたちと一緒にいる大将へ向かって尋ねる。

「大将、『戦争状態の購買』の能力でこいつらを操る事は?」
「7、80匹くらいならギリギリ何とかなるっちゃあなるが、この量じゃとても無理ってもんだ」

 大将が首を振った。
 …………そっか、鼠の時みたいに大将をあてにはできないのか……。

「……いや、それで十分だろう」

 密かに落胆する私をよそに、不良教師さんが大将の肩を叩いた。
 振りむいた大将の耳に、二言三言、不良教師さんが何かを伝えている。

「…………ん? そんなんでいいのか?」

 数秒後、話を聞き終えた大将が怪訝な顔をしていた。

「恐らくは」
「んー、まぁ、俺には学もねえから、兄ちゃんの言う事を信じる事しかできねえんだけどよ」

 そう言って、軽く腰を落とす。

「……んじゃ、始めるとすっか」

 ずん、と
 大将が言い終えると同時に、部屋に奇妙な圧迫感が生まれた。
 その気配を感じ取ったのか、はたまた大将の能力なのか、波の一部……前線にいた数十匹のGが、その活動を停止していた。
140以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 23:11:02.31 ID:D37eQVa5O
とお
141占い師と少女(代理):2009/12/07(月) 23:11:23.27 ID:Wu/1cmLg0
「……よっし、行くぞ」

 言葉と共に、支配された数十匹のGが行動を開始する。
 けれど、支配されたのは前線の数十匹。
 
かさかさかささかさかさかさかさかさ…………
かさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさ…………

 その数十匹は、私たちを襲おうとしている他のG達と真っ向から衝突していった。
 泡を食ったように、そのG達の進行を止めようとする後方のG達。
 比率は1:10……いや、それ以上だろう。
 どう考えても多勢に無勢。大将の支配したGだけではどうにもならない状況の、はずだった。
 ………………しかし

「…………え?」
 
 私は、目の前で起こった事に、思わず眼を疑った。
 ……前線のGを押しとどめようとしていた後方も、競って外へ出ようとしていたのだ。

(…………どうして?)

 大将の能力では、一度に数十匹が限界だと、大将自身が言っていたはずだけれど……。
142以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 23:11:33.21 ID:qbQEuRl8O
しえん
143以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 23:11:41.55 ID:HcdMBV3X0
寝る前支援
144以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 23:12:12.09 ID:CWBDrWzPO
ハイペースだなしえん
145以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 23:13:47.19 ID:D37eQVa5O
りゃ
146以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 23:15:15.87 ID:CWBDrWzPO
なん
147以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 23:18:51.87 ID:qbQEuRl8O
しー
148以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 23:19:07.87 ID:CWBDrWzPO
しー

さる?
149占い師と少女(代理):2009/12/07(月) 23:19:20.68 ID:Wu/1cmLg0
 私は、その原因であるはずの大将を見る。

「ほー、上手く行くもんだなぁ」

 …………しかし、大将はなぜか感心したような声を上げているだけだった。

「……何をしたんですか? 大将」

 それから数分後、遮断されていた教室が開通され、私は大将に尋ねた。
 既にGの群れは教室から去り、教室にあった椅子や机があらかた壁際まで押されはしていたが、後はもう10匹程が残っているだけとなっている。

「いんや、俺はただ、あの群れを操っただけだぜ?」
「でも、一度にあの数を操るのは無理なんじゃ……」
150占い師と少女(代理):2009/12/07(月) 23:20:52.35 ID:Wu/1cmLg0
 首をひねる私に、不良教師さんが解説をしてくれた。

「あの群れ、一見統制が取れてるように見えるが、結局は流れと本能で動いてるだけだ」
「えっと…………?」
「つまり、俺が一度操って後退の流れを作って、後はどんどん操る範囲を後ろに下げていきゃ、支配が終わっても流れのままで進むってわけだ」

 …………なるほど。
 操られていた事に気づくある程度知能がある動物と違って、Gみたいに本能で動いている昆虫は、流れさえ作ればどうとでもなる、という事なのだろう。

「つってもまぁ、白衣の兄ちゃんが教えてくれなきゃ、俺の頭じゃ到底思いつかなかっただろうがなぁ」

 大将が笑いながら、残ったGを操り、外へと追い払っている。
 何となく和やかな雰囲気。
 ……その傍らで、占い師さんが何やら気難しい顔をしていた。

「今の、随分な騒ぎになったが……あちらさんの誰かに気付かれたかもしれないな」

 ――――そして

 パンッと、占い師さんの言葉に呼応するかのように、軽い銃声が教室内に響いた。
151以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 23:23:21.90 ID:xOP6Ihzg0
さあみんなもどってこい

ルーモアも 中年と少女も 姫君と騎士も 厨二病コンビも
教授とテケ子も 逢魔ヶ刻も 神隠しの天狗も  ギザ十も
くろねとケイタも 三秒ルールも 台風一家も 古きものも
ロリコンシステムも もぐたんも 亮と赤月先輩も  晨も
首なしライダーと朝野も 悪魔憑きの少女も  鳥の少女も


み  ん  な  も  ど  っ  て  こ  い
152以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 23:38:38.16 ID:CWBDrWzPO
ほしゅー
153以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 23:38:51.51 ID:D37eQVa5O
んせ
154以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 00:05:57.34 ID:2VBUcQ9kO
ほし
155以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 00:12:45.23 ID:xbHEBVj6O
テス
22:35 中央高等学校上空

「ぐぅ…っ!クーちゃんはまだか!」

あれから、何発かの雷撃を食らったが、かろうじてロボは動いている。
下のほうからの援護で大体の攻撃は回避できているが、相手が電気をまとっているせいでこちらからろくに攻撃ができない。
遠距離攻撃要因の金さんは射出しちまったし、爺さんのハンバーグも効く気がしねぇし、そもそもミートボールだし…

…てか、雷撃だけならまだしもさっきから突撃までしてきやがる。
今までのは何とかノミ沢の魔法壁で何とか防いできてるが…それもあと何発耐えられるか…

そんなわけで、早いところケリをつけたいところなのだが…
依然、サンダーバードは攻撃の手を休める気はなさそうである。

…早く何とかしないと…コイツがもたねぇぞ…


22:38 中央高等学校二階 図書室


「…これで、準備は完了だ」
図書館の中で、クーさんは呟く。
「よぅし、それじゃあすぐに始めるよ。出来るだけ早くサンダーバードを無力化したほうがいいと思うからね」
その隣で、少年…しかしその存在はうわさという嘘で成り立っているよだそう。
157以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 00:21:36.86 ID:xbHEBVj6O
しゅ
二人の前には…図書館の床に描かれた、巨大な魔方陣…のようなもの。

「じゃあ…始めようか」「うん…」


「都市伝説…その力の源は噂…よってその存在は不安定…それは神話でも同義…
 即ち…存在を嘘に変えることは僕にはできないが…その存在を『捻じ曲げる』ことはできる…!」


22:45 再び中央高等学校上空


「およのまにこお…おずおいぇるけったしむおへぢけぎしおのく…!」同時翻訳:大きなものよ…この一撃で葬り去ってくれようぞ…!
そう言って、まぁ店長たちには伝わってはないのだが…そんなことはサンダーバードにとってはどうでもいい些細なことである。

サンダーバードは周りの雷のエネルギーをすべて吸い取る…そんな様子で力をため始める。

「な、何か来るぞ!ノミ沢!防御壁全力展開!もう少しだけ時間を稼ぐんだ!」「…っ…了解っ!」

ノミ沢がロボの前に巨大な壁を展開する。その壁は今までに攻撃から身を守ったどの壁よりも分厚い。


「うらまちんねずんあかがらきくぐすおむ…あづおゆむゆじょなましかぐことのす!」同時(ry:もうすぐ力が完全にたまる…その時が貴様の寿命だ!

…なんだか非常にやばい気がする。本当に葬り去られそうな…過去に感じたことのない威圧感が店長たちに襲いかかってくる。
159以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 00:24:10.13 ID:xbHEBVj6O
にま
パチッ、パチッ。
サンダーバードのまとう電気が、さらに大きくなり、大きな音を立てる。

「さぁ、いくぞ!」


「…あれ?今普通に喋った?」
今まではクーさん曰く逆さま言葉でしゃべっていたらしいのだが、今回ははっきりと言葉が聞き取れた。

…そんなことを確認する余裕もなく、サンダーバードはロボに向けて超速度で突撃し始める。

「ぬおぉぉぉぉぉぉ!!」「ぐうぅぅぅ!耐えろ!ノミ沢ァァァ!」
店長の叫びもむなしく、魔法壁は少しずつだが確実に削られていってる。

「…くぅ、駄目です!魔法壁…突破されます…!」


ピキ、ピキ…


魔法壁にサンダーバードがぶつかっているところからひびが入る。そしてそのひびがどんどんと大きくなってくる…!



魔法壁が今にも割られる、そんな時だった。
「…む?」
161以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 00:27:40.48 ID:xbHEBVj6O
じわ
…サンダーバードの纏う、電気が小さくなってきている。確実に。
「な、何故だ!?何故我の雷撃が少なくなっているのだ!?」

「…どうやら、間に合ったみてーだな…クーちゃん」


22:48 再び中央高等学校二階 図書室

「…どうやら、効いているみたいだね」

図書館の窓から空を眺め、クーさんは再び呟く。
「たとえ神話だろうと、存在の源はあくまでうわさということだよ、契約者」
魔法陣の前で何かの決めポーズを繰り返しているよだそうが言う。

「サンダーバードは本来は雷の精霊として語り継がれる神鳥。でもそれとは別のサンダーバードと呼ばれる存在もある。
 それは巨大な翼竜や、絶滅した鳥とも語られている。つまりそちらのサンダーバードは雷は操らないし、神でもない。
 だからこの二つのサンダーバードを混ぜ込むことで、力を弱体化させたんだ」


うむ、説明ご苦労、よだそうよ。

つまり、今戦っているサンダーバードとは別のサンダーバードを複合させることによって雷の精霊であるという事項を消した。
そういうことなのである。


「…でも、君の能力は存在の前提である定義は消せなかったんじゃなかったかな?」
「本来は、ね。まぁ今回のは反作用、と言えばいいのかな?サンダーバードに新たな定義を混入させる。
 つまりは雷の精霊である定義と怪鳥である定義をすり替えておいたのさ」
「……まぁ細かいことはいいか」

細かいことはいいのだ、細かいことは。よだそうが某特撮に影響されていることもどうでもいいのだ…


22:50 三度中央高等学校上空

「…昆虫少年、兵の数は?」「んー、大分やられたりも多いけど大体500万くらいかね?」

電気のバリアが消えたおかげで、今は普通に接近戦闘に持ち込める。
それに加えて下のほうからの援護もあるので、怪鳥は防戦一方といった様子である。
「行けるか?」「あぁ、こんだけ時間があったんだ。届かないレベルにまで増えてないわけねぇだろ」


「よしじゃあ…行くぜ…!」
友の掛け声とともに、グラウンドに周りから何やら集まってくる…

「…む?」
怪鳥もその状況に気がついたようだが、二方からの攻撃を避けることで精一杯のようで、集まるものに気を使ってはいられないようだ。
164以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 00:39:20.18 ID:xbHEBVj6O
れば
集まるもの…それは


   G


その茶色き悪魔達は到着前に射出したG弾から増殖したものだけではない。
学校に元々いたもの、学校の周りにいたもの…全てが一つにまとまっていく。


そしてその茶色き山は次第に大きくなり…



一本の、大きな手となった。



「…何なの、あれは…?」
先ほどから集まって行くG達には気づいてはいたものの、あの鳥に届くほどに集まるなんて…
昆虫の繁殖力以前に、あれだけの生物を操ることのできる契約者がいることに驚きだ。
「やっぱりこの町は…面白いですね」
そう言ってフフ、と笑った後も、なおサンダーバードへの攻撃の手を休めない盟主様である。
166以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 00:46:06.09 ID:xbHEBVj6O

 
 「サンダーバードに新しい定義を入れたんだ。国際救助隊という定義を」
「な、何だ!?」
サンダーバードが驚くのも無理はない。
小さな昆虫が大量に集まり、天空にいるはずの己に届くほどになり、今にも捉えんと言わんばかりにこちらに伸びているのだ。
「っ!まずは避ける…っ!?」ゴシャァ!
回避行動をとったサンダーバードだったが、直後。

ロボから痛烈な右フックを上の顔にくらい、Gの手へ向け落ちていく。


今の一瞬で何が起こったか解説しておこう。
まずサンダーバードがGの手と盟主様のプラズマ攻撃を感知。そしてそれを左に回避。
しかしその方向に回り込んだロボが相手の進行方向とは逆の方向の高熱パンチ。
それがクリーンヒットし、カウンターパンチのような感じで思いっきり吹っ飛ばされたという訳だ。


サンダーバードにまとわりつく大量のG。
逃げ出そうともがくが、手はしっかりと掴み離さない。
さらにそれに加えて、盟主様からのプラズマ攻撃が直撃する…
「…終わったか」「流石にこんだけの量を操るのはやっぱしんどいなぁ…」



安堵の表情を見せるロボの乗組員たち。


しかし、未だ蠢くことをやめないG達の中で…

自らの使命を絶対に守りとおす…

その闘志は燃え尽きてはいなかった…


続く…?
169以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 00:54:06.54 ID:xbHEBVj6O
あか
170マッドガッサー決選編 神であるが故に(代理):2009/12/08(火) 00:54:25.45 ID:n6rF3pzH0
○月×日 22:55 グラウンド


「………?これは……」

 …盟主は、気づいた
 Gによって、動きを封じられているサンダーバード
 その様子が……おかしい?

 Gの巨大な手から逃れようともがくサンダーバード
 その体が………じょじょに、じょじょに
 薄まっていっているのを、盟主は確かに見た


○月×日 22:55 中央高校屋上


 薄れ行く、サンダーバードの体
 その様子は、屋上に居るマッドガッサー達にも、見えていた

「ど、どないなっとるんや!?マッドはん!?」

 あれだけ固まりになっているとGに見えないせいか、何とか直視できている似非関西弁の女性
 彼女の言葉に…ガスマスクの下で、マッドガッサーは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる

「…誰かは知らないが……あいつの神としての側面を削りやがったのか!」

 これは、まずい
 このままでは、サンダーバードは…
171マッドガッサー決選編 神であるが故に(代理):2009/12/08(火) 00:55:32.50 ID:n6rF3pzH0
 消滅する


○月×日 22:55 中央高校屋上


 己の存在が薄まっていっているのを、サンダーバードは確かに自覚していた
 サンダーバードは神である
 神として崇められていた存在である

 しかし
 彼を崇めていた部族は、もういない
 はるか昔、別の大陸からやってきた白い者たちによって、彼というサンダーバードを崇めていた部族は……根絶やしにされてしまった

 それでも、サンダーバードは生き続けていた
 他のサンダーバードの存在に支えられ、存在し続けていた
 それは、彼が神として崇められていたが故に、可能だった事でもある

 だが
 限界と言うものは存在する
 彼というサンダーバードは、一度消えかけた
 崇めてくれる存在を失った神に
 信仰してくれる存在がいなくなった神に
 存在価値など、ありはしないのだ

 静かに、静かに、消え行こうとしていたサンダーバード
 消えずにすんだのは、偶然の出会いと、奇跡に近い出来事

『お前は、間違いなく神だ』
172以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 01:00:05.99 ID:xbHEBVj6O
くな
173マッドガッサー決選編 神であるが故に(代理):2009/12/08(火) 01:01:22.47 ID:n6rF3pzH0
 そう、断言されたから
 だから、存在していられた
 わずかに残った神としての側面も手伝い、存在し続けた

 ……ならば
 その、神としての側面を、削られたならば?
 他のサンダーバードの噂と混合させられたとは言え…彼と言う存在を今の今まで生かしてきたのは、神としての側面に他ならないのだ
 それを削られたならば、最早このサンダーバードは…存在する事は出来ない
 その存在は、忘れられた都市伝説として
 最早語られぬ都市伝説として……消滅する

「ぐ……ぁ………!!」

 消滅の苦しみに、恐怖に、サンダーバードはうめく
 嫌だ
 消滅したくない
 消えたくない
 己には、まだすべきことがあるのだ
 己を救ってくれた友を、助けなければならないのだ
 小さき友の力にならなければならないのだ
 消えたくない
 力にならなければならない
 己はまだ、恩を返しきれていない……!!

 存在が薄れ行く
 存在が、気迫になっていく
 その姿が、最初からなかったかのように、消えていこうとして……


「−−−−−お前は神だ!!」
174以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 01:08:16.83 ID:xbHEBVj6O
175マッドガッサー決選編 神であるが故に(代理):2009/12/08(火) 01:10:21.60 ID:n6rF3pzH0
 叫び声が、サンダーバードに届いて
 消え行く体が…この世に、押し止められた


○月×日 22:57 中央高校屋上


 消えるな
 サンダーバードを見あげ、マッドガッサーは叫ぶ

「お前は神だ!サンダーバード!!アメリカの大地が生み出した民達に崇められた神 サンダーバードだ!!」

 思い出す
 初めて、あのサンダーバードと遭遇したときのことを

 あの時、サンダーバードは緩やかに消滅していこうとしていた
 崇めていた部族がいなくなってから、ずっと語られる事がなかった存在
 語られなくなった都市伝説は、消滅するしかない

 消え行く直前、サンダーバードは神である事を認められたがっていた
 その姿が、哀れで、憐れで…見ている事が、できず


『お前は、間違いなく神だ』


 あの日、マッドガッサーは、そうサンダーバードに告げた
 その瞬間…たった一人に、そう、認められただけで
 サンダーバードの中の神の側面は、サンダーバードが存在する事を、許した
176マッドガッサー決選編 神であるが故に(代理):2009/12/08(火) 01:17:00.28 ID:n6rF3pzH0
 いや、それはもしかしたら
 他の神であるサンダーバード達の力も、あったのかもしれないが
 とにかく、神であるが故に、サンダーバードは助かったのだ

 ならば
 神としての側面を取り戻させれば……サンダーバードは、消滅せずにすむ!!

「思い出せ!お前を崇めていた連中を!」
「−−−−−−っ!!」

 薄れていっていたサンダーバードの体が……実体を、取り戻しつつある
 ばちりっ
 その体を……再び、雷が走り出した


○月×日 22:59 中央高校上空


「−−−おぉおおおおおおおお!!!!」

 バチバチバチバチっ!!
 雷が、サンダーバードを直撃した
 実態を取り戻したその体が、Gの束縛から逃れ……上空へと、飛び上がる

「…っすまぬ!小さき友よ!!」

 マッドガッサーに、サンダーバードは謝罪する
 また、助けられてしまった
 まだ、己は恩を返せていないと言うのに!
177マッドガッサー決選編 神であるが故に(代理):2009/12/08(火) 01:17:42.40 ID:n6rF3pzH0
「構わない!それよりも、一旦退け!何をしてお前から神の側面を剥ぎ取ったか知らないが、もう一度同じ事をやられたらヤバイ!」
「−−−−すまぬ…友よ……」

 マッドガッサーの言うとおりだ
 ある程度の神性は取り戻せたが…まだ、完全ではない
 このままでは、また、いつ消えてしまうかも……わからない

 サンダーバードは、歯痒さを感じながら、大きな翼をはばたかせ、上空へと舞い上がる
 雲の上へと、避難するために

 −−−−ばちりっ!
 その瞬間……彼は、最後の一撃、とでも言うように
 今まで際だの威力の雷を……己の敵対者目掛けて、内はなったのだった



to be … ?
178以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 01:22:01.44 ID:xbHEBVj6O
179以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 01:23:46.15 ID:xbHEBVj6O
180「辺境」 小ネタ(代理):2009/12/08(火) 01:25:04.88 ID:n6rF3pzH0
23:00 辺湖市「旧村」 商社ビル 屋上

「ルイ16世!」
『イスタンブール!』
「ルイ17世!」
『イスラエル!』
「ルイ18世!」
『イシュタル!』
「おのれ……、ルイス・キャロル!」

未だに進行中な現地の協力者、対、屋上に立て篭もった猟銃持ちの『彼』のしりとり合戦。
そんな中、黒服Mは何かの違和を感じた。

(今、確かに、雷鳴が聞こえた)

音こそは幽かなものだったが、それは果たして雷の放つ音だった。

(方角的に、学校町か?)

今晩は晴天のはずだ。屋上へと開かれたドアから覗く事の出来る夜空には無数の星が瞬いている。
何らかの「都市伝説」が動いているのだろうか。
先刻より着信の振動を発している専用端末を引っ張り出し、幾ブロックかで着信している「非公式報告」を開く。
――どうも学校町中央区の高校上空に「サンダーバード」が出現している、らしい。

(……、……。)
181以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 01:27:18.58 ID:xbHEBVj6O
182以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 01:29:20.51 ID:xbHEBVj6O
183以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 01:37:51.64 ID:xbHEBVj6O
184「辺境」 小ネタ(代理):2009/12/08(火) 01:50:15.49 ID:n6rF3pzH0
場所が場所だ。しかも、学校町ではマッドガッサー事件が絶賛進行中である。
「辺境」は中央区に位置し、高校からそう遠い距離にあるわけではない。
少なくとも――、最悪の場合は中央区の被害が大きいものになりそうだ。
尤も「辺境」への直接的な痛手は無いだろう。そもそも「辺境」は「この空間」には存在しない。
その意味では「本部」も同じなのだが、そもそも「辺境」へは、関係者外の者は、
たとえそれが如何な階位の『組織』関係者であっても、接触する事は出来ない。

(むしろ問題は、「ガス」が散布された時か)

「非公式報告」に目を通しながら、思う。
まあ、その辺は「本部」の黒服が何とかするだろう。
心配なのはへっぽこや上司が巻き込まれていやしないか、という事だ。
彼らにしても、そうそう容易く倒されるスタッフでは無いのだが。

『え、ル……。累積赤字!』
「ジグソーバズル!」
『ル、ルイジアナ!』
「ナイチンゲール! やった、やったぞ黒服! 遂にこちらが『る』で嵌める事に成功したぞ!」
(……、……。……)

185占い師と少女(代理):2009/12/08(火) 01:50:57.79 ID:n6rF3pzH0
○月×日 22:21

 パンッと、唐突に響いた銃声。
 その音に真っ先に反応したのは弟さんだった。

ゴポポポポポポポポポポポポポポ………

 弟さんのペットボトルから急速に立ち上がるコーラ。
 銃音が鳴り終えるとほぼ同時に、それは教室の半分を覆う壁へと成長した。

じゅう……

 コーラのい壁に阻まれ、私たちの誰かを狙っていた銃弾は溶け、消える。
 焼けたゴムのような匂いが、私の鼻をついた。
 その後も銃声は何度か響いたけれど、コーラの壁を通り抜け、私たちの元まで辿り着いた銃弾はなかった。

「いきなり銃撃ったぁ、穏やかじゃねえな」

 初撃を逃れた大将が、壁の裏で呟いた。
 Gの襲来とは比べ物にならない緊迫した空気。断続的な銃声と、銃弾が溶ける音が交互に響いている。
 ……そんな中、私と一緒に壁の向こうを「覗いて」いた占い師さんが、ふと言葉を漏らした。

「また『組織』の黒服か……おい、『骨を溶かすコーラ」の契約者、ハンドガンを使う黒服に見覚えは?」
「銃を使う黒服さんに知り合いはいるけど……多分違うんじゃないかな。女の人だったでしょ? 今の」
「いや、『視て』分かったが、あの黒服はマッドガッサーに女体化させられている。性別は男だ」
186占い師と少女(代理):2009/12/08(火) 01:51:51.41 ID:n6rF3pzH0
 占い師さんの言葉に、弟さんはかぶりを振った。

「ちらっとしか見てないけどさ、今撃ってきてる人、何だかやる気なさそうだったでしょ? あの黒服さんなら、もっと気迫一杯で迫ってくると思うよ」
「…………そうか」
 
 弟さんの返答に、占い師さんは少し残念そうな顔をする。
 私たちの能力でも、相手の性格や癖までは分からない。戦う以上、少しでも相手の情報を持っておきたかったのかもしれない。

『……今の黒服の方も、スパニッシュフライに操られているんでしょうか』
「そのようだ。……全く、今まで出会った『組織』の人間が全員スパニッシュフライに操られてるんだが、一体どういう事だ?」
「そんなの、僕が知りたいよ」

 肩をすくめる弟さんに、占い師さんはため息をつく。
 ……その間も、私は壁の向こうを「覗いて」いた。
 透視をしている私の目に、立て続けに発砲をしているゴスロリ姿の少女が映る。
 流れるような動作でリロード、発砲を繰り返している所を見ると、相当銃の扱いには手慣れているのだろう。
 それでも、片手に握った拳銃とゴスロリ姿が完全にミスマッチなのだけれど。

 (……いや、一応ゴスロリはあの女の子に似合ってますよ、もちろん。でも、出来れば片手の拳銃はない方が嬉しかったなあ、なんて思ってしまうのはいけない事なんでしょうか)

 少女の姿をけなしてしまった事に、誰にともなく心の中で言い訳をして……ふと、少女が発砲を止めている事に気付いた。
187占い師と少女(代理):2009/12/08(火) 01:52:40.28 ID:n6rF3pzH0
 続けていた連射を止め、彼女は拳銃を下げて何かを考えているようなそぶりを見せている。

 (……今って、もしかしてチャンス?)
 
 もし今、彼女に対して全員で攻撃を仕掛ければ、何とかなるかもしれない。
 そんな事を考え、それを占い師さん達に伝えようとした、その時
 少女が、再び拳銃を構えた。
 ……しかし、その銃口は壁ではなく、コーラの壁の途切れた先の、教室の壁との隙間へと向いていた。
 
(どういう事……?)

 戸惑う私をよそに、彼女は銃口を少し下げ、隙間の先のタイル張りの床を狙い、
 ……その瞬間、私は少女の狙いに気付いた。

「弟さんっ、壁を教室ギリギリにまで広げて下さい!」

 私の言葉に、弟さんは一瞬戸惑い、しかしそれでも壁の範囲を広げてくれる。
 しかし、コーラの壁が教室の横一杯に広がるより早く、銃口から立て続けに6発、銃弾が射出された。

     その中の一つが、広がって行く壁を嘲笑うかのようにすり抜け、
     タイル張りの床へと着弾し、
     跳ね、向きを変え、
     私達へと、迫ってきた。
188占い師と少女(代理):2009/12/08(火) 01:54:35.29 ID:n6rF3pzH0
「跳弾っ!?」
「ちっ…………」

 金さんが驚いたように叫び、占い師さんは軽く舌打ちをして、

ガツッ!

