式「性格が反転する薬…?」

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1以下、転載禁止でVIPがお送りします
式「ってなにそれ?」

橙子「言葉通りだよ。それを飲むと、今現在表に出ている性格がクルっと反転する」

式「何処にあったんだよそんなの」

橙子「机の中。暇だから漁ってたら出てきた」
2以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/06/29(日) 03:35:49.28 ID:XQuh36m+0
ほう
3以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/06/29(日) 03:36:48.64 ID:VGCrS2KH0
橙子さんが飲むパターン
4以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/06/29(日) 03:37:29.37 ID:TEysDzPL0
式「……それでか。普段からゴチャゴチャした部屋が、ゴミ屋敷みたいになってるのは」

橙子「ゴミ屋敷とは酷い言い草じゃないか。まあ、とにかく見てみろ」ゴソゴソ


橙子「えーと……これがまききゅーXで……こっちが擬似不老不死の薬……あれ、若返りの秘薬だったか……?」ゴソゴソ


式「……何でも入ってるな、トウコの机は」

橙子「――まるでドラえもんの四次元ポケットみたいだろう?」フフ…


(バアン!)


ギルガメッシュ「フハハ、呼んだか! 来てやったぞ、下郎!!」



橙子「呼んでないぞ」

式「帰れ」
5以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/06/29(日) 03:41:59.43 ID:TEysDzPL0
ギル「―――――ク」フ…



式「――何だ、今のは……」

橙子「さあな、目立ちたがりじゃないか? ……っと、あったぞ。これだこれ」


式「ふぅーん……」

橙子「あまり興味がなさそうだな。まあ、見ておけ。効力を見ればビックリするから」


式「……ちょっと待て。おまえまさか、それをオレに飲めとか言うんじゃないだろうな?」

橙子「そのつもりだが」

式「嫌だ。何でオレがそんな得体の知れないモノを飲まなきゃならないんだ」

橙子「そりゃあ私の暇潰しのため……ああ、分かった。分かったからナイフは抜くな、怖いから」
6以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/06/29(日) 03:48:45.07 ID:TEysDzPL0
橙子「分かった分かった。君は得体が知れないから飲むのが怖いんだろう? まず私が実践してやるから、よく見とけ」スッ

式「…………」


橙子「いい? こっちが優しくて美人で眼鏡のお姉さんでしょう?」カチャ…

橙子「で、こっちが……クールでビューティーなお姉さまだ」

式(自分から言っていくのか……)


橙子「で、ここでこの薬を飲むと……だ」ゴクゴク…

式「…………」


橙子「眼鏡を外してるのに優しくて美人のお姉さんで……」カチャ…

橙子「ほら、眼鏡を掛けてるのにクールでビューティーなお姉さまだ。分かったか?」


式「あっ、そっか……」
7以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/06/29(日) 03:54:50.01 ID:TEysDzPL0
橙子「どうだ、凄いだろう?」フフン

式「………………………。……え? それだけ?」


橙子「それだけとは何だそれだけとは。二つの性格が完全に入れ替わっているんだぞ? 凄いとは思わんのか」

式「……いや。正直、あんまり……なぁ?」

橙子「あのな、考えてもみろ。私は普段から意図的に二つの性格を使い分けているから良いが……
    仮に、普通の人間がこの薬を飲めばどうなる?」

式「どうって……」

橙子「例えば黒桐。あのどこまでも普通で、どこまでも無害な男の、性格がクルッと反転したら……」

式「……………………」


 ………………


鮮花『え……幹也……!? 何してるんですか!? ちょっ……まずいですよ!』

幹也『―――良いだろ鮮花……』
8以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/06/29(日) 04:01:05.63 ID:TEysDzPL0
鮮花『何して……何してるんですか……ちょっと本当に……!』 

鮮花『むぐっ……う、うもう……』


 ………………


鮮花『分かった……兄さんって私の手じゃ満足できないんだ? ……そうでしょう?』

幹也『いや、そんな事ないよ……』


鮮花『―――ほらっ、ちゃんと……! 見ねぇい!』


(バチン!)


