1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 13:40:31.01 ID:oIAKHuDA0
立ったか
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 13:41:01.35 ID:hpziSQro0
俺と良子さんは電車に揺られて隣県の奈良まで向かっていた。
「春と合流出来るのは何時頃に?」
「すぐに来る……たぶん、メイビー。」
下らない会話をしていたら目的の駅に着いた。
俺たちはロープウェイに乗り継ぎをして件の温泉旅館に向かうことにした。
旅館の受付を済ませて部屋に行く。
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 13:41:55.22 ID:hpziSQro0
「しかしよかったんですか?」
「ん? 何が?」
「態々泊まりにしてましたけど三人だとお金結構掛かりますよね?」
「ノープロブレム、子供が気を使うな。」
「その代わりと言ってはなんだけど一つ聞いていい?」
「なんですか?」
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 13:42:26.25 ID:oIAKHuDA0
ほ
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 13:42:46.34 ID:Gyg9YUMO0
余計なこと書かなきゃいいものを……
支援はさせていただく
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 13:45:29.79 ID:hpziSQro0
「気になったんだけど……如何に神様と言えどオカルトの回数を制限できるの?」
「確かに京太郎はあの時ゴッドを降ろした。」
「善狐も確かに憑いていたしトークもした。」
「狐にお供えや御参りする事で信仰で狐自体が強くなったから園城寺さんの負担も減ると思う。」
「でも一巡先は結局のところは園城寺さんが使うオカルト。」
「園城寺さん本人が無理にでもオカルトを使おうと思えば使えるのでは?」
「さぁ……どうでしょうね。」
「もしかしてマネーを受け取らなかったのって……」
「信じるものは救われるってやつです。」
「言霊による暗示と思い込みか……」
「私はちょっと用事があるから済ませてくる。」
「京太郎は温泉にでも浸かってボディを休ませておいた方が良いよ。」
「そうしておきます。」
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 13:45:37.42 ID:Gyg9YUMO0
し
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 13:46:24.92 ID:Gyg9YUMO0
え
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 13:46:40.89 ID:hpziSQro0
良子さんと分かれ、俺は温泉に浸かることにした。
旅疲れと神懸りの疲れを落とすように体を清める。
久々に羽が伸ばせる気分だ。
鹿児島では近くに信用できない奴がいたから気が張っていたのもある。
そういえば咲達はどうしてるのだろうか。
多分長野では俺がいなくても事も無げに回っているのだろう。
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 13:48:07.55 ID:BKGwX9dkO
C
じょ
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 13:49:27.61 ID:hpziSQro0
――電車内――
一方のそのころの二人の少女はというと……
「でね、京ちゃんったらそこでドヤ顔しながら間違ってるんですよ。」
「うふふ、京太郎君らしいですね。」
「そういうところ小さいころと変わってません。」
「あ、神代さん、小さいころの京ちゃんってどんな感じだったんですか?」
「え……そうですね……」
「よくやんちゃをしてましたけど明るかったですね。」
電車に乗りながら共通の人物の話で盛り上がっていた。
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 13:51:54.79 ID:oIAKHuDA0
し
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 13:52:39.62 ID:hpziSQro0
――松実館――
「はぁ〜良い湯だった〜。」
「うちの温泉気に入っていただけましたか?」
「ああ、はい。」
風呂上りに独り言を言っていたら着物を着た女性が声をかけてきた
仲居さんだろうか、どこか見覚えのある女性だ。
「お客様、こちらの方は初めてでしたか?」
「ええ、奈良に来るのは初めてで……一日で鹿児島から大阪まで行って今度は奈良という具合に……」
