ツンデレにこれって間接キスだよなって言ったら664
1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 21:18:36.95 ID:uKpxhNc80
◆ツンデレって何?
「普段はツンツン、二人っきりの時は急にしおらしくなってデレデレといちゃつく」ようなタイプのキャラクターのこと。
◆このスレでよく使われる人物設定
男:デフォルトネームは別府タカシ。ツンデレに色々したりされたりする。
アッパー:デフォルトネームは椎水かなみ。感情表現豊かな基本形。
ダウナー:デフォルトネームはちなみ。ローテンションで「……」を多用して喋る。
お嬢:デフォルトネームは神野りな。お嬢様口調。というかお嬢様。
老成:デフォはまつり。「纏」と書く。わしは?じゃのう等、古風かつジジ臭い言い回しをする。
尊大:デフォはみこと。「尊」と書く。自信に満ちあふれたような、偉ぶった言い回しをする。
関西:デフォはいずみ。関西弁で喋る。
ボクっ娘:ボクっ娘ツンデレ。一人称「ボク」。デフォルトネームは決まっていない。
勝気:気の強い男勝りツンデレ。デフォルトネームは決まってい(ry
無表情:無表情ツンデレ。デフォルトネームは決まっ(ry
中華:中華系ツンデレ。「??アル」といった言い回しをする。デフォルトネームは決(ry
幽霊:幽霊ツンデレ。憑依したりする。アッパーだったりダウナーだったりする。デフォルトネームは(ry
山田:クラスメイトとして使われることが多い。いわゆる友人A。なぜかVIPPER口調で描かれがち。
友子:クラスメイトとして使われる事が多い友人B。好奇心が強かったり世話好きだったりいろいろ。
※名前の由来などについてはまとめサイト参照
・上記の名前や設定はあくまでデフォルト。
・投下許可は求めなくていいですが、長編SSについては、投下前に宣言をしていただけると他のSSとのごちゃ混ぜ防止になるのでスレに優しいです。
・書き上がってから一斉投下してね。 書きながら投下はイクナイ。
・感想レスは励みになるので大歓迎。
・投下のタイミングは自分で見計らおう。投下直前にはリロードを心がけよう。
・もしスルーされても泣かないこと。
・投下後に殊更に感想を求めたり、レスが付かないからって自虐したりすると、ツンデレに嫌われます。
・みんなも多少のことは大目に見てスルーしよう
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 21:19:32.60 ID:uKpxhNc80
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 21:23:41.60 ID:xwGMcLvW0
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 21:24:06.53 ID:uKpxhNc80
台風で学校休みになると思ってわくわくしてたら朝すっかり晴れちゃってテンション下がってるボクっ娘可愛い
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 21:30:43.70 ID:uKpxhNc80
風とか雨の音聞いてたらこわくなっちゃってタカシに電話するかなみんかわいい
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 21:35:22.07 ID:LUb6+Clu0
いちおつー
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 21:37:52.33 ID:hfiUe8E1O
今度は間に合った……
いちおつ
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 21:46:43.09 ID:uKpxhNc80
ふふり
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 21:48:33.62 ID:hfiUe8E1O
・タカシを犬扱いしてみたツンデレ
女「……タカシ……お手」
男「いきなりなんだお前。俺は犬か?」
女「……基本的には犬以下だけど……せっかくだから犬扱いしてみるテスト」
男「せっかくだからの意味が分からん」
女「……ズボンのお尻から紐出てる……それはまるで犬の尻尾のように」
男「えっ? うわマジじゃねーか! まさか家からずっとこうだったのか!?」
女「……タカシの間抜けぶりには呆れるばかり……ほら、お手してみい」
男「くっ、くのやろー! すぐに紐取って反撃してやるからなー!」
女「……いいから早く取ってこい……見てるこっちが恥ずかしい」プークスクス
男「クソー!! 覚えてろよー!!」
男(……あれ? でもあいつ、もしかして尻から紐出てるの教えてくれようとしたのか?)
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 21:52:05.58 ID:hfiUe8E1O
>>9 ふふりってなんかいい単語だな
柔らかく笑ってるようにも聞こえるし、可愛らしくお尻振ってるようにも聞こえる
意味のある単語ならその意味を教えてほしい
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 21:56:03.54 ID:uKpxhNc80
素直じゃないちなみんかわええなあ
>>11 特に意味はないけど、自分の中ではツンデレがなんか悪戯っぽく笑ってるイメージ
かなみんとか友ちゃんとか
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 21:58:56.37 ID:MRwbsKuv0
まだこのクソスレ続いてたのかよ
俺得
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 22:02:56.84 ID:uKpxhNc80
お手本のようなツンデレだなww
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 22:09:15.42 ID:uKpxhNc80
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 22:13:29.52 ID:hfiUe8E1O
・台風の最中に田んぼの様子を見に行こうとする男を止めるツンデレ
男「台風なう。暴風雨直撃なう」
女「呟かなくても見れば分かるわよ、近所なんだから」
男「だな。緊急避難警報なんて何年ぶりだろな」
女「私の記憶では小学生以来ね。だからこうして、あんたと合わせたくもない顔合わせてるんでしょ?」
男「そうだな……よし、ちょっと俺、田んぼの様子見てくる」
女「は? 何の田んぼよ、ふざけてるの?」
男「いや、こういうタイミングでベタな死亡フラグ立てたらどうなるのかな、と」
女「馬鹿やってないで、じっとしときなさい。だいたいあんた、見回りに行く田んぼなんか持ってないでしょうが」
男「はいはい……かなみの突っ込みは厳しいぜ」
女「あんたがお馬鹿なだけよ」
男「うーい。じゃあ今度は、田んぼの代わりに増水した河川覗いてくるわー」
女「だからそれを止めなさいっての!! 言っとくけど今のあんた、スゴく不謹慎だからね?」
男「それはすまん、無自覚にボケてしまう俺の悪いクセだ」
女「全く……そんなんじゃ、死ぬ危険のある場所になんか行かせられる訳ないじゃない」
男「ん? 今の台詞さりげなく俺のこと心配してくれてる? さすがかなみ優しいなうん」
女「……やっぱあんたは一回死ぬべきだわ」
男「うーむ、ままならん」
いちおつ
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 22:15:08.51 ID:hfiUe8E1O
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 22:21:36.49 ID:uKpxhNc80
ちな
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 22:27:05.57 ID:hfiUe8E1O
・ブラクラ踏んで涙目なツンデレ
纏「た、タカシぃ!! 大変じゃあ!!」
男「何をそんなにあわててるのか、纏よ」
纏「タカシのぱそこんを弄っておったら、急にがががってなって動かなくなったのじゃ!」
男「んー? なんか変なリンクでも踏んだか?」
纏「分からぬ! とにかく早く来ておくれ!」
男「はいはい……あー、うん、こりゃばっちりブラクラ踏んだな」
纏「ぶらくらとは何じゃ!?」
男「普通のサイトのリンクに混じって、パソコンの調子をおかしくさせる罠が張ってあんだよ」
纏「そうじゃったのか……儂はてっきり、主のぱそこんを壊してしもうたのかと思ったぞ」
男「そうそう壊れるもんじゃないから。とりあえず強制終了してウイルスチェッカー掛けとくか……」
纏「……直りそうかえ?」
男「あれ? おかしいな、全然元に戻んないぞ?」
纏「ふぇっ!? やはり儂が壊してしもうたのか!?」
男「いや冗談だから。そんなビクビクすんなって……」
纏「ば、馬鹿ぁ!! そんな冗談、冗談になっておらんのじゃ!! うわぁーん!!」
男「うわ号泣した。すまん纏泣き止んでくれ」
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 22:33:34.28 ID:hfiUe8E1O
・ツンデレに「腰をかき抱くように手を回す」抱擁と「上半身が密着する」抱擁どっちが好きか聞いたら
どっちがいいのやら
ちな
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 22:42:55.12 ID:uKpxhNc80
>>21 GJ!