 足元のタイルを、蹴り上げた。
 占い師さんの能力ですぐに剥がれたそれは宙を舞い、銃弾の進路状に落とされる。

「タイルの運命を『銃弾の進路を変える運命』へ」
 
 タイルを目視して、占い師さんが呟く。
 そして、その言葉通りタイルは銃弾と交錯し、銃弾は進路を全く別の方向へと誘われた。
 ざわりと私たちに走った緊張が、緩んでいく。

「やってくれんなぁ、兄ちゃん」
「いや、かなり焦ったな。跳弾を利用できる奴がいるなんて、『組織』の規格外さもいい所だ、全く」
189以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 02:01:59.81 ID:xbHEBVj6O
190占い師と少女(代理):2009/12/08(火) 02:07:15.87 ID:n6rF3pzH0
 バシバシと背中を叩く大将に、占い師さんは苦笑いで答えた。
 そして、その「焦り」に嘘はない。
 本来、運命の改変の能力は、対象を「見て」変えたい運命を「思う」だけでいい。
 焦った時にそれを口にしてしまう……それは、占い師さんの癖だった。
 久しぶりに見たその癖に、少しの驚きと懐かしさを感じる。
 しかし、そんな感慨に耽っている暇などあるはずもなく……少女は次の手立てを用意していた。

カランッ

 私が跳弾に気を取られ、少女から眼を放した一瞬。
 その一瞬の間に、少女はコーラの壁を越えるよう、何かを放っていた。
 床へと跳ね返り、私たちの目の高さまでそれを「視て」、占い師さんが叫ぶ――

「今度は閃光弾かっ!」
「え、ちょっ、どこの武器商なんですか、あの子っ!?」
191以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 02:09:19.59 ID:xbHEBVj6O
192以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 02:12:58.16 ID:xbHEBVj6O
193占い師と少女(代理):2009/12/08(火) 02:21:03.02 ID:n6rF3pzH0
 それが炸裂する前、占い師さんは懐から球のようなものを取り出し、床へと叩きつけた。

ボウンッ

 その瞬間に広がる黒い煙。
 それは私と占い師さんとが準備をしておいた道具の一つだった。
 あれは確か――――「10分間消えない」運命を与えられた煙玉。
 それが、教室中に蔓延する。
 煙が少し目に痛かったけれど、その煙によって、閃光弾はその光を遮られたようだった。
 ……それはそれとして

(あの女の子、何だか色々と厄介な道具とか持ってそうだなぁ……)

 味方にいれば心強いのだろうが、出来れば敵にしたくないタイプ。
 そして今、そんな少女が私たちの敵になっているわけで。

(ああ、もう……よりにもよってそんなタイプの女の子にスパニッシュフライを飲み込ませるなんて……)

 少女にスパニッシュフライを飲ませた誰かに小さな呪い事を言ってみるが……私の契約したのは「必ず当たる占い師」さんで、呪術使いではない。
 そんな風に一人色々と呟いている私をよそに、占い師さんの落ち着いた声が暗闇の中から聞こえてきた。

「『骨を溶かすコーラ』の契約者、今の内に壁を全域に張ってくれ」
194占い師と少女(代理):2009/12/08(火) 02:21:44.20 ID:n6rF3pzH0
「うん、今やってるよ」

 姿は見えない中、弟さんの声だけが聞こえる。
 多分皆、煙玉が炸裂する前と同じ場所にいるとは思うのだけれど……視界が悪いと距離感があやふやになるらしい、誰がどこにいるのかがよくわからなかった。

「さて、これで暫くはあちらさんの銃撃も入ってこないとは思うが……白衣の青年、黒服のいる扉以外に出口は?」
「ないな。あの扉一つだ」

 不良教師さんの言葉に、占い師さんがため息をついた。

「出口があそこ一つしかない以上……あの黒服を倒すしかない、か」
『わてがまた内蔵ボンバーでふっ飛ばせばいいんとちゃいますか?』
「あれはあの黒服が頑丈だから取れた策だ。あんな華奢な少女相手にお前のあれをぶつけたら、大怪我する事必死だろう」

 不良教師さんの駄目出しに、人体模型さんは『そうやろか……』と残念そうな声を出した。
 占い師さんは再びため息をついて

「……今日二回目の作戦会議と行くか」

 そう、呟いた。
195以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 02:22:02.18 ID:xbHEBVj6O
196マッドガッサー決選編 奔走(代理):2009/12/08(火) 02:24:35.34 ID:n6rF3pzH0
○月×日 21:20 三階廊下


 −−−−−ごぅんっ!!
 爆発音が鳴り響く
 携帯電話が爆発したことによって、黒い悪魔たちは吹き飛ばされ、焼かれていく

「このっ!」

 巨大な卸がねを古い、少女が戦陣を切る
 その後を、大きな胸を揺らす女性が、老婆が
 そして、鹿の角を生やした兎を抱きかかえた少女が、駆ける

 かさかさ
 かさかさかさかさ
 黒い悪魔達は、自分達に敵対行動を取ってきた者たちに対し、攻撃を開始しようとする

 ピピピピピピピピピピピピピピピピ

 しかし、どこからか電子的な音が鳴り響き……ごぅんっ!!
 爆発によって、その波は押し止められた

「くっそ、本当にどれだけいるんだ!?」
「ヘタをしたら、数百匹単位でいますね、これは…」

 武器(巨大な調理器具)を手にした少女と女性が、口々にそう声に出す
197以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 02:27:11.42 ID:xbHEBVj6O
198以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 02:30:32.33 ID:xbHEBVj6O
199マッドガッサー決選編 奔走(代理):2009/12/08(火) 02:32:20.21 ID:n6rF3pzH0
 パソコンルームを脱出し、黒い悪魔達を振り切ろうとしているのだが…
 一向に、振り切れる気配が、ない
 全く、どれだけいるのだ!?

「お前さん、大丈夫かい?」
「……へいき、だ……」

 ぜぇ、と
 息を切らし、「爆発する携帯電話」の契約者がひきこさんに答える
 しかし…かなり、体がふらついてきている
 あまり、長時間走る事はできないかもしれない

「屋上への階段は!?」
「…突き当たりを、左……!」

 とにかく、屋上へ向かわなければ
 マッドガッサー達を説得し…作戦を、阻止する為にも


 しかし


「−−−−−なぁっ!?」

 かさかさかさかさかさかさかさかさかさ
 屋上への階段への…通路
 そこには、みっしり
 みっしりと、黒い悪魔達が密集していた
200以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 02:37:31.25 ID:xbHEBVj6O
201以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 02:47:22.82 ID:xbHEBVj6O
202マッドガッサー決選編 奔走(代理):2009/12/08(火) 02:53:06.26 ID:n6rF3pzH0
 その先には、階段が見えていると言うのに…!

「あそこの他に、屋上への道は!?」
「………ない」

 これは…不味い
 かさかさかさかさかさかさかさかさかさかさ
 背後から迫る黒い悪魔達
 振り切るように、目の前の教室に流れ込み…

「−−−−おや」
「!」

 そこにいたのは、一人の黒服
 負傷しているのだろうか、脇腹を抑えていて
 侵入者たちを前に……軽く、笑った

「…これはこれは、お姫様。そうか、説得されたんだったな」
「……誰だ?」

 おろし金を手にした少女が、やや警戒するようにその黒服を見た
 …マッドガッサーの、敵か?味方か?
 どちらだったにせよ、それなりの対処をしなければならない
 おろし金を構えた少女の服を…「爆発する携帯電話」が、肩で息をしながら、掴んだ

「…今は、敵、じゃ、ない」
203以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 02:53:42.99 ID:xbHEBVj6O
支援
204マッドガッサー決選編 奔走(代理):2009/12/08(火) 02:53:46.80 ID:n6rF3pzH0
「いやぁ、愛しい人のためなんでねぇ?」

 ニヤリ、黒服は笑った
 …そして、かさかさかさ、教室に入ろうとしていた黒い悪魔達に向かって……何か、投げた

 かさかさかさ……
 …………
 かさかさかさかさかさかさかさかさかさ!?

「え?」

 黒い悪魔達が、逃げていく
 まるで、黒服が投げたそれを、嫌がるように
 かさかさ、かさかさ
 教室に、入り込んでこない

「何を…?」
「虫系都市伝説対策のアイテムをちょいとな。まぁ、あれ一発しかない訳だが」

 よろり
 黒服が、立ち上がった
 よろよろと…教室から、出て行こうとしている

「ぁ……怪我の、治療…」
「「蝦蟇の油」でちったぁ治ってるさ。問題ねぇ……それよりも、お姫様……あいつを、頼んだぞ?」

 くっく、と
 どこか、楽しそうに笑って
205マッドガッサー決選編 奔走(代理):2009/12/08(火) 02:54:30.17 ID:n6rF3pzH0
 よろよろと、教室の外へと向かう

「お、おい、教室の外にはGが……っつか、ちょっと待ってくれよ!」
「俺を説得しようってんなら、無駄さ。俺を止めたきゃ力付くで。俺の愛しい人達を止めたいのなら…まぁ、お姫様と一緒に頑張ってくれや。俺には、連中を止める権利はないんでね」

 くっくっく、と
 おろし金を構えた少女に、黒服は笑った
 ひらひらと、気軽に手を振り…ついでに、しゅるり、髪を伸ばし

「あぁ、そうそう。出来れば、三階じゃなくて二階に居た方がいいぞ。この階で一番、Gが繁殖してるっぽいからな。二階の方がまだ安全だ」
「あ……」

 そう言って、黒服は教室の外に出て
 直後、爆発的に伸びた髪が、黒い悪魔の波を押し流しだした
 もしかしたら…二階への道を、作ってくれている?

「行くべきは屋上なんですけどね…」

 どうしたものか
 まぁ、どちらにせよ…自分達は、すぐには動けない
 ぺたり、「爆発する携帯電話」の契約者が座り込んで、荒く呼吸を繰り返している
 少しやすまなければ、動けまい

 21:30
 人肉料理店達は、ここで一旦休息を取る事にした

to be … ?
206花子さんと契約した男の話(代理):2009/12/08(火) 02:55:33.75 ID:n6rF3pzH0
○月×日 22;42 職員室前階段前


「…着替えなら、職員室に予備の制服やジャージ類が置いてあるはずだ」

 首から下が見事に血染め状態のその女に、俺はそう伝えておいた
 格好のせいで一瞬わからなかったが、そう言えば宴会の時にちらっと顔を見たような見なかったような相手だ
 背の高い女だから、何となく覚えていた

「おや?そうかい?…それでは、それを少々失敬させてもらおうか。どこに置いてあるか、わかるだろうか?」
「こっちだ」

 花子さんの手を握ったまま、俺は歩き出す
 てちてちてち、花子さんも素直についてきて…その後を、血塗れの女が付いて来る
 赤い靴達も、少し迷ってついてきたようだ
 職員室の鍵は……開いている
 既に誰かが侵入して、戦闘か何かした後だったのだろうか
 若干、荒れている

「確か、あそこの棚にあったはずだ」
「ありがとう。それでは…奥は、校長室か。そこで着替えさせてもらおうか」
「あぁ、そこは使わない方がいい。俺達がここを出てるから」

 俺の言葉に、皆が「?」と首をかしげる
 ……うん、その

「…校長室には、「何代か前の校長先生が幽霊として出てくる」の都市伝説がいる可能性が高いから。おっさんの前で着替えショーをやりたいなら止めないが」
「……なるほど」

 女が、苦笑してくる
207花子さんと契約した男の話(代理):2009/12/08(火) 02:56:39.22 ID:n6rF3pzH0
 誰も、好き好んでおっさん幽霊の前で着替えたくはないだろう、常識で考えて
 ……一瞬、「女校長ならば考えるのだが」と聞こえたような気がするが気のせいだろう
 うん、多分きっと恐らく気のせいだ
 花子さんの教育に悪いから、聞かなかった事にする
 女を置いて、四人で職員室を出た
 しぃん……と、少なくとも、一階は静まり返っている様子だ
 もしかしたら、またどこからか誰かが入り込んできている可能性もあるが、さほど騒がしさはない

 …三階や二階辺りからは、時折なにやら聞こえてくるが

「…み、けーやくしゃ。せんせいたち、だいじょーぶかな?」
「大丈夫だろ。他にも何人かと一緒なんだし」

 多分、大丈夫
 そう信じるしかないのだ
 …あの不良教師ならば、ヤバくなっても何だかんだでどうにかしそうな気がするし

 ちらり、時計を見る
 大分、時間が経過しているが…戦闘らしき物音が聞こえてくるのを見ると、まだ、マッドガッサー達を阻止できていないのだろう
 その時が来るまでに、間に合うかどうか
 もし、間に合わなかったら、どう言う事になってしまうか
 …正直、俺には想像はできない

 ただ、阻止した方がいいことに、変わりはないのだろう
 死人が出なければいいな、と俺はただそれだけを考える事にしたのだった


to be ?
2081レスネタ(代理):2009/12/08(火) 03:02:58.70 ID:n6rF3pzH0
私は犬が好きです。大好きです。
あんなに可愛くてかっこよくて賢くておバカでもふもふで、とにかく私は犬が好きです。
猫も嫌いじゃないけど、やっぱり犬ですよ。
ずっと、犬とおしゃべりしたいなって思ってたんです。そしたらですね。本当に話せるようになったんです。
正確には、話せる犬と出会ったんです。「リュバン」っていう名前だそうです。本人は狼だって言ってるんですけどね。
でもですね、リュバンさん、すぐに何処に行こうとするんですよ。ひどいと思いません?
でもでも、ある事をしたら一緒にいてくれるんです。それはですね。死体をあげる事なんです。
え?はい、そうですよ。それが貴方を襲った理由ですよ。
だってワンちゃんとおしゃべり出来るんですよ!人なんかどうでもいいじゃないですか。
リュバンさん、他のワンちゃんの言う事も通訳してくれるし、もふもふだし、あぁ、可愛いなぁもぅ。
リュバンさんが見張っていてくれるから、目撃される事もないし。証拠残すようなヘマはしないし。いざとなれば、リュバンさんが守ってくれるらしいですし。
前より犬と一緒にいられて、天国のようですよ。
あれ?聞いてます?おーい。んー?あ、なんだもう死んでるのか。じゃあ、帰ろっと。
リュバンさん褒めてくれるかなぁ♪
209以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 03:03:35.93 ID:xbHEBVj6O
ねむ
210占い師と少女(代理):2009/12/08(火) 03:04:19.72 ID:n6rF3pzH0
○月×日 22:26

「煙ったいなぁ……」

 空き教室の半分を、黒い煙が覆っている。
 幸い教室と廊下とを繋ぐ扉の近くにまで煙は来ていないけれど、それでも室内は少し煙っぽかった。
 扉を開ければもう少しマシになるんだろうけど、不用意に出口を開け放つわけにもいかないし……。

「……完璧に壁、張られちゃったのかな」

 先程から何度かゴム弾をその中へ打ち込んでいるが、どこへ打ち込んでも返ってくるのはゴムの焼ける音と臭いだけだった。
 持ってきた弾数はそこまで多くはない。撃った後回収ができない以上、無駄撃ちは避けたいのだけれど……。

「めんどくさいなぁ……よりにもよって『骨を溶かすコーラ』の契約者と当たるなんて」

 普通の壁なら壊したり、弾を床に当てて回り込ませることも出来る。
 けれど、それが可動な上にいくら弾を当てても削られない壁だとなると……。

「……どう考えても不利だよね、僕」

 銃口は下げず、両手で構えたまま肩をすくめる。
 ゴスロリの服がポケットに入った弾の重量分だけ動作を遅れさせながら、それに合せて動いた。
211占い師と少女(代理):2009/12/08(火) 03:14:53.87 ID:n6rF3pzH0
「オリカルクム入りの弾も溶かされちゃったし……」

 ついさっきまでポケットに入っていたそれら二発の事を考え、もったいなかったなぁ、と首を振った。
 残弾数は62発。もし本格的な銃撃戦になれば、その程度の量はすぐに無くなってしまうだろう。
 一応、その他に普通のゴム弾と、硝酸銀を含んだ弾丸も持ってはいるけれど……。

「多分、硝酸銀も簡単に溶かしちゃうんだろうな……」

 運よく奇襲をかけて相手を追い込めはしたけれど、これ以上相手を追い詰める手立てはない。
 一見すれば扉を抑えている自分が有利なように見える状況なのだろうが、個人的な心情を言えば完全な八方塞がりだった。
 しかも、「骨を溶かすコーラ」の契約者が自分を殺す気になったら、こちらに対抗する手立てはない。

「まぁ多分、面識あるし殺さないだろうとは思うけど……」

 ……「覚えてないかもしれない」なんて考えは、その時全く持っていなかった。
 ついでに、「覚えてても殺されるかもしれない」なんて考えも。

「うーん…………」

 ちらりと壁にかけられた時計を見る。
 幸いなことに黒煙から逃れたそれが指している時刻は、夜の10時28分。
 もう既に、黒煙が充満してから7、8分が経過していた。
 しかし特別な煙なのか、一向に晴れる気配はない。
 しかもコーラの壁が音を吸収してしまっているのか、この数分間、向こうの声は全く聞こえていなかった。
 つまり、無音で、視界も悪く、改良したとはいえまだまだ重いハンドガンをずっと持ち上げた状態で数分間を過ごしていたのだ。
 …………正直、退屈だし、かなり疲れていた。
212占い師と少女(代理):2009/12/08(火) 03:36:16.57 ID:n6rF3pzH0
「結構頑張ったし、僕が今ここから逃げても誰も責めないんじゃないかな?」

 だって、この後何分待たなきゃいけないかも分からないし、もし相手が疲れるのを待っていたらこの後ずっとここでハンドガンを構えてなくちゃいけないし……。
 大体、どう考えても勝てない相手とずっと向かい合うのにも精神的な疲弊が重なるんだよねー。
 あの真面目な黒服みたいに胃を悪くしたくないし、僕が倒れたら困る人がいると思うし……多分。
 そんな言い訳を心の中でしつつ、少しずつ扉の方へと向かっていると――――

かさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさ…………

「……うん?」

 ――何か嫌な音が、黒煙の中から聞こえてきた。
 そういえば、ここへ来る前にも数百匹見かけたな。
 結構綺麗な印象があったけれど、もしかして見えない所は汚いのかな、この校舎。
 鼠もいたし、蜘蛛もいたし……。
 あれ? でも蜘蛛はいた方がいいんだっけ?

かさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさ…………

「……っと、そんな事を考えてる場合じゃなかった……」

 思考が飛んだ一瞬の間にも、その足音はこちらに迫ってきていた。
213占い師と少女(代理):2009/12/08(火) 03:56:15.67 ID:n6rF3pzH0
 少しして、黒い煙の中から、それと同じくらい色の濃いGがわらわらと這い出てくる。
 煙が覆う前は全然いなかったのに、どこから出てきたんだろう?
 数十匹単位のGが、黒煙からどんどん排出されている。その数、目視しただけで50匹以上。
 しかし、こちらが攻撃を仕掛けたり、驚かしたりしなければ襲われない事を知っているので、慌てはしない。

「自然体、自然体……」

 そう自分に言い聞かせながら、壁と同化するように動きを止める。
 銃口がプルプルと震えているが、多分見逃してくれるだろう。

かさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさ…………

 Gはどんどん増えて行き、黒い波を形成していく。
 動かない人間なんかは無視をして、それらは進む……はずだった。

「自然体、しぜんた…………うわっ!?」
 
 しかし、呟きながら動いきを止めていた身体にGがわさわさと登ってくる。
 ただ壁だと思って上って来たのならいいのだけれど、上ってきているGは布の薄いゴスロリの服から出た足に、その牙を突き立てた。

「ちょっ、うわっ、痛い痛いっ!」

 こうなったらもう、自然体何て言っていられない。
 左手をハンドガンから離し、身体に這い上がってきているGを払った。
 払われ、地面へと落ちたGを、右手のハンドガンで撃っていく。

「何か恨まれるような事したかなぁ、僕」

 Gに浸食されていない、扉の方へと向かいながら呟く。
214占い師と少女(代理):2009/12/08(火) 03:56:56.09 ID:n6rF3pzH0
 その間に足を上ってきたGは手で払い、先に上ってきたそれらと同じように撃ち落とした。
 ……でも、どうやら撃っても再生するみたいだ。急所を打たれたはずのGは、それでもすぐに他のGと共に後を追おうと走ってくる。

「早く逃げよ……」

 小走りと言うよりは殆ど全力疾走で扉へと走る。
 この部屋の扉は一つ。Gを部屋に閉じ込めた後、扉さえ見張っていれば彼らに逃げられることもないと思う。多分。
 …………そして、扉まであと少しと言う距離で

カランッ

 何かが、目の前に落ちてきた。

「え…………?」

 それは、見た事のある形。
 表面を濃い茶色とグリーンのような模様で覆われた、瓢箪のような形。
 そういえば、閃光弾や手榴弾はこんな形や色をしていたような。

「………………あれ?」

 ……と言うか、さっき投げたはずの閃光弾だった。

「うわ、何で爆発してないの……」

 そう言えば爆発音とかしてなかったなぁ、なんて今さらながらに気付く。
 あの中の誰かが、一時的に閃光弾の爆発を凍結したのだろうか。
215占い師と少女(代理):2009/12/08(火) 03:59:44.67 ID:n6rF3pzH0
「…………しかも爆発寸前じゃないかっ」

 それが炸裂する前に、顔をそむけ、目を閉じた。
 目を閉じ切った瞬間、昼間のような光量が瞼を通して目に入り、小規模な爆発音が耳をつく。

「危ないなぁ、もう」

 元々自分の所持物であった事は棚に上げ、閃光弾を投げた誰かに向けて呟いた。
 そむけていた顔を上げ、身体にまた登ってきたいたGを払う。
 そして再び顔を扉へと向けようとして――――

「…………っ!?」

 ――――煙の中から、一人の青年が出てきていた。
 白衣を着たその青年は、そのまま走りの勢いを殺さず、まっすぐに自分の所へと走ってくる。
 風になびく白い白衣が、黒煙を背景に映えている。
 距離の関係か、顔までは見えなかった。

「……直接僕を気絶させるつもりなのかな?」

 右手のハンドガンを、彼へと向ける。
 白衣の青年との間には、何の障害物もない。オートポインターの能力もあるし、まず外れる事はないと思う。
216占い師と少女(代理):2009/12/08(火) 04:00:25.24 ID:n6rF3pzH0
「取りあえず足を狙って、と……」

 この距離だと下手に頭を狙ったら気絶だけでは済まないかもしれないしね。
 両手で狙いをつけ、引き金に手をかける。
 それを、そのまま引き絞ろうとして――――

ブンブンブンブンブンブンブンブンッ!!!

「…………うぇっ!?」

 ――――先程まで床を這っていたGが、一斉に飛び上がった。
 視界を覆うように飛び上がったGを前に、動揺が走る。
 青年の姿は見えるには見える。けれど、これでは撃ってもGに防がれてしまうだろう。
 ……しかし、それでも、射撃で鍛えられた目には、Gの合間を縫うように青年の足にまで届く隙間を一点、見つけていた。
 青年との距離は近い。早く撃たないと、ハンドガンでは対処しきれない距離にまで近づかれてしまうだろう。
 接近戦に銃は向かない。その為に一応格闘技も少しなら出来るようにはしているけれど……わざわざ前線に出てきた青年だし、多分自分なんかよりずっと強いんだろうな。

「だから、ごめんね」

 そう呟き、引き金に再び手をかける。
 それを振り絞り、発砲しようとした瞬間……非常灯が、青年の顔を照らした。
217占い師と少女(代理):2009/12/08(火) 04:01:57.50 ID:n6rF3pzH0
「…………え?」

 その顔は、「骨を溶かすコーラ」の契約者と瓜二つで、
 「骨を溶かすコーラ」とは、面識があって、
 面識のある人間を撃つ…………そんな錯覚を、その顔は引き起こさせた。
 一瞬、青年を撃つ事にためらいが生まれる。
 その躊躇した一瞬で、青年と自分を結んでいた線上にGが入り込んだ。

「やば…………」

 そう呟くと同時に、Gをかき分けて青年がやってくる。
 ハンドガンがギリギリ届く範囲……青年の周囲のGの壁は、薄くなっていた。
 ……これなら、撃てる。

「…………よし」

 再度降って湧いた、そして恐らく最後のチャンス。3度目の正直だ。
 狙いを付け、引き金に指をかける。

「足を撃つだけだ……殺すわけじゃない」

 自分に言い聞かせるように、一言呟いた。

パンッ

 それと同時に、引き金を振り絞る。
218占い師と少女(代理):2009/12/08(火) 04:02:37.90 ID:n6rF3pzH0
 銃口から放たれた銃弾は、狙い通りの線を描き、青年の足へと向かう。

(当たった…………)

 そう確信した、その時だった。

ゴポポポポポポポポポポポポポポポポポ…………

 ――青年の足元から、コーラが立ち上った。

「……足と一緒にコーラを移動させるなんて、反則じゃないのかな……」

 じゅう、と音を立ててコーラに阻まれるゴム弾。
 その一発を交わした青年は、ハンドガンの射程圏内であり射程圏外である、そんな境界にまで既に入り込んでいた。
 咄嗟に受けの体勢を整えたけれど、やっぱり遅すぎた。

「……ふっ」

 言葉と共に放たれた青年の拳が、鳩尾を直撃する。
219占い師と少女(代理):2009/12/08(火) 04:03:18.47 ID:n6rF3pzH0
 膝を折り、倒れそうになるも、意識はまだあった。
 反撃を試みようとしたその時――――

ストン

 ――――青年の手刀が、首に入った。

「……悪いな」

 その言葉が聞こえるか、聞こえないか。
 そんな一瞬の後に、意識は暗転した……。




○月×日 22:31 黒服Y、失神
220ドクターとバイトちゃん(代理):2009/12/08(火) 04:44:38.79 ID:n6rF3pzH0
22:44頃

「さて、こちらの棚だったな」
少年達が職員室から出て行き、ドクターはごそごそと棚を探る
出てきた何着かの女子制服やジャージを確認し
「新品か」
残念そうに呟きながらサイズを確認する
「ふむ……日本人の学生が着るサイズというのが難点だな。そうなるとこれか」
ドクターは制服を包んでいたビニール袋を破き、確かめるように袖を通す
一応ある程度身体は拭いたが、身体のあちこちで乾いた血液がぱりぱりと音を立てている
「ダメにしてしまった白衣もそうだが、衣服の返礼はきちんとしなくてはな」
いつもの白衣から裸エプロン、そして裸白衣と、何やら着替えばかりしている気がしないでもない
これが自分以外の女性だったら良かったのにと心の底から思いながら、ドクターは袖に腕を通していた

がらりと職員室の扉が開き
「着替え、終わりましたか?」
「ああ、少々梃子摺ったが問題ない」
男性用の制服に身を包んだドクターは、そう言って服の具合を確かめるように身体を動かし
その度に豊満な胸が大きく開いたブレザーの襟から零れ落ちそうになる
「一応聞きますが、シャツは」
「男性用女性用共に胸元が全く閉じないので着るのに無理があると判断した」
「襟元がより大きく開いてる男子用のブレザーにした理由は」
「男性用より一回り小さいせいか総じて少々きつくてな」
「下着はどうしましたか」
「血の池に漬けられる前にホルマリン漬けにされてな。その時に全部脱いでしまった」
221ドクターとバイトちゃん(代理):2009/12/08(火) 04:45:19.69 ID:n6rF3pzH0
「みー? けーやくしゃ、おはなしがきこえないのです」
耳を押さえられたままの花子さんと、なんだかもう色々困り果てた顔の契約者
「ああ、ボクとしては肌を晒すのはどうでもいいのだが。見る方が気を遣うという事でスカートではなくズボンにしてみたのだが」
「そこだけは誉められていいと思いますが、ツッコミがあるまで気にしなかったのもどうかと思います」
「医者が裸を気にしてたら仕事なんて出来ないのだがな」
「見るのを気にしないのと見せるのを気にしないのは全く別の話です」
「まあ最低限隠してはいるんだ、気にしないでくれたまえ。それよりもマッドガッサーへの対応はあまり時間が無いのではないかね? 十三階段の説得が済んでればいいのだが」
本来ならば死んでいるような異空間に何度も落とされているというのに、そのペースは崩れる事はない
「……この人の相手するの大変そうだな」
そして、この人と同じ組織に居たりしたらもっと大変そうだ
そんな人達に少しだけ同情しながら、一行は行動を再開し

