1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
※叛逆ネタ
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 17:22:54.95 ID:78PqFAyu0
―学校―
和子「……人の一生とは、つまるところプレゼントの応酬です」
和子「考えてもごらんなさい。私達は常に誰かから何かを貰い、誰かに何かをあげて生きています」
和子「おうちの方が作ってくれるご飯。先生方から教わる授業。
家族や友達への親愛。ペットに与える缶詰とボール……」
さやか「……?」
和子「親と子供、主人と使用人、勤め人とお客さん、役者と観客……」
和子「空中で回るコインのように、次々と向きを変えながら……私達は、貰って贈る一生を廻り続けているのです」
杏子「…………」ムニャムニャ
和子「……しかし! しかしですね、皆さん!」バンッ
まどか「!?」ビクッ
和子「だからと言って、人の心の、人の一生の価値は!
何を貰ったとか何を贈ったとか、そういうことには一切左右されません!」バンッ
和子「ましてや、これはゴヂバじゃないから本気じゃねーとか、手作りってちょっと重くね? とか!
今年は14個も貰っちゃったぜーとか、俺なんかたったの10個だよとか!
先生ー、ほら、こんなに貰っちゃったんで、食うの手伝ってくれません? とか!」
和子「たかがプレゼントでその人の価値を決めようなど! おこがましいにもほどがある! でしょう!?」
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 17:24:49.77 ID:78PqFAyu0
ほむら「…………」
仁美「…………」
さやか「……は、はぁ……」
和子「……というわけで。あの忌々――いえ、ワクワクなバレンタインデーまで、あと一週間を切りました。
当日は休日ですけども、一応……校則上、学校への菓子類持ち込みは禁止されています」
和子「ですので、『そういう』応酬は、どうぞ私の視界に入らな――いえ、目の届かない所で……」
キーンコーン、カーンコーン…
和子「……あら、もう終わり?」
和子「……えー、それでは、帰りのホームルームを終わります。はい、号令ー」
中沢「きりーつ、礼ー」
ガタンガタンガタン
全員「さよーならー」
和子「はい、さようなら」
ガヤガヤガヤ…
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 17:27:48.93 ID:78PqFAyu0
恭介「…………」ガタッ
中沢「お、上条。直帰か?」
恭介「うん。もうすぐコンクールだしね。……それじゃ」
中沢「おう、じゃーな」
仁美「…………」
さやか「飛ばしてたなぁ、もう……」
まどか「え? ……あ、さっきの先生?」
杏子「今までの鬱憤とかあんだろ、色々」
まどか「そうなの? 早乙女先生、やさしくてモテそうなのに……」
さやか「それがそうでもないんですなぁ。優しいだけじゃ駄目ってことよ」
杏子「バレンタインか……なぁ、アメリカでもやっぱりチョコとか送ってたのか?」
まどか「ううん、ほとんどカードだったよ。あと、ほんとうに安いお菓子とか……
あ、あと、基本的には男の子の方からプレゼントするの」
松崎しげるクロス?
6 :
>>5すまん違う:2014/02/14(金) 17:30:51.74 ID:78PqFAyu0
杏子「へぇーっ、いいなぁ、やっぱ貰う方が嬉しいもんな。あたしもアメリカに生まれたかった」
さやか「……何だろ、ニューヨークの下町に不良のボスとして君臨してそう」
まどか「あぁー……分かるかも」
さやか「右足だけで立って踊ったり、自動車チキンレースにのめり込んだりね」
杏子「どっちも死ぬ奴じゃねーかコラ」
まどか「てぃひひ……あ、でも杏子ちゃん、意外と似合うかも。愛に殉じちゃう不良系」
杏子「んだよそれー、適当なこと言うなよな」ハハハ
まどか「ほんとだよー、あの時だって、魔女になったさやかちゃんと――
…………あれ?」
さやか「ん?」
杏子「……へ?」
まどか「……あれ……? 魔女、って……そう言えば……あれ……?」
ああ、すまん松崎しげるは愛のメモリーだったか
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 17:34:00.29 ID:78PqFAyu0
ゴゴゴゴゴゴゴ…
さやか「!?」
杏子「な――」
まどか「……そうだ……わたし、やらなきゃいけな――」
円環『呼ばれて飛び出てドッギャァーン! それじゃあ早速覚醒と――』ニョキッ
ほむら「せいっ!」ドガッ
円環『あぐぅっ』シュゥゥン
まどか「……あれっ?」ピタッ
ほむら「はぁ……はぁ……危なかった……」
杏子「ほ……ほむら?」
ほむら「――まどかっ!」ガシッ
まどか「ひぇっ!?」
SS速報でやれ
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 17:37:59.33 ID:78PqFAyu0
ほむら「いい? あなたは見滝原生まれのアメリカ育ち、だいたい半年前に見滝原に帰ってきたプリティ帰国子女!