機械音痴かわいいないじめたくなる
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 22:50:05.26 ID:uKpxhNc80
ふふん
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 22:52:35.42 ID:hfiUe8E1O
セルフ題消化
>>22 男「ん〜……」
女「どうしたのよ。柄にもなく変な顔して悩んじゃって」
男「おう、かなみ。ちょうど良かった。ちょっと質問あるんだけど聞いていいか?」
女「何よ? また妙なこと考えてるの?」
男「そうじゃなくて、個人的に女性の意見も聞いときたいというか」
女「意味わかんない。何言ってるの?」
男「ん〜、よし、じゃあストレートに聞こう。かなみは上半身が
密着するハグと下半身が密着するハグと、どっちが好きだ?」
女「何を聞くのかと思ったら……そんなこと聞いてどうするのよ」
男「もし実践するに当たって、どっちがいいか傾向を調べといても損はないだろ?」
女「そんなこと考えてる暇があるなら、少しはマシなことに頭使いなさいよ」
男「俺にとっちゃ最重要事項なんだよ。よし、それならちょっと実際にやってみよう」ギュッ
女「きゃっ……ちょ、ちょっと何すんのよ!!」
男「ほら、こうやって肩に手を回すと、上半身が密着して顔も近いだろ?」ギュッ
女「う……確かに、そうなるけど……」
男「んで、こうやって相手の腰に手を回すと、下半身が密着してちょっぴり大人なムードが漂うっていう」ギュッ
女「うわっ……///」
男「俺としては後者がいいんだけど、不意に勃起とかしたら困るなぁと……ありゃ?」
女「……はぅ///」プシュゥ…
男「……なんか、質問どころじゃなさそうだな」
女「う、うるさいっ! この馬鹿、スケベ、変態っ!! 死ねっ、死んじゃえ!!///」
男「えぇ……なんかものすごい罵倒された」
ちな
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 22:55:58.35 ID:aV6M1Ld70
ちな
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 23:02:35.31 ID:hfiUe8E1O
いいネタ浮かばないかな
ほ
みん?
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 23:07:16.39 ID:hfiUe8E1O
お題
・ショーウィンドウに飾ってある純白のウェディングドレスを見つめるツンデレ
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 23:07:29.90 ID:W2DhX/ZN0
強風という言葉からスカート関係しか想像できない俺って・・・
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 23:11:23.08 ID:hfiUe8E1O
お題
・軽すぎて風に飛ばされそうなツンデレ
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 23:13:36.19 ID:hfiUe8E1O
・あまり笑顔を見せないツンデレにたまには笑ってよって言ったら
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 23:15:33.93 ID:hfiUe8E1O
・ツンデレが男に内緒で男のバイト先を訪ねたら
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 23:16:34.07 ID:uKpxhNc80
たまにはこっちで投下
5レス行きます
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 23:17:59.38 ID:hfiUe8E1O
谷間焼き芋えろす
GJ!
41 :
1/5:2012/09/30(日) 23:18:28.18 ID:RkxwcgRN0
・最近、男の様子が変な事に気付いてツンデレが問い詰めてみたら 〜前編〜
――最近、タカシの様子がおかしい……
タカシと言うのは、マンションの同じ階に住んでいる、幼馴染の別府タカシの事だ。年
は一つ下で性別も違うけれど、二人とも兄弟がいなかったせいもあり、私はまるで姉のよ
うに彼の面倒を見てきた。私が中学に上がる直前に彼のお母さんが病気で亡くなってしまっ
てからは、家事や日常生活の中にまで幅が広がり、そしてこの5年間は、ずっとそうやっ
て来たのだ。それが、徐々に、ではあるが確実に変わって来ていた。
それを最初に感じたのは、ある朝の事である。
「タカシ。起きてる?」
部屋のドアの前で声を掛け、私は返事を待たずにドアを開けた。すると、視界に入った
ものを認識するよりも早く、タカシの驚いた叫び声が耳に届く。
「どわっ!? し、静ねえ!! いきなり人の部屋のドア開けんなよ」
タカシの姿を視界に捉え、私はなるほど、と思う。Yシャツに、履きかけのズボン。当然、
下着は丸見えだ。さすがに私も、下着姿の男の子を見て動揺しない訳は無かったが、感情
を外に出すことが苦手な性格が幸いして、それを表に出さずに済む事が出来た。
「ちゃんと声は掛けたわよ。それに、いつもならこの時間はまだ寝こけているでしょう?
今日に限って早起きするタカシが悪いのよ」
「何でそこで俺のせいになるんだよ。いつも早起きしろってうるさいのは静ねえだろ?」
「そうね。確かに悪いと言うのは語弊があったかも知れないけれど、でも原因がタカシに
あったのは事実だもの。普段からキチンとしていれば、こういう事故は起こらないものよ」
「ちぇっ。せっかく早起きしたのに、着替え見られた挙句、逆に説教食らうとか、三文ど
ころか一文の得にもなってねーよ」
ぶつくさと文句を言うタカシをジッと見つめて、私は言い返す。
「別に男子何だから、女子に着替え見られたくらいどうって事ないでしょう? それなの
に、動揺して声を荒げたりするから文句言われるんじゃない。だからといって、これを口
実に明日から寝坊するようなら、許さないからね」
一言釘を刺すと、タカシはウンザリしたようにため息をついた。
「分かってるよ。ちゃんと早起きするって。ま、出来たらだけどね」
そう言って、ネクタイを取ると首に巻き始める。それを見た私は、ん?と首を傾げた。
42 :
2/5:2012/09/30(日) 23:18:58.60 ID:RkxwcgRN0
「珍しいわね。タカシが自分からキチンとネクタイを締めるなんて。いつも苦しいとかうっ
とうしいとか言って、着けるの嫌うくせに」
私の指摘に、タカシはちょっと偉そうに言い返してきた。
「俺だって学習したんだよ。どうせ静ねえにとっ捕まって、それこそ首が絞まるんじゃな
いかって言うくらいキツク締められるんだから」
「ちょっと待ちなさい」
部屋を出ようとするタカシの腕を掴み、私は無理矢理方向を自分の方に向かせて、ネク
タイをチェックする。
「何だよ。ちゃんと締めただろ。いちいちチェックとか、ウザったいな……」
「……まあ、合格ね。多少曲がってるけど、解いて締め直すまでも無いわ」
多少ため息混じりに私は頷く。とはいえ、内心かなり残念ではあった。タカシを起こす
のも、だらしない服装を直すのも、密かに毎朝の楽しみではあったからだ。
「だろ? もういい加減、静ねえに言われるばっかの俺じゃないっての」
「偉そうに言わないで。続くかどうかも分からないくせに」
得意がるタカシに反論すると、タカシはフン、と鼻を鳴らして小さく呟いた。
「続けてみせるよ。絶対にな……」
次の日の朝は、更に変わっていた。
「……どういう事?」
「あ、静ねえ。おはよう」
タカシの家に上がってキッチンに入ると、既に起きていたタカシが、オーブントースタ
ーで食パンを焼いていた。
「タカシが朝食の準備をしているなんて、台風でも来るんじゃないでしょうね?」
嫌味っぽく言いつつ、常備してあるエプロンを着けようとすると、タカシに止められた。