幹也『ぅあっ……!』

鮮花『イきますよぉ……いいですか、ほらぁ……!』


 ………………
9以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/06/29(日) 04:09:38.97 ID:TEysDzPL0
 ………………


鮮花『……兄さん。兄さんのお陰で今日は楽しめましたよ……』

鮮花『だから、今回の事は私たちだけの秘密という事で……これで良いですよね?』


鮮花『私は所詮、同じ親から生まれた身……秘密は絶対ですよ』

鮮花『今日はお疲れ様でした、私は一足先に失礼させてもらいますよ……』タタタタ…


幹也『……、……』ハァ…ハァ…


幹也『ああ―――やっぱり、兄妹っていうのはこういう関係じゃないとウソだ……』


 ………………


式「トウコ……鮮花は今何処にいる?」

橙子「ああ、鮮花ならな……」
10以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/06/29(日) 04:20:41.28 ID:TEysDzPL0
鮮花『私とキャラが被ってる奴に会いに行きます……』


橙子「とか言ってどこかに行っちゃったよ」

式「そう……近くには、いないのか」


橙子「で、式。君はどうする。この薬を飲むのか、飲まないのか」

式「…………」


橙子「見ての通り、起源に人格を飲まれるとか、理性が薄れて欲のまま行動するとか、そういった類の物じゃないのは分かったろ」

橙子「というより、君が普段から行なっている代償行為―――織クンの口調を真似るというね―――
   それがより自然に行なえるようになるクスリと言った方がいい」


式「……織?」

橙子「両儀であるおまえには説明するまでもないから省くが、どんな人間も異性的な嗜好を持ち合わせているのは言うまでもないだろう」

橙子「男性人格である織クンが少女らしい振る舞いをし、女性人格である貴女が男の口調で喋ったりね」

式「…………」
11以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/06/29(日) 04:31:25.44 ID:TEysDzPL0
橙子「黒桐の話によると、昔の君は物静かな性格と明るい性格の二つを切り替えていたそうじゃないか」

式「……あれは。私と織の嗜好が真逆だったからで、今の私には……」


橙子「だからさ。君も織クンも大元は両儀式そのものだろう?」

橙子「……織クンは居なくなってしまったかもしれないが、彼が十七年間、君と寄り添っていた事実まで消える訳じゃない」

橙子「両儀織を構成していた要素はまだ君の中に残っているはずだ。なれるぞ、織の性格に」

式「…………」


橙子「まあ、あまり深く考えるな。薬の効き目は精々半日。明日にはまた普段の君に残っているさ」

橙子「ほれ、ちょっと飲んでみ。ほれ」


式「……一つ聞いておきたいんだけど。こんな事をして、トウコに何か得はあるの?」

橙子「あるさ。最初に言ったろう、暇潰しって」

式(やっぱりそれか……)
12以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/06/29(日) 04:40:13.74 ID:TEysDzPL0
橙子「ほら、飲め。もうコーヒーに溶いてある」

式「……でも」


橙子「―――じれったい。あんまり渋るようだと、口移しで飲ませるよ」

式「……っ、分かったよ……」ゴクゴク


橙子「ところで言い忘れていたが」

式「……?」


橙子「ただの薬じゃ効き目が悪いだろうと思って、即効性の睡眠薬も混ぜてあるぞ、それ」

式「……ぶっ! おまえ、やっぱり何か企んでやがるな!」

橙子「そんな人聞きの悪い事を言うな」


式「……もういい、やっぱり帰る」スタスタ
13以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/06/29(日) 04:49:22.51 ID:TEysDzPL0
(がちゃがちゃ……)


式「……あれ?」

橙子「無駄だよ。その扉は、私の『どうぞ』という声にしか反応しないのだ」


式「―――そんな仕組みを作る暇があったら、あいつに、給料……を……」バタン…


橙子「…………」

橙子「クスリが効いてきたようだな……」


式「…………」

橙子「眠っていれば年相応の少女か……。おまえの言った事は正しいよ、荒耶」


(プルルル……)