「鹿児島……!」
「あ、あのどうかしましたか?」
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 13:59:49.05 ID:hpziSQro0
「あ、何でもないです……一日でそんなに移動したらお疲れですよね。」
「まぁ……」
「……ところで何ですけど、どこかで見たことある気がするんですが。」
「えっと、多分インターハイに出場していたのでそれのことかと。」
「……ああ! なるほど、道理で見たことあると思った。」
やっと思い出した。
この人は阿知賀女子の先鋒をしていた人だ。
確か名前は松実玄、だったはず。
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 14:01:39.79 ID:hpziSQro0
「という事は和の先輩だか友達……?」
「和ちゃんを知っているんですか?」
「元部活仲間ですから。」
「そうでしたか。」
「和ちゃん、大きいですよね。」
「ええ、でかいですよね。」
「おっぱいが。」
「おもちが。」
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 14:06:07.57 ID:oIAKHuDA0
支援
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 14:08:49.66 ID:hpziSQro0
気が合った俺たちはしばらく和の(胸の)ことで盛り上がっていた。
何もかんも乳トンの万乳引力が悪い。
部屋に戻る途中着信が来る。
春だ。
電話を取ると電話口から短く「部屋を教えて。」と聞かれた。
相変わらず口数が少ない奴だ。
部屋に入ると春が待っていた。
俺が風呂上りなのを見ると春は若干眉を寄せた。
「わりぃ、温泉先に入った。」
「別に……後で入るからいい。」
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 14:11:05.17 ID:oIAKHuDA0
支援
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 14:11:55.71 ID:hpziSQro0
春はふいっと顔を背けていた。
そんな春を尻目に俺は古い包帯と札を剥がして新しいものに交換する。
蛇の鱗みたいな痣がある片方の手をもう片方の手で札を抑えながら包帯を巻く。
だが中々上手く巻けない。
そんな俺の様子を見ていた春が見かねたのか包帯を巻いてくれた。
包帯が巻き終わると春が小馬鹿にしたような態度で鼻で笑いながら「京太郎は不器用。」と言ってきた。
やってみればわかると言いたいが実際俺は不器用だし、手伝ってもらった手前言い返せない。
しばらくすると微かにお香の匂いを漂わせて良子さんが戻ってきた。
どうやら用事とやらは終わったみたいだ。
それから間も無くして戸の向こうから「失礼します。」と声を掛けられる。
どうやら夕飯の時間になっていたのでそのことだろう。
戸が開かれ中に入ってきたのは先ほど話していた松実玄さんだった。
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 14:16:18.11 ID:oIAKHuDA0
支援
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 14:18:05.08 ID:hpziSQro0
「お食事のご用意が出来ましたのでお運びいたしました。」
「あ、さっきはどうも。」
「いえ、こちらも和ちゃんのお話が出来たのは楽しかったのです。」
松実さんがにこりと愛想よく笑うが俺は見逃さなかった。
さりげなく良子さんと春の胸をチェックしていたことを……
そして小声で「うん、中々の中々……」と呟いたのも聞こえた。
この人どれだけ胸が好きなんだよ……いやまぁ人の事は言えないけどさ。
「それでは失礼いたします。」
配膳を終えた松実さんが退室すると春が口を開いた。
「黒糖がない。」
「いや当たり前だろ。」
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 14:18:38.67 ID:oIAKHuDA0
ラスト支援
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 14:18:50.95 ID:hpziSQro0
こいつはこいつでどれだけ黒糖に執着してるんだ……
若干呆れ気味にツッコミを入れた。
「それよりも京太郎。」
「んー?」
「さっきの人。」
「ああ。」
春との短いやり取り。
大体言いたい事はわかった。
だから俺達二人は箸で料理をつついている良子さんをじとりと見ていた。
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 14:26:05.43 ID:D77BGcFlP
支援
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 14:26:15.58 ID:hpziSQro0
