「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者たち……」

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1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
ここは
都市伝説と契約して他の都市伝説と戦ってみたり
そんな事は気にせず都市伝説とまったりしたりきゃっうふふしたり
まぁそんな感じで色々やってるSSを書いてみたり妄想してみたりアイディア出してみたりするスレです

今までのお話は↓でゆっくり読んでいってね!

「まとめwiki」 ttp://www29.atwiki.jp/legends/

まとめ(途中まで) 
ttp://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/urban_folklore_contractor.html
ttp://zipdkr.net/loda/src/zipdkr_14825.zip.html
2以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/14(土) 08:47:08.80 ID:wcmfXDqsO
きめえ
3永久の力(代理):2009/11/14(土) 09:09:05.05 ID:97Ycu6nj0

「おーおー、派手に怒られてるねぇ。こりゃあ長時間コース+始末書かな?」

どうやら、同僚が何かやらかしたらしく、上司のきついお叱りを受けていた。

まあ、銃声の一発も聞こえればこういう事になるっていうのは俺は身を以って経験済みだからな。

まあ、これでもあの人は俺達の事を気にしているのかもしれないしな。

さてと、後で同僚の片割れの方に銃の出所でも聞いておくかな。いざという時に支給品が使えなくなったら元も子もない。

そう考えながら、自分のデスクでコーヒーを飲む俺だった…


******************
スレ立て乙
出かける前に代理兼保守
4以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/14(土) 09:34:57.68 ID:NfKB+9qH0
5以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/14(土) 10:05:23.01 ID:NfKB+9qH0
さすがに朝は過疎ですなぁ
6以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/14(土) 10:28:51.81 ID:97Ycu6nj0
帰保
…ぶぅん、と
 コンビニを出た彼の耳に、再び不気味な羽音が聞こえてきた
 それは、人毛のない路地裏から聞こえてくる

 …一体、何だ?

 ぶぅん、ぶぅん、ぶぅううううううん……

 不気味な羽音は、どんどん大きくなっているようにも聞こえた
 それは、まるで何かが群れをなしていっているかのような音に…

 彼が疑問に思って、ふと好奇心で路地裏を覗いた、その時

「ん?」
「肉ー?」

 ちょこんっ
 そこに、金髪の幼女がいた
 幼女である
 完膚なきまでに、幼女である
 ヴェールを頭から被った金髪西洋幼女は、もぐもぐ、コロッケを口にしつつ、彼を見上げてきていた

 …何故、こんな時間に、こんな場所に、幼女が一人で?
 彼は、思わず疑問を抱き
 …直後
 スパイダーネットワークで得ていたとある情報を思い出し、後ずさる

「…ッマリ・ヴェリテのベートか!」
「んぁ……なんだぁ?俺を知ってんのか」

 ニタリ、幼女が笑って……伸ばされた手が、無造作に彼を掴んだ

「うわっ!?」

 ぶんっ!と
 半ば振り回されるかのように、路地裏に引きずりこまれる!

「マッド!ガスだ!」
「おう!」

 路地裏にいたのは…ガスマスクの男、マッドガッサーと
 先ほどから聞こえてきた羽音の主であろう、無数の黒焦げた蝿を従えた、長い黒髪の女性の姿があった
 マッドガッサーは、彼にガスの発射口を向けて
 逃れようにも、強かに背中を打ちつけてしまい、反応が遅れる

 ぶしゅううううううっ!

 甘い香りを伴った、冗談みたいなピンク色のガスが、彼を包み込む

「げほっ………!?」

 吸わないようにしようとするが、ほんの少し、吸ってしまった
 体中に、一瞬、熱さのようなものを感じる
 …ぶぅん
 羽音が、近づいてくる

 ガスが晴れた、その瞬間…彼は、黒焦げた蝿
 すなわち、スパニッシュフライによって、包囲されていた

「さぁさ、口をあけましょうね?」

 蝿の向こう側で、女が微笑んでいるのがわかった
 ……ふざけるな!
 かさかさ、かさかさ
 自分を中心に半径5メートル程の距離にいた蜘蛛を、一斉に集合させる

「−−−−っきゃああああああ!!??やだやだやだやだっ!?蜘蛛は嫌ぁあああああっ!?」
「っちょ!?お、おい、落ちつけ!?」

 よし!
 どうやら、相手は蜘蛛嫌いだったようだ
 スパニッシュフライの統制が、崩れた
 今がチャンスだ!
 糸を作りだし、頭上に向けて発射する
 ビルの突き出た部分に引っ掛け、そのまま上へと逃げる
 そのままずっと、上へ、上へ
 ビルの屋上まで、彼は一気に逃げ延びた

「っ熱……くそ、さっきのガスが、例の女体化のガスか……!?」

 自分は、それを吸ってしまった
 …すなわち
 自分は、女に、なってしまった?

「…ん?でも……」

 ぺたぺた
 彼は、自分の胸元に触れた
 男の時と変わらぬつるぺったん
 …本当に、女になったのか?

 ……ごそごそと
 男として、ついていなきゃいけないものを確認した
 ………
 …………

 ないっ!?
11以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/14(土) 11:15:24.99 ID:SwqCaDUsO
支援
「うわ、マジかよ…」

 間違いなく、彼は女になっていた
 胸のサイズ、AAカップのつるぺったん少女に
 一体、どうしたらいいものか
 と、言うか、結局巻き込まれてしまったこの現状に、彼はしばし頭を抱えるのだった


「いやいやいやいやいやいやいやいやいやぁああああああっ!!蜘蛛は嫌蜘蛛は嫌蜘蛛は嫌蜘蛛は嫌蜘蛛は嫌ぁあああああ!!!」

「落ちつけ、もう全部潰したから」

 ひっし、と
 人狼姿になったマリ・ヴェリテにしがみ付きつつ、震えているスパニッシュフライの契約者
 集まってきた蜘蛛は、全てマッドガッサーとマリ・ヴェリテが踏み潰した
 夕蜘蛛は親でも殺せ
 別に、潰しても問題はあるまい…いや、潰すべきだろう

 ぷるぷるぷるぷる
 が、蜘蛛たちを全て潰しても、恐怖が残っているのか震え続けているスパニッシュフライ契約者
 しがみ付いているマリから離れることができない
「…に、しても、お前、蜘蛛が駄目だったのか」
「蜘蛛以外の虫なら平気よ。でも、蜘蛛だけは嫌、絶対に嫌!!」

 断言するスパニッシュフライ契約者
 …幼い頃、蜘蛛の巣にかかって怖い思いをしていらい、どうにも駄目なのである

「まぁ、可愛いところ見れたからいいがなぁ?」
「うぅぅ…」

 ニヤニヤと笑って見下ろしてくるマリを前に、恥ずかしさを感じ…が、恐怖が消えたわけでもないので、離れることもできず
 スパニッシュフライ契約者は、やや頬を赤く染めながら、マリから視線をそらすのだった


終わる
888:名も亡き都市伝説契約者 :2009/11/14(土) 10:52:39

そんな訳で続き書いてみた。蜘蛛の作者様に土下座っ!!orz
女体化させたキャラを巨乳にさせてばっかりだったので、いっそ虚乳にさせてみた、反省はしているが後悔はしていない
そして、スパニッシュフライ契約者に弱点つけてみたんだぜ
15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/14(土) 11:38:34.51 ID:Fyivl1A5O
ゴムで出来てる玩具の蜘蛛が売り切れました
16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/14(土) 12:15:08.72 ID:3SZueOxn0
おはようほ
昨日手つけられなかった分今日こそ・・!
17以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/14(土) 12:44:28.67 ID:97Ycu6nj0
18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/14(土) 13:24:39.47 ID:ITmj1nr40
19以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/14(土) 13:48:32.67 ID:Fyivl1A5O
20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/14(土) 14:15:23.12 ID:NfKB+9qH0
21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/14(土) 14:19:53.52 ID:97Ycu6nj0
22以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/14(土) 14:50:07.92 ID:Fyivl1A5O
23以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/14(土) 15:28:50.78 ID:Fyivl1A5O
24以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/14(土) 15:59:06.67 ID:Fyivl1A5O
25以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/14(土) 16:14:05.16 ID:97Ycu6nj0
一度ほりごたつに飲み込まれたものは、自らの意思では決して抜け出すことが出来ない…
26花子さんと契約した男の話(代理):2009/11/14(土) 16:15:20.84 ID:97Ycu6nj0
『…そうか、お前の知り合いは元に戻ったか』
「はい、おかげさまで」

 今、俺が通っている高校は絶賛学校閉鎖中
 でもまぁ、先生に情報の事のお礼を言いたくて、先生に電話していた

『わかった、あいつにも伝えておく。その解毒剤は人間相手なら有効、とな』
「はい……まぁ、その、その知り合い、都市伝説と契約もしてないんで…都市伝説と契約している人の場合はどうかわかりませんけど」
『ま、どうにかなるだろ』

 相変わらずの無気力な声
 でも、まぁ…ほっとしてくれているらしい事は、わかる

「とにかく、ありがとうございました」
『あぁ、どーいたしまして』

 …と、電話で話していて、気づいたのだが
 何か、さっきから若干、声が聞こえにくい
 と、言うか…先生が話している後ろの方で、何かガヤガヤしてるってか、がちゃがちゃ音が聞こえるってか…

「ところで、先生。今、どちらに?」
『学校だ。ちょいと仕事がな』
「…大変ですね」
『今度、うちの高校で最新の警備システムを導入する事になったらしくてな。そっちの設置の手伝いやらなにやらで借り出されてる」

 へぇ、最新の警備システム、ねぇ…
 …って

「そんなのの設置、一般人が手伝わされていいんですか?」
『いや、俺はそのカメラの前を通るなりして、きちんと映るかどうかチェックさせるのが基本だ。これくらいなら問題ないんだろ、多分。俺もあからさまにわかるカメラ以外はどこに設置されているのかわからんしな』
27花子さんと契約した男の話(代理):2009/11/14(土) 16:16:06.34 ID:97Ycu6nj0
 …大変なんだな、先生も
 に、しても最新の警備システムなぁ…
 ………
 …………
 ……………

「…あの、先生。そのシステム、俺たちとしてはすげぇ都合悪いと思うんですが」
『あぁ、俺もちょっとそう思う訳で。どうしたらいいもんだか』

 うん、ヤバイ
 冷静に考えてヤバイぞ
 学校に監視カメラとか設置されまくるとなると…ヘタに学校に出てくる都市伝説と戦うとかできねぇだろ
 ヤバイだろ、色々と

『…まぁ、あまり映らない場所とか、チェックしとくわ』
「……すみません、頼みます」

 あぁ、もう
 ただでさえ見つからないよう戦うの大変だってのに、これ以上大変になるのかよ
 勘弁してくれよ畜生め
 ため息をついて、俺は携帯の通話を切った

「あ、兄貴ー、話終わった?」
「終わったー?」

 俺の部屋に入り込んでいた妹と花子さんが、俺に声をかけてきた
 なお、妹が通っている高校も絶賛学校閉鎖中
 どんだけ学校閉鎖の波広がってんだよ
 大丈夫か、この街
28花子さんと契約した男の話(代理):2009/11/14(土) 16:16:47.90 ID:97Ycu6nj0
「あぁ、一応な」

 携帯をしまうと、てちてち、花子さんが近づいてきた
 学校閉鎖中だから、学校にいても詰まらないのだろう
 花子さんは、最近、家に入り浸っている
 まぁ、花子さんの姿は俺や妹以外には見えないんだし、問題ないか

「…みー?けーやくしゃ、悩んでる?」
「ん、ちょっとな」

 警備システム、か…
 いや、色々と物騒なご時世だから、あった方がいいのかもしれないが
 だが、それが不都合って事もあるんだよなぁ
 どうしたらいいものやら
29花子さんと契約した男の話(代理):2009/11/14(土) 16:17:31.03 ID:97Ycu6nj0
「…それにしても、お前、さっきからずっと携帯見てるな」
「え?うん、クラスメイトにオススメされた携帯小説。結構面白くてさ」
「ほっほっほ、若い人の書いた文章もいいねぇ」

 うぉう
 さり気なく鏡のばーちゃんも見てたっ!?
 ひょっとして、花子さんもさっきからそれを一緒に読んでいたんだろうか
 途中で退屈になってこっちに着たみたいだが

「ロンって人が書いてる話なんだけどさ、最近ちょっと作風変わったらしいけど、面白いよ。兄貴も読む?」
「ミステリーなら」
「ミステリーじゃないけど」

 じゃ、やめとこう
 正直、携帯小説苦手だし


 …ちらり、窓から外を見る
 インフルエンザ大流行のせいか、それともマッドガッサー騒動のせいか、人通りは少ない
 本当、学校閉鎖が終わった頃には、元に戻って欲しいものだ
 俺はそう考えながら、傍らにいる花子さんの頭を撫でるのだった



fin
30恵みと裁きの八本脚(代理):2009/11/14(土) 16:18:15.17 ID:97Ycu6nj0
…あーあ、見事に巻き込まれちまったZE☆
こうなったら早急に奴らの拠点を炙りだして蜘蛛の大群送りこんでやる!
幸いたいした怪我はしなかったものの、また奴らに襲われたんじゃ敵わないから屋根伝って帰るか。
こうして自室に帰った俺だが、そこで傍から見ればどうでもいい問題に直面した。

…下着と服、どうしようか。そもそも女物の服などとは全く接する機会がないため部屋にある訳がないのだ。
いや、あったらあったでそれこそ問題だが。
元は男とは言え、流石に男物の下着をはく気になんてなれないZE☆
…どうやら軽いパニックでテンションが若干おかしくなってきてるようだ。
しかも背も若干縮んでるみたいだ。男ならゆったりサイズのこの服も今となってはすっかりぶかぶかだ。
「…全く、面倒な事してくれるじゃないですか?」
うわぁ、声まで女だ。今の台詞と相まって不覚にも自分に萌えた////
更にあまりどうでもよくない問題にも…そういえば学校は新型インフルがどうのこうので今は学校閉鎖だったな。

問題は全身コーディネート、か。どんだけ俺に金使わせる気だ?
でもぶっちゃけて言えば、裸Yシャツとか裸Tシャツとか裸エプロンとか結構そそるよな?
「…しょうがない、最低限はネットでそろえますか。」え?後はどうするかって?
女性だけの特権、というものがあるでしょう?一度はああいう所で買い物してみたかったんだよねー♪
人生前向きに生きないとっ☆
女性としての生活をエンジョイするのも悪くないかな〜♪
…とりあえず自重。自重しろ。割と深刻に俺自重しろ。戻って来い、俺!
とりあえず、服が届くまではまた引きこもり生活に逆戻りだな。
…絶対に拠点見つけ出して"朝"に蜘蛛大量に送りこんでやる!
31小ネタ(代理):2009/11/14(土) 16:18:57.64 ID:97Ycu6nj0
「…無理かしら?」
「駄目だな、文字化けする」

 スーツ姿のキャリアウーマン風の女性が、占い師の男性に向き合っていた
 占い師の男性は、ペンを手に紙に何か書いていたのだが…それは、意味ある文字にはなっていなかった
 占いの結果が、出てこない

「都市伝説が関わりすぎてるからな。本拠地、となると文字化けする」
「流石に、本拠地を見つけるのは大変ねぇ」

 キャリアウーマン風の女性は、肩をすくめた
 占い師の傍に、古代ギリシャ風の女性の姿をした…まるで、天使のような女性が姿を現す

「そちらでも、何かわかっていないのか?」
「本拠地については、さっぱりだわぁ」

 「首塚」も、マッドガッサー一味の本拠地の情報は掴んでいない
 …と、言うより、「首塚」は情報収集能力があまり高くないのだから、仕方ない

「解毒剤の情報なら、あるけどぉ…人間にしか効かないらしいのよねぇ」
「それじゃあ、おっさんとアンサーを元に戻すは無理か…」
「戻れない?戻れない?」

 ふよふよ
 男性の傍を、首だけの美女がふよふよと浮かんでいる
 ……もじもじもじ
 その女性を見つめ、首だけの女子中学生が、キャリアウーマンの影でもじもじしていた
32小ネタ(代理):2009/11/14(土) 16:19:42.82 ID:97Ycu6nj0
 姿が変わっても、愛しい相手は愛しい相手
 やっぱり、まともに顔を合わせられない乙女心らしい
 なんとも、初々しいものである

「やっぱりぃ、マッドガッサーたちを倒さないと駄目なのかしらねぇ?」
「…それまで、おっさんたちは女のままか…」

 非常に複雑そうな、占い師の男性
 男性に付き添う女性二人も、複雑そうだ

 ……と、もじもじ、もじもじ
 俯きながら、頬を赤く染めながら…首だけの女子中学生は首だけの美女に、向き合って

『…あ、あの、その』
「?」
『…だ、だ、大丈夫、です、きっと、元に戻れます!元に戻る方法は…見付かり、ます!』

 一生懸命、一生懸命
 彼女は、元気付けようとしているらしかった
 自分に出来る事はそれだけだ、というように
 一生懸命、一生懸命
33小ネタ(代理):2009/11/14(土) 16:20:27.17 ID:97Ycu6nj0
「…ありがとう、ありがとう」

 少女の言葉に、首だけの美女は嬉しそうに、笑って

『〜〜〜〜〜〜〜っ』

 ぷしゅううううううう
 ぽてちん

「あ」
「あらぁ、もう、この子ったらぁ」

 ぷっしぅ
 好きな相手に、笑ってもらえて
 嬉しさのあまり、ハンガーの生首は真っ赤になって撃沈したのだった



終わっとけ
34小ネタ(代理):2009/11/14(土) 16:22:06.01 ID:97Ycu6nj0
893 名前:名も亡き都市伝説契約者[] 投稿日:2009/11/14(土) 15:33:24
誰もいない隙にちょこちょこと投下
フラグっぽいのをちょこっとな



894 名前:名も亡き都市伝説契約者[] 投稿日:2009/11/14(土) 15:52:05
女体化後に若干暴走気味な蜘蛛の契約者投下したぜー!

しかし、ここまで女体化を悔やんでないキャラって…切り替えが良いだけなのか、それとも…?



895 名前:名も亡き都市伝説契約者[] 投稿日:2009/11/14(土) 15:53:44
蜘蛛の人乙!!
前向きすぎんだろwwwwwwwwwww
だが、それがいいwwwwwwwwwwwwww



896 名前:名も亡き都市伝説契約者[] 投稿日:2009/11/14(土) 16:12:38
エンジェルさんの人に土下座っ!!orz
に、しても、女体化したエンジェルさんは普段どんな格好をするようになったんだろう
片乳だしたままでいる訳にいかんだろうし


***********************
>片乳だしたままでいる訳にいかんだろうし
むしろそのままの姿で居る事を切に願います
35小ネタ(代理):2009/11/14(土) 16:30:35.22 ID:97Ycu6nj0
関西「しっかし蜘蛛が苦手っちゅうんも以外やったなー。ウチは蜘蛛平気やけど」
マッド「蜘蛛以外の虫は平気そうだったし気付かなかったな」
関西「ゴキブリ見つけた時にスリッパで一撃やったし」
マッド「ん? いや、てっきりゴキブリもダメだと思ったんだが。前に教会の台所に出た次の日に、大量のホイホイやら殺虫剤があったろ」
関西「……」(視線逸らし)
マッド「お前かよ」
関西「北海道はあんなんおらへんかったんやもん!? アーモンドチョコぐらいのが走るとか飛ぶとかありえんー!」
マリ「アシダカグモでも飼うかぁ? あいつらゴキブリ食うんだろ」
スパ「やーめーてー!?」



なんとなく書いた
今は反省している


************************
道民ではないが、俺も生まれてこのかたGを目撃したことが無いぜ
だが見たいとは思わん。絶対に。
36以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/14(土) 16:45:39.36 ID:Fyivl1A5O
>>35
今後ろを黒い影が……
37占い師と少女(代理):2009/11/14(土) 16:57:20.63 ID:97Ycu6nj0
「占いの館」の閉店後。
私たちは西区の一角を歩いていた。
いつもなら、既に東区にあるマンションへの帰路についているはずの時間。
南区と西区にある「占いの館」ビルから、なぜこんな所にまで来ているのか……?
答えは、私たちの前数メートル先を歩いている人物にある。

「ったく、早くアジトになり何なりに帰ってくれねぇかなぁ。マッドガッサーの野郎」
「結構歩きましたよね」
「今で大体2、3キロって所か」
「測ってないから分かりませんけど、多分……」

「占いの館」ビルから帰ろうとした途中にマッドガッサーを見つけてから、既に1時間ほどが経過していた。
普通に歩けば数十分の距離も、尾行となると結構な時間がかかるのだと、私は体感していた。
「マッドガッサー」最近巷を騒がせている都市伝説らしい。
既に何人もの都市伝説や人間が彼のガスによって女体化させられたという。
だから私たちはマッドガッサー達のアジトでも見つけて、それ以上の被害拡大を防ごうと、こうして尾行をしているのだが……。

「……珍しいですよね。占い師さんがこういう事に首を突っ込むのって」
「そうか?」
「そうですよ。今までなら『面倒』の一言で見逃してたじゃないですか」
「あー……いや、なんつーかな……」

そこまで言った時、私たちの前にいたマッドガッサーが路地へと入っていった。
路地裏……何となく怪しい。ついにアジトの入り口付近にまで辿り着いたのだろうか。
マッドガッサー一味のアジト……やっと見つけたことに、強い高揚感が芽生える。
38占い師と少女(代理):2009/11/14(土) 16:58:05.73 ID:97Ycu6nj0
その高揚感のまま、私も路地へと入ろうとして

「……待て、未来」

占い師さんに止められた。
やけに真剣な目でマッドガッサーの入って行った路地の方を見ている。

「どうしたんですか、占い師さん。尾行、続けないんですか?」
「いや……失敗してたみたいだ」
「え?」

その言葉に、体に緊張が走る。
尾行に失敗していた……それはつまり、マッドガッサーにこちらの存在が気付かれていたということだ。
そして、それなのに彼は私たちを振り切ろうとはしなかった……。

「罠、ですか?」
「だろうな……」

そういう占い師さんの目は、路地を挟んでいるビルの一角、その三階付近に向いている。
39占い師と少女(代理):2009/11/14(土) 16:58:56.13 ID:97Ycu6nj0
「『爆発する携帯電話』があそこにいるからな」
「あそこ? ……何も見えませんけど」
「……お前、一応俺の契約者だろ」

そう言われて、気づく。

「そういえば、リーディングの中に透視なんて能力があったような……」
「自分の能力に関しては把握しておけって、いつも言ってるだろうが」
「ごめんなさい……」
「そこまで気にすんな。二回以上間違わなきゃいいんだよ」
「……気をつけます」

素直にうなずく私に、占い師さんは満足そうに眼を細めた。
40占い師と少女(代理):2009/11/14(土) 16:59:38.43 ID:97Ycu6nj0
「よっし、じゃあ行くか。マッドガッサーに会いに」
「うん……って、え? 罠があるんじゃないんですか?」

私の問いに、占い師さんは軽く笑って

「罠ってのは相手に気づかれたらその時点でお終いなんだよ、これもよく覚えとけ」

そう言って、路地へと入って行ってしまう。

「ちょっと、私を置いていかないで下さいよ〜」
41占い師と少女(代理):2009/11/14(土) 17:00:19.86 ID:97Ycu6nj0
慌てて追いかけた先の路地は、特に罠らしい気配のない、普通の路地だった。
……いや、雑草の中、ごみの後ろなどそこかしこに携帯電話が無造作に置いてある。
先程の占い師さんの言葉が本当ならこれが『爆発する携帯電話』のものなのだろう。
(いつ、爆発するのかな……。やっぱり横を通った時?)
警戒して歩みを遅れさせる私。
……が、占い師さんは無警戒でずんずん歩いて行ってしまう。

「あ、危ないですよ、占い師さん」
「大丈夫だっての」

私の進言は無残にも切り捨てられた。
そのまま歩いて行く占い師さん。
そして、雑草に捨てられた携帯電話の横を横切る直前。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪

携帯電話が、鳴り始めた。
(爆発する……!)
頭を手で覆い、できるだけ姿勢を低くして爆風に当たるのを防ごうと……
(……………………あれ?)
以前として携帯電話は鳴っている。だが、爆発による火も、爆風も、何も起こらない。
というか、路地裏中の携帯電話が鳴るだけ鳴っていた。
……何ともうるさい。

「おら、さっさと行くぞ」
「う、うん……」

恐る恐る、ずっと鳴り続けている携帯電話の横を通り過ぎる。
よく見ると、1分程度のインターバルでずっと鳴り続けているようだ。
42占い師と少女(代理):2009/11/14(土) 17:01:01.63 ID:97Ycu6nj0
「占い師さんの仕業、ですか?」
「ん? ああ、ちょっと運命をな」

『運命』……つまりは「運命の改変」を行ったのだろう。

「でも、どうやって……?」

かかってきても爆発しない……つまりは『爆発する携帯電話』の能力を封じ込める事だ。そんな事が可能なのだろうか。

「そりゃー、『爆発する携帯電話』が電話をかけようとしても、ずっと通話中なんだから爆発するわけないだろ」
「え……?」

でも現に、携帯電話は鳴っている。
戸惑う私をからかうように、占い師さんは指を一本立て

「ありゃ全部間違い電話だよ。どっかの誰かさんが『偶然』かけてきたな」
「間違い電話……?」
「そ、ここにある全部の携帯電話の運命をいじって『今から10分間ずっと間違い電話がかかってくる』に改変した」
「つまり、この10分間、『その携帯電話にかけたい』奴はかけられないってわけだ。『間違い電話』じゃないんだからな」

……なるほど。
「運命の改変」にはそんな使い方もあるのか。

「そら、着いたぞ」

ビルとビルの間を抜け終わる。
抜けた先は、廃工場の並ぶ廃れた場所だった。割れた窓ガラスに錆びた体、私のいる所のすぐ近くにある道路標識は傾いていた。
そして、その道路標識の先にある影……。

「やっとまともに対面ってわけだなぁ、マッドガッサー」
43占い師と少女(代理):2009/11/14(土) 17:01:43.64 ID:97Ycu6nj0
それは、恐らく罠にかかった私たちを回収か、女体化させるつもりだっただろうマッドガッサーだった。

「『爆発する携帯電話』に何をしやがった……」

私たちに向けた、マッドガッサーの第一声はそれだった。
仲間の心配を先にする……義理堅いのか、仲間思いなのか、はたまた一味の戦力が減る事恐れているのか……感情を読む能力がない以上、私が知ることは出来ない。

「何にも? 爆発してないからって『爆発する携帯電話』に何かあったって考えは短絡的じゃないか? 俺は好きだけどよ、そういうの」

その言葉に、マッドガッサーは反応しない。
多分私たちの言葉を信じていないのだろう。
奇妙な膠着状態……一応「リーディング」を使って相手の能力と、そのガスの届く範囲は分かっていた。
今はその範囲外だが、もしマッドガッサーが動いたら即座に行動できるよう、マッドガッサーの足の筋肉の動きを能力で常に観察しておく。
そんな膠着状態が数分後……いや、数十秒後だっただろうか。別の路地から一人の女の子が飛び出してきた。
そのままマッドガッサーのもとへと駆け寄り、何かを小声で伝えている。
その後マッドガッサーの緊張が解けたところをみると、『爆発する携帯電話』の安否に関する報告だろう。
女の子は伝え終わった後、マッドガッサーの隣に立ち、こちらに向き直った。
ガスマスクを被り、ガスタンクを背負った成年の隣に少女……なんとも非現実的な光景だ。

「『マリ・ヴェリテのベート』か……一番来て欲しくない野郎が来ちまったな」

能力を使ったのか、占い師さんが彼女を見てぼやく。
私もリーディングを使い、彼女を見て、読む。
(『マリ・ヴェリテのベート』……変身する人狼、今は女の子の姿をしているけど、人狼の場合はこれの2倍以上の大きさになる、か……)
私たちの能力は力でごり押ししてくるタイプには弱い。出来れば戦いたくない相手だ。

「どうした。俺を捕まえに来たんじゃないのか?」
「捕まえられるもんならしたいけどよ、お前のガスの届く範囲には入りたくないんだわ、女になる趣味はないからな」
「なら、大人しく逃がして欲しいもんだな」
44占い師と少女(代理):2009/11/14(土) 17:02:31.12 ID:97Ycu6nj0
お互い探り合いの体だ。
マッドガッサーも、こちらの能力が分からない以上下手に手を出せないのだろう。
しばらくまた膠着が続き

「……まどろっこしー」
「おい、マリ!?」

しびれを切らしたのか、マッドガッサーの制止を無視し女の子が姿を変えた。
腕や足が太く、体中に毛が生えていく様は、見ていてあまり気持ちのいいものではない。

「このまま続けてもじり貧じゃねぇか、なぁ?」
「待て、相手が何の都市伝説かも分かってない状況で動くのが危ないって事くらい分かるだろ」
「つってもあっちも動いてねぇぜ?」

そのまま押し問答を続ける2人。正直、あまりいい状況ではない。
今こそマッドガッサーと一定の距離を取ってられるけれど、あの剛腕の「マリ・ヴェリテのベート」が襲ってきたらそれを保つのは難しいだろう。
45占い師と少女(代理):2009/11/14(土) 17:03:14.18 ID:97Ycu6nj0

(……おい、未来)

そんな中、占い師さんが小声で私を呼んだ。

(何ですか……?)
(さすがにマリ・ヴェリテに襲われたら事だ。さっさと方を付けるぞ)
(でも、どうやって……?)
(まぁ、聞け)

それからさらに数秒後……。
まだマッドガッサーとマリ・ヴェリテは押し問答を続けている。
どちらもよかれと思って行動しているのだ。なかなか決まらなくて当然だ。
(でも、相手を思い合っての行動なんだよね……)
悪い集団だとは思えない行動ではある。まぁ、私たちをどうやって捕まえるか、の相談でなければ大歓迎なのだけれど。

(未来、準備はいいか)
(うん)
(よし、3カウントしたら行動開始だからな………3……2……1……)
46占い師と少女(代理):2009/11/14(土) 17:04:32.08 ID:97Ycu6nj0
カウントが0になると同時に、占い師さんがマッドガッサー達と反対方向へ走りだした。

「な!? あいつ、契約者置いて逃げたぞ!」
「だから早く倒しとけっつっただろうが」

その間に占い師さんは道端にある傾いた道路標識の前まで走り終えていた。全て順調だ。
そのまま、占い師さんが道路標識を蹴り上げると、根元からそれは折れた。
都市伝説とはいえ占い師さんの身体能力はそこまで高くはない。きっと「運命の改変」で折れやすくでもしたのだろう。

「そんなもんでどうにかなると思ってんのか?」

標識を持った占い師さんを嘲り、マリ・ヴェリテが動き出す。
(……まだ、私の出番じゃない)

「さーて、どうにかなるからこんな面倒な事をしてる、そうは思わないのか?」

言葉と共に、道路標識を投げる。
くるくると回転して向かうその先は――

「っ!?」

マリ・ヴェリテに戦闘を任せ、隙あらばガスの噴出を狙うマッドガッサーだった。

「ちっ」

舌打ちをして、マッドガッサーと標識を結ぶ直線上に出ようとするマリ・ヴェリテ。
(ここからは、私の仕事……)
先程から何度も頭の中で呟いていた言葉を口にする。
47占い師と少女(代理):2009/11/14(土) 17:05:16.69 ID:97Ycu6nj0

「子羊と羊の首を絞めろ。子牛と子馬と雌ラバの首を絞めろ。我が家でなければどこへでも好きなところへ行け……」

うん、間違えないで言えた。
ベート避けの呪文に当てられて、苦悶の表情を浮かべたマリ・ヴェリテが声もなくその場に片膝をつくのを見て、自分の仕事を果たせたことを確認する。

「てめぇっ、どうしてそれ……ぅをっ!?」

一瞬気を取られたマッドガッサーに、回転する道路標識が突撃する。
占い師さんの能力で『初速と同じ速さ』で衝突したそれは、マッドガッサーのガスマスクに大きくめり込んだ。

「よっし、逃げるぞ、未来」
「うん」

『マッドガッサーと爆発する携帯電話だけならまだしも、マリ・ヴェリテ相手じゃ分が悪い』という考えに基づいた戦略的撤退……らしい。
占い師さんと合流し、携帯電話の散乱していない、入ってきたのとは別の路地を使って逃げ出す。
適当に罠を仕掛けつつ、私たちは自分の家へと急いだ。
48占い師と少女 寸劇的な何か(代理):2009/11/14(土) 17:06:00.52 ID:97Ycu6nj0
某マンションの一室にて
「あれ、逃走ですよね?」
「戦略的撤退だ」
「逃走ですよね?」
「戦略的撤退だ」
「とうそ――」
「戦略的てっ……つぅ……」
(噛んでる……)

某一味のアジトにて
マッドガッサー「『必ず当たる占い師』か……」
マッドガッサー「見ただけで相手の身体情報が分かるって事は……」
マッドガッサー「………………」
マッドガッサー「……なんて羨ましい……」
魔女の一撃の契約者「……なあ、あいつ今、何想像したんだ?」
魔女の一撃「スリーサイズもカップも見ただけ分かるって状況じゃないのかねぇ……ひっひ……」
49以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/14(土) 17:06:46.42 ID:Fyivl1A5O
むぅ
50占い師と少女 寸劇的な何か(代理):2009/11/14(土) 17:07:11.78 ID:97Ycu6nj0
898 名前:名も亡き都市伝説契約者[] 投稿日:2009/11/14(土) 16:41:19
やばい、風呂入ってて「女王様気質に目覚める蜘蛛の契約者」というのを幻視してしまったw


899 名前:名も亡き都市伝説契約者[s] 投稿日:2009/11/14(土) 16:46:12
>>898
そのネタで今すぐ投下(ry

なぜか解除されたはずなのにまた書き込めなくなってる罠orz
取りあえず占い師のssを書き終えたので投下してきます


901 名前:名も亡き都市伝説契約者[] 投稿日:2009/11/14(土) 17:01:11
>>899
とりあえず頑張って書いてみるZE☆
51占い師と少女 寸劇的な何か(代理):2009/11/14(土) 17:07:52.43 ID:97Ycu6nj0
900 名前:名も亡き都市伝説契約者[] 投稿日:2009/11/14(土) 16:58:34
マッドガッサーの方に五体投地orz
昨日の許可をいただいたのでマッドガッサーと遭遇させてみた。
……物凄く長くなった。
一応ネタを幾つかはしょってます、これでも。

さて、ssでは初の占い師さんによる戦闘。
爆発する携帯電話の能力を封じ込めたり、マリ・ヴェリテの弱点を見るだけで知ったりと何だかチートっぽいですが、防御面のみで攻撃力はさほどありません。
爆発する携帯電話、マッドガッサーのような間接攻撃タイプにはチート性能を発揮しますが、文中で明言している通りマリ・ヴェリテや禿のような力で押してくるタイプには苦手意識を持ってる、そんな感じになっています。
文中でマッドガッサー一味を尾行したのは占い師さんの同業者にマッドガッサーの居場所についての質問が多く寄せられた為、という体です。
取りあえず一通り書きたい事書いたので、次回辺りからちゃんと日常パートに入るよ!


902 名前:名も亡き都市伝説契約者[] 投稿日:2009/11/14(土) 17:03:35
>魔女の一撃「スリーサイズもカップも見ただけ分かるって状況じゃないのかねぇ……ひっひ……」
ドクター「ボクなら服の上からでも見ただけで判るぞ? 女性限定だが」
黒服禿「私も服の上からでも見ただけで判りますよ? 筋肉限定ですが」
52避難所転載:2009/11/14(土) 17:18:36.75 ID:97Ycu6nj0
903 名前:名も亡き都市伝説契約者[] 投稿日:2009/11/14(土) 17:04:12
災いを避けるっていう影響ぐらいなら
物に運命を与えられるのか

904 名前:名も亡き都市伝説契約者[] 投稿日:2009/11/14(土) 17:12:20
本スレ代理の方乙!
書き終わった2分後に投下開始という仕事の速さに感服。

>>901
wktkしてる!

>>902
>ドクター「ボクなら服の上からでも見ただけで判るぞ? 女性限定だが」
>黒服禿「私も服の上からでも見ただけで判りますよ? 筋肉限定ですが」
占い師「一般人を1とした、こいつらの変態度合いは…………測定不能?」

>>903
そもそもの占いの本質が「災いを避ける」事なので、避けた結果相手を殺したり、傷つけたりしなければ基本的にokです
53以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/14(土) 17:45:49.02 ID:97Ycu6nj0
ho
54単発ネタ:2009/11/14(土) 18:16:39.04 ID:SwqCaDUsO
高校生ともなれば、さすがにテレビの心霊や宇宙人、未確認生物なんかの胡散臭い特集を鵜呑みにしたりはしない。
それでも、ネッシーにツチノコ、宇宙船や地底人、幽霊、超能力なんかが一つぐらい在ったら面白そうだと考えたりする。
でもまあ、それは世界の何処で見つかったら、という話で、実際そんなモノが目の前に現れても対応に困るわけで。
まあとりあえず一言叫ばせてくれ。
「なんだこれえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!??」
木々の間からは、月明かりがさしこみ、今日は満月だなあ、なんてのんきな事は考えずに走る。もっとも、街灯もない山の中を全力疾走出来るわけもなく、懐中電灯だよりの走りは当然遅い。
後からは、赤い大きな眼の二足歩行の生き物が木々の間を跳び回りながら近づいてくる。
意味がわからない。こんな生物がいることも意味不明だが、なにより、
「なんでチュパカブラが日本にいるんだ!?」
とにかく、少しでも立ち止まると追い付かれてしまう。血を吸われて死ぬなんて真っ平ごめんだ。いやまあ、なんなら死んでいいのかって言われると困るんだが。
あ、やべ。蹴つまずいた。
すぐに体勢を立て直すが、既にチュパカブラは飛び掛かろうとしていて。
そくざに横へ逃げ……………………………あれ?
いやーな浮遊感と、スローモーションの世界。
横に跳んだら、崖だった。

そして、落下。
「ぎゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
55単発ネタ:2009/11/14(土) 18:19:08.93 ID:SwqCaDUsO
なんか恥ずかしい。物凄い悲鳴をあげたにもかかわらず、崖はせいぜい5m。しかも下は池だった。
怪我なんか全然なく、この季節に夜中の水泳は寒いなあとか、その程度の感想。
「大変そうだな、坊主。」
突然、どこからか声をかけられる。しゃがれた眠そうな声。こんな時間に寒中水泳してる物好きは誰だと、懐中電灯で辺りを照らす。
「ここだ、ここ。下だ。」
下?…………そこには、魚がいた。鯉ぐらいの大きさで、顔が、顔が……
「じ、人面魚……」
なんなんだ今日は、未確認生物のバーゲンセールでもやってんのか。
「確かにわしは人面魚だ。ところでお前さん、このままだと死ぬぞ。」
へ?……ああ、そうだった。この池から出たらさっきのチュパカブラとエンカウントしてしまう。ヒノキボウすら無しにあんなのに勝てるはずがない。
かといって、いつまでも此処にいたら凍え死ぬ。
「お前さん、わしと契約しないか?そうすれば助かるぞ。」
「契約?なにそれ?えっと、それしたら助かるの?じゃあしよう。すぐしよう。」
「契約成立だな。」
56単発ネタ:2009/11/14(土) 18:22:27.88 ID:SwqCaDUsO
「でさ、具体的には何してくれれの?」
寒さで噛んだ。後から誤字に気付いた言い訳じゃないぞ!
「あれをたおす。」
「たおす、たって、お前何か出来んのか?魚だから水から出る事すら出来なさそうだけど。」
「確かに、人面魚は水中でしか目撃例がないからな。水からは出れない。」
「じゃあ……」
「だが、契約したわしにとってそんな事は些細な問題だ。」
そう言うと、オッサン顔の人面魚は上に向けて泳ぎだした。

そんなのありかよ。水量が半分になった池に立ち、呆然としながら呟いた。
水中でしか人面魚の目撃例はない、言い方を変えれば、人面魚が目撃された時、そこは水中という事だ。そんな、詭弁、戯言、言葉遊び。
空を見上げると巨大な水の塊、その中には人の顔を持つ魚がいる、はず。暗いうえに、眼鏡を奨められる視力ではそこまでは確認出来ない。
そして人面魚は、チュパカブラに向かって泳ぎだした、たぶん。
木の折れる音、揺れる地面。そして、何十キロの上空から高速で落下してきた何十トンの水によって押し潰されるチュパカブラ。

「とりあえずありがと。これで無事家に帰れそうだ。」
「気にするな。これからよろしくな。」
「これ、から……………?」

高校生ともなれば、さすがにテレビの都市伝説なんかの胡散臭い特集を鵜呑みにしたりはしない。
それでも、ネッシーにツチノコ、宇宙船や地底人、幽霊、超能力なんかが一つぐらい在ったら面白そうだと考えたりする。
でもまあ、それは世界の何処で見つかったら、という話で、実際そんなモノと戦う事になっても困るわけで。
「勘弁してくれよ……」

57以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/14(土) 18:59:16.46 ID:Fyivl1A5O
人面魚がこんなに強いとは
58以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/14(土) 18:59:21.17 ID:97Ycu6nj0
ho
59以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/14(土) 19:15:39.98 ID:SwqCaDUsO
単発ネタのはずなのに続きそうで困る
60以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/14(土) 19:17:56.99 ID:97Ycu6nj0
>>59
ばっちこーい!wktkして待ってるぜ
61以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/14(土) 19:33:44.42 ID:SwqCaDUsO
>>60
wktkされたら調子乗って続き書いちゃうかもしれないじゃないか!
単発ネタばかり書いてるけど一応「悪魔の少女」があるんだ
……放置してるけど
62以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/14(土) 20:13:56.80 ID:SwqCaDUsO
干し
63以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/14(土) 20:16:32.72 ID:97Ycu6nj0
折角作ったキャラだ、どうせなら活躍の場を与えてやろうぜ
64以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/14(土) 21:04:58.09 ID:97Ycu6nj0
美味しんぼ始まった保守
65以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/14(土) 21:05:18.50 ID:Fyivl1A5O
にょーん
66以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/14(土) 21:53:43.05 ID:Fyivl1A5O
ぬーん
67以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/14(土) 22:24:48.54 ID:zs46tNK2O
68以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/14(土) 22:25:53.50 ID:Bb9c1A77O
イレブンズアイ
69保守がてら久々に小ネタ:2009/11/14(土) 23:03:13.80 ID:XvnaoOQHO
薄暗い天井が見える――

ここ…は…どこだ…?

 どうやら俺はどこかに仰向けに倒れているようだ……。
 かなり上の方に天井のような物が見える…

 …まだ意識がはっきりせずに体に力が入らない

「…………れ」

 そんな中、どこか遠くから誰かの声が聞こえる…
 どこかで聞いた事のあるような声は、ないはずの俺の頭に囁きかける
「……を…れ」
「く…を…れ」

何て言ってるのだろうかこの声は……

「く…をかれ」

ああ、もう少しで全部聞…け…………

 …しかし、そこで彼の意識は再び途切れた。

 床に横たわる彼以外、近くで動くモノはなく
 彼から少し離れた場所には大きな穴が空いていた。
以上?
70以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/14(土) 23:13:09.51 ID:XvnaoOQHO
名前を入れ忘れたけどそんなのは気にしなry

もしもホロウさんが書いた続きを見落としていたら素直に土下座するしかないな俺は

と、まぁ絶賛気絶中の首なしライダーでした

一応主人公なのにやられっぱなしのシーンしか思い浮ばない俺はどうすればいいんだろうか
71以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/14(土) 23:50:10.29 ID:SwqCaDUsO
ほし
72以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 00:23:23.63 ID:pgaYL7rAO
うお
73以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 00:42:25.51 ID:U9h6gnHvO
74以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 00:58:26.82 ID:bwFyJ0CFO
ふう……起承転結の承書いたけど、微妙に転なのかも知れない

そして今回も微妙に多いかもしれない

だれも落とさないなら落としていくよーかもしれない
75君と君の君:2009/11/15(日) 01:02:21.30 ID:bwFyJ0CFO
結局、現地解散と相成り、宣言通り直帰となった訳だが、公園で考え事をさせられる程度には先の話は僕に衝撃を与えたようだった

そりゃあ、先輩の話を信じるかどうかと聞かれれば、普通の人ならば失笑と怪訝な視線で否と答えるだろうけど、僕はどうやら普通ではないらしい

だって本当だった方が面白いだろ?……不謹慎だな。いや、先輩に毒されたに違いない

鉄は磁石と触れ合うことで磁力を持つ。それが強力な磁石なら、その鉄が持つ磁力もより強くなる

つまり、先輩は超強い毒磁石だったのだろう。僕は人としてダメな方に変わってしまった

まあ、毒電波じゃないだけまし。としておこう、まる

さて、先輩はコインロッカーの都市伝説を間近に体験、というか、それが産み出されるその場に居たらしい

しかし、僕がどこかで聞いたその怪談じみた噂に『母親の娘』は存在しただろうか

いなかった。と思う

しかし、どんな話も体験者がいなければ伝わらないし、すなわち生存者がいないのなら、ガセに違いない

なら、先輩の存在はいつ噂から消されたのか

……噂に怪談らしさを出すため、か。ならば、生き残った人間はいない方がいい

うん。もっともらしい、妄想だ
76君と君の君:2009/11/15(日) 01:04:20.06 ID:bwFyJ0CFO
どちらにせよ、先輩の話を信じるとして、問題点は二つ

なぜ、今になってコインロッカーの怪が息を吹き返したのか。それと、僕達に何が出来るのか

……まあ、明日先輩と話し合えば良いか。東の空も黒ずんできたし、帰る事にする

そこそこ暖まっていたベンチから、後ろ髪引かれながら立ち上が

「あら、もう行くの?」

ろうとしたら、本当に後ろ髪を掴まれた

……地味に痛い

振り返るとそこには

「もう少し寄り添い合いましょう。雪でも降りそうな寒さだわ」

先輩が居た……って、なにそのキモい口調。キモいのに似合っている辺りがさらにキモい
77以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 01:04:20.97 ID:UR83GyA6O
寝る前支援
78君と君の君:2009/11/15(日) 01:08:14.13 ID:bwFyJ0CFO
「……先輩、電車通学なんでしょう。大丈夫なんですか」

「大丈夫よ」

大丈夫らしい。なら、明日の予定を今日に繰り上げても良いだろう。明日って今さ

先輩の隣、少し冷えたベンチに腰を戻す

「そういえば、いつの間に居たんですか?」

「貴方が気付いた時に居たわ」

シュレーディンガーでも語る気か?この人はいつもそうやって煙に巻こうとする。そうしてやり込められる僕も僕なのだが

だから今日はあえてスルーする。人間とは学習する生き物なのだ

「先輩と話しておきたいことがあるんです」

「それは学校の私に話してあげてくれないかしら」

「話したくない、と」

「そうとってくれて構わないわ。代わりに、今日は時間の話をしましょう」

ええああはいはい。付き合いますよっと
79以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 01:13:10.16 ID:pgaYL7rAO
にゃー
80君と君の君:2009/11/15(日) 01:13:43.02 ID:bwFyJ0CFO
「時間は一定ではないの」

開口一番電波を振り撒き出した。ああ、まあ、こういう人だ。赤月先輩は

そうして、そんな先輩の奇妙な話だけは嫌いではない……移らなければ良いけど

「確かに、感覚で言えば一定だとは言えませんね」

「暑いとき、寒いとき、痛いとき、悲しいとき、嬉しいとき、楽しいとき、快適なとき。そういう話ではないわ」

「なら?」

「個体による時間の差、とでも言うのかしら」

「ああ、寿命や体長によって違うとか言うやつですか」

クジラとネズミでは時間の早さが違う。とは小学校だか中学校だかの国語でならった。気がする。心拍数がどうとか、だったか?

