1 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 22:30:16.69 ID:hEkRYdPU0
注意
・ほむらの性別が変わっています。しゃべり方も変わっています。
・タツヤの年齢が大きく上がっています。
・メインキャラの年齢も少し上がっています。
・苗字だけのキャラ・名前だけのキャラにフルネームがついてます。
・他のアニメキャラやオリジナルキャラが登場しています。
・登場人物紹介でキャストを大きく入れ替えました。
怪異とは世界そのものなのだから。生き物と違って世界とつながっている。
怪異と魔法が交差するとき、鹿目まどかの物語が始まる。
これは女子高生の鹿目まどかと、怪異と魔法にまつわる事件に関わった少年少女たちの物語である。
「怪異の物語」というSSの一部です。全部読みたい方はこちらへ。
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1400328934
2 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 22:30:56.44 ID:hEkRYdPU0
第2話 怪異少年ゆうき☆トータス
入学式の日
さやか「まーどか。高校でもまた一緒のクラスだね。」
まどか「そうだね。」
恭介「さやか、鹿目さん、久しぶり。」
まどか「あ、上条君。」
さやか「また一緒のクラスみたいだよ。」
3 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 22:31:29.31 ID:hEkRYdPU0
・・・
卓「2050年までに日本サッカー界が掲げる目標はなんですか?」
卓「はい鹿目さん!」
まどか「え? 知らないです。」
卓「そうか。知らないのか。君はサッカーファンじゃないのかな。」
まどか「いや、サッカーも嫌いじゃないですけど。」
卓「じゃあ暁美君!どうだ。」
ほむら「え? 知りません。」
卓「じゃあ上条君!」
恭介「・・・知りません」
卓「知ってる人、手をあげろ。」
卓「いないのか。」
卓「じゃあ教えてやろう。」
4 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 22:32:13.03 ID:hEkRYdPU0
卓「2050年までに、日本のサッカーを愛する仲間、サッカーファミリーを1000万人にします。」
卓「2050年までに、FIFAワールドカップを日本で開催し、日本代表はその大会で優勝します。」
さやか「確かオリンピックが日本で開催されますよね。ワールドカップもやるんですか?」
卓「そうだ。前回は韓国との共同開催だったから、今度こそ日本で単独開催するのだ。」
ほむら「日本って女子はワールドカップで優勝しましたけど、男子が優勝できる日が来るんですか?」
卓「やればできる。必ず出来る。絶対できる。」
まどか「どちらかといえばオリンピックの金メダルの方が近そうですよね。ロンドンオリンピックでベスト4まで行ったし。」
卓「そうだな。」
5 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 22:32:52.32 ID:hEkRYdPU0
卓「というわけで初めまして。1年1組の担任、越谷卓です。」
さやか「自己紹介が後回しかよ。」
卓「出身は岡山県津山市の田舎町。」
卓「小学校と中学校はあわせて全校生徒5人くらいしかいなくて、しかも周りはみんな女子で男子は自分1人しかいませんでした。」
卓「いつも女子同士で行動してるので僕だけ孤立してましたね。」
まどか「へー何それ。」
卓「一方高校は男子校に行ってました。」
卓「というわけで僕は女だらけの学校も男だらけの学校も経験してるというある意味すごい人なのです。」
さやか「自慢かよー」
卓「ちなみに出身高校は灘高校で出身大学は東京大学です。」
恭介「すげー。」
6 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 22:33:38.52 ID:hEkRYdPU0
実は学校に気になる人がいる。
たまに廊下の隅で座って泣いてる少年だ。その子には友達もいないみたい。
私は泣いてる子を見ると放っておけない。
ちょっと声をかけてみた
まどか「どうしたの?なんで泣いてるの?」
まどか「私でよかったら相談に乗るよ」
まどか「困ってること、悲しいことがあるなら私が力になってあげるよ。」
中沢「ほっといてよ。君に乗ってもらう相談はない。」
まどか「私、泣いてる子を見ると放っておけないんだ。」
中沢「うるさい。ほっといてくれ。」
中沢「毎日美味いもん食って、幸せ家族に囲まれて、そんな何不自由ない暮らしをしてる奴に俺の気持ちがわかるか。」
仕方なく立ち去る。するとその少年はまた1人で泣き出し始めた。
7 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 22:33:45.08 ID:mcuJzSx80
くぅ〜w