「?……なんだい?」
「いえ、今回はちゃんと休めるのかなって。」
「何が言いたいの?」
良子さんは呆けた反応をする。
春も俺も若干疑っている。
「良子さん、今回は仕事とかじゃないんですよね?」
「ノーウェイ、仕事ではないよ。」
「それがどうしたの?」
「別に。」
「仕事じゃないんならいいですけど。」
支援
地味にまったてた
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 14:46:44.97 ID:hpziSQro0
どこかほっとして俺たちは料理に手を付け始めた。
「……京太郎。」
「んー?」
「片手だと食べ辛くない?」
「まぁ、そりゃ多少は。」
「だったら私がピーマン食べさせてあげる。」
「ならば私はキャロットを食べさせてあげよう。」
「あんたら嫌いなものを押し付けようとするな。」
この人たちは従姉妹なだけあってどっか似てるな。
二人揃って押し付ける辺りは特に。
ちなみに俺はナスを押し付けた。
はるるかわいい
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 14:50:00.74 ID:hpziSQro0
飯を食べ終わった後、二人は温泉に入ると言って部屋を出て行った。
俺はというと二人が戻ってくるまで暇だったので旅館内をぶらぶらしている。
適当に辺りを巡っていると中庭に辿り着いた。
中庭には立派な松が生えており、その周りには池や甕が置いてある。
「松実館ねぇ……」
独り言を呟いていると斜向かい側に目が行った。
中庭の向かい側には異様な出で立ちをした人がいた。
まだ夏の暑さが厳しいというのにマフラーに毛糸の帽子、厚手の服を何枚も重ね着している。
そんな格好をしているのに当人は「寒い寒い。」と言っている。
あまりに異様な雰囲気に一瞬本当に人かどうか疑ったが一応人のようだ。
厄介事にはあまり巻き込まれたくないのだが人として一応聞いておく。
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 14:56:17.29 ID:hpziSQro0
「あの、大丈夫っすか?」
「はぇ? は、はい、ちょっと寒がりなだけなので……」
(ちょっと?)
「顔色良くないですよ? 旅館の人呼びますか?」
「い、いえ……玄ちゃん達に迷惑掛けるといけないし……」
「は、はぁ……まぁそう言うのなら……」
「でも何でまたこんなところに?」
「ここは日が入ってきてあったかいから……」
「あの、もう西日が翳ってきてますけど……」
「う、うんだからそろそろ戻るね……」
「そうですか、じゃあ俺はこれで。」
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 14:59:02.30 ID:c6EIPIS+0
しえ
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 15:07:10.06 ID:/R79CJy80
待ってた
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 15:10:16.32 ID:hpziSQro0
そう言って厚着の真ん丸いシルエットを置いてまたフラフラと歩く。
明らかに問題を抱えてそうな人だったが何にでも首を突っ込む気はない。
なのでさっきの出来事は気にしないよう頭のどこか隅にでも追いやった。
だがすぐに戻すことになる。
何故なら慌しい様子で松実さんがパタパタと足音を立てて走ってきたからだ。
「どうかしたんですか?」
「あ、うちのお姉ちゃん知りませんか?」
「部屋に居ると思ったんですけど抜け出したみたいで……」
(抜け出した……?)
「お姉さんかどうか知りませんが、寒がりなダルマならさっき中庭で日向ぼっこしてましたよ。」
「それお姉ちゃんです、ありがとうございます!」
松実さんはお辞儀をした後、またパタパタと駆けていった。
二人の様子を見て俺は溜息を吐いて一人ごちた。
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 15:13:29.49 ID:hpziSQro0
「姉妹揃って難儀なことになってるな……」
姉妹の問題は気になるが俺には関係ないし余計なおせっかいになるだろう。
何もすることがないので結局部屋に戻る。
既に結構な時間が経っていたがあの二人はまだ戻っていなかった。
暇潰しがてら観光の目星をつけるために周辺の地図を見ていた。
見事に何も無い。
周りは山、山、山、の寺と神社がいくつか。
吉水神社に吉野神宮、水分神社、少し離れたところに丹生川上神社とかもある。
何故か神社のところばかり見てしまうのは生まれのせいだろうか。
余りに何もないので近くの山や川の配置を見ている内に二人が戻ってきた。
しえん
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 15:14:36.84 ID:hpziSQro0
