1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
ID:PD+l/99L0の代行でー!
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 20:46:00.54 ID:9pFwTpOf0
支援ぞ
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 20:46:49.45 ID:40Gh69Ex0
/ :/ ...:/:′::/ :.:.:.....:./.:/:!:.:.:.i:..!:.:.....:{:.:.:.:.:.:ハ /
. /.〃/:...../:′'.::|:: i .::.:.:.:| :i:_{__|:.|:.:.:.i :|:.:.../  ̄`ヽ/ ふ
'://:′::/斗:十 |::.::.::.:.:.:.: :}}ハ ::ハ:{:≧ト|:::/ な な な ぅ
{//::{: /|i:八::{=从:{ i::::: :N孑弐{ミト∨:::|::′ る. る .る (
. i :从 ::::{イァ:う{ミト爪ト::::. ! ん):::::ハヽト、:{:| ほ ほ ほ )
. |.::| : \《 { ::::::: } ヽ\{ { ::::::::: リ | :::ヽ! ど ど ど む
. | ::!::|ハト.乂__ノ ー ' | :::< |
八::| :|::::i /i, , , /i/ , }:::}i::人 __ ノ\
(__):::l:::::. i.:/::::::::厂「{:::::::{ ` ー― ´
/ :{ | :V:入 { ̄`ソ }/}::::}/::::::l.|:::::::|
{ ::|人::∨::::>... ` . ィ升|:::/::::::::八::::::{
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 20:46:51.25 ID:BwmMb1DW0
咲-saki-最新巻買ってきたぞ!咲のSS教えろ!麻雀のルールわかんね!適当にやったけどクソだろ!
麻雀の仕方教えろ!俺の嫁自慢するぞ!咲の画像晒せ!麻雀アプリ何使ってる?
……もう、いいかげんにしろよマジで。
咲-saki-最新巻買って嬉しいのはわかるけど、その度にいちいちスレ立てやがってSakinerの品位に関わるだろ。
俺自身初連載の頃から溺愛していた生粋のSakinerとして、本当にガッカリしてる。
頼むからSakinerは節度と慎みのある対応をして、
「あ、Sakinerは紳士的なんだな」「カッコいい!」
「 咲-saki-最新巻を持つという事は、立派なことなんだな……」
って思われるようにして行こうぜ……?
みんなで、変えて行こうぜ……?
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 20:47:32.40 ID:WzPFZVAc0
俺と宥姉のなれそめがついにSS化か
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 20:47:50.80 ID:PD+l/99L0
代行感謝
書きためてるけどそんな長くないんでサクサクいきます
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 20:48:03.53 ID:2gzGhp1f0
よっしゃ!
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 20:48:12.84 ID:NoKH62Bd0
宥玄だな
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 20:48:18.64 ID:+v1J1EDX0
スレタイブラックホールですわ
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 20:48:37.46 ID:kdynMGpEi
ふぅ〜む
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 20:49:13.63 ID:Z8VgQ9c/0
はよ
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 20:49:34.71 ID:2Wos/vF/0
ほららぁぁ
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 20:50:09.69 ID:PD+l/99L0
全ては偶然だったのかもしれないけど
必然だったのかもしれない。
そう、思いたくなる、あなたとの出会い。
ううん、出会いなんて言ったけど本当は一方的にあなたを見ていただけ。
赤土さんに渡されたDVD、真剣で、鋭い眼差しのあなたが映っている。
狙った相手から直撃を取るあなたのスタイルを見極めるために、
私は何度も何度も、あなたを見た。
凛々しい声や美しい立ち居振る舞いは、私を当初の目的とは
違った意味で画面に釘付けにさせた。
そしていつの間にか、画面の中のあなたに、
恋をしていた。
そう、まさしくあなたに心を射抜かれた。
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 20:50:31.57 ID:4iYAtR7f0
つまんねえええええええええ
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 20:50:47.62 ID:+v1J1EDX0
よっしゃやっぱり宥菫やんけ!!
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 20:51:14.01 ID:T6DX7Urg0
期待するで!
