ほむら「私の人生」

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1ダラダラ投下していく
――夜、見滝原郊外

知久「さーて、今日はずいぶん買いだめしちゃったなぁ。すっかり暗くなっちゃったね、タツヤ」

タツヤ「まっくら!」

知久「そろそろママも帰ってくる頃だし、ちょうどいい時間だね。今日の晩はクリームシチューだぞぉ」

タツヤ「おー! シチュー! シチュー!」タタタ

知久「おっと、待ちなさいタツヤ!」

タツヤ「あぅー! あー……」ピタ

知久「はぁはぁ……ん? どうしたんだい?」
2以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/06(日) 23:14:48.15 ID:ujrkY9Ho0
タツヤ「うぅ……うえぇぇぇ!」

知久「タ、タツヤ!? いきなり泣いてどうしたんだい?」

??『………………』

知久「……? な、なんだ、なんか頭が……」

タツヤ「うあああぁぁん!」

知久「どうしたんだろう急に……大丈夫か、タツヤ……うっ」クラッ

??『………………』

――バシュン! バシュン!

??『――――!!』シュゥゥゥ

タツヤ「!」

ほむら「……」
3以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/06(日) 23:15:52.33 ID:sF/ovbtr0
支援
4以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/06(日) 23:15:57.68 ID:ujrkY9Ho0
ほむら「……もう大丈夫よ」

タツヤ「あー……うん!」

知久「うぅ……あ、あれ?」

ほむら「平気ですか?」

知久「あ、あぁ。すみません――って、君は」

ほむら「暁美ほむらです。少し前にもお会いしましたね」

知久「や、やぁ。あの時はタツヤがどうも」

タツヤ「ほむあー! ほむあー!」グイグイ

知久「こ、こらタツヤ! もしかしてまたこの子が何か……?」

ほむら「いえ……たまたま通りがかったら、なんだか苦しそうにしておられたので」
5以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/06(日) 23:16:02.52 ID:ly6iCZnR0
ふむ
6以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/06(日) 23:17:40.98 ID:ujrkY9Ho0
知久「いやぁ、タツヤを追いかけてたら急にめまいがしてね……僕ももう歳なのかなぁ」ポリポリ

ほむら「……無事でよかった」

タツヤ「ほむあ! びゅーんって、とんできた!」

知久「え?」

ほむら「すみません、気になって私から駆け寄ってきたものですから。私はこれで……」

タツヤ「ほむあ!」

ほむら「え?」

タツヤ「ねーまろかとあそぼ! まろかと!」グイグイ

ほむら「……」

知久「ダメだよタツヤ! ほら、お姉ちゃんも困ってるだろう」

タツヤ「やらー! ほむあー! あー!!」ジタバタ
7以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/06(日) 23:19:39.91 ID:ujrkY9Ho0
知久「ああもう、まいったな……」

ほむら「……私は、別に構いませんよ」

知久「で、でも親御さんが心配するんじゃないのかい?」

ほむら「私、一人暮らしなので。ご心配なく」

知久「そ、そうなんだ」

タツヤ「シチューたべう! シチュー!」

ほむら「あなたもクリームシチュー好きなの?」

タツヤ「うん! ほむあもたべう!」

知久「えーと……じゃあ、もし迷惑じゃなかったらタツヤと遊んであげてくれるかな? 晩御飯もごちそうするよ」

ほむら「……わかりました、じゃあお言葉に甘えて」
8以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/06(日) 23:22:35.23 ID:ujrkY9Ho0
――改変された世界。

−鹿目家−

詢子「久しぶりだねぇ、ほむらちゃんだっけ? 今日も可愛いリボン着けてるじゃん」

ほむら「すみません、突然お邪魔して」

詢子「いいんだよ、息子と旦那が世話んなったんでしょ? ゆっくりしていってね」

ほむら「ありがとうございます」

知久「今からご飯作るから、しばらく待っていてね。二階にお客用の部屋があるから、そこでタツヤと遊んであげてよ」

タツヤ「あのね、まろかの部屋なの! まろかの部屋!」

ほむら「……そう」

詢子「あっはは。昔っからそういう設定みたいなんだよね。今は普通に空き部屋だから、好きにくつろいでてよ」

ほむら「はい」
9以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/06(日) 23:23:37.41 ID:ly6iCZnR0
ああ、悪魔前か
10以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/06(日) 23:25:09.42 ID:ujrkY9Ho0
−まどか?の部屋−

タツヤ「ほむあー」

ほむら「なに? このリボン、気になる?」

タツヤ「それ、まろかの?」

ほむら「……うん、そうだよ」

タツヤ「あのねー、まろかね」

ほむら「うん?」

タツヤ「うぇひひ、うぇひひっていう」

ほむら「ふふ、そうね。そんな笑い方をする子だったわ……」

タツヤ「うぇひひ! うぇひひ!」

ほむら「ウェヒヒヒ…………っひぐ」ポロポロ
11以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/06(日) 23:28:39.70 ID:sF/ovbtr0
ほむ…
12新編にはつながりません:2014/04/06(日) 23:29:13.96 ID:ujrkY9Ho0
タツヤ「ほむあー?」

ほむら「ごめんね、ちょっと……まどかの笑顔思い出しちゃって」

タツヤ「……」ナデナデ

ほむら「……っひぅ……やっぱり……慣れないよ……一人ぼっちは……っ」

タツヤ「ほむあいいこいいこ」ナデナデ

ほむら「……タツヤくん」

タツヤ「ティへぇ」ニカッ

ほむら「……ッ」ギュウ

タツヤ「あぅ」

ほむら「……温かいんだね、人って」

タツヤ「?」

ほむら「こんな私でも……まだ人のぬくもりを感じることができたのね」
13以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/06(日) 23:33:17.58 ID:ujrkY9Ho0
タツヤ「ほむあ、あったかーい」

ほむら「!」

タツヤ「まろかにもよくだっこされたー」

ほむら「……そう。じゃあ、これからは私が抱っこしてあげる」ギュ

タツヤ「ティへぇ♪」

ほむら「……ありがとう」

コンコン ガチャ

知久「そろそろご飯できたよ……お、タツヤいいことしてもらってるじゃないか」

タツヤ「えー?」

知久「綺麗なお姉さんに抱っこされるなんて羨ましいなぁ」

詢子「へー……中学生相手に発情してんのかオッサン?」

知久「い、いえそんなことは……と、とにかく二人とも降りておいで!」
14以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/06(日) 23:36:18.84 ID:ujrkY9Ho0
ほむら「今日は突然お邪魔して、すみませんでした」

知久「いやいや、タツヤがずいぶん君に懐いちゃったみたいで……遅くまで引き留めて悪かったね」

詢子「今度はちゃんと泊りに来るかい? 一人暮らしじゃ何かと大変だろうし、ほむらちゃんがきてくれたら息子も喜ぶもんでさ」

タツヤ「ほむあいっちゃうのー?」

ほむら「また、今度ね……大丈夫、まどかが一緒だから」

知久「本当に帰りは大丈夫かい? 送っていかなくても……」

ほむら「それには及びません。これ以上ご迷惑はおかけできませんから」

詢子「そだ、なんだったらあんたの連絡先教えてくれよ。また近々タツヤが会いたがるかもしれねーから、さ」

ほむら「……はい、それでしたら喜んで」
15以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/06(日) 23:39:37.20 ID:ujrkY9Ho0
−ほむホーム−

ほむら「……」

QB「ただの魔獣狩りにしてはずいぶんと遅かったね。何かあったのかい?」

ほむら「あなたには関係のないことよ」

QB「つれないなぁ。これでも君たちとは友好的な関係を築きたいと思っているのに」

ほむら「……私には、幸せに生きる権利があると思う? この、あの子が願った世界の中で」

QB「権利、ねぇ……僕らからすれば、権利なんてものは制御されるべき存在がいるからこそ必要な議論だ。幸せになる権利がある人間がいるとするなら、反対に幸せになってはいけない人間もいるということになるよね」

ほむら「私は……どっちの人間だと思う?」

QB「そもそも、それを決めるのは誰なんだい? 大きな影響力を持った権力者か、君たちで言うところの神様か。あるいは、君たち自身がみずから決めることでもあるだろう」

ほむら「……私自身、が」

QB「僕らの社会は権利とかいう概念的な枷は必要としないからね。残念ながら僕から君に明確な答えを与えることはできそうにないよ」

ほむら「……そう」
16以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/06(日) 23:43:06.68 ID:ujrkY9Ho0
−見滝原郊外−

杏子「――ったくよぉ。マミの奴はお受験だなんだってこっちの稼業はほったらかしにするし」

ほむら「……仕方ないわよ、私だって来年からそういう時期になる」

杏子「てめぇはてめぇで、何考えてんのかいまいちわかんねぇしよ。ここんとこ夕方以降の集まり悪いじゃんか」

ほむら「……たまに、御呼ばれすることがあるのよ。とある家族にね」

杏子「いい身分だな。こちとらさやかまでいなくなった分、てめーらのしわ寄せ一人で食らってるってのに」

ほむら「あなただってマミの家で居候してるんだから、普段の恩返しをすればいいじゃない」

杏子「それとこれとは話が別だって―の。あーもう腹立って来たぜ。あの一匹終わったら飯奢れよな、ほむら」

ほむら「ふふ……いいわよそれくらい」

杏子「……そこは『調子に乗るんじゃないわよ杏子』って返ってくるもんだと思ったぜ。あんた、なんかイイことでもあったか?」

ほむら「……さぁ、どうなのかしら」

ほむら「(私の幸せは、まどかと一緒に日々を過ごすことだけだった……もうこの世界に彼女はいないけれど……あの子だけは……覚えているのね)」
17以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/06(日) 23:46:36.96 ID:ujrkY9Ho0
――数ヶ月後

ほむら「……」トコトコ

ピリリリリ

ほむら「……もしもし」

マミ『あ、暁美さん!? やったわ! 私ついにやったのよ!』

ほむら「……合格おめでとう。ようやく肩の荷が下りるわね」

マミ『ええ。長いこと魔法少女もお休みだったけど、これからはまた私も戦線復帰するわ!』

ほむら「次は、私の番ね……しばらく負担をかけると思うけど」

マミ『いいのよ、私もおんなじなんだから。困ったことがあったらいつでも呼んで頂戴ね!」』

ほむら「ありがとう、マミ……」

マミ『ふふ、今度私の祝勝会と暁美さんの後援会を兼ねてお茶会をしましょう』

ほむら「ええ、楽しみね」
18以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/06(日) 23:50:05.35 ID:ujrkY9Ho0
−鹿目家−

タツヤ「まろかー! ばひゅーん!」

ほむら「たっくんは絵が上手ね」

タツヤ「うぇひひぃー」ニカァ

詢子「なんだか、いつのまにかホントの姉弟みたいになっちゃったねぇ」

知久「でも、よかったのかいほむらちゃん? このところ何度もタツヤと遊んでくれてるけど、そろそろ受験勉強で忙しくなるんじゃ……」

ほむら「はい……でも、私もタツヤくんといると楽しいですから」

タツヤ「ほむあー、まろかの部屋いこー」

ほむら「はいはい」

知久「あはは……いつでも息抜きにきてくれていいからね」

ほむら「はい……ありがとうございます」
19以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/06(日) 23:50:59.53 ID:sF/ovbtr0
支援
20以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/06(日) 23:53:47.27 ID:ujrkY9Ho0
−ほむホーム−

ほむら「……」カリカリカリ

ほむら「……ん……ほむぅ」

ほむら「……もうこんな時間」

チッ…チッ…チッ…

ほむら「(……なんだかんだで、普通に暮らせているのね、私。こうして……)」

ほむら「まどか……」

QB「やぁ、調子はどうだい」

ほむら「……何か用? グリーフシードはここ最近使ってないわよ」

QB「君もちょうど高校受験の時期なんだろう? 少し前までマミも家に引き籠りっぱなしだったからね。知らない間に円環の理に導かれていないか様子見にきたのさ」

ほむら「生憎とソウルジェムの穢れはそこまで溜まっていないわ」

QB「それはなによりだ。マミは勉強のストレスですぐに穢れをため込んでいたようだからね」
21以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/06(日) 23:57:11.08 ID:ujrkY9Ho0
ほむら「さてと……」

QB「食事かい? 今日のメニューは何かな」

ほむら「カップめんよ。料理する気力もないし……」バリッ

QB「……マミもしばらくそんなものを食べていたけど、見たところ人間の食事としてはいささか栄養不足じゃないのかい?」

ほむら「魔法少女にはそんなこと関係ないんじゃなくって?」

QB「インターフェイスに支障が出ても特に問題はないけど、肉体の成長には普通の人間と同じ栄養が必要だよ。特に君の場合、胸部が未発達だから……」

ほむら「死にたくなければ黙りなさい」

QB「きゅっぷい」

ほむら「全く……」ズルズル
22以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 00:00:08.95 ID:2HsE+umF0
QB「美味しいのかい? それ」

ほむら「……」

QB「?」

ほむら「(……ちょっと前までは、味気ない食事が当たり前で気にもしなかったのに)」

QB「なにやら神妙な顔つきだね。まぁ、君の方はいつも通り特に問題なさそうで安心したよ」タタタ…

ほむら「……」カタ

ほむら「……ええ、これが私の在るべき姿なんだから」

ほむら「(いまさら……普通の幸せなんて望みはしない。望むべきじゃない……あの子の犠牲に基づいた幸せなんて……)」

ほむら「(私がすべきことは……あの子が願った幸せを守り抜くことなんだから)」

………………
23以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 00:03:22.75 ID:2HsE+umF0
――1年後、某所並木道