「そうね。なら、寿命がないものでは、どうかしら」

寿命がないもの……?

「あれですか。先輩がさっき言ってた、都市伝説とか。あとは、幽霊や妖怪」

「統合するにはあまりにも雑多過ぎるけれど、そういったモノ達にとっての時間。それは、果たしてどうなのかしら」

「えー、と……どうなんでしょう」

化け物になったことが無いので分からない
81以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 01:17:11.44 ID:pgaYL7rAO
なー
82君と君の君:2009/11/15(日) 01:19:15.88 ID:bwFyJ0CFO
「そういったモノ達にとっての時間。それは、池みたいなものなの」

「……確かに、時の流れを川に例えることはありますけど」

断言するのはどうだろう。化け物達から苦情が来て、そのまま百鬼夜行は勘弁願いたい

「人にとっての人生は確かに川に近いわね。小石が落ちた瞬間を生まれ落ちたときとするならば、流れに乗って、波紋は殆どが川下に及ぶわ」

想像してみる……川上に生まれた波紋は流れに押されて小さな物となるだろう。それは、言わば母の中に居る状態なのだろうか

「それで、化け物の時間が池だ、というのは?」

「何処に小石を落とそうと、その波紋は前後左右問わず池に広がり、そして消えるでしょう」

それは、つまり

「生まれたときより過去にも存在できる、と?」

「あら、賢いわね」

頭を撫でられる。今日の先輩は少しおかしい。いや、いつもオカシイのだけれど

しかし、言われてみればコインロッカーの都市伝説は相当昔からあるはずで、先輩が物心ついたときから広がり始めたとは思い難い

まあ、都市伝説の正確な誕生日など知らないのだから、実際どうかは知らないが
83君と君の君:2009/11/15(日) 01:22:40.38 ID:bwFyJ0CFO
「賢い貴方には、はい。これ」

何かを制服のポケットから取りだし、左手を拘束する

見たところバングル。のようだが

「……なんですか、これ」
「お守りよ。まだ、時間が足りないから。だから、絶対に外さないで」

さっきの話の続きだろうか?

だが、良く意味は解らなかった

「うふふ。残念賞はないの」

ああ、そうかい。校則違反にならないだろうな?コレ
84君と君の君:2009/11/15(日) 01:26:43.77 ID:bwFyJ0CFO
「さて、そろそろ良い時間だから帰る事にするわ」

「え、ああ。はい。お疲れ様です」

反射的に答えて、周りが真っ暗なことに気づく。外灯のせいで気づかなかったのか、先輩ばかり見ていたので気づかなかったのか。たぶん両方

「ええ。それでは、ごきげんよう」

つい、吹き出した

「……なにかしら?」

真面目な顔で、少し不機嫌な赤月先輩。今は何故だか少し子供っぽくて、可愛らしい

「いや、似合わないですよ。ソレ」

「語尾でも伸ばせば良いのかしら。それともお兄ちゃんとでも呼ばせたいの?」

勘弁してください
85君と君の君:2009/11/15(日) 01:29:09.81 ID:bwFyJ0CFO
「おはようございます」

「うむ。おはよう」

実際には放課後であり、こんにちは。もしくはちわっす辺りが妥当なんだが、このサークルの挨拶がおはようなのは、まあ、授業を真面目に受けてないことの現れである、まる

いや、僕だって先輩に連れ去られる前は授業中に眠る事もなく、真面目に過ごしていたのだが、こんなとこでも毒磁力。ということにしておく

「あれ、先輩。かしら口調は止めたんですか?」

「……おはようと言ったからには目を覚ませよ?」

無かったことにしたいらしい。まあ、良いけど

「ああ、先輩と話しておきたいことが」

「……なんだ?」

ぶっきらぼうな口調の癖に、何故だかパイプ椅子に正座をするちっこい生き物

「いえ……大したことじゃないんですが」

「なんだ。期待させやがって」

期待させる部分があっただろうか
86以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 01:29:44.33 ID:pgaYL7rAO
んー
87君と君の君:2009/11/15(日) 01:31:11.79 ID:bwFyJ0CFO
「えっと。なんで今になってコインロッカーが出現し出したのか、と。僕たちに何が出来るのかを話し合おうかと思いまして」

「ああ、そんな事か」

と先輩。そんな事って、実際に人が死んでるってのに。その犯人を知っているのに……

まあ、そんな事か

「最近になって実害が出てきた理由だが、恐らくあのコインロッカーが撤去されたことと関係あるんだろうな」

あ、語りだした

「要調査。ですね……で、僕たちに何が出来るのか、については?」

「まだわからん」

まあ、無さそうではあるが

「その件については妹に動いてもらってる」

あ、調べてるんだ
88以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 01:32:33.25 ID:pgaYL7rAO
やー
89君と君の君:2009/11/15(日) 01:35:43.55 ID:bwFyJ0CFO
「って、なんで妹さん?」

妹がいること自体初耳だが。そう考えると、僕は先輩のことをあまり知らない。唯一の友人なのn……おい、やめろ

「こういった噂は女子高生、女子中学生に聞いた方が早い」

あんたも花の女子高生だろうに。っても、先輩じゃあ無理か……痛い

「お察しの通り、私じゃ無理だからな。それに、家の妹は私と違って社交的でな、友人も多いんだ」

ふふん。と自分の事のように自慢げなちびっこ。悲しむべき事態ですよー?

それにしても、聞いただけだが、姉妹でそんなにも対人スキルに違いが出るのは、やはり幼児期の体験のせいだろうか

って、待てよ

「お母さんは、件のコインロッカーで死んだんですよね?」

「気を使わない奴だな」

死んだ。は不味かったか

「ああ、それも当たりだ。妹とは異母姉妹。新しい母と父との子供だよ」

まだ何も言ってないけど、複雑な人生だぷらこって
90以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 01:37:24.80 ID:pgaYL7rAO
ぬー
91以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 02:00:19.47 ID:bwFyJ0CFO
復活?復活!復活祭!?
92君と君の君:2009/11/15(日) 02:01:26.39 ID:bwFyJ0CFO
「さて。やれることはもう無いから私は帰るが、君はどうする?一緒に腕を組みながら帰るか?」

そんなことをしたら腰を痛めるか肩を凝りそうだ。身長差的な意味で

いや、待てよ。二人別々に腕を組めば……オカ研らしい妙な噂をたてられること必至だ

「はぁ……じゃあ私は帰るから、鍵は頼んだぞ」

顔を上げたときには、既に先輩は扉の向こう

文芸棟に存在するこの部室の鍵は、職員室か顧問へ。となっているが、顧問の先生は残っているだろうか

いやいや、残ってないに違いない。ついでに職員室も閉まっているだろう

じゃあ鍵は僕がもって帰るしかないな

別に、職員室や顧問の所に寄るのが面倒なわけじゃ無きにしもあらず

まあ、面倒だろ?
93君と君の君:2009/11/15(日) 02:07:26.19 ID:bwFyJ0CFO
まだ日は暮れていないのだが、流石に空は赤い

事件のせいか、昇降棟には誰一人としていなかった

血のように、と言うには明るすぎる空に、鼻唄でも歌いたくなってくる

そうして、自分の下駄箱の、その扉を開けようとして


僕の足は


僕の手は


僕の頭は



壊れたように動かなくなった
94君と君の君:2009/11/15(日) 02:10:46.64 ID:bwFyJ0CFO
冷や汗が背中を伝う


汗をかくような季節じゃない


鳥肌がたつ嫌な感覚


人間の持つ五感の、そのどれでもない何かがサイレンを奏でる


この下駄箱を開けちゃあいけない


ラーメン屋のバイトをしていたときを思い出す


数週間も経っていない

オカモチに詰まった肉の塊を思い出す


今、この、目の前の箱の、その中に、あの時と同じ光景が、ある
95君と君の君:2009/11/15(日) 02:17:02.86 ID:bwFyJ0CFO
いや、そんなのは幻覚だ

トラウマか?

ああ、そうかもな

実際、あの時はよく見れば気づけたのだ

只の汚れじゃない、と

オカモチから垂れるソレが血だと気づければ、あんな光景見ずにすんだ

ああ、だからこれは

この感覚は幻覚だ

だって、下駄箱からは血が垂れてない

化け物だって、詰めることは出来ても、消すことは出来ない

だから、この感覚は幻覚なんだ

そうだろ?

そうだよな?
96以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 02:17:13.99 ID:pgaYL7rAO
わう
97君と君の君:2009/11/15(日) 02:21:10.19 ID:bwFyJ0CFO
このままじゃ埒が明かない

大丈夫。大体僕には霊感だとかそんなモノはない

このままスリッパで帰る気か?

大丈夫

そうして、下駄箱に手を伸ばした瞬間



ガン

聞き違いだ



ガン

ガン

聞き違いだ

でも、じゃあなんで、全ての下駄箱の。その扉が揺れている?

なんで
98以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 02:22:51.50 ID:pgaYL7rAO
あう
99以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 02:30:29.34 ID:pgaYL7rAO
しえ
100君と君の君:2009/11/15(日) 02:32:02.98 ID:bwFyJ0CFO
シリンダー式の鍵は外部からの侵入ばかりか内部からの解放をも阻止することに成功している

だが、それも時間の問題だろう

扉を叩く音は、最早騒音だ

昇降棟全てを包み込み、学校中に響いているであろう盛大な打撃音

でも、じゃあ、なぜ誰も来ない

なぜ、僕は動けない

ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガン
ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガン
ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガン
ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガン









ガン



101君と君の君:2009/11/15(日) 02:34:00.80 ID:bwFyJ0CFO
最後に一度、小さい音がして



全ての錠が



一斉に




落ちた




102以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 02:37:27.08 ID:pgaYL7rAO
うちの下駄箱はただの木の棚だった
103君と君の君:2009/11/15(日) 02:43:02.28 ID:bwFyJ0CFO
ゆっくりと、軋みながら開いていく、『ロッカー』


ゆっくりと、ゆっくりと


扉の影から、髪の毛が覗く


ゆっくりと、ゆっくりと


扉の影から耳が覗く


ゆっくりと、ゆっくりと


扉の影から、扉を押し開ける左手が覗く


ゆっくりと、ゆっくりと開いた


扉の向こうから




少年が覗いていた
104以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 02:43:57.54 ID:pgaYL7rAO
しえ
105君と君の君:2009/11/15(日) 02:48:02.56 ID:bwFyJ0CFO
「うわぁああああ」

そう叫んだつもりで、その声は僕の耳にすら届かない

扉を開けようとしたまま伸ばされていた右手に、少年の手が触れる

慌てて引っ込めようとするが、遅かった

人とは思えない力で『ロッカー』へと引きずり込まれそうになる

ああ、そうだな。人じゃない

人をロッカーに引きずり込む為に存在する怪異


非生産的な


非現実的な


クソッ

こんな所で、僕は終わりか?

指が、『ロッカー』の壁を撫でる

背筋に悪寒が走った
106以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 02:49:50.66 ID:pgaYL7rAO
107以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 02:57:15.69 ID:pgaYL7rAO
108君と君の君:2009/11/15(日) 03:02:28.23 ID:bwFyJ0CFO
右手の指先がミシミシと嫌な音をたてる

熱い

痛い

嫌だ

僕は、あんな、肉の塊になんか

成らない

痛い

成りたくない

痛い

痛い

なんで、僕が

熱い

痛い

こんな目に


109以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 03:04:36.53 ID:pgaYL7rAO
ガア
110君と君の君:2009/11/15(日) 03:05:25.61 ID:bwFyJ0CFO
ふっ


ふざけるな


お前は、この、糞餓鬼は


クソッ、熱い。痛い!


まだだ


まだ、死にたくない


テメエ何かに殺されて


「たまるかぁっ!!」


無我夢中で、『ロッカー』の中にいる少年を殴り付けていた
111以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 03:08:09.87 ID:pgaYL7rAO
グギ
112君と君の君:2009/11/15(日) 03:09:23.74 ID:bwFyJ0CFO
「いつっ……って、あれ?」

左手が捉えたのは下駄箱の奥で、少年は最早どこにも居なかった

ああ、さっきまでのは幻覚か

なーんだ。びびって、怪我して馬鹿みたいじゃんか

ハハハ

「あれ、長谷川君?何して……って、その手、なになに、どうしたの!?」

誰だっけ、この子。確か、クラスの……手?手がどうし……

見れば、右手の指が関節を増やしていた

「ああ、そう……現実、かぁ」

女の子が悲鳴をあげる

僕には出来なかったのにな。そんなに簡単にやられたら自尊心が粉微塵だよ

ああ、先輩と話すことは決まったかな

コインロッカーに狙われる基準。話し合わなきゃ、先輩も、危ないかな

うん……あれ、揺れてる

あれ、これは、気絶、する……?
113君と君の君:2009/11/15(日) 03:11:48.16 ID:bwFyJ0CFO
意識が途切れる直前に

僕は三つのものを感じた


一つは、何処からかの少年の視線


もう一つは、昨日の夜に得た、左手に輝く銀のバングルが砕けて落ちるところ


そして、最後の一つは、先輩のしてやったりな笑い声


ああ
いつもの
勝ち誇った笑い声は
なんだか
落ち着く……ね
114以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 03:12:13.55 ID:pgaYL7rAO
ギィ
115君と君の君次回予告:2009/11/15(日) 03:21:12.14 ID:bwFyJ0CFO
はい。君と君の君:承でした
続きます
ってか、まあ、序盤の対抗手段として魔性の者がくれたっぽいアクセサリーがデフォルトな私です。そして毎回消費アイテム……

さて次回:転
やっと都市伝説と契約します
でも怒られるかも……
でも、まあ、都市伝説ですから!
部長の妹さんがもってくる学校の噂とは!
右手が使えない長谷川君。
右手が使えないと言えば!

赤月「ID:pgaYL7rAO頑張ってくれたから家の妹をやろう」
妹「……え?」

はい。ありがとうございました
では、次回も宜しくお願いします
116以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 03:24:47.23 ID:bwFyJ0CFO
ああ、うちも只の鉄の塊でした、下駄箱

でも、大きくなれば、そういう事もあるかな、と

赤月口が悪いですけど、感謝してます
117以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 03:28:16.69 ID:pgaYL7rAO
乙ですー
怪異のとこ断章のグリムかと思たし
118以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 03:32:19.91 ID:bwFyJ0CFO
>>117
こういうの書くと甲田さんはふと頭に浮かんでしまいます

あやめちゃんとか好きだから!好きだから似ちゃったの!




せめて甲田さんの23分の1でも力があれば、なぁ……
119以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 04:12:31.97 ID:pgaYL7rAO

ねるほ
120以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 07:01:11.65 ID:3Q5KKvh2O
おはようほ
121以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 07:10:30.56 ID:bpN52yRTO
122以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 08:09:47.36 ID:VhezQnabO
123料理店:2009/11/15(日) 09:15:16.48 ID:SKQsuj32O
 教会付近での騒ぎの後、司祭を(強制的に)送っていったオーナーを待って帰宅した三人。
 元々特訓帰りで疲れた様子のオーナーと少年だったが、今はそれに拍車がかかっているようだ。

「……司祭さん、やっぱ怒ってた?」
「いえ、そんな事は無いですよ?落ち着いた様子でした」
「そっか……でも後で謝りに行かないとな……」

 ため息をつく少年。なにやらめっきり老け込んだ風にも見える。

「さてばーちゃん、なんでわざわざ司祭さん怒らせる様な真似したんだよ?」
「………」

 少年の質問に黙り込むひきこさん。それを見てオーナーが口を開く。

「司祭様と少しだけ話しをしましたが、そんなに警戒すべき相手ではないと思いますよ?静かに暮らしたい、とも言っていましたし」
「……目つきがね、ちょっと気になったんぢゃよ」
「目?優しそうな感じだったけど?」
124料理店:2009/11/15(日) 09:17:04.76 ID:SKQsuj32O
 確かにひきこさんにもそう見えた。だが、なにかが気になったのだ。喉の奥に刺さった骨の様な小さな引っ掛かり。

「むぅ、そうなんぢゃが……あとは女の勘ぢゃな」
「よしばーちゃん、よ〜く聞けよ?
  勘で、他人様に、喧嘩を、売ってんじゃ、ねぇっ!!」

 まったく悪びれた様子の無い祖母に思わず叫ぶ。確かに危険な都市伝説なら放っておく訳にはいかないが、オーナーの話しを聞くと平穏な暮らしを望んでいるらしい。
 それに彼は【爆発する携帯電話】の知り合いなのだ。そんなに悪い人だとも思えない。
125料理店:2009/11/15(日) 09:19:17.10 ID:SKQsuj32O
「まあ、ここでとやかく言っても仕方なかろう?」
「それをばーちゃんが言うかっ!?」
「細かい事を気にしとったら大きくなれんぞ?」
「今、背の話ししてねぇよっ!」
「誰も背の事なんぞ言っとらんがのぅ?」
「誘導尋問!?」
「ところで『KYババア』っちゅーのは誰の事ぢゃ?」
「んなもんばーちゃんに決まって……へ?」

 祖母の言葉に固まる孫。
「……あのーばーちゃん?もしかして……聞こえてましたか?」
「ばっちりとのぅ」
「あ、あれはその場の勢いとゆーか…その…あれでしてね?」
「ほっほっほ、いいんぢゃよ?気にせんでも」
「あは、あはははそうですか?」
126料理店:2009/11/15(日) 09:21:44.10 ID:SKQsuj32O
 とてもイイ笑顔のひきこさんと、対象的に引き攣った笑みの少年。

「さて、明日からしばらく学校休みぢゃったか?」
「……え?あぁ、インフルエンザやらなんやらで」
「ほんなら朝から特訓できるのう」
「ぬぁ!?いや無理だって!今ですら死にかk「なんぞ文句でも?」イエ、アリマセン」

 反射的に頷いてしまったが、明日から始まる地獄を想い暗澹たる気持ちになる少年であった。



「……オーナー。オレ、明日死ぬかもしんない…」
「頑張ってください。女の子のまま死にたくはないでしょう?」

 終
127以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 09:25:15.36 ID:SKQsuj32O
何がしたかったんだっけ?っつーか真面目に終わらせられんのかオレはorz
そしてバイト先にインフルの猛威が……いやまさかマッドガッサー?
128以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 10:59:21.31 ID:VhezQnabO
129以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 11:29:56.74 ID:5dgcxTYi0
130以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 12:55:10.94 ID:VhezQnabO
131以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 13:27:42.35 ID:U9h6gnHvO
1321レスネタ:2009/11/15(日) 14:10:01.57 ID:UR83GyA6O
私、カシマさん。今あなたの夢の中にいるの。
これはどっかの人形だったわね。まあいいわ。
私の都市伝説なんてレパートリーが多過ぎて、カシマさんって名前しか共通点がない事もあるぐらいだし。
ちょっとぐらいパクったって問題ないわ。
とりあえず、私の話を聞いた人の夢に出ればいいのよ。あれ?それをしないカシマさんもいるんだったかしら?
それはそれとして、変な夢に入ってしまったわ。なにこのしょぼい遊園地のアトラクションみたいな電車。
あ。前の席にいるのは、今回のターゲットじゃない。それじゃあ、さっさとこえをk
「次は活けづくり〜活けづくりです。」
どこかの駅に着いたみたいね。まあ、そんな事よりも………………………小人?
えっと、な、なにを?その手に持っているのは、なに?……は、刃物?いや、ち、ちょっと待って、……あの、ほんと、待tt
133以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 15:00:36.64 ID:U9h6gnHvO
ちょwwww
乙wwww
134以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 15:27:32.55 ID:yyIkSTnjO
毒をもって毒を制すか
135以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 16:18:41.49 ID:UR83GyA6O
ほし
136以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 17:04:47.76 ID:pgaYL7rAO
降り
137以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 17:35:45.34 ID:Cd/JAp1JP
保守
138占い師様のネタの爆発する携帯電話視点(代理):2009/11/15(日) 17:45:15.66 ID:Cd/JAp1JP
……「爆発する携帯電話」の契約者は、焦っていた
 能力を発動しようと、仕掛けている携帯に電話をかけようとしているのだが…どれも、通じない
 全てが「通話中」で、電話がかけられないのだ
 ……おかしい
 あれらは、全て不正に出回っていた中古の携帯であるはずで…「爆発する携帯電話」の能力でかけていない限り、電話がかかってくるはずがないのだ
 なのに、何故、通話中?
 焦って、とにかく電話をかけようとするが……どれも、駄目だ
 通じない
 そうしているうちに…対象は、マッドガッサーが潜んでいる路地裏まで、入ってしまった

「………!」

 相手の能力は、わからない
 だからこそ、自分が不意を打って攻撃をしなければならなかったのに
 みすみす、相手を行かせてしまった
 「爆発する携帯電話」はすっくと立ち上がり、そちらに向かおうとして

「待て」
「っ!」

 ぐ、と、「13階段」の契約者に腕を捕まれた
 「13階段」も、傍で待機していたはずなのに、何故、こちらに?
 いや、それよりも…
139占い師様のネタの爆発する携帯電話視点(代理):2009/11/15(日) 17:47:30.33 ID:Cd/JAp1JP
「…マッドガッサーの、ところ…行かないと…」
「……俺達が行っても、どうにもならないんだろ。マリ」
「行くー」

 てちてちてち
 二人の間を、幼女姿のマリが駆けていった
 その後ろ姿を、「爆発する携帯電話」は見送る事しかできない

「…そんな顔すんな」

 ぽふり、「13階段」に頭を撫でられる
 …そう、言われても
 「爆発する携帯電話」は、自分の無力さが情けない
 自分のせいで、マッドガッサーが危険な目にあっているかもしれないのだ
 自分が、きちんと能力を発動できていれば、こんな事には……!

「後悔しても仕方ねぇだろ…まずは、これからどうするか考えるぞ」
「………くけ」
 
 こくり、ようやく「爆発する携帯電話」は頷く
 そうだ、これからどうするか、を考えなければ
 先制攻撃ができなかったなら、自分たちはどうするべきか?
 そして…今後、こんな事が起きないよう、対策を考えなければ
 ぎゅう、と携帯電話を握り緊め、「爆発する携帯電話」は考え込む
140以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 17:48:38.21 ID:pgaYL7rAO
しえ
141占い師様のネタの爆発する携帯電話視点(代理):2009/11/15(日) 17:50:18.65 ID:Cd/JAp1JP
「…………」

 その、「爆発する携帯電話」をじっと見つめて
 「13階段」は、「爆発する携帯電話」が早まって飛び出すことがないよう…その腕をしっかり掴んで、放さないのだった



終わる


4コマ風


Q マッドガッサーの片割れってどんな奴でしたか?
マッドガッサー「冷血鬼畜でガチ両刀。正直、もう二度と顔あわせたくねぇ、あの変態兄貴…」

13階段「両刀、って事は男も女もお構いなしか」
魔女の一撃契約者「男を女に変えてハーレムな時点で、こっちもあまり人の事は言えてないな」

マッドガッサー「こっちは女の姿にしてるから!?男のまんまヤる訳じゃねぇから!っつか、男同士で襲うとか襲われるとか悪寒が…っ
         もうやだあの国。二度と帰りたくねぇ。男共に尻狙われるとか二度と勘弁」
似非関西弁「故郷にどれだけトラウマあるんや」

マリ「………あぁ、だから寝ぼけた俺が食いかけた時、あんだけ必死に抵抗してたのか」
マッドガッサー「当たり前だこの野郎っ!!」
似非関西弁「…え、前々から言うとった、寝ぼけて食いかけるて…」
魔女の一撃契約者「そっちの意味だったのかよ」


毎回花瓶たたきつけて事無きを得ているので未遂です
142マッドガッサーと愉快な仲間達(代理):2009/11/15(日) 17:52:31.23 ID:Cd/JAp1JP
 思うのだ
 自分は、皆の足手まといになってはいないだろうか?と

 自分が契約したスパニッシュフライの能力
 それは、撹乱には便利ではあるが、直接的な戦闘能力はない
 そして、自分自身に戦う力があるか?と問われると
 ……即答する事ができない
 アレがあればちょっとは…と、思うけれど、近接戦闘ができない事に変わりはないし
 自分は、足手まといでしかない
 そんな気がして、ならないのだ

 ……自分のせいで
 マリに、あんな大怪我を負わせてしまった
 マッドガッサーを、危険な目にあわせてしまった

 もう、あんな思いをするのは嫌だ
 仲間の足手まといになるのは嫌だ

 だから
 もっと、自分も戦えるようになりたい
 せめて、自分が戦えなくとも…何か、スパニッシュフライの能力で何かできないか?
 そう、彼女は考え込む


 買出しの帰り道、スパニッシュフライの状態を確認しつつ、考え込み、歩く
 ぶぅん…と、飛び回るスパニッシュフライ
 なぜか、野良のスパニッシュフライも多いこの学校町
 その野良をも飲み込み、スパニシュフライの数は日々、増え続けている
143以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 17:53:58.49 ID:pgaYL7rAO
にゃは
144マッドガッサーと愉快な仲間達(代理):2009/11/15(日) 17:54:04.11 ID:Cd/JAp1JP
使っても使っても減らない、なんという繁殖力だろう
 後は、自分がこれを使いこなせれば…

「………?」

 …と、ふと
 嫌な気配を感じ、彼女は立ち止まった
 ……都市伝説の、気配
 多分、契約者なしの野良
 どこから、気配がする?
 警戒しながら彼女は視線を彷徨わせ、見つけたのは…

 …カタカタ動く、マンホール


「−−−−−−っきゃあ!?」

 がばんっ!!と
 マンホールの蓋が何かの力で吹き飛ばされる
 現れたのは、白い鰐

 ……マリの片脚を奪った下水道の鰐か!?
 これは、不味い
 とにかく、逃げないと…

「っきゃ!?」

 べちゃん!
 無様に転んでしまう
145マッドガッサーと愉快な仲間達(代理):2009/11/15(日) 17:54:46.13 ID:Cd/JAp1JP
あぁ、もう、どうして自分はヒールなんて履いていたのだ!!
 迫り来る白い鰐
 がばり、大口を開けてきていて

 …このままでは、飲み込まれる

「−−−−スパニッシュフライ!!」

 ぶぅぅぅぅぅん!!
 彼女が契約しているスパニッシュフライたちが、あれ狂う
 群れとなってそれは白い鰐を覆い、その視界をふさいだ
 たかれて不愉快なのか、鰐は尻尾を振り回し、大口を開けて暴れている

「………」

 その様子を、じっと見詰めて
 ふと、彼女は気づいた
 スパニッシュフライは媚薬
 飲み込めば、媚薬の効果を発揮する
 それは、催淫剤としての効果もあり、惚れ薬としての効果もある
 …そう
 惚れ薬と、しての

「…やってみる価値は、あるわよね」

 ぽそり、彼女は呟いて
 白い鰐にたかる、そのスパニッシュフライたちを、数匹
 一斉に、その開けられた大口へと、飛び込ませた
146以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 17:54:57.67 ID:pgaYL7rAO
うぐ
147マッドガッサーと愉快な仲間達(代理):2009/11/15(日) 17:55:31.66 ID:Cd/JAp1JP
「!?」

 ごくり
 白い鰐は、スパニッシュフライを飲み込んだ
 …今だ!
 スパニッシュフライたちを、鰐から退けさせる
 鰐の視界が、はっきりと彼女を捕えた
 …スパニッシュフライを飲み込んだ鰐が、彼女を捕えた

 にぃ、と
 彼女は、口の端に笑みを浮かべる

「さぁさ……これで、あなたは私の、虜」
「………」

 …鰐は、ゆっくりと彼女に近づいた
 彼女は、逃げない 
 そもそも、逃げる事もできないのだが
 のすのす、のすのす
 鰐は、ゆっくりと近づいて

 …彼女の傍らに、体を落とすと
 まるで、彼女に心底心を許しているかのように…ふっ、と目を閉じた

 そっと、その頭を撫でる
 鰐は、嫌がらない

 ………成功、したのだ

「…やれば、できるものね…」
148マッドガッサーと愉快な仲間達(代理):2009/11/15(日) 17:56:20.88 ID:Cd/JAp1JP
 スパニッシュフライの能力を考えれば、可能だったはずなのだ
 どうして、今まで思いつかなかったのだろう
 彼女は、小さく苦笑する

「これで…マっちゃんやマリの、役に立てるかな…」

 傷ついたマリの姿が、脳裏に蘇る

 …嫌
 嫌だ
 もう、マリにあんな風に傷ついて欲しくない 
 自分のせいで、誰かが傷つくのは嫌だ

 だから、自分も
 もっと、戦えるように、なるのだ
 鰐を撫でながら、彼女は静かに、決意を固めるのだった





「…あら?」
「どうした?」
「……いえ」

 バイト帰りの「日焼けマシンで人間ステーキ」と歩いていたはないちもんめは、下水道の白い鰐の支配が誰かに奪われたことを、確かに感じた
 …最近増えていると言うコーク・ロアの支配型にやられた?
 それとも、別の誰か?
 距離が感知できるギリギリの範囲だったから、わからない
 …とにかく、使える戦力が一つ減ってしまった事実に、はないちもんめは警戒感を強めるのだった
149以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 17:59:35.14 ID:wE8fQcrU0
支援
150マッドガッサーと愉快な仲間達(代理):2009/11/15(日) 18:00:13.42 ID:Cd/JAp1JP
最後の「to be … ?」省いてた・・・orz

代理投下する話、これからなのかな本当に・・・
151ハーメルンの笛吹き(代理):2009/11/15(日) 18:01:57.01 ID:Cd/JAp1JP
【上田明也の綺想曲5〜国立「久遠寺病院」前編〜】

盲目の少女は語る。

「三十秒後にね、
 あそこのトラックのタイヤが昨晩偶然道路に捨てられていたナイフを踏んでパンクするの。
 その時の勢いで民家にぶつかるけどそこで怪我人はナイフを捨てた少年。
 少年は学校ではいじめられていて仕返しの為にナイフを買ってみたけど何かする度胸もなくてナイフを捨てたわ。
 そしてその少年は四日後に貴方に操られる予定だったのだけれど貴方が予言を聞いたせいで未来は変わるわね。
 そうそう、思い出したわ。
 貴方だけど三年後に死ぬわね、まあまあ自業自得だわさ。
 あんたは今まで生きていたことが奇跡みたいなものね、そしてあと三年生きると言うこともまた奇跡よ。
 しかしまた腹立たしい腹立たしいあんたみたいに、
 他人のことなど犬畜生以下にしか見ていなくて
 自分のことを神か仏のような存在だと勘違いしていて
 殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して
 奪って奪って奪って奪って奪って奪って奪って奪って奪って奪って奪い尽くして
 他人に危害と災害と損害と損壊と後悔を与え続けた人間がまあまあ生意気なこと言うわ。
 良いわよ良いわ、貴方の話くらい聞いてあげる聞いてあげるこの暇なぼくがじっくりたっぷりねっとりと
 一つも漏らさず聞いてあげるから話し続けなさい。
 ちなみにあなたはそんなぼくを無視して五秒前から話し続けているけれども今から十秒後に要件を話し終えるわ。
 ただしそれを聞いた瞬間にあなたは未来を変える可能性を手に入れたのよ。」

ドォン!

病院の個室の窓から民家にトラックが突っ込む光景が見えた。
152ハーメルンの笛吹き(代理):2009/11/15(日) 18:02:40.84 ID:Cd/JAp1JP
しかし構わずに俺は話を続ける。

「ラプラスの悪魔の契約者の名前に偽りは無しかな、Ms.レイモン?」

「橙で良いわ、ああしかしつまらないつまらない。
 病室のトビラノ向こうでぼくに脅えている都市伝説の行動もすでに予定されているし貴方との会話も完全に予定されている。
 ぼくの規定してしまった世界の中ではぼくの規定したようにしか世界は動かないの。
 そこで誤差を起こせるのは悪魔を超える存在だけ、神とかね。
 因果律の終着点たる私は因果律の内部にある存在を全て把握して補足して規定している。
 しかし間違っても期待などしていないわ、どのみち全て消えていくのだもの。
 唯一ぼくの快楽たり得るのはぼくの会話、ぼくの脳内は常に先の状態を知るが故に自由意志に任せられた因果律の外にある存在。
 唯一先が読めないのよ。
 この退屈がわかるのかしら、上田明也?」
153ハーメルンの笛吹き(代理):2009/11/15(日) 18:03:35.20 ID:Cd/JAp1JP
「話は聞いてたが本当に貴方みたいな都市伝説との契約者が居るなんて……。」

「たいしたことないわ、私には丹念な鍛錬も苦労した訓練も無くてただやれることをやっているだけ。
 あなたたちのほうがよっぽど変わっているわ。」

「都市伝説契約者、しかも強大すぎる能力を持つ人間を収容する病院に居る貴方に訓練は要らないでしょうよ。」

「病院?笑わせるわ。ここは収容所よ、ぼくみたいなどうしようもない人間を永久に収容して社会に出られなくする為の場所。
 此処自体が都市伝説みたいな物なんだから私も出られないしね。
 本人の意志を無視した医療行為は医療行為ではなくて只の拷問よ。
 此処の人間はそれを理解していない。
 ぼくは自由に生きたいのよ、無理矢理延命させられて、予言を吐き続ける機械でいることなんて出来ないわ。
 ぼくの身体はすでに契約の反動でボロボロ、死ぬときはこのベッドじゃなくて畳の上とかで死にたいのよ。」

彼女の名前は橙・レイモン。
現在12才。
ご両親は余程柑橘類が好きだったに違いない。
父親はドイツ人、母親は日本人のハーフ。
8才の時に都市伝説と契約してその直後にどこぞの国家に拉致される。
それ以降はその国家機関の手によって軟禁状態のまま生きていたがその情報を都市伝説「貴人サンジェルマン」がその情報を入手。
そしてすったもんだの末に彼の友人であるこの俺が彼女に会いに来たのである。
154ハーメルンの笛吹き(代理):2009/11/15(日) 18:05:02.94 ID:Cd/JAp1JP
「じゃあ本題に入ります、橙さん。
 貴方は此処を出たい、それで良いのでしょうか?
 俺は貴方をここから救出するように言われています。」
「出たい、出られない、出られるわけがない、だから出ない。
 ぼくの予言がそう言っている以上駄目よ。
 あんたは…………。」

出たい、それなら良いんだ。
こんな丁寧なしゃべり方も疲れた。

「いやいやあんたの言葉は聞いちゃいねえ。」
「何を言ってるの?死ぬわよあんた!そもそも貴方はここに来る予定じゃなかった!!」
「あんたの意志を聞いている。」
「ちょっと!」

俺は彼女の身体に巻き付いていたコードというコードを抜き取ってお姫様だっこの要領で抱き上げた。

「ほら、行くぞ!」
「何するのよ?この点滴打っておかないとぼく死ぬんだけど……。」
「安心しろ、こっちにも医者は居るさ。」
「どういうこと?あんたは一人じゃないの?あんたもどこかの組織の人間?」
「あ?俺の仲間は都市伝説って意味ならそこのドアに隠れている奴しか居ないけど?」
「かみ合わないわね、まるでアンタの口ぶりではあんたに協力する医者やここへの潜入を手引きした人間が居るみたいよ。」
「ああ……、あれは仲間とはちょっと違うんでね。」
155ハーメルンの笛吹き(代理):2009/11/15(日) 18:05:57.32 ID:Cd/JAp1JP
ドアを開けるとメルが待っていた。
「マスター、終わりましたか?合流地点まで急ぎますよ。」
「おう、急いで行こうか。」
「ねえ、合流地点ってどういうことよ。貴方の仲間らしき人なんて影も形もみあたらないわ!」
「ああ……それなら……。」


「動くな!」
ガチャリ、背中に拳銃を突きつけられる。
「その子供を置いてそのまま両手をあげて地面に伏せろ。」
女性の声。
年頃は恐らく二十代後半。
都市伝説とは契約しているのか?
確率は高いな。
「あの……。」
「私の質問以外に答えるな。あとそこの都市伝説に妙な指示を出そうとするなよ。
 その瞬間にお前の命は無くなるぞ。
 それでは質問だ。
 誰に命令された?」
「チッ……、“組織”だよ。
 都市伝説の黒服ってあんたも知っているだろう?あれを抱えている組織だよ。
 俺はフリーの契約者だったんだが能力を買われてここへの潜入を命じられたんだ。」
「嘘だな、私達の国と組織は取引をしている筈だ。
 組織と私達は互いに干渉を持たないようにしている。」
「ふん、お偉いさんの考えることは解らないねえ。」
パァン!
銃声の後に自分の手を見てみると指が一本吹き飛んでいた。
156ハーメルンの笛吹き(代理):2009/11/15(日) 18:06:59.80 ID:Cd/JAp1JP
「………やってくれるね。」
「うめき声一つあげないの?指を飛ばされても平気な顔している人間が自分の雇い主のことを簡単に話すかしら?
 ああ、こちらA地区、侵入者を発見、捉えました。応援をお願いします。
 話さないとドンドン貴方の指やら何やら無くなっていくわよ?」
「………だから今言った通りだ。
 組織だってーの。往生際は良い方n………。」

ドォン!
丁度天井に向けていた背中で大きな爆発が発生する。
爆発は当然女を包む。

「ああ……いってええなああ!!!!」
黒こげになった女を無視して立ち上がり、吹き飛ばされた指を拾う。
「マスター!」
「上田明也!」
「大丈夫だ。それよりすぐに行くぞ。追っ手が来る。橙、どこから来るか解るか?」
「そこの角から三人、後ろの通路には四人、今の騒動を聞いてあと十人がエレベーターを使って降りてくる!」

ラプラスの悪魔の能力はのぞき窓のような物を発生させてそこから物を見るらしい。
彼女に視力は無いがそこから様々な物を見ることが出来るのだろう。
157ハーメルンの笛吹き(代理):2009/11/15(日) 18:07:42.31 ID:Cd/JAp1JP
「じゃあ階段か、メル、笛の用意をしておけ。橙、この階には契約者の子供が何人いるんだ?」
「私含めて十人ね、場所は向こうの路地に沿った病室にそれぞれ閉じ込められているわ。面識ないけど。」
「了解した、じゃあそいつらも使おうか。」
「あんた何する気なの?」

次の瞬間、病院内部で炸裂する爆音。
リストによると「旧日本軍の不発弾」の契約者がここには居るらしい。
それが子供だとは知らなかったが……、まあ良かろう。

「今の内に説明しておくとだ。
 俺にはほぼ無条件に子供を操る能力が有る。
 それを使ってここに居る契約者を暴走させた。
 今からここは敵も味方もない危険地帯だ、一気に抜けるぞ!」
「なにやってるの!?自分だって危なくなるじゃない!」
「俺達3人、敵はたくさん、混乱した状況になれば成る程俺達の方が有利。」
「橙さん、諦めてください。彼はこういう人ですから。」
「おい橙、今の階段とエレベーターはどっちが安全だ?」
「え、今だとエレベーターね。階段は待ち伏せられているわ。」

混乱した隙をついてエレベーターに乗り込む。
エレベーターについているカメラは危ないだろうが階段で待ち伏せをかけている相手の数の方が大変だ。
158以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 18:07:55.81 ID:pgaYL7rAO
しえ
159以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 18:08:12.21 ID:SmiWCKRX0
支援
160ハーメルンの笛吹き(代理):2009/11/15(日) 18:08:50.72 ID:Cd/JAp1JP
「ただやっぱり貴方は脱出できないわ。」
少女は呟く。エレベーターの階数表示は一階をすでに指している。
「そいつが居るんだもの。」
開いた扉の向こう側には中年太りの男が立っていた。

「やぁ、病室から逃げ出すとは悪い子だねぇ。うふふふふふふ。」
「一人か……?」
太った男は一人で気味悪く笑っていた。
パチッ
男は笑いながら指を弾く。

ドン!