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 20:51:26.92 ID:igXhi0Sb0
SSされたか
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 20:52:04.59 ID:2gzGhp1f0
菫かぁ……
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 20:52:15.97 ID:PD+l/99L0
いつも同じ映像なのに、見るたびに新鮮な気持ちがした。
いつも同じ映像なのに、見るたびに胸が高鳴った。
だから、必ずあなたと対局したい。
あなたのところまで、勝ち上がりたい。
あなたは私のことなんて全く知らないかもしれないけれど
私はあなたをよく知っている。あなたの癖もよくわかっている。
だから、恋をした私は、あなたに勝って、私を見て欲しかった。
私を、松実宥を、知って欲しかった。
あなたが私に何の興味を抱かなくてもいいから、
名前くらい、知って欲しかった。
そんな、些細な願いを胸に、私は東京の地を踏んだ。
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 20:52:15.92 ID:9pFwTpOf0
ふんふむ
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 20:52:45.78 ID:kdynMGpEi
支援
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 20:54:12.87 ID:iwOsRKe1O
丁度菫宥成分不足だったところだ
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 20:54:15.70 ID:WzPFZVAc0
支援ぞ
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 20:54:50.63 ID:Hk0CPKz+0
たまにはテルテルにも光をあててあげて下さい……
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 20:55:08.00 ID:PD+l/99L0
「お姉ちゃん?どうしたの?」
玄ちゃんにそう声をかけられたのは、
翌日に初戦を控えたお昼のことだった。
お昼ごはん休憩で、私と玄ちゃんは部屋に引き上げて
つかの間の、まったりとした時間を過ごしていた。
「え?」
「ぼーっとしてたよ」
「ごめん、寝不足かな」
目を擦りながら、そう答える。
確かに昨日は、遅くまであのDVDを見ていた。
愛しいあなたを見ていた。それだけで、やる気が出る。
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 20:57:32.09 ID:igXhi0Sb0
新鮮でいいな
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 20:58:07.78 ID:PD+l/99L0
「またあのDVD見てたの?遅くまで電気点いてたよね」
「うん」
「けど、対戦できるかどうかわからない相手よりも…」
「明日の牌譜を見ておけって言うんでしょ?」
「うん」
「わかってる、でも、これはある種のモチベーションだから」
「そうなの?うーん、ならいいけど」
「玄ちゃんも、しっかりね」
「うん、頑張るよ」
握りこぶしを作った妹が頼もしい。可愛い、大好きな妹。
玄ちゃんはもう気付いているのかな?
私が、恋をしていることを…。
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:00:33.22 ID:2Wos/vF/0
てら支援す
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:01:02.64 ID:PD+l/99L0
順調、とは言い切れないかもしれないけれど
私たちは1回戦、2回戦を突破して、準決勝へと駒を進めた。
準決勝の相手には、白糸台高校がいる。
あなたが部長を務める、史上最強のチーム。
全国の高校生の頂点、宮永照を擁する優勝候補の筆頭。
組み合わせ抽選の時に、ちゃんと気付いていた。
2回勝てば、あなたに会える。
あなたの目に、私を映すことが出来る、と。
だから、2回戦のあなたはあえて見なかった。
だって、あなたはきっと負けないから。
直接顔を見たい。だから、あなたに会うのは対局までお預けだ。
けれど、その日が、ようやくやってきた。
あなたと、真っ向勝負。
そうして、私の名前を、あなたに刻み込みたい。
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:02:26.11 ID:+v1J1EDX0
このしっとりとした雰囲気は地の文メインならではっすね
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:04:23.91 ID:PD+l/99L0
些細な願いを胸に、大きく失点をしてしまった妹と言葉を交わす。
「玄ちゃん、お姉ちゃんが取り返すから」