詢子「タツヤもいよいよ小学生だなぁ。一張羅もなかなかかっこいいじゃないか」

タツヤ「かっこいい?」

詢子「おうとも。将来はパパみたいになるだろうねぇ」

知久「ママ〜、そろそろ入学式始まるみたいだよ」

詢子「あいよ。ッとその前に知久、写真撮ってよ」

知久「わかったわかった。それじゃ……ん、ほむらちゃん?」

ほむら「あ……おはようございます」

タツヤ「あ、ほむらー!」

詢子「あらまぁ、アンタも新しい制服になってるじゃん。今日からだっけ?」

ほむら「はい。ここ、通学路なので……」

詢子「ふぅん。ちょうどよかった、アンタも写真入っていきな!」
24以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 00:06:17.02 ID:2HsE+umF0
ほむら「えっ? い、いえあの、一家の思い出に私が入るわけには」

詢子「一家の思い出だからこそだよ。タツヤもほむらと一緒がいいよな?」

タツヤ「うん!」

ほむら「で、でも」

知久「高校受験の合格祝いだってみんなでしたんだから、タツヤの入学祝いにも付き合ってくれないかな? 無理にとは言わないけど」

詢子「無理でもなんでもいいのさ、ほらこっちおいで!」グイッ

ほむら「あっ」

知久「あはは、それじゃ笑って〜」

タツヤ「にかー」

ほむら「に、にかー……」

パシャ!
25以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 00:09:21.37 ID:2HsE+umF0
詢子「はははは、ほむらの顔引きつってるじゃねぇか」

タツヤ「あははははは!」

ほむら「そ、そんな笑わなくても……笑顔って慣れてないんです。しかもいきなり……」

知久「今度この写真送ってあげるよ。よかったらほむらちゃんの思い出にね」

ほむら「……あ、ありがとうございます」

キーンコーン……

詢子「うおっと、マジで入学式始まっちまう。それじゃほむら、またな!」

タツヤ「またねー!」

ほむら「うん、またね」

ほむら「……」

ほむら「(私の思い出……ね。そこにまどかはいない……でも……)」

ほむら「(……やめよう、こんなこと考えたくない)」
26以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 00:12:08.18 ID:2HsE+umF0
――見滝原市某高校

マミ「――何も私と同じ高校選ぶ必要なかったのに。暁美さんは東京の方が実家なんでしょう?」

ほむら「今は魔法でごまかしてるけど、心臓の病気は完治したわけじゃないわ。しばらくの間は空気の綺麗な見滝原の方で過ごすように両親からも奨められていたのよ」

マミ「そう……でも、それだと寂しくならない? また家族と一緒に暮らせないんでしょう?」

ほむら「別に……大切な人と一緒に過ごせないことには慣れているわ」

マミ「そんな悲しいこと言わないでよ……私としては、まだご両親が健在の間に親孝行してあげてほしいんだけど」

ほむら「……貴女にそんなこと言われたら言い返せないじゃない。大丈夫よ、月に一度は実家に顔を見せるようにしているから」

マミ「ならいいんだけど。まぁ、こんなこと言って、実は友達と一緒にいられるのは私も嬉しいんだけどね。ふふ」

ほむら「杏子はどうしているの?」

マミ「相変わらずよ。戸籍はウチに移して、ヒマな時はアルバイトしてるんだけど……勉強の方はホントやる気になってくれないのよね」

ほむら「あの子らしいわね……」

マミ「『アンタらが学校に行ってる間は私しか魔獣を狩れないだろ』ですって……まあその通りなんだけど」
27以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 00:15:52.32 ID:2HsE+umF0
ほむら「もし授業中に魔獣が出現しても、私は倒しに行くわ」

マミ「今までは私もそうだったけど……いいんじゃない? 少しくらいは佐倉さんに任せておいても」

ほむら「けど……」

マミ「代わりに、夜の間は私たちが交代でパトロールに行けばいいのよ。魔法少女とはいえ学生なんだから、ちゃんと勉強して将来のこと考えないとね」

ほむら「……将来、ね」

マミ「毎日命がけで戦ってる私たちだからこそ、未来のことを考える希望を持たなくちゃ。そう思わない?」

ほむら「……さぁ。あまりそういうことを考えたことがないから」

マミ「少しくらいはあるでしょう? 将来どんな風に暮らしたいか、とか」

ほむら「……」

マミ「暁美さん?」

ほむら「私に……そんなこと考える資格、ないわ。私はただこの世界を守らなきゃいけない……ただそれだけ」

マミ「……?」
28以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 00:19:27.34 ID:2HsE+umF0
――数ヶ月後、ほむホーム

ほむら「……タツヤくんの授業参観……ですか?」

詢子『あぁ。知久のやつ流行風邪にかかっちまっててさ……生憎その日は私も重役会議でどうしても抜けられねぇんだよ』

ほむら「で、ですが……私なんかが行っても大丈夫なんですか?」

詢子『別に決まりがあるわけじゃないから大丈夫だろ。ほむらが見に来てくれたらあの子も喜ぶだろうしさ』

ほむら「はぁ……」

詢子『頼まれてくんないかなぁ、あんたしか頼れる人がいないんだよ。埋め合わせはするからさ!』

ほむら「(まぁ……一日くらい休んでもいいかしら)」

ほむら「わかりました」

詢子『おー助かるぜ! 時間とかは後でメールしとくから。タツヤのことよろしくな!』ピッ

ほむら「……本当なら、こういう時まどかが頼まれてるんでしょうね……代わりの役目くらい、果たさないとね」
29以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 00:22:04.20 ID:2HsE+umF0
−見滝原市某小学校−

キーンコーン…

教師「今日はみんなのお父さんお母さんたちが授業を見に来てくれています。頑張りましょうね」

\ハーイ!/

ほむら「(やっぱり私以外はみんな親御さんが来ているみたいね……タツヤ君、私なんかが来てがっかりしないかしら)」

タツヤ「!」チラ

ほむら「あ……」

タツヤ「へへぇ」ニカァ

ほむら「(ほっ……大丈夫そうね)」

教師「えーそれじゃ、この問題は……鹿目くんに解いてもらおうかな」

タツヤ「はい!」

ほむら「(……大丈夫かしら)」ソワソワ
30以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 00:25:32.62 ID:2HsE+umF0
――放課後

タツヤ「ほむらー!」

ほむら「おかえりたっくん。授業見てたよ」

タツヤ「ちゃんと問題解けたの見てたー?」

ほむら「見てた見てた。たっくんはえらいね」ナデナデ

タツヤ「てぃへぇ♪」

ほむら「じゃあ、帰ろっか。お父さん、まだ具合悪いの?」

タツヤ「まだ咳とかくしゃみしてるー」

ほむら「そう……早く治るといいわね」

タツヤ「うん。ねーほむら、お腹空いた〜」

ほむら「え? えーと……何か食べたい?」
31以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 00:28:08.87 ID:2HsE+umF0
タツヤ「甘いの食べたい!」

ほむら「甘いもの……そういえばこの辺に」

「んあ? ほむらか?」

ほむら「!」

杏子「やっぱそうじゃん。制服着てねーけどお前学校じゃねえの? しかもガキ連れて……誰だそいつ?」モグモグ

ほむら「ちょっとした事情よ。この子は……大切な友達の、家族なの」

杏子「ふーん。お前の弟かと思ったぜ」モグモグ

タツヤ「……」ヨダレ‐

杏子「……なんだよ、たい焼きが珍しいのか?」

ほむら「この子お腹空かせてるのよ。ちょうど今からたい焼きでも買ってあげようかと思ってたんだけど……」ジー
32以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 00:30:39.21 ID:2HsE+umF0
杏子「お前まで変な目で見るんじゃねーよ……ほれ、一個くうかい?」ヒョイ

タツヤ「いいの?」

ほむら「お姉ちゃんくれるって。ちゃんとお礼言うんだよ」

タツヤ「ありがとー!」ニカァ

杏子「いーってことよ。しかしなんだ、お前らマジで姉弟みてぇなのな」

ほむら「……本当のお姉さんは、もういないわ」

杏子「ん?」

ほむら「まどかの弟なのよ、この子」

杏子「……あー、あれね。ほむらがよく言ってるヤツ。カナメマドカ?」

タツヤ「おねーちゃんもまどか知ってるの?」

杏子「いや私は……っつかお前は知ってんのか? ほむらになんか吹き込まれてるんじゃねーだろうな」
33以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 00:34:06.79 ID:2HsE+umF0
ほむら「私は何も言ってないわよ……この子だけがまどかのことをかすかに覚えているの。ご両親はほとんど覚えていないようだけれど……」

杏子「へー。じゃあアンタ、まどかってどんな奴か言ってみな?」

タツヤ「まどかはー……うぇひひ!って笑うんだよ」モグモグ

杏子「……そーかい。聞いた私がバカだった」

ほむら「いつまでたっても信じないのね」

杏子「別にそういうわけじゃねーけど。確かめようがねぇし」

タツヤ「ねー、たい焼きってなんでお魚なの?」

杏子「知るかよ。美味そうだからじゃないの」

タツヤ「へー」モグモグ

ザワ……

ほむら「!!……杏子」

杏子「出やがったな、昼間っから……やれやれ、ちょいといってくるか」
34以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 00:36:29.28 ID:2HsE+umF0
ほむら「悪いわね……このところずっとあなた一人に負担をかけてしまって」

杏子「ヒマだからいーんだよ。アンタはガキの御守でもやってな……大切なんだろ? そいつ」

ほむら「……」

タツヤ「ばいばーい」

杏子「ん、じゃあな」

ほむら「……私たちも行きましょう」

タツヤ「うん」

ほむら「(……確かにこの子は大切。でも私にとって、本当に大事なのは……)」

ほむら「(……私に必要なのは、私自身の安寧ではない。忘れるな。この世界は……)」

タツヤ「ほむらー?」

ほむら「ぁ……な、なに?」
35以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 00:37:49.72 ID:psDH06th0
ほむらが実験されるまでの過程か
面白いぞ支援
36以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 00:38:01.04 ID:2HsE+umF0
タツヤ「たい焼きあげる」

ほむら「……」

タツヤ「あーんして!」

ほむら「あ、あーん」

タツヤ「てぃへへ」

ほむら「……ありがとう」ホムホム

ほむら「(この子の無邪気さは……まどかそっくり)」

ほむら「(守り続けなくちゃ。あの子のためにも……)」
37新編にはつながりません:2014/04/07(月) 00:40:09.53 ID:2HsE+umF0
−ほむホーム−

ほむら「……」カリカリ

QB「君たちの年頃の子はいつまでたっても勤勉だね。感情がある生物にとって、同じようなことを毎日繰り返すのは苦痛じゃないのかい?」

ほむら「同じことを繰り返して人間は学習していくものよ」

QB「そのくせ、いつまでたっても同じような歴史を繰り返しているけどね。人類はもっと根本的な部分から修正しないと進化しないよ」

ほむら「うるさいわね……勉強の邪魔をしにきたの?」

QB「前にも言ったろう。定期視察というやつさ。ここ最近キミは魔獣を狩っていないだろう? ソウルジェムは無事かい?」

ほむら「……平気。私だって必要になればいつでも出向くわ」

QB「平和に暮らすのは何よりだけど、あんまり戦わないでいると勘が鈍ってしまうんじゃないかい?」

ほむら「余計なお世話よ。そこまで自分を平和ボケさせるつもりもないわ」

QB「そうかい。杏子が休んでる時間帯は君とマミが魔獣の相手をしなくちゃならないんだ。しっかり頼むよ」

ほむら「あなたに言われるまでもない」
38以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 00:43:10.68 ID:2HsE+umF0
−見滝原市某高校−

教師「――で、こういう数式は先ほどの解を代入することで……」

ほむら「(……やっぱり難しい。中学の範囲はループ中に何度もやらされたから何とかなったけど、高校レベルになると……)」

教師「じゃあ……暁美さん。この問題解いてみて」

ほむら「え? あ、はい……」ガタッ

ほむら「……。……」

教師「ん? どうした?」

ほむら「えっと……すみません、わからない、です……」

教師「おいおい今解き方を説明しただろう? 仕方ないな、じゃあ代わりに誰か――」

ほむら「……すみません」トボ…

ほむら「(まぁ、もともと頭が特別よかったわけでもないし……あぁ、そうだ。スポーツも勉強もまるでダメな、何の取り柄もない病弱な存在)」

ほむら「(それが本来の私だったのよね……それが、いつのまにか強がりな自分になってしまっただけ……仮面を着けるのがうまくなっただけなんだわ)」
39以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 00:45:47.08 ID:d5R+fTEs0
支援
40以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 00:46:16.53 ID:2HsE+umF0
――放課後

ほむら「ふぅ……」

ほむら「(こうやって本来の自分を隠したまま生きていって……大人になって……その先の未来に何があるのかしら)」ズズ…

ほむら「(ッ……ダメ、この考えは捨てよう。私には使命がある。まどかが残した世界を、正しい形のまま守り抜く使命が……)」

『――未来のことを考える希望を持たなくちゃ。そう思わない?』

ほむら「(……私に、人としての未来があるの? もし私が魔法少女ではなかったとして、本当の本当に何の力も持たない存在だったら……)」

ほむら「(私は……きっとこんな風に一人で生きていくことさえままならなかっただろうな。いや、ひょっとすると大差ないのかもしれない。元々の私はこんなにもダメなままなんだから)」

ほむら「(……なんだか、このところネガティブだわ。魔獣の呪いにでも中てられたかしらね……)」

「ほむらー!」

ほむら「! あ……」

詢子「よーぅ。ちょうどよかったな」
41以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 00:49:13.18 ID:2HsE+umF0
ほむら「か、鹿目さん? どうしてここに、わっ」

