男「たった二人の千年物語」

男『できたぞ、歳を取らない薬だ！』

助手『流石っすよ博士、秘密裏にこそこそ何をしてるかと思えばそんなの作ってたんすね』

男『凄いだろ。これさえあれば老衰で死ぬことは決してない』

助手『飲んだ瞬間にゾンビ化するなんてベタな展開は止めてくださいね』

男『大丈夫だ、そんなに複雑な薬でもないからな。そもそも生物の老化とはある程度のスパンでサイクルさせ、長期の種の保存を可能にするためにあるのだから避けようのない事象ではないのだ』

助手『はぁ、なるほど』

男『……先程俺が言ったように、この薬が蔓延することは人間という種の保存を妨げることを意味する。絶対に他言するなよ』

助手『……そんな大事な秘密を自分に話したってことは』

男『あぁ、俺とお前。この世でたった二人の不老になろうということだ』

男「……」ｽｰｽｰ

村人「ちょっと起きてくださいよ。旅の方ですか？」

男「う、助手？」

村人「ジョシュって誰ですか？ 変わった名前ですね」

男「……」

男「すいません。ちょっと昔の夢を見ていて」

村人「こんな道中で寝てどうしたんですか？」

男「道に迷って、ここについたのが夜遅くてな。どこの民家もしまっていてつい」

村人「変わった人ですね……。どこから来たんですか？」

男「もうとっくに滅んだ国さ」

村人「はて、最近滅んだ国なんかありましたっけ？」

男「遠いところから来たのさ、遠いところから」

男「いや、良い所だなここは。一晩寝ても何もされないのはここの人達の生活に余裕がある証だ、うん。気にいったぞ」

村人「はぁ……。でもあんまり長居しない方が良いですよ、伝説の吸血鬼がこの辺りで発見されたそうですから」

男「……ふーん。なんだソイツは？」

村人「旅をしてる割には見識の薄い人ですね、千年伯爵とも呼ばれる吸血鬼の話を知らないんですか？」

男「……」

村人「何世代に渡って生き続けているっていう伝説の人間ですよ。殺傷能力の高い飛び道具や怪しい薬を持ち歩く怪人で、城一つを一夜で滅ぼしたなんて話もあります」

黄金の月草の露に幾万も登り唯一に来る夜の牢で打たれる君の夢に咲く

>>4
Rotation

男「そいつは怖いな。その千年伯爵とやらは、どんな外見をしているんだ」

村人「さぁ、ねぇ。黒いマントを被っているとも、ゴテゴテのタキシードで身を包んでいるとも言われていますがあくまで噂の範囲ですから」

男「ほうほう」

村人「あぁ、そう言えば実は女だとかも言われていますねぇ」

男「……。何処に行けばその美人吸血鬼さんに会えるかな？」

村人「……何だか変な期待してませんか旅人さん？」

男「いやいや、とんでもない。旅人らしく珍しいものを見ようと思っただけさ」

村人「止めておいた方が良いですよ。森の近くを歩いていた村の若い奴が、２人殺されましたから」「まぁ、ただの通り魔かもしれないのですが」

村人「……森の奥には、昔商人の建てた無人の洋館があるんですよ」

男「なるほど、そこに住み着いてるんだな」

村人「仮定ですよ、仮定。最近では不気味がって誰も森の近くを通りません」
「それに期待してるところ悪いですが、女かどうかはわかりませんからね」

男「わかってるよ、それぐらい」ｽｯ

村人「本当に行くんですか？　止めておいた方が……」

男「化け物退治に行ってやるって言ってるんだ。もっと嬉しそうに見送ってみせたらどうだい？」

村人「いやでも吸血鬼は……」

男「大丈夫さ。これでも腕には自信があるんだ」ｸﾞｩｰ

男「……」

村人「昨日から何も食べてないんじゃ……お腹が空いてるなら、ウチの家に寄って行きますか？」

出会って腹がなって食事になるのはジャンプかサンデーにありそうな描写だな

男「いや、すいませんね。腹の音で催促したみたいで」ｸﾁｬｸﾁｬｶﾞﾂｶﾞﾂ

村人「いえいえ、ここまで無遠慮だとは思いませんでしたが」ｼﾞﾄｰ

男「あれ、そう言えばご家族の人は？」ｸﾁｬｸﾁｬ

村人「ここの村では女は15で別居して、結婚する決まりなので」

男「へーえ大丈夫ですか、夫の留守に男連れ込んじゃって」ｸﾁｬｸﾁｬ

