にこ「真姫ちゃん、今週の恋人代がまだなんだけど」

真姫「ヴェぇ！？　そ、それはっ……」

にこ「もしかして用意できてないの？」

真姫「そう、だけど……でも、まだ木曜でしょ！？　明日持って来ればいいのよね！？」

にこ「先週持って来たのが木曜だったから今日で1週間でしょ」

真姫「そ、そんな厳密じゃなくてもいいじゃない！」

にこ「ダーメ。そう言って以前持って来なかったこと、にこは覚えてるからね」

真姫「あれは連休に入っちゃったんだから仕方ないじゃない！」

にこ「ふぅん……じゃあ今回はどんな理由があるの？」

真姫「今朝用意しようと思ったんだけど、ママに見られて……」

にこ「なにそれ。にこのことが本当に好きだったらそんなの関係ないでしょ」

真姫「だ、だってぇ……！」

にこ「というわけで、今日はキス禁止ね。明日持って来なかったら来週まで延長だから」

真姫「そ、そんなぁ……」

にこ「にことラブラブしたかったら恋人代を持って来ることね」

真姫「わかったわよ……でも手をつなぐのはいいでしょ？」

にこ「どうしてそうなんのよ」

真姫「き、キスは恋人同士じゃないとしないけど、手をつなぐくらいだったら友達でもするでしょ？」

にこ「……ま、それもそうね」

真姫「じゃあ帰りましょ」

にこ「あ、でも流れでハグとかしたらダメよ。1週間キス禁止にするからね」

真姫「し、しないわよっ！」

にこ「ホントかなぁ〜？　真姫ちゃんムッツリなんだもん」

ふむ

海未「……ことり、聞こえましたか？　今の」

ことり「うん。恋人代がどうとか言ってたね」

海未「恋人代とはなんなのでしょうか」

ことり「たぶん、お金じゃないかな……」

海未「真姫がにこにお金を渡しているということですか？　どうして？」

ことり「真姫ちゃんはにこちゃんと別れたくないから、お金でつなぎとめてるんだと思う」

海未「それでは援助交際と変わらないじゃないですか！」

ことり「それだけにこちゃんのことが好きなんだよ、真姫ちゃん……」

いいぞいいぞ

うむ

続けたまえ

たしかに

海未「にこは真姫を弄んでるんですね……挙げ句の果てにお金まで要求するなんて……」

ことり「あ、あくまで私の推測だよ？　まだそうだって決まったわけじゃないし」

海未「そうですね……私もμ'sのメンバーにそんな卑劣な人間がいるとは信じたくありません」

ことり「うん。普段あんなに仲良さそうにしてるんだもん。きっと私達の誤解だよ」

海未「……明日、にこに聞いてみましょう。間違いであることを信じて」

ことり「でも、海未ちゃん……もし本当だったらどうするの……？」

海未「そのときは……私はにこを許すつもりはありません」

いいよいいよ〜

ほ

翌日

希「にこっち、また真姫ちゃんに恋人代請求したんだって？」

にこ「なによ、真姫ちゃんに聞いたの？」

希「うん。今朝昇降口で会ってな、もう親にバレないようにするのが大変って愚痴ってたで」

にこ「ハッ、親なんて気にしてるからダメなのよ。にこは小さい頃からしてたってのに」

希「まあ真姫ちゃんの家は厳しいからねぇ」

にこ「関係ないっつーの。結局真姫ちゃんが意気地なしなだけでしょ」

希「にこっちは厳しいなぁ」

にこ「にこのためを思うならそれくらい当然でしょ」

ほう

希「それでちゃんと足りてるん？」

にこ「ぜーんぜん。てんでダメ」

希「あらら、そりゃ大変やね」

にこ「まあ見てなさいって。そのうち希に分けてあげるから」

希「期待できるん？」

にこ「真姫ちゃんはにこにゾッコンだから大丈夫よ。ちょっと厳しいこと言えば本気になるでしょ」

希「にこっち怖いなぁ」

にこ「その代わりちゃんとご褒美あげてるからいいのよ。真姫ちゃんもうメロメロなんだから」

希「アメとムチやね。にこっちも策士やなぁ」

にこ「アンタほどじゃないけどね」

ことほのうみえりのぞにこまきりんぱな

真姫ちゃん可愛い

希「ウチは別になんもしてないよ？」

にこ「どうだかねぇ……毎日絵里が頭抱えてるのはアンタのせいでしょ」

希「そんなことないって。それよりもにこっち、行かないでいいん？」

にこ「ちょうど今メール来たわ。部室だって」

希「お裾分け、期待しないで待っとるね」

にこ「そこは期待しときなさいよ……じゃあ行ってくる」

希「ん、行ってらっしゃい」

徳井最低だな