タツヤ「ほむらーご飯食べにいこ!」

ほむら「え? え?」

詢子「この前タツヤの授業参観行って貰ったろ? お礼に食事でもどうかと思ってさ」

ほむら「い、いえそんなお礼なんてわざわざ」

詢子「まぁいいから来いよ。それとも今日は用事でもあんのか?」

ほむら「特にないですけど……」

詢子「んじゃ来な、あっちに知久待たせてんだ。タツヤがどんなだったかちゃんと聞かせてくれよな〜」グイッ

ほむら「わ、わかりました! 引っ張らなくて大丈夫ですから!」

タツヤ「いこいこ!」ギュッ

ほむら「はぁ……もうっ」クス
42以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 00:51:36.51 ID:2HsE+umF0
−某ファミレス−

知久「本当にこんなところでいいのかい?」

詢子「別に高級中華料理でもよかったんだぜ?」

ほむら「き、気を遣いますから」

タツヤ「ほむらどれにするのー?」

ほむら「私? 私は……」

知久「遠慮しないでいいからね」

ほむら「あ、はい。すみません」

詢子「この前のお礼だって言ったろ? まぁそうでなくてもアンタはタツヤの姉みたいなもんなんだ。いまさら妙な気遣いは無用だからな?」

ほむら「ぁ……ありがとう、ございます」
43以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 00:54:05.93 ID:psDH06th0
支援
44以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 00:54:10.66 ID:2HsE+umF0
タツヤ「ボクこれとこれー!」

知久「おいおいタツヤ、一人でそんなに食べきれないだろう?」

ほむら「じゃあたっくん、私と一緒に半分こしよっか」

タツヤ「半分こする!」

詢子「ホントに仲いいよなぁお前ら。ウチに娘がいたらこんな感じだったんだろうなぁ」

ほむら「……」

詢子「そうだ、ほむらとタツヤが結婚すればお前もウチの娘になれるんだよな」

ほむら「!」

知久「あっはは、ママそれは気が早いよ」

詢子「ははは、まだ小1相手だもんなぁ!」
45以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 00:57:06.87 ID:2HsE+umF0
タツヤ「きたー! ハンバーグ!」

ほむら「美味しそうね」

詢子「冷めないうちに先に食べな」

タツヤ「いただきまーす」

ほむら「いただきます」カチャ

知久「なんというか、いつも思うけどほむらちゃんはお行儀がいいね」

ほむら「そ、そうですか?」

詢子「いまどき珍しいよな。きっと親御さんがきちんと育ててくれたんだよ」

ほむら「……そう、なんでしょうか」

知久「見てればわかるよ。ご両親にとても大切にしてもらわないと、君みたいに優しい子にはならないさ」

ほむら「……そんなに、大切にされてたんでしょうか?」
46以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 01:00:09.83 ID:2HsE+umF0
タツヤ「ほむら、はい!」

ほむら「あ……あーん」パク

タツヤ「てぃへへ」

詢子「人に愛情を注げる人間はね。人から愛情を注いでもらって育つもんなのさ。ウチのタツヤみたいにな」ナデナデ

タツヤ「ママも食べるー?」

詢子「お、んじゃ一口もらおうかな。あーん」

知久「勘違いだったら悪いんだけど……今日のほむらちゃん、なんだか疲れた顔してなかったかい?」

ほむら「え、えと……」

知久「悩み事とか、ほむらちゃんの歳はいろいろ考えることが多い頃だと思うんだ。でも一人だけで抱え込んじゃいけないよ」

ほむら「ッ……」

知久「ごめんね、きっと余計なお世話だろうね。僕らは君の育ての親じゃないから偉そうなことも言えないし、君の悩みを全部理解してあげるなんてできないと思う」
47以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 01:02:19.59 ID:2HsE+umF0
知久「それでも、ほむらちゃんを大切に想っている人たちのことを忘れないでほしいんだ」

ほむら「……」

詢子「ほれ、そういう顔だよ。たまにだけどさ、なーんか私らなんて全然頼りにならないみてぇなこと考えてないか?」

ほむら「い、いぇ……そんなこと」

知久「頼りないかもしれないけど、頼りにしてほしいな。もちろん僕たちじゃなくてもいいんだ。ご両親でも、友達でも……自分を助けてくれる人に素直に頼って欲しいな」

ほむら「……でも、これ以上誰かの助けを借りて生きるなんて」

詢子「誰だっていろんな人に助けられてるもんだ。そうしないと幸せに生きていけないからね」

ほむら「その助けが……大切な人のすべてを犠牲にしていたとしてもですか?」

知久「それは……」

詢子「そいつが望んでそうしたっていうんなら、私は受け入れるさ。そいつに目いっぱい感謝しながらね」

ほむら「……感謝」
48以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 01:06:15.38 ID:2HsE+umF0
タツヤ「パパ、あーん」

知久「ん? 僕にもくれるのかい?」アーン

詢子「まぁ助けられる身としてはそんな大層なことさせたくないけどね。でもそういうもんさ、人のために何かするってのは」

ほむら「……私にはまだ……難しいです」

詢子「あーつまりだ、自分を大切にしろってことだ。残念ながらこればっかりは他人がどうこうできることじゃねえからさ。どんな複雑な悩みがあるかしらねーけど……ほむらのことが好きなやつらの気持ちを無下にするような真似だけは、するんじゃねーぞ?」

ほむら「……はい」

タツヤ「なんの話してるのー?」

知久「ん〜? みーんなほむらお姉ちゃんが大好きだっていう話だよ。タツヤもほむらちゃんが好きかい?」

タツヤ「うん! ほむら好きだよ!」

ほむら「……どうして、あなたたちは、こんな私をそこまで大切に想ってくれるんですか?」
49以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 01:06:34.23 ID:vWOfC+uF0
しえん
50以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 01:08:09.00 ID:psDH06th0
支援
51以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 01:09:14.62 ID:2HsE+umF0
詢子「どうしてったって……」チラ

知久「うーん……」チラ

ほむら「……?」

知久「あははは……ただのお節介ってやつかな?」

詢子「なんかほっとけないんだよなぁ、ほむらって。ついつい助けたくなるっていうかさぁ」

ほむら「……っ」ジワ

詢子「んお!? いや、今のは別に悪い意味じゃなくてな?」

ほむら「はぃ……すみません……っひぐ……ぁりがとう、ございます」ポロポロ

タツヤ「ほむら? どっか痛いの?」

ほむら「うぅん……嬉しいの……」グスッ

ほむら「(あぁ……この人たちは本当に……あの子の家族なんだ。みんな、まどかみたいにお節介で、弱い人間を放っておけない人たちなんだ……)」
52以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 01:12:04.21 ID:2HsE+umF0
−ほむホーム前−

ほむら「すみません、送ってもらって……」

知久「いいのいいの。付き合わせたのはこっちだしね」

詢子「また付き合わせることがあるかもしれないから、覚悟しときなよ?」

タツヤ「ほむらまたねー!」

ほむら「うん、またねたっくん」

ブロロロロロロ……

ほむら「……」

ほむら「(……この世界は……あの子にとってだけじゃない。私にとってもきっと……)」

QB「――また彼らと一緒にいたのかい?」ヒョコッ

ほむら「……キュウべぇ」

QB「君たちは血のつながりもないのに、まるで血縁者同士のような付き合いをするんだね。人類の対他関係の築き方は実に面白いよ」
53以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 01:14:12.69 ID:2HsE+umF0
ほむら「家族ごっこ……とでも言いたい?」

QB「幼児のごっこ遊びと同じかどうかは知らないけど、君と鹿目一家の関係は一般的な家庭共同体のそれとほぼ変わりなく見えるね。君たちはしばしば血縁関係のない者同士でも『家族』と呼んだりするんだろう?」

ほむら「そう……そう見えるのね」

ほむら「(でも私は、彼女の代わりにはなれない。どんなに親しくしたところで、私は他人……私にできることがあるとすれば、せめてあの人たちの平穏な生活を守ること)」

QB「まぁ君の私生活に口を出すつもりはないよ。僕の役目は君に仕事をこなしてもらうことだからね」

ほむら「……今日は私が行くわ。マミと杏子には休んでおくように伝えて」

QB「わかったよ。けど今夜は特に瘴気が濃い。油断しないようにね」

ほむら「私は……まだ死なない。いえ、死ねないわ。果たすべき役割があるから……」

QB「それは魔法少女としての、という意味かい?」

ほむら「……何が聞きたいの?」

QB「あぁ、これは無駄な質問だったかな。とにかく急ごう。すでに魔獣の気配が近くにあるようだ」
54以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 01:16:22.15 ID:2HsE+umF0
――さらに数ヶ月後

−マミルーム−

マミ「……早いものねぇ。暁美さんが入学してそろそろ1年、私も大学受験の準備を始めなきゃだわ」

ほむら「ついこの間まで高校受験で忙しくしていたのに……キュウべえにも言われたけど、学生って本当に勉強ばかりなのね」

マミ「私たちは部活に入れない分、なおさら学業以外に縁がないものねぇ。わかってはいるけど、魔法少女って大変な仕事よね……」

ほむら「そうね……そもそも、普通の人間と同じ人生を送ろうとすること自体、おこがましいのかもしれない」

マミ「そんなこと言わないでよ……魔法少女も心は人間なんだから、幸せに生きたいのが当たり前でしょう?」

ほむら「心は人間、ね……」

マミ「そうでしょ? こうしてケーキと紅茶を楽しむのも人間の幸せよ。はい」カチャ

ほむら「ほむ……」モグモグ

マミ「美味しい?」

ほむら「ええ」

マミ「ふふ。高校で友達も少しは増えたけど、こうして一緒にお茶会するほどの仲なのはやっぱり暁美さんと佐倉さんだけなのよね」
55以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 01:18:27.79 ID:2HsE+umF0
ほむら「一般人に私たちの事情に深入りされても困るだけだもの。仲の良い友人なんて作るべきじゃないわ」

マミ「そんなこと言ってると本当に孤立しちゃうわよ。貴女、もしかしてクラスじゃひとりぼっちなんじゃないでしょうね?」

ほむら「……あなたには関係ない」

マミ「……はぁ。別に気を病んでるわけでもないみたいだからいいけど。寂しくならない?」

ほむら「ならないわ。だって…………」

マミ「だって?」

ほむら「……な、なんでもないわ」

マミ「なによ、はぐらかさないでよ〜」

ほむら「わ、私は現状で満足しているのよ。寂しくなんて……」

ほむら「…………」

マミ「暁美さん? どうしたのよボーっとして」
56以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 01:18:30.01 ID:psDH06th0
支援
57以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 01:20:34.53 ID:2HsE+umF0
ほむら「ぁ……いえ……」

マミ「何か悩み事かしら? 話したいことがあったらすぐに言いなさいよ。これでも先輩なんだから」

ほむら「いえ、いいのよ別に……話しても解決しないことだから」

マミ「……それって『まどか』の話?」

ほむら「……そうね」

マミ「私は仮定の上でしか話せないけど、自分の身を犠牲にして魔法少女を救ったのよね? そして……円環の理そのものだと」

ほむら「ええ」

マミ「親友だったのよね、『まどか』と。そしてその子との別れを体験したのも、貴女だけ……つまるところ、自分だけがのうのうと生きていいのか? ってところかしら」

ほむら「……巴マミのくせに鋭いわね。そんなところよ」

マミ「なによその言い方。貴女の考えそうなことくらい何年も付き合ってたらわかってくるわよ」

ほむら「あなたもけっこう口が鋭くなってきたわね」

マミ「誰かさんたちのおかげでね」
58以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 01:23:25.38 ID:2HsE+umF0
マミ「まぁ、確かに話しても解決しない問題でしょうね。その『まどか』を救う方法がない以上、貴女自身が納得できるかどうかの問題だし……」

ほむら「頭では理解してるつもりなのよ。この世界を受け入れて生きなきゃいけないって……私自身にとって大切なものも、ここにはある」

マミ「あら、その中に私も入ってたりする?」

ほむら「……」

マミ「無視はよくないと思うわ」

ほむら「真面目に聞いてる?」

マミ「真面目に考えたら答えが出た? どうせ同じ考えがグルグル頭を巡っているんでしょう」

ほむら「……巴マミのくせに」

マミ「貴女は私をなんだと思ってるのよ……ケーキあげないわよ」

ほむら「それは困るわ」モグモグ

マミ「なんか佐倉さんに似てきたわね、貴女……」
59以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 01:25:56.71 ID:2HsE+umF0
ほむら「……ごちそうさま」カチャ

マミ「もういいの? お茶のお代わりもまだあるわよ」

ほむら「もう三杯もいただいたわ」

マミ「呑み込みが悪いのね。まだお話を聞いてあげられるって言ってるの」

ほむら「……もう、十分聞いてもらったわ」

マミ「そう? ならいいんだけど。一人で悩んでソウルジェムを濁らせたりしないでね」

ほむら「あなたこそ、また受験勉強のストレスで太らないようになさい」

マミ「ほっといて頂戴……」

ほむら「……ありがとう、マミ」

マミ「もう……またね、暁美さん」

パタン……
60以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 01:28:08.61 ID:2HsE+umF0
――数週間後、ある日の夕刻

杏子「――そらぁ!」

ガキィィン バシュン!

