社長「紹介しよう!彼が765プロの新しいマネージャーだ!」
1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
代行
代行ありがとうございました
高木社長がそう言って一歩後ろに下がると同時に、彼の隣に居た男が前に出た。
「おはようございます。えーと、この度はここ765プロのマネージャーにならせていただきました。皆さんどうか宜しくお願いします」
軽い挨拶とお辞儀の後、周りに居たアイドル達から動揺の混じった多少まばらな拍手が起こった。
「え?マ、マネージャーさんですかー?」
「随分と急な話ね・・・」
「あらあら、これはまた・・・」
ざわざわとしているアイドル達を見据えて、社長が一つ咳払いをする。
「えー我が765プロも君たちの成長のおかげでようやく軌道に乗り始めた。しかしプロデューサーが二人だけというのは非常に負担が重いだろう・・・。そこでだ!人員を増やすことにして、私が採用面接でティンと来た彼を起用したわけだ!」
「あのー・・・」
千早が手を挙げる。
「マネージャーと言うと、具体的にはどのような業務をするのでしょうか?」
「うむ!良い質問だ。彼にはスケジュールの管理からTV番組への売り込み、さらには諸君の活動方針なども順次決めてもらう予定だ。まあ、言ってしまえばプロデューサー君と仕事内容はほぼ変わらないな!」
「えっ」
書き溜めてるんで適当なペースで進めます
時系列はアニマスの後ぐらいです。ただPは赤羽根Pであって赤羽根Pじゃないです。そのへんは適当に
当初は二人目のPって設定だったんですが書き分けがきつかったのでマネージャーにしただけです。普通にPと思ってくれても構いません
初SSなので勝手があまり分からないので注意点とかあったらよろしくお願いします
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 14:12:20.01 ID:M2L7g0/Z0
「ん?」
「えっ聞いてないですよ」
「ん゛ん゛!?君はちゃんと契約書を読んだのかい!?ほら、27ページ目の下から2行目に書いてあるだろう?」
マネージャーがパラパラと契約書をめくると、そこには確かにそれを婉曲に表現した文が書いてあった。
「・・・本当だ」
「では宜しく頼んだよ君!ハハハ、なんてことはない!頼れる先輩もいるしな!」
社長はマネージャーの背中を軽く叩いて、事務所入り口付近の社長室の扉に入っていった。
「・・・黒いな」
彼は小さな声でそう呟く。
6 :
忍法帖【Lv=8,xxxP】 :2012/04/01(日) 14:13:35.65 ID:FU3YdtHn0
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SS誰か書いてくれたらそれはとってもうれしいなって
「いやあさっきは災難だったなあ。社長は悪い人じゃないんだけど」
マネージャーが新しく割り当てられた机で荷物を整理していると、プロデューサーが話しかけてきた。
「いや、多分契約内容しっかり読まなかった俺が悪いんで・・・フィフティーフィフティーですね」
「(あっ5割は社長なんだ)」
「まあそれはともかくとして、プロデューサーさん。これからは宜しくお願いします」
「ああ、宜しく。アイドルの子たちは皆良い子だから、すぐに馴染めると思うよ。えっと例えばあそこにいる彼女は・・・」
「あ、いえ、俺も元々ファン側の人間なので大体のことは知っていま・・・まあ、知っているつもりです」
「え?ああ、そうか・・・でもここじゃなきゃ分からないこともあるだろうし・・・」
「そういうのは、実際に体感してもらうのが良いんじゃないですか?」
目の前でPCを弄っていた律子がそう言った。
「あ、律子」
「秋月さんですね。宜しくお願いします」
マネージャーは律子に軽い一礼をする。
「あ、いえ・・・そんなかしこまらなくても・・・あ、ところでマネージャーさんはお幾つですか?」
「俺ですか?21歳ですよ」
「あ・・・やっぱり年上ですよね。なら『律子』と気軽に呼び捨てして下さい」
マネージャーは少しためらった後、
「あーえーと・・・じゃあ『律子さん』って呼ばせてもらいます」
と遠慮がちに言った。
「え、あ、はい」
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 14:16:36.58 ID:RUlw5ldV0
ちょっとだけ支援。
「あら〜?もしかして私と同い年ですか?お若いですね〜」
少し肩すかしを食らったような表情の律子の後ろから、アイドル年長者のあずさが出て来て言った。
「・・・あずささんそれ嫌味ですか?」
「あれ?何か言いましたか音無さん?」
「いっいや何も」
その後もそこに居る数人でしばらく雑談をしていると、社長室の扉が開いて社長が出てきた。
「えー君たちに一つ言い忘れていることがあった。これから先1ヶ月マネージャー君には、君たちの仕事を担当アイドルを数日交代にしてこなしてもらう事になる!では諸君!頑張ってくれたまえ!」
そう言い終わると、社長は部屋の中に戻って行った。
「・・・ではそういう事なので、アイドルの皆さん、これから先1ヶ月はそんな感じで一緒に仕事をさせて頂くのでお手柔らかに?お願いしますね」
マネージャーはやはり一礼をして、その後は仕事内容の確認に勤しんでいた。
―――――――――――――――
「真ちゃん、お茶が入ったよ」
「あ、ありがとう雪歩」
ソファの上で漫画雑誌を読んでいた真の隣に雪歩が座る。
「そういえばさ、雪歩」
「ん?何?」
真は雑誌に適当なしおりを挟んで机の上に置く。
「マネージャーって男の人だったけど、雪歩は大丈夫かなって思って」
「うっうん多分大丈夫・・・だと思う・・・」
「あはは、そうだよね。最近はプロデューサーとの仕事も増えてきてるしね。ごめんね雪歩、そんなこと聞いちゃって」
「ぜ、全然大丈夫だよ?あ・・・で・・・でもちょっと・・・」
「あ、萩原さん、良かったら俺にもお茶入れてもらえると嬉しいな」
確認が一段落付いたのか、マネージャーが伸びをしながらソファに近づいてきた。
「ひゃっひゃい!分かりましたぁ!」
雪歩は文字通り飛び上がって台所へと向かっていった。
「あちゃー」
「・・・あれ?もしかして俺嫌われてる?」
マネージャーは真の向かいの席に座って苦笑いをしている。
「い、いえそんなことは!でも雪歩はちょっとその・・・男の人があまり得意ではないというかなんというか・・・」
「成程ー」
「で、でも決してマネージャーの事が嫌いなわけじゃないから・・・えーと・・・」
「あはは、大丈夫大丈夫。俺も受け入れられるように頑張るさ」
数分後、台所の方から雪歩が戻ってきた。
「あ、あの〜・・・お茶、入りましたぁ・・・」
雪歩はマネージャーの反対側から手を伸ばして机の上に湯呑みを置いた。
「ありがとう。じゃあ早速頂こうかな」
「ま・・・まだ熱いと思いますぅ・・・」
「あっそう?じゃあちょっと話をしようか」
「え?何の話ですか?」
真が興味津津の目でマネージャーを見ると、マネージャーは改めて真と雪歩の間に体を曲げて向き直った。
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 14:23:11.62 ID:M2L7g0/Z0
「最初の5日間、俺は君たち二人の仕事を担当させて貰います。至らない部分もあるかとは思うけど、どうぞ宜しく!」
少し間が空いて、マネージャーの言った意味が理解できた真の表情が明るくなった。
「本当ですか!こちらこそ宜しくお願いされられま・・・あれ?ま、まあとにかくボク達の仕事っぷりをたっぷりと見てもらいますよー!」
「ま、真ちゃんそんなにハードル上げないで・・・。あの、私もその・・・よ、宜しくお願いします!」
雪歩はお茶を運んできたお盆で顔を半分隠しながら、素早くお辞儀をした。
「ありがとう。それじゃあこのお茶、もう冷めたかな?」
「は、はい多分」
「じゃあ飲もうかな・・・うん」
マネージャーは湯呑みを持ち上げて舌で温度を確認した後、お茶を口に入れた。
雪歩は少し緊張の面持ちでそれを見ていたが、やがて彼が口を開いた。
「・・・凄い美味しい」
それを聞いた雪歩が少し微笑むのが、真横に居る真にも分かった。
―――――――――――――――
「えーハニーと一緒に仕事できないの嫌ー!」
事務所の隅の机で美希がプロデューサーにしがみついている。どうやらたった5日間でもプロデューサーと居られないのが不服なようだった。
「こら、ワガママは駄目だぞ美希。社長の決定なんだから。それに社会人って言うのはな、色んな人といろんな場所や状況で関わることによって自身の心身の成長と自信の育成につながってうんたらかんたらなんやかんやでつまり美希が成長してくれれば俺も嬉しい」
「えーと・・・よく分かんなかったけど・・・ハニーはミキのためにやってるってこと?それならミキ、頑張っちゃおうかな!」
「おう、宜しく頼むぞははははは」
「じゃあレッスン行ってくるの!またねハニー!」
「おーう」
ガチャリと音がして扉が閉まった。
「プロデューサーさん・・・腹黒ですよ?腹黒」
美希が居なくなったすぐ後に春香がプロデューサーの隣に座る。
「・・・まああれだよ、目には目をって奴だ。小悪魔的なあれだ」
「・・・まったくもう。じゃあ私も頑張っちゃおうかなーなんて、えへへ・・・」
春香は人差し指で頬を掻きながらへにょりと顔を崩している。
「・・・あれ春香?今日は美希と一緒にレッスンの予定だよな?」
「え?あ!あああ!!!すっすいませんすぐ行ってきますプロデューサーさん!!」
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 14:27:17.93 ID:b23/FXrgO
念のため支援
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 14:31:58.42 ID:1owNu+Ui0
地の文要らないわ
あと「」の前に名前入れてくれ
色々めんどくさい
春香は慌てて身支度をし、外に出ようとする。
「慌てるなよ春香ー。いや慌てなきゃいけないんだけどさ、絶対に階段では転ぶなよ?」
「ははははい!では!!!」
バタンと音がして扉が閉まった。
「・・・振りじゃないからな?」
プロデューサーがそう呟いた直後、マネージャーが自分の席に腰を下ろした。
「あそっか、さっきまで春香が座ってたから・・・」
「ああいえ全然大丈夫です。それにしてもやっぱりプロデューサーさんは凄いですね」
「え?何がだ?」
虚を突かれたような表情でプロデューサーはマネージャーを見る。
「この事務所で一番アイドルのことを知っているのはやっぱりプロデューサーさんですよ。さっきから見てましたけど」
「ああまあ一年くらい一緒にいるからな・・・誰でも自然にこうなるさ」
「俺もそうなりたいもんですよー」
プロデューサーは軽く笑いながら照れ臭そうに頭を掻いた。
>>15ごめん地の文の練習も兼ねて書いたSSだからそれは色々無理です。申し訳ない
「君もあと1ヶ月で皆のこと、全部は無理にしても知っていくと良いよ。何度も言うけど、皆良い子たちばかりだから」
「はい、ありがとうございます。じゃあちょっとコンビニ行ってきますね」
マネージャーは席を立って扉の方へ向かう。
「おう、行ってらっさい」
今度は音を立てずに扉が閉まった。
そこでプロデューサーの頭にふと思い立ったのは、
「あれ?1ヶ月過ぎたらどうなるんだ?」
という事だった。
マネージャーがコンビニに入ると、そこには二人の少女がいた。
店員の挨拶とほぼ同時にその少女たちはドアの方に振り向く。
「おやおや?あれは我が765プロのジャーマネちゃんじゃないかな?」
「うんうん!あれは我等が765プロのジャーマネちゃんに違いない!」
「こんにちは。ふた・・・いや亜美ちゃんと真美ちゃん」
マネージャーは二人の横を通り弁当を取ると、すぐにレジに向かっていった。
「あーん、ちょっと待ってよ・・・兄・・・ちゃん?」
「兄ちゃんが二人に増えちゃったね」
「何て呼ぼうか?」
「あんちゃんでいっかな?」
「それに決定→!」
「でも漢字にすると同じだね」
「大丈夫、口から文字は出ないから」
「あっあんちゃん」
レジで会計を済ませたマネージャーが二人の近くに再びやって来た。
「じゃあそろそろ帰ろうかな。腹減ってきたし」
「えーちょっと待ってよー!もうすぐ亜美たちも決め終わるから!急いては事をしそ汁だよ?」
「ほっほーうあんちゃんの今日の弁当は蕎麦ですか?その理由とは如何に?」
「俺はコンビニで弁当を食べるときは基本蕎麦だ。周りの人間は自分で茹でた蕎麦の方が美味いとか言ってるが俺はそうは思わない。
まずこの二つのどこが違うかと言うとやはり麺の柔らかさと言うものが第一に挙げられるだろう。程よい口当たりと噛み切りやすいこの麺の柔らかさは堪らない。
次には麺つゆのほどよい辛み、いや甘辛さと言った方が正確か。家で作った麺つゆと言うものは辛いか薄いか普通かのどれかになるのがほとんどだからな。
甘みと言うのもは中々重要だ。最後はやはりあの麺をつゆの中で解していく時の快感かな。あれは実に気持ちが良い。
ちなみにこの話は素人が茹でた蕎麦との比較だからな。職人とかが作った蕎麦の方が美味いのは当たり前だからその辺はあしからず」
「あんちゃん熱いねー」
「そだねー」
マネージャーは満足気な表情で既に会計を済ませた二人とともにコンビニを出て行った。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 14:43:48.05 ID:M2L7g0/Z0
このようにして、マネージャーは765プロの面々と徐々に馴染んでいった。
そして最初の節目である1ヶ月はすぐに去った。
仕事の内容について言及するなら、普通に完璧だったと言えるだろう。
スケジュール管理などについても特に問題はなく、何か予期せぬトラブルが起こった場合には先輩のプロデューサーや社長の指示をすぐに仰いで対処した。
社会に出たての新人としてなら、まさに完璧だったと言える。
普通の中では。
「いやあ1ヶ月ご苦労だったね!良い経験になったかい?」
今社長室には、社長とプロデューサーとマネージャーの3人がいた。
「はい、とてもいい経験になりました。ありがとうございました」
「では今後のことについてはまた少し後で皆にも言う事にするよ。じゃあ君は寛いでいてくれたまえ。改めてご苦労だった!」
「はい。では失礼します」
マネージャーはお辞儀をした後ドアから出て行った。
一呼吸置いた後、社長が話し出す。
「プロデューサー君・・・君は彼の働きを見ていてどうだった?」
「え?ああ、普通に頑張っていたと思いますよ?とくに大きなミスも無かったようですし」
「そうかね?」
「ええ、そうです」
ふう・・・と社長は少しため息をついた。
「?何か不満な部分でもあったんですか?」
プロデューサーが訝しげな表情で社長に尋ねる。
「いやね、私から見るに、彼とアイドル諸君との距離がまだまだ遠く感じるんだよ」
「そう・・・ですかね・・・?」
「君なんかは入社してすぐに皆と打ち解けあってた気がするからな・・・彼は何か一定の『距離』をまだ保っていようとしている、そんな気がするのだよ」
「はあ・・・」
窓の外を見ながら遠い目で外を見ていた社長だったが、数秒経って急に振り向く。
「まあ、まだ1ヶ月だ!それに、これからが彼の本番だからな!」
「あ・・・これから彼、どうするんです?」
「ハハハ、まあ期待していてくれたまえ!今日の夕方は皆のスケジュールも空いているんだったな?」
「あ、ええと・・・そうですね。予定通りならの話ですけど」
「じゃあその時に彼の今後については言及しよう!お楽しみだな!」
まだ困惑気味のプロデューサーを尻目に、社長は部屋から出て行ってしまった。
―――――――――――――――
夜。結局夜。
「えーでは少し遅くなってしまったが、ここでマネージャーの彼について皆に伝えたいことがある!心して聞くように!」
少しざわざわとしているアイドル達も、やはり社長の咳払いで静かになった。
「知っての通り彼には1ヶ月間、皆のマネージャーをして貰った。しかしこれからは、担当アイドル数人を決めて仕事をして貰いたいと思う!」
これには皆各々別の反応をしていた。
驚いた表情の者、落ち着いて微笑んでいる者、必死な表情で祈っている者・・・
「(美希の奴・・・選ばれないよう必死に祈ってるな・・・)」
プロデューサーが美希の方を見ながらそう思っていると、美希が潤んだ目で見ながらお願いのポーズをしてきた。
プロデューサーは親指を立てて微笑んでやると、美希もその意味が分かったのか笑顔に戻った。
プロデューサーは誰が選ばれるのか、先ほどマネージャーに聞いて知っていた。
「では、誰が選ばれるのか・・・うん、ここは彼自身に直接言ってもらおう!」
「え?あ、はい」
急な指名で驚いたようだったが、マネージャーはすぐ前に出て行った。
「えーと、これから俺と一緒に仕事をして頂くのは・・・」
ゴクリ、と皆一斉に唾を飲む。
「菊地さんと萩原さんです。これからどうかよろしくお願いします」
「えっボ、ボクですか!?」
「・・・わわ私で良いんでしょうか・・・?」
驚いた表情の二人。次にプロデューサーが前に出て来て言った。
「そう言う事だ、真、雪歩。これからは俺との仕事も少なくなるけど・・・正直ちょっと寂しいけど・・・頑張ってくれ!」
真と雪歩はプロデューサーの方に向き直る。
「・・・はい!正直ボクもちょっと寂しいですけど・・・す、すいませんマネージャー・・・。で、でも頑張ります!」
「わ、私も・・・えとその・・・頑張りますぅ!」
事務所内に軽い拍手が起こった。