また爆発だ。
しかも今度は俺の目の前で。

「うふふふふふふ、俺の都市伝説は旧日本軍の不発弾。
 場所を指定して二十秒そこを見続ければ自由なタイミングでそこを爆発させられる。
 爆発物をしかけられるのは三カ所までだけどね。
 さっきの爆発も勿論俺だよ。お前は何か勘違いしているようだがお前を脱出させてきたのは俺なんだぜ?」
「どういうことだ?」
どうやら事前に手に入れていた情報に間違いが有ったらしい。
「いや俺さ、その子に脱出して来て欲しかったのよ。
 で、この混乱に紛れてあんたに死んで貰えばその子も一緒に死んだことにして俺の物にできるでしょ?
 うふふふふ、女子病棟には入れなかったから楽しみだったんだ……。」
橙は脅えた表情で俺とメルの後ろに隠れていた。
161以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 18:09:30.16 ID:pgaYL7rAO
しう
162以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 18:11:41.85 ID:SmiWCKRX0
しえん
163以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 18:29:50.76 ID:UR83GyA6O
支援
164ハーメルンの笛吹き(代理の代理):2009/11/15(日) 18:35:11.48 ID:SmiWCKRX0
「チッ……、ゲス野郎め……!」
「どう間違ってもマスターだけはその言葉を言ってはいけない。」
「知っている。」
そして男は再び語り始める。
「それでなんだけどさあ、俺はどこに不発弾を埋めていると思う?」
「……しまった!」
すぐに物陰に隠れる。

「うふふふふ、遅い遅い!もう君の身体に不発弾を埋めさせて貰ったよ!
 と言うわけで……爆破だぁ!!」
成る程、俺がここで爆破される状況をこいつは見ていたのか。
ふん、爆破なんて問題にはならないさ。
165ハーメルンの笛吹き(代理の代理):2009/11/15(日) 18:36:02.11 ID:SmiWCKRX0
「必殺・サンジェルマンキ〜ック!」

ガコン
どこからともなく急に現れた青年が太った男を蹴り飛ばす。
「なに?何があったの?」
慌て始める橙。
「やっと来たかサンジェルマン。」
「遅いですよ、マスターは今回結構ピンチだったんですよ!」
「ああ、すまないねアキナリ、そしてメルちゃん。」
金髪をかき撫でてナルシストっぽく格好を付けている。
「今回の話って登場するのはお前一人で充分だったんじゃないの?」
「いや、俺だと彼女からは見えも聞こえもしないのよ。」
「ねえ、二人とも。なんであいつは動かないの?あんた達は誰と話してるの?」
橙は訳がわからないらしい様子で俺達に尋ねる。
「………ほらね?」
「解った、説明は後でじっくり聞くよ。
 筆者が疲労で死にそうになっている。」
「そうしてくれるとありがたいだろうね、それじゃあとりあえずこの病院を抜けるからついてきて。」
「はーいよ。」

橙を抱きかかえると俺とメルはサンジェルマンについていったのであった。
【上田明也の綺想曲5〜国立「久遠寺病院」前編〜 fin】
166プレイとSMの八本脚(代理の代理):2009/11/15(日) 18:36:43.18 ID:SmiWCKRX0
散々な目にあった。関わらないと決めた筈の相手にばっちり関わってしまった。こちらは関わるつもりなどなかったのだが…
お陰で女性になってしまった。しかも胸など無いに等しいほどしかない。まあ、これはこれでありなのだが…
とりあえず女性になった以上、男物の下着など身につける気はさらさらない。とは言っても、そうすると着る物が無くなってしまうので困った話だ。
最悪、室内では全裸でも構わないのだが、外出時にはそうも言ってられない。しょうがないから女性物の服を一式そろえた。
…我ながらこのセンスには脱帽だ。男の時には全く縁のなかったスカート。そして―
「…これはこれでアリかも////」
傍から見れば良家のお嬢様的な雰囲気を醸し出すその服装は自分の中でどストライクだった。
やっぱ女って良いなw…いかんいかん、また正気を失う所だった。というか、今なら理性を上書き出来そうな気がするZE♪

(…じゃあ、その言葉通りにしてあげるね?)
「…ってあれ?うわちょっとまてなにをsあqwせdrftgyふじこlp」
「…ふう、男の子の方は頑固で駄目だわ。折角こういう形で外に出たんだから楽しまないとね♪」
(おい!ちょっと待て!これはどういう事だ!)
「どう言う事って…決まってるじゃない♪身体が戻るまで私が外の生活をエンジョイするのよ♪」
(おい!やめろ!それはマジでシャレにならんぞ!大体今の状態で都市伝説に襲われでもしたら…)
「それは平気よ♪私だって能力は使いこなせるんだからね☆」
(そういう問題じゃなくて…)
しまった!『あっち』に身体のコントロールを持ってかれた!冗談きついぜ…
「じゃあ、そういう事だからしばらく黙っていてね?」
(ちょっ!おまやめr)ブツッ
167プレイとSMの八本脚(代理の代理):2009/11/15(日) 18:37:24.62 ID:SmiWCKRX0
静かになったし、簡単に自己紹介しちゃいますね?私はこの男(今は女だけどw)のもう一つの人格―って言うのは当たらずとも遠からずって奴かな?
アイツから生み出された―簡単に言うともう一つの人格って奴でーす!
実際の所、コイツは幼少のころ、実家で物理的に酷く痛めつけられたっぽいから、その代償として生まれた感じかな?「解離性同一性障害」って奴?
でも、アイツと私がお互いの意思で入れ替われるようになってから私は今までずっと奥深くで眠ってきたけどね。
「さぁて、早速出かけましょうか♪」
私は早速街へと繰り出した。どれもこれもアイツの目を通して見てきたけど、実際に見るのじゃあ全然違って見えるね♪
色々見て回ってちょっと疲れたから近くの公園で一休み…っと。すると、コーラを持った変な男達に声をかけられた。
「君、もしよかったら俺達と遊ばない?www」「ってか一緒に遊ぼーぜ?www」
ナンパか。適当にあしらっておこう。
「い、いえ…ちょっと用事があるので…」
「用事なんか放っといてさ、俺達といい事しようぜ?」
「…いいですよ。行きましょう。出来ればすぐ終わらせてくれますか?」
「やりぃ!じゃあどk―」
「いい場所があるのでそっちに行きません?」
「結構積極的になったぜ、コイツw」
「期待できそうだなwww」
168プレイとSMの八本脚(代理の代理):2009/11/15(日) 18:38:07.57 ID:SmiWCKRX0
私は男どもを引き連れてとある廃工場にやってきた。ここならいろいろと問題はないはずだ。
「じゃあ、ここで犯っちゃいます?www」
「そっすねwwwwwww」
男たちは私に襲いかかる!しかし、ある程度予測していた私はそれを回避。代わりに男達の進行方向に糸を張っておく。
案の定男達はこけた。形勢逆転だ。

「貴方達、私の体目当てだったんでしょ?だったらどうなるか分かるかしら?」
「糸で縛られたい?それとも無数の糸で鞭打たれたい?」
コーラを飲んで襲いかかって来る相手に向かって、私は片割れの振りあげた右腕を無数の糸で固定する。固定した後は電柱にでも貼り付けようか。
続けて襲ってきたもう片方も同様に電柱に固定する。
「もう一度聞くわ。糸で縛られるか、無数の糸で鞭打たれたいか、2つに1つよ。選びなさい!」
男達は固定していた糸をあっさり破った。そして私に向かってくる。だが―
「無駄ね。私に攻撃なんて無意味よ。何故なら―」
男達の動きが一瞬で止まる。よく見てみると、体中の至る所にマリオネットの様に無数の糸がついていた。そしてその糸は、勿論私の元に集まって来る。
「さっきの選択肢を選んでいたら、生きたまま帰そうかと思ったのに…しょうがないわ、貴方方には新世界の扉を開いて差し上げましょう。」
私は男達に憑いているのとは別の糸を出した。そして、片割れの方に器用に糸を操って亀甲縛りをさせて天井に吊るす。
流石にやばいと思ったのか、もう片方が逃げようとする。が―

「私がそう簡単に逃がすと思いました?」
関節にくっついてる糸を操って転ばせ、そのままずるずる引っ張る。
さて、もう片方も天井から吊るし上げましょうか。勿論後ろ手で。
「私の蜘蛛の糸からは逃れられませんことよ?」
私は男達にマリオネットの様についていた糸を全て切り離す。どうせ吊るされて動けないのだ。切ったって構わないだろう。
「さあ、新しい世界へようこそ!」
私は無数の糸を出現させ、まるで漫画版「封神演義」の「禁鞭」の如く糸裁きで男達に鞭打つ。
痛みのあまり悲鳴をあげているが、一部で喘ぎ声も聞こえてくる。新世界が見えてきている奴がいる証拠ね。
「ラストスパートよッ!!!」鞭打ち続ける糸の集まりが更にスピードを増す。
「「アァッー!!!!!」」完全に絶頂ったようだ。これから先は私の知った事ではない。
例え警察が来た所で、私には関係のない事だ。そもそも、少しばかりの異常を異常としないこの街なら、警察は呼ばれないと思うが―
169プレイとSMの八本脚(代理の代理):2009/11/15(日) 18:39:01.91 ID:SmiWCKRX0
935 名前:名も亡き都市伝説契約者[] 投稿日:2009/11/15(日) 01:29:40
よっしゃー「女王様気質に目覚めた蜘蛛の契約者」投下出来たぜー

でも、とある人のと比べると全然ソフトなんだぜ…

しかも、見た目が女なのに中身が男とか女王様的な意味で「ねーよwww」と思ってわざわざ設定継ぎ足しちまったぜwwwww

決して深夜のテンションで書いた訳ではないZE☆むしろ二重人格は夕方の時点で書いてたwwwww

よし、俺も寝るかー
170幕間劇 >>414の続き(代理の代理):2009/11/15(日) 18:39:58.14 ID:SmiWCKRX0
一度ベッドから離れ、着ているものをゆっくりと脱いでいく似非関西弁女
「本当にいいのか? 止めるなら今のうちだぞ」
「ウチ、マッドはんと契約したいねん。それに必要やったら大丈夫」
ブラウスのボタンは既に全て外され、乳房を覆うスポーツブラと鍛えている割には柔らかそうなお腹のラインが覗いている
スカートのファスナーを下ろして床に落とすと、それを跨いで改めてベッドの上に乗る
「マッドはんこそ、ええの? 多重契約とかそういうの抜きにして、ウチと……その……こういう事するの」
「そりゃどういう意味だ?」
ベッドで半身を起こしたマッドガッサーに覆い被さるように、下着姿で四つん這いになる似非関西弁女
「マッドはん、義理堅い人やし……その辺はなんとなくわかるんやけど、それでも、その……ウチみたいな女にえっちぃ気分にはならへんのかなって」
頬を染めながら申し訳無さそうに呟く
「色々あって、こないな変な口調やろ? がむしゃらに身体も鍛えて色っぽさもサッパリやし。気楽ーに誘ってみたりしたけど乗ってけぇへんし」
「あのなぁ……理由は大体いつも言ってる通り。お前は大事な仲間っつーか、今じゃ家族みたいなもんだ」
そっと背中に手を回し、両手で細くしなやかな身体を抱き締める
「んっ……」
意識せず漏れる甘い声
「……ウチもな、最初は頼りないリーダーやしちゃんと守ったらへんとあかんなって、そればっかり考えとってん」
「頼りなくて悪かったな」
「最初は、やって……もうー」
苦笑しながら首に腕を回し、頭を抱くように身体を重ねる
「こういう契約方法でなかったら、普通に契約してただ役に立ちたいなーって感じで終わってたと思うんや」
どすり、と言葉の槍がマッドガッサーの臓腑を抉るように突き刺さる
「でもな、結果としてはそれで良かったと思ってるねん。やっぱ自分に正直にならんと後々辛いなーって」
「……正直にって?」
「そんな長くもないけど一緒に歩いて、一緒にご飯食べて、一緒に戦って。そうやってるうちに、マッドはんの事が好きになってん」
171幕間劇 >>414の続き(代理の代理):2009/11/15(日) 18:41:07.71 ID:SmiWCKRX0
身体を抱き合い、その表情は見えない
「だから、役に立ちたいっちゅうんもあるけど。本音はただマッドはんとのもっと深い繋がりが欲しかっただけやねん。だから……契約がダメなら抱いてくれるだけでもええ。
 それも嫌ならすっぱり拒絶してくれてええ。すぱっと切ってくれれば元の関係に戻るのは簡単やと思うねん」
ふ、と
背中に回された手が解かれ
そっと身体を離すように押し退けられる
「……やっぱりアカンかった?」
「お前はホント気が早いな」
そう言うとマッドガッサーは自らガスマスクを外して素顔を晒す
「ちゃんとするなら、ガスマスクつけたままじゃダメだろ」
やや汗ばんだ銀髪を掻き上げながら、不意を打つように強引に抱き寄せて唇を重ね
そのままゆっくりとベッドに倒れ込んだ

―――
172以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 18:44:03.38 ID:UR83GyA6O
しえ
173以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 18:45:24.97 ID:pgaYL7rAO
174以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 18:46:54.48 ID:wE8fQcrU0
sienn!
175以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 19:01:28.00 ID:pgaYL7rAO
176幕間劇(代理の代理の代理):2009/11/15(日) 19:14:26.05 ID:5dgcxTYi0
秋も終わり冬の到来を感じさせる季節
窓の外は既に暗く、カラスの鳴き声が遠ざかっていくのが聞こえる
「朝チュンならぬ夜カー……語呂が悪いな」
自分の腕を枕に小さく寝息を立てている似非関西弁女の姿に、何やらむず痒いものを感じながら
「……そういや飯まだ食ってないんだよな」
そんな事を思い出して、ふとある問題点に思い当たる
と同時に、部屋のドアががちゃりと音を立てて開いた
「……そろそろ晩御飯……起きれる……か?」
言い掛けたところで言葉が止まる、爆発する携帯電話の契約者
「……あ、いや、これはだな?」
「……くけ」
何か言い訳をする暇もなく、事後の証拠が色々な似非関西弁女の裸身を見て、鼻血を出してぶっ倒れる爆発する携帯電話の契約者
「おい、何があった!? 大丈夫……か……?」
何故か即座に駆けつけてくる十三階段の契約者
慌てて似非関西弁女の身体に毛布を掛けて隠すが時既に遅し
騒ぎが騒ぎを呼び、結局は仲間全員に対して事情を説明する羽目になったマッドガッサー
そんな騒動も苦労も露知らず、ついでに関係が仲間全員にモロバレになった事も知らないまま、似非関西弁女は幸せそうな笑顔でベッドで丸くなっていたのだった



エロい部分はキング・クリムゾンで吹っ飛ばされました
要望があれば投下できないスレの方にでもそのうち
177以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 19:17:05.93 ID:pgaYL7rAO
178Tさん(代理の代理の代理):2009/11/15(日) 19:17:47.29 ID:5dgcxTYi0
陽光が降り注ぐ静かな部屋。
 青年は本を開き、文字を目で追っていた。しかし、
 ……静かすぎる。
 思い、ふと彼は本から視線を上げ、――ため息を一つ。
「……契約者よ」
 青年が声をかけた先、彼と契約している少女は机に突っ伏し、腕を枕にして寝ている。その周囲にはシャープペンシルや消しゴムが転がっており、腕の下には問題集が敷かれている。
「お姉ちゃーん」
 青年の隣で絵本を開いていたリカちゃんも声をかけるが少女は起きる気配がない。
 完全に寝入っている。
「…………」
 青年は指に挟んでいた栞をおもむろに放り投げた。
 栞はひらひらと空中を舞っていたが、突然光りを纏い急加速、急上昇、次いで急落下。
 居眠りしている少女のど頭にぶち当たった。
 ゴス、
 と紙が人体に当たったにしては少々不自然な音がして、
「――ってぇ!?」
 寝入っていた少女が飛び起きた。
「何すんだよ!?」
「課題はどうした課題は」
 少女の抗議に青年は下敷きになったせいでしわくちゃになった問題集を指さして言う。
 少女はそれを見て数秒考え、
「あーーー、寝ている間に妖精さんが」
「やってくれるわけないだろう」
「もしかしたらそんな都市伝説がいるかもしれねえじゃねえか!」
179Tさん(代理の代理の代理):2009/11/15(日) 19:21:04.31 ID:5dgcxTYi0
 そんな二人の会話を聞いていたリカちゃんが興味津々で、
「いるの?」
「……前例がないわけではないはずだ」
「ほらな? いるんだろ?」
 記憶を辿るように目を細めて言われた言葉に少女は喜色を浮かべる。が、
「今ここにそんなものはいない」
 青年のもっともな言葉に「うー……」と少女が唸っていると、リカちゃんが首をカックンと傾けながら問いかけた。
「ねーねー、お姉ちゃん。がっこうは?」
 今日は平日、時刻は真昼間である。いつもなら少女は学校にリカちゃんを鞄に放り込んで持っていき、青年は軽い変装をしつつ現在≪組織≫管轄の喫茶店へと暇つぶしに出かけている時刻だ。
「んー? なんかインフルエンザの流行とかで学校閉鎖なんだよ」
「いんふるえんざ?」
 少女の答えに疑問が返る。
「病気だな」
 青年の簡潔な返答にんー、とリカちゃんは数秒悩み、
「あかいくつとあかまんとのおじさんみたいになっちゃうの?」
「あっははは! 確かにアレは病気と言えなくもないな! うん!」
「しかし違う、風邪みたいなものだ。人から人に移るので広がりすぎると学校が閉鎖される」
 よく分からないとでも言うように逆方向へと首を傾けるリカちゃんを見て少女は笑いかけ、
「学校は休みになるけどその代わりに学校から『勉強しやがれこの野郎』って課題出されるんだよ」
 やってらんねー。と伸びをする。
「でもしっかりやっててえらいの」
「それが普通なんだ」
「怖い怖い監視がいるしなー」
 少女は居眠りも出来やしねえし遊ぶにしても今はちょっと危ないしな。と愚痴をこぼす。
180Tさん(代理の代理の代理):2009/11/15(日) 19:24:47.41 ID:5dgcxTYi0
 俺も出来の悪い妹を持った感じだ。と青年は言い、
「まあ、インフルエンザくらいなら治療できなくもないんだが、今は≪マッドガッサー≫の問題もある。
 下手をすると学校閉鎖になっている原因には奴らの影響もあるかもしれん」
 ん? と少女が青年に質問する。
「都市伝説を知らない人間にも被害が出てるってことか?」
「ないわけではないだろうな」
 質問内容を肯定する青年。
「そりゃー、何も知らない人間は驚くだろうなー。
 男が女になるだけならともかくもう一つの効果がでたら洒落になんねえぞ?」
 青年はリカちゃんに栞を回収させながら、
「表沙汰にはならないように≪組織≫が動いているだろうな」
「かくしてるの?」
 リカちゃんから栞を受け取って彼はん、と頷き、
「表沙汰になれば混乱が起こるからな。それを防ぐためには被害の完全隠蔽が一番だ。
 最悪、女体化を求める人間がこの町に大量にやってきて町中皆仲良くマッドガッサーたちの物になる。ということもあり得んわけではないのだしな」
「……そんなことになったら大変だよな。なんか、いろんな意味で」
 わざとらしく重く告げられた言葉。青年はその意見には頷きつつ、
「ところで契約者。――課題が進んでないようだが」
「人がこの町の人々を憂えることを名目にして現実逃避してるっつーのにTさんはそんなに俺を苦しめたいのか!」
 青年は抗議の声を軽く聞き流し、
「人々を憂えるなら現実から逃避するな」
 至極真っ当なことを言った。
「うるせー、Tさんに分かるか? このつまらない課題をただひたすらに解いていく虚しさが!!」
「俺も一応大学までは行ったクチだから分からんでもない。――そうだな、全部終わったら地下カジノに連れて行ってやる」
 青年がご褒美を提示すると、
「俺はTさんを信じてたぜ!」
 途端に心変わりして課題に勤しみ始めた契約者。それを見て青年は苦笑し、本へと目を戻す。
181以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 19:24:56.08 ID:UR83GyA6O
しえん
182以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 19:26:49.83 ID:pgaYL7rAO
そういえば
寝ている間の妖精の人が組織にいた気がするな
183以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 19:27:57.32 ID:SmiWCKRX0
支援[
184Tさん(代理の代理の代理):2009/11/15(日) 19:28:14.43 ID:5dgcxTYi0
何故か、せっかく女になったんだし今こそ白雪姫を白雪姫その人にコーディネート……いやいや、舞妓さんをここで再現というのも……と聞こえたが、まあ向こうで姫君たちと話す会話の種だろう。
外出しづらい今の状況ではこのくらいの楽しみは必要だ。
 うむ、と青年は頷き、聞こえてきた声の内容、その発想の元を与えた人間について考える。
 ……あれは、少なくとも直人の動きではなかったな。
 最初に俺が放った白光、あれの避け方もさることながら、その後に現れた≪コーク・ロア≫の支配型を沈めた一撃。……格闘技の類だろうか?
 もしそうだとしたら相当の使い手だと彼は思う。
 そして、
 黒服さんからの情報ではマッドガッサー一味のもう一人の接近戦要員は都市伝説に頼らないでも≪組織≫の黒服と戦える強さを持っており、
『服の上からではわからない程度に、しかし確実に鍛えられたすばらしい筋肉。邪法の流派に囚われさえしなければ、すばらしきブラザーになったであろう』というものだった。
 後半いろいろ無視して考えると、
 ≪コーク・ロア≫の被支配型、支配型を生身で倒す強さを持っていて、都市伝説の契約者では――おそらく――なく、そして初めに会った時、彼は知り合いが女体化していることに対してほとんど驚いてはいなかった。
以前から≪日焼けマシーンで人間ステーキ≫の青年と知り合いだったことから多少のことには慣れていた。と考えることもできるが、
 ――あの時感じた良くない気配……
「……情況証拠が多いな」
 怪しい、と思う。
 契約者とはウマがあっているみたいだが、少し警戒する必要があるかもしれん。
 思わず出ていた呟きに「どーした?」と問いかけてきた契約者へなんでもないと答え、青年は意識を文字列を追うことへと集中させ始めた。
185以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 19:30:10.39 ID:SmiWCKRX0
支援
186以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 19:31:26.83 ID:SmiWCKRX0
支援
187永久の力(代理の代理の代理):2009/11/15(日) 19:31:38.97 ID:5dgcxTYi0
「あーあ、こいつぁひでぇ事しやがるな…」
変な叫び声が聞こえたので、声がした方向に向かってみると、そこには二人の男が天井から吊るされて悶えていた。
生憎手持ちに刃物がなかったため、始末書覚悟で拳銃でロープを狙い撃つ。ターン!ドサッ!
とりあえず天井から降ろして(落して、の間違いではないので気をつけろ)事情を聞こうと近寄るが―
「「この憐れな下僕めをもっと罵ってください、女王様!!!!!!!!」」
…は?一体何を言ってるんだ?
「あのー、大丈夫ですか?何かされましたか?」
「「この憐れn(ry」」
駄目だコイツ等、早くなんとk(ry
状況から察するに、もう一人誰かいたのは間違いなさそうだ。
詳しい話を聞きたいが―今の状況ではどうする事も出来ないだろうな。しょうがねぇ、救急車呼ぶか。
よく見ると、さっきまで奴らが吊るされていた場所の真下は何故か濡れていた。
そして、片方の男、よく見ると亀甲縛りされている。…よし、どうやらお楽しみの所を邪魔したみたいだな。
よし、コイツ等はスルーしよう。俺だって暇じゃない、さっさと帰ろうか。
そして帰った後に銃声について問い質されたのは言うまでもない…
188以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 19:33:21.33 ID:SmiWCKRX0
支援
「…と、言う事で、スパニッシュフライで、支配系の能力も使えるようになったみたい」
「まぁ、それはいいんだがな。その鰐連れてくんなってかしまえ」

 「爆発する携帯電話」…は、動物全般が平気なのか平気そうだが、その腕でジャッカロープが鰐から逃げるようにじたばたしてるし
 幼女姿のマリが、鰐見て涎たらしてるし
 とりあえず、その白い鰐をしまえ
 はいはい、とスパニッシュフライの契約者は、鰐に指示をだす
 のしのし、のしのし
 鰐はゆらんゆらんと尻尾を振りつつ、教会を出て行った
 多分、マンホールから下水道に戻っていくのだろう

「便利な能力だな。スパニッシュフライを飲み込ませりゃ問答無用か?」

 ノートパソコンに視線をやっていた「13階段」が、顔をあげてきてそう尋ねる
 それに対して、いえ、とスパニッシュフライ契約者は首を左右に振った

「人間や野良都市伝説相手なら問答無用でしょうけど…契約者付きの都市伝説だと、多分、完全支配は無理ね」
「契約、と言う繋がりが存在するからねぇ?」

 魔女の一撃の言葉に、えぇ、とスパニッシュフライの契約者は頷く
 人間と契約している都市伝説
 それには、その契約者との、契約と言う絆が存在する
 スパニッシュフライの支配は、その絆にまでは干渉できないのだ

「それと、支配対象がものすご〜〜〜〜っく、大事に思ってる相手とか、そこら辺との絆も切れないわね。それに、思いのままに操れるって訳でもないし」
「だが、単純戦力を増やせるとなると便利だな」
190以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 19:36:00.76 ID:pgaYL7rAO
白い鰐皮……
191以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 19:36:21.08 ID:U9h6gnHvO
支援
 魔女の一撃の契約者の言葉に、そうよね、と頷くスパニッシュフライの契約者
 マッドガッサーを中心とした彼らは、少数精鋭の集まり
 …だが、それゆえに、多数を相手にする場合、どうしても手数が足りなくなる
 それを、補う事ができるのは大きい

「あの鰐以外にも、使えそうなの見つけたら…スパニッシュフライ、試してみるわ」
「無理は駄目ー」

 ぺふんっ
 幼女姿のマリが、スパニッシュフライ契約者にくっついて、そう告げる
 くすり、スパニッシュフライ契約者は笑った

「無理なんてしないわよ、私、ほとんど戦えないんだし……ヤバそうだったら逃げるから、大丈夫」
「………」

 魔女の一撃の契約者は、静かにスパニッシュフライの契約者を見やる
 …本当に、そうすればいいのだが
 彼女はどうにも、時折無茶な行動をとる事がある
 芯が強いとでも言うのか、一度決めた事は曲げようとしない…己の決意を、曲げようとしない面がある
 本当に、無茶をしなければいいのだが
193以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 19:41:36.28 ID:SmiWCKRX0
支援
 ……まぁ
 その辺りのフォローは、自分やマリの役目だ
 彼女は、遠距離戦闘手段は武器さえあればできるが、接近戦闘はできない
 その辺りは、自分たちがフォローすればいい

「…さて、マッドたちにもその辺話さないとな」
「ひっひ、そうねぇ。それに、夕食もそろそろできたし」
「……くけ…呼んで、くる…」

 そっと、抱いていたジャッカロープをおろし、「爆発する携帯電話」の契約者がマッドガッサーと似非関西弁の女性を呼びに向かう
 …その後ろ姿を見つめていた「13階段」だったが…そわそわした後、その後を追いかけていった
 わかりやすい奴め、と魔女の一撃の契約者は考えた




 …この後
 マッドガッサーと似非関西弁の女性が結ばれた事が、全員に知れたのだが
 それはまた、別の話


終わっとけ
195以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 19:43:17.48 ID:pgaYL7rAO
947 :名も亡き都市伝説契約者:2009/11/15(日) 12:50:46
スパニッシュフライの新しい能力についてとか
まぁ、昨夜ここで説明したのと大して変わりませんが
マッドガッサーもげろネタとほぼ同時刻ですた

**************

投稿者のコメント拾うの忘れてたorz
197以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 19:46:45.30 ID:pgaYL7rAO
198警官(代理の代理の代理):2009/11/15(日) 19:48:25.45 ID:5dgcxTYi0
警官A「銃の出所?」
坂上「あぁ、支給のがダメになった時の為に聞いておきたい」
始末書書いてる最中に話しかけてきたのは坂上
同僚と言えば同僚だ
普段殆ど接点が無いが
警官A「銃が欲しいなら町ん中適当に探せば良い、そこら辺で拾えるぞ」
坂上「でも、お前は拾ってるだけじゃないんだろ?」
警官A「まぁ、そりゃ・・・な、支給のだって自由に持ち出せる訳じゃない、かと言って拾った分だけじゃ到底使い物にはならないからな」
坂上「ソレが聞きたいんだよ」
どうした物かなぁ・・・
199マッドもげろ(避難所転載):2009/11/15(日) 19:48:51.22 ID:SmiWCKRX0
936 名前:名も亡き都市伝説契約者[] 投稿日:2009/11/15(日) 09:08:55
おっはよー、皆様乙!!
とりあえず、叫ぶべき事は一つだろう
マッドガッサーもげろwwwwwwwwwwwwwwwwww
キングクリムゾンで吹っ飛ばされた部分も是非投下できないスレに!!

940 名前:名も亡き都市伝説契約者[] 投稿日:2009/11/15(日) 11:01:42
おはよう
そして皆乙!
色々言うべき事もあろうが取り合えず
マッドもげろぉぉぉお!!!

941 名前:名も亡き都市伝説契約者[] 投稿日:2009/11/15(日) 11:06:15
今日早くに投下した蜘蛛の続きを永久で書いてみたZE☆

そしてマッドもげろ

942 名前:名も亡き都市伝説契約者[] 投稿日:2009/11/15(日) 11:32:52
おはよー、みんなお疲れ様です。
今日か明日辺り占い師の日常パート投下できる……と思います
それまでに規制解除されてればいいんだけど

取りあえずマッドはもげろ

944 名前:名も亡き都市伝説契約者[] 投稿日:2009/11/15(日) 12:20:34
よく見たらマッドが素晴らしい状況になっているじゃないか
もげろおおおおおおおおお!!!

上田は憎まれっ子世にはばかるを地で行くから安心してね
200警官(代理の代理の代理):2009/11/15(日) 19:51:41.62 ID:5dgcxTYi0
警官A「仕方ねぇな・・・教えてやる、その代わり誰にも言うなよ?特にあの女に聞かれると訴えられる」
坂上「判ってる、それで?」
警官A「密輸」
時が、止まった
坂上「・・・は?」
警官A「だから、密輸・・・俺の知り合いにそう言うルート持ってる奴が居てなソイツに頼んでおけばソイツが買う時ついでに取って貰える・・・って事だ」
坂上「それ・・・犯罪じゃないか?」
警官A「犯罪だな、完全にアウトだな」
坂上「・・・・・・大丈夫なのか?」
警官A「まず、バレねーしそれ位のリスクは覚悟の上だよ、他所でなら俺たちの仕事は犯罪犯したバカとっ捕まえてハイ、終り、なんだろうが、この町じゃそうはいかねぇ・・・
人間の法律が通じない奴相手に市民を守るのが俺らの仕事だ、そういう奴等と戦うならこっちも法律なんて守ってられない、それが正しいか、正義かって聞かれたら多分違うだろうけどよ」

警官A「じゃ、俺もう上がるわ・・・」
坂上「あ、あぁ」
警官A「必要なら俺に言え、金出すなら話は通してやるからよ・・・ただ、あの女にはバレんじゃねぇぞ?あんまり上司に心配かけんな」
俺も人のことは言えねぇがな・・・
自分の事を棚に上げ、そう告げると、俺は職場をあとにした
201以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 19:54:35.44 ID:UR83GyA6O
支援
202警官(代理の代理の代理):2009/11/15(日) 19:54:48.01 ID:5dgcxTYi0
954 :名も亡き都市伝説契約者:2009/11/15(日) 14:28:47
永久の力の人に土下座しつつ警官ネタ
死人部隊の銃火器は全部密輸品です
バレたら一発で逮捕です

>>……そういえばお盛ん過ぎると赤玉が出て打ち止めになるって都市伝説あったなぁ
そういう類のだと・・・絶倫は禿るとかなかったっけ?
203以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 19:56:25.55 ID:SmiWCKRX0
支援
204小ネタ(代理の代理の代理):2009/11/15(日) 19:58:11.71 ID:5dgcxTYi0
「……それは、どういうことですか?」

 聞こえてきたその声に、警官は思わず足を止めた
 気配を殺し、声の先に視線をやると…あの、色々とこ煩い上司が、誰かと携帯で会話しているようだった
 …酷く、深刻な様子で

「はい………何故、そんな物が……マッドガッサーとやらと、関連が?」

 …マッドガッサー?
 最近、噂になっているアレか

「ガスを詰めて発射……………学校町全体が…………………一応、こちらでも調べて見ますが…」

 駄目だ、部分的にしか聞こえてこない
 やがて、上司は会話が終わったようで、大きくため息をついていた
 続けて、どこかに連絡しようと言うのか、携帯を弄ろうとして

「………誰か、いるのですか?」
205小ネタ(代理の代理の代理):2009/11/15(日) 20:01:20.26 ID:5dgcxTYi0
 あ、やばい、気づかれた?
 気配を押し殺したままでいると…彼女は、辺りを見回し
 そして、警戒した様子で……この場を、後にしてしまった
 どこか、他の場所で連絡するつもりか

「…マッドガッサーが、何か行動を起こしたのか…?」

 ガスを詰めて発射、学校町全体
 …なんと、嫌なキーワードか
 嫌な予感に、警官はかすかに悪寒のような物を感じたのだった

to be … ?

955 :名も亡き都市伝説契約者:2009/11/15(日) 14:36:11
警官乙!
全部密輸かwwwwwwまぁ、そうじゃないと手に入らないよなwwwwwwww

そして、その警官ネタの直後っぽいネタをこそこそと
黒服H,もしくは花子さん契約者から、警察上司に何かの情報が
マッドガッサー一味が何かを手に入れたようです
206以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 20:02:53.68 ID:SmiWCKRX0
支援
昔、男が嫌いだった
 嫌いで嫌いで、仕方なかった

 ……あの連中に、あんな事をされて
 その恐怖から、男を見る事すら嫌な時期があった

 でも、それでも、なんとかその恐怖を克服し、私は社会に出た
 今までの経験を全て隠して遠く離れた地に来て
 新しい人生を踏み出そうとしていた

 …新しく出来た友人たちに、今までの事はほとんど話した事はない
 話したら、絶対引かれる
 奇異の目で見られる
 それだけは、嫌だった


 自分が、性転換とそれを基にした性的なネタを好むようになった原因は、何となくわかっている
 男共も、女になって…私と、同じ体験をすればいい
 死にたいと想うような扱いを受ければいい
 そんな願望が、自然と表に出たのだ

 当然、この趣味は回りに隠し続けた
 この趣味を知られる事で、芋づる的に過去を知られるのが嫌だった
208以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 20:05:27.72 ID:SmiWCKRX0
名前欄長すぎワロタw
(代理)だけにしてもいいだろうw
己の真の想いなど、誰にも告げる事が出来ないまま、日々を過ごし
 ある日、ふとした拍子に契約したスパニッシュフライで、適当に遊ぶようになって

 …そんな時に、彼らと出会った
 正直、男は苦手だけど…その計画に、興味を持った
 ネタになるし、それに……男共を、酷い目にあわせる事ができるのだ
 だから、計画に乗った


 最初は、皆にも話さなかった
 私の、あの忌まわしい過去を、話す事など出来なかった
 …けれど
 ある日、何気なく…皆に、話した
 どうして、自分がこう言う風になったのか
 皆には、隠し事をしたくなかったから

 みんな、黙って聞いてくれた
 そして、全てを聞いても、私を嫌ってはこなかった
 私を…受け入れてくれた


 嬉しかった
 生まれて初めて、自分の全てを受け入れてもらえたような、そんな気がして
 皆の存在が、今まで以上に大切なものとなった
210以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 20:08:59.67 ID:SmiWCKRX0
支援
211以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 20:09:09.18 ID:wE8fQcrU0
支援!!
212以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 20:10:12.53 ID:pgaYL7rAO
 …ずっと一緒にいたい
 皆と、ずっと一緒にいたい
 自分を受け入れてくれた皆と、ずっとずっと、一緒にいたい
 失いたくないと、心からそう想う


 …特に
 マリは、私を慰めてくれた
 あいつの性格を考えれば、絶対、そんな事はしてこないだろう、って想っていたけれど
 全部話しきって、思い出してしまって泣いた私を…あいつは、慰めてくれたから

 …だから
 マリに死んで欲しくない
 マリにだけは、死んで欲しくない

 マリが今までどんな事をしてきたか、私は知っている
 あの連中と同じような事もしてきたと、知っているけれど
 でも、マリだけは


 私にとって、酷く大切な、失いたくない存在となってしまっているのだ

fin
214以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 20:11:12.50 ID:SmiWCKRX0
支援
215以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 20:11:22.69 ID:wE8fQcrU0
支援
965 :名も亡き都市伝説契約者:2009/11/15(日) 15:19:30
スパニッシュフライ契約者視点でこっそりと
勢いって怖いです

*********************
>>208
そういえば終間劇以外は普通の代理だったw
気付かせてくれてthx
217以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 20:16:55.10 ID:SmiWCKRX0
sien
218小ネタ(代理):2009/11/15(日) 20:18:33.30 ID:5dgcxTYi0
4年前
一件の通報が合った
内容は飛び降り
俺達が現場に着くと、確かに女が一人死んでいた
顔は潰れて判別できないが、目撃者の証言からその女が住んでいる部屋が判った
だから、俺と後何人かで、その女の部屋に乗り込む事になった

中に人の気配がするのにインターホンを押しても全く反応が無く、仕方なく大家から借りた合鍵でドアを開けた
それと同時に赤と黒の何かが部屋の中から飛び出し、俺たちの間を走り抜けた
恐らく、子供
ただ、異常に長く伸びていた髪でその顔や姿をハッキリと認識する事はできなかった
同僚二人がソレを追いかけていったので、ソレはそいつらに任せて
俺達は部屋の中に踏み込んだ
そこで、俺達が見たのは信じ難い光景だった
219以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 20:20:58.18 ID:SmiWCKRX0
支援
220小ネタ(代理):2009/11/15(日) 20:21:44.16 ID:5dgcxTYi0
散らかった部屋
その中にある大きな血溜まり
そして、恐らく男性の物と思われる遺体・・・
思われると言うのは、バラバラにこそなってなかったの物の、頭部は潰れ、身体も特に股間を中心に刃物で何度も刺されたらしくボロボロで、血で真っ赤に染まったソレはとてもじゃないが一目で性別を判断できるようなものでは無かった
一緒に入ってきた何人かは吐いていたがそれも仕方ないだろう・・・
それ位酷い有様だった

後にその遺体は飛び降りた女性の夫だと判明したが、に、しても謎が残る
飛び降りた妻
部屋の中で酷く切り刻まれ潰された夫
そして、部屋から飛び出して逃げていった子供
周囲の住民達に聞いても、その家に子供が居たという話は無い
なら、あの子供は一体何だったんだ?
夫を殺した妻が飛び降りた?
それは無い
明言はできないが妻の遺体にはそこまで夫の血は付着していなかった
なら、誰が?
あの、子供が?
221以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 20:22:25.36 ID:SmiWCKRX0
支援
222以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 20:24:11.72 ID:SmiWCKRX0
支援
223小ネタ(代理):2009/11/15(日) 20:25:07.44 ID:5dgcxTYi0
あの飛び出して行った何かを追いかけていった同僚二人
あいつ等はその三日後、遺体で発見された
一人は後頭部を何かで殴られ、もう一人は川辺で溺死した物が
アレが何だったのかは今になってもわからないままで
結局、夫を殺した妻が飛び降りた、と言う事でその事件は処理される事になり、あの子供と同僚二人の殉職については、何一つ判らないまま、事件の捜査は幕を閉じた

警官A「ってな事があったんだよ、丁度4年前の今日に」
警官B「不気味ですね・・・で、その子供は結局?」
警官A「わかんねぇまんまって言っただろうが、戸籍調べてもあの夫婦に子供が居たって情報は無くてなぁ・・・」
警官B「・・・子供の都市伝説?」
警官A「片方惨殺させてもう片方を飛び降りさせるようなガキの都市伝説は聞いた事ねぇ」
結局アレは何だったんだろうか・・・
224以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 20:26:36.66 ID:wE8fQcrU0
支援!
225以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 20:26:46.29 ID:SmiWCKRX0
支援
226小ネタ(代理):2009/11/15(日) 20:28:16.70 ID:5dgcxTYi0
少女「は・・・ックシュン!!」
チャラ女「風邪か?」
少女「多分違うと思う・・・誰か噂でもしてるのかな」
チャラ女「それ、迷信だろ?」
少女「まぁね・・・・・・今日で4年か」
チャラ女「何か言ったか?」
少女「別に、何も」
あの日からもう4年・・・今年も、多分、私は両親の墓には顔を出さずに終えるんだろう

終わる

968 :名も亡き都市伝説契約者:2009/11/15(日) 15:51:00
はないちもんめと警官Aの話
お互い顔も覚えておりません、と言うか警官Aは顔をちゃんと見れていない
はないちもんめは本気でキレるとヤンデレ弟並みに容赦が無いです
後、ドSなので遺体でも痛めつけます
黒服Dが居たら多分自重する
227バイトちゃんの憂鬱(代理):2009/11/15(日) 20:31:26.95 ID:5dgcxTYi0
ふと、携帯電話に着信が入る
元から自分が持っていたものではなく、この格好にさせられてから用意したものだ
「もしもし」
《よう、俺俺》
「詐偽なら切るぞ」
《融通利かないねぇ、俺だよ。壁に耳あり。声で判れよ》
「電話系の都市伝説だって結構あるだろ。俺俺詐偽なんてのが都市伝説に化けてもおかしくはない」
何故かメイド服が普段着になったメイドちゃ――バイトちゃんは不機嫌そうに呟いた
《つーかまあ、マッドガッサー一味に突っかかるなら携帯電話は捨てた方がいいぞ。爆発するから》
「……爆発する携帯電話、ってやつか」
《他のメンバーも概ね把握できた。『マッドガッサー』『魔女の一撃』『十三階段』『スパニッシュフライ』『マリ・ヴェリテのベート』『爆発する携帯電話』『頭を強打すると記憶を失う』とこんな感じだ。あともう一人……というか一匹いるっぽいけどな》
おおまかな能力についても説明を受けるが、どれもこれも厄介な事この上ない相手だった
《あと、どうやら奴らは本気の大攻勢を仕掛けるようだ。今のうちに止めれないようなら知り合い共々この町から避難した方がいいぜ》
「大攻勢? そいつら何をやらかすつもりだ?」
《奴らの本拠地らしい教会に『耳』を出してみたんだがな。話の途中で『マリ・ヴェリテのベート』に嗅ぎ付けられて喰われた。詳細はわからん》
「……ちょっと待て。それって、あいつらに本拠地が見つかったって教えてるようなもんじゃねぇか」
《……おお!》
「おお、じゃねぇよ!? ああくそ……他に話しておく事はあるか。無かったら次会った時に沈める」
《何気に酷いなお前》
「お前のボケ具合程じゃねぇよ!? 他に無けりゃ切るぞ! こっちでできる限り手を打つ!」
《そういえば》
「なんだ!」
228以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 20:32:19.87 ID:wE8fQcrU0
支援!!
229以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 20:32:31.73 ID:SmiWCKRX0
支援
230バイトちゃんの憂鬱(代理):2009/11/15(日) 20:34:36.64 ID:5dgcxTYi0
《お前、中途半端に身体治って女の身体にナニが生えてるんだって? MI6の方に都市伝説影響の資料として写真撮らせて欲しいんだが》
「よし*ね、というか次に会ったらマジで*す。逃げたらイギリスまで殴り込み掛けるぞ」
通話を切ったバイトちゃんの考えた事
現在の同居人や、以前に患者として面倒を見た少女を通じてそれぞれの組織に警戒を促す
もしくは――
「本拠地の教会とやらに殴り込むか」
どれだけの時間が残されているかは判らない
バイトちゃんは考えを巡らせながら、その場から駆け出していった
231占い師と少女:2009/11/15(日) 20:37:54.24 ID:5dgcxTYi0
南区にある商店街の一角。
私は占い師さんを連れて、買い物に来ていた。

「早く行きますよ、占い師さん」
「…………すっげぇ、重いんだけどよ」

そういう占い師さんの両手には、計4つのレジ袋がぶら下げられていた。
生鮮食品もこうして持てるのは、秋の冬日+曇り空の特権だと思う。

「つーか、こんなに買う必要あるのか?」
「安売りをしてる時にまとめ買いをした方が安上がりなんですよ」
「しかしだな――」
「大体、占い師さんが値段も見ないでスーパーで買ってくるのがいけないんですよ! チラシだって見ないですぐに捨てちゃうし……」

私が外出禁止を命じられていた数日間の食費は……正直あんまり考えたくない。

「塵も積もれば山となるんですよ。無駄遣いも続ければ莫大な金額になりますし、逆にそれを貯めればいざって時の貯金にもなりますから」
「へいへい…………」
「ほら、次の八百屋さんは占い師さんしか知らないんですから、ちゃんと先導お願いします」
「……そういや、まだ増えるんだな、この荷物……」
232以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 20:38:17.87 ID:SmiWCKRX0
支援
233以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 20:40:59.48 ID:SmiWCKRX0
試練
234占い師と少女:2009/11/15(日) 20:41:06.87 ID:5dgcxTYi0
「おう、兄ちゃん。今日はえれぇ大きな荷物持ってんな。それにこっちは例の譲ちゃんかい?」
「よう、八百屋の大将。それと『例の』なんて付けるとなんか如何わしくなるから止めてくれ」
「あ、あの、初めまして」

商店街の中心から少し外れたところに、その八百屋さんはあった。
(……これが、あの八百屋さん……)
実は、今回の最重要目的はこの八百屋さんの所在だったりする。
占い師さんがざっくばらんに、必要とあらば高い安いの区別なく買ってくる物の中で、唯一安いのが野菜だったのだ。
それも、全てスーパーでの定価の3分の1ほどの値段で。
それ気付いて占い師さんに問いただした後、教えてもらったのがこの八百屋さんなのだが……。

「人でいっぱいですね……」

八百屋の店先は、人でごった返していた。
地元の主婦が全員来ているんじゃないかと思うくらいの、主婦の群れ。
正直、怖い。

「いや、おかげさまで繁盛してるよ、全く」
「初対面で『おかげさまで』も何もないだろ」
「言葉のあやとりってやつだろう? 冗談が通じないと女の子に嫌われるよ、兄ちゃん」
「ああ、まさに今は『言葉のあやとり』状態だろうよ。しかも完全に絡まってる奴な」

親しそうに話す占い師さんと八百屋の大将。
昔からの知り合い以外、基本的に他人には無関心な態度を取る占い師さんにしては珍しい態度だ。
(…………もしかして)
235占い師と少女:2009/11/15(日) 20:45:02.08 ID:5dgcxTYi0
「あの、大将って、都市伝説とかと関わりは……」

間違っていても適当に取りつくろえる範囲で、大将に尋ねる。
私の場合は能力を使えばすぐに分かるだろうが、できるだけそういった無粋な事はしたくない。

「おう、契約者って奴だな」
「何だ、能力を使えば分かるだろ、お前は」

無粋な真似を平気でする占い師さんはこの際放っておく。

「じゃあ、この人ごみって……」
「俺の契約した『戦争状態の購買』の能力だな」
「え? でもここ、八百屋さんですよね?」
「契約ん時にどこでも使えるようになったんだわ」

……なるほど。
でも、職業倫理的にそれはどうなんだろう。
私の視線と、その意味に気付いたのか、大将は手をひらひらと振って

「なに、ちゃんと競争して買うだけのもんにはしてるつもりだよ、嬢ちゃん」
「つーか、ここに来た目的、覚えてるか?」
「えっと……」

ここに来た目的、つまりは野菜を買うため。
で、なぜこの八百屋かというと――
236以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 20:49:00.79 ID:SmiWCKRX0
未練
237以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 21:01:37.78 ID:SmiWCKRX0
ソ連
238占い師と少女(ry:2009/11/15(日) 21:07:10.16 ID:SmiWCKRX0
「……値段、ですか?」
「おう、大量購入して、能力を使って大量に売る。だからこそできる値段ってわけだ。確かに能力で購入意欲は増やしてるけどよ、何も操って無理やり買わせてるわけじゃねぇんだぜ? ちょいと色をつけて買っては貰ってるけどよ」

客商売をしてる上で身に付けた技能なのか、凄いマシンガントークだ。しかもべらんめぇ口調。
その後も、徐々に能力を使うのをやめて、1、2年後には全部このままの値段で売るつもりだとか、その他色々と言葉を正に「ぶつけ」られ、私は白旗を上げるしかなかった。

「……ってか、買い物はいいのか、嬢ちゃん。早くしねぇと売り切れちまうからよ、うちの商品は」
「………え?」

店先を見るが、人だかりで肝心の商品の量が分からない。
というか、さっきより人が増えてるようだった。

「お勘定はどうしてるんですか? あれだけの人を捌くのは大変そうですけど……」
「そこは能力使ってちゃんと無人のバケツに入れてもらっとるよ。野菜がなくなりそうだったらさすがに俺の出番だがな」

お勘定なんて所でも能力が発揮されるのか、と思わず感心してしまう。
……でも、これでもう疑問もなくなった。

「じゃあ私、行ってきますね!」

そう占い師さんに声をかけて、群衆(まさに『群衆』だ)の中へと飛び込んでいく。
能力を使って、最短に、安全行けるルートを検索する。
ちょっと怖いけれど、私だって負けられないのだ。
239占い師と少女(代理):2009/11/15(日) 21:08:07.62 ID:SmiWCKRX0
「元気ないい子じゃねぇか、兄ちゃんにはもったいない」
「それ以上言うと殴るぞ、大将」

……未来が人だかりの中へと入り消えた後も、俺は大将と話を続けていた。

「しっかし、俺のかみさんはお前さんの話になると毎回『あんな偏屈、契約者を得られるわけがない』っつってたのになぁ」
「大将も会うたびにその話をしてる事に気づいてんのか?」
「いやいや、今日はかみさんが都市伝説契約者だったって知った日の次に驚いた日になってんだよ。実物を見ちまったんだからな」
「未来が都市伝説みたいな言い方だな、おい」

以前この町に住んでいた知り合いの都市伝説、その契約者の夫がこの大将だった。
……いや、会った当時は大将もその嫁もガキだったから夫になるかどうかは知らなかったが。
その嫁は数年前に病気で死に、それと期を同じくして都市伝説の方も町を去ったらしい。

「ってか、俺的には大将が都市伝説と契約した事の方が驚きなんだが」
「そりゃ、死ぬ前かみさんに『店おっきくして、でっけぇ墓建ててやる』って言っちまったからなぁ。悪魔じゃなく都市伝説に魂を売ったわけよ、俺は」

まぁ、縁起でもないって殴られちまったけどよ、と冗談交じりに言っているが、内容はひどく凄惨だ。

「まぁ、大将が状況を受け入れてるならいいんだけどな」
「そりゃ、契約した以上は受け入れるしかねぇだろうが」

その一言で片づけられる大将は、きっと強いのだろう、その精神も、妻との絆も。
俺と未来の絆は、はたしてどれだけの強度を持っているのだろうか。
(後で聞いてみるか……)
その時未来がどんな顔をするのか、今から楽しみに思う占い師だった。

○月×日 13;00


「ふぅ……」

 ぐででん
 少年…否、今は少女だが…は、力尽きかけていた
 安らかに力尽きかけていた
 祖母の特訓は、学校が休みなのをいい事に朝から続いており、安らかに力尽きる一歩手前
 今、流石に昼食を挟んだ休憩中な訳だが…体中、色々と限界だ
 流石に、女の姿のまま死ぬのは嫌だな……と、ちょっと意識が遠のいた時

「……くけ?……大丈夫、か……?」
「………へ?」

 かけられた、声
 声の方へ視線をやると…そこには、大き目の鞄を抱えた女性の姿
 「爆発する携帯電話」の契約者だ
 一瞬、鞄の中に、何かもふもふした生物が入り込んでいったように見えたのは、気のせいだろうか?

「あー、携帯の兄ちゃん…うん、大丈夫」
「…そう、か?」

 小さく、首を傾げられた
 そう言ってきている「爆発する携帯電話」だが…そちらも、少々顔色が悪い
 体調でも、崩しているのだろうか?

「兄ちゃんこそ、顔色悪いぞ」
「………平気、だ」
 小さく、そう答えてきた「爆発する携帯電話」の契約者
 ……じっと、少年を見つめてくる

「…?どうしたんだ?」
「…………夜」

 ……?
 夜?
 夜が、どうしたのだろうか?
 少年が、首をかしげていると

「…夜、までに………学校町を、離れろ」
「………え?」

 …学校町を、離れろ?