忘れてないわね? 忘れないでね!? ドゥーユゥーリメンバー!? アンダスタァン!?」ユサユサ
まどか「わっ、分かった、分かったから! 揺らさないでほむらちゃん!」
ほむら「それと、さっきの羽生やしたピンク髪、邪神以外の何物でもないわ。
ほっとくと体内に取り込まれて、京都に降り立って亀と殺し合う破目になるわよ! 何言っても耳を貸さないこと!」
まどか「は、はぁ……」
ほむら「……忘れないで。あなたは、ありのままのあなたでいればいいの。そんなまどかが一番好きよ」
まどか「えっ、あ、うん」
さやか「さらっととんでもないこと言ったよコイツ」
ほむら「それと、チョコはミルクとビターとホワイト、どれが一番好きかしら」
まどか「へ? え、えーっと……ホワイトかなぁ、どっちかって言うと……」
ほむら「了解したわ、期待しててちょうだい。……それじゃあ、また明日」タタタタ
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 17:40:50.91 ID:78PqFAyu0
杏子「……相変わらず忙しいな、アイツ」
さやか「ホント、今度は何企んでんだか……」
まどか「…………」
さやか「……あ、そうだ。チョコって言えばさ、まどかは誰かにあげたりするの?」
まどか「うん。パパとママと、あと友達みんなにあげようかな、って……」
さやか「ほほー……それじゃ、気になる男の子はナシ、と」
まどか「ええっ!? え、えと……まあ、うん」
杏子「さやかだって似たよーなもんだろ? 毎年毎年、知り合いにバラまくだけバラまいてさぁ」
さやか「人を節操無しみたいに言うな! ちゃーんと手作りしてるんだからね。
人のおこぼれをムシャムシャやるだけの、どっかの誰かさんとは違うんですよーだ」
まどか「へぇー……でも、すごいよ。手作りなんて」
さやか「なーに、超カンタンだよ、あんなの。……あ、そうだ! まどか、今度の土曜にさ……」
仁美「…………」
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 17:43:54.47 ID:78PqFAyu0
―夜、志筑家―
仁美「…………」ピッピッ
To:上条恭介
Sub:よろしければ
―――――――――――――
上条君、お元気ですか?
最近、上条君とゆっくりお話ができていなくて、
さびしいです。
もしお時間があれば、明日の放課後、どこかで
お食事でもしませんか?
仁美「…………」
仁美「……えいっ」ピッ
またスクリプトで何日も延々保守するつもりですか^^;
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 17:46:54.49 ID:78PqFAyu0
―上条家―
ヴァァ―― プツッ …ファァ――ン…
恭介「……っとと……またここか」
恭介(……参ったな、そんなに難しい所でもないのに)
恭介「…………」
ヒョロロロロロ……ピョロッ
恭介(ここも……もう少し、丁寧にやらなきゃ……)
携帯『チャーン チャンラーンチャーラー♪』
恭介「……ん?」ピッ
恭介「…………」
恭介「…………」ピッ、ピッ
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 17:50:13.77 ID:78PqFAyu0
To:志筑さん
Sub:Re:よろしければ
―――――――――――――
ごめん、明日はバイオリンの先生の所で
レッスンする予定が入ってるんだ。
コンクールの本選が今度の14日にあるから、
それが終わったらデート、っていうのはどうかな?
恭介(……ごめん、志筑さん……)
恭介「…………」ポチッ
恭介(……急がなくちゃ……もう、あまり日数も……)
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 17:52:54.99 ID:78PqFAyu0
―翌日、通学路―
さやか「へぇーっ、恭介、そんなに切羽詰まってるんだ」
仁美「はい……やっぱり、お邪魔だったかしら……メールなんて」
さやか「ったくもう、あいつもワガママだよねぇ。こーんなに美人の彼女がいるのにさ」
仁美「そんな……それに、私の方こそワガママばっかり……」
まどか「学校でも、なんだか忙しそうだもんね……上条君」
さやか「昔っからそうなんだよねー、ナチュラル・ボーン・ヴァイオリンバカ、っていうか。
一度熱中しちゃうと、そのことしか手につかなくなっちゃう感じ」
仁美「…………」
さやか「それに、マトモに女の子と付き合ったの、たぶん仁美とが初めてだしさ。
女の子のキビとかキモチとか、いまいち分かってないんじゃないかな?」
杏子「だろうな。さやかはほとんど男友達だったらしいし」
さやか「うっしゃ、オモテ出ろ」
杏子「既にオモテ歩いてんじゃねーか」
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 17:53:30.43 ID:ipctNqhr0
よっしゃ仁恭やんけ
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 17:55:58.73 ID:78PqFAyu0
仁美「……でも、羨ましいですわ」
さやか「え?」
仁美「さやかさんと話している時の上条君、すっごくリラックスしてる気がします」
さやか「……どうかなー、気が抜けてる、って言うんじゃない? アレ。
男子ってさ、好きな女の子の前じゃ、もう少しカッコつけると思うよ」
仁美「…………」
杏子「けどさ、外で会えないのは分かるけど……じゃあ何で、学校の中で話したりしないんだ?
メシでも誘えばいーじゃんか」
仁美「え? ……まあ、その、それは……そうなんですけど……
最近、ときどき凄く険しいお顔をなさってますし……無理に誘うのも、なんだか……」
さやか「ちっちっち、いけやせんぜお嬢様。あいつ、見た目通りの草食朴念仁だしさ。
もっとグイグイ、押していかなきゃ!」
仁美「そう……ですか……いえ、でも……」
さやか「……! そうだ仁美、今日の昼休みにさ……」
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 17:58:54.86 ID:78PqFAyu0
―昼休み、教室―
キーンコーン、カーンコーン…
恭介(さてと……)ガタッ
中沢「まーた1人飯かよー、上条」
恭介「仕方ないだろ、パパっと食べて音楽室に……」
中沢「お前さぁ……志筑さんはいいのかっての」
恭介「! あ、ああ……」
中沢「最近、全然一緒にメシ食ってねーじゃん」
恭介「……大丈夫だよ。コンクールが終われば、また……」
中沢「はいはい……ったく、なんでこんな奴ばっかり……」ブツブツ
さやか「恭介ー」
恭介「ん? ああ、さやか」
さやか「お昼さ、よかったらあたしらと一緒に食べない?」
中沢「!?」
恭介「え? あたしら、って……」
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 18:01:59.62 ID:78PqFAyu0
さやか「えっと、あたし、まどか、杏子と……あと、仁美も」
中沢(ハーレムじゃねえかこん畜生!)
恭介「! い、いや……悪いけど、すぐにでも練習したいんだ。だから……」
さやか「いやいや、忙しいのは分かるけどさー、あんまり根詰めるのもよくないんじゃない?
息抜きも大事でしょ? ね?」
恭介「……でも……女の子ばっかりなのに、邪魔するのも……」
中沢「なにボンクラこいてんだこのED野郎」ボソッ
さやか「ん? あ、じゃあ中沢も来る?」
中沢「!!?」
恭介「え?」
さやか「まあ確かに、ウブな恭介クンなら照れまくっちゃうかもしんないしねー?