「いやー良い湯でしたー。」
「お風呂上りの黒糖は格別。」
「風呂上りに黒糖って喉渇かないか?」
「大丈夫、黒糖ジュースがある。」
「おまえぜってーいつか糖尿病になるぞ。」
ドヤ顔でぬかす春にやや呆れ気味に俺はツッコんだが無駄な気がする。
そういえば気になったことがあったので良子さんに聞いてみた。
「良子さん、俺達が寝るところってどこですか?」
「何を言ってるんだ京太郎、みんなここで寝るに決まっているだろう。」
「京太郎は可笑しなことを聞く。」
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 15:15:20.69 ID:hpziSQro0
俺なりに気を利かせた質問だったはずなのに二人はきょとんとした顔で答える。
いくら兄妹同然で育ったとはいえ年頃の男女なのだから寝室は別にすべきだと思うのだが。
ただ旅館の費用を出しててかつ年上の良子さんがヒエラルキー的に考えて一番上であり、男一人の俺は必然的に最下層だ。
そういう状況だとしても男の俺を同じ部屋に泊めるということはそれだけ信用してもらっているということかも知れない。
もしかしたら『実は信用などなくて女二人に対して男は一人で尚且つ男は腕を治療している身、なので何かあっても問題なく対処できる』という考えがなのかもしれないが。
夜も更けてきたところで松実さんが布団を敷きに来た。
布団が敷かれると松実さんが思い出したように「先ほどはありがとうございます。」と言ってきた。
大した事はしてはいないのにお礼を言われるとむず痒い気分になる。
まだ寝るには早い時間なのだが春は早々に布団に入った。
「何でそんなに早く寝るんだよ?」と俺が聞くと春は「神社は朝早いから早めに寝る習慣が付いた。」と言っていた。
俺も昔は早寝早起きだったなぁ、と思いながら一番窓側に近い場所の布団に入った。
良子さんが電気を消すと俺と春の間の布団に入った。
だが疲れはあったものの普段から早寝の習慣が無いので中々寝付けない。
そんな時に良子さんが声をかけてきた。
どうやら寝付けないのは俺だけじゃなかったみたいだ。
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 15:17:34.34 ID:hpziSQro0
「京太郎、まだウェイクアップしてる?」
「ええ、まぁ中々寝付けなくて。」
「……ハルは寝ちゃってるみたいだ。」
言われてみれば確かに春の方から微かな寝息が聞こえる。
寝ている春の邪魔しないように俺たちは小声で話し始める。
「長野では上手くやってる?」
「最近までは長野に居たんですけど上手くやってましたよ。」
「そう、三隅のおばさん、元気?」
「お袋なら無駄に元気ですよ。」
「それと、今はもう須賀です。」
「……そうだったね、"今はもう三隅じゃない"んだよね。」
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 15:18:20.47 ID:c6EIPIS+0
さるよけ
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 15:18:56.59 ID:hpziSQro0
良子さんが言った「今はもう三隅じゃない。」という意味は単純に結婚したからと言う意味合いで言ったのだろうか。
それともお袋が本家とは決別したと言う意味合いなのだろうか。
「また昔みたいに組み手をやりたいかな。」
「勘弁してくださいよ、俺今骨折中なんですから。」
「ふふ、ジョークだよ。」
小さいころの記憶を思い出す。
良子さんと俺はお袋の稽古の下、組み手をやらされたことがある。
小さいころの五歳差はでかくていつも俺は組み伏せられていた。
組み手で良子さんに勝った事は無い。
なのでそれも良子さんに頭が上がらない原因の一つではある。
良子さん自体はお袋に三隅の技を教えて貰っていた為かお袋に頭が上がらないらしい。
43 :
あと7つレスつかない限り一時間休止:2013/06/29(土) 15:20:59.62 ID:hpziSQro0
「京太郎は今でも稽古受けてる?」
「ええ、たまには。」
「お袋は三隅の名は捨てても三隅の技は捨てなかったですから。」
「俺を育てるのにも、生活するためにもお金は必要だからそれで生計を立てていたみたいです。」
「……そうか。」
良子さんの雰囲気が少し変わった。
薄暗い部屋の中に月明かりが差し込んで、幽かに良子さんの瞳を照らしている。
その瞳から発せられる真摯な眼差しで悟った。
そんな俺の表情の変化を確認してから良子さんは口を開く。
し
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 15:26:07.56 ID:c6EIPIS+0
このペースなら速報の方が良い気もするが……まぁしえ
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 15:33:31.84 ID:/R79CJy80
黒糖ジュースって実際にあるのかw
しえ
あと7つレスつかない限り一時間休止ってさるるから?