「ああ、いいよ静ねえ。朝飯の準備は俺がやるからさ。今日からはもうやらなくても」
「ダメよ。大体、パンだけじゃ力が出ないでしょ? ベーコンエッグとサラダくらい一緒
に食べないと」
しかし、冷蔵庫を開けようと振り向いた時、タカシが間に割って入って私を止めた。
43 :
3/5:2012/09/30(日) 23:19:30.02 ID:RkxwcgRN0
「大丈夫だって言ってるだろ? それに、卵くらいだったら俺だって焼けるし。だから、
その……静ねえはさ。朝は気にしないでゆっくり自分の時間を使ってくれよ」
「冗談言わないで。私は、おばさんからタカシの世話を頼まれてるんだから。ここで放り
出すわけにはいかないし、そもそもタカシ一人をキッチンに立たせるなんて危なっかしく
てしょうがないもの。それに、おじさんの分だってあるんだし」
タカシに拒絶されたみたいで、酷く気に入らない気分で私は抵抗する。しかしタカシは、
何故か少し申し訳ないような顔で、視線を逸らした。
「親父には昨夜聞いた。そしたら、静ちゃんだって朝は忙しいはずだし、無理して早起き
してやってくれてるんだろうから、タカシが一人で起きて自分の事が全部出来るって言う
なら、それに越した事はないって言ってたよ」
私は、それに反論の余地がない事に気付いた。実は前にもタカシのお父さんには、申し
訳ないからそこまでしなくてもいいと言われた事があったのだ。その時は、寝坊するタカ
シを起こして、キチンと学校に送り出さないといけないから、朝ごはんの準備を止めたと
ころで変わりありません、と言ったのだ。あの頃はタカシも私に甘えきりだったから、お
父さんにも頭を下げてお礼を言われただけだったが、こうなってしまうと理由がなくなる。
「……だからと言って、信用ならないわ。そこまで自信満々なら、一週間――いいえ。一
ヶ月は様子を見させて貰わないと、タカシがちゃんと出来るなんて信じられないわね」
その時、パンが焼けた。タカシは私の前からどくと、テーブルに置いてあった皿を手に
持ち、トースターから8枚切りのパン二枚を重ねて取り出す。そして、椅子に座るとマー
ガリンをパンに塗りつつ、ようやく私の方を見ずに答えた。
「静ねえがそれで気が済むって言うなら、いくらでもどうぞ。けど、俺はやり切る自信は
あるから」
取り澄ました態度のタカシに、何故だか私は、不快な胸のざわつきが治まらないのを感
じていた。
その数日後。今度はお弁当を作るのを断わられた。
「何でなの? これは別に自分の分を作るついでなんだから、手間が掛かる訳でもないし、
むしろ私は作りすぎる性質だから、一人分より二人分の方が都合がいいんだけれど」
44 :
4/5:2012/09/30(日) 23:20:02.09 ID:RkxwcgRN0
明日からはもういい、と言われ、さすがに私は少し憤慨気味に早口で言った。するとタ
カシは、困ったような顔で頭を掻く。
「いや、だからさ。友達と賭け花札に誘われてさ。負けた奴が全員分の購買パンをご馳走
する事になってるんだよ。静ねえに弁当作ってもらってたら参加出来ないからさ」
「そもそも、学校に花札持ち込むって、校則違反じゃないの? 取り上げられるわよ」
その指摘には、タカシもムッとした表情を見せた。
「静ねえには関係ないだろ。別に保護者って訳でもないんだし、俺が先生に怒られたからっ
て静ねえまで怒られるわけじゃないんだから。それに、学校に私物は持ち込むなって言っ
たって、女子だっていろいろ持って来てる奴いるじゃん。友達付き合いでいちいちそんな
事言ってられるかよ。それとも、そういう奴とは友達になるなとか言うわけ? それこそ
余計なお節介なんだけど」
一体何でここまで反抗されるのか分からず、私は一つ、大きくため息をついた。
「誰もそんな事は言ってないわよ。別に、いい子ぶるつもりもないし、たかだか教室でト
ランプだの花札だのやったからと言って、非行に走るとか思ってる訳でもないし。ただ、
購買のパンだけだと栄養も偏ると思うし、色んな意味でどうかと思ってね。別に必ずしも
お昼に食べなくちゃいけない訳じゃないじゃない」
するとタカシは、すぐに言い返そうとせず、まじまじと私の顔を見つめた。
「何?」
疑問に思って聞くと、タカシは視線を逸らした。それから、自分の気持ちを落ち着かせ
るかのように、声のトーンを落とす。
「何か、さっきからやけに弁当作る事にこだわってる気がするけどさ。別に静ねえは俺の
為に弁当作りたいって訳でもないんだろ? お母さんに言われたから、やってるだけなんだろ?」
「色々と都合が良いからよ。うちはお母さんも朝パートに出るから忙しいし、だからとい
ってお弁当の方が経済的にも栄養的にもいいからね。確かにおばさんに言われたのがきっ
かけだけど、メリットは色々あるもの」
「だからって、俺の分まで作る事にこだわる必要ないじゃん。さすがにみんなでパン買い
に行った後で、俺一人弁当ってのは気が引けるんだよ。別に静ねえの弁当が嫌いって訳じゃ
ないけど、こればかりは勘弁してくれ。頼むからさ」
45 :
5/5:2012/09/30(日) 23:20:44.50 ID:RkxwcgRN0
拝んで頼まれると、さすがの私もどうしようもなくなってしまった。しかし、付き合い
とはいえ、お弁当を断わられる女子と言うのもどういうものなのだろう。いや。それ以前
に、ここ最近のタカシを見ていると、どうも避けられている気がするのが気のせいじゃな
いように思えてくる。
「仕方ないわ。でも、今日の分はちゃんと食べなさいよ。作った以上はもったいないから」
すると、タカシはホッとした顔で頷いた。
「分かってるよ。勝負は今日からだけど、今日の結果が明日の昼飯に反映するからさ」
弁当の入った布のバッグを持って、タカシは立ち上がった。話し込んでしまったせいで、
遅刻ギリギリになってしまう。急いでタカシの後を追いつつ、私はこの憂鬱な気分はなん
なのだろうと、自問自答していた。
続く
VIPは容量制限は緩くて楽
ちなちな
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 23:24:22.07 ID:hfiUe8E1O
手のかかる弟みたいな存在が自立していくのは寂しいよね……
GJ
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 23:26:29.56 ID:uKpxhNc80
読む前
ちなちな
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 23:39:13.37 ID:uKpxhNc80
>>45 続きwktk
寂しそうなツンデレかわいいわあ
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 23:41:43.04 ID:hfiUe8E1O
・猫の毛
女「……」ペタペタ
男「何してんだちなみ」
女「……タカシの服を猫が布団にしてたから……毛まみれになってる……」
男「ん……あー本当だ。だから取ってくれてるのか」
女「……そう……たまたま目に入ったから……気になって」
男「そりゃ助かるわ。男やもめだとそこまで気ぃ回らんからな」
女「……よし、完璧」
男「おぉ、ありがとなちなみ。綺麗になったじゃんか」
女「……んしょ」ポフポフ
男「そうそう、そうやってシワを伸ばして丁寧に畳んで」
女「……」コロン
男「っておい! なんでお前まで俺の服を布団にしやがってるんだ!?」
女「……タカシの服は私のもの……それを汚すとは猫でも許せない……」
男「だから綺麗にしてくれてたのかよ……ぬか喜びとはこのことだ」
女「……もぎゅー」ゴロゴロ
男「うわあぁ! 止めろぉ! そのTシャツ一点物で高いんだぞ!」
女「……」スリスリ
男「どうすりゃ止めてくれんだよ、この娘は……」
女「……」←超幸せそう
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 23:49:32.02 ID:hfiUe8E1O
・ツンデレが男の大切にしているものを壊してしまったら