「うん…ごめんね」
「ううん、お姉ちゃんはお姉ちゃんだもん」
「…ありがとう、お姉ちゃん。頑張ってね」
「うん!」
「ねぇ、お姉ちゃん…」
「なぁに?」
「弘世菫さんは…ううん、なんでもない」
「え?」
「なんでもないよ、頑張ってね」
「う、うん…行ってきます」
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:07:13.03 ID:PD+l/99L0
玄ちゃんと別れて、対局室を目指す。
緊張しているのがわかる。なんだか早足になってしまっているから。
あなたはもう対局室にいるのかな。
あの、凛々しい顔で対戦相手を待っているのかな。
それとも、悠然とした態度で対局室に入ってくるのかな。
ギギ、っと音がするドアを開けて対局室に入った。
ふと顔を上げると、そこにはあなたがいた。
入った来た私をあなたが見ると、目が合う。
あなたの目には私が映っているのかな。
ううん、…きっとあなたにとって私なんてただの対戦者。
名前も、きっと知らない。
ゆっくりと、全自動卓へ近づくと
「よろしく」
と、あなたのハスキーな声が届いた。
あなたに笑顔はない。けれど、柔らかい声だった。
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:08:11.59 ID:kdynMGpEi
支援
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:10:11.58 ID:PD+l/99L0
そこでふと、何かがひっかかった。
けれどそれが何かわからない。
「よろしくお願いします」
小さく頭を下げて、イスに腰掛ける。
あなたは腕を組んでいて、私が座ったのを確認すると、
すっと目を閉じてしまった。
声をかけるな、そう言われているような気がして少し寂しく思う。
けれどこれは全国の舞台で、集中するのは当たり前。
寂しい、何て思う私がおかしいんだよね。
でも、あなたが目を閉じているということは、あなたを見ても
あなたはそのことに気付かないということ。
一瞬だけ、目を閉じて、何度も繰り返し見たあなたの姿を想う。
そして、目を開けて対面にいるあなたの姿をしっかりと見つめた。
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:12:05.49 ID:fVUsvtbz0
しえ
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:12:22.58 ID:PD+l/99L0
あなたは、あなたで、間違いなくあなたで。
長く美しい髪に、スラっと高い背はあのDVDと何も変わっていない。
あそこからそっくり抜け出てきたようなあなた。
あなたはあなたなんだから、当然なんだけれど
その至極当たり前な事実が私を高揚させる。
「…ん?」
だけど、何かが違う。あなたはあなたなのに、何かが違う。
何かが引っかかる。何かがつっかえている。
先ほどの違和感は、気のせいではなかった。
「ん、何か?」
私が小さく漏らした声に反応したあなたは、目を開いて私に問いかける。
「い、いえ、何も…すいません」
あなたが真っ直ぐに私の瞳を見つめてくる。
その視線が真っ直ぐすぎて、私は下を向いて謝った。
あなたの視線を受けて、同じように見返すのが怖かった。
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:13:19.58 ID:2Wos/vF/0
ほしゅほしゅのほしゅ
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:13:30.37 ID:9pFwTpOf0
支援ぞ!
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:16:07.75 ID:PD+l/99L0
「そうか、ならいい」
あなたはそれだけ言って、また目を閉じる。
だから私は顔を上げて、あなたを見つめる。
わからない。何が違うんだろう。
なぜ、どうして、そんな風に思うのだろう?
あなたはあなたなのに。私が恋したあなたなのに。
胸だってほら、さっきから高鳴っている。
ぽかぽかとあったかいのはマフラーやセーターだけのおかげじゃないはずなのに。
DVDをただ見ているだけでは出来なかったことができるのに。
そう、さっきみたいに言葉を交わすことも、手を伸ばせば触れこともできるのに。
なのに、私は何を考えているんだろう。違う、なんて。
そう、私がおかしいんだ。あなたに会えて、高揚しているから
きっと変なんだ。だから、…あれ?
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:18:10.16 ID:U+kT9r7f0
支援ぞ!
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:18:40.95 ID:FEXUhLBD0
ふむ
宥→菫か
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:19:06.92 ID:PD+l/99L0
そう、DVD…DVDのあなたはどうだった?
今の、目の前のあなたと何が違う?どう違う?
