1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 17:58:47.71 ID:bWLgy6cC0
旧校舎 廊下
勅使河原「よし、誰もいねえな」
望月「この辺りにいるとすれば千曳先生だろうけどね」
恒一「演劇部の二人が言ってたからね」
見崎「その角の先の第二図書室を過ぎちゃえば大丈夫よ」
女子生徒「」ドヨーン
四人「!」
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 18:00:06.59 ID:bWLgy6cC0
望月(その第二図書室前に……)
恒一(髪の長い女子生徒の……)
勅使河原(幽霊……?)
見崎(……)
恒一「いや」
勅使河原「ねえな」
望月「ないね」
見崎「多々良さん」
女子生徒(多々良)「!」ビク
恒一(うん、僕らの席からは見慣れた後姿だね)
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 18:01:16.53 ID:bWLgy6cC0
見崎「そんなところで何してるの?」
多々良「あ、榊原君……と、みんな」カァ
見崎「榊原君が中心人物なのは否定しないけど、声をかけたのは私よ?」
多々良「ご、ごめんなさい。でも、榊原君たちこそどうしたの? こんな人気のない旧校舎に連れ立って」ジトー
望月「何か誤解されかけてる……」
勅使河原「話しちまっていいよな。演劇部の二人にも言っちまったし」
恒一「え、うん……」
勅使河原「三組の災厄を止める手がかりが旧校舎にあるらしくてな」
恒一「それを探そうとね」
勅使河原「演劇部の二人も誘ったんだけど、フラれちまった」
恒一(今にして思うと勅使河原の存在に身の危険を感じたのかもしれないな。多々良さんが誤解したような意味で)
勅使河原「多々良はどうしたんだよ」
多々良「吹奏楽部の練習があって私は終わったんだけど、一緒に帰る予定だった後輩の子が居残り特訓を命じられちゃって」
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 18:04:33.89 ID:bWLgy6cC0
多々良「今頃ベートーヴェンを恨みながらティンパニを叩いてるんじゃないかな」
恒一「ベートーヴェンとティンパニって、もしかして第九?」
多々良「今年の文化祭で、合唱部の合同でやることになって」
望月「音楽の先生が長野オリンピックの開会式に感化されたって聞いたよ」
多々良「(望月に)そうみたいなの。(恒一に)よく知ってるね」
恒一「ベートーヴェンが主人公のミステリでそんなセリフが、ね」
多々良「音楽室や音楽準備室で待つのは落ち着かないし、図書室は開いてないし」
多々良「帰ろうとしてた綾ちゃんと由美ちゃんが部活で来ていたって言うから、第二図書室で待とうかと思ったんだけど……」
恒一「千曳先生、まだいる?」
多々良「帰っちゃったみたい」
望月「いたらもう見つかってるよね。こんなに廊下で話し込んでたりしたら」
勅使河原「まあ、そいつは好都合だな」
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 18:05:47.89 ID:bWLgy6cC0
多々良「私にとっても好都合だったかも」
望月「ということはつまり……」
多々良「私はフラないよ、勅使河原君」
勅使河原「その台詞、告った後に聞きたかったねえ」
旧3年3組教室
恒一「で、多々良さんも加わると」
多々良「人手は多いほうがいいでしょ」
恒一「そうだけど」
多々良「それに見崎さんを一人で行かせるなんて」
見崎「私の貞操を心配してくれてるところ悪いけど、ほいほいついてきた自分の貞操はどうなの?」
多々良「はぅ」
恒一「そんなことしないから……」
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 18:08:41.38 ID:bWLgy6cC0
見崎「まあ、多々良さんがいれば大丈夫かな。自分より小さい望月君くらいなら殴り倒せそうだし」
多々良「ひ、ひどっ。気にしてるのに」
恒一「ははは……」
勅使河原「お、けん玉発見」カッカッカッ
望月「駄目だよ勅使河原君。ちゃんと探さないと」ジー
恒一「昔の美術部員が作ったと思しき作品を凝視しながら言うセリフじゃないよね」
多々良「あ、これは!」
恒一「何? 何か見つけた?」
多々良「何の楽譜かな?」パラパラ
恒一「……」
多々良「♪ Freude, schoner Gotterfunken,Tochter aus Elysium……」