橙子「―――はい、もしもし」ガチャ
14以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/06/29(日) 05:02:36.11 ID:TEysDzPL0
『…………もしもし。橙子さんですか? 私です』


橙子「……鮮花か? まったく、どこほっつき歩いてるんだおまえは。私も黒桐も心配していたんだぞ」


『ご心配をおかけしました……。けど、ようやくです。ようやく出会えたんですよ……』


橙子「ようやくって……何と?」



 ― ???、山中・村落 ―



鮮花「私とキャラの被っている人間を、ですよ」


軋間「…………」



橙子「あー……鮮花?」

『この人、強いですね……強い……。ひょっとすると、橙子さんや式より……』
15以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/06/29(日) 05:11:38.18 ID:TEysDzPL0
橙子「……まだ喧嘩は売っていないんだろう? そのまま帰ってきたらどうだ」

『それも一瞬考えたんですが……やっぱり駄目です。ここで逃げたら……私は一生、あの女と張り合えなくなる』


橙子「……そうか。まあ、どうしてもと言うなら止めはせんが……死ぬなよ、鮮花」

『ええ。私も、幹也を自分の物にするまで死ぬ気はありません』


幹也「おはようございま……あれ、式? ここで寝るなんて珍しい。……橙子さん?」


橙子「そうか。あ、さ、生きて帰れたらビール買ってきて。うん、ハイ、ヨロシクゥ!はい……」


…………


鮮花「……っ、…………よし!」ハァー…

鮮花「たのもーー!!」


軋間「……笑い話で済めばいいがな」


…………
16以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/06/29(日) 05:18:24.12 ID:TEysDzPL0
幹也「橙子さん……何の電話ですか?」

橙子「いや、何でもない、何でもない」


幹也「……橙子さん。僕知ってるんですよ」

橙子「? 何がだよ」


幹也「橙子さんが毎月―――毎月通販で注文してるアレ―――架空でしょう?」

橙子「いや、そんな訳ないじゃん……」

幹也「―――知ってるんですよ僕……それで毎月金欠とか言って……給料もいっつも払わないで……良いよなぁ」

橙子「…………」

幹也「ねえ、橙子さん……僕にもちょっと回してくださいよ?」

橙子「だから何の話だよ何なんだよ」


幹也(……あれ。今日は眼鏡してるのに……いつもの口調だ)
17以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/06/29(日) 05:27:03.97 ID:TEysDzPL0
幹也「何って……しらばっくれなくても良いじゃないですか……」

幹也「さっきから気になってるでしょう、この書類。もっと近くに来てくださいよ……タダじゃないですよこれ」

橙子「なんだよそれ……」


幹也「うちの会社の……使途不明金の使い道一覧ですよ。全部あるんですよこれ……」

橙子(くそっ、よく調べたなこいつ―――)


幹也「ねえ橙子さん。良いんですか? 僕バラしちゃいますよ? そうなったら、お互いまずいんじゃないですか」

橙子「……あー。喉渇いたな……喉渇かないか? 黒桐、何か飲み物持ってきてくれ」

幹也「……自分でやってくださいよ」


橙子「そうか……残念だ」ハァ…

橙子「せっかく今日は、久々に社員に給料を払える喜ばしい日だと思っていたのに……」


幹也「っていうか……僕が淹れて来ますよ!」ダッ
18以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/06/29(日) 05:36:42.76 ID:TEysDzPL0
橙子(勝った……)


 …………

「あー、黒桐。もし君が自分の分に砂糖を入れるのなら、手前の奴から使ってくれー」

幹也「……? はい、分かりました」


橙子「…………」ニヤリ

 …………


幹也「で、橙子さん。お給料の方は」

橙子「まぁまぁ。コーヒーを一杯飲むくらいの時間は待ってくれても良いんじゃない?」ゴクゴク…

幹也「僕もう二ヶ月待ってるんですけどね……」グビッ…


橙子「はい、お給料」スッ

幹也「……、ありがとうございます」
19以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/06/29(日) 05:49:56.46 ID:TEysDzPL0
(ググッ……)