魔獣『――――!!』シュウゥゥ…

杏子「ハァ……ッチ、手こずらせやがる」パシッ

QB「やぁ、苦戦したようだね、杏子」

杏子「これでグリーフシードが手に入らなきゃマジでやってらんないぜ。っていうか、最近おかしくねーか?」

QB「何がだい?」

杏子「魔獣共だよ。このところ朝でも昼でもお構いなしに湧いてきやがる。今日なんかこれで4戦目だぞ? この調子じゃおちおちバイトにも行けやしねー」

QB「君の言うとおり、ここ最近魔獣の数は増えてきている。それだけ世の中が荒れてきている証拠なのかもしれないね」

杏子「いつの時代だって人間の世界は汚ぇもんさ。世の中の連中も、少しは呪いを引き受けるこっちの身にもなれってんだ」
61以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 01:29:43.74 ID:9XYgxAgX0
なんかいいなぁこういうの
62以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 01:30:09.17 ID:2HsE+umF0
QB「世界の歪みは常に予想だにしない形で影響する。魔獣の増加も、たまたまこの街に降りかかってしまった自然現象みたいなものさ。君たちにとっては災難だろうが」

杏子「ケッ、てめぇはまるで他人事だな」

QB「そうでもないさ。魔獣が増えることで魔法少女の数が減ってしまうのは、僕らとしても痛手だからね」

杏子「んだよ、縁起でもないこと言うんじゃねぇ」

QB「残念ながら君たちには日常的に起こりうる事実だ。幸いにもこの街にはまだ二人の魔法少女がいるから安心だけどね」

杏子「……? 何言ってやがる、お前」

QB「巴マミは長年よく働いてくれたよ。彼女を失ったのは君たちにとっても大きな負担になるだろうから、先に伝えておこうと思ってね」

杏子「……な、に?」
63以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 01:32:19.15 ID:2HsE+umF0
−ほむホーム−

ほむら「……うそ」

杏子「……今日の、昼頃らしい。ちょうど私が風見野で魔獣の相手してた時だな」

ほむら「冗談でしょ? あのマミが、そんな簡単に……」

QB「ここ最近、魔獣が異常発生してることは君も感じていただろう? 運が悪かったよ、マミは。いくらベテランの魔法少女でもあの数を相手にするのは荷が重すぎた」

ほむら「どうしてすぐに私を呼ばなかったの!?」

QB「僕もマミに忠告はしたよ。でも彼女が拒んだんだ。『暁美さんに余計な心配をかけたくない』と言ってね」

ほむら「そんな……そんなことで、なんで……」

QB「マミは君のことをずいぶん気にかけていたようだよ、暁美ほむら。僕に会うたび君のことを案じていた。結果的に彼女の気遣いは、彼女自身を殺してしまったわけだが……無理にでも君たちを呼び出した方が良かったかもしれないね」

ほむら「……もういい……」

QB「彼女の犠牲は僕にとっても手痛いものだ。これからしばらくは君たち二人だけに働いてもらうことになるだろう。覚悟しておいてくれ」

杏子「……くそっ……」
64以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 01:33:11.49 ID:9XYgxAgX0
ふざけんな
こんなのってねえよ
65以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 01:35:04.70 ID:2HsE+umF0
ほむら「……」

杏子「……実感、わかねーよな。私らはこうしていつも通り生きてる。少ししたらマミの奴が帰ってきてさ、『遅れてごめんなさい』なんて言って……」

ほむら「……やめなさい、杏子」

杏子「だってそうだろ? つい昨日まで一緒に寝て起きて、メシ食って笑い合ってた奴がよ……そんな急に、知らない間に、突然いなくなるわけないじゃんか!」

ほむら「私たちは……魔法少女なの。本来はいつこうなっても、おかしくはなかった」

杏子「そうだけど……そうだけどよっ……」

ほむら「……そうよね。信じられないわよね。私も……もう飽きるほど体験してきたはずなのに」

杏子「……ほむら?」

ほむら「……ねぇ杏子。情けないこと言っても、いいかしら」

杏子「……」

ほむら「……怖いの。マミがいなくなってしまったこと、受け入れてしまったら、私……どうかしてしまいそう」

杏子「……悪いけど、今の私じゃ頼りにならないと思うよ。私だって……怖い。マミがいたはずのあの部屋に今一人で帰ったら……さびしくて泣いちまうよ」
66以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 01:36:39.35 ID:m0hqNGY70
爛れた関係キテルネ!
67以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 01:37:21.96 ID:2HsE+umF0
−マミルーム−

キィ……

杏子「……ホントに、誰もいねえのな」

ほむら「……」

杏子「はは……帰ったら電気がついてねぇなんて初めてだよ。もともと私んちでもないのにさ」ポスッ

ほむら「……杏子」

杏子「逝っちまったんだな……今頃は、さやかの奴と一緒にいたりするのかな」

ほむら「……えぇ、きっとそう」

杏子「へへ、ならいいんだけどな……あーあー、さびしいもんだよなぁ。これからはここに一人で住むことになるのか。あっ、でも名義とかどうすりゃいいんだろうな? 私、バカだからよくわかんねーや」

ほむら「……電気、付ける?」

杏子「いや……このままでいいよ」

ほむら「……」

杏子「……」
68以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 01:40:05.57 ID:2HsE+umF0
ほむら「……もう、会えないんだね」

杏子「そうだな……私がアイツと最後にした会話、どんなかわかるか? 『今日の晩御飯はなにがいい?』だよ。笑っちまうぜ、最期の前兆も何もありゃしない。ホントにいつも通りさ」

ほむら「……」

杏子「そんで私ってばさ、テキトーに『美味いもんならなんでも』とか答えて。ほら、マミさんの料理ってなんでも、美味かった……から」ジワ

ほむら「……っ」

杏子「っく……そういや、昨日食ったのが豚の生姜焼きでさ? 和食も作れるのよ、とか言って、ドヤ顔でっ……っひ、ぅ」

ほむら「……美味しそうね」ギュ

杏子「あぁ……美味かった……ほんとにっ、うまかったよ……!」ギュウ

ほむら「(……悲しい。人の死って、こんなに悲しいものだったかな。もうとっくの昔に涙なんて枯れたと思ってたのに)」

杏子「うううぅうぅ……! マミ……! ま゛みざぁぁあん!!」ボロボロ

ほむら「ひぐ……将来のこと……考えようって言ってたのに……ううぅぅっ……」ポロポロ

杏子「うあ゛あ゛ぁぁぁああっあぁっぁあぁ……!!」
69以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 01:42:58.51 ID:2HsE+umF0
杏子「ずず……あーぁ、結局二人して大泣きしちゃったな」

ほむら「……心は人間だもの。泣く権利だってある……マミならそう言ってくれるでしょうね」

杏子「なぁ……ほむら」

ほむら「なに?」

杏子「私より先に……逝かないで。お願いだよ。こんなの……私もう、無理だ」

ほむら「杏子……?」

杏子「ちょっと前までは一人で生きるのが当たり前だったのにさ……情けないよな。家族のいる温もりを味わっちまったら、もうそれを失うのが辛くて堪らないんだ」

ほむら「……そう。そうね。きっと私も、あなたと同じ……失いたくない大切なものを持ってる。大丈夫、私は死なない。まだあの子のところへ戻るわけにはいかない」

杏子「ほむら……お前が消えちまったら、私、本当に一人ぼっちだよ……」

ほむら「私もあなたを失いたくないわ。寂しくなったりしても、無理をする前に私を頼って頂戴」

杏子「あぁ、わかったよ……ありがと、ほむら」

ほむら「(マミさんが遺してくれた最後の意志は……私が受け継ぐ。この子を決してこれ以上悲しませたくない)」
70以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 01:44:47.62 ID:2HsE+umF0
ほむら「(……変わらないものなんてない。それが自然の流れであるかのように、世界は常に廻り、希望と絶望を交互に生み出していく)」

ほむら「(いつからか……温もりに浸っていた私は忘れてしまっていたのかもしれない。何度繰り返しても変えられなかったのは、たった一つ)」

ほむら「(それは弱い自分……一番大切なものさえ守れなかった無力な自分。一人では何もできない、ちっぽけで弱虫な『暁美ほむら』という存在)」

ほむら「(魔法少女であろうと、心は人間のまま……何度も同じ過ちを繰り返し、大切な人との別れが来るたびに、悲しみ、絶望する)」

ほむら「(魔法少女は神でもなんでもない。もともとただの無力な人間に過ぎない。誰かの助けを借りて、支え合いながら生きている。そんな当たり前のことを……いつも、失ってから思い出す)」

ほむら「(進めるのだろうか……私は、無力な私のままで。きっと一人では到底無理だろう……私の今までのすべてが、一人だけで戦い続けてきた経験がそれを知っている)」

ほむら「(だから私は守らねばならない。私を大切に想い、私を守ってくれる人たちを……)」
71以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 01:47:15.82 ID:2HsE+umF0
――数年後

−ほむホーム−

ほむら「……あ、お母さん? 久しぶり……うん、元気だよ」

ほむら「あのね……私、見滝原の近くで仕事に就こうと思ってるの。お世話になってる人とか、大切な友達もいるから」

ほむら「うん、大丈夫、たまに顔出すようにする……ごめんね。お父さんにもなんとか言っておいて……心配しないで、もう23歳だよ? 無理なことはしないから。じゃあね」ピッ

ほむら「……ふぅ」

杏子「親に電話か?」

ほむら「帰ってたの? ……えぇ、これからは一層実家に帰りづらくなりそうだから、一応ね」

杏子「家族を大切にするのはいい心がけだ。にしても、あんまりさびしそうなツラでもねーのな?」

ほむら「……ここには大切な人たちがいるからね。あなたも含めて」

杏子「へ、そりゃ何よりだよ」
72以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 01:48:28.96 ID:0O8jE+6q0
ほむほむ悪魔化の時はマミさん生きてたしこれはパラレル
73以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 01:49:24.83 ID:2HsE+umF0
ピリリリ……

ほむら「あ……もしもし? ええ、はい……ええ大丈夫ですよ。わかりました、じゃあ今からお邪魔します。はい、では」ピッ

杏子「忙しねぇな、今度は誰だよ?」

ほむら「鹿目さんよ……晩御飯、一緒にどうかって誘われたの」

杏子「ふーん。んじゃ今日は先に家帰るわ」

ほむら「……別に一緒にきてもいいのよ? 私が紹介するわ」

杏子「いつも言ってんだろ。いい歳してその日暮らしの私みたいなロクデナシが、幸せな一般家庭に関わるもんじゃねぇよ」

ほむら「でも……」

杏子「気ィ遣うつもりなら土産の一つでも持って帰ってくれりゃいいって」

ほむら「はいはい……魔獣が出たらすぐに言ってちょうだいね」

杏子「さっき退治してきたばっかだからしばらく大丈夫だろ。安心していって来い」
74以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 01:51:04.38 ID:O3ljzNjW0
もう魔法BBAだな
75以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 01:51:42.91 ID:psDH06th0
>>74
魔法使いだろうが
76以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 01:52:15.22 ID:2HsE+umF0
−鹿目家−

詢子「しっかし早いもんだよなぁ。ほむらもいよいよ社会人か。私らも老け込んできたもんだね」

知久「どういう仕事に就くつもりなんだい?」

ほむら「医療用精密機器の技術開発会社です。昔から入院とか多かったので、その手の機械とかには妙に詳しくなってしまって」

詢子「そういや大学も理系だったよな? 大したもんだよ、私はああいうのさっぱりなんだ」

タツヤ「ママって難しいこと考えるの苦手だもんね」

詢子「うるせーやい」

知久「ははは……タツヤもきっと文系が得意になるだろうね」

ほむら「たっくんは、絵を描くのが好きだもんね」

タツヤ「うん! 僕ね、大人になったら絵描きさんになりたい!」

ほむら「ふふ、いいわね」

タツヤ「それでね、ほむらと結婚する!」
77以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 01:55:12.23 ID:2HsE+umF0
ほむら「わ、私と?」

詢子「あっはっは、タツヤもそろそろマセガキになってくる頃か? 知久に似てきたんじゃないの?」

知久「やめてよ詢子さん……」

ほむら「あはは……」

タツヤ「ごちそうさま! ほむら、あっちでゲームしようよ!」

ほむら「うん、ちょっと待ってね」

タツヤ「すぐきてよ!」タタタ…

ほむら「……タツヤくんも、とってもいい子に育ちましたね」

詢子「もうすぐ中学生だからな。結構甘やかしてきたけど、反抗期って奴がまだこないのが不安だよ」

知久「心配ないよ、あの子だって………………えぇっと、あれ。誰のこと言おうとしてたんだっけな」

ほむら「……。ごちそうさまでした。たっくんのとこ行ってきますね」
78以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 01:57:26.20 ID:2HsE+umF0
−まどか?の部屋−

タツヤ「ほむらがお泊りするの久しぶりだね」

ほむら「そうね……もうすぐこういうのも難しくなってくるし。たっくんともなかなか会えなくなるかも」

タツヤ「えー。さびしいよ」

ほむら「私だって寂しいわ。でも会いに来るから、ね?」

タツヤ「うん……」

ほむら「(……まどかの絵、また増えてるみたい)」

ほむら「たっくんは、まだまどかのこと覚えてるのね」

タツヤ「うん。でも誰なのかよくわかんない」

ほむら「……」

タツヤ「ほむらは知ってるの? まどかのこと」

ほむら「……えぇ、よく知ってるわ。私の……最高の友達だからね」
79以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 02:00:07.84 ID:2HsE+umF0
タツヤ「なんで僕もまどかのこと知ってるの?」

ほむら「……いつか教えてあげる」

タツヤ「今教えてよ〜」

ほむら「ふふ、そうね。じゃあ、たっくんが14歳になったら……色々と教えてあげるわ」

タツヤ「ホントに? 約束だよ?」

ほむら「ええ……さ、今日はもう寝よ? あんまり夜更かししてるとママに怒られるよ」

タツヤ「うん……ねぇ、ほむらと一緒に寝てもいい?」

ほむら「……えぇ、いいわよ」

タツヤ「てぃへへ」ギュ

ほむら「寂しがり屋さんね……ホント、あの子にそっくり」

タツヤ「おやすみなさい」

ほむら「おやすみ……タツヤ」
80以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 02:02:47.52 ID:2HsE+umF0
………………