恒一「第九の歌詞じゃないか。ていうか、多々良さん歌う側じゃないよね」
見崎「♪」ステップステップ
恒一(頭に花を咲かせた見崎が合わせて踊り始めたし)
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 18:10:11.86 ID:bWLgy6cC0
恒一「みんなが真面目に探し始めるまでロッカーにでも引きこもっていようかな……」ガチャ
恒一「ん?」
『将来このクラスで理不尽な災いに苦しめられるであろう後輩たちに』
恒一「カセットテープ……」ベリベリ
恒一「これが災厄を止める手がかりか」
多々良「さっそく聞いてみようよ」
勅使河原「どこで聞くんだ? 放送室にでも忍び込むか?」
望月「あそこならプレーヤーもあるだろうからね」
見崎「そんなリスクを犯さなくても、音響と音楽再生の専門家がいるじゃない」
多々良「うん……。音楽準備室にラジカセあったかな」
多々良「防音は完全じゃないけど、隣でティンパニを練習している人がいるから、かえって好都合かも」
見崎「じゃあ行きましょ」
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 18:11:26.65 ID:IwDhdc2U0
ほぉ…
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 18:14:07.72 ID:bWLgy6cC0
音楽準備室
見崎「音楽準備室って、吹奏楽部の楽器置き場なのね」
多々良「専用のホールとかを持つお金持ち学校とかならともかく、公立はみんなそうじゃないかな」
ドコドコドコドコ ゴロゴロ
恒一(ティンパニの音に遠雷。降り出しそうだな)マドノソトヲミナガラ
多々良「準備できたよ」
勅使河原「じゃあサカキ。押せよな」
恒一「え、僕が?」
見崎「」ウンウン
多々良「」ニッコリ
恒一「じゃあいくよ」ガチャ(再生)
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 18:15:06.11 ID:bWLgy6cC0
松永『ええと、おれの……おれの名前は松永克己』
多々良「かつみお兄ちゃん!?」ピョン
勅使河原「おわ、何だよ」ガチャ(停止ボタン)
恒一「えと、知り合い?」
多々良「うん、隣の家に住んでたお兄ちゃん」
勅使河原「世の中狭えなあ」
望月「田舎とはいえ何万世帯もあるわけだから、結構な確率だよね」
見崎「いっしょに遊んだりもしたの?」
多々良「うん。塗り絵を前衛芸術みたいにされて大泣きしちゃった事とかあったなあ」
望月「おおー」キラキラ
恒一(ああ、怜子さんと同じ美術部だったからなあ)
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 18:16:15.18 ID:bWLgy6cC0
多々良「それから生まれて初めて遊んだすごろくがお兄ちゃんのお手製だったんだけど、あがり目前の『ふりだしにもどる』のマスが……」
望月「マスが?」
多々良「『いいか 駒をふりだしに還せ 駒をふりだしに還すんだ』って。何か怖かったなあ」
望月「おおー」キラキラ
勅使河原「いや、意味分かんねえし」
恒一「続き、聞くよ」ガチャ(再生)
……
松永『いいか、死者を死に還せ。死者を死に還すんだ。それが始まってしまった災厄を止める方法だ』
ドコドコドコドコ ゴロゴロ……
一同「……」
勅使河原「なあ、これってつまり―」
ピッシャーン
見崎「殺せ、ってことね」
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 18:17:52.57 ID:bWLgy6cC0
多々良「お兄ちゃん……」ドヨーン
勅使河原(そりゃショックだろうさ)
望月(よく遊んでくれた隣のお兄ちゃんが)
恒一(一度死んでいる相手とはいえ、人ひとり殺していたんだからね)
多々良「ふりだしにもどるのマスのあれ、ここから来てたんだ……」
恒一・勅使河原・望月(あれー?)
多々良「そんな形で引きずってたのかな……」
一同「……」
『そもそも!』
勅使河原「な、なんだ? 続きがあるのか?」
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 18:19:44.92 ID:bWLgy6cC0
松永『そもそも、あの二人がいけないんだ。隣の……多々良夫妻』
多々良「多々良夫妻?」バッ
勅使河原(なぜそこでサカキを見る!?)