「どう言う事?」
「……危ない、から………」

 危ない?
 ますます、少年は首をかしげるのだが

「………それじゃあ」

 と、「爆発する携帯電話」は、少年に背を向けて歩き出す

「あ、ちょっと待っ………」

 追いかけようとするが、体の節々が痛く、立ち上がれない


 …最後に
 一瞬、「爆発する携帯電話」の契約者が、振り返ってきて

「………御免」

 と、呟く様に言ってきたのが、少年の耳に届き
 「爆発する携帯電話」の契約者は、路地裏へと姿を消していったのだった



to be … ?
【上田明也の綺想曲5〜国立「久遠寺病院」後編〜  】

「アキナリ、その子に能力を解除するように言ってくれないか?」
病院から脱出するとすぐにサンジェルマンは俺に指示した。

「ふむ、……そういうことか解った。」
「上田明也は何をやっているのかしら?」
まだ事情が飲み込めていない橙は首をかしげる。
「橙さん、都市伝説を使わない状態にしてください。」
メルが俺の代わりに指示を出す。
「え、どういうことなのハーメルンの笛吹き?」
「まあまあやってみろ、それで少しは事情が解るはずだから。」
俺とメルに言われてやっとやる気になったらしい。
「これを解くと目が見えなくなるけど……。解いたわ、上田明也。」
「やあ、お嬢さん、僕の声は聞こえるかな?」
「――――――!?」
彼女はさぞかし驚いたであろう。
隣から急に全く別の人間が現れたのだから。
「貴方は誰なの!?」
「こんにちわ、お嬢さん。僕の名前はサンジェルマン。今回君を助ける算段をした人間だ。」
「マスター、これってどういうことですか?」
二人の様子を見たメルが俺に問いかけてくる。
「ああ、ラプラスの悪魔じゃサンジェルマンは捉えられないんだろう。」
「う〜ん……?」
まだ解っていないらしい。
「ラプラスの悪魔というのはある瞬間における全ての物質の力学的状態と力を知ることができ、
 かつそれらのデータを解析できるだけの能力の知性を持つ仮想の存在なんだ。
 サンジェルマンは不老不死だ。故に全ての時間空間に存在しているに等しい存在なんだろう。
 すべての時間場所で連続して存在し続けている存在なんだからラプラスの悪魔が知覚できるわけもない。
 まあ推論だけどな。」
「ちょ、ちょっと解りました。とにかく能力の相性が悪いって事ですね。」
「まあそういうことにしておけ。」
橙とサンジェルマンの二人はまだ話を続けていた。
「とりあえず君はしばらく能力を使わない方が良い。」
サンジェルマンは警告する。
「なんでよ、これがないとぼくは何も見えないわ。」
橙は聞かない。
「でもその能力を使いすぎていると貴方死にますよ?」
「何よ、ぼくだってね、この契約で始めて目が見えるようになったの。
 目の見えなかったぼくが始めて見た世界がどれだけ輝いていたか貴方は解る?いや、わからないわ。」
「だけど貴方の能力は大味すぎるんですよ、もっと小規模に小規模に抑えて使わないと脳に負担がかかります。」
「そういう貴方は何様なの?余程都市伝説の使い方に習熟しているみたいね。」
「ええ、不老不死ですから。時間だけはありあまっています。」
「さっきのサンジェルマンって……、偽名かなんかじゃなくて自分は本物だって言いたいのかしら。」
「そうですよ。ちなみに貴方の能力はもっと範囲を狭くすれば身体に負担は無くなります。
 貴方にはこれからその方法を教えようかと。」
「……あほらしいけどまあ良いわ、とにかく助けてくれてありがとう。
 上田明也もハーメルンの笛吹きもありがとう。
 それだけは言っておく。」
「どういたしましてです、橙さん。」
メル……お前は今回ほとんど仕事していなかっただろうに。
「安心しろ橙、俺もサンジェルマンは信じられない。だからさっき仲間とは言わなかったし。」
まあ良い、今回は気にしないことにしておくか。
「うわひどっ!アキナリそれはねえよ!」
大げさなリアクションで落ち込んだ振りをする。
「一々大げさなリアクションをする奴め。」
「不老不死というのは暇なんですよ。」
「暇つぶしに付き合わされる方は堪らないがな、さっさと薬ヨコセ。指がくっつかなくなる。」
「アア、ごめん忘れていたよ。ほら、僕の錬金術で作った薬。」
「さんきゅう。」
塗ってから指をつけると面白いほど簡単にくっつく。
「なあ、これって接着剤の類なんじゃねえの?」
「アクリル樹脂系ですね。」
「瞬間接着剤じゃねえか!」
「くっつけば何でも良いんだよ!!」
「お前が言うと冗談に聞こえないからやめて!?」
247以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 21:22:33.48 ID:JkfUXZgN0
支援だ
248以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 21:31:24.91 ID:SKQsuj32O
ただいまシエンタ
俺とサンジェルマンのやりとりに呆れたように橙が口を開く。
「ねぇ、ところでこれからぼくはどうなるの?薬とかなんだとかは作れるらしいのは解ったけど寝る場所とかなんだとか。」
「ああ、それ言い忘れていましたよ。アキナリ、君に貸した家は広かったですよね。」
俺に会話を振るな、と言いたいが仕方ない。
「そうだな、だがそれがどうした?」
「いや、僕って旅行で良く自宅を空けるものですから君に彼女を頼もうかなあと。」
「それは狼に羊の番をさせるような物だと思うがどうだろう、我が友よ。」
「良いじゃないですか、狼は群の仲間を必死で守るのですよ?」
「大体橙はどうなんだ、俺のようなロリコンの元に預けられるのは嫌だろうさ。
 その上俺だって家事の出来ない子供をすでに一匹飼っているんだ!
 借りているとはいえ俺の家は保育園ではない。」
「マスター、飼っているとは失礼な!家事は私にさせないだけじゃないですか!」
「お前コーヒー淹れる以外何も出来ないじゃねえか!皿を何枚割った!キッチン無双かましてんじゃねえぞ!
 これほど悲しい千人切りも予想できなかったわ!」
「うるちゃい!朝のコーヒーで貢献度は充分じゃないですか!」
「誰がうるちゃいだと!?表出ろ!」
「ここが表です!」
「はっはっは、痴話喧嘩ですか?」
「「ちゃうわ!」」

「あははは……。」
ぎゃあすかぎゃあすか騒いでいると橙が笑い出した。
「どうした橙?」
「いや、眼ではみんなの様子が見えないけれどすごく楽しいなと思って。
 こんなに楽しいのって久しぶりで……。」
しばしの沈黙。
「……まあなんだ。今回はちょっと良い事したか。
 この馬鹿の所が嫌なら俺の所に来い、悪いようにはしないよ。」
ちょっと照れてしまった。偶には良いことするのも悪くない、というか良い。
「アキナリ、偶には正義の味方を気取るのも悪くないでしょう?」
「ああ、偶にはな。」
「じゃあそろそろ家に帰りましょうか?」
サンジェルマンがそこら辺の建物のドアを適当に開く。
適当に開いた先には見覚えのある彼の家だった。
というか俺が今借りている家だった。
「え?こんなところに家?」
橙は驚いている。
「これも僕の能力ですよ、ここから大分離れた所にあるアキナリの家にワープしました。」
「もう驚けない……。」
「安心しろ、こんなチートがそうそう物語に出て堪るか。」
「なんだ、まるで僕が物語からは意図的にはぶられているみたいじゃないですか。
 僕にはまだまだ野望があるんです、彼女の救出はその一環。
 これからもアキナリには働いていただきますよ?
 そして僕はこれからも暗躍します。今回の事件も表面上は貴方一人があの施設に侵入」
「ただし無料働きは次から無しだからな。」
「そうですね、じゃあ次からは何か考えておきますよ。
 これから一週間ほどその子の特訓の為に家に行きますからご飯作ってくださいね?
 あなたの家に置いてある牡蠣の塩辛でご飯食べたくてしょうがないんです。」
「俺の料理目当てじゃないしなそれ。」

サンジェルマンが何を考えて居るかは全く解らない。
解らないが良いだろう、すくなくとも橙は救えたのだ。
そう思って俺は家の大きなソファーにどっかりと座り込んで眠ったのだった。
ちなみに丁度一ヶ月後、俺は女性に変えられることになるのである。
【上田明也の綺想曲5〜国立「久遠寺病院」後編〜 fin】
252以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 22:02:57.42 ID:SKQsuj32O
しえ
○月×日 16:00

 かつん、かつん
 廃墟ビルの階段を上がっていく、黒服一人
 かつん、かつん
 ゆっくり、ゆっくり、警戒しながら階段を上がっていって

「……おぉ」

 しゅるりっ
 目的地にいたそれらに、思わず髪を伸ばす

 そこには、ぐったりとした女性が数人
 全てが、適当に体にバスタオルを巻きつけただけという、なんとも素敵な格好
 まぁ、バスタオルを巻きつけられているだけ、まだ良い扱いだろう
 …その内の、一人に
 黒服は、覚えがあった

「…「富山の薬売り」、やっぱ捕まってたのか」

 女性の姿になってしまっているが、何となくわかる
 ゴブリン・マーケットにも出入りしており、「組織」にもある程度の霊薬の類を降ろしていた「富山の薬売り」だ
 行方不明になっていたと聞いていたが、やはり捕まっていたのか

 …さて、この状況
 どう見ても罠だよなぁ
 黒服が、わりとのんびり考えていると

「…どうして、あんたが来たんだよ」

 頭上から、かけられた声
 おや、と上を見上げると…部屋の階段の、その上に
 「13階段」の姿があった
「よぉ、「夢の国」騒動以来だな」

 わりと気楽に、ひらひらと手を振る黒服
 「13階段」は呆れたように肩をすくめた

「変わってねぇなぁ」
「まぁな。俺はずぅっと変わらねぇよ」

 くっく、と笑ってやる
 やや呆れた視線を向けてきていた「13階段」だったが……不意に、その視線が鋭くなった

「…よくも、俺の仲間の片腕持っていこうとしやがったな」
「許してくれや。上からの命令なんだよ。下っ端って奴は大変でね」

 どこかおどけた調子で、そう答える黒服
 この黒服の性格をある程度知っているからか、「13階段」はそれ以上は追求はしてこなかった
 だが、睨みつける視線は、そのままで
256以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 22:04:40.91 ID:SKQsuj32O
試演

「……いい目をするようになったじゃねぇか」

 呟く様にそう口にする黒服
 本当、いい目をするようになった
 「組織」にいた頃のように、自分が何の為に戦っているのかわからないでいた「13階段」とは、もう違う

 …護る者を得た、そんな人間の顔をしていた

「褒めてくれてどーも。これも、あんたがあの時、俺に逃げるよう言ってくれたお陰だよ」
「どういたしまして」
「……さてっと、本題に入ろうか」

 さて、どうしたものか
 「13階段」の視界に、ここから出る為に使わざるを得ない階段が入ってしまっている
 彼の能力の適応範囲は、視界に入る階段全て
 逃げるとしたら、窓から逃げるしかない

 …黒服は、「13階段」と戦うと言う選択肢はとっくに捨てていた
 元々、あのお人よしの黒服の真似事をしたくなって、ちょっかいをかけるようになった相手ではあるが
 心が壊れている彼でも、ほんの少しは情のようなものを持っている
 ほんの少しだが、面倒を見た相手を殺すのは気が引けた

「あんたがここに来たのも、運命だと思おうじゃないか……こっちと、手を組まないか?」
「俺に「組織」から抜けろ、ってか?」
「そう言う事。あんただって、ハーレムとか心引かれるだろ?こっちの仲間になるなら、マッドガッサーの腕を引きちぎりかけたの、許してやるぜ?」

 ふむ
 なんとも、魅力的な誘いだ
 ハーレムとか、最高だろう
 ……しかし

「悪い、断るわ。お前らについて、生き延びられる確立、あんま高くなさそうだし」
「その低い確率に浪漫をかけるつもりは?」
「ない。死ぬのは御免だからな」

 わかっているだろう?…とでも言うように、黒服は「13階段」を見あげた
 そうか、と「13階段」は失望したような……わかりきっていたような、そんな表情を浮かべて

「………残念だよ」

 と、そう、黒服に告げてきた
259以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 22:06:03.29 ID:SKQsuj32O
しえん


「ん〜…………あれぇ?」

 「三面鏡のあわせ鏡」と契約している少女は、首をかしげた

 …黒服Hと、電話が繋がらない
 先ほどから携帯に電話をかけようとしているのだが、電話に出ないのだ

「どうしたんだろ…?」

 仕事が忙しいのだろうか?
 マッドガッサーのことで、相談したい事があったのだが…
 少女は黒服Hに電話をかけるのを諦め、「呪われた歌の契約者」に電話を駆ける事にした
 こちらは、すぐに出てくれる

『はい、どうしました?』
「あの…黒服Hさんに電話かけようとしたんだけど、繋がらなくて…」
『あら…きっと、仕事が忙しいんじゃないかしら?今、学校町はバタバタしているから…』
「やっぱりそうかぁ…」

 ううん
 それじゃあ、仕事が忙しい中、電話をかけるわけにもいくまい
 彼女に、相談しよう

「あの、ちょっと、相談したい事が…」
『えぇ、構いませんわ』

 あぁ、良かった
 少女はほっとして、「呪われた歌の契約者」に相談事をはじめたのだった


「………」

 「三面鏡の合わせ鏡」の契約者の少女との、電話を終えて
 「呪われた歌」の契約者は、小さくため息をついた
 …黒服Hと、電話が繋がらない
 その状況は、彼女も同じだった

 ……おかしい
 どんなに忙しい時でも、電話に出てくれるはずなのに

『俺が電話に出なかったら、俺が何かヤバイ状態になっているんだと思ってくれ』

 どこかおどけたように笑いながら言ってきた黒服Hの顔が、脳裏をよぎる

「………大丈夫、ですわよね…」

 携帯を握り緊めたまま、「呪われた歌の契約者」は、不安げに呟いたのだった



to be … ?
262以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 22:08:23.80 ID:SKQsuj32O
C
ソレが『組織』「本部」へやって来たのは、午後のお八つの時間を回ってからだった。

黒服?「おいたわしや……」

頭部をガスマスクで覆った黒服は、少女化した先輩の黒服の近くまで歩み寄って来た。

黒服?「嗚呼こんな、こんな身体になってしまって。ああもう、可愛いアホ毛まで生やしちゃって」
黒服Y「だれだっけ?」

周囲の黒服達の視線を集めながら、
目の前のガスマスク黒服は、よござんす、とばかりにガスマスクに手を掛けた。

黒服?「ん、あれ? 外れない! あ、あれ、ここがこうなって……。 む、ぐ、ぐぐ」
黒服Y「……」

ガスマスクを外そうと躍起になる黒服、
その様子に突き刺す様な視線を送る周囲の黒服達、
そんな中、黒服Yはガスマスク黒服の様子を見ながら――

黒服Y「あ、もしかして"I"?」


黒服I「くおあああ! 外れない! 首、首が、しまるー!!」
黒服I「や、やあどうも、お久しぶりですY先輩」

数分の格闘の後、ガスマスクを脱ぎ捨てた黒服Iは
まさに窒息寸前といった体だった。

黒服Y「ホント久しぶりだね〜。あ、そう言えば
    「辺境」に連絡入れたんだけど、誰も出てくれなくてさ。
    全員出払ってるの?」
黒服I「実は、その事込みでお話したいのですが……」

そう言って黒服Iはチラと周囲に視線を送った。
先程まで痛いほどの視線を送っていた周囲の黒服達は
ガスマスク黒服の正体がIだと分かると、何事も無かったように各自の仕事を行っている。

黒服Y「色々とアレな内容なんだね」

彼――尤も、今は彼女だが――の尋ねに、Iは小さく頷く。
黒服Yは黙ってIの袖を手に取ると、室外へとグイグイ引いていった。
黒服達の居るオフィス然とした部屋から出て、
無機質な印象を与える廊下を歩き、
黒服Yはとあるドアの前で立ち止まる。
すばやく左右を見回して、人の居ない事を確かめると
黒服YはIをドアの向こうへ引っ張り込んだ。

部屋の中は、使われていない小会議室のようだ。
この部屋には窓が無く、照明も切ってあるために
唯一の光は、床近くに設置された使途不明の青色ランプのみだ。

Yは後ろ手でドアを閉めた。

黒服Y「ねえ、後輩」
黒服I「どうしました?」
黒服Y「ワタシとアナタしか居ないからって、襲ったりしないでね」ウルウル
黒服I「……」

グーを作った両手を胸元に持っていき、やたら眼をウルウルさせるY。
黒服Iは口を真一文字に結んで、数秒の間両の眼頭を押さえた。
すぅぅぅぅ、と息を吐き出す。

黒服I「申し訳ありません、Yさん。その、何て言うか……
    悪ノリしてる時間が、あまり無くて、ですね……」
黒服Y「ごめん」

先程の表情から一転、Yは真剣な目つきでIを眼差した。

黒服Y「また、危ない事に巻き込まれたの?」
黒服Iは『組織』の中でも「辺境」という部分に属している。
無論それは「本部」の認可を受けたモノという訳ではなく、
事情を知る一部の間で通称として用いられている呼称だ。

「辺境」は――極端な物言いをするならば――『組織』から村八分を受けている。
そもそもの発端は、Iの上司である黒服Vが30年ほど前に「ある事件」に与した廉で
その制裁として村八分を受ける事になった、という話らしいが
黒服Iはその辺の事情に詳しい訳ではない。

そういった事情があって、「辺境」のオフィスは「本部」内には存在しない。
黒服達の中でも「辺境」という存在を知らない者は多く、
知っていたとしても無視するか厄介者扱いするかのいずれかだ。
まともな対応を行ってくれるのは、黒服Yか禿の黒服くらいなものだし、
実際、「辺境」が手を付けた事件に関わる事も多かったのは、これらの黒服だった。

時折、黒服Iが『組織』に"出向"しては定例報告をおこないに来るのだが
用が済めば早々に引き上げてしまう。
このようにして、他の黒服に接触を図る事自体、何かあるのだという事――。


黒服Yの真剣な眼差しに対し、Iは慌てた様に突き出した両手をブンブン振った。

黒服I「いやいや違うんですよ。いえ、確かに厄介事には現在進行形で巻き込まれてますけど。
    今回は、Yさんに渡す物があって来たんです」
黒服Y「渡す物?」

Iは懐から小さなガラス瓶、バイアルを取り出した。
差し出されたそれを黒服Yは黙って受け取る。
バイアルのラベルには黒字で"Rev-00.3(A-MG)"、
赤字で"対「マッドガッサー効果」用 「都市伝説」のみに使用する事"と記されている。
267バール 黒服I(代理):2009/11/15(日) 22:19:59.01 ID:Cd/JAp1JP
黒服Y「何これ」
黒服I「『マッドガッサー』のガス作用を解毒する薬剤です」
黒服Y「誰がつくったの」
黒服I「"マック"さんですよ」
黒服Y「ああ、黒服Mだね。なるほど……。
    気になったんだけど、この"Rev-00"ってアレの事だよね」
黒服I「はい、そうです。「侵食率抑制剤」の事ですよ」


アレ――つまり、"Rev-00"とは「辺境」の事情を知る黒服達の間で
他言無用とされている薬剤である。

都市伝説と「契約」をおこなった「能力者」の中に
「取り込まれる」といった状態になる者がある事はよく知られている話である。
この「"Rev-00 侵食率抑制剤"」は「都市伝説」に「取り込まれ」、
「末期症状」に陥った「能力者」への使用を想定して作成された薬剤だ。
その名称こそ「抑制剤」だが、実態は「末期症状」にある「能力者」の
「都市伝説からの侵食率」を強制的に低下させるといったものだ。

黒服Mによると、『投薬試験のバイト』『脳は10%しか使われていない』といった
都市伝説から捻り出した代物らしいのだが、「辺境」の方針で『組織』へ報告はおこなっていない。
それ故に、その存在を知る黒服達もまたこの事を秘密にしている。

加えて、"Rev-00"の使用に際しても様々な禁忌や副作用が付いてまわる。
運用が非常に厄介な薬剤なのである。
268以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 22:20:40.42 ID:SKQsuj32O
しえん!
269バール 黒服I(代理):2009/11/15(日) 22:20:42.35 ID:Cd/JAp1JP
黒服Y「確か、これって都市伝説自体への投与は危ないんじゃ?」
黒服I「ええ、"Rev-00"そのものは都市伝説への投与は禁止されています。
    ただ、この薬剤"00.3"は"Rev-00"を基に作成された解毒剤でして
    "Rev-00"とは組成が全く違うから大丈夫らしいんですよ」
黒服Y「へぇー」

因みに、この薬剤を作成した黒服Mもまた「辺境」の一人である。
更に言うと、「辺境」のスタッフは上司であるV、部下のM、Iの3名のみである。

黒服I「この解毒剤の使用に関してなんですけど、2つ注意点があります。
    まず1つは、「都市伝説」に対してしか投与出来ません。
    そして、あと1つは――」

そこまで言うと、唐突にIの顔面の陰影が濃くなっていく。
背後からは「ゴゴゴゴゴ」という効果音まで響き始めた。

黒服Y「何だよ、早く言ってよ」

そして、緊張感が極限まで達した、その時。

黒服I「――臨床試験を、一切、おこなっておりません」パンパカパーン
黒服Y「……すごく危ないね、それ」
黒服I「あ、でも安心して下さい。"マック"さんが言うには大丈夫だそうですよ」
黒服Y「何故だろ、Mの言葉がすごく信用できない」
270バール 黒服I(代理):2009/11/15(日) 22:22:27.29 ID:Cd/JAp1JP
黒服I「とにかく、イザという時の為に取っておいて下さい」
黒服Y「くれると言うならなら貰っておくよ、ありがとう」
黒服I「あ、あとコレを」

そう言って、Iは再び懐へ手をやった。
黒い正方形のボックスを渡してくる。

黒服I「精神感応金属【オリカルクム】を含有するゴム弾です。64発しか用意出来ませんでしたが」
黒服Y「わあ、これが」
黒服I「"マック"さんの能書きでは、対象を一撃で昏倒させられる様ですね」
黒服Y「頭部か頸部、背骨に命中させさえすればね」
黒服I「あと効果は未知数ですが、霊体系の都市伝説にも有効だとか」
黒服Y「【オリカルクム】って入手しづらいからねー。
    Mにありがとうって伝えておいて」
黒服I「あ、あとそれから」
黒服Y「なになに? まだあるの?」

黒服I「こちらは8発しか作成出来なかったらしいのですが、硝酸銀内臓の特殊弾丸です。
    『マリ・ヴェリテ』に効果があれば良いんですけど。
    ゴム弾と同様、殺害する事には向きませんが、無能力化する事は可能なはずです」
黒服Y「ありがとう。使うかどうかは別としてだけど。
    使わないままであれば一番なんだけどね……」
271以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 22:23:09.91 ID:SKQsuj32O
支援
272バール 黒服I(代理):2009/11/15(日) 22:23:24.43 ID:Cd/JAp1JP
黒服I「そう言えば、先程「辺境」に連絡を入れたとか何とか」
黒服Y「ああ、うん。
    今マッドガッサーとかコーク・ロアとかで忙しいから
    「本部」と一緒に動けないかなって思ったんだよ」
黒服I「そういう事だったんですか。
    いやあ、実は「辺境」一同、辺湖市にいまして」
黒服Y「えー、自分達だけ避難したのー? 一緒に仕事しようよ」
黒服I「いえそれがですね、実は、知らない内に都市伝説と契約してしまったという
    一般人の方がいましてですね、何やらパニック起してるようなんで
    とりあえず私達で落ち着かせてるという……」
黒服Y「そっかー、僕達じゃ辺湖に入りづらいからねー。
    『イルミナティ』の目もあるみたいだし」


黒服I「実は……、その方の契約した都市伝説、『災厄を招く彗星』なんですよ。
    最悪、彗星が地球に突っ込んで来ます。
    そうなったら――"マック"さんの計算では地球の半分が消し飛びます。
    悪い事に、その契約者の方、精神状態がかなりよろしくなくてですね……。
    現地のフリーの「能力者」の方と説得をおこなってるんですけど……」


黒服Y「あはは、頑張れ。地球の命運は君達の仕事にかかってるぞ」 ポムポム
黒服I「いや笑い事じゃないですから!
    それ言うならYさんもメンドくさいとか言わないで頑張って下さいよ!
    私達は支援に行けるかどうか分かりませんからね!」
273バール 黒服I(代理):2009/11/15(日) 22:24:43.84 ID:Cd/JAp1JP
それでは失礼しますよ、と黒服Iは暗い部屋から立ち去ろうとして――

黒服Y「 I 」

呼び止められた。
Yは親指と人差し指を立て拳銃の形を取ると、Iに向けた。

黒服Y「死ぬなよ、後輩。――誰も殺すなよ?」

Yの言葉にをIはきょとんとした様子だったが、
やがて、ふ、と笑い、その言葉は先輩にもお返ししますよ、と応えた。




今度こそ失礼します、と言って、彼は「本部」を去った。
Yは依然、Iと秘密の会話を交わした暗い部屋に居た。
背中を壁にあずけ腕を組んだまま、目を閉じている。

黒服Y「分かってるさ、後輩。僕はちゃんと、分かってる」

彼は、少女の声で、そう小さく呟いたのだった。




打ち止め
274以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 22:28:37.16 ID:pgaYL7rAO
まさかのY支援
275以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 22:33:10.17 ID:SKQsuj32O
YカッコイイよY
276以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 22:43:20.73 ID:pgaYL7rAO
自分じゃYをこんなにカッコよく書けないぜ


そうかYは先輩なのか



 先輩Y―同僚
  |
 後輩I

DさんとHさんはこれの上なのかな
277料理店 >>242の続き:2009/11/15(日) 23:00:05.79 ID:SKQsuj32O
〇月×日 13:30

「…ふんがっ………ぬおっ……こ…のぉ」
「何をしているんですか?芋虫みたいな動きをして」

 寝転んだままもぞもぞと這う少年を見て呟く。いつもなら休憩時間は死んだように動かないのだ。

「オーナー!?いいとこに来た!なんか薬くれ!」
「回復薬の使用はひきこさんに禁止されているのでは?」
「それどころじゃねぇ!なんか変なんだ!さっき携帯のにーちゃんが来て、夜までに学校町から離れろって…!」

その言葉にオーナーの眉が跳ねる。

「…禿さんから聞いた、夢の国の時と似ていますね。あの時も一部の方々は学校町から避難した、と聞いていますし」
「ああ。携帯のにーちゃんはなんか知ってて、それで逃げろって言ったんだと思う」
「では逃げますか?」
278料理店:2009/11/15(日) 23:01:06.97 ID:SKQsuj32O
 そう問い掛けるオーナーだが、内心、答えなど解っていた。
 そして少年は答える。強い決意の眼差しと共に。

「冗談じゃねぇ!危ねーもんがいるっつーなら、なんかやる前にこっちから出向いてブチ倒す!」
「……あなたならそう言うと思いましたよ」

 予想通りの答えに軽い苦笑が零れる。自分の契約者は、他人が傷つくのを知って放っておける人間ではないのだ。

「とりあえず携帯のにーちゃんを探そう。なんか様子が変だったし」
「わかりました。ひきこさんも呼んできます」

 ……おそらく携帯の彼はその一件の中心部に近い所に居るのだろう。少年は人が傷つくのを嫌う。…知り合いならば尚更だ。
 オーナーはひきこさんを呼びに走り出す。

「そーいや、なんで携帯のにーちゃん謝ってきたんだ?こっちが礼を言うならともかく…」

走り去るオーナーを見ながらふと疑問に思う少年であった。

279以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 23:03:38.36 ID:SKQsuj32O
なんか沸いてきたから書いてみた
この後、爆発する携帯電話を探しながら学校町を走り回ります

そして代理の方乙でした!
280以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 23:22:42.79 ID:SKQsuj32O
避難所>>31
了解しました!wktkしてまってます
281以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 23:55:13.25 ID:pgaYL7rAO
ぐぅ
282以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 00:21:57.35 ID:JJa2UWT1O
ぱんち
283以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 01:06:06.57 ID:DxqDiS/XO
クリティカルヒット!
284以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 01:42:49.34 ID:JJa2UWT1O
タラランタッタッターン
285以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 02:59:39.63 ID:JJa2UWT1O
286以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 05:46:34.06 ID:ho6M6leKO
287以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 06:45:10.61 ID:SqwxE7QhQ
288以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 08:22:00.68 ID:ho6M6leKO
289以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 09:22:12.67 ID:hjyCVyJwO
290以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 10:13:40.82 ID:DxqDiS/XO
291以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 11:36:40.79 ID:ho6M6leKO
292以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 12:48:56.42 ID:SqwxE7QhO
293以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 14:05:22.28 ID:SqwxE7QhO
294以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 14:55:31.10 ID:JJa2UWT1O
295単発ネタ「utopia」:2009/11/16(月) 16:05:18.92 ID:ho6M6leKO
昔、私の家は裕福だったらしい。でも、私にはそのころの記憶はなく、あるのは借金まみれの日々だけだ。父はバブルがどうとか言っていた。
父は言っていた。子供なんかつくるんじゃなかったと。養育費ばかりかかってしかたがないと。あの頃はよかったと。
いつも父は辛そうだった。母に逃げられ、借金取りに追われ、子供の世話をして。
だから、私は父を幸せにしてあげた。

善い事をした後は気分がいいものだ。先程交番に届けた財布の落とし主はさぞや困っていた事だろう。そんな事を考えながら歩いていると、知らない男が立ち塞がった。
「こーんにーちはー。望月さんですよねー?組織の命令でー、討伐に来ましたー。」
組織?討伐?この人は何を言っているのだろうか。
「何不思議そうな顔してんすかー。こないだー、東区のスーパーのー、従業員のほとんどがー、家で餓死してんのがー、見つかったんすよー。でもー、一人だけー、生き残りがいるんすよー。それがあんたじゃないっすかー。」
ああ、そんな事もあったっけ。
「いちよー他にもー、生き残りはいるんすけどー、めぇ覚まさないんすよー。たまーに、起きても全然反応してくれないしー。だからー、あんたに話をききにきたんすよー。てゆーかー、被害者んなかにー、俺のかーちゃんもいるんすよー。
 ……………………………………………何してくれてんだ、てめぇ!」
296単発ネタ「utopia」:2009/11/16(月) 16:08:48.57 ID:ho6M6leKO
この男は何故怒っているのだろう。全く理解出来ない。この男は知らないのだろうか。
彼等はみんな、笑っていたじゃないか。
みんな言っていたじゃないか。辛いと、苦しいと。歳はとりたくないと、面倒臭いと。あの頃はよかったと、遊ぶ金が欲しいと。
だから、私は皆を幸せにしてあげた。みんなは喜んでくれた。だから、帰って来ない。こんな現実(ディストピア)にいたくないから。食べる事などどうでもいいくらい、あちらが楽しいから。
「殺してやる。俺の『人間シチュー』で、殺してやる!」
ああ、そうか。寂しいのか。母親がいなくて。この男もここが嫌なのか。辛いのか。苦しいのか。
じゃあ、幸せにしてあげよう。
突然、彼の足元に大穴が出現し、彼は落ちていった、そんな幻覚。実際には身体は、そこにあるのだから、幻覚なのだろう。
私は、何時でも何処でもこの穴を作る事が出来る。そして、一度落ちたら二度と戻れない。いや、もしかしたらいつでも帰って来れるのかもしれない。でも、私は一度も帰ってきた人を見た事がない。
父も、母も、レジのおばさんも、品だしのお兄さんも、店長も、借金取りのおじさんも。そして、きっとこの男も。
だってこの穴の向こうは、誰もが幸せになれる国「理想郷」。私の大切な、人を幸せにする都市伝説。私だけが入れない、幸せの国。

善い事をした後は気分がいい。そんな事を考えながら、私は家路についた。

297以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 17:00:30.23 ID:eTs4iN+e0
ほしゅ
298以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 17:06:43.97 ID:DxqDiS/XO
ぐぅぱんちの時間差攻撃でこんな恐い話がくるとは
299以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 17:37:50.06 ID:ho6M6leKO
ほし
300以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 18:12:41.57 ID:ho6M6leKO
301とある組織の構成員の憂鬱(代理):2009/11/16(月) 18:18:20.28 ID:X3zmHyyH0
『…あぁ、黒服さんか?』
「はい…すみません、Tさん。お忙しい中」
『いや、こっちはさほど忙しくないさ…それで、どうしたんだ?』

 夕日がゆっくりと沈もうとしている街並み
 それを見下ろしながら、黒服はTさんに連絡をとっていた
 その背後では、マッドガッサー事件の被害者達が、慌ただしく保護されていっている

「マッドガッサーの件に関しまして、良い報告と悪い報告が」
『……ひとまず、良い報告から聞こうか』

 はい、と頷き…黒服は、ゆっくりと話し出す
 それは、今まさに、彼の背後で行われている事
 …行方不明になっていた被害者達が保護された、ということだ
 全員ではないが、かなりの人数が保護された
 その中に、「富山の薬売り」の姿もあった事は幸いだ
302とある組織の構成員の憂鬱(代理):2009/11/16(月) 18:19:15.35 ID:X3zmHyyH0

『それは、連中のアジトが見付かったと言う事か?』
「いえ、それが…被害者達は、西区の空きビルの中に、放置されていたんです」

 …そう、まるで
 獲物をおびき寄せる餌として、利用されたように

「アジトに関しては、いまだ情報がありません」
『そうか…アジトに関して情報がない事が、悪い報告か?』
「………いえ」

 そうだったら、どれだけ良かった事か
 ちらり、黒服は背後の同僚たちに目をやる
 こちらの会話に耳を傾けている者は、いない
 問題は無さそうだ

「…あなたたちとも面識があります、髪が伸びる私の同僚なのですが…」
303とある組織の構成員の憂鬱(代理):2009/11/16(月) 18:20:13.24 ID:X3zmHyyH0
『あぁ、あの黒服さんか』
「はい………彼の消息が、途絶えました」

 …一瞬
 会話が途絶え、沈黙が流れる

『消息が途絶えた?それは…』
「生きているのか、死んでいるのか…生死すら、不明です」

 彼は、この空きビルでマッドガッサーたちの姿を見たという報告を聞いて、現場に向かっていたのだ
 担当契約者達は戦闘向きではないからと、一人で向かって
 ……そして
 その消息が、途絶えてしまった

『確か、「組織」には黒服を管理・監視しているシステムがあると聞いた事があるが…それにも引っかからないのか?それとも、そのシステムは今は稼動していないのだろうか?』
「そのシステムは今も稼動しています…まぁ、半分が「夢の国の黒服」である上、契約者を得ています私は、そのシステムの影響をほとんど受けないのですが……
 その同僚も、元・人間のせいなのか、それとも彼個人の特性だったのか、そのシステムの影響をあまり受けていなかったんです」

 お陰で勝手な行動がとりやすい、とあの同僚は笑っていたが
 今回は、それが裏目に出てしまった
 システムが感知できないが故に、その状態が把握できない

「マッドガッサー一味の襲撃を受けたのではないか…と言うのが、「組織」の推測です。私も、そう考えています」
『…厄介な事になってきたな。まぁ、元々厄介な件だが』
「……全くです」
304とある組織の構成員の憂鬱(代理):2009/11/16(月) 18:21:06.88 ID:X3zmHyyH0
 ここ数日、マッドガッサーの一味は沈黙したかのように大人しくなっていた
 ……その矢先の事である
 「あの件」と含めて、一味が大きな動きを開始しようとしているのかもしれない

「最後に」
『悪い報告は、もう一件あったか』
「はい、すみません………ただ、これは確定情報ではありません。しかし、限りなく、マッドガッサー達に関連していている可能性が高い事なのです」

 …もし、こちらの推測が当たっていれば
 事態は、取り返しのつかないことになるかもしれない

「…先日、学校町に、ガスを詰め込むタイプの…ミサイルのような物が持ち込まれたという情報が有ります」
「…ガスを詰め込む、ミサイル?』
「はい」

 内部にガスを詰め込み、発射すると…それは、目標地点の上空で炸裂し、ガスをばら撒くという代物だ
 それが、一つではない数個、学校町に持ち込まれた
 …もし
 それらが、一斉に破裂した場合

 その効果範囲は、学校町全体をあっさりと飲み込んでしまう

「もし、それを持ち込ませたのがマッドガッサー達であるならば…」
『連中、学校町全体に、一気にガスをばら撒こうとしている、ということか』
「推測が、全て正しければ……ですが」
305以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 18:21:07.35 ID:ho6M6leKO
支援
306とある組織の構成員の憂鬱(代理):2009/11/16(月) 18:21:54.07 ID:X3zmHyyH0
 推測が、当たっていなければ良い、と思いつつも
 しかし、当たっているのでは…と言う、悪い予感がしてならない

「近々、学校町を離れた方が良いかもしれません。ひとまず、学校町の外までは範囲に含まれないはずですので」
『…黒服さんは、どうするんだ?』
「……せめて、契約者二人だけでも逃がす事ができれば、と思ってはいます」

 しかし、二人とも承諾してくれないだろう
 黒服は、小さく苦笑する
 …ならば
 自分が、二人を護るしかないのだ
 それが、自分などと契約してくれた二人の為に、自分がすべき事だ

「…お伝えする事は、以上です。用件だけで不躾ですが…それでは」
『あぁ、ありがとう』

 …電話を切る
 被害者達は、ひとまず全員、運び出されたようだ
 正確な人数を聞きだし、後々の処置について通達し……一人、その部屋に残されて
 黒服は再び、ビルの窓から外を眺めた
 …夕日は、もうほとんど沈みきっている

「……これ以上、悪い事が、起きなければよいのですが」

 ぽつり、呟かれた黒服の言葉は、じわり、生まれてきた夜の闇に飲み込まれていったのだった



to be … ?
 傍にいる事が許されるのは、自分だけだと思っていた
 あいつが心を開いてきた相手は、自分だけだと思っていた


 その幻想が、あっさりと打ち砕かれるとも知らずに


 あいつは、誰にも心を開いていなかった
 心の開き方を知らなかった
 大人を信じる事ができず
 だが、同世代の俺達に、どう話しかけたらいいのかもわからない様子で
 放っておく事ができずに声をかけた
 困っている人を見捨てるな、親からそう教えられていたから、それを実行した、それだけだった

 少しずつ、話してくれるようになった
 あいつからも、話し掛けてくれるようになった
 ほんの少しだが、笑ってくれるようになった
 あぁ、心を開いてくれたのだ、そう思った

『……友達に、なって、くれるのか?』

 そう、あいつが言ったのは、あいつと知り合って一年も経ってからだった
 その前から友達だろう?と笑ってやったら、あいつは戸惑いながらも笑い返してきて

 あぁ、自分はこいつとずっと友達でいてやろう
 自分がいないと、こいつは駄目なんだ、と勝手に思い込んでいた

 ……あの時
 あの、黒服が姿を現すまでは
 あの黒服を見て、あいつが幸せそうに笑う姿を見るまでは

『あの黒服は、俺の恩人なんだ』

 そう言って、あいつは笑った
 幸せそうに、幸せそうに
 大人なんて、誰も信じていなかったはずなのに、嫌悪していたはずなのに
 あの黒服の事を話している時
 あの黒服と、向き合っている時
 あいつは、心から幸せそうに笑ったのだ
 今まで、見せた事もないような笑顔で
309以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 18:24:05.17 ID:ho6M6leKO
しえ
 それでも、あいつの傍に自分はいなければならないと思った
 あの黒服は、いつでもあいつの傍にいる訳じゃない
 自分があいつの傍にいて、護ってやらなければならないと思っていた

 …小学校の、遠足の時だったろうか
 帰りのバスが、トンネル事故にあって
 その時だって、自分はあいつを護ってやろうと思っていた 
 心細いだろうから、自分が傍にずっとついていてやろうと
 ………ずっと、傍にいたはずだった
 少なくとも、自分はそう覚えていた
 真実は違ったのだと、知ってしまったのはもう少し後


 中学卒業を目前にして、あいつは家を出た
 この世で一番嫌っていた両親の元から逃げ出して
 …自分を、頼ってきてくれた
 高校に入ると同時に、アルバイトをし始め、すぐに自分の傍から離れていってしまったが
 だが、それでも、少しの間、自分を頼ってくれて、一緒に生活した

 …あぁ、やはり、自分は頼られていたのだ
 自分が、護ってやるべきなのだ
 あの黒服よりも、自分の方がこいつに頼られている!!
 …そう、勝手に思い込んでいた

 ……高校に入ると同時に、あいつは髪を染め上げ、肌は何時の間にか日焼けしていた
 そして、気づいた
 気づいてしまった
 あいつは、何時の間にか……自分よりも、強くなっていた
 小学生の頃は、自分よりも小さくて、細くて
 護ってやらねばと、そう思える奴だったのに
 何時の間にか、自分よりも背が伸びていた
 筋肉質、と言う訳ではないが、体は鍛えられていて

 何時の間にか、喧嘩をしても勝てなくなってしまっていた


 「狂犬」と呼ばれるほどに強くなったあいつに、何度も挑んだ
 何度も、何度も、何度も
 時に挑発して怒らせ、時にはこちらから積極的に殴りかかって
 しかし、一度も勝てたことはない
 結局、一度も勝てないままだった

 何度も、そうやって怒らせてきたと言うのに
 何度も、殴りあった仲だと言うのに
 それでも、あいつは自分の友人であり続けた
 何度も、自分を許してきた

『お前は、俺の一番大事な親友だから』

 そう言って、あいつは笑ってきて、いつだって許してきたのだ
 こちらの、裏切りギリギリの行為すら、全て許して
 いつまでも友人でいると、そう告げてきた
 …嬉しかった
 やはり、自分はあいつの傍にいる事が許されている
 あいつが、一番心を開いている相手は自分なのだ
 そう思えて、嬉しかった

 ………だが
 大学受験の受験日、その当日
 一緒に、受験を受けるはずだったというのに
 受験会場の傍で、何やらゴタゴタが起きて……その時、あの黒服の姿を見つけた、あいつは

『…ッ悪い!ちょっと行って来る!』

 と、そう言って、あいつは黒服を追いかけていって
 ……結局、受験会場には現れなかった

 何があったのかは、知らない
 だが、あいつはあの黒服を追いかけた
 自分と一緒の大学に行く事よりも、あの黒服が何か巻き込まれている事件の…そちらを、優先したのだ
 ……自分よりも、あの黒服を優先したのだ

 高校卒業を機に、あいつと会わなくなって
 …あいつのいない生活は、灰色だった
 あいつと一緒にいられるようにと選んだ大学は、あいつがいなければただただ、つまらなくて
 人生そのものが灰色になったような、そんな錯覚

 そんな最中、「魔女の一撃」と契約し
 …俺は、忘れていた記憶を思い出した
313以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 18:27:39.28 ID:ho6M6leKO
しえん
314以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 18:59:15.82 ID:DxqDiS/XO
ふむん
 遠足の帰り、バスがトンネル事故にあい、トンネルの中に閉じ込められて
 皆が怖がって泣いていた中……あいつは、平然としていて
 そして、自分達は気づいてしまった
 トンネルの天井から、無数の手が降りて来ていて…こちらに、手を伸ばしていたのを
 たちまち、バスの中は、パニックになって…

『…お前たち、何も見るな!!』

 そう言って、あいつはバスから飛び出して
 バスに手を伸ばしてきていた無数の手が、あいつに伸びて

 あいつが、あの手を焼き消していった

 全てが終わった後、トンネルの中に無数の黒服が入ってきて
 その内の一人は、あの黒服だった
 あいつのことを心配して、慰めていて
 …次に、自分の目を、覗き込んできて

『…あなたは何も見ていない、あなたは何も聞いていない…』

 ………そして、自分は全てを忘れていた



 何だ
 自分は、のけ者だったのだ
 あいつの傍にいる事が許されるのは、自分だけだと思っていた
 あいつが心を開いてきた相手は、自分だけだと思っていた
 だが、本当は…あいつの傍にいる事が許されるのは、あの黒服だった
 あいつが心を開いてきた相手は…あいつが、「一番最初」に心を開いた相手は、あの黒服だったのだ

 自分ではなかった
 確かに、自分はあいつの友人だ、親友だ
 あいつも、そう言ってくれた
 それは、確かな真実
 だが、同時に俺は完全なのけ者だったのだ
 あいつの真実を、何も知らされていなかった
 あいつは、俺が護ってやっているはずだった
 しかし、本当は、俺がずっとあいつに護られていただけだったのだ

 悔しかった
 ずっと、俺が上なのだと思っていた
 高校の頃、あいつに負け続けていた時でさえ…幼い頃は、俺があいつを護ってやっていたのだ、というのが、俺のささやかな誇りだった
 その誇りすらも、俺は否定されたのだ


 傍にいる事が許されなくなり
 ささやかな誇りさえも否定され
 だが、浮かんだのは憎しみであると同時に……渇望

 勝ちたい
 あいつに勝ちたい
 打ち負かしたい
 徹底的に打ち負かし、屈服させてやりたい

 あいつは、俺の大事な親友だ
 この世で一番の、大切な親友
 だから、護ってやろう
 護られるのではなく、護ってやろう
 その為にも、ずぅっと俺の傍に置いておいてやるのだ
 もう、二度と離れるものか

 マッドガッサー達の計画に乗ったのは、そのためもあった
 あいつを屈服させる為の手段が欲しかった
 あいつを、マッドガッサーのガスで、女にしてやるのだ
 女の体になれば、きっと、あいつは不安だろう
 そこに近づいて、より、俺を信頼させて

 そして、裏切ってやろう
 その体を犯し尽くして、俺だけのものにしてやろう
 そして、護ってやるのだ
 俺以外の全てが、あいつを害する事を許さない
 あいつを護っていいのは俺だけで
 あいつを害していいのも、俺だけなのだ
 ずっとずっと、傍に置いて…二度と、放してやるものか



 今の状態は、心地いい
 あいつ以外とつるんだ事はほとんどなかったが、なかなか面白いものだ
 ここにあいつもいれば、きっと最高だ
 皆だって、あいつの事が気に入ってくれるだろう
 まぁ、指一本、触れさせてやるつもりはないが

 放っておけないのだ、あいつと一緒で
 どいつもこいつも、危なっかしい
 だから、俺が護ってやらなければならないのだ
 俺が、支えてやらなければならないのだ
 あいつを手に入れる為にも、皆の力が必要なのだ
 そして、あいつを手に入れる為に力を貸してくれる皆にも、俺は力を貸すのだ


 ………あぁ、楽しみだ
 あいつを手に入れるのが
 皆が望む世界がゆっくりと作られていくのが
 楽しみで、楽しみで


 俺自身が壊れかけている事など
 俺は、全く気になりはしないのだ




fin
○月×日 19:50


「遅くなっちゃったなぁ…」

 足早に、青年は日が沈んだ街中を走る
 「組織」の仕事で、マッドガッサー一味の姿があったという空きビルの探索を手伝っていたのだが……行方不明になっていた被害者達こそ見付かったが、一味の姿、及び手がかりなし
 付近を捜索しても、何も見付からず
 結局の所、ほとんど空振りのままだった
 まったく、面倒な仕事に借り出されてしまったものだ
 早く、帰らないと
 兄の為に、夕食を作らないと
 そう考え、脚を早めていたその時

「………ん?」

 −−−−−影が
 何かが、頭上に現れ、そのせいで影がさした
 そんな感じがして、青年は頭上を見上げて

「−−−−−−−−!!」

 その、巨大な存在に…月の光を、星灯かりを、完全に覆い隠していたそれに、気づいた


 店内の電話が、けたましく鳴り響く

「はい、こちらレストラン噂の産物………あぁ、新入り君?どうしたんだ?」

 レストラン 噂の産物の若きイケメン店長は電話に応対し、その相手が店でアルバイトをしている青年である事を知って、首をかしげた
 今日は、別の仕事が入っているとかで、アルバイトを休んでいたのだが…

『店長?あのね、何か、変なものを見かけたんだけど…』
「変なもの?」
『うん、それとね……何か、マッドガッサーの仲間みたいな奴の姿も、見かけたんだ。って言うか、今も見えてる』
「………は?」

 …マッドガッサーの、仲間?
 ちらり、店長は金さんに目を向ける
 彼は、マッドガッサーのガスの影響を受け、未だに美少女フィギュアの姿のままだ
 また、店によく出入りしていたハンバーグ爺さんもまた被害を受け、ロリ爺の姿になっている
 …その、問題のマッドガッサーの姿を、見かけた?