「……へくち」
「ん、起きたのか?」
「いえ、くしゃみをしただけのようですわ」
ザクロの背中でバイトちゃんが小さなくしゃみをしたのだった



ブレザーっぽいのでとりあえずそれで
毎回無理矢理エロくしてるわけじゃなくて、順序立てて考えたらそうなってしまうだけなのです
ホントダヨ?
222マッドガッサー決戦編 彼方からの殺意(代理):2009/12/08(火) 04:46:04.21 ID:n6rF3pzH0
○月×日 21:50 一年生教室


 そこに、「爆発する携帯電話」が入り込んだ時
 マリ・ヴェリテの姿は、どこにもなかった
 残されていたのは血の痕と、開いた窓

『…はにー、まりノヤツ、サッキノヒメイヲキイテ、オクジョウニアガッタミテェダ』
「……そう、か」

 心配そうな…泣き出しそうな表情をしている、「爆発する携帯電話」
 マリが、負傷したと…そう、報告を受けた
 だから、ジャッカロープの乳で、また傷を治療しようと駆けつけたのだが…その直前、聞こえてきたスパニッシュフライの契約者の、悲鳴
 マリは、それを聞いて彼女の元へ向かったのだろう
 彼女の事を、マリはとても気にかけていたから

「これは…屋上に向かった方が、良さそうですね」
「……あぁ」

 オーナーの言葉に、「爆発する携帯電話」はこくりと頷いた
 …どちらにせよ、屋上には向かわなければならないのだ
 ジャッカロープを抱いたまま、すぐに廊下へと飛び出す

「屋上への階段の道、開いてるぜ!」
「じゃが、急いだ方がいいじゃろうな」

 屋上への、唯一の階段
 そこへの廊下に、黒い悪魔の姿はない
 あの、髪の伸びる黒服がどうにかしてくれたらしい
223マッドガッサー決戦編 彼方からの殺意(代理):2009/12/08(火) 04:47:17.05 ID:n6rF3pzH0
 だが、いつまた、黒い悪魔がここまで侵攻してくるか、わからない
 急いで、屋上に向かわなければ
 四人で、屋上への階段に向かって走る
 廊下の突き当たりにある、その階段へと視線をやって…

 一同は、思わず凍りついた

 かさかさ
 かさかさかさかさ

 そこには、黒い悪魔がいた
 みっしりと、黒い悪魔が巣くっていた
 それらは、もぞもぞとその数を増やしていっていて
 それらが、屋上へと登っていこうとして…しかし、13段目に、引っ張り込まれていっている
 しかし、増える
 しかし、引きずり込まれる

 ……この世で一番嫌なエンドレスが、そこで繰り返されていた

 G嫌いならば、確実にトラウマものである
 そうじゃなくとも、一瞬、気が遠くなりそうだ

 ……かさりっ
 ……黒い、悪魔達が
 自分達を見ている存在に……気づいた

「やばっ!?」
「に、2階へ!」

 屋上からは、遠ざかってしまうが
224マッドガッサー決戦編 彼方からの殺意(代理):2009/12/08(火) 04:48:21.61 ID:n6rF3pzH0
 かさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさ
 黒い悪魔の一部が、一同を追いかけた来た
 ……が、それらは、一同に追いつく事なく、13段目に飲み込まれていく
 かさかさかさかさかさかさかさかさかさ………
 ………あぁ…ここでも、嫌なエンドレスが開始されてしまった……

「しっかし、まいったな。これじゃあ屋上にいけねーぞ」
「くけ……」

 少年(いや、姿は少女だが)の言葉に、「爆発する携帯電話」は困ったような表情を浮かべた
 この学校の見取り図は、スーパーハカーが手に入れた物を見て把握している
 屋上への階段は、あそこだけなのだ
 非常階段は存在するが、屋上までは繋がっていない
 階段を使わないで、屋上へ行く手段など、壁を上るか空を飛ぶかしかない
 そして、この面子で、それができるかどうか、と言うと…微妙だろう
 ひきこさんが、力いっぱいぶん投げてくれれば辛うじて届くかもしれないが、正直投げられる方が危険である
 少なくとも、「爆発する携帯電話」はその衝撃に耐えられないだろう

「何か、方法を考えませんと…」
「…どうやら、そうも言ってられんようじゃぞ」

 ひきこさんが…真っ先に、それらの気配に気づいた
 かさかさかさ
 小さな虫が、蠢く音に

「っちょ…また、Gかよ!?」
『−−チガウ!トニカク、スグソバノキョウシツニニゲコメ!!』
225マッドガッサー決戦編 彼方からの殺意(代理):2009/12/08(火) 04:49:02.44 ID:n6rF3pzH0
 「爆発する携帯電話」が握っていた携帯電話から響く、スーパーハカーの声
 かさかさかさかさ
 かすかな音を立てながら、迫ってきたそれは…

 蜘蛛だ

 小さな、小さな蜘蛛達
 それらがかさかさかさ、迫ってきている…!
 毒蜘蛛の類は混じっていないようだが、あまり気持ちいい集団ではない
 そして、あの黒い悪魔同様、都市伝説絡みかもしれないとなると、そう簡単に払う事もできまい
 すぐ傍の教室に駆け込み…そこで、蜘蛛を迎え撃つ

 かさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさ

 それは、統制のとれた動きではない
 しかし、故に気まぐれなそれらの動きは、捕えどころがなく攻撃は難しい

「なぁ、こいつら潰して大丈夫なのか?」
「夜蜘蛛は親でも殺せ、と言うからのう。むしろ、潰した方がいいかもしれんな」

 少年の疑問に、ひきこさんが答える
 そう言えば、そんな言い伝えもあった様な気がする
 かさかさ、かさかさかさ
 蜘蛛達は、ゆっくりと一同を包囲してくる
226マッドガッサー決戦編 彼方からの殺意(代理):2009/12/08(火) 05:01:45.77 ID:n6rF3pzH0
 懐から、予備の携帯電話を取り出す
 即座にその携帯にアクセスし……ぽ〜ん、と蜘蛛達の中心に投げ込んだ

 ピピピピピピピピピピピピピピピピ

 電子的な音が響き……ぼぅん!!
 爆発の衝撃が、蜘蛛達を殺していく

 かさかさかさかさかさかさかさかさかさ

 爆発から運良く逃れた蜘蛛を、少年やオーナーが次々と潰していく
 まずは、迫り来る蜘蛛を何とかしなければ、今後の方針を考える事もできない
 蜘蛛達相手に攻撃を繰り返しながらも…「爆発する携帯電話」は、他の仲間たちのことを、気に駆け続けていた


○月×日 22:10 二年生教室


「……一段落ついたか?」
「…たぶん」

 静まり返った教室内
 無数の蜘蛛の死体が散乱している
 …もう、動く蜘蛛は…少なくとも、ここにはいない

「流石に疲れたな…」
「くけ…だいじょう、か…?」

 じ、と心配そうに少年を見詰める「爆発する携帯電話」
 少年は大丈夫、と笑ってきた
227マッドガッサー決戦編 彼方からの殺意(代理):2009/12/08(火) 05:02:26.56 ID:n6rF3pzH0
「俺は平気だよ。それより、携帯の兄ちゃんこそ、大丈夫か?顔色、また悪くなってるぞ?」
「……平気だ」
「しかし、あなたは先ほどから、ずっと都市伝説能力を使い続けています。かなり、負担がかかっているはずですよ?」

 オーナーの言葉にも、「爆発する携帯電話」は平気だ、と答える
 体力を消耗している自覚はあるが、都市伝説能力を使いすぎた、と言う自覚はあまりない

『はにーハウツワガソウトウでかイカラナ、ノウリョクノツカイスギハシンパイナイトオモウゼ』
「…まぁ、問題は体力なんじゃろうな、お前さんの場合」
「……くけっ」

 ひきこさんの指摘通りである
 一度休んだと言うのに、また少し走っただけで、体力を消耗してしまっている
 ……自分の貧弱さが、嫌になってくる

「…平気、だ。だから…屋上に行く方法、考えよう…」
「屋上なぁ……これでRPGだったら、隠し通路を使ってー、とかってなるんだけどな…」

 ぺたん
 すぐ傍にあった椅子を引っ張ってきて、腰掛ける少年
 もぞ、と「爆発する携帯電話」も、すぐ傍にあった椅子に腰掛けた
 …そうでもしないと、体力がかなり、危うい

「…隠し通路、と言うか…三階へ行く道は、階段以外も、ある」
「マジ!?」
228マッドガッサー決戦編 彼方からの殺意(代理):2009/12/08(火) 05:03:07.42 ID:n6rF3pzH0
「…ある、が……そこは、確か…マッドが、爆弾を仕掛けていたから…」
「危なっ!?」

 …誰かが先に通って、尊い犠牲になってくれていない限り、あの道を使うのは不可能だ
 流石に、あそこには隠しカメラは設置されていないから、確認できない

「では、やはりあのゴ○ブリに占拠されていた階段をどうにかするしかないですね」
「都市伝説能力の発動者が、能力を解除してくれればいいのじゃがのぅ」

 数の暴力とは恐ろしい
 それを、嫌というほど実感する
 増え続けるあれをどうにかしなければ、先には進めない

 …マッドガッサーが持っていた火炎放射器で焼き払えば、どうにかなるかもしれない
 こちらから連絡して、あの階段の黒い悪魔達を焼き払ってもらおうか?
 「爆発する携帯電話」は、そう考える

 ……だが
 じっと、自分の携帯電話を見詰める

 先ほどから、何度かマッドガッサー達に、連絡をしているのだ
 今回行っている計画を…思いとどまってくれるように
 しかし、返事こそ返してくれるが、思いとどまってはくれない

『ヤバくなったら…いざという時は、お前らだけでも逃げろ』

 マッドガッサーからの返事は、それだった
 お前ら、と言うのは、マッドガッサーの傍にいる似非関西弁の女性や、スパニッシュフライ契約者達にも向けた言葉だからだろう
229マッドガッサー決戦編 彼方からの殺意(代理):2009/12/08(火) 05:03:48.89 ID:n6rF3pzH0
『お前らは、どっかの組織なり何なりの保護下に入って、いくらでもやり直せる。俺とマリは、そうも行かないだろうがな』

 …そうは、言われても
 逃げる事などできない
 「爆発する携帯電話」は、そう考える
 仲間を置いて逃げるなど、できるものか
 皆は、大切な家族同然なのだから
 逃げるなど…できない

 もし
 もし、だ
 今回の計画が、失敗して
 自分達が、バラバラになってしまったら…

「−−−−−−っ」

 嫌だ
 それだけは、嫌だ

 しかし、一度考えてしまうと、その恐怖が思考を支配する
 恐怖が、思考をグルグルグルグル、縛り付けて…

「…兄ちゃん?お、おいっ!?」
「どうしました!?」
「−−−っ」

 呼吸が、苦しい
 抱きしめていたジャッカロープが、慌ててぺちぺち、しっかりしろ!とでも言うように前脚で叩いてくる
230マッドガッサー決戦編 彼方からの殺意(代理):2009/12/08(火) 05:04:29.47 ID:n6rF3pzH0
 恐怖が、本日二度目の発作を引き起こした
 呼吸がままならず、視界がかすむ
 体力を、消耗していたせいもあったのだろうか

 −−−「爆発する携帯電話」は、そのまま意識を失った



○月×日 22:35 一年生教室


「−−−−−−ん、携帯の兄ちゃん!!」
「……ぁ」

 意識が、ゆっくりと覚醒する
 心配そうに覗き込んできている、その顔に……「爆発する携帯電話」は、慌てて起き上がろうとして
 くらり、視界が霞む

「急に起き上がらない方がいいです…もう少し、休んだ方が」
「…い、や……時間…」

 時間が、ないのだ
 とにかく、起き上がろうとする「爆発する携帯電話」
 急がなければ、ならないのに
 どうして、自分は気絶などしてしまったのだ…!

「…発作は、もう、おさまったから……だいじょう、ぶ」
「大丈夫なら、いいんだけど…」

 本当に、大丈夫なのだ
231マッドガッサー決戦編 彼方からの殺意(代理):2009/12/08(火) 05:05:48.34 ID:n6rF3pzH0
 発作は、おさまってさえくれれば、もう苦しさも何も残らないから
 …自分でも、厄介な発作だと思う

「…状況、は?」
『……ソレガ、ダナ。マズイゼはにー』

 携帯電話から響くスーパーハカーの声
 機械的な声に、やや苦渋の色が混じっている

『13カイダンノヤロウノソバニ、シンニュウシャガアツマッテヤガル』
「……!」
『ドウヤラ、セットクスルツモリラシイケドナ。イザトナッタラ、ドウナルカワカラネェ』

 …まずい
 説得してくれると言うのなら…いいの、だが
 「13階段」の能力は、縁距離攻撃を前に無防備なのだ
 いざとなったら、どうなるかわからない

 …「13階段」が、簡単に説得に応じるとは思えないのだ
 彼は、頑固な面もあるから

「………」

 ふと、「爆発する携帯電話」は考える
 …面と向かって、自分が説得すれば
 少しは、話を聞いてくれるかもしれない
 携帯電話での、遠くからの説得よりも
 面と向かって説得した方が、いいに決まっている
232マッドガッサー決戦編 彼方からの殺意(代理):2009/12/08(火) 05:08:44.69 ID:n6rF3pzH0
「……なぁ」
「?」
「…「13階段」を…説得、したい。そちらから…三階に、行こう…」
「「13階段」って…前、会った時携帯のにーちゃんと一緒にいた、あのにーちゃん?」

 こくり、少年の言葉に頷く
 多分、少年達も一緒に居れば…もっと、話を聞いてくれると思う
 問題は、彼の前にいると言う侵入者達だが…
 …こちらの話を、聞いてくれればいいのだが

「わかった。行こう」
「どちらにせよ、三階にあがる必要があるんじゃしの」

 …むくり、今度こそ「爆発する携帯電話」は起き上がった
 ぴすぴす、鼻を鳴らしながら擦り寄ってきていたジャッカロープを抱き上げる

 …どうか、自分の言葉が「13階段」に届けばいいのだが
 「爆発する携帯電話」は、そう祈らずにはいられなかった


○月×日 22:50 視聴覚室横階段前


 ぴくりっ
 ザクロの耳が、数人の足音を拾った
233マッドガッサー決戦編 彼方からの殺意(代理):2009/12/08(火) 05:09:26.97 ID:n6rF3pzH0
 ぱたぱた、ぱたぱたと
 それらは、こちらに向かってきている
 段々と大きくなってくる足音に、皆、気づいて
 それらの姿が…視界に、入り込んでくる

 それは、女性が四人とナマモノ一匹
 そうとしか見えない集団だった
 中学生くらいの少女、見事な巨乳の女性、老婆、そして…鹿の角が生えた兎を抱いた少女
 そんな、奇妙な集団
 だが、その集団に、見覚えがある黒服Hと
 そして、兎を抱いた少女に見覚えがある、TさんとTさんの契約者、リカちゃん
 …そして、その少女に、見覚えがあるようなないような、微妙な感覚を抱いた姫さんと妹ちゃん、そしてザクロ

「……っ」

 びくり
 兎を抱いた少女は、集団の一部を見て…かすかに、怯えたように体を震わせた
 それは、姫さんたちと戦闘した経験がある故の後ろめたさやら恐怖やらなのだが…今は、そんな細かい事情はどうでも良かった

「…来たか。お姫様」

 ぼそり
 黒服Hが、呟くようにそう言ったからだ

「へ?お姫様?」

 Tさんの契約者が、きょとんとした表情をする
 …その、「お姫様」と言う単語の意味する事に
 一同が、誰か来たと視線を向けた様子を怪訝そうに見詰めていた「13階段」が、気づいた
234マッドガッサー決戦編 彼方からの殺意(代理):2009/12/08(火) 05:11:58.41 ID:n6rF3pzH0
 スパニッシュフライで操られた黒服Hがマッドガッサー一味全員と顔を合わせた時、彼が「爆発する携帯電話」を見て

『…あぁ、そうか。あれがお前のお姫様か』

 と、そう言っていたからだ
 …「爆発する携帯電話」が、ここに来た!?
 こんなに、敵がいるって言う時に!?

「……そこに…いる、のか?」

 聞こえてきた…「爆発する携帯電話」の、声
 息を切らしているのが、声の様子からわかる
 どうやら、走ってきたようだ

 何故、ここに来てしまったのか?
 そんな疑問よりも何よりも、先に
 「13階段」は、自然と体が動いていた

「……っ!」

 たんっ、と
 階段の踊り場から、跳んだ
 目標着地地点は…自分を説得なんぞしようとしてきた連中と、二年生教室側の廊下への、間

 だんっ!!と
235マッドガッサー決戦編 彼方からの殺意(代理):2009/12/08(火) 05:12:56.65 ID:n6rF3pzH0
 無事、着地した「13階段」
 彼を説得しようとしていた面子と、駆けつけた「爆発する携帯電話」達との、丁度間に着地しらさる

 ………
 着地の衝撃がもろに脚にきたのか、若干うめいているのがなんとも情けない

「…っお前、どうしてここに……」

 急いで振り返る、「13階段」
 とにかく、「爆発する携帯電話」をここから逃がさなければ
 今の彼の思考は、それだけで一杯で…


 窓の外、はるか彼方から
 自分を狙う殺意に、気づいていなかった


「−−−−−−っち」

 まずい状況だ
 黒服Hは、小さく舌打ちした
 「爆発する携帯電話」の契約者が、このタイミングで来てしまうとは
 なんとも、最悪のタイミングだ
 「13階段」が、「爆発する携帯電話」を特別に思っているのが、雰囲気で察していた
 それが、どれほど強い想いなのか…今の瞬間に、再確認する
 己が絶対的に有利な位置にいたにも関わらず、その有利を捨ててまで、「爆発する携帯電話」の盾になるように飛び降りてきたのだから

 まずい
 「13階段」が、窓から見える位置に来てしまった……!
236以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 06:50:27.36 ID:l9x0X7M8O
ほしゅ
237以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 07:51:11.33 ID:7OU7CgSTO
よかった残ってた保守
238以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 08:49:36.48 ID:iB8YF9z6O
代理の人乙だな〜星
239以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 09:20:38.58 ID:l9x0X7M8O
組織は「サッグ団」とか「アサシン教団」「聖フェーメ団」みたいな殺人能力に特化してそうな秘密結社に仕事を頼んだりしないのかな
240以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 09:33:53.31 ID:7OU7CgSTO
仕事を外注で依頼する『組織』…いいのか?
241以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 09:42:12.10 ID:l9x0X7M8O
餅は餅屋ですよ
242マッドガッサー決戦編 彼方からの殺意(代理):2009/12/08(火) 09:44:42.26 ID:n6rF3pzH0
 窓の向こうからの殺意が……膨らんだ


○月×日 22:52 中央高校より500q


 −−−−−来た!!
 H−96が姿を現した!!
 彼は、歓喜の表情を浮かべた

 さぁ、殺してやろう
 裏切り者の、失敗作のHナンバー共め!

「…さぁ、行け!!」

 彼の契約している都市伝説達が……姿を、現して
 じゃきんっ!と
 手にしていた獲物を、鳴らした


○月×日 22:53 視聴覚室横階段前の廊下


 …その、気配に真っ先に気づいたのは、ずっと警戒していた黒服H
 次に気づいたのは耳のいいザクロ、その次に気づいたのは、Tさんだった
243マッドガッサー決戦編 彼方からの殺意(代理):2009/12/08(火) 09:46:11.90 ID:n6rF3pzH0
 ば!!と、三人は窓の向こうに視線をやる
 それに釣られるように、何人かも窓の外へ視線をやって

「…てん、し?」

 女装少年が、そう呟く
 窓の向こう、何かが、こちらに近づいてきている
 それは、背中から翼を生やし、光を纏った……まるで、天使のようで…


「−−−−−全員伏せろ!!」


 黒服Hが、叫ぶ次の瞬間……ばりぃん!!と、一同の傍の窓ガラスが、粉々に砕け散った
 「13階段」が、対応し切れなかった「爆発する携帯電話」の体を押し倒したのが、黒服Hの視界の隅に入り込む

 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!
 一瞬前まで一同がいたその場所に、無数の銃弾が撃ち込まれる!

「な、何なのよ、これ!?」
「「モンスの天使」だ!!「組織」の始末屋の一人が契約してる都市伝説だ!」
「…っ「組織」の、強硬派と言った所か」

 黒服Hの叫びに、Tさんが苦々しく呟く
244マッドガッサー決戦編 彼方からの殺意(代理):2009/12/08(火) 09:46:52.40 ID:n6rF3pzH0
 絶え間なく撃ち込まれる銃弾
 結界なりなんなりで防がなければ、立ち上がる事すらできない
 そうじゃなくとも、あとほんの数分で、モンスの天使達はここまで接近してくるだろう 
 そうなると、手榴弾の数十発も投げ込まれたら、ヤバイ

 とにかく、全員無事か?
 視線を彷徨わせた黒服Hの視界に…背中を負傷している「13階段」の姿が、入り込んだ

「………ッ、ヤ」
「掠っただけだ…大丈夫、だから」

 泣き出しそうな声を出している「爆発する携帯電話」にそう答えている「13階段」
 深い傷ではないようだが、背中を銃弾が掠り、服が破けて露出した背中に傷が見える


 ……あぁ、畜生が
 苦々しい表情を浮かべながら…黒服Hは、スーツの懐から携帯電話を取り出した


to be … ?
245ラジオde都市伝説(代理):2009/12/08(火) 09:47:32.74 ID:n6rF3pzH0
「ネックと」「RBの」
「「「ラジオde都市伝説ー!!」」」
「司会は私、ネックおばさんと」
「とうとう就職先が決まったRBがお送りする」
「え、あなた就職したの?どこに!?」
「隣町の病院」
「医療関係は人材不足ですからねー」
「へー・・・あなたが就職ねぇ・・・・・・ま、とにかく始めましょう」
「今回はみんなからの質問や相談のお便りに答えるコーナーオンリーだ」
「いつもそればかりですけどねー」
「それじゃあ早速、いってみましょう!」

「まずはRN『無敵のプリンセス』さんからのお便り!
最近の『怪奇同盟』盟主の強さが、最初と大分違うようなんですが・・・だって」
「これは書いている本人も気にしていた問題だな」
「でも一応理由付けはすることになったのよね?」
「らしいな・・・ただ、それだと際限なく強くなる可能性があるとか」
「あー、私もそんな強い都市伝説に生まれたかったわ」
「強い都市伝説も大変なことはあるらしいがな」
「そうねー・・・あれ?次のお便りはどこかしら」ヒラッ
「あ、なにか落ちました。えーっと・・・あ!作者のメモです。なになに・・・
『力の元は・・・「霊体=エネルギー体」「土地に縛られている」「近年の都市伝説増加」』・・・どういう意味でしょうねー?」
「あ、お便りあったわよ!」
「見つかったみたいですね。よかったです」
「それでは続いてのお便り・・・」
246以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 09:48:12.46 ID:l9x0X7M8O
支援
247ラジオde都市伝説(代理):2009/12/08(火) 09:50:37.14 ID:n6rF3pzH0
「RN『俺はホモじゃねえ!』からのお便りだ
名前にもあるとおり周囲からホモ呼ばわりされるのですが、どうすればいいと思いますか?」
「すごい質問ですねー」
「・・・無視しなさい!」
「もう少し考えてあげようじゃないか」
「でもこういうのは普段の行動に問題があるものなのよ!」
「それもそうだな・・・普段の行動に誤解される要因がないか、一度自分を見つめ直してみてはどうかな?」
「はい終了!次のお便りは・・・」

「RN『正義とはなにか?』さんからのお便り
チャラ(ryはもう女のままでいいと思います・・・って作者が違うわ!」
「間違えて送ってきたのでしょうかー?」
「・・・気を取り直してRN『黒服LOVEをLOVE』からのお便りだ
友人が年上の男性にアタックしているのですが、いつも子供扱いされ相手にされていません
というか彼は女性に興味が薄いらしくて・・・そんな友人を好きな私にも可能性はありますよね?」
「・・・可能性って、なんの?」
「・・・・・・わからん」
「鈍感ですねー。えっと、努力すればきっと報われます!最後まで諦めないで!!」
「ラストのお便りー」
248ラジオde都市伝説(代理):2009/12/08(火) 09:54:42.88 ID:n6rF3pzH0
「RN『あるばいたー』さんからのお便り
アルバイト先の上司が女性によくセクハラするんです。どうすれば止められますか・・・ん?まだ書いてあるわよ」
「追伸、上司は女性です」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・レズですか?」
「このお便りには迂闊に答えられないわね」
「そうだな、我々には荷が重い。というわけで」
「「まぁ、頑張れ!!」」
「ファイトですよー!」

「さて、お便りも読み終わったし時間がきたので」
「「「ラジオde都市伝説、また次回!!」」」
「みなさんのお便り、待ってますよー」
249Tさん(代理):2009/12/08(火) 09:55:57.75 ID:n6rF3pzH0