8 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 22:35:20.16 ID:hEkRYdPU0
入学から数週間後
タツヤ「お姉ちゃん。朝、朝〜。起きてぇ。お姉ちゃん起きて。」
詢子「ほら、早く起きないと遅刻だぞ。」
まどか「え?」
まどか「あ!」
まどか「おはようパパ、ママ。」
まどか「仁美ちゃんにまたラブレターが届いたよ。今月になってもう2通め。」
詢子「ふん。直にコクるだけの根性もねぇ男はダメだ」
まどか「うわー遅刻だ!」
食パンをくわえながら走って登校するまどか。
9 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 22:35:54.80 ID:hEkRYdPU0
まどか「あ!」
ドスン
曲がり角でクラスメートの男子生徒とぶつかった。
まどか「ごめんなさい」
中沢「大丈夫ですか?」
まどか「う、うん」
まどかがその少年の下敷きになった。
そのとき感じたのは・・・
まどか(重い・・・)
なんなんだあの重さは。100kg以上はある。まるでお相撲さんのよう。
あの体格からは想像できない体重だった。
これがクラスメート、中沢祐樹との出会いだった。
まどか「急がないと!」
なんとかギリギリセーフで間に合った。
10 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 22:36:51.18 ID:hUD/3RwJ0
ss速報でやれ
11 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 22:36:53.73 ID:hEkRYdPU0
卓「にゃんぱすー。では出席を取るのん。」
卓「やべー。誰かのしゃべり方がうつってしまった。」
さやか「誰だよー」
まどか「でね。ラブレターでなく直に告白できるようでなきゃダメだって」
さやか「相変わらずまどかのママはカッコいいなあ。美人だしバリキャリだし」
仁美「そんな風にキッパリ割り切れたらいいんだけど・・・はぁ」
さやか「うやましい悩みだねえ」
まどか「いいなぁ。私も一通ぐらいもらってみたいなぁ・・・。ラブレター」
12 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 22:37:33.30 ID:hEkRYdPU0
・・・
まどか「そういうわけで、ワルプルギスの夜が倒されたことで魔女がみんな倒されちゃって、魔法少女制が廃止になって、私は魔法少女になれなかったんだよね。」
仁美「それは残念でしたね。」
まどか「不運だよ。」
さやか「でも魔法少女って大変じゃない? 命懸けなんでしょ?」
さやか「死ぬかもしれなかったんだから、逆に幸運なのかもしれないよ、まどかは。」
昼休み、小学校からの友達の美樹さやかちゃんと、
中学校は別だったけど小学校以来4年ぶりに同じクラスになった志筑仁美ちゃんとお弁当を食べていた。
13 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 22:38:05.63 ID:hEkRYdPU0
まどか「ねえ、うちのクラスに中沢君っているよね?」
仁美「中沢? 中沢祐樹さんがどうかしましたか?」
まどか「なんか気になって。」
まどか「あの子いつも1人でいるよね。誰かと仲良くしてるってわけでもないし。」
まどか「なんか暗いし」
さやか「珍しいね。まどかが男子に興味もつなんて。まどかも思春期か。」
まどか「そんなんじゃないけど」
14 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 22:39:34.41 ID:hEkRYdPU0
さやか「中2のバレンタイン以来かな? あのときはフラれちゃったもんな。」
まどか「そんなこともあったね。」
仁美「私、中沢さんと同じ中学でしたわ。」
まどか「そうなんだ。どんな子なの?」
仁美ちゃんは見滝原第二中学の出身だ。
仁美「中学1年のときに転校してきて、孤児院から通ってるみたいです。」
まどか「え?孤児院にいるの?」
仁美「はい。両親がいないみたいで。」
さやか「両親がいないってかわいそうだね。」
15 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 22:40:33.18 ID:hEkRYdPU0
仁美「中学のときもいつも1人でいましたね。友達も全然いないみたいです。」
仁美「1人で泣いてるのを見たことあります。」
まどか「最近も1人で泣いてるよね。私それ見て声をかけたことあるんだけど、ほっといてって言われて。」
仁美「私もよくわからないんです。中学で同じクラスになったの1回だけでしたし。」
仁美「でも優等生なほうだと思います。成績もいいですし。」
仁美「休みが少ないのも優秀なんでしょうけど。」
16 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 22:40:50.01 ID:ehLUFCGs0
え?
え?
え?