こうして、この3人の仕事生活が新しく始まったのであった。
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 15:00:13.44 ID:M2L7g0/Z0
―――――――――――――――
今日はダンスレッスンの日だった。
3人とも事務所ではなく直接レッスン会場への集合だった。
「10分前・・・ちょっと遅かったかな・・・」
雪歩が時計を見ながらそう呟く。
そして階段を登りきってドアを開けた。
「お、おはようございます」
「良い蹴りッ!良い蹴りッ!良い蹴りッ!」
「はあっ!くあぁっ!はぁあああ!!!」
「・・・!?」
ドアを開いた向こうでは、真がマネージャーの腕に上段蹴りを食らわせていた。
「・・・えっと、何やってるんです?」
まるで状況を把握できていない雪歩に二人はようやく気付いた。
「あ、おはよう雪歩」
「おはよう萩原さん」
「おっおはようございます」
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 15:01:29.03 ID:IZqK+zD40
なんだマゾだったのか
肩で息をしている二人は、しばらく経ってやっと雪歩が何故不審そうな目をしているのかに気付く。
「・・・ああいやね?たまたまそこに手ごろなマットがあったもんだから、折角だから」
「雪歩!凄いんだよマネージャー!昔空手やってたんだって!」
「まあ習い事のレベルだけども」
説明されても何故そうなったかの理由は良く分からない雪歩だったが、ひとまず納得しておくことにした。
「あっそれより遅かったですか・・・?すいません・・・」
「ああいやいや全然大丈夫。最悪1分前までOK」
マネージャーは少し笑った後、腕に持っていたマットを部屋の隅に投げた。
「じゃあ早速始めようか」
「はい!」
二人の元気な返事が部屋に響いた。
―――――――――――――――
「じゃあちょっと休憩しましょうか。えーと15分くらいね」
ダンスレッスンのコーチがそう言って手を叩くと、フラフラと真と雪歩が壁に寄り掛かってそのまま座った。
「ふぅ・・・良い汗かいたねー!」
「はぁ・・・私は・・・ふぅ・・・もう・・・」
「大丈夫?これ飲んで横になってなよ」
真は雪歩にペットボトルを渡す。
「あ・・・ありがとう真ちゃん」
「いやあお疲れ様」
「あっマネージャー」
マネージャーは近づいてきて真の隣に座る。
「どうでした?ボクたちのダンス!」
「凄いんだなアイドルって。めちゃくちゃ練習ハードじゃないか。知識だけならまあ少しはあったけど、実際に見てみるとやっぱり違うもんだ」
「ひひー」
真は満面の笑みで、隣で寝ている雪歩の体を揺らす。
「だって雪歩!やったね!」
「・・・う、うん、ありがとうございます・・・はぁ・・・はぁ・・・」
雪歩はやっとのことで返事をする。
「あ、ごめん雪歩」
「二人はゆっくり休んでてよ。俺もちょっと先生と話したいことあるし」
「あっはい分かりました」
そう言うとマネージャーはその場から離れ、コーチのもとへ向かっていった。
―――――――――――――――
20分後、まだ会話は終わっていなかった。
「はい・・・いやでもここはもっとゆったりとした動きで・・・」
「でもですねえ・・・はい・・・流れって言うものが・・・」
議論が平行線になっているということは、遠くから見ている真と雪歩にも分かった。
「何の話してるんだろうね?」
「うーん・・・あっ今度のオーディションの事じゃないかな?」
二人は1週間後にオーディションを控えていた。
決して絶対合格しなければならないとまでは行かないまでも、二人のステップアップにはそれなりに重要なものでもあった。
「じゃあまあ間を取ってこういうのはどうでしょうか?」
「うーん・・・ちょっと不安は残りますが・・・私もできる限りやってみます」
どうやら決着はついたようだった。
「じゃあ二人とも、始めましょうか」
「はーい」
コーチが手を叩くと同時に、二人は立ち上がり、コーチのもとへ向かっていった。
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 15:17:57.32 ID:M2L7g0/Z0
逆に戻っていくマネージャーと雪歩がすれ違う瞬間、
「萩原さん、疲れは取れた?」
とマネージャーが言った。
「え?あ、はい大丈夫です」
「そうか、それなら良かった」
「あの・・・あ、ありがとうございますぅ・・・」
「どういたしましてです」
「それじゃあ始めるわよ。じゃあさっきの続きから」
「はーい」
時計は午後5時。そこから約1時間半、二人はレッスンを続けた。
「じゃあ今日の練習は終わり!二人とも、お疲れさまでした!」
コーチがそう言うと、真と雪歩はその場にへたり込んだ
「はぁ・・・はぁ・・・疲れましたぁ・・・」
「ボクも・・・今日はなんかかなり・・・」
「じゃあしばらく休んだら帰ろうか、二人とも」
「はーい・・・」
しばしの沈黙の時間が流れ、荒い呼吸音だけが聞こえている。
「悪いな、ちょっと無理なダンスレッスンさせたかもしれない」
「え・・・?ああ、さっきの話の事ですか?」
仰向けになっていた真が体を半回転させて、マネージャーの方を向く。
「そうそう。オーディションに関係してるんだけどね」
「やっぱり」
「さて、じゃあそろそろ帰ろうか?大丈夫?」
マネージャーは鞄を持ち上げて二人を見下ろす。
「あっはいもうボクは大丈夫ですけど・・・雪歩?」
「うっうん私も大丈夫。すぐに支度しますね」
帰り支度が終わると3人は出口の方へ向かっていく。
「では今日はありがとうございましたー」
「ありがとうございました、さようならー」
外に出ると、もう太陽も沈みかけていた。
「ああ、もうこんな時間だもんな。二人とも今日はこれでお終いだけど、直帰?」
マネージャーが尋ねる。
「ああえーと・・・ちょっとボク事務所の方に寄っていきたいんですけど・・・良いですか?」
「おう、全然構わないよ」
「じゃあ私も真ちゃんと一緒に行きますね」
「じゃあそろそろ日も沈むし、俺も付添うよ」
「はい、ありがとうございます!」
3人は階段を下りて、事務所に向かっていった。
―――――――――――――――
「あっおかえりなさい。真ちゃん、雪歩ちゃん、マネージャーさん」
「ただいま小鳥さん!遅くまでお疲れ様です!」
「えへへ、仕事は大変だけど皆の為に小鳥さんは頑張っちゃうのです♪さあまずはこの作業に区切りつけないと・・・」
小鳥はそう言って再びPCに顔を向ける。
「あれ?音無さん、何か今日は上機嫌ですね」
マネージャーがソファに鞄を下ろしながら言う。
「そですね〜♪あ、そうだ!マネージャーさんも来ませんか?今日の飲み会!良いですよね!社長!」
小鳥は台所の方に声をかける。
「ん?ああ!勿論だ!そういうことだから、今日はどうかねマネージャー君??」
「え?ああ、勿論OKです。お誘いありがとうございます」
マネージャーがそう返事をすると、社長は台所の方からお茶を持ってきた。
「ささ、皆お茶をどうぞ。君たちも」
社長はソファに座っていた真と雪歩にも声をかける。
「あはは・・・社長にお茶を淹れてもらうって何か申し訳ない気分になるね・・・」
「そんなこと気にする必要もないさ。まあもっとも、私は萩原君のように上手にお茶を淹れることはできないんだがね」
「い、いえそんなことは!」
雪歩が驚いたように否定するので、隣に居た真は笑ってしまった。
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 15:36:33.66 ID:M2L7g0/Z0
二人がお茶を飲み終わると、マネージャーが何気ない調子で切りだした。
「そういえば、二人に訊きたいことがあったんだけど」
彼は自分の荷物の隣、真と雪歩の真正面に腰を下ろした。
「?何ですか?」
「折角この3人で一緒に仕事をすることになったわけなんだから、親密度と言うものを挙げたいと思って」
「親密度・・・ですか?」
雪歩が首を傾ける。
「うん。つまりさ、いつまでも『菊地さん』と『萩原さん』じゃあ堅苦しいかな、と思って」
「つまり呼び方のことですか?ボクは全然『真』って呼び捨てにして貰って構いませんよ!」
「あ・・・えっと私はその・・・ええと・・・うう・・・」
「あ、雪歩・・・」
真が心配そうに雪歩の方を向く。
「えーと、じゃあ・・・あー・・・とりあえず『真さん』 と『雪歩さん』って呼ぶってことで良い・・・かな?」
「・・・ごめんなさいぃ」
雪歩が消え入りそうな声でそう呟く。心なしか瞳が潤んでいるようにも見える。
「じゃあ、ボク達は帰りますね」
真が立ち上がってそう言う。
「ちょっと暗いけど大丈夫か?良かったらタクシー代渡すけど」
「ああいえ!・・・あ、でも・・・じゃあお言葉に甘えて・・・えへへ・・・」
真は雪歩が暗い道は怖がるだろうと思ってそう言った。一番暗闇が怖いのは真本人であったが。
二人は扉の方へ向かって行ったが、そこで真がふと立ち止まり、こんなことを言った。
「そういえばマネージャー、マネージャーはずっとボク達担当でいてくれるんですか?」
真は頭の中にぽっと出た疑問を口に出しただけだったが、マネージャーはそれに深く考え込んでしまった。
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 15:41:51.34 ID:uB6xoavS0
やっぱり名前ないと見辛いな
そして数10秒後、彼は口を開く。
「ずっと一緒に居る、なんてことはもしかしたら出来ないかもしれない。俺の人生だからって俺が全部知ってるなんてことはないわけだし」
「そこは『俺は君たちのそばにずっといてやる』って格好よく断言する所じゃないんですかー?」
真は頬を膨らませながら、不満半分茶化し半分で言った。
「そう言われてもなあ・・・誰かが保証してくれるって訳でもないし・・・」
「ははは、すいませんマネージャー、こんなこと聞いちゃって。さ、行こう雪歩」
「う、うん」
雪歩はマネージャーの方を少し見た後、ほんの少し物憂げな表情で扉の方に体を向ける。
別れの挨拶の後、事務所の扉が閉まった。
今事務所内には社長、小鳥、マネージャーの3人が居る。
>>39ホントごめん
地の文練習するなら台詞少なくするべきだったな・・・
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 15:48:14.71 ID:AmcjbKCh0
多分一場面にでるキャラの人数が多いからだと思う
場面ごとに分けたらいいんじゃね?
数分後、再び事務所の扉が開いた。
「あ、プロデューサーさん!お帰りなさい」
「ただいま、音無さん」
「音無さん、口緩んでますよ。何妄想してるんです?」
目の前の机に居たマネージャーが小さく呟く。
「いっいえ何も!新婚の夫婦みたいだなーなんて何も!」
「・・・はい」
「おや?プロデューサー君、今日は如月君と一緒ではなかったのかね?」
「あ、もうこんな時間なんで直接家に送って行きました」
「そうかそうか。じゃあこれで心おきなくたるき亭で飲み明かせるな!さあ行くぞ皆!」
「おー!」
「えっちょ、皆急にどうしたんです?俺まだ状況把握が・・・」
そんなことを呟いているうちに、3人は外に出て行ってしまった。
こうなったら電気戸締りは勿論プロデューサーの仕事である。
「はあ・・・サラリーマンは辛い・・・」
たるき亭のカウンターに4人は並んだ。
左からマネージャー、プロデューサー、小鳥、社長の順番だ。
最初こそ落ち着いて飲んでいたものの、30分もすると小鳥が文字に出来ないような言葉で社長に語りかけていた。
社長はそれを笑いながら聞いている。
「(大人の貫録だなあ・・・)」
「プロデューサーさん」
マネージャーがジョッキを片手に話しかける。彼はまだほろ酔いなようだった。
「ん?どうした?」
「俺ね、今日真さんにこんなこと訊かれちゃったんですよ。『ずっとボク達と一緒に仕事してくれますか?』って」
「へえ。それで?なんて答えたんだ?」
プロデューサーは興味津津と言うよりは、優し気のある語調で質問する。
「いやね、ずっと一緒に居られるかは分からない、そんなこと誰も保証してくれないから・・・ってな感じで。あまり褒められた回答じゃあないですね」
そう言いながら、マネージャーは余っていたジョッキの中のものを喉に流し込む。
「ふーん・・・それはまた・・・」
「雪歩さんも若干残念そうな顔してましたしね」
彼はそう自虐的に言って苦笑する。
「ちなみに、なんでそう答えたんだ?」
「あー・・・。そうですね・・・俺にもこれから先色々あるかも知れないですし、それに・・・」
「それに?」
一呼吸置いた後、彼は話し出した。
「ちょっと話は変わるんですけどね、俺が何でこの仕事に就いたのかって話なんですけど」
「ふんふん」
「俺、昔っから人に対して飽きっぽいというかなんというか・・・ずっと同じ人と一緒に居たりすると、バランスの悪さみたいなものを感じてしまって。だから結局、あるときはこの人と、ある時はあの人と、みたいな感じになっちゃうんですよね」
「へえ。でもそれはそれで良いんじゃないか?ほらだって、それだけ色んな人と関われるわけだし。まあ恋愛に対しては例外だけど」
「恋愛に関しては確かに致命的ですねー。まあしたことほぼないんですけども。・・・でも俺はそんな自分を変えたくてこの仕事を選んだんです。マネージャーって『そういう仕事』じゃないですか」
「成程ねー」
プロデューサーも一呼吸置くために、ジョッキの中のものを喉に入れる。
「で?真と雪歩はその点に関して言うとどうなんだ?」
「その答えがまだ出てないからこそ、あんな答えを出しちゃった訳なんですよ」
「ああ、そっかそっか」
「俺の意向としては、勿論このままやっていくのが良いんですけどねえ」
「そうかそうか。うんうん。まあ大丈夫だろう」
「ん?大丈夫って?」
「ハハ、まあこれから先色々あるだろうけど、頑張ればきっと自分は変えられるさ」
「気になる言い方しますねー」
たるき亭の夜はまだまだ終わらない。
主に小鳥のせいで。
―――――――――――――――
「マネージャー、良い人だったね」
無事タクシーを捕まえた二人。車内で十二分に寛いでいた。
「うん。そうだね真ちゃん」
「そういえば雪歩、マネージャーにはもう慣れた?」
真が車内で雪歩に体を寄せて聞く。
「え、えっと・・・今日、凄い優しい人だって分かったから・・・もう大丈夫だと思うよ」
「えっ?どんな風に?どんな風に優しかったの?」
真はさらに興味をそそられたのか、雪歩により体を寄せる。
「そ、そんな・・・改まって言うとなると・・・恥ずかしいですぅ・・・」
雪歩は車内の端の方に体を縮こまらせてしまった。
「あはは。でも良かった良かった。それにしても・・・やっぱりマネージャー、ずっとボク達と一緒にいてくれるといいんだけどなー」
「そう・・・だね。うん。私も・・・」
雪歩は外の流れていく景色を見ながらそう言った。
―――――――――――――――
一週間後、遂にオーディションの日がやってきた。
「やっぱり緊張するね雪歩・・・」
「う、うん・・・」
三人はオーディション会場の控え室に居た。開始の30分前である。
「二人とも、オーディション経験は?」
マネージャーが尋ねる。
「は、はい!ボクも雪歩も過去には結構やったことありますけど、やっぱり緊張しちゃって・・・あ、ちょっとトイレ行ってきても良いですか・・・?」
「おうおう。あと30分だからその辺は宜しく」
「はい、じゃあ行ってきます」
真は立ち上がって外へ向かう。ドアノブを回す腕が少し震えているのが雪歩とマネージャーからも見えた。
「・・・もしかしてマネージャーも、緊張してますか?」
いつになくそわそわとしているマネージャーに向けて雪歩が質問をする。
「あ、ばれた?」
「や、やっぱりそうですよね」
「雪歩さんは?」
マネージャーは雪歩の向かいの椅子に座る。
「私ももちろん緊張しちゃってるんですけど・・・その、慣れっこと言うか・・・」
「そう・・・雪歩さんは偉いね」
「いっいえ!緊張しやすいだけですぅ・・・えへへ」
雪歩ははにかみながらスカートの裾を指で弄っている。
「まあ、俺が緊張してどうとなるわけでもないんだけど・・・」
「ただいま戻りましたー」
カチリと音がしてドアが開く。真が戻ってきたようだった。
「おう、丁度良い。俺もそろそろ向こうに行かないといけないから、最後に言っておきたいことがあります。オーディションっていうのはやっぱり心持ちが大事なんだ。だから、自分の魅力を目一杯見せつけるつもりで臨んでほしいと思う。じゃあ頑張って!」
彼の言葉は決して具体的なアドバイスとは言えなかったが、二人の士気を上げるには十分であった。
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 16:15:43.51 ID:M2L7g0/Z0
30分後、いよいよオーディションが始まった。
結果から書く。
真と雪歩は、このオーディションでは不合格だった。
「残念・・・だったね」
控え室に戻ってきた真が呟く。時計は既に6時を回っていた。
「うん・・・」
「・・・二人とも、今日はお疲れ様。荷物まとめたら帰ろうか」
「は、はい・・・。あの、マネージャー・・・」
「どうした真さん?」
真はマネージャーの真正面に立ち、目と目を合わせる。
「・・・今日は合格できなくてすいませんでした。これからは、もっと、もっと精一杯努力して精進していきたいと思います」
真の言葉は、失望感こそ顕著に表れていたものの、強い意志の見られる口調だった。
「あ・・・ええと・・・うん、そうだな・・・」
マネージャーはその視線に耐えられなくなり、思わず目を逸らしてしまう。