「っ!」
 強い殺気の気配を感じて青年は振り返る。視界の奥、遠くにいくつもの光があり、

「――――全員伏せろ!!」

 黒服が叫んだ時には青年は契約者の足を払って強制的に床に伏せさせていた。
 直後、銃弾が窓を割る音が連続して響く。
「な、何なのよ、これ!?」
「≪モンスの天使≫だ!! ≪組織≫の始末屋の一人が契約してる都市伝説だ!」
「……っ、≪組織≫の、強硬派と言った所か」
 苦々しく呟き、
 ……銃弾が避けて着弾すれば幸せだ。
 思い、淡い光が青年から発され幸せが履行される。銃弾はほとんどが一行を避け壁、床を抉る。
 しかし護る対象がいる範囲が広い。天使の集団が発射する銃弾全てに対して力をかけ続けることは不可能と判断、
 負傷者が出ているだろうことを思い舌打ち一つ、
 ……結界、銃弾を防げる壁があれば幸せだ!
「破ぁ!!」
 光壁を展開する。それは銃弾の衝撃に徐々に削られていくが、
「悪いモノは外に!」
 境界を別つ宣言と共に更に強力な結界が張られた。
 ≪夢の国≫の時にも見たものと似た輝きを持った結界。今日何度か目にしたその光を見て、
「この範囲でこの強度を短時間で……流石は専門家、か?」
「≪座敷童≫の境界設定です。機銃の斉射では揺るがないと思いますよ」
 少女の言葉になるほどと青年は頷く。
「十分。だが、釘付けだな」
250Tさん(代理):2009/12/08(火) 09:56:39.72 ID:n6rF3pzH0
 結界の消耗を減じる為か範囲は一行ギリギリ、明確な害意を示す銃弾は防いでもそれらが建物の構造物を破壊して作る破片は透過する結界だ。
天使群の絶え間ない銃弾がギリギリで当たらないという現在の状況。下手に動いて結界の範囲から出ることは得策ではない。
 青年は負傷者をざっと確認する。低く伏せた体制で窺える範囲内では負傷をしているのは、
「掠っただけだ……大丈夫、だから」
 と傍らの少女に告げる、背中に負傷を負った≪13階段≫くらいだろうか。
 深い傷ではないようだが背中を銃弾が掠り、服が破けて露出した背中の傷が見えている。
 そんな彼を泣き出しそうな声を出して気遣っている、以前≪魔女の一撃≫の契約者と共にいた所を見たことのある少女。
 命に別条はなさそうだと判断した青年は足払いで伏せさせ、そのまま頭を抑えつけていた契約者と頭を抑えつける手の位置にあるリカちゃんを見た。
「むぎゅー……」
「な、なんなんだくそ」
 床にぶつけたのか、額を赤くした契約者と手に潰されていたリカちゃんがそれぞれ唸った。
 契約者の少女は飛んでくる破片をはたきながら、
「あの神々しさの欠片も無い銃弾ぶっ放してる天使共、≪組織≫の奴の手先なんだろ? なんで髪の伸びる黒服さんが居るのに撃ってきてんだよ?」
「マッドガッサーの一味に加わったと思われたんだろ」
 ほら、俺消息不明扱いだし。苦く笑いながら黒服は携帯を操作して、耳に当てた。
「なら早く≪組織≫に連絡を――」
 そう契約者が言った時、その場にいた少女が言った言葉が契約者の耳に届いた。
251Tさん(代理):2009/12/08(火) 09:57:23.80 ID:n6rF3pzH0
「携帯のにーちゃんも発作、大丈夫か?」
「だいじょ、ぶ」
 その会話の流れを聞いて彼女の視線が黒服から携帯のにーちゃんと呼ばれた少女へと向けられた。少女の姿を契約者は以前≪魔女の一撃≫の契約者と共に居る所として見たことがある。
おそらくはマッドガッサー一味の仲間だろう。≪魔女の一撃≫の契約者の正体が割れた今、契約者もそのことに疑いは持ってない。
 そして、
 …………。
 契約者は以前黒服に見せられた写真を思い出す。マッドガッサー一味の仲間である≪爆発する携帯電話≫の契約者は確かに男だった。しかし、
「女体化……?」
 そうだ。マッドガッサーたちは女体化ガスを持っている。何らかの理由で自身の仲間を女体化させることもできるのだ。そうして見ると携帯のにーちゃんと呼ばれた少女にはあの写真で見た≪爆発する携帯電話≫の面影がある。
「……ちょっと待てよ」
 そして先程髪が伸びる黒服が言っていたことを思い出す。
「お姫様……?」
 その言葉に反応した≪13階段≫。
その意味を考え、
「……あれ?」
 思考が変なところで止まった。
252Tさん(代理):2009/12/08(火) 09:58:08.48 ID:n6rF3pzH0



 青年は契約者の少女が変なところで思考停止しているのを見、この状況で結構余裕あるな。と苦笑した後黒服へと質問した。
 その視線は≪13階段≫の契約者へと向いており、
「髪が伸びる黒服さん。≪13階段≫の契約者の背にある、焼き鏝で刻印されたような跡のシリアルナンバーのようなものはなんだ?」
 H−96と見えるそれについて訊ねると黒服は携帯を耳に当てながら答える。
「あんたも元≪組織≫の人間だろ? なら察してくれや」
 銃弾の音が響き、結界範囲外の物が次々撃ち砕かれていく。
 飛んできた破片を払いながら青年は、ん、と頷いた。一息つき、
「……では契約者も訊いていたが、何故≪組織≫の成員である髪が伸びる黒服さんが同じ≪組織≫の者の攻撃対象になっている?」
「そりゃさっき言った通り――」
 青年の問いに黒服が答えようとするのへ被せるように青年はメイド服を着た少女を背負った大きな黒犬に声をかけた。
「≪ブラックドッグ≫のお嬢さん」
「なんですの?」
 背のメイド少女を気遣いながら返事をする黒犬――ザクロに青年は、
「貴女が≪モンスの天使≫に気がついた時にはこの黒服さんは既に反応していたな?」
「ええ、確かそうでしたけど?」
「ありがとう」
「? ええ、どういたしまして」
 疑問気な声を発するザクロに満足そうに礼を言って青年は黒服に向き直る。そして手をひらひら振り、
「髪が伸びる黒服さんの反応はいささか早すぎると思うんだ。そう、まるで自分が狙われているのを知っていて、ずっとこの襲撃を警戒していたかのように」
253以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 10:01:31.89 ID:WSGhJEup0
支援
254Tさん(代理):2009/12/08(火) 10:01:40.83 ID:n6rF3pzH0
 探るような目で告げられた言葉に黒服は数秒無言を保ち、
「……失敗作だからさ」
 呟くように言った。
「失敗作?」
 黒服は苦笑して「これ以上は言わない」と首を振った。そして、
「ところで、Tさんは現状をどうにかしなくていいのか?」
 話題をあからさまに変えてきた。
「……ああ、髪が伸びる黒服さんが何かしてくれそうだしな。――以前こちらの能力で≪コーク・ロア≫を沈めただろう? 今度はそっちの手札を見たい」
 青年は黒服の話に乗り、期待してる。と激励のひとことも付けた。
「アレとじゃ割に合わなくねえか?」
 それらを受けて黒服はやや不満気な顔でそう言う。青年は微笑で、
「後に切るカードの方が数字が大きいのは基本だろう?」
 黒服は更に嫌そうな顔をした後、携帯が繋がったのか、お、と声を上げた。
255死神って天使と親交あるのかな…(代理):2009/12/08(火) 10:02:24.28 ID:n6rF3pzH0
○月×日 22:53 中央高等学校校舎付近

死神は空を見上げていた。

校庭に集うGが空の怪鳥めがけて伸びているという状況。彼はそれを見上げていた。

「…息子の仲間も、なかなかやるものだねぇ」
これだけの数を一度に操るのは、よほど都市伝説との相性がよくなければ難しい。
よほど適性の高いものがあのロボには乗っているのだろう…

そんなことを考えているところだった。


突如、自らの上。校舎の三階の窓が、割れた。
そして、無数の着弾音のようなものが聞こえた。

「…?中の争い、というわけではなさそうだねぇ…?」そう言って校舎とは反対のほうに目をやる。



……そこは天国だった。
256死神って天使と親交あるのかな…(代理):2009/12/08(火) 10:03:09.60 ID:n6rF3pzH0
死神がこんな例えを使っていいものやらどうなのか。だが彼の見たものは。

数多の天使。


「右から順に白、白、ピンク、水色、白(ry…悪くない」

とりあえずかなりの距離があるというのにほぼ全員の下着の色を言い当てたあとで、
「こういうことを言う状況じゃないと思うけど…一人くらい持ち帰っても罰は当たらないよね、ロロト君?」
そう言って隣に現れるロロト君に…ロロト君に…?

「…ロロト君?」

いつもなら同意しながら現れるはずなのだが…

「……やれやれ、またか…あまり僕から離れないでほしいものだね」
そう言って、彼は…地を蹴った。


その一瞬後…彼の体は、すでに三階の高さへとたどり着いていた。


とりあえず狙撃を受けているところから少し離れた窓から入ってみる。
そして狙撃されているあたりを見る。どうやら結界が張られているようだ。

そして、その中の少女の隣に…ロロト君はいた。
257以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 10:03:47.58 ID:WSGhJEup0
しえーn
258死神って天使と親交あるのかな…(代理):2009/12/08(火) 10:03:50.06 ID:n6rF3pzH0
少女の反応から見る限り、どうやらまだ気づいてはないようだ。


「…全く…君はロリの危機には敏感だね」

ゆっくりと結界の張られているところへと向かっていく。
そして、結界にぶつかる。

「ふむ…緊急だったのかな?強度が不十分だ。でもこのくらいのほうが…全部壊してしまわないでいい」
そう言って彼が右手に何かを持つように、結界に向けて振り下ろす。


振りかざした瞬間、彼の右手には、いつの間にか大鎌が握られていた。

その大鎌は結界に深々と突き刺さる。その突き刺さる部分からひびが入る。

彼は鎌を抜き、その部分に蹴りを一発入れる。


その一撃で結界は、人一人通れるだけの穴をいとも簡単に作りだした。
259死神って天使と親交あるのかな…(代理):2009/12/08(火) 10:04:34.03 ID:n6rF3pzH0
「…誰だ?」
結界の中にいた一人の青年が、こちらへと話しかけてきた。どうやら結界の中の人達は全員僕には気づいたようだ。


「まぁ名乗るほどのものでもないけど…そこの子の契約者で通りすがりの、死神だ」

指さしたロロト君のほうを全員が見る。

「え!?いつの間にこの中に!?」「あ、ト○ロ!」「…全く気付かなかった」
多種多様なリアクションを見せてくれる人たちだなぁ。
その中に、この前会ったロリ巨乳Yシャツ少女もいたのは、すでにロロト君も気づいているのだろう。



「全く…あまり僕から離れないでほしいものだね。僕の力が無くなってしまう。そうなったら僕はただのオジさんなんだから」
申し訳なさそうな顔でロロト君はこちらを見る。

「…まぁ、暇はつぶせそうだから今回はとやかく言わないでおくよ」
260やる気なさそうな人(代理):2009/12/08(火) 10:06:28.77 ID:n6rF3pzH0
『ゆめうつつ』
 
 
「……ん……あれ?」
 
気がついたら辺りが真っ暗なところに居た
耳を澄ましてみても何も聞こえない
 
 
「……あぁ、そうか。確か気絶させられたんだっけ…………弱いな、僕は」
 
身体ではなく、心が
 
呟いた声は真っ暗な空間に溶けていく
 
「スパニッシュフライに操られていたとは言っても、守るために戦って結局……」
 
ふいに、後ろから誰かが首に腕を回して抱き着いてきた
そして耳元で囁く
261以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 10:07:51.43 ID:iB8YF9z6O
しえん
262やる気なさそうな人(代理):2009/12/08(火) 10:08:38.19 ID:n6rF3pzH0
 
――こわいの? 人をうつのが 人を すのが
 
「また、君みたいに……」
 
――それは あなたの運が わるかったのよ
 
「それでも、また起こるかもと思うと……」
 
――あなたのちからなら それを起こさないことができるわ
――でも そんなことは どうでもいいのよ  あなた さえ 生きていれば
 
「そうだね、生きてれば、君を」
 
「君を背負って……君を した罪を背負って……」
 
 
――そんな やさしいとこが すきよ
 
――だから あなたは 死なないように 
―― 
――
263やる気なさそうな人(代理):2009/12/08(火) 10:09:19.19 ID:n6rF3pzH0
 
 
 
「もう、行かないと」
 
――ええ 目をさましたほうがいいわ いろいろと
 
「ごめん……ありがとう」
 
みんなに迷惑かけてしまった
いつまでも寝てないでもう起きないと
 
「さよなら」
 
意識が薄くなっていく
聞こえる声が不明瞭になっていくまた逢えるといいな
 
――ここは こころのめいろ
――どこにあるか みんな知ってて みんな知らない
――ここの でぐちはわたし あなた だ け   の   
――また  来
 
もっと居たかったけど時間切れだ
声は徐々に遠のいていき 最後のほうはよく聞き取れなかった
264占い師と少女(代理):2009/12/08(火) 10:13:16.02 ID:n6rF3pzH0
○月×日 22:43

 黒服さんを倒してから十数分。
 私たちは気絶した黒服さんを床の一角に寝かせ、大将の能力で操ったGを扉付近に配置することで、休養出来る状況を整えていた。
 そんな一時の休養を楽しんでいた最中に、占い師さんが金さんに話しかける。

「…………なあ、金さん」
「はい?」
「聞きそびれていたんだが、今の状態のあんたはどれくらい戦えるんだ?」

 占い師さんの言葉に、そういえば、と私が声をあげた。

「……金さんが『動く二ノ宮金次郎像』だって事だけでしたっけ、私たちが知っているの」
「そうですね……普段の身体なら、石像ですから拳や薪で殴ったり、薪を爆弾にしたり出来るんですが……」

 そう言って、腕を軽く振る。
 途端、手から何か白銀に光る物体が飛び出し

ストン

 軽い音を立てて、教室の一角にある連絡用のボードに突き刺さった。
265占い師と少女(代理):2009/12/08(火) 10:14:11.33 ID:n6rF3pzH0
 壁にほぼ垂直に突き刺さり、非常灯の光を浴びて鈍く輝くそれは――――

「……ナイフを出現させる能力、か」
「はい。後出来る事を言えば……」

 そう言って室内を見渡す金さん。
 少しして、その視線が教室の一角に止まった。
 先程の戦闘で占い師さんが蹴り上げたタイル。その割れた端を、金さんは手にとり、ヒュンと、ボードに突き立てたナイフに向かって、放り投げた。
 その破片がナイフにぶつかる寸前――――

ボウンッ!!

 ――――破片が、爆発した。
 小規模ながらも、威力のある爆発。
 煙が去った後、そこには黒焦げになったボードと、ひしゃげたナイフが残されていた。

「さっき言っていた薪の代わりに、石やコンクリート片を爆発させる事が出来ますね、一応」
「ほう……これで全部、か?」
「そうですね」
「そうか、わざわざ教えてもらって悪いな。出来るだけ仲間内の戦力は知っておきたいんだ」
「いえ、構いませんよ」
266以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 10:16:14.00 ID:l9x0X7M8O
しえん
267以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 10:34:26.38 ID:WSGhJEup0
sien
268以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 11:00:57.41 ID:WSGhJEup0
サルったかな?支援
269以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 12:04:56.15 ID:iB8YF9z6O
昼ー
270占い師と少女(代理):2009/12/08(火) 12:31:50.57 ID:n6rF3pzH0
 パタパタと手を振る金さんに、占い師さんは軽く会釈をして立ち上がった。
 そのまま私の方へとやってくる。

「……何で、金さんにあんな事を聞いたんですか?」

 占い師さんが近くにまでやって来た時、私は小声でそう尋ねた。
 私のすぐ前に座りながら、占い師さんは聞き返した。

「あんな事?」
「金さんの能力について、ですよ。占い師さんなら、自分の能力で幾らでも調べられますよね? 何だか疑ってるみたいでしたよ」
「ああ……いや、さっきのTさんの事もあって、ちょっとな」
「Tさんの?」
 
 頭をかきながら言った占い師さんの言葉に、小さな疑問を覚えた。

「え、でも、Tさんの事は信用してたんですよね?」
「信用って言うよりは敵意なしにつき……って感じか。まぁ、向こうも同じような感じだとは思うが」
「それでも、嘘はついてなかったんでしょう?」
「いや……問題はそこだ」
271占い師と少女(代理):2009/12/08(火) 12:32:48.70 ID:n6rF3pzH0
 占い師さんが肩を竦め、視線を上にあげる。
 その目に何が映っているのが先程Tさんに出会った時の情景なのか、はたまた他の何かなのかは、私にはわからなかった。

「Tさんの言っていた能力に虚偽はなかった。少なくとも俺があの時間内で読み取った範囲では」
「だったら…………」

 そう言う私を、占い師さんは手で遮る。

「今まで何千、何万の人間や都市伝説の中を見てきたが、Tさんの中は特に複雑だったし、包み隠された部分を多かった」

 それだけなら、まだいい。そう占い師さんは続けた。

「誰にだって隠したい部分はあるさ、もちろん。だが、Tさんの都市伝説としての力……そこに、『寺生まれで霊感の強いTさん』以外の何かがあった」
「何かって……何ですか?」
「さて、な。あの短時間だからな、俺はそれ以上読み取れなかった」

 正確に何年かは聞いた事がないので分からない。
 けれど、少なくとも数百年以上生きている占い師さんの能力で読み取れない物は、恐らくほとんどないはずだ。
 それでも読み取りきれないTさんの隠された部分……一体、何なのだろう。

「……ま、そういう事だ」

 あれこれと考えていた私の頭にポンと手を置いて、占い師さんが立ち上がった。
272占い師と少女(代理):2009/12/08(火) 12:33:45.49 ID:n6rF3pzH0
「今までそういう人間に出会わなかったわけじゃないが、少なくとも都市伝説でああ言ったタイプに会うのは初めてだった」

 だから、と。占い師さんは続ける。

「都市伝説には隠したい能力の一つや二つ、あるかもしれないからな。俺の能力で読み取って、その上でちゃんと相手に聞いておいた方がいいと思ったんだよ。
もし隠された能力があったとしても、相手が自分からそれを言わなきゃ下手な追及はしないし、それに合せて行動するつもりだ」

 立ち上がったまま腰を伸ばし、肩を回す。

「……まぁ、少なくともこの中には、人間にしろ都市伝説にしろ、特に隠された能力はないみたいだけどな」

 そう言って軽く笑った占い師さんを見て、私は少しだけ驚いた。
 今までなら、例え隠された事があっても、それに頓着せずに読み取っていた占い師さん。
 それが今、こうして相手を気遣うような行動を取っていた。

 ――――この戦いで、占い師さんも何か変わってきているのだろうか。

 そんな事を考え、しかし占い師さんには何も言わなかった。多分、言い方を間違えるとショックを与えてしまう。
273占い師と少女(代理):2009/12/08(火) 12:34:37.45 ID:n6rF3pzH0
「ん? 人の顔なんか見て、どうした、未来」
「…………いえ、何でもありません」

 だから、そう答える。
 何となく占い師さんが釈然としていないような雰囲気を感じ取り、それ以上の追撃を避けるため、壁にかけられた時計へと目を写した。
 時計の指している時刻は夜の10時47分。
 黒服さんも起きないし、特にこれと言った爆音や衝撃もない。
 あるのは、昆虫の歩く音と、不良教師さん達が話す声だけ。
 そんな中、ふと二階で分かれた人たちの事を思い出した。
 ……説得は、上手くいっているだろうか。


【終】

274以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 12:36:13.23 ID:n6rF3pzH0
うっし、未投下分の代行しゅーりょーですね。

誰か俺を褒めてください!! さぁ! カモン!!

避難所235までのまとめ
パス:toshi
ttp://kissho6.xii.jp/14/src/1yon26748.zip.html
275以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 12:50:29.85 ID:7OU7CgSTO
頑張りすぎだろう…超乙!!

疲れただろう?さぁ、禿の胸に抱かれてゆっくり休むんだ
276以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 12:59:28.20 ID:iB8YF9z6O
睡眠時間とかめちゃくちゃ心配だよwwww
乙!
禿の胸でゆっくり休んでくれ
277以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 13:16:09.23 ID:n6rF3pzH0
>>275-276
禿かww
278以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 13:28:28.12 ID:7LloBUCS0
代理投下完了乙ー!
まとめも乙ー!!

ご褒美にモンスの天使集団の内の一人を好きにするがいい
279黒服H 非常回線:2009/12/08(火) 13:56:11.13 ID:7LloBUCS0
○月×日 22:55 二階視聴覚室横階段前


 …突然現れたモフモフの生物と、中年の男性
 不確定要素を前に、黒服Hは小さく舌打ちした
 ……だが、こちらはもう、切り札の一つを使おうとしているところだ
 今更、退ける訳もない

『コードを』

 携帯電話の向こう側から、機械的な声が響く
 途絶える事のない銃撃音にかき消されぬよう、半ば叫ぶように黒服Hはそれに答える

「『アルチメータム』、『サーチ』、『オーガン』、『エイト』、『ゼロ』、『ゼロ』!!」

 音声でコードを入力し、数秒
 ……繋がった!!

『お前か。一体どうし………なんじゃ!?その銃撃音は!?』

 聞こえてきた声は、幼い少女のものだ
 ちらり、窓の向こうから迫ってくるモンスの天使達を睨みつけながら、黒服Hは電話に出た主に答える

「察してくれ!お嬢さん、モンスの天使の契約者をちょっと黙らせてくれ!」
『モンスの天使の?あやつは確か派手に暴れすぎて謹慎中……さては、また無断に出撃しよったか……仕方ない、少し待っておれ』

 ため息と共に、通話が切れた
 ……さて、これで切り札の一つ、見せて……いや、聞かせてやったぞ?
280黒服H 非常回線:2009/12/08(火) 14:00:45.22 ID:7LloBUCS0
 黒服Hは、Tさんに視線をやって……ニヤリ、笑った


○月×日 22:56 中央高校より500q先 建設途中のマンション屋上


「っち……結界系の都市伝説がいたのか」

 まぁ、いい
 自分が契約しているモンスの天使達の火力を持ってすれば、あと数分もすれば突破できる
 そもそも、接近すれば機関銃だけではなく、手榴弾なりなんなり、他の攻撃手段もあるのだ
 ……なんだったら、今の距離からでも、ロケットランチャーを撃たせようか?
 彼は、遠くの己の契約している都市伝説に対し、指示を出そうとしていた

 …彼は、モンスの天使の契約者は、決して頭が悪い訳ではない
 通っていた学校の成績などは、むしろ上から数えた方が早かった方だ
 …しかし、何分、彼は自分の契約している都市伝説の能力を過信しすぎていた
 そして、世の中…「頭がいいが頭が悪い」などと呼ばれる人間は、確かに存在して…このモンスの天使の契約者は、それに該当する人間だった

 彼は、思っても見なかった
 自分の元に、襲撃者が来るなどと


「−−−全く。困った坊やじゃ」


 背後から、聞こえてきた声に
 彼は、はっと振り返った
 そこにいた……少女の姿に、血の気が引く
281黒服H 非常回線:2009/12/08(火) 14:05:25.71 ID:7LloBUCS0
「な………何故、ここにあんたが……っ」
「可愛い部下の頼みでな………少し、眠っていてもらう」

 にぃ、と
 少女は、笑みを浮かべて
 次の瞬間……モンスの天使の懐に、少女はもぐりこんできていた
 残酷な笑みを浮かべるその口元から…鋭い牙が、顔を覗かせたのを
 モンスの天使の契約者は、確かに、見てしまった


○月×日 22:57 二階視聴覚室横階段前


 モンスの天使達が、すぐ傍まで接近していてきる
 銃を構えた前衛の天使達の後ろから…手榴弾を構えた天使達が姿を現しだす

 だが、ここまで接近されれば、そろそろこちらからも攻撃できる
 間に合わなかったら、自分も少しは戦わなければなるまい
 黒服Hが、そんな覚悟を決めようとした時

 ぴたり
 銃撃が……止んだ

「……へ?」

 人肉料理店の契約者が、きょとんとした声をあげる
 …モンスの天使達が、動きを止めていて
 途端に、わたわたしだす

「っご、ご主人様!?」
282黒服H 非常回線:2009/12/08(火) 14:10:21.95 ID:7LloBUCS0
「ご主人様がピンチ!?危ない!?」
「戻らなきゃ、戻らなきゃ!!」

 きゃあきゃあきゃあ!
 騒がしく、モンスの天使達が慌ててUターンしていく
 その、膝上ミニスカートの中身が見られる事など全く気にせず、背後から攻撃される可能性すら気にすることなく
 モンスの天使達は、中央高校から離れていった

「何だぁ…?」
「何とかなったのでしょうか…」

 …やれやれ、間に合ったか
 周囲の声を聞きつつ、黒服Hは体の力を抜いた
 …携帯に、着信が入る

「はいよ」
『不味い』

 …何だ、開口一番

『こやつ、不味いぞ。不健康な生活でも送っとるのか』
「俺が知るかよ」
『不味い物を飲ませた詫びとして、今度、妾をケーキ屋に連れ出す事を要求する』
「俺の権限であんたを仕事以外で外に出すとか無理だろうがよ…」

 まったく
 この上司は、いつも無茶を言ってくれる
 まぁ、こちらとしてもある程度の無茶を聞いてもらっているのだから、文句を言うつもりはないが

「…助かった。今度、甘い物でも持って行ってやる」
283黒服H 非常回線:2009/12/08(火) 14:17:08.00 ID:7LloBUCS0
『ふむ、まぁ良い……ところで、H−360よ。確か、お前、消息不明状態だったのでは』
「あー、そこら辺は後だ。後。この騒ぎが終わったらかけなおす」

 そう言って、通話を打ち切った
 ついでに、電源も切っておく
 ……後で煩そうだが、仕方ない

「…あいつが少し怪我した以外は全員無事、か」

 ちらり、黒服Hは「13階段」に視線をやった
 …服の背中部分が派手に裂けてしまっているが、たいした怪我ではなさそうだ

 だが
 そのせいで…その背中に刻印されたナンバーが、見えてしまっている

 『H−96』

 その忌々しい数字が…この場にいる全員の前に、さらしだされてしまっていた

「…相変わらず、一枚板じゃねぇんだな、「組織」は」

 「13階段」が、忌々しげにそう、黒服Hに言ってきた
 黒服Hは、肩をすくめて見せる

「それは、お前さんもわかりきってるだろ?…まぁ、モンスの天使の襲撃に関しては上が絡んでない、あいつの独断のようだから勘弁してくれや」
「………」

 油断なく、黒服Hを睨みつけてきている「13階段」だったが…一応は、信用してくれたようである
 だが、一同に対する警戒は解く様子はない
284黒服H 非常回線:2009/12/08(火) 14:21:11.81 ID:7LloBUCS0
 「爆発する携帯電話」を護るように、その前からどこうとしない

「…つ、や…」
「……大丈夫だ、お前に手は出させない」

 …あぁ、やっぱり、仲間には名前を教えていたか
 さてと……自分は、どうしようか?
 周囲の出方を、黒服Hは窺おうとして

「……あぁ、そうだ、そこのあんた」
「…俺か?」

 「13階段」が、Tさんに声をかけた

「…あんた、俺の背中のシリアルナンバーが何なのか、気にしたな?」
「む…」

 ………?
 まさか
 話すつもりか?