17 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 22:41:01.13 ID:hEkRYdPU0
放課後
まどか「今日はマミさんの家に行くことになってるんだよね。」
さやか「へえ、マミさんのところに。」
仁美「マミさんって誰ですか?」
まどか「巴マミ。1つ上の先輩で、魔法少女仲間なの。」
さやか「今は魔法少女じゃないんでしょ?」
まどか「力は少し残ってるんだよ。」
さやか「マミさんによろしくねー」
18 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 22:41:33.32 ID:hEkRYdPU0
教室のドアの前
中沢「なあ、ちょっと顔貸してくれるか?」
まどか「え?」
中沢「今朝は悪かったな。ぶつかっちゃって。」
まどか「こちらこそごめんなさい」
中沢「バナナの皮に滑って転んじまった。」
中沢「うっかりしてたよ。あんなところにバナナの皮が落ちてたなんて気づかなかった。」
まどか「バナナの皮が落ちてたんだ。」
中沢「鹿目さん、知ってるんだろ?俺の秘密」
まどか「え? なんのこと?」
19 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 22:42:17.91 ID:hEkRYdPU0
中沢「俺は異常に体重が重いってことだよ。」
まどか「うん・・・、そうみたいだね・・・。」
中沢「中1くらいのころだったかな。一匹の亀に出会って、こんな状態にされたのは。」
中沢「俺は君に、秘密を黙っててもらうには何をすればいいんだ?」
中沢「土下座でもすればいいのか?」
まどか「そんなことしなくったって、誰にも言わないよ。」
中沢「口が裂けても言わないか?」
まどか「うん」
中沢「そう。ありがとう。」
中沢「じゃあ君と話すのはこれで最後」
中沢「明日からは今までどおり無視してくれ。」
20 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 22:43:13.55 ID:hEkRYdPU0
まどか「待って」
中沢「なんでついてきてるんだよ。」
私は、中沢君の力になってあげたかった。
まどか「私、中沢くんの助けになれないかと思って。」
中沢「ふざけんなよ。君に何ができるって言うんだ。」
中沢「ほっといてくれよ。」
まどか「私、魔法少女の先輩がいるの。」
まどか「その人、こういう怪異現象に詳しいから。」
21 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 22:43:51.39 ID:hEkRYdPU0
まどか「巴マミ、1つ上の2年生で、魔法少女の先輩。」
まどか「実は私、魔法少女を目指してたの。」
まどか「だけどワルプルギスの夜が倒されたことで魔女がみんな倒されちゃって、魔法少女制が廃止されて魔法少女になれなくなっちゃったの。」
中沢「魔法少女制が廃止されたってのは聞いたことある。」
まどか「マミさんは私の尊敬する先輩だから、失礼のないようにね。」
中沢「わかってる。」
22 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 22:44:22.78 ID:hEkRYdPU0
マミホーム
まどか「こんにちは、マミさん。」
マミ「鹿目さん、いらっしゃい。今お茶とケーキの準備をするわね。」
マミ「あら鹿目さん、また男の子を連れてきたのね。」
まどか「人をそんな安いキャラ設定にしないで下さい。」
マミ「初めまして。巴マミです。」
中沢「初めまして。中沢祐樹です。」
ほむら「こんにちは、まどか。」
まどか「ほむらくんも来てたんだ。」
中沢「暁美さんもいるんだ。」
23 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 22:44:51.93 ID:hEkRYdPU0
まどか「ほむらくんがときどき性別が変わるのは知ってると思うけど、マミさんの助けで1日おきだったのを1週間おきに伸ばせたんだよね。」
中沢「そんなことがあったんだ。」
ほむら「だからマミのこと信頼していいよ。僕の証言もあるから。」
まどか「中沢君、ケーキの味はどう?」
中沢「こんな美味しいもの食べられたのは久しぶりです。」
マミ「そう。ありがとう」
24 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 22:45:16.50 ID:hUD/3RwJ0
さるくらってスレ落ちるのが目に見えてる
25 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 22:45:19.45 ID:hEkRYdPU0
まどか「マミさん、中沢君は・・・」
中沢「いいよ。自分で説明する。」
中沢「中1のころからなんですけど、体重が異常に重たくなったんです。」
それから中沢は事情を話した。
マミ「亀の怪異、重い亀ね。」
マミ「地域によっては重い亀ではなく想い神だと言ってるところもある。」
マミ「今回は暁美さんのときと違って悪意をもって取り付いたんじゃない。」
マミ「だからこれから神様にお願いするの。」