「あの・・・えっと・・・私も・・・すいませんでした・・・」
雪歩は俯きながら、たどたどしくもそう言った。
「・・・荷物はまとまった?じゃあ、帰ろうか」
三人は控え室、そして会場の出口へと向かう。
会場の外、駐車場までの道を歩く三人。
マネージャーが先頭となり、その後ろに俯き気味の真と雪歩が並んで付いていく。
道も半分を過ぎたころ、マネージャーが軽いため息を吐いたあとに話し出した。
「・・・二人とも、今日はすまなかった」
突然の謝罪に、真と雪歩は思わず立ち止まる。
それに気付いたマネージャーも後ろを向いた。
「え?そんな、マネージャーが謝ることなんて・・・」
「そうです・・・今日私達がその・・・ダメだったのは、その・・・」
「いや、俺のせいだよ」
マネージャーは強い口調でそう言った。
それに少し驚いた二人は口を噤んでしまう。
「自分のミスを正当化するつもりはないから、敢えて全部言わせて貰う。今回のオーディションで、俺は自分の我を通し過ぎた。
レッスンの内容も自分のやりたいように組んで、そんでもってやるだけやって、『どうやったらオーディションを勝ち残れるか』という事を失念していた。
審査員の好みや特色を積極的に知ることを怠った、俺の責任だ。本当にすまなかった」
彼は謝罪の言葉の後、頭を二人に下げた。
「か、顔を上げて下さいマネージャー!・・・そりゃあ今回のことはマネージャーにも責任があったのかもしれませんけど、ボク達の力不足もあったのは確かです。だから・・・」
「その・・・一人で、全部背負い込まないで・・・下さい」
雪歩が真の言葉に続けて言った。
マネージャーが顔を上げて雪歩を見ると、彼女は少し身構えながらも、マネージャーに向かって優しく微笑んだ。
雪歩が今までに見せたことのない表情だったので真は少し驚いたが、それにつられて真も自然と口元が緩んでいた。
「ごめんな・・・うん、ありがとう、二人とも」
暗い気分こそ抜けはしなかったが、彼らは皆顔を上げて歩きだした。
「シートベルトはOK?じゃあ出発しようか」
マネージャーがアクセルを踏み、車が動き出す。
事務所までの道の信号で車が止まると、マネージャーが話し始めた。
「えー・・・こんな時に何なんだけど、実はプレゼントがあります」
「え?プレゼントですか!」
真が後部座席から前に乗り出す。
「そう。まあ物じゃないけどな。実は今度、真さんと雪歩さんの二人でライブをやって貰う事になってるんだ」
一瞬の沈黙の後、彼女達から歓喜の声が漏れる。
「ライブ!本当ですか!やーりぃ!」
「はわわ・・・真ちゃんと二人でライブ・・・緊張してきましたぁ・・・」
「ははっ、緊張するの早いよ雪歩!ありがとうございますマネージャー!最高のプレゼントです!」
信号が青になったので、マネージャーはアクセルを踏み込む。
「そうか。喜んでもらえるなら俺も嬉しいよ。・・・本当はこのオーディションで合格してからやりたかったんだけどね。まあグチグチ行っても仕方ないから、今度のライブは絶対成功させような」
「はい!・・・あ、そういえばユニット名ってどうするんですか?」
まこゆき?ゆきまこ?いやいや・・・と真は一人で思索する。
「真ちゃんそれはちょっと・・・安直と言うかなんというか・・・」
「えー酷いよ雪歩!確かに安直だけど!」
一通り落ち着いたところで、マネージャーが口を開く。
「実はもう名前も大体決まってるんだ。ユニット名は、二人の出す曲名から取って『First Stage』・・・これで良いかな?」
「・・・はい!凄い良いと思います!うわあ・・・なんかこう、うわあ・・・!」
「ふふっ、私もとても良いと思います!」
こみ上げてくる感情を体で表現する真の隣で雪歩が言う。
「・・・そうか、それは良かった。さあ事務所に着いたぞ」
三人、特に真は浮足立ったまま事務所の中に入って行った。
―――――――――――――――
翌日早朝、765プロ事務所内
「真、雪歩!ちょっとアンタ達、こっちへ来なさい!」
「ん?どうしたの伊織?」
「ほら、そこ座って」
二人はソファに腰を下ろす。
「アンタ達・・・昨日のオーディション、駄目だったみたいじゃない」
「ううぅ・・・はっきり言われちゃいましたぁ・・・」
雪歩が肩を縮こまらせる。
「本当に大丈夫なの?アンタ達のマネージャーは」
早朝なのでマネージャーはまだ事務所には来ていない。
「ええと・・・そりゃ昨日は駄目だったけど、ちゃんと失敗した原因も分かってたみたいだし・・・多分大丈夫なんじゃないかなあ」
「多分、ねえ・・・」
伊織は足を組み直し、一つため息をつく。
「で、でもね伊織ちゃん!私・・・多分真ちゃんもそうだと思うんだけど・・・昨日のオーディションでは、凄いなんて言うか『思い通り』やれたというか・・・」
「はぁ?どういうことよ?」
「あ、やっぱ雪歩もそうだった?うーん何て言うかね、自分を思いっきり出せたっていうか、伸び伸びやれたっていうか・・・」
真も上手い言葉が見つからず、言葉に詰まって頭を掻く。
「よく分かんないけど、それはあのマネージャーのおかげって訳?」
問いただすように疑問を投げかける伊織。
「うん・・・でもマネージャーは『自分の勝手を通し過ぎた』って言ってたけど・・・」
「全く・・・それで不合格なら世話ないってのよね」
伊織は髪と服を整えながら立ち上がる。
「でも・・・雪歩。アンタがそう言うんなら、まあ、そうなんでしょうね」
その伊織の口調は今までのように尖っていなかった。
少しキョトンとしていた雪歩だったが、少し経ってから無言で満足気に頷いた。
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 16:36:46.78 ID:M2L7g0/Z0
そのまま伊織がその場から離れようとすると、真が引きとめた。
「あれ?ボクは?ボクについては何かないの伊織?」
「ウルサいわねえ全く。アンタは何も言わなくても勝手に納得しちゃうでしょ」
「なっ!どういう意味だよそれー!」
今にも言い合いが始まりそうなタイミングで、事務所のドアが開いてマネージャーが入ってきた。
「おはよう。・・・ほら、真さんも水瀬さんも喧嘩しない」
「ふんっ・・・余計なお世話よ。・・・それに余所余所しいのよその呼び方。いつまでそう呼ぶつもり?」
「うん、じゃあお言葉に甘えます、伊織さん」
そう言ってマネージャーが笑うと、伊織は少し彼の方を見た後、またそっぽを向いて事務所の奥に行ってしまった。
「マネージャー、もう全員下の名前でも良いんじゃないですか?」
真がマネージャーの顔を横から覗き込む。
彼はしばらく考えた後、うんそれが良いかなと言って一人で頷いていた。
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 16:36:56.91 ID:3fnd/QH50
非常に読みにくい
ですよねー
・・・一応修正はしてるんだがやっぱ書き手だと分からない・・・
そして時は過ぎ、真と雪歩は練習に練習を重ね、遂にライブの日を迎えた。
「雪歩・・・いよいよだね・・・」
会場前に三人はたどり着く。
風が強く、建物を見上げる真の髪を激しくなびかせていた。
辺りには物販用や機材搬入用のトラックがいたるところに停められている。
「うん、そうだね」
「二人とも、緊張してる?」
隣にいるマネージャーが、やはり建物を見上げながら訊く。
「はい、良い感じに」
「勿論してますけど・・・私達、この日の為に一杯練習してきたから、大丈夫です」
雪歩らしからぬ強い言葉に少し驚いたのか、マネージャーは彼女を横目で見る。
しかしその目を見て思う。
―――ああ、この子たちならきっと大丈夫だ。
「・・・さあ、中に入ろうか。風も強い」
「はい」
彼らは会場に向かって歩みを進めた。
控え室。開場後間もなく、ライブ開始まで約40分。
彼らは開場スタッフとともに進行の最終確認をしていた。
スタッフの流れるような説明とともに確認が終わる。
「では、菊地さん、萩原さん。本日は宜しくお願いします」
「はい!宜しくお願いします!」
スタッフは手際良く道具を片付け、ものの数十秒で部屋から退出した。
「・・・さあ、いよいよだ。気張っていこう」
マネージャーは大きく息を吐いてから言った。
「はい!・・・ところでマネージャー、プロデューサーから聞いたんですけど、ボク達のライブに来てくれたことがあるんですか?」
真に訊かれて、マネージャーは過去の記憶をたどり、そういやそんなこともプロデューサーには言ったな、と思い出す。
「うん、結構あるよ。ちょうど半年とちょっと前くらいだったかなあ。初めてライブに行ったのは」
懐かしいな、と彼は一人で頷く。
「半年前って言うと、ええと・・・もしかして、あの竜宮小町が遅れちゃった時のライブですか?」
真も当時のことを思い出す。
「ああ、そうだったな、そんなこともあった」
「で、どうでしたか?その時のボク達!」
真が笑いながら尋ねる。
「どうもなにも、あのライブは俺がこの仕事に就こうと思ったきっかけだからな」
彼は若干照れ臭そうに頭を掻きながらそう言った。
「えっ、そうだったんですか?えへへ・・・何だか嬉しいな・・・」
雪歩が首を傾げて笑う。
「あそこから半年間、俺も必死で勉強したよ。・・・だからな、君達には感謝してるんだ。してもしきれない位」
「・・・じゃあ今日のステージは、マネージャーの為にも、最高のものにしちゃいますから!」
真はマネージャーの目を真っ直ぐ見ながら、ガッツポーズを決める。
「ステージの横で、私達のこと・・・あの、しっかり見ててくださいね?」
雪歩は恥ずかしそうにしつつも、上目遣いでマネージャーを見て言う。
「ああ、勿論だ。・・・さあ、君達のステージへ行こう」
「はい!」
「いえーい!皆見てるー?皆は見えてるよー!」
「きょ、今日はどうか宜しくお願いしますぅ!」
スポットライトがステージ上の彼女たちを照らし、観客の歓声が一斉にそれに向かって注がれる。
「今まで、ボク達は765プロの一員同士としてそれぞれ活躍して来たけど・・・」
「これからは真ちゃんと私の二人で一緒にアイドルをして行きます!ユニット名は、せーのっ」
「「「「「「「「「「FirstStage!!!!!!!」」」」」」」」」」
「ひひー。皆ありがとう!さっすがー!」
「それじゃあ、早速一曲歌いたいと思います!」
「「聴いてください、『First Stage』!!」」
一際強い歓声の後、観客は音楽が始まると同時に一斉に静かになり、サイリウムを頭上に挙げる。
軽快なテクノ調の音が会場全体に響き渡り、その場にいる人間の心を浮き上がらせていく。
そしてイントロが終わり、雪歩は息を吸い込んだ。
―――言いたいことさえ 言えない私だけれど
真もマイクを構える。
―――もし恋愛するなら 第一候補はいるの
―――あと少しだけ前に出て 言葉かけられたならば・・・
―――手を伸ばしたら届くほど近い存在なだけに・・・
「It’s my first stage」
マネージャーは舞台袖からその様子を眺めていた。
彼はその場から一歩も動けず、瞬きもできず、立ちつくすことしかできなかった。
ステージの上の彼女達は、それほどまでに美しかった。
彼はライブには何度も行ったことがある。勿論最前列近くの席でアイドル達を見ていたこともある。
しかし、舞台袖から見えるアイドル達の姿は、普段のそれとは全く違っていた。
ステージの上で、生き生きと話し、歌い、踊る彼女達。
それを見て、聞いているだけで、彼の心は止めようもなく高鳴った。
一介のファンだったころの彼と今の彼。
今の彼は、ステージで輝くアイドル達が裏でどれほどの努力をしているのかを知っている。
彼女達が、どれほどのものを背負っているのかを知っている。
彼の眼に映る「アイドル」は、最早以前のものとは全く違っていた。
その決して表舞台に出ない姿を知っているからこそ。
「はは・・・ははは・・・」
嬉しい。
嬉しい。嬉しい。嬉しい。
彼は、溢れかけた涙で前が見えなくならないよう、両手で目をこすった。
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 17:02:44.40 ID:w6DCHgIL0
さる
「みんな、ありがとう!今日のライブはこれで終わりです!」
真は息を荒くしつつも、観客に満面の笑みを向ける。
「あの、私達の初めてのステージで・・・とっても緊張したんですけど、その・・・楽しんで頂けましたか?」
雪歩が観客に恐る恐るマイクを向けると、強い歓声が会場を揺らす。
それを聞いて安心した彼女から笑みがこぼれる。
「それでは皆さん、もう一度・・・」
「「ありがとうございました!『FirstStage』の『次のステージ』にご期待下さい!」」
さらに強い歓声と拍手を受けて、二人は舞台袖に向かって走り去って行った。
――――――――――――――――――――
「はぁ・・・はぁ・・・どうでしたか!?ボク達のステージ!」
真は客席から見えない位置に着いた後、真っ先に目の前にいるマネージャーに話しかけた。
「・・・・・・・・・」
「マ、マネージャー?どうしたんですか?」
「・・・あはは、えーと・・・あははは・・・」
ふやけた顔のままやっとのことでそう言ったマネージャー。
「た、大変ですぅ!マネージャーが変になっちゃったよ真ちゃん!」
「ゆゆ雪歩も落ち着いて!・・・と、とりあえず部屋に戻りましょうか」
真が先導となり、三人は控え室に向かう。
>>69そうです規制くらってましたw
人も少ないみたいですが、まあ自己満でも終わらせます
控え室の椅子にもたれかかり、肩で息をしている真と雪歩。
その顔は実に満足気で、マネージャーはこの二人のことを改めて誇りに思った。
「・・・凄えよアイドルって。マジで凄い。つーか君たちは凄い」
雪歩はマネージャーに顔を向け、柔らかくほほ笑む。
「・・・ありがとうございますマネージャー。マネージャーが袖から私達を見てくれてるの、こっちからも見えてました。だよね真ちゃん?」
「うん!ありがとうございます!」
マネージャーは笑顔で天井を仰ぎ、一呼吸吐く。
「いやね、もう・・・マジで凄い。・・・悪い語彙が貧弱で」
「そんな凄い凄い言われると、えへへ・・・ちょっと照れちゃいます」
雪歩は頬を淡く染めながら、口に手を添えて笑う。
「凄えっすホント。君たちのステージは最高だった。心から言わせてもらう。ありがとう」
真はその言葉を聞くと、目を閉じて首を横に振った。
「・・・いえ。今日のステージは、マネージャーがあの時・・・オーディションの時から、ずっとボク達のために人一倍頑張ってくれてたのを知ってます。だからこれは、三人で作り上げた結果です!」
「そう・・・か。そうだな・・・」
三人はその後数十秒間、お互いに顔を見合わせては笑っていた。
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 17:13:46.24 ID:Ri2AA2Kl0
読みづらい・・・
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 17:15:58.77 ID:3Q9tkLuJ0
支援
少しして落ち着いた後、マネージャーが息を吸い込んで言う。
「さてと・・・じゃあそろそろ事務所に帰って社長に大成功の報告をしようか。真さん、雪歩さん、スタッフさんに挨拶しに行くから準備お願い」
「あ、はい」
真は立ちあがってマネージャーのもとに向かおうとする。
「・・・」
しかし雪歩はその場で座ったまま黙り込んでいた。
真は雪歩の近くに行き、肩に手をかけようとする。
「どうしたの、雪歩?」
「・・・・・・・・・あっあの!」
沈黙の後、雪歩は急に立ち上がり、外に出て行こうとするマネージャーを引きとめる
「ゆ、雪歩?」
「?雪歩さんどうしたの?」
マネージャーは首をかしげてそう尋ねる。
「・・・」
雪歩は胸に手を当てて、しばらく俯き気味に深呼吸をしていたが、やがて意を決したように言った。
「あの・・・そのっ・・・あの時出来なかったお返事・・・を・・・」
「へ?返事?」
マネージャーはいまいちピンと来ていない顔で雪歩を見る。
今にも膝から崩れ落ちてしまいそうな雪歩だったが、服の裾をしっかりと握り、言葉を続ける。
>>73誰が言ってんのか分かり辛いって事ですよね・・・すいません
「わ、私のことは・・・えっと・・・ゆ・・・『雪歩』って、呼んでもらっても、その、全然構いません・・・から・・・」
しばらく意表を突かれた表情をしていたマネージャー。そんな彼を見て、雪歩は顔を真っ赤にして壁に隠れてしまった。
しかしそのすぐ後、マネージャーは
「ありがとう、雪歩。・・・これからはそう呼ばせて貰うよ」
と、壁の向こう側に居る雪歩に言った。
それを聞いて安堵した彼女は、壁に背を付けたままへたへたとその場に座り込んでしまった。
「雪歩・・・良かったね、頑張ったね・・・!」
真は座っている雪歩に手を差し出す。
「・・・うん。ありがとう真ちゃん」
二人は手を繋いだままマネージャーに向かって歩いていく。
そこで真はふと立ち止まり、思いついたことを口に出す。
「・・・あ!じゃ、じゃあボクのことも・・・」
「OK、真」
即答だった。
「・・・はい!」
真の力強い返事が部屋に響いた。
キリも良いのでちょっと風呂入ります
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 17:37:36.82 ID:oQgYHnFM0
読みづらいな
―――――――――――――――
「いやあ昨日は改めてご苦労であった!・・・でだ、昨日君達が帰った後、善澤君から君達の取材をしたいという依頼が来てね。勿論引きうけてくれるね?」
ライブの翌日。生き生きと話をする社長の前にはマネージャー、真、雪歩の三人が居た。