恒一「多々良さんのご両親のことだろうね」
多々良「そうだよね。なんだぁ……」
見崎「……」
松永『あの夫妻がちゃんと子育てしないから』
恒一「多々良さん、お兄さんかお姉さんは?」
多々良「いないけど……」
見崎「じゃあ多々良さん本人のことね」
勅使河原(松永をお兄ちゃんて慕うくらいだから、まあそうだろうな)
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 18:21:35.73 ID:bWLgy6cC0
松永『……ある夜のことだ。俺は目が覚めたんだ。目覚まし時計じゃなかった』
松永『断続的に聞こえる音が不気味で家中調べたんだが、どうも音源は俺の家じゃなかった』
松永『窓を開けて耳を澄ましてみると、音はより鮮明になった』
松永『いや、音じゃなくて声だった。つまり、赤ん坊の夜泣きだったんだ』
勅使河原「夜泣きかよ!」
望月「もっとホラーな展開になるかと……」
多々良(は、はづかし〜)カァ
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 18:22:51.98 ID:bWLgy6cC0
松永『その夜は布団を被ってどうにか寝たんだが、夜泣きは次の晩も聞こえてきた。その次も』
松永『一度気になりだすとどうにも寝付けなくて、俺は寝不足に陥った。まあ、夜泣きのせいだけじゃないんだが』
松永『何日目の事かはもう覚えてないが、ある晩俺は耐えかねて多々良夫妻のところに抗議しに行ったんだ』
松永『だが呼べど叩けど、夫妻は出てこない。だから俺は……入っちまったんだ』
松永『多々良家の中に、無断で』
多々良「お兄ちゃん!?」
見崎「最初に言ってた罪の告白が、まさか複数形だったとはね」
恒一「ははは」
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 18:24:00.25 ID:t9YmJwas0
何が始まるんだ
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 18:26:10.61 ID:bWLgy6cC0
松永『生まれたばかりの乳児が泣き叫んでもぐーすか寝こけてる様な夫妻のことだ、きっと戸締りもずぼらに違いない』
松永『俺は中には入れそうな窓を調べたんだ。そしたらあったんだよ、鍵をかけてない窓が』
松永『二階の廊下の窓だった。俺は自分の部屋の窓から屋根に出て、多々良家の屋根に飛び移ったんだ』
松永『隣の家の中学生の目を夜泣きで覚まさせるくらいだから、それくらい近いってことでそんなことも出来たんだよ』
恒一「そうなんだ」
多々良「」コクコク
松永『窓を開けてみると、夜泣きはより鮮明になった』
松永『あらかじめ裸足だった俺は窓から入ると、抜き足差し足でまず一階の夫妻の寝室を確認した』
松永『二人ともぐっすり寝てやがったよ』
松永『ふ、夫婦の夜の営みに夢中で、夜鳴きに気づかないんじゃないか』
松永『なんて中学生じみた―ああ中学生だけど―ことも想像したけど、しっかりと寝ていた』
松永『よかったよかった。いや、よくねいけど』
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 18:27:05.75 ID:bWLgy6cC0
多々良「お・に・い・ちゃ・ん〜〜〜」フラフラ
見崎「……多々良さん、気を確かに」
松永『俺は二階に戻り、夜泣きの聞こえてくる二階の部屋に入った』
松永『そこにはベビーベッドがあって、赤ん坊がいて、ガラガラがあって、育児書とかベビー服とか……まあ、想像したとおりの赤ん坊部屋だ』
松永『赤ん坊が夜泣きする理由といえば、腹を空かせているかおむつかのどっちかだろうと思って、とりあえず脱がせてみた』
松永『その時まで、俺は多々良夫妻のところに生まれた赤ん坊が男の子か女の子か知らなかったんだが―』
多々良「いやーーーーーーーーっ」ジタバタ
恒一「吹奏楽部の備品を壊そうとしちゃ駄目だよ!」
勅使河原「おちつけ多々良! 望月、ラジカセを遠ざけろ!」
望月「うん!」
見崎「榊原君。とても不本意で不愉快だけど、多々良さんのこと抱きしめて頭でも撫でてあげて」
恒一「え、うん」
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 18:28:25.58 ID:bWLgy6cC0
恒一「大丈夫だよ、多々良さん」ギュゥ ナデナデ
多々良「もうお嫁にいけない〜」グスングスン
見崎「このテープを聴いてない人のところに行けばいいじゃない」ニヤニヤ
多々良「それは嫌ぁ」
恒一「ほ、ほら。赤ん坊の頃はみんな誰かにやってもらってることだし」
恒一「それが実の親じゃなくて隣の家の中学生でも……」オロオロ
多々良「」メソメソ
恒一「他にもそういう人いるから。例えば生まれてすぐに親が死んじゃって……………………」
他一同(あ……)
恒一「」グスン
勅使河原(地雷踏み抜いたな……)
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 18:29:19.96 ID:bWLgy6cC0
多々良「」ギュ
恒一「あ……」
多々良「」ギュウ
恒一「……」
多々良「」ンギュゥ