ううん、違わない。やっぱりあなたはあなたで…
いや、違う。
私が恋したあなたは、白い制服なんて着ていない。
そんなに長いスカートじゃなかった。
私が恋したあなたは、ベージュのブレザーを着て、
グリーンのネクタイを締めて、チェックの短いスカートだった。
この目の前にいる人は、あなたであって、あなたじゃない。
私の好きな、あなたじゃない。
試合を前に頭の中が軽く混乱を始める。
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:19:53.71 ID:kdynMGpEi
おや
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:20:47.89 ID:2gzGhp1f0
うん?
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:21:48.54 ID:m+Kx4Rmh0
んー?
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:22:38.04 ID:PD+l/99L0
着ているものが違うだけじゃないか。
中身はあなたそのものじゃないか。
鋭い目も、長く美しい髪も、高い背も、何も変わらないじゃないか。
そう、私にかけられた声だって、あの映像と同じじゃないか。
頭の中の誰かが私にそう声をかける。
でも、また別の誰かが「違う!!」と大きな声をあげる。
私の好きなあなたは、この人じゃない。
腕組んで目を閉じている、白い制服を着たあなたじゃない。
違う、でも、違わない。
違わない、でも、違う。
なんだか気持ちが悪い。頭が変になりそうだ。
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:22:42.15 ID:+v1J1EDX0
宥姉ブレザー派だったか
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:24:42.94 ID:WzPFZVAc0
まじかよ俺学ランだったわ
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:25:41.56 ID:PD+l/99L0
…けれど、そこで、ハッとする。私は、ようやく気付く。
やっぱり私が好きな人は、ベージュのブレザーを着たあなただけなのだと。
凛々しく闘牌をする、あの、あなただけなのだと。
だから、私はあなた自身を好きだったわけじゃないんだ。
ブレザーを着て、ネクタイを締めて、丈の短いスカートの、
「映像の中のあなた」を好きになっただけなんだ。
目の前にいる、あなたを好きなわけじゃない。
そう思うと、高揚していたはずの気分がすぅっと引いていく。
胸の高鳴りも静かに収束していく。
ぽかぽかとあったかかったはずなのに、身体が冷えていく。
頭の中まで冷えていく。
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:25:45.37 ID:igXhi0Sb0
DVDを見過ぎたのか
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:26:15.61 ID:9pFwTpOf0
ふぅ〜む、なるほどなるほど、なるほどー
宥姉が歪んでるのは珍しいな
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:28:06.31 ID:kdynMGpEi
病んでらっしゃる
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:28:42.00 ID:PD+l/99L0
「あなた」に会うためにたくさんDVDを見ていたはずなのに。
「あなた」に私を知って欲しくて、私を覚えて欲しくて
精一杯努力してここまでたどり着いたのに…。
なのに、私が恋した「あなた」はどこにもいない。
あの映像の中にしか、「あなた」を見つけることが出来ない。
私は一体、何をしているんだろう。
何をしていたんだろう。
なんでこんなに単純なことに気付けなかったんだろう。
「映像の中のあなた」を一方的に好きになって
実物のあなたに会ったら、それは私の求める「あなた」ではなかった。
じゃあ、私のこの気持ちはどこへいくの?
「映像の中のあなた」しか好きじゃない私はどうすればいいの?