「善澤さんって、あの善澤さんですか?」
驚いたように社長に尋ねるマネージャー。
「うむ、多分その善澤さんだ」
マネージャーの顔が明るくなる。
「あれ?マネージャー、善澤さんのこと知ってるんですか?」
真がマネージャーの顔を覗き込みながら言う。
「ああ、そりゃ勿論。あの人の書いた記事のおかげで有名になったって話は数え切れないほど聞いてるよ。ところで社長、お知合いなんですか?」
「ん?ああ、旧知の仲・・・と言ったところかな。では諸君!今日も宜しく頼んだよ!」
地の文入れてるのに文章の決まりごとは守らない系SS
やはり読みづらいようなので暫くの間は台詞の前に名前付けます。
かなりくどくなるとは思いますが読みづらいよりはマシということで・・・
――――――――――――――――――――
マネージャー「それじゃあ雪歩、この前出来なかった部分のレッスンに行こうか」
雪歩「はいマネージャー!今日もよろしくお願いしますね!」
元気な返事とともに雪歩がマネージャーの元へ駆け寄っていく。
真「あれ?それならボクはどうしてましょうか」
マネージャー「えーと・・・真はレッスンも大丈夫そうだし・・・ゆっくり事務所で休んでてくれるかな」
真「え、ああ、はい」
真は何か迷っていた様子だったが。そう返事をしてソファに座った。
マネージャー「じゃあ、行ってきます」
事務所の扉が閉まり、一瞬の静寂が訪れる。
美希「・・・どうしたの?真君」
真「え?な、なにが?美希?」
美希は真に顔を近づける。
美希「だってー、いつもの真君だったら『ボクも行きます』って絶対言うって思ったのに」
真「あ・・・えへへ・・・さすが美希は鋭いなあ・・・」
真は少し悩んだ様子だったが、息を整えてからソファに座った。
真「実はさ、ちょっと皆に訊きたいことがあって・・・」
今事務所内には、真、美希、響、貴音、やよい、そして机でファッション誌を読んでいるプロデューサーと小鳥の7人が居た。
真の言葉で、彼らの視線が一斉にソファの方向に注がれる。
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 18:00:16.93 ID:M2L7g0/Z0
どうですかね?地の文もいらないと言うならカットしたいと思いますが・・・
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 18:03:09.80 ID:3fnd/QH50
個人的には地の文カットして○○「」をつかって最初から書いてほしい
うーん・・・全部はちょっと
では登場人物が多い時だけ名前入れて地の文カットしたいと思います
響「どうしたんだ、真?」
美希「あれ?ハニーもこっち来なよー」
P「あっはは。ガールズトークなら加われないが、それ以外の話なら・・・」ガタッ
真「あ、ガールズトークです」
P「・・・」スッ
小鳥「うう・・・プロデューサーさん・・・辛いですね、ガールズトークに加われないというのは・・・」
P「はい・・・。え、いや音無さんは加われるでしょ」
小鳥「・・・最近の流行りとか全然分かんないんです、私・・・」
P「えーとじゃあ・・・この雑誌に載ってる服とかどうです?音無さん」
小鳥「えーちょっと地味すぎないですか・・・?」
P「いえいえ、音無さんみたいに大人の女性はこういう落ち着いた服が似合いますよ。逆に考えるんです。歳をとったんじゃなく大人の魅力が出てきたって」
小鳥「ぷ、プロデューサーさん・・・そんな」
やよい「な、なんだかプロデューサーの目が輝いてますう・・・」
響「あれ、絶対遊んでるよね・・・」
美希「ぶーハニーは意地悪なのー」
真「そ、それでさ、皆に話って言うのは・・・その・・・」
貴音「雪歩殿のことでしょうか?」
真「!」
真「・・・あははは。さすが、貴音さんも鋭い」
貴音「雪歩が居なくなった後に話し始めましたから」ニコッ
やよい「雪歩さんですかあ?・・・ええと、そういえば最近、すっごく楽しそうにしているような気がするかなーって」
響「うん、自分もそう思うぞやよい。テレビとかでもすっごい良い表情してるよね」
真「う、うん・・・それでさ・・・」モジモジ
響「それで?」
真「そ、それがさ・・・雪歩が楽しそうなのって、大体マネージャーと一緒の時・・・なんだよね・・・」
美希「・・・あーミキ分かったの!雪歩、マネージャーのこと好きになっちゃったんだ!」
・・・・・・。
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 18:25:41.30 ID:Codlbc3N0
頑張ってるのはとてもわかるんだが・・・
クソつまんねぇ
響「・・・えっ」
やよい「ええっー!」
P「ブッー!!!」
小鳥「プロデューサーさん!?大丈夫ですか!?・・・あー服は大丈夫みたいですけど雑誌がコーヒーで・・・」
美希「わ、ハニー大丈夫?」
P「え゛ほっえ゛ほっ」
やよい「ゆ、雪歩さんは恋をしちゃってたんですかあ!?うっうー・・・雪歩さんはオトナですう・・・」
響「ゆゆゆ雪歩が恋?・・・確かに『楽しい』というより『嬉しい』って感じではあったけど・・・」
P「ゆゆゆゆゆゆゆゆ雪歩が!?恋!?マジで!?」
美希「ちょ、ハニー驚き過ぎなの・・・。でもそういうコトだよね?真君」
真「え、ええと・・・まだハッキリそう言える訳じゃないんだけど・・・そ、そう言う事なのかなあ・・・?」
貴音「ふむ・・・雪歩殿が恋・・・」
P「これはガールズトークとは言え由々しき事態・・・行きますよ小鳥さん!」ダッ
小鳥「ちょ、ちょっとプロデューサーさん!?」
美希「あれ?真君、それで相談っていうのは?」
真「え?いや、相談とは言ってないと思うんだけど・・・うん・・・まあ、雪歩のことを皆にも聞きたかっただけ?なのかな?」
美希「ふーん」
響「ちょっと自分もドキドキしてきたぞ・・・そっか、雪歩がかあ・・・そっかあ」
真「わわわ!も、もしかしたらボクの勘違いかもしれないからアレだよ!ええと・・・アレだって!」アワアワ
P「む?そういや今雪歩とマネージャーはレッスン中だったな?・・・誰か、様子を見に行ってこないか?」
やよい「プロデューサー、目がやっぱりキラキラしてますう・・・」
響「遠足前の小学生みたいな瞳だぞ・・・」
貴音「ふむ・・・小鳥嬢、これからの皆のすけじゅーるを教えて頂けないでしょうか」
小鳥「ええと・・・美希ちゃんと真ちゃんと貴音ちゃんは午後まで空いてるんだけど、やよいちゃんはこれから真美ちゃんと竜宮小町と合流してラジオのお仕事、響ちゃんは後二時間後にテレビ番組の収録の打ち合わせね」
P「流石音無さん。スケジュールの管理は完璧ですね」
小鳥「えへへ・・・そんなこと言われたら照れちゃいますよ・・・」テレレ
やよい「あ、じゃあ私、そろそろ出かけなきゃなんですかあ!?急がないと大変ですー!」ハッ
P「あ、じゃあ俺もやよいを送る準備をしないとな・・・」
美希「ハニー、さすがに今からやる仕事を忘れてるって言うのはどうかと思うの」
P「悪い、今それどころじゃなかったから」
美希「・・・ふーん。でもミキはね、ハニーのそんなところも好きだよ?」ニコッ
P「・・お、おう」
美希「ハニー、やっと目が元に戻ったの」
P「ハハ・・・あれ?じゃあ結局誰が偵察に行くんだ?」
小鳥「事務所からレッスン場までは車で10分・・・その気になればやよいちゃん以外なら誰でも行けるわね」
響「ぴよ子もノリノリだな」
真「そうなの小鳥さん?・・・じゃあ、ここは公平にジャンケンで決めようか!」ジャーンケーン
―――
響「・・・で、自分になったわけだけど・・・上手くやれるかな?」
真「うーん・・・ボクもよくレッスン場には行くけど、バレないようにって言うのはちょっと難しいかもね・・・」
貴音「最悪、見つかってしまっても『自主練習に来た』と言い張れば大丈夫なのではないでしょうか?」
響「うん・・・じゃあそうしようかな」
やよい「うっうー!準備終わりましたあ!さ、行きましょうプロデューサー!」ダッ
P「オッケーやよい。じゃあ響も一緒に車に乗ろう。レッスン場まで送っていく。俺は律子にやよいを届けるだけだからすぐ終わる。だから帰りは俺に電話してくれればそのままお前を迎えに行けるぞ」
響「分かったぞプロデューサー!じゃあ皆、行ってくるぞ!」
ガチャ バタン
一時間後―――
小鳥「おかえりなさいプロデューサーさん、響ちゃ・・・あれ?どうしたの?そんなぽけーっとした顔して」
美希「まるで魂が抜けてるみたいなの」
貴音「なんと!それは一大事です!大丈夫ですか響!気をしっかり!」ガッ
響「わ・・・ほ、ほんとに魂が抜けてるわけじゃないから大丈夫だぞ・・・」ユサユサ
真「で、で、どうだったの雪歩は?ねえ!」
響「ちょ、近いぞ真・・・ひとまずソファに座ろう」
響「ふう・・・」
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 18:44:01.25 ID:M2L7g0/Z0
響「・・・ええと、今の気分が気分だから、上手く話せないかもしれないけど・・・」
真「ああもう早く早くう!待ちきれないよ!」
響「・・・うん。自分、むこうに着いてから、まずバレないようにしゃがみながらドアをそーっと開けて覗き込んだんだ」
皆「うんうん」
響「そしたら雪歩が踊ってた」
真「まあレッスン場だからね」
響「でも、雪歩の踊りのキレというかなんというか・・・そういうのがいつもと全然違ったんだ」
皆「おおー」
響「でも一番違ったのは、雪歩が凄い良い笑顔だったってことなんだ。実際テレビで見たことないくらいかもしれない。で、マネージャーはそれを後ろで見守ってる感じだった」
美希「やっぱり!愛の力は偉大なの!」
響「・・・可愛かった」
真「え?何?響」
響「ああうん!なんでもないぞ!・・・で、しばらく踊ってたんだけど、驚いたことにね・・・いや、こういっちゃ正直悪いんだけど・・・」
貴音「?何でしょうか」
響「全然ミスが無いんだよね。数えても1〜2回くらい」
皆「おお・・・!」
響「で、休憩に入る訳なんだ。ミスはしないと言っても疲れるのは当たり前だから、フラフラになりながら壁に向かってへたれこむ」
小鳥「ふむふむ」
響「で、その座り込んだタイミングで、マネージャーがペットボトルを差し出す。『お疲れ様。良い笑顔してた』って」
真「お、流石気が利く」
響「で!その時の雪歩の顔!」
小鳥「ど、どうしたの響ちゃん?」
響「わ、悪いぴよ子。・・・で、その時の雪歩の顔なんだ。マネージャーがペットボトル渡してくれてるのにハッと気付いて、
ちょっと慌てながらも、両手でそっと添えるようにしてそれを受け取る。そのちょっと驚いたような顔から、雪歩の顔がだんだん緩んでいって、
最後にはすっごいほんわかした笑顔になって『ありがとうございます、マネージャー。えへへ・・・』って!」
皆「お、おお・・・!」
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 19:05:07.45 ID:jGqfFJqr0
地の文読みにくいとかガキかよ
響「で、雪歩はそのペットボトルを飲もうとする。で、キャップを開けると、雪歩の表情が少し『あれ?』って感じになったんだ」
美希「え?どうして?」
響「そしたらマネージャーが『ああ、蓋は開けておいたよ。疲れてるだろうから。飲んでなんてないからそこは安心して』って」
真「うわ、流石気が利く」
響「で、雪歩はそれにお礼を言った後、中身を飲んで、キャップを閉める」
皆「うんうん」
響「で、そのペットボトルを組んだ両腕で抱きしめるように、二の腕と胸の間に挟むんだ。体育座りで」
皆「おお」
響「で、ペットボトルをぎゅっと抱きしめる感じになって・・・ちょっと頬を赤らめて、腕に顔を埋めて、立ってるマネージャーには見えないように口だけ笑ってるんだ・・・」
皆「・・・うおお!!」
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 19:11:20.19 ID:dbqzLMHG0
日常から小説読んでればよめるがな……
保守
まあ別に地の文あっても読みにくいもんじゃないわな
保守ありがとうございます、飯食ってた
地の文は2〜3人の会話の時入れるようにします
響「正直自分もあまり見えなかったけど、あれは絶対笑ってたと思う」
真「うん、分かるよ。雪歩ってそうやって笑う時は、肩がちょっと上がるんだよね」
響「そうなの真?うーん、まあ言われてみればそんな気も・・・」
真「ああ、ごめん。続けて続けて」
響「で、そこで自分が見てるのがバレた」
皆「え」
響「いやあいやあ不覚にも自分、興奮して変な声出しちゃってたみたいで・・・」
小鳥「ま、まあそんな状況なら私も・・・仕方ないかもしれないわね」
響「だ、だよねぴよ子!・・・で、見つかっちゃったから『遊びに来た』って感じのこと言ったんだ」
貴音「?何故『自主練習』と言わなかったのです?」
響「いやあ、そう言って練習しちゃったら雪歩のこと見られなくなっちゃうから」
貴音「成程」
響「で、自分が来たのに雪歩も驚いたみたいで・・・恥ずかしかったのか、その休憩時間中はあまりマネージャーとは話してなかった」
真「それはちょっと悪いことしたね・・・」
響「うん・・・で、またレッスンが始まった」
美希「うんうん」
響「やっぱり踊りは生き生きしてた。でも、あまり笑わなくなっちゃってたんだよね」
真「うわー本当に悪い事しちゃったね・・・」
美希「実に雪歩らしいの」
響「うん、自分も心が痛んだぞ・・・。それで、雪歩が踊ってる訳なんだけど、あのダンスは自分が見ても結構難しいダンスだった・・・真なら知ってるよね?」
真「え?あ、うん。そういえば・・・この前マネージャーからそのダンスの話が来た時、マネージャーは『ちょっとキツイかもしれないけど、大丈夫か?』って言ってたんだけど、雪歩は『頑張って踊ります!』って」
貴音「即答・・・だったのでしょうね」
美希「やっぱりなの。偉大な力のおかげなの」
響「でも、凄かったよ雪歩は。前までの雪歩とは全然違った。今まで、すごい努力してきたんだなってすぐ分かった。・・・それで、ダンスを踊り終わった時の雪歩の顔。息は切れ切れだったけど、嬉しさがこみ上げて来てるのが伝わって来た」
小鳥「流石雪歩ちゃんね。あの子、実は凄い頑張り屋さんだものね」
響「レッスンの先生も『萩原さん、凄かったわよ!その調子で頑張っていきましょう!』って。それを聞いて雪歩も笑顔になって、そのままマネージャーの方に向き直るんだ。『私、やりましたよマネージャー!』って感じで」
真「雪歩は可愛いなあもう」
響「でも、少しして自分が居たことを忘れてたのに気付いたみたいで・・・急に縮こまって顔を真っ赤にしちゃって・・・可愛かった」
貴音「響、目が明後日の方向を向いていますよ」
響「ん?え、うわあ悪い貴音!・・・で、流石に自分も居づらくなったから、その辺で帰るって行って外に出た」
真「ああ、そりゃ居づらくもなるね」
響「・・・でも自分は外に出てまたドアから中を除くことにした」
美希「やってくれるの」
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 19:31:59.37 ID:AEsRXeOL0
雪歩はかわいいなあ
響「ちょっとしてまたレッスンが始まったけど、今度はゆったりした感じのダンスだったな。雪歩もリラックスした感じで踊ってた」
真「そりゃまあ、リラックスするよね。色々な意味で」
響「う・・・ま、まあ、そのあとまた休憩が入って・・・雪歩はまずマネージャーの方に向かって行った」
皆「お?」
響「それでね・・・雪歩はマネージャーの前でもじもじしながら『あ、あのマネージャー・・・その、もし宜しければ、きょ、今日のお昼・・・
私と一緒に食べたりなんか、ど、どうでしょうか・・・?そっその!勿論二人きりじゃなくて真ちゃんも一緒に・・・とか・・・』って!」
美希「可愛すぎるのッ!」
響「それから・・・自分はドアをゆっくり閉めて・・・それからええと・・・あれ?」
P「よし、こっからは俺が説明するぞ」
真「あ、居たんですねプロデューサー」
美希「ハニー、影薄かったの」
P「・・・まあ、やよいを送って暇になった俺はその辺をぶらぶらしていた訳なんだが、出発から一時間弱たっても響から連絡が来なかったからな・・・心配になってレッスン場に向かった。そしたら響がほけーっとした感じでドアにへたれこんでた」
響「へ?そうだったの?自分全然記憶無いぞ」
小鳥「響ちゃん・・・雪歩ちゃんの可愛さに当てられちゃったのね・・・」
P「そんなこんなで抜け殻になった響をここまで連れて来て今に至るということだな」
貴音「なんと・・・雪歩殿の可愛さは魂を吸うほどの凶器足りうる、という事ですね」
真「貴音さん、間違ってないけど何か間違ってない?」
ちょっとこっから地の文入れます。読みづらい人には申し訳ないけども・・・
「やっぱり、雪歩はマネージャーの事が好きだと思うの。だってミキもハニーの為に超頑張ってるから!」
美希の言葉を聞いて、プロデューサーは軽く苦笑する。
「本当は、美希には自分の為に頑張って貰いたいんだけどな・・・」
「ん?ハニー何か言った?」
「い、いや何でも」
彼らは本人が居ないことを良い事に、直感と憶測で話を進めていく。
「響の話を聞くに、やっぱそんな感じだよね。うああ・・・雪歩が恋かあ・・・」
真はクッションに顔を埋め、ソファに寝っ転がり足をバタつかせている。
「な、なんか自分も気恥ずかしくなってきたぞ・・・。女の子は恋すると可愛くなるって言うけど、本当だったんだね」
響も落ち着かない様子で事務所内を歩き回る。
その後、数秒間の沈黙が訪れる。
皆、思い思いの感傷にふけっているようだった。
しかし、その沈黙を破るものが一人。
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 20:00:09.49 ID:M2L7g0/Z0
「・・・皆、水を差すようで悪いのですが、わたくしから一言申し上げたい事があります」
貴音が小さく手を上げ、呆けた顔の彼らに語りかけるように顔を向けていた。
「ん?どうしたの貴音ちゃん。そんな改まっちゃって」
キッチンから小鳥がお茶を持ってくる。どうぞ、と言ってテーブルの上に人数分のお茶と菓子を置いた。
「わたくしは思うのです。男女間の情事とは、そう単純なものではないのではないか、と・・・」
「?つまり、どういうことですか貴音さん?」
真はお茶を少しずつすすりながら尋ねる。淹れたての熱が気になるのか、湯呑みをもつ手をせわしなく入れ替えている。
「『好き』や『嫌い』・・・恋愛にはこういった感情が付き物です。しかし、それだけでは恋愛は語る事が出来ないのもまた事実。
特に雪歩殿の場合・・・真ならよく知っているでしょう。雪歩が殿方とどのような付き合い方を今までしてきたのか」
「・・・まあ、そうですね。雪歩は今まであまり、というかプロデューサー以外とはほとんど自分から関わろうとはしなかったですね」
「そう、雪歩殿は自らが信頼できると感じた人物にしか心を開きません」
「ハハ、なんだか照れるな」
そういいながら頭を掻くプロデューサーに、貴音は軽く横目で微笑んだ。
「・・・ですから、あのまねーじゃー殿は雪歩が心が開くに値する人物だったということになります。ここまでは間違いないでしょう」
「確かにそうだけど貴音・・・あんな笑顔の雪歩、今まで見たこと無かったぞ?」
響はせんべいを片手に尋ねる。
貴音は響の目の前に座り、一呼吸置いた後話し始めた。
「ですから響・・・恋愛は『好き』か『好きではない』かだけではないのです。そこまで殿方との距離を近づけるというのは、雪歩にとっては初めての経験でしょう。
ですから、雪歩には雪歩だけの、我々には分からない世界を持っているとわたくしは思うのです。・・・それを踏まえないで勝手に話を進めてしまうと言うのは、とても無粋なことなのではないでしょうか」
貴音が一通り話終わると、次に美希が口を開く。
「ふーん。貴音、ムズかしい事考えてるんだね。ミキはスキかキライかだけで良いと思うんだけどなあ。あ、小鳥、このクッキー美味しいの!」
「はは、美希らしいや・・・」
真が軽く笑う。
「ただ・・・まねーじゃー殿が雪歩にとって、とても・・・特別な存在になっているというのは事実でしょう。ならばわたくし達がするべき事は・・・」
「するべき事は?」
三人が一斉に貴音に顔を寄せる。
「・・・ただ、彼女達の事を温かく見守っていきましょう」
貴音はお茶をすすり、美希が美味しいと言っていたクッキーの袋を開けた。
2〜3人とか言ったけど結構居るな・・・まあ気にせず
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 20:08:30.39 ID:MzZums+A0
さるよけ
――――――――――――――――――――
「あ、マネージャーからメールが来ました。『昼、一緒に食べない?』・・・って、これだけじゃ何か勘違いしそうな文章ですね」
真は携帯の画面を見ながら身支度を進める。
何通かメールでのやりとりをしたあと、真は挨拶をして事務所から出て行った。
プロデューサーはソファに座ってテレビを見ていた。適当にチャンネルを変えると、5回に1回くらいは765プロのアイドル達のCMが流れているのが目に入る。
アイドル達のプロデューサーとして、それは名誉以外の何物でもなかった。
昼のニュース番組にチャンネルを変え、小鳥の持ってきた菓子を咥えながら流し見をしていると、画面に雪歩の姿が映る。
お、と思い体を曲げて画面を見る。この前のライブの特集だった。
画面を見て、プロデューサーは初めて響ややよいの言っていたことが真に理解できた。
「・・・すっごい良い顔してるじゃん」
「だね。雪歩も、真君も」
美希はいつの間にかプロデューサーの隣に腰かけていた。
「・・・そうだな。真はああ言ってたけど、アイツだって同じようなもんだよ。雪歩だけじゃなくて」
「まあ、真君はスキって感じじゃなくて、良い友達が出来たーみたいな感じだったけどね。それより、ハニー的にはどうなの?」
「どうなのって?」
プロデューサーはテレビの画面を見たまま、美希との会話を進める。
「とぼけちゃダメなの。ハニー、寂しいんでしょ」
「・・・お前はホント、そういうとこ鋭いよ」
ライブの特集が終わるのを確認した後、プロデューサーは顔を美希の方へ向けた。
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 20:19:08.37 ID:kZjXbZ9p0
地の文とセリフの間に改行が無いから読みづらいのかな
>>117了解しました
「バレバレなの」
「・・・うん、寂しくもあるし、ちょっと悔しくもあるかな。アイツらをアイドルとして輝かせるのに、俺じゃ役者不足だったのかなって思ったりして」
「そうなんだ」
「そうだとも」
ふう、と彼は一つ溜息をついた。
そんな彼に、美希は優しく微笑みながら顔を近づける。
「・・・大丈夫だよハニー。だってね、ミキをキラキラさせられるのはハニーだけ。だから安心してほしいの」
「・・・そうか。ありがとう美希。つっても、まあそこまで落ち込んでた訳じゃないし大丈夫だ!さあ仕事に戻ろう」
「はいなの!」
プロデューサーはテレビの電源を消し、書類が積まれた自分の机に向かっていった。
「ただいまですぅ」
「あっおかえりゆきぴょん!」
午後二時、事務所内には亜美と真美、そして小鳥の三人が居た。
雪歩が事務所に入るのに続いて、真とマネージャーも中に入る。
「ただいま亜美、真美。仕事は終わったんだね。・・・あれ?伊織とあずささんは?」
「あ、おかえり真ちゃん。伊織ちゃんとあずささんならさっきコンビニに行ったところよ」
ゲームを片手に立っている亜美と真美の代わりに、奥に居る小鳥が答える。
「本当はあずさお姉ちゃんがビール買いに行っただけなんだけどねー」
「あずさお姉ちゃんだけだと迷子になってしまいますからなあ」
二人はゲーム画面を見ながら、事務所奥のソファに向かって行った。
「ちなみにプロデューサーさんと美希ちゃんと響ちゃんと貴音ちゃんはお仕事に向かっちゃったわよ。律子さんとやよいちゃんもラジオの後響ちゃんと合流してテレビ番組の打ち合わせね」
「あ、そういう事になってたんですね。ありがとう小鳥さん」
「いえいえ」
真、雪歩、マネージャーの三人は荷物を置きにソファの方へ向かう。
「やーりぃ!やりましたぞ真美!ついに無敵と謳われた大魔王サイレントを倒しましたぞ!」
「大勝利ですよ、大勝利!フッ・・・これでようやくアイツに顔向け出来るぜ・・・!」
二人はゲーム機を机の上に置き、ソファの上で跳ねまわる。
「ほらほら、ソファ壊れちゃうだろ」
「あっ、あんちゃん」
「そいやあんちゃん、今日は午前中はゆきぴょんと二人でレッスンだったよね?」
「ほっほ〜う?ゆきぴょんが男の人と二人で・・・?」
亜美と真美は同時に雪歩の顔を見る。彼女達がよく見せる、いたずらっ子の顔だ。
「そっそうだけど・・・?なに・・・?」
雪歩は少し身構えながらもソファに座る。
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 20:30:22.03 ID:KTJMQFfjO
改行ありで見やすくなったと思う
支援
122 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 20:31:22.21 ID:M2L7g0/Z0
「まあ二人っつってもコーチも居るし、二人きりではないぞ?」
マネージャーが念を押す。
「あんちゃん・・・問題はそこじゃないんだよ・・・」
「あんちゃんにはまだ早いかあ」
「俺で早かったら、君達はどうなるよ?」
「音速ってところかな→?」
「光速の方がカッコイいっしょ→?」
「まあ落ち着け。まず漢字が違う」
「「『大丈夫、口から文字は出ないから』」」
「記憶力が良いのは認めるが、言葉の意味は口からも出る」
こうして5人が雑談をしていると、突然話題が雪歩の話に戻った。
「ところでゆきぴょん、あんちゃんは男の人だけどだいじょぶなん?」
いきなりの指名に体をビクッとさせる雪歩。
その隣で体をさらにビクッとさせる真。
123 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 20:35:47.41 ID:WbL5VmdI0
しえーん
124 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 20:49:26.75 ID:oQgYHnFM0
C
125 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 20:50:41.94 ID:dbqzLMHG0
ほうほう
126 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 21:00:40.01 ID:Rr+eI2da0
さるか
「ん?なんでまこちんが驚いてるのさ?」
「いっいやあなんでも・・・ハハ」
その後、雪歩はしばらく黙りこくっていたが、やがて口を開く。
「えっと・・・私は・・・その・・・」
「その?」
亜美と真美は雪歩に顔を近づける。
雪歩は二人と少し距離を置くように、膝に置いてあったクッションを両手で抱きしめるように抱えた。
「・・・男の人が苦手なのはあんまり治ってないけど、それでもマネージャーは・・・なんていうか・・・」
「ゆきぴょん・・・恥ずかしがらなくていいんだぜ・・・?」
「ほら・・・全部吐いて楽になっちまいな・・・?」
双子の追及にすっかり縮こまってしまった雪歩を見かねて、真が間に入る。
「ほら亜美!真美!雪歩も困ってるじゃないか」
「ほっほーう?じゃあまこちんが代わりに答えてくれるってことで良いのですな?」
「・・・ふぇ?」
130 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 21:13:19.99 ID:Rr+eI2da0
し
「ほらほらまこちん、自分の言った事にはセキニンを持たなくちゃダメだよ?さあ、あんちゃんのどんな所が良いんですかな?」
急に自分に飛び火した質問に、真は慌てふためきながらも答えを探す。
「・・・え、えーと、優しくて気づかいが出来るところ・・・とか?・・・って、何言わすんだよー!」
「アハハー!まこちん怒っちゃダメなのー!」
132 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 21:23:47.09 ID:Rr+eI2da0
え
133 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 21:34:06.96 ID:oQgYHnFM0
いつの間に美希が
134 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 21:48:46.84 ID:1ISTWfs20
まこりーん
135 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 21:49:16.82 ID:Rr+eI2da0
すぐさるにかかるようならもうちょっとゆっくりでも良い
136 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 22:05:08.82 ID:Rr+eI2da0
ほ
137 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 22:09:19.05 ID:M2L7g0/Z0
忍法帖が死んで心が折れそうだ…
このままちまちま頑張るか、来週もう一回スレ立てるか…
ちまちま頑張れ
139 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 22:17:39.27 ID:M2L7g0/Z0
「んっふっふ〜?あんちゃんモテモテだねー!」
「ハハハ、マネージャーとして実に光栄だな」
顔と頬を赤くしながら亜美と真美に声を荒げて怒っている真。
その隣でマネージャーは机の上にあった菓子を食べていた。
雪歩は未だクッションに顔を埋めたままだったが、横目でマネージャーの方を見る。
140 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 22:18:05.98 ID:oQgYHnFM0
ちまちま頑張れ
どうせ1週間じゃまともに書けるほどレベルも上がらんだろ
141 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 22:21:17.44 ID:w6DCHgIL0
頑張れ支援
142 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 22:22:00.23 ID:M2L7g0/Z0
「マネージャー…いくらなんでも落ち着き過ぎですぅ…」
「ん?何か言った雪歩?」
「い、いえ何でも…」
亜美と真美の執拗な真イジリは、あずさと伊織が帰ってくるまで続いた。
143 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 22:27:01.41 ID:M2L7g0/Z0
――――――――――――――――――――
その日の夜、雪歩は自室で小鳥に電話をかけていた。
「あ、小鳥さん。こんな夜にすいません」
「いえいえ。それで雪歩ちゃん、用件って何?」
「えっと、私、事務所に忘れ物しちゃったみたいなんですぅ・・・」
「あらら」
144 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 22:31:32.61 ID:Rr+eI2da0
頑張れ
145 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 22:32:57.69 ID:M2L7g0/Z0
「それで明日の朝には取りに行きたいんですけど、えっと・・・」
「ふふ、分かったわ。いつも7時くらいには開けてるけど、そのくらいで良い?」
「す、すいません・・・ありがとうございます」
「雪歩ちゃん、明日は折角のお休みなのに災難ねえ」
146 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 22:39:27.18 ID:M2L7g0/Z0
「あ、いえいえ・・・いつも頑張ってる小鳥さんに比べたら私なんて・・・」
「裏方の事は気にしちゃダメよ?雪歩ちゃん。皆のおかげで私だって頑張れてるんだし」
「・・・はい。じゃあよろしくお願いしますぅ。ありがとうございました、お休みなさいです」
「はい、お休みなさい」
147 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 22:41:34.37 ID:M2L7g0/Z0
翌日、雪歩は目覚めてから急いで支度をし、出掛ける準備をする。
すぐに帰ってくるつもりだったので服にはあまりこだわらず、さっぱりとしたものを着てその上にコートを羽織る。
朝だと言うのもあるが、4月なのにまだ外は寒い。
雲で覆われた空と、風に吹かれて音を立てている木の枝を見ながら、雪歩は手袋とマフラーを身に付けた。
148 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 22:43:50.36 ID:Rr+eI2da0
支援
149 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 22:45:04.88 ID:gYcRO8xp0
4
150 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 22:45:05.36 ID:M2L7g0/Z0
「一応、アイドルだもんね・・・」雪歩はそう小さく呟き、顔が見えなくなる程度の帽子も被る。
以前、ファンに街で話しかけられてしまったことからの教訓である。
身支度を整えたのち、空のバッグだけを持って玄関へ向かう。萩原家の土曜日は休日なので、母親はまだ起きておらず、父親だけがリビングで新聞を読んでいた。
151 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 22:49:05.92 ID:M2L7g0/Z0
行ってきます、と雪歩は一言言って玄関へ向かう。外に出ると、予想通り冷たい風が彼女の頬に吹き付ける。
まだ7時までには結構な時間があったので、雪歩はゆったりとした歩幅で歩みを進める。
152 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 22:51:32.07 ID:2yHY8oI/0
七時までに時間がある時間に起きて新聞読んでる父親まじ健康的
153 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 22:53:41.32 ID:oQgYHnFM0
雪歩の親父さん何歳なんだ…
154 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 23:02:08.50 ID:M2L7g0/Z0
途中、コンビニの前を通ると、自分の歌が店内で流れているのが耳に入った。
本来なら喜ぶべきところなのだろうが、雪歩は気恥ずかしくなり、その場を足早に過ぎ去ってしまった。
07:15、雪歩は事務所に到着する。
155 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 23:03:41.48 ID:M2L7g0/Z0
事務所には真と一緒に来ることの多い雪歩だが、一人で朝早くに来るのはあまりない事だったので、彼女はいつになく浮き立つような気分だった。
扉の前に辿り着きドアを開けると、そこにはまだコートを着たままの小鳥が居た。
「あら、おはよう雪歩ちゃん」
156 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 23:06:56.75 ID:QuYrsCpd0
文章が中学生の書いた小説レベルでわろた
157 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 23:09:53.36 ID:M2L7g0/Z0
「おはようございます、小鳥さん」
雪歩は笑顔で挨拶をし、忘れ物を探し始める。
「最近まだ寒いわよねえ。乾燥してないだけいいかもしれないけど…うう、でも冬に吹き荒れてた風は私の女子力をも奪い去ってしまったの…。あ、私も忘れ物探そうか?」
158 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 23:11:15.08 ID:M2L7g0/Z0
小鳥はコートを脱いで壁に掛けると、雪歩の近くに向かう。
一方雪歩は机の下を手でまさぐっていた。
「あ、いえ、忘れ物であって探し物ではないので・・・あ、見つかりましたぁ」
「あら、良かったわね。じゃあ、今日はこれで帰るの?」
「はい。・・・朝早くにすいませんでした」
159 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 23:15:26.21 ID:M2L7g0/Z0
雪歩が申し訳なさそうに小鳥に頭を下げると、小鳥は軽く微笑んだ。
「大丈夫よ。たぶん…もうすぐ春香ちゃんあたりが来るんじゃないかしら。…うん、いつもだったらもうすぐね」
小鳥は時計を確認してそう言った。
160 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 23:18:09.31 ID:M2L7g0/Z0
「春香ちゃんいつもこんな早くに・・・あ、ではさようならですぅ。今日・・・いや、いつもお疲れ様です。ありがとうございました」
「いえいえ、じゃあね雪歩ちゃん」
雪歩は忘れ物をバッグの中に入れ、外に出て階段を下りる。
ビルのドアを開けて外に出ても、まだ冷たい風が吹いていた。
161 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 23:24:17.74 ID:M2L7g0/Z0
風を受けて少し身震いした彼女だったが、ドアを閉めて歩き出す。
一方小鳥は、事務所の窓から雪歩が帰っていくのを見下ろしていた。
「…ふう。さあて、今日も頑張っちゃおうかなっと」
小鳥は伸びをし、机に戻ってPCを立ち上げる。
162 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 23:28:28.50 ID:Rr+eI2da0
しえしえ
163 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 23:31:34.09 ID:M2L7g0/Z0
調べ物をしようとインターネットを立ち上げると、端の方に気になる情報があった。
「あら?『今日は朝からにわか雨』・・・!?・・・雪歩ちゃん大丈夫かしら」
もう一度事務所の窓から外を見下ろしたが雪歩の姿は既に無く、空の怪しい雲行きだけが小鳥の目に入り、彼女は溜息をひとつ吐いた。
164 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 23:34:03.18 ID:Rr+eI2da0
地震とかどこの田舎だよ
165 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 23:36:51.63 ID:M2L7g0/Z0
5分後。
「ひ〜ん!私が雨女だってこと忘れてました〜!」
雪歩は土砂降りの雨の中を全速力で走っていた。バッグが塗れないように両手で抱え、前屈みで前もろくに見えない道を駆け抜ける。
降り出したばかりだというのに道にはいくつも水たまりが出来ており、それらを踏む度に雪歩の靴下に水が染み込んで行く。
166 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 23:37:59.28 ID:M2L7g0/Z0
「うう・・・何でこんな日に限って・・・」
雪歩はより一層強くバッグを抱きかかえ前に進む。
そして、コンビニの前を駆け抜けようとした時、聞き覚えのある声が雪歩の耳に届いた。
雨の轟音が重なっていても分かる、耳に響く声だった。
「おーい雪歩!大丈夫か!?」
そこには、コンビニの自動ドアの前に立っているマネージャーの姿があった。
167 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 23:40:17.48 ID:Rr+eI2da0
四
4
169 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/01(日) 23:55:56.18 ID:ADiPgc3n0
見にくい上につまらん
170 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 00:01:57.45 ID:CAHXvki+0
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「あ、ありがとうございます。助かりましたぁ…」
「いえいえ。それよりビニ傘ですまんな」
「いっいえ!全然大丈夫ですぅ!」
マネージャーと雪歩はそれぞれ傘を差して、二人並んで歩いていた。
「それにしても、なんであそこのコンビニに…?」
雪歩が隣を歩くマネージャーに尋ねる。
171 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 00:05:34.34 ID:CAHXvki+0
「いや、俺の家もこの近くだからね。朝飯買いに行ってただけだよ」
「あっ、この近くなんですね。・・・えと、その・・・どの辺り・・・でしょうか・・・?」
後半の雪歩の声は雨の音にかき消されそうなほど小さかったが、隣に居るマネージャーには聞こえたようだった。
172 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 00:11:18.46 ID:VWY5ke4+0
しししし
173 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 00:12:06.73 ID:CAHXvki+0
「あーと、もうちょっとしたら前通るよ。アパートだけどね」
「そ、そうですか…あれ?通るって事は帰らないんですか?」
「ああ、別のコンビニに行く」
「何か目的の物が無かったんですか?」
「俺の愛すべきコンビニ弁当が無かった…」
マネージャーは心底残念そうに答える。
174 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 00:14:42.29 ID:CAHXvki+0
「は、はあ・・・いつもコンビニのお弁当なんですか?」
「気分に寄るけど、週4くらいかね。一人暮らしだし、彼女も居ないし」
彼はそう言ってから一人で笑う。
「・・・か、体に悪いんじゃないかと・・・」
お節介だとは気付きながらも、雪歩はおずおずと質問をしていまう。
するとマネージャーは立ち止まり、傘を後方に傾けて雪歩の方を見る。
175 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 00:15:11.23 ID:VWY5ke4+0
4
176 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 00:15:46.82 ID:98rKMu+I0
規制解除来たわ…
がんばれ
177 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 00:22:59.16 ID:CAHXvki+0
それにつられて雪歩も同じように傘を傾け、「なんですか?」とでも言いたげな目でマネージャーを見つめる。
「…じゃあ、雪歩が作ってくれたりする?俺の朝飯」
最初こそ雪歩はキョトンとした顔だったが、やがて顔を耳まで真っ赤にして、
「…えっえええ!?」
と声にならない声を上げた。今度は雨の音がかき消されるようだった。
178 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 00:23:32.55 ID:RZlefaLM0
┼ヽ -|r‐、. レ |
d⌒) ./| _ノ __ノ
_______
企画・製作 NHK
179 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 00:23:36.91 ID:CAHXvki+0
「・・・はは、冗談という事にしておいてくれ」
彼はそう言って高笑いし、何事も無かったかのように飄々とした様子で再び歩き出す。
「え・・・ちょ、ちょっとマネージャー!いくらなんでも酷いですぅ!」
雪歩は珍しくご立腹の様子だったが、笑いながら歩いていくマネージャーを見ていると、彼女の口元は自然と緩んでいった。
180 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 00:25:48.54 ID:eNoNRUyj0
雪歩かわいい
181 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 00:26:34.02 ID:VWY5ke4+0
雪歩はかわいいなあ!
182 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 00:29:39.04 ID:CAetxGrcO
文章下手すぎだろ
まずいきなり
>>3の
「765プロのマネージャーにならせていただきました。」で読む気無くすわ
183 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 00:32:15.94 ID:RZlefaLM0
三 ̄ ̄ ̄\
三 ⌒ ⌒ ヽ ,rっっ
三 ( ●)(●) | .i゙)' 'ィ´
三 (__人__) } { ) 丿 うーっす
三. ` ⌒´ ヽ/'ニ7
三"⌒ ヽ /
三 /
三 ィ二 ___|__ ___ _____
三::.:::三::三ンィ⌒ ̄" ̄ ̄ ̄  ̄ ̄  ̄ ̄ ̄  ̄ ̄  ̄ ̄ニ≡─‐ー-,!
三::.::.三 三/ ≡''=三≡ ;;;;(( 三iiii_iiiiiii)))))i..-
三::::.三 三 _____=≒=ー────;‐‐ ̄  ̄  ̄" ̄`'
>>1 ''三三 三、 ー ィ⌒/ ;;;;;;:: :゛;.・:゛∴;.゛;.
ヽ ̄ ̄ ̄;`∵: ;`;.: ;
/ \ ;;;;;;;:: :゛;.・:゛∴;.゛;.: ::゛;
ヽ_| ┌──┐ |丿
| ├──┤ |
| ├──┤ |
184 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 00:32:24.96 ID:CAHXvki+0
「女心を弄ぶなんてやっちゃいけないことだって、プロデューサーも言ってましたよ?」
「え、どの口が…いやなんでもない」
そうして他愛の無い話をしていると、二人は曲がり角に差し掛かった。
角にはカーブミラーがあったのだが、傘を差していた雪歩はギリギリまで気付かず、
傘の端が触れることでようやくその存在に気付く。
185 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 00:43:13.16 ID:VWY5ke4+0
しえん
186 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 00:43:52.62 ID:CAHXvki+0
危ない、と慌てて避ける雪歩。
しかし避けた先にはマネージャーが居た。体はなんとか当たらなかったが、雪歩が傘を大きく動かしたために、マネージャーの傘を雪歩の傘の端が突き破ってしまった。
「・・・わ、わわわわわ!すすすすいません!」
慌てて頭を下げる雪歩。
一方マネージャーは穴を見つめながら「あー」等と間抜けな声を出していた。
187 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 00:54:24.21 ID:VWY5ke4+0
支援
188 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 01:01:44.00 ID:CAHXvki+0
「まあビニ傘だし良いよ。うーん…そろそろまともな傘を買うべきか…?」
「ほ、本当にすみません…」
「そうだな、じゃあ今度一緒に傘買いに行かないか?個人的な初プレゼントがビニ傘というのは、どうにも後味が悪い」
その一言を聞いて雪歩はようやく頭を上げる。
189 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 01:03:03.23 ID:CAHXvki+0
「え・・・お買いもの、ですか?・・・はい!よろしくお願いしますぅ!えへへ・・・」
「おう、じゃあ今度予定が空いたらよろしくな。・・・えーと、じゃあこの穴が空いてる部分だけ傘を重ね合わせておこうか」
「あっ、はい」
190 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 01:10:10.61 ID:OqjmE78z0
しえ
191 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 01:11:33.45 ID:RZlefaLM0
____
/ \ /\ キリッ
. / (ー) (ー)\
/ ⌒(__人__)⌒ \
| |r┬-| | 「まあビニ傘だし良いよ。うーん…そろそろまともな傘を買うべきか…?」
\ `ー'´ /
ノ \
/´ ヽ
| l \
ヽ -一''''''"~~``'ー--、 -一'''''''ー-、.
ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) ) (⌒_(⌒)⌒)⌒))
____
/_ノ ヽ、_\
ミ ミ ミ o゚((●)) ((●))゚o ミ ミ ミ
/⌒)⌒)⌒. ::::::⌒(__人__)⌒:::\ /⌒)⌒)⌒) だっておwwwwwwwwwwwwwww
| / / / |r┬-| | (⌒)/ / / //
| :::::::::::(⌒) | | | / ゝ :::::::::::/
| ノ | | | \ / ) /
ヽ / `ー'´ ヽ / / バ
| | l||l 从人 l||l l||l 从人 l||l ン
ヽ -一''''''"~~``'ー--、 -一'''''''ー-、 バ
ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) ) (⌒_(⌒)⌒)⌒))ン
192 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 01:13:12.76 ID:CAHXvki+0
雪歩は腕を少し高く上げて、自分の傘をマネージャーの傘の穴が空いてしまった部分に乗せる。
ギャグじゃないからな?とマネージャーが呟くが、雪歩には意味がよく分かっていないようで、ただただ首をかしげる彼女であった。
―――
「にわか雨だって言うのに、なかなか止まないな。本当ににわか雨なのか?」
「あ、でも弱くなってはいるみたいですぅ」
193 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 01:14:02.20 ID:CAHXvki+0
道も半ば、二人はお互いが濡れないように傘の角度を調節しながら歩いていた。
「ところで、マネージャー」
「ん?」
「どこで私が事務所に向かってるのを見たんですか?」
雪歩は事務所までの道でマネージャーらしき人物を見かけなかったことを疑問に思って、そう尋ねた。
194 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 01:21:08.39 ID:dBR14d0GO
一度に投下する量が減ってないか?
この投下間隔だとまたさる喰らうんじゃないかと心配しちゃう
195 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 01:26:35.81 ID:CAHXvki+0
「ああ、さっきのコンビニ。中で色々見てたら、外で雪歩が傘も持たずに歩いてたから。
そのまま事務所に居るなら別に良いかなと思ったんだけど、なんか嫌な予感がしてさ。一応コンビニで傘買って待ってたんだ。
まさか本当に嫌な予感が当たるとは思ってなかったけど」
彼は記憶を辿りながら答えた。
196 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 01:27:15.65 ID:CAHXvki+0
「あ…そうだったんですか、すいません…。あれ?私って分かったんですか?」
「背格好で大体分かるさ。一応、マネージャーだからね」
どこか得意気な表情で彼は答える。
「あはは、参っちゃいましたぁ…えっと、じゃあ20分くらいずっとコンビニに?」
197 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 01:36:08.26 ID:VWY5ke4+0
sien
198 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 01:38:06.88 ID:CAHXvki+0
「ああ、そんくらいかな。ちょうどALRIGHT*とかも流れてたから、なんとなくテンション上がっちゃってさ」
「あ・・・は、恥ずかしいですぅ・・・」
「はは、雪歩らしいな」
マネージャーが軽く俯いてしまった雪歩に笑いかける。
その時、彼は雪歩の持っているバッグが目に入り、ある疑問を口にする。
199 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 01:38:31.22 ID:CAHXvki+0
「ところで雪歩、事務所に行ったんだよな?何しに行ったんだ?」
雪ですは顔を上げてマネージャーの方を見る。
「あ、はい、そうです。えっと、昨日これを事務所に忘れちゃって…」
雪歩は傘を持ちながらもバッグを器用に開け、中の物を濡れないように外に出す。
「…えっと、ファッション誌?」
200 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 01:40:35.74 ID:CAHXvki+0
雪ですってなんだ
DSiブラウザーだとたまにこういうミスが起こります
201 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 01:43:12.15 ID:PC5EE0UC0
なんでそんな環境で書いてんだよ
202 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 01:43:19.01 ID:VWY5ke4+0
DSからかよwww
203 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 02:04:47.10 ID:CAHXvki+0
「はい。明日の『生っすか』で真ちゃんに着て貰うお洋服ですぅ」
ふふ、と彼女は幸せそうな笑みを浮かべる。真の『改造』をを心底楽しんでいる顔だった。
「・・・なるほど、仕事熱心だな。で、明日は真をどんな着せ替え人形にするつもりなんだ?」
「えへへ、人聞き悪いですよぉ。真ちゃんも同意の上ですよ?」
204 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 02:05:13.84 ID:CAHXvki+0
満面の笑みでそう答えた雪歩を見て、マネージャーは苦笑いを浮かべながらかたをすくめる。
「…あれ?でもそのファッション誌は、えーと何て言うか…女の子っぽい?服だけど?」
あ、と雪歩は呟き、ファッション誌をバッグにしまった。
「あはは…えーとそのですね…私、いざ現場になると気持ちが高ぶっちゃうみたいで、その…」
205 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 02:15:19.84 ID:CAHXvki+0
「ああ、暴走してるね」
ばつが悪そうな顔で頬を掻く雪歩。彼女はバッグを再び持ち直す。
「えっと・・・真ちゃんは、本当はすっごく女の子らしくて、可愛い子なんです。だから明日はちゃんと真ちゃんらしさを出したいなって」
「それで事前準備か。・・・うん、やっぱり真の事を一番良く分かってるのは雪歩だよ」
206 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 02:15:44.22 ID:CAHXvki+0
「そ、そうだったら嬉しいな…えへへ…」
雪歩が照れ笑いを浮かべた後、マネージャーは急に立ち止まった。
「あ、雨止んだ」
「ホントににわか雨だったみたいですね」
雲の切れ間から日の光が差し込み、水たまりに反射してまばらに煌めく。
二人は傘を閉じて水滴を払う。
207 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 02:17:37.59 ID:VWY5ke4+0
がんばれしえん
208 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 02:25:53.37 ID:CAHXvki+0
「傘ってのは、結構便利な道具なんだけどな」
トントン、と傘で地面を叩きながらマネージャーが言う。
「え?どうしてですか?」
「パパラッチ対策。良い感じに顔が隠れるからね」
「そ、それもそうですね…」
急にきょろきょろと周りを見出す雪歩。
マネージャーも周りにはそれなりの注意を払い、二人は道を進んでいく。
209 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 02:26:44.86 ID:CAHXvki+0
――――――――――――――――――――
「あ・・・結局送り届けてもらっちゃいました・・・ありがとうございますぅ」
二人は雪歩の家の前に居た。彼女は深々とマネージャーに頭を下げる。
「いえいえ。じゃあ俺はこの辺で。・・・あ、大分濡れてるみたいだからちゃんとシャワー浴びとくんだぞ?」
210 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 02:27:04.73 ID:P4aqupeB0
しえん
211 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 02:30:46.17 ID:VWY5ke4+0
投下が速いのは良いことだが、この支援の量じゃすぐさるになるんじゃ
212 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 02:36:48.18 ID:CAHXvki+0
「はい、分かりましたぁ。・・・えっと、じゃあこの傘はお返ししますね」
雪歩は傘のボタンを丁寧に留めてマネージャーに差しだす。
「え?別に良いよ?」
「いえ、そういうわけには・・・。今度までに雨が降っちゃったら申し訳ないですし」
213 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 02:37:10.99 ID:CAHXvki+0
「今度って言うと…」
「…お買いもの。ほ、本当は私が言える立場じゃないんですけど…約束、ですよ?」
少し恥ずかしそうに笑みを湛える雪歩に答えて、マネージャーはゆっくりと頷いた。
214 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 02:42:32.55 ID:HdpVGlOq0
215 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 02:51:42.08 ID:sAVNdRcb0
4
ほ
217 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 03:04:40.55 ID:CAHXvki+0
一区切りついたし気力と体力の限界が来たので今日はもう寝ます・・・脚が痛い
午前は忙しいので、朝7時過ぎの出掛ける前に一回と、午後に残りを更新します
もしスレが落ちてたら、来週の日曜にまた立て直してからどうするか考えます。
支援して下さってる方本当にありがとうございます。
ちなみにPCとDSi併用してるのは投下速度が速くなる気がしたから
218 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 03:11:51.53 ID:VWY5ke4+0
おつおつ
立て直す場合は同じスレタイ?
219 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 04:03:35.78 ID:eNoNRUyj0
乙
まってるぜ
乙
221 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 05:32:40.41 ID:RE7AmbwY0
一応保守
222 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 06:29:57.36 ID:CAHXvki+0
----
「明日は早起きだから、早めに寝ないとですぅ」
雪歩の自室、パジャマ姿の彼女が明日の準備を整えていた。
一通り支度が終わると、雪歩は照明を落として布団に入る。
冷えないように布団を口まで持って行き、目を閉じてイメージトレーニングを始める。
「うぅ…明日は自分との戦いです…待っててね真ちゃん…!」
223 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 06:38:27.71 ID:RE7AmbwY0
支援
ほっしゅ
225 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 07:15:33.55 ID:RE7AmbwY0
ほ
226 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 07:41:12.98 ID:CAHXvki+0
あ、寝ぼけてたから一時間早かった
立て直す場合は同じスレタイです。落ちないのが一番ですが…
227 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 09:01:18.77 ID:zxun6p/z0
ほ
228 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 09:55:33.06 ID:4t/ZH0K70
頑張って
229 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 10:47:14.35 ID:zxun6p/z0
ほ
230 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 11:15:37.54 ID:Y78FJIxs0
し
231 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 12:04:25.20 ID:CAHXvki+0
帰ってきた
飯食ったら投下します
232 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 12:04:32.03 ID:zxun6p/z0
ゅ
ほっちゃん!ほ、ほあーー!ほああー!
234 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 12:21:36.46 ID:VWY5ke4+0
待つわ
235 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 12:25:54.28 ID:CAHXvki+0
雪歩は小さくそう呟くと、脳内で「可愛らしい」真の姿を描く。
しかし3回に1回ほど王子様の衣装を着た真が颯爽と登場しては、諺を爽やかに一つ言って去っていく。
そんな葛藤を心の中で繰り広げていると、ふと前に真が発した言葉が彼女の脳裏をよぎった。
『マネージャーはずっとボク達担当でいてくれるんですか?』
236 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 12:34:58.16 ID:VWY5ke4+0
きたああああああああああああああ
237 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 12:36:05.67 ID:CAHXvki+0
本当に脈絡もなく、その言葉が彼女の頭に浮かんだ。
頭に浮かんだその言葉は、雪歩の心臓を一瞬縮こまらせる。
彼女は思わず近くにあったクッションを胸の前で抱きしめていた。
今日マネージャーと交わした約束。
そうやって他人との繋がりを深めて行くほど、それが切れた時の事を考えてしまうのが雪歩だった。
238 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 12:36:33.34 ID:CAHXvki+0
雪歩は自分でも驚くほどに、マネージャーに対して気を許していた。
これまで感じたことのないほど、「ずっと傍にいたい」と思える男の人。
「・・・私がずっと頑張ってれば、マネージャーもずっと・・・ずっと一緒に居てくれますよね・・・?」
雪歩はクッションで口元を覆い、願うように呟いた。
・・・しかし雪歩のネガティブ思考は止まらない。
239 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 12:40:21.61 ID:VWY5ke4+0
し
240 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 12:46:59.79 ID:CAHXvki+0
頭では止めて寝てしまおうと思っているのに、無意識に「もしも」の事を考え始めてしまう。
もしも、私がお仕事失敗しちゃって―――
もしも、マネージャーが別の事務所に行っちゃったら―――
そんなの――――――――――――――
「・・・・・・やだ」
時計は午前1時。瞼が重くなり始めた雪歩は、ようやく寝息を立て始めた。
241 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 12:47:34.43 ID:CAHXvki+0
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「こ、ここが今日の収録場所ですか…」
真が緊張の面持ちで店内を見渡す。
三人は今、都内の洋服店に居た。
「ははは頑張れ真。今日も頼むよ」
マネージャーは真の肩を軽く叩く。
「もう、マネージャーってば人事だと思って…ゆ、雪歩?今日はお手柔らかにね?」
「う、うん真ちゃん…」
242 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 12:49:12.26 ID:VWY5ke4+0
しえ
243 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 12:57:52.82 ID:CAHXvki+0
真が依然として落ち着かない目の動きで辺りを見回していると、奥から番組スタッフの彼女を呼ぶ声が聞こえた。
はーい、と元気な返事を返してスタッフの元へ行く真。
「・・・さ、雪歩。今日は頑張ってな?」
マネージャーが笑いながら言う。
「・・・は、はいぃ」
「・・・雪歩?」
雪歩は俯き気味に返事をした後、二回咳をした。嫌な音の咳だった。
244 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 12:58:19.62 ID:CAHXvki+0
マネージャーは何か不穏な空気を感じて雪歩の顔を覗き込もうとする。
しかし、
「萩原さんもこちらに来て頂けますかー?」
というスタッフの声がして、雪歩は奥へと向かって行ってしまった。
その場に取り残されたマネージャー。
彼は頭を掻き、顔に困惑の色を浮かべる。
「生放送なんだよなこれ…くそっ」
245 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 12:59:58.31 ID:VWY5ke4+0
4
246 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 13:09:01.44 ID:CAHXvki+0
―――――――――――――――
放送中のスタジオ。
「・・・それでは次のコーナーはこちら!『菊地真・改造計画 PLANU』!
楽しみですねー、今日は一体どんな改造が見られるんでしょうか!?
さて、現場のゆーきほ!」
元気いっぱいな春香の声とともに、スタジオの大画面が切り替わる。
247 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 13:09:41.87 ID:CAHXvki+0
「は、はい。こちら現場の萩原雪歩ですぅ。…さて、今日も真ちゃんをばしばし改造したいと思いますが、今回はいつもと違った趣向でいってみたいと思います」
マイクを両手で持ちながら店内を歩く雪歩。
「え!?雪歩それ本当!?」
雪歩が試着室の前に着くと、そのうちの一つの中から真の声がした。
248 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 13:11:07.46 ID:VWY5ke4+0
しえん
249 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 13:12:21.56 ID:w8nlJUb20
えしん
250 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 13:20:01.89 ID:CAHXvki+0
「・・・うん。今日は真ちゃんに可愛いお洋服を着てもらおうと思ってるんだぁ」
試着室のカーテン一枚越しに二人は会話を続ける。
「や、やったぁ・・・やっとこの日がついに・・・!」
真の心底嬉しそうな声が聞こえてくる。カーテン越しでも彼女のガッツポーズが見えるようだった。
「じゃあ・・・」
251 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 13:20:26.60 ID:CAHXvki+0
「あ、でも雪歩…今ボクすっごく可愛い服着てるから、もしかしたらもうこれで皆も満足しちゃうかも!」
「…じゃあ、まずは真ちゃんが選んだお洋服ですぅ。真ちゃん、準備は良い?」
雪歩はカーテンに手をかける。
「へっへーん!いつでも良いよ!」
「…それでは、どうぞ」
カーテンが開く。
「きゃっぴ」
カーテンが閉まる。
252 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 13:31:27.15 ID:CAHXvki+0
「・・・というお約束でした。ではこれから私はお洋服を選ぶので、スタジオの皆、よろしくお願いしますぅ」
画面は再びスタジオに切り替わる。
「・・・真には気をしっかり持って貰いたいわね」
千早のその冷静な一言で客席が沸く。
「それじゃあ、次のコーナーなの!次は・・・」
―――――――
―――――
―――
253 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 13:31:28.71 ID:VWY5ke4+0
4円
254 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 13:31:56.58 ID:CAHXvki+0
「ぶー雪歩おー。今日こそあれで良いと思ったのになー。拗ねちゃうよボク?」
真は店内の椅子に座って頬を膨らませている。
「ご、ごめんね、真ちゃん…」
「…え、ああいや、そういうことじゃないっていうかえーと…」
思わぬ返しに少したじろいでしまう真。
「…二人とも、とりあえずお疲れ。はいこれ」
255 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 13:42:21.76 ID:CAHXvki+0
二人の座っている椅子にマネージャーが近づいてきて、飲み物を渡す。
「あ・・・ありがとうございますマネージャー」
真と雪歩はそれぞれペットボトルを受け取り、指先に力を込めて蓋を開ける。
収録中は何事もないように進行を務めていた雪歩だったが、彼女の蓋を開けるその仕草はどこか力無い。
256 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 13:42:47.46 ID:CAHXvki+0
その様子を見ながら何か考え込んでいたマネージャーだったが、やがて意を決したように言った。
「……あのさ、雪歩」
雪歩の体がピクリと反応し、彼女はおもむろに顔を上げてマネージャーを見る。
「……マネージャー」
今、二人の視線はしっかりとお互いの顔に向けられていた。
257 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 13:44:39.95 ID:VWY5ke4+0
紫煙
258 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 13:53:08.95 ID:CAHXvki+0
雪歩の瞳に映るのは、マネージャーの困惑した表情、苛立ち気味の目。
マネージャーの瞳に映るのは、雪歩の額の汗、ほんのりと紅潮した頬、粗い呼吸をする口。
それらを必死に押し隠そうとしている雪歩を見て、彼の顔はますます歪んでいく。
昨日の雨だな―――彼がその結論に辿り着いたところで、状況は何も変わらない。
259 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 13:54:51.68 ID:VWY5ke4+0
oh...
260 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 14:01:16.21 ID:xA7SmT1g0
追いついた
支援
261 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 14:06:01.85 ID:CAHXvki+0
彼は何も言い出せない自分自身にますます苛立ちを募らせる。
そんな時、雪歩が小さな声でこう言った。
「…やらせて下さい」
隣に居る真ですら注意しないと聞きとれないようなかすれた声。
しかし、マネージャーを見つめる彼女の目は「頼み込む目」ではなく「決意の目」だった。
262 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 14:06:32.73 ID:CAHXvki+0
マネージャーは目を閉じて、手を眉間に当てて数秒間考えていたが、やがて一つ息を吐き、
「・・・ああ、分かった。分かったよ」
と言ってその場を去って行ってしまった。
「・・・え?ゆ、雪歩?どうしちゃったの?」
真は心配そうな目で、隣で胸を撫で下ろしている雪歩を見る。
「・・・うん、何でもないの真ちゃん。じゃあ私、お洋服探してくるね」
263 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 14:09:55.95 ID:MqKlVHkI0
読みづらいとか言ってるやつは小説読んだことないの?
264 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 14:19:02.96 ID:CAHXvki+0
雪歩はそう言って笑い、席を立ってスタッフの元に向かう。
「あ・・・」
雪歩の後ろ姿に手を伸ばす真。
しかし思いとどまり、不安をかき消すように拳を握る。
「雪歩・・・大丈夫かな・・・いや、ボクはボクのやらなきゃいけないことを頑張らなきゃ・・・だよね」
真は顔を引き締め、気持ちを引き締め、ペットボトルの中身を飲み干した。
265 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 14:19:34.30 ID:CAHXvki+0
−−−
マネージャーは壁に向かって項垂れていた。
「あー…どうすりゃ良かったってんだよ…」などと独り言を
誰にも聞こえない声で呟く。
勿論答えは無い。
しばらくそうしていた彼だが、周りの人間に不審な目で見られているのに気づき、
右手で顔を拭ってその場を足早に立ち去る。
266 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 14:34:51.33 ID:CAHXvki+0
―――
「それじゃあ番組も終わりの時間なの!
残念ながら、今回のあずさチャレンジはどちらかというと大失敗だったの・・・」
「皆、見てくれてありがとうございましたー!今日も明日も良い日でありますように!」
「そ、それでは行きます。えと、生っすか・・・?」
「サンデー!!!」
大画面に各コーナーが写り、番組は終わりを迎える。
267 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 14:35:26.91 ID:CAHXvki+0
−−−
「それでは菊地さん、萩原さん、今日はありがとうございましたー!」
スタッフの声が店内に響き渡る。
カメラマンはカメラを下ろし、周りの人間もセットを片付け始めた。
「…ふあ…はあ…終わったんだよね、真ちゃん…?」
一気に気が抜けた雪歩は、隣にいた真にもたれかかってしまった。
268 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 14:35:54.21 ID:VWY5ke4+0
しぇ
269 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 14:47:38.78 ID:CAHXvki+0
「うわっと・・・ゆ、雪歩!?大丈夫!?」
真は雪歩の肩をしっかり掴んで彼女を支える。
「雪歩、やっぱり額が熱い・・・マネージャー!早く・・・ってわあ!」
真がマネージャーを呼ぶより早く、彼は真に近づいて背中を軽く押す。
「わ、悪い真。・・・じゃあ早く病院へ行こう。俺は雪歩の家に連絡するから、悪いけど真は雪歩を車までおぶっていってくれ」
270 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 14:48:19.15 ID:CAHXvki+0
「あっ、はい、分かりました。…雪歩、ちょっと良い?」
真は雪歩の前に周り、軽々と彼女を背負う。
「マネージャー…」
雪歩は真の顔の横で、小さくそう呟く。
電話をかけようとしていたマネージャーだったが、その言葉を聞いて携帯を閉じた。
「…雪歩」
彼は体を雪歩の方に向けて、彼女の虚ろな目を見る。
271 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 14:52:38.73 ID:VWY5ke4+0
F-2支援戦闘機
272 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 15:00:33.78 ID:CAHXvki+0
そして雪歩は口を弱々しく開く。
「…やりましたぁ」
雪歩はそれだけ言って、すぐに目を閉じてしまった。
すうすう、と吐息が真の後ろ髪を揺らす。
273 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 15:01:07.80 ID:CAHXvki+0
「・・・俺、こういう時何て言っていいのか分かんないよ」
複雑な感情を持て余したマネージャーの口から、上ずった情けない声が出る。
「・・・とりあえず、車に向かいましょう」
真の言葉にマネージャーは頷いて、携帯を開きながら歩きだした。
274 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 15:13:28.80 ID:CAHXvki+0
―――
「雪歩の母親には連絡した。今から病院に来てくれるみたいだ。俺らも向かおう」
マネージャーは車を発進させた。
後部座席には真と雪歩が居て、寝てしまった雪歩は真に寄り掛かる形となっている。
「雪歩・・・」
発進音がして車が動き出す。
「うぅ・・・」
車が揺れて倒れそうになる雪歩を、真は両手で抱き寄せる。
275 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 15:13:52.90 ID:CAHXvki+0
「…あ、俺のバッグの中にマスクが入ってる。雪歩につけてやってくれないか」
マネージャーは助手席にある自分のバッグを指さす。
真は片手で雪歩を支えながらバッグの中を漁り、使い捨てタイプのマスクを2つ掴み取って雪歩と自分につけた。
「いつも入れてるんですか?さすが、用意周到ですね」
真が感心したような声で言う。
276 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 15:17:10.27 ID:Y78FJIxs0
雪ぽかわいいよ
277 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 15:25:58.12 ID:CAHXvki+0
「いや・・・さっき収録中に買って来たんだ」
「あ・・・そうでしたか」
マネージャーの後悔混じりの口調で、真は彼が何と言おうとしてるのかを理解した。
「本当は、俺が止めるべきだったんだよな・・・。朝から雪歩の体調が悪い事は分かってたんだ。
・・・仕事と雪歩とを天秤にかけるなんて、自分でもどうかしてると思う」
278 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 15:26:18.86 ID:CAHXvki+0
彼の言葉は自傷的を通り越して、最早泣き言に近かった。
「えっと、ボクは…その…」
真はしどろもどろになりながらも、やがて一つの答えを見つける。
「はい。…ボクは、あれは雪歩自身が選んだ事だから、間違ってはいなかったと思います。
事実、番組を成功させることが出来ましたから。
…まあでも、ちゃんと後で謝っておきましょうね?」
279 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 15:29:45.82 ID:VWY5ke4+0
みんなかわいい
280 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 15:38:53.69 ID:CAHXvki+0
言葉の最後、真は笑っていた。
「・・・真は前向きだな。勿論良い意味でだ」
「あはは・・・」
車は駐車場から道路に入り、車内はしばしの沈黙に包まれる。
しばらく走った後、マネージャーが口を開いた。
「それにしても、雪歩は凄いよ。こんな状態でも仕事はちゃんとこなすんだから。
・・・真も今日はいつにも増して良かったよ」
281 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 15:39:17.72 ID:CAHXvki+0
「えへへ〜。今日は可愛い服着られてボクもすごい良い気分です!
…ありがとね、雪歩」
真は隣にいる雪歩にそっと囁く。
「スタジオの歓声ゲージはいつもより若干低い気もしたが…似合ってたよ真」
「そーでしたか!?ひひー、やーりぃ!」
車内の空気が明るくなったところで、真はふと思った事を口にする。
282 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 15:41:42.48 ID:VWY5ke4+0
支援
283 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 15:51:47.54 ID:CAHXvki+0
「・・・雪歩が今日おとなしめの服選んでくれたのって、やっぱり雪歩が元気無かったから、なんですかね・・・?
ああいや、深い意味はないですよ!?」
「・・・ええと、そ、そうかな?はは・・・」
『実は真のために数日前から準備していた』などと勝手に言うのはマナー違反のような気がしたマネージャーはお茶を濁す。
284 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 15:52:08.07 ID:CAHXvki+0
…確かにこうして真は喜んでいる。番組だって大きな失敗は無かった。
だがそれは結果論だ。
俺はただ、雪歩の強さに救われたに過ぎない------
彼はハンドルを強く握り締め、ルームミラー越しに見える雪歩の寝顔を横目で見る。
285 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 16:02:30.94 ID:VWY5ke4+0
しえしえ
286 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 16:05:07.42 ID:CAHXvki+0
「・・・俺、もう目を背けたりしない。君達のマネージャーに相応しい人間になる。絶対だ」
彼の声に先程の様な震えは無かった。
「・・・そう言ったからには、絶対ですよ?マネージャー」
真は落ち着いた声でそう返し、隣で眠っている雪歩に向かって柔らかい微笑みを浮かべた。
287 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 16:05:36.06 ID:CAHXvki+0
------
「さあ、着いたぞ」
車のエンジン音が止まったのを確認して、真はドアを開ける。
「…よいしょっと」
真は雪歩を背負って外に出る。
「あ、悪い。雪歩おぶってもらっちゃって」
「いえいえ、すぐそこですから…」
「…そうだな。すまん。とりあえずそこの待合室の椅子で雪歩のお母さんが来るのを待ってようか」
288 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 16:17:33.17 ID:CAHXvki+0
入り口の手前、マネージャーは携帯を取り出し、雪歩の母に到着の連絡を入れる。
三人は院内に入り、数列にわたって並べられている長椅子の内の一つに向かって歩き出した。
「・・・ふう」
真、雪歩、マネージャーの並び順で彼らは腰を下ろす。
「・・・あとどのくらいで来るんでしょうか。雪歩のお母さん」
真が雪歩の頭越しにマネージャーに話しかける。
289 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 16:17:40.44 ID:VWY5ke4+0
市
290 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 16:19:07.37 ID:CAHXvki+0
「ん…場所的にはあと10分くらいかね」
「そうですか」
二人は抑え目の声で会話をする。
マスクのおかげもあり、彼女達がアイドルだと気付く人間はまだ居ないようだった。
「うーん…」
「おっと」
バランスを崩した雪歩がマネージャーに向かって倒れ込むのを、彼は左手で雪歩の頭を支えて止める。
291 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 16:31:46.92 ID:CAHXvki+0
「・・・今くらいは良いんじゃないですか?寄り掛からせてあげても」
真は笑いながらそう言った。
「・・・いや、油断は禁物。どこで誰が見てるか分からんし」
「まあそれはそうですけど・・・あ、じゃあ・・・!」
真は急に立ち上がると、着ているコートを脱いで雪歩とマネージャーの間の前に立つ。
「・・・?どうした?」
292 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 16:32:10.62 ID:CAHXvki+0
ひひー、と真はまるで双子のような笑みを浮かべ、
雪歩とマネージャーの手をとってそれらを繋がせる。
「え、ちょ」
困惑しているマネージャーを尻目に、真はそれにコートを被せて元の位置に戻る。
293 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 16:44:29.36 ID:CAHXvki+0
「…手ぐらいは、握っておいてあげて下さい。コートがあれば隠せますよね?」
「…ああ、そうだな。ありがとう真」
どういたしましてです、と返事をする真。
三人の間に、穏やかな沈黙の時間が流れる。
294 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 16:44:50.82 ID:CAHXvki+0
マネージャーは雪歩の小さい手をそっと握っていた。
雪歩の手を握ったのは初めてだったので、彼の胸はそわそわして少し落ち着かない。
熱のせいか火照った彼女の左の手のひらから、彼の右手に向かって体温が流れ込んでいく。
ごめんな、雪歩。無理させて・・・約束、絶対守るから―――彼はそう思いながら、雪歩の手をより一層強く握りしめる。
295 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 16:57:12.10 ID:CAHXvki+0
すると、弱い力ではあったが、雪歩がマネージャーの手をぎゅっと握り返した。
「え、雪―――」
「あっマネージャー!雪歩のお母さん、来たみたいですよ!」
真が見ている方向には、雪歩似のコートを羽織った女性が居た。
マネージャーはそっと雪歩の手を解き、母親の元に向かって行く。
296 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 17:00:40.92 ID:VWY5ke4+0
C
297 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 17:07:57.33 ID:kKENsMeLO
ほ
298 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 17:09:51.92 ID:CAHXvki+0
------
「…それでは私は失礼します。今日は本当に申し訳ありませんでした」
そうしてマネージャーは雪歩の母に頭を下げ、真と一緒に病院から出て行く。
雪歩の母親は奥ゆかしい人で、雪歩が無理して番組に出た事より、
雪歩の体調に気を遣ってやれなかった自分を不甲斐なく思っているようだった。
二人は車まで歩き、ドアを開けて中に乗り込む。
299 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 17:15:20.20 ID:CAHXvki+0
「もう遅くなってきたから、家まで送るよ」
「ありがとうございますマネージャー」
二人は車内で他愛のない会話を弾ませる。
――――――
「・・・さ、着いたぞ」
「あ、はい。じゃあさようならマネージャー、明日もよろしくお願いしますね!」
「ああ。・・・そうそう、真も風邪引かないように、手洗いうがいはしっかりな」
300 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 17:20:55.95 ID:VWY5ke4+0
|∧∧
|・ω・`) そ〜〜・・・
|oCo
|―u'
| ∧∧
|(´・ω・`)
|o ヾ
|―u' C
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ミ ピャッ!
| C
ほ
302 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 17:33:38.92 ID:CAHXvki+0
「はーい」
元気よく手を振る真に、マネージャーも手を振り返す。彼は足を踏み込んで車を発進させた。
「ふう・・・」
彼一人しか居なくなった車内で、一人溜息をつくマネージャー。
「・・・そうだな。手、ちゃんと洗わなくちゃだよな」
彼は残念そうに、自分の左手を横目で見る。
303 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 17:47:04.63 ID:CAHXvki+0
-------------------
「おっはよーございまーす!」
早朝の事務所、真が元気溌剌な声で扉を開くと、小鳥は笑顔で振り返った。
「ふふ、おはよう真ちゃん。…あら?今日は…」
「お、おはようございますぅ…」
真の後ろにはすっかり顔色の良くなった雪歩が居た。
「おっはよ→ゆきぴょん!おひさしブリッツ!」
真美が雪歩に飛びかかる。
304 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 17:47:36.80 ID:CAHXvki+0
「きゃっ・・・お、おはよう真美ちゃん」
「もー真美!雪歩に飛びかかっちゃダメだろ!まだ病み上がりなんだから・・・それにブリッツって言うのはこうやるの!」
「まこちん・・・なんでアメフトの技まで知ってんの?」
その様子を見て微笑む小鳥の横を抜けて行くマネージャー。
「・・・おはよう、雪歩。もうすっかり良くなったみたいだな」
305 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 17:53:32.62 ID:VWY5ke4+0
試演
306 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 17:56:03.24 ID:1Q+ViYGR0
|´ ̄ ヽ
| ノハ)i |
|゚ ヮ゚ノリ
|oCo ソローリ
|―u'
| '´ ̄ ヽ
| ノノハ)i |
| (l゚ ヮ゚ノリ
|o ヾ
|―u' C <コトッ
|
|
|
| ミ ピャッ!
| C
307 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 18:07:21.79 ID:1Q+ViYGR0
ほ
308 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 18:10:26.91 ID:CAHXvki+0
「あぅ・・・こ、この間はすいませんでしたぁ・・・」
マネージャーの前で縮こまってしまう雪歩。
「え、あ・・・そういうつもりで言ったんじゃ無いんだけど・・・うん。俺からも言わせて貰うよ。この前は本当にごめんな。俺の判断ミスだった」
「い、いえ!マネージャーが謝ることなんて何も・・・」
お互い頭を下げ合う二人を見て、周りから笑いが起こる。
309 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 18:10:46.56 ID:CAHXvki+0
そんなマネージャーに、プロデューサーが近づいてきて彼の肩を叩いた。
「あの時たるき亭で言ってた事…答え、見つかったか?」
プロデューサーは穏やかに笑いながら尋ねる。
「…はい。彼女達と一緒なら…俺は、大丈夫です」
同じように笑みを返すマネージャー。
310 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 18:18:18.66 ID:VWY5ke4+0
し
311 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 18:23:07.05 ID:CAHXvki+0
「ん〜?ダブル兄ちゃんなんの話してんの〜?」
「・・・ちょっと待て今どうやって発音した」
「んっふっふ〜?それは真美のみぞ知る事だYO!」
真美はそう言いながらプロデューサーに美しいフォームでブリッツを決める。
「ぐふっ」
312 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 18:23:28.52 ID:CAHXvki+0
「はは…さあ、じゃあ早速仕事に出掛けようか、真、雪歩。今日のスケジュールは…」
「…あの、マネージャー」
マネージャーの言葉を遮るように、雪歩が言葉を発する。
「…?どうした雪歩」
雪歩は最初こそ俯いていたものの、やがて顔を上げ、マネージャーの目をしっかりと見据える。
313 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 18:36:58.87 ID:CAHXvki+0
「と、突然で申し訳ないんですけど、その…
ま、マネージャーは…ずっと、私達と一緒に居てくれますか…?」
言葉はたどたどしかったが、彼女の声と目はこれ以上無い程まっすぐ、目の前のマネージャーに向けられていた。
314 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 18:37:23.58 ID:CAHXvki+0
―――――そんなこと、前にも真に訊かれたっけ。
マネージャーはその時の事を思い出す。
あの時は悩んだ挙句、どっちつかずの答えしか出せなかったマネージャー。
しかし今、彼の頭には驚くほどシンプルな答えがあった。それこそ、思わず笑ってしまうほどの。
315 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 18:39:48.97 ID:VWY5ke4+0
si
316 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 18:58:39.79 ID:dBR14d0GO
もしかしてさる喰らってる?
317 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 19:10:10.57 ID:CAHXvki+0
―――もう、目を背けないって決めたからな。
彼は雪歩に向かって一歩踏み出す。
雪歩は後ずさりもせず、変わらない瞳でマネージャーを見つめる。
そして彼は、溢れだす感情を笑顔に変えて言った。
「勿論だ。ずっと君達と一緒に居る。俺が、保証する」
マネージャーは雪歩と真の手を取り、扉に向かってゆっくりと歩き出した。
終わり
318 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 19:10:34.69 ID:CAHXvki+0
ということで終わりです!
なんかいつの間にかマネージャーがメイン張ってましたね
途中読み辛かったり表記がグダグダになったりと色々ありましたが、何とか終われました…
支援、スレ保守して下さった方には本当に感謝しています。
読んでくれた方、ありがとうございました。
雪歩愛してる
319 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 19:11:12.37 ID:VWY5ke4+0
最後の3文字が見えない、が
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/ ∨∨` ´ /x/ { \
/ / ∨x-‐xイx_/ ヽ \
おっ、、お、……なんでもないさー
乙
321 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 19:13:38.41 ID:dBR14d0GO
乙ー
322 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 19:19:57.50 ID:eNoNRUyj0
乙
323 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/02(月) 19:27:54.69 ID:xA7SmT1g0
乙です!!
324 :
忍法帖【Lv=6,xxxP】 :
乙でした