恒一「……さん」
恒一(『お母さん』って口走りそうになった)
多々良「なぁに?」
恒一「……ありがとう」
多々良「どういたしまして」ニコ
勅使河原「完全に二人の世界だな。男子中学生らしく胸が当たってるとか気にしろよ……」
望月「ティンパニの音がやんでる。気付かれたかな?」
ドコドコドコドコ
望月「あ、大丈夫だったみたいだね」
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 18:29:51.62 ID:ZnFIfaMe0
しえ
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 18:29:56.55 ID:bWLgy6cC0
松永『育児書でおむつの替え方を調べた俺は次におむつのありかを求めて……』
見崎「松永さん、喋り続けているわね」イライラ
望月「巻き戻して聴く?」
恒一「それはいいよ。このまま聴こう」
松永『……幸いそれは使い捨ての紙おむつだった。布製の洗って再利用するタイプもあるらしいからな』
松永『おむつを替えてやると赤ん坊は嘘のように泣き止んで、すやすや眠り始めた』
松永『その顔がちょっと可愛いんで、しばらく眺めていた』
松永『俺は3組の災厄のせいで明日も知れぬ身なのに、隣の家では新しい命が生まれているんだな、って。そんなことを思いながら』
松永『それから俺は夜泣きがするたびに多々良家に忍び込んで、恵ちゃん……赤ん坊の名前だが、の世話をするようになった』
松永『おむつの交換だけじゃなくて、粉ミルクをあげたこともある』
松永『さすがに多々良家の台所で作るわけにはいかなかったので、いったん自分の家に戻ったりして』
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 18:31:21.74 ID:bWLgy6cC0
松永『育児書を読むだけじゃ分からないことは、さりげなく自分の母親に聞いたりもしたし、図書館に調べに行ったりもした』
松永『夫妻にちゃんと面倒を見るよう言うのでもよかったが、まあ信用できなかったし……』
松永『何よりも俺自身がそれを必要としていたんだ。死への恐怖を鎮めるために……』
勅使河原「これ、聴き続けるのか?」ヒソ
恒一「いやでも、多々良さんが……」ヒソ
多々良「」ボットウ
松永『それから恵ちゃんを俺の家で預かったこともある。』
松永『多々良家の旦那が出張、奥さんが法事で里帰りしたときのことだ』
松永『ベビーベッドを俺の家に運び込んで居場所だけとりあえず作ったんだが、あの夫婦、例によっておむつを粉ミルクを忘れやがった』
松永『俺の家に移すのを忘れて出かけちゃったんだよ。なんかもう徹底してて笑っちまった』
松永『なもんだから俺が買いに行くふりをして、例によって多々良家に忍び込んでとってこようとしたんだが……』
松永『こんな日に限ってあの夫婦、しっかりと戸締りをして出かけていったんだ』
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 18:31:55.33 ID:bWLgy6cC0
松永『多々良家に入れなかったんだ。だから自腹切って……薬局で……買ってきたんだ』
恒一(声の調子が変わった?)
松永『すぐに……見つかったよ。おむつと粉ミルクの銘柄? ああ……製品名か。覚えるくらいになってたからな』
松永『合宿のときも……恵ちゃんのことが心配だった』
松永『2泊3日の合宿の間は……俺が世話……できないからな』
松永『死ぬかもしれないって(ハァハァ)恐怖の先に、俺が死んだら(ハァハァ)誰が恵ちゃんを……っていう強迫観念みたいなものにとりつかれて(ハァハァ)』
松永『浜口の(ハァハア)奴が雷に打たれた時も、真っ白になった視界を(ハァハァ)スクリーンにして浮かび上がったのは』
松永『……恵ちゃんの寝顔だった』
多々良「」ギュ
恒一(僕の手を……)
恒一(……)
恒一(握り返しておくか)ギュ
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 18:34:39.57 ID:bWLgy6cC0
松永『……やっとの思いで下山して(ハァハァ)あいつ……紛れ込んでいた(ザザッ)と二人きりになって……その、つまり……』
松永『見られてたんだ!』
一同「!?」
松永『おむつと粉ミルクを買うところを見られてたんだよ!』
松永『……それだけじゃないが、それが切っ掛けだったのは間違いない』
松永『そのことをからかわれて俺は逆上して、結果的にあいつを殺すまでの怒りに身を任せることになった』
松永『……そんな事って思うかもしれないけど、あいつもそう思ったんだと思うけど』
松永『恵ちゃんの事は俺にとって生きて帰らなきゃいけない理由だった』
松永『浜口と星川があんなことになって、あいつも気が立ってたんだと思う……なんていまさら言っても言い訳にしかならないが』
松永『長い蛇足だったけどともかくこれが俺の罪の告白、その動機の部分だ』
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 18:35:54.46 ID:bWLgy6cC0
ガチャ
一同「!」
恒一(あ、ああ。テープが終わったのか)