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 23:51:43.00 ID:hfiUe8E1O
・妄想力が高いツンデレ
ビュオオオッ
友「いっ!」ビクッ
山「よしよし、家の中だから大丈夫だよ」なでなで
台風が直撃した夜だというのに、さっき友ちゃんに呼び出された。
で、来てみたらこんな状態。
・・・確かに、友ちゃんはこういうのが昔から苦手ではある。
ただ、部屋に入ったとたんに抱きつかれるとは思わなかった。
山「もう怖くないよ」
友「こっ、怖くなんか…」
ビュウウウウオオオッッ
ガタガタ…
友「…ひゃあっ!!」ギュゥッ
山「…」ヨシヨシ
ちょっといい気分なのは、内緒だ。
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 23:53:59.97 ID:hfiUe8E1O
山田律儀だなwww
その晩は友ちゃんに危ないから泊まって行きなさいよって言われるルート発生だな
懐かしいスレだ
ここ半年ぐらいこのスレ見かけなかった
いd
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 00:03:29.34 ID:k4uZr+/Q0
>>52 ちなみん猫っぽいなかわいい
>>53 GJ
強気な子が縮こまってるのってなんでこんなに可愛いのか
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 00:05:09.16 ID:rKraIKS4O
魔方陣でけた
ちなみ
なぜか
みかん
女「……という訳で……みかんちなみんです……」
男「……物の見事にみかんだな」
女「……恩州みかんがモデル……かわいい?」
男「みかんのコスプレをかわいいかどうか判断するだけの基準が俺の中にはまだない」
女「……えい」プシッ
男「ぎゃっ」
女「……かわいいと言わなきゃ……今のようにみかんの皮百連発するぞ……」
男「止めて、目が死んじゃう」
女「……ならば誉めるのだ……私のみかんを……」
男「とっ、とてもかわいいですハイ」
女「……でしょ?」ムフー
男「本当なんなのこいつ」
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 00:10:50.14 ID:rKraIKS4O
ほ
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 00:12:55.92 ID:rkd+opD00
帰宅してもまだ落ちてなかったか
っていうか投下多いな今日!これから早速読むぜー
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 00:13:02.04 ID:rKraIKS4O
眠い
65 :
1/6:2012/10/01(月) 00:20:09.84 ID:JXZAHd9n0
・最近、男の様子が変な事に気付いてツンデレが問い詰めてみたら 〜中編〜
そして、決定的だったのがこれだ。
「何を読んでいるの?」
タカシの家に、ウチで作ったご飯を届けに行った時だった。リビングで座って読んでい
た本が漫画雑誌の類じゃない事に興味を持って聞くと、タカシが顔を上げて、弾んだ声を
出した。
「ああ、静ねえ。ちょうどいいところに来た」
「ちょうどいいところって?」
怪訝そうな顔をしてみせると、タカシが読んでいた本を上げて見せる。
「ほら、これ」
「……手間なく作れる!! 簡単料理100……? こっちは、特選。男が作る簡単で美味し
い料理…… これって、何?」
何か、嫌な予感がする。けれど、聞かずにはいられなかった。不安げな私をよそに、タ
カシは笑顔を見せた。
「ああ。俺もそろそろ、何か料理でも作れるようになろうかなって。それで、本屋で立ち
読みしたら、結構行けそうな気がしたから買ってみたんだ」
「……何でまた、料理しようなんて気になったの? ちょっと前までは皿を出すのだって
めんどくさがっていたじゃない」
さりげない振りをして質問したが、内心の不安はどんどん大きくなっていた。自分でも、
何がそんなに不安なのか分からなかったが、感情という物は理屈で制御出来ない時もあるのだ。
「ああ。うちは親父が仕事忙しいからさ。平日や親父が出張でいない土日は、おばさんと
か静ねえにいつも世話になってたじゃん。けれど、俺ももう高校生になったしさ。いつま
でも甘えている訳にも行かないかなって。せめて自分の事くらいは自分で出来るようにな
れればって思ってさ」
「止めておきなさい」
タカシの意見を、私はにべもなく否定した。嫌な予感は、やはり的中してしまったのだ。
タカシが、また一つ自分の手から離れようとしている。そう思うと、言葉に気を遣うなんて出来なかった。
66 :
2/6:2012/10/01(月) 00:20:41.96 ID:JXZAHd9n0
「何でだよ。そりゃ、毎日は無理だろうけどさ。けれど、少しでも料理できるようになれ
ば、静ねえだって負担減るだろ? むしろいい事じゃん」
ムッとした顔で抗弁するタカシを、表情を消して私は見下ろす。
「タカシは料理するなんて気軽に言うけど、遊び気分だけで出来るものじゃないのよ。刃
物も使うし、ガスも、火も使うの。一つ間違えれば、大怪我したり火事や一酸化炭素中毒
も引き起こしかねないわ。そういう危険性は分かってるの?」
「分かってるさ。だから、静ねえに料理を教えて貰おうと思ってたんだよ。静ねえだった
ら厳しく教えてくれるから、刃物の扱い方も火を使ったときの注意も、キチンとしてくれ
るだろうし」
私の指摘をあっさり返すところからみても、どうやらその注意は、最初から念頭に置い
ていたようだった。確かに、生意気なだけだった中学の頃からは随分と成長したようにも
思う。だけど、今の私にはそれもあまり嬉しいものとは思えなかった。
「お断りだわ。タカシみたいな飲み込みの悪い生徒に料理を教えるなんて、めんどうなだ
けだもの。そんな手間暇掛けるくらいなら、私が作った方が手っ取り早いわよ」
タカシのお願いをバッサリと切り捨てる。しかし、タカシも負けじと食い下がってきた。
「静ねえの言ってる事は、勉強の事だろ? 主に英語とか数学とか。けど、これは自分か
ら進んで教えて貰いたがってるんだからそんな事ないって。確かに手間の掛かる生徒であ
ることは認めるよ。だけど、一度覚えれば、それだけ今度は逆に静ねえが俺の為に料理に
時間裂く必要は無くなるんだぜ。初期投資だと思えば安いものだろ? それに、勉強は逆
に、こっちが音を上げても、絶対に許してくれないじゃん。矛盾してないか、それ?」
ここまでムキになるところから、タカシが本気で料理を覚えようと考えている事は分か
る。だけど、それがまた私の気に食わなかった。
「それは、タカシの世話をお願いされているのに、悪い成績なんて取らせたらタカシのお
ばさんに申し訳が立たないし、それに私が教えているのに悪い成績なんて出されるのは私
自身の沽券にも係わるもの。絶対に許されないからよ」
このままだと、いずれは勉強も見て貰わなくてもいいと言われるかも知れないと思いつ
つ、タカシの問いに答える。いや。どうも最近タカシが夜、勉強している節が見受けられ
るところからも、可能性としては決して低くないと思う。
67 :
3/6:2012/10/01(月) 00:21:31.88 ID:JXZAHd9n0
「その勢いで料理だって教えてくれれば、ちゃんと身に付くと思うんだけどな。何でそこ
まで俺が料理する事に反対するのか分からないよ。だからといって、もう静ねえの家に世
話にならなくていいなんて自惚れた事までは考えてないけどさ。けど、いざ何か用事があっ
た時に、俺が足かせにならなくて済むじゃんか」
つまりそれは、私の母が出掛けていて、私が料理を作らなくてはならない日の事なのだ
ろうと、私は勝手に解釈した。ここしばらくのタカシの行動は全部そうだ。私の世話から
離れよう、離れようとしている。その事自体よりも――もちろん、それも嫌だけれど――
