「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」
1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
2 :
恐怖の大王―大王との修行 (代理):2010/06/08(火) 13:00:44.80 ID:WpzBWIa90
4コマ風劇場(補足や小ネタ)―
倒したが
少年「ふんふふーん♪【口裂け女】を倒したぞー♪」 大王「おい。」
大王「前にも言ったが【口裂け女】の事は秘密だぞ。」
少年「えぇー。しょうがないな・・・。」
少女「あ、[少年]くん。【口裂け女】に会わなかった?」 少年「あ、あぁ。」
少年「べべ、別に、た、倒してなんかないよ?」 少女「『倒す』?」
後悔して公開している。うん。でもきっと少年はこんな感じになると思う。
宣誓
大王「よし、今から修行を始める!」 少年「はい!」
大王「強くなりたいか!」 少年「はい!」
大王「よし!何故、強くなりたいか言ってみろ!」
少年「悪と戦い、弱い人を守るためです!」
大王「だから・・・と言・・・。もういい。修行開始だ。」 少年「はい!」
大王理想「世界を支配し、全てのものを奪い取るためです!」 いや、そんな小学生いないから。たぶん。
スレ立て乙
4 :
恐怖の大王―大王との修行 (代理):2010/06/08(火) 13:04:55.61 ID:WpzBWIa90
壊せ
大王「戦いで1番重要な要素は『力』だ。」
少年「はい!」
大王「まずはこの岩を破壊してみろ。」
少年「えぇー、無理だよぉー。」
大王「弱音を吐くな!」
大王「こんな岩ぐらい素手で1発!」ガン!!
少年「壊れないね。」
大王「・・・」
大王「では筋力トレーニングを開始する!」
少年「岩は?」
【恐怖の大王】≠超人。身体能力は本当に常人より上なだけ。
5 :
恐怖の大王―大王との修行 (代理):2010/06/08(火) 13:09:00.61 ID:WpzBWIa90
走れ
大王「『持久力』も戦いで重要な要素の1つ。
持久戦でやられるなど情けないからな。
さっそくランニングを開始する!」シュゥゥーン
少年「[大王]、飛ぶなんてずるいよぉー。」タッタッタ
大王「さぁ、もっと速く!限界に挑戦してこそ力はつく!」シュゥゥーン
少年「分かったよ。」ダッダッダッ
大王「もっと、体力を、考えないと・・・後で、辛くな、ぞ・・・」はぁ、はぁ シュゥ・・・ン
少年「・・・」はぁ、はぁ タッタッタ
少年「・・・。[大王]の方が疲れてない?」はぁ、はぁ
大王「・・・。」はぁ・・・はぁ・・・
大王「そもそも『空を飛ぶ』という動作は
地球の重力を無視して移動するという事だぞ!
疲れない方がおかしいだろ!」
と大王はおっしゃっております。
支援
スレ立て乙ですー
8 :
恐怖の大王―大王との修行 (代理):2010/06/08(火) 13:14:24.93 ID:WpzBWIa90
精神
少年「[大王]、他に大事なものってある?」
大王「ん?そうだな・・・。」
大王「やはり『精神』も重要だな。
強い者と戦う『勇気』、何者も恐れぬ『度胸』。
これが無ければ戦う事もできない。」
少年「ふーん。どうやって鍛えたらいいの?」
大王「少年の精神はしっかりしているから、
今は他のところを鍛えた方がいいだろう。」
少年「本当?よかった。」
少年「じゃあ、悪い人を倒すために腕の力を!」
大王「(やはり褒めない方が良かったな・・・
この性格さえなければ完璧なんだが。)」
心技体というぐらいだから、あと足りないのは『技』ですね。
9 :
恐怖の大王―大王との修行 (代理):2010/06/08(火) 13:18:26.05 ID:WpzBWIa90
素振り
少年「はっ!はっ!」ブン!ブン!
大王「(おっ、素振りか。自主的にとは偉いな。)」
少年「『ブレイド』ってカッコイイなぁー。」キラキラ
大王「・・・。(なんだ、特撮ごっこか。)」
『技』習得確認!かな?行数合わせに2コマで行きました。
少年が思う
[大王]のおかげでボクは強くなった。
[大王]がいたら、ボクは都市伝説とも戦える。
でも、これが本当にボクがほしいと思った『力』?
ボクは・・・。
ん?ラストはオチ無しですが?
少年が求める『力』は、どうすれば手に入れる事ができるのか?
では、第3話に続きます。
10 :
恐怖の大王番外―2話公開記念名前決定祭 (代理):2010/06/08(火) 13:23:24.08 ID:WpzBWIa90
作者「では、第2話公開を記念して。」
4人「かんぱーい!」カチンッ
友「じゃねぇよ!いちいち祝うなよ!
こんな事してたらいつまで経っても20XX年にならないじゃねぇか!」
作者「だって、受けると思わなかったもん・・・。
もしかしたら『つまらん』の一言で終わってたかも・・・。」
少女「まぁ、そうだとしたら1番困るのは私たちだけど。」
作者「という訳で、この記念にあなた方に名前をプレゼントします。」
少年「わーい!」
友「最初から作っとけ!」
少女「どんな名前?」
作者「こんな名前です。では改めて自己紹介してください。」
11 :
恐怖の大王番外―2話公開記念名前決定祭 (代理):2010/06/08(火) 13:27:34.80 ID:WpzBWIa90
正義「えと、今まで[少年]だった[黄昏 正義(たそがれ まさよし)]です。
皆からは[正義(せいぎ)]と呼ばれています。
今は中学1年生」
友「おい、まだあっちでは小学生だぞ。」
正義「あ、そうだった。
えと、これからもよろしくお願いします。」
奈海「改めまして、正義くんの幼なじみの[心星 奈海(しんぼし なみ)]です。
いつも正義くんのお世話をがんばっています。」
正義「別に世話なんかしてもらいたくないし。」
奈海「本当はしてほしいくせにぃー。
これからも応援よろしくお願いします。」
勇弥「ファンの皆様、大変長らくお待たせしました。
正義の親友、[日向 勇弥(ひゅうが ゆうや)]です。
これからも応援」
奈海「気取ってもかっこ良くないからね。」
勇弥「そうか?せっかくここで決めてモテようと思ったのに・・・。
このオレをよろしくお願いします。」
12 :
恐怖の大王番外―2話公開記念名前決定祭 (代理):2010/06/08(火) 13:31:34.88 ID:WpzBWIa90
正義「えと、今まで[少年]だった[黄昏 正義(たそがれ まさよし)]です。
皆からは[正義(せいぎ)]と呼ばれています。
今は中学1年生」
友「おい、まだあっちでは小学生だぞ。」
正義「あ、そうだった。
えと、これからもよろしくお願いします。」
奈海「改めまして、正義くんの幼なじみの[心星 奈海(しんぼし なみ)]です。
いつも正義くんのお世話をがんばっています。」
正義「別に世話なんかしてもらいたくないし。」
奈海「本当はしてほしいくせにぃー。
これからも応援よろしくお願いします。」
勇弥「ファンの皆様、大変長らくお待たせしました。
正義の親友、[日向 勇弥(ひゅうが ゆうや)]です。
これからも応援」
奈海「気取ってもかっこ良くないからね。」
勇弥「そうか?せっかくここで決めてモテようと思ったのに・・・。
このオレをよろしくお願いします。」
13 :
二人きりでお花見を ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/08(火) 13:37:08.76 ID:WpzBWIa90
それは、悪魔の囁き騒動が終結した後、GW中の事
『佳奈美、GW中暇か?特に予定ないんだったら、一緒に花見にでも行くかないか?』
黒服Hこと、広瀬 宏也から、佳奈美にそんな誘いが来た
携帯ごしに、佳奈美は赤くなってしまう
「え、あ、そ、その、と、特別予定はないけど……いいの?宏也さん、忙しいんじゃないの?」
『なぁに、大丈夫さ(YとかOとかCとかGに仕事押し付けて)うまい事休みとれたからな』
「な、何か、微妙に誰かに迷惑かけてそうな予感が…」
気にするな、と宏也が笑う声が聞えた
彼がそう言うのなら、気にしなくとも良いのだろうか?
ちょっと悩みながらも、佳奈美は宏也の申し出を受けることにした
翌日、花見に行く事にして、待ち合わせ場所や時間を決めていく
「えっと、どこに見に行くのかな?北区の、桜が有名な場所?」
『あー、あそこは多分混むと思うから、別の場所行かないか?ちょいと、いい場所知ってるんだよ』
……ちなみに、この宏也の言葉
辰也からの連絡で、その日、「首塚」が北区の桜の名所で花見をする事を知っていての言葉である
とある事情から、彼は「首塚」とはあまり関わり合いたくないのだ
「いい場所?」
『あぁ、高確立で二人きりになれるぜ?』
「にゃっ!?…そ、そそそそ、そうなんだ」
二人きり
その単語に、ドギマギしてしまう佳奈美
佳奈美のそんなウブな反応に、宏也はくっく、と楽しげに笑ってきた
しえ
15 :
二人きりでお花見を ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/08(火) 13:41:24.81 ID:WpzBWIa90
そして
花見、当日
「わぁ……」
はらり、はらり
静かに、桜の花びらが舞い落ちる
桜の木の下に敷いたレジャーシートに座って、佳奈美はその見事な桜を見あげた
北区にある、古ぼけた教会の裏手
そこに、大きな桜の木が一本、生えていて
見事な、満開の花を披露していた
「な?いい穴場だろ?ここは」
「うん…でも、教会の人達は、ここの桜、見ないのかな?」
「あぁ、どっか別の場所での花見に呼ばれてるみたいだからな」
二人きりになりたいからこそ、ここを選んだのだ
流石に、教会にマッドガッサー達がいる時は、少々来ずらい
……そっと、さり気なく
佳奈美に寄りかかるように寄り添う宏也
っぽ、と、佳奈美は即座に赤くなり、照れたように俯いてしまう
その反応に、宏也が楽しんでいると
−−−−−っぽと
「にゃ!?な、何か落ちてきた!?背中に入った!?」
16 :
二人きりでお花見を ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/08(火) 13:45:55.85 ID:WpzBWIa90
「…あー、やっぱ、桜の木の真下は、毛虫注意だったか」
「にゃーーーーーーっ!?」
もぞもぞもぞもぞもぞもぞぞぞぞぞぞぞぞっ
服の中に入り込んだ毛虫が這いまわる
ぞわわっ、と佳奈美は悪寒を感じてしまう
「っと、とととと、取ってーー!宏也さん、取ってー!!!???」
「あぁ、任せろ」
半ば涙目の佳奈美を、宏也はそっと抱き寄せた
するり、宏也の手が、佳奈美の服の下に張り込む
「−−−−っん」
つつつ、と動く宏也の手の動きが、くすぐったい
手は、佳奈美の服の下に入り込んだ毛虫を探して…
…ぷちん
「にゃ?ぷちん?」
「おぉっと、けむしをつかまえようとしたはずが、うっかりとしたぎのかなぐをはずしてしまった」
「棒読みーーーーーっ!!??」
「安心しろ、ちゃんと毛虫も捕まえた」
ぺいっ、と毛虫を投げ捨てる宏也
あぅあぅ、赤くなりながら、ブラのホックを直そうとしている佳奈美の様子を、楽しげに笑いながらじっくり観察しているのだった
もげろといいつつ終わる
17 :
はないちもんめ ◇ijXVtdIY/Y (代理):2010/06/08(火) 13:50:40.13 ID:WpzBWIa90
「そう言えば雨村さん?てさ」
「はい」
「どうやって兄貴と知り合ったの?」
そこ聞きますか
「そうですねぇ・・・あれは、始業式の日の事でした」
18 :
はないちもんめ ◇ijXVtdIY/Y (代理):2010/06/08(火) 13:51:33.14 ID:WpzBWIa90
サキュバスさんのセクハryによって遅刻した私はパンをくわえて走っていると丁度角から飛び出してきた先輩とぶつかり、ラッキースケベなイベントが「嘘でしょ」
「はい、嘘です
しかしサキュバスさんのセクハラの件は本当です」
「いや、誰もそこは聞いてないから」
19 :
はないちもんめ ◇ijXVtdIY/Y (代理):2010/06/08(火) 13:52:29.37 ID:WpzBWIa90
では、気を取り直して
サキュryによって遅刻した私はパンをくわえて走っていると飛び出した時に丁度、横からトラックが突っ込んできて
「それで?」
咄嗟の事で避けれなかった私はその場を動くことが出来ず・・・偶々そこを通りかかった先輩が
「兄貴が?」
私を助けようと飛び出して
「と、飛び出して?」
ビックリした私が
「雨村さんが?」
先輩ごとトラックを爆破「ちょっとぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」
20 :
はないちもんめ ◇ijXVtdIY/Y (代理):2010/06/08(火) 13:53:27.83 ID:WpzBWIa90
「幸いトラックの運転手は軽傷ですみました」
「何やってんのよアンタは?!」
「寧ろ先輩が重傷で」
「うぉい!?」
「まぁ、運良く蝦蟇の油を持っていたのでソレで治療して事なきを得た訳ですが」
21 :
はないちもんめ ◇ijXVtdIY/Y (代理):2010/06/08(火) 13:54:45.73 ID:WpzBWIa90
「そ、それが兄貴と雨村さんの出会い?」
「それが出会いでした・・・そして」
「そして・・・?」
「その後何とか復活した先輩と一緒に学校まで走ったんですが間一髪、間に合わず門が閉じてしまって」
「・・・で?」
「仕方ないので私が教師ごと門を爆破「アレの犯人アンタかぁぁぁぁぁぁ!!!」
「そして私と先輩は無事、始業式に間に合ったのです・・・まぁ、この後更に委員長さんや女装の人と一悶着あったんですが・・・」
「いい、聞きたくない・・・」
どうやら・・・私の兄はとんでもない後輩に懐かれているようです・・・
続く?