村人「……殺されましたから、吸血鬼に」

男「ふーん……」ｸﾁｬｸﾁｬ

村人「おい、そこ手を止めるところだろ」

男「すいません、お腹空いていたんで」ｸﾁｬｸﾁｬ

村人(このクチャラーがッ！）ｲﾗｯ

男「それにアンタさ、あんまり悲しそうじゃないもの」ｶﾞﾂｶﾞﾂ

村人「……結婚するまで話したことありませんでしたし、結婚してからすぐに死にましたからね」
「わざわざ村の外の人に、悲しむ素振り見せるのもしんどいですし」

男「親の家に帰るとか、他の男とくっ付くとかしないのかい？」

村人「それも村の掟ですよ。未亡人は家に帰ることも、相手を捜すことも村を捨てることもせず、寂しく余生を過ごすって決められてるんです」

男「ふーん。まぁ、珍しくはありませんね」
「後追い自殺を強制してる村を見たことがありますから」ｸﾁｬｸﾁｬ

村人「いやでも、旅人さんもこれはおかしいと思いませんか？」

男「俺は所詮旅人だし、地方地方の風習に口出しなんてできませんよ」ｸﾁｬｸﾁｬ

男「……あっさり家に上げてくれると思ったら、私を攫ってー的なアレですか」ｸﾁｬｸﾁｬ

村人「……」

男「空腹を助けていただいたとは言え、俺からしてみれば日に何十人と出会う人間の内の一人でしかありませんから」
「わざわざ旅の道連れにしている余裕はありませんよ」ｸﾁｬｸﾁｬ

村人(だからそういうこと言う時は、そのｸﾁｬｸﾁｬを止めろよ)ｲﾗｯ

男「ごちそうさまでした」

村人「……食べるだけ食べて逃げるつもり？」

男「嫌だなぁ、夫の仇を討ってあげましょうって言ってるじゃないですか。それに俺、人生の伴侶はもう決めてるんです」

村人「……」

男「あっ、そうだ。このナイフもらって行きますね」

村人「……貸すだけなら良いですよ。また返しに来てください」

男「何回考えたって変わりませんよ。そんなに大切なら後で洋館まで取りに来てください。吸血鬼に刺しておきますから」ﾀｯﾀｯﾀｯ

村人「……」

男「ご飯、おいしかったですよ。良いお嫁さんになれたでしょうに、残念です」

しえ

…………

男「もっと吸血鬼の情報を聞きたかったんだがな、居辛いし腹も膨れたから良いか」ｸﾙｸﾙ

男「このナイフ、慣れてきたな」ﾊﾟｼｯ

男「にしても迷ったな、そんなにデカい屋敷があるなら適当にうろついてても見えてくると思ったんだが」

男「吸血鬼よりも道訊いとくべきだったかな」ﾊｧ

ｻﾞｻｯ

男「おっ、あれか！」

男「さぁて鬼が出るか美女が出るか、見せてもらおう」

ほ

し

ガチャ

仮面を付けた女「……」

男「ほう、如何にもな奴が出てきたな。しばらく隠れて様子を見るかな」

仮面「……」ｷﾞﾛｯ

男「うっ……察しの良い女だな」ｽｯ

男「それ以上近付くなよ。もし来たらこのナイフを使って、全力で抵抗するからな。こっち的にはちょ〜っと質問に答えてもらえればそれで良いんだ」ｼｭｯ ｼｭｯ

仮面「……」ﾀｯﾀｯ

男「来るなって言ってるだろ、あの変死体の話を聞いたって、こっちは別にびびってないからな」

仮面「……」ﾋﾟﾀｯ

男「気が狂って死んだように見えるのは、離れ街の覚醒剤の効果だろう？」

仮面「……」

保守

男「吸血鬼ぶって何がしたかったんだ、お前さんは？」
「村人には言わないから、正直に言ってみなよ」

仮面「私は本物の吸血鬼、千年を生きる人殺し、人は私を恐れ千年伯爵と呼ぶわ」

男「……そういうのは良いからさ、安易に不死を名乗るもんじゃないぜ」

仮面「今帰るなら見逃してあげるけど」ｼｭﾝｯ
「それとも、その果物ナイフで抵抗してみる？」

男「参ったね、このナイフ借り物だし汚したくないんだよ」

男「どうしてもと言うなら仕方ないが、これで斬り合うのは御勘弁願いたいね」

過疎ったね

仮面「なら……」

ﾊﾞｽｯ

仮面「……え？」

男「見るのは初めてか？　数百年前に資源不足と平和主義が理由で滅んだ武器、銃だよ」
「急所は外したが、常人なら出血多量で死ぬだろう。もっとも、不死の吸血鬼さんには屁でもないだろうが……」