私は、何でタカシがそんな事を考えているのかが分からない事が、じれったくて仕方が無
かった。ずっと、鬱屈した想いが心の中にあったのだが、もはや我慢も限界だ。
「タカシ。ちょっと場所開けて」
私は、タカシの返事も待たずにタカシの座るソファに強引に座り込もうとした。
「ちょ……!? 何だよ、静ねえ。座りたいんだったら、反対側のソファ座ればいいじゃ
ん。何でこっちに無理に座ろうとするんだよ」
文句を言いつつも、タカシは体をずらして場所を空ける。もし立ち上がってタカシが反
対側に行こうとしたら、手を取って引き止めようと思っていたが、大人しく私の隣に収まっ
てくれた事にはホッとする。
「……ちょっとね。タカシと、近い距離で話をしようと思ったから」
座りながら体ごと横向きにタカシの方を向く。そして、身を乗り出すとタカシの間近に
顔を寄せた。
「……だからって、何もそこまで寄る事無いだろ? 話はちゃんと聞くからさ。もう少し
距離離してくれよ」
どうやら、照れてくれてはいるらしい。私の存在そのものがうっとうしいとか嫌だとか、
そこまで思われている訳ではないと分かって、また一つ安心する。
「これだけ近い距離で話せば、逃げ場はないと思って。お互いにね」
そう答えはしたが、どちらかと言えば、自分の退路を断つためと言っていい。タカシに
負けず劣らず、私だって恥ずかしいのだ。毎日会っているとはいえ、さすがにこんなに近
くで、まるで恋人同士が身を寄せ合うような距離で話をするなんて事は滅多に無い。私自
身が勇気を出すために。嘘が言えなくなるように、こうしたのだ。
「分かったよ。で、話って何だよ?」
68 :
4/6:2012/10/01(月) 00:22:30.96 ID:JXZAHd9n0
頷いて、質問しつつタカシが視線を逸らす。その視線を逃すまいと、私は片手を出して
タカシの頬に当て、軽く押して自分の方を向かせた。
「ちゃんとこっちを向いて。私の目を見て聞いて」
でないと、タカシの心の動きが分からない。目は、人の心を語るのだから。
「あ、ああ……」
タカシが視線を外さないのを確認してから、私は頬に当てた手を離す。しっかりとタカ
シの目を見つめたまま、ニ、三度静かに鼻で深呼吸をして気持ちを整えてから、口を開い
た。
「教えて。どうして、私の世話を避けようとしているの?」
タカシは、驚いたように目を僅かに見開き、まばたきをした。そして、慌てて小さく首
を振る。
「い、いやそんな、静ねえを避けようとしてるなんて、そんな事はないよ」
「嘘よ」
タカシの否定を、一言の下に切って捨てる。タカシの目を見ると、驚き動揺はしたもの
の、予想外とまでの感じは見えなかった。やっぱり、意識してやっているんだと、私は確
信する。
「朝、起こす事も、朝ごはんの準備も、お弁当を作るのも全部断わられたのよ。それで、
今度は夕ごはんも? そうしたら、私のする事なんて何も無くなってしまうじゃない。そ
れで、避けてないって言えるの?」
「夜は毎日は無理だって言ってるじゃん。まあ、米くらいは自分で炊けるようになりたい
けどさ。別に静ねえに世話されるのが嫌なんじゃなくて、出来る事くらいは自分でやれる
ようになっておきたいって、そう思っただけだよ」
私の問いに、タカシは言葉を選びつつ、一生懸命に抗弁する。恐らく前もって考えてい
た答えなのだろう。言葉に澱みはないし、嘘だとも思えない。けれど、それと同じくらい
それだけが理由とも思えなかった。
「確かに、自立するのは良い事だわ。この間までは、ちょっとだらしなさ過ぎるところが
多かったのも事実だから」
同意するような発言をすると、タカシがほら、といった顔をする。しかし、そこで私は
目を閉じ、首を振ってから、もう一度しっかりと、真正面からタカシを見据えた。
「だけどね。急、過ぎるのよ」
69 :
5/6:2012/10/01(月) 00:23:44.18 ID:JXZAHd9n0
「急って……何が、だよ?」
怪訝そうなタカシに、私は頷いて答える。
「だから、自立するのが、よ。ほんの二週間くらいまでは朝もギリギリになって私に起こ
されて、朝ごはんもお弁当も、時には夕ごはんも作って貰って、制服もちゃんと着ないで
直されていた人が、急に心変わりするには、自立しないとって感じたからといって、こん
な風に急激には変わらないわ。それには、他に大きなきっかけが必要だと思うんだけど」
「キッカケなんて、別にそんな……前から……っていうか、高校に入ってからずっと思っ
てはいたから……」
「思っていても出来なかったじゃない。それが、こんな短期間で変わるなんて、どんな理
由があったのか、それが知りたいのよ」
とにかく、私は納得が行かなかった。私に世話をされる事が嫌になったのか、それとも
申し訳なく思うようになったのか、口で言うように一念発起しただけなのか。何にしても、
理由を洗いざらい吐き出して貰おう。どうするかは、それからだ。
「……別に、自立しようとは前から思ってたけどさ。同じ高校に通うようになって、生活
リズムが同じようになってから、考えたんだ。静ねえのやってる事って、結構大変なんだ
よなって」
「そうね」
一切の謙遜もせず、私はあっさりとタカシの言葉を肯定した。
「朝、早起きをしてお弁当を作って、それから自分のご飯を食べてからタカシを起こしに
行って、ご飯を作って、だらしないタカシの面倒を見なくちゃいけないもの。夜はそれほ
どでもないけれど、夕方にお米を炊きに行かなくちゃいけないのと、ウチで作ったものの
お裾分けを持って行かないといけないし。後は勉強見たり、部屋の掃除をさせたり、数え
ればキリがないわ」
立て続けに並べ立てる私に、タカシがちょっと嫌そうに顔をしかめた。自分のダメな部
分を列挙されて、不快に思わない人間は、まあ確かにいないと思う。私自身だってそうだ
ろうし。しかしタカシは、すぐにそれを消すと、頷いた。
「だろ? それじゃあ、静ねえが自分の時間を持てないじゃん。せっかくの高校生活なの
にさ。俺の為にばかり時間を割いていたら申し訳ないって思うようになって来てさ。で、
とにかく一つでも出来る事から始めようって、二週間前から始めてみたんだよ。実際、朝
とか自分の時間が持てるようになったろ?」
70 :
6/6:2012/10/01(月) 00:25:03.84 ID:JXZAHd9n0
自分の時間が持てるようになったというより、持て余すようになったというのが私の実
感なのだが、今の段階ではそれは口にしなかった。代わりに、胡散臭そうに眉根を寄せ、
ちっとも嬉しくない風を見せつつ、私は頷く。
「そうね。タカシがそれに気付いてくれたという事は、大変ありがたいわ。それに、言っ
てる事にも嘘はないと思う。けど、それに気付いたのって、本当にそれだけなの?」
タカシに質問しつつ、何かタカシにそう思わせるような行動があったかどうか、私は自
分に問うてみる。絶対に、何かがあったはずだ。私に対して、申し訳なく思うような何かが。
「それだけだって。クラスの女子なんかを見てると、全然遊んでるなって。だから、静ね
えにも少しでもそういう時間を持って貰いたくて――」
そこでタカシの言葉が途切れた。私が、口を塞ぐように手を顔の前にかざしたからだ。
「ちょっと待って。私に答えさせて」
頭の中に何かが引っ掛かっている。まだそう遠くない過去に、誰かに同じような事を言
われた気がする。それを、タカシが早起きを始めた時期と重なる頃の出来事に符合させて
みて、私は不意に思い出した。
「タカシ」
それを聞くのは、ちょっとした勇気が行った。もしかしたら、私は地雷を踏み抜こうと
しているのかも知れない。だけど、聞かずにはいられなかった。
「もしかして、貴方。アレを見たんじゃないでしょうね?」
続く
ちなみに料理本というものは、簡単とか手間なくとか書く割には手間が掛かったり
普段使わない調味料を使ったりと、意外とそのまま使えないです。
ちなちな
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 00:33:25.96 ID:rkd+opD00
>>52 光景をイメージしたら萌え死にそうになった
なんて危険な妄想を垂れ流しやがる、もっとしやがれください!