22 :
料理ベタにも程がある ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/08(火) 13:55:34.36 ID:WpzBWIa90
どことなく、カオスな光景になりつつある花見会場
そこに
「おや、賑わってるじゃないかい」
かつん
ヒールを鳴らしつつ、現れた女
…朝比奈 マドカだ
その背後を、灰色のコートを着た朝比奈 秀雄が、ゆっくりとついてきている
…金色に変わってしまった瞳を隠す為だろうか
サングラスをかけている
「…何だ、来たのかよ」
「そう言う言い方はないんじゃないかい?」
和解しつつも、まだ、両親とは微妙な距離感がある翼
マドカや秀雄と、まともに顔を合わせることができない
それを、知ってか知らずか
「飯ーーーーーっ!!」
「っととと!?こら、だから落ち着け!…って、もう重箱一つ食い終わったのか、お前はっ!?」
「ウマー」
……いや
多分、絶対知らないと思うのだが
一年生になったらが、無邪気に翼に纏わりついてきた
相変わらず、妖怪ハラヘッタの胃袋は常に食料を求めている
そんな、無邪気な一年生になったらの様子に、マドカはおやおや、と笑みを浮かべた
23 :
料理ベタにも程がある ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/08(火) 13:56:32.89 ID:WpzBWIa90
「おなかすいてるのかい?だったら、あたしが桜餅を作ってきたから…」
「……………待て」
ぼそり
先ほどまで黙っていた秀雄が、口を開く
「…それは、どこかで買ってきた物ではなかったのか?」
「違うよ、翼からレシピを聞いて、作ってみたのさね」
翼達がいるゴザに腰をおろし、持ってきた包みを開こうとするマドカ
飯ー?と近づいてきている一年生になったらを、見て
秀雄が、さらに続ける
「……それを披露するのはやめておけ……若い命を散らすつもりか」
「どう言う意味だいっ!?」
秀雄の静かな言葉に、マドカが突っ込みをいれ
…はらり
桜餅が、姿を現し…
…あらわ、し…
その場の空気が
きっかりと、1分程停止した
「…マドカさん、その、それは、何でしょうか…?」
控えめに尋ねた大樹の言葉が、時間を元に戻す
24 :
料理ベタにも程がある ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/08(火) 13:57:29.70 ID:WpzBWIa90
マドカは、きっぱりと答えた
「桜餅」
「どこがだっ!!??それが桜餅だとしたら、どんな爆心地を通り抜けてきたんだよ!!??」
正気に戻った翼が、盛大に突っ込んだ
…マドカが開いた包み
そこから姿を現した物体は……黒い、塊だった
とても、桜餅には見えない
「何言ってんだい。翼が教えてくれたレシピ通りに作ったんだよ?…まぁ、流石に餡子から作るのは無理があったから、餡子は既製品を使ったけどねぇ」
「嘘つけぇえええ!!??あのレシピで、どうすりゃそんな物体を作り上げられるんだよっ!?」
「…ねぇ、大樹さん。ここは、餡子作りからレシピを送った翼に突っ込むべき?それとも、そのレシピであんな物体を作ったマドカに突っ込むべき?」
「……悩むところですね」
かすかに、頭痛を覚えている様子の大樹
……どうやら、マドカお手製の桜餅は、望にすら、料理として認識してもらえなかったようである
こっそりと、詩織と一緒に甘酒を飲んでいたノロイが、マドカの料理から逃げ出そうとすらしている
………が
そんな、物体を
「むー」
「あ!?」
ぱくっ
一年生になったらが、怖いもの知らずに、口に放り込んだ
もっもっもっもっ…
………
25 :
料理ベタにも程がある ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/08(火) 13:58:39.08 ID:WpzBWIa90
…………
……………
どしゃん!!と
一年生になったらが、倒れた
「っちょ!?おい、しっかりしろ!?」
「ばかなっ!?「首塚」最強の胃袋を持つ一年生になったら倒れただとっ!?」
「っだ、大樹!ユニコーンの角の粉末をっ!!」
「あたしの料理は毒だってのかい!?」
慌て出した死人部隊やら翼の反応に、盛大にマドカが抗議する
……が
翼達の反応は、正直、もっともである
「うわさの産物」の店長のオススメ料理すら、平気で平らげる一年生になったらが、一撃必殺だったのだから
「……毒どころか、猛毒だろうが」
ぼそり、呟いた秀雄の突っ込みは
マドカの耳に、届いたかどうかわからない
続くかどうか未定
26 :
料理ベタにも程がある オマケ ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/08(火) 13:59:41.75 ID:WpzBWIa90
マドカ「あぁ、そうだ、柏餅も作ってきたんだった」
秀雄「…やめておけ。これ以上、無駄に命を散らせるな」
マドカ「何言ってんだい!!こっちはちゃんとまともに出来たんだよ!」
化死窪喪血「我思う故に我有」
翼「喋ったーーーーー!?」
マドカ「活きがいいって事さね」
秀雄「生物兵器を作り上げるな」
一年生になったら「むー?」
翼「……良かった、意識を取り戻して」
翼「今夜は、何かお前の好きな料理、作ってやるからな」
一年生になったら「肉ー」
翼「いや、もっと具体的な料理名言えって」
誠「………そうか、あいつらが、翼が足繁く通って家事をやってやっている相手か……!」
死人部隊の中年「どこからか身に覚えのない殺気が!?」
今度こそおわる
27 :
はないちもんめ ◇ijXVtdIY/Y (代理):2010/06/08(火) 14:00:45.43 ID:WpzBWIa90
「………そうか、あいつらが、翼が足繁く通って家事をやってやっている相手か……!」
「誠、頼むからもうちょっと頑張ってさっさと翼落としてよ」
「何で俺がお前の指図受けないといけないんだよ」
「アンタが翼落とせば大樹さんの競争率が落ちるじゃない」
「お前・・・本当に自分本位な奴だな・・・」
「大樹さんの事じゃなければ翼も大事にするけどね」
に、しても・・・
「遅いわねー友美達」
支援
29 :
はないちもんめ ◇ijXVtdIY/Y (代理):2010/06/08(火) 14:05:35.42 ID:WpzBWIa90
「友よ・・・」
「何だい笛吹さん?」
「お前は俺達に何て言ったのかな?」
「一緒に花見に行かないか?」
「そうだ、そして俺達はそれにホイホイついてきた」
「猫耳まで付けてな」
「で、何で言いだしっぺの君が道に迷うのかな?かな?」
「仕方ないでしょう?!
望の奴呼ぶだけ呼んで場所言ってなかったんだから!!
花見会場って・・・何処だぁぁぁぁ!?」
北区のど真ん中で
某探偵事務所の一行の叫びが響いた
30 :
はないちもんめ ◇ijXVtdIY/Y (代理):2010/06/08(火) 14:10:39.45 ID:WpzBWIa90
その頃、花見会場にて望と詩織
「因みにさぁ、さっき電話で誰呼んだの?」
「ヘンリエッタと友と、赤い靴のと、重いコンダラの」
「場所伝えた?」
「・・・友以外には」
「大丈夫なの?」
「友なら大丈夫・・・多分」
続く?
31 :
無題 (代理):2010/06/08(火) 14:15:39.64 ID:WpzBWIa90
都市伝説4コマ風劇場
サ「……飴ちゃん、なにしてるの?」
在「ひっ!」
瑠「誰?」
在「さっき行ったセクハラサキュバスです」
サ「セクハラじゃなくて愛よー」
瑠「この人が?人間に見えるんだけど」
サ「ねえそれよりも、場所とるために先に行ったんじゃなかったの?」
在「え?」
在「………まあ、なんとかなりますよ」
瑠(いやいやいやいや)
32 :
はないちもんめ ◇ijXVtdIY/Y (代理):2010/06/08(火) 14:20:44.69 ID:WpzBWIa90
美「叫び声が聞こえてきてみれば……お前か笛吹」
上「ん?ああ、いつぞやの仮面ライダーか」
友「笛吹さん、その人誰ですか?」
上「今言った通り、こいつは仮面ライダーだ」
友「へー」
美「色々お前には言いたいことがあるが……ついてこい、案内してやる」
上「へぇ、気が利くじゃないか」
美「というか」
美「なんで田んぼのド真ん中にいるんだよお前達」
友「周囲が見渡しやすいって笛吹さんが」
上「てへっ」
友「でもなんで花見に行こうとしてるって分かったんですか?」
上「荷物見たからだろ?」
美「まあ、そんなところだな」
友「そういえば……えっと」
美「篠塚だ」
友「篠塚さんも風呂敷みたいなの持ってますけど」
美「もちろん中身は重箱入りの料理だな」
友「重箱って……何人前ですか」
美「そんなにいるわけではないが」
美「ただ……作りすぎたんだ」
友「作りすぎたって」
美「あと8段分くらい連れに持たせている」
上「わざと……だよな?」
34 :
都市伝説4コマ風劇場 (代理):2010/06/08(火) 14:29:58.27 ID:WpzBWIa90
文「……兄さん、大丈夫でしょうか」
姫「様子見に行っただけでしょ?美弥なら問題ないわ」
ザ「ワタクシはそれよりも、場所が取れたのかどうかが気になりますわ」
文「まあ、最初から期待はしてませんけどね」
姫(信用低っ)
文「ところで二人に聞きたかったんですけど」
姫「なに?」
ザ「なんですの?」
文「重箱をたくさん抱え上げてて疲れませんか」
姫・ザ「「全然大丈夫(ですわ)」」
文「絶対に落とさないでくださいね」
つづくかも
35 :
場所取り淫魔 ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/08(火) 14:34:13.23 ID:WpzBWIa90
学校町 北区 桜の名所
二つのカオスな集団から、ちょっぴりだけ離れた位置で
ぽつん、と大き目のレジャーシートに座っている青年一人
どう見ても、場所取り要員である
短い黒髪、黒い瞳、褐色の肌
すらりとした長身で、俗に言う美青年の範疇に入るであろう青年
はらはら、はらはらと
桜舞い散る中、座っている姿は絵になるの、だが…
……おどおどおろおろした態度のせいで、色々と台無しである
「あぅぅ……在処ちゃん、戻ってこないけど、大丈夫、かな…?さっき、向こうで凄い音とか悲鳴がしてたけど…」
青年の名前は、ディラン
正体はインキュバスである
現在は、人間の姿に化けて、花見の場所取り中だ
サキュバスと遭遇した件で、美弥達と縁ができたディラン
せめて、手当てをしてもらった御礼に、と家事を手伝って
今回のお花見でも、弁当作りを手伝った後、在処と共に場所取りにやってきたのだ
ただ、在処は知り合いを見つけたようでそちらに行ってしまった為、彼一人で場所を取っていたのだが…
在処の事は心配だが、場所取りをしている以上、ここを動くわけにもいかない
ディランが、おろおろと在処を心配していると
「…あ、いたいた、場所取れてたんだね」
「あ………サ、サキュバスさん……え、えっと、在処ちゃんは…」
「飴ちゃんなら、先に見つけておいたよ〜♪何か、知り合いと一緒だったみたいだから。皆来るまでは、向こうにいるみたい」
てとてとと、ディランの元にやってきたサキュバス
36 :
場所取り淫魔 ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/08(火) 14:39:34.68 ID:WpzBWIa90
彼女の言葉に、在処が無事だったことを確認して、ディランはほっとした表情を浮かべた
「…良かった、変な事に、巻き込まれてるんじゃなくて…」
いや、実際にはちょっとした修羅場を見たり見なかったりもしていたのだが
………まぁ、問題あるまい
「ほ、他の人達は…?」
「もうちょっとで来るんじゃないかなー?」
「そっか…」
ゆっくりと、辺りを見回すディラン
若干、近寄りがたい集団がいるせいか、思ったほど花見客は多くない
だが
(…人が、集まる場所でなら………ジブリルも、見付かる……かな……?)
…ダレンの、為にも
今の学校町の情報を集めなければ
その為にも
ずっと、学校町に滞在し続けているジブリルと、接触して
情報を、集めなければ
そして
(……ダレンが、学校町に来る事……伝えなくちゃ……)
自分達の主が取ろうとしている、そのあまりに無謀な行為を
早く、伝えなければならないのだ
多分続く
37 :
恋せよ乙女 ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/08(火) 14:44:50.19 ID:WpzBWIa90
「イアイアハスター」
「っちょ!?動いてるぞこれ!?包みを脱走してるぞ!?」
「だから、活きがいいって言っただろ?」
「最早食い物じゃねぇだろ、これはっ!!??」
「……翼、それに近寄るな。勝手に口の中に飛び込みかねない………死ぬぞ」
「だから、あたしの料理を生物兵器扱いするんじゃないよっ!?」
何というカオス
って言うか、あれ、もう絶対柏餅じゃない
何か、新種の生命体だ
すすす、とさり気なく、大樹をそこから避難させるように、ちょっぴりその体を押す望
うん、大樹の頭痛と胃痛が加速しかねない
いや、現時点で加速してるっぽいけど
「大樹さん、大丈夫?」
「あ…えぇ、大丈夫ですよ」
望の気遣うような言葉に、微笑んで返す大樹
ぽふぽふと、優しく望の頭を撫でてくれる
…その手の感触に、望は赤くなってしまう
優しい手
その手が自分にだけ向けられるものではないと知っている
わかっている
……だが、それでも
こうやって、優しく頭を撫でられている、この瞬間だけでも
この手が、自分にだけ向けられているのだと、考えたい
人を護る手
38 :
恋せよ乙女 ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/08(火) 14:51:30.31 ID:WpzBWIa90
人を癒す手
この人の手は、誰かを傷つけるためではなく、誰かの命を奪う為ではなく
……誰かを護り、癒す為のあるのだ、と
撫でられる度、そう考える
……と
そうやって、考え込んでいると
大樹が、じっと見つめてきているのに、気付いて
「ど、どうしたの?」
ぼ〜っとしてしまっていただろうか
慌てて、そう尋ねると
「あぁ、いえ……少し、じっとしていてくださいますか?」
「え?」
そっと
両頬に、手が当てられた
じ、と間近で見つめられる
顔の距離が、近い
それは、まるで
これから、口付けでもするような………−−−−−−−−
「〜〜〜〜〜〜!!??」
思わず、自分の抱いた考えに真っ赤になってしまう望
39 :
恋せよ乙女 ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/08(火) 14:52:41.69 ID:WpzBWIa90
そんな望の思考に、全く気付いていない様子で
つい、と
指先が、望の目尻に触れた
「…あぁ、とれました。睫がついていたので……痛くありませんでしたか?」
「…………」
「望?」
−−−−−ぷっしぅ
間近で見つめられたりなんだりで、思考がショートしたのだろうか
望は、耳まで真っ赤になって、硬直していたのだった
はないちもんめの人に土下座しつつ終わる
40 :
桜の下の肢体 ◇W5H6Y5Rl3M (代理):2010/06/08(火) 14:53:44.83 ID:WpzBWIa90
花見客で賑わう桜の名所の一角
あちらこちらで何やら騒ぎが起こる中、こちらにもまた奇妙な集団が一つ
「バイトくんはどうしたのかね」
『エイズ・メアリー』のメアリーと『口裂け女』のミツキに酌をされ、ゆるりと日本酒を嗜むドクターの姿
「一応診療所に誰か残っていないと、急な患者さんが来た時に困るとかで居残りです」
「彼も少し息抜きを覚えるべきだと思わんかね」
やれやれといった調子で同意を求めるドクターだが、左右の都市伝説二人は笑顔でドクターに絡みつく
「一度何か研究を始めるとほとんど寝ない人には言われたくないと思いますよ?」
「そもそも、子供をダシにしないとドクターだって花見なんか来ないじゃないですか」
「……むう」
ドクターがこうして花見に来ているのは、『総統』に子供達を連れて行ってやって欲しいと頼まれたからである
そうして連れてこられた四人、エニグマ姉妹とウィンチェスターの少女、そして『悪魔の囁き』の沙々耶
「その子供達の姿が見えんが、大丈夫なのか?」
桜の下、ビニールシートが広げられた一角にはドクター、メアリー、ミツキ、そしてエニグマ妹の四人しか居ない
「あの二人だったらお姉がちゃんと見てますから大丈夫です。詳細はきちんと電波で届いてますよ」
広げられた重箱の料理を突付きながら、エニグマ妹はくすくすと笑う
「あの子、日本に来る前はずっと家に篭っていたそうじゃないですか。凄く楽しそうですよ」
「……まあ、楽しんでいるなら連れてきた甲斐があったものだがね」
「お姉はちょっとつまんなそうですけどね。バイトさんが来てませ……お姉っ!? 突然意味不明な暗号電波を流さないで下さいっ!?」
傍から見てれば空と口喧嘩をしてる変な子状態のエニグマ妹だが、この辺りではまあまだ随分と大人しい様子である
「まあ、たまにはこんな日も良いのかもしれないな」
舞い散る桜の花びらを眺めながら、ドクターは両隣にいる愛人の温もりと春の日差しを楽しんでいた
41 :
二つの集団を遭遇させてみる ◇ijXVtdIY/Y (代理):2010/06/08(火) 14:54:31.82 ID:WpzBWIa90
花見は色んな意味で盛り上がっていた
「テケ・リリ・テケリ!!」
「柏餅が跳んだぁぁぁぁっ!?」
「お客様の中に地獄先生はいらっしゃいませんかー!?」
「助けてぬ〜べ〜!!」
翼母の作った化死窪喪血もとい仮死我喪血じゃない柏餅が飛び跳ねたのだ
「これは洒落にならんぞ!?」
「翼退いて!!」
服の裾から5円を連ねた鎖を抜き、そのまま柏餅に絡み付ける
「取った!買って嬉しいはないちもん ジュッ じゅっ?!」
突然無くなる手ごたえ
見ると、柏餅に絡んだ鎖が腐敗し崩れ落ちている
「嘘?!」
「イア!イア!」
「望避けろ!!!」
柏餅が私の顔目掛けて飛んできて
「花見会場はここかぁぁぁっ?!」
横から跳んできたバイクの
「望ぃ!!場所位ちゃんと教えて「友危ない!!」へ?!」
後ろに乗っていた友美の顔面に直撃した
「友美ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?」
42 :
二つの集団を遭遇させてみる ◇ijXVtdIY/Y (代理):2010/06/08(火) 14:56:01.70 ID:WpzBWIa90
「しっかりしろ、友!」
「う、笛吹さん・・・・・・」
「友・・・大丈夫よ
傷は・・・浅くは無いけど!」
「の・・・望・・・私、もうダメかもしれない・・・」
「しっかりしろ友!!・・・俺に、何かできることは無いか?」
「う、笛吹さん・・・その、頭の上のを・・・望に」
「そうか・・・この猫耳をコイツに付ければいいんだな?!「よし死ね」
ゴスッと鈍い音と共に私の肘が友の顔にめり込んだ
「友ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!」
「冗談言う元気があるなら大丈夫ね・・・で、何でアンタまでここに居るのよ」
「友に呼ばれたからに決まっているだろう」
また、厄介なのが増えたわね
「あんた等・・・もう少し真剣に私の心配してよ」
「全然元気じゃない」
「・・・冗談は置いといて何だこの状況」
かくかくしかじか
「成る程な・・・それでこの惨状か」
「柏餅が伸びたァァァ!?」
「ヤバイって!!」
「なぁにこれ?」
相変わらず元気な柏餅はあっちへこっちへ跳び回り
そのまま、もう一つのヤの付く人達の方へ跳んで行った
「あいつ等・・・先に行きやがって」
公園の前で笛吹達に置き去りにされた美弥が呟いた
続く?