「おい、お前……」
「……知りたいんなら、教えてやるよ」

 「13階段」が、暗く笑う
 …あぁ、そうか
 ナンバーが見られた以上、何かしらの拍子でバレる可能性はある
 それならば、いっそ、自分の口から言ってしまうつもりか
285以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 14:25:42.60 ID:7hA6rhk4O
支援策
286黒服H 非常回線:2009/12/08(火) 14:31:22.62 ID:7LloBUCS0
「これは、「組織」の実験体のナンバーだ。俺は「組織」で色々と実験に使われたからな」
「実験……?」

 姫さんの顔に、嫌悪の色が浮かんだ
 「13階段」への嫌悪ではなく…「組織」に対する、嫌悪が

「あぁ、そうさ。訳のわからない薬飲まされたり注射させられたり、同僚同士殺し合わされたり色々殺させられたり…色々と、やらされたよ」
「………」

 …ぎゅう、と
 「爆発する携帯電話」が、「13階段」の服の裾を、しっかりと掴んでいる
 不安そうに、じっと「13階段」を見詰めていた

「他にもそう言う事をされてた連中はたくさんいたが…まぁ、「夢の国」の騒動の時にほとんど死んだからな。少なくとも、俺が受けていたような実験の生き残りは、俺だけだ」
「…っまさか、先ほどのモンスの天使の襲撃は…」
「口封じ、だね?その実験の真相を知っている、君の」

 妹ちゃんの言葉に、ト○ロの契約者が続けた
 だろうな、と「13階段」は投げ槍に答える
 まぁ、実際には、「組織」を裏切った分も含んでいるのだろうが
 ……どちらにせよ、モンスの天使の契約者の独断だった訳だが

「…マッドガッサーの計画がうまくいきゃあ…世界中が、そうなれば。少なくとも俺はもう命を狙われずにすむし、俺のような目に合う奴もいなくなる……こいつだって」

 ちらり、「13階段」が「爆発する携帯電話」に視線をやった
 「爆発する携帯電話」は、それに小さく首をかしげ…しかし、「13階段」に向けている心配そうな視線は、そのままだ

「だから、俺は「13階段」を解除するつもりはねぇ…お前達を、屋上には行かせない」
287黒服H 非常回線:2009/12/08(火) 14:34:49.32 ID:7LloBUCS0
「…!…………ツヤ」
「…まったく、意地っ張りだな、お前さんも」

 「13階段」の言葉に、「爆発する携帯電話」は慌てて、説得でもしようというのか声をかけ、黒服Hは苦笑する
 …スロープ状にされている階段の下のほうから、足音が聞こえてくる
 まだ、誰か合流しようとしている、か


 …さて、どうなる?
 正直、階段を使わずとも三階や屋上に行く手段は、なりふり構わなければ…ある
 無理に説得する必要もないだろう


 だが
 マッドガッサー達を殺すことなく、これ以上傷つけることなく、止めようというのなら
 恐らく、「13階段」の………の説得も、必要不可欠なのかもしれなかった




to be … ?
288以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 14:38:09.39 ID:7LloBUCS0
色んな人に焼き土下座っ!!!!orz


とりあえず、モンスの天使はどうにかなりました
モンスの天使契約者は、ちょっとガブガブされてますが生きてます。まぁ、今回の件にはこれ以上かかわりませんが



「13階段」説得の鍵は、これで全部揃ったはずです
もし、「俺が「13階段」説得シーン書いたるわーーー!」と言う男気あふるる方がいらっしゃれば、そちらに説得シーンはおまかせするんだぜ!!
この後、黒服Dとか花子さん契約者組とかをここに合流させるつもりなんで、説得にそこら辺のキャラが居た方がいい、とおっしゃるなら、先に合流シーンも書いていきます

・「13階段」を説得する場合、「爆発する携帯電話」も手伝ってくれます
・「13階段」は、その能力名や「「H−96」とナンバーで呼ばれると態度を硬化させます。
 ただし、名前で呼んだ場合、態度がやや軟化します
289以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 14:39:02.53 ID:7hA6rhk4O
お疲れ様です。


・・・可愛いんだろうなぁ上司
290以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 14:45:30.19 ID:7LloBUCS0
避難所>>808
少なくとも俺のキャラだとこうなるかと

不良教師…子供を殺しているハーメルンの笛吹きと知れば、やや敵対意識を向けます(腐っても教師
ヤンデレ弟…以前、避難所雑談スレで書いた通り
骨格標本…正体を知れば、わたわたしながら警戒してくる
人体模型…コサックダンスで抗議の意を示す

>>289
>・・・可愛いんだろうなぁ上司
黒服H「外見はともかく、中身は相当なばあさ」
上司「干からびさせてやろうかえ?」
291以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 14:59:41.06 ID:7hA6rhk4O
南「むしろそこがいい!その方が熟練したタチとして妄想しやすい!!」
俺「・・・」
南「いつもはすぐ反応するのに、どうしたんですか?」
盟「なにか賢者がどうとかで落ち込んでいるらしいです」
俺「・・・ドクターと自分を置き換えたりなんて、二度としない・・・・・・ぐすん」
南(いったいどんな妄想を・・・)
292以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 15:00:52.94 ID:7LloBUCS0
>>291
賢者タイムかwwwwww
残念だが…その上司はどっちかと言うとMだぜ?
293以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 15:16:27.81 ID:7hA6rhk4O
>>292
南「なん・・・だと・・・・・・」
俺「・・・」
南「いやそろそろ立ち直ってくださいよ。でないと話が進まな・・・











ね、寝てる・・・」
妹「三面鏡や呪われた歌に次ぐ黒服H用受け要員ですか」
南「代打キター!」
294以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 15:27:35.15 ID:IzUVmapm0
投下乙!
295以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 15:53:35.99 ID:7LloBUCS0
>>293
そう言えばあいつに関わる女性はMが多いなwwwwwwww
296以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 16:13:24.03 ID:xbHEBVj6O
いや、もしかして
関わる女性にMが多いんじゃなくて
関わった女性がM属性を持ちはじめるんじゃないか
297Tさん:2009/12/08(火) 16:15:35.07 ID:n6rF3pzH0
おはよー
花子さんの人乙です!
天使たちにご主人様とか呼ばれる≪モンスの天使≫契約者に殺意を覚えました、まる。

避難所>>808
うちのはTさんが連れ二人の事もあり非常に警戒、マッドガッサーよりもむしろ危険視するかもしれん

学校行くか……
298以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 16:19:52.18 ID:7LloBUCS0
>>296
もしかしたらそうかもしれんwwwwwwww
黒服CもM属性をもち始めているような気がするしな

>>297
>天使たちにご主人様とか呼ばれる≪モンスの天使≫契約者に殺意を覚えました、まる。
全ては昨夜の避難所雑談スレの流れの影響なんだぜwwwwww
299以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 16:26:56.36 ID:IzUVmapm0
>>297
>うちのはTさんが連れ二人の事もあり非常に警戒、マッドガッサーよりもむしろ危険視するかもしれん
これは占い師の能力で、上田の服に孫悟空の緊箍児と同じような効果を持たせるしかないな、うん。
上田には悪いですが、合流の際は誰かに危害を加えようとした瞬間に気を付けの体勢で固定するような効果を服に与えます。
300以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 16:31:50.45 ID:7LloBUCS0
あ、ちなみに、占い師さんと一緒にいないうちのキャラ達の上田への反応

花子さん契約者…ハーメルンの事は噂には聞いているので激しく警戒。
花子さん…みー??
赤い靴…契約者を上田に近づかせないと思う
赤い靴契約者…悪人である事は理解。警戒
黒服D…宴会の時の事はあるけれど、まだまだ警戒。メルが傍に居ない事で、逆に何か企んでいるのでは?と勘繰るかも
チャラ男…焼こうとするかもしれない事をお許しください
赤マント…警戒
赤いはんてん…ロリ姿から青いはんてん姿へと変身して絶望させる
黒服H…わりと友好的
「13階段」…警戒。ってか嫌い
「爆発する携帯電話」…ネズミを操っていた相手とわかれば、怖がると思う。ヘタしたら発作起こすかな
301以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 16:38:20.35 ID:IzUVmapm0
>>300
おお……想像以上に上田が嫌われてて驚いたw
多分合流のシーンは花子さんの方任せになってしまうような気がしなくもないですが……。
そういえば、三階教室には赤い2人に仮面ライダー、蜘蛛の人がいるんだっけ。
合流、非合流によってちょっと生徒会室横階段までの行動が変わるから、後で確認しておかないと
302以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 16:42:23.34 ID:7LloBUCS0
中の人は上田大好きだけど、キャラクター的にはこうなってしまうと言う
花子さん契約者の場合、クラスメイトが被害にある可能性もあるんだし
303以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 17:01:47.54 ID:IzUVmapm0
>中の人は上田大好きだけど、キャラクター的にはこうなってしまうと言う
>花子さん契約者の場合、クラスメイトが被害にある可能性もあるんだし
なるほど、未来に被害が及ぶ可能性があるとしたら占い師も警戒するか、そういえば
304以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 17:06:27.10 ID:7LloBUCS0
ちなみに、チャラ男がわりと問答無用で上田を焼こうとするのは、魔女の一撃契約者もネズミに襲われたから

何?そもそもチャラ男は魔女の一撃契約者に襲われてんのに、それよりも魔女の一撃契約者を襲った相手の方が嫌いでいいのかって?

いいんだよ、チャラ男単純バカだし
305以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 17:34:10.30 ID:l9x0X7M8O
306以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 17:52:00.74 ID:l9x0X7M8O
世界初の空飛ぶ円盤が1947年6月のケネス・アーノルド事件
そこから考えるとメン・イン・ブラックとしての「黒服」の歴史は浅いな
307以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 18:00:15.85 ID:iB8YF9z6O
もうむしろ上田そのままの方がよくないかw
308以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 18:02:45.79 ID:IzUVmapm0
今の占い師・不良教師・金さん・黒服Y一行だけだと、救出の可能性大
もし説得班が合流した場合は絶望的
こんな感じで想像してる
309以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 18:04:30.05 ID:qfx9CMt40
上田の嫌われっぷりに全俺が泣いた
今回は状況が悪かったんだ、きっと
310以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 18:22:03.53 ID:xbHEBVj6O
黒服Yなら
とりあえず現在の態度や悪意で判断するだろうな。過去を参考にしないわけではないけど

それとYを少女として扱うと一応男であることを伝えると思うよ
ただその場の勢いに流されやすいからそれが伝わるかどうか
311以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 18:43:02.99 ID:n6rF3pzH0
ほーしゅ
312以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 19:20:36.13 ID:7BMXoJiq0
ごちそうさまっしたー
313以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 20:02:24.77 ID:xbHEBVj6O
ぬわ
314小ネタ (転載):2009/12/08(火) 20:13:58.10 ID:Ruha1dBP0
おっと復活か
315以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 20:14:39.54 ID:Ruha1dBP0
なんとなく恥ずかしい気持ちになった
316以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 20:18:21.97 ID:7BMXoJiq0
あ、なおった?
317以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 20:33:21.97 ID:iB8YF9z6O
お、復活?
318以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 20:41:20.82 ID:7BMXoJiq0
復活したっぽいな
良かった良かった
319以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 20:42:17.62 ID:Nxo5BYZ+0
きもちわりぃスレだな
320以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 20:49:45.57 ID:7BMXoJiq0
っと、そうだ、三面鏡の人ー
眠りっぱなしのバイトちゃんですが、起こした方がいいかな?
そろそろ起こした方が良さそうなら、起こすシーン考えておくよー
バイトちゃんに土下座な起こし方しか思い浮んで
321以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 20:50:45.70 ID:7BMXoJiq0
バイトちゃんに土下座な起こし方しか思い浮んでないんだが


と、書き込もうとして失敗したorz
322以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 20:52:16.12 ID:IzUVmapm0
復活おめ!
妹にPCを奪われていたため、これから黒服Yの覚醒やモンスの天使への反応等のssを書いていきますねー
323以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 21:06:17.03 ID:7BMXoJiq0
避難所スレ>>825,>>826
了解でありますー!!
今のうちに貴殿とバイトちゃんに焼き土下座しておくんだぜorz
324以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 21:26:32.54 ID:7BMXoJiq0
みー
325以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 21:29:55.38 ID:y4pTisBGO
この設定ジャンプで見たぞ
326以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 21:46:25.78 ID:7BMXoJiq0
そう言えば、上田は救出された場合、ネコミミ姿を色んな人に見られることになるんだな…

>>325
懐かしい言葉だ
327以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 22:05:14.74 ID:Ruha1dBP0
保健室の死神には、このスレに似たものを感じるな
328占い師と少女:2009/12/08(火) 22:18:09.79 ID:IzUVmapm0
○月×日 22:49

「…………んぅ……」

 小さな話声だけが聞こえる静かな空間。
 その中で、その声は少しだけ大きく響いた。

「黒服さん、ですかね……」

 見ると、教室の一角に寝かせていた黒服さんがみじろきをしている。
 ゴスロリの服が絶妙なチラリズムを形成してるけど……うん、大丈夫、見えてない。

「起きたのかな?」

 不良教師さん達と話しをしていた弟さんが立ち上がり、黒服さんの側へと寄って行った。
 私と占い師さんも、その後を追う。

「んー、まだ気絶したままだね」

 そう言って、黒服さんの頬っぺたをむにむにと両手で引っ張った。

「……何してるんですか?」
「うん? 何だか、こうしなくちゃいけないような気がして……」

 その間も、むにむにと頬っぺたをこねくり回す弟さん。
 何となく私も止められず、少しの間黒服さんの頬っぺたをむにむにとしていると――――

「…………ぅん?」

 ――――黒服さんが、うっすらと目を開けた。
329占い師と少女:2009/12/08(火) 22:18:50.01 ID:IzUVmapm0
 途端、弟さんがぱっと手を離す。

「んー……?」

 黒服さんは軽く体を起こす。
 そのまま周囲を見回して、ああ、とため息を漏らした。

「そっか、戻ってきちゃったんだっけ……」
「あの……大丈夫ですか?」

 何かを呟いている黒服さんに、声をかける。
 能力を使って読み取ってみたけれど、もうスパニッシュフライは排出されているはずだ。

「うん? ……ああ、さっきの子か。うん、もう大丈夫だよ」

 そう言ってから、ぴとっと頬に手をあてる。

「…………ちょっと、頬が痛いけど」

 最後の言葉に、弟さんが目を逸らした。
 それには気付かずに、黒服さんが立ち上がる。

「っと……うん、体の方も問題ないし、大丈夫かな」

 パタパタと体に付いた埃を払って、黒服さんは私たちの方を向いた。
 そして、ちょっとだけ気まずそうな顔をしてから、頭を下げる。

「ごめん、あなた達に迷惑をかけてしまった、ごめんなさい」

 きちんと腰を折った姿勢でのお辞儀。
330以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 22:18:50.82 ID:7BMXoJiq0
しえーん
むにむにさせたかwwwwwwwww
331占い師と少女:2009/12/08(火) 22:20:59.08 ID:IzUVmapm0
 それを見た占い師さんは手をパタパタと振って

「少なくとも、被害が出てない以上俺は構わないさ。……まぁ、あちらさんがどうかは分からないが」

 ちらり、と占い師さんの視線が弟さんと不良教師さんを捉える。

「どこか怪我をさせられた訳でもなし、むしろ俺が殴ったわけだからな。何も言う事はない」
「兄さんがそう言うなら、僕も何も言わないけど……」

 視線を受けた不良教師さんは肩をすくめる。
 不服そうだったけれど、弟さんもそれ以上は何も言わなかった。
 何か言いたそうだった白骨標本さんや人体模型さんも、それを見て弟さんのように口をつぐんだ。

「本当に、ごめんなさい。許してくれてありがとう」

 改めて腰を曲げ、顔を上げる黒服さん。
 起きたてだからか、まだ少し弱々しかったが、その顔は微かに微笑んでいた。

「……起き抜けの所悪いが、取りあえず幾つか確認しなきゃいけない事がある」

 軽く肩をほぐすような動作をして、占い師さんが黒服さんを見つめる。
 一見すると分からない程自然な動作。しかし、私には占い師さんが「リーディング」の能力を使っている事が分かった。
332以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 22:21:03.52 ID:Ruha1dBP0
寝る前支援
333占い師と少女:2009/12/08(火) 22:23:06.26 ID:IzUVmapm0
「うん。僕に答えられる範囲なら」

 占い師さんの視線。その意味に黒服さんは気付かず、こくりと頷いた。
 それを確認してから、占い師さんが矢継ぎ早に質問を投げかけていく。
 Tさんの時にも行った自身の都市伝説についてや、持っている情報についてなど、多岐に渡る質問。
 それらの確認は滞りなく進んで行いき――――

「これは質問と言うより疑問なんだが……あんたは誰にスパニッシュフライを飲まされたんだ?」
「ん……多分同じようにスパニッシュフライに操られてたと思うんだけど、同じ組織の人に、ちょっと」

 その時の事を思い出したのか、黒服Yさん(名前もさっき教えてもらった)は、軽く頬を赤らめた。

「組織の人間……?」

 怪訝そうな顔をして、占い師さんが弟さんを見る。

「僕じゃないよ? もちろん」
「うん、黒服Hさんって言うんだけど」
「ああ、あの黒服か…………」
「面識、あるの?」
「一応な」

 言葉と共に、占い師さんがため息を漏らした。
 その他の人たちも、どことなく「ああ、あいつね……」というような雰囲気を醸し出している。
 うん、まぁ……何となく、答えた時に黒服Yさんが顔を赤らめた理由が、分かったような気がする。
334以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 22:23:58.30 ID:7BMXoJiq0
支援
今回の騒動での一番の戦犯は黒服Hで決定だと思った
335占い師と少女:2009/12/08(火) 22:25:09.76 ID:IzUVmapm0
「……まぁ、それはいい。次で最後の質問だな。あんたは、俺達と一緒に来る気はあるのか?」
「うん、もちろんあるよ。そもそも、それがここに来た目的だしね」

 黒服Yさんが頷き、小さく何かを呟いた。
 その時、もしももっと黒服さんが大きな声で、それか私の耳がもっと良かったなら、次のように呟いたのが聞こえたはずだった。

「…………それに、ここで逃げたら君に怒られちゃうもんね」

 しかし、その声は本当に小さく、私の耳には届かなかった。
 そのまま黒服Yさんは微笑み

「よろしくね」

 そう言って黒服Yさんが差し出した手を、占い師さんは取ろうとする。
 ――――その時だった

 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!

 静寂を破るように、どこか遠くから響いた銃声。
 同時に、人の怒号や、驚きの声、窓が割れる音。それらが、私たちの教室にまで響いてきた。
336占い師と少女:2009/12/08(火) 22:27:50.14 ID:IzUVmapm0
「戦闘……?」

 誰かがまた、マッドガッサー一味の誰かと戦い始めたのだろうか。
 そう呟き、首をかしげる私に、占い師さんが呟いた。

「……いや、違うみたいだな」

 銃声のした方角の壁を見ている占い師さんの目。
 その目には、壁ではない何かが映っていた。

「襲われてるのは13階段を含むマッドガッサー一味が2人に、さっき13階段を説得しに行った奴らと、Tさん達が数人……どうやら、完全に無差別らしい」
「え? でもそれじゃ……誰が銃撃を仕掛けてきているんですか?」

 マッドガッサー一味でもなく、私たちの味方でもない……じゃあ一体、誰が、何の目的で攻撃をしているんだろうか。
 私の言葉に、占い師さんは目を細め、さらに遠くへと視界を伸ばしていく。

「ここからじゃ遠くて姿までは見えないが……銃撃をしているのは『モンスの天使』だな」
「…………モンスの天使?」
「モンスの天使って何だっけ、兄さん」
「第一次世界大戦中、英軍が敵に包囲され孤立した時にどこからか現れた弓兵達の事……だったか」
『そやけど、今のは弓やなくて銃だったんとちゃいますか?』
「契約者を得れば都市伝説の能力は飛躍的に進化する。元々の武器なんて何の縛りにもならないだろう」
337以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 22:30:08.69 ID:7BMXoJiq0
しぇーん
338占い師と少女:2009/12/08(火) 22:30:52.06 ID:IzUVmapm0
 議論を始めた不良教師さん達をよそに、占い師さんはじっと戦況を見ている。

「狙われているのは恐らく黒服Hと13階段、加えて13階段の背には『H−96』の焼印、か……おい、組織の黒服」
「どうかした?」
「『組織』に『モンスの天使』の契約者はいるのか?」
「うーん……僕も一応『組織』の黒服なんだけど、『組織』も一枚岩じゃないんだよね。どんな都市伝説の契約者が所属しているのかは僕にもわからないよ」
「……そう、か。悪いな、立ち入った事を聞いて」
「ううん。それよりごめんね、役に立てなくて」
「いや、それは別にいいさ」

 手を軽く振って黒服Yさんに答え、占い師さんは視線を壁から外した。
 そのまま振り返り、周囲を見渡す。
 そして、周囲の視線がある程度集まったのを見て、占い師さんが口を開いた。

「さて……俺たちも13階段の説得班に合流するか」
339占い師と少女:2009/12/08(火) 22:33:02.34 ID:IzUVmapm0
 その言葉に、真っ先に反応したのは白骨標本さんだった。
 
『ですが先程、あの黒服さんに『大勢で行くと身構えられる』と言われてましたが……」
「その黒服Hも13階段も銃撃を受けている以上、今は例外だろう」

 そう言って、大将へと視線を移す。

「恐らく廊下にも大量のゴ(ピー)がいると思うが、大将の能力で操れるか?」
「なーに、さっき不良教師の兄ちゃんに色々と教えてもらったからよ、もうゴ(ピー)でも何でもどんど来い、ってもんだ」

 笑う大将を見て、占い師さんは頷き

「それで、どうする? ここで待つのも一手だとは思うが、誰か待っていたい奴はいるか?」

 その質問に、手を上げる人はいなかった。
 それを見て、小さく占い師さんがほほ笑む。

「じゃ、行くか」

 言葉と共に、皆が動き始めた。
 時計を見ると、今の時刻は22時54分。

(多分、あの人たちなら大丈夫だと思うんだけど……)

 一抹の不安を持ちながら、私は占い師さん達と一緒に教室を後にした。


○月×日 22:54 占い師一行・不良教師一行・金さん・黒服Y、生徒会室横階段へ向けて出発
340以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 22:33:38.17 ID:n6rF3pzH0
しえ
341占い師と少女:2009/12/08(火) 22:41:54.10 ID:IzUVmapm0
黒服Yの方、花子さんの方に土下座っ!!!!orz
黒服Yの覚醒シーン、及びモンスの天使の銃撃に対する反応を書かせて頂きました。
また、22:24から占い師たちが空き教室から生徒会室横の階段へと向います。
ただ、多分、3分では着かないと思いますので、銃撃戦終了までには間に合わないと思います。何やってるんだか……orz

それと、三階各所にいる都市伝説の作者様に連絡!
占い師たちは三階を空き教室(パソコン教室付近)から生徒会室まで、三階の廊下をほぼ全て歩くことになります。
その関係で、もしかすると三階にいる都市伝説や契約者の方々と遭遇するかもしれません。
占い師たちは13階段説得班との合流を第一目的としていますので、全然スルーして頂いても構いませんので、一応頭にとどめておいて頂けると嬉しいです。

>>330
むにむにさせちゃったよwww
本当は夢の中で黒服Yの背中にあたっていた感触についても言及する予定だったけど書きいれられなかったんだ……。
342以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 22:43:29.21 ID:n6rF3pzH0
乙です
さて、人数が集まるわけだが……人外魔境だなww
343以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 22:43:42.05 ID:7BMXoJiq0
占い師の人様乙ー!!
まぁ、銃撃が終わるまでの時間が短すぎるからなwwwwwwww
かといって、時間を食っているとうっかり手榴弾やロケットランチャー使われるしなぁ
344占い師と少女:2009/12/08(火) 22:45:21.13 ID:IzUVmapm0
>また、22:24から
22:54からの間違いですorz
何で30分も短縮してるんだか

>>343
黒服Hの行動の速さにある意味感服
占い師もさすがにたった数分で終わるとは思ってなかったよwww
345以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 22:51:56.38 ID:7BMXoJiq0
>>344
>黒服Hの行動の速さにある意味感服
いつ攻撃されるかいつ攻撃されるか、って途中で気づいて警戒してたからこそでしょう
いつでも携帯で連絡できるように構えてたから

ここはむしろ、迅速に動いてくれた黒服Hの上司のおかげかも
常日頃ロリ婆って言われたりロリ婆って言われたり首絞められたりしてるのに優しい上司だぜ
346以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 23:04:26.29 ID:n6rF3pzH0
そう言えば上司とHの会話は周囲に聞こえているんだろうか?
347以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 23:09:31.80 ID:7BMXoJiq0
>>346
銃撃受けてる間は、黒服Hが半ば叫ぶように喋ってたんで聞こえてたかも、少なくともHの言葉は
後半は、もういいやって感じで隠す気もなく普通に話してたし、こちらも聞こえてるかな?
上司の声に関しては、携帯をスピーカーモードにしていた訳じゃないし難しいだろうか?
ザクロのように耳のいいキャラや、黒服Hの傍にいたキャラなら聞こえてたかも試練が

避難所>>832
黒服H「暇持て余してるからな、お嬢さんは」
上司「妾も仕事がしたいのじゃー、それを言い訳に外に出たいのじゃー!何故外に出てはいかんのじゃ!」
黒服H「昼間はあんたにとって危険だし、夜は街の住人が危険なんだよ」
ぶっちゃけ、黒服Hの上司に対する扱いは酷いよ
348以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 23:19:52.18 ID:n6rF3pzH0
>>347
電話が聞こえていれば上司が口を滑らせていたH-360の言葉が耳に入ってるんですよねー
よし、聞こえたけど本人には訊ねない方向で書こうそうしよう!
349以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 23:23:26.76 ID:7BMXoJiq0
力尽きるんだぜおやすみー
俺…明日もスレが残っていたら、黒服D達と花子さん契約者達を合流させるんだ…

>>348
そう言えばその単語も耳に入るなwwwww
350以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 23:38:11.08 ID:iB8YF9z6O
上司うっかりさんwwww
351以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 23:59:09.67 ID:n6rF3pzH0
352やる気なさそうな人:2009/12/09(水) 00:08:33.20 ID:NkfA7wrxO
>>341

Y「うん、まぁ、大きさは普通だと思うんだけど
   ぎゅ〜って抱き着いてきてるから感触が、ね
   弾力を感じるっていうか」

――やだもう 恥ずかしいじゃない
ぎゅ〜

Y「ストップ! 首締まってるから!」

――うふふふ ほら あなたのせなかで むねがつぶされちゃう ふふふふ
ぎゅ〜 むぎゅ〜

Y「ちょっ待っ、首……放し……て……」
353以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 00:28:10.96 ID:13YaGCts0
つ……続きをっ!
354以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 00:29:40.55 ID:45aebXjD0
何故だろう黒服Yを物凄く犯したくなってきた
355以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 00:49:25.37 ID:KE4hjNakO
なんてこった
356以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 01:10:28.91 ID:13YaGCts0
357以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 01:33:39.48 ID:13YaGCts0
358Tさん:2009/12/09(水) 01:57:32.79 ID:13YaGCts0