………



『タツヤー? あなたの名前はタツヤだから、たっくんだよ! うぇひひ、私はお姉ちゃん!』

『ほらたっくん、あっち見て! 笑って〜♪』

『たっくんお風呂はいろっか。頭洗ってあげるよ』

『たっくん、ママ起こしに行くよ!』

『たっくんただいまー! いい子にしてた?』

『うぇひひ、おいでたっくん!』



『――たっくん……ごめんね。みんなのこと……よろしくね』



………………
81以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 02:05:05.91 ID:2HsE+umF0
――二年後

ピピピピピピピピピピ……

タツヤ「……んあ……」ピッ

タツヤ「ふぁ……夢オチかぁ……また懐かしい夢見たな……」

知久『タツヤー? 朝ごはんできてるからママ起こしてくれー』

タツヤ「はぁーい……ふぁ」

タツヤ「……」ボリボリ

タツヤ「……まどか、ね。誰なんだよ結局……」

知久『タツヤー? まだ寝てるのかー?』

タツヤ「はいはーい起きてるって……ハァ、こういう時に姉ちゃんでもいればなぁ」ギシッ
82以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 02:08:30.58 ID:2HsE+umF0
−鹿目家食卓−

詢子「そうそう、今日辺りほむらが家まで寄れるかもってよ」

タツヤ「え、本当!?」

知久「泊りは無理らしいけどね。これそうなら晩御飯一緒に食べようって言っておいたよ」

タツヤ「そっか……前に会ったの、中学に入る前だっけ?」

詢子「タツヤが14だから……もう25になってるのか。きっと前より美人になってるだろうなぁ。もしかしたら、彼氏でも連れてくるんじゃないのか?」

タツヤ「そ、そんなこと……ないと思うけど」

詢子「なんだよ〜、男の嫉妬は見苦しいぞ?」

タツヤ「そんなんじゃないっての!」

知久「はいはい、とりあえず二人とも早くご飯食べて。遅れるよ」

詢子「うおっとあぶね。んじゃタツヤ、今日はきちっと髪型整えてけよ?」

タツヤ「ほっとけ!」
83以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 02:11:09.71 ID:ofjApVyG0
84以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 02:12:14.14 ID:2HsE+umF0
−見滝原中学−

早乙女先生「ずばり! 肉じゃがに土生姜は入れるべきですか、入れないべきですか! はい、上沢くん!」

上沢「え……ど、どっちでも美味しいんじゃないかと」

早乙女「そうどっちでもよろしい! 皆さんはくれぐれも、結婚してからやれ家庭の味と違うだのなんだのと文句をつけるような旦那さんだけは選んではいけませんよ!」

タツヤ「……」

タツヤ「(そういやもう14歳……ほむらがまどかのこと教えてくれるって言ってたな)」

タツヤ「(ほむら……本当に彼氏いたりするのかな。まぁ、いるよな大人だし……)」

タツヤ「(あー学校めんどくさいなぁ。早く終わらないかなぁ)」ウズウズ

早乙女「鹿目さん、聞いていますかっ!?」

タツヤ「えっ、あっ、はい! 先生のおっしゃる通りです!」

早乙女「んん、よろしい。はいそれでは、今日は142ページの和訳から……」

タツヤ「(……ほむら、いつ来るのかなぁ)」
85以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 02:13:57.81 ID:PjLge0iy0
なぜ上沢くんはくんで鹿目さんはさんなんだ・・・・?
86以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 02:14:46.59 ID:2HsE+umF0
――放課後、夕刻

友人A「あれ、タツヤ今日は遊び来ないの?」

タツヤ「あ、う、うん。ちょっと用事あってさ」

友人B「俺たちの友情より優先される用事……もしかして女か?」

タツヤ「べ、別にそういうのじゃ……」

友人A「なんだと!? うらやまけしからん、今度俺にも紹介しろ!」

タツヤ「だから違うっての!」

友人B「けけけ、意外と女癖悪いからなこいつは」

タツヤ「なんでだよ! 今まで彼女いたことなんかないよ!」

友人B「しらねーのか? うちのクラスじゃ結構モテてるんだぞお前。持ち前の優男スマイルと紳士的な姿勢に、密かに惚れている女子が何人もいるとかなんとか……」

友人A「爆発しろ鹿目」

タツヤ「知らないよそんなの……別に女子にモテたいとも思わないし」

タツヤ「(……気になる人ならいるけどさ)」
87以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 02:14:52.60 ID:MyvlHFGW0
和子先生結婚おめでとう
88>>85 キニスンナ:2014/04/07(月) 02:16:55.52 ID:2HsE+umF0
――廃工場前

タツヤ「(ちょっと近道するかな……)」

??『―――――――』

タツヤ「……?」

??『―――――――』

タツヤ「ン……」フラ…

??『―――――――』

タツヤ「あれ……なんか頭……っ」ドサッ

??『―――――――』ズズ…

タツヤ「うぅっ……! オェッ……!」

タツヤ「(な、なんだアレ……何か、変なモノが……!)」

――バシュンッ!

??『――――!!』シュゥゥゥ
89以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 02:19:24.17 ID:2HsE+umF0
タツヤ「!?」

ほむら「――大丈夫? たっくん」シュタッ

タツヤ「え、な……ほむら!?」

杏子「――おいおいテメェの知り合いか? やけに急いでたのはそのせいかよ」スタッ

タツヤ「え、え? だ、誰?」

魔獣『――――!!』ズズ…!

ほむら「いきなり秘密がばれちゃったわね……家族の人たちには、内緒よっ!」バシュン! バシュン!

魔獣『――――!!』シュウゥゥ…!

杏子「オラァッ!」ズバン!

タツヤ「(す、すげぇ……! あの変なモノをやっつけてる……!)」

シュオォォォ……
90以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 02:21:01.91 ID:W9Fs82p50
面白い
がんばって
91以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 02:22:11.64 ID:2HsE+umF0
ほむら「ふぅ……割と早く済んだわね」シュンッ

タツヤ「(あ、スーツ姿になった……)」

杏子「テメェここ最近サボってやがっただろ。一匹倒すのに何発撃ってんだ」シュンッ

ほむら「仕方ないでしょう。あなたほど自由に使える時間がないのよ」

杏子「へーへー、いい感じに普通の人生歩みやがって……」

タツヤ「あ、あの〜……」

ほむら「……久しぶりね、たっくん。背、伸びた?」

タツヤ「あ、うん……じゃなくて!」

杏子「あぁー思い出した。もしかしてお前、いつか私がたい焼き食わせてやったガキだろ」

タツヤ「へ? ……えーと、うーん」

杏子「一飯の恩を覚えてねぇのかこの野郎」グリグリ

タツヤ「いててててて! すみません!」
92以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 02:25:03.48 ID:psDH06th0
支援
93以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 02:25:07.41 ID:2HsE+umF0
タツヤ「ちょ、ちょっとほむら! さっきのは何? なんか今、その、変身? みたいな、いやっていうか、あの変な白いのは何だったの!?」

杏子「ぁん? テメェ……魔獣が見えてたのか?」

ほむら「……この子はまどかの記憶を強く引き継いでいる。そういうイレギュラーがあったとしても不思議ではないわ」

QB「ほぅ、興味深いね。ただの一般人、それも少年に魔獣の気配が捉えられるとは」

タツヤ「うわっ、なんだこの白いの! しかもしゃべってる!」

杏子「キュウべえも感知できるってか。変なガキだな」

ほむら「その方が却って都合がいいかもしれないわ。たっくん、約束だったわね。あなたが14歳になったら色々教えてあげるって」

タツヤ「う、うん」

ほむら「今日はあなたの家にお邪魔する予定だったし、一緒に行きましょう。歩きながら少しずつ話すわ……多分、帰るまでには頭がパンクしてるでしょうけど」

杏子「いいのか? 無関係な人間は巻き込まない主義じゃねェのかよ」

ほむら「いいのよ……私が守ると決めた人だから」

タツヤ「……」

杏子「ふん、勝手にしろ。その代り、余計なもんしょいこんで自分を犠牲にするようなことだけはすんなよな」

ほむら「わかってるわ。ありがとう杏子」
94以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 02:26:17.02 ID:LU8PC1nxO
追いついちゃった
支援
95以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 02:27:37.69 ID:2HsE+umF0
−鹿目家−

ピンポーン

知久「はーい。おっ、ほむらちゃんいらっしゃい! 久しぶりだねぇ」

ほむら「お久しぶりです。お元気でしたか?」

知久「もちろん。ほむらちゃんこそ、なんだか大人の顔つきになったみたいだね。一目でわかったよ」

ほむら「おかげさまで……」

タツヤ「……」

知久「詢子さんももうすぐ帰ってくるだろうから、入ってゆっくり……って、タツヤ何ぼーっとしてるんだ?」

タツヤ「え? あ、いや……ただいま」

知久「ほら、お前も早くおいで。この子も大きくなったろ?」

ほむら「えぇ、でも一目でわかりました。行こうたっくん?」

タツヤ「う、うん……」

ほむら「お邪魔します」
96以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 02:27:39.88 ID:MQo75qnS0
しえん
97以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 02:31:10.54 ID:W9Fs82p50
支援
98以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 02:32:40.74 ID:MQo75qnS0
朝まで残ってるといいなあ
おもしれえわ
99以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 02:34:10.34 ID:OqI9bUvk0
25で魔法少女はきついだろ
100以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 02:35:16.65 ID:27QDt5kV0
魔法BBAだな
101以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 02:35:43.02 ID:LUjZCt5z0
大丈夫大丈夫
大先輩もアラサー子持ちで現役魔法少女だし
102以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 02:36:30.92 ID:9XYgxAgX0
支援
103以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 02:36:33.97 ID:DuTl/u3a0
寝るから朝まで残しといて
104以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 02:37:52.89 ID:2HsE+umF0
――その夜

詢子「――いやぁっはっは、やっぱり娘と酒飲むのは楽しいなぁおい!!」ゲラゲラ

ほむら「すみません、実の娘じゃなくて……」

詢子「いんだよ細かいことはよぉ! お前はもー私の娘みたいなもんだ! あぁこれご両親に失礼かな? まぁいいや」グビグビ

知久「ママ、ちょっと抑えて……この前も調子乗って二日酔いになったでしょ」

詢子「なんだよ知久ァ! お前はこんっなイイ子がウチの娘になっても嬉しくねェのかん?」

知久「ごめんねほむらちゃん、無理して付き合う必要ないからね」

ほむら「大丈夫ですよ。お酒もある程度飲めるようになってきましたから」

詢子「な? イイ子だろ? 遠慮しないで今日はくつろいでけよぉ、けけけけ!」

タツヤ「酔っ払い……」

詢子「そうだタツヤ。お前ほむらちゃんと結婚しろ。ハイ親の同意下りました〜」

タツヤ「いいいきなり何言ってんだよ! バカか!」
105以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 02:38:20.09 ID:MQo75qnS0
タツヤうらやましいのお
106以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 02:39:07.37 ID:W9Fs82p50
新しい世代の魔法少女はいないのか?
107以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 02:41:11.66 ID:2HsE+umF0
詢子「あー? お前ガキの頃からほむら大好きだったじゃ〜ん。ていうか『ほむらと結婚する!』って言ってたじゃん」

タツヤ「そ、そんなの言って」

ほむら「言ってたわよ。前に会った時だから、小学六年生の時かしら」

タツヤ「げ…………い、いやさその、それは若気の至りというか……深い意味はなかったんだと思う……よ」

ほむら「そうなの? 私はまんざらでもなかったけど……」

タツヤ「う、ウソつけ! からかわないでよ!」

ほむら「どうかしらね。ふふ」

詢子「おいおい言ってるそばから見せつけんなよ二人とも! こりゃ孫の顔見んのは意外と早いかもなぁ知久! ひゃはははは! それとも私が二人目産んで」

知久「はい詢子さん、ストップだよ。ごめんねほむらちゃん、今日はこのまま部屋で寝かしておくから、ゆっくりしてくれていいよ。まどかの部屋に泊る準備もできてるからね」

ほむら「……いま、なんと?」

知久「へ? ……あれ、なんか今変なこと言ったな。僕まで酔っぱらってきたのか……うーん」
108以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 02:44:32.39 ID:2HsE+umF0
詢子「知久〜今日は久しぶりに相手してくれよぉ」スリスリ

知久「ま、まだ二人ともいるから……! そ、それじゃタツヤ! あとはよろしくね!」バタン

タツヤ「はぁ……一人息子の気苦労も知ってくれよな全く」

ほむら「……少しは、気分が落ち着いた?」

タツヤ「……まぁ、ちょっとは。でも、何て言うのか……どこからどこまで信じればいいのか」

ほむら「夕方、あなたが見た異形の化け物と、それを退治する人間の異形。あなたの見た通りがすべて真実よ」

タツヤ「……魔法、少女」

ほむら「……怖い? 私たちのこと」

タツヤ「そんなことない! 怖いだなんて……逆に尊敬するよ。みんなのためにあんな危険なことを毎日繰り返してるなんて」

ほむら「そうね……でも言い方は悪いけど、私たちはそこまで偽善的な動機では動いていないわ。そういう人もいたけれど、生憎と早くに戦死してしてまった」

タツヤ「……友達だったの? その人」

ほむら「えぇ。私が初めて魔法少女としての手ほどきを受けた先輩だったわ。もう、途方もないくらい昔の話だけれど」

タツヤ「えっと……ほむらは、その……過去に同じ時間を何百回と? 繰り返してきたんだっけ……?」
109以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 02:48:04.75 ID:2HsE+umF0
ほむら「きっとあなたの想像力が追いつかないくらいには、長い時間を往来して、多くのことを経験してきた。そしてその間ずっと……まどかを見てきた」