43 :
化死窪喪血の鳴く頃に ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/08(火) 14:57:07.64 ID:WpzBWIa90
「フングルイクトゥルフ」
柏餅
……いや、それは柏餅と呼んでいい物体では、ない
彼女、朝比奈 マドカが作り上げた柏餅は……その全てが「化死窪喪血」と呼ぶべき、別種の物体へと成り果てていたのだから
それが、獄門寺組の集団へと……飛んで行く
まるで、本来、果たすべきだった役目を果たすかのように
人の口内へと、飛び込もうとしているかのように
「……あらあら」
獄門寺 早苗が、それに気付いた
いつも通りの穏かな笑みを浮かべ、彼女は傍らにあったそれを、手に取った
「瑠璃。海造君と一緒に伏せていなさいな」
「はーい」
っば!!と
瑠璃が、海造を伏せさせる
次の、瞬間
化死窪喪血が、薙刀と日本刀によって真っ二つに切り裂かれ
44 :
化死窪喪血の鳴く頃に ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/08(火) 14:58:57.42 ID:WpzBWIa90
しかし、それでも動いていたそれは……銃弾を受け、粉々に砕け散る
「おや?何か今、凄い音が聞えたような…?」
「あらあら、先生、気のせいですわ」
ころころと、早苗は薙刀を傍らに置いて笑う
獄門寺組組長 獄門寺 鬼蔵も、日本刀を鞘に収めた
蛇城も、そっと、ライフル銃を布で包み始めている
「…凄いな、お前の家」
「見なかった事にしてください、全力で」
「みー??」
…翼に挨拶に来ていた龍一は、全力でその光景から目をそらした
いや、皆無事だったからいいのだが
一般人の目撃者もいるんだから勘弁してくれ
隣で首を傾げている花子さんの頭を撫でつつ、龍一は深々とため息をついたのだった
おわれ
45 :
桜道によりくるは…… ◇DkTJZY1IGo (代理):2010/06/08(火) 14:59:55.72 ID:WpzBWIa90
「ぽっ……ぽぽぽっ……
この宴会の様はこの街の、世界の縮図じゃの
人と魔が同じ花を眺め笑い合う可能性など誰が想像したであろう」
黄金のクマバチは八尺様の麦藁帽子から離れて、
桜の花にしきりに頭をつっこんで一生懸命蜜を食べている。
「良いことなのであろうが我には少し眩しすぎる。
なあ、お主はひょっとしたらこの可能性に引かれて……」
八尺様とクマバチがのんびりとした時間をすごしていたとき、其れは現れた。
「フングルイムグルウナフ」
「な、何なのだこれ!?」
八尺様のほうに飛んできた、名状しがたき物体……
それが元・食品であるなど誰が想像したであろうか。
泡を食ったようにクマバチが上空へ飛びずさる。
こんなものは狂人の見る夢にのみ登場する狂気の悪夢だ。
新手の化け物や都市伝説といったほうがまだ信じられる。
八尺様が拳で化死窪喪血を一匹潰す。
「こ、このように瘴気を纏ったまがまがしい化け物は初めて見たわ……」
おわる?
46 :
笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/06/08(火) 15:00:34.34 ID:WpzBWIa90
【上田明也の探偵倶楽部23〜割と平和な日もあって〜】
「明日はお花見に行きます。
よい子の皆さんはレジャーシートとかの準備をとりあえずまあ急いで行ってください。
それと弁当については俺がもうすでに用意を始めているので、穀雨ちゃんは絶対に台所に突入してはいけません。
その場合近くのハッピーピエロでご飯を買わなくちゃいけません。
メルとレモンは協力して絶対にそれを防ぐように。
笛吹探偵事務所にはお金がないのでできるだけそのような悲劇は避けたいと思っています。
解りましたか?」
「「「はーい!」」」
桜の季節だと言うことで花見に行くことになった。
ここで一つ問題がある。
大の大人が一人で幼女を三人も花見に連れて行くと只の誘拐に見えてしまうのだ。
まあ三分の二は誘拐して此処に連れてきているのでその見方も間違っては居ないのだが。
しかしこれは明日晶を連れて行くことで解決するので問題ない。
それと念のために言っておきたいが笛吹探偵事務所は非常に景気が良い。
この町の治安が悪くなれば成る程仕事は増えるのである。
お金がないというのは主に穀雨ちゃんが食べ過ぎない為の方便である。
嘘も方便?
いいえ、嘘こそ方便です。
支援
48 :
笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/06/08(火) 15:04:37.60 ID:WpzBWIa90
「つー訳で俺は少し買い物に行ってきます。
俺が居ない間は明日姉が来てくれると思うんで言うことを聞いて遊ぶなり勉強するなりしてください。
特に橙は国語の成績がひどいのでちゃんと勉強するように。
あと穀雨ちゃんも算数だの英語だのなんだの問題集買ってきているからちゃんとやるんだぞ?」
「えー、勉強やだー!」
「やらないとお花見連れて行かないぞ?」
「うぅ……。それじゃあやる。」
「明日お姉ちゃんも来るんだから、我が儘いって困らせるなよ?」
「はーぃ……。」
穀雨吉静はいかにも文句たっぷりといった様子で口をとがらせている。
まったく、可愛いものだ。
「もしかしたら、“買い物”から帰るのが少し遅れるかもしれん。」
「ねえお兄ちゃん、遅れてもちゃんと帰ってくるよね?」
「大丈夫だよ、ちょっと行ってくるだけだ。」
メルは穀雨の手を引いて事務所の奥に戻っていった。
どうにも彼女には迷惑をかけっぱなしだ。
俺は橙の頭をくしゃくしゃと撫でるとフラフラと買い物に向かった。
「……やぁ。」
「それじゃあ子供達頼んだわ。」
「解っているよ、委員長は委員長のやるべきことをやったら良い。
私はそれを手伝える限り手伝うよ。」
「弟とは会ったか?」
「んにゃ、あの子にはもう私ゃ要らないよ。」
「じゃあ俺が必要とさせてもらおうか。」
「…………馬鹿。」
事務所を出るとちょうど良く明日姉とすれ違う。
赤い部屋を迎えに行かせたが予想より早く来れたようでなによりだ。
軽くため息をつく。
ことの発端は数日前だ。
俺の事務所に一通の手紙が来た。
「家族の恨みを忘れない。」
それだけが書かれたシンプルな手紙である。
そもそもあれを手紙と呼んで良いかすらも解らない。
恨みを買う覚えはそれこそ星の数ほどある。
人間というのは皆等しく誰かとつながっているのだ。
誰か一人に害を与えればそれに憤る人なぞ何処にだっている。
俺は『ハーメルンの笛吹き』をより強力な都市伝説にする為にとてつもない犠牲を払ったのだ。
犠牲になった人間の関係者の誰かが俺を恨んでいたとしてもなんら不思議ではない。
50 :
笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/06/08(火) 15:14:43.42 ID:WpzBWIa90
ただ一つだけ思うことがある。
恨んでいたから何だというのだ。
呪っていて何になると言うのだ。
何を思おうが、力がなければ結局無意味ではないか、と。
俺が事務所を出てきっかり五分後。
くるりと後ろを振り返ると事務所の近くで巨大な爆発が起きていた。
果たして明日姉は無事に子供達を守ってくれたのだろうか?
まあ自分はハーメルンの笛吹きとしてだけでなく探偵としても各方面から恨みを買っている。
探偵は恨みを買う職業だ。
もしかしたらそっちの方かもなあ、今回は、なんて考えてみたり。
「俺をおびき出してその間に事務所の爆破を試みる。
なるほど、意趣返しとしては中々悪くない発想だ。
そうすれば俺が事務所に残してきたものは破壊できるだろうな。
ただやっぱりどうして知識不足。
起きると解っていればそれを回避するのはすごく容易いことな訳だし、
それを事前に予知できる能力者があそこには居る。」
橙・レイモン、通称レモン。
彼女の持つ『ラプラスの悪魔』の都市伝説の予知能力ならばその程度の災難は簡単に回避できるはずだ。
なんだ、つまらないことを考えているものだ。
またつまらない復讐の相手をしてやらなくてはいけないのか。
51 :
笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/06/08(火) 15:19:23.08 ID:WpzBWIa90
さてと、それはそうとしてだよ。
俺に恨みを持っている人間は今どこで何をしているのだろうか?
多分あの爆発を見れば俺が慌てて事務所に戻ろうとする、なーんて思っているのかね。
いいや、思っていないか。
手紙に書いてあった場所と時刻はこの町の西にある廃工場。
俺を事務所から引き離すだけならこういうことはしなくて良かった筈だ。
おそらく事務所など無視してそのままこっちに来るとにらんでいるのだろう。
ずいぶん冷淡な人間だと思われたものだ。
この俺にはこんなにも熱い血が流れる只の人間だというのに。
そのまましばらく歩くと約束の場所、そして時間である。
昼過ぎの廃工場は人っ子一人居ない静かな場所であった。
「おーい、誰か居ますかー?」
廃工場の中に入って声を出しても誰もいない。
まさかあちらの方に契約者を集中させているのだろうか?
だとしたら明日姉の餌食になるだけなのでそれはそれで愉快である。
52 :
笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/06/08(火) 15:24:34.40 ID:WpzBWIa90
空気がわずかに震える音色。
そしてそれに乗ってわずかに這い寄ってくる殺気。
都市伝説のそれではない。
人間の恨み、人間の悪意、人間の害意。
俺の知り合いの殺人鬼が好む人間の醜悪。
これは正しくそれだ。
バチィン!
ボウガンの矢が突如として俺の鼻先を通り抜ける。
間一髪で当たらないで済んだが、どうやら確かに何か居るようだ。
ハーメルンの笛吹きとの契約で与えられた聴力で周囲の様子を探る。
距離は近い。だが視覚では捕らえられない場所。
カチャカチャとした金属音がしない以上、銃器を持っている可能性は少ない。
何処に隠れている?
「村正……蜻蛉切。」
蜻蛉切に手をかけて精神を集中する。
一秒でも早く、敵の居場所、狙い、全てを看破する必要がある。
わずかに衣のすれる音が頭上から聞こえてきた。
53 :
笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/06/08(火) 15:29:40.29 ID:WpzBWIa90
ここで少しばかり蜻蛉切の能力の説明をしたい。
この蜻蛉切は持ち主の感情の振れ幅に呼応して切れ味をあげる刀型の都市伝説だ。
リーチはそれほど無いが単純な破壊力と速度だけならば俺の手持ちの武器の中では最強である。
また、蜻蛉切には使用者の記憶や意志を蓄積する『村正の妖刀』としての能力もあり、
それらを引き出して自分の物のように扱うことで、
刀を持った経験の無い人間でも自在に村正を使いこなすことが出来るのだ。
しかしそれにも限界はある。
ほぼ自動で身体が動いて敵に対応することができても、
自分自身が認識できない攻撃に対しては村正の能力を発動することが出来ないのだ。
だから俺はその弱点を『ハーメルンの笛吹き』で得た聴力や視力などで補っている。
まったく噛み合っていないようにみえて実はこの二つの都市伝説の相性は良いのだ。
……ふむ、そうか。
隠れているのは二人。
いつの間にやら後ろに一人。
そして真上に一人。
判断材料は心音、呼吸音、etc
ああ、それと工場の入り口に一人近づいてきた。
しえ
55 :
笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/06/08(火) 15:35:09.73 ID:WpzBWIa90
次の瞬間、後ろに居た一人が俺に飛びかかる。
なにか身体能力を上げる都市伝説と契約したのだろう。
動きは速い。
だがとても直線的な動きしかしない。
真っ直ぐ真っ直ぐ俺に向かってくる。
これじゃあとても俺は殺せない。
いいや待てよ、こいつらの狙いは俺を殺すことか?
今工場の入り口に近づいてきている人間は誰だ?
その誰かに俺が人を殺す姿を見せたいんじゃないのか?
その為に自ら殺されに来ているんじゃないか?
そうだ、殺人鬼への復讐に殺人を用いるのではあまりに芸がない。
本当に憎いならば、本当に恨んでいるならば、
みずからがその殺人鬼と同じ事をしようだなど思わないのではないか?