49 :
>>48そういうこと00でリセットだから一時間以内に100レスつけば50レス分投下できる:2013/06/29(土) 16:00:47.30 ID:hpziSQro0
「ハルの京太郎の呼び方……前とは違うんだね。」
「……五年って長いですよ、存外。」
「まぁそれとは別に……春自身、負い目みたいなものを感じてるのかもしれませんけど。」
「京太郎は……本家のお爺様達を今でも恨んでる?」
「……どうでしょう、恨む相手はもうこの世にはいないですし。」
「それに、俺の親父は一切恨んでなかった。」
「なんか……俺自身、よくわかんないです。」
「……そっか。」
「でもそれはきっと京太郎がすこしずつ前に進んでいるのかも知れない。」
「そうですかね……未だに嫌いな人間は嫌いですけど。」
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 16:01:34.73 ID:hpziSQro0
「いつか成長してその人たちを許せるといいね。」
「ゆっくりでいいから、許してあげて。」
「……出来るだけ前向きに善処します。」
それだけ答えたが良子さんにとってはそれで十分だったようだ。
俺達はそこで話を終わらせて静かに目蓋を閉じた。
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 16:02:12.56 ID:hpziSQro0
――電車内――
「私、寝台列車とか初めてです!」
「うふふ……もう神代さんったらそんなにはしゃいじゃって。」
(神代さんかわいいから京ちゃんが守ってあげたくなるのもわかるなぁ……)
「咲さん、今日は語りつくしましょう!」
「うん、そうだね。」
(神代さんって結構危なっかしいから私がしっかりしないと!)
(私のほうがお姉さんですからがんばらないと!)
二人の少女を乗せてゆっくりと列車は走る。
だが二人はまだ知らない、大阪で降りるには乗り継がないといけないと言うことに……
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 16:03:00.13 ID:hpziSQro0
――松実館――
もぞもぞとする音と朝日が差す光で目を覚ます。
どうやら二人が起きた様だ。
二人は未だ寝惚けた面をしていてその様子が似ているので内心やっぱり従姉妹だなと思った。
だが春は起きた俺と良子さんを見て微かに含み笑いをもらしていた。
なぜ笑ったのかわからなかったので怪訝な表情をすると春が答える。
「二人とも寝起きの顔が同じ。」
そんなばかな。
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 16:03:03.93 ID:i894FjgwP
C
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 16:03:16.51 ID:IKhoUdXR0
4
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 16:03:39.13 ID:hpziSQro0
仲居さんによって運ばれた朝食を食べて人心地付いた後、観光のためにどこに行くか決めていた。
近くの神社に行くとか話しも出たが却下だ、なんで骨休めにここまで来たのに仕事の気分にならないといけないんだ。
あーでもないこーでもないと論議をしたかったが生憎回るところがないので土産物屋にでも行ってみるかと言う話になったのだが……
ところが話の途中で良子さんが何かを思い出したように「ショッピングしてくる。」と言って何処かに行ってしまった。
昨夜の話で良子さんが気を使ったのだろうか。
結局春と二人で土産物屋等を回ることになった。
それにしてもこいつ、着替える素振りを見せない、もしかして巫女装束のまま出かけるつもりなのか?