幹也「……? あの、手……」

橙子「魚心あれば水心ありって言葉」

幹也「知ってます。また調べ事か何かですか、橙子さん」

橙子「違うわ。いやね、率直に言うと……今日はそのお金で、とことん式と遊んできて欲しいの」

―――まあ貴方なら言われなくてもやるでしょうけど、と心の内に呟く。


幹也「はぁ……まあそれはこちらとしても望むところですけど。どうしてそんな事を?」

橙子「……彼女ね、最近君が遊びに連れて行ってくれなくてご機嫌ナナメみたい。――はい、今日はもう上がっていいわよ」

幹也「それは橙子さんが中々お給料を払ってくれないからですけどね」

橙子「その話は止めましょう。ほら、お姫様が起きるわよ」

幹也「え……」


式「ん……んん……」

橙子(クスリの効果がすぐ抜けた……やっぱり両儀の体は特別性ね)
20以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/06/29(日) 05:52:03.68 ID:MXpUNzbB0
しえん
21以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/06/29(日) 05:57:26.15 ID:TEysDzPL0
幹也「やあおはよう、式」

式「おはよう……あれ、オレ何でこんな所で眠ってるんだっけ……」

幹也「んー…僕に聞かれても答えられないかな。あ、橙子さんなら何か知って」


橙子「さ、行ってきなさい。一日は短いんだ、ぼやぼやしてるとあっという間に日が暮れるよ」

幹也「……まあ、確かに。じゃあ起きたばかりで悪いけど式、立てる?」スッ…

式「ん……ありがとう」スッ


幹也「それじゃ行ってきます」

橙子「お土産は買わなくてもいいからなー」

幹也(……買って来いって事か)



(ガチャ……)
22以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/06/29(日) 06:04:29.74 ID:TEysDzPL0
幹也「式はどこか行きたい場所とかある?」

式「特にないよ。幹也と一緒なら、どこでも良い」

幹也「そう。じゃあ、久々に駅前でも行ってみようか」

式「ああ」


幹也「…………」

幹也(今さらっと、とても嬉しい事言ってくれた気がする)



 ― ところ変わって、アーネンエルベ ―


龍之介「…………」

里緒「あっ、雨生くん。こっちこっち」


龍之介「うーっす。……で、どしたの? 里緒ちゃんの方からオレを呼ぶなんて珍しいじゃん」

里緒「う……ん。実はね、ちょっとキミに相談したい事があるんだ」
23以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/06/29(日) 06:12:10.39 ID:TEysDzPL0
龍之介「オレに? まあオレで良けりゃ話くらいは聞くけど」

里緒「ありがとう……龍之介君」

龍之介「良いって良いって。オレと里緒ちゃんの仲じゃん」


里緒(彼の名前は雨生龍之介。僕とこの青年は、よくこの店で顔を合わせる内に、気が付けば顔を見れば話す仲になっていた)


……


龍之介『でさあ。最近、やけにオルガンの音の出が悪いと思ったら……』

里緒『(やべえ……こいつ俺以上にやべえ……)』


龍之介『やっぱり歌は良いよな里緒ちゃん。人間が生み出した文化の極みっつーのかな?』

里緒『そ、そうだね……』


……

里緒「…………」
24以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/06/29(日) 06:13:45.49 ID:3r58678Z0
しえ
25以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/06/29(日) 06:14:20.95 ID:yyEMRkTx0
COOOOOOOOOOOOL
26以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/06/29(日) 06:19:19.86 ID:TEysDzPL0
里緒「ボクさ……最近、好きな人が……出来たんだ……」