 ≪モンスの天使≫が行う銃撃の嵐の中、携帯に向かって髪が伸びる黒服が半ば叫ぶようにいくつかの言葉を並べて数秒、
「察してくれ! お嬢さん、モンスの天使の契約者をちょっと黙らせてくれ!」
 そう髪が伸びる黒服が電話の向こうに言い、青年にニヤリと笑んで後、更に数十秒、青年が接近してきた≪モンスの天使≫相手に動こうと思った直後、
 天使たちによる銃撃がピタリと止んだ。
「ご主人様がピンチ!? 危ない!?」
「戻らなきゃ、戻らなきゃ!!」
 そんなことを言い合いながら元来た方向へと帰っていく≪モンスの天使≫たちを呆気にとられて見送り、
「これはまた、対応が早い」
 青年は呟き、安堵の息を吐いた。
 そして周囲が突然の銃撃終了を実感し始めた頃、髪が伸びる黒服の携帯が鳴った。
 銃撃が止んだためか、近くに居る青年には電話の向こうの声も微かに聞こえてくる。
 それは幼い少女のもので、髪が伸びる黒服はなにやら要求を受けているようだった。
「……助かった。今度、甘い物でも持って行ってやる」
 億劫そうにそう言った髪が伸びる黒服を見て、「ずいぶんとかわいらしい声の切り札だ」と微かに青年は笑う。が、
『ふむ、まぁ良……とこ、で、H−360、。確……お前、消息不、態だっ……では』
 途切れがちに聞こえる少女の声が一つのシリアルナンバーを告げた。
 ……H−360?
 青年が疑問を抱いたそのすぐ後に通話を切る髪が伸びる黒服。彼は≪13階段≫の契約者へと目を向ける。
 青年もそこへと目を向ける。その背にH−96と刻まれている≪13階段≫の契約者は≪爆発する携帯電話≫の契約者を護るように前に出て構えており、
≪爆発する携帯電話≫の契約者も≪13階段≫の契約者の名らしきものを呼んで気遣っていた。
359Tさん:2009/12/09(水) 02:07:21.35 ID:13YaGCts0
 そして、
「……、あれは男? いや、女体化したから女……? ならおーけーなの、か? いやいや……」
「お姉ちゃーん?」
 その光景を見て青年の契約者の少女は首を捻ってなにやら哲学的な思考を行っていた。リカちゃんはそのあまりの思考の深遠さに置き去り状態だ。
 青年はため息と共に少女の肩を叩く。
「Tさん?」
 振り向いた少女に青年は一つ頷き、重々しく告げた。
「こういう世界も、ある」
「そう……なのか?」
「ああ」
 話し合っていると、
「……あぁ、そうだ、そこのあんた」
 ≪13階段≫の契約者が青年に向かって声をかけてきた。
「……俺か?」
 青年が答えると≪13階段≫の契約者は無言で頷き、
「あんた、俺の背中のシリアルナンバーが何なのか、気にしたな?」
「む……」
 以前黒服に聞いた話では≪13階段≫は≪組織≫を裏切ったのだという話だった。もしかしたらシリアルナンバーから≪組織≫を裏切った理由でも聞き出せるかもしれないと思い、髪が伸びる黒服に問いかけたことだったが、
『あんたも元≪組織≫の人間だろ? なら察してくれや』
 ……あの髪が伸びる黒服さんの言葉でなんとなく予想はつくが、
 話してくれるのならば聞くこともやぶさかではない。思い、耳を傾ける。
360Tさん:2009/12/09(水) 02:08:50.85 ID:13YaGCts0
 ≪13階段≫の契約者は暗く笑って、
「これは、≪組織≫の実験体のナンバーだ。俺は≪組織≫で色々と実験に使われたからな」
 周囲に軽いざわめきが起こる。
「あぁ、そうさ。訳のわからない薬飲まされたり注射させられたり、同僚同士殺し合わされたり色々殺させられたり……色々と、やらされたよ」
 服の裾を掴んでいる≪爆発する携帯電話≫の契約者をちらりと見、≪13階段≫の話は続く。
「他にもそう言う事をされてた連中はたくさんいたが……まぁ、≪夢の国≫の騒動の時にほとんど死んだからな。少なくとも、俺が受けていたような実験の生き残りは、俺だけだ」
「……っまさか、先ほどのモンスの天使の襲撃は……」
「口封じ、だね? その実験の真相を知っている、君の」
 結界の少女とト○ロの契約者がそれぞれ言うのへ、だろうな。と答える≪13階段≫の契約者。
「……マッドガッサーの計画がうまくいきゃあ……世界中が、そうなれば。少なくとも俺はもう命を狙われずにすむし、俺のような目に合う奴もいなくなる……こいつだって」
 そう言ってちらりと≪13階段≫の契約者が≪爆発する携帯電話≫の契約者に視線をやった。
 それに小さく首をかしげ……しかし、≪13階段≫の契約者に向けている心配そうな視線はそのままな≪爆発する携帯電話≫。
「だから、俺は≪13階段≫を解除するつもりはねぇ……お前達を、屋上には行かせない」
 そう宣言する≪13階段≫の言葉に、≪爆発する携帯電話≫は慌て、説得でもしようというのか声をかける。
 ……≪組織≫は相変わらず、か。――それにしても妙な構図だな。
 青年は自分の居た頃と大して変わらない≪組織≫に落胆しながら、どうしたものかと考える。
361Tさん:2009/12/09(水) 02:10:16.24 ID:13YaGCts0
 もう23:00だ。正直なところ屋上まで上がるのにこんなに時間を取られるとは思わなかった。そろそろ急いだ方がいいだろう時間だ。そして戦力的に見ればここの突破は容易い。
 だが、
 今回の件を出来得る限り丸く収めようというのなら、ここの強行突破は得策ではない。下手をすると≪13階段≫の契約者を殺してしまう結果になりかねないのも問題だ。
 ……もし俺が彼らと対峙することがあっても出来得る限り殺さないという黒服さんとの約束もあることだし、
 契約者をちらりと見て、
「穏便にいきたいものだ」
 呟く。
 声に反応してこちらを振り返った髪が伸びる黒服。
 ……こっちもシリアルナンバーの繋がりで気になることがあるが……。
 髪が伸びる黒服さんが襲撃を察知していたのは同じようなシリアルナンバーを持つ者として口封じを予期していたからだろうか? 
 ……いや、深入りはすまい。
 そう思い、青年は髪が伸びる黒服へと笑いかけ、
「甘い物が入用ならばいい店を紹介しようか? 今は≪組織≫の管轄だったろうか、西区にいい喫茶店がある」
 契約者の少女も甘い物という言葉に反応して髪が伸びる黒服に言う。
「甘いもんならアレだ。黒服さんの知り合いにものすごく甘いモノを作る人がいるぜ」
 いきなり甘味処の紹介をされて面食らったような髪が伸びる黒服を見ながら、青年はいつまでならば強行突破を図らなくていいだろうかと思案する。
 すると、階段の下のほうから足音が聞こえてきた。――また人数が増えるようだ。

23:00
362Tさん:2009/12/09(水) 02:22:32.51 ID:13YaGCts0
主にHさんに土下座ああああああ!!

これだけ書くのに一時間半と少しですよ、花子さんの人の台詞を拝借してこのスピードかー……
Tさんは事前情報によってとりあえず≪13階段≫と≪爆発する携帯電話≫相手には同情的です(間に合わないと判断すれば割と容赦しないかもしれません)。
他の一味も殺さない方向で動くことを継続するでしょう。
この場でのうちの子たちが抱いていた疑問とかは一応の解決を見たのであとはのんびり事態の推移を見守る構えで!
363以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 03:15:26.44 ID:13YaGCts0
眠……い
364以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 04:06:02.76 ID:KE4hjNakO
Tさんの人乙です
西区の喫茶店というとあそこか
365以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 06:26:51.09 ID:c1XqM+/zO
366以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 06:54:36.64 ID:vBtJNjqXO
367以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 06:54:46.55 ID:387ZSqLeO
ザクロって黒服Hがフェ〇チオを吹き込んだ人だって気付いてないんですかそれとも気付いててマッドガッサーの件が片付いてから消すつもりなのかな
368以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 07:31:45.06 ID:vBtJNjqXO
>>367
たぶん戦闘とかで焦っていて気付いていないだけ。
・・・女装少年もいるから時間の問題だろうが
369以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 08:27:16.65 ID:13YaGCts0
>>364
はい、あそこですね

黒服Hの年貢の納め時も近いなwww
370以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 09:15:06.47 ID:YAYqUXFP0
おはよう、Tさんの人乙!!
契約者、哲学的な悩みをwwwwwwww
リカちゃんにはまだ早いか



おや?
マッドガッサーを殺さない程度にフルボッコの集い改め、黒服Hを死ぬ一歩手前までフルボッコの集いに変更した方が良さそうか?wwwwwwww
371以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 10:31:43.19 ID:vBtJNjqXO
黒服H南無
372以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 11:28:28.54 ID:Y2W6BL5IO
標的がマッドから黒服Hに…

うん、彼は恨まれてもいいほど羨ましいことをしてると思うんだ
373以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 12:09:12.22 ID:vBtJNjqXO
とりあえず仮面ライダーなら確実に気付くはず・・・
黒服H存在抹消に乗り気なのは主人公と姫さんだからな
(ただし主人公が動けばアクマ・ザクロと妹ちゃんが動く)
仮面ライダーの目の前で女装少年が黒服Hを名前で呼んだらアウトだな

あと盟主が個人的に黒服Hをいぢめそう
374以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 12:41:20.78 ID:Qs8jxS2d0
黒服H「女性に虐められるなら、それはそれで構わない」
三面鏡の少女「変態!変態!!変態!!!」
黒服C「…本当駄目ですね、この人。早く何とかしないと…!」
375以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 13:09:24.22 ID:KE4hjNakO
376以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 13:13:39.68 ID:vBtJNjqXO
主「ああ、早くなんとかしないと・・・一般市民も危険だ!(モラルとか)」
姫「歩く災害のマ神並みに厄介な存在よね、ある意味」
盟「じゃあこの際、闇討ちを」
ア「成功するの?」
妹「盟主さんなら・・・」
377以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 13:15:04.18 ID:Qs8jxS2d0
>>376
黒服H「何だと、一般市民が危険というなら、禿た同僚やお嬢さんの方が危険だぞ!」
上司「失礼じゃのぅ。あの規格外マッスル神と同列に扱われるとは」
 うん、まぁ危険だと思うけどね…主に童貞と処女が
378小ネタ:2009/12/09(水) 13:37:47.27 ID:Qs8jxS2d0
○月×日 23:00 東区


 ずるずるずるずるずるずるずる
 黒いスーツを身に纏った少女が、青年を引きずっている
 青年は、首元に何かに噛み付かれた痕があり、顔色が血の気を失せて悪いが…まぁ、生きているようである
 ずるずるずるずるずるずるずるずる
 自分よりも身長の高いその青年を、少女は軽々、引きずっている

「まったく、H−360め。話している途中だったというのに、通話を切るとは何事じゃ」

 ぶちぶち、文句を言いながら歩く少女
 彼女の立場であれば、青年の回収は部下に任せることも可能だったのだが、あえて彼女は自分で青年を回収していた
 久々の外なのだ
 もう少し、外の空気を味わってもバチは当たるまい

「…じゃが……生きていてくれたなら、良かった」

 ほっとしたように、少女は笑みを浮かべる


 …Hナンバーの生き残り
 それは最早、H−96とH−360しか存在しない
 いや、厳密に言えばH−1がまだ生きていて、こうやって存在している訳だが…彼女の罪の証である、H−11以降のナンバーを背負わされた者の生き残りは、あの二人だけだ
 別々の実験の被害者二人
 あの二人がつながりを持ち、生き延びてくれている
 …その事実に、彼女はかすかに安堵する

 今回の事で、自分の罪が軽くなるとは、思っていない
379小ネタ:2009/12/09(水) 13:39:55.50 ID:Qs8jxS2d0
 自分の罪は重すぎる
 己の身勝手な願いで、あそこまでの事をしてしまったのだ
 あの二人を一度助けただけで…その罪が、軽くなるはずもない

 だが、それでも
 …彼女は、たった二人の生き残りを助けたいと、そう願うのだ
 それが、彼女の罪の償いであり、そして…

「…さて、H−360は………いつ、妾の願いを、叶えてくれるかのぅ……」

 …彼との
 H−360との……取引の条件であり、彼女を縛る束縛なのだ



to be … ?
380以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 13:41:06.93 ID:Qs8jxS2d0
他に書くべきシーンがあるのにカっとなって書いた
反省はしていない
モンスの天使契約者を黙らせた後の黒服Hの上司ですた
381以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 14:02:29.76 ID:vBtJNjqXO
>>377
姫「マ神を子供が見ても、ヒーローのように思われることもあると思うわ」
主「まぁあのパワフルな姿は子供が憧れを抱いてもおかしくないな」
姫「吸血鬼に襲われても、子供は後で夢だと思うかもしれないわね」
妹「そもそも襲うような人には見えませんが・・・」
姫「でもあなたは確実に後で影響が出るでしょう!」
盟「色々吹き込まれて、歪んだ子供に・・・!」
姫「だからあなたが一番悪!!」
ア「なんかもう、ここまで必死に力説されると・・・」
ザ「黒服Hさんが可哀想に・・・」
姫「なんで!?」
382以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 14:02:48.47 ID:13tcTUrE0
投下乙!

そういえば、三階で行動を始めた占い師たちが仮面ライダーやその他蜘蛛の方に会うかどうかで展開が変わるから、一時俺は休憩かなぁ
後で聞いておかないと

避難所>>847
>13階段「「…いつか、白馬にでも乗って迎えにきてやる」って似非関西弁に言う予定だったらし(ry」
>マッドガッサー「タツヤてめぇえええええ!!??っつか、場合によってはてめぇが「爆発する携帯電話」にそのセリフ言い放つ予定だったんだからな!?」
はwwwくwwwばwwww
それは言わせてみたかったなぁw
383以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 14:07:53.88 ID:Qs8jxS2d0
>>381
>姫「マ神を子供が見ても、ヒーローのように思われることもあると思うわ」
黒服H「いや、あれは歩く猥褻物陳列罪だろ」
黒服C「あなたが言えたセリフじゃないっ!?」

>妹「そもそも襲うような人には見えませんが・・・」
黒服H「一つ、いい事を教えてやろう…あのお嬢さん、脳内が一部中世ヨーロッパで止まっている。
      「ちょっとつまみ食いくらいいいじゃろ」って真顔で言われた時はどうしようかと思った。
     これだからお貴族様は(ry」
3841レスネタの人に焼き土下座:2009/12/09(水) 14:33:21.34 ID:Qs8jxS2d0
 …街中で騒動が起きている中
 騒ぎの中心たる中央高校から離れた街中で……

 その人物は一人、本を読みながら夜道を歩いていた
 ぱらり、ぱらり
 本をめくりながら歩む様は、どこか危なっかしい
 男のような、女のような、中性的な顔立ち
 眼鏡の下のその眼差しは、理知的なような、どこか眠たそうな、曖昧なもので

 夜道を歩く、その人物の背後から
 ひたり、ひたり
 一人の少女が、近づいて…


「………ふむ、僕の元に来てくれたか。ありがたい」


 気配を消して、近づいていたはずなのだが
 しかし、その人物は、近づいてきていた少女に、気づいていた
 直後…少女の背後に現れた何者かが、少女を押さえつける

「…っな!?何ですか、いきなり!いたいけな少女を取り押さえて!?」
「夜道、気配を消してナイフを手に近づいてくる少女をいたいけな少女と呼ぶかどうかは、なんとも微妙だと思う」

 くるり、その人物は少女に振り返った
 ぱらぱらぱらぱらぱら
 人物が持っている本は…ひとりでに、めくれていっている

「なるほど。このところの行方不明事件の犯人は君のようだね」
3851レスネタの人に焼き土下座:2009/12/09(水) 14:39:04.88 ID:Qs8jxS2d0
 …いや、と
 その人物は、軽く頭をふった

「あぁ、いや。一部は少し、食べ残しが残っていたな…うん、君が犯人で間違いないかな?」
「………」

 少女は、取り押さえられたその状態で、人物を睨みつけていた
 人物は、少し困ったような表情を浮かべると…ぱらぱら、手元の本をめくる
 …人物の背後に、人影が現れた
 人影はじっと少女を見詰め…そして、ぼそぼそと人物の耳元でなにやら耳打ちする

「…なるほど、わかった………出てきたまえ、リュパン。さもなくば、君に食事を提供してくれているこの少女は、首の骨でも折られてしまうかもしれんぞ?」
「−−−−−っ!?で、出てきちゃ駄目です!リュパンさん!」

 人物の言葉に、少女は慌てて叫んだ
 しかし、その叫びを無視するように…路地裏から、それは姿を現した

 …それは、やせこけた狼に見えた
 獰猛そうなその顔立ちは、痩せたその外見とあわせ、飢えた狼の迫力を充分に引き出している

 だが、彼の正体を知る者は、彼を恐れはしないだろう
 リュパンは、酷く臆病な存在で、ちょっとした物音にすら驚いて逃げ出してしまう存在なのだから

 それは、この人物も知っている事実だった

「ふむ。臆病な君が姿を現したのを見ると…よほど、この少女が大切かね?」
「リュ、リュパンさん…」
「…その子、から、手を離せ」

 リュパンが、小さく唸り声をあげる
3861レスネタの人に焼き土下座:2009/12/09(水) 14:45:51.26 ID:Qs8jxS2d0
 しかし、その人物はそれを恐れない
 ただ、静かにリュパンを見詰める

「あぁ、安心してくれたまえ。僕としても、人殺しは極力避けたい。だが、この少女が君に食事を与えるために、随分と人を殺してしまったのも事実だからね。どうしたものか、悩んでいるのだよ」
「…私、悪い事してないもん」
「いや、人殺しは駄目だろう。死んでも誰も悲しみはしないクズを殺すならさておき、君はそれ以外も殺してしまっているしね」

 少女の呟きに、人物は眼鏡の下で困ったように苦笑した
 唸り声を上げたまま、リュパンは人物を、そして、少女を取り押さえる存在を睨みつける

「そ、その子は、悪く、ない。悪いのはおいら、だ」
「…まぁ、君の食料は死体や死者の魂だからね。大方、フランスで墓荒らしでもしているところを「教会」の連中にでも見付かって、この遠く離れた島国に逃げてきたのだろう。そこで、こんな可愛らしいパートナーを見つけた訳だ」
「お前、「教会」の人間じゃ、なの、か?」

 人物の能力で現れたと思われる、少女を取り押さえる存在と、人物の傍らの人影を見て、リュパンは首を傾げた
 その言葉に、人物は肩をすくめる

「あぁ、僕はあそことは何の関係もない。僕はそこの組織にも所属していないしね……まぁ、僕の事破、どうでもいい」

 ぱたんっ
 人物が、本を閉じた

「取引でもしないかい?」
「…取引?」
「あぁ、取引さ」

 少女は、束縛から逃れようともがきながら、その人物を睨みつけた
 人物はその視線を受け止めながら続ける
3871レスネタの人に焼き土下座:2009/12/09(水) 14:52:30.70 ID:Qs8jxS2d0
「君が侵してしまった罪は、紛れもない事実。これは君の罪だ…だが、罪とは償う事ができるのだよ。今後は無差別に殺すのではなく、殺しても問題なさそうな者だけを殺し、リュパンの餌とする…それでは、駄目かな?」
「そんな都合のいい人間、いるんですかー?」
「…困った事にわりと存在するのだよ。僕らのような都市伝説契約者の中には特に、ね」

 困ったように、人物は苦笑した
 …この少女もまた、ある意味でそんなカゴテリに分類されそうだな、と思っているのかもしれない

「僕の元には、都市伝説に悩まされる人々から、相談が寄せられるんだよ。僕はそう言った人達の為に都市伝説や都市伝説契約者と戦っている。場合によっては、僕が仲介して他の者に戦ってもらっているがね」
「…仲介…」

 …人物が言わんとしている事を
 少女は、理解する

「私にも、その仕事をしろって事ですかー?」
「まぁ、そうなるかな?正確には、君とリュパンに、だ。僕としては未成年の少女に人殺しなどあまりさせたくないのだが…既に罪に塗れてしまっている君相手には、あまり意味はなさそうだ」

 …そして
 やや、脅すように続ける

「この取引は、受けた方がいいと思うけどね。たとえ、僕がここで君達に殺されたり、君達が取引を蹴ってここから逃げ出したとしても。君達のしている事は、
 いつかどこかかしらの組織に気づかれるだろう。そうすれば、それこそ、君達は殺されてしまうかもしれない……少なくとも、僕の友人が君達がしている事を知ったならば、君達はミディアムステーキにでもされてしまうだろう」

 苦笑し
 そして、人物は手を伸ばす

「さぁ、どうかね?悪い取引ではないと思うのだが。堂々とリュパンに食事を提供できる意味で。そして、リュパン。君の大事な契約者を護る意味でも」
「リュパンさん…」
「………」
3881レスネタの人に焼き土下座:2009/12/09(水) 14:56:52.30 ID:Qs8jxS2d0
 リュパンは、考え込むように俯いていた
 ちらり、少女を取り押さえている存在に視線をやり、少女を見詰め…
 …そして、答える

「と、取引を、承諾、する」
「リュパンさん!?」
「おいら、は、その子に死んでほしく、ない」

 …ニヤリ
 その人物は、眼鏡の下で笑った

 少女を取り押さえていた存在が、消える

「取引成立だ。携帯の番号を教えてくれたまえ。仕事が入ったらすぐに伝えよう」
「…信じてくれるんですかー?」
「なぁに、約束を破られたらその時はその時さ。ただ、少なくともリュパンは約束を守ってくれそうだからね」

 むー、と少女はやや不満げながらも、リュパンが決めたのなら、とその人物に携帯の番号を教えた
 …まぁ、いいや
 リュパンと一緒にいられる事に変わりはないのだし
 そう考えて、納得する

「…ところで、あなたは何者なんですかー?」
「……うん?僕かい?」

 少女の携帯番号を己の携帯に登録しながら…その人物は、答える

「…その筋の者にはこう呼ばれている。「仲介者」、とね」

続く予定はない
389以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 14:58:51.43 ID:Qs8jxS2d0
1レスネタの人に剣山に向かって紐なしバンジー土下座ぁあああああ!!!!orz
リュパンのイメージとかリュパンの契約者(だ、だよね?)のイメージとか間違ってたら御免なさい

そして、他に書くべきシーンがあるのに俺はまた何を(ry
一応、マッドガッサー騒動最中にこんなこともあったかもね的なうっかり後で出す予定のキャラを前倒しして出した的な
390以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 15:11:18.95 ID:KE4hjNakO
乙なのですよ

避難所蜘蛛はもう屋上だろうとどこだろうと登ってさっさと倒されればいいんじゃないか?
391以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 15:29:45.52 ID:vBtJNjqXO
お疲れ様です。
くそ、充電切れる・・・


蜘蛛の契約者が屋上いくとミサイル発射が確実に早まるよな・・・
392以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 15:51:33.30 ID:Qs8jxS2d0
まぁ、確かにミサイル発射準備は前倒しして行うだろうなぁ
393以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 16:34:18.33 ID:Qs8jxS2d0
394以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 16:51:23.98 ID:NkfA7wrxO
>>352

Y「死ぬかと思った。……何か既視感が」

――そんなことするわけないじゃない 
むにむに

Y「気が遠くなりかけた僕には、それを信用することが出来ない」むにむに

――つれないわねぇ  それにしても かわいいわ こんなすがたになっちゃって
むにむにー むにむにー

Y「あぁもう、むにむにするなー!」

――ふふふ 頬っぺたもちもち うふふ ふふふふ ふふふ
むにむにむにむにむにむに

Y「はーなーれーろーー」

――はなれられないの しってるくせに  いじわる
395以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 16:53:20.28 ID:NkfA7wrxO

――おおっと いきなりですがここで 同僚さんからのお葉書です

Y「何でだよ」

【以前から思っていたのですが、Yが女体化してから、何というか、子供っぽくなった気がするのです
 前から子供っぽい癖のようなものは多少あったのですが、最近は性格が変化してるように感じられます
 細かい仕種なんかも見た目通りの女の子に見えて可愛くて仕方ないのですが、とても心配です】

――ふむ それを説明するために まず わたしのことを 説明するわ
――いま わたしは霊みたいになってYの精神にべったりくっついてる状態です こんなふうに
むぎゅー
Y「やめれ」

――そしてね 女体化した体に わたしの精神が 引き寄せられて感化されてるの
――だから Yの精神が それにひっぱられて 少女補正がかかった状態になったのね

Y「ふーん」

――だから こんなふうに かわいくなっちゃったの
ペロッ

Y「ひゃっ!」

――しんぱいしなくても からだがもどったら 性格ももどるわ たぶん
あむっ んむんむ

Y「ひっ、ゃ…やめっ、ふあっ」
おしまい
396以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 16:59:11.49 ID:Qs8jxS2d0
黒服Y乙ー!
しかし黒服Y、もげ……いや、もげるものがないか、少女化してる状態だと
羨ましいな畜生めwwwwwww
397以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 17:31:33.37 ID:c1XqM+/zO
ほし
398以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 17:55:08.98 ID:QpwYTwD4O
399以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 18:26:12.30 ID:NkfA7wrxO
むう
400以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 18:32:24.91 ID:Fg+hhum00
よし、ではこう言おうじゃあないか
「Y! お前のオ×メちゃんをデロンデロンにふやけるまで
 いたぶってやろうじゃあねぇかぁ!
 ナニぃ? ワレ×ちゃんが淋しいだとォ!?
 安心しろィ、後でたっっっぷりと嬲ってやるよォ!」
401以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 18:50:12.46 ID:m7PFgTVL0
なんか呼ばれた様な気がした
そういえばこっちに書いたのは久しぶりな気がする
402以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 19:04:47.66 ID:G+Fr1k0g0
規制解除おめでとう
403以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 19:23:41.06 ID:m7PFgTVL0
>>402
試験勉強で離れてる間に規制が解けて良かったよ
さて、ぼちぼち書きあげるかな…
404以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 19:35:31.32 ID:Opwma2l50
規制解除組ぞくぞく増えてきてるな
みんなの規制が全部解けますように
405以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 19:49:26.88 ID:Opwma2l50
406以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 20:03:53.45 ID:KE4hjNakO
407とある組織の構成員の憂鬱:2009/12/09(水) 20:14:42.65 ID:Opwma2l50
○月×日 22:50 食堂


 食堂の職員が使う出入り口から、再び校内に侵入する
 食堂を横切って……内部が酷く破壊されていたが、溶けている箇所が多い事から見て、誰が暴れたのか一目瞭然だ
 はて、明日の朝までに、この高校は無事に存在し続けられるだろうか?
 そんな事を考えてしまい、若干頭が痛い

 だが、今はそんな事を気にしている場合でもないだろう
 とにかく、屋上に急がなければ

「途中の階段、あのヤンデレコーラ辺りがやったのか、確かスロープ状になってた。「13階段」がまだキャンセルされてなくても、そこを使えば二階には行ける!」
「わかりました、そこを通りましょう」

 「日焼けマシン」の契約者の言葉に、黒服は頷く
 食堂を出て、その階段に向かって…

「−−−−−っ!」

 …真正面から、別のグループが駆けて来た
 全員、面識のある相手だ
 うち、四人は問題ない

 …ただ
 その内の、一人に
 黒服は、かすかに警戒する

「……「第三帝国」」

 「第三帝国」に所属しているらしい、女性
408とある組織の構成員の憂鬱:2009/12/09(水) 20:21:31.38 ID:Opwma2l50
 彼女まで、ここに来ていたとは…!