>>55 王道だけど友ちゃん可愛すぎてもう……ハァハァ
>>70 こういう、ツンデレな女の子が男に嫌われたかと不安になる展開大好物です続きwktk!
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 00:41:04.03 ID:rkd+opD00
数ヶ月前とかに自分で書いたSS読み直すと我ながら頭沸いてるなと思う
そんなわけでお題
・以前にやらかした失敗を思い出して恥ずかしくなってきたツンデレ
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 00:46:43.33 ID:rkd+opD00
?
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 00:53:47.91 ID:HyEa/ltt0
ふひゅー
ちなちな
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 01:04:47.32 ID:Yc1+whQ20
本スレがあるのはいいことだ
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 01:09:11.64 ID:rkd+opD00
まったくです
ほー
チェック
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 01:27:42.27 ID:HyEa/ltt0
ツンデレと意味もなく夜更かししたい
コーヒー飲みながらいろいろあてのない話をしたい
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 01:31:18.13 ID:HyEa/ltt0
みかんちなみん剥きたい
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 01:37:48.48 ID:Yc1+whQ20
ツンデレさんとひたすら将来の夢を語り合う
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 01:42:16.76 ID:rkd+opD00
どんな将来のことでも男がそばにいることが前提の夢を語っちゃってそこを男に突っ込まれてあうあうしてるツンデレさん美味しいです
ほー
し
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 02:03:40.45 ID:HyEa/ltt0
台風を口実にして部屋に来た敬語妹に布団にもぐられたい
雨風弱くなってきても気づかないふりしてる敬語妹にそれを指摘して拗ねられたい
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 02:24:54.76 ID:QZzYnKUpO
よるー
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 02:27:23.33 ID:Yc1+whQ20
ちなー
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 02:40:55.46 ID:QZzYnKUpO
まつりんと月見
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 02:49:12.17 ID:rkd+opD00
敬語妹ツンデレは世界の至宝
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 03:06:02.54 ID:rkd+opD00
一日持たせたい
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 03:12:44.33 ID:bC3HeYXQ0
なでなでしろ
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 03:24:27.61 ID:bC3HeYXQ0
むにむにしろ
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 03:39:20.03 ID:rkd+opD00
うりうり
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 03:53:43.23 ID:Yc1+whQ20
うぅ
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 04:06:15.39 ID:rkd+opD00
おやすむ!
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 04:47:30.91 ID:rkd+opD00
寝れぬ
このスレタイ数年振りに見たわ
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 05:32:59.79 ID:rkd+opD00
今度こそねるる
ほー
おお。残っているとは
>>70の続き
7レス投下します
103 :
1/7:2012/10/01(月) 06:10:54.62 ID:JXZAHd9n0
・最近、男の様子が変な事に気付いてツンデレが問い詰めてみたら 〜後編〜
その瞬間、タカシの顔に動揺が走るのを、私は見逃さなかった。
「ア、アレって何だよ? そんな抽象的に言われてもよく分からねーから……」
ごまかそうとしているのが、ありありと分かる。やはり、タカシの顔を間近で見れる場
所で話をしたのは正解だった。勇気を振り絞って、私は言葉を続けた。
「10日ほど前に、私が特別棟の裏で、隣のクラスの男子生徒に告白されていた、その現場の事よ」
それを口にした途端、タカシが動揺するのがハッキリと分かった。何かを言い出す前に、
私は更に言葉を継ぎ足す。
「正直に答えて。見たのなら見たで、別に構わないわ。それよりも、ハッキリとした答え
が欲しいのよ。覗き見したとしても、それは怒らないけれど、もし嘘の答えをしたら、私
は許さないわ」
それは、自分の気持ち以上の強い言葉だった。もちろん、後ろめたい気持ちも、それゆ
えにごまかせるならごまかしたい気持ちも分かるから、本当は許さないなんて事はない。
だけど、おおよその推測は付けたとはいえ、私は正直に、タカシの口から答えを聞きたかったのだ。
「……見たよ。つっても、たまたまだけど」
「それはそうでしょう。だって、私が知る限りでは、彼と話を持って来た友達の女子と私
しか知らないことだもの。もちろん、彼が友達に告白する事を話したかもしれないけど、
だからといって、それをタカシに知らせる接点を持つ人は一人もいないはずだから」
さも当然、とばかりに同意すると、タカシは顔を横に向けて頭を掻いた。やはり気まず
いのだろう。でも、それでもポツポツと話し出してくれた。
「……掃除当番でさ。最後に焼却炉にゴミを捨てに行って戻る途中で、静ねえが歩いてい
るのを見掛けたんだよ。で、そのちょっと前を知らない男子が歩いていてさ。何か、人気
のない方に向かってたから、気になって、悪いと思いつつも後をつけて行ったら、何かま
あ……そういう事になっててさ」
「もしかして、変な正義感とか芽生えたりさせてなかったでしょうね?」
タカシの話を聞くうちに、ふと思い立ってちょっとからかい気分で聞いてみると、頭に
当てたままの手を、また少し動かして掻く。
104 :
2/7:2012/10/01(月) 06:11:34.98 ID:JXZAHd9n0
「いや、まあそういう気持ちも無くはなかったけど、悪そうな人じゃないようには見えた
し、まあ人は見かけによらないって言うけどさ。でもまあ、静ねえも女の子だからさ。一
応心構えだけはしてはいたよ。うん」
「全く。おせっかい焼きもいいところだわ」
意地悪に、バカにしたように言うと、タカシはちょっと憤慨した。
「いいだろ。別に心配したって。それに、まあ他にも色々と思う所はあったし……」
言葉を濁したところを突付いて聞いてみたくもあったが、今それをやってしまうと却っ
