116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 00:53:09.65 ID:dPrX2/eI0
大変もりあがっております
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 00:59:27.25 ID:5nz0IM5aP
そろそろあぎりさんがやすなを殺す頃か
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 01:02:50.76 ID:wN9TUCu70
ほ
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 01:08:37.55 ID:ICMGAhIC0
し
120 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 01:10:36.14 ID:l6HlhUiS0
人肌の、いや、お前の温かさを求めるように私は抱く力を強めた。
「今だけは、忘れてほしいな」
「そうもいかない」
「……私じゃ忘れられない?」
「……」
少し難しい顔をしたら拗ねてしまったようで、私の胸に顔を埋めてきた。
「ソーニャちゃん、もうどこにも行かないで……」
「……」
私だって、今ぐらいは忘れたい。お前とずっと一緒にいたい。
でも、硝煙と血の匂いが染みついたこの体が忘れさせてくれない。やはり私は殺し屋なのだ。それはどうやっても変わらない。
私はやすなをさらに抱き寄せると、眠ることに努めた。
お前を抱いている時は忘れていられそうなんだ。
今は、今だけは、お前とふたりきりでいたい。
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 01:10:58.51 ID:N/nrFQJs0
保守
122 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 01:18:13.66 ID:l6HlhUiS0
それから私はやすなと愛し合うようになった。
始めは戸惑いもあったり迷ったりもした。それに、私が組織に見つかるかもしれないという不安が常に付きまとっていた。
その不安を振り払うように、自分がまだ生きていることを確かめるように私たちは肌を重ね合った。
でも……、私はどこまでも弱い人間だった。
「やすな、言っておきたいことがある」
「何? 改まって」
眠りにつこうとしていたやすながもぞもぞと私の胸から顔を上げた。
「もしも、組織から逃げられなくて私が死んでも、殺した奴のことを恨まないでくれ……」
「えっ……?」
123 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 01:23:32.32 ID:l6HlhUiS0
やすなは酷くびっくりしたようで、私の顔を見つめて息を呑んだ。
「それでお前の人生を狂わせたくない。無理かもしれないが……」
そこまで言いかけて、やすなの唇がその先を奪った。
「それ以上言わないで……」
「でも、これ以上私に付き合わなくていいんだ。ずっと平和な世界で生きていてほしい」
「……無理だよ。こんなにも愛しているのに」
ここまで深入りしておいてこんなことを言うなんてかなり酷なことだと思ったが、これも本心なんだ。
「嬉しいけど、わかってくれ……」
せめて、私がいなくなった後ぐらいは迷惑をかけたくないんだ……。
124 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 01:28:55.40 ID:l6HlhUiS0
そんな日々が少し経った頃。
すっかり傷も癒えて最期の検診も終わった帰り道でのことだった。
「相変わらず隙が無いですねぇ」
「!?」
やすなと過ごす日々が勘を鈍らせていたのか、私の後ろからどこか抜けたような声が飛んできた。
背筋に嫌な汗が流れていくのを感じつつ、私は後ろにいるであろう人物の名前を呼んでみた。
「あ、あぎり……」
「どうも〜。このまま気づかれなかったらどうしようかと思いましたぁ」
後ろに立っていたおばあさんがべりべりとマスクを剥がし、おっとりとしたあぎりの顔が現れた。
「お前、何でこんなところに……」
「それはこっちが聞きたいですぅ。組織には戻らないんですかぁ?」
「……」
125 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 01:30:11.25 ID:N/nrFQJs0
あともうちょいか
完走キボン
126 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 01:32:06.87 ID:p2RcofNU0
支援だよわさわさ
127 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 01:33:42.20 ID:l6HlhUiS0
「ソーニャちゃん、どうしたの?」
「どうも〜」
「あ、あぎりさん! いつここに?」
懐かしい顔を見て笑顔を見せたやすなだが、私は到底そんな気分になれなかった。
「戻る気は、なさそうですね」
「な、何を……」
「顔に書いてありますよぉ」
一体何を考えているのかわからないその笑顔に、私は覚悟を決めた。
「ソーニャがそういう気持ちなら、私はあなたを消さなくてはいけませんねぇ」
「ちょ、ちょっと一体何の話!?」
いつもと雰囲気が違うのを感じ取り、やすなも何かおかしいと気づいたようだ。
128 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 01:37:50.56 ID:2XK/jpzm0
にんじゃマジ厄介
129 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 01:38:15.31 ID:wN9TUCu70
はろいさん…
130 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 01:38:40.56 ID:l6HlhUiS0
「仕事の中で機密情報など知り得ている可能性もありますしねぇ」
「やすな、下がっていろ……」
「ソーニャちゃん……! あぎりさん……!」
やすなはこの状況がどういうことなのか気付いたらしい。すがるような声であぎりに呼びかけた。