「あ…家族、見付かったのか?」

 花子さんの契約者が、声をかけたきた
 はい、と少年に頷きながらも…黒服は、「日焼けマシン」の契約者とはないちもんめの少女を庇うように、「第三帝国」所属の女性…ドクターに視線をやる
 ドクターは黒服のその様子に、おや、と困ったように肩をすくめる

「そう、警戒しないでくれたまえ。目的は、君達とそう変わらないよ」
「……あなたは、「第三帝国」の南極支部、もしくは南米支部所属では、ないのですか?」

 「組織」は、「第三帝国」と「薔薇十字団」の南米支部の抗争に巻き込まれた事がある
 それに、「第三帝国」は日本支部はまだ平和な支部だが、それ以外は…少々、危険視したくなる部分がある
 だからこそ、余計にそれを強調して尋ねた
 ……「薔薇十字団」に片足を突っ込んでいる以上、自分もまた、「第三帝国」所属である彼女とは、あまり深く関わるべきではないのだが

「あぁ。僕の上司は日本支部だからね」
「………」

 ……今は、信じよう
 押し問答をしている場合ではないのだ

「ねぇ、よくわかんないけど、先に進んだ方がいいんじゃない?」

 赤い靴の契約者が、そう口を挟んできた
 「日焼けマシン」の契約者が、赤い靴の契約者の姿にギクリとしたように、黒服の背後に隠れた
 …その選択肢は、間違っていないと思う
 気のせいだといいのだが、ドクターの視線が若干「日焼けマシン」の契約者に注がれていたような気がしないでもないから
409以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 20:22:46.13 ID:G+Fr1k0g0
支援
410とある組織の構成員の憂鬱:2009/12/09(水) 20:25:01.66 ID:Opwma2l50
 将門と一緒にしては失礼だとは思うのだが…彼に対する警戒と同じ警戒をしなければいけないような、そんな予感がしたのだ

「…そうですね。先に進みましょう」

 スロープ状になった階段に視線をやる
 少々、登るのは大変かもしれないが、あそこを登れた…


 −−−−−−−−−ギシっ


 その時、どこからか嫌な音が聞こえてきた
 ……ちゅちゅちゅちゅ!?と、はないちもんめの少女の鎖に絡まったままだったネズミが、気絶から目覚めてじたばたしだす
 嫌な音の根源を嫌がるように、ねずみがはないちもんめの少女にひし!としがみ付いた

「…何、この音?」
「あっちから…」

 ……つつつつ
 全員の視線が、自然とそちらに向けられる

 そこは、大体育館
 そこの、大きな重い扉が…ギシ、ギシ、と
 内部からこじ開けられようとしているかのように、動いている

「……げ」
「み、で、出てきちゃいそうなの」

 ひし、と花子さんが、自身の契約者にしがみついた
411以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 20:26:59.63 ID:G+Fr1k0g0
支援
412とある組織の構成員の憂鬱:2009/12/09(水) 20:29:15.40 ID:Opwma2l50
 赤い靴が、警戒するように己の契約者を抱き上げている

「…まずいな。急いで二階にあがった方がいい」
「……あまり、聞きたくない気もするのですが。あの扉の向こうには、何が?」

 ギシギシギシギシギシギシギシギシギシ
 音は、どんどん大きくなっていく

「黒い悪魔。別名・G。一匹いたら三十匹はいると思えのあれだ」
「…もしかしたら、その都市伝説なのかもしれないな。校内に随分と増えているようだから」

 未成年を前にして適切ではな格好をしているドクターが、赤い靴の言葉に続いた
 ……もし
 もし、だ
 大体育館の扉の向こうにいるのが、その黒い悪魔だとして
 それが、一匹いたら…の、都市伝説だとしたら
 それが、体育館の扉の向こう側で、増え続けていて……それが、最早体育館の限界を超えて、出てこようとしているのだ、としたら?

 ギシギシギシギシギシギシギシギダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!

「−−−−−−!?」

 途中から、別の音が混じりだした
 それは、二階から聞こえてくる

「ッ銃声!?しかも機関銃の!?」

 花子さんの契約者が、真っ先に反応した
 日本人は銃声には疎いはずだが、何故わかったのか、そんな事を減給している暇すら、ありそうにない
413以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 20:30:23.20 ID:vBtJNjqXO
支援策
414以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 20:30:44.60 ID:G+Fr1k0g0
支援
415とある組織の構成員の憂鬱:2009/12/09(水) 20:32:18.99 ID:Opwma2l50
 上から聞こえる銃声、怒号
 そして、すぐ傍から聞こえてくる、体育館の扉を破らんとする音……
 ここにいるのは、不味い
 そして、上で、誰かが危険な目にあっている…

 ひょい

「あ」
「み?」

 赤い靴が、花子さんの契約者を、彼にしがみ付いていた花子さんごと、持ち上げた
 片腕で自身の契約者を抱きかかえたままで持ち上げたのだ、女性の体になっていても、それくらいの力はあるという事か

「悪いが、先に行っているぞ!」
「あ!!」

 だんっ!と
 三人を抱えるような状態で、赤い靴は床を蹴った
 そのまま、スロープの途中の壁を蹴り、一気に二階へと上がっていこうとしている
 何という、身体能力だ

 …ギシギシギシギシギシギシギシベキベキベキベキ……!!


「…私達も行きましょう!」

 二人…と、ついでにドクターに声をかける
 三人がスロープを昇り始めたのを確認して、黒服も駆け出した
416以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 20:32:59.12 ID:G+Fr1k0g0
支援
417とある組織の構成員の憂鬱:2009/12/09(水) 20:33:22.30 ID:Opwma2l50
 −−−−−−−バキィッ!!!

 
 黒服がかけだした、その背後で……とうとう、大体育館の扉が破られて
 そこから……黒い悪魔の波が、一斉に溢れ出した






○月×日 22:56 校舎一階 黒い悪魔が占拠
418以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 20:35:21.32 ID:Opwma2l50
三面鏡の人に焼き土下座っ!!!
色々あって、黒服Dは「第三帝国」関係者相手にはやや警戒心が強めです

えー…一階がど偉い事になってますが、きっと大丈夫だ
もう一階には誰もいないんだし
外に溢れ出なければ大丈夫さ、多分きっと恐らくメイビー


避難所>>859
>最近このネズミが可愛く思えてきたよ
今回の騒動が終わったら、ペットとして迎え入れようかと企んでいたのは秘密
419以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 20:48:40.44 ID:vBtJNjqXO
悪夢だ・・・もうこの学校はお終いなんだ・・・!
と何故だか悲壮感が湧き上がってきたんだが。
420以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 20:52:31.97 ID:4yWXUCRT0
wikiの方からリンクつなげてみた。なんかとても久々な感じが………
421以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 20:54:19.57 ID:G+Fr1k0g0
投下乙!
これでほぼ全てのメンバーが二階以上に昇ったことになるな

>外に溢れ出なければ大丈夫さ、多分きっと恐らくメイビー
人物に動きがなければ、校舎外に盟主、クラブハウスに魔女の一撃と契約者か
しかも校庭にはサンダーバードを取り押さえたGの集合体も居るから、もしそれらと合流したら…
422以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 20:57:37.44 ID:Opwma2l50
>>420
乙ー
そう言えばwikiのトップページのリンク直すの忘れてたんだぜorz

>421
クラブハウスには厨2病とロン毛ババアもいるね
それと…校舎の周りに、「壁に耳あり」の契約者が
423以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 21:04:29.64 ID:13tcTUrE0
投下乙ー!

取りあえず本スレにも転載
3階にいらっしゃる仮面ライダー、赤い2人、蜘蛛の方にちょっと質問!
現在生徒会横階段へと占い師たちが向かっていますが、合流やコンタクトの予定はありますか?
もしないようでしたらそのまま占い師たちを階段まで到達させますが、もしあるようでしたらそのssが投下されるまで待ちたいと思いますが。
424以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 21:08:09.26 ID:G+Fr1k0g0
>>422
おっと、厨二病とロン毛ババアを忘れていた
『壁に耳あり』は学校近くのビル屋上だった気がするんだが、移動したのを見落としたかな?
425以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 21:12:57.86 ID:Opwma2l50
>>424
っと、ミスった
壁に耳ありは学校近くのビル屋上だったな
それなら、Gの脅威から一番安全店にいる
426以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 21:34:09.86 ID:Opwma2l50
みー
「肉、ウマー」
「お粗末様です」

 口いっぱいにミートパイを頬張るマリと、微笑みながらその口元についた食べかすを取ってあげる少女。
 彼らは今、マリの住居を目指して歩いていた。
 人気のない路地のみを選んで歩いていくその動きは結構怪しいが、そもそも人目を避けているので見咎められることもない。

「おかわり、いる?」
「いるー」

 少女は紙袋の中の包みから小さなミートパイを取り出し、マリに手渡す。
 美味しそうにミートパイを頬張る幼女とそれをニコニコしながら見守る少女。
 少女の服が血みどろなのを除けば、それは微笑ましいと言って差し支えのない光景だった。

 そんなのほほんとした雰囲気のまま、何事もなく目的地に到着する。

「ここー」
「え、ここ? ……ホントに?」

 少女が戸惑うのも無理はない。
 マリの住居。そこは、教会だった。
 あまり特定の宗教を信仰しないというのが日本人の特徴の一つである。近所に教会があるだとか、そういう事情でもない限り、日本人が生の教会を目にすることは少ないだろう。
 少女もその例外ではなく、そもそも教会なんて一度たりとも見たことがなかったりする。
 ただいまー、と声をかけながら教会の扉を開き、中に入っていくマリ。
 少女は少し入るのを躊躇していたが、マリが「はやくー」と呼ぶのを聞いて、恐る恐るといった様子で扉をくぐっていった。

「お、マリ。遅かったな………って、その子は?」
「……?」
「何で首傾げてるんだ!? 知り合いじゃないのかよ!?」
428女装少年の人:2009/12/09(水) 21:48:37.21 ID:4yWXUCRT0
 少女が中に入るなり聞こえてきたのはそんなやり取りだった。
 マリに対して全力で突っ込んでいるその人物を見て、少女はその頭にある疑問を浮かべる。
 すなわち、

(………なんでこの人、ガスマスクなんかはめてるんだろう?)

 この少女の一般常識はあまり信用できないものではあるが、それでもガスマスクが日常的に着用するものではないことくらいはわかっている。
 そもそもガスマスクなんて代物は、日常生活を送る中ではそうお目にかかれるものではない。
 精々映画やゲームなどの中で目にするくらいだろう。
 そのあたりから言っても、本物のガスマスクを着用している目の前の人物は非常に怪しいと言えるのだが………この少女の基準からすると、"怪しい"ではなく"ちょっと変わってる"という程度の認識だ。

(……ん? ガスマスク?)

「……だからな、連れてくるなとは言わねえから、せめてどこの誰か分かってから連れてきてくれよ!? 敵だったらどうすんだ?」
「でも、助けてもらったしー」
「何? ………うん、マリ。まず、何があったのかから説明してもらおうか」

 マリとガスマスクの男―――マッドガッサーのそんなやり取りを眺めながら、少女はふと既視感を覚える………具体的にはガスマスクに。
 何故か見たことがある気がするのだ。しかも結構最近に。
 先程の出来事をマリが説明しているのを聞きながら、どこで見たんだったかなー、と考え込む少女。
 その脳内のサルベージ作業が終わるのと、マリの説明を聞いたマッドガッサーが少女に目を向けたのとは同時だった。

「えーと、あんた。マリが世話になったみたいで、ありがとうな」
「いえ、そんな、世話になったなんて……大したことでもなかったし。マリちゃんだけでも十分そうだったけど、見てたらつい、手が出ちゃって………」
「いや、感謝するぜ。マリは確かに強いし、回復力も高いから心配はあまりしてないけどな。それでも大切な仲間だ―――出来る限り、怪我なんかしてほしくない」

 そう言って、頭を下げるマッドガッサー。
 それを見た少女は、笑う。まるで太陽を見るかのように、眩しそうに目を細めて。
429以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 21:49:10.91 ID:Opwma2l50
女装少年支援!!
430女装少年の人:2009/12/09(水) 21:49:24.46 ID:4yWXUCRT0
「なんで笑ってるのー?」
「あ、ゴメン……あの、別にバカにしてるとかそういうのじゃないんです……」
「いやまあ、それは分かってるから大丈夫だ。………けど、俺もその理由は訊いてみたい」
「えーと、あの、大したことじゃないんですけど……素敵だな、って思って」
「素敵?」
「はい。…傷ついて欲しくないって思えるくらい大切な人がいるのは―――とても素敵なことだと思うんです」

 変なこと言ってすいません、と少女は頭を下げる。

「いや、俺も同感だ。―――仲間がいるってのは、いいよな」
「俺も、同感ー」

 口を揃えてその発言に同意を示す、マッドガッサーとマリ。
 やっていることの関係上、マッドガッサー達には敵が多い。だからこそ、マリに連れられてきたとはいえ、いきなり現れたこの少女のことも少なからず警戒していたわけだが………今の会話の中で、それはだいぶ和らいでいた。
 敵対する意思も見せず、見識がなかったにも関わらずマリに助太刀し、仲間がいることを「素敵だ」と言ったこの少女が敵だとは、あまり思えなかったのだ。

―――とはいっても、信頼できるって訳じゃないけどな。

 それはそうだ、自分達がやっていることが他人からどう思われるかなど、分かっているのだ。
 今こう接してくれているからといって、自分達の目的を知った後もそうだとは限らない。
 そう考えるマッドガッサーだったが………続く少女の言葉に、彼はマリ共々固まらされることとなる。

「それで、あの、つかぬことをお訊きしますが………」
「ん、なんだ?」
「えっと……もしかして、性別変えるピンクいガスとか、使えたりします?」

 空気が、凍った。
 マッドガッサーとマリの表情が一気に鋭くなる。が、それに対して少女の方は、のほほんとした雰囲気のまま。
 その様子を見る限りでは、今の発言はカマかけでも何でもなく、"ちょっと聞きたかったんで訊いてみました"という程度のただの質問とも思える。
 が、それだけとするには引っかかりがあった。
431以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 21:50:42.77 ID:Opwma2l50
しぇーん
432女装少年の人:2009/12/09(水) 21:51:15.20 ID:4yWXUCRT0
 "ガスマスクをしている"のは、ガスを出すということとイコールでは結ばれない。また、"ガスマスクを着けた男がガスを出す"ということだけなら、本来の《マッドガッサー》という都市伝説を知っていれば予想はつくだろう。
 だが、それだけでは"ガスがピンク色で女体化させる力を持つ"というのは分かるはずがないのだ。
 それを知っているということは、実際にガスを食らったか、他人から情報を受けとるしかないわけで、つまりはマッドガッサー達と敵対している可能性が高い。そう計算したマッドガッサーはマリをちらりと見る。
 アイコンタクトを受けたマリは、少女から見えないよう、その細い腕を背中へと回す。背中へと回されたその腕は一気に膨れ上がり、可愛らしい身体には恐ろしくアンバランスな、狼の腕へと姿を変えた。
 それを横目で確認しながら、マッドガッサーはガスを即座に放てるよう準備する。勿論、少女に気付かれないように、だ。
 女に対して媚薬の効果を発揮するガスだ、ダメージは与えられずとも気を引くことくらいは出来る。
 目の前で緊張感の欠片もなく首を傾げている少女は、やはり敵だとは思えなかったが、それでも他人に過ぎない―――仲間ではないのだ。
 少女が敵だった時、すぐに叩き伏せられるよう体勢を整えてから、マッドガッサーは答える。

「………そうだ、と言ったら?」

 それを聞いた少女は、無言でマッドガッサーへと近づいていった。マッドガッサー達の警戒度もそれとともに上がっていき、協会の中は張りつめた緊張感で満たされていく。
 少女はマッドガッサーの眼前へとたどり着くと、その小さな両手でマッドガッサーの手を包み込むようにして握り、言った。

「―――ありがとうございますっ!」
「「…………へ?」」

 張りつめていた緊張やらなんやらが一瞬でかき消され、揃って口をポカーンと開けるマリとマッドガッサー。
 そんな二人を尻目に、少女は尚も言葉を続ける。

「ホンッ……トにありがとうございます! お陰で"女装をする"っていう精神汚染から解放されました!
 ホント、もうやばかったんですよ………なんか"自分が男だ"っていう感覚が薄くなって、時たま性別が判らなくなったり。道端でヤンキーっぽい人にナンパされたり。満員の電車に乗ったらお尻とかさんざん触られるし、それに―――

 何やら暗い笑みを顔に浮かべながらボソボソと呟き続ける少女。目に光は宿っていない。所謂レイプ目である。その声はこもっている感情からして、"怨嵯の声"と表現するのが妥当だろう。
 さらに続くそれを解りやすく要約すると、「女体化させてもらったお陰で女装から解放されました!」という一言で済んだ。
 負の感情に満ちた声を聴かされているマッドガッサーとマリはといえば、目を丸くして呆けていた。
 女体化させて恨まれる覚えはあれど、感謝されることなど全く想像だにしていなかったのだから、これも妥当な反応だと言える。

「………あ、ああ。それは良かったな……」
433以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 21:52:38.11 ID:vBtJNjqXO
支援
そういや終わってなかったのかw
434女装少年の人:2009/12/09(水) 21:52:42.63 ID:4yWXUCRT0
 我に返ったマッドガッサーが、やっとのことで声を振り絞る。
 その脳内は「それって元から女装したら女にしか見えないくらい女っぽいってことじゃねーか?」とか「つーか、女装が嫌なら女になっても状況悪化してるだけじゃね?」みたいな、口に出したら少女の精神を一発で崩壊させかねないツッコミが駆け巡っている。
 ちなみにそのあたりの少女―――元少年の考え方について説明すると、"男で女の格好をする=女装→アウト"、"女が女の格好する→セーフ"であり、自分が女になっている間は女物の服を着るのが当たり前だと思っているのである。
 よって、女になっていると普通の格好をするだけで女装をしなければならない罰ゲーム期間を消費できる上、セクハラ等で受ける精神的ダメージも少ない。
 大した順応性だと見るか変態としての素質だと見るかは、まあ人それぞれだろう。
 ひたすら愚痴をこぼし続けた少女は、女装して最も辛かったこと(家庭内における同居人によるセクハラ・言葉責め。
例:「それにしても、360度どこから見ても女の子ですね、少年。しかもお尻を触ると「ひゃっ!?」こんな可愛らしい悲鳴まで上げてくれる。『現代に生きる男の娘!』みたいな感じでブログでも作って写真アップしませんか、きっと大人気ですよ?」)
を吐き出し終わると、今度は逆に目をキラキラと輝かせながらマッドガッサーの手を胸元に抱き寄せる。

「―――というわけで、ホントにありがとうございました! なにかあったらなんでも言ってください、全身全霊でお助けします!」

 そう恩返し宣言をしてくる少女からマッドガッサーは目を逸らす。女体化させたのを感謝されるという予想外の事態による動揺………と、ボタンを上から二つほど開けたYシャツからのぞく、少女の巨大な胸の谷間のせいである。
 身長差の関係で雪のように白い肌がかなり際どい所まで見えてしまう上、抱き寄せられた手がそのウエストのおよそ二倍という非常にアレな胸に埋まっている。
 視覚と触覚のダブルアタックの威力は絶大で、別にチェリーというわけでもないマッドガッサーを打ち負かした。女体化させた相手にイロイロしているとはいえ、色仕掛けでも何でもなく素でエロいことをされるというのは、それとはまた違った魅力があるのである。
 いやさ、リビドー的な意味で。

「う、ああ、ありがとな……」

 若干赤面しつつ手を引き抜くマッドガッサー。「あ、すいません」と少女が頭を下げると、つられて胸も派手に揺れた。
 元・男とはいえ―――いや、男だったからこそこういうことには敏感になるのではなかろうか。それを全く気にしないあたり、この少女はよほど純粋なのか―――それとも、ただ幼いだけなのか。
 そう考えながら、マッドガッサーは少女の方へと目を向ける。当の本人は「マリちゃんもありがとうね」などと言いつつマリを抱き締めていた。
 何故かマリは膝立ちになっており、その小さな頭を小女の胸へと埋めている。
 
435女装少年の人:2009/12/09(水) 21:53:29.18 ID:4yWXUCRT0
 その口の端が今にも舌なめずりをせんばかりに歪んでいるのを見て、マッドガッサーは無防備な少女に忠告をしようとし、

「………」

 止めた。
 マリのあの愛らしい幼女の顔の下では、少女の乳を散々に弄くり回してアレやコレをするのを想像しているのだろう。
 だがそんなことは、マリのことを可愛らしい幼女だとしか認識していない少女に告げることではないと、マッドガッサーは判断する。
 今の時代、純粋というのは貴重である。貴重なその一人に、目の前の幼女が実はその脳内を常に性的なことと食べることで満たしているような人物だと、そう教えるのは忍びない。
 世の中、知らない方が幸せなこともあるのだ。


 その後、彼らは自己紹介を済ませ、当初の目的であった少女のシャツは洗濯することになった。

 洗濯の最中、少女が上半身裸のままうろつこうとするのをマッドガッサーが説得したり。
 少女の持っていたミートパイをかじりつつお茶をする時、マリが冷蔵庫の中に入っていた《魔女の一撃》特製の媚薬を原液のまま持ってくるのをマッドガッサーが必死に止めたり。
 少女が着ていた上着―――《火鼠の皮衣》をきれいにするためにとった"コンロに火をつけると、おもむろにその火で上着を炙り始める"という物理法則に真っ向から喧嘩を売るような行動に、マリとマッドガッサーが目を真ん丸にしたり。

 そんなアクシデントがあったりはしたが、おおよそ無事に洗濯も終わる。
 まだ生乾きのYシャツを着て、少女は早々に家に帰ることにした。

「今日は、お世話になりました」
「仲間に助太刀してもらった礼だ、そんな気にしなくていいぜ?」
「別にいいー」
「……つーか、服が乾くまでの間くらい居てもいいんだけどな」

 かけられる暖かい言葉に、少女の頬が綻ぶ。
 しかし、そういう訳にもいかない事情があるのだ。
436以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 21:53:55.41 ID:Opwma2l50
女装少年…ほろり
支援
437女装少年の人:2009/12/09(水) 21:55:15.30 ID:4yWXUCRT0
 先日、とある理由により結果として無断外泊することとなった少女。
 家に帰ったところ、同居人達の見事なまでの誘導尋問と脅迫によって全てを吐かされ、その結果外出制限を設けられてしまったのだ。
 相手が自分のことを心配してくれていることも分かっているし、何よりペナルティが恐ろしい。
 家庭内ヒエラルキーにおいてダントツでドベな少女としては、何がなんでも逆らうわけにはいかないのだ………ペナルティによって侵されるだろう、自分自身の尊厳を守るためにも。

「いえ、ホントに大丈夫です。えと、では、お元気で。さようならー」
「おう、元気でな」
「バイバイー」

マリとマッドガッサーと別れの挨拶をかわし、少女は協会を後にした。

 その、帰る道中。
 いい人たちだったなあ、としみじみと少女は思う。
 別れたばかりの二人の顔が――― 一人はガスマスクだったが―――脳裏に浮かんだ。
 "類は友を呼ぶ"という言葉がある。仲間思いの彼らの仲間は、同じように仲間のことを大切に思っている人達なのだろう。

「………いい天気、だなあ」

 少女は空を見上げた。最近寒くなってきているとはいえ、青空に燦々と輝く太陽は、確かな暖かさを感じさせてくれる。
 心の中で、少女は誰にともなく祈った。

―――彼らの絆が、いつまでもいつまでも、繋がっていますように、と。
438女装少年の人:2009/12/09(水) 22:01:40.25 ID:4yWXUCRT0
以上で終了! そして花子さんの人に土下座あああああ!!orz
現在決戦中なのに、やっとまともな遭遇編書き終わるってなんなんだ……

あと出るかどうかはともかく、考えてある女装少年たちの名前晒してみる。
女装少年→小鳥遊 渚
女装少年の妹→小鳥遊 凪
義妹→小鳥遊 美波
友人→海山 晃
友人の妹→海山 揚羽
とりあえずこんだけー
439以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 22:03:21.12 ID:Opwma2l50
女装少年の人乙ー!
マリ、てめぇ自重しろwwwwwww

そして、安心してくれ、少年
俺のキャラの中にも一人、身内の陰謀により、よく女物の服を着せられている男がいるから
440占い師と少女:2009/12/09(水) 22:07:26.12 ID:13tcTUrE0
○月×日 22:57

 常夜灯を頼りに、私たちは暗い廊下を歩いていた。
 空き教室を出発してから、既に数分が経過している。
 その間、モンスの天使による銃撃音がずっと続いていたのだけれど――

「……銃声、止みましたね」

 ――断続的に響いていた銃声が、ぴたりと止まった。
 廊下に、再び静寂が戻る。

「決着がついたのかな?」
「さあ……」

 首を傾げた黒服Yさんの言葉に、私は曖昧な返事しかできなかった。 
 唐突に止んだ銃撃に、私たちの歩みが少し遅くなる。

『あんさん、どうなったんでっか?』
「今から『視る』。ちょっと待ってろ」

 私たちと一緒に後方を歩いていた人体模型さんに声をかけられ、占い師さんは廊下の少し先、突き当りから少し右の方へと、視線を向けた。
 占い師さんの目が、その先の黒い壁を、音楽室を、さらにはその先の階段を映し出していく。
441以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 22:08:23.20 ID:Opwma2l50
占い師さん支援
442占い師と少女:2009/12/09(水) 22:09:27.31 ID:13tcTUrE0
 ……そして、その目が校舎の外を捉え

「……モンスの天使が撤退している……?」

 占い師さんが、困惑したように呟いた。
 その言葉に、弟さんが反応する。

「え? もう追い返しちゃったの?」
「いや……Tさん達が戦った感じもない。どうやら自主的に返って行ったようだが……」

 占い師さんにしては珍しく、返答の歯切れが悪い。

「……とにかく、合流してみない事には分からないな」
『ですが、戦闘が終わったんでしたら、もう合流する必要もないんじゃないのでしょうか?』

 白骨標本さんの言葉に、占い師さんは首を振って

「いや、13階段も含め、かなりの人数が階段の前に集結している上、一階からも数人が上ってきている。合流するなら今だろう」
443以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 22:11:01.25 ID:Opwma2l50
流石にモンスの天使契約者がカプカプされてる様子は遠すぎて見えないだろうからなぁwwwwww
支援
444占い師と少女:2009/12/09(水) 22:11:55.73 ID:13tcTUrE0
「一階からもって……かなりの人数になりませんか?」
「もし全員が合流したら、恐らく校内の都市伝説がほとんど集まる事になるだろうな」

 ……それは、相手に威圧感を与える事にならないのだろうか?
 私が何を考えているのかを何となく察したのか、占い師さんは苦笑をした。

「よく分からないが、一味の一人が説得に回ったらしい。恐らく13階段もぐらついているだろうから、今は物量で意見を畳みかけた方が有効なはずだ」
「精神的に天秤が傾いている所に、一気に重りを乗せるわけですか?」
「まぁ、な」

 退くか、進むか。
 今の私には、どちらの道に進むべきなのかは分からないけど……。

「……そう、ですね。なら、私も合流した方がいいと思います」

 ここは、占い師さんを信じよう。

「ああ……よし、行くか」

 私が頷いたのを見て、占い師さんが歩き始める。
 それにつられ、私や、他の人たちも互いに少し話をしながら、再び歩みを進めていく。
 その先には、もう廊下の角の教室が見え始めていた。

【終】
445占い師と少女:2009/12/09(水) 22:18:55.46 ID:13tcTUrE0
支援どうもです!