龍之介「おっ、コイバナ? 何はともあれおめでとー」

里緒「……ありがとう。――本当はさ、好きになったというより、昔からの自分の気持ちに……やっと気付いたって感じなんだけど」

龍之介「ふんふん……」チュー


里緒「その、写真の子なんだけど」

龍之介「……ん? この写真、誰だよ。里緒ちゃんのカレかぁ?」

里緒「その子は女の子だよ……一応」


龍之介「? ――ああ、本当だ。よく見れば女物の着物だな、これ。……あれ、でも……」

里緒「うん……その人と付き合う為には――― 一人、強力な敵が居るんだ」

龍之介「敵……? 敵って、誰だよ? もしかしてこの子の隣に居る黒い男?」


里緒「…………」

里緒(幹也……)
27以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/06/29(日) 06:27:18.48 ID:TEysDzPL0
里緒「……ボクは」

里緒「ボクは、その人の事が本当に好きだ、でも同時に、その人を悲しませちゃダメだって分かってる」

龍之介「横恋慕ってヤツ?」ズズー

里緒「ウン……」


里緒(ボクは……ボクはどうすればいいんだろう……?)


「たわけぇっ!」


里緒・龍之介「!?」


ギルガメッシュ「さっきから聞いていれば、グチグチグチグチとつまらぬ事ばかり囀る!」


里緒「え……誰、この人……?」

龍之介「あー……アーチャー……だったかな?」
28以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/06/29(日) 06:34:37.88 ID:TEysDzPL0
ギル「良いか! 本当に己が欲しいと願うモノならば―――力づくでも手に入れぬかぁっ!!」

この世のありとあらゆる宝物を、自らの手で集めた英雄王の言葉だった。


里緒「………………!」


ギル「自分の想いすらロクに相手に伝えられぬようでは男と言えぬ!! 我直々にその腐った性根を叩き直してやろう!!」バビローン

(ガンガンガンガン!!)


里緒「―――!? うわあっ!!」ヒョイッ

龍之介「ぐはっ!!」

里緒「りゅ……龍之介くーーん!?」


ギル「きゃわした!? ええい、動くと当たらないだろう!! 動くと当たらないだろう!!?」バビローン

(ガンガンガンガン!!)


里緒「そんな事言われても……ひっ……!!」ヒョイッ


ネコアルク・カオス「店が潰れる……物理で……」
29以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/06/29(日) 06:51:12.19 ID:TEysDzPL0
 ― 駅前・デパート ―

式「次、あっち行ってみようぜ」

幹也「―――――」


式「ん、どうした」

幹也「……いや。君、今日はなんだかえらく楽しそうだな……って思って」

式「そう? じゃあきっと、コクトーと一緒に居るからそれだけで楽しいんだよ、オレ」

幹也(また嬉しい事を言ってくれるなぁ……)


 …………


幹也「ってなワケで、映画でも観てみようか」


式「本当はもっと回りたいんだけど、何か面白い物があるならそれもいいな」


幹也(これは結構責任重大だな……えーと、今やってるのは……)
30以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/06/29(日) 07:00:51.01 ID:TEysDzPL0
“ ― NECOARC MOVIE V ― ”

『「この映画は、絶対に面白い」――リーズバイフェ氏大絶賛!』



幹也「…………」

観ずにはいられなかった。


…………


式「で、選んだ映画がこれか」

幹也「他のヤツが良かった?」

式「いや、不満はないよ。……そうか、これでアイツもとうとう銀幕デビューか」

幹也「……?」


士郎「悪い、遅くなった……! 映画、もう始まってるか……?」

凛「遅い。……と言いたい所だけど、丁度良いタイミングね。今からよ」

士郎「……そっか。はぁ、良かった……」
31以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/06/29(日) 07:08:01.46 ID:TEysDzPL0
凛「それでね、待ってる間にパンフレットを買ってみたんだけど……この映画、セイバーも出てるのよね?」