て話が進まなくなってしまうかもしれない。グッと我慢して、私は先を促した。
「いいわ。続けて」
顔を背けたまま、タカシは小さく頷く。
「距離があったから、何話してるかまではほとんど聞き取れなかったよ。けれど、相手の
男子が一生懸命何か言ってて、静ねえが首を振ってて、最後にお辞儀をしてたトコとか、
その場の雰囲気から、その男子が静ねえに告白して振られたんだろうなって」
「正解ね。その通りよ」
無愛想で、人付き合いも宜しくない私を一生懸命に褒めて、好きだと言ってくれた事に
対してお礼を言いつつも、彼と付き合って楽しんでいる自分が想像出来ないとにべもなく
断わった事を思い出す。親切そうな人ではあったけれど、後悔はない。
「さすが静ねえ…… 随分あっさりと言うね」
話し始めてから初めて私の方を見て、ちょっと呆れたように言うタカシに、私は当然の
ように頷く。
「だって、事実だもの。そこまで推測されたのなら、何も隠す必要はないは。それで?」
話の続きを催促すると、タカシは頷いた。
「正直、その時俺はホッとしたさ。そいつと付き合ったら、静ねえが俺の前からいなくな
るんじゃないかって思ったから。心の準備無しで、いきなりある日突然なんていうのは嫌
だったからさ。だけど、同時に思ったんだ。俺の世話なんかで、静ねえを束縛し続けてい
ちゃいけないって。静ねえだって、誰かと恋愛したいだろうし、友達と遊んだりだってし
たいのに、俺の世話に時間取られてたら、やりたい事も出来ないだろうって。もちろん、
前から思ってはいたけど、もし、静ねえが俺の世話をしなくちゃいけないからって思って
断わったんだとしたら、それはやっぱり、おかしいからさ……」
105 :
3/7:2012/10/01(月) 06:12:21.84 ID:JXZAHd9n0
タカシなりに、客観的な視点に身を置いて、一生懸命に考えたんだろうなと私は察した。
それが例え当たっていなくても、そう考えてくれた事が、何だかとても嬉しかった。しか
し、気持ちとは真逆に、突き放すような言い方で私はそれを否定した。
「バカね」
「え?」
罵られて、タカシが思わずキョトンとした顔をする。しかし、それに構わずに私は、言
葉を続けた。
「何で私が、タカシの世話なんかをする為に、せっかく好きだって言ってくれた人の告白
を拒否しなくちゃいけないのよ。断わったのにタカシの世話うんぬんは関係ないわ。純粋
に、この人とは合わないと思ったから断わったのよ」
実はそれは嘘であった。いや。断わった理由自体は嘘ではないが、彼に告白されて真っ
先に浮かんだのがタカシの世話であり、その時私は、タカシの世話の方が大事に思えると
いう事は、私はこの人と付き合う気がない、という判断を下したのだ。
「それならそれでいいけど……っていうか、むしろ罪悪感が減って助かるけどさ。だから
と言って、この先も告白される可能性はある訳じゃん。その時、俺の世話が頭に浮かばな
いって言えるか? もし付き合うってなっても、静ねえは責任感強いし、絶対に板挟みに
なるだろ? だから、先に俺が自立した方がいいだろ? もちろん、もっと甘えたい気持
ちはあるけどさ。静ねえは来年受験だし、やっぱそうなると、いつまでもそうしてられな
いし……だから……やっぱり、やれる事は自分でやらないと。もちろん、料理みたいに静
ねえに助けて貰わないといけない事もあるけど」
「バカね」
もう一度、私は繰り返した。生意気なガキだったタカシが、ここまで物を考えられる事
を嬉しく、頼もしく思いながら。
「大きなお世話だわ。タカシがそんな事いちいち考えなくたって、タカシの世話と勉強や
遊びの両立くらい、自分で考えてやって来たわよ。これまでもね。だから、そんな事まで
タカシに考えてもらわなくても結構よ。もし、自立させたい事があったら、私の方から仕
込んで自立させるわよ。無理矢理にでもね」
呆れた口調で、ちょっと脅すような凄みを利かせてタカシに伝える。気持ちの上では冗
談なのだが、私はそういう感情を表に出すのが苦手なので、どうしても、ストレートにそ
ういう表現になってしまう。それは分かっていたが、今はそれが必要だった。
106 :
4/7:2012/10/01(月) 06:12:53.81 ID:JXZAHd9n0
「け、けどさ……」
効果はあったのか、タカシの返事がためらいがちになる。しかしすぐに首を振ると、私
の顔を真っ直ぐに見つめて反論してきた。
「静ねえがそういうやり繰りが上手いってのはもちろん知ってるさ。だけど、少しでも俺
の世話が楽になれば、もっと色んな事が出来るだろ? やっぱり俺は、静ねえにもっと好
きな事をやって欲しいし、その為だったら、俺も頑張りたいから」
それを聞いて、私は一つため息をついた。どうやら、自分の気持ちを隠したままでタカ
シの世話をし続けるのは無理なようだ。私は、無言でおもむろに両手をタカシの顔に向かっ
て差し出すと、そのまま軽く、パチンと挟み込んだ。
「イテッ!! な、何すんだよ?」
驚いて文句を言うタカシに顔を寄せて、私は言った。
「いい。よく聞きなさい。今からタカシが大いなる勘違いをしているバカだという事を証
明してあげるから」
「バカって…… 俺は、真剣に静ねえの事を思って言ってるのに……」
自分の好意が無にされるような言葉に、さすがにタカシもムッとしたようである。しか
し、構わずに私は続けた。
「まず、タカシの世話の為に私が時間を犠牲にしているという考えが間違ってるわ。いく
らタカシのおばさんと約束したからと言って、タカシの為に貴重な自分の時間を割くと思
う? 責任感だけで出来る事じゃないわよ」
「じゃあ、何で……あんな熱心に世話してくれてたんだよ……?」
怪訝そうなタカシに、私はフン、と不機嫌そうに鼻を鳴らしてみせた。
「決まってるでしょう。自分がやりたいからやっているのよ。それなのに、勝手な勘違い
でやりたい事を奪われたりしたら、いい迷惑だわ」
この答えには、タカシも驚いて目を見開いた。呆然として言葉もなく私を見つめるタカ
シに、私は念押しとばかりに頷いてみせた。
「だからね。自立しようと頑張るのは構わないけど、私の趣味を奪うのは止めてくれない
かしら。正直、この一週間ばかりは何も出来なくてつまらなかったんだから」
するとタカシは恥ずかしくなったのだろうか。顔を横に背けようとしたが、私が両手で
挟み込んでいるので、頬がへこむばかりで一向に逸らす事が出来ない。仕方無しに、視線
だけを下に落として、小さく呟いた。
107 :
5/7:2012/10/01(月) 06:13:35.48 ID:JXZAHd9n0
「……静ねえは楽しいのかよ? 俺なんかの世話してて……」
ニコリともせずに、私はコクリと頷いた。
「楽しいわよ。気持ち良さそうに寝ているタカシを叩き起こして、寝ぼけたままのタカシ
に無理矢理くしを入れたり、嫌がるタカシに無理矢理ネクタイをキツく締めたりとかね」
わざとタカシの嫌がりそうなところだけを抽出して答えると、案の定タカシは嫌な顔を
した。
「……静ねえってさ。前から思ってたけど、やっぱりドSだろ……」
その指摘には、不機嫌そうに眉を寄せることで抵抗の意志を示してみせる。
「自覚はあるけど、他人のそれを言われるのは不愉快だわ。特にタカシにはね」
「やっぱりな……」
諦めたように、深いため息をタカシはついた。それから、気を取り直したように視線を
上げて私を見る。
「で、まずって事は他にもあるんだろ? 俺の認識が間違ってる事が」
タカシの問いに、私は頷く。何と伝えればいいのだろうかと迷ったのは一瞬だった。も
うここまで来たのだから、私なりのやり方で伝えるしかない。だけど、いざとなるとやは
り胸の高鳴りは抑えられなかった。
「他にもって言うか、間違いだらけだけどね。でも、決定的に間違ってる事がもう一つあるわ」
声が震えないように、いつもと同じ感じで淡々としゃべるよう意識する。果たして、タ
カシには平常心でいるように見えるだろうかと内心不安に思いつつ。実は動揺しているの
がバレバレだったら、みっともなくて仕方が無いと思う。
「いいよ、もったいぶらなくて。もう十分俺が浅はかだってのは分かったからさ。ここま
でくれば、毒食らえば皿までだし」
「いい心がけね」
タカシの冗談めかした言葉が、ちょっと救いになる。それに答えて、一つ間を置いてか
ら、私は話を続けた。