『何か、マッドガッサーも傍にいるみたいなんだ、屋上に一瞬、それっぽい姿見えたし…今から様子探っておこうと思うんだけど、うまい事、マッドガッサーなりその仲間なりを捕獲できたら、先輩を元に戻せる方法、聞いてみる?』
「待て、新入り君。今、どこにいるんだ?」

 マッドガッサーだけではなく、その仲間もいる
 と、なると…強力な都市伝説と契約している彼でも、危ないかもしれない
 そう考え、店長は彼に居場所を尋ねる

『えっとね、中央区の………………あれ?』
「?どうした?」
『…………−−−−−−−−−−−−っ』

 ぶつんっ

「……え」

 ツーツーツーツーツーツー…
 …通話が、途切れた

「…どうか、したの?」
「店長?新入り君が、どうしたんですか?」

 こっちゃんと金さんが、話し掛けてくる

 ツーツーツーツーツーツー…………

 受話器の向こうからは、ただ、通話が途切れた音だけが、空しく響き渡っていた




to be … ?
325以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 20:02:46.98 ID:SqwxE7QhO
この時間帯に誰も居ないとは…
規制恐るべし
326以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 20:11:17.97 ID:SqwxE7QhO
今のうちにさるよけ支援しとこうか
327以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 20:46:06.28 ID:ho6M6leKO
ほし
328占い師と少女 決戦前(代理):2009/11/16(月) 21:09:27.09 ID:X3zmHyyH0
○月×日 17:30

同業者のじいさんから電話があったのは、もう日も暮れ、次第に辺りも暗くなった時刻だった。
当初はマッドガッサーの居場所の発見を催促する電話かと思ったが、どうやら違うらしい。
珍しく少し慌てた様子のじいさんが話始めるのを聞き――

「……な!? どういう事だ、じいさん!」

――数分後、大声で叫んでいた。
叫んでしまってから、はたと気付く。炬燵で小説を読んでいた未来が、驚いてこちらを見ていた。
(……気にすんな)
こちらへ寄ってきそうな未来をちょいちょいと手で制して、子機を片手に廊下へと出る。

「……で、それ本当なのか?」
「さっきも言ったじゃろう。わしだけじゃなく、先見の能力を持たないお前さんを除いて、他全ての占い師が同じ結論を下した、と」
「だけどな、別にこっちで不穏な動きなんて……」
「聞け、1時間半前、マッドガッサーの被害者と思わしき女性が数名保護された」
「……ほう、そりゃいい事じゃないか」
「その場所にいたはずの黒服が一人、行方不明になったとしても、かのう?」
「なっ…………」
329占い師と少女 決戦前(代理):2009/11/16(月) 21:13:49.40 ID:X3zmHyyH0
マッドガッサー一味の被害者が救出され、現場にいたはずの黒服が行方不明……。
なるほど、確かに不穏な動きだ。

「……で、さっきのじいさん達が言ってた未来は、確実に来るのか?」
「保証はできんが、な」
「いや、じいさんとこの都市伝説がこぞって同じ未来を予測したって事は本当なんだろうが……」

お騒がせながらも、あくまで小規模に行動を行ってきたマッドガッサー。
そんな野郎が、いきなりそんな暴挙に出るのか……?
330占い師と少女 決戦前(代理):2009/11/16(月) 21:18:55.98 ID:X3zmHyyH0

「とにかく、今夜8時、マッドガッサー一味が本格的な行動にでる。……それも、「夢の国」と同規模、学校町全体を覆うほどの」
「……分かった。知らせてくれて感謝する」
「ああ……気をつけるんじゃぞ。お前さんが死ぬのは構わんが、契約者の子が死ぬのは頂けんからな」
「……すっげぇ、気が削げる激励をありがとう」
「なに、構わんよ」

ほっほ、と笑って切られた子機をしばらく見つめる。
そして、現在時刻を確認しようと腕時計を見て――

「後1時間ちょいしかないじゃねぇかっ!?」

電話がかかってきてから、軽く1時間以上は話し込んでいたようだ。
――そのあまりの少なさに、軽くめまいがする。
逃げようにも、これでは大して学校町を離れられないだろう。
(…………やるしか、ねぇか)

「……おい、未来っ!」

恐らく未だ炬燵で小説を読んでいるだろう未来を呼び、部屋のドアへと向かう。
避けられないなら、戦うしかない。
……今は、できるだけの準備をしよう。
331以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 21:21:18.76 ID:f1GQzJpl0
支援
332Tさん(代理):2009/11/16(月) 21:25:57.26 ID:X3zmHyyH0
「髪の伸びる黒服さんが消息不明、か……あの人が黒服の監視及び管理システムに引っかからないのは個性云々よりもあの人がかかずらっているもう一つの組織が絡んでいそうだな。
――無事だといいが」
 黒服からの連絡を切った青年は呟き、契約者のいる部屋の扉を開けた。中でリカちゃんと遊んでいた契約者は青年の姿を確認するや、
「Tさん? 誰からの電話だったんだ?」
「黒服さんだ」
「お、マッドガッサーの件で何か動きがあったとか?」
 少女の問いに青年は頷き、
「行方不明になっていた被害者達の大半が保護されたらしい」
「おお、良かったじゃん!」
「……ん」
 青年の歯切れの悪い返答に少女は怪訝な顔をして、
「どうした? まだなんか問題があんの?」
「いや、特にはない」
「ふ〜ん」
 少女はそっぽを向いてわざとらしく告げる。
「髪の伸びる黒服さんの消息が途絶えたりガス詰め込むタイプのミサイルが降ってくるかもしんないっつてのも問題じゃないんだ」
「……盗み聞きは良くないな」
「だってTさん、黒服さんから連絡があった途端にどこかに行っちゃうんだもん」
 なー、ねー。とハイタッチする少女とリカちゃん。
 リカちゃんか……
 大方彼女の能力で会話を聞いたのだろう。契約者と同じで変な方向に成長している所が気がかりだ。
333以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 21:28:26.58 ID:ho6M6leKO
支援
334Tさん(代理):2009/11/16(月) 21:30:25.86 ID:X3zmHyyH0
 青年はそう思いつつ、
「話を聞いていたのならわかるだろう、奴らは学校町全体にガスを散布する気でいるらしい、ひとまずさっきまで行っていた地下カジノにでももう一度行って避難しておくといい」
 夢子が去り際に残したパスポート、王権の一部を使用可能なそれは≪夢の国≫の結界を透過することができ、どこかの遊園地からならば地下カジノへの侵入も可能とする代物だった。
 そして、
 あそこならばガスがやってくることもない。
「当然お断りだ」
 予想通りの返答に青年は眉間にしわを寄せる。
「契約者もあのガスの効果は知っているだろう」
 意識して厳しい声で言った。契約者も一度ひどい目に遭っている。これで退くだろうと思っていると、
「知ってるけどさ」
 笑って、
「契約者の責任ってやつだ。契約した都市伝説が悪さしないように付いていかないとな」
 それに、と言って彼女はリカちゃん共々青年を見上げ、
「もしまたガスにやられてもTさんが治してくれるんだろ?」
「……」
 どんどん強かになっていく、これ以上契約者ががさつになってリカちゃんが悪い方向へと成長したら困りものなのだが……。
 そう思いながら、青年はそっけなく答えた。
「さてな」
335Tさん(代理):2009/11/16(月) 21:34:17.56 ID:X3zmHyyH0


            ●


 困ったような青年とそれを見て笑む自分の契約者を見て彼女は思う。
 お姉ちゃんも、お兄ちゃんも……うれしそうなの。
 自分は人形だ。主たちと、人と共にいることを嬉しいと思う。
 同じなの?
 同じなのだろうか? 彼女らも一緒にいることが楽しいのだろうか?
 青年がリカちゃんへと顔を向ける。
「リカちゃん、何が起こるか正直わからん。契約者は地下カジノに突っ込んでいても勝手に出てきそうだしな。
 おそらく奴らのガスはリカちゃんには効かないだろうからもしなにかあったらそこの馬鹿のフォローをしてやってくれ」
 信頼されている。そのことを彼女は嬉しいことと思う。だから勢いよく手を挙げて応えた。
「わかったの!」
「あれ? なんかおかしくね? 俺の方がリカちゃんのフォローするんじゃねえの? 年齢とかそんな感じで考えて」
「普段の行動から考えてリカちゃんの方がフォロー役だな」
 なぁ? と訊いてくる青年に彼女は「なの」と頷く。
「うあ、なんか悔しいぞ?」
 頭を抱えている契約者をふん、と青年は笑い、
「……お互い一筋縄でいかん契約者を持ったもんだな、黒服さん」
 小さく呟いた。
 それを聞きとったリカちゃんは青年を見上げ、
「お兄ちゃん」
 声をかけ、
「お姉ちゃんは、いい人なの」
 訴えかけるように言った。
 ん? と振り向いた青年は「ああ、語弊があったか」と彼女に笑いかけ、
「知ってるよ」
 本人には聞こえないように、小さく言った。
336女装少年の人(代理):2009/11/16(月) 21:40:39.59 ID:X3zmHyyH0
とある日、お昼頃の学校町、その北区の一角にて。
一人の少女が、人気のない路地をひょこひょこと歩いていた。
この寒い中、生足を盛大に露出させたスカートと明らかにサイズの合っていないYシャツを着て、白い上着を羽織っている。
小学生並の身長に、それに不釣り合いな今にもYシャツのボタンを弾けさせそうなほどの巨大な胸をたゆんたゆんと揺らしているという一部のマニア垂涎な容姿のその少女は、その細い首を今にもポッキリ折れそうなくらいに傾げさせ、しかしその歩みに迷いはない。
その少女が目指すは命の恩人、Dさん一家(血は繋がっていなくとも家族みたいだと、少女は思った)が住む家である。

「―――うーん、まいったなー。まさか、こんなとこまで来る羽目になるとは………」

右手に持った紙袋をプラプラと揺らし、呟く。
何がまいったかって、とにもかくにも迷子である。
本人に自覚はないが(というか少女の親しい人間が色々とアレすぎる)、世間一般から見て十分変人の範疇に入るこの少女の悪癖の一つに、"好奇心には諸手を挙げて全面降伏する"という点が挙げられる。
要するに好奇心に忠実ということで、それはいい結果をもたらすこともあれば、悪い結果をもたらすこともあるのだ―――例えば、今のような。
ただでさえ頼りない記憶を頼りにDさん達の家へと向かう途中、何故か街中で見かけた狼っぽい大きな犬を思わず追いかけることしばし。
いつの間にか見たことのない道に入り込んでしまい、それでも「なんとかなるさー」と無駄なポジティブさを発揮した結果がこれである。
毎日に近い頻度で散歩をしているとは言っても夜と昼とでは感じも違うわけで、ただでさえこの街に来と二ヶ月程しか過ごしていないこの少女の土地勘など当てになるようなものではない。
よってこの少女は、中身は年齢十五歳、高校一年生、実は男なのにも関わらず、見事なまでに迷子となってしまったのだ。
見た目通りの少女ならばともかく、高校生にもなった男が地元で迷子というのはバカにされても仕方のないレベルのことである。
しかしそこは基本マイペースで無自覚ドMなこの少女(中身はともかく、見た目は現在完全に少女だ)、この"迷子になった"という状況含めて結構楽しんでいたりするのだが。

「―――ん?」

うっすらと聞こえてきた、大勢が争うような音に反応する少女。
音の反響具合や大きさから大体の位置を割り出すと、小走りにその場所を目指した。

(―――普通の喧嘩だったらいいけど)
337以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 21:44:40.28 ID:f1GQzJpl0
支援だ!
338女装少年の人(代理):2009/11/16(月) 21:47:27.82 ID:X3zmHyyH0
揺れまくる胸に若干どころでない動きにくさを感じつつ、少女は思う。
単純な喧嘩ならば、この少女が手を出そうと思うことはない。
よほどのこと―――例えばあまりに戦力差があったり、女の子や小さな子がやられてたり―――がなければ、むしろ野次馬になって見物していることだろう。
ならば何故、今その喧嘩が行われている場所へと急いでいるのか。
それは、

(……明らかに一つ、おかしい音があるんだよなあ………まあ、全体的におかしいって言えばおかしいんだけど)

普通の喧嘩ならば、何かしらの叫び声があってもいいはずだ。
しかし今聞こえるのは、意味を為さないような唸り声が複数と、一際大きな破砕音が一つ。
―――ただの喧嘩だと判断するには、少しばかり異常に過ぎた。
少しずつ大きくなる騒音に、方向が合っていることを少女は確信する。
そしてとうとうその場所へと辿り着き―――少女は思わず目を見張った。
そこは、路地と路地の合間に出来た空き地だった。
元々ビルか何かが建つ予定だったのが中止にでもなったのだろう、ビルとビルとの間にポツリと出来た、その目立たない空白地点。
そこに、まともに暮らしている者ならばまず一生目にしないだろう、異常な光景があった。

まず喧嘩の状況は、一言で言うと多対一。
多の側の人間は、ピアスをはめた夜の街を歩いていそうな若者や煤けた格好をしたホームレスらしき中年など。
年齢もバラバラな彼らの共通点としては………たとえいきなりいなくなったとしてもそう気に病む者はいなさそうな、そんな感じがするところくらいか。
本来ならホームレスとホームレス狩りという形で敵対関係にあってもおかしくないような彼らが共に行動しているのも異様だと言えるのだが、この集団で最も異様なのはそこではない。
最も異様なのは、それは彼らの表情だ。
目は血走り、口からは涎を垂れ流し―――一目でわかる。正気ではない。
更にその口から漏れるのは知性ある言葉ではなく、ただの"音"としか表現できないような唸り。
普通の人間ならば思わず逃げ出してしまいそうな集団を前に、しかし少女が目を見張ったのは彼らにではない。
少女が目を見張ったのは、この集団がいるだけでさえ異様な空間を更に異様なものとしている、一の方に対してだ。
339女装少年の人(代理):2009/11/16(月) 21:52:49.20 ID:X3zmHyyH0
意味不明な声を発しながら人とは思えぬ瞬発力で襲いかかる集団を、その常識はずれの膂力と素早さで翻弄するその小さな人影。
それは、ヴェールを纏った、可愛らしい―――女の子だった。
少女はギリ、と奥歯を噛み締める。
プロレスラーですら及ばないだろうその膂力を見る限り、まともな人間であるはずはなく、人間ですらないのかもしれないが―――この少女にとっては、小さな女の子を襲っているというそれだけで、その相手を叩き潰す理由になった。
すぐさま飛んでいこうとし―――ふと思い止まって、右手に持った紙袋を地面に置く。
この紙袋の中には、Dさんの家から帰るときに貸してもらったチャラ女さんのシャツとはないちもんめの子のスカート、ついでに作ったミートパイが入っている。戦いに巻き込んで汚したりするわけにはいかない。
紙袋を丁寧に路地の脇に退けてから、改めて身体の調子を確認する少女。首を回し、肩を回し、手首足首を回して準備は完了、仕上げに指を鳴らす。
白く小さな可愛らしい手からこれまた可愛らしいコキリ、という音が鳴る。

「それじゃあいっちょう―――」

言い出すと同時、少女は全力で走り出す。
その小さな身体はすぐに最高速に達し、そのまま戦いの場へと飛び込んでいく。

「―――いきますかっ!」

威勢のいい叫びとともに地を蹴ったその足は、女の子を背後から襲おうとしていた中年男性の側頭部に、しっかりと足を揃えたきれいなドロップキックとなって突き刺さった。
340三面鏡の少女?(代理):2009/11/16(月) 21:53:46.51 ID:X3zmHyyH0
真夜中でもあちこちに明かりが灯る繁華街の一角
周辺で一番高いビルの屋上に立つ、和服姿の少女の姿
強い日差しも降り注ぐ雨も無い明るい月の夜に、何故か和傘を差して佇んでいる
「お久し振りですね」
少女が柔らかく微笑むと、夜闇の中に紛れるように佇んでいた黒服の男が姿を現す
「よう、今日のあんたは何歳だ?」
「そうですね、十六歳で事故死するはずだった私の姿。もっとも、その運命も予見回避してきましたが」
「俺と会うのはいつも若い時の姿だな」
「年齢相応の姿よりは、若い方がお好きでしょう? それとは別に、他の老け込んだ姿の私は出歩くのが億劫だそうですし、本体に至っては起き上がるのも大変ですもの」
「そりゃま、確かに」
くすくすと笑う少女に、黒服の男――Hは苦笑を浮かべる
「で、Hさん。一つお願いがあってこうしてお呼び出しさせていただいたのですが」
「お願いの内容によるが、とりあえず話を聞こうかね」
「それでは、その前に」
そう言って和服の少女は、手提げ袋から可愛らしい万華鏡を取り出し、それを黒服Hに向けて覗き込む
「う、おごっ!?」
くぐもった悲鳴を上げて倒れ込む、黒服Hの背後にいた別の黒服
「ダメじゃないですか、二人で会いましょうって約束でしたのに」
「俺はそのつもりだったんだけどなぁ」
少女の覗き込んだ万華鏡の中では、三面の鏡に映り込み無限に増えた黒服が
繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し
ありとあらゆる自分の未来の死に様を体験していた
青褪めた顔で時折大きく痙攣しながら、徐々に動かなくなっていく黒服を尻目に、黒服Hは肩を竦める
341以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 22:02:25.48 ID:ho6M6leKO
しえ
342三面鏡の少女?(代理):2009/11/16(月) 22:06:43.75 ID:X3zmHyyH0
「相変わらずおっかない能力だね、『合わせ鏡の中に自分の死に顔が見える』って都市伝説は」
「初対面で二十二歳姿の私の下着の色を聞いてきた時に、ちょっとだけ体験させてあげましたものね」
「お陰で自分の死を回避したり、避けきれない場合の覚悟をしたりと充分役立たせてもらったさ」
「さて、そろそろ大人しくなったでしょうし。改めてお話の本題を」
少女は万華鏡を下ろして、静かに微笑む
「私の孫が、この『合わせ鏡の中に自分の死に顔が見える』と契約してしまいました。二人の娘と息子まではしっかり監視していたから、そんな事は無かったんですが……迂闊でしたわ」
本当に困っているというより、困ったふりをしているような、そんな表情で溜息を漏らす和服少女
「都市伝説は引かれ合うと言いますし。私が死んだら、あの子を『組織』に引き込んであなたが担当してくれないかしら」
「他にも都市伝説集団は色々あるのに、よりによって『組織』にかい?」
「『組織』よりも、私を担当してくれたあなたを信頼しているのですよ、Hさん」
「別の担当を引き受ける事になってるんだがなぁ……どうしてもやんなきゃダメ?」
「私に似て可愛い子ですよ?」
「自分で言うかね」
「私に似ないで表裏の無い良い子ですよ?」
「自分で言うかね」
「反応が面白くて苛め甲斐がありますよ?」
「祖母としてその言動はどうかと思うが」
「正直なところ、変なところで真面目で正義感が強くて、私の孫だなんて信じられないくらい。息子の嫁の教育が良かったのね、きっと」
「そんな嬉しそうに誉めてあげられるお孫さんを、どうして『組織』なんぞに預けようとするかね」
「『組織』以外のところに預けて、私ぐらい強くなって討伐対象になったら困ってしまうでしょう?」
「『組織』に利用されりゃ、もっと危険な事も山程ある。身をもって知ってるだろうが」
「大丈夫、きっとあなたは守ってくれるから。私を守ってくれたみたいに」
「買い被り過ぎだよ。俺はそんな権限は持ち合わせちゃいない」
343三面鏡の少女?(代理):2009/11/16(月) 22:07:29.81 ID:X3zmHyyH0
「ふふ、どうかしらね? それならもう一人、人の良い黒服さんに頼んじゃおうかしら」
「あいつは勘弁してくれ。本気で過労死するから」
「それじゃあ、あなたが引き受けてくれるわよね?」
くすくすと少女は笑う
「さて、そろそろ本体の寿命の時間。色々な人を傷つけてきた私達は天国に逝けるのかしら」
「信じられてるものなら、天国もあるんじゃないかね」
「じゃあ私は地獄逝きかしら。一足先に逝ってくるわね……五、四、三、二、一」
手提げ袋から取り出した懐中時計を見ながら数字を数え
零と言おうとした瞬間に、その姿は消えてしまった
「……厄介なもん押し付けられたなぁ」
取り残された黒服Hは頭を掻きながら、足元に何時の間にか置かれた一枚の少女の写真と
背後で倒れたまま痙攣している同僚の姿を見て、どうしたものかと溜息を吐いた



ふとした思い付きで書いた現在進行の本筋と全く関係ない
三面鏡の少女が黒服H担当になった時のお話でしたとさ

万華鏡の少女
『合わせ鏡に自分の死に顔が見える』の先代契約者
三面鏡からあらゆる年齢の自分の分身を無限に召喚でき、組織の仕事は若い姿の自分が請け負っていた
合わせ鏡などに映し込んだ対象に、光の速さで無限に自らの死を脳内体験させられるG・E・レクイエムばりのドS能力もあり
本気を出すとどこからでも鏡すらも召喚して何処でも能力を発揮する
性格は超ドSだが、無限に存在する自分の知識を共有してるため猫被りもとんでもなく上手い
344???(代理):2009/11/16(月) 22:08:19.70 ID:X3zmHyyH0
 …さて
 俺は、彼女との約束を護れるか?

 正直、護れる自信は…………ない
 一応、自分が彼女を見つけ、その担当になるまではうまくいったが
 …はたして、彼女を護りきれるか?
 それについては、自信がない


 自分は、いつ消されてもおかしくない存在だ
 「組織」の汚れ仕事を担わされている存在、それが自分
 いつ消されてもおかしくはない


「…それに、今、こう言う状況だしなぁ」

 どうすっかなぁ、とぼやく
 だが、同時に、今、自分がすべきことを……したくてしたくて、溜まらないことを、考える
 その為に、自分は行動する

「…さて、っと。報告しますか」

 先ほどから、携帯に繰り返しかかってくる電話を、全て無視して
 ……その人物を発見し、彼は情報を伝えるべき相手に、合図のメールを送ったのだった


 ○月×日……19:50での出来事である

to be … ?
345白装束は町へ出る:2009/11/16(月) 22:25:45.85 ID:f1GQzJpl0
…深夜の森の奥深く…今日はなぜかいつもの鉄と鉄のぶつかり合う音は聞こえない。

「あ…あの野郎は…」「が、ガスマスクぅ!?」

向こうのほうの教会から出てきた数名のうちの一人。その野郎は、間違いなく俺をこんな体にしやがったガスマスクであった。
「…なるほどな…ようやく尻尾をつかんだぜ…ガスマスクの野郎よぉ…!こうしちゃいられねぇ!追うぞ!」

「…え?…じゃ、じゃあこの大量に打った藁人形はどうなっちゃうんですか?」


幽名の指さす大木には、すでに藁人形を打ち込む隙間が無いほどにびっちりと藁人形が打ちつけられていた…これでも倒れないのか…

「ま、まさかこれ全部無駄になっちゃうんじゃ…」「いや、無駄にはしねぇさ…ちゃんと、 倒せば いいんだからな」

そういって何やら怪しい呪文のようなものを唱えだす…


「恨みは恨みを呼び…恨みの思念は爆発せん…同じ思念を持つ魂よ…ここに集いて魂を燃やせ…!」ボウッ…!


彼の手から、この前のものとはまた違う…紫色の人魂のようなものが飛び出し…
木に吸い込まれていった…
346白装束は町へ出る:2009/11/16(月) 22:27:26.29 ID:f1GQzJpl0
「…あ、あの…今のは…?恨み魂とはまた違うものなんですか…?」
「あれは俺と同じものに恨みを持つ魂を集め、木を内側から爆破する恨み魂の一種だ。時間はかかるが確実に木を崩せる」
「……じゃあそれ最初から使えb「そりゃ駄目だ。俺の能力はあくまで『藁人形を打ち付けた木を倒す』ことが発動条件だからな。ある程度の藁人形を打たねぇと無意味だ」


「というわけでかなり久々に町に戻ってきたわけだが」「唐突ですね…」「作者側の都合だ、仕方ねぇよ」

…しかし。

「見失ったな」「ですね……」

見つからないように遠くから遠くから…そうやって後をつけてたらボインのねーちゃんに気を取られてるすきに見失っちまった…



〜〜

「あーもー、疲れたー。とりあえず久々に家にでも戻るか…」
一体どこにガスマスク野郎はいるのか…皆目見当つかねぇ…
あー、恨み魂に「恨みを持つ者に引き寄せられる」とか能力あればなぁ…

「ちょ、ちょっと!上見てくださいよ、上!」「ん、上?…ってうお!なんだありゃ!?」
347白装束は町へ出る:2009/11/16(月) 22:28:44.56 ID:f1GQzJpl0
彼らが見たものは、空に浮かぶ、ものすごく大きな…何か。
大きすぎて、何かを認識することさえもできない。

「鳥だ!飛行機だ!」「…おそらく正義の味方ではないと思うぞ…」

つーか作者元ネタ知らない癖にこういうの使うなや…

しかし……何だろう、この変な胸騒ぎは。


あの謎の飛行物が…ガスマスク野郎に何か関係している…

なぜか、俺にはそんな気がした。

「とりあえず、あの辺にいくぞ。適当に探すよりは何かの目印のあたりを探すほうがいい気がする」「わ、分かりました!」


とりあえずあの飛行物体の下。そこに手掛かりか何かがある…はず。

ガスマスク野郎がいたら…恨み魂連発で殺るしかねぇ。いなかったら…あの木の爆発を待つまでだ。


どちらにしても、ガスマスク野郎…お前の命はねぇぜ…!
348以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 22:31:47.00 ID:f1GQzJpl0
というわけで白装束が町に到着。おそらくガッサーを見つけちゃったらどんなところだろうと殺りに行きます。
しかし木を倒したとしてもガッサーは死なないと思うんだ
349黒服Y:2009/11/16(月) 22:44:04.63 ID:DxqDiS/XO

出来た話見直ししてるんだが
読んでも頭の中で勝手に補完されてしまって
描写が足りないとことか、
どう直せばいいか分からない!
350以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 22:50:39.77 ID:jJo2L/Ue0
てす
351笛の人(代理):2009/11/16(月) 22:54:39.90 ID:jJo2L/Ue0
【上田明也の綺想曲6〜Grateful Dead Greatful Days〜】

「お前ら、夕食は何が良い?」
「酢豚食べたい、お母さん。」
「牡蠣の塩辛と米が有れば何も要らないよ、お母さん。」
「ハンバーグ食べたいです、お母さん。」
「お前ら全員飯抜きな。」
マッドガッサーの捕獲に失敗してからと言うもの、俺はみんなにお母さんと呼ばれ続けていた。
っていうかサンジェルマンは何故家で飯を食っているのだろうか?
「おい、サンジェルマン。」
「え、帰れッて?解った解った。」
奴は本当に米と塩辛だけを食った後に出て行きやがった。

352笛の人(代理):2009/11/16(月) 22:55:20.27 ID:jJo2L/Ue0
「はい、と言うわけでお前らに夕ご飯を作ってやりたいと思います。」
「「ご飯マダー?」」
流石に子供が二人も居るとうっおと……、噛んだ。
うっとおしい。
「今日はお前ら希望を取り入れて酢ハンバーグにしたいと思います。」
「「それはない」」
なんでこいつらは妙な所で息が合っているのだろうか。
「お前ら酢ハンバーグが不味いと思っているらしいな、ならば良いだろう。
 あれがいかに美味しいか子供の時に嫌いだったうどんに大好きなカルピスを混ぜて自爆した俺が教えてやる。」
「食う気が萎える枕だわ。」
「マスt……お母さんの失敗談ですね、どうみても。」
「うるちゃい、お前らは俺の作った飯を豚の如く食えばよいのだ。」

フライパンを取り出して油を引いて火にかける。
クックックドゥーンの酢豚の素を棚から出しておく。
冷蔵庫には丁度ハンバーグのこね終わった奴があるのでそれを使おう。
まず鶏肉の煮物で出来た煮こごりと酢豚の素を混ぜて薄めの餃子の皮の中に包む。
そしてそれをさらにハンバーグの中に入れてフライパンへ……
紹興酒をフライパンに加えて蓋をして肉に火が通るまでユックリ待ちましょう。
353笛の人(代理):2009/11/16(月) 22:56:01.99 ID:jJo2L/Ue0
「できたぞてめえら酢ハンバーグ!」
「「やんややんや」」
「さあ食べろ。」
「「いっただきまーす。」」

子供達は酢ハンバーグに齧り付いた。
「うわ!中から酢豚のたれが!しかもハンバーグと調和している!」
「マスターって運動、ていうか肉体を使った作業以外一通り出来ますよね。
 これも味付け良いのに野菜が不揃いだったり……。」
「余計なお世話だ。」
二人がご飯を美味しそうに食べているのを見ていると心が落ち着く。
片方は凶悪な都市伝説だしもう片方も凶悪な都市伝説の契約者なのになあ……。
そういえば凶悪なんて誰が決めたんだろうか?
それが凶暴なのか邪悪なのかなんて自分たちではなく他人が決めた基準におけるものでしかない。
俺達を受け入れない他人の集合体が数を頼みに振り回したルールに過ぎない。
さて、その法に従う必要はあるのだろうか?
その法から逃れればきっと今俺は可愛い二人のロリに飯をつくっている心優しいお兄さんに違いない。
世間一般のルールでは人でなしの俺でも今ここを支配しているルールの下では優しい人間で居られるのだ。

「お前をまともな人間にしたかった。でも駄目だった。俺はもう諦めるよ。
 お前と絶交するわけじゃないけどさ、諦めた。俺には無理だ。俺の身が保たない。」

そう言った友人が高校の頃に居た。
しかし世間一般のルールで救われなかった少女が今目の前に二人居る。
世間一般のルールに迫害された人間と都市伝説がいる。
そう言ってくれた友人のことは尊敬しているが彼の気持ちに報いることはできなさそうだ。
354笛の人(代理):2009/11/16(月) 22:57:01.87 ID:jJo2L/Ue0
「美味いか?」
「美味いよ、上田明也。」
「美味しいです、マスター。」
「なら良いんだ。」
思えば橙もずいぶん家に慣れたものだ。
最初はメルや俺ともぎくしゃくしていたんだがな。
まあそこらへんはサンジェルマンのおかげと言うことにしておこう。
彼女のボロボロの身体をある程度治したのもあいつだしな。


「ああ、そうだ。薬飲ませるから来い。」
「はーい。」
橙は生まれた時から眼が見えなかったらしい。
眼の病気か何かで眼球を摘出するしかなかったそうだ。
だから彼女の目は義眼である。
人形のように可愛らしい彼女だが人形みたいな美しい眼という形容の仕方はあまりしない方が良いのだろう。
「マスター、私白湯用意しておきますね。」
「ああ、ありがとうよ。」
「ハーメルンの笛吹き、ありがとう。」

橙が薬を飲み終わると適当にテレビをつけて番組を見る。
最近はサンジェルマンの特訓のおか
355笛の人(代理):2009/11/16(月) 22:57:53.76 ID:jJo2L/Ue0
橙が薬を飲み終わると適当にテレビをつけて番組を見る。
最近はサンジェルマンの特訓のおかげである程度能力を制御できるようになったらしい。
テレビ位なら能力を使ってみても問題は無い。
ただしお笑い番組を見ているときは問題だ。
「はいはいはいこんにちわ〜。」
若手の漫才コンビが出てきた。
最近実力をつけているコンビらしい。
「あははははははははは!!!」

出てきた直後に橙が笑い出す。
「………あれ?どうしたの?」
「橙、それは何秒先だ?」
「橙さん、貴方の笑いの壺ってキャハハハハ!!!」
そう、彼女はどうも数秒先の映像に反応してしまっている時があるのだ。
今のようにお笑い番組だと数秒後のギャグで突然笑い出す時がある。
家に来た時はそもそもあまり笑わなかったからまあそれよりはマシと思うことにしている。
356笛の人(代理):2009/11/16(月) 22:58:33.98 ID:jJo2L/Ue0
「……また間違えた。」
「気にするな、まあゆっくり使い方に慣れれば良いさ。」
「はい……。」
気にしているのだろうかしょんぼりしはじめる。
「馬鹿おめえそんなの仕方ないだろうが!一々気にしないの!」
「そうですよ、橙さん!」
「解ったわ……。」
そういや施設内ではテレビも見せて貰えなかったらしい。
可哀想とか安い言葉を吐くつもりは無いがすこし胸が痛む。
その後、気を取り直してその後しばらくテレビを見て大体10時か9時には就寝である。

以前までは夜遅くから動き回っていたのだが最近は大分警戒されるようになってしまった。
組織の人間と戦って負けるつもりは無いがもしあの秋刀魚男が現れたり宝石を投げつけた男が居たりすればメルが揺らぐ。
……俺は揺らぐのだろうか、否、揺らげるのだろうか?
人間をやめることは楽だ。俺は楽をしすぎた。
あのコーラ男くらい割り切った奴だと戦いやすいのだがな。
それにあの禿でマッチョな黒服に来られたらぶっちゃけ勝てる気がしない。
そもそも自分の能力がもう割れているというのが痛い。
こちらが妙な動きをしなければ相手だって手を出さないのだ。
それで良い。
357笛の人(代理):2009/11/16(月) 22:59:14.85 ID:jJo2L/Ue0
メルと一緒にベッドに入ると橙も入ってきた。
「なんだ、まだ夢を見るのか?」
「良いじゃない、どっちでも。」
ちょっと怒ったように橙は言う。
しかしあまりベッドに居られると俺としては襲いかかりたくてしょうがなくなるのだから許して欲しい。
実験でに与えられていた薬の副作用で悪夢を見ているそうだ。
薬の名前は確か"Ω to α"、都市伝説の侵食を進める薬だそうだ。
試作品の物を調整も兼ねて無理矢理与えられたのが身体に負担になっているとサンジェルマンからは聞いた。
薬を使わなくても都市伝説との信頼関係一つだと思うがまあそれはそれだ。
今は"Rev-00"とかいう薬で効果を抑えているそうだ。
「これって本当はすっごい機密事項なんで何処で手に入れたとか秘密ですよ?」
そう言っていたが奴のことだからくすねたかそもそもその薬の製造に一部関わっていたのだろう。
考え事をしていたら幼女二名とも俺の隣で寝てしまった。
仕方ないので俺も寝ることにする。
でもその前に首が冷えないようにタオルケットを二人の首に掛けて……
掛けようとしたが腕枕中だったので下手に動けない。
そっと動くことにしよう。
358笛の人(代理):2009/11/16(月) 22:59:54.64 ID:jJo2L/Ue0
秋の朝は割と冷える。
一番最初に目を覚ました俺は布団の中で冷たい空気を入れないように注意しながら布団を出た。
ついでにメルと橙を抱き合わせておく。
おお、これは非常に百合百合しい。
カメラで撮っておこう。
撮影タイムが終わるとさっさと一階に向かう。
エプロンをして味噌汁の出汁をとる。
今日は煮干しで出汁をとろうか。
味噌はいつもの物で良いだろう。

「おふぁようございま〜す。」
6時50分にメルが起きる。
二人でねざましテレビの占いを見てキャイキャイ騒ぐ。
ちなみに俺とメルの星座は双子座である。
橙は射手座らしい。
「……おはよう。」
橙も起きた。
只今7時20分。
みんなで朝食を食べ始める、食べ終わる頃にはサンジェルマンも来ていたりしてそれなりに賑やかである。
ご飯を食べ終わると橙はサンジェルマンと修行を始める。
359笛の人(代理):2009/11/16(月) 23:00:36.39 ID:jJo2L/Ue0
午前中も午後も特にやることは無いからひたすら世界文学全集とか六法全書とか読んだりメルと修行していたりする。
気分次第では町に出かけるのだがハプニングに巻き込まれやすいのが問題である。
その日はちょっと出かけて帰ると午後五時になっていた。
「ご飯作っておきました。」
サンジェルマンの手料理がテーブルに広がっていた。
「ぼくも手伝ったよ!」
橙も手伝ったらしい。
「あー、総菜買って来ちゃった。」
「良いからもう食べましょうよマスター!」

「はい、じゃあお前ら椅子に座れ。」
みんなで席に着くと両手を合わせて俺はこう言う。
「それじゃあ、頂きます。」
「いただきまーす。」
「頂きます、サンジェルマンさん。」
「ふはは、存分に召し上がれ。」
「お前も命に感謝しろ。」
「マスターが言うと怪しいです。」
「上田明也が綺麗なこと言うと不自然だぞ。」
困った奴らである。
だがそんな日々も悪くない。
平凡だけれど偉大な日々。
素直に感謝することにしよう。
【上田明也の綺想曲6〜Grateful Dead Greatful Days〜 fin】
360笛の人(代理):2009/11/16(月) 23:11:06.42 ID:jJo2L/Ue0
76 名前:笛の人[] 投稿日:2009/11/16(月) 22:21:48
都市伝説と……偶にはバトルじゃなくてほのぼのさせたかったんだ……。
描いている最中に鬱で鬱でしょうがなかった^p^

***

とりあえず写真が欲し(ry
○月×日 20:00 学校町 中央区の高校の屋上にて


「……くけけ………完了した、ぞ」

 「爆発する携帯電話」の契約者が、ノートパソコンから顔をあげた
 よし、とマッドガッサーは頷く

「こっちも準備はできたぜ……つーことで、スパニッシュフライ、一発頼む」
「私はいいけど………いいの?」

 ちらり
 スパニッシュフライの契約者は、似非関西弁の女性に視線をやった
 やや赤くなりつつ、似非関西弁の女性は複雑な表情を浮かべた

「その…しゃあないやん。マッドはん、「はないちもんめ」とか言う能力の子の支配下に、いつ落ちてもおかしゅうないんやろ?」
「契約によって、支配権が上書きされりゃあ別なんだが、俺の契約は上下関係を結ぶ契約とは違うからな」

 ガスマスクの下、マッドガッサーも複雑な表情を浮かべていた
 だが、仕方ない
 万が一の時のことを考え、やってもらうしかないのだ
 …そう考え、ガスマスクを外した
 銀色の、まるで絹糸のような髪も、同時に露になる

「…いつ見ても、すげぇギャップだよなぁ」
「ほっとけ」
362:2009/11/16(月) 23:18:54.49 ID:DxqDiS/XO
とりあえず黒服Yさんの仕事ちう
描写が足りなくても気にしない

時間軸は決戦よりもけっこう前だと思いま
 「13階段」の言葉に、マッドガッサーはやや不貞腐れた表情を浮かべた
 自分だって、それくらいはわかっている
 正直、自分でもあまり好きな顔ではない
 この顔のせいで、アメリカにいた頃、どれだけ苦労したか………氏ね、あの時の男共

「うちは好きやけどなぁ?マッドはんの顔」
「はいはい、ごちそうさま」

 スパニッシュフライの契約者は苦笑して…ぷぅん、と
 一匹のスパニッシュフライを…マッドガッサーの口に、侵入させた
 ごくり、マッドガッサーはスパニッシュフライを飲み込み…スパニッシュフライの契約者を、視界に捕らえる

「さぁ、これで、今のあなたは私の虜」
「…そうだな」

 ぎゅ、と
 そう言いながらも、マッドガッサーは似非関西弁の女性の肩を、そっと抱いた
 っぽ、と頬を赤らめる似非関西弁の女性
 くけ?と、その様子に「爆発する携帯電話」の契約者と、それに抱かれるジャッカロープが首をかしげた
「これ、本当に支配下に入ってんのか?」
「一応入ってるわよ……本当、ごちそうさま」

 苦笑するスパニッシュフライの契約者
 スパニッシュフライの支配の力で支配しても…あの二人の絆は揺るがない、ということである
 契約者と都市伝説、と言う関連を抜きにしても、だ

「…ちゅーわけで、マッドはん、堪忍な!」

 っご!!

「おごふっ!?」

 後頭部の一撃に、軽く意識を失うマッドガッサー
 …ぷぅん
 スパニッシュフライが、その口から飛び出し……支配が、解除される
 むくりっ
 マッドガッサーは、すぐに気絶状態から回復した

「…よし、これではないちもんめの支配は解けてる。憂いなし。ガスの精製に集中できる」
「全部作り終えるまで、どれくらいかかるん?」
「……3時間30分、ってとこだな。量が量だから」
「ミサイルの発射にかかる時間は?」

 −−−−−たんっ!!と
 屋上の手すりに、人狼姿のマリが姿を現した
 その手に持っているのは………弓
 ふわり、箒に乗った魔女の一撃とその契約者も、大量の矢を持って姿を現す

「発射まで25分……炸裂まで5分、といったところか。日付変更と同時に炸裂になりそうだな」
「そうか……ほら、弓。使えるんだろ?」
「えぇ、ありがと」

 マリに投げ渡された弓をキャッチするスパニッシュフライ契約者
 屋上に降り立った魔女の一撃の契約者が、その大量の矢と、矢筒を差し出す
 ぴぃん、と、スパニッシュフライ契約者は、軽く弓の弦を弾いた

「…ありがと。これで私も戦えるわ」
「お前、スパニッシュフライで操ってる連中で充分じゃないのか?鰐の他に二人確保しただろ」
「直接指示を出せる訳じゃなし、私だってちょっとは戦わないとね」

 …自分だけ、安全な場所にいるのは御免
 そうとでも言いたそうな表情だ
 特に、マリを見て、彼女はそんな表情を浮かべていたのだが…はたして、マリは気づいているだろうか?