友達と一緒の方が気楽でしょ。こっちも賑やかな方がいいし……」
恭介「……誰がウブだよ、もう……悪いけどさ、今はそんな冗談に――」
中沢「よし、行こう上条」ガタッ
恭介「えっ……」
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 18:04:28.77 ID:IZsTA3vK0
し
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 18:05:53.49 ID:78PqFAyu0
さやか「さっすが中沢! 話が分かるぅ!」
中沢「いやいや、俺らもちょうど暇してたしさ! たまには大勢でってのもイイよな、なー!」
恭介「いや、なーって……」
中沢「じゃーかしい! お前なぁ、クラスの美人ヒエラルキーの頂点に立つ5人のうち4人と
一緒にランチに洒落こめるんだぞ! しかもそのうち1人はお前の彼女! ここまで来てなんで拒むかなお前は!」ヒソヒソ
恭介「いやだから、ホントに練習しなきゃマズい――」
中沢「シャァーラップ! んなもん家帰ってからで十分だろうが!
どうせ家じゃあ毎日バイオリン弾いて、バイオリンと風呂入ってバイオリンと寝て、
深夜にビブラート効かせながら弦をチュパチュパやってんだろ!」
恭介「風呂までは入ってないよ流石に」
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 18:10:09.39 ID:78PqFAyu0
さやか「ま、いいじゃんいいじゃん! ほら、仁美も楽しみにしてるし! ね?」
恭介「! ……志筑さんが?」
さやか「うんうん!」
恭介「……分かったよ。そこまで言うなら……」
中沢「いよっしゃぁ!」
さやか「そうこなくっちゃ! ほら、屋上だから早く行こ!」グイグイ
中沢「ホラ急げ上条! 昼休みあと30分だぞ!」グイグイ
恭介「分かった、分かったから! 引っ張んないでよ!」
恭介(……何か、いつにも増して強引だなぁ……さやか)
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 18:14:33.18 ID:78PqFAyu0
―屋上―
ガチャッ…
杏子「お、来た来た」
さやか「やっほー、お待たせ」
仁美「……!」
恭介「! あ……」
さやか「ほらほら恭介、あんたの席はあそこ!」グイグイ
恭介「はいはい……」ストッ
仁美「…………」
恭介「……あ……」
仁美「……か、上条君」
恭介「う、うん……」
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 18:17:25.37 ID:78PqFAyu0
さやか「……よし、フェイズ1・『隣に座らせる』まではクリア、と」ヒソヒソ
まどか「……何だかぎこちないよ……緊張してるのかな」ヒソヒソ
さやか「2人とも遠慮しすぎだよ。付き合って何日目のカップルかっての……
……よーし、ここからはごく自然に、場を盛り上げるのに徹さなきゃ」ヒソヒソ
まどか「フェイズ2、だね」ヒソヒソ
杏子「何でもいいからさー、とっとと食おうぜ」
中沢「あの、俺はどの辺に……」
杏子「あ? ……テキトーに座れば?」
中沢「は、はい……」ストッ
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 18:20:53.59 ID:78PqFAyu0
―――――――――
――――――
―――
まどか「へぇー、中沢君、お弁当自分で作ってるんだ」
中沢「いや、作ってるってわけじゃないんだけどさ。母さんに任せとくと、全部ゆうべの残り物だから……」
杏子「いいじゃんか別に、食えるんだろ」
中沢「どうせなら唐揚げとかも食べたいんだよ。だからほら、冷凍の奴をこうやって……」
さやか「あぁー、だからおでんと唐揚げが共存してるんだ」
中沢「そうそう! だからさ、実際は残り物と冷凍の――」
さやか(……よしよし、こうやって中沢をこっちの3人で引きつけておけば、
恭介と仁美はごく自然に2人の世界!)
さやか(恭介も仁美も、無言の食事に耐えられるほど図太くはないはず……
あとはごく自然な流れで会話が続いてくれれば……!)
さやか(さて、2人の様子は、っと……)チラッ
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 18:21:48.31 ID:tvZ5PUVe0
さやかちゃん頑張れ
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 18:22:25.54 ID:dffXO5fn0
過保護にも程があるさやかちゃん
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 18:24:06.04 ID:78PqFAyu0
恭介「…………」モグモグモグモグ
仁美「……あ、あの、上条君?」
恭介「んぐ……」ゴクン
恭介「どうしたの、志筑さん」
仁美「いえ……その、あまり急いでお食べになると、危ないのでは……」
恭介「え? あ、うん……ゴメンね、最近ずっとこんな調子だったから……」
仁美「あ、い、いえ、こちらこそ……」
恭介「…………」モグモグ
仁美「…………」パクパク
さやか(――あっ、バカだあいつ)
さやか「……ど、どーしたの2人ともー。お通夜会場じゃないんだぞー、ここ」
さやか(……邪魔しちゃ悪いとは思ったけど……さすがにあの調子じゃあ、ね……)
恭介「……? どうした、って……別に?」モグモグ
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 18:24:39.24 ID:WZWl/Ul+0
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 18:28:16.73 ID:78PqFAyu0
さやか「いや、『別に』じゃなくってさ。ほら、せっかく久々に話せるんだし……ね?」
仁美「い、いいんですよさやかさん……」
さやか「んもぅ、仁美までそんな事……ダメだぞー2人とも。
このさやかちゃんの認めたお似合いカップルである以上、イチャラブトーク以外は認めないのだー!」
恭介「…………」ムッ
恭介「……何だよもう、見世物にするために呼んだのかい?」
さやか「え――あ、いやいやいや! ほら、2人とも最近ピリピリしてるっぽかったし?