セイバー「ええ。ここで話を明かしてはつまらないので控えますが……中盤の、とあるシーンに」

士郎「そいつは楽しみだな。あっ、そうだ遠坂。……今、アーチャーのヤツ居るか?」

凛「ええ、居るわよ。何か話でもあるの?」


士郎「いや、無いけど……。ほら、あいつって普段こういう時は空気を読んでどこか行ったりするじゃないか」

凛「ん……あいつね。今日は「せっかくのSUN DAYだから」って、気合を入れて釣りに行こうとしてたみたいなんだけど……」

士郎「……みたいだけど?」

凛「……この前はしゃぎすぎたせいで、出禁を喰らったみたい」

士郎「…………」


ランサー『逃げ出した先に、楽園なんてありゃしねえのさ……』


何故か、ランサーのそんなセリフが聞こえた気がした。うん、間違いなく幻聴だろう。
32以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/06/29(日) 07:16:38.21 ID:3r58678Z0
33以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/06/29(日) 07:21:58.24 ID:TEysDzPL0
士郎(……一番被害を被ったのはランサーだろうな……)


 …………


 ― 劇場 ―

朱い猫『―――これで妾の勝ちだな。今計算してみたが、月の後部は地球の引力に惹かれて落ちる。貴様らの頑張りすぎだ!』



式「……」パクパク

幹也「……」パクパク


士郎「中盤か……そろそろセイバーが出てくる頃かな?」

セイバー「……! で……出ますよ!」


セイバーライオン『がおー!』

朱い猫『誰だおまえは!?』


式「…………」

幹也「なるほど、こう来るのか……」
34以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/06/29(日) 07:31:43.04 ID:TEysDzPL0
式「あのさ、幹也」

幹也「……ん、何?」

式「手、繋いでいいか」

幹也「―――――――。あ、うん……」


腹ペコらいおん『カリバー!!』

朱い猫『えっ…ちょっ……嘘でしょー!!? ぎゃあああ!!』


腹ペコらいおん『カリバー!!』

ネコアルク『ぎゃあああ!!』


腹ペコらいおん『カリバー!!』

ダミアンフォース『ぎゃあああ!!』


腹ペコらいおん『………………』

腹ペコらいおん『じゃあ私、ギャラ貰って帰りますから……』


メシ食ってきます
35以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/06/29(日) 07:53:04.24 ID:TEysDzPL0
‥‥‥‥‥‥

 ― アーネンエルベ ―


(からんからーん)


言峰「どうも」

ネコカオス「あらいらっしゃい。ご無沙汰じゃないすか」

言峰「……ふむ。ジョージ店長は?」

ネコカオス「あっ、店長? 今日ね、買ってる骨董品の……蒐集作戦とかで、自宅に居んのよね」


言峰「―――そうですか。では……とりあえず赤ワインで」

ネコカオス「かしこまり!」


(バアン!……シュポン。トプトプトプ……)


言峰「ああ、ネコさんも飲んで」

ネコカオス「ありがとナス! じゃあ乾杯ですね。かんぱーい……」

言峰「乾杯……」
36以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/06/29(日) 07:55:34.13 ID:yyEMRkTx0
ありがと奈須!
37以下、転載禁止でVIPがお送りします
(カン……)


言峰「今日は繁盛しておりますな」

ネコカオス「あ、今日すか? 今日は休日だからお客さんも多いんじゃないかなぁって思いますよ」

ネコカオス「しかしどうにも忙しくそれこそネコの手も借りたい気分でして……」

言峰「ほほう……」


ネコカオス「あっ、そうだ綺礼さん。一緒に働いてくれないかな? お酒、無料で良いから」

綺礼「―――あっ、いいですよ。喫茶店でウェイターのアルバイトをするなど久々だから楽しみです」

ネコカオス「ありがとナス! お待ちしてナス!」


綺礼「―――ああ。従業員といえば……アレの様子は、どうですかな?」

ネコカオス「……いい子ですよ。ちゃんと真面目に働いてくれています」

綺礼「……そうですか。いや、失敬。では着替えてきます」

 …………