「ひっひっひ、こっちも、陣を書き終えたわよぉ?」
「…よし、これで、この高校の校舎は、俺たちが掌握したようなものだな」
『オレサマニカンシャシヤガレヨ!!』

 唐突に響いた…機械的な、声
 その声は…「爆発する携帯電話」契約者が持っている携帯電話から発せられた
 そして、すぐ傍のノートパソコンには…なにやら、パソコンで作られたであろう、ゲームのキャラのような男性のグラフィックが、にやけた笑を浮かべていた

「…ありがとうな、「スーパーハカー」……けけっ」
『はにーノタメダカラナ、コレクライラクショウダゼ!』
「……おい、こら、いつ、こいつがてめぇのハニーになった」

 ぎゅう!と背後から「爆発する携帯電話」の契約者を抱きしめる「13階段」
 くけっ?と、当の「爆発する携帯電話」本人は首を傾げている

『ソリャア、はにーハオレサマノケイヤクシャダカラナ!ツヨイキズナデムスバレテルンダゼ!』
「こいつをハニーって呼ぶんなら、せめて電脳世界から出てこれるようになってから言いやがれ」

 …バチバチ
 軽く散らされる火花
 「爆発する携帯電話」の契約者が、この都市伝説「スーパーハカー」と契約してから、何度か繰り返された光景である
 …ただし、二人とも完全に対立している訳ではない
 「爆発する携帯電話」の契約者を大切に思っている事は両者共通しているし……最終的な目的は、同じなのだから

「それじゃあ、俺は校舎内を見回ってるぞ」
「俺もー」

 ちまりーん
 幼女姿になったマリが、魔女の一撃契約者の後を、てちてちと付いていく
367以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 23:27:56.04 ID:DxqDiS/XO
しえ
「ひっひっひ、私は上空から警戒してるわねぇ?」
「…んじゃあ、俺も」

 すくり、「13階段」は立ち上がり…能力を、発動する
 見えている範囲の階段でしか、使えなかった能力を
 発動すれば、誰でも無差別に発動するはずだった能力を…しかし、彼はそれを進化させて

 自分が存在している建物内の階段全てに、能力を同時に発動できるようになった
 彼が意図した相手に対しては、能力が発動しないようになった
 一味が活動を自粛している間、彼は能力を進化させたのだ
 …あの髪が伸びる黒服に教えられて、進化させるための訓練方法は知っていた
 飲み込まれやすくなるから気をつけとけ、とも注意を受けてはいたが
 「爆発する携帯電話」の契約者が、多重契約という無茶をやってのけた時点で、彼は能力を進化させようと、そう決めて
 そして、それを実行したのだ

「一応、俺も校舎の中入ってるぜ」
「…けけっ、俺も、行く…」

 「13階段」と「爆発する携帯電話」も、校舎の中へと入っていく
 ジャッカロープも、「爆発する携帯電話」抱かれていった

『ンジャ、オレサマケイビシステムノナカニイルカラナ。シンニュウシャガキタラオシエテヤルゼェ!!』

 スーパーハカーは、パソコンから声を出してけたけた笑い、電脳空間へと消えていく


 …準備は、整った
 後は、自分がどうにかするだけだ
 マッドガッサーは、ガスマスクを被りなおす
「全員、無理はするなよ?」
「わかっとるよ」
「大丈夫だって」

 似非関西弁の女性も、スパニッシュフライの契約者も笑う

 …この作戦が、成功するかどうか
 それは、正直微妙である
 何分、作戦完了までの時間は4時間もかかるのだ
 正直、時間がかかりすぎる

 …だが、それでも
 自分達は、この作戦にかけよう
 この作戦が成功すれば……ある意味、自分たちは学校町そのものを、人質にとったような状態になる
 その状態で、少しずつ、少しずつ…世界を、変えていってやるのだ
 自分たちの、理想とする世界へ


 なんと荒唐無稽な作戦、計画、そうとられるだろう
 だが、他人の評価等、どうでもいい
370以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 23:31:05.70 ID:Zvscqmcj0
支援!!
371以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 23:31:57.23 ID:hjyCVyJwO
面白い事にになってきたな
支援
372以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 23:32:00.09 ID:DxqDiS/XO
支援
373以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 23:34:47.51 ID:f1GQzJpl0
支援
374以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 23:39:36.06 ID:Zvscqmcj0
支援!
375以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 23:42:34.73 ID:QVoT4C7z0
さて、決戦間近・・・・・・か

 自分達は、本気でそれを実現しようとしている
 それぞれの目的の為に、本気でそれを実現しようとして…今から、それを実行する
 それだけなのだ

「この街の男共、全員女に変えてやる……ここが、理想郷のスタート地点だ」


 さぁ、はじめようじゃないか
 邪魔しようって奴らが来るなら、容赦しない
 俺達の邪魔など、させるものか

 俺達以外に、理解されなくてもいい
 だが、俺たちはそれを実現したいのだ

 仲間の傷を知ったから
 大切な仲間の傷を知ってしまったからには…なおさら、実現しない訳にはいかないだろう


 月明かりの下、マッドガッサーはガスの精製に集中し始めた

 …その目の前に並ぶ、複数のミサイルを、前にして



to be … ?
・マッドガッサー達が、街の中央付近にあります高校に侵入しました。
 ここから、学校町全体に女体化のガスを一気にばら撒こうとしています。
 現在の時間は20:00
 彼らの行動が阻止されなかった場合、四時間後にはガスが学校町全体に噴射されます
 学校町にいる限り、そのガスから逃れる事は不可能でしょう…地下核シェルターや、異空間に隠れれば別ですが。

・マッドガッサーたちが侵入した高校には、最新の警備システムが導入されたばかりです。
 しかし、そのシステムは彼らによって掌握されてしまっています。
 監視カメラの映像によって、高校に侵入すると高確立で彼らに発見される事になります。

・魔女の一撃が高校の敷地全体に、呪術的な魔方陣をあちらこちらに描きました。
 この影響で、転移系能力が高校の敷地内で発動できなくなりました。
 高校の敷地内に転移して移動してこようとした場合、強制的に高校の門のところへ移動させられます。
 この状態を解除するには、敷地内に描かれた魔方陣を全て消し去る必要があります。

・高校の敷地内のあちらこちらに、「爆発する携帯電話」の契約者が携帯電話を仕掛けています。
 監視カメラが掌握されている事を含め、不意打ちでの先制攻撃にご注意ください。

・高校の敷地内上空…雲の上辺りを、マッドガッサー一味の秘密兵器である巨大鳥型飛行都市伝説が旋廻しています。
 上空から高校への侵入を試みる場合、それに撃墜される恐れがある事をお許しください。

・マッドガッサー一味は、全員マッドガッサーのガスを無効化する中和剤を摂取しています。
 一味のメンバーは、マッドガッサーの生成したいかなるガスの効果も受け付けません。
マッドガッサーの行動
「さぁて、理想郷を作ろうじゃないか!」
・マッドガッサーは、高校の屋上にて学校町全体にばら撒く為の女体化ガスを精製しています。
 途中休憩を含め、全てを生成し終えるまで3時間30分ほどの時間がかかります。
 そこから、ガスを学校町全体にばら撒く為の装置を作動するのに30分。
 途中妨害されない限り、24:00にはガスが学校町全体に発射されます。

・マッドガッサーは基本、説得に応じません。
 と、言うより、彼がいる屋上に辿り着く為には、他のメンバーを倒すなり説得するなりしてこないと辿り着けないでしょう。
 全てのメンバーが戦闘不能状態、もしくは説得された場合、マッドガッサーは作戦を諦め降伏宣言を行います。

・マッドガッサーは、似非関西弁の女性と契約した事により、生成できるガスの種類が増えています。
 また、生成したガスが彼を離れてある程度保管できるようになっています。
 メンバーがマッドガッサーが生成したなんらかのガスを持ち歩いている可能性があります。


魔女の一撃の行動
「ひっひっひ、全ては主のお心のままにぃ!」
・魔女の一撃は、高校の敷地内上空を旋廻しています。
 彼女は侵入者を発見し次第、本来の能力である「対象にギックリ腰を起こさせる能力」で対象の無力化を狙います。
 また、複数の魔法薬を常備している為、不意打ちで妙な効果の薬をかけられないよう、ご注意を

・魔女の一撃は、説得に応じる事はありません。
 しかし、契約者が戦闘不能状態になると、自動的に降伏宣言をしてきます。
 以降は、契約者の傍を離れることはありません。

・魔女の一撃は解毒剤を所有していません。彼女から、女体化を解除する解毒剤を入手するのは不可能です。
379以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 00:02:44.90 ID:Uf0cbe/UO
てす支援
魔女の一撃契約者の行動
「…あぁ、駄目だ、全然駄目だな」
・魔女の一撃の契約者は、校舎内をうろついています。
 侵入者を発見した場合、面識があり、チャラ男と一緒にいる所を見られた事のある相手に対しては、マッドガッサー一味である事を隠して接触します(「卒業した高校の様子を見に来た」、などと適当に言い訳してくるでしょう)
 ただし、相手が面識ない相手の場合…そして、マッドガッサーの仲間である事が知られた場合、問答無用で攻撃してきます。

・魔女の一撃契約者は、チャラ男に異様な執着心を持っています。
 チャラ男が高校の敷地内に侵入した場合、、何よりも優先して接触を試みようとします。
 チャラ男と彼が接触した場合は、その時に新たに行動の方針を公開します。

・魔女の一撃契約者は、説得に応じる事はありません。
 戦闘不能状態に陥るまで、戦い続けるでしょう。



マリ・ヴェリテのベートの行動
「この群れに手は出させねぇぞ!」
・マリは、幼女姿もしくは人狼姿で敷地内をうろついています。
 侵入者を発見した場合、問答無用で襲い掛かってきます。
 ただし、仲間が危険に陥った事を感知した場合、目の前の侵入者を無視して仲間の救助を優先します。

・マリは基本的に説得に応じません。
 戦闘不能状態に陥るまで戦い続けるでしょう。
 ただし、マリと友好的な接触を行っている人物の話ならば、ある程度耳を傾けてくるかもしれません。
 そう言った人物に仲間全員の命をとらない事を約束されたならば、ひとまずその人物との戦闘は行いません。

・マリは「人肉料理店」及び契約者が「爆発する携帯電話」契約者の恩人であると知っています。
 彼らから攻撃されない限り、攻撃を躊躇し、先制攻撃は行いません
381以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 00:04:31.37 ID:iTCyq6fl0
支援!
スパニッシュフライ契約者の行動
「スパニッシュフライを飲み込めば、これであなたも私の虜」
・スパニッシュフライ契約者は、校舎屋上で待機しています。
 弓道場から弓と矢を持ち出しており、侵入者を発見した場合、屋上からの射撃、もしくはスパニッシュフライによる襲撃を試みます。

・スパニッシュフライ契約者により、「下水道の白い鰐」が支配されています。
 白い鰐は敷地内地下に待機しており、スパニッシュフライ契約者の指示を感知し次第、暴れ出します。

・また、スパニッシュフライ契約者により、二名ほど操られた人物がいるようです。
 その二人は敷地内をうろついており、侵入者を発見し次第、戦闘状態に入ります。
 操られている人物に関しては、後々公開しますのでお待ちくださいませ。
 その二人との接触をお望みの作者様がいらっしゃいましたら、怪しい人影として描写してくだされば、そこで正体を明かすシーンを書いていきます。

・スパニッシュフライ契約者は、幼少時のトラウマで蜘蛛が苦手です。
 また、姫君と契約しているスリーピー・ホロウに対してもトラウマを抱いています。
 蜘蛛、もしくはスリーピー・ホロウが視界内に入った場合、彼女は恐慌状態に陥ります。
 その状態になると説得が不可能になり、スパニッシュフライが暴れだします。

・スパニッシュフライ契約者は、マリ・ヴェリテのベートをほのかに想っています。
 彼のピンチを感じとると、積極的に助けに入ります。
 また、彼を殺さないことを約束すれば、説得が可能かもしれません。

・スパニッシュフライ契約者は姫君と親交があります。
 よって、彼女に対しての攻撃は躊躇します。先制攻撃を行う事はありません。
爆発する携帯電話の行動
「…皆の邪魔、させない………くけけっ」
・「爆発する携帯電話」契約者は、校舎内を隠れるようにしながらもあちこち移動しています。
 侵入者を発見した場合、見つからないように逃げ出します。
 もし発見された場合は、すぐ傍に設置してある携帯電話を爆発させて逃亡を試みます。

・「爆発する携帯電話」契約者は、都市伝説「スーパーハカー」と多重契約を結んでいます。
 それにより、「爆発する携帯電話」契約者は、他人の顔、もしくは名前さえ知れば相手の携帯の番号を知る事ができるようになりました。
 携帯の電源を切らない限り、問答無用の攻撃が行われる可能性があります。

・「爆発する携帯電話」契約者は、ジャッカロープを連れ歩いています。
 詳しくはジャッカロープの行動を参照。

・「爆発する携帯電話」契約者は、仲間全員を大切に思っています。
 仲間全員の命をとらない事を約束すれば説得が可能です。

・「爆発する携帯電話」契約者は、人肉料理店及びその契約者を発見した場合、攻撃を躊躇します。
 相手から攻撃されない限り、決して攻撃してくる事はありません。


ジャッカロープの行動
(ぴすぴすと鼻を鳴らしている)
・ジャッカロープは、「爆発する携帯電話」の契約者に抱かれて移動しています。
 マッドガッサー一味が負傷した場合、「爆発する携帯電話」と接触する事によって、ジャッカロープの乳で回復してしまいます。

・ジャッカロープは、兎なりに仲間を大切に想っています。
 目の前で仲間がピンチになった場合、頭の角で攻撃を試みてきます。
 兎の瞬発力で頭の角でタックルされると、わりと痛そうなのでご注意を。
13階段の行動
「引きずり込め!「13階段」!!」
・「13階段」は、校舎内のどこかの階段の踊り場に陣取っています。
 敷地内の階段全体に「13階段」の能力を発動させており、それは彼が自主的に能力を解除、もしくは彼が戦闘不能にならない限り解除されません。
 なお、マッドガッサー一味は「13階段」の能力の影響を受ける事はありません。

・「13階段」は「組織」に対して恨みを持っています
 「組織」の人間からの説得には、よほどうまい説得でもない限り応じないでしょう。

・「13階段」は女体化した「爆発する携帯電話」契約者をほのかに想っています。
 「爆発する携帯電話」契約者がピンチになっているのを見た場合、自身に戦闘能力がない事など考えもせずに救出に向かいます。
 また、「爆発する携帯電話」契約者の命をとらない事を約束すれば、説得が可能です。

・「13階段」は人肉料理店及びその契約者が「爆発する携帯電話」契約者の恩人であると知っています。
 彼らが校舎内に侵入したのを知った場合、慌てて彼らを「13階段」の能力の対象外に指定します。


似非関西弁の女性の行動
「手加減せぇへんで!」
・似非関西弁の女性は「斬鉄剣」を手に、校舎内をうろついています。
 侵入者を発見した場合、戦闘状態に入ります。

・似非関西弁の女性はマッドガッサーと多重契約を結んでいます。
 その影響により、マッドガッサーと微弱ながらテレパシー的な繋がりを得たようです。
 彼女が得た情報は、携帯などを経由しなくともある程度マッドガッサーに伝わります。

・似非関西弁の女性はマッドガッサーと結ばれています(契約以上の意味で)
 マッドガッサーの命を保証してくれれば、説得に応じてくれるかもしれません。
スーパーハカーの行動
「はにーノタメナラ、ナンダッテヤッテヤルゼェ!!」
・都市伝説「スーパーハカー」は「爆発する携帯電話」の契約者と契約を結んでいます。
 それにより契約者の頼み事を聞いて行動できるようになり、校舎内の警備システムをのっとりました。
 校舎内の監視カメラに移った場合、即座に彼に発見されます。

・スーパーハカーは顔、もしくは名前さえわかれば、その者の個人情報を即座に検索して知る事ができます。
 その情報は、即座に「爆発する携帯電話」契約者に伝えられます

・スーパーハカーはネット上…電脳世界に存在する都市伝説です。
 彼に、直接的な攻撃を加えることはできません。
 



以後、ミサイル発射までは分単位で作品ない時間は進んでいきます
それぞれの行動は、侵入者及び妨害者の行動により変わっていきますのでご注意を

***************************
ついにガッサー達が本格的に学校町征服に乗り出すようです
これからの皆様の動きに期待せざるをえない
386以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 00:17:10.70 ID:DozcOFjcO
代理おつ!
決戦きたー!
皆さんの文章力に期待!
まとめいただきました。ありがたいありがたい
387小ネタ(代理):2009/11/17(火) 00:19:36.06 ID:hcHsMYV70
○月×日 20:00 中央区 高校前


 冷え込んできた夜道を、一人で歩く「日焼けマシン」の契約者
 今日は、アルバイトで遅くなってしまった
 まぁ、夕食は温めればそれでいいよう、用意していたから大丈夫だとは思うが…
 そんな事を考えつつ、母校の前を指しかかった、その時

「−−−−−−!!」

 校舎の、屋上
 そこに…何か、不審な物体と
 そして、手すりに腰掛けているマリ・ヴェリテのベートと思わしき、人狼の姿を見た

「…まさか、マッドガッサー一味か?」

 人狼の他にも、ちらほらと人影が見える
 …まさか
 ここの校舎で、何か行おうと言うのか?

「冗談じゃねぇぞ…」

 辺りを見回す
 門は…開いてないが、これくらい乗り越えられる!
 すたん、と軽々と門を乗り越え、校舎に向かいながら…「日焼けマシン」の契約者は、懐から携帯電話を取り出した
388小ネタ(代理):2009/11/17(火) 00:20:17.46 ID:hcHsMYV70
○月×日 20:00 東区 彼らの自宅にて


 携帯が鳴り響く
 「日焼けマシン」の契約者からだ
 …どうしたのだろうか?

「はい、私です。どうしました?…………え?マッドガッサーの一味が?」

 ぴくり
 黒服から発せられた言葉に、はないちもんめの少女は反応する

「場所は……中央区の高校、ですね。わかりました……すぐに、そちらに向かいます。危険ですから、あまり派手に動き回らないでくださいね?」

 なにやら、さらに二言三言、連絡して
 …通話を切った黒服は、続けてどこかに連絡しようとしている

「チャラ男からでしょ?何があったの?」
「…中央区の高校校舎にて、マッドガッサーの一味を目撃したそうです。あの子も、校舎の中に侵入したようなのですが…」

 せめて、こちらが到着するまで侵入は待っていて欲しかった
 しかし、あの子の性格を考えるに…黙って待っている事はできなかったのだろう
389小ネタ(代理):2009/11/17(火) 00:20:57.97 ID:hcHsMYV70
 あの子らしい行動だ
 …ならば、自分が今すぐにでも、向かってあげなければ

「私は、中央区の高等学校に向かいます。あなたは、地下トンネルに…」
「私も行くわよ」

 きっぱりと少女は黒服に告げた
 黒服がなにやら口を開く前に、続ける

「あなたとチャラ男だけを危険な目にあわせるなんて絶対に嫌よ」

 強い、強い意思でそう言いきられて
 …黒服は、小さく苦笑した

「…わかりました。でも、絶対に無茶はしないでくださいね?」
「えぇ」

 …あなたこそ、と
 少女は、心の中で呟いた
 黒服も、ついでにチャラ男も……無茶な行動をしなければいい
 そう強く、少女は願ったのだった

「…夜分すみません、少々急ぎますので、用件だけ告げさせていただきます」

 少女を伴い家を後にしつつ、黒服は…Tさんに、連絡をとる
390小ネタ(代理):2009/11/17(火) 00:22:55.26 ID:hcHsMYV70
「マッドガッサーの一味が、中央区の高等学校に出没しました。ミサイルも、そこにある可能性が高いです………すぐに発射できる状態か、そうではないのか、そこまではわかりません。
 しかし、恐らく彼らはそこで、ガスを詰めたミサイルを発射するものと思われます…推定、ですが、恐らく一味全員が、そこに集まっているかと」

 ……そして
 一つ、気がかりな事を、告げる

「…それと、これはマッドガッサーの一味に関連があるかどうか、わかりませんが。私が「組織」にて担当しております、「骨を溶かすコーラ」の契約者と、15分ほど前から連絡が取れないんです。
 元々、こちらからの連絡を無視してくる事も多かったので、何とも言えませんが…念のため、これから彼のお兄さんにも連絡をとってみます………はい、引き続き、何かわかりましたらご連絡しますね」

 通話を切る
 …事態は、悪い方へ悪い方へ、と転がっているようにしか思えない
 小さく、黒服はため息をついた

 ……どうにか、マッドガッサー達の行動を、思いとどまらせる事はできないだろうか?
 そうすれば、「組織」から彼らを、何とか逃がす事もできるかもしれない

 確かに、彼らは罪を犯した、罪を犯している
 ……だが、それでも
 その罪を、償う事もできるのだ

 はないちもんめの少女を伴い、黒服は思案しながらも、中央区の高校へと急ぐのだった


to be … ?

391以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 00:23:35.62 ID:hcHsMYV70
100 名前:名も亡き都市伝説契約者[] 投稿日:2009/11/16(月) 23:59:36
>>99
そう言われちゃあ、明日に延期する予定だった話を投下せざるを得ないぜ!
…ってことで、チャラ男、校舎に侵入、そして黒服Dが情報を得ました
黒服Dより、Tさん、赤い二人、「組織」等にこれらの情報が伝達されます

>>98
頑張れかごめかごめwwwwww
ガスマスク…っふ、唐突にマッドガッサー一味の居場所を知ってしまったチャラ男は既に入手不可能だwwwwwww

***
いかんwwwなんという速筆wwwwwww
そしてチャラ男の明日はどっちだ?
392以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 00:29:02.20 ID:XUVZYVZg0
決戦の時の動き・・・・・・どうしようかな。参加はする気あるんだけど
393以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 01:05:09.52 ID:hcHsMYV70
>>392
参加しようぜ!
394以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 01:32:37.54 ID:hcHsMYV70
395以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 02:14:00.17 ID:hcHsMYV70
396以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 02:37:20.52 ID:DozcOFjcO
こー ねるほ
397以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 04:15:38.17 ID:hcHsMYV70
……突っ伏して寝てた。
なにか書く
398以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 05:35:10.97 ID:hcHsMYV70
399以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 06:25:42.14 ID:OT28Lk+zO
400以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 07:38:41.05 ID:Uf0cbe/UO
401以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 08:24:01.80 ID:1iO2rR3DO
402以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 08:40:53.20 ID:JuZ1fA3fO
>>397 傷に尿をつけると治りが早い←これで
403以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 09:34:17.94 ID:kxMfGOV+O
>>402
本スレに投下できないスレ向きのお題だと思った俺は変態だろうか
404以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 09:47:01.85 ID:T2TDPX730
>>403 むしろ本スレじゃマズイという心のブレーキがちゃんと効いてるから非変態じゃね?
405以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 09:49:44.92 ID:hcHsMYV70
>>404
!!
406Tさん:2009/11/17(火) 09:50:31.95 ID:hcHsMYV70
20:13

 Tさんが携帯を切った。そのタイミングを見計らって俺は声をかける。
「Tさん? 黒服さんから連絡があったんだろ? いったいなんだって?」
「……マッドガッサー一味が中央の高等学校に出没したらしい。≪日焼けマシーンで人間ステーキ≫の彼が見つけたようで潜入中だそうだ。
 ミサイルもそこにある可能性が高く、すぐに発射できる状態かは分からないが恐らく彼らはそこでガスを詰めたミサイルを発射するものだと考えられる。どうも一味全員がそこに集まっているようだ。
 それと、これはマッドガッサーの一味に関連があるかどうかは謎らしいが黒服さんが≪組織≫で担当している≪骨を溶かすコーラ≫の契約者との連絡が付かないらしい。元々無精者らしいが、このタイミングというのは不安になるな」
「へぇ〜……って、」
 中央の高等学校だぁ?
「ここなの?」
 学校町東区、学校町のほぼ中央にある高校。
 まさに今俺たちが見上げているこの学校だ。
「はー、あのでっかい鳥みたいな飛行物体見て野次馬精神爆発させてこっち来てみたら、やっぱりあの鳥っぽいの髪の伸びる黒服さんが言ってたマッドガッサーの仲間だっていう巨大都市伝説だったんだな」
「そのようだな」
 頷くとTさんはどこかに電話をかけ始めた。
「――夜分にどうも、あなたの娘さんに町の中央にある高校で動きあり、本体を叩く。元に戻れるかもしれない。と伝えておいてくれ」
 手短に言うとそのまま相手の返答を聞かずに電話を切っちまった。
 Tさんの言ってた内容からすると、相手はあの≪赤い靴≫の嬢ちゃんの親父さんか。
 確かに手短に言っちまった方が良さげだな。あのおっちゃんとの話は面倒そうだ。
 ともかく、相手さんはこの学校の中にいることがめでたく確定したんだ。
「じゃあ行くかー」
 気楽に言うと正門へと足を向けた。
「契約者は――」
「帰らないぜ?」
 何か言おうとしていたTさんに即行で返す。Tさんは額に手を当てて呻くと、
「あ〜わかったわかった。――ただし、ここからは俺の指示に従え、危険な気配が強い」
 真剣な目で言ってきた。
「あいよ」
「わかったの」
 リカちゃんと一緒に頷くと正門に到着した。
407Tさん:2009/11/17(火) 09:54:57.13 ID:hcHsMYV70
 試しに扉を押したり引いたりスライドさせたりを試みるが、
「閉まっているか」
「まあ乗り越えりゃいいんだろ?」
 これくらいなら乗り越えるのは簡単だ。あっと言う間に正門の扉の上に身を躍らせて高校の敷地へと進入する。
 そして、
「なんじゃこりゃ?」
 塀や地べたに描き込まれた幾何学的な模様の数々を見て素っ頓狂な声を上げた。それは見た感じとしては、
「魔方陣?」
「おそらくは何らかの効果のある陣だろう」
 Tさんはそう言うと模様の一つに手をかざした。
「この陣の正体を知ることができれば、幸せだ」
 Tさんの手から光が発されて、
「――転移系能力の妨害か」
 模様の効果を察したらしいTさんはリカちゃんへと顔を向ける。
「ちょっと試してみてくれないか」
「わかったの」
 リカちゃんが答えた途端、
 ――ジリリリリリリ
 Tさんの携帯が音を立てる。通話ボタンを押すと携帯からはスピーカーモードでもないのにはっきりよく聞こえる機械を通したリカちゃんのかわいらしい声がした。
『もしもし、わたしリカちゃん。今、お兄ちゃんの後ろにいるの』
 しかしリカちゃんは俺の肩につかまったままだ。転移してはいない。
「あれ?」
「だめかー」
 不思議そうなリカちゃんとそういうものなんだろうと思う俺、Tさんも、
「の、ようだな。リカちゃんありがとう」
 そう言うと携帯をしまった。
「解除とかできないのか?」
 訊ねてみると、
「だめだな。おそらく全ての陣を消すか、陣の製作者を倒さなくてはならん」
408Tさん:2009/11/17(火) 09:57:07.78 ID:hcHsMYV70
「そりゃ、めんどうだな」
「――学校を破壊してもいいのならこの程度、霊体的にも物理的にも吹き飛ばせなくはないんだが……」
 そう言って校舎へ向けて構えるTさん。
「まじか!? ちょっと今度俺の学校でやってくれよ」
 五割マジで言ってみると、
「却下だ」
 駄目らしかった。くそう、
「すてーきのお兄ちゃんは、いいの?」
 リカちゃんが校舎へ向かって構えられた腕を見ながら言う。
「…………尊い犠牲だったな」
「…………ああ、彼のことは忘れないでおこう」
「…………?」
 俺とTさんのどこか遠くを見つめる優しい眼差しにリカちゃんは首を傾けていた。
 しばらくそうした後、
「――っと、まあ冗談はこれくらいにしておこうか。流石に校舎を破壊するわけにもいかんだろう」
 そう言って歩き出す。
 玄関はチャラい兄ちゃんが壊したのか全開になっている。不気味ではあるけどそれはそれでなかなか興奮するシチュエーションだなーとか思いながら校舎の中へと足を踏み入れた。
 すると、
「あ、だれかいるの」
 リカちゃんの声、
「っ!」
「……誰だ?」
 瞬間的に反応して振り向く、Tさんが薄い月明かりでは見通せない闇の向こう、下駄箱の影に向かって誰何の声を上げた。
 数秒、
「待て待て待て! なんだ? いきなり身構えやがって」
 そんなことを言いながら陰から出てきたのは、
「あれ? チャラい兄ちゃんの友達?」
「ん? あ、誰かと思ったら……」
 何度か顔を合わせたことのあるチャラい兄ちゃんの友達だった。
409Tさん:2009/11/17(火) 09:58:51.55 ID:hcHsMYV70
「なんでこんな時間にこんなところにいるんだよ?」
 訊いてみると、
「さっきでっけー鳥みたいなのいただろ? この学校の上にいたみたいだからちょっと母校の様子を見がてらな。
 ……そういうお前らこそなんなんだよ? こんな時間に」
 訊ね返された。
 ……えーっと、
「あー、忘れ物を……」
「嘘だろ」
 見抜かれた。
「やっぱりわかる?」
「この前会った時、ここの学校と制服が違ったからな」
 そんなことを言うチャラい兄ちゃんの友達、どう言い訳しようか考えていると、
「あー、黒服さん絡みで少しな」
 Tさんが微妙に会ってるようで違うことを言った。
「ふぅん」
 分かったような分からないような頷き方をするチャラい兄ちゃんの友達。黒服さんの名前を出した途端に少し目線に険が出たような気がする。この人は黒服さんが嫌いなんだろうか?
 そんなことを思っていると、
「ところでリカちゃん、よく下駄箱に隠れるようにしていた彼に気付いたな」
「わたし、リカちゃん。でもひとりかくれんぼでもあるの」
「うおっとおおおおおおおぉっ!」
 肩のリカちゃんをひっつかんで体をくるくる回転させながら距離を少しとる、頭にリカちゃんを乗っけて、
「どうよ? 俺の腹話術!!」
 ポーズを決めながら言うと、
「あ、ああ、すごいな」
 若干引かれ気味な返答が返ってきた。
410Tさん:2009/11/17(火) 10:04:44.50 ID:hcHsMYV70
「……」
 Tさんはそんなチャラい兄ちゃんの友達をじっと見ている。俺は耳元へと口を寄せるとチャラい兄ちゃんの友達には聞こえないように、
「Tさん、いきなりリカちゃんとナチュラルトーク始めんなよっ! あの人、チャラい兄ちゃんの友達だけどあんまりこっちのことは知らないんだぞ!?」
 言うと適当な返事が、
「すまん」
 と返ってきた。
「悪いな、つい関係者が見回りにでも来たのかと思って隠れちまった」
 チャラい兄ちゃんの友達はそんなこっちの状態に見かねたのかTさんがリカちゃんにした質問の答えを話してくれた。
 Tさんは一つ頷くと、周囲を見回し、
「ともあれ、ここはなにかと危険な状態だ。早く離れ――」
 その途端、何かが近くの床に激突した。
 床を削りとっていく音が響き、月明かりに金の色彩が一瞬きらめくのが見える。
「?」
「うわ!?」
 チャラい兄ちゃんの友達と俺がそれぞれ驚いていると、
「マリ・ヴェリテのベート……」
 Tさんが相手を見据えて名を呼んだ。
 視線の先では淡い月光に光る金の髪を湛えた女の子が、鋭い獣の視線で俺たちを見返していた。
411以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 10:09:54.84 ID:OT28Lk+zO
支援
412Tさん:2009/11/17(火) 10:10:58.28 ID:hcHsMYV70


            ●


 目の前、ほんの数メートルの間の向こうにはマリ・ヴェリテのベートがいる。
 あと少しで正体を見極めることも可能だったろうに、
 思い、青年は舌打ちを一つ、≪日焼けマシーンで人間ステーキ≫の青年の友人へと向かって声をかける。
「青年、早くこの学校の敷地から逃げろ! これは俺たちで引き受ける!」
「あ、ああ」
 走り去っていく音が青年の背後でする。
 それを見送っていた青年の契約者の少女は青年に耳打ちする。
「Tさん、チャラい兄ちゃんのことは、」
「言わないままの方がいい」
 彼が仮に敵であったとしても何も知らないにしても≪日焼けマシーンで人間ステーキ≫の青年の情報はここに彼を縛りつける。危険だ。
「契約者、俺の後ろへ」
「おう」
 素直に自分の背後、数メートルの位置に契約者が来たことを気配で確認すると、青年は金髪の少女へと声をかけた。
「久しぶり、マリ・ヴェリテのベート」
「あんたか、路地裏以来だな」
 声をかけた瞬間、月光に、やはり艶やかに輝く毛並みをもった人狼へと姿を変えたマリ・ヴェリテのベート、彼は殺気と共に警戒の視線を光らせながら、
「俺たちの邪魔をする気か」
「まあな。少しやりすぎだ」
 その青年の言葉にマリ・ヴェリテのベートは軽く俯くと、視線を跳ね上げた。獣の目は強い意志と合間にのぞく理知的な光を湛えて青年に叫ぶ。
「……お前に、お前らに俺の大事な群れを襲わせはしねえっ!」
413Tさん:2009/11/17(火) 10:12:57.38 ID:hcHsMYV70
「群れ?」
 怪訝そうな顔の青年に乱暴に頷く人狼。
「契約者を得ているお前にはわかんねえだろうなぁっ! 化け物と、人食いと忌み嫌われ恐れられて誰にも信じてもらえずに、群れる事を許されず、
契約しようとする者は皆力に呑まれて消え去っちまって契約者を得る事すら許されなかった都市伝説の絶望がぁッ!」
 一息、
「やっと、やっと出来た仲間で、大事な群れなんだ。どんな犠牲を払ってでも絶対に護らせてもらうぜぇッ!」
 叫びは届いた。そしてその返答もまた、届いた。
「なるほど、ではお前に解るか? 幸運に見舞われすぎた人間の不幸を」
 青年は過去を懐かしむように語る。
「ある家系では代々密かに幸せを呼ぶ≪ケサランパサラン≫なる物を伝えていたんだ。ある時その家系の子供は父親から≪ケサランパサラン≫を譲り受けた。契約したんだな。
数日後、一家は≪ケサランパサラン≫を譲り受けた少年以外殺された。少年は犯人に連れていかれて彼らのために幸運を与え続けた。大それた願いを聞き入れてはもらえないと何度言っても聞いてもらえなくてな、
それなりにひどい目に遭った。やがて幸せなことにその犯人たちは全滅するわけだが。
 以降は≪組織≫の下で十数年鉄砲玉生活だ。能力の正体は誰にもしゃべりはしなかった。『≪ケサランパサラン≫は所持しているということはあまり人に知らせないほうがいい。』よく言ったものだ。
誰だって幸せが手に入ると分かれば目の色を変えるのだから」
 苦笑、
「そんな中一度死んで、出会ったのが契約者だ。馬鹿だから、この能力をなかなか私欲に利用しようとしない。ついつい自主的に宝くじを当ててきてしまったよ」
 はは、と笑い、
「そんなわけで、死んでからやっと手に入れた大事な大事な幸せなんだ。――俺もこの群れを護りたい」
 だから、
「不幸自慢は終いにしよう。降伏しろ、マリ・ヴェリテ。お前たちを悪いようにはしない」
414Tさん:2009/11/17(火) 10:14:01.26 ID:hcHsMYV70
 青年の言葉はしかし、
「お断りだねえええええええっ!」
 人狼の心を動かすことはできなかった。
 マリ・ヴェリテのベートは青年へと向かって、彼にとっては数歩の距離を駆ける。
「残念だ。また気が向いたら俺の気が変わらないうちに言ってくれ」
 青年は言いながら五指を開いてマリ・ヴェリテのベートへとその掌を向ける。
 ――アレを打ち抜ければ、幸せだ。
 祈りと共に光弾が生まれ、
「破ぁ!!」
 放たれた。
 飛んだ光の玉は五つ、それぞれ、上、下、右、左、正面からマリ・ヴェリテのベートを狙う。
 対するマリ・ヴェリテのベートの取った行動は簡単だった。
 駆ける速度を上げ、突進してきたのだ。
 四つの光弾が目標に当たらず相殺し合い、残った正面の一撃に対しては、
「ガアアアアアアアアア!」
 獣の咆号と共に繰り出した右拳がぶつかり、光弾は飛沫の音を立てて消え去る。
 右腕から煙が上るがマリ・ヴェリテのベートは構わず青年へと距離を詰める。
 遠距離攻撃を突破、近距離で打ち倒す!
 そう思考するマリ・ヴェリテの顔には素早い接敵に反応出来ないであろう相手に向けた笑みがあり、
 対する青年も同じような笑みを浮かべていた。
 青年が差し出した腕、その先の五指は未だ開かれており、――光を纏っていた。
415Tさん:2009/11/17(火) 10:14:50.27 ID:hcHsMYV70
「破ぁ!!」
 気合い一声、次に放たれた光は壁のような一撃だった。
 近距離では回避のしようがない一撃、
 だからマリ・ヴェリテのベートは避けようとは考えなかった。
 腕を組んで壁にぶち当たる。
 激突の瞬間に両の腕を開き、壁を腕で切り裂く。
 マリ・ヴェリテのベートは光りの壁を抜け、開いた腕をその開ききった反動でもって突き入れた。
 速度は多少落ち、全身から煙が立ち上ってはいるが、それでも尚高速の爪が青年を貫こうと突き込まれる。
 打音!
「……!?」
 肉を貫く音ではなく、己の腕には肉を貫く感触が返ってこない。
 何事かと疑問を抱いた刹那、光の残滓の向こうに答えがあった。
 青年の光りを纏った両の腕がマリ・ヴェリテのベートの両の腕をそれぞれ掴んでいたのだ。
「無茶苦茶な野郎が」
「鏡見ろ、鏡」
 マリ・ヴェリテのベートは無言で両手をつかまれたまま、跳んだ。足を揃え、
「喰らえ!」
 蹴りつけようとする。
 青年はその前に反応、腹を狙って繰り出された蹴りを喰らう前に後方へと退いた。
 床に倒れる形になったマリ・ヴェリテのベートはしかし、手を付き、身をバック転のように持ち上げる。
 距離を置いた。そう思って視線を前に向けたとき――
 青年が手の届く範囲に近づいていた。
「っ!」
 青年の右の拳が胴を打つが、その程度で倒れはしない。拳が引かれる前に腕を逆にひっつかみ、青年の体を壁へと叩きつける。
 腕が変な方向にねじ曲がると同時に骨が折れる乾いた音が鳴り、次いで体が壁にぶつかり鈍い音が鳴る。
416Tさん:2009/11/17(火) 10:16:29.69 ID:hcHsMYV70
 「ガッ、」と空気が吐き出される音が青年から聞こえ、
「潰れろおおぉ!!」
 マリ・ヴェリテのベートは伏せった青年を踏みぬこうと足を振り上げた。
 が、その振り上げられた足とは逆の足を光弾が焼いた。
「―――ッ!?」
 足を撃たれてバランスが崩れたマリ・ヴェリテのベートの胴体に青年は再び一撃を、今度は右の蹴りを叩き込む。
 繋げるように放った左の蹴りはマリ・ヴェリテのベートによって身を捻って避けられる。狙いを外した蹴りは青年が叩きつけられた壁とは反対、どこかの教室の窓枠を打ち、歪め、窓枠の歪みはガラスをねじ割って、
 青年の声が響き、
「割れた窓ガラスの破片が、全てマリ・ヴェリテのベートを貫けば、幸せだ」
 ――幸せが履行された。
 光りを纏ったガラスの破片が、光りの壁を抜けた時に焼けた体毛の隙間から無数に突き刺さる。
 が、
 と続いた悲鳴をバックに青年は掌をマリ・ヴェリテのベートへと向けた。 
「今度は片腕だけでは済まんが、――まあどうにかなるだろう」
 掌には光、青年が荒い呼吸を沈めながら一撃を下そうとすると、
 ――ジリリリリリリリリリ
 ――プルルルルルルルル
 ――リリリリリリリ
 電話の呼び出し音が複数響いた。
「ッ!」
 青年が止めるべき電話の対象を探して視線をさまよわせると、
「Tさん! こっち!」
 彼の契約者が手招きして呼んでいた。
 青年がそちらへと走った瞬間、
 轟音と閃光と衝撃が同時多発的に発生し、青年が先程までいた辺りを包みこんで消し飛ばした。
 そのまま三人は廊下を端まで走り、トイレの前で一息つく。
417Tさん:2009/11/17(火) 10:18:53.75 ID:hcHsMYV70
「――大丈夫か? Tさん」
 息を整えながら少女が問う。
「ああ、問題無い」
 そうか? と言いつつも少女は別の話題を振る。
「マリ・ヴェリテのベート、あの爆発だし消しとんでんのかな?」
「おそらく生きているな。あの携帯爆弾、爆発の方向に指向性があった。おそらく校舎を破壊しない気遣いだろうが、あれならばほとんどマリ・ヴェリテのベートは爆風を受けていないことになる」
 言った途端、
 電話の呼び出し音が響いた。
「ここもかよ!」
 辺りを見回す少女、しかし携帯は巧妙に隠されているのか見つけることができず――
「いや、これは――」
 青年がハッとした顔をする。
「契約者、携帯を出せ!」
「え?」
「奴さん、どういうわけかこっちの携帯番号を知っている!」
 そう言って取り出された携帯に青年が光りをぶつけようとすると、
「だいじょうぶ、なの」
 少女の頭につかまっていたリカちゃんが言葉を放った。
 携帯は呼び出し音は鳴るが、一向に爆発を起こさない。やがて呼び出しはやみ、携帯からはリカちゃんの声が聞こえた。
『もしもし、わたしリカちゃん。いま、けいたいのしゅどーけんをにぎったの』
 声を聞いた少女はクタクタと床に座り込んだ。
「……はー、しんどい」
「トラップが多いな。黒服さんに連絡を入れておこう」
 青年は負傷を治しつつ携帯を取り出し、リカちゃんへと視線をむけた。
「これは、」
「わたしにしかかけられないの」
 そうリカちゃんが言ったと同時に携帯電話が勝手に作動し、呼び出しを始めた。
418Tさん:2009/11/17(火) 10:22:15.07 ID:hcHsMYV70
規制解除やっほおおおおぅwwwwwwwww

避難スレ>>100でかっこいいことやられたので対抗したかった。というわけで一番槍なりー
……反省している(文章力と睡眠時間的な意味で)。

あと僭越ながら、
各キャラ、行動時間を書いておくと作者さんが回しやすいと思われますので書いた方がいいかと、
あと学校の簡易な地図が欲しいかもしれんです。どこにいるかが把握できるのは大事だと≪夢の国≫編で理解したので。


うちの子たちの行動方針:
Tさん:出来得る限り一味を殺さずに黒服Dに届けるか連絡を入れる。
ただし、契約者や知り合いに一線を越えて手を出すようなら容赦はしない。(それでもおそらく殺しはしない。と思う)
契約者とリカちゃん:殺すことは選択肢にない。

 ・以降、魔女の一撃の契約者と出会った場合Tさんはいつでも攻撃できる体制に、契約者たちは「あれ? なんでまだ残ってんの?」となります。
 Tさんが契約者たちの近くにいない場合、契約者たちはそれっぽい理由で言い訳可能です。
 ・爆発する携帯電話に対してリカちゃんの能力で上書き可能。彼女の影響下にある(面識あり、または肉眼で確認できる位置の電話類)電話の爆発は不可能とします。
(ただし電話の通話機能も全て彼女頼りのため彼女の近くにいない場合は電話として使えなくなります)
 この能力の通話機能の妨害はやろうと思えばできるけっこうしょぼいものとします。

現在地:一階廊下。時刻20:25

赤い靴たちへの連絡も入れました。父親が伝えるかは謎ですが。
黒服Dさんにはその時点までの情報が全て回るものと思ってください。

……爆発する携帯電話強ええええw
学校要塞化してるし、ここはもう校舎の壁伝いに行った方がいいかもしれんな〜
419以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 11:39:52.47 ID:Uf0cbe/UO
4201レスネタ:2009/11/17(火) 12:32:56.22 ID:OT28Lk+zO
逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ
ここは危ない。この前の秋祭りの時、そう感じた。それに最近では、ガスマスクの男が暴れている。さっき何かでかい物が飛んでいた。
一般人ならいい。巻き込まれても、何もわからないまま死ぬか、記憶を消されて生きていけるのだから。
でも、私は契約者だ。しかも、今の私は無茶苦茶弱い。一般人と変わらないぐらいだ。
だから、都市伝説の多いここは危険だ。お父さんお母さん、ちーちゃんももちゃん佐藤君みーくん、置いて逃げる事を許して下さい。
でも大丈夫。どうせあなたたちは何があっても忘れるのだから。
でも大丈夫。私は帰って来ます。卑怯者と蔑まれようと、裏切り者と罵られようと、どんな事をしても生きて帰ってきます。
その頃には、私は最強になっているはずだから。みんなのまわりの都市伝説を、学校町の都市伝説を全部退治するから。
だから、その時まで、「2012年12月」まで、生き延びて下さい。
421以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 12:33:57.32 ID:1iO2rR3DO
422以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 12:43:02.88 ID:kxMfGOV+O
>>420
元ネタが分からんのだが、MMR的なものだろうか?
423以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 12:50:05.05 ID:OT28Lk+zO
2012年人類滅亡説
マヤとかフォトンベルトとかタイムウェーブゼロ理論とか
424以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 13:00:30.36 ID:Uf0cbe/UO
映画のやつ?
425以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 13:00:58.96 ID:OT28Lk+zO
>>424
426以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 13:19:59.38 ID:Uf0cbe/UO
>>425

11月21日公開 「2012」

2012年、マヤの予言どおり、世界は終わる---。



ってやつ
427以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 13:22:30.37 ID:OT28Lk+zO
>>426
多分それの元ネタ
428以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 14:05:44.29 ID:kxMfGOV+O
2012年になったら人類は等しく滅びるから、それまで生き延びたらみんな一緒で寂しくないよ、ってことか…

それなんて人類補完計画?
429以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 15:02:42.49 ID:cxjRzMyOO
Tさん、単発乙!
昨日寝オチしちまったorz
今日こそ参戦させる!あと保守
430占い師と少女:2009/11/17(火) 15:44:52.57 ID:cnJehh4D0
○月×日 20:03

「……何にも起こらないな」
「……何にも起こりませんね」

占い師さんが別の占い師の人から電話を受けてから2時間近く。
マッドガッサー一味による学校町全体に及ぶ悪意的な「何か」が、20時に起こる。それを伝える電話だったのだが……。

「時間、間違えてませんよね?」
「夜の8時で間違いないはずだが……」

子機を手に、占い師さんが電話をかけ始める。恐らく相手は先程の同業者さんだろう。

「…………もしもし。ああ、じいさんか。こっちはもう8時になってるんだが、何も起こらない。どうなってるんだ?」
「ほっほ、もう既に始まっておる。お前さんの目がおかしいんじゃないのかね?」

占い師さんが気を配ってスピーカーにしてくれたのか、私にもおじいさんの声が聞こえてきた。
以前に一度だけおじいさんには会ったことがある。都市伝説になって間もない占い師さんを育てた人だそうだ。

「馬鹿言え、学校町を覆う程の惨事になるんだろ? 気付かないわけがないだろうが」
「ふむ……お前さんは何か勘違いをしておるようじゃの」
「……勘違い?」
「確かにわしは『今夜8時に』マッドガッサー一味が行動に出るとは伝えた。じゃが、何もその行動の結果が8時だとは言っておらんじゃろうが」
「…………つまり、それと分かる惨事になるのはもっと後なのか?」
「ふむ、わしらの預言通りなら今夜0時辺りになるじゃろうな」
「………………」
「どうした、黙りおって」
「どうしてっ、それをっ、先に、言わなかったんだっ!!」

怒鳴る、というより叫ぶのに近い占い師さんの言葉。
431占い師と少女:2009/11/17(火) 15:48:01.64 ID:cnJehh4D0
「あ、あの、占い師さん、一応もう夜ですから……」
「おお、その声はお嬢ちゃんじゃの」

おじさんの声が嬉しそうにかわる。

「いやはや、よくそんながさつで乱暴な者の所にいられるのう……よければわしらの家へ来てもいいんじゃぞ?」
「未来はやらんぞ、じいさん。つーか話をそらすな、話を。あんたのせいでこっちはこの1時間、死に物狂いで準備をしてたんだ」

確かに、私たちの周囲にある荷物はすごい。
対マッドガッサーのガス用に特別に運命の改変を行ったマスクや、その他日用品に、よくわからない大きな布、煙幕まである。

「……ほっほ、まぁそう怒る出ない。償いと言っては何じゃが、お前さんにまた新しく情報を与えようぞ」
「…………何だ」
「マッドガッサー一味じゃがの、どうやらその町の中心付近にある高校で籠城を続けているようじゃ。そこで0時に起こるじゃろう事の為の準備をしておる」
「……本当か? 今度また適当な事ぬかしてたら、次会った時殺すぞ、じいさん」
「なに、お前さんに殺される未来は見ておらん。平気じゃろう」
「……よし、分かった。今度こそ信じてるぞ、じいさん」
「ほっほ……ではの、お嬢ちゃん、本当に嫌になったらさっきの件、考えて――」

プツッ

占い師さんが会話の途中で電話を切った。
……いいのかな。
432占い師と少女:2009/11/17(火) 15:51:04.71 ID:cnJehh4D0
「で、学校町中央の高校なわけだが……未来、お前はどうする」
「……何が、ですか?」

何となく占い師さんが何を言おうとしているかは分かっていたが、口から疑問が出てしまう。

「今回の騒動は今までのマッドガッサーが起こしたもんとは桁違いだ。死ぬ可能性だってある」
「……ここで待機するか、占い師さんと一緒に行くか、ですか?」
「ああ」

……そんなの。
そんなの、聞かれる前から答えは決まっている。

「一緒に行きます」
「いいのか?」
「……占い師さんの邪魔にならなければ、ですけど」

少し弱気になって言うと、ぽむ、と占い師さんの手が頭にのせられた。
周囲に散乱する荷物を顎でさし

「じゃ、持っていくものを選ぶぞ、さすがにこれ全部持っていくわけにはいかないからな」
「……はいっ」
433占い師と少女:2009/11/17(火) 15:54:57.84 ID:cnJehh4D0
○月×日 20:10

暗闇の中、町の中心にあるという高校へと急ぐ。
都市伝説とは言え肉体機能は一般の人と同様な私たちは、軽いリュックを背負い町中を走っていた。
時々漏れているテレビや家族の声以外、辺りはひどく静かだ。これから何か恐ろしい事が起こる事なんて、信じられないくらい。
……そんな静かな町だったが、車の走る音が木霊し始めていた。
ライトで道を照らしながら進むそれは、小さいながらも搭載量はそこそこあるだろうバン。
…………そして、そのバンは私たちの前で止まった。

「…………敵、ですか?」
「さあな……」

マッドガッサー一味は学校外にも出ていたのだろうか。
身構える私たちだったが……。

「こんな所で何やってんだ、兄ちゃんに嬢ちゃん」

かけられた声が、よく知っている声だったので、思わず脱力する。
バンから降りてきた中肉中背の男は、私たちのよく知る八百屋の大将だった。

「……八百屋さんも、何やってるんですか」
「明日の分の野菜、仕入れに行く途中だけどよ」

そういえば、この先は八百屋さんのある商店街だ。

「で? 嬢ちゃんたちは、この先になんか用事でもあんのか?」
「えっと……」

思わず、占い師さんの方を見てしまう。
434占い師と少女:2009/11/17(火) 15:58:06.43 ID:cnJehh4D0
「……なんでもねぇよ、大将」

このまま大将が仕入れに行けば、少なくとも学校町からは離れられる……多分、そう判断したのだろう。

「ほーお、じゃあ何か、んな荷物背負って今からピクニックってか?」
「ああ」
「……そんじゃぁ、俺も混ぜてもらわねぇとなぁ」

占い師さんの答えに、大将はくっくっと笑ってバンを降りた。

「……大将、悪いがこれは俺と未来、二人だけで行くつもりだ」
「分かってるよ、兄ちゃん達がそういうつもりなのはな」

それから軽くため息をついて

「……ならよ、もっと顔をほぐせや。強張ってて男前が台無しだからよ」

その言葉に、慌てて顔をこする占い師さん。
……ああ、これはもう『何かあります』と白状しているようなものだ。普段は冷静なのに、どうしてこういうときはそれが発揮されないんだろう。

「……兄ちゃんがんな顔してんだ。なんか厄介事でもあんだろ? 一応俺も都市伝説と契約してんだからよ、足手まといにならねぇんなら連れてっても損はねぇはずだぜ?」
「……命を落とすかもしれないが、いいのか?」
「構わねぇよ。むしろここで逃げたら後で後悔するだろうからな」
「死んだら、大将の奥さんとの約束も果たせなくなる。それでも、か?」
「何、かみさんなら俺のケツ叩いて応援してくれるさ」
「………………」
435占い師と少女:2009/11/17(火) 16:01:36.41 ID:cnJehh4D0
占い師さんはしばらく悩んだ後、手を差し出して

「手を貸してくれるか、大将」
「おうとも。そうこなくちゃな」

その手を大将がパンッ、と叩いた。

****************************

「……どこまでが目的地だい?」

バンに乗り込みながら大将が尋ねてくる。

「この町の中央にある高校まで、です」
「するってぇと……ああ、戻る事になるんだな」
「悪いな、巻きこんで」
「いいんだよ……これ以上言ったら殴からな、兄ちゃん」
「…………ああ」

夜の街に、バンが喧騒を立てながら走り始めた。
436占い師と少女:2009/11/17(火) 16:05:00.28 ID:cnJehh4D0
○月×日 20:15

バンを高校から少し離れた角に置き、私たちは校庭の塀沿いに歩いていた。
先程数度、グラウンドで閃光が走っているのが見えた。どうやら先に来た都市伝説とマッドガッサー一味の誰かが戦っているようだ。

「校庭に3人、上空に1人と1体、屋上に1人…………」

移動の間、占い師さんは校舎の中を透視していた。

「……それで、一味は全員ですか?」
「いや、ここからじゃ遠くて校舎内にいるの奴らがよく見えないから、恐らくはもっと多いだろう」
「ほんっと、便利だねぇ、兄ちゃんの能力は」
「距離で見えにくくなる透視能力なんて、まだまだ便利とは言い難いがな」

そうこうしている内に、校舎裏の、裏門近くにまで辿り着いた。

「……ちょっと屈んで待ってろ」

私たちに指示をして、占い師さんが裏門を乗り越えて中へと入る。

「うわ、み、見られちゃいますよ!」
「………………」
(無視ですか……)

占い師さんの能力で分かったのだが、この高校には至る所に監視カメラやセキリュティが施されているらしい。
しかもその全てが相手の都市伝説の統制下に置かれているのだというんだから、いただけない。
もし見つかったら、即座にこちらの居場所が一味に知らされるのだろう。
437占い師と少女:2009/11/17(火) 16:08:03.62 ID:cnJehh4D0
「……俺が考えもなしに行動してるとでも思ったのか? ほら、もう入ってもいいぞ」

しばらくして、能力で裏門のカギを開けたのか、占い師さんが中から裏門を開けて出てきた。
屈んでいた私を、手を引いて立ち上がらせてくれる。
……校舎の方を見ると、監視カメラがまだ正常に動いていた。

「おい、まだ動いてるじゃねぇか、兄ちゃん」
「俺の能力で、あれはもう俺らを写さないようにしてあるんだよ、大将」
「……ほー。本当に便利だな、兄ちゃんの能力は」

(……本当だ)
能力を使って、監視カメラが本当に無力化されているのを確認する。
今のカメラは、動きに合せた風景だけを映し出すように改変され、人の姿を捉えることはなさそうだ。

「つっても、15分間しか能力は持続しないからな。さっさと行くぞ」

校門、校舎の方へと歩いて行く占い師さん。
私と大将も、その後をついて行く。
油断なく目を校舎へ向けた占い師さんは、ある場所で止まった。

「ここなら、わざわざ監視カメラを無力化する必要もないはずだからな」
「そりゃ、『男子トイレ』じゃ監視カメラなんて作動してないんでしょうけど……」

さすがに、トイレにまで監視カメラがあったら問題だ。
そのまま占い師さんは、窓枠のセキリュティを能力を使って解除……いや、作動しているように敵の都市伝説が勘違いするような細工まで加えた後、中へと入って行ってしまう。
……さすがに私も女の子。入るのには抵抗があるのだけれど……
438占い師と少女:2009/11/17(火) 16:11:14.38 ID:cnJehh4D0
「早く来い、見つかったら事だ」
「夜中のトイレってのは不気味だねぇ、さすがに」

……既に二人とも、中へ入って行ってしまっていた。
そりゃ、二人とも男だから抵抗も全くないんでしょうけど!