まどか「お願いしたら中沢くんの体重を元に戻してくれるんですか?」
マミ「おそらくね。今回は私じゃなくて鹿目さんにやってもらおうと思うわ。」
26 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 22:51:19.53 ID:hEkRYdPU0
それから別の部屋で
まどか「台本通りにやるように言われた。」
まどか「まず中沢君が私に質問して。」
中沢「わかった。」
中沢「君の名前は」
まどか「鹿目まどか。」
中沢「通ってる学校とクラスは」
まどか「風見野健康福祉大学付属見滝原育英高校、1年1組。」
中沢「血液型は」
まどか「A型」
27 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 22:51:45.83 ID:hEkRYdPU0
中沢「一番好きな小説は」
まどか「ライトノベルだけど、BL学園。」
中沢「好きな音楽は」
まどか「うたプリのマジLOVE1000%」
中沢「中学校を卒業するときどう思った」
まどか「友達とのお別れが辛くて泣いちゃった。」
中沢「初恋の人はどんな子だった?」
まどか「サッカー部にいた同級生のかっこいい人だった。」
まどか「バレンタインの日に手作りチョコを作って告白したけどフラれちゃった。」
中沢「今までの人生で一番辛かった思い出は?」
まどか「いろいろあったけど、やっぱり中2のバレンタインの日の失恋かな。」
まどか「あの日はずっと泣いてたけど、みんながなぐさめてくれたな。弟が泣いてる私に真っ先に声をかけてくれて、その夜ずっとそばにいてくれたんだ。」
まどか「卒業式のときの友達とのお別れも辛かったけど。」
28 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 22:52:16.09 ID:hEkRYdPU0
まどか「次は私が中沢君に質問するよ。」
まどか「あなたの名前は」
中沢「中沢祐樹」
まどか「通ってる学校とクラスは」
中沢「風見野健康福祉大学付属見滝原育英高校、1年1組。」
まどか「血液型は」
中沢「A型」
まどか「一番好きな小説は」
中沢「ソードアート・オフライン」
まどか「好きな音楽は」
中沢「音楽はあまりたしなみません」
まどか「中学校を卒業するときどう思った」
中沢「単純に高校に移るだけだと思いました。」
まどか「初恋の人はどんな子だった?」
中沢「今まで好きになった人はいません。」
29 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 22:52:42.69 ID:hEkRYdPU0
まどか「今までの人生で一番辛かった思い出は?」
中沢「・・・」
まどか「どうしたの? 一番辛かった思い出、記憶について聞いてるんだけど。」
中沢「お父さんが浮気して、浮気相手と駆け落ちして家を出て行ったこと。」
まどか「そう」
中沢「いやそれだけじゃなくて」
中沢「お母さんが死んだこと」
中沢「お姉ちゃんが死んだこと」
中沢「そして孤児院に預けられて、一人ぼっちになったこと。」
まどか「中沢君・・・」
30 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 22:53:26.16 ID:hEkRYdPU0
・・・
中沢祐樹の回想
小さい頃、俺の名前は斎藤祐樹だった。
人生最初の不幸は4歳のとき。
父が浮気をした。相手の女は既に妊娠していた。
祐樹「お父さん、行かないで・・・。」
父「お父さんも男なんだよ。」
父は浮気相手と駆け落ちした。
お母さんに慰謝料と養育費を払って離婚、家を出て行った。
このとき名字が斎藤から中沢に変わった。
それからは母と4つ年上の姉と3人暮らし。
31 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 22:54:14.45 ID:hEkRYdPU0
いろいろなことがあった。小学校4年生の春。
俺と同い年の女の子が白血病になったとき、母がドナーになった。
母は20歳のとき骨髄バンクに登録していた。
「ありがとうございました。あなたは娘の命の恩人です。」
母はその子の両親から感謝されてとても嬉しそうだった。
人生2度目の不幸は11歳、小学校5年生の終わりだった。
その日俺はクラスメートの一条楽と喧嘩をした。
生まれて初めての殴り合いの喧嘩だった。止めてくれた友達に「なんで止めるんだ」と八つ当たりするほどだった。
結局喧嘩は決着がつかず引き分けにおわり、授業が始まるころには先生にばれなくてよかったな、と思ってた。
しかしそのあと校内アナウンスで俺だけ職員室に呼ばれた。
喧嘩のことが先生にばれて怒られるんだと思い最悪だなと思ったのと、なぜ俺だけなんだ、一条はなんで呼び出されないんだと不満に思いながら職員室に行った。
職員室で待ってたのは深刻な顔をしたお姉ちゃんだった。
32 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 22:55:02.29 ID:hEkRYdPU0
何がなんだかわからなかった。
祐樹(たかが喧嘩したことくらいで家族を呼び出されるのか?呼び出されるにしてもなんでお母さんじゃないんだ?)