そうだ、こいつらの狙いは
俺に殺人を後悔させることではないか?
……だとすると、いま俺に飛びかかるこいつを殺すのはまずい。
56 :
笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/06/08(火) 15:37:34.75 ID:WpzBWIa90
即座に蜻蛉切を鞘に収めるとハーメルンの笛吹きの“悪魔”としての側面を無理矢理引きずり出す。
同じ都市伝説であってもいくつかの側面を持つと言うことは有名だ。
ハーメルンの笛吹きにも人間を操る操作系の側面や、大量の水を生み出して天変地異を起こす変化系の側面、
それに悪魔の身体能力を与える強化系の側面など様々な側面がある。
自らと相性の悪い側面を引き出すことは当然契約者にとってはリスクが高い。
だが俺は自らの心の器を契約を通じてではなくメルと直接繋げているためにある程度のリスクは回避できる。
まあそれは飲み込まれかけている、といっても良いのだが。
俺は正面から近づいて来ている敵の横に回り込むと耳の近くに口を寄せる。
人々は俺の言葉に催眠作用があるように言っているがなにもそれだけではない。
言葉とは心以上に身体に働きかけるものなのだ。
「わああああああああああああああああああ!!!!」
全身の息という息を絞り出した腹のそこからの大声。
廃工場内部でも山彦のように何回も反響している。
当然その音が鳴り響くのは工場の内部だけではない。
「ぐ……ああああ!?」
先ほどまで俺に襲いかかってきた男が頭を抱えて蹲っている。
「悪いが中学高校と声を出し続ける部活だったからなあ。
都市伝説のサポートがあればこれくらいヨユーな訳だよ。
……つっても聞こえていないか。」
俺は男を蹴り飛ばすと真上を見上げる。
57 :
笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/06/08(火) 15:42:22.17 ID:WpzBWIa90
今出したのは何の工夫もない只の大声であり、
普段俺が他人を洗脳する為に使っている発音、言葉、その他諸々の要素に細心の注意を払った言葉ではない。
単純明快純粋な音の塊である。
それだけ聞いているとたいしたこと無いように思われるかも知れない。
しかしソプラノ歌手の歌声はガラスを平気で割ったりする。
俺のそれもまったく同じものだと考えて欲しい。
勿論、先ほど言った通り都市伝説との契約で強化はされているが。
ドサッ
ついでに上に居た男も落ちてきた。
大声を出すのも久しぶりで少々慣れていなかったがまあ結果オーライだろう。
「おい、何やっているんだ笛吹!」
「よぅ明日じゃねえか。」
耳を押さえながら廃工場に入ってきた最後の一人は明日真だった。
そして床に倒れた男達を見て明日の表情が一瞬で変わる。
どうやら俺の読みは当たっていたらしい。
「知り合いか?」
「…………ああ。普段から仲良くしているバイクショップのあんちゃんだよ。」
明日は驚きを隠せない様子でそう答えた。
にゅ
59 :
笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/06/08(火) 15:47:38.07 ID:WpzBWIa90
成る程、俺がこいつらを殺そうとしていたら明日が止めに入った。
そうなれば俺は明日と戦わざるを得なかっただろう。
そうすれば『組織』、その前に黒服Hは本腰を入れて俺を殺しに来る。
弱小契約者にすぎないこいつらはそのまま戦えば俺に一矢すら報えない。
だからより強い者を利用した。
成る程、弱者らしい発想だ。実に腹立たしい。
「この状況を見れば俺が正当防衛でこいつらを倒したと思って頂ける筈だぜ、明日真。」
俺は武器も何も持っていない両手をヒラヒラさせる。
「俺が来たからトドメを刺さなかった、とも考えられるだろう。」
俺に対して警戒するような素振りの明日真。
困った奴だ。自分の姉が面倒ごとに巻き込まれているというのに。
いや、巻き込んだのは俺だが。
「それより良いのか?俺の事務所に居たお前の姉がもしかしたらピンチかもしれないのだが。」
「どういうことだ?」
「いや、そいつらがどうも俺をおびき出してから俺の事務所を壊そうとしていたらしくてね。
今すぐにでも彼女に電話してみると良い。もしかしたらそれに巻き込まれているかも。
こいつらが心配ならここにすぐ黒服でも呼べ。
ただし俺はこいつらに危害は与えていないぞ?」
「…………くそ!」
迷う、迷う、二三秒迷っただろうか?
その少しばかりの葛藤の後に明日は急いで工場を出て行った。
60 :
笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/06/08(火) 15:51:47.26 ID:WpzBWIa90
さて、となると困ったのはこいつらだ。
下手に自殺とかされると困るし、かといって元気を取り戻されてもまた俺を狙うだろう。
俺は急にある一つのことを思いついて倒れている男達に近寄った。
常識的に考えて年齢は俺が操作できる領域を超えている。
だが、その常識は果たしてどこまで通用するのだろうか。
たとえば今の俺は口笛などで子供達を操れる。
だがその逆を言えば口笛程度では子供までしか操れないと言うことではないか?
俺が最も得意とする『言葉』を使えば、人は簡単に操れる。それに都市伝説の支援が加われば?
操るまでいかなくても悪魔の囁きのように、そうだ、メルとて悪魔なのだ。
同じ悪魔なら囁けぬ道理は……ない?
…………パキィン!
―――――――ハーメルンの笛吹きはまだ成長する。
透明なガラスが割れるような音がして、俺の中の悪魔が俺にそうささやいた。
“これ”を試し終わったらネギを買って帰るとしよう。
【上田明也の探偵倶楽部23〜割と平和な日もあって〜fin】
61 :
最終兵器彼女 ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/08(火) 15:52:45.31 ID:WpzBWIa90
−−−−−−その、瞬間
「ーーーーーーーーーーっ!!??」
ぞくり
上田は、全身に悪寒を感じた
「笛吹さん、どしたの?」
「……奴が……奴が、来る……!」
「奴??」
迫ってくる
奴が、迫ってくる
その気配を、確かに感じたのだ
どこだ?
どこから来る?
視線を彷徨わせた、直後
それは、どこからともなく、やってきた
「はぁう……っ、ね、猫耳かぁいい……っ!!お、おおおおおお、お持ち帰りぃいいいいいい!!!!!!!」
「みぎゃあああああああああああああ!!??」
逃げ出そうとしたが、もう遅い
すでに、上田は彼女の射程圏内に入ってしまっている
62 :
最終兵器彼女 ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/08(火) 15:53:41.54 ID:WpzBWIa90
目にも止まらぬスピード
都市伝説に頼らずとも、都市伝説と戦えるだけの身体能力で、一瞬で間を詰めてくる
っひょい、と
決して小柄ではない上田の体が……あっさりと、持ちあげられた
そのまま、連れ去られる!
「みゃーーーーーーっ!?」
「う、笛吹さーーーんっ!?」
「っちょ、エリカさーーーーんっ!?」
友と…上田を連れ去った女性に反応した翼が、止める間もなく
最終兵器彼女、玄宗 エリカが、上田をいずこかへと運んでいってしまったのだった
「直希、お前の姉がまた何かやらかしたみたいだぞ?」
「はて、僕には何も見えないが。マステマと一緒にデートしているはずの姉さんがここにいるはずあるまい。いたとしたら、あのヘタレ堕天使、いい加減姉さんの手綱を握れるようになれと言うのだ」
明らかに、自らの姉がやらかしたその光景の前に
直希は、ノンストップで料理を食べつつ、全力で知らん振りを決め込んだのだった
おわれ
63 :
はないちもんめ ◇ijXVtdIY/Y (代理):2010/06/08(火) 15:55:10.97 ID:WpzBWIa90
笛吹が拉致られてた頃
「イアイア!クトゥルry」
スゥっと柏餅の一つが姿を消した
「やっぱり・・・鏡の中に封印すれば対応は可能みたいね・・・」
「その手があったか!」
「でかした詩織!!」
「はっはっは褒めなさい称えなさい!「詩織・・・詩織」ん?」
「鏡から煙が漏れてる」
「なん・・・だと・・・?」
詩織が慌てて鏡を投げ捨てると中から柏餅が飛び出した
し
65 :
はないちもんめ ◇ijXVtdIY/Y (代理):2010/06/08(火) 15:56:00.22 ID:WpzBWIa90
「バカな!?私の鏡から抜け出すなんて!?」
「・・・そんなに強力なのか?
あの鏡」
「詩織の鏡は入れてしまえばマ神すら封印可能よ・・・理論上は」
あの柏餅はマ神をも超越したと言うのか・・・あら?
「大樹さん大樹さん」
「はい?」
「スモチは・・・じゃない、あの柏餅・・・何か光ってない?」
「言われて見れば光ってますね・・・何と言うかこう・・・うっすらピンクに」
ピンクの光・・・?
ここの場にいたほぼ全員が嫌そうな顔をする
66 :
はないちもんめ ◇ijXVtdIY/Y (代理):2010/06/08(火) 15:57:16.94 ID:WpzBWIa90
「詩織・・・どう言う事かしら?」
「望・・・鏡の中から・・・兄貴の霊圧・・・じゃない気配が消えた」
「なん・・・だと・・・?」
その言葉に皆の視線が柏餅に向かう
「・・・・・・ケフッ」
・
・
・
・
・
・
「え、何?!どゆこと!?」
「食った!?コイツ兄貴食った!?」
「やべぇぞ?!どうやって収集つけるんだコレ?!」
「ウホッ、良い柏餅「言ってる場合かぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
「イア!イア!マッソォッ!!」
「何か変な言葉発してるぅぅぅぅぅっ!?」
「って言うか飛んだぁぁぁぁぁぁぁ?!」
2010年春・・・世界は静かに世紀末に向かって「そんな結末認められるかぁぁぁぁぁ!!」餅に包まれようとしていた
さて、どうするよ・・・これ
67 :
笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/06/08(火) 15:58:06.88 ID:WpzBWIa90
【とある上田の化物狩猟〜もしくは花見の馬鹿騒ぎ〜】
「――――――ッ!」
俺は気づくと美しい女性に拉致されていた。
「おっぉぉぉお持ち帰りいいいいいいい!あぅ!」
お持ち帰り?
拉致監禁未遂の間違いである。
「ところでお姉さん。」
「どうしたんだい猫耳お兄さん。」
「俺、一応彼女が居る身なんですよ。」
「そうなの?私も彼氏居るよ!」
「そうなんですか、それならこういうことをするのはあまり良くないと思うのですよね。
ほら、浮気とかしているみたいでダメじゃないですか。」
「猫耳男子は可愛いから何をしてもゆるされるんだよ!」
この場合、猫耳男子が何をしても許されるのではない。
猫耳男子“に”何をしても許されるのだ。
「成る程ー、そうなんですか。」
日本語が通じないんですね、解ります。
……どうしたものだろうか。
俺は真剣に頭を抱えた。
まあすでに抱えられてるんだけどね!
68 :
笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/06/08(火) 15:59:17.46 ID:WpzBWIa90
「じゃあお姉さん、俺が猫耳を外したら開放してくれますか?」
「ダメダメ、猫耳がつけたくなるまで再教育してあげちゃうんだから!」
成る程、平和的解決は無理らしい。
「ところでさっきの話に戻りますけどね。」
「なあに?」
「いや、俺の彼女って割と古風な性質でして、
俺が他の女と歩いていた日にはもう恐ろしいことになるんですよ。」
「ふぅーん……。」
「ですからお互いの命の為に可及的速やかに俺を開放して頂きたいのですが……。」
「ダメ。」
俺は小さくため息をした。
そして少し息を吸い込んで学校町の空に向けて叫ぶ。
「うぇぇぇぇええええええええん!
助けて明日いいいいいいいいいいいい!!!
助けてえええええええええええええ!
なんか怖いお姉さんに掠われたああああああああ!」
俺は恥も見栄も外聞もなく助けを呼んだ。
この女から平和的に逃げるには彼女の力を借りるしかないようだ。
69 :
笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/06/08(火) 16:00:18.54 ID:WpzBWIa90
三秒後。
建築中の巨大なビルが俺と謎の女性に向けて真っ直ぐに飛んでくる。
いつ見てもすがすがしいぐらいの破壊力だ。
「ちょっと委員長!何が起こっているの!?」
「説明は後だ!助けて明日お姉ちゃん!」
「いやどう見てもこれって、……えええええええええ!?
そもそも何その猫耳!正直引いた!」
「ダメだよ!お持ち帰りの邪魔はさせないんだから!
ていうかこの猫耳の良さが解らないの!?」
空を飛ぶお持ち帰り女、玄宗エリカの前には
我らが学校町立小学校六年B組副委員長、明日晶が立っていた。
「まあとりあえず委員長は放してもらうよ。この後色々用事があるんでね。」
明日晶が指をクイッと動かす。
すると俺の身体が思い切りよく明日の方に引っ張り出された。
「あああああ!猫耳青年がッ!」
「くそ、何なんだこの変態は……!」
「私のお持ち帰りを邪魔するなんて許さないんだから!」
「ええい、こうなったらままよ!委員長は私が守る!」
次の瞬間、
「人間の集中力は三分間が限界」の契約者『明日晶』と
「???」の契約者『玄宗エリカ』は空中で妖怪大戦争を始めていた。
70 :
笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/06/08(火) 16:04:07.32 ID:WpzBWIa90
「つぶれちゃえ!」
「そんな攻撃当たらないよ!」
明日がビルを振り回すとエリカはそれを軽々と回避する。その後にビルの一部が爆砕した。
少なくともあのビル、俺には視認できないスピードだったのだが……。
今の一瞬で何が起きたのか俺はまったく理解出来なかった。
しかも俺の目の前ではこのようなやりとりが一分間ほど続けられていたのである。
つくづく規格外な奴らだ。
「――――――――今回のはそれが狙いさ!」
「あれっ、普段ならこんな失敗はキャー!」
躱され、分解されたかに見えた巨大ビルがあっという間に鉄筋とコンクリートに分解されて姿を変える。
それらはお持ち帰り女を中心に巨大な球体を形成して彼女を閉じ込めた。
「コンクリートで包み込んだ後に鉄筋を使って無理矢理縛り付けた。
んまあしばらくは出てこれないでしょう?」
「久しぶりに見たがそのサイキネシスは反則だなあ……。」
「良いから行くよ、どうせすぐに出てくるんだから。
その妙な猫耳も外して!」
「あう……。」
俺は明日姉のおかげでなんとか危機を脱することに成功したのである。
とりあえず俺は大混乱に陥った花見会場に急行することにした。
「友!大丈夫か!」
「笛吹さん、事態はさっきより酷いことになってるよ!」
「くっそおおおおおおおお!!!」
「それと笛吹さん、その頭の中がお花畑になってる人は誰?」
「ふん、元・彼女だ!」
「えへへ〜、蝶だー!綺麗だな〜!」
俺の後ろには年甲斐もなく蝶々を追っかけ回している女性が居た。
明日晶である。
彼女は能力を使った後は脳にわりと深刻なダメージが残りいつもこんな状態になってしまうのだ。
「あ、お餅だぁ!食べちゃえ!」
「やめろ晶ァ!」
「危ないそこの人!」
「ガハッ!」
偶然飛んできた餅を明日晶が口にしてしまった。
このままでは恐らく命も危ない。
「おい死ぬな!晶!お前にはまだ言っていないことがあるんだ!」
「えへへ、知っていたよ、でも良いんだ……。
だってほら、委員長が居て今私はこんなにも幸せで……、ああ、でもさあ、弟によろしく言っておいてよ。
あいつなんだかんだで私が居ないとダメ、で……ガクリ。」
「アキラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
力なく倒れる明日晶、俺の絶望の叫びが公園に木霊した。
72 :
笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/06/08(火) 16:13:19.39 ID:WpzBWIa90
「友、晶を頼めるか?この携帯でサンジェルマンって奴に電話してくれ!