「分かってますよ」

恐る恐る窓枠に足をかけ、一気に中へと入る。
……入った瞬間、空気が変わったような気がした(……いや、変な意味ではなく)
もう既に、ここはマッドガッサーの要塞なのだ。一歩間違えれば命を落とすかも知れない。
じとり、と手に嫌な汗をかいているのが分かる。

「……行くぞ、未来」
「はいっ」

緊張をごまかすように少し大きく、けれど大きすぎない声で返事をしてから、占い師さんの元へと駆け寄る。

「おいおい、俺は呼んでくれねぇのかよ、兄ちゃん」

その後を、大将も小走りについてきた。
……ここから先、一体どんな危険があるのかは分からない。けれど、私にできる最大限の事はしよう。

○月×日 20:20 占い師と他2名、校内に侵入完了
439占い師と少女:2009/11/17(火) 16:14:33.77 ID:cnJehh4D0
占い師御一行、校内に侵入完了です。
取りあえずTさんの人を参考にさせていただき、今後の各キャラの行動と状況を。

・変化した校外の状況
裏門の監視カメラが無効化されています。(20:35まで)
一階男子トイレの窓のセキリュティが外され、能力が解除される20:35までの間自由に出入りができます。
ただし、そこだけ開いているので非常に怪しいです。各自罠だと勘違いする可能性があるので注意されたし。

・占い師、未来、大将の行動
全員固まって行動します。※ばらけるような事があったら今後追加します。
取りあえず「13階段」の契約者の能力で2階に上がれない関係で、1階付近をしばらく移動して、監視カメラ等の無力化にあたります。

なお、敵や見知らぬ都市伝説と遭遇した場合は即座に逃げに入ります。
今はまだ描写していませんが、占い師と未来の荷物の中には、運命の改変によって作られた「透明マント」やら「10分間消えない煙幕」など様々な珍妙アイテムがあります。
また、大将の契約した都市伝説「戦争状態の購買」の能力により相手を一時的に操ることも可能です。
アイテムと大将の能力を駆使して完全逃走体勢に入るので、そうそう捕まらない……と思います。

ただし、例外として大将が知っている(=町をある程度歩く事がある)人や都市伝説の場合、占い師が害をなさない、と判断した場合はこちらからコンタクトをとる場合があります。
もし「コンタクトを取られてもいいよ!」という方がいらっしゃいましたら、「影が3つ」とでも書いていただけるとこちらでそれに答える形のssを書かせて頂きます。

※占い師の能力で魔女の一撃契約者の正体をすぐに見破る事が出来ます。一緒に行動していた場合は即座に敵と判断します。
※廊下を東へ向かって歩いていたのにいつの間にか西を向いていた、などの事例は大将の能力で強制的に方角変更をされた場合になります。
440以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 17:20:14.78 ID:cnJehh4D0
保守
後1時間して代理が現れないようなら代わりに代理するよー
○月×日 20:20  3年生教室


「………っと」

 すたん、と魔女の一撃の契約者は、窓からそこに侵入した
 …あいつの知り合いが来たか、と小さく舌打ちする
 マッドガッサーやマリから聞いた遭遇情報、そして、以前、自分が支配型のコーク・ロアとそいつに操られている連中を叩きのめした時に見せてきたあの光
 自分とて、不意を打てばどうにかなるかもしれないが…厄介だ

「…まぁ、いい。今度顔を合わせたら…その時は、その時だ」

 あの場は、マリに任せてしまったが
 …もし、マリが負けて、あいつらがまたいたら
 その時は、自分が叩きのめす
 ただ、それだけだ

『オーイ、レンラクダゼェ!!』

 −−−−っぱ、と
 教室に設置されたテレビが、勝手に映像を映し出す
 発せられる声はスーパーハカーのもの
 放送室を乗っ取って、映像を送ってきているのだ
 そこに、映っているのは……正門を乗り越えてきている、「日焼けマシン」の契約者の姿
 時刻は…20分も前か
『モットハヤクツタエタカッタンダガ、オクレチマッタ、ワルイナ』
「いや、いい……今、あいつはどこに?」
『ニカイヲウロツイテルゼ。13カイダンノコウカハコイツアイテニャカイジョサレテル』
「…わかった」

 きゅう、と
 魔女の一撃の契約者は、口元に邪悪な笑みを浮かべた


 −−あぁ、そうか
 お前も、来てくれたのか
 よぉし、わかった、ちゃんと、俺がお前を見つけてやる
 他の奴に見つからないよう、俺が傍にいてやるからな
 そうして……お前を裏切って、屈服させてやる


 教室を出て、彼はすぐに階段を駆け上がった
 捕えるべき獲物を探す、野獣の眼差しを浮かべて…
○月×日 20:20  小体育館


「……大丈夫、か?」
「もう問題ねぇ」

 ジャッカロープの乳で、ダメージを回復したマリ・ヴェリテ
 その姿を、「爆発する携帯電話」の契約者は心配そうに見つめていた
 ぴすぴす、鼻を鳴らしながら、ジャッカロープもマリを見あげる

「んな顔するんじゃねぇよ……生きている。でもって、こうやって傷を治したから、まだ戦える、それで充分だ」
「……だが……」

 −−わかっているよ、畜生
 マリ・ヴェリテは小さく呟く
 こいつは、仲間が傷つく事を悲しんでいるのだ
 仲間の誰にも傷ついて欲しくない、そう考えているのだろう
 この状況では、そんな事は不可能だと、そうわかっていても
 それでも………こいつは、悲しいのだ

「とにかく、この階にいるのは危険だな」
「くけっ?」

 ひょい、と
 マリは、「爆発する携帯電話」の小柄な体を担ぎ上げた
 ジャッカロープを抱いたまま、「爆発する携帯電話」は首をかしげる

「二階まで連れて行ってやる。捕まってろ」
「………くけっ」

 小体育館から外に出て…マリは軽々とその屋根に飛び移り、そこから窓を開けて中へと侵入する
 「爆発する携帯電話」をそこで降ろし…辺りを見回す

「隠れていろよ」
「…わかった」

 マリは一人、駆け出す
 侵入者を見つけ次第……排除する為に
○月×日 20:30 食堂前


「…だぁれ?そこにいるのは」

 かけられた声に、Tさんたちは警戒を強めた
 ……かつん、と響き渡る、足音
 食堂らしき場所から…青年が、姿を現した
 ラフな服装をして、手にはコーラのペットボトルを持っている

「…だぁれ?君達は」

 青年は、そう言って首を傾げてきた
 年齢は…20代半ばから後半、といったところだろうか
 その割りには、話し方や仕草がやや子供っぽい
 酷く、アンバランスな印象を与えてくる

「名乗る時は、まず自分から名乗るものだと思うのだが」
「あ、それもそうだね」

 Tさんにそう言われ、青年は素直に答える

「僕はね、「組織」って言う所に所属している人間なんだ。君達も、こんな時間にこんな場所にいるって事は…そうなのかな?」
「…「組織」?」

 Tさんは、まだ警戒をとかない
 Tさんの契約者も、リカちゃんを抱いてやや警戒しているが…その視線は、青年が持っているコーラのペットボトルに注がれた
「…なぁ、Tさん、ひょっとして…」
「あぁ、あの黒服さんの担当している「骨を溶かすコーラ」の契約者かもしれない」
「……あ、あいつの知り合いなんだ」

 小声で話していたはずなのだが、どうやら聞こえていたようだ
 青年は、にっこりと笑ってきた

「君達が言っているのが、あのお人好しで慈悲深くて、とっても利用しやすい黒服のことなら、間違ってないんじゃないかな?」

 くすくすと青年は笑う
 −−−−ぞくり
 その笑みに、Tさんの契約者は悪寒のようなものを覚えた
 よくわからないが…何か、ヤバイ
 生物的な本能が、それを告げてくる

「黒服さんが、連絡がとれないと心配していたぞ?」

 同じような事を、Tさんも感じ取ったのだろう
 青年への警戒を、ますます強めた

 −−−−くすくすくすくすくすくすくすくすくすくす

 青年は、どんどんと笑みを深めていく

「あ、そうなんだ?…本当にお人好しだなぁ、あいつ」

 こぽっ、と
 聞こえてきた、小さな音
 見ると、何時の間にか、コーラのペットボトルの蓋が開いていた
「まぁ、とりあえず、君達はあいつの仲間なんだよね?………それじゃあ」

 ごぽりっ
 ペットボトルから、コーラが溢れ出す

「今は、僕の敵だね!」

 ごぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽ
 螺旋状に、物理法則を無視して飛び出したコーラが、Tさんたちに向かって襲い掛かる

 −−−−−防ぐ事ができれば幸せだ!!

 現れた光の壁が、襲い掛かるコーラを防いだ

「わぁ、凄い、そんな事ができるんだね」

 くすくす、笑いながら楽しそうに青年は告げてくる

「−−っぶね!?っちょ、どうなってんだ!?」
「…様子がおかしいな。操られているのかもしれない」

 青年と距離をとりながら、Tさんはそう呟く
 確かに、青年の様子はおかしい
 狂気でも彩られたかのような笑みを浮かべている
 …微妙に狂気に侵されている点については実は普段からそうなのだが、青年の人となりをTさんたちは知らない為、そう考えるしかなかった
 結果的に、Tさんたちの判断は間違ってはいないから、問題はないのだが

 そう
 「骨を溶かすコーラ」と契約しているこの青年は、スパニッシュフライ契約者の支配能力で、操られている
 うわさの産物の店長と連絡をとっている姿を、もう一人…スパニッシュフライで操られているある人物に、見付かって
 気絶させられた後、スパニッシュフライを飲み込まされたのだ
 よって、今の彼は……マッドガッサー一味の邪魔をするものを、排除しようと動く
 たとえ、相手が誰であろうとも…
 ………いや、青年にとって、この世の誰よりも大切な双子の兄相手なら別だろうが
 とりあえず、大体の相手には容赦しないだろう


 くすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくす……


 暗闇の校舎に、どこか狂気に彩られた笑いが、響き渡った
○月×日 20:35  屋上


「…………」

 スパニッシュフライの契約者は、自分が操っている青年が、交戦状態に入った事を認識した
 やっぱり、捕獲しておいて正解だったようだ
 何となく怖いから、傍にいてほしくはないけれど

「………」

 ちらり、マッドガッサーに視線をやる
 マッドガッサーは、ガスの精製に集中している
 量が量だ、途中休憩を挟みつつ、長時間集中し続けなければならない
 かなりの負担だろう、彼が戦闘行為を行うのは不可能に近い

 …だから、こそ
 自分たちがどうにかしなければならないのだ
「…これ以上集まってこられちゃ、厄介よね」

 そう呟いて、スパニッシュフライの契約者は目を閉じ、集中する
 学校町中に放っているスパニッシュフライたちに…指令を出す

「さぁさ、私の可愛いスパニッシュフライたち、私の頼みを聞いて頂戴な……」

 口に出す必要はないのだが、癖で口に出し、その指令をスパニッシュフライ達に告げる


 邪魔なんてさせない
 邪魔なんて、させるものか


 ……そして
 マリが傷つく可能性を、少しでも低くして見せるのだ
○月×日 20:38 学校町 東区


 やぁ!俺の名前は御手洗便器!
 フリーの……じゃなくて、っつか、そんな自己紹介してる場合じゃねぇええええ!!!!!!!
 何だよこれ、何なんだよこれはっ!?

 こんな夜に、若が屋敷から外に出た姿を見たんで…しかも、何かこそこそしてたから、心配で後を付けようとしたら見失うし!?
 しかも!!
 何だ、この蝿の群れはぁあああああ!!??

 やかましい羽音を鳴らして、黒焦げたような姿をした蝿が、荒れ狂っている
 それに、俺は追いかけられていた
 やばい
 何か、やばい
 本能的に、危険を感じて

「うぉおおおおおお!!!???」

 夜の街中を、俺は一人、蝿の群れから逃げ回っているのだった
121 名前:名も亡き都市伝説契約者[] 投稿日:2009/11/17(火) 16:19:12
本スレ、占い師の人さま乙!
そりゃ、女の子は男子トイレから侵入は恥ずかしいだろうよwwww


さて、こちらもヤンデレ弟とスパニッシュフライの様子を投下しました
20:33より、食堂前にてヤンデレ弟がTさんと交戦状態に入りました
殺害しようとはしてきませんが、無力化を狙ってきます…無力化するために服だけ全部溶かしてくるとかしそうで困る

・ヤンデレ弟は、スパニッシュフライ契約者によって操られています
 不良教師以外のマッドガッサー一味以外の人間に対して、問答無用で無力化を狙った攻撃をしてきます

・ヤンデレ弟を気絶させる事に成功した場合、スパニッシュフライの支配の影響下から逃れる事が可能です
 ただし、ヤンデレ弟は能力に頼らない近接戦闘もある程度できる事をご注意ください(腐っても元狂犬)


・20:35より、学校町各所でスパニッシュフライが群れをなして暴れ出しました
 無差別に人の口に飛び込もうとしてくるのでご注意を
 この時間より後に学校町内をうろついてるキャラは、スパニッシュフライに襲われる可能性が出てきます
 スパニッシュフライは建物の中までは追いかけてきません
453ドクターとバイトくん(代理):2009/11/17(火) 18:12:03.50 ID:It9LCtr00
20:30頃

《一人で行くとかどんだけ無謀か解ってるのかなー?》
「やかましい。サポートする気が無いなら黙ってろ』
《充分サポートしてるだろ? 向こうの作戦を盗み聞きできたから、『魔女の一撃』にやられずに学校まで来れたんだろ》
「その調子でマッドガッサーのところまで案内してくれると助かるんだがな」
《そりゃあ無理だ。俺とお前の能力じゃ、『十三階段』を突破できない。よしんば突破したとしても『魔女の一撃』の契約者や『マリ・ヴェリテのベート』相手にどうこうできるはずもない》
「だったら最初から案内とか情報リークとかするんじゃねぇよ!?」
《『第三帝国』に情報流してもらおうと思ったんだよ。兵器と戦争のスペシャリストだろ、あそこ》
「お前んとこの『MI6』と一緒で大規模干渉しないんだよ、うちの『総統』は。第一、本気で『スツーカの悪魔』とか呼ばれたら学校が一つ急降下爆撃で消し飛ぶぞ」
携帯電話で通話をしたまま、学校の正門前までやってきたバイトちゃん
「つーか既にぶっ壊れてるんだが」
《何人か既に侵入してるようだな。『マリ・ヴェリテのベート』が一時撤退……ん?》
「どうした?」
《『骨を溶かすコーラ』の契約者ってのが、どうも『スパニッシュフライ』で操られてる。蝿に気をつけろ》
「遅ぇよバカ」
『マリ・ヴェリテのベート』や『十三階段』は、戦ったり引っ掛かったりすれば大怪我か死ぬかという相手である
そこからすれば、この対応は随分と優しいものだと理解できた
「侵入前に操って、死傷させずに後続を封じつつ時間稼ぎってわけか」
周囲を飛び交う『スパニッシュフライ』対策に、腰のエプロンを外して口元に巻きつける
《ところで、何でお前メイドさんのままなの?》
「着替えてたらこっそり抜け出せそうになかったから、そのまま出てきたんだよ馬鹿野郎! 文章だと気付かれないんだから黙ってろよ!?」
《メタ発言はんたーい。ともあれ十三階段をどうにか突破しないと、マッドガッサーの元まで行けないぞ。どうすんだ》
「階段使わなきゃいいんだろ……ガラスを割るのはまずいが、鍵が掛かってるかぐらいは確認するか」
バイトちゃんはそう言って、携帯電話を通話状態のまま胸元にしまい込む
通話状態にしてあるのは、着信で発動するという『爆発する携帯電話』対策にと『壁に耳あり』が提案した事だった
ただ、電池を考えれば一時間を超えれば持たなくなる可能性が高い
「ま、二階まで、ぐらいか」
454ドクターとバイトくん(代理):2009/11/17(火) 18:12:44.72 ID:It9LCtr00
片方に紐を結わえた棒を、まるで棒高飛びのように構えると
勢いをつけて窓に向かって走り出し、棒の先端を窓枠の縁に突き込んで支点として跳ぶ
ぐん、と身体が浮いたところで手にしていた棒の端に足をかけ、そのまま二階の窓枠に掴まった
このまま壁伝いに上まで行く事も考えたが、『魔女の一撃』に見つかって腰をやられたら目も当てられない
幸いにして鍵が掛かっていなかった窓を開けて教室に転がり込み、棒を引き上げようとしたところで
「やべぇっ!?」
丁度上空を旋回していた『魔女の一撃』らしき魔法少女と目が合った
即座に窓の下に身を隠したが、多分侵入した事は知らされるだろう
時折見える閃光や、響く爆音を感じながら、これからの行動を思案するバイトちゃんであった

―――

20:35頃

「苦い」
口に飛び込んできた『スパニッシュフライ』を、ぺっぺと吐き出すドクター
曲がりなりにも惚れ薬として存在している都市伝説である、病気や薬品の影響を受けない体質のドクターには全く効果が無かった
だからといって彼女が何かできるというわけでもないが、状況を把握するべく学校へと向かっていたのだ
エイズ・メアリーと口裂け女のミツキは、運転手と共に学校町の外へと避難している
「『壁に耳あり』だったか……うちのアルバイトの現状を知らせてくれた事には感謝しようではないか」
いつもの微笑を浮かべたまま、ドクターは静かな怒りを目に湛えて歩いていく
「バイトくんめ……都市伝説による身体の変調はボク達の研究内容だ。それを解った上で逃げ隠れするなど、医療従事者としての自覚が足りないようだな」
遠目に見える学校は、既に戦いが始まっている様子
バイトくんの捕獲が最優先だが、陣営問わず怪我人がいれば相応の対応をせざるを得ないか
「ともあれバイトくんめ。見つけてまだ女体化したままなら……みっちりねっぷりたっぷりとその身体を調べ尽くしてくれる」
そんな事を考えながら、ドクターは歩みを止める事なく校舎に向かって歩みを進めていた
455ドクターとバイトくん(代理):2009/11/17(火) 18:14:23.67 ID:It9LCtr00
132 名前:名も亡き都市伝説契約者[] 投稿日:2009/11/17(火) 17:44:34
とりあえずバイトちゃんとドクターを参戦というか賑やかしで

バイトちゃんの行動予定
・武器(棒状のもの、モップの柄など)の確保
・タイミングを見ての二階→三階への外壁移動
・見敵必殺、ただし白兵戦能力ではマッドガッサー陣の前衛より大きく劣る(女体化が原因)
・ホルマリンプール沈めは『棒状の武器による突き』以外では発動しない

ドクターの行動予定
・とりあえず学校へ行き誰でもいいから話せる相手を確保
・怪我人などに対してはどちらの陣営に対してもきちんと処置
・バイトちゃんを発見し次第即レイp(待てコラ)
・マッドガッサー一味とはできれば仲良くしたい、その上で今回の行動を止めて欲しい
・ガス、薬品などは効かないが通常の攻撃に対しては無力
456以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 18:19:19.11 ID:It9LCtr00
とりあえず代理投下完了

連載を持たない身としてwktkせざるを得ない
457以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 19:10:41.41 ID:cxjRzMyOO
皆様乙!でもって投下

 〇月×日 14:00 北区教会

 爆発する携帯電話を探して、少年達が最初に訪れたのは教会。話によると、彼はここで司祭や数人の仲間達と暮らしている筈なのだったが…

「オーナー、誰か居たか!?」
「いえ、誰も居ませんね」

 教会の中はもぬけの殻だった。少年は歯噛みする。……何故自分はあの時爆発する携帯電話を止められなかったのか、と。確かに体は動かなかった。立ち上がる事すら出来なかった。
 それでも何か出来たのではないか?もっと必死に呼び止めていれば彼は振り向いてくれたかもしれない。這いずってでも引き止めていれば止められたかもしれない。
 …もしも。もしも、だ。彼が、かつての同級生達や……あの少女と同じ様に……
 ゾクリ、と少年の背筋が震えた。居ても立ってもいられなくなる。

「オーナー!他探すぞ!とりあえず次は「ちょっと待ちんさい」
「なんだよばーちゃん?早く行かないと!」
「ほれ」

 走り出そうとしたところでひきこさんに呼び止めらる。少し苛立ちながら振り向くと、巨大な羽を突き出してきた。

「な、なんだこれ?羽?…にしてもデカすぎね?」
「もし、これの持ち主が鳥だとしたら、旅客機サイズは楽にあるでしょうね」
「教会の裏にいくつか落ちとったよ。あと何か大きな物が置かれてた跡があったねぇ」
458以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 19:12:21.84 ID:cxjRzMyOO
 羽を見たまま考え込む少年。そしてある想像に思い至る。

「……っ!まさか携帯のにーちゃん達この鳥かなんかに襲われた!?」
「いんや、多分それはないぢゃろう。戦いがあったんなら、もうちょい場が荒れていそうなもんぢゃし」
「敵じゃ、ない?……だとしたら、ここの皆はこの鳥と一緒に居る?」
「その可能性は高いでしょうね」
「……つまりこっから先は下だけじゃなく上も見なきゃいけねー訳か」

 少年は空を見上げるが、そこには雲以外何も見えない。
今、この町に何が起きようとしているのか。三人は何も知らぬまま走り出す。

 続
459:2009/11/17(火) 19:33:37.85 ID:Uf0cbe/UO
黒服Y「……うん、わかった、了解。すぐ向かうよ」

電話を切って準備に取り掛かる

同僚「……その格好で行くのですか?」

黒服Y「そうだけど?」

今着ている服は黒色がメインに白と赤が彩られたゴシックな服である
それに黒く長いコートを羽織っている
そしてそのあちこちに拳銃がきれいに隠されている

黒服Y「この服炭素繊維入ってるらしいから、けっこう丈夫なんだよ」

同僚「まぁそれならいいですけど……」

黒服Y「無理ならすぐに戦線離脱するかサポートに回るからさ、ね? 同僚」

しかたなく同僚もYを手伝い始める

同僚「学校までの移動手段は?」

黒服Y「あ〜確かこないだバイク回収したよね、事故起こしたやつ。あれで行くよ」

同僚「乗ると人を引きずってるのが見えるっていうアレですか。大丈夫なんですか?」

黒服Y「5人以上引きずらなきゃ大丈夫だよ」
460以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 19:38:36.98 ID:1iO2rR3DO
出遅れた感が否めない。
うーん、参戦するにしてもある程度行動パターン考えないとダメだよなぁ・・・
最初は正面突破かな、うん。そうしよう


すみません。ドクターと学校前で接触したいと思っているのですが、大丈夫でしょうか?
461:2009/11/17(火) 19:40:52.72 ID:Uf0cbe/UO
同僚「そういえば相手に【爆発する携帯電話】がいましたよね」

同僚「これ、使えませんか」

同僚が出してきたのは4つのトランシーバー
通信距離はそれほど長くなかったと思うが、音はけっこうきれいだったはず

黒服Y「う〜ん、どうしよう。要るかどうか聞いて見ようか、Dさんあたりに」

8時02分くらい?

よし無理矢理にYを向かわせることに成功したぞ
黒服Y
 ゴスロリ服着用、スカートは膝丈くらい?
 黒いロングコート
 これでバイク乗るの危なくね?
持ち物
 ハンドガン多数(ゴム弾装填)(多分6個以上隠してる)

 ジュラルミンケース(中身いろいろ)(丈夫だから盾がわり)
黒服Iからすごいアイテム貰ってたけど入れてるんだろうか
持ってる武器は非殺傷系の武器がほとんどだと思う
実は何が入ってるか考えてない

基本敵を無力化の方向で
黒服Yが黒服Dさんに聞こうとしたのはDさんが頼りになるからであって
黒服Yの知り合いが他にいないからってわけじゃないよ、ほんとだよ
続き書けるか、活躍させれるかわかんないけど(多分無理)とりあえず行ってみた
462占い師と少女:2009/11/17(火) 19:41:51.50 ID:cnJehh4D0
○月×日 20:37

校舎への侵入に成功してから17分。
今、私たちは入ってきた男子トイレの隣にある購買で身を隠していた。

「……俺ら以外に、もう校舎内に入った都市伝説がいるのか」
「さっきグラウンドで閃光を放っていた人達ですかね……」

――数分前、男子トイレ周辺の監視カメラを無効化しつつ、二階へと上がろうとした時のことだった。
急に食堂のある右手の方から「ごぽぽぽぽ……」という水の流れるような音がしかたと思うと、それと同時に強烈な光を放つ壁のようなものが食堂前に現れていた。
都市伝説同士の戦闘だという事は感づいていた。しかし、階段は目の前にあり、私と大将は先を急ごうとしたのだが

『待て』

という、その一言で占い師さんは私と大将を引っ張り、購買の中まで入って行ってしまったのだ。
463占い師と少女:2009/11/17(火) 19:45:06.45 ID:cnJehh4D0
「……そういえば、どうして階段を上がらなかったんですか? 時間的には無理って程じゃなさそうでしたけど」

私の言葉に、占い師さんは首を振って

「『13階段』契約者の能力が階段に張られていた。もしあのまま通っていたら、13段目を通過した時点で、どっかの異空間にでも閉じ込められてただろうな」
「そんなら、13段目を飛び越えりゃいいんじゃねぇのか?」

大将の疑問には、私が答える。

「今の『13階段』契約者の能力だと、13段目の上を通った時点で問答無用で発動するんです。それに、契約者の姿が見えませんから、もしかしたら他の階段にも能力が使われてるのかもしれません」
「つまりあれか、13段目以上は登れねぇって事で……どうすんだ。兄ちゃん達が目指すのは屋上なんだろう?」
「一応階段以外で屋上まで上る方法もあるにはあるが……取りあえず、食堂前で戦ってる奴らの決着がつくまではひとまず様子をみるしかないだろうな」

私たちは透視で、大将は購買から少し顔を覗かせて、両者の戦いを覗く。
再度また閃光が煌めき、いつしか私たちは戦いの行方を見守る事に集中していた。
464占い師と少女:2009/11/17(火) 19:48:23.73 ID:cnJehh4D0
料理店の人、Yの人、お疲れ様です!

Tさん達 vs 「骨を溶かすコーラ」契約者の占い師御一行視点。
占い師さんも未来も何も言っていませんが、能力を使って「骨を溶かすコーラ」契約者がスパニッシュフライに操られている事は知っています。
その関係でTさん達がこちらの味方である事も微妙に感づいています。
なお、戦闘があまりに長引いた場合、購買から出られない3人が「骨を溶かすコーラ」を倒しにかかる場合があります。
その場合は恐らく、今回の騒動で占い師たちが自発的に戦いに参加する数少ない事例になる事に。
465:2009/11/17(火) 19:52:45.72 ID:Uf0cbe/UO
補足
同僚「【爆発する携帯電話】の能力のことはあまり詳しく聞いてないんですが……
    最悪、射程距離に入っただけで爆発することも考えられますし
    もしそうなった場合、携帯を持っているだけで危険ですから、念のためです」


【爆発する携帯電話】の新能力はこの地点じゃまだわかってなかったはず
466とある組織の構成員の憂鬱(代理):2009/11/17(火) 20:02:40.57 ID:hcHsMYV70
○月×日 20:25 校庭


「はい……はい、了解いたしました。もしかしたら、携帯の電源はいっそ、切っていた方が安全かもしれませんね」
『かもしれん…ところで、黒服さんは、今、どこに』

 ごぅんっ!!!

『…今の爆音は!?』
「すみません、こちらは交戦中でして……!」
「ひ〜〜〜〜っひっひっひっひっひ!!」

 魔女の高笑いが響き渡る
 はないちもんめを影に庇いながら、黒服はプールのフェンスの影から様子を窺った

「…あんたたちだけでも、先に校舎に入った方がいいんじゃないのか?」

 手に、水でできた銃を構えた少年が、呟くようにそう言って来た
467以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 20:03:40.70 ID:cxjRzMyOO
しえん
468とある組織の構成員の憂鬱(代理):2009/11/17(火) 20:04:01.52 ID:hcHsMYV70
 少年の傍らには、おかっぱ頭の少女がいて、その二人を庇うように、白衣を来た男性が、魔女の一撃の様子を窺っている

「ですが…」
「…あんたの家族がいるんだろ。急いでおけ………それと」

 ぐしゃり
 白衣の男性は、タバコを握りつぶし、続ける

「…俺の弟も、中にいる。合流した方がいいんだろう?」
「………すみません」

 黒服は男性に謝罪し…はないちもんめの少女の手をとった

「…窓からの侵入は、高さなどから考えると少々難しいですね。正面玄関に向かいましょう」
「えぇ」

 地を蹴り、黒服と少女は走り出す
 それと同時に、男性と少年、おかっぱ頭の少女は校庭に踊り出た

「ひっひっひ、逃がすと思うかい?」
「…俺達は逃げない」

 少年が、魔女に向かって発砲する
 と、同時に、おかっぱ頭の少女がプール脇のトイレから水を呼び出し、魔女に向かって襲い掛からせる

「ひっひっひぃ!だぁめぇ、届かなぁい!!」

 ひらり、ひらり
469とある組織の構成員の憂鬱(代理):2009/11/17(火) 20:04:53.74 ID:hcHsMYV70
 魔女の一撃は笑い、攻撃を交わし続けている
 少年の銃弾は届くようだが、魔女は身軽に飛び回ってそれを交わしている
 魔女が投げる魔法薬は、男性が懐から取り出す試験管を投げつける事によって、直接浴びる事を防いでいるようだが…

「黒服」

 少女に、手を握られた
 …そうだ、彼らがくれたチャンスなのだから
 今、自分たちは確実に…校舎内に入り込まなくては

「…絶対に、離れてはいけませんよ?」
「わかってるわ。あなたこそ、絶対に無茶をしないでよ?」

 少女の言葉に、黒服は頷く
 水の轟音、銃の発砲音、そして爆発音を背景に
 二人は、正面玄関に向かって校庭を壁沿いに走り抜けた

470以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 20:05:07.64 ID:It9LCtr00
試練
471花子さんと契約した男の話(代理):2009/11/17(火) 20:09:19.21 ID:hcHsMYV70
○月×日 20:15 中央高等学校 グラウンド横の塀


「ここですか?」
「あぁ」

 不良教師から、連絡があった
 …どうにも、俺たちの通っている高校で、何か問題が起きているらしかった
 それも、マッドガッサー関連で
 早速、花子さんに頼んでトイレで移動しようとしたのだが…花子さんの転移が、作動しない
 転移を封じる、何らかの処理を施されてしまったらしい
 仕方なく、不良教師と公園で待ち合わせ合流し、ここまで来たのだ

「正門から入らないの?」
「…警備システムが、連中に乗っ取られている可能性がある」

 ぽつり、不良教師が口にした
 あぁ、確かに……相手が、学校に篭城しているというのなら、警備システムは一番厄介な存在のはず
 だと言うのに、ここを篭城先に選んだと言う事は、即ち…
 …警備システムが、相手に乗っ取られている可能性があると言うことだ

「正門と裏門には、監視カメラがあるからな。侵入を察知されるかもしれん」
「じゃあ、塀を乗り越えれば…時間はかかるけど」
「まぁ、待て……確か、この辺りだったはずなんだが…」

472以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 20:11:01.17 ID:Uf0cbe/UO
代理早えな
473以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 20:12:41.97 ID:It9LCtr00
リアルタイム代理投下か支援
474花子さんと契約した男の話(代理):2009/11/17(火) 20:14:30.16 ID:hcHsMYV70
 ごそごそと、何か塀を探っている不良教師
 一体、何をしていると言うのか
 俺が、疑問に思っていると

「…あ、けーやくしゃ、誰か来るよ」
「え……」

 確かに、こちらに向かって走ってくる、人影二つ
 黒いスーツを纏った…多分、不良教師と同じくらいの年齢の男と、花子さんと同じか、それよりは年上と言った感じの女の子だ
 マッドガッサーの仲間じゃないといいなぁ、と思いつつ、軽く警戒していると

「…おや、あんたか」
「あなたも、いらしていましたか…」

 あ、不良教師の知り合いか?
 んじゃ、大丈夫か

「…誰?」

 黒スーツの男の傍らにいる女の子は、不良教師を知らないようで 
 こちらに対して、警戒の眼差しを向けてくる

「大丈夫ですよ、この方々は」

 黒スーツの男が、柔らかく微笑んで、女の子にそう言っている
 女の子は…一応、頷いてきたが、表情の厳しさは変わらない
475花子さんと契約した男の話(代理):2009/11/17(火) 20:18:43.01 ID:hcHsMYV70
「警備システム、に関してですが…本当なのですか?」
「あぁ。校内は監視カメラだらけだ」

 塀を探りながら、不良教師は黒服の言葉に答えている

「…まずくない?チャラ男のことだから、それ、絶対知らないし気づいてないわよ?」
「……正門から、堂々と入った可能性がありますね。あの子が侵入した事は既に知られているかもしれません」
「あんたたちの仲間が、先に中に入っているのか?」

 俺が問い掛けると、黒スーツの男がはい、と頷いてきた
 …だから走ってきたのか、と俺は考える
 仲間が先に校舎内に入っているのなら…危険な状況になっているかもしれない
 急ぐに決まっている

「……よし、あった!!」

 がこんっ!
 塀の一部が……外れた
 グラウンド側に向かって、人一人通るくらいの穴ができる
 ……おぉう!?

476以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 20:21:12.51 ID:iBQoRPYN0
支援だぜ
477以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 20:21:36.12 ID:cxjRzMyOO
支援!
478以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 20:23:43.16 ID:DozcOFjcO
地元の強みwww
479花子さんと契約した男の話(代理):2009/11/17(火) 20:40:43.57 ID:hcHsMYV70
「何これ?」
「抜け穴だ。昔、授業サボる時によく使った」
「待てや、不良教師」

 昔から不良教師だったのかこのやろう
 抜け穴知ってたのはいい事だが、堂々と知ってた理由を言うな
 ほら、花子さんが首を傾げているじゃないか!!

「とにかく、行くぞ」

 不良教師が、そう言ってさっさと穴を通っていく
 俺も、花子さんと一緒に慌てて後を追った
 出たのは…テニスコートの脇、か
 こっから校舎の入り口までは…くそ、遠いな
 大体育館の出入り口から入った方が近いか?

「…みー?ねぇねぇ、けーやくしゃ」
「ん?どうした、花子さん」
「あそこ」

 す、と花子さんが指を刺す

480花子さんと契約した男の話(代理):2009/11/17(火) 20:46:00.89 ID:hcHsMYV70
 その先には………魔女っ娘?

「っいけません、魔女の一撃です。彼女の視界内に入るのは危険です」
「…でも、視界に入らずに…ってのは、無理みたいよ?」

 黒スーツの男の傍らにいる女の子が、そう口にした
 確かに、そうだ
 あの魔女っ娘、グラウンドの上をぐるぐると飛んでいる
 …視界に入らずに、は不可能だ

「じゃあどーするの?」

 かっくん、と首を傾げてくる花子さん
 えーと、あれだ、その
 …これしかないよなぁ

「正面突破…突っ切るしかないか」
「確かに、な」

 全員で目配せしあう
 1,2…………3!!!
 俺達は、一斉に走り出した


「ひ〜〜〜ひっひ!おやおやぁ?みぃ〜〜っつけたぁ!!」

481花子さんと契約した男の話(代理):2009/11/17(火) 20:49:39.68 ID:hcHsMYV70
 魔女は笑う、けたけた笑う
 さぁさ、獲物で遊んでやろう
 ギックリ腰を起こさせるのは簡単だから…ちょいと、遊んでやるのだ
 懐から、小さな小瓶を取り出して

「そぉれっ!!」

 ぽ〜い、と魔女はそれを投げ捨てる
 くるくる、くるくる
 それは、放射線を描いて、グラウンドを突っ切ろうとしている連中に向かっていって

 …その時
 白衣の男が、ふと子から何かを取り出し…その小瓶に向かって、投げつけた


 ごぅんっ!!


 爆発音が鳴り響き、瓶は目標値に届く前に爆発した

「…あらぁ?面白いことするじゃないのぉ」

 ひっひ、と魔女はますます笑う
 …ならば、とことん楽しませてもらおうではないか!!
 魔法薬はいくらでもある
 面白い効果が起きるものを、どんどんと投げつけてやろうではないか!!


「−−−−−っ何よ、今の!」
482花子さんと契約した男の話(代理):2009/11/17(火) 21:01:49.39 ID:hcHsMYV70
黒スーツの傍らにいた女の子が叫ぶ
 マジで何だ、さっきのは!?
 不良教師が懐から液体が入った試験管を取り出して、魔女っ娘がこっちに投げつけようとしていたものに向かって、投げつけたのだ
 二つがぶつかった瞬間……あの爆発だ

「ニトログリセリン。護身用だ」
「護身用にニトログリセリンを持ち歩く危険人物がいてたまるかぁあああっ!!!???」

 全力を持って突っ込む
 何を考えているかっ!この不良教師はぁああああああ!!??