そんなことをと考えていると
先生「お母さんが倒れたんだって。今日は早退してお母さんのところに行ってあげなさい。」
ますます訳がわからなかった。喧嘩の言い訳しか考えてなかったのに。
姉「早く荷物取ってきて。詳しくは移動しながら話すから。」
病院
母「ごめんね心配かけて。全然大丈夫だから。学校早退して大丈夫だった?終わってからで良かったのに。 」
33 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 22:58:02.42 ID:hEkRYdPU0
その後病名が発覚した。ガンだった。
発見が遅かったらしく、この状態になると助かる可能性は100人に1人だと言われた。
祐樹「どうしてお母さんがこんな目に。」
祐樹「白血病の女の子を助けたのに、なんでお母さんがガンにならなきゃいけないの?」
母「あの女の子生きてるかな。」
母「私、生きてるとき何もできなかったけど、あの女の子を救えたことがただ1つの自慢なんだ。」
母「だからあの子が生きててくれたら、少しでも私がこの世に生きた意味を残せる。」
春休みは、毎日のように病院に行った。
34 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 22:58:46.71 ID:hEkRYdPU0
そして
今夜が山だと言われた日
姉「お母さん、大丈夫?」
祐樹「早く退院してまた楽しく暮らそう」
ピコーン ピコーン ピコーン ピーーーー
祐樹「お母さーーーん」
医師「ご臨終です。18時54分です。」
姉「嘘でしょ? お母さん、嘘って言って。」
お母さんは死んだ。
35 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 22:59:34.86 ID:hEkRYdPU0
母の葬儀の後
親戚「2人を引き取ることはできない。」
親戚「2人とも孤児院に預けようと思うんだが。」
姉「私、祐樹と離れたくありません。祐樹は私が育てます。」
姉「バイトでもなんでもして。大学まで行かせます。」
姉「だって私と祐樹は、2人きりの家族だから、一緒にいなきゃダメなんです。」(グス)
祐樹「お姉ちゃん・・・」
36 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 23:00:05.67 ID:hEkRYdPU0
それからは姉と2人暮らし。
そして人生3度目の不幸は、俺が12歳で中学1年生、姉が高校2年生のときだった。
姉が修学旅行で海外に行ったとき。
姉「修学旅行に行ってる間、1人で大丈夫?」
祐樹「大丈夫だよ。俺ももう中学生なんだから。」
姉が修学旅行に行った日、クラスメートが家に遊びに来ていた。
一条楽(友人)「どうしてるかな、中沢のお姉ちゃん」
祐樹「今頃みんなで盛り上がってるんじゃない」
祐樹「行けてよかったね。」
37 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 23:00:42.59 ID:hEkRYdPU0
修学旅行が終わり、帰ってくるとき事故は起きた。
夕方、テレビを見ていたとき。
テレビの画面上
ニュース速報
XXで飛行機墜落事故。日本人80人が乗車しているとのこと。
祐樹「え?飛行機事故?」
祐樹「ここってお姉ちゃんが行ってたとこ」
祐樹「ま、まさか・・・」
画面
ニュース速報
XXで飛行機墜落事故。修学旅行の○×高校の生徒が死亡。
『番組の途中ですが、ここで飛行機墜落事故のニュースです。』
『日本時間17時ごろ、XXで飛行機が墜落し、乗っていた日本人80人が死亡しました。』
『その中には修学旅行に行っていた○×高校の生徒も含まれるとのころです。』
祐樹「え?」
祐樹「嘘だろ・・・」
祐樹「お姉ちゃーん」
39 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/05/23(金) 23:01:49.50 ID:hEkRYdPU0
数日後、姉の遺体が帰ってきた。
祐樹「お姉ちゃん・・・。」(グス)
「可哀想。まだ12歳なのにひとりぼっちなんて。」
引き取り手はなく、祐樹は孤児院に預けられることになった。
学校も転校した。このとき見滝原第二中学へ。
孤児院でも新しい学校でも友達はできず一人ぼっち。
1人で泣いてることが多かった。
祐樹「お母さん、お姉ちゃん・・・」(グス)
祐樹「早く僕をそっちに連れてって・・・」(グスグス)
40 :
以下、転載禁止でVIPがお送りします:
・・・
まどか「大変だったんだね。辛かったんだね。中沢君。」(グス)
話を聞いて思わず涙を流すまどか。
中沢「は! あ、あ、あ・・・・」
マミ「何か見えるの?」
中沢「見えます。あのときと同じ、大きな亀が、見える」
マミ「私に全くは見えないけど。鹿目さんは?」
まどか「私にも見えない。」
中沢「でも俺にははっきり見えます。」
マミ「だったら、言うべきことがあるんじゃないの?」