「なぁ、もしかして持ってきた服って……白衣と襦袢と緋袴だけってことはないよな?」
「ちゃんと替えの足袋や千早、あと掛襟も持ってきた。」
「聞きたいのはそういうことじゃなくてだな……」
「?」
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 16:04:24.23 ID:hpziSQro0
あ、だめだこいつ、普段着が仕事着のタイプだ。
可哀想だから今度洋服でも見繕ってやろう。
旅館から出てそこそこきつい傾斜の坂を歩いていく。
最近すっかりと和菓子に舌が侵されてしまい、新しい和菓子に興味が出ていた。
鹿児島では洋菓子を食べることがあまりなかった、確かに和服に洋菓子はミスマッチだとは思ったけど。
ところが和菓子屋にやってきたのだが店は運悪く臨時休業で閉まっていた。
近くを通った親切なおばあさんが仰るには何でも和菓子屋の娘さんが倒れたらしい。
ここら辺は何か流行っているのだろうか。
余所者が珍しいのか若者が珍しいのかおばあさんと長話をする羽目になった。
どこどこに神社があるとかどこどこの土産物がいいとか。
しかし何でおばあさんは神社の話をしたのか。
ああ、春が着ているものか。
おばあさんと長話を興じていると坂の下の方から一台の車が上ってきた。
あの車は確かキューブだっただろうかそれが俺達の前に止まる。
車内から出て来た女の人が俺達に話しかけてきた。
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 16:05:22.02 ID:hpziSQro0
「あなた達が須賀君と滝見さんね?」
「ええ、そうっすけど……」
この大人に対しての俺の第一印象は『嫌いなタイプ』だ。
俺は本能的にそう察知してしまった。
この女の人は『嫌いなタイプ』、竹井さんや姫松の赤阪さんが『苦手なタイプ』、まぁ赤阪さんと赤土さんは印象でしかないが。
この女の人は俺達を値踏みするような視線を寄越したと思ったらすぐに気を取り直して自己紹介に移った。
「私は赤土晴絵、阿知賀女子の顧問と言えばわかるかしら?」
「戒能プロから話を聞いて貴方達の観光案内買って出たのよ。」
「……はぁ、春、どうする?」
「京太郎に任せる。」
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 16:12:15.28 ID:IKhoUdXR0
4
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 16:24:07.46 ID:IKhoUdXR0
4
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 16:24:34.89 ID:hpziSQro0
すまんSS速報で一から立て直す、さすがに待つのがしんどい
今速報は落ちてるっぽいから余計時間が掛かるような
もうたったか
63 :
SS速報くっそ重い、肝心な時に使えない……:2013/06/29(土) 16:34:56.61 ID:hpziSQro0
溜息混じりに春に聞くとどっちでもいいと返された。
俺個人としては赤土さんとは同行したくないのだが地元の土地勘がある人間じゃないとわからないこともあるだろう。
良子さんの面子も考えて仕方なく申し出を受けることにした。
「……水先案内お願いします、赤土さん。」
「君、何か渋ってたわね……まぁお姉さんがばっちり案内してあげるわ。」
「別に……ここで"俺は何もするつもりはありません"でしたから。」
「……あはは……若者なのに擦れてるねー、観光に来たならもっと楽しまないと。」
「じゃあ、車の後ろに乗って、出発するよ。」
苦笑いをする赤土さんに促されて車のドアを開けて乗り込む。
車内には既に先客が居て助手席にボブカットの少女が座っていた、目が合ったので俺達は互いに軽く会釈をする。
運転席に座った赤土さんが少女の紹介をしてくれた。
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 16:51:38.60 ID:IKhoUdXR0
4
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 17:03:48.05 ID:IKhoUdXR0
4
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 17:05:48.94 ID:hpziSQro0
「この子は灼、私の教え子よ。」
「鷺森灼、阿知賀女子の二年せ……よろし……」
鷺森さんが尻切れ感満載の挨拶をするとそれに倣ってこちらも自己紹介をする。
「俺は須賀京太郎です、清澄の一年……まぁ元ですが、よろしくおねがいします。」
「で、こっちが――」
「滝見春、永水女子一年、よろしく。」
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 17:06:42.17 ID:hpziSQro0
挨拶が短い上に年上に対してそれはどうなんだよ、と思いつつも一つ気付いた。
春は無口、鷺森さんもお喋りじゃなさそうだ。
ということは残りの俺と赤土さんで移動の間の沈黙を凌がなきゃいけないのか。