薬を調合してくれるはずだ!」
「え、ええええ!?別に良いけど何故にジョジョ立ち!?」
「許せねえ、許せねえよ。
この公園も
この桜の木も
美しい風景も餅になっちまった
あの学校町がよ
今じゃ餅と同意語だ。
俺は学校町なんて嫌いだ
古くせえ街だと思ったよ
俺にゃぜんぜん似合わねえ町だと思ったよ
でもな、俺達が週末にくり出して行ってたコンビニはカルピスが冷えててうまかったし
バイトの兄ちゃんもくっだらねえ下ネタが大好きなバカな奴でさ
クラスの女子はブスも多かったけど
でもな、みんな優しかったし、みんな綺麗な目の奴ばっかりでよ
南区の定食屋のバアさんは、俺頼んでもねーのに俺が行くとカレーををいつも勝手に大盛りにしやがる
俺が学生だからっつって、名物だつって、毎度毎度、俺、アレ、甘すぎて食えないっつってんのに、バアさんに悪いから、毎度無理に食うのがつらくてさ
俺は学校町なんか嫌いだ
でもな、あいつらは、バイトの兄ちゃんや女子達やバアさんはこの花見とやらと何の関係もねえ
花見も モチも 都市伝説も 何も関係がねえ
ドへた料理って奴も 嫁の飯が不味いってのも 最後の親子げんかも
俺達笛吹探偵事務所は
知ったこっちゃなかった
でもあいつらは今、餅ですらない何かを食わされ苦しんでいる
それが俺には勘弁ならねえ
友、仇討ちしようぜ やっちまおう あいつら、やっちまおうぜ」
俺はそれだけ呟くと、並み居る餅の群れに突貫した。
一滴の涙に気づくほどの心の余裕は、その時の俺にはきっと無かった。
支援
にゅ
「笛吹丁、この戦いに助太刀させてもらう!」
「なんじゃ兄ちゃん!」
「オッさん達、俺も手伝うぜ!」
「なんかよく知らんがありがとうよ!」
とりあえず銃火器をぶっぱなしているおっさんや黒服とおぼしき人々に助太刀することにした。
手持ちのMP-7で餅たちを正確に撃ち抜く。
まずは小手調べだ。
ダメだ。もちもちしてるからダメージがない。
火炎放射器に持ち替えて餅を焼却することにした。
おめでとう、餅はバーニング餅に進化した!
事態は酷くなる一方である。
とにかく手持ちの武器をすべて使ってこいつらをぶっ殺す。
明日の仇は、俺が取るのだ。
76 :
笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2010/06/08(火) 16:23:06.67 ID:WpzBWIa90
懲りずに服の中に隠していたありとあらゆる銃器を取り出して乱射する。
やはり銃撃は効果が薄い。
まずは子供達を逃がすところから始めよう。
ハーメルンの笛吹きの能力を使って子供達を安全な場所に待避させることにした。
ルートを調整して追ってくる餅達を一本道に誘い込む。
「小便はすませたか?」
大量のネズミを呼び出して餅を食わせる。
「神様にお祈りは?」
服の下に隠していたRPG-7を手早く取り出す。
「部屋のスミでガタガタふるえて命ごいをする心の準備はOK?」
手榴弾のピンを外す。
目の前に広がるのは仮死我喪血の群れ。
俺が戦う覚悟を決めた瞬間、それらは合体を始めた。
「キング仮死我喪血……だと!?だがここは通さねええ!」
良いぜ。やってやるよ。
俺は煙草を一本吸い終わるとキング仮死我喪血にRPG7を撃ち込み始めた。
【とある上田の化物狩猟〜もしくは花見の馬鹿騒ぎ〜】
77 :
八尺様の人 ◇DkTJZY1IGo (代理):2010/06/08(火) 16:27:38.30 ID:WpzBWIa90
今。ここに生まれし新たなる化け物。
そのあまりにも不吉な気配に
祟り神としての全力で警告を促している。
「これは……なんとかせんと不味い!」
八尺様は意を決して、桜の咲き誇る「道」の中央に陣取る。
「道に隣り合う白線の異界。早速使う事になるとは……」
そして歌いだした。
「通りゃんせ通りゃんせ」「ここはどこの細通じゃ」
道を中心として白線の異界が広がっていく。
「天神さまの細道じゃ」「ちっと通して下しゃんせ」
「御用のないもの通しゃせぬ」
御用の無いもの……
すなわち、契約者でも都市伝説でもなければ霊感も無い
戦う意思の無い普通の人間が
この場合の用の無いものだ。
「この子の七つのお祝いに」「お札を納めに参ります」
「行きはよいよい 帰りはこわい」「こわいながらも」
「通りゃんせ 通りゃんせ」
異界が展開される。
契約者や都市伝説を巻き込んでしまうが……
この中ではいくら暴れても現実には影響が無い。
白線を境にした、契約者と都市伝説と特別な人間以外が居ない異界だ。
ここでなら、他の契約者たちが派手に暴れても大丈夫だ。
「いくらなんでも今の世でここまで派手に騒ぎが広がるのは不味かろう」
つづく?
しえ
79 :
化死窪喪血の鳴く頃に 覇気殺し編 ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/08(火) 16:32:19.16 ID:WpzBWIa90
広がるカオス、阿鼻叫喚
それらを、前に
「くっかかかかか、人の身であのようなものを生み出すとは…さすが、翼の母親よ」
平気で笑っている祟り神がいた
「首塚」首領 平将門である
「うー!すごいー!うーうー!」
きゃっきゃっ、とその将門の傍らで、コアラの絵が描かれたお菓子をもったちみっこも笑っていたりする
…何故、ここは平和なのか?
あえて言うならば、ここには化死窪喪血が、近づいてこないからだ
……何故、近づいてこないか?
それは、将門の霊圧に、化死窪喪血が恐怖を感じて、近づかないからだ
「笑っている場合ですか…そろそろ何とかしないと、不味いでしょう」
はぁ、とため息をつく盟主
なお、盟主も(小言を言うために)将門の傍にいるので、化死窪喪血の被害はこうむっていない
「ふむ、そうだな……では」
杯を、一度下ろして
将門は、蠢く化死窪喪血を……睨みつけた
将門と同様、ほぼ、この被害を受けていない男がいた
朝比奈 秀雄だ
80 :
化死窪喪血の鳴く頃に 覇気殺し編 ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/08(火) 16:37:22.51 ID:WpzBWIa90
何度か、化死窪喪地が彼に近づこうとしているのだが……ギロリ、一睨みされただけで、逃げていく
かつて、大量の黄金伝説の従えた男の覇気に、化死窪喪血は恐怖を感じたのだ
…とまれ
秀雄は、このばか騒ぎに加わる気はなかった
己の妻が原因ではあるが、彼女の手料理で都市伝説が何人消滅しようと、彼は気に止めない
……都市伝説嫌いが、治った訳ではないのだ
が
しかし
「………」
彼の、視界の先で
迫り来る化死窪喪血に、ぎゅう、と角の生えた兎を抱きかかえて、怯えている女性が一人
彼女を庇うように、黒髪を肩まで伸ばし、シルバーのピアスをつけた青年が化死窪喪血を牽制しているが、接近されるのは時間の問題
同時に
己の母親が原因のこれを、どうにかしようとしているのか
化死窪喪血を何とかしようとしている、翼の姿も目に入った
が、翼の契約都市伝説では、化死窪喪血を完全に倒せず…
「………」
…二人の子供の、危機を前に
秀雄を中心に………鋭い殺気が、広がった
将門の霊圧と
秀雄の殺気と覇気が、混ざり合って
81 :
化死窪喪血の鳴く頃に 覇気殺し編 ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/08(火) 16:42:24.57 ID:WpzBWIa90
「ルルイエ!?」
「イアクトヴグァ!?」
「ヒギィラメェ!?」
「レモンハオレノヨメー!?」
「コンヤアツスギルンダヨチクショォオオオオ!!!」
数体の、化死窪喪血が
恐怖におののき…………ぼたぼたと、活動を停止し、落ちた
「…さ、さすが将門公…」
「私達も、もの凄い悪寒を感じたけどね…」
望と詩織とノロイを、パワーストーンの結界で護っていた黒服
ようやく、事態が終結を見せて、ほっと息を吐いた
まだ、霊圧と覇気から零れ落ちたのか、少し化死窪喪血が残っていた、が
「さすが、将門様!」
翼が、将門に尊敬の眼差しを送り
それに、誠が強烈な嫉妬のオーラを発生させ
…そちらにやられて、落ちた
恐るべし、嫉妬心
祟り神の霊圧やかつて覇王になろうとした男の覇気に、負けてない
支援
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/08(火) 16:44:37.00 ID:vJpTTIBu0
84 :
化死窪喪血の鳴く頃に 覇気殺し編 ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/08(火) 16:47:19.84 ID:WpzBWIa90
…そんな嫉妬心爆発の男の隣で、平然と料理を食べ続けている直希は、肝が据わっているのか単に鈍いのか
とりあえず
「首塚」の花見会場の平和は、どうやら戻ったらしいのだった
同時刻
キング化死窪喪血を相手にしていた、上田
…が
何かが、それに触れた、瞬間
「−−−っ何!?」
キング化死窪喪血が…一瞬で、破壊された
その姿が粉みじんになって、それが姿を現す
「もう、びっくりしちゃった」
ポニーテールが、風に揺れる
明日 晶の能力によって閉じ込められていたはずの、エリカだ
一体、何をしたと言うのか、脱出してきたらしい
「大丈夫?怪我、してない?」
「いや、俺は大丈夫なんだが………晶が…」
「あ、さっきの子?なら、治してあげなくちゃね」
治す?
むぅ
86 :
化死窪喪血の鳴く頃に 覇気殺し編 ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/08(火) 16:50:27.02 ID:WpzBWIa90
あんな、猛毒を超えた禍々しい物体を口にしたのだ
サンジェルマンの薬でもないと…
「ん〜、それと。流石に、これも勿体無いわよね」
と、エリカは上田の様子に気付いた様子もなく
ひょい、とキング化死窪喪血のカケラを……左手で、拾い上げた
直後
彼女の左手が、光に包まれる
再び、驚愕する上田
エリカの手の中で………化死窪喪血は、普通の柏餅になっていた
「あー、柏餅だったのね。本来は食べ物になるはずだったんだろうな〜、ってのはわかったんだけど、何かまではわからなかったのよね」
「……お前、何者だ……?」
警戒する上田
閉じ込められたはずの状態から、脱出してきた事
キング化死窪喪血を、一瞬で破壊した事
そして…その禍々しい物体を、本来あるべき姿に戻した
間違いなく、都市伝説能力
しかし、一体、何の都市伝説だ?
「あら?前に名乗ったでしょ?………「追撃者」よ」
くすくすと、エリカは笑う
すぅ、と両腕を広げて見せた
87 :
化死窪喪血の鳴く頃に 覇気殺し編 ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/08(火) 16:51:30.03 ID:WpzBWIa90
「壊すも治すも、自由自在。それが、私が偶然手に入れた力なの」
一方の手は、創造と再生を
もう一方の手は、慈悲なき破壊を
それが、玄宗 エリカが契約した都市伝説の能力
マステマとの契約を拒む、人間が契約するには過ぎた力
「それで、晶ちゃんはどこにいるの?早く治してあげなくちゃ」
左手を掲げ、そう言うエリカ
…自分は、どうするべきか?
警戒すべき相手を前に、上田は判断を迫られるのだった
シリアスぶってるけど所詮ギャグですよと言いつつ続くかどうかわかんね
88 :
はないちもんめ ◇ijXVtdIY/Y (代理):2010/06/08(火) 16:52:33.12 ID:WpzBWIa90
「友、仇討ちしようぜ やっちまおう あいつら、やっちまおうぜ」
笛吹さんは・・・それだけ言うと戦場に飛び込んで行った
「・・・・・・うん、わかってる
わかってるよ、笛吹さん」
お姐さんを何とか抱え立ち上がり
「わかってる!!」
餅を睨みつけ
「でも、無理!!」
全速力で逃げた
89 :
はないちもんめ ◇ijXVtdIY/Y (代理):2010/06/08(火) 16:53:31.33 ID:WpzBWIa90
無理無理無理無理無理!
確かに私はギャグキャラですよ?
多少のダメージじゃ死にはしませんよ?
けどね!
死にはしないけど倒す事もできないの!
勝ち目無い!
逃げるが勝ち!!
と思ったが先回りされた
「JESUS(畜生) ザンッ !?」
餅がバラバラに切り裂かれた
「後ろの正面だぁれ?」
「影守?!」
「刀は効くな・・・ここは俺が抑えるから首塚の所にでも逃げろ
ハク!コン!」
影守の呼びかけに答えた二匹の狐が即座にその姿を鎧に変える
90 :
はないちもんめ ◇ijXVtdIY/Y (代理):2010/06/08(火) 16:54:37.66 ID:WpzBWIa90
「イア!イア!」
「ヒギィッ」
「チカラヌケヨ」
「アッー」
「五月蝿い!!餅が喋るな!!
この俺の眼前で兄貴が歩き餅が軍団を成し戦列を組み前進する
唯一の理法を外れ外道の法理をもって通過を企てるものを契約者が 組織が この俺が許しておけるものか
貴様らは震えながらではなく藁のように死ぬ!」
こうして影守と餅の戦いの幕が開いたが
友美以外に気づかれる事は無かったそうだ・・・
続かない
91 :
桜道によりくるは…… ◇DkTJZY1IGo (代理):2010/06/08(火) 16:55:57.83 ID:WpzBWIa90
騒動は、結界を展開してまもなく
ここに居る都市伝説と契約者にあっという間に鎮圧された。
まじめにやったのが馬鹿らしくなってくる。
「なんだかどっと疲れた……常識って何じゃろな……」
頭を抑えつつ結界を解除する。
まあ其れはともかくとして
一応、退治に協力してくれた同じ祟り神に挨拶に行くことにした。
霊力の大きさからしてさぞかし名の有る祟り神なのだろう。
そばに近寄り、思わず声を上げる。
「あっ……」
八尺様は、その帽子を取り優雅に一礼する。
「まさか貴方様までここにおられるとは……お会いできて光栄です。将門公」
朝廷に反逆した坂東を統治する新皇・将門。
さらされた平将門の首は、何ヶ月たっても朽ち落ちず
「私の五体を持ってこい。首をつなぎ、もう一戦しよう」と叫び続けたという。
なぜそこまで深い恨みを持ったのか。
その恐ろしい伝説とは反面、弱きものたちの代弁者だったからだ。
農民どもが一日泥にまみれ必死に働いて出来た糧を朝廷の権力者が、いとも当たり前のように奪っていく
戦いそして敗れたその無念と恨みたるやいかほどのものであっただろうか。
「私は有る村に封じられていた祟り神。人からは八尺と呼ばれております
狂騒とはいえ此度の助太刀、まことに感謝いたします。
権威に支配されぬ民衆の自由のために誇り高く戦い
そして死んだ貴方の行いと祟り神としての力を深く敬うものにございます」
つづく?