タツヤ「まどかは……僕の、お姉ちゃんだった?」

ほむら「えぇ。あなたたちが一緒に過ごした時間はわずかだったかもしれないけど、あの子しょっちゅうあなたの……弟のタツヤの話をしていたわ。やんちゃで手がかかるって」

タツヤ「……そっか」

ほむら「私があなたに初めて会ったとき、あなたは魔法少女になったまどかの絵を描いていた。それだけじゃないわ。まどかと一緒に過ごした記憶も、少しだけどあなたの中に残っていたのよ」

タツヤ「ってことは……あのピンクのスカート履いた女の子は、子供時代の偶像じゃなかったってこと?」

ほむら「今となってはそれを証明する手段もないけれどね。少なくとも、あなたと私が全く同じ人物を単なる夢物語で作り上げることはできないから。それが彼女の存在を裏付ける証拠になるかしら」

タツヤ「なんか…………すごかったんだな、僕の姉ちゃん。こんなあやふやな存在になってまで世界を救ったんだ」

ほむら「えぇ。弟として誇りに思ってあげて。きっとあの子も喜ぶわ」

タツヤ「……ほむらもすごいよ。というか……辛くなかったの? そこまで大切に想ってた人がいなくなって」

ほむら「……とても、とても辛かったわよ。世界にたった一人取り残されたように感じて、さびしくて堪らなくなって、死を願ったことも何度あったかわからない。でも……」

タツヤ「でも?」
110以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 02:51:14.25 ID:2HsE+umF0
ほむら「この世界には私を見捨てないで見守り続けてくれる人。こんな私を愛してくれる人がたくさんいたから、今まで生きてこられた」

タツヤ「……」

ほむら「ここはかつてあの子が守ろうとした場所。そして今、私自身が守ろうとしている場所でもある……私が初めてそう思えたのは、あなたのおかげなのよ。たっくん」

タツヤ「ぼ、僕? なにかしたっけ?」

ほむら「ふふ、覚えてないのならいいわ。とにかく私はあなたに救われたの。勝手な話だけど……これからもあなたのこと、守らせて?」

タツヤ「……ぅ、うん」

ほむら「……いきなり色んなこと聞かされて疲れたでしょう。今日はもう寝ましょうか」

タツヤ「……そうだね」

ほむら「また一緒に寝たい?」

タツヤ「そうd……いやなんでさ! もう一人で寝られるよ!」

ほむら「あら、大きくなったわね。もう彼女とかできたのかしら?」

タツヤ「い、いないよそんなの……ホントだって!」
111以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 02:54:28.30 ID:2HsE+umF0
………………

−某所ファミレス−

杏子「で、結局全部話しちまったのか?」モグモグ

ほむら「あの子が魔獣をはっきり感知できるようになってしまった以上、いずれ解ることだったもの。魔法少女のことも話しておいた方がいいわ」ズズ…

杏子「いい加減『少女』ってトシでもねぇけどな私らも……」

ほむら「そう言うならいい加減きちんと就職でもしたらどう? 私が食べさせてあげるのも限度があるわよ」

杏子「そーゆーのは性に合わねぇっつってんだろ。大体、私まで働きだしたら誰が昼間っから魔獣退治するってんだ」

ほむら「……その点には反論できないけどね」

杏子「だろ? それにいくら金があっても、死ぬ時ゃ呆気なく死ぬもんさ……マミさんより運よく長生きできてるだけで、私らは人間じゃねーんだから」モグモグ

ほむら「……」カチャ

杏子「んな辛気くせぇ顔すんなよ、今更だろ?」

ほむら「……ごめんね。私だけこんな人並みの生き方をさせてもらって」

杏子「謝られる道理がないね。私は私に向いてる生き方をしてるだけさ。ほむらみたいに守りたい人間がいるわけでもないし、こっちの方が気楽だよ」
112以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 02:58:07.82 ID:2HsE+umF0
ほむら「……守りたい人がいるというのは、それだけで生きる力になるものよ。私の人生はずっと『守る』という一筋の生命線だけで続いてきたようなものだし」

杏子「まぁ、わからなくはないよ。私もガキの頃は正義の魔法少女に憧れてたからな……」

ほむら「今は違うの? なんだかんだで風見野まで面倒を見続けてるあなたは立派な正義の味方だと思うけれど」

杏子「よせって。私は私の気の済むようにやってるだけだっつってんだろ」

ほむら「そう……まぁ、そんな理由の方が杏子らしいわ」

杏子「だろ? というわけでごちそうさん」

ほむら「……杏子らしいわね、ホント」

杏子「いいじゃねぇか、いつまでも変わらないものがあるってのはよ!」ケラケラ

ほむら「全くもう……」

ほむら「(私も……変わっていないのかしら。変わったのは、私を取り巻く風景の方かもしれない)」
113以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 03:01:11.74 ID:2HsE+umF0
――数ヶ月後、夜の見滝原の街道

タツヤ「(やばい……図書館で勉強してたら真っ暗になっちゃったよ)」

タツヤ「こんな時は近道を……」ヒョイ

??『――――――』

タツヤ「……なんか、嫌な予感がする」

ズズズ……!

魔獣『――――!!』

タツヤ「ぅぐ……やっぱりか!」

魔獣『――――!!』ズズ…

ヒュン――ズバァッ!

魔獣『――――!!』シュウゥゥ…

杏子「――おいコラ、物騒なとこ寄り道してんじゃねーぞ」シュタッ

タツヤ「え……あ、この前のお姉ちゃん! えーっと確か……」
114以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 03:02:23.62 ID:eq5tJ+r70
おねえちゃんという歳でもないよな
115以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 03:03:01.86 ID:LUjZCt5z0
まどかに似て礼儀正しいんだよ
116以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 03:04:17.98 ID:2HsE+umF0
杏子「杏子だよ! っつかまたテメェか、前に痛い目見てんだからちっとは懲りろよな」

タツヤ「ご、ごめんなさい、急いでてつい……」

魔獣『――――!!』ズズズ…

杏子「ちっ、こういう時に限ってワラワラ湧いてきやがる……!」

タツヤ「ほ、ほむらは?」

杏子「あ? いつでもアイツがいるわけじゃねーよ。日中はこの杏子様が魔獣の相手してやってんだ、よッ!」ザンッ!

タツヤ「ひ、一人でも大丈夫なんですか?」

杏子「私はずっと一人で戦ってきたっての。つかお前邪魔だ、さっさとどっか行け!」

魔獣『――――!!』ズズズ…

杏子「クッソ、次から次に……どうなってんだ今日は!? テメェ疫病神か何かか!」

タツヤ「知りませんよ!」
117以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 03:07:38.13 ID:2HsE+umF0
QB「――運が悪いね杏子。まるでいつかの巴マミのようだ」

杏子「あぁ!? 状況把握はテメェの仕事だろが、どうなってんだおい!」

QB「魔獣の出現は天災の一種だ。君たちは運悪く局地的な禍の暴風雨に当たってしまった、というより説明のしようがないね。鹿目タツヤにとっては、ここ杏子が居合わせたのは不幸中の幸いだといえるが」

タツヤ「全然幸いじゃないってば! どうにかならないの!?」

QB「さっきほむらを呼び出したところさ。彼女が到着するまで5分少々はかかるだろう」

杏子「その5分が長いっての……うらっ!」

魔獣『――――!!』ズズズ…

杏子「ハァハァ……キリがねぇ……!」

タツヤ「いつの間にか取り囲まれてるよ……!」

杏子「(コイツを守りながら戦い続けるのはまずいな……私の武器じゃこの数を相手にし切れねぇ)」

杏子「……っち、だから誰かを守るのは苦手なんだよ」ジャキン

タツヤ「き、杏子さん?」
118以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 03:11:17.20 ID:2HsE+umF0
ドドドドド……ガキィン!

タツヤ「(わ、大きな槍が無数に……!)」

杏子「そっから動くんじゃねーぞタツヤ。もう私も全盛期じゃないからな、うまくいくかわかんねぇ」

QB「……その技はお勧めできないな杏子。昔ならともかく、今の君では下手をすると魔力が枯渇してしまうよ?」

杏子「なら他にどうしろってんだ。この小僧を見捨てて自分だけ生き残ったらハイおしまいってか? あとでほむらにぶっ殺されるっつーの。それに……」

タツヤ「……?」

杏子「私だってな……マミさんと同じ、正義の魔法少女なんだよ!」パンッ

ズオッ――ガガガガガァン!!

魔獣『――――!?』

魔獣『――――!!』

タツヤ「ぅわっ……!」
119以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 03:14:24.44 ID:2HsE+umF0
――ゴォォォ……

魔獣『――――』シュゥゥゥ…

タツヤ「ま、魔獣が……すごい!」

QB「流石だ……全盛期でなくともこれだけの威力とは……杏子、無事かい?」

杏子「――……っか、ハ……ったりめぇだろ……っ」ガクン

タツヤ「杏子さん!?」

QB「ギリギリだったようだね。長年培った魔力コントロール技術がなければ、今の一撃で君は消滅していたところだ」

杏子「へっ……杏子様を舐めんじゃねぇ」

タツヤ「杏子さん、ありがとうございます……!」

杏子「へいへい。感謝するなら飯でも奢りやがれ」
120以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 03:17:19.18 ID:2HsE+umF0
ほむら『――杏子、無事!?』

杏子『おーおー来るのが遅ぇんだよ。テメェの旦那は私が守っちまったぞ』

ほむら『……ありがとう杏子。すぐにそっちへ行くわ』

杏子「……案外悪くねぇもんだな、人を守るってのも」

タツヤ「え?」

杏子「なんでもねぇよ……――ッ!!」ピクッ

QB「!! 杏子、まだもう一匹――」

魔獣『――――!!』ズズ…

ドキュン!!

杏子「離れろッ!!」ドンッ

タツヤ「っ!?」
121以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 03:20:20.95 ID:2HsE+umF0
――パリィン!

ほむら「!!」

杏子「――ッ」ドサッ…

タツヤ「!」

ほむら「杏子ッ!!!」バシュン!

魔獣『――――!!』シュゥゥゥ…

QB「よし、今のが最後だ……杏子は!?」

杏子「――」

タツヤ「杏子さん!? どうしたんですか! ほむらが来てくれたよ! 杏子さん!」

ほむら「……きょ、う……こ……?」

QB「……ソウルジェムが……打ち抜かれている。残念だが、彼女の魂は破壊されてしまった」
122以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 03:23:23.92 ID:2HsE+umF0
ほむら「ウソ……杏子……杏子……!」ガクン

タツヤ「魂って……まさか、そんな」

杏子「――」

ほむら「杏子……一人にしないでよ……きょうこぉ!」

QB「ほむら、落ち着くんだ。君までソウルジェムを濁らせては……」

ほむら「だって……だってッ……!」

タツヤ「……」

ほむら「っ……ぅ、っうぅ、うぅぅぅううぅぅぅ……!」ポロポロ

タツヤ「……」

ほむら「ごめんなさい杏子……ごめんなさいぃッうぅ……」

………………
123以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 03:26:21.04 ID:2HsE+umF0
−ほむホーム−

ほむら「……悪いわね、みっともないところ見せてしまって」

タツヤ「……そんなこと、ないよ……」

ほむら「これで、見滝原を守る魔法少女は私一人になった……私の手に負えない分、これから物騒な事件が少し増えるでしょうね」

タツヤ「……」

ほむら「……また大切な人を守れなかった。やっぱり何も変わっていなかったのね……私は……何年たっても弱いままだったみたい」

タツヤ「ほむらは……僕を守ってくれたよ。杏子さんと一緒に僕を助けてくれた」

ほむら「……」

タツヤ「……ごめん、慰めにならないよね、そんなこと……」

ほむら「……杏子、最後に何て言ってた?」

タツヤ「……『人を守るのも悪くないな』って……確かそう、言ってたよ」

ほむら「そう……彼女には感謝しないと」
124以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 03:29:44.96 ID:2HsE+umF0
タツヤ「僕……ほむらの役に立てないのかな」

ほむら「……なぜ?」

タツヤ「だって……女の人に守られてばかりで、今日みたいに……何もできないままなんて僕、嫌だよ。あんな風にほむらが急にいなくなっちゃうなんて絶対に嫌だ。僕なんかでも……何か役に立てることがあるなら」

ほむら「…………本当にまどかと同じことを言うのね」

タツヤ「え、まどか……?」

ほむら「残念だけど、魔法少女の世界に一般人が介入する術はないわ。あなたは片足を突っ込んでしまっているようなものだけれど、本来なら関わらせるべきじゃなかった。杏子にも念を押されていた」

タツヤ「で、でも……」

ほむら「でも……そう、ね。私の勝手であなたを巻き込んでしまった私が今更そんなこと言えないわ。だから……」

タツヤ「……ほむら?」

ほむら「……もしこれ以上の我儘を許してくれるというなら……私にこんなことを言う資格がまだあるなら。今度こそ……あなたを守らせて」

タツヤ「でもそれじゃ僕が」

ほむら「違うの。これは私の我儘。私の身勝手な望み。あなたがもし私のために何かをしたいと思ってくれているのなら、どうかそのままのあなたで、私の傍にいて。私を……一人ぼっちにしないで……」ギュッ

タツヤ「ほ、ほむら……」
125以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 03:35:04.50 ID:W9Fs82p50
支援
126以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 03:43:04.23 ID:psDH06th0
支援
127以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 03:47:50.87 ID:psDH06th0
保守
128以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 03:58:03.82 ID:psDH06th0
保守
129バイバイさるさん:2014/04/07(月) 04:05:24.01 ID:2HsE+umF0
ほむら「……まどかにも昔、同じことを言ったわ。でもあの子は行ってしまった……あの子は私なんかより、ずっとずっと強くて優しい子だったから」