だからその、少しは仲直りできたらいいなー、っていうか……」
恭介「……喧嘩してるわけじゃないよ。……ホント、さやかは昔っからおせっかいだよね」
さやか「……あんたこそ、なーんか一言多いよ、もう。
もっとさ、心にゆとりを持たなきゃ。そんなんじゃ演奏、失敗しちゃうぞー」
恭介「――!!」
ガタッ!
さやか「っ……!?」
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 18:31:01.84 ID:78PqFAyu0
恭介「…………」ワナワナ
『――そんなに難しい所でもないのに』
『ここも……もう少し、丁寧にやらなきゃ――』
『急がなくちゃ……もう、あまり日数も――』
恭介「……僕だって……」
恭介「僕だって……しくじりたくてやってるんじゃない……!」
杏子(……あーあ……)
さやか「……え、あの、えっと……」
恭介「何なんだよ……人が焦ってるの知ってて、バカにしてるのか……!?
晒しものにしたくて呼びつけたのか!?」
さやか「ち、違うんだってば、その――」
中沢(……見ないフリ食べるフリ聞こえないフリ……)
恭介「……おまけに、志筑さんまで巻き込んで……話そうが話すまいが、僕達の勝手だろ!?
何でさやかに指図されなきゃいけないんだよ! 人の付き合い引っかき回すの、そんなに楽しいのかい!?」
さやか「――! い、いやその、さっきのはさ……!」
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 18:35:23.25 ID:ipctNqhr0
(あっ、バカだあいつ)
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 18:35:31.02 ID:78PqFAyu0
まどか「……ぁ……」オロオロ
恭介「――さやかはさ、昔っからそうだよね。いっつもいっつも、自分がどうしたいかって、そればっかり……」
仁美「か、上条君、もう――!」
恭介「僕が怪我してた時だってそうだ! 弾けもしない曲を毎日毎日……!
どんなに歯がゆかったか知りもしない癖に!」
さやか「っ――!」
まどか「……え?」
恭介「人の気持ちなんて考えないで、自分の理想だけ押し付けて……!
何で……何で分かってくれないんだよ……!」
さやか「…………」
仁美「上条君っ!」
恭介「!」
仁美「違うんです……さやかさんは、さやかさんはただ、私達を心配して――!」
恭介「だからって、あんな言い方……!」
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 18:38:45.56 ID:dffXO5fn0
こっちでやってなんか問題あんの?
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 18:39:13.05 ID:78PqFAyu0
仁美「私がうじうじ悩んでたから、さやかさんは……だから、さやかさんを悪く言わないでください!」
恭介「いいんだよ志筑さん、そんなに庇わなくたって! さやかが無神経なのは、前からずっと……」
さやか「ちょ、ちょっと、2人とも……!」
仁美「ま、またそんな……! 上条君! さやかさんは、私達のためを思ってですね……!」
恭介「だから、そのやり方に問題があるって言ってるんだ!」
仁美「――上条君の方こそ、自分のことばっかりじゃないですか!
さやかさんの思いやりを無視して、しかもさやかさんに当たるなんて!」
恭介「なっ……! し、志筑さんまで……!」
仁美「上条君の分からず屋! さやかさんの気持ちも知らないで!」
まどか「ひ、仁美ちゃ……」
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 18:41:50.23 ID:KpshWNfu0
支援
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 18:43:02.22 ID:ipctNqhr0
俺とマミさんは仲良くバレンタインしてるのにこいつらときたら
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 18:43:10.51 ID:78PqFAyu0
恭介「そっちこそ、さやかを買い被りすぎだよ!
小1の頃、僕が先生の事『お母さん』って言った時だって、さやかは――!」
仁美「何ですかそんなの! この前なんか、さやかさんは歩道橋でおばあさんを――!」
恭介「それが何だ! 小3の時なんて、僕のお尻を風呂場で――!」
仁美「そんなに昔から一緒にいるのに、ちっともさやかさんの事分かってないじゃないですか!」
恭介「そっちこそ、上辺だけ見て分かったみたいに……!」
さやか「……いや、あの……」
杏子「もう何のケンカだよコレ」
仁美「もういいですっ! さやかさんが嫌いな上条君なんて……!」
恭介「こっ、こっちだって、さやかが嫌いな僕を嫌いな志筑さんなんか……!」
中沢「お、おい……!」
仁美「っ――! ばかばかばかっ! 上条君のばかっ! ばか大臣!」ダッ
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 18:46:06.69 ID:KpshWNfu0
支援
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 18:46:55.87 ID:78PqFAyu0
まどか「あっ、ちょ、仁美ちゃん!? お弁当!」
さやか「恭介! あんた―― !」
恭介「…………」ムスーッ
中沢「……あ、あの……上条?」
恭介「…………」ガツガツモグモグ
恭介「…………」ゴキュッゴキュッ
恭介「……ごちそうさま」
中沢「いや、ごちそうさまじゃなくって……」
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 18:48:13.69 ID:KpshWNfu0
支援
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 18:49:18.00 ID:KpshWNfu0
支援
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 18:50:01.53 ID:78PqFAyu0
恭介「…………それじゃあ。練習あるから……」
さやか「! ちょ、ちょっと、恭介!」
恭介「…………」スタスタ
キィ… バダン!