92 :
もげろへいたる道 ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/08(火) 16:56:39.68 ID:WpzBWIa90
化死窪喪血達が、覇気と霊圧によって、ぼたぼたと落ちていった
その、直後だった
「…影守さん?何をなさっているんですか?」
かけられた、声に
影守が振り返ると…そこには、弁当の包みを手にし、肩掛け鞄を下げた、広瀬 美緒の姿があった
今日は、仕事は休みなのだろうか
いつものキッチリしたスーツ姿ではなく、落ち着いた色合いのワンピース姿だ
「あぁ…ちょっと、問題がありまして」
「………また、都市伝説関連ですか?」
「…多分」
「半分は兄貴っぽいしねー」
ハクとコンが、鎧状態を解除した
そうですか……と、美緒はため息をつく
「本当…この街は、都市伝説関連の騒ぎが多すぎますね…」
「まったくです…ところで、広瀬さん。悪魔の囁きの騒動が終わってまだそんなに時間も経ってないのに、よく、休みが取れましたね」
「…上司に、休むように言われたんです……どうにも、あの髪の伸びる「組織」の黒服が、余計な手を回したようで」
俯く美緒
…あの黒服の正体に、かすかに気付きながらも
しかし、その真実を知ることを、拒絶する
真実を知ってしまったら
彼女の中の、何かが……壊れてしまうような
そんな、本能的な、恐怖
93 :
もげろへいたる道 ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/08(火) 16:57:37.74 ID:WpzBWIa90
それを、美緒は必死に覆い隠す
軽く首を振って、影守を見上げた
「影守さんは………お仕事、ですよね?」
「はい。これから報告に…」
「あ、それ、私たちに任せてください」
ハクの、その言葉に
え?と影守とコンが、首を傾げた
「せっかくの花見会場なんですから。あなたは、ゆっくりお花見でもしていたらどうです?」
「え?…いや、俺は」
「それに…」
ちらり
ハクが、美緒の持っている弁当の包みに視線をやった
彼女の意図に気付いたコンが、続ける
「あぁ、そちらのお姉さん。一人分にしては随分、量を作りすぎちゃったみたいだしねぇ?一人じゃ食べきれないよね?」
「……っ」
コンの指摘に
ぴくり、美緒の体が、かすかに跳ねた
…そう
美緒が持っている弁当の包みは、女性一人分の量にしては、やけに多い
……もしかしたら、と
彼女が、期待していたかもしれない、その証だ
94 :
もげろへいたる道 ◇nBXmJajMvU (転載):2010/06/08(火) 16:58:38.30 ID:WpzBWIa90
「な、何のことですか?おかしな事を言わないでください。訴えますよ?そして、勝ちますよ?」
慌てた様子の美緒
珍しく、感情が表に出ている彼女の様子に、ハクとコンがニヤニヤ笑う
「二人とも、何を言っているんだ?」
…そして
美緒の、そんなあからさまな様子に、まだ気付いていない男が一人
ニヤニヤニヤニヤ
ハクとコンが、ますます笑う
「それじゃ、ごゆっくり〜」
「あ、帰り遅くなりそうになったら連絡してくださいね。こちらの夕食どうなるかも、それで決まります」
「っちょ、二人とも…」
さっさと、影守と美緒を置いて行ってしまうハクとコン
やれやれ、と影守はため息をついた
「すみません、2人がおかしな事を言って」
「い、いえ……あなたのせいでは、ありませんから」
影守とまともに顔を合わせられないのか、俯く美緒
その様子に、彼女の機嫌を損ねてしまったかと、影守は困ったような表情を浮かべたのだった
リア充はもげろと言いつつ終われ
95 :
ある死体の独白 ◇kemono..Qk (代理):2010/06/08(火) 16:59:38.60 ID:WpzBWIa90
みなさんこんにちは。死体です。
ああ大丈夫、怖がらないでください。別に人に危害を加えるつもりはありませんから。
私は『桜の木の下に死体が埋まっている』って奴でして、ただここで埋まってるだけなんで、はい。
さて、今年も花見は盛況のようですね。
上の方から賑やかな声が聞こえてきます。
一時期は異常気象とか言われてましたけど、こうやって立派に咲いてくれてよかったです。
長年埋まってた甲斐があったってもんですよ。
実を言いますと、私が埋まってるこの桜には少々自信がありましてね。
そんじょそこらの桜なんざには負けない美しさだと自負してるんですよ。
やめて!私のために争わないで!ってな具合で、毎年この桜を巡って熾烈な場所取りが行われてまして。
いやあ、美しいって罪ですね。
それにしても、今年はやけに賑やかですね。
どんちゃん騒ぎも花見の醍醐味ではあるんですが、いささか賑やか過ぎませんかね。
あんまりはしゃぎすぎて桜が傷つかなきゃ「イアイア」んですが。
…ん?誰か何か言いました?
気のせいですかね、こんな地中に私に話しかける物なん「パパコワイヨォォォ」るはずが…
…なんですかこれ?モグラの一種ですか?
長年ここに埋まってましたが、こんなもの見るのは初めt「イタダキマァス」ゾリッ
……く、喰われたああああああああ!!!!??!?!「ノリトイキオイデエエエェェェ!!!」
いや飲み込まれジュウッ!!?ちょ、ちょっと待ザリッ!!!私が消ガリッら桜が……
や……クチャッ……やめ…メシッ……助け…………だr……ゴリッ……パキッ…………グチッ……
……………ゲプッ
一本の桜の木が淡いピンク色に輝いていた気がするが、多分気のせいだと思う。
続いてたまるか。
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/08(火) 17:00:36.88 ID:WpzBWIa90
代理投下終了ー!
続けて、代理投下中にこっそりと書いていたネタを投下しますが、構いませんねっ!?
97 :
化死窪喪血の鳴く頃に もっさり編 ◆nBXmJajMvU :2010/06/08(火) 17:05:36.30 ID:WpzBWIa90
エニグマ妹が、エニグマ姉から意味不明の暗号を受け取っていた時
一体、彼女たちの身に、何が起きていたかというと…
「っな、何でありますか、これは!?」
「わたしにきくなー。わかりたくないー」
「?生き物、ですか?」
彼女達の、前にも
化死窪喪血が、姿を現しいたのだ
しかも!
l^丶
| '゙''"'''゙ y-―, あ ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるう
ミ ´ ∀ ` ,:'
(丶 (丶 ミ いあ いあ!
(( ミ ;': ハ,_,ハ ハ,_,ハ
;: ミ ';´∀`'; ';´∀`';, ,
`:; ,:' c c.ミ' c c.ミ
U"゙'''~"^'丶) u''゙"J u''゙"J
途中で、何があったのか不明だが
すっかりと、別の何かへとクラスチェンジを遂げていた
何か、もさもさしているし、踊ってるし
と、言うか、楽しげに歌ってるけど、明らかに口にするのがヤバイ内容に思えなくもない
むしろ、どう聞いても邪神召還です、ありがとうございました
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/08(火) 17:07:10.65 ID:dwD5eZYi0
99 :
化死窪喪血の鳴く頃に もっさり編 ◆nBXmJajMvU :2010/06/08(火) 17:09:50.08 ID:WpzBWIa90
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,―-y'"'~"゙´ | それ るるいえ うがふなぐる ふたぐん
ヽ ´ ∀ ` ゙':
ミ .,/) 、/) いあ いあ!
゙, "' ´''ミ ハ,_,ハ ハ,_,ハ
(( ミ ;:' ,:' ´∀`'; ,:' ´∀`';
'; 彡 :: っ ,っ :: っ ,っ
(/~"゙''´~"U ι''"゙''u ι''"゙''u
「…って、のんびり観察している場合じゃないであります!何か、関わったらロクでもない事が起こりそうな予感がするであります!!」
「すでに、これとそうぐうしたじてんでロクでもないことになってるー」
これ以上、関わるな
彼女達の本能が、それを告げてくる
がし!
がし!!
エニグマ姉と沙々耶は、ウィンチェスターの少女の手を取り、走り出した!!!
「イアイアハスター」
「ヨーシ、オニイチャンハリキッテオイカケチャウゾー」
「お、追いかけてきたでありますーーーっ!?」
「捕まる、危ない、ですか??」
「ぜったい、ロクでもないことになるー!にげろーー!!」
全力で逃げる少女達
この時、姉が妹へと送った電波が、あの意味不明な暗号電波だったのだが
現場を見ている者にしか、その真相はわからないだろう 続く予定はない
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/08(火) 17:10:47.39 ID:WpzBWIa90
三面鏡の人に焼き土下座!!!!orz
エニグマ姉から妹へ送られた意味不明の暗号電波って何だったんだろう、って考えていたらこうなった
正直反省している
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/08(火) 17:20:37.47 ID:WpzBWIa90
みー
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/08(火) 17:31:30.31 ID:WpzBWIa90
非といなくて不安だが、夕食つくりのため離脱
晩御飯食べ終わった後もスレが残っていてくれれば幸せだ
>>83のスレの者ですが
このリンクはVIPに出張した際、
性質の悪い荒らしに引っ掛かって拡散しちゅった物なので、スルーして頂けると有り難いです
申し訳無い………以上、スレ汚し済みませんでした
にゃ
る
ら
ホ
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/08(火) 18:58:54.85 ID:8PkfBu9o0
と
スレ立て及び、諸々乙です
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/08(火) 19:23:41.73 ID:cQViIrUZQ
ほ
ほ
て
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/08(火) 19:56:29.34 ID:EfRLsBAS0
ネタ構想しながらほ
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/08(火) 20:15:17.24 ID:EfRLsBAS0
どのくらいの間隔で保守すりゃいいもんだべほ
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/08(火) 20:30:37.39 ID:EfRLsBAS0
避難所
>>402 ラジャなんだぜ!
お気になさらずなんだぜ!!
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/08(火) 20:46:24.73 ID:EfRLsBAS0
うー
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/08(火) 21:04:16.72 ID:EfRLsBAS0
人いねぇ!
いるさ!
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/08(火) 21:09:20.99 ID:XoZhK8py0
花見ネタ書いてたらイチャイチャしだしたからカッとなって保存せず消しちまった…
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/08(火) 21:10:42.58 ID:EfRLsBAS0
>>118 もったいねぇえええええええええええええええええええええええええ
人ではないモノが!
途中で書き込んじゃた
>>117 人ではないモノが…!
そういえば花見は餅が収まっただけで
花見じたいはまだ続いてるのか
昼間からあの騒ぎじゃ時間が経つとどうなるか分からんや
122 :
首塚組織の憂鬱 ◆nBXmJajMvU :2010/06/08(火) 21:27:43.84 ID:EfRLsBAS0
「…ほぅ、八尺、とな?」
目の前に現れた、白いワンピースを纏った長身の女性
名乗ったその名前に、将門は面白いものでも見るように、笑みを浮かべた
「うー!僕知ってるー!八尺様、祟り神ー!うーうー!」
「っぽ、ぽぽ……よく知っておるの」
「うー!僕、褒められたー!」
うーうー
八尺様に褒められ、将門の傍らにいた少年、幸太が無邪気に笑う
そんな幸太の頭を、将門はわしわしと撫でてやった
うーうーうー、と幸太はご機嫌だ
「…なるほど、我らと同じ、祟り神か」
…将門は、日本に存在する祟り神達と、それなりの付き合いがある
年に何度か、祟り神が集まっての話し合いや近況報告…………と、言う名目の飲み会があるからだ
いや、主催している道真は本当に話し合いや近況報告だけをやりたいのかもしれないが、何分、集まる祟り神は一癖も二癖もある者が多いのだから、仕方ある舞
……とまれ
そのような付き合いがあるのだから、日本に存在する祟り神の事は、大体知っている
顔をあわせる機会こそなけれども、情報が入ってくるのだ
八尺様の事も、詳しくは聞いていないが、ある程度は知っている
「どこぞの村に封印されていたと聞いていたが……なるほど、流石は学校町。そのような存在すらも引き寄せるか」
「笑い事ではないでしょう」
楽しげな将門の様子に、深々とため息をつく盟主
…ちなみに、何故、小言を言った後も、盟主が将門の傍にいるか?
単純なことである
123 :
首塚組織の憂鬱 ◆nBXmJajMvU :2010/06/08(火) 21:29:37.60 ID:EfRLsBAS0
将門が、盟主でも飲食できる儀式済の飲食物を持ってきていたからだ
それが狙いで、ここに留まっているだけのことである
「…楽にするが良い。お前の言う通り、我は将門。「首塚」に祭られし祟り神である」
ちゃぷり
杯の酒を揺らし、将門は楽しげに、楽しげに、笑う
「「首塚」に害なす者でなければ、敵対するつもりはない」
つ、と
そのまま、杯を八尺様に、差し出した
「我らに敵意がないならば、その存在、歓迎しよう」
「かんげーしよー!うー!」
将門の言葉を繰り返し、幸太も笑う
す、と、幸太は将門の真似をして、コアラのお菓子を差し出した
「これは…?」
「幸せ、お裾分けー!うーうー!」
首を傾げた、八尺様に
幸太はただ、無邪気に笑って見せたのだった
続くかどうかはわからない
124 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/08(火) 21:30:23.71 ID:EfRLsBAS0
八尺様の人に焼き土下座!!orz
八尺様のイメージを壊さないよう頑張ってみたよ!
八尺様の口調とか間違っていたら申し訳ないorz
125 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/08(火) 21:46:13.76 ID:EfRLsBAS0
にゃー
126 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/08(火) 22:01:17.39 ID:EfRLsBAS0
今夜十二もう一個は投下したいほ
127 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/08(火) 22:11:43.18 ID:8PkfBu9o0
乙でしたー。
うん、《八尺様》の《将門》へのイメージが壊されていない様で安心した!!