タツヤ「……ほむらは弱くなんかないよ。ほむらは強い人だって思う」

ほむら「そんなことない! 私は結局誰一人守ることができなかった……!」

タツヤ「違うよ……ほむらや杏子さんがずっと守ってくれたから、僕だってこうしてほむらと一緒に居られるんだよ」

ほむら「……私、は」

タツヤ「ほむらは、気が遠くなるくらいの間、ずっとまどかを守ってくれてたんでしょ? 弟だから、わかるよ……まどかはほむらのこと、弱いなんて絶対言わない。言えるはずないよ。何度くじけそうになっても、大切にしてくれてたんだもの」

ほむら「……」

タツヤ「きっと杏子さんだって……ほむらのことを本当に知っている人ならみんなわかってたはずだよ。ほむらがすごく強くて、優しい人だってこと。何度も何度もみんなを守ってくれてたんだってこと、知ってるはずだよ」

ほむら「……っ」

タツヤ「だから……そんなに自分のこと悪く言わないで。きっと誰もほむらを恨んでなんかないし、責めたりもしないよ。僕は少なくとも……ほむらのこと、すごく大切な人だって、思ってるから」ギュウ

ほむら「……。……」

ほむら「ありがと……タツヤ……」
130以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 04:08:56.92 ID:bZtlafnG0
支援
131以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 04:10:52.08 ID:2HsE+umF0
ほむら「(――気が付けば、まどかとの別れから実に15年が過ぎていた。本当にいろんなことが変わったけれど、やはり私は私のままだった)」

ほむら「(大切な人を失い、そして新しく大切な人を見つけた。でも肝心の私は弱い。また何もできないままいつか彼らを失ってしまうのか、怖くて堪らない)」

ほむら「(それでも……世界は希望と絶望を交互に生み出し続ける。そう……絶望の後には、必ず希望が生まれる。円環の理は人の想いを絶望で終わらせたりはしない)」

ほむら「(それがまどかの願い……この世界の誰よりも優しくて、誰よりも弱かった子の最後の願いだったのだから)」

ほむら「(私は弱い。やっぱり自分でそう思う。でも、大切な人を死ぬまで守り続けることならできる。私にできることなんて、結局それくらい)」

ほむら「(杏子は向いていないと言っていたけれど……私には『守る』ことしかできない。今は失ってしまった魔法少女のあの『盾』は、私のちっぽけな本質を体現していたのだろう)」

ほむら「(そして……私の魔法少女としての地力も、少しずつ弱まりつつあった。ただでさえ病弱で心臓を患っていた私の、さらに『少女』といえる年齢でもないが故の衰えが、インターフェースである肉体に影響し始めていたらしい)」

ほむら「(ただ一人私の事情をすべて知るタツヤだけが、私を密かに支えてくれていた。彼の傍にいる時だけ、私は素直に笑い、泣き、心穏やかにいることができた)」

ほむら「(それはまるで、まどかの傍にいるような温かさで……歳の差があるということを除けば、奇妙な依存関係にあった私たちが男女として意識し合うのも、ごく自然な流れだったのかもしれない)」

ほむら「(私は……きっと一人では生きていけないから。だから生きるために誰かを必要として、その誰かを守ることを必要とするのだろう。それが醜くも私にできるただ一つの必死な生き方なのだろう)」

ほむら「(私は弱い。多くの人を愛し、多くの人に愛されてきて、ようやく私はそんな自分を肯定することができた。私の人生を決められるのは、他でもない私しかいないのだと……)」
132以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 04:12:54.56 ID:LZDCFcde0
支援
133以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 04:15:37.52 ID:zwli27Iq0
追い付いた、杏子は魂が破壊されたから円環の理に体が回収されなかったのか…?
134以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 04:17:31.37 ID:psDH06th0
>>133
回収されるのは濁りきった時だけじゃなかっっけ?
支援
135以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 04:20:56.41 ID:zwli27Iq0
>>134
そうなのか…
136以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 04:23:25.20 ID:1wISnToH0
あんこちゃん、さやかのところには行けないのか
こんなのってないよ…あんまりだよ…
137以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 04:26:53.46 ID:bZtlafnG0
支援
138以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 04:27:12.98 ID:2HsE+umF0
――数年後

−鹿目家−

詢子「……いやー、長いことお前ら見てるとそんな気しかしなかったけどさ。そうか、いよいよかぁ。もう私もババァだもんな」

知久「その……こんなこと言うのもなんだけど、いいのかいほむらちゃんは? ウチの子まだ19だし、その……」

ほむら「問題があるとすれば私の方です。こんなに優しい人が、三十路にもなる私なんかを相手に選んでくれて、本当にいいのか……」

タツヤ「卑屈になるのやめてって言ったでしょ。それに僕は……」

ほむら「……何よ」

タツヤ「ぼ、僕はほむらが好きなの! それ以外に結婚したいと思う理由なんてないだろ」

詢子「はっはっは……若いねぇ二人とも。知久と会ったばかりのころ思い出すよ」

知久「ゾッコンだったからね……ママが、だけど」

詢子「はぁ? パパの方でしょ私にあんな情熱的に迫ってきたのは……」

タツヤ「いい加減惚気はいいから……あ、あと、その、事後報告で申し訳ないんだけど……」
139以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 04:30:20.07 ID:2HsE+umF0
………

詢子「……マジか?」

ほむら「はい。もう三ヶ月くらいだと」

知久「それって、そちらの親御さんは?」

タツヤ「ほむらがもう話したみたい。今度、僕も直接あいさつに行くつもりだよ」

詢子「お前……知久に似やがったのかそういうとこ。まぁお前らの関係だから許すけど、ちゃんと責任とれよ」

タツヤ「わかってる。だからちゃんと報告にきたんだよ」

知久「ほむらちゃんは……大丈夫なのかい?」

ほむら「はい……大切にするつもりです。私の……私自身から生まれた一番大切なモノですから」ナデ…

タツヤ「……」

詢子「……いい母親になりそうだね。ちゃんと支えてやれよタツヤ」

タツヤ「言われなくても」

知久「大人になったんだなぁ、二人とも……よしタツヤ、後で尻に敷かれるコツを教えてあげよう」

タツヤ「なんだよそれ……」
140以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 04:33:09.25 ID:SPAJKNC/0
そういや魔法少女って子供産めるんだろうか
あの年で時に違和感を持ってないってことは生理はあるんだろうけど
ジェムが体から離れたら生命活動は停止するし仮に産めるとしてもどうなるんだろう
141以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 04:35:10.15 ID:2HsE+umF0
−見滝原街道−

タツヤ「産休とかはとれそうなの?」

ほむら「会社の方はね。魔獣退治の方は……キュウべぇ?」

QB「代わりの魔法少女が来ればしばらくはなんとかなるだろう。でも突発的に魔獣が大発生した場合……佐倉杏子や巴マミのようなことにもなりかねない。ここはそういうことが多い土地だからね」

ほむら「……」

QB「とはいえ、今の君だってそもそも魔法少女として成熟しすぎているんだ。無理はせず人間の妊婦らしくしていた方がいいんじゃないかな。グリーフシードのストックはまだあるんだろう?」

タツヤ「……じゃ、しばらくはそっちの方もお休みだね」

ほむら「でも」

タツヤ「でももだってもないの。せめてこの子が生まれるまでは、他の魔法少女に任せよう? じゃないとほむらまで……」

ほむら「…………わかったわ」

QB「それにしても、妊娠した魔法少女なんて見るのは久しぶりだね。普通、魔法少女という存在はもっと短命なものなんだけど。君はどうにも多くの人たちに守られてきたようだね」

ほむら「えぇ。だからこそ自分の命の価値は理解してるわ……その軽さも、重みも……ね」

QB「しかし、妊娠しても胸の重さは変わっていないようだね。生物学的性徴からしても、不思議な現象だ」

ほむら「撃つわよ」
142以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 04:37:12.80 ID:LZDCFcde0
原作知らんからあれだけど
魔獣が出てからって新たに魔法少女が増えたりはしないの?
それだと戦いで死ななくても結局老衰で魔法少女が全員いなくなりそうだけど
143>>140 キニスンナ:2014/04/07(月) 04:40:14.75 ID:2HsE+umF0
………………

――数ヶ月後

−見滝原病院−

タツヤ「――順調に育ってきてるってさ。この調子なら後二、三ヶ月で出産できるらしいよ」

ほむら「よかった」

タツヤ「もうすっかりお腹も膨れてきてるね。身体は大丈夫?」

ほむら「えぇ、問題ないわ。少し身体が重いけど」ナデナデ

タツヤ「あはは……何か、僕にできることあるかな?」

ほむら「……そうね。できるだけ私の傍にいてちょうだい」

タツヤ「いつも一緒にいるじゃないか」

ほむら「それでもよ……結構大変なんだから、人の命を支えるのって」

タツヤ「……そっか。そうだね」

ほむら「ふぅ……。少し窓を開けてくれない?」
144以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 04:41:57.70 ID:bZtlafnG0
>>142
基本的にQBと契約して魔法少女になるので
QBがいて奇跡を願う少女がいる限り
魔法少女は誕生する。
145以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 04:45:08.02 ID:bZtlafnG0
支援
146>>142 キニスンナ:2014/04/07(月) 04:45:14.44 ID:2HsE+umF0
ほむら「もういつの間にか春ね。ほら、河川敷の方で桜が咲いてるわ」

タツヤ「ホントだ。綺麗だね。今夜あたりママがまた花見で酔っぱらってくるかな」

ほむら「でしょうね」

タツヤ「……ピンクかぁ」

ほむら「……まどか」

タツヤ「あ、やっぱり同じこと思った?」

ほむら「今でもよく覚えてるわ。可愛らしいピンク色の髪がぴょんぴょん跳ねるの」

タツヤ「…………そういえば、女の子かもしれない、ってお医者さん言ってたね」

ほむら「えぇ…………もしかして、あなたも?」

タツヤ「まぁ、なんとなく。というか、実は、最初からそう決めてた」

ほむら「……ふふ、私の方だけじゃなくて安心したわ」

タツヤ「てぃへへ、姉ちゃん怒るかな?」

ほむら「そんなことないわよ。……恥ずかしがるとは思うけれどね」
147以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 04:48:21.70 ID:bZtlafnG0
支援
148以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 04:50:37.18 ID:1wISnToH0
ほむらは「たっくん、ふーふーしてあげる」とか言ったりするんだろうか
149以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 04:51:18.88 ID:2HsE+umF0
………………

――さらに数ヶ月後

……タッタッタッタッタッタ

タツヤ「はぁっは、っげほげほ、あのっ、ほむらは!?」

看護師「あ、暁美さんですね! 一時間前に分娩室に入られました! すぐに行ってあげてください!」



医師「――よし、力んで! 思いっきり!」

ほむら「っつう、ううう、ううっ、ぐうウゥゥッ……!!」

医師「もっと思いっきり! 頑張って!」

ほむら「うぅ……ハァーッ、ハァーッ……うぐゥゥ……!」

ピピピピピ! ピピピピピ!

医師「くそっ、母体が予想以上に弱ってるぞ! 強心剤準備、帝王切開に切り替え! 急がないと母体がもたない!」
150以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 04:54:49.77 ID:bZtlafnG0
支援
151以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 04:55:28.65 ID:2HsE+umF0
バンッ

タツヤ「ほむらっ!!」

医師「旦那さん奥さんを励ましてあげて! 心臓がかなり弱ってるんです!」

タツヤ「……! ほむら! 僕だよ!!」ギュウ

ほむら「ハァ、ハァ、う、あうっううウゥゥゥゥ……!!」ギチ…

医師「奥さんもうちょっとだ! もうちょっとだけ頑張るんだ!!」

タツヤ「ほむら! がんばれほむら!!」

ほむら「っくあ、うううぅぅああ、あぁぁああぁッ!!」

医師「!! よし頭が出たぞ! 奥さん子供だ! あんたの子供だぞ!」

ほむら「ハァ、ああああっう、ふぅぅ、うううううううぅぅッ……!!」

タツヤ「ほむら! ほむ……」

――フギャアアァアァァ……!」
152以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 04:57:20.68 ID:LZDCFcde0
>>144
なるほど
とりあえず>>1がキニスンナって言ってるから気にしない事にしとく
153以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 05:00:40.77 ID:2HsE+umF0
ほむら「……っはぁ……はぁ……はぁ……」クテッ…

タツヤ「っほ、ほほむ、ほむら! やった! やったんだよほむら!! やったぁ!」

ほむら「…………マ、ドカ」

タツヤ「……!」

ほむら「ッ……マドカ……!」

タツヤ「……マドカ。マドカだよ、ほむら……!」

ほむら「…………」グッタリ

タツヤ「……ほむら? ほむら、ほむら!!」

医師「……! まずい、事後処置急げ! 強心剤早くしろ!」

………………

………

154以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 05:04:12.53 ID:bZtlafnG0
支援
155以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 05:05:11.11 ID:2HsE+umF0
――数日後

−見滝原病院特別病棟−

QB「――やぁ、調子はどうだい?」ヒョコッ

タツヤ「あ、キュウべえ……」

ほむら「……何しにきたの?」

QB「本当に自然分娩に踏み切るとはね。君は確かもともと心臓病を患っていたんだろう? 魔法でごまかすのも年齢的に限界があったはずなのに、よくやったものだよ」

タツヤ「知ってたなら助けに来てくれよ。出産後は本当に危なかったんだから……」

QB「残念ながら僕は戦いのサポートしかできないんだ、大目に見てくれ。で、その抱っこしてる子が君の子孫かい?」

ほむら「……えぇ、マドカ。『暁美 マドカ』」ナデ…

QB「まどか……いつか君が話していた名前だね。人間の赤ん坊としては申し分なく健康体のようだ。病弱な君から生まれたとは思えないよ」

ほむら「冷やかしにきたんなら帰ってよ」シッシッ

QB「そんなつもりは……おや、この子の視線はじっと僕に向いてるようだね。もしや魔法少女としての素質が」

ほむら「帰りなさい」

QB「きゅっぷい。とりあえず君の復帰はもう少し様子を見てからにするとしよう。じゃあまたね、ほむら」
156以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 05:08:22.00 ID:bZtlafnG0
支援
157以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 05:09:01.36 ID:0nKd5MWu0
支援
158以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 05:09:41.66 ID:W9Fs82p50
支援
159以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 05:10:18.45 ID:2HsE+umF0
コンコン