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:29:40.81 ID:jsaLuUd+0
ふぇぇ…
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:30:24.01 ID:FkNCIUsI0
地の文がいい感じ
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:31:23.75 ID:+v1J1EDX0
地の文でしか出せない味もあるよなぁ
と読んでてしみじみ思う
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:31:37.86 ID:PD+l/99L0
そう、考え始めたら、ドアが開いて新道寺の人が入ってきた。
挨拶を交わす。
あなたも目を開けて「よろしく」と声をかけた。
あなたが口を開くと私はとても複雑な気持ちになる。
あなたは「あなた」じゃないのに、声は「あなた」そのものだから。
だから、とても苦しい。
苦しさから逃れるために下向くと、バンッ!とドアが開いて
タッタッタと誰かが走ってくる。
「すんません、遅くなってしもて」
千里山の1年生が、軽く頭を下げた。
園城寺さんがあんなことになったんだもん、仕方ないよ。それに、
「遅れてないよ、まだ時間じゃない」
そう声をかけると、
「そうですか、よかったです」
にっこりと微笑んだ千里山の1年生は最後の席に座った。
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:34:52.24 ID:PD+l/99L0
…あぁ、きっと、きっと。
私情を挟もうとした私がいけなかったんだ。
ここは自分のために戦う場所じゃない。
ここは「あなた」に自分を見てもらう場所じゃない。
わかっていたはずなのに、私はそこしか見えていなかった。
だから、「あなた」とあなたが違うことにも
すぐには気付けなかったんだ。
両手のひらで、頬を押さえる。気合を入れる。
自分の些細な願いのためじゃなく、チームの、みんなのために。
そして、インターハイAブロック準決勝次鋒戦が幕を開けた。
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:35:07.45 ID:FEXUhLBD0
読ませるなあ
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:35:38.49 ID:U+kT9r7f0
何か引き込まれる文だな
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:37:28.97 ID:PD+l/99L0
あなたは「あなた」じゃないけれど、赤土さんの言ったとおり
私が何度も見たとおり、完璧に、見事に、華麗に、相手を射抜く。
右手を小さく動かして、視線を送り、相手を射止める。
千里山の1年生は翻弄されてしまい、ボロボロになっている。
そして、ある時、あなたの右手は小さく動き、…視線が私に向けられた。
あなたが矢を私に向ける。
鋭くて、冷たい矢が刺さるところを想像してぶるっと身震いがした。
けれど、それは刺さらない。私には当たらない。
私はそれをかわす術を知っている。
かわして、反撃に出ることも出来る。
私はあなたには負けない。
あなたに私を知って欲しいとは、今はもう思えないけれど
でも、チームのために。少しでも多く稼ぎたい。
「あなた」じゃないあなたには興味はないけれど
でも、私は、あなたには負けない。
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:38:02.09 ID:EUkj4A4g0
支援
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:41:23.00 ID:PD+l/99L0
あなたに直撃を食らうことはなく、対局は終了した。
私はプラスで終えることが出来て、チームに貢献できたことにほっとする。
あなたは「おつかれ」とだけ言って対局室を出て行く。
私のほうは見もしなかった。
結局、あなたが「あなた」だったとしても、同じことだろう。
自分を見て欲しい、知って欲しいなんて願いは叶わないんだ。
だから、あなたと「あなた」は違うとはっきりわかってよかったんだ。
それでいい。それでよかった。
対局室を出ると、出迎えてくれた憧ちゃんの暖かさに癒された。
憧ちゃんのおかげで心がぽかぽかする。
「宥ねえ、ありがと」
「ううん、いいの。憧ちゃん、頑張ってね」
「ん、いっちょやってくるー!」
「ふふ、その意気だよ」
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:43:37.03 ID:T6DX7Urg0
支援します
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:44:23.97 ID:PD+l/99L0
憧ちゃんを見送って、控え室へ向かう途中、
壁にもたれ掛かって腕を組むあなたを見つけた。
あなたも私を見つけたようで「あっ」という顔をした。
誰を待っているんだろう。…もしかして、私なのかな。
「あの、すまない、少し話してもいいだろうか?」
あなたは組んでいた腕を解いて私に近づいてくる。
こうして立った状態で向き合っても、やっぱり
あなたは「あなた」ではないとはっきりわかる。
「すいません、後輩の試合が始まるので…」
あなたと話すことは何もない。
「いや、その、少しでいいんだ…すぐに済む」
「私、あなたには興味がないんです」
不意に、反射的に、きっと失礼なことを言った。
でも、言ってしまったものは仕方がない。
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:44:54.10 ID:U+kT9r7f0
おいおいどうなる
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:45:45.39 ID:+v1J1EDX0
いいっすよーいいっすよー
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:45:57.37 ID:9pFwTpOf0
すばら
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:46:20.95 ID:XERU+w4U0
ふうむ
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:46:35.15 ID:2Wos/vF/0
支援
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:47:29.06 ID:PD+l/99L0
「はっ?」
あなたの顔が歪む。対戦相手にそう言われて
怒らない人なんてきっといない。
「あ、いえ…じゃあ失礼します」
でも、それを否定したり謝ったりする気にはならず
控え室のドアノブを掴む。
「ちょ、ちょっと待ってくれ」
「なんですか?」
「…君は、試合が始まる前に私の顔をじっと見ていただろ?」
「そうでしたっけ?」
「そうだ、視線が気になってはいたんだ。何か、言いたいことでも
あるのかと思ったんだが…どうやら、違ったみたいだな」
「そうですね」
「…引き止めてすまなかった。もういい」
「はい、じゃあ、失礼します」
掴んでいたドアノブを回して控え室に入った。
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:48:01.90 ID:KwMGNOV00
およよ
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:51:42.87 ID:T6DX7Urg0
むむむ
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:52:28.36 ID:kdynMGpEi
あらー
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:52:39.80 ID:asj8Znvv0
ここからの宥菫とか美味しすぎますわ
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:53:25.55 ID:PD+l/99L0
話していても、声を聞いていても、やっぱり胸は高鳴らない。
だから、より強く確信する。
あなたじゃ、ダメなんだと。「あなた」じゃなきゃダメなんだと。
「あなた」にはあの中でしか会えないし話も出来ないし触れることも出来ない。
それなのに、それでもいいと思うのは、一体何故なんだろう。
私はどうして、こんなにも、「あなた」のことが好きなんだろう。
私は、どうすればいいんだろう?この気持ちは一体どうすればいいんだろう?
誰も教えてはくれない。
あなたは「あなた」じゃないから好きにはなれない。
いや、私があなたを好きになればいいの?
そうすれば「あなた」とあなたは1つになるのかな。
でも…やっぱり、
あなたはあなたで。
「あなた」は「あなた」だから。
私は、そこで思考を止めて、控え室のTVに向き直った。
結論や決定は、今じゃなくていい。
今すべきことは?
憧ちゃんの応援。ただ、それだけである。
カン
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:54:13.13 ID:T6DX7Urg0
菫さん知らない内に振られてるみたいになってて少し不憫
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:54:23.96 ID:igPZckqe0
凄く好きなふいんき(何故か変換出来ない)
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:54:54.85 ID:9pFwTpOf0
斬新だった乙ぞ!
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:54:56.02 ID:+v1J1EDX0
起承転結の起がカンなんですね分かります
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:55:28.33 ID:FkNCIUsI0
乙やで
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:55:34.21 ID:asj8Znvv0
乙
これは是非続きが読みたい…
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:55:39.95 ID:Hh21IVZrO
ふんふむ
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:55:42.90 ID:igPZckqe0
続きが気になる
乙ー
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:55:55.66 ID:bVUx7IYq0
乙
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:56:07.09 ID:KwMGNOV00
乙!
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:56:19.96 ID:2Wos/vF/0
んほー!
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:56:21.58 ID:kdynMGpEi
乙
斬新な病み方
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:56:24.54 ID:PD+l/99L0
おまけ
「なぁ、照…阿知賀、どう思った?」
「菫のクセ?かなにか、知ってるみたいだね」
「やはりな…」
「ショック?」
「まあ、少しは…しかしそれよりも…」
「なに?」
「なんだか、私は嫌われているみたいで」
「何かした?」
「いや、…そんな覚えはないんだがな」
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:57:01.53 ID:iwOsRKe1O
この先2次元の菫だけ見ていくのかな・・・
乙です
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:57:49.75 ID:T6DX7Urg0
乙
あーんこの後の二人がどうなるのか気になるぞ!