「…まぁ、魔女の一撃に見付かった時点で、侵入は知られるのですが…これで、校舎内のマッドガッサーの仲間にも、完全に知られましたね」

 黒スーツの男が、軽く頭痛を感じたようにそう呟いた
 うん、俺もちょっと頭痛い
 何をしでかしてくれてんだ、この不良教師
 みー?と首を傾げている花子さんの手を握りつつ…俺達は、ひとまずプール脇の影に隠れようと、走り続けるのだった

483花子さんと契約した男の話(代理):2009/11/17(火) 21:02:33.50 ID:hcHsMYV70

途中フリーズしてしまって本当申し訳ないorz
とりあえず、花子さん契約者、花子さん、不良教師、黒服D、はないちもんめ…以上、学校敷地内に侵入完了しました

それぞれの行動は、以下のとおりです

花子さん&契約者
「俺は、俺のできることをやるだけだ」
「みー!悪い事はさせないの!」
・二人は校庭で魔女の一撃と交戦中です
 交戦終了、もしくは校舎内に逃亡した場合、13階段の解除の方法を探しつつ、マッドガッサー一味の無力化を狙います


不良教師
「…人の弟に手出しはさせんぞ」
・不良教師は魔女の一撃と交戦中です
 交戦終了、もしくは校舎内に逃亡した場合、ヤンデレ弟を探す事を優先します

・不良教師がスパニッシュフライの支配下にある場合、彼は無言で弟に近づいた後、問答無用でぶん殴ります
 その際、ヤンデレ弟は一切抵抗しないし、逃げ出しません(スパニッシュフライの支配より、兄への敬愛が強いため)
 スパニッシュフライ支配下から脱したヤンデレ弟と遭遇した場合、以後、なるべく一緒に行動するようにします

484花子さんと契約した男の話(代理):2009/11/17(火) 21:03:21.14 ID:hcHsMYV70

黒服D
「誰も傷つかずにすめば、一番良いのですが…」
・黒服Dは、常にはないちもんめとともに行動します
・黒服Dは、チャラ男と合流することを優先して行動します
 …ただし、様々な要因(主に作者の陰謀)により、なかなか合流できません
・黒服Dは、マッドガッサー一味の全員説得を望んでいます
 なるべく戦闘はしたがらないでしょうし、一味と遭遇した場合まず説得を試みます

黒服Dから、魔女の一撃契約者の情報を引き出す事が可能です。
はじめは個人情報保護の面から提供を渋るでしょうが、魔女の一撃契約者を疑うようなことを言えば
「そうではないと思いたいのですが…」と言いつつ、魔女の一撃契約者の以下の情報を提供してくれます

・恵まれた家庭環境である事
・チャラ男とは小学校からの親友である事
・小学生の時、都市伝説絡みの事件に巻き込まれている事と、大学受験の際に都市伝説事件に巻き込まれかけた事
 (小学生時の事件の記憶は、黒服Dが記憶操作で忘れさせていますし、大学受験時の事件については本人は気づいていません)
・チャラ男が「普段はいい奴だけど、キレると何をするかわからない」と発言していた事
485花子さんと契約した男の話(代理):2009/11/17(火) 21:05:19.57 ID:hcHsMYV70
>>152
わ す れ て た orz
…少なくとも、不良教師はさらっと忘れてそうです


あ、それと
二階に侵入した人達へ
うまい事人体模型&骨格標本と遭遇すれば、二人は協力してくれます(異常な事態に、動こうにも動けない状態だったので)
ただし、二人と行動する場合、人体模型が踊り続けて非情にウザい事をお許しください

***
花子さんの人こんなに書いてて大丈夫なのか不安になってくるぜ……
486女装少年(代理):2009/11/17(火) 21:06:03.04 ID:hcHsMYV70
○月×日 20:45

「………さて、来たはいいけど、どうしようかなー」

夜の闇に浮かぶ校舎を眺めてこっちは呟く。
Dさんからの連絡を聞き、急いで駆け付けてはみたのだが、どうやら少し出遅れたようだ。
校舎内からは閃光が閃くのが見え、すでに複数人が中に入っているのがわかる。

「…………ほんっと、どうしようかな」

単純に敵を叩き潰せばいいだけならこんなに悩んだりはしない。
今のこっちの状況は、板挟みに近いのだ。
―――先日出会ったマッドガッサーさんたちは、お互いのことを本当に大切に想っているみたいだった。
だから、彼らを助けてあげたいというのも紛れもないこっち自身の本心。
―――Dさんの話によると、マッドガッサーさんの女体化ガスの被害にあった人たちは、かなり苦労しているらしかった。
女の子になって得をした自分はともかく、その被害者さんたちを治してあげたいと思うのもまた、本心。
―――ついさっきかかってきた電話で、『メンバー』の一員としてマッドガッサーさんたちを食い止めろと命令された。
それに従わなくちゃいけないのも、本心ではある。

悩んで、悩んで、悩んで………ふと、気付いた。
それぞれの思いがかみ合わないのなら、いいとこどりをすればいい話なのだ。

「なんだ、簡単なことじゃんか」

両手をパンと打ち合わせ、自分の思いつきを自画自賛してみる。
この場合のいいとこどりとは、つまりこういうことだ。

″マッドガッサーさんたちの命は守りつつ、彼らと戦わずにその計画を阻止する″。
487女装少年の人(代理):2009/11/17(火) 21:06:46.94 ID:hcHsMYV70
とんでもなく都合のいいことのようだが、今のこの状況ならそれを狙う事が出来る。
Dさんや彼と親しい人たちは、マッドガッサーさんたちの命は狙いたくないようだった。
ならばそういう平和的な解決を望む人たちのことは妨害せず、完全に殺意をむき出しにした人だけを止めればいい。
止める方法はなんでもいい。話し合いでもいいし、足止めをするだけでもいいし………無力化するのでもいい。
とにかくそれだけできれば、後は平和的な人たちがマッドガッサーさんたちを止めてくれるのを待つだけだ。

「そうと決まれば善は急げ、だね」

人気のないあたりから校舎に入って能力を発動、外に回ってから飛び上がって二階へ。
校舎の中を見回りながら外にも気を配り、危険そうな人が来ていないかを確認する。
そのとき、目の前を小さな黒い影が横切ったのに気づいた。
手で素早く叩き潰し、なんなのかをチェックする。

「《スパニッシュフライ》、か。………敵じゃないってこと、会ったらちゃんと説明しなきゃなあ」

マッドガッサーさんたちへの言い訳と彼らを止めようとする人たちへの言い訳、その二種類を考えつつ、こっちは校舎を歩いて行った。

488女装少年の人(代理):2009/11/17(火) 21:09:13.14 ID:hcHsMYV70
150 名前:女装少年の人[] 投稿日:2009/11/17(火) 20:40:58
マッドガッサーたちと知り合いになるネタを後回しにしてこっち書いてしまった……いや、なんかこのままじゃ置いてかれそうで怖くてorz

さきほど書いたとおり、校舎の二階と一階を回って殺意全開な人を見つけたら話し合いでの和平から無力化、足止めを狙います。
ただ止めようとしてるだけの人はスルーしてどうぞどうぞと道を開けますが。
ていうか殺意全開な人来なかったら何もしない昼行燈だけどね!

もしよろしかったら適当にはちあわせたりしてやってくださいませ

***
微妙な立場だ〜がんばれ少年。
489店長ロボと死神一行:2009/11/17(火) 21:28:55.54 ID:iBQoRPYN0
○月×日 20:10〜 レストラン うわさの産物

「よし、みんな揃ったな。それでは うわさの産物緊急出撃指令の趣旨を説明する」
「…一体何があったってんだ」「どうやら、何かが動きだすみたいだね」

「さすがクーちゃん、察しが良いねぇ。えー先ほど、新入り君から連絡が入り、中央区と聞いた瞬間に連絡が途絶えた。
 何事かと思ってこっちゃんの能力で調べたところ、どうやらマッドガッサーの一味が行動を起こすらしい」
「マ、マッドガッサーじゃと!?…フフフ…ついに恨みを晴らすときじゃわい!」
子供用のいすに座り闘志を燃やす現在絶賛ロリ爺化中のハンバーグ爺さん。

「で、今回の占いで分かったことは、まずマッドガッサー達は高校を陣取り何やら怪しい計画を進めているということ。
 そして…空に何かがいる、ということだ」
「その通り。空に何か変なものがある、と新入り君から情報を受け、副店長の占いでは、それが何かの飛行生命体である可能性が高いとの話です」
四日前にようやく目を覚ましたらしいノミ沢さんが補足する。…悪酔いしすぎだろ…

「うんうん…って、空?つーことは…」「予想通り…また、発進する」

「ほぅ…なかなか面白い展開になってきたな」「しかし…今回は迅速な行動が予想される。このロボットの移動速度で大丈夫なのかい?」
「おおっと、その辺は心配ご無用だぜ?このわずかな間に改造に改造を重ね、移動速度が2.25倍にまで向上したのだ!
 つーわけで、とっとと出撃するぜ?準備はいいか?いいよな?」

「我が故郷へとこんな形で赴くことになるとは…白骨さんや人体さんは大丈夫でしょうか…」
490店長ロボと死神一行:2009/11/17(火) 21:31:00.99 ID:iBQoRPYN0
「一般人不可視状態、完了だ」「弾薬調達完了だぜ」「射出準備も整っておるぞ」


「変形開始!発進せよ!超起動兵器店舗『アナザーモアー』!!」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

南区から、ロボットが…出撃する…



ロボット出撃と同時刻……

このロボの出撃を…見るものが三人……
「やれやれ…店をすごい風に改造したものだねぇ…」一人は、肩に猫を乗せた、渋いオジさん。
「この店…こんなになってたのか…」もう一人は、高校生くらいに見える、青年。
「ヒッヒッヒッ…どうやら何か起こるようだねぇ…」もう一人は、とても髪の長い、老婆。

どういう経緯でこの三人が知り合ったかはよくは分からない。
491店長ロボと死神一行:2009/11/17(火) 21:33:58.01 ID:iBQoRPYN0
「…チンちゃんによると、どうやらまっどなんたらとかいうのが怪しげなことを考えとるらしいのぅ。場所は…中央区の高校だそうじゃ」
無線機のようなものを片手に老婆が二人に告げる。

「マッドガッサーか…おもしれぇ、退屈しのぎにはなりそうじゃねぇか…」ぶんぶんと腕を振り回して言うは、青年こと『厨二病』。
とっくに大人ではあるが、どうも子供っぽい面があり、そのせいか幼く見える。

「…息子達が行くっていうのに、黙ってみてはいられないねぇ…マサムネ?」煙草に火をつけ、猫に問うは、オジさんこと『ト○ロ死神説』。
40代後半なのだが、そうは思えないほどに渋い。

「お主らが行くというのなら…ほれ、薬を持って行きなさい。今日だけは特別サービスだから」ビニル袋から怪しげな薬を出して二人に渡すは、老婆こと『ロン毛ババア』。
白髪交じりのその髪は、現在の年齢を反映するかのように長い。


「婆さんも、来たほうがいいんじゃないかな?マッドガッサーが他の毒ガスを持っていないと断言できるわけじゃない。
 そういう時は薬のプロがそばにいたほうがいい、僕はそう思うな」
「あぁ、確かに中には入らないにしても、近くにいたら俺ら以外のほかの契約者たちも助かるし、何より婆さんもお得意さんが増えるんじゃね?」
「…なるほど。確かに直接戦わないなら得だらけだねぇ」婆さんもどうやら行く気になったようだ。

「乗るっていうのなら、僕が送って行くよ、マサムネ。」
彼の呼びかけに合わせ、肩の猫が地に降り立つと同時に、巨大化し、バスの形の猫へと早変わりする。
その中には、すでに乗客が何人か。
「あぁ、じゃあ遠慮なく乗せてってもらうぜ。中の奴ともいろいろ話したいしな」「それはこっちも同感だヨ、ニッポンの厨二病」
「私もご一緒させてもらおうかねぇ。この年になるとやっぱり歩くのがつらくてねぇ」
「…婆さんは毎日町中歩き回ってるからそんなにつらいと思えないんだけど…わかったわかった、分かったから硫酸銅だけはやめてくれよ」


こうして数人を乗せたネコ○スは、戦いの地へと彼らを運んでいく…
492店長ロボと死神一行:2009/11/17(火) 21:36:05.70 ID:iBQoRPYN0
店長ロボ、ネコ○ス乗車組学校へ向け発進。
おそらく諸事情により侵入シーンは省略となります…


店長ロボ
「さぁ、鳥だろうと戦闘機だろうとなんでもかかってこい!」
・高校へ向け全力進行中です。21:00前には到着する予定です。
また、到着10分前にはおそらく高校から見えるはずです。
・空の飛行物体と戦う気満々です。それ以外にはほとんど目もくれません。
が、到着後、金さんが射出され、校内の確認に向かいます。
・金さん(フィギュア状態)は到着後一番に人体模型&骨格標本に会いに行こうとします。
よって二体と遭遇する予定の方は金さんも一緒に使ってあげると作者はうれしいです。


『厨二病』
「どんな奴でもどんどん来い!俺は逃げも隠れもしねぇぞ!」
・高校に到着次第一人で校舎内に進入します。校舎の損傷など気にしません。
また、疑わしき相手にはいきなり殴りかかります。平和的とか言ってる人はとりあえず無視して突っ走ります。
おそらく宴会で見た人物など敵でないと分かる人にはとりあえず話しかけます。
・花子さんの契約者を戦友と思ってるので、見かけたら同行しようとします。
また、チャラ男を見つけた場合もなんだかんだ言いながら同行しようとすると思います。
493店長ロボと死神一行:2009/11/17(火) 21:37:50.23 ID:iBQoRPYN0
『ト○ロ死神説』
「…なかなかに面白そうな戦いじゃないか」
・高校に到着次第、ほぼ見物目的で校舎付近をうろつきます。ロロトは実体化しておりません。
・本人はほとんど戦う気はありません。実を言うと彼は「霊体」に近いので、物理的な攻撃をほとんど無効化します。
ただ美少女や店長ロボが被害を受けそうな場合はロロトが実体化したりネコバ○が出たりそれから人が出たり。
・彼はロン毛ババアの解毒剤を数種類所持してます。女体化の被害者と思わしき人や負傷者に渡そうとします。


『ロン毛ババア』
「ヒッヒッ…薬なら任せとくれ」
・高校の校門前で常に待機してます。入ろうとする人たちにとりあえず薬を渡そうとします。
また傷ついた場合は彼女に言ってくれれば相当に苦い万能薬をくれます。
・チンちゃんの謎の情報網から、『組織』がらみの人間はほとんど知っています。
そういう人には前述の薬に加え、肉体増強用の激辛の薬を渡します。
・敵が襲いかかってきた場合、薬をかけるか、髪で戦うかの二択です。
身体能力はなかなかなので、並大抵の攻撃じゃ沈みません。



…さて、白装束たちも頑張らせるか…
494操られているもう一人(代理):2009/11/17(火) 21:52:25.82 ID:It9LCtr00
○月×日 20:40 校舎二階廊下


 かつん、かつん、と足音が響く
 廊下の壁に、生えている耳はその音を聞いていた
 かつん、かつん、かつん…

 −−−−ぶちんっ!!

 哀れ、壁に生えていた耳は、人狼に引きちぎられて
 ごくんっ、とあっさり飲み込まれたのだった


「…「壁に耳あり」か、MI6辺りかねぇ?」

 足音の主は、気軽にそう呟いた
 ぺろり、耳をおやつのように平らげた人狼が…不機嫌な表情を浮かべる

「あそこかよ……」
「そこも嫌いかい?…やれやれ、ヨーロッパにはお前さんが嫌っている連中が多いねぇ?」

 男は、肩をすくめる
 …そして、笑った

「さてっと、メイドさんはもらっていいかい?」
「あぁ、好きにしとけ」
495操られているもう一人(代理):2009/11/17(火) 21:53:07.49 ID:It9LCtr00
「そりゃどうも」

 くっく、と男は笑って、人狼と別れる
 かつん、かつん
 男は、足音を隠そうともせず、そちらに向かって

「……え?あんたは…」
「よう」

 そこにいる…メイド服の少女に、声をかけた

「「組織」の黒服?……あんた、行方不明になってたんじゃ」
「ここにいるぜ?まぁ、ちょっくら「組織」の目から逃れた状態になってたけどな?」

 しゅるりっ
 その髪が伸び始める
 男は、俗にこう呼ばれる……黒服H

「まぁ、それはそうとして、あれだ」

 しゅるしゅるしゅるしゅるしゅるしゅるしゅる
 その髪は、不気味に伸び続けている

「先に謝っとくわ。御免な」
496操られているもう一人(代理):2009/11/17(火) 21:53:51.56 ID:It9LCtr00
「−−−−っな!?」

 しゅるりっ!!
 黒服Hの髪が、メイド姿の女性……バイト青年に、襲い掛かる
 すんでのところで、バイト青年はそれを避けた

「あー、惜しいなぁ」
「何をするんだっ!?」
「んー、あれだ。愛しい相手に命令されたから仕方ない、って奴かね?」

 肩をすくめながら、しかし、黒服Hはバイト青年を捕えようと髪を操り続ける


 …あぁ、そうだ、自分は操られている
 抵抗する気になればできたはずだが…しかし、自分はあっさりと、その支配化に入った
 操られている事を自覚しながら、それに抵抗すらしていない

「…罪滅ぼしのつもりかね、まったく」

 小さく苦笑しながら…黒服Hは、目の前の獲物を捕える事に集中し始めるのだった
497操られているもう一人(代理):2009/11/17(火) 21:54:33.30 ID:It9LCtr00
158 名前:名も亡き都市伝説契約者[] 投稿日:2009/11/17(火) 21:21:54
えー、と、言う訳で、スパニッシュフライに操られているもう一人は黒服Hでした
操られている自覚はありますが、それに抵抗はしていません

黒服Hの行動方針
「ショータイムと行こうじゃねぇか?」
・黒服Hはスパニッシュフライ契約者に操られています
 気絶させない限り、侵入者をその髪で捕えようとしてきます
 髪を絡みつかせての引き裂き、引きちぎりは行いません
・黒服Hは黒服D、はないちもんめ、チャラ男には攻撃を行いません
 彼らに対しては、操られていないふりをしてみせるでしょう
・黒服Hをスパニッシュフライ契約者から解き放ったとしても、黒服Hはマッドガッサー一味をとめる手伝いをしてくれません
 傍観モードに入ります
・正気に戻った黒服Hを問いただす・禿がマッスルポーズで迫る・エロいもので買収する
 などの行為を行う事によって、「13階段」が巻き込まれていた「組織」の非情な計画を聞き出すことが可能です
 …ただし、黒服Dには、絶対に話さないように釘を刺されます


…あ、そうそう
黒服Hは相手を捕獲する際、相手が女性だった場合、必ずエロい縛り方をしてきます
女性の皆様、ご注意くださいませ
498マッドガッサー一味の秘密兵器(代理):2009/11/17(火) 21:55:15.29 ID:It9LCtr00
○月×日 20:20 中央高等学校上空


 …それは、こちらに近づいてくるその存在に気づいた
 それは、とても巨大な存在だった

 …アレがきたら、彼らはどうするだろうか?
 いくらなんでも、あまりにも体格差がありすぎる


 …ならば
 自分が、この力を振るおう
 荒事はしなくていい、とあの小さき友はそう言ってくれた
 だが、自分とて、小さく友達が危険に陥るのを、黙って見ている事などできるものか


 さぁ、来るが良い、巨大なる者よ
 我が、この嘴で、鈎爪で……お前を、迎え撃ってやろう
499笛の人(代理):2009/11/17(火) 21:56:00.03 ID:It9LCtr00
【上田明也の綺想曲7〜Legion〜】

【20時20分、学校正門前にて】】
ガシャン!
ガシャン!
二つの銃に弾丸を籠める。
一つは拳銃
もう一つはサブマシンガン
腰には二本の小刀。
一本は槍をそのまま刀にしたような都市伝説「村正・蜻蛉切」
一本はとあるナイフショップで仕入れた只のナイフ

少々重たいが自分の能力の性質上激しく動くと言うことはない。
そうだ、問題無い。
「メル、場所はここで間違いないか?」
「はい、橙さんの話によればここで問題無いはずです。」

俺こと上田明也と都市伝説「ハーメルンの笛吹き」はとある高校の正門前に立っていた。
同居人の話によるとここでマッドガッサーとその他の都市伝説との最終決戦が行われるらしい。
この前、組織の黒服との戦いで車がお釈迦になってしまったので新しく買った赤いフィアット500でここまで来た。
渾名はトポリーノ、つまり二十日鼠だ。これも気に入った。
更にデザインが秀逸で堪らない。
サンジェルマンに買ってきて貰った甲斐が有ったというものだ。
ていうかフィアットが好きなのだ、ルパン的な意味で。
ビートルは性能が心許ないし。
500笛の人(代理):2009/11/17(火) 21:56:41.10 ID:It9LCtr00
「さて、今回は車が割と重要、安全に全て終わらせたいから。」
「マスター。」
「なに?」
「戦いってあの学校の中で行われるんですよね?」
「ああ、そうだね。」
「私達は行かないんですか?」
「そうだね、行かないね。」
「うわぁ……、戦闘してる感0じゃないですか。」
「今回敵はあの学校の中に潜伏しているんだろ?だったら罠なんてそれこそ星の数ほど仕掛けられているだろうに。
 だったらまずは相手をあぶり出せるに越したことはない。
 今回使うのはこれだ。」

パカリ

俺が車中に置いてあった箱を開けるとその中には小型カメラを付けた鼠が居た。
「なんですかこれは。」
「盗撮に使うカメラ付き鼠、バッテリーは一応4時間保つ。
 ちなみにこのパソコンで映像は見られるぞ。
 これを使って校舎内部の状況を探りつつ状況によって俺達が校舎になだれ込めば良かろう。」
ノーパソを取り出してメルに見せつける。
「橙さんに手伝って貰えばいいじゃないですか。罠とか。」
「駄目だ、あいつの能力はまだ制御にさえ苦しんでいる。
 戦闘に使えるレベルじゃない。最低限ここでの戦闘があるってことを探らせるので今のあいつは限界だ。」
「お〜、その優しさを他人にも見せればどうにかなるだろうに。」
「うるせえ、行くぞ。」
501以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 21:57:09.58 ID:iBQoRPYN0
書きながら支援だぜ
502笛の人(代理):2009/11/17(火) 21:57:23.63 ID:It9LCtr00
息を思い切り笛に吹き込んだ。

ピィ〜〜〜〜!

学校町全体に響き渡る笛の音。
それにつられて現れる鼠、鼠、鼠。
「さぁ行け、エリート鼠共。ちゃんと他の鼠を指揮するんだぞ。」

箱の中に居た鼠も解き放たれる。


「今回の作戦はこうだ。
 まずは鼠であることを利用して一階、二階の換気扇をそれぞれ突破させる。
 これによって全ての階に同時に攻撃を仕掛けるのだ。
 恐らく学校の色々なところにマッドガッサーの仲間は分散しているだろうから
 もし見つけた・見つけられたとしても数に物言わせて襲いかかれば大丈夫だろう。
 一階、二階、全ての場所から同時に潜入を果たしたら敵を見つけ次第そこに軍団を集中させる。
 鼠は敵が戦意を失ったところで攻撃をやめさせる。 
 一番大事なのはマッドガッサーをとっつかまえる事で殺すことではない。
 ok?
 ちなみに鼠を動かすと同時にこの学校の周りを車で動き回りながら指示を出す。
 少しでも相手からの不意打ちに対応できるようにしたい。」
「了解しました。」

午後8時25分、作戦開始だ。
503笛の人(代理):2009/11/17(火) 21:58:08.28 ID:It9LCtr00
黒い黒い鼠の群が校舎に押し寄せる。
これだけ派手にやれば気づかれるとは思うがまあ構うまい。
これだけの数なら自分の身は守れても校舎への侵入は防ぐことは出来ない。
鼠をできるだけ分散させて全方位から学校の敷地内に向けて走る走る走る走る走る走る。
「ハーメルンの笛吹き、戦闘形態その1『軍団(レギオン)』、見せてやろうか。」
「マスター、鼠達が一階と二階に侵入成功しました。
 かなりの数の鼠が敵に潰されているようですけれども校舎内にはカメラ鼠5体、普通の鼠が100体です。
 内訳ですけれども一階に普通鼠60体、二階に40体ですね。
 校舎外にはカメラ鼠が3体、普通鼠は150体です。」
「カメラの方はこっちで見ているから安心してくれ。
 おや……?これ見てくれよメル。」

パソコンを覗いていると食堂の辺りで面白いシーンに出くわした。
504笛の人(代理):2009/11/17(火) 21:58:50.98 ID:It9LCtr00
「まぁ、とりあえず、君達はあいつの仲間なんだよね?………それじゃあ」

 ごぽりっ
 ペットボトルから、コーラが溢れ出す

あれは見覚えのあるコーラ男

「今は、僕の敵だね!」

 ごぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽ
 螺旋状に、物理法則を無視して飛び出したコーラが、男性と少女に向かって襲い掛かる

 突如現れた光の壁が、襲い掛かるコーラを防いだ

「わぁ、凄い、そんな事ができるんだね」

 くすくす、笑いながら楽しそうにコーラ男は告げている

「−−っぶね!?っちょ、どうなってんだ!?」
「…様子がおかしいな。操られているのかもしれない」

あれは恐らくコーラ男、そしてもう一人は……誰だ?
しかしこれチャンスかもな……。
この騒動に乗じて組織の人間を倒すことが出来るんじゃないか?
特にあのコーラ男は相手が面倒だ。
今殺しておけば少しは楽になるだろう。
505笛の人(代理):2009/11/17(火) 22:00:20.08 ID:It9LCtr00
「行け、鼠達。あのコーラ男の隙を突いて食い殺してやれ!」
鼠達はコーラ男に群れをなしてではなく、
出来る限り分散してコーラで一気に溶かされづらくしながら襲いかかった。

―――――同時刻、小体育館近辺

「チッ!!何なんだこいつらぁ!」

マリ・ヴェリテのべートは大量の鼠に悩まされていた。
潰しても潰しても現れる鼠の群。
そのどれもが明確な殺意と悪意を以て向かってくる。
大量の悪意には慣れている。
数を頼みに数を頼りに自らを排除しようとする悪意の群、群、群。
だがこれは少々おかしい。
向かってくるのは軍団なんだが悪意は一つ。
たった一人の人間がたった一つの悪意を向けてきている感覚。
おかしい、何かがおかしい。
そもそも鼠達の動きに統制が取れすぎているのだ。
そうか……。
506笛の人(代理):2009/11/17(火) 22:01:04.17 ID:It9LCtr00
「気づいたかな?」
中央区の学校の周りをぐるぐると車で周りながらパソコンをのぞき込む。
先日戦った人狼が俺の鼠に囲まれていた。
学校に放ったカメラ鼠は10体、しかし校舎内部に居るのは5体。
あの人狼の傍に居るカメラ鼠は一体、水飲み場の辺りに隠れて戦闘の様子をこちらまで中継している。

カメラ越しに目が合う。

ガシィ!

カメラ鼠が捕まる。
良い勘してやがる。

「おい、このカメラを見ている奴。」
人狼は言葉を続ける。
「てめえ……、叩きつぶす。」

「楽しみにしているよ、狼野郎!」
パソコンで指令を送るとその直後、カメラは爆発して映像は途絶えてしまった。
細かく指令を出せない以上もはや鼠であいつは倒せないだろう。
奴に使ったせいで鼠は30匹ほど居なくなったが……問題は無い。


赤いフィアットは未だに走り続けている。
夜の校舎で
月の光を浴びて

【上田明也の綺想曲7〜Legion〜 前半@ fin】
507避難所より:2009/11/17(火) 22:02:34.55 ID:It9LCtr00
163 名前:名も亡き都市伝説契約者[] 投稿日:2009/11/17(火) 21:44:28
本スレ、店長乙!!
…って事で、店長ロボの接近をマッドガッサー一味の秘密兵器が感じ取りました
店長ロボが高校に近づき次第、巨大な鳥が雲の中から現れ、攻撃を開始します!!
その姿は、誰でも視認する事が可能です、隠れようともしません
もし店長ロボが近づかれましたら…俺が、その登場シーンを描写しますね


166 名前:笛の人[] 投稿日:2009/11/17(火) 21:53:57
【20:20丁度にハーメルンの笛吹き(女)が学校に到着しました!】
【これからは大量の鼠が学校に解き放たれます】
【鼠達は攻撃してきた相手には自動で攻撃を仕掛けます】
【学校内部には4体、学校の外には3体、学校の敷地ギリギリで2体、カメラを搭載した鼠が居ます】
【カメラ鼠が居ると鼠軍団の戦闘能力は跳ね上がりますがカメラ鼠を無力化されると只の烏合の衆です】
【組織の関係者を発見すると勝てると踏めば騒動に紛れて殺しに来るので注意してください】
【21:21からはハーメルンの笛吹き自らがフィアットから降りて校舎内に突入する予定です】



***********************
うわあああああああああ!!!!!wktkが止まらないよおおおおおお!!!!11
508白装束は尖兵を送る:2009/11/17(火) 22:06:51.33 ID:iBQoRPYN0
○月×日 20:30 高校前…

「…ここは…」「高校…ですね…もう夜なのになんだか騒がしいですね」

校舎にはすでに何人かの人影が見える。どうやらここが戦いの場になっているようだ。
屋上に目をやると、何やら怪しい人影。…ガスマスク野郎か…?

「…入って行っても俺じゃ肉弾戦出来んし…それにこんなところに侵入するくらいだ。セキュリティを乗っ取ったか何かしてるに違いねぇ」
「じゃ、じゃあ一体どうするんですか?」

幽名の問いに、俺は懐から藁人形をひとつ取り出す。

「まさか…コイツを使う時が来るとはな…」
そう言って、藁人形に五寸釘を突き刺す。



「思念を継ぎ…我が眼に映る恨みの根源を…体となりて晴らすがよい…!」
509以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 22:07:51.23 ID:It9LCtr00
支援
510白装束は尖兵を送る:2009/11/17(火) 22:09:18.96 ID:iBQoRPYN0
カツーン……



藁人形に五寸釘を深く突き刺すと、藁人形が紫色に輝き…


手を離れ、動き出した。



「…これは?」
「コイツは、俺の恨みを受けて活動する藁人形でな。俺が目視できる範囲にいた怨念の対象を殺りにいくんだ。
 肉弾戦なら、俺の何倍も強い。まぁ痛み感じねぇし、なぜか巨大化するし…」

「つーわけで侵入はコイツに任せて、山に戻るぞ。まだまだ打ち込み足り…ん?」「ど、どうしたんです…ひぇ!?」


振り向いた彼らが見たものは…

大量の蝿の群れ…


「「ぎえぇぇぇぇぇぇ!!」」
白装束は、山に戻れずただひたすらに蝿から逃げ回るのであった。
511白装束は尖兵を送る:2009/11/17(火) 22:10:14.40 ID:iBQoRPYN0
てち…てち…

そんな白装束を知ってか知らずか、藁人形は小さい歩ながら、確実に校舎内へと侵入するのであった。




というわけで、白装束の恨みの塊「藁人形」の侵入が完了。

藁人形
てち…てち……
・藁人形はとにかくマッドガッサーのところへと向かいます。他の敵には目もくれません。
マッドガッサーを範囲にとらえ次第、巨大化、藁による捕縛を試みます。
・藁人形は物理攻撃が効きません。切られても分裂します。
が、燃やされると消滅します。別に燃やしてもらってもかまいません。

白装束
「「うわぁぁぁぁぁぁ!!」」
・町中にてスパニッシュフライの大群に追われています。
助けてくれる物好きな方がいてくれたら同行したがります。
「…だいぶ大変な事になってるな。」言っておくが、今は男モードだ。ただし服は…察しろ。
なお、この度名前を「糸井 和弥」と改め…って最初から明かしてなかったか。
話を本題に戻そう。俺をこんな姿にしやがった奴らの今の所在を突き止めた!だが―
「マジかよ…。」何を隠そう、自分の通う高校だからだ。
なんでも警備体制を強化したとかで、うかつに近づけない。
「あんなとこでバトルとかマジきついぜ…」
面倒臭い―ただそれだけで最近学校をサボりがちだったから、正直行き辛い。
でも、俺の体を元に戻すためには行くしかないのだろう。
「とりあえず、我が下僕達よ。我が母校に集え。」
さあ、面白くなってきたぜ?「バトル」のはzうわなにをすrくぁwせdrftgyふじこlp
「ふう…、貴方が出ても様にならないから今回は私が行かせてもらうわ。私としてはこのままでも十分に良いんだけどw」
(おい!何勝手にしゃしゃり出て来てんだ!)
「学校までの道案内お願いね?」
(…はいはい、分かりましたよ。)
あ、言うの忘れてたけど、私の名前は「カズネ」。漢字は…適当に当てちゃって♪名字の方はあっちと一緒でも構わないよ♪
「さあ、楽しいお仕置きターイム、ってやつね。」
そう言い残して夜の学校へと向かう…
513鏡合わせのアクマ 〜決戦!マッドガッサー一味〜:2009/11/17(火) 22:38:15.55 ID:XUVZYVZg0
20:35頃 中央高校前

「少し遅れてしまいましたかね・・・・・・?」
月明かりに照らされながら、半透明の体をした若い女性が呟いた。
「・・・いきなり呼び出されて、急いで来た俺達に対する労いとかはないのか」
「ないですね。絶対に来いと言ったわけではないですし?」
「ああ、そうかい・・・・・・ハァ」
女性の横に立っていた少年がため息をついた。
「にしてもバイトさんはどこ行ったんだか・・・いや、たぶん中だろうな」
「言えば一緒に来たのにね。メイド服のまんまだし、武器もないんじゃない?」
「兄さん、姫さん。話してないで早く行きましょう。『スパニッシュフライ』がさっきからうるさくてもう嫌です」
「焦るな。あと姫さん、よくジャージでこの寒空の下を歩けるな」
「心頭滅却すればこの程度の寒さなど効かぬわッ!」
「・・・よし、さっさと行こう。でないと色々危険な気がする」
少年が手に息を吐きかけて、手を温めながら言った。
「あ、ちょっと待ってください皆さん。誰か来ます・・・・・・あの白衣は」
向こうからゆっくりと歩いてくる白衣の女性・・・確か、先日の『首塚』主催の宴にもいたはずだ。
「と、いうことは契約者か。目的は『マッドガッサー』達だろうな」
「でしょうね。・・・少し、話してきます。やっぱり人は多いほうがいいですし」
「脅すんですか?盟主さん」
「まさか、話し合いで・・・ですよ。まったく、あなたは私にどんなイメージを」
「言えばいいんですか?そうですね、まず「彼女と話してきますので後で」・・・はい」
ふわふわと白衣の女性に近づく盟主を見送りつつ、もう一度手に息を吐きかける。
「・・・・・・バイトさん、無事だといいんですけど」
「大丈夫だろ。あの人も腕が立つみたいだし」
妹の頭をワシャワシャとなでつつ、自分に言い聞かせるようにもう一度呟く。
「大丈夫だ・・・・・・なにも、起こさせないさ」
雲の切れ間から降り注ぐ月光を反射する結界の中で、彼らは静かに機会を待つ
街に混乱をもたらさんとする『マッドガッサー』達を、今度こそ止めるために
決戦の時は、近い                                               <続>
514鏡合わせのアクマ 〜決戦!マッドガッサー一味〜:2009/11/17(火) 23:07:50.27 ID:XUVZYVZg0
許可が出たのでドクターと接触・・・・・・させようと思ったんですけどね。
会った時の反応がまったく予測できないので丸投げしてしまいました。すみません・・・
以下、高校敷地内進入時、後の各キャラ行動方針(予定)



進入の方法
正門から正面突破。入る面々は遭遇編と同じ。
仮面ライダー(主人公)、アクマ、ザクロ、姫さん、妹(座敷童)、盟主
正面突破は、他に校舎内に入った人がいることを考えての撹乱目的です。


仮面ライダー(主人公)&アクマ 「「さぁ、お前の罪(襲った人数)を数えろ」」

基本は変身したまま、校舎内を走り回ります。
一味の誰かと出会い、交戦状態となったらアクマと同化して戦います。
連続10分間まで同化が維持できるので、7分くらい経ったら一旦引き上げます。
その場合10分以上休憩してから、また走り回ることになります。
出会った時、逃げられた場合は追いかけます。その場合は同化はしません。
基本的に相手が戦闘不能、または戦意喪失状態になるまで全力で戦います。


姫さん&妹(座敷童) 「この街は・・・」「私達が守ります!」

主人公に同じく、校舎内を走り回ります。
戦いに関しては姫さんの格闘技術と妹ちゃんの結界によるヒット&アウェイで。
携帯電話の爆発なども結界能力で防ぎます。というか大抵の攻撃は防ぎます。
が、たぶん『魔女の一撃』のぎっくり腰は防げません。結界がその状態で維持できるかは・・・状況しだい。
戦いの最中、危険だと思ったらすぐ撤退します。
逃げられた場合などは主人公に同じ。
515鏡合わせのアクマ 〜決戦!マッドガッサー一味〜:2009/11/17(火) 23:25:04.08 ID:XUVZYVZg0
ザクロ(ブラックドッグ) 「今回は別行動ですわ」

契約者の指示で、匂いを頼りにバイトさんを探します。
見つけた場合は以後、行動を共にさせてもらおうかな・・・と。
【火を吹く】能力は校舎を焼かない程度に抑えていますが、使います。
さらに運動能力が高いので、機動力は高いです。
戦いの方針などは主人公達に同じ。身の危険を感じた場合もすぐ撤退します。


盟主 「さすがに校舎内でプラズマは・・・危険ですよね?」

彼女は校舎の外で待機しています。
理由は・・・遭遇編のラストの「アレ」がツボに入ったので顔を合わせられないということで。
校舎外に一味が出てきた時はプラズマやポルターガイストで戦闘不能/戦意喪失まで追い込みます。
話し合いという選択肢は、既に彼女の中にはありません。内心けっこうキレてます。
この後、巨大怪鳥が出てきた場合・・・応戦するかもしれません。そこは未定です。



ちなみに彼らは携帯電話の電源を切っています。
遭遇時に携帯電話が爆発するところを見ているので。
それと『魔女の一撃』の契約者の顔も分かっているので、出会った場合は敵として認識します。
他、なにか質問等があればどうぞ。
516やる気なさそうな人:2009/11/17(火) 23:33:46.44 ID:Uf0cbe/UO
8時10分過ぎくらい

バイクを走らせ風を切る
スカートがバタバタと暴れている
結局Dさんにトランシーバーが要るか聞こうと電話してみたけれど電話に出なかった
しかたないから持って来ているんだけども
まぁ、要らなかったら棄てればいいし

もう少しで学校につくだろうか

カーブミラーに写る自分の姿を見た
バイクの後ろに4人くらい幽霊がぶら下がってるのが見えた
すごく恐い
やっぱりこのバイクに乗るんじゃなかった
517Tさん:2009/11/18(水) 00:02:58.07 ID:eEpeSxnU0

 目の前で物理法則とかガン無視したコーラとたぶんどっか別の時空の法則で出てきてる白光が何度目かの激突を果たしていた。
「君、一体なんの都市伝説なの? 何かの変異体かなぁ? 」
 コーラの飛沫が食堂内部の椅子や机を溶かして散っていく中、コーラの兄ちゃんは笑顔で訊く。
「ああ、元契約者の人間でな、都市伝説になった折に≪寺生まれで霊感の強いTさん≫になったんだ」
 まあこっちは知名度がないんだが、
「人間時に契約していた都市伝説が融通の効く能力でな。いい感じに融合している」
 再度、黒と白がぶつかった。
「ふぅん、その光、普通の物みたいに溶けないから倒すの面倒くさそうだなぁ」
 そう言いながらにこにこ笑ってコーラ入りのペットボトルを振るコーラの兄ちゃん。
 それを合図に、コーラがいくつかの柱になり、それらが蛇のように鎌首をもたげ、身をよじり先端を鋭くして、
 槍となって襲いかかってきた。
「壁とか出てきたら、幸せだな」
 その言葉に応えるようにTさんの掌から光の壁が出現する。
 コーラは壁に当たって何かが焼けるような異音を立てて、しかしまるでただの液体であるかのように飛び散る。
 弾かれて散った飛沫はすぐにコーラの兄ちゃんのペットボトルに戻っていき、
「おわっ!?」
 再度放たれた槍の一本が飛んできて、割って入ったTさんに砕かれた。滴が服に飛んできて、
「おい、Tさん! 溶ける! マジで溶けるって!!」
 煙を上げて服が多少溶けた、――ってか当たり判定キツクね!?
518以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/18(水) 00:04:00.50 ID:XUVZYVZg0
バイクが危険すぎるw


さて、今晩はそろそろ寝ますかね・・・・・・おやすみなさい。
519Tさん:2009/11/18(水) 00:05:53.39 ID:eEpeSxnU0
「散った飛沫も溶かす力を持っているのは面倒だな。リカちゃんには決して触れさせるなよ」
「わかってるって!」
 リカちゃんにコーラがかかったら少量でも貫通しちまうしな。
「怖いの」
 そう言うリカちゃんをコートの内側に突っ込んでやる。まあ何もないよりはマシだろ。
「大丈夫、殺さないように努力するからさ、だからおとなしくしててね?」
 コーラの兄ちゃんがくすくす笑ってそう言うと、
 周りに散っていたコーラが俺たちの周りを囲んで回転し始めた。
「こうすれば、ほら……もう、逃げられない」
 ――くすくすくすくすくすくす……
「これは殺す気全開じゃねえか!」
「ちょっぴり痛いかもしれないけど大丈夫だよ。――――たぶん」
 うわぁ、この人操られる云々より元の性格がこんな感じだったんじゃねえだろうな。
「便利能力だな」
「Tさん、鏡見とけ」
 半円球状の壁を張りながらTさんが相手をそう評するのへツッコミを入れていると、
 結界にコーラが接触した。
 何かが焼けるようなじゅう、という音が連続する。
「……まだまだ」
 くすくすくすくすくす――――
 コーラの兄ちゃんが愉しげに笑うと、
 ボコボコ、というペットボトルから聞こえる音の他に、ざあああああという音も聞こえてきた。気のせいか、小動物の悲鳴じみた声も聞こえる、学校に巣くってた鼠か何かだろうか。
 嫌な予感と一緒にそれらの音源へと視線を向ける、厨房の奥から、入口の自動販売機から、それはきた。
 大量の黒い液体、それらが集結し、液体が塔のように立ち上がる。
 ごぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽ…………
 発泡音を伴ったうねりは一つの球体になり――
520Tさん:2009/11/18(水) 00:07:47.45 ID:eEpeSxnU0
「っておい、このままじゃまずいんじゃ?」
「ああ、包まれたらジリ貧だな。鼠たちと同じ目に遭う羽目になる」
 冷静だなぁおい!
「それじゃあ、いくよ?」
 コーラ球が俺たちの方に向かって構えられる。
 殺る気マンマンだってえええええっ!
「こちらも応じる」
 Tさんが告げ、
「よし任せた!」
 激励の声をかけると同時、
「ばーいばい」
 手をふりふり言ったコーラの兄ちゃんから巨大なコーラ球が飛んできた。
 Tさんは両手を左右に広げると、
「破ぁ!!」
 気合いと共に結界が弾け飛んで、くるくる回っていたコーラも周囲に散った。
 そしてその間に飛来してくる巨大コーラ球を、
「吹き飛べッ!」
 光柱で撃ち抜いた。
 飛び散るコーラがすぐさまコーラの兄ちゃんの支配下に入ってまた俺たちに狙いをつける。
 Tさんは俺とリカちゃんを光壁に閉じ込めると、
「――あああああっ!」
 同時に光弾が複数コーラの兄ちゃんに向かう。
「おい、黒服さんの担当の人なんだろ?」
「殺しはしないっ!」
 本当かよっ!?
「おっと」
 コーラが集まり光弾とぶつかる。
521Tさん:2009/11/18(水) 00:12:56.48 ID:eEpeSxnU0
 光爆、
 またコーラが飛び散り集い、あるいは弾丸、あるいは槍となって飛来する。
 Tさんは壁で防ぎ、光弾で狙い、幸せを祈って机や椅子までもがTさんを中心に舞った。
 コーラはそれらとぶつかるごとに砕かれ細くなり、
「見えねえ!?」
 夜闇の中、針のようになったコーラと複数飛び交う光弾、
 床が溶かされる音が耳触りに響き、机や椅子が次々に穴空き虫食いになっていく。そして何かが溶け、壊れ、飛沫き、悲鳴を上げる。
 それらの不協和音が食堂の全てを支配した。
 ――くすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくす 
 コーラの兄ちゃんは愉快そうに笑って、
「がんばるね、でも、無駄だよ?」
 コーラをより集めてまたコーラ製の弾丸を作っていた。が、
「どうだろうな」
 Tさんがコーラの兄ちゃんの背後にいた。その身体は淡い光に包まれていて、
「――すまんな、身体強化も能力の範疇なんだ。強靭な脚力とかあったら、幸せだろう?」
「っ!」
 即座に反応したコーラの兄ちゃんがさっきまでののんびりとした動作からは想像できないくらいに鋭い肘打ちを放つ、
 でも舌打ちでもしそうな顔になって動きが止まった。俺からは見えないけど、たぶんTさんが兄ちゃんの肘を止めたんだろう。
 Tさんは肘を持ったまま身を後方へと回し、
「っせぃっ!」
 一本背負いのような要領でコーラの兄ちゃんを床に叩きつけた。
「あ――、ガッ?」
 Tさんはコーラの兄ちゃんを床に足で縫いつけて、
「一度眠ってくれ」
 コーラが迫っていく中、
「破ぁ!!」
 光弾を撃ちつけた。
 コーラが力を失ったかのようにその場から地べたにばらまかれ、白光が俺の視界を焼いた。
522以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/18(水) 00:13:50.31 ID:bAZhDUReO
支援
523Tさん:2009/11/18(水) 00:13:58.97 ID:eEpeSxnU0
          ●


「おい、コーラの兄ちゃん、死んじまったとか、ないよな?」
 さっき白く焼けたせいでまだ何かおかしい気がする視界でTさんに窺うように訊いてみる。
 すると、
「ああ、気を失っているだけだ」
 コーラの兄ちゃんを背負いながらTさんが言った。
「そうか」
 ほっと息をついて、
「――ってかなんであんたら五体満足なんだよ」
 なんとなく浮かんだ疑問を口に出した。
「あー、まあ、運じゃないか?」
 いや、あれだけ光って爆発して溶かしといて運とか……なぁ?
「寺生まれってすげぇ……」
 呆れつつも呟き、
「とりあえず黒服さんに連絡とれるようならとるか?」
 訊いてみると、
「ああ、そうしたいところだが、」
 Tさんは食堂から向かいの購買へと手をかざして、
「先程から視ているようだが、……誰だ?」
 そう問いかけた。


20:47
524Tさん:2009/11/18(水) 00:15:01.65 ID:eEpeSxnU0
≪組織≫の強い人とちょっと前の≪組織≫の強い人の戦いだから描写頑張った。
実はマリも頑張ってた。
と、言うわけで疲れた俺は占い師の人に続きは丸投――ゲフンゲフン!! 
……信頼してるから、仕事、預けるぜ?(キリッ

あんなに書き続ける花子さんの人の体力すげえ……
525以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/18(水) 00:21:19.58 ID:eEpeSxnU0
・現状Tさんたちは占い師一行を敵か味方か把握できていません。
・八百屋のオッチャンはおそらくうちの子たちは見たことがあるので信頼は楽に得られます。
・13階段に関する情報は持っていません
526以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/18(水) 00:28:37.39 ID:bAZhDUReO
Tさん乙です!
やっぱ強ぇwwwww寺生まれって(ry

そして書いたはいいけど、ちょいとスレから目を離してたら修正点がパネェ事にorz
参戦できねーーーー!?

あと花子さんの人は本当に凄いと思います
あの速筆の1/100でいいから欲しいorz
527以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/18(水) 00:46:47.64 ID:bAZhDUReO
避難所>>224
今夜中に投下します!気合いで!





寝オチしなければ……
528以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/18(水) 01:32:57.45 ID:FcN8TJoQO
1日でだいぶ投下されててびっくりした。急いで全部読まねば
皆さんまじにお疲れ様です。

花子さんの人を例外にしてもこのスレ結構な速筆が多いと思うんだ。


ネズミがコーラにとかされとるwwww
ヤンデレ弟すげーwwwそして寺生まれ(ry
>>527
がんばれ!
529以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/18(水) 01:45:55.38 ID:9E4QlW32O
ネズミがコーラに溶ける
  ↓
栄養もまるごとコーラに溶ける、雑菌も溶けて死滅
  ↓
栄養価の高い素晴らしい飲み物
530やる気なさそうな人

8時24分くらい

最終的にバイクで6人程の幽霊を引きずりながら学校に到着した
6人程、というのは一体の幽霊の腰から下が亡く正確には5.5人だったためである

そして塀に人一人が通れる程の穴が空いているのを発見し中を覗き込んだ
どうやらテニスコートに繋がってるようだ
辺りを警戒しつつ内側へと侵入する

入るといきなりグランドのほうで爆発音が聞こえた
影を隠れつつ近づいて見てみると空を飛ぶ魔女と地上の3人が戦っているのがわかった

魔女の攻撃を白衣の男が爆発物で相殺し、男の子が拳銃で応戦していた
側の小さな女の子は見た目から推測するにトイレの花子さんだろう
あ、よく見たら男の子の持ってる拳銃、水の塊で出来てるみたいだ
いいなあれ、すごく欲しい


さて、拳銃で魔女に狙いを合わせているけれど、どうしよう
今は膠着状態が続いているけど、僕が出て行く、あるいは攻撃することでそれが崩れるかもしれない
いい方向へ転べばいいけど、悪い方へ行かないとも限らないし……

8時25分くらい