いや無理だろ、俺は赤土さんと話したくないし。
流石に話を振ってきたら適当に返すけどこっちからあっちに話を振る気はない。
で、案の定痛い沈黙に車内は包まれている。
時折赤土さんが沈黙に耐えかねて地元の観光紹介してくれるが俺と春は「へぇ〜」とか「おお……」としか返してなかった。
そうこうしている内に最初の目的地に着いたらしい。
着いたのは吉水神社という所だ。
祀っているのは後醍醐天皇だったっけか。
車から降りると一人の少女がやってきて赤土さんと話している。
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 17:07:16.48 ID:hpziSQro0
「あ、ハルエ、いらっしゃい。」
「憧、望はいる?」
「ううん、お姉ちゃんなら今外に出ていて……」
今時の女子高生といったところか、おしゃれな服装で垢抜けた感じだ。
その今時の女子高生は俺らのほうをちらりと見たあとまた赤土さんと話し始めた。
「ねぇハルエ……あの人たちは?」
「ああ、あの子達は鹿児島から来た巫女さん達よ。」
「どうかしら、あの子達を案内してあげてくれない?」
「うぇぇ……あたし男の人苦手なんだけど……」
「そんな事言わずにさ……お願い憧。」
「ハルエがそこまで言うなら……」
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 17:08:11.30 ID:hpziSQro0
赤土さんたちの話は聞こえなかったが傍から見ていればなんとなくわかる。
真面目な顔して女子高生に何か頼んだのだろう、恐らくだが俺たちからの心証をよくするために。
だがこの少女には荷が重いだろう、何故なら……
「えっと……あたしは阿知賀女子一年の新子憧、ここの神社の娘やってるの、よろしくね。」
「滝見春、永水女子一年、よろしく。」
「須賀京太郎、よろしくな。」
「うぇ!?」
俺が握手を求めるために手を差し出したら新子がビクついた。
やっぱり、この新子という女子は"俺が誰かさんのことが苦手"なように"新子も俺が苦手"なんだ。
だったら話は楽だ、俺達に非がないように接してその上でこの子が俺を邪険にしてくれれば赤土さんからの話がより断りやすくなる。
そんな考えを浮かばせたのが顔に出ていたのだろう、横目で見ていた春が咎める様に口を差し挟む。
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 17:08:51.23 ID:c6EIPIS+0
なかなか使われない憧の巫女設定
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 17:08:56.92 ID:hpziSQro0
「京太郎、意地が悪い。」
「わりぃ、ちょっと確認したかったんだよ。」
「えっと……ごめんね……じゃあ気を取り直して観光案内させてもらうわ。」
「おう、頼む。」
新子に連れられて境内を歩き回る。
今は季節外れだが一目千本と言われる桜の名所や北闕門(ほっけつもん)と呼ばれる邪気祓所など案内してもらった。
北闕門には九字と五芒星が刻まれた石版が埋められてあった。
九字の切り方等を得意気に教えてくれる新子には悪いが初美さんならともかく俺たちは分野ではないので教えられてもどうしようもない。
十二分に御説明を受けたので次に回ろうと新子の肩を叩いた。
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 17:12:49.19 ID:fsszTM3O0
支援
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 17:15:36.94 ID:3I38cUr+0
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 17:16:04.40 ID:hpziSQro0
申し訳ないSS速報に移りました
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 17:21:02.30 ID:c6EIPIS+0
乙
仕方ないな
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 17:32:25.52 ID:w9Kf6E19O
今から読むほー
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 17:39:39.04 ID:4KqxSNRz0
ss速報だと
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 17:47:08.64 ID:hpziSQro0
読もうとしたら速報errorってやがるぅ
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/29(土) 17:53:36.72 ID:hpziSQro0
最後に書いた設定に関しては自分なりにある程度調べてみて考察したものです
乙
乙
ちょっと阿知賀サイドの自業自得感が強かったな
一応乙
読めるようになったらちゃんと読む