まどか「…………」
中沢「……えーっと……」
杏子「……ハァ……」
さやか「…………」
さやか「……っ……」
まどかSSスレを立てる奴は大体まとめ厨
支援()する奴は確実にアフィカス
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 18:53:29.13 ID:KpshWNfu0
支援
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 18:54:00.51 ID:78PqFAyu0
―放課後、校門前―
まどか「…………」
杏子「…………」モグモグ
さやか「…………」テクテク
まどか「! あ、さやかちゃん……」
さやか「まどか……あれ? 仁美は?」
まどか「あ、えっと……今日は、1人で帰るって」
さやか「……そっか」
まどか「……うん……」
さやか「…………」
杏子「……んじゃ、帰るか」
さやか「ん……」
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 18:57:38.91 ID:KpshWNfu0
支援
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 18:57:59.47 ID:78PqFAyu0
―通学路―
ガシャコーン…
ガシャコーン…
まどか「……ねぇ、さやかちゃん」
さやか「ん?」
まどか「……その、上条君って……怪我、してたの……?」
杏子「…………」
さやか「……そっか、まどかにはまだ言ってなかったよね」
さやか「……もう、結構前の話なんだけど……恭介ね、交通事故に遭ったんだ。
たまたま歩いてた所に、スリップした車が突っ込んできて……」
まどか「…………」
さやか「命に関わるわけじゃなかったらしいけど……両足と左腕を大怪我してさ。
特に、左手なんて神経がほとんど千切れて……。
みんな言ってたよ。もうバイオリンは無理だろう、って」
まどか「……え? でも、今は……」
杏子「……ま、聞いとけって」
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 18:59:11.40 ID:UPl9V/no0
お、スクリプトいるな
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 19:00:57.22 ID:78PqFAyu0
さやか「……恭介、そのときすっごく滅入ってて……あたし、もう見てられなかった。
――ちょうど、そのぐらいだったかな……キュゥべえから、魔法少女の事を聞いたの」
まどか「! じゃ、じゃあ……」
さやか「……魔獣と戦うのも、人として死ねなくなるのも……全部、詳しく聞かされたよ。
それから、その『見返り』……願いのことも。……主に、杏子からね」
杏子「……当たり前だろ。子供の遊びじゃないんだからさ」
さやか「あの頃の杏子、尖ってたよねぇー。
『魔法ってのは、徹頭徹尾自分の為に使うもんなんだよ』」キリッ
杏子「うわ、やめろって! ……っあー、くそっ……」カーッ
さやか「……でも、あたしにはさ……どうしても、できなかった。
あいつが苦しんでるのを見ながら『人として生きる』なんて……だから……」
まどか「…………」
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 19:03:54.15 ID:KpshWNfu0
支援
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 19:04:06.31 ID:78PqFAyu0
ガシャコーン…
ガシャコーン…
杏子「……うるさいなもう、さっきから……どっかで工事でもしてんのか?」
さやか「いや、工事ってよりは……うーんと……」
まどか「あ、あの建物からじゃない?」
さやか「ん? ……あれ? あそこ廃墟じゃなかったっけ」
杏子「工場……か何かか? 悪趣味だな、しかし……えーと、看板は……」
【ホムラ製菓 見滝原第一工場】
まどか「…………」
さやか「…………」
杏子「…………」
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 19:04:33.22 ID:dffXO5fn0
さやかの記憶はどう改竄されてるのかな
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 19:07:01.85 ID:KpshWNfu0
支援
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 19:07:53.47 ID:78PqFAyu0
ビ――――ッ
『休憩時間よ。各員、整備作業を一旦中断し、休息を取りなさい』
ゾロゾロゾロ…
偽街の子供達「フィー、カタコッター」
ほむ兵隊「ホムー」
ほむら「……ふぅ、作業ラインには問題なし、と……あとは原料の到着を……あら、まどか」
まどか「え、あ、うん」
ほむら「奇遇ね。今帰り?」
まどか「う、うん、はい」
ほむら「そう。寄り道せずにまっすぐ帰るのよ」
さやか「……いやあの、おい……ほむら」
ほむら「……何?」
さやか「……ここ、何?」
ほむら「何って……夢のチョコレート工場に決まってるじゃないの」
杏子「どういうことだおい……」
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 19:10:12.63 ID:KpshWNfu0
支援
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 19:11:00.22 ID:78PqFAyu0
ほむら「1年に1度のバレンタインだもの。最高級の素材、最高級の設備、そして最高級の人員を備えた、
究極至高のマニュファクチュアで手作りしなければ意味が無いわ」
さやか「いや、工場で手作りって……」
ほむら「設備も人員も問題なし。あとはカリブ海のクリオロが届きさえすれば……」
ソットーヒラーイータ ドアノームコーウーニー♪
ほむら「……失礼するわ。はい、私よ」ピッ
ほむら「どう、買付けの方は……え? 現地の武装勢力が……!?」
ほむら「ちゃんとお金は置いたんでしょう!? え? ヘロイン……ちょっと、それ完全に向こうの勘違――」
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 19:11:54.42 ID:dffXO5fn0
一人だけ生きてる世界がおかしい
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 19:14:11.86 ID:78PqFAyu0
まどか「……え、えっと……じゃあ、そろそろ行こっか」
杏子「お、おぅ」
さやか「ホント、何やってんのよコイツ……」
まどか「じゃ、じゃあねー、ほむらちゃん。また明日」
ほむら「あ! またねまどか! ――とにかく、積み荷だけは死守しなさい! ヘリは!?
……え? 眼帯の手練れと二足歩行戦車? 何を馬鹿な……」
ほむら「分かったわ! 私がハインドで出る、だからそれまで何とか時間を――」
まどか(……ほむらちゃん、携帯持ってたんだ……)
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 19:16:27.57 ID:KpshWNfu0
支援
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 19:16:36.84 ID:enGEImZGO
支援
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 19:17:28.21 ID:78PqFAyu0
―深夜、上条家―
バラバラバラバラ…
恭介(……うるさいな、もう。こんな夜中に)
恭介「…………」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
講師「どうしたんだね上条君……音が尖りすぎじゃないか」
恭介「す、すみません……」
講師「……疲れが溜まってるのかも知れないな。今日はもう、ゆっくり休みなさい」
恭介「い、いえ! 大丈夫ですから……」
講師「そうは言ってもなぁ……焦っても、あまり良い事は……」
恭介「お願いします……!」
講師「……それじゃあ、あと1回だけね……」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
恭介「…………」
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 19:19:38.51 ID:KpshWNfu0
支援
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 19:20:27.92 ID:78PqFAyu0
『あんまり根詰めるのもよくないんじゃない?』
『もっとさ、心にゆとりを持たなきゃ』
『さやかさんはただ、私達を心配して――!』
恭介「…………」
『人の気持ちなんて考えないで、自分の理想だけ押し付けて……!』
『僕を嫌いな志筑さんなんか……!』
恭介「……っぁあ……」
恭介(何で……何であんな事っ……!)
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 19:23:27.02 ID:78PqFAyu0
バラバラバラバラ…
恭介「……っああぁぁ――! もうッ!」ガチャッ
恭介「うるさいんだよッ! こんなとこ飛ぶ――な……」
ほむら「こひゅー……こひゅー……」ピクピク
偽街A「マスター! マスタァー!」
偽街B「メディーック! メディーック!」
ほむ兵A「ホムゥ――!」オロオロ
ほむら「ふふふ……守った……カカオは……ふふふ……」
バラバラバラバラ…
恭介「……」
恭介「…………」
恭介「…………寝よ」
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 19:25:54.40 ID:KpshWNfu0
支援
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 19:26:28.10 ID:78PqFAyu0
―翌日、放課後―
キーンコーン、カーンコーン…
杏子「ふぃー、終わったーっと」
まどか「さやかちゃん、今日は掃除当番だっけ」
さやか「うん。悪いね、先に帰っちゃっててよ」
杏子「あいよ。……お、そーだまどか、タイ焼き食ってこうよ。
最近チョコ味なんてのが出ててさ、これがまた中々……」
まどか「へーえ、それじゃ……」
仁美「……さやかさん」
さやか「ん? ……! あ、ひ、仁美……」
仁美「今日、お時間ありますか」
さやか「え? あ、うん。あと10分ぐらいしたら……どうかしたの?」
仁美「その……少し、お話したいことが……」
さやか「……?」
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 19:29:03.88 ID:KpshWNfu0
支援
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 19:29:26.80 ID:78PqFAyu0
―ファーストフード店―
仁美「――その、昨日はごめんなさい。色々とご迷惑を……」
さやか「え、あ、いやいや! 仁美は悪くないって! ……むしろ、あたしが……」
仁美「い、いえ! そんな……」
さやか「……ううん。やっぱり、あたしも出しゃばりすぎちゃってた。
……本当にごめん。あたしのせいで、ケンカなんか……」
仁美「…………」
さやか「……恭介とは、どう? あれから……」
仁美「…………」フルフル
さやか「……そっか」
仁美「……さやかさん」
さやか「ん?」
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 19:32:11.04 ID:KpshWNfu0
支援
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 19:32:32.62 ID:78PqFAyu0
仁美「……さやかさんは、ご存知ですか? 私が何で上条君を好きになったか……」
さやか「え――い、いや……」
仁美「……私ね、打ち込めること、というか……熱中できることが無いんです。昔から。
お茶も踊りも、それからピアノも、全部、親から言われて続けてただけで……熱意とか本気とか、全然無くって」
さやか「…………」
仁美「習い事だけじゃありません。運動だって、勉強だって……
そこそこ高い位置をキープできてれば、それでいい、って。
上達してどうしようとか、知識を増やしてどうしようとか……目的なんてないまま、ただ漠然とやってるだけでした」
さやか「……仁美だけじゃないよ。中学生なんて、みんなそんなもんじゃない?」
さやか(……あたしの場合は、中の下キープすんのがやっとだけど)
仁美「――でもね、上条君は違ったんです」
さやか「……!」
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 19:35:31.46 ID:78PqFAyu0
仁美「1年生の時でした。『教養』の一環だ、なんて言われて、市の音楽コンサートを見に行ったんです。
その時初めて、上条君の演奏を聴いて……」
仁美「……私ね、泣いちゃったんです。人って、こんなに真剣になれるんだ、って。
しかも、お顔はすごく真剣なのに、演奏はどこまでも朗らかで、楽しそうで……」
仁美「……私と同い年の子でも……こんなに、情熱を持てるんだって思ったら……
ぐすっ……わっ、私……じぶんがっ、急に…………ううっ……」
さやか「わっ! ちょ……な、ナプキン! ほら!」
仁美「あ、ありが……ひっく……」ズビーッ
仁美「……そ、それで……その日は、家に帰ってもずーっと、上条君が頭から離れなくて……
聞いたら、見滝原中の生徒だって言うじゃないですか。……だから、その時からずっと……」
さやか「……そっか……」
仁美「……2年に上がって、同じクラスになれた時……本当に嬉しかったんですよ?
さやかさん達とも、お友達になれましたし」
さやか「あっはは、泣かせるねーもう」
仁美「…………」
さやか「……?」
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 19:38:28.23 ID:KpshWNfu0
支援
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 19:38:33.95 ID:78PqFAyu0
仁美「……本当はね。さやかさんが羨ましかったんです」
さやか「へ……?」
仁美「私の知らない上条君を、たくさん知ってるさやかさんが。
あの事故の後なんて、毎日のようにお見舞いに行って……
――普通に闘ったって、勝ち目はありませんもの」
さやか「こらこら、その話はもう終わったでしょー?
前も言ったじゃん、恭介はただの……」
仁美「…………」
さやか「……で、でもさ。よかったじゃん。結局告白して、両想いになれたわけでしょ」
仁美「……はい」
さやか「デートもたくさん行ったんだよね? 喫茶店とか、映画とかさ」
仁美「……はい。そのたびに、上条君が身近になってきて…………
…………でも……」
さやか「……?」
仁美「……私が憧れて、好きになったのは……大好きなヴァイオリンにひたむきに打ち込む、あの上条君です。
……もし、もしですよ? 今の私が、上条君の重荷になってるなら……」
さやか「! ちょ、ちょっと……!」
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 19:41:30.48 ID:78PqFAyu0
仁美「……私に気を使って、上条君がヴァイオリンに集中できないなら……いっそ……」
さやか「まっ……だ、駄目だよ! わっ、別れるなんて、そんな……!」
仁美「え……あ、いえ! その……何も、そう決めたわけでは……!」
さやか「ほ、本当?」
仁美「……今は、まだ。……ただ、不安なんです。
上条君にとって、私は何なのか……それを、確かめておきたいんです」
さやか「……って、言うと」
仁美「……今度の日曜、14日に、上条君にお会いして……きちんと謝って、もう一度お話をしてみます。
丁度、バレンタインのプレゼントもありますし」
さやか「……あれ? 14日って、確か……」
仁美「……もちろん、コンクールが終わった後にお会いするつもりですわ。
コンクールの閉会は3時。……高速バスが見滝原に付くのは5時ごろですから」
さやか「ああ、東京の方であるんだっけ……大変だよねぇ、恭介も。
それ、恭介には?」
仁美「いえ、これからメールでお伝えしようと……だから、さやかさんに相談したかったんです」
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 19:44:27.63 ID:78PqFAyu0
さやか「……そっか。……うん、大丈夫大丈夫!
あいつさ、根っこは良い奴だから。彼女が会いたいって言ってるんだもん、ムゲに断るわけないよ」
仁美「……そう、でしょうか」
さやか「そうだって! ていうか、もし断ったら直々にシバく!
仁美に手ぇついて謝らせるからさ、安心しなさい!」
仁美「まぁ……ふふっ」
さやか「…………」
さやか「……恭介もさ」
仁美「?」
さやか「……昨日は、色々私が言っちゃったから、あんな風になっちゃっただけで……
仁美が嫌いになったとか、重荷だとか……そんなの、絶対に思ってないよ」
仁美「…………」
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 19:46:48.08 ID:qHL7pPUR0
支援
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 19:47:34.46 ID:78PqFAyu0
さやか「もう一度、ちゃんと話し合えば……絶対に仲直りできるって」
仁美「……ふふっ」
さやか「……?」
仁美「不思議ですね。……さやかさんに言われると……本当に、そんな気がしてしまいます」
さやか「……そう? ……よかった」
仁美「……ありがとう。さやかさん」
さやか「うん。……上手くいくよ、きっと」
仁美「……ええ。きっと」
さやか(……そっか。そうだったんだ)
さやか(……だから、仁美は恭介を……)
さやか「…………」
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 19:48:17.96 ID:78PqFAyu0
ちょっと夕飯食ってくる
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 19:51:00.17 ID:qHL7pPUR0
支援
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 19:53:35.43 ID:qHL7pPUR0
支援
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 19:55:39.95 ID:qHL7pPUR0
支援
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 20:02:41.22 ID:78PqFAyu0
―2月14日・早朝、上条家―
TV『――ので、関東全域に渡り、夜から明日の朝にかけ、激しい降雪と強風が予想され――』
上条父「恭介、準備できてるのか?」
恭介「大丈夫だよ、ほら」
上条父「時刻表は持ったな? 財布は? 傘は? カイロも忘れるんじゃないぞ」
恭介「分かってる、分かってるって。……あのバスも、初めてじゃないんだしさ。
それに、雪も夜からみたいだし……
きちんと行って帰ってこれるよ。……父さんこそ、仕事頑張ってね」
上条父「スマンなぁ、急に入るもんだから……」
恭介「いいよ。母さんが見に来てくれるんでしょ?」
上条父「ああ、仕事場から直接行くってさ。
連絡あるかも知れんから、携帯忘れるなよ」
恭介「はいはい、持ってるって、ほら」
恭介(あ、電池残り1つか……いいや、帰ったら充電しよう)
恭介(……ん? メール来てる……)ピッ
恭介「! …………」
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 20:04:59.73 ID:qHL7pPUR0
支援
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 20:05:36.37 ID:78PqFAyu0
上条父「どうした?」
恭介「ううん、何でも……それじゃ、行ってきます」
上条父「車に気を付けるんだぞ」
恭介「はは、何百回目かな? それ」
上条父「冗談抜きでだ」
恭介「……うん、分かってる。じゃ、行ってきます」
上条父「……頑張れよ」
恭介「……うん」
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 20:08:07.10 ID:qHL7pPUR0
支援
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 20:08:43.46 ID:78PqFAyu0
―高速バス発着場―
恭介「…………」ピッ
恭介「……今日の6時、か」
恭介「…………」ピッピッ
To:志筑さん
Sub:Re:
―――――――――――――
メールありがとう。
こちらこそ、この前はゴメン。
6時に噴水広場だね。分かったよ。
僕もちゃんと謝りたい。
寒くないようにして待っててね。
恭介「…………」ピッ
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 20:11:14.11 ID:qHL7pPUR0
支援
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 20:11:42.65 ID:78PqFAyu0
―午後、鹿目家―
ピンポーン…
まどか『はーい』
さやか「あ、まどか? あたしだけど」
まどか『あ、さやかちゃん。上がって上がって! チョコ、ちゃんと冷えてたよ』
さやか「お、そう? よかったよかった、教えた甲斐があるってもんよ。
それじゃ、おじゃましまーす」ガチャッ
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 20:14:22.01 ID:qHL7pPUR0
支援
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 20:14:35.12 ID:78PqFAyu0
―リビング―
知久「いらっしゃい、さやかちゃん。あの生チョコ、冷蔵庫で良かったよね?」
さやか「こんにちは、パパさん! いやぁ、昨日はありがとうございました。わざわざ手伝ってもらっちゃって」
知久「ははは、何だか僕も久々にさ……」
さやか「やっぱり、ママさんにプレゼントですか?」
知久「ん〜? ……んふふふふ……」
まどか「ほら、さやかちゃん。これこれ」トサッ
さやか「おーし、じゃ、こっからは角切りとトリュフだ!」
まどか「おーっ!」
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 20:17:29.03 ID:qHL7pPUR0
支援
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 20:17:49.70 ID:78PqFAyu0
―1時間後―
さやか「ふぃーっ、できたできた」
まどか「ココアパウダーって凄いね。かけるだけで一気にそれっぽく……」
さやか「ホントホント。……じゃあ、約束通りこれは山分け、と……」
まどか「うん。ありがとう、さやかちゃん。すっごくおいしそうだよ」
さやか「なーに、親友の女子力アップも女の子の務めだからね」
まどか「あはは」
ヒュオォォォ…
まどか「風、結構出てきたね」
さやか「うん。雪はまだ降ってないみたいだけど」
まどか「夜から大雪だっけ」
さやか「らしいね、予報では」
まどか「……一応、見とこうかな。天気」ピッ
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 20:20:29.80 ID:78PqFAyu0
TV『ビュォォォォォォォ!!』
2人「……!?」
TV『――以上、宇都宮支局でした。 変わりまして、茨城県水戸市の映像です。現場の悠木さん?』
TV『はい、ここ水戸でも、ご覧の通り、先程から強い吹雪が――』ビュォォォォ
まどか「うわー……予報よりだいぶ早いよ、これ」
さやか「……なんか変じゃない? こっちはまだ全然……」
TV『――続いて、東京・新宿区の映像です。斎藤さん?』
TV『はい、えー、東京の新宿です。数分前から雪が降り始め、現在は風速9メートル毎秒にまで強まっています』
TV『また、降雪による各種交通機関の運転見合わせ、渋滞も――』
さやか「――!」
さやか「まさか……」ピッピッピッ
プルルルルッ プルルルルッ…
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 20:22:42.22 ID:qHL7pPUR0
支援
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 20:23:30.70 ID:78PqFAyu0
―東京、高速バス車内―
恭介「…………」
運転手『えー、お客様にお知らせいたします。このバスは現在、積雪と人身事故の影響により――』
恭介(……3位、か)
恭介(……結構、頑張ったと思ったんだけどな)
恭介「…………」
ブーン、ブーン、ブーン…
恭介「? ……さやかか」ピッ
恭介「……もしもし、さやか? 悪いけど、今バスの中だからさ……」
さやか『バス!? 恭介、今どのあたり!?』
恭介「え? っと……もうすぐ練馬のICだけど。
雪のせいで、何か事故があったみたいでさ。なかなか進まなくて……」
さやか『っ……』
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 20:25:49.77 ID:qHL7pPUR0
支援
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 20:26:36.66 ID:78PqFAyu0
恭介「……コンクールが終わったと思ったら、急に降り始めるんだもん。
……参ったよ、本当に。せっかく今日……」
さやか『恭介っ!』
恭介「っ! な、何?」
さやか『いい!? 早まんないで、誰にもメール送らないで!
今日は行けそうにない、なんて仁美に言ってみなさい! ゼッタイに承知しないからね!』
恭介「なっ……!? な、何でさやかが――」
さやか『そのまま待ってて! いい!? 絶対に会わせてあげるから!』
恭介「――!? え……」
プツッ! ツー ツー ツー…
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 20:28:56.84 ID:qHL7pPUR0
支援
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 20:29:42.06 ID:78PqFAyu0
―鹿目家―
さやか「…………」
『……ただ、不安なんです。
上条君にとって、私は何なのか……』
さやか(……そうだよ……)
さやか(これがダメなら……もう、後が……)
まどか「……さ、さやかちゃん……?」
さやか「……ねえ、まどか」
まどか「え?」
さやか「この家ってさ、噴水公園まで、そんなにかからないよね」
まどか「えっと、うん……歩いて10分もしない、と思うけど」
さやか「……こういうこと言っちゃうの、どうかと思うんだけどさ」
さやか「チョコ作りのお礼ってことで……ひとつ、頼まれてくれないかな」
まどか「……?」
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 20:32:04.40 ID:qHL7pPUR0
支援
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 20:32:46.26 ID:78PqFAyu0
―繁華街―
チャーラララーチャララーチャララー♪
仁美「あら……さやかさん?」ピッ
仁美「もしもし……え? 今ですか?」
仁美「ええ、時間までちょっと買い物でも、と……雪もまだ少ないですし」
仁美「……え? ええと……」
仁美「はい、私はその、嬉しいんですけど……でも、まどかさんにご迷惑では……」
仁美「――あ、まどかさ……いえ、しかし……いいんですの? ほんとうに……」
仁美「いえ、私としては、そうしていただけるなら……ええ、すみません……ありがとうございます」
仁美「はい、それでは今から……いえ、ありがとうございます、本当……」
ピッ…
仁美「……さやかさんったら。秘密のつもりでしたのに」フフッ
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 20:35:11.54 ID:qHL7pPUR0
支援
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 20:36:00.52 ID:78PqFAyu0
―鹿目家―
まどか「――うん、待ってるね。ばいばーい」ピッ
さやか「……ゴメンね、まどか。何か……利用するみたいになっちゃって」
まどか「何言ってるの、仁美ちゃんと上条君のためなんでしょ?
わたしだって友達だもん」
さやか「……ほんっといい子だねぇーまどかは! よしよしよーし」ワシャワシャ
まどか「やん、もうっ……それで、えっと……6時ちょっと前になったら、仁美ちゃんを連れて公園だよね?」
さやか「うん。いつ雪が酷くなるか分からないのに、仁美を外で待たせられないし……お願い」
まどか「……ねぇ、上条君のこと、やっぱり言った方が……」
さやか「……大丈夫。絶対に時間には間に合わせるから」
まどか「でも、どうやって……今、東京で止まっちゃってるんでしょ?」
さやか「…………」キュィィン
まどか(! ソウルジェム……?)
さやか「……マミさん、いっつも言ってるでしょ? 奇跡を起こすのが、魔法少女なんだって」
まどか「――! で、でも……」
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 20:38:18.18 ID:qHL7pPUR0
支援
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 20:52:32.33 ID:Tyzzk6uI0
支援
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/14(金) 20:59:52.36 ID:dffXO5fn0
さやさや
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: