1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
たかね「あなたしゃま、あなたしゃま」
P「ん、何だ?」
たかね「おなかがへりました」
P「ああ、もう昼時か……ラーメンでも食べに行くか」
たかね「! あなたしゃま、うれしゅうございます!」
P「腹八分に済ましとけよ?」
たかね「ぜんしょ、します!」
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 22:11:50.22 ID:m3QvuyPp0
かわええ
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 22:13:04.75 ID:cHw7oz7Q0
たかね「かえだま、ついか」
P「たかね、それ何杯目だ?」
たかね「まだ、ごはいめです」
P「もう、五杯目だ。食べすぎは体に毒だぞ?」
たかね「むー……いけず、です」
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 22:15:30.02 ID:cHw7oz7Q0
昼ごはんを済ませ、俺はたかねと手をつなぎながら、事務所に戻る。
まだ食べ足りないのか、たかねは若干不機嫌だった。
春香「お疲れさまでーす!」
P「よう、春香」
春香「貴音ちゃんは?」
P「ああ、そこで寝てるよ」
たかね「……めん、よー……なぁー……」
たかねは事務所に着いてすぐ、ソファで眠ってしまった。
機嫌が悪かったのは、どうも眠かったせいらしい。
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 22:17:15.28 ID:cHw7oz7Q0
春香「うわあ、ほっぺたぷにぷに……可愛いなあ」
P「そうだな。いつまでもこのままで……って、いうわけにもいかないよなぁ……」
春香「どうして急に小さくなったんでしょう?」
P「うーん、それが分かればなあ……」
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 22:20:33.56 ID:cHw7oz7Q0
ちょうど、昨日の事だった。
俺は、レッスンを終えた貴音を迎えに行った。
その日はレッスンが長引き、外に出ると、もう真っ暗だった。
人気のない道を、貴音と二人、並んで歩いた。
とても、月が綺麗な夜だった。形からして、もうすぐ、満月になりそうだ。
貴音「……急ぎましょう、あなた様」
その日貴音は、なぜか妙にそわそわしていた。
何か、急ぐ用でもあるのだろうか。
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 22:22:21.27 ID:IHuGK5oj0
千早「実はわたしもなぜかわからないけど胸が小さくなってるの」
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 22:23:10.29 ID:cHw7oz7Q0
P「そういえば貴音、明日から5日間、休暇をとるんだよな」
貴音「ええ、申し訳ありませんが、しばしお暇をいただきます」
ふと、実家にでも帰るのかと聞きたかったが、たぶんトップシークレットだと言われるので止めた。
P「それにしても、どうしてそんなに急いでいるんだ?」
貴音「それは」
P「トップシークレット」
貴音「……あなた様は、いけずです」
貴音は頬を膨らませて、不貞腐れたようだった。
俺は、意地悪く、隣でにやにやしていた。
9 :
忍法帖【Lv=23,xxxPT】(1+0:15) :2012/12/23(日) 22:24:23.04 ID:NkOyC/b70
ほう
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 22:26:16.28 ID:cHw7oz7Q0
そのとき、一軒の屋台を見つけた。
ここでは、珍しい。
貴音「!」
貴音もその屋台に気付いたようで、足がぴたりと止まった。
その屋台は、ラーメンを売っているようだった。
P「……食べてくか?」
貴音「で、でも……」
P「時間はかからないよ。サッと食べてサッと出よう」
貴音「そ、そこまで言うなら……」
貴音は、急に足が軽くなったようで、すたすた屋台まで歩いて行った。
俺は苦笑しながら、その後をついて行った。
貴音に、時間がどれだけあるのか分からないが、ラーメンぐらいなら、2、3杯すぐに食べることはできるだろう。
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 22:26:26.22 ID:zSbOz4vo0
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 22:29:29.44 ID:cHw7oz7Q0
貴音「!」
P「うめえ!」
誤算だったのは、その屋台のラーメンがひどく美味しいもので、
貴音「おかわりを!」
P「俺も!」
時間を忘れて、夢中で食べてしまったことだった。
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 22:33:57.50 ID:cHw7oz7Q0
貴音「たいへん美味しゅうございました……」
P「ああ、あの屋台は当たりだったな……」
俺と貴音は、しばらく満腹の余韻に浸っていた。
お腹をさする貴音は、ひどく可愛かった。
貴音「はっ! あなた様、今の時刻は!?」
P「えーっと……晩の、10時少し前くらい?」
貴音「失礼します!」
俺の言葉を聞き終えるか否か、貴音はそう言って走り出した。
P「お、おい貴音!」
いくら急いでいるとはいえ、こんな夜に女の子一人で帰らすわけにはいかない。
俺は、貴音を追いかけた。
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 22:36:44.62 ID:cHw7oz7Q0
貴音は意外と足が早く、なかなか追いつくことができない。
貴音が、先の曲がり角を曲がった。
俺も曲がろうと、その角に差し掛かった。
途端、視界が一瞬、眩しくなった。
P「!?」
思わず、目を閉じる。
……そして、再びゆっくり目を開ける。
P「……見失った?」
曲がった角の先は、街灯が淡く光るだけで、貴音の姿は見えなかった。
??「――しゃま」
そのかわり……
たかね「あなたしゃま……」
貴音に瓜二つの小さな女の子が、俺のズボンの裾をくいっと引っ張っていた。
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 22:39:32.99 ID:cHw7oz7Q0
春香「貴音さんの家族に連絡……は、無理だったんですよね」
P「ああ、家族どころか、貴音の住んでいる住所さえ分からなかった」
春香「プロデューサーなのに?」
P「社長さえ、知らなかったんだよ……」
春香「でも貴音さん、今お休み中なんですよね? あ、貴音ちゃんじゃなくて、休暇中って意味で」
P「分かってるよ……それがどうかしたか? おかげで仕事には支障はでてないけど、早く元に戻さないと困る」
春香「たとえば実家に帰るとして……貴音さんが帰ってこないと、ご家族は心配してるんじゃ?」
P「家族から連絡が来ないってことは、休暇中に実家に帰る予定じゃなかったのかな?」
俺と春香は、二人で腕を組んで考え込んだ。
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 22:40:18.34 ID:K868RpAk0
黒い人たちに薬飲まされたわけじゃないんだな
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 22:42:18.30 ID:cHw7oz7Q0
俺と春香は、二人で腕を組んで考え込んだ。
小鳥さん「ただいまでーす」
春香「あ、小鳥さん。どこ行ってたんですか?」
小鳥さん「たかねちゃんの下着とか、身の回りの物を買いに行ってたのよ」
春香「え、小鳥さんが飼うんですか?」
P「春香……」
春香「あ、いや、違うんです! だって、たかねちゃん小動物みたいで可愛いじゃないですか!」
小鳥さん「ひゃあ、たかねちゃんの寝顔可愛い〜! これはシャッターチャンス!」
小鳥さんはどこからかデジカメを取り出し、たかねの寝顔をピヨピヨ言いながら撮り始めた。
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 22:45:24.03 ID:cHw7oz7Q0
P「ちょっと小鳥さん、たかねが起きちゃうでしょう?」
小鳥さん「すいません、つい可愛くて……」
春香「そうですよ小鳥さん! 後で私にも写真ください!」
小鳥さんも春香も、たかねにメロメロだった。
まあ、確かに可愛いけれども……
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 22:47:51.57 ID:cHw7oz7Q0
響「はいさーい! たかね居るかー!? 自分、手袋編んできたぞ!」
真「うわあ、可愛い……! ほら、お菓子たくさんあるよ!」
雪歩「たかねちゃん、お茶。飲みやすい温度にしておいたからねー」
あずさ「あら〜! よしよし〜可愛いわ〜!」
千早「か、可愛い……!」
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 22:49:16.44 ID:cHw7oz7Q0
やよい「家で作ってきたもやし料理を持ってきましたー!」
伊織「これ、私が小さい頃に着てた服なんだけど……!」
亜美「こ、これが萌えってやつですか?」
真美「違うよ亜美、母性ってやつだよ」
美希「美希もこんな可愛い子ほしいなー…ねえ、プロデューサー?」
律子「ほらほら! みんな早く仕事に行きなさい! 後は私にまかせなさい!」
みんな、まるで初めてできた自分の子供みたいに、たかねに接している。
いや、まだ皆そんな年じゃないし、俺も子供なんてできたことないからよく分からないけど。
でもきっと、皆子供ができたら、こんな感じの優しいお母さんになるのかなと思う。
やよい「それで、今日はたかねちゃん、誰のところにお泊りするんですか?」
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 22:52:30.02 ID:cHw7oz7Q0
やよいの何気ないその一言で、事務所内に一転、妙な緊張感が走った。
小鳥さん「私のところですよね。ほら、もう下着とか買っちゃったし」
春香「いやいや、一人暮らしの小鳥さん家よりも、家族がいる私のところのほうが」
響「家には動物がたっくさんいるから、夜も寂しくないぞ!」
真「でも響のとこにはワニとかいるよね……」
雪歩「セキュリティー面では、私のところは完璧だよ? お弟子さんが何人もいるし」
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 22:53:09.91 ID:7aWgTmEm0
ん
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 22:55:12.94 ID:cHw7oz7Q0
あずさ「でも、たかねちゃんには私みたいな包容力があるほうが〜」
千早「……くっ」
やよい「子供の扱いなら、私が一番慣れてるかなーって」
伊織「私の家なら、ここの誰よりも最高の環境で、たかねを世話できるわ!」
亜美「家にはゲームがたくさんあるよ!」
真美「たかねちゃんも退屈しないんじゃない?」
美希「美希の家なら、たかねちゃん最高にリラックスできると思うな〜」
律子「いいから早く仕事に行きなさい! たかねは私が引き取ります!」
もう、仕事どころではなくなっている……
このままでは仕方がないので、俺はある提案をした。
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 22:55:41.05 ID:K868RpAk0
投下速度が速すぎやしないか
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 22:57:40.99 ID:cHw7oz7Q0
P「たかねに決めてもらえばいいじゃないか――あ、ほら、うるさくしてたから起きちゃった」
たかね「うー…」
たかねは目をこすりながら、ソファから起き上った。
そして自分をじっと見てくる13人分、26の瞳にビクッと体を跳ねさせた。
春香「たかねちゃん、今日は誰のところにお泊まりしたい!?」
たかね「おとまり……?」
律子「正直に言っていいのよ? 誰のところにお世話になりたい?」
たかね「……あなたしゃま」
P「え」
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 23:01:27.37 ID:cHw7oz7Q0
たかねは、ソファからぴょんと降りた。
アイドル達の脇を通って、俺のところに、てくてくとやってくる。
たかね「あなたしゃま、あなたしゃま」
たかねは椅子に座っている俺に、よじ登ろうとしてくる。
俺は、そんなたかねをひょいと抱える。
たかね「あなた、しゃまー……」
そしてたかねは、俺の中ですやすやと寝息を立て始めた。
小鳥さん「この……――リコン」
P「ちょっと待て」
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 23:05:55.42 ID:cHw7oz7Q0
律子「本当に、大丈夫ですか……?」
P「律子まで……俺がこんな小さな子に手を出すような鬼畜とでも?」
律子「いえ、そうではなく、真面目にプロデューサーはその子の炊事や洗濯ができるのかなと」
P「ど、努力するさ」
律子「努力するってなんですか。やっぱり、プロデューサーにたかねを任せておくのは不安だわ」
そのとき、嘘でもいいから、大丈夫さと言っておくべきだった。
今さら後悔しても遅いが、もっといい言葉があっただろうにと思う。
P「じゃあ……誰か一人、たかねの世話をしに俺のところに来てくれよ」
P、たかねを除く全員「「「!!?」」」
かくして、非常に騒々しい5日間が幕を開けたのだった。
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 23:06:34.79 ID:y/uehlmx0
ほほう…いいじゃないか
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 23:07:10.68 ID:m3QvuyPp0
コナンくんですか
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 23:09:40.44 ID:cHw7oz7Q0
休暇1日目、つまりは俺が失言をしてしまったその日の晩。
風がびゅうびゅうと俺の部屋の窓を打ち付ける。
あずさ「ふー、ふー……はい、たかねちゃん、あ〜ん」
やよい「プロデューサー、美味しいですか?」
今、あずささんとやよい、俺とたかねの4人で食卓を囲んでいる。
あの俺の失言のあと、事務所の皆は誰がたかねの世話をしに俺の家に行くか揉めた。
さすがに13人全員を一度に俺の家にあげるのは無理だった。
俺の腕の中で寝息を立てていた、たかねとは対照的に、一触即発の空気はその後10分ほど続いた。
最終的に、朝晩の交代制をとることで一応の決着がついた。
そして今日の当番は、この二人になったのだ。
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 23:13:47.00 ID:cHw7oz7Q0
たかね「おいしいです」
あずさ「にんじんもちゃんと食べられるなんて、たかねちゃんは偉いわね〜」
やよい「たかねちゃん、シチューもいいけど、このもやし炒めも美味しいよ?」
たかね「まこと、びみです!」
久しく経験していなかった、家族団らんの雰囲気がそこにはあった。
P「あずささんがお母さんで、やよいとたかねが子供もたいだなー…なんちゃって」
あずさ「え……そ、そんなプロデューサーさん。いきなりはその、まだ心の準備が……」
あずささんは顔を赤くして、自分の髪をくるくる指で巻き始めた。
あれ?
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 23:14:51.13 ID:EnYQvBV00
支援
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 23:15:30.07 ID:EnYQvBV00
支援
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 23:15:42.85 ID:m3QvuyPp0
すぐ鯖不安定になるな
応援してる
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 23:19:02.53 ID:cHw7oz7Q0
P「あの、なんちゃって……」
あずさ「今日は私、お友達のところに泊まるって、両親に説明してますから……」
P「いや、帰ってくださっていいですよ?」
あずさ「たかねちゃんが寝たあと、ゆっくり……」
P「聞いてねえや」
俺は何やら色々妄想しているあずささんを置いておき、やよいに話しかけた。
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 23:21:37.35 ID:cHw7oz7Q0
P「やよい、兄弟の世話はいいのか?」
やよい「はい、一日くらいなら大丈夫ですよ」
たかね「びみ、びみ……!」
たかねは小さい口にいっぱいもやしをつめこんで、もぐもぐさせていた。
まるでハム蔵みたいだ。
やよい「たかねちゃん、もやし炒め気にいってくれたようです!」
どうして、こんなにもやしを気にいったのか考えてみた。
そういえば、ラーメンにはもやしがのっていることが多いことを思い出す。
何となく、納得した。
こうして楽しい夕食はあっという間に過ぎていった。
あと、あずささんには丁重にお断りして帰ってもらいました。
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 23:25:03.20 ID:cHw7oz7Q0
あずさ「そんな、プロデューサーさん……」
P「あずささん、明日も仕事でしょう?」
あずさ「プロデューサーさん……」
P「……ほら、あの……こ、今夜は寝かさないぜ? 足腰立たなくなってもいいのかい、あずさ?」
出来る限りの、精一杯の決め顔と渋い声で、あずささんの顎をクイッとあげる。
なんだかとんでもないことをしているような気が、しないでもない。
あずささんの目が、とろんとしていた。
ああ、やっちゃったよ。
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 23:28:13.98 ID:cHw7oz7Q0
あずさ「プロデューサーさん……いえ、運命の人。分かりました、今度の休日前に、また来ますね!」
P「はい、お疲れさまでーす。やよいをよろしくお願いしまーす」
玄関から、手を振ってあずささんとやよいを見送る。
たかねも、小さく手を振っていた。
P「あずささん、どうしよう……」
せめて、あの目のハイライトが無くなるような展開は避けたい。
でも、たかねの目の前でプロレスごっこは勘弁してほしい。
たかね「あなたしゃま?」
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 23:32:41.09 ID:cHw7oz7Q0
律子「おはようございます、プロデューサー」
P「…………あれ、何で律子?」
翌朝、目覚まし時計ではなく、パンの焼ける音で目が覚めた。
さらに開けた視界には、いつもの天井ではなく、律子の顔があった。
たかね「りつこどの、おなかがへりました」
律子「はいはい、もうすぐできるから待っててね〜」
律子はたかねの頭を撫でて、キッチンに戻っていった。
俺はゆっくりと体を起こす。
たかね「あなたしゃま、おはよーございます」
P「おはよう、たかね」
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 23:35:47.17 ID:cHw7oz7Q0
千早「律子、これもう持って行っていいのかしら」
律子「いいわよー」
千早はテーブルに目玉焼きやら何やら運んでいる。
時計を見ると、まだ朝の6時頃だった。
P「あの、早くないですか? というか、玄関の鍵開いてました?」
律子「プロデューサー、早く顔を洗ってきてください」
P「いや、あのね」
千早「プロデューサー、たかねの相手は私にまかせて、早く準備してください」
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 23:38:39.33 ID:cHw7oz7Q0
たかね「ちはや、ちはや」
千早「はいはい、何?」
P「何ていい笑顔」
たかね「いただきます?」
千早「まだもうちょっとだけ待ってねー……プロデューサー?」
P「何て恐ろしい顔」
千早がすごく睨んできたので、俺は素早くベッドから降りた。
目をこすりながら、洗面所へ向かった。
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 23:39:09.66 ID:m3QvuyPp0
板が不安定だ
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 23:41:59.70 ID:cHw7oz7Q0
たかね「まこと、おいしゅうございます!」
律子「たかね、よく噛んで食べなさい」
千早「牛乳も飲まないと、大きくなれないわよ?」
P「……身長が?」
千早「何が、いいたいんですか……!?」
P「すまん千早、だからフォークを逆手に持つのはやめよう」
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 23:44:43.11 ID:qN+Aji340
これは支援せざるを得ない
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 23:47:32.52 ID:cHw7oz7Q0
2日目朝の当番は、律子と千早だった。
朝ごはんを作ってくれるのは非常にありがたいが、俺は家の鍵を渡した覚えは全くない。
そのことを律子に話すと、どうやらほぼ全員持っているらしい。
なんてこったい。
たかね「あなたしゃま……はーれむ?」
P「ナイスボート」
たかね「?」
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 23:48:10.03 ID:MwZWAou80
nice boat
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 23:48:52.26 ID:cHw7oz7Q0
亜美「ちっちゃいお姫ちん、スマブラやろうぜ→」
真美「やろうぜ→」
この日の晩は、よりによってというか、亜美真美だった。
当然家事をするどころか、家に来てゲームで遊び始めた。
亜美「ぎゃー!?」
真美「て、手も足も出ないよ!?」
たかね「ぷりん」
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 23:51:38.36 ID:cHw7oz7Q0
P「おーい、今日は外に食いに行くぞー」
亜美「ええーっ」
真美「今日は、真美達がお世話する番だよ?」
P「どの口が言うか、ゲームばっかりして」
亜美「亜美達は、家事以外のお世話をするんだよ」
P「家事以外?」
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 23:56:31.51 ID:cHw7oz7Q0
真美「んっふっふ〜、兄ちゃん、ちっちゃいお姫ちんが来てから、夜のアレ、お困りでしょ〜?」
P「待て、どうして服を脱ぎ出す?」
亜美「亜美が……」
真美「真美が……」
亜美真美「「お世話してあげるよ!!」」
たかね「はーれむ?」
P「だーくねす!」
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 23:59:11.40 ID:qN+Aji340
お世話されたい
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 23:59:42.99 ID:cHw7oz7Q0
亜美「うわー、ちっちゃいお姫ちんの髪さらさらだー!」
真美「うわ、ほんとだ。うらやましいなー」
たかね「たいへん、いいおゆでございます」
亜美真美は、たかねをお風呂に入れてくれている。
昨日までは俺が入れていたから、助かるといえば助かる。
P「お風呂ね。まあ、そんな期待とかはしてなかったんだけどさ。でも、俺も男だし……いやいや何を言ってるんだ」
男だろうがなんだろうが、亜美真美もたかねも、まだ小さい女の子である。
部屋で1人、そんなことをつぶやく時点で、大変に危ない。
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 00:04:49.26 ID:AA/qQ8aE0
そのとき、携帯電話が鳴った。
俺は誰だろうと、とりあえず電話に出た。
P「はい、もしもし」
小鳥さん「やっぱりロリコンじゃないですかー!!」
P「」
小鳥さん「プロデューサーさんは大人の魅力よりも、青い果実のほうがいいんですねー!?」
P「あんた(盗聴器を)仕掛けてるんですか!?」
小鳥さん「なんのことやら」
小鳥さんは乙女(笑)の勘だと言っていたが、絶対嘘だ。
やばい。鍵の事といい、俺のプライバシーがやばい。
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 00:06:28.70 ID:AA/qQ8aE0
朝6時、俺は目覚まし時計のアラームを止めた。
3日目、開始である。
たかねはまだ、隣ですやすや寝ている。
昨日遅くまで亜美真美と遊んで疲れたのだろう。
俺はそっとベッドを出て、玄関に向かった。
そして玄関で待つこと数分。
カチャン
外から、鍵が開いた。
軽くホラー。
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 00:11:11.03 ID:AA/qQ8aE0
真「あれ、プロデューサー起きるの早いですね?」
雪歩「おはようございます、プロデューサー」
P「おはよう。鍵、返してもらっていいかな?」
真「え、どうしてですか?」
真はきょとんとしている。
なんだか、俺がおかしい事を言ってるような感じだ。
雪歩「万が一のことがあるかもしれませんし、私達が持っていたほうが……」
P「いや、逆。万が一のことが起こりそう」
たかね「あなたしゃま!? あなたしゃまー!?」
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 00:16:16.22 ID:AA/qQ8aE0
真「ほら、たかねが呼んでますよ?」
雪歩「早く言ってあげてください」
たかねの泣きそうな声が聞こえた。
目を覚ましたら隣に俺がいないので不安になったのだろう。
俺は仕方なく鍵の回収を諦め、居間のほうへ戻った。
雪歩「はい、どうぞ」
P「おお、和食か」
昨日の朝はパンだったから、今日は和食というのも良い。
特に味噌汁が美味しそうだ。
真「ほーら高い高―い!」
たかね「たいへんたのしゅうございます!」
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 00:20:44.76 ID:AA/qQ8aE0
雪歩はご飯を作って、真がたかねの相手をしてくれている。
いやほんと、この2人はバランスとれた、いいコンビだよなあ。
雪歩「真ちゃん、たかねちゃん、ご飯できましたよー?」
真「うん!」
たかね「きょうえつしごく!」
朝の景色と味噌汁のにおいが最高だ。
これで、鍵が回収できたらなあ……
P「あの、鍵のことなんだけど……」
雪歩「はい?」
P「返して、もらえませんか?」
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 00:23:12.89 ID:vsoJtyL20
たかねかわいい
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 00:23:36.77 ID:AA/qQ8aE0
真「うーん、よく分からないけど」
雪歩「プロデューサーが、そう言うなら……」
何と、意外。
あっさりと2人は、俺に鍵を返してくれた。
P「あ、ありがとう!」
真「いえ、とんでもないです」
雪歩「スペアはまだ、いっぱいありますから」
P「え」
真「雪歩、何本くらい予備の鍵作ったの?」
雪歩「えーと、10本くらいかなあ」
真「少なくない?」
P「」
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 00:23:37.05 ID:CuesZ7cv0
Pは早く鍵変えろ支援
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 00:26:17.08 ID:AA/qQ8aE0
伊織「まったく、もっといい包丁買いなさいよね」
伊織は台所で、晩御飯を作ってくれている。
伊織のエプロン姿は、とても新鮮だった。
3日目の晩。
今日の当番は伊織と小鳥さんだ。
小鳥さん「はーいたかねちゃーん、お姉さんと遊びまちょうねー?」
P「お姉さ……いや、みなまで言うまい」
小鳥さんは赤ちゃん言葉で、たかねと遊んでいる。
すると、小鳥さんは、荷物からラッピングされた袋を取り出した。
小鳥さん「ほら、たかねちゃんにプレゼント持ってきたのよー?」
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 00:29:10.03 ID:AA/qQ8aE0
P「開けていいですか?」
小鳥さん「はい、どうぞ」
開けてみると、中には可愛いクマのぬいぐるみが入っていた。
P「開けていいですか?」
小鳥さん「やだプロデューサーさん、もう開けたじゃないですか」
P「クマの中を、開けていいですか?」
小鳥さん「……あら、どうして?」
P「……盗聴器とか、入ってるんじゃないでしょうね?」
小鳥さん「伊織ちゃん、手伝うわー!」
P「おい、待て」
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 00:29:34.13 ID:Xg4CyoY60
ゆきぽおおおおおめでとおおおおお
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 00:32:19.63 ID:AA/qQ8aE0
小鳥さんは、慌てて伊織のいる台所に逃げた。
絶対、入ってるよね、これ。
たかね「めんような! めんような!」
しかし、たかねはクマのぬいぐるみを気に入ったようだ。
抱きしめたまま離さない。
今、たかねから取り上げるのも気が引ける。
夜中に、こっそりと外しておこう。
伊織「はい、できたわよ」
伊織は、そう言ってエプロンを外している。
小鳥さんが、出来た料理を運んでいく。
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 00:37:52.56 ID:AA/qQ8aE0
P「おお」
たかね「!!」
テーブルに運ばれてきた料理は、どれも美味しそうで、見た目もすごく綺麗だった。
かろうじて分かるのがビーフストロガノフだけで、その他の料理は見るのも初めてだった。
伊織「あんた、いつもロクなもの食べてないしね。ここ最近、ずっとコンビニ弁当ばかりだったじゃない」
P「男一人だと、どうも面倒でなあ」
……あれ?
昨日、ゴミは出したはずだけど?
たかね「あなたしゃま! あなたしゃま!」
たかねはよだれを垂らしながら、早く食べようと急かしてくる。
伊織「はいはい、急がなくても逃げないわよ」
伊織は苦笑しながら、テーブルにつく。
P「それじゃあ、いただきます」
たかね「いただきます!」
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 00:40:25.18 ID:AA/qQ8aE0
その晩、たかねは鍋いっぱいに作っておいたビーフストロガノフをからっぽにした。
そしてお腹いっぱいになったのか、食べ終わるとすやすやと眠ってしまった。
伊織「……ところであんた、貴音を元に戻す方法は見つかったの?」
P「いや、まだ何も……」
伊織「なにやってんのよ。明日で貴音の休暇は終わるんでしょ? 仕事とか、どうすんのよ?」
P「うーん、どうしよう」
伊織「まったく……鍵返せなんて言ってる暇あったら、そこをなんとかしなさいよ」
P「あの……そもそも鍵は誰から巡り巡って……?」
伊織「そこで寝てる、だめ事務員からよ」
小鳥さん「ぐへへ……」
そのだめ事務員とやらは、たかねと一緒に俺のベッドで眠っていた。
いつのまに。
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 00:42:46.66 ID:AA/qQ8aE0
P「起きろ」
小鳥さんのほっぺたをつねる。
両側をつねる。
小鳥さん「ピ、ピヨ……!? あ、プロデューサーさん何するんですか〜?」
P「盗聴器といい鍵といい、諸悪の根源はお前か」
小鳥さん「ご、誤解ですよ! 私は、全部春香ちゃんから……」
P「えー」
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 00:45:14.10 ID:AA/qQ8aE0
春香「おはようございまーす!」
P「おはよう春香、ちなみに、今何時だ?」
春香「えーっと、朝の3時です!」
たまたま、トイレで目が覚めた。
4日目の朝、早朝も早朝だった。
玄関のほうで音がしたので、新聞配達の人かな、と思っていたら。
カチャリ
と音がして、鍵が開いた。
そして、春香登場。
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 00:47:14.16 ID:cbpgW0KF0
おかしい
貴音SSかと思っていたのにいつの間にかストーキングアイドルSSになってた
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 00:49:20.04 ID:vsoJtyL20
しぇん
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 00:49:34.10 ID:AA/qQ8aE0
P「電車、あったの?」
春香「終電で来ました!」
P「ご両親は?」
春香「千早ちゃんの家に泊まるって言いました!」
P「それにしても早すぎるよ」
春香「だって、朝当番はどうしても夜よりも時間が短いですし……」
なぜだろう。
もじもじしてる春香は可愛いはずなのに……
でっかい工具箱持ってるだけで、こんなにも印象が変わるものなのか。
P「美希は? 美希も確か朝だったはず……」
春香「ああ、美希は『朝3時集合』って言ったら『夜に変更するの!』って言ってました!」
P「まあ、美希ならそうなるか……」
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 00:53:58.46 ID:AA/qQ8aE0
春香「寝てていいですよ! 時間がきたら起こしますから!」
P「……いや、起きとくよ」
春香「寝てていいですよ!!」
P「だから、起きとくよ」
春香「プロデューサー、さん……?」
P「おやすみなさい」
ドライバーならまだしも、リュックから鉈とか出されたら、首を縦に振るしかねえよ。
その後、俺はベッドに入りながらも、頭はガンガンに冴えていた。
時折、春香の鼻歌や金属音、何かを削る音が聞こえた。
俺はたかねを抱きしめながら、がくがく震えていた。
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 00:55:58.88 ID:AA/qQ8aE0
春香「いやー! たくさん作業した後のご飯は美味しいですね!」
P「作業、ね……」
たかね「あなたしゃま、しょうゆください」
鍵を返せとか、盗聴器はお前のせいか、とか……言える雰囲気ではなかった。
たかね「ないすぼーと?」
P「やめてください死んでしまいます」
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 01:00:01.23 ID:AA/qQ8aE0
夜、インターホンが鳴った。
誰だろうと開けてみると、響と美希だった。
響「はいさーい、プロデューサー!」
美希「あれ? どうしてハニーはそんなに驚いてるの?」
P「……鍵、持って無かったの?」
響「持ってるけど、勝手に入ったりはしないぞ?」
美希「美希も、マナーは守るよ?」
たかね「あなたしゃま? どうしたのです?」
P「いや、涙が止まらない……まだまともな人がいた……!」
響「本当に大丈夫か、プロデューサー……?」
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 01:03:40.07 ID:AA/qQ8aE0
響は慣れた手つきで、沖縄料理を作ってくれた。
特にたかねは、響にとても懐いたようで、料理の手伝いまでしている。
響「手元、気をつけるんだぞー?」
たかね「ぜんしょ、します!」
そのなごやかな光景を見て、何日かぶりに、心の底から安心している俺がいた。
P「で、なんでお前は俺のベッドで寝てるんだ?」
美希「ハニーの布団、いい匂いなの〜」
美希は頭から布団をかぶった。
そしてすぐに寝息を立てて眠ってしまった。
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 01:04:04.25 ID:xspOszMm0
C
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 01:06:34.75 ID:AA/qQ8aE0
響「できたぞー!」
ゴーヤチャンプルーやソーキそばなど、沖縄料理がテーブルにぞくぞくと並んで行く。
どれも、すごく美味しそうだ。
美希「さっそく食べるの!」
P「結局、美希は何しにきたんだ?」
美希「美希は残さず食べる係なの!」
たかね「びみ! びみ! びみ!」
響「ほらほら、そんなに急いで食べると、まるでハム蔵みたいだぞ」
響は笑いながら、たかねの口を拭く。
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 01:09:34.69 ID:AA/qQ8aE0
美希「はにー、あ〜ん」
P「おいおい」
たかね「……あなたしゃま」
P「ん?」
たかね「あ〜ん……」
P「」
美希「いやん、可愛いの〜!」
響「プロデューサー、食べてあげなよ」
P「あ、あ〜ん」
俺は照れながら、たかねの差し出したゴーヤを食べた。
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 01:11:57.82 ID:+DiO+6JZ0
なんと甘ったるいゴーヤ
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 01:12:34.72 ID:AA/qQ8aE0
たかね「おいしゅうございますか?」
P「うん、おいしい」
たかね「えへへ……」
P「……か、可愛い!」
もう我慢できなくなって、俺はたかねを抱きしめてしまった。
たかね「あ、あなたしゃま!?」
美希「あー、たかね、ずるいの! 美希もハニーに抱きつくの!」
たかねを抱きしめた俺を、美希が抱きしめる。
たかね「ひ、ひびき! ひびき!」
そして、たかねは響に助けを求める。
美希→俺→たかね→響の順で抱きしめる。
響「なんだ、これ?」
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 01:14:25.28 ID:cbpgW0KF0
つまり響は女神ということ
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 01:17:04.34 ID:AA/qQ8aE0
響達が帰った後、俺とたかねは散歩に出た。
明日には、貴音の休暇期間が終わり、仕事が待っている。
いまだに元に戻す方法が見つかっていない。
さて、どうしたものか……
たかね「あなたしゃま?」
俺の浮かない顔に、たかねが心配そうな声で俺を見る。
P「大丈夫だよ、たかね」
俺は微笑みながらその場にかがむ。
たかねの頭に手をのせ、撫でる。
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 01:20:38.24 ID:AA/qQ8aE0
P「もし、このまま元に戻らなくても、俺が一生かけて面倒見てやる」
たかね「あなたしゃま……」
P「さて、帰るか。もう10時少し前……」
10時、少し前……?
俺は、あの時の貴音との夜を思い出す。
――とても、月が綺麗な夜だった。
――形からして、もうすぐ、満月になりそうだ。
バッと、月を見上げた。
月が、ほんのり赤くなっていた。
P「そういえば、今日は……!」
月食。
ここ数日、たかねの事で忙しかったから、すっかり忘れていた。
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 01:23:52.87 ID:AA/qQ8aE0
たかね「あなたしゃま!」
そのとき、たかねの体が、淡く光り始めた。
P「たかね!」
徐々にだが、たかねが消え始めていく。
たかね「……あなたしゃま、ありがとうございました。とても、たのしかったです」
P「そ、そんな、待ってくれたかね!」
たかね「――それでは」
P「たかね!!」
俺はたかねを掴もうと手を伸ばした。
が、その手は空を切る。
よろけて、地面に倒れてしまう。
P「たかね、たかね……」
俺はみっともなく、その場で泣き始めた。
P「たかねぇぇぇぇ!!」
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 01:27:26.33 ID:AA/qQ8aE0
貴音「はい、なんでしょう?」
P「」
俺は、声がした後ろを振り向いた。
貴音「あなた様……どうかいたしましたか?」
P「た、貴音? 今、消えたはずじゃ……」
貴音「すみません。月食の時期は、不安定になりまして……」
P「どういうことなの?」
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 01:31:14.32 ID:AA/qQ8aE0
貴音「ご心配をかけて申し訳ありません」
P「今までのたかねは、貴音なのか……?」
貴音「私が言えるのは、ここまでです。それ以上は――」
貴音は、人差し指をスッと唇につけて、
貴音「とっぷしーくれっとです」
それは俺が知っている、貴音のいつもの妖艶な笑みだった。
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 01:34:04.24 ID:AA/qQ8aE0
春香「あ、貴音さん、おはようございます! お休みはどうでしたか?」
貴音「真、有意義なものでした」
小鳥さん「あれ、なんだろうこれ?」
P「どうしたんですか?」
小鳥さん「いえ、デジカメのメモリーなんですが……中の写真が半分以上真っ黒なんです」
小鳥さん「私、何撮ったんだろう?」
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 01:36:10.53 ID:vsoJtyL20
な・・・どういうことだってばよ
たかねは異世界人かなにかか
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 01:37:27.23 ID:7RkpLSA80
月の人だよ
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 01:37:36.48 ID:AA/qQ8aE0
翌朝、事務所に出社した俺は、奇妙な事に気がついた。
俺以外の誰ひとり、たかねのことを覚えていなかった。
たかねがいた証拠になる痕跡も、どうやら消えているようだ。
春香「そういえば私も、変な事があって……」
春香「盗聴器やら何やら、全く使えなくなっちゃって」
春香「確かめようとプロデューサーさんの家に行ったんだけど、鍵もなぜか合わなくて」
そういえば、まだ外が暗い早朝に、なにやらガチャガチャ音がしていたような気がする。
誰も入ってこなかったので、気のせいかと思っていたが。
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 01:38:38.97 ID:U2nQeScl0
ナチュラルにすごいこと言ってんな
91 :
忍法帖【Lv=3,xxxP】(1+0:15) :2012/12/24(月) 01:38:48.32 ID:4X34cdRa0
支援
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 01:42:34.26 ID:AA/qQ8aE0
俺は、隣にいた貴音を見る。
貴音「ふふ。お礼です。あなた様」
小声で、そう言った。
P「やっぱり、たかねは……」
すると貴音は、人差し指を、俺の口にぴったりと付けてきた。
貴音「それは、これからゆっくりと知っていけばいいではありませんか」
貴音「……一生面倒を見てくれるのでしょう?」
そう言って、貴音は俺の口から、ゆっくりと手を離した。
そして、唖然としている俺に向かって、
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 01:43:58.22 ID:AA/qQ8aE0
貴音「あなたしゃま?」
おわり
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 01:45:42.00 ID:cbpgW0KF0
おつおつ
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 01:46:40.98 ID:Xg4CyoY60
えんだああああ
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 01:46:54.39 ID:U2nQeScl0
乙乙
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
圧倒的乙
また貴音で書いてくれ