花子さんの方、黒服Yの方に土下座っ!!orz そして金さんの台詞を挟めなかった事にも五体投地っ!!!orz
自分のキャラで書きやすいのと、その能力の都合上占い師が毎回会話の中心になって、他の方々のキャラの出番が少なくなってしまい非常に申し訳ないです。
出来るだけ均等に、同じくらいの質で会話をさせたいのですが……orz

さて、今回はモンスの天使撤退時、占い師一行視点でした。
この後に仮面ライダーや赤い2人、蜘蛛の人に合流するかはそれぞれに作者さん達に丸g……お任せします。
合流、一時的なコンタクトを取った場合、現在の状況や情報等を、初期からいた占い師や不良教師さんが教えてくれると思います。
と言っても、今有用な情報と言えば二階に他の方々が集結している事と、0時にミサイルが爆発する事の二点のみですが……。
446以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 22:21:39.08 ID:Opwma2l50
占い師の人様乙でしたー!
本当に、後は「13階段」を解除させる事とラ○ンを何とかすることと、ミサイルを止める事くらいだな
0時にミサイル発射は、状況によってはもうちょっと早まりそうだが…まぁ、準備して発射まで25分、炸裂まで5分に変わりはないし大丈夫か
447以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 22:24:08.30 ID:Opwma2l50
転載しつつ乙なんだぜ!!884:名も亡き都市伝説契約者 :2009/12/09(水) 22:22:22

占い師の人投下乙!
占い師視点のモンスの天使撤退までまとめて寝る


時間
ttp://www.nigauri.sakura.ne.jp/src/up14257.txt.html

場所
ttp://www.nigauri.sakura.ne.jp/src/up14258.txt.html

448以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 22:48:31.74 ID:Opwma2l50
449以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 22:49:27.21 ID:13tcTUrE0
>>446
クライマックスへ向けて着々と進んでますなぁ

>0時にミサイル発射は、状況によってはもうちょっと早まりそうだが
占い師のリーディングにしろ予知にしろ、こういった先がどうなるか分からない状況だと扱いが難しいなぁ
幸いにも占い師にそのことを伝えたじいさんは「0時辺り」と言っていたから、30分程度のズレならまぁ占い師の勘違いやじいさんの説明不足でなんとかなりそう

そしてタイムチャートの方も乙!
450以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 22:51:43.02 ID:Opwma2l50
>>449
予知は、その段階で一番可能性の高い未来がわかる、って事でいいんじゃないかな
不確定要素とかで、いくらでも変わる、みたいな

早まった場合、じいさんが慌てて占い師さんに連絡してくるとかありなんじゃないだろうか
「なんらかの要素で、未来が変化した」みたいな
451以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 23:14:37.99 ID:Opwma2l50
452以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 23:18:25.69 ID:13YaGCts0
ただいまですよっと
皆さま乙です!
一階のGは、範囲攻撃組がやるしかないかな〜ヤンデレとかヤンデレとかヤンデレとか
453以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 23:21:40.07 ID:Opwma2l50
>>452
おかえりー!

>一階のGは、範囲攻撃組がやるしかないかな〜ヤンデレとかヤンデレとかヤンデレとか
ヤンデレ「えー、めんどくさいなぁ」
 ってか、G契約者になんとかさせると言う選択肢はないのかwwwwwwwwww
454以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 23:42:48.95 ID:Opwma2l50
力尽きるぜお休みー

「13階段」説得、各って宣言する人が出なければ俺が遅くても明後日には書きますねー
455以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 00:03:14.98 ID:dtNphbpA0
おやすみー
456以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 00:20:41.19 ID:Wz9qZG2PO
ねるほ
457以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 00:41:58.66 ID:dtNphbpA0
458以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 01:01:52.82 ID:dtNphbpA0
459以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 01:32:12.01 ID:dtNphbpA0
460以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 02:38:31.19 ID:dtNphbpA0
461以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 03:37:28.81 ID:bnqVsfN8O
462以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 04:04:23.08 ID:dtNphbpA0
ねるほ
463以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 05:55:43.88 ID:GmhOHqZRO
ほしゅ
464以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 06:24:08.45 ID:1iNgxwuoO
おはほ
説得シーンが今から楽しみだ
465以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 07:09:36.90 ID:bnqVsfN8O
おはよーほ
466以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 07:10:37.11 ID:vzo8frQF0
まとめの単発系にも時系列とかあるのかな
たとえば、「これは前倒した奴そっくりだ」とか言うとか、個人が何回も話に出てくるやつ。

そういうのだとそっちを先に読まないと負けた気になるんだよなぁ
あ行とかから埋めていっていいのかしら
467以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 08:13:21.22 ID:bnqVsfN8O
一度ざっと読まないといけないかもしれない
468以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 08:16:06.77 ID:vzo8frQF0
書けないから読む専だけど
それぞれの話が干渉しまくって飛び飛びになってるとちょっとかなしいなぁ
469以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 08:26:43.26 ID:rhWg2hweO
スレのログもまとめてくれてるから、そっちなら投下順に読めるぞ

かなり面倒な作業だがな…
470以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 09:28:59.33 ID:1iNgxwuoO
471以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 10:03:43.62 ID:dtNphbpA0
>>466
最近のだとリュパンのお話が、前のだと夢の国が単発から繋がった話として記憶にあるなー。
他にも単発かと思ったら続きものだったとかあるかもしれない。

これは一度分業でもして皆でまとめる、か?
俺時間的にちょっと厳しいけど年末あたりなら……
472以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 10:08:33.58 ID:vzo8frQF0
単発は全部読んだ いやまだ単発しか読んでないんだけど

花子さんvs赤マントとミスメリーの話は読んでてすごい面白かったわ
書いた人いたら頑張ってほしい
473以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 10:25:26.21 ID:bnqVsfN8O
>>471
個人的には秋祭り(夢の国)とマッドガッサーの辺りは大規模にやってるからそこだけでもwikiにまとめて欲しい。
474以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 10:47:47.16 ID:JEOvBYE80
おはよう、自分が投下したのをwikiに掲載するので一杯一杯の俺がいますよっと
余裕ができたら、他の方の話で纏められてなのもwikiに掲載作業したいが…
475以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 10:58:52.07 ID:JEOvBYE80
昼過ぎてもスレが残っていてくれた幸せだ


>>466
えーと、単発だと
「悪役を出すだけ出して放置する試み」に出てる三人が、後にマッドガッサー騒動に関わってる(設定追加などにより一人ほぼ別人だが)
「ある赤マントの最後」が、「花子さんと契約した男の話」第一話の別視点
「死刑囚は闇夜で笑う」に出てくる奴が後に「結界都市「東京」」にて登場
あと、wikiに纏められてないけど、単発で出た「暗い日曜日」の契約者が黒服Hのネタに登場してる
4761レスネタ:2009/12/10(木) 11:07:01.89 ID:GmhOHqZRO
そこは奇妙な部屋だった。
その部屋は壁や天井、家具が赤く、いや、赤黒く塗られていた。ペンキなどではない、人の血によって。
その部屋には、一人の少女がいた。彼女はそこに立ち尽くしていた。
彼女は、この惨状を受け入れる事を拒否し、思考を停止している。
当然だ。この部屋中の血は、彼女の両親のものなのだから。

少女は契約者である。まだ、小学生低学年であり、契約してから半年もたっていない。それでも、野良の都市伝説と数回の戦闘を経験している。
彼女の相棒の都市伝説は、無感動で事務的であったが、少女の言う事をよく聞いた。

ある日、少女は両親と喧嘩した。原因は色鉛筆。
クラスの他の子達の色鉛筆を見ていると、12色入りでは物足りなくなったのだ。だから、新しい色鉛筆を買ってくれと、駄々をこねた。
そして、買ってくれない両親に腹を立てた彼女は口走ってしまった。
「死んじゃえ!」と。
ソレは、彼女のその敵意の篭った言葉を自分への命令だと受け取ってしまった。
そう、彼女の契約している都市伝説、「赤い部屋」が。

少女は、立ち尽くしていた。
自分のせいで死んでしまった両親を思い、心が壊れていく音を聞きながら。
477以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 11:39:21.47 ID:1iNgxwuoO
赤い○○ってよくあるよなぁと当たり前なことを再認識。
478以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 12:21:25.39 ID:WL333Hx80
リスペクトしている作者の一人、
ギザ十氏の作品を纏めようと過去ログ読んだが…

途中でワケわかんなくなっちった
とりあえず北区には動物園があるんだな?
479以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 12:22:39.18 ID:1iNgxwuoO
最近の間隔目安がわからない☆
そういえばサンダーバードはこの後どうなるんだ・・・
480以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 12:57:33.78 ID:bnqVsfN8O
北区に動物園はあったはず
481以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 12:59:50.73 ID:WL333Hx80
あと、北区神社についてなんだが
神社について書いてあるものって
「鏡合わせのアクマ」の盟主台詞と
「闇子さん」の秋祭り編だっけか?
482以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 13:11:13.24 ID:OXJUEM2S0
>>479
サンjダーバードは今現在空の上
その内戻ってくるよ!くるよ!!
483以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 13:58:03.82 ID:GmhOHqZRO
484以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 13:59:45.46 ID:Tq/n43js0
485以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 14:21:07.26 ID:Tq/n43js0
486以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 14:48:49.68 ID:Tq/n43js0
487以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 15:09:56.29 ID:Tq/n43js0
488以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 15:29:00.42 ID:pNyqI91DO
489以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 15:37:28.75 ID:dtNphbpA0


>>481
あとは秋祭りと夏祭りも北区神社を主な会場にしてた
490以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 16:05:40.33 ID:Tq/n43js0
491以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 16:25:15.39 ID:Tq/n43js0
492以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 16:47:59.44 ID:Tq/n43js0
493以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 17:04:28.40 ID:dtNphbpA0
494以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 17:29:02.36 ID:bnqVsfN8O
495以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 17:36:24.28 ID:Tq/n43js0




昼間投下するって言ってた蜘蛛の人まだかな
496糸井和弥と中身の少女:2009/12/10(木) 17:39:27.32 ID:hNpLPZCL0
呼んだ?いや、実は学校からこっちに投下しようと思ってたらさ、串刺さってて投下出来なかったんだぜ…
じゃ、投下行くよー

何やら近くだったり下だったりが騒々しい。本格的なバトルが起こっているのだろう。だが俺達は関わるつもりは毛頭ない。
さて、いい頃合いになってきた。どうやって屋上に上がろうか考えていた時、カズネが言った。
「ねえ、一度元に戻らない?」
「いきなりどうした?」
「切り札は最後に取っておくのが丁度良いんじゃないかと思ってね♪」
「…それもそうだな。」
そう言って、カズネの純白の身体がほどける。そしてその糸が全てほどけた瞬間、俺は意識の外に追い出された。
「…ふう、やっぱりこの身体が一番ね。」
(まあ、そりゃあそうだろうな。あの身体じゃあ使えるのは見様見真似の格ゲー技だけだもんな。)
そうなのだ。あの技で創った身体は能力の類は全く使う事はできない。
まあ、人形として使う分には申し分ない強さなのだが。
身体に戻った彼女は上への階段を目指す。が―
「こ、これは…」
(何と言うか、G獄…ゲフンゲフン地獄絵図?)
眼下には、無数のGが階段に吸い込まれていた。…と言うか、Gの群れは一向に減る気配はない。
「見ていてあまり気分のいいものではないわね。」
(当り前だろうが。)
「…やっぱり教室に戻りましょう?そっちの方がいい気がするもの。」
(戻ってからどうするつもりだ?)
「……」
(要するに何も考えてないんだな?)
「わ、悪い!?」
(運が良ければ誰か来るかもな。)
「…そ、そうよね?じゃあ教室に戻りましょうか。」

22:45 3rd Floor In Front of The Stairs to the Roof
497以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 17:50:52.70 ID:y0H2uBw60
ナイスタイミングで蜘蛛の人投下乙!
学校とかはサーバ通して複数のPCをネットに繋げてるから、多分それで引っかかったんだろう



時間別まとめの修正&蜘蛛の人追記です
避難所の間違い指摘に感謝!

時間
ttp://www.nigauri.sakura.ne.jp/src/up14273.txt.html

場所
ttp://www.nigauri.sakura.ne.jp/src/up14274.txt.html
498以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 18:12:08.84 ID:hNpLPZCL0
>>497
分かっちゃいたんだ…でもいつものノリでついやっちゃうんだよ…
IEだったらどうにかなったんだけどね…

そうだ、占い師の人ー、合流の方各々方に丸投g…ゲフンゲフn一任された様ですけど、正直言うと俺はクロス先にあわせるのが殆どでして…
なので、俺の方こそそっちに丸n…ゲフンゲフn合わせようと思ってたんですが…
499以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 18:49:54.28 ID:nKr7afze0
蜘蛛の人、投下乙!
そういえばすぐ近くの教室に赤い二人と仮面ライダーがいるけど、鉢合わせしたりしないのかな
取りあえず、アクマの書き手様の仮面ライダーの行動方針が決まって、ssが投下されるまで占い師たちを動かすのはしばし停止予定です
仮面ライダーがラ○ンに勝つ為なら、占い師を自由に使ってもらってかまわないんだぜ

>>498
了解です!
仮面ライダーの行動もありますので、状況に応じてコンタクトを取らせていただくかもしれません
それで質問なのですが、コンタクトを取った場合、カズネたちは合流を希望しますか?
できれば穏便に、説得で止めることを占い師は考えていますので、そりがあわないかもしれません
また、合流をしない場合はどのような行動(天井を破る等)を取りますか?
500以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 18:50:21.38 ID:bnqVsfN8O
まとめの人、蜘蛛の人乙です

ほし
501以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 19:02:04.36 ID:LIfqqiTi0
ルーモアって、もう終わってたんだな


なんだか30分アニメ見終わった後に感じる淋しさってか切なさが駆け巡ってるんだぜ・・・
502蜘蛛の人:2009/12/10(木) 19:04:52.27 ID:hNpLPZCL0
>>499
彼らは行く先が一緒なら合流を希望するでしょう。
彼らの狙いは女体化『ガス』もしくは『薬』なので、目的さえ果たせれば攻撃されない限り攻撃しません。
まあ、空気は読みますので屋上に上がるなり殴りかかる、なんて事はないでしょうw

ちなみに、合流しない場合は糸でベランダから屋上に上がるでしょう。それでも最初は雑談なり取引なりで時間を潰したりするでしょうがw
あ、天井は破壊したりと荒っぽい事はしませんのでご安心をwww
503以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 19:21:26.31 ID:nKr7afze0
>>502
了解ですー
現状の目的が13階段の説得だから、そのまま階段までついてくることはないかな、やっぱり
そういえば、恐らく占い師はガスや薬の使用用途も訪ねるかと思いますが、返答はどうなりますか?
今回の騒動の性質上、下手にごまかされると少し警戒します
504蜘蛛の人:2009/12/10(木) 19:27:52.17 ID:hNpLPZCL0
>>503
カズネ「別に変な事には使わないわよ?私が遊ぶために身体が必要なの。」
和弥「一つの身体に二つのココロって言うのは案外きついんでな…」

上記の様にストレートに使用理由を明かすと思いますw
505以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 19:30:59.29 ID:ZRA3S+Ll0
>>502
学校にベランダってあるかな?
あるイメージで書いてなかったや


あ、そうそう
魔女の一撃が契約者の傍についているのと、サンダーバードが雲の上に退避したのとで、空から突入する場合の障害がスパニッシュフライ&スパニッシュフライ契約者の射撃+マッドガッサーの狙撃だけになったんで、空からの突入が難易度下がったかも、と言ってみる
506以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 19:36:18.30 ID:hNpLPZCL0
>>505
な、なんだってー(AA略

まあいいや、その辺は割れた窓から上昇って事にするんでw
507以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 19:37:16.36 ID:y0H2uBw60
そういやマッドは火炎放射器とかの重火器を持ってるんだったか
それに加えて兄の力も戻ってきてるし、説得如何では戦闘に発展することもあり得るか
508以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 19:38:25.63 ID:Ul6rs0KM0
メリーさんに魂を取られまいと壁に背中をつけて背後を取られないようにしている
男と回り込みたいメリーさんとの息を呑む心理戦はありますか?
509以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 19:46:08.99 ID:ZRA3S+Ll0
>>507
屋上にいる四人は、屋上への侵入者がきた場合、いつでも攻撃できるよう警戒しています
友好的接触を経験している相手(だけ)がきた場合は、やや警戒レベルさがるけど
510以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 20:00:30.25 ID:ZRA3S+Ll0
511以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 20:25:36.05 ID:S6G6SG1V0
>>508
そーゆーヤツは見たコトないな…
いや、確かwikiの短編にそんなのがあったような

いずれにせよ、絶賛進行中のマッドガッサー編が終了したら
新たな書き手も参入しやすい雰囲気に戻ると思われ
その時にでも期待だな
512以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 20:27:38.88 ID:ZRA3S+Ll0
今の状況でも新たな書き手様カモーン!な心粋な人間もここに一人



そうだ、「13階段」説得組のところにいる面子の作者様方ー!
「13階段」説得に当たって「このキャラにこれだけは言わせて置いてくれ!」って言うのがあったら早めに言ってくれるとありがたいんだぜー!!
513以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 20:34:38.17 ID:nKr7afze0
むしろ俺も新参者だから、新規の方にはいつでも来てほしいんだぜ

>>504
了解ですー!
仮面ライダーの行動等を見て、コンタクトを取らせていただきますね
514以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 20:55:41.20 ID:ZRA3S+Ll0
みょ
515以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 21:02:45.41 ID:y0H2uBw60
君と君の君を書いてた人は、マッド戦が始まったから自粛してるんだろうか
マッド戦が終わったら続きを書いてくれることを期待している俺…なにとぞ続きを…
516以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 21:13:39.55 ID:ZRA3S+Ll0
本編進まないので>>508が望むのってこんな感じ?と書いてみる試み



「………」
「………」

 じりじり
 にじりにじりにじり

 静かに
 静かに、その戦いは続いていた

 じりじりじりじり
 壁に背をつけながら歩く男の姿はなんとも不審人物全開である
 ここが学校町でなければ、一発で通報者である

 にじりにじりにじり
 しかし、いくら壁沿いに歩いていても、その内壁は途切れる
 男の背中が壁から離れる

 …その、瞬間

【♪ 〜 子づくりしましょ お慕い申しております 〜 ♪】

「−−−−−−っ!?」

 男の携帯が、着メロを奏ではじめた
 まずいっ!?
 男は、急いで走り出す
517以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 21:16:10.31 ID:ZRA3S+Ll0
 ぴ、と
 電話に出てもいないのに、勝手に通話が繋がってしまった

『もしもし、私メリーさん』

 まずいまずいまずいまずいまずい!!!

『私、今…』

 間に合え
 間に合えぇええええ!!!!!!!

『あなたの後ろに……あぁっ!?』

 ッセーーーーーーフ!!!!
 男は、再び建物の壁に背をつけた
 メリーさんが、電話の向こうで悲鳴をあげる

『酷いよぅ、どうして背後に回らせてくれないの?』
「やかましいわ、このストーカー幼女が。誰がお前なんぞに殺されるか」

 絶対に、背後に回らせやしない
 だから、俺は壁に背をつけて行動し続けてくれるわっ!!!


 メリーさんにとり憑かれてからずっと続くこの生活
 いつ解放されるのか、それは未だにわからない


続く予定なんてない
518以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 21:16:14.34 ID:1iNgxwuoO
>>516
着メロで吹いたwwww緊迫した空気が感じられないwwwww
519以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 21:16:54.91 ID:Lfv5c9ml0
君と君の君の書き手も
中年と少女の書き手も
「古きもの」の書き手も

戻ってきて欲しいんだぜ…
続きが気になって、夜うなされるわ

もぐたんの人とか!
破壊の者の人とか!!
あと、連続失踪事件(仮)の人も!!!
520以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 21:20:06.29 ID:ZRA3S+Ll0
120%ノリと勢いだけで書いた
後悔はしていない

>>508
こんなんでいいのかな?かな??

>>518
俺もちょっとそう思った
521以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 21:20:32.19 ID:pNyqI91DO
>>517
背中にスケボーつけて
エクソシストのブリッジで前に進む奴みたいな状態で行けばいんじゃね
522以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 21:22:37.26 ID:bnqVsfN8O
>>519
皆さんの続き読みたいよな〜
523以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 21:22:53.23 ID:y0H2uBw60
> だから、俺は壁に背をつけて行動し続けてくれるわっ!!!

ここで露伴先生が浮かんだ俺は間違いなくジョジョ厨
524以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 21:23:41.09 ID:ZRA3S+Ll0
魔のテスト機関の時期はもうそろそろ終結を迎えようとしているかもしれないが、年末年始と忙しい時期が続くからなぁ
しばし姿を見ない作者様方の続きが気になるが、気長に待つ

>>521
天才現る
525以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 21:27:46.44 ID:6ZFqsioE0
>>517
おっきな石にぴったり背中くっつけたら
*いしの なかに いる*
とかになるんじゃないかと思った俺は間違いなくウィザードリィ厨


まさかとは思うが、大規模規制の為にてっきりスレが潰れたと思われているのでは…?
526以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 21:28:20.37 ID:1iNgxwuoO
>>521
普通なら通報されるわwww


・・・でも「学校町なら」の風潮があるからな
527以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 21:28:34.11 ID:pNyqI91DO
>>524
想像してみよう
街中を仰向けになった状態で滑っていく男を







女の子の敵だな
528以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 21:30:15.09 ID:ZRA3S+Ll0
>>526
こう考えるんだ
以前、テレビで全身にローラーをつけた格好で、体の全体を使って街中をすべりまくるというスポーツをやっている男性を見た事がある
そんな感じで背中を壁なり地面なりにつけてすべりまくっていればきっと問題はない

問題は、そのスポーツをやっているのは、その時テレビで出ていた男性とその友人の二人しか存在しない事か
529社長出勤者:2009/12/10(木) 21:34:10.33 ID:m2OlxJpC0
皆の衆! 名案を思い付いたぞ!!

@二ノ宮金次郎像を背負う。きっと金次郎がキミを守ってくれる。
Aコトリバコを武装する。メリーさんは死ぬ。
530以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 21:47:54.25 ID:ZRA3S+Ll0
>>529
@の場合

「そうか、二宮金次郎像を、か………よし!」

 ぐ
 ぐぐぐぐぐぐぐぐ…

 ……………

【♪ 〜 一生尽くしてゆきます 殿方好みの女へ 〜 ♪】

『もしもし、私メリーさん…どうして、二宮金次郎像の横で不貞腐れて仰向けで寝てるの?』
「やかましい」

 背負えませんでしたorz


531以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 21:49:09.35 ID:ZRA3S+Ll0
>>529
Aの場合

「コトリバコ?何だそれ?……とりあえずググるか」

 ………
 …………
 ……………!?

【♪ 〜 磨きをかけてゆきます ゆきます 〜♪】

『もしもし、私メリーさん。どうして仰向けでベッドに潜ってガクブル震えてるの?』
「コトリバココワイコトリバココワイコトリバココワイコトリバココワイコトリバココワイコトリバココワイコトリバココワイコトリバココワイコトリバココワイ……」

 トラウマになりますた
532以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 22:06:24.56 ID:y0H2uBw60
マッド戦終了後の新キャラのネタのために色々調べてみた

結論:日本すげぇ…
533以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 22:10:32.73 ID:ZRA3S+Ll0
>>532
>結論:日本すげぇ…
何を調べてその結論に至ったのか気になるwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww





マッド戦終了後のネタ用の新キャラを既に二人前倒しで顔見世させた俺はこらえ性がないと自覚している
534以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 22:19:34.02 ID:y0H2uBw60
>>533
ネタバレを恐れず言えば、日本刀とかSAMURAIとか弓曳童子とか文字書き人形とか…

もう凄いとしか言いようがない…昔の日本人に勝てる気がしない
535以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 22:21:47.76 ID:3kw0kCG40
>>534
「にっかり青江」はまだ使わんでくれwwww
俺が単発コメディで是非使いたいんでwwwwwwwww
536以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 22:22:03.31 ID:bnqVsfN8O
13階段のところが複雑でよくわからんな。

誰か教えてエロい人!
537以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 22:24:42.57 ID:ZRA3S+Ll0
>>536
よくわからんと言うのは話の順序?
その場にいる面子?
今の状態??
538535:2009/12/10(木) 22:26:04.53 ID:3kw0kCG40
いやスマンwwwwww
使ってくれても構わないwwwwwwwww
539以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 22:38:50.80 ID:bnqVsfN8O
>>537
その場の面子とかはまとめでわかるんだが今の状態のなにが勝利条件なのかがよくわからないです
540以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 22:40:09.71 ID:ZRA3S+Ll0
>>539
「13階段」の説得に成功して校内全ての階段に発動中の「13階段」を解除させる事が勝利条件
541以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 22:48:14.61 ID:dtNphbpA0
>>539
争点:≪13階段≫の解除

≪13階段≫の主張:マッドガッサーの作戦が成功すれば誰も俺たちをいじめない!
               →だからここは通さない。
                    ↑
説得組:            マッドガッサーのやり方ではどこかしらの組織に目付けられるよ!

・戦力的に強行突破は可能
・マッドガッサーたちの説得のために話合いが可能な現状強行策は取りたくない。

備考:
・Hは消極的
・Tはぎりぎりまで動かない構え
・女装少年は強行策に出る人と敵対するかも?


こんな感じだろうか? 花子さんの人、もし違ったらちげえよてめえもっとよく見やがれって言ってください!
542以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 22:51:02.59 ID:ZRA3S+Ll0
>>541
大体そんな感じであってるんだぜ!

・「爆発する携帯電話」は「13階段」を説得しようとしています
・「13階段」は「H−96」もしくは「13階段」と呼ばれると態度を硬化させます
 ただし、名前で呼ばれると態度がやや軟化します
 彼の名前を知っているのはマッドガッサー一味全員、黒服H,黒服Dとなります
 説得組の中で耳のいいキャラは、「爆発する携帯電話」が「13階段」を「タツヤ」と呼んだのが聞こえたかもしれません
・「13階段」は過去の経験から研究者系が若干嫌いです。自然と態度が硬化します
543以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 22:58:50.73 ID:bnqVsfN8O
>>539―542
おお、ありがたい。
よくわかりました。
544Tさん:2009/12/10(木) 23:01:34.85 ID:dtNphbpA0
よかったー

 『ははは、やはり合っていただろう!!!』
T「上下が激しいな。身分の」
契「でもテンションは一貫して高いよな」
T「夜型生活が身についているからな」
 『保守はまかせろ!』
T「明日の朝このスレが落ちてたらめでたく作者の単位も一つ落ちてるそうだ」

と、身の上話はこの辺にして、>>512
これ以上場をかきまわすわけにはいくまい!
と言うわけで特に言ってほしい台詞も何もないですよー。
手持ちの交渉カードは身の安全の確保として≪首塚≫(Dさんもチャラ男もいるし特にうちの子が提示しなくてもよさげ)
の紹介と≪夢の国≫のパスポート(遊園地内でしか使えない)の紹介
くらいです。
545以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 23:05:34.10 ID:ZRA3S+Ll0
>>544
アイアイサー、了解でありますなんだぜ!
546以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 23:24:32.67 ID:dtNphbpA0
っと
547以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 23:28:27.28 ID:ZRA3S+Ll0
力尽きるんだぜ…明日もスレが残っていれば幸せだ
明日はちゃんと本編書く
548以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/10(木) 23:51:02.69 ID:dtNphbpA0
おやすみー
549以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/11(金) 00:12:55.45 ID:fW8vgbBn0
保守間隔がわからんな
550以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/11(金) 00:40:24.46 ID:fW8vgbBn0
551以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/11(金) 00:51:34.76 ID:a8joPXWuO
552以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/11(金) 01:14:12.00 ID:v/mM8kolO
553以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/11(金) 01:46:36.43 ID:fW8vgbBn0
554以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/11(金) 02:06:56.63 ID:fW8vgbBn0

555以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/11(金) 02:36:45.35 ID:fW8vgbBn0
556以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします