奉太郎「神山市で殺人事件……だと?」

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18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 12:25:37.66 ID:YVgNByz60
>>16の前に

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里志「あはは、いくら奉太郎でも10分歩いただけで召されたりはしないよ」

える「よかったです……どうなってしまうのかと思いましたよ」

奉太郎(俺をなんだと思っている)
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が入ります、今日はボケている様です。
19以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 12:26:44.66 ID:YVgNByz60
>>17の前でした……


里志「それには賛成だね、例の事件もあるし……」

確かに、あまり夜道は歩きたくはないな。

里志「摩耶花は僕が一緒に帰るからいいとしても、千反田さんはどうしようか?」

等といいながら、里志は俺に視線を移す。

奉太郎(やめろこっちを見るな)

える「わ、私は大丈夫ですよ! 一人でも……」

里志「と言っても、ここからだと着く頃には辺りは真っ暗になっているよ」

里志「僕が送ってあげてもいいんだけど、摩耶花を送らないといけないしなぁ……」

チラチラと視線を向け、里志は続けた。

里志「摩耶花と千反田さんじゃ、家の方角も違うしね……困ったなぁ……」

と言いながら、いかにも困ってます、的なポーズをしている。
20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 12:30:12.85 ID:YVgNByz60
奉太郎(くそ、折角もう少しで安住の地に帰れると思ったのに……)

奉太郎「……分かったよ」

奉太郎「千反田、家まで送ろう」

致し方ない、ここで千反田を放って行ったとしたら、後の伊原が恐ろしい。

える「で、でも申し訳ないですよ!」

える「それに、私を送ってからだと折木さんが逆に危ないです!」

里志「確かに千反田さんの言うとおりだね……」

おかしい、里志がやけに素直だ。

奉太郎(なんか嫌な予感がするぞ……)

里志「じゃあさ、こういうのはどうかな?」
21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 12:34:11.80 ID:YVgNByz60
奉太郎(まさかこいつ……)

里志「奉太郎の家に泊まって行く、というのは!」

摩耶花「ちょ……ちょ!」

える「そ、そそそれは……!」

奉太郎「お、おい……いくらなんでもそれは……」

里志「いやいや、これも千反田さんの安全を最優先にしてってことだよ」

里志「ここから奉太郎の家なら、大した距離もないしね」

里志「何より、この奉太郎に手が出せるなんて思わないし……」

奉太郎「で、でもなぁ……」

女子と男子が同じ家の中で一晩共にする……考えただけでもまずいだろう。
22以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 12:37:30.57 ID:YVgNByz60
える「私の安全を考えてくれるのは、ありがたいです」

える「でも、いきなりお泊りと言うのも……迷惑かと……」

える「で、ですが……」

こいつ、まさか

える「折木さんのお家……私、気になります!」

奉太郎(マジか……)

奉太郎(どうする……?)


A やはりダメだ、今日は家まで送って行こう
B 千反田のプライベート……気になります!(お泊り)

>>25
23以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 12:48:52.72 ID:YVgNByz60
B
24以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 12:50:00.94 ID:YVgNByz60
スレが埋もれる……
Bで行きましょうBで
25以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 12:57:38.46 ID:YVgNByz60
自分で出した安価を自分で踏むのも中々乙なものです
Bでいきます
26以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 13:03:24.34 ID:YVgNByz60
B 千反田のプライベート……気になります!

奉太郎(千反田のプライベート……気になります!)

奉太郎(!? 俺は今何を……)

奉太郎「分かったよ……今日は家に俺しかいないしな……」

里志「え? 奉太郎しかいないのかい!?」

奉太郎「そうだが……何か?」

摩耶花「何か? じゃないわよ! ちーちゃんはなんとも思わないの!?」

える「確かに……いきなり押しかけるのは折木さんに迷惑、だとは思います……」

摩耶花「そ、それだけ?」

千反田は首を傾げ、答えた。

える「ええっと……他に何かあるのでしょうか……?」
27以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 13:08:36.38 ID:YVgNByz60
それを聞いた里志は溜息を一つ。

里志「はあ……まあ本人達がいいならいいんじゃないかな」

摩耶花「ふくちゃんまで! もう知らない!」

奉太郎(なんなんだ全く、やれやれ)

里志と伊原とはそこで別れ、千反田はどうやらそのまま家に来るらしい。

もっとも最初の理由は危ないからであるから、普通といえば普通かもしれない。

奉太郎「それにしても、家が気になるってのはどういうことだ」

奉太郎「至って普通の家だぞ」

える「そ、そのですね……家が気になるというよりは……」

そこまで言うと、千反田はモゴモゴと言葉を濁してしまった。
28以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 13:14:56.63 ID:YVgNByz60
奉太郎(なんなんだ一体……)

奉太郎「にしても、この神山で殺人事件なんてなぁ」

える「……はい、やはり他人といえど」

える「人が亡くなるのは嫌です……」

そういう千反田の顔は、悲しみと恐怖が入り混じった表情の様に見えた。

奉太郎「ん……そろそろ着くぞ」

える「その様ですね、見えてきました!」
29以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 13:19:11.87 ID:YVgNByz60
〜折木家〜

奉太郎「帰ったぞー」

と言っても、家には誰もいない。

だがすぐ後ろから声がした。

える「お帰りなさい!」

奉太郎「お前は折木家の人間か」

える「えへへ……」

ふいに見せた顔に、一瞬視線を奪われる。

奉太郎(いかんいかん……)

える「そういえば折木さん」

える「夜ご飯はどうしましょうか?」
30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 13:23:17.85 ID:YVgNByz60
奉太郎「んー、カップラーメンとか……」

える「ダメです! 身体に悪いですよ!」

やはり、そうなるか……

える「あの、もしよければなのですが」

える「私が何か作りましょうか?」

奉太郎(おお……)

奉太郎(天使だ……)

奉太郎「お願いします、チタンダエルさん」

える「何故、今フルネームで呼ばれたのか気になりますが……」

える「分かりました! 頑張ります!」
31以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 13:28:27.94 ID:YVgNByz60
そのまま千反田をリビングまで案内し、冷蔵庫の中を勝手に使っていいと告げると、自分は一度自室に向かう。

ベッドに横たわり、一日の出来事を少し思い出した。

奉太郎(今日は少し疲れたな……)

奉太郎(殺人事件に)

奉太郎(千反田が泊まりに来ている)

奉太郎(それに少し、歩きすぎたな)

眼を瞑り、しばしぼーっとする。

体から力が抜け、思考も少しずつ閉ざされていった。
32以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 13:33:01.07 ID:YVgNByz60
える「折木さん、遅いですね……」

える「もしかして……寝てしまっているのでしょうか?」

確かに今日は、折木さんを引っぱり回してしまった気がします……

える「折木さんの寝顔……ちょっと気になります……」

いけません! いけません!

人の寝顔を盗み見るなんて、ダメです!

える「でもやっぱり……」

まずいです、これ以上考えていたら好奇心に負けてしまいそうです!

何か別の事をしないと……

える「ちょっと早い気もしますが、ご飯の準備でもしましょう」
33以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 13:43:26.84 ID:YVgNByz60
「……さん」

「……れ…さん」

誰かに呼ばれている。

俺はゆっくりと瞼を上げると

える「折木さん」

そこには同級生、千反田えるがいた。

奉太郎「ん……うわ!」

千反田「ひゃう!」

奉太郎「あ、す、すまない。 千反田か」

そうだ、今日は千反田が泊まりに来ている。
34以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 13:48:24.11 ID:xLE5zACt0
あれ、姉貴いないの?
犯人捕まえてたからてっきり帰ってきてると思ったんだが
35以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 13:48:28.90 ID:YVgNByz60
そして俺は、寝てしまっていたのか……

える「びっくりしました……おはようございます」

奉太郎「ああ、おはよう……」

時計に目をやると、時刻は19時近くを指していた。

える「ご飯、出来ていますよ」

奉太郎(これが新婚というものなのだろうか)

ぼーっとしている俺を千反田は不思議そうに見ると、首をかしげ「先に行ってますね」と告げ部屋を出て行った。

奉太郎(いい匂いがする)

匂いに釣られ、俺も歩き出す。

リビングに行くと、今までみたことの無いような、豪勢な食事の数々が並んでいた。

奉太郎「おおー」
36以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 13:51:27.04 ID:ZKQl9Ch80
>>34
ルートが違うから、他のルートではこの時間に帰ってきてもおかしくはないけど、ここでは帰ってきてないってことになってるんじゃない?
37以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 13:51:29.10 ID:YVgNByz60
>>34
すいませんこれも最初に書いておいた方がよかったですね。

前スレより
ここで少し、ヒントにならないヒントを

一番最初の話、選択肢が出てくる世界は同一の世界です。

つまり、Xが最初の世界だとすると
X→A
X→B
X→C
となり、それぞれ違う世界となっているらしいです。

Cはバッドエンドでしたが、Cを選んだ時点で、その世界は他の選択肢の世界と違う世界です。
簡単に言うと、Cの世界の千反田さんは頭がおかしかったけど、他の世界の千反田さんは普通

ってことです。
38以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 13:53:38.87 ID:xLE5zACt0
なるほど
39以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 13:54:19.64 ID:YVgNByz60
える「すいません、少し張り切りすぎてしまいました……」

奉太郎「いやいや、謝る事ではないだろ」

と言いつつ、冷蔵庫を開けると

奉太郎(空っぽだ……)

姉貴に怒られるのは仕方ない、これだけの料理を食えるのだ、引き受けることにしよう。

俺は冷蔵庫を後にし、食卓へ向かう。

千反田は既に席に着いており、向かい側に腰掛けた。

奉太郎「では」

奉太郎・える「いただきます」

奉太郎「にしても、よくこれだけ作ったな……」
40以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 14:01:24.62 ID:YVgNByz60
える「ごめんなさい、作っていたら楽しくなってしまって……」

奉太郎「腹が減っていたし、丁度いいだろ」

える「……はい!」

千反田も笑顔になり、食事は始まった。

奉太郎「……うまい」

千反田はというと、何故かこちらを見てニヤニヤとしている。

奉太郎「……ちょっといいか」

える「え? はい!」

奉太郎「人の食事を見てニヤニヤするのはあまりいい趣味とは言えんぞ」

える「は、す、すいません!」

奉太郎「何も謝る程の事でもないが……別に悪い気もしないしな」
41以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 14:07:12.04 ID:YVgNByz60
える「そ、そうですか」

奉太郎(顔を赤くするな! こっちまで気まずくなる!)

等と考えていたら、千反田の次の発言で俺も顔を赤くすることになるのだが……

える「なんだかこうしていると、夫婦みたいでいいですね!」

奉太郎「……ングッ」

奉太郎「な、何を言うんだ急に! 危うく窒息死だぞ!」

千反田は頭にハテナマークを浮かべると、ようやく自分が何を言ったのか気付いたのか
顔を更に真っ赤にして「ごちそうさまでした!」というと食器を片付け始めた。

奉太郎(しかし腹が減ったと言っても……)

奉太郎(多すぎるだろうこれは……)

食卓を見回すと、まだ手を付けていない料理もちらほらと見えた。
42以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 14:16:14.80 ID:YVgNByz60
そんな様子を察してか、千反田が声を掛けてきた。

える「やっぱり、少し多かったみたいですね……冷蔵庫で保存しておきましょう」

奉太郎「ああ、そうだな」

奉太郎(果たしてまだ手を付けられてない皿がいくつもある状況を、少しというのだろうか……)

片付けを手伝おうとしたが、「私がやるので折木さんはゆっくりしていてください」と断られてしまった。

まあゆっくり出来る分にはそれでいいのだが。

ソファーに座り、TVをつける。

丁度バラエティー番組がやっていたが、大した興味はなかったのですぐに消すとソファーに横になる。

いっぱい食べたのもあり、うつらうつらしていると視界に千反田の顔が入ってきた。

奉太郎(というか、近い。 何回目だろうこの突っ込み)
43以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 14:22:23.98 ID:YVgNByz60
える「折木さん、お風呂はどうしましょう?」

奉太郎「ああ、俺は少しゆっくりするから、先に入ってくれ」

える「分かりました、ではお先にいただきますね」

奉太郎「服は姉貴のを着てくれ、それくらいしかないんだ」

える「充分ですよ、大変ありがたいです」

それを聞くと、「んー」と返事を返し再びソファーに横になった。

5分程たったであろうか、風呂場からシャワーの音が聞こえる。

奉太郎(……)

奉太郎(……)

奉太郎(……っ!)

奉太郎「ゆっくりできん!」
44以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 14:26:15.20 ID:YVgNByz60
シャワーの音に混じって、千反田の鼻歌も聞こえて来る。

ふんふーん♪ と気持ちよさそうに歌っているのを聞き、自然と笑みが零れた。

奉太郎(ん?)

奉太郎(今みたいに笑えたら、文集をもっと早く売り切れたのだろうか)

奉太郎(どうでもいいか)

そんな無駄な事を考えている内に、千反田があがってきたようだ。

える「折木さん、お風呂ありがとうございました」

奉太郎「ずいぶんと気持ちよさそうだったな、鼻歌まで歌って」

一瞬千反田はポカンとすると、両手を口の前にやった。

える「き、聞こえてたんですか!」

あたふたするこいつを見るのも、少し面白いかもしれない。
45以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 14:27:33.95 ID:0+z891hO0
C
46以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 14:30:43.24 ID:YVgNByz60
える「お、お見苦しい所を……すいませんっ!」

奉太郎「いやいいんだ、気持ちよく入れたならなにより」

奉太郎「俺も風呂に入ってくる」

える「は、はい!」


〜風呂場〜

奉太郎(ふう……さっきまでここに千反田が)

奉太郎(余計な事は考えるな)

奉太郎(しかし、あいつが泊まりに来るなんて思いもしなかったな)

奉太郎(姉貴にばれたらなんと言われるか……)

奉太郎(恐ろしいから考えないでおこう)

と、ここで俺はある事実に気付いた。
47以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 14:33:13.66 ID:YVgNByz60
奉太郎(親父は出張、姉貴は旅行)

奉太郎(確か姉貴の奴、布団はクリーニングに出すとか言ってなかったか……?)

奉太郎(ということは今家にあるのは俺ののみ?)

そこまで考え、小さく溜息を吐き結論を出す。

奉太郎(今日はソファーで寝るか……)

と考え立ち上がると、一瞬ふらっとした。

奉太郎(まずいな……そろそろあがるか)

風呂場を出て、洗面所で着替えを済ませる。

リビングに行くと、千反田がテレビを見ていた所だった。

奉太郎「あがったぞー」

千反田は俺のほうに振り向き、目を見開きながら言った。

える「お、折木さん! 顔が真っ赤ですよ!」

そう言われてみれば、心なしかフラフラする。

奉太郎(やば、視界が揺れてる……)

バタン!
48以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 14:36:55.26 ID:YVgNByz60
テレビを見ていたら、後ろから声が掛かりました。

どうやら折木さんの様です。

奉太郎「あがったぞー」

私は、何か飲み物入れましょうか? と声を掛けようと折木さんの方を見たら……

大変です! 折木さんの顔が真っ赤になっています!

える「お、折木さん! 顔が真っ赤ですよ!」

どうしましょう……どうしましょう……

また湯当たりでもしてしまったのでしょうか……

と考えていると、折木さんがフラフラと数歩進んだ後に、バタン! と倒れてしまいました。

える「折木さん! 大丈夫ですか!?」

声を掛けても、「うー」か「あー」しか返事をしません。
49以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 14:40:14.03 ID:YVgNByz60
どこかに寝かせてあげないと……と思い、折木さんの身体を持ち上げます。

折木さんは、私に肩を預けながら「すまない……」とだけ言いました。

える「いえ、大丈夫ですよ。 もうすぐですので……」

折木さんの部屋に着くと、折木さんの身体をベッドに横にします。

大分、具合が悪そうです……大丈夫でしょうか……?

一旦リビングまで戻り、タオルに冷たい水を染み込ませ、折木さんの部屋に戻ります。

える「冷たいタオル持って来ましたよ。 使ってください」

奉太郎「……すまないな千反田」

える「いえいえ、このくらいでしたらいつでも!」

というと、「いつもこの状態にはなりたくないな」と返されてしまいました。

折木さんは「もう大丈夫だから」と言っていましたが、やはり気になります。

折木さんの横に座り、様子を見ることにしました。

しばらくそうしていると、体調が良くなってきたのか、すうすうと寝息を立て始めました。

それを見ていたら、なんだか私も……

眠くなってきてしまいます……
50以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 14:43:33.92 ID:YVgNByz60
ふと、目が覚めた。

風呂からあがって、確か倒れたんだった。

奉太郎(二回目だ、本日)

千反田には悪いことをしたな、と思い起き上がる。

奉太郎「ん……」

よく聞くと、俺のではない息遣いが聞こえて来る。

奉太郎「千反田?」

だが、声を掛けても返事はない。

何かの聞き間違いかと思い、ベッドから降りる。

ドアに向かおうと一歩進んだところで、何かを踏んだ。

まだ暗闇になれていない目を、必死に慣らし……と言っても、必死になってもならなくても結果は変わらないが。

そんな無駄な事を考えてる間に、ようやく慣れてきた。

足元に視線を動かすと、千反田が寝ていた。
51以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 14:47:31.98 ID:YVgNByz60
奉太郎(大体予想はしていたが、こいつはよく起きないな)

気持ちよさそうに眠るそれを、無闇に起こす気もせず、俺は千反田をベッドに移した。

無論、起こさないように。

える「ん……」

奉太郎(ああ、起こしてしまったか)

丁度ドアを開けて、もう少しと言う所で千反田は目を覚ました様だ。

える「折……木さん……」

眠そうにこちらを見る千反田としばし見つめあう。

奉太郎「すまんな、起こしてしまったみたいで」

える「あ、そ、その……すいません……」

千反田は恥ずかしそうに謝ると、ベッドの上で正座をした。
52以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 14:51:11.99 ID:YVgNByz60
奉太郎「別に、構わん」

える「は、はい……ついつい寝てしまいました」

える「あ、邪魔ですよね。 ごめんなさい」

奉太郎「……そこで寝ても、別にいい」

える「……ありがとうございます」

える「でも、私がここに寝たら」

える「折木さんはどうするんですか?」

奉太郎「ソファーで寝るよ、あそこも意外と寝心地がいい」

える「そ、それはダメです!」

奉太郎(何がダメなのかわからんが……)

える「客の私がベッドで寝て、家主である折木さんがソファーで寝るなんて……」

える「ダメです! 納得できません!」
53以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 14:55:05.51 ID:YVgNByz60
奉太郎(じゃあどうしろと)

奉太郎「なんだ、じゃあお前がソファーで寝てくれるのか」

等、ついつい悪態をついてしまう。

える「それは……あのですね」

える「……一緒に寝ませんか?」

これは、冗談なのか、そうでないのか。

こいつは普段冗談を言わないだけあって、いざ言ったとしても判断に困る。

万が一、冗談だったとしたら、ここで俺が焦ってもうまく嵌められた気分になり、納得がいかない。

なので俺は「そうするか」等と恥ずかしさを堪えて言ってしまう。

これには千反田も少し焦った様様子だった。

える「え、は、はい」

そういいながら、一度ベッドから降りる千反田。
54>>53 10行目 ×様様子だった ○様子だった:2012/09/03(月) 14:59:10.84 ID:YVgNByz60
俺は表情を崩さず、ベッドに入る。

だが正直、かなり緊張している。

さすがに向かい合って寝るなんて気分にはならず、壁の方を向きながら目を瞑る。

背を向けている為、千反田の表情は見えないが、恐らくモゴモゴと恥ずかしがっているのだろう。

千反田が横に入ってくるのを感じ、若干身体が強張った。

5分、10分だろうか。

沈黙を破ったのは千反田の方だった。

える「その……折木さん」

つい、振り向く。

すると本当にすぐ目の前に千反田の顔があり、息が触れ合う程にも感じた。

俺と千反田は同時に、ハッとしてお互い背中を向ける。
55以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 15:04:40.14 ID:YVgNByz60
える「そ、そのですね、今日は……ありがとうございました」

奉太郎「……いや、礼を言うのは俺の方だと思うが」

奉太郎「飯を作ってもらったし、介抱もしてもらったしな」

える「いえ! 私、その……」

と言うと、一瞬の間を置き、はっきりと千反田はこう言った。

える「嬉しかったんです。 折木さんが泊めてくれると言った時……」

える「本当はとても怖かったんです、だから……とても、嬉しかったんですよ」

える「さっきも、一緒に寝ましょうって言ったとき」

える「冗談だったんですけど、折木さんがそうするかって言ってくれて……嬉しかったです」

奉太郎「千反田……」
56以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 15:08:09.45 ID:YVgNByz60
える「だから、お礼を言うのは私の方です」

える「ありがとうございます。 折木さん」

奉太郎「いや、まあ……その、なんだ……」

奉太郎「……どういたしまして」

える「ふふっ」

その日はとても気持ちよく眠れたと思う。

お互い背を向けたままの状態ではあったが、何故かとても安らげた。

翌朝、起きてテレビをつけるとどうやら6人目の被害者が出たようだった。
57以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 15:10:41.09 ID:YVgNByz60
千反田は少し不安そうな顔をしていたが、「大丈夫だ」と言って頭に手を乗せると
「はい!」と言って嬉しそうな顔をしてくれた。

被害者は6人で止まり、それから数ヶ月たっても何も起きそうには感じない。

街の雰囲気も、数週間はピリピリとしていたが、一ヶ月、二ヶ月と経って行くうちに
そんな事件もあったねー、なんて雰囲気になっていった。

そして、俺と千反田はほぼ自然的に、交際を始めていた。

それを聞いた里志と伊原の顔は、是非とも写真に収めたかったが……
58以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 15:10:52.22 ID:lJJJqp0J0
支援
59以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 15:14:48.51 ID:YVgNByz60
高校のアルバムを閉じ、長い思い出から戻ってくる。

今は無事……と言ったらなんだが、千反田と結ばれた。

まだ結婚をしてから一ヶ月しか経っておらず、名前で呼ぶのはいかんせん恥ずかしい。

というか、交際していた時から名前で呼んではいなかったが。

それを千反田に勇気を振り絞って話してみたら

「昔のままでもいいんじゃないですか?」

等といわれ、面を食らったものだ。

奉太郎「あれからもう10年か……」

昔、四人での古典部はとても楽しく感じた。

あくまでも今、だからなのだろう。

当時の俺からは到底考えられまい。
60以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 15:18:31.83 ID:YVgNByz60
奉太郎「俺も……大分変わったのかもな」

などと独り言を呟いていると、不意に携帯電話がなる。

画面を見ると、「福部里志」という名前が表示されていた。

通話ボタンを押し、耳に携帯を当てる。

奉太郎「珍しいな、里志か」

里志「久しぶりだね、奉太郎」

何か、用事でもあったのだろうか。

里志「仕事が思ったより忙しくてさ、遊ぶ時間も中々取れないんだよ」

奉太郎「それもそうだろうな、福部刑事」

そう、里志は刑事となっていた。

持ち前の情報量とやらが、随分と役に立っているみたいで、天職とも言えるかもしれない。
61以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 15:22:05.57 ID:YVgNByz60
里志「ははは、その呼び方はできれば遠慮してもらいたいね、奉太郎」

里志「それに僕じゃ結論は出せない。 常に窓際刑事、と言った感じだよ」

奉太郎「すまんすまん、それで用事があったんだろう?」

里志「ああ……それなんだけどね」

里志「10年前の事件、覚えているかな?」

奉太郎「10年前……」

奉太郎「……例の連続殺人か?」

里志「ご名答、それでね」

里志「少し気になって、過去のデータを調べてみたんだよ」

里志「そしたら、ちょっと引っかかる物が出てきてね……」

奉太郎「引っかかる……物?」

里志「うん、あれは6人目で終わっていなかったんだ」
62以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 15:27:09.97 ID:YVgNByz60
奉太郎「6人目で終わっていなかった……? どういうことだ里志」

里志「6人目の被害者にも、メッセージが残されていたんだよ」

里志「6人の生贄は無事に達せられた。次は10年後、upのある死から7人目にて全ては終わる」

奉太郎「どういう……事だ?」

里志「さあね、こういうのは奉太郎の得意分野だからさ、電話したんだよ」

奉太郎「そのメモを、メールで送る事はできるか?」

里志「ああ、いいよ」

里志「ばれたら首が飛びそうだけど、奉太郎の頼みだしね」

奉太郎「すまないな」

里志は最後に、じゃあすぐに送るね。 というと電話を切った。
63以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 15:29:32.57 ID:YVgNByz60
そして、5分程で携帯の着信音がなる。

居間からは千反田の「折木さんーご飯ですよー」との声が聞こえてきたが
「すぐに行く」と答えメールに視線を移し、俺は気付いてしまった。

今日はあの事件が最後に起きてから10年後、日付もぴったしである。

その時、ピンポーンという乾いた音が家に響く。

千反田が「はーい」と言い、玄関に向かった。

俺は咄嗟に叫ぶ。

奉太郎「待て、千反田!!」



True end...?

continue?

→yes

no

now loading...
64以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 15:31:55.40 ID:YVgNByz60
以上です。

トゥルーエンドに勝手に進めてしまいましたが、予想以上に長かった……
65以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 15:34:50.50 ID:Nb+FDQP+O
え?これトゥルーエンド?
?付いてるから、本当に本当のトゥルーエンドは別だよね?
66以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/03(月) 15:35:54.39 ID:YVgNByz60
それではまた明日、又は本日の夜。
BadEnd2ルートを投下したいと思います。

代理さん、支援してくれた方ありがとうございました。
失礼します。
67以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
>>65
いえ、これがトゥルーエンドです。
ハッピーエンドもそうですが、全ルートをクリアすれば分かると思います。

全7ルートに、幸せ等無いのです。とだけ言っておきます。