「さっき、タカシは言ったわよね? 私だって恋愛したいだろうって。だけど、それは間違いよ」
タカシの顔を押さえる手が汗ばんでいるのを感じる。心臓がドクドクと鼓動を激しくし、
体もいつしか、風邪で高熱が出た時のように熱く火照っている。そんな自分の体に負けな
いように、私はタカシの目を強く見つめて、言った。
「だって、私はもう恋愛もしているもの」
108 :
6/7:2012/10/01(月) 06:14:14.69 ID:JXZAHd9n0
言葉と同時に、タカシの顔をグッと引き寄せ、私は目を閉じて唇を重ね、グッと強く押
し付けた。自分の全神経が唇に集中し、タカシの唇の感触と、隙間から漏れる熱い吐息し
か感じられなかった。夢中になり過ぎないよう、頭の中で数を数える。それがきっかり30
になった時、私は名残惜しむ事なく、唇を離して、だけどまだ触れそうなほど近くで言った。
「いくら私が世話好きだからって……好きでもない人にそこまで献身的に出来る訳ないで
しょ? もうちょっと頭を使いなさい。バカ」
照れ隠しに悪態をついて、私はようやくタカシから両手を離し、顔を引く。しかし、同
時に体はタカシの方へと、密着するくらい近くに寄せる。
「えっと……その…… いい、のかよ……? 俺……なんか……で……」
動揺の余り、上手く回らない舌を必死に動かして、タカシが聞いた。私は、えい、とば
かりに頬っぺたを突付き、睨み付ける。
「何? 私が選んだ男の人に、何か文句でもあるの? これでも一応……しっかりと考え
た末なんだからね」
今までは何となく、当たり前のように世話をしながら意識の下層に眠っていた感情が、
告白された事で掘り起こされ、タカシが自立しようとした事で、明確になっていった。そ
の間、どれだけ私が考えたかなんて、タカシには知られたくもない。
「いやその……文句だなんて……てか、俺の事だし……」
まだ実感が湧かないのだろうか。ポカンとしているタカシを見つめて、私は聞いた。
「で、タカシはどう思っているのかしら?」
「は?」
そろそろシャンとして貰わなければ困るので、私は肘でタカシを思いっきり小突いた。
「あいてっ!!」
「いい加減にしっかりしなさい。真面目に質問してるのに、は?はないでしょう」
「いやその、ゴ、ゴメン」
慌てて謝るタカシに、私はまた、わざと呆れたようなため息をつく。それから顔を上げ
て、下から覗き込むようにタカシの顔を見つめて、もう一度聞いた。
「だから、タカシは私の事をどう思っているのか教えて貰わないと。私の思いはちゃんと
伝えたでしょう? このままだと一方通行だわ。タカシの方からも、ちゃんと伝えて貰わないと」
109 :
7/7:2012/10/01(月) 06:16:07.16 ID:JXZAHd9n0
「そ、そりゃもちろん……」
慌てて答えようとして、タカシは一度言葉を切った。それから、自分の顔をピシャリと
両手で叩いて、首を振ってから私を見下ろし、微笑んで頷いた。
「うん。もちろん俺だって……静ねえの事が好きだよ……」
「ありがと」
体を動かしてタカシに寄り添い、私はもう一度唇を重ね合わせる。そして今度は、時間
制限無しのキスを、たっぷりと堪能したのだった。
終わり
文字ぎっしりで読みづらくて済まぬ
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 06:17:12.63 ID:rKraIKS4O
朝からいいもん見せてもらった
静ねぇが報われて良かったぜ…!!
GJ!
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 06:25:48.28 ID:87LcxuQg0
ツ ン デ レ か わ い い
おはようの10分間お嬢様
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 06:53:47.44 ID:rKraIKS4O
阻止
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 07:06:44.75 ID:rkd+opD00
>>109 静ねえええかわいいいいいいいいいいいいい
阻止されてた悔しいビクンビクン
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 07:42:52.76 ID:bC3HeYXQ0
ぬおー
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 07:56:17.46 ID:Wc5v2vmY0
>>109 正直おどろいた
凄い自然な流れで引き込む文章ですね
合間に挟む静姉の感情や思考の機微も
滑らかに読み進める手助けしつつ
よく心情を描けていると思う
非常に参考になります
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 08:18:49.49 ID:mMdGQh880
お題
つ・ツンデレが体調悪そうにしていたら
120 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 08:20:08.85 ID:bC3HeYXQ0
自分でこっそり撮った山田の写真をまとめたアルバムを眺めるのが一日の楽しみな友ちゃんかわいい
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 08:52:01.00 ID:mMdGQh880
そこに山田が入って来てあたふたしながら隠すんですよね(・∀・)ニヨニヨ
友ちゃんと山田の情事を覗き見したい
123 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 09:19:18.46 ID:bC3HeYXQ0
ほあほあ
124 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 09:26:48.24 ID:bC3HeYXQ0
「んふふ〜…山田かわいいなぁ」
「特にこの写真なんて最高よね。授業中に居眠りしてるところを先生に怒られて」
「寝顔も最高だったけど、そのあと怒られてたときに顔赤くしてしゅんとしてたのが最高だったわー」
「…そしてこれが今日焼きあがった分っと…溜まったなぁ。そろそろまた新しいアルバム買ってこないと」
ピンポーン
「あ、来た来た。アルバムしまわないと。見つかっちゃったら大変だもんね」
「それとカメラの準備も…」
「友ちゃん、おまたせ」
「遅いわよ!」
「ごめん。雨降ってるから自転車使えなかったんだよ」
「言い訳聞く時間も勿体無いの!ほら、早く編集するわよ」
「う、うん」
…今日もいっぱい撮れるといいな…むふふ
125 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 09:39:30.52 ID:HyEa/ltt0
まさか残ってるとは
>>109 静ねえ女の子しててかわいい
>>124 GJ
余裕ある顔してこんなこと考えてると思うとたまらんよね
126 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 10:00:59.77 ID:HyEa/ltt0
ふひゅー
127 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 10:34:56.64 ID:mMdGQh880
久々に保守
128 :
貧乏精神異常者:2012/10/01(月) 10:36:15.55 ID:KGD0T9wK0
^ー^
129 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 10:59:25.38 ID:mMdGQh880
お題
つ・ツンデレにちょっとその服装センス悪くない?って言われたら
130 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 11:39:12.93 ID:mMdGQh880
おっと
131 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
…むぅ