多々良「お兄ちゃん……。私のせいなの」
勅使河原「いや、どちらかってーと多々良の両親の―」
恒一「勅使河原」
勅使河原「お、すまねー」
恒一(な、何か言わないと。でも何て言えば……)
「すごいね」
見崎「多々良さん、すごい」
多々良「見崎さん……」
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 18:36:39.71 ID:bWLgy6cC0
見崎「0歳児にして現象を止めちゃうなんて」
多々良「それはお兄ちゃんが可愛がってくれたから……」
見崎「年頃の中学生をメロメロにしちゃうくらい可愛かったんだね」
勅使河原「今でもメロメロの奴、校内に多いぜ」
見崎「多々良さんは合宿行くよね」
多々良「えと……その……」
恒一(行かないって言えない空気だな)
見崎「榊原君も来て欲しいよね?」
多々良「え……」ポゥ
恒一「うん、まあ、神頼みが当てにならないとなると、実績のある人がいてくれたほうが頼もしい、かな」
見崎「ほら、榊原君もそう言ってる」
多々良「でも私……死者かもしれないし」
他一同「え!?」
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 18:38:52.81 ID:bWLgy6cC0
勅使河原「じ、自覚あんのかよ?」
多々良「ううん、でもお兄ちゃんの話聞いたら、ちゃんと生きられたのか不安になっちゃって」
恒一(無理もない)
見崎「ふふふ」
恒一「見崎?」
勅使河原(笑ってるとこ)
望月(初めて見た……)
見崎「」スゥ
恒一(眼帯をはずした)
見崎「安心して。多々良さんは死者じゃない、死者じゃないから」
望月「そうだよ」
多々良「望月君」ウレシソウ
望月「僕より背が高くて、三神先生くらいまで大きくなったんだから、きっとちゃんと育てられたんだよ」
多々良「望月君……」ウレシクナサソウ
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 18:39:45.28 ID:bWLgy6cC0
恒一「松永さんに会ってみるのもいいじゃないかな。連絡先と勤務先は僕ら知ってるし」
多々良「あ、案内してもらえるの?」
恒一「案内? まあ、いいけど」
見崎「態よくデートに誘ったわね」ムスッ
勅使河原「見崎こそやけに多々良にご執心じゃね? あー、分かった」
恒一「分かったって?」
勅使河原「ほら、配られた合宿のプリント。二人部屋って書いてあっただろ」
恒一・望月「あー」
多々良「え? え?」
勅使河原「態よく相方をゲットしたな」
見崎「ふふふ。それよりお三方こそ一人余っちゃうんじゃない?」
勅使河原「俺は風見とでもいっしょになるわ」
望月「……雨、止んだみたいだね」
多々良「練習も終わったみたい」
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 18:41:37.54 ID:IwDhdc2U0
どうなるのか
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 18:42:47.03 ID:bWLgy6cC0
恒一「そろそろ引き上げようか。ああ、テープは僕が」
多々良「はい」カシャ
恒一「じゃあ僕らはこれで」
多々良「うん。また合宿で、ね」
多々良(合宿かあ……)
合宿変に続く
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 18:45:55.20 ID:bWLgy6cC0
終わちゃった。
やっとこさ書き上げたのにすげー短かったorz
多々良さん大活躍の合宿編いつか書きたい。
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 18:47:13.92 ID:IwDhdc2U0
続かないんかい面白そうなのに こういう内容ならVIPより 速報の方がいいべ
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 18:49:33.24 ID:vQ3NQv/j0
ここまでレスがつかないSSも珍しい
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 18:49:43.14 ID:d8GSHsOc0
再開はよ
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 18:54:24.74 ID:wcXYVTvR0
え?
終わり?
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 19:01:04.67 ID:gyusxFu80
あれ、終わり…? とりあえず、乙
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/24(木) 19:09:00.25 ID:cGew9OYA0
おつおつ
住所ネタできたか
乙
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
>>34 投下速度が速すぎると支援する暇が無いんや