にしても、《祟り神》の集会とは……アレ? 禍々しいのを想像し様としたけど出来ねぇ。
主催者が主催者だからかね。
で、今度はこっちが投下するーー。
128 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/08(火) 22:12:55.53 ID:EfRLsBAS0
wktk支援
129 :
彷徨うみさき ◆caHoDnkdag :2010/06/08(火) 22:14:29.52 ID:8PkfBu9o0
「本日、集まって貰ったのは他でもない。資料は渡っているか?」
暗い暗い部屋の中で、数人の男女が丸いテーブルに座って居る。
その全員の前に、発言者が持っているのと同じ資料――《七人みさき》に関する報告書――が置かれている。
それを確認し、次の話しに進めた。
「今回の議題は、この《七人みさき》の契約者だ。資料を読んだのなら分ってるだろうが。
どうやらこの女は、殺害した相手を取り込む事で、配下にし使役したり、そのままエネルギーとする事が出来るらしい」
「興味深い能力ですね。大規模な破壊も出来る様ですし、使役する対象も強弱に関係ないっぽいし」
「殺した相手を取り込むんなら、戦闘中にガス欠に成る事も無いよね!」
反応した2人だけで無く、この場に居る全ての存在が《七人みさき》の契約者に対しての関心を抱いていた。
何故ならば、此処に居る契約者と黒服の全員が、ナンバーの枠組みを超えて集まった異端者達だからである。
如何言う事かと言うと、知識欲や闘争心だけで無く、正義感が強過ぎて元々のナンバーから、爪弾きにされているのだ。
だと言うのに、彼らの団結力は決して低くは無い。
130 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/08(火) 22:15:09.64 ID:EfRLsBAS0
みさきちゃん支援
131 :
彷徨うみさき ◆caHoDnkdag :2010/06/08(火) 22:16:09.71 ID:8PkfBu9o0
「ならば、接触してみようか。なぁに、正義の、世の為になると交渉すれば、大丈夫だろう」
「良く言いますね。応じなければ、実験体として回収する積もりでしょう」
「当り前だろう? 正義を分らぬモノには、平和の為の礎としての役割しか存在せんさ。
そうだ、この世に在る全ては平和への贄と成る事が、何よりも幸福なのだ」
その考えは、間違いなく善性を根源としているだろう。しかし、あまりにも狂い過ぎている。
正義の平和の為ならば、どんな犠牲も払って構わないと言っているのだ。そして、それを普通に受け止められている。
ここに集まった7人は、方向性の違いは有れど、いかれている事に違いは無いのだから。
「で、誰が行くんだ? 全員って訳にゃ、いかねぇだろ」
「それならば、既に決めている。私と、貴様と貴女と君の4人だ。
もっとも、私は直接に相対する訳じゃ無いがな」
「へぇ。そう言う作戦なんだ」
仕切っていたリーダー格の男性が指差した人員を確認すると、それから外れていた1人の女黒服が、何をするか気付いたらしい。
その顔には、面白い事が起こりそうだと言う表情が浮かんでいる。
132 :
彷徨うみさき ◆caHoDnkdag :2010/06/08(火) 22:16:56.17 ID:8PkfBu9o0
「ん? 如何言う事なの、おねーさん」
「詳しい事は、後で説明するさ。ただ、君には期待している。
もしかしたら、君の都市伝説は《七人みさき》にとって、鬼門かも知れないからな」
「おぉ!! 僕の友達が大活躍出来るんだね! 頑張るぞー」
ただ、指された内の1人である子供は、作戦の内容を理解できなかった様らしい。
その内容を女黒服に尋ねるが、彼女が答える前にリーダー格の男が期待を告げ、それを聞いて子供は声を上げてヤル気を出す。
「では、今回はこれで解散としよう。《七人みさき》を確認次第、追って連絡する」
リーダー格の男は、そう言うと取り出した機械を操作した。すると、その場の全員の携帯に着信があり。
そのまま1人残らず、姿を消した。
133 :
彷徨うみさき ◆caHoDnkdag :2010/06/08(火) 22:18:36.45 ID:8PkfBu9o0
そんな計画が立てられている事など、知る筈も無い《七人みさき》の契約者美咲はいつも通りにしている。
そう。いつも通りに、………襲ってきた都市伝説を撃退している。
戦闘に出せて、修復が済んでいたのはテケテケ≠セけだったが、相手も《口裂け女》が1体だけだったので、何とか成っているらしい。
134 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/08(火) 22:18:44.10 ID:EfRLsBAS0
しぇーーーーん
135 :
彷徨うみさき ◆caHoDnkdag :2010/06/08(火) 22:20:15.20 ID:8PkfBu9o0
(はぁ。何だったんでしょうか? あの人は)
(ん。この間の男の事かい? ただの、お人好しだろうよ。気にする事無いだろうさ)
(な事は、分ってるよ。気に成るのは如何して、あそこまで優しく在れるのかって事だ)
(自慢じゃないが、ボク達はかなり多くの存在を、人間・都市伝説を問わずに吸収している)
(だけどさ〜。あんなに優しいのって1つも居ないし、普通じゃ無いって)
(あれは、異常)
しかし、この状況で美咲いや、《七人みさき》の7人の頭を占めるのは、先日に出会った青年の事だった。
その事に気付いた鬼女≠ェ、何故、美咲達がそこまで青年の事を引きずっている事に、疑問を言う。
それに対して、自分達の感じた青年の異常さを口に出す。
そんな、会話の裏では、
136 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/08(火) 22:20:51.76 ID:EfRLsBAS0
あいつは異常な程優しいですから支援
137 :
彷徨うみさき ◆caHoDnkdag :2010/06/08(火) 22:21:42.55 ID:8PkfBu9o0
「イヤッハー!! あたいの鋏捌きの前には、敵うモノ無ーし」
「っちょ、何コイツ?! 下半身が無いのに、動きが縦横無尽過ぎ――――――」
「フィーーーーニッシュ」
テケテケ≠ェ必要以上に派手なテンションで、《口裂け女》を倒していた。
「終わったよーーーーーーー!!」
「あ、そうですか。じゃあ、さっそく取り込みますね。ちょうど、良かったですかね」
大声で、戦闘の終了を伝えるテケテケ≠ニ《口裂け女》を取り込む美咲。
襲ってきたのが《口裂け女》だったのは、ラッキーだったと言える。同じ都市伝説の方が修復が早くなるのだ。
これで、口裂け女≠呼び出せる様になる時間が、近づいたと思われる。
「では! あたいは、これにて退散させて貰います」
「ご苦労様でした」
138 :
彷徨うみさき ◆caHoDnkdag :2010/06/08(火) 22:22:24.37 ID:8PkfBu9o0
と、吸収が終りかけた時、不意にこんな考えが湧いてきた。
(そうだ。あの人を取り込めば解るのかな? 如何して、あそこまで優しく在れるのかを)
続く
139 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/08(火) 22:22:46.80 ID:EfRLsBAS0
ハイテンションテケテケ支援
140 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/08(火) 22:30:56.68 ID:EfRLsBAS0
っと、7人みさきの人乙ー!!
あれ?ダレン狙われた?wwwwwww
ダレン「いいよ、僕を取り込んで、君が救われるのならば」
ディラン「だ、だだ、駄目だよぉ、ダレン。そんな事言わないで…」
ジブリル「マジでやめろ、この究極お人好し。お前は俺達の希望なんだから………それと、お前を取り込んだら、お前をとりこんだ奴が危ない」
ダレンならガチでこう言いそうだから困る
141 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/08(火) 22:36:49.97 ID:8PkfBu9o0
はい! 美咲を襲撃に行く組織の集団と、狙われる側である美咲の話でした。
襲撃組のナンバーを如何しようかと考えてたら、いっその事混合しちゃえば良いんじゃねと思い付きこう言う事になりました。
色んなナンバーから、疎遠に扱われている連中の集まりですね。
リーダー格の能力は、解る人は解るかも知れませね。ヒントは、彼らが集まっていた場所は異空間だと言う事ですかね。
そんでもって、美咲side
例の出会いから、ほんの少し経ったぐらいの日の出来事です。
美咲達は、取り込んだ相手の知識とかも吸収できるんで、考えても理解できない事が有ったら、そうする方が手っ取り早いって考えがあります。
テケテケ≠ヘ、《七人みさき》に取り込まれている都市伝説の、バカキャラ担当になってしまって居ます。
142 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/08(火) 22:40:19.41 ID:8PkfBu9o0
>>140 >あれ?ダレン狙われた?wwwwwww
まぁ、探し出して襲い掛かろうって訳じゃないですけどね。
興味をもたれたって事には変わりないかと。
にしても、少し位抵抗しても良いんじゃ無いですかダレンさん。
143 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/08(火) 22:43:10.49 ID:EfRLsBAS0
>>142 >にしても、少し位抵抗しても良いんじゃ無いですかダレンさん。
ダレン「どうして?たったそれだけのことで彼女が救われるなら。僕は後悔なんてないよ」
うん…こう言う奴なんだこいつは
そんな事態になったら、周囲がガチで止めますが
乙でしたー
テケテケが妙にハイテンションなのは一体どうしてだww
優しさを知識だけで理解出来るのかとふと思いつつ美咲ちゃんの今後にwktkしてます!
145 :
ケモノツキ ◇kemono..Qk (代理):2010/06/08(火) 22:48:58.91 ID:EfRLsBAS0
【ケモノツキ_08_道を急ぐ者よ】
学校町と隣町を結ぶ、山沿いの林道。
道幅が狭いわけではなく、適度に見通しがよく、周囲に民家は無い。
いかにも走り屋たちが好みそうな道だ。
「今回の任務内容は覚えていますか?」
一目で高級外車とわかる黒塗りの車。
その左側、運転席には黒服A-No.218が、右側の助手席には橘野悠司が座っている。
悠司は事前に言い渡された任務内容を、頭の中で反芻する。
――――今回の任務は、ターボ婆の討伐。
――――この道で十数回にわたって、ターボ婆による被害が出続けている。
――――現在のところ死者は出ていないが、このままではいずれ死者が出る可能性がある。
――――その前に危険要素を排除し、安全を確保する。
――――なお、このターボ婆は高速走行する車両の前にしか姿を現していない。
――――そのため、同じ条件のもと、対象を誘い出す必要がある。
「…この車でターボ婆を誘い出して、タマモの幻覚で動きを止める、ですね。」
「その通りです。エイダ、準備はよろしいですか?」
『被害報告があった箇所を含む、全43kmの走査終了。現在、車両等の反応はありません。』
黒服の問いかけに、カーナビから声が返ってくる。
エイダと呼ばれたそれは、都市伝説『死を招くカーナビ』。
契約によってカーナビの能力が強化され、道路情報の把握という面で無類の強さを誇る。
146 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/08(火) 22:49:45.22 ID:8PkfBu9o0
>>143 >ダレン「どうして?たったそれだけのことで彼女が救われるなら。僕は後悔なんてないよ」
いや、救う救われると言うより、単なる興味本位なんですが、美咲達のは。
147 :
ケモノツキ ◇kemono..Qk (代理):2010/06/08(火) 22:50:03.29 ID:EfRLsBAS0
黒服はカーナビに併設された通信機の状態を確認し、車のエンジンをかける。
「任務開始。予定通りプランAで進行。」
『了解。探索範囲を半径4kmに設定します。』
この車を中心とした地図がカーナビに表示され、それと同時に車が林道へと走り出した。
・
・
・
車が走り出して数分後、悠司が恐る恐る口を開く。
「あ…あの、黒服さん…。」
「どうしました?」
クラッチを踏む。シフトダウン。エンジンがうなる。アクセルを踏み込む。
「もう少しゆっくり走ってくれたらありがたいな…ってええええええ!!?」
一瞬ブレーキを蹴り、ハンドルを切ると同時に、後輪がすべる。
いまだかつて感じたことの無いその感覚に、悠司は悲鳴をあげる。
「この車で高速走行を行い、対象をおびき寄せる。そう伝えたはずですが。」
シフトアップ。アクセルを踏み込む。体がシートに押し付けられる。
悠司は顔を青くさせながら、必死でシートにしがみついている。
148 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/08(火) 22:51:29.77 ID:EfRLsBAS0
>>146 取り込むことで、優しさを理解して
それで美咲が救われるなら…と、考えるでしょう、ダレンなら
周囲が、全力で止めますが、えぇ
自分の能力が他人に渡った場合のヤバさと、自分が死んだ場合、何がおきるかを自覚してないから困る
149 :
ケモノツキ ◇kemono..Qk (代理):2010/06/08(火) 22:52:23.14 ID:EfRLsBAS0
『凄い凄い!黒服の意外な一面発見!』
『なかなか面白れぇことしてくれるじゃねーか!』
『黒服にこんな特技があるとは思いませんでしたね。』
「みんななんだか楽しんでない!!?」
悲鳴をあげる悠司とは対照的に、彼らは悠司の中で楽しげな声をあげる。
周りの景色が高速で後ろへ流れていき、カーブのたびに体が横に投げ出されそうになる。
それは悠司にとって、恐怖以外の何物でもない。
『20km地点を通過。残り約22.6kmです。』
エイダの冷静な声が、まだ半分すら過ぎていないことを告げる。
悠司は高速で迫り来る恐怖と戦いながら、目前30cmに迫るガードレールを見つめるのだった。
・
・
・
『4km先、道路脇に未確認物体を発見。注意してください。』
「……未確認物体?」
この運転にもさすがに慣れた…というより、放心した様子で悠司が呟く。
カーナビを見ると、この先の道路上に何かの存在を示す点が表示されていた。
その点には、[Unknown]――詳細不明を示す注釈が加えてある。
「詳細を。」
『了解。探索範囲を局所化します。』
150 :
ケモノツキ ◇kemono..Qk (代理):2010/06/08(火) 22:53:24.31 ID:EfRLsBAS0
画面上の点の位置が拡大される。
ぼやけた点が徐々に鮮明になっていき、一つだと思っていた点は三つに分かれた。
『物体は三つ。大きさはいずれも普通自動車未満。』
「もっと詳しいことはわからないの?」
『対象の大きさと状況から判断して、自動二輪、人間、都市伝説の可能性が上げられますが、不確定です。』
「都市伝説…ターボ婆!?」
『その可能性も考えられます。15秒後に対象地点へ到達。』
カーナビの画面が広域表示され、自分たちがそこへ近づいていることがわかる。
目の前のカーブを曲がったとき、正面の道路脇に何かが見えた。
悠司はその正体を見極めようと、じっと目を凝らす。
すれ違いざま、まず腰の曲がった老婆を見た。
続いて、その足元に倒れるバイクと、寄り添うように横たわる人影を見た。
それは一瞬の出来事で、すぐさま後ろに流れて見えなくなった。
「今、人が…っ!?」
「目標を発見。このままプランAを続行します。」
「なっ…黒服さん!あの人を助けに戻らないんですか!?」
「現在の最優先事項は対象の討伐。そして、これ以上の被害者を出さないことです。」
黒服の言っていることは至極正しい。
それはわかっている。理解はしている。
だが、だからといって納得できるわけではない。
「でも、だからって見捨てていいわけじゃ…」
『目標、後方より接近中。距離、およそ2.6km。』
151 :
ケモノツキ ◇kemono..Qk (代理):2010/06/08(火) 22:54:05.57 ID:EfRLsBAS0