詢子「ほむらー? 見舞いにk……おおおおおおおおお」

知久「ママいきなりどうしt……おおおおおおおおお」

タツヤ「二人とも落ち着いてよ。まどか泣いちゃうだろ」

詢子「ま、孫だ! うっわぁ可愛いなぁ〜! まどか? この子の名前、まどかっていうのか?」

ほむら「はい……たくさんの人から愛された名前です。抱っこしますか?」

知久「おお……ほぉらまマドカ、おじいちゃんだよ〜。ふふふふふふふふふ」

詢子「ずりぃぞ知久! マドカ! おばあちゃん! 私がおばあちゃんだよマドカ!」

マドカ「ぅぁぁぁぁん」

タツヤ「あーもういきなり近づくから……おいでまどか」ヒョイ

ほむら「……」

タツヤ「あぁダメだ……やっぱりほむらがいいみたい」
160以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 05:11:04.74 ID:2HsE+umF0
ミスった
×「おいでまどか」→○「おいでマドカ」
161以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 05:12:49.26 ID:W9Fs82p50
苗字は暁美のほうになったのね
162以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 05:13:32.25 ID:Dhr7PX5R0
婿入りか
163以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 05:15:55.54 ID:2HsE+umF0
ほむら「マドカ? よかったね〜家族みんなに会えて」ナデナデ

詢子「いや〜……孫ができた感動もひとしおだけど、こうしてみるとほむらが母親になった感動のが強いな」

知久「そうだね……なんというか、すごくほむらちゃんらしいよ。とっても幸せそうだ」

ほむら「……」

タツヤ「ほむら? どうしたの?」

ほむら「うぅん。ただ……今まで生きてきて、本当に、ホントによかったなって……」

ほむら「人って、不思議な縁でつながっていって、人は人と一緒にこうして幸せになるんだって……人が幸せそのものなんだってわかったの」

ほむら「まどか、さやか、マミさんや杏子。タツヤと、鹿目さんたち。私の両親。他にもいろんな大切な人たちからもらったものを私はずっと守り続けてきた」

ほむら「本音を言うとね。それも辛いことばかりだった。絶望ですべてが終わるんだって、私自身が何も信じられなくなったこともある」

ほむら「それでも……だからこそ私の人生は……最高に幸せだって。今ではこんなにも希望にあふれているよって、あの子にも胸を張って言える気がするの」

タツヤ「……ほむらって難しいこと考えてるけど、うん、そっか。きっとそうなんだろうね」ニコ

マドカ「ぁーぅぁー」

ほむら「……ね? マドカ」ニコ
164以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 05:19:45.74 ID:bZtlafnG0
支援
165以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 05:20:21.36 ID:2HsE+umF0
………………

――深夜

−見滝原病院−

ほむら「……すー……」

マドカ「……」

――ズズ…

??『――――』

??『――――』

ほむら「……ん……」

ほむら「(ッ!! これは、瘴気……魔獣!?)」ガバッ

魔獣『――――!!』ズズ

ほむら「っく――!?」シュンッ バシュン!

魔獣『―――ー!!』ズズズ…

ほむら「(……一撃で、倒せない。出産で肉体が極度に弱ってる……!)」
166以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 05:23:48.85 ID:W9Fs82p50
支援
167以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 05:25:20.73 ID:2HsE+umF0
魔獣『――――!!』

ほむら「(守らないと……守る? この子だけを? いえ……)」

マドカ「う……ぅぅぅえ」

ほむら「マドカ!」ガバッ

魔獣『――――!!』

ほむら「ハァッ、ハァッ……!」

ほむら「(出産の疲労で、肉体が動かない……でも)」

ほむら「……この子には指一本、触れさせないわよ……ッ!!」バシュン! バシュン!

魔獣『――――!!』シュゥゥゥ…

ほむら「一匹……な、わけないわよね……っく」

魔獣『――――!!』ズズズズ……

ほむら「(このままじゃこの病院に……他の子供たちにも被害が及ぶ……っく)」

ほむら「……マドカ。ママから絶対に離れないでね」ダッ
168以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 05:29:04.40 ID:bZtlafnG0
支援
169以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 05:30:13.77 ID:2HsE+umF0
−病院外緑地−

魔獣『――――!!』ズズ…

ほむら「ハァ、ハァ……そう……私を追ってきなさい。今の私になら、勝てるかもしれないわよ……!」

魔獣『――――!!』ドキュン!

ほむら「ッくぁ……!」

ほむら「(そうだ、今の私に盾はない……戦うことでしか誰かを守れない!)」

ほむら「マドカ……ちょっと、ちょっとだけ……ここに居てね」スッ…

マドカ「ぁーぅ、ぁーぁー!」

ほむら「(このままじゃ病院にも被害が出る……そんなのさせるものですか!)」

ゴゴゴゴ…

魔獣『――――!!』

魔獣『――――!!』

ほむら「……かかってきなさい。命に代えてもこの子には手を出させないわよッ……!」
170以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 05:33:36.77 ID:W9Fs82p50
支援
171以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 05:35:12.19 ID:2HsE+umF0
――同時刻

−鹿目家−

タツヤ「Zzz……」

『―――ヤ――』

タツヤ「うぅ〜ん……」ゴロ

『タツ……ヤ……』

タツヤ「……ほ、むら……?」

『……ごめんなさい……タツヤ……』

タツヤ「……――!?」ガバッ

タツヤ「え、ほむ…………ほむら?」キョロキョロ

タツヤ「(な、なんなんだ今の。嫌な予感しか……まさか!)」ダッ
172以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 05:38:21.38 ID:bZtlafnG0
支援
173以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 05:40:10.19 ID:2HsE+umF0
ドキュン!

ほむら「あがっ……! ぐああう……!」ドサァッ

魔獣『――――!!』

魔獣『――――!!』ズズ…

ほむら「(あ、脚が……左腕がどこかに……目が……ぼやける)」

ほむら「(何年も戦っていなかったうえにこの体じゃ……もう)」

マドカ「ふぁぁぁぁぁぁん! うええぇぇぇぇ!」

魔獣『…………』ズズズ……

ほむら「!!!」

ほむら「その……その子には」

魔獣『!!』

ほむら「触れるなぁああああああああ!!!!」バシュンバシュンバシュン!!

魔獣『――――!!』
174以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 05:42:51.80 ID:W9Fs82p50
支援
175以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 05:45:51.17 ID:2HsE+umF0
………………

ほむら「……は……ぅ……」ズル…ズル…

マドカ「ぅえぇぇぇぇぇ」

ほむら「マ、マドカ……」

ほむら「……血、が……」ゴシゴシ

マドカ「ううぅぅ……ぅぅー……」

ほむら「もう、大丈夫……ママが、守っゴホッ……げたから、ね」ビチャ…

マドカ「むぁー。あーむー」

ほむら「……よかった。本当に……よか、った……」ズル…



タツヤ「はぁはぁ……ほむら!? ほむらどこ!? マドカぁ!」

タツヤ「――あ、ほむら……ッ!!」ダッ
176以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 05:49:45.24 ID:bZtlafnG0
支援
177以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 05:50:13.16 ID:2HsE+umF0
マドカ「んまーぅゅ」

ほむら「……ふふ……笑うと、あの子……そっくり……」

ほむら「……ごめんねタツヤ……最期に会いたかったな…………」

ほむら「……ねぇ……まどか」

ほむら「今度は、私……まもれた、かな……?」シュルリ

ほむら「あなたのこと……ちゃんと守ったよ……?」

ほむら「約束……まもったん、だよ……」

ほむら「ねぇ…………」キュ

ほむら「……まど……ヵ…………」シュゥゥゥ…
178以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 05:53:52.98 ID:bZtlafnG0
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179以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 05:56:58.83 ID:bZtlafnG0
支援
180以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 06:01:09.40 ID:2HsE+umF0
――――――

―――



―― ほむらちゃん



―――

――――――
181以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 06:04:11.36 ID:bZtlafnG0
支援
182以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 06:06:10.61 ID:2HsE+umF0
シュウゥゥ……パァッ! サラサラサラ……

タツヤ「!……」ハァハァ

タツヤ「……マドカ」ザッ ザッ

マドカ「ぁー、んー」

タツヤ「……赤い、リボン」

タツヤ「……」

タツヤ「……ほむ、ら……」

………………

………

183以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 06:09:20.43 ID:bZtlafnG0
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184以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 06:11:14.45 ID:2HsE+umF0
――十数年後

−鹿目家−

タツヤ「さ、行ってらっしゃい」

詢子「お? マドカぁ〜、そのリボン超似合ってんじゃん。流石はほむらの娘だな。黒髪が映える!」

マドカ「えー、ちょっと派手すぎないかなぁ?」

詢子「へ、女の子はそれくらいがいいもんさ。つっても若い時だけだがよ……」

知久「はいはい、マドカ。水筒忘れてるよ」

マドカ「あ、ありがとおじいちゃん!」

タツヤ「今日は帰ったら向こうのおじいちゃん家に行くからね。早く帰っておいで」

マドカ「うん、行ってきます!」

詢子「っておめぇも出社時間じゃねェか。ほれさっさと行け」ドンッ

タツヤ「わかったわかった。パパ、帰りマドカ迎えに行ってあげてね」

知久「わかってるよ。お前も気を付けてな」

タツヤ「ん。行ってきまーす」
185以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 06:14:30.10 ID:bZtlafnG0
支援
186以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 06:17:20.72 ID:2HsE+umF0
QB「やぁ暁美タツヤ。マドカの調子はどうだい? 魔法少女としての素質は順調に育っているようだが」

タツヤ「君はそればっかりだな……言っとくけど魔法少女にはさせないよ」

QB「あの子が望まない限り、だろう? 本人の意志を否定することはできないよ」

タツヤ「……さぁどうかな。なにせ僕のオムツまで取り替えたことのある、あのほむらの子だよ? そう簡単にはいかないさ」

QB「それは困るね。では今日も帰りがけに一言誘ってみるとしよう」ヒョコッ

タツヤ「ったく……変わらないな。みんな……」

サァァァッ……

タツヤ「変わったとしたら……この見滝原の風景の方なんだろうな」

タツヤ「(……ほむらは、円環の理に導かれた。『まどか』のところへ行ったんだ。ずぅっと行きたかった大好きな人のところへ)」

タツヤ「(寂しくないと言ったら……嘘になる。でもまどかが遺したこの世界で、最期まで戦ったほむらがいて。そして彼女はマドカを遺していった。だから僕は、彼らがいたことの意味をけっして忘れたりしない)」

タツヤ「(忘れないさ。どんな時でも誰かが僕たちのためにこの世界を守ってくれて、そんな人たちを僕たちが支えているんだ。そのつながりが人の幸せだと……彼女はそう言っていた)」
187以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 06:18:05.53 ID:2HsE+umF0
『――がんばって』

タツヤ「……!」

タツヤ「……うん」

タツヤ「(この意志は受け継がれていくだろう。まどかが願った世界の意志、人の意志は。永遠に切れることなく、この世界を守り続けてくれている)」

タツヤ「(それを覚えてる。伝えていく。彼女たちが守りたかったものを、僕たちだって守っていくんだ。きっと、いつまでも……変わらないままで)」
188以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 06:20:41.32 ID:2HsE+umF0
くぅ〜疲れましたw これにて完結です!
実は、脱糞したら熟女ほむらの話を持ちかけられたのが始まりでした
本当は脱糞してなかったのですが←
ご厚意を無駄にするわけには行かないので流行りの妊娠ネタで挑んでみた所存ですw
以下、まどか達のみんなへのメッセジをどぞ

まどか「みんな、見てくれてありがとう
ちょっと腹黒なところも見えちゃったけど・・・気にしないでね!」

詢子「いやーありがと!
私のかわいさは二十分に伝わったかな?」

マミ「見てくれたのは嬉しいけどちょっと恥ずかしいわね・・・」

杏子「見てくれありがとな!
正直、作中で言った私の気持ちは本当だよ!」

ほむら「・・・ありがと」ファサ

では、

まどか、詢子、マミ、杏子、ほむら、さやか「皆さんありがとうございました!」



まどか、詢子、マミ、杏子、ほむら「って、なんでさやか(ちゃん)が!?
改めまして、ありがとうございました!」

本当の本当に終わり
189以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 06:23:50.11 ID:bZtlafnG0
支援
190以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 06:25:48.64 ID:bZtlafnG0
>>188
やめろーwwwwwwwwwww
おまえがさやかが嫌いなのはわかった。

まあなんにせよひさびさに本格的な
まどかSSが見られて満足だ乙。
191以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 07:27:09.77 ID:lyveAAQV0
よかった
192以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 07:50:52.36 ID:bL0I8fqR0
おつ
あんことほむほむエンカンに行けてたらいいな
193以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 08:20:00.41 ID:P/iymewk0
おつ
194以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 08:28:08.86 ID:d5R+fTEs0

朝まで残ってて良かった
195以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 09:03:21.02 ID:ViK3y5Aj0
感動した
196以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/04/07(月) 09:20:05.67 ID:W9Fs82p50
完結してたか
197以下、転載禁止でVIPがお送りします

マミさんと杏子は円環の理に導かれなかったのか…