仮面「い、いや……助け、助けて……」

男「嫌だね。絶命するかどうか、ゆっくり座って観察させてもらうよ」ﾄｽｯ

仮面「人でなし……」

男「そうともさ俺は人外。何世代に渡って生き続けている伝説の吸血鬼、人は俺を恐れ千年伯爵と呼ぶ」
「殺傷能力の高い飛び道具や怪しい薬を持ち歩く怪人で、城一つを一夜で滅ぼしたなんて自慢話もありますよ」

仮面「……！」

男「訳あって不老の女を捜してるんだが、どうやらアテが外れたようだな」

仮面「わ、私はただの人間っ！　だから助け……」

男「嫌だよ、面倒臭い。それにアンタより悲惨な善人を何人も見殺しにして来たんだから、今更こんな殺人鬼助けたらアンフェアだろ？」

仮面「……ならせめて、私の死体は仮面を付けたまま顔を潰しておいて欲しい」

男「う〜ん、三分ぐらい考える時間をくれ」

仮面「……」

男「おい、なんか反応してくれよ」

男「……あぁ、もう死んだのか」

男「悪いけど、考えた結果やっぱり顔を見せてもらうことにしたよ」

期待

しえ

男「『QK-24』この顔の印は、街の奴隷か……。グループで連帯責任制にして、問題行動を起こしにくくしてるんだっけな」

男「……奴隷の生死の管理は杜撰だろうし、死亡扱いにでもなったのを知ってここの森に逃げて来たんだろうな」
「で、仮面を付けて俺の名を借りて人祓いしてたと」

男「殺人事件なんてバレたら、同グループの奴隷公開処刑かもしれんね。ははは」

男「実質不老不死は関係なしか、つまらない事件に首突っ込んじゃったな。わざわざ死体の顔抉りたくないし、このまま去らせてもらいますか」

【保守中】

　　　　　　　　　　　　　　 ∧,,∧
　　　　　　　　　　　　　　(´・ω・)　　　　　　　　　　　ｼｭｯ!!　　 ∧,,∧
　　　　　　　　　　　　　　（　っ(⌒）　　　◯三二≡＝─　　⊂(・ω・｀)、
　　　　　　　　　　　　　　 `ｕ-ｕ'　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　と)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ｕ-ｕ'

男「……そうだ。遠距離武器を持ってるって勘ぐられたくなかったから借りてきたナイフ、返さないと」

男「確か吸血鬼に刺しとくとか言っちゃったんだっけ。面倒くさいけど、ご飯ご馳走になったんだからそれぐらいの約束は守らなくちゃな」

男「……目立つように顔にでも刺しておくか、それで印が見えなくなってしまったとしても、それは偶然の領域だろう」ｸﾞﾁｬア

男「ま、俺なら人突き刺したナイフなんて使いたくないけどね」

男「死体を埋めてやる義理はない。無惨な躰を野に晒すが良いさ」

ねす

落ちた

支援

村人「……」

男「見てたのか」

村人「私だって、血塗れのナイフなんか使いませんよ。御礼がしたいなら、何か他のことで返してください」

男「……困ったな、生憎渡せるような物は何も持っていないよ」

村人「覚えましたから、番号。このままだと私、死体をきっと街に引き渡しますよ」

男「……」

村人「捜し人がいるなら、連れて行ってくれなんてもう良いません」

男「じゃあ、どうしろと言うんだ」

村人「……一晩だけ、抱いてください、このまま女として終わりたくないんです。それだけで幸せですから」

男「……」

女だったのかよ

そりゃ女だろうよ

４

落ちたか？

今のVIPなら三時間は余裕やろ

保

はよ

ほ

続きはよ

ほ

ほ

も

ま

つ

り

谷

亮

子

はよ

はよ

まだか

昼寝長すぎィ！