「橘野悠司、用意を。」
「……っ!」
ここで言い争っても意味は無い。
ならばせめて一刻も早くターボ婆を倒し、あの人を助けに行く。
『…タマモ、頼んだよ。』
「お任せください、主。」
悠司と入れ替わりにタマモが表に出る。
タマモは一つ深呼吸をし、心を落ち着かせる。
タマモの幻覚の発動条件は『目を合わせること』。
先ほどのようにすれ違うだけや、対象の姿を見るだけでは能力を発動できない。
そこで、ターボ婆の都市伝説としての性質を利用する。
『車と併走するターボ婆と目が合った』、『車を追い越すと、振り返って笑った』などと語られるターボ婆。
必然的に、至近距離で目を合わせる機会が生まれる。
その瞬間が勝負どころであり、決着の時である。
『目標接近。距離500m。』
先ほどから車は大分左寄りに走っており、車の左側に隙間はほとんど無い。
ターボ婆が車の右側に来るように仕向け、タマモと目が合いやすいようにしているためだ。
眉一つ動かさずこんな芸当をやってのける黒服に、タマモは少々の脅威と畏怖を込めた視線を送る。
『距離100m。』
いや、今はそんなことを考えているときではない。
タマモは再び深呼吸をして、視線を外へと向けた。
152 :
ケモノツキ ◇kemono..Qk (代理):2010/06/08(火) 22:55:06.86 ID:EfRLsBAS0
『距離、右後方20m。警戒してください。』
体を捻って後ろを見やり、ターボ婆の姿を確認する…が、まだ遠い。
距離が遠いと幻覚の”かかり”が悪い。
そのため、十分にひきつけてから、一気に片をつける。
徐々にターボ婆はこちらへ近づいてきている。
だが、その顔は真っ直ぐ前を向いており、目を合わせることが出来ない。
ターボ婆はそのまま車に近づき、ついには車から1mの間隔をとって併走する。
タマモはターボ婆の横顔をじっと見据える。
その顔がゆっくりとこちらを向き、それと同時にタマモは息を呑んだ。
とても優しく、とても悲しげな目。
その目が、タマモをまっすぐに見つめていた。
そして、ターボ婆がゆっくりと口を開く。
――――ア・ブ・ナ・イ・ヨ
エンジン音にかき消されて声は聞こえなかったが、その口は確かにそう動いたように見えた。
『タマモっ!?』
悠司の声にハッとし、タマモはターボ婆の目を射抜くように見据える。
ターボ婆の体がぐらりと傾いたかと思うと、次の瞬間、その体は後方へと転がっていった。
153 :
ケモノツキ ◇kemono..Qk (代理):2010/06/08(火) 22:56:02.52 ID:EfRLsBAS0
黒服はバックミラーをチラリと確認すると、スピードを緩めた。
「こちらNo.218。対象の無力化に成功。」
『回収班、了解しました。そちらへ向けて移動中です。』
ふっ、とタマモが目を閉じ、悠司が表に戻ってくる。
目を開いたその顔には、苦痛と焦りが浮かんでいる。
「ぐっ…黒服さん…!早く戻ってさっきの人をッ…!」
割れるような頭痛に耐えながら、悠司は声を搾り出し、黒服に訴えかける。
「その必要はありません。」
「っ…見捨てるんですかッ!?」
『いいえ。対象を発見した3分35秒後、回収班があの場に到着。対象の回収に成功しています。』
「…えっ?」
「既に回収は終了しています。この後「組織」へ輸送し、しかるべき処置を行う予定です。」
おそらく焦りや緊張で無線が聞こえていなかったのだろう。
安堵と共に、一人わめいていたことへの気恥ずかしさを感じた。
『任務終了。橘野悠司宅へのナビゲートを開始します。』
「橘野悠司、しばらく寝ていただいて結構ですよ。」
「あ、はい。じゃあ少し…休ませてもらいます。」
悠司はゆっくりと息を吐くと、深くシートに腰掛けて目を瞑る。
その車は先ほどとは打って変わって、悠司をいたわるように静かに滑り出した。
・
・
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154 :
ケモノツキ ◇kemono..Qk (代理):2010/06/08(火) 22:57:37.26 ID:EfRLsBAS0
真っ白な世界。
タマモたちがいつも居る、悠司の心の中だ。
悠司は既に体を休めるため深い眠りについており、その姿はここには無い。
そんな中、タマモはソファーに腰掛け、一人考える。
――あの目は、一体なんだったのだろうか。
――あの目からは、私たちを心配するような気持ちが伝わってきた。
――あんな目をしたものが、果たして嬉々として人を襲うのだろうか。
――本当にあのターボ婆が、全ての被害の元凶なのだろうか。
「タマモー、お疲れさまぁー。どうしたの難しい顔して。」
後ろからミズキがしだれかかってくる。
どうやら、考え事が顔に出てしまったようだ。
一つ深呼吸をして、ミズキの方を向く。
「…いえ、何でもありませんよミズキ。少々疲れてしまって。」
「へぇ、しっかり者のタマモおねーさんも、弱音を吐くことがあるんだねぇ。」
意外そうな声を上げ、タマモの目を見つめるミズキ。
その心配するような瞳に、ターボ婆の目がオーバーラップする。
「無理しちゃダメだよ?私たちを頼ってくれてもいいんだからね?」
「ふふっ、ありがとうございます。いざというときはよろしくお願いしますね。」
この不安が杞憂であることを願いながら、タマモはミズキの頭を優しくなでてやった。
【ケモノツキ_08_道を急ぐ者よ】 終
155 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/08(火) 23:11:58.43 ID:EfRLsBAS0
…よし、皆寝たな?
もうちょっとでこっそりと投下開始する
156 :
広がる ◆nBXmJajMvU :2010/06/08(火) 23:19:02.82 ID:EfRLsBAS0
「…………ぁ」
その、姿を見つけて
ディランの顔に浮かんだのは、安堵と不安が混ぜこぜになったような表情
すぐに、そちらに向かおうとして
……しかし、迷うように、止まる
その様子に、サキュバスはお気楽に告げた
「知り合い、見つけたんでしょ?行ってきなよ」
「あ…で、でも」
「場所取りなら、私がいるから大丈夫だよ〜」
花見の場所取りは、一人いれば問題ない
「でも……君は、在処ちゃんの、傍にいたいんじゃ…」
「ん〜、そうだけど…ほら、押して駄目なら引いてみな、って言うし」
どうやら、そう言う作戦らしい
うまく行くかどうかは、不明だが
「ほらほら、その人を探しに、学校町に来たんでしょ?見失ったら大変だよ」
「う、うん………あ、ありがとう」
サキュバスに、背中を押されて
ディランは、その目的の人物の元へと、駆けていった
157 :
広がる ◆nBXmJajMvU :2010/06/08(火) 23:23:18.59 ID:EfRLsBAS0
「来てやったわよー……って、何。この、明らかに何かあった後は」
「…気にしないで。むしろ、思い出させないで」
花見会場にやってきた、赤い靴契約者 赤坂 未樹に、望はややぐったりした様子で答えた
化死窪喪血の騒動が落ち着き、精神的にどっと疲れたのだ
そんな望を気遣い、大樹がその頭を撫でてやっていて……その手の優しさに、頬をうっすらと赤らめている
望のそんな様子に首を傾げつつ、未樹は赤い靴を従えて、近づいてきた
…なお、弁当などは、全て赤い靴に持たせているようである
未樹は、手荷物一つ持っていない
「ふむ、まぁ、騒ぎがあったのなら、それが終結した後に着いたのは幸運だったな」
「………もっと早く着ていれば、盾にしてやったのに…」
赤い靴の呟きに、ぼそり、呪詛の言葉を吐く望
この変態ならば、友美並のギャグキャラ修正で、きっと、化死窪喪血も物共しなかっただろう二
図体も大きいから、盾にうってつけだし
……と
そんな、やや殺伐としたやり取りを、していると
一人の青年が、こちらに駆けて来ている事に、望は気付いた
都市伝説の気配
そして、見覚えのない姿に、警戒する
その青年は、望達に……
いや
赤い靴に、駆け寄ってきて
158 :
広がる ◆nBXmJajMvU :2010/06/08(火) 23:28:28.59 ID:EfRLsBAS0
「−−−−ッジブリル!」
と
その場にいた誰もが聞いたことのない名前を呼んで、赤い靴に抱きついた
その青年は、身長軽く180pオーバー
が、赤い靴の身長が、優に2m超えなので、体制的に無理はない
そして、青年の線が細いせいで、どちらかと言うとガッシリした体格の赤い靴に抱きつく様子は、男同士だと言うのに、むしろ絵になって
花見会場にいた某貴腐人が、物凄い勢いで眼鏡の下の瞳を光らせた事に
当人達は、気付いていない
「………っな!?」
赤い靴は、抱きつかれた事よりも
むしろ、その青年がこの場にいることに、驚いたようで
『こら、ディラン!?どうしてお前が学校町に来てるんだ!?ここは「組織」の目が厳しいと言っていただろ!』
やや厳しい口調で、そう青年に言う
青年…ディランは、おどおどと、それに答えた
『だ、だだ、だって……ダ、ダレンが、学校町に行きたいって、言うから…』
『はぁ!?……何を考えているんだ、あいつは!?「組織」強硬派や過激派に生きている事が知られたら、今度こそ殺されかねないぞ!?』
『で、でも………どうしても、って言うから………』
あぁ、全く、あの男は………
支援
160 :
広がる ◆nBXmJajMvU :2010/06/08(火) 23:32:17.62 ID:EfRLsBAS0
頭を抱える赤い靴
あの男らしい
変な所で、頑固な面があるから
一体、何の目的で学校町に来ると言うのか
この街は、本当に「組織」の目が厳しい
日本でも有数の都市伝説出没スポットであるここは、自然と厄介事も置きやすい
だからこそ、あの男を学校町に近づけたくなかったと言うのに…!
『…わかった、後で俺もダレンと話す。せめて、学校町に来る目的くらいはわからないと、俺も対応できない』
『う、うん、お願い………あ、ジブリル、危な』
い、と
ディランが言い切るよりも、前に
ごがっ!!!と
赤い靴は、未樹に容赦なく、蹴り倒された
どすっ!とあっけなく、地面に顔をめり込ませる赤い靴
投げ出された弁当箱を、ディランが慌てて、キャッチする
「何をするんだ」
「いきなり、私のわからない言語で知らない奴とくっちゃべってんじゃないわよ」
みし、と
容赦なく、赤い靴を踏み躙る未樹
赤い靴がちょっぴり嬉しそうな声をあげているのは、この変態が若干マゾ属性ももっているだけなので、問題はない
…そう
赤い靴とディランは、この場にいる他の者達が、決して理解できないであろう言語で話していたのだ
それは、世界中の言語に通じていたとしても、決して理解できない言葉
161 :
広がる ◆nBXmJajMvU :2010/06/08(火) 23:36:53.35 ID:EfRLsBAS0
人工的に作られた、暗号言語だからだ
暗号解読の天才が聞いていたならば話は別だが、そうでなければ、決して、理解はできまい
「っご、ごごごご、御免ね、御免ね……あ、あんまり、ジブリルを虐めないで…」
おろおろと、赤い靴を踏み躙る未樹に、ディランが申し訳なさそうに言う
その言葉に、未樹は不機嫌に顔をあげた
「…誰の事よ、ジブリルって」
「あぁ、俺だ」
むく、と
赤い靴が、顔をあげる
「ジブリル・ドソワーニュ=メユール。俺が人間のふりする時の名前だ……そう言えば、教えてなかったな」
「そうね、今日、初めて聞いたわ」
みしっ
赤い靴が、自分に隠し事をしていたのが、気に食わなかったのだろうか
さらに、赤い靴を踏み躙る未樹
赤い靴は悦んでいるのだが、ディランは赤い靴を心配して、おろおろしているのだった
「……いきなり何だってのよ」
目の前の光景に、呆れる望
まぁ、どうやら自分は部外者っぽいから、首を突っ込む気はないが…
支援
163 :
広がる ◆nBXmJajMvU :2010/06/08(火) 23:40:17.20 ID:EfRLsBAS0
「…?大樹さん?どうしたの?」
「あ……いえ、何でもありませんよ」
何か、考え込んでいた様子の大樹に、首をかしげる望
…そして
そこから、少し離れた所で
「…?辰也……?どうしたんだ…?」
「ん?……いや、何でもねぇ」
「………くけっ!?」
ふと、眉をひそめた辰也の様子に、恵が首をかしげる
……先ほど、聞えてきた、言語
どこかで、聞いた事があるような?
共通の疑問に、大樹と辰也は、ほぼ同時に首をかしげたのだった
to be … ?
「有難うございます。謹んで頂きます」
将門公から受け取った杯を干し、
「幸せのお裾分けとな……ありがたく貰うぞ」
無邪気に笑う幸太からコアラのお菓子を受け取る。
「んっ、これは甘くて美味い。
ぽぽぽっ。今日は良い日じゃな。
東京を守護する産土神にして祟り神の将門公に会えるとは」
祟り神は割と横の繋がりを大事にする。
協力して世の中をかき回す相談をすることもある。
八尺様も封印されてなければ寄り合いにも出たかったのだが。
ちなみに、集まったときに闘争の火種が巻かれると
祟り神同士が対抗意識を燃やして呪力勝負が始まり
人間たちを祟りまくることがある。
「一度は寄り合いに顔を出してみたいものです
大禍津日神に八十禍津日神。
長野の御射軍神さま
大天狗の崇徳院様
三つの顔を持つ菅原道真公。
他にもそうそうたるお歴々。さぞかし壮大な顔ぶれに出会えることでしょうに」
そういって和やかに笑った。
つづく……?
165 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/08(火) 23:42:40.86 ID:EfRLsBAS0
アクマの人とはないちもんめの人に焼き土下座orz
特に、はないちもんめの人に
俺は望に何を見せているんだ
内容的には探し人が見付かったよ!やったねディラン!って事で
ジブリル・ドソワーニュ=メユール (Djibril・Daussoigne−Mehul)
正体は赤い靴。今更深い説明はいるまい
実は、こう言う人間の名前をもっていましたとさ
ディランとは古い知り合い。本人曰く兄のような相手との事
他者から見ればディランの方が弟っぽいが(外見年齢的にも)どうやら、実際年齢で考えている様子
なお、今回の赤い靴とディランの会話、暗号会話なのでエニグマ姉に聞かれていたら内容一発バレなのはひみちゅ
まぁ、今回はバレてもいい内容なんでいいんですが
166 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/08(火) 23:46:06.39 ID:EfRLsBAS0
八尺様の人乙ー!!
コアラお菓子を受け取ったなら、この日は八尺様にささやかな幸せが訪れる事でしょう
「幸運の眉毛コアラ」の力で
>人間たちを祟りまくることがある。
たまにくだらない喧嘩でそれが始まるから困る
>「一度は寄り合いに顔を出してみたいものです
言えない…!
祟り神の集まりのはずなのに、何故かお岩さんとかも混ざってるとか
微妙に飲み食いがメインになってるとか、八尺様にショック与えそうで言えない……っ!!
167 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/08(火) 23:58:07.90 ID:EfRLsBAS0
力尽きるぜおやすみー
俺…明日本スレが残っていたら、誰かでラブラブネタ書くんだ…
ほ
169 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/09(水) 00:22:09.68 ID:vnJLxBwJ0
てすてす
170 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/09(水) 00:24:12.71 ID:vnJLxBwJ0
規制が解けたようだ
しかし「君と君の君」の人は来ていないのか…
「首なしライダー」や「中二病コンビ」の続きも気になる…
171 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/09(水) 00:37:37.77 ID:GOj82QxTQ
>>170 規制解除おめでとう!
「君と君の君」の人を心待ちにしている人が私以外にもいて嬉しいぞ
あとは「モデルケース」の人にも戻ってきてほしいと願っております
あのお二方の作風はとても私好みなんだ…
>>158 >>「組織」強硬派や過激派に生きている事が知られたら、
もしかしたらY-No.の口裂女が花見してるかもしれない
というのはどうでもいい話
ほ
ねむ