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:58:45.03 ID:U+kT9r7f0
この何とも言えない終わり方もいいね、地の文独特の雰囲気もあいまって
実にすばらでした、乙
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 21:59:55.84 ID:2gzGhp1f0
虹オタの誕生である
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 22:01:27.19 ID:igXhi0Sb0
オマケ支援
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 22:02:17.36 ID:PD+l/99L0
何かした覚えなんかあるはずがない。
なのに、何故あなたに興味はない、などと言われなければならないんだ。
一体私が何をしたって言うんだ。
興味がないというくせに、対局前、私をじっと見ていたじゃないか。
あれは何だったんだ。そうでしたっけ?なんてとぼけて。
「菫、ちょっと怖いから」
「いや、そう思われるのはイヤだから愛想良くしたつもりなんだぞ?」
「なら、もっと愛想良くってことでしょ」
「ふむ…もっとか」
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 22:03:11.45 ID:U+kT9r7f0
こっちもこっちで歪んじゃうのか……?
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 22:03:34.03 ID:NoKH62Bd0
ないわー
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 22:04:00.97 ID:T6DX7Urg0
いいぞーいいぞー
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 22:04:55.02 ID:FEXUhLBD0
確かに菫さんは街を歩くだけで子供やお年寄りが怖がりそうだが…
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 22:05:02.46 ID:WzPFZVAc0
ガン見されて理由聞こうとしたら興味ないとか言われて菫さんカワイソス
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 22:05:15.53 ID:2Wos/vF/0
支援支援
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 22:05:15.84 ID:PD+l/99L0
照の言葉に頷きつつも、納得できない自分がいる。
愛想の問題じゃないだろ、あの態度は。
くそ、イライラする…なぜあんなことを…。
しかも、対局中も散々攻撃をかわされた。
射抜いたつもりがあっさりと、ひらひらとかわされる。
こんなにフラストレーションが溜まるのは久しぶりだ。
阿知賀の…松実、…えっと、姉の…松実宥。
覚えておけよ、次は必ず射抜いてやる。
興味がない、なんて言わせない…絶対だ!
おまけもカン
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 22:05:17.44 ID:hjpASc570
続くのか
支援
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 22:06:24.72 ID:U+kT9r7f0
菫→宥→理想菫
人物としては二人なのに一方通行が成立するとは不思議なこって
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 22:06:36.13 ID:kdynMGpEi
ふぅ〜む、なるほどなるほど〜
乙
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 22:07:16.04 ID:T6DX7Urg0
続けよ!続くんだろ?
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 22:07:40.33 ID:fVUsvtbz0
おつー
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 22:08:23.36 ID:FEXUhLBD0
クロチャーは何を言おうとしてたのかな?
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 22:08:55.78 ID:WzPFZVAc0
乙!
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 22:09:03.70 ID:PD+l/99L0
たくさんの支援ありがとうございました
地の文でちょい不安だったけど喜んでもらえてよかった
総合スレで宥→菫が見たい、とか病んだ宥ねえが見たい、とか
そんな話が出てたので思いついた話。
あと誰かが映像見すぎて好きになっちゃった設定の話しててネタ頂きました
続きの話は全然考えてないけど気長に待ってもらえば
書くかも…?
ちゅうわけでおやすみ
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 22:09:13.42 ID:igXhi0Sb0
乙乙
冬服だとデレデレで夏服だとツンツンになったり
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 22:10:23.07 ID:9a+DQ7qq0
乙ー
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 22:10:43.69 ID:U+kT9r7f0
本当に乙でした
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 22:11:17.65 ID:FEXUhLBD0
おつー
菫さんがどうやって振り向かせるか気になる
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 22:11:18.42 ID:2gzGhp1f0
乙なのよー。期待しとるで
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 22:12:06.30 ID:T6DX7Urg0
文章うまくて読みやすかったよ乙ー
続き期待
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 22:13:04.37 ID:iwOsRKe1O
この菫さんはライバルが自分になるのか
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 22:13:41.97 ID:2Wos/vF/0
おつかれい
120 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 22:13:50.42 ID:+v1J1EDX0
乙乙
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 22:14:55.49 ID:JS4DgKWA0
おつ〜
122 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
乙ぞ