海未「希！」

希「あれ？　どうしたん？　珍しいやん」

海未「今、にこと話してましたね！？」

希「え？　まあ話してたけど」

海未「しかも……恋人代の話をしてましたね？」

希「……聞こえてたん？」

海未「盗み聞きは悪いと思ったのですが……でも真姫のためですから。恋人代について、知ってることを全部教えてください」

希「はぁ、バレてもうたか……まあ海未ちゃんなら平気かな」

海未「どういう意味ですか？」

希「全部教えたげるからついてきて」

ワクワク

そこで援交ですよ

部室

真姫「は、はい、にこちゃん……あ、あ〜んっ」

にこ「あむっ」

真姫「ど、どう……？」

にこ「……ダメ。全然ダメ。不味い」

真姫「そ、そこまでじゃないでしょ！？　今日のはそれなりにできた方よ！」

にこ「砂糖入れすぎで甘ったるいし、焦げまくりだし、卵焼きって呼べないわよこんなの！」

真姫「し、仕方ないじゃない！　ママが起きてきたから早く焼こうと思って強火にしたのよ！」

にこ「なんでそんな親の目気にしてんのよ！　素直に教えてもらえばいいでしょ！」

真姫「い、イヤよ！　お弁当作ってるとこ見られただけで恋人できたのかって聞かれるんだから！」

にこ「事実なんだからいいでしょ！　恋人のためにお弁当作ることのなにが恥ずかしいのよ！」

真姫「恥ずかしいわよ！　だ、大体なんなのよ、あ〜んって！　これが1番恥ずかしいのよ！」

にこ「はぁぁっ！？　会うたび会うたびキスしたがるくせになんでこんなので恥ずかしがってんのよ！」

真姫「き、キスはいいのよ！　にこちゃんだって断らないじゃない！」

にこ「だったらあ〜んだって余裕でしょ！」

あーん、スト様〜

海未「あの、これは一体……？」

希「恋人代ってのはつまりな、真姫ちゃんが料理上手くなるようににこっちが出した課題なんよ。週に1回お弁当作ってくることって」

海未「なぜそのような課題を……」

希「卒業して同棲はじめたときにお互い料理できないと絶対困るからってことらしいで？」

海未「ど、同棲！？」

希「ウチも気の早い話だと思うけど、当の本人達は大真面目なんよ」

海未「その割には真姫の料理は上達してないようですが……」

希「真姫ちゃんは料理嫌いやからね。最初はサボりがちだったからペナルティまでついたらしいで。キス禁止とか、家デート禁止とか」

海未「なるほど、それが昨日の……」

支援

海未「はぁ……心配して損しました」

希「なにを心配してたん？」

海未「いえ、その……恋人代と言うから私はてっきり援助交際のようなことをしているのかと」

希「ああ、それであんな怖い顔してたんやね」

海未「はい……はぁ、なんだか気が抜けてしまいました」

希「まあ見てのとおりラブラブだから大丈夫やで。むしろ鬱陶しいくらいやし」

海未「そうみたいですね……これは真姫が隠したがるのも納得できます」

希「こんなの知られたら学校に来れないってことで、μ'sのみんなにも教えてないんよ」

いいぞ〜

希「じゃあ教室戻ろか」

海未「はい、そうしましょう」

希「あ、くれぐれも他の子には内緒でな。特に穂乃果ちゃんと凛ちゃんには」

海未「ことりにだけは話してもいいですか？　実はことりにこのことを相談していて」

希「うん、ことりちゃんなら大丈夫やない？」

海未「ありがとうございます。しかし、恋人代ですか……あの2人も面白いことを考えるんですね」

希「えっ？　あー、まあ、うん……そやね」

海未「どうかしましたか？」

希「んーん、なんでもない」

�C

お金の関係じゃなくて良かった

放課後

絵里「ちょっと希。今週の恋人代はどうしたの？　もう金曜日よ？」

希「あ、ごめんごめん。忘れてもうた」

絵里「また！？　本当にやる気あるの！？　もう卒業まで時間ないのよ！」

希「んーでもやっぱりエリチにはできたてを食べてもらいたいやん？」

絵里「またその言い訳……もう聞き飽きたわよ」

希「エリチがウチに泊まりに来てくれたら、ウチも腕によりをかけて作るんやけどなぁ？」

絵里「……そう言うと思って、お泊まりの準備してきたわよ」

希「さっすがエリチ、話が早くて助かるで」

絵里「本当に調子いいんだから……」

希「ねぇエリチ……たくさん食べてってな？」

絵里「……バカ希」


おわり

ふぇ

むしろお金の関係の方が興奮する