だが、あぎりはそんなに甘い奴じゃない。それは私が一番よく知っている。
「あぎり……、手間をかける」
「……もっと抵抗らしい抵抗をすると思っていました」
「今の私は丸腰だ。それに、お前と戦う気なんて無いよ」
遅かれ早かれいつかはこういう時が来ると思っていた。ターゲットが組織から逃げるなんてできないんだ。
「お前で、よかったと思う」
「そんなこと言っても何も出ませんよぉ?」
あぎりはそういうと懐から何やら怪しげな道具を取り出し、それを私に向けた。
131 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 01:40:40.85 ID:p2RcofNU0
汚いな忍者さすがきたない
132 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 01:44:12.99 ID:l6HlhUiS0
「やすな……」
顔を見ない様にして呼びかけると、泣いているのかひどく息を詰まらせた声が聞こえた。
「今まで、ありがとう」
「ま、待って……! 待ってよぉ……!」
涙でぼろぼろな声を絞り出して引き留めてくれたやすなに別れを告げて、あぎりの前に立った。
私が死んで泣いてくれる人がいるなんてな……。
私はそれだけで十分幸せだよ。
「これでいいんだ……」
目を瞑り、私は最期の時を迎える準備を終えた。
「それじゃあ、さようならぁ」
あぎりが構える音が聞こえて、乾いた音が響いた瞬間に私はこの世から消えた。
133 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 01:49:16.14 ID:l6HlhUiS0
……はずだった。
「……?」
体に何も感じず、私は違和感を覚えた。
何だ? もう終わったのか?
恐る恐る目を開いて見ると、そこには色とりどりのカラーテープを撒き散らしたクラッカーを持って笑っているあぎりがいた。
「あ……、あぁ……!」
緊張が解けたのか、やすなが震えたまま地面に座り込んで泣き出してしまった。
これは一体どういうことなんだ?
答えを求めてあぎりを見つめると、相変わらずにこにこ笑っていた。
「ど、どういうことか説明しろ」
「都合の悪い人間の存在を消すのが、殺し屋の仕事ですから」
134 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 01:51:32.13 ID:eP6XNMLRO
あぎりさん!!
信じてたよあぎりさん!!!!!
135 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 01:52:54.20 ID:5nz0IM5aP
やっぱソーニャを駄目にするやすなが邪魔だよな
136 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 01:53:03.64 ID:p2RcofNU0
あぎりさんエロい
137 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 01:54:23.28 ID:l6HlhUiS0
「……?」
焦る私をのほほんとかわしながら、あぎりは散らかったクラッカーを片づけながらいつもの調子で話し始めた。
「ここに来たのは組織の命令ではないんですよぉ」
「何だと!?」
「偶然立ち寄ったらソーニャがいただけです」
「ぐ、偶然……?」
「あ、組織ではソーニャはもう死んでいることになっていましたよぉ。状況が状況でしたし」
クラッカーのくずを集め終わると、どこから取り出したのかゴミ袋につめて一息ついた。
「ソーニャに戻る意思があるのなら連れ戻してもよかったんですけど、驚かせすぎましたかね?」
「……やすなにはやり過ぎたかもな」
未だに体が震えてへたりこんでいるやすなを立たせると、私もようやく力を抜いた。
138 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 01:54:54.66 ID:xUf8T7v20
支援
139 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 01:58:40.34 ID:l6HlhUiS0
「このことは報告しませんからご安心を」
「あぎり、いいのか……?」
「殺し屋のソーニャはもういませんしねぇ」
とぼけた感じでウィンクすると、あぎりは背中からカイトを引っ張り出すとワイヤーを張って広げていった。
「それじゃあ、私はそろそろ行きますねぇ」
「あ、あぎりさん!」
立ち去ろうとするあぎりをやすなが呼びとめた。
「あ、あの! もし組織を抜けられたら、ここで一緒に暮らしませんか!?」
あぎりは少し黙ると、振り向いて低いトーンで話し始めた。
「……人を知らず、世も知らず、影の中に生きる。それが忍者です」
「あぎりさん……」
「……でも、考えておきますねぇ」
あぎりは嬉しそうに笑うと、そのままカイトを使って飛び立ってしまった。
140 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 01:59:47.72 ID:eP6XNMLRO
あぎりさん……
141 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 02:00:10.39 ID:UCe1brUi0
支援
142 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 02:00:33.36 ID:p2RcofNU0
汚いは褒め言葉です〜
143 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 02:01:20.33 ID:N/nrFQJs0
良かった…悪い忍者なんていなかったんだね
あぎりさん・・・
145 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 02:04:07.51 ID:l6HlhUiS0
それから……。
私はここでやすなの仕事を手伝っている。
仕事柄薬剤の知識はあったからそれなりに仕事はできた。
最近ではやすなに仕事をとらないでと怒られることもしばしばだ。
「はぁ……」
船で運ばれてきた薬の充填も終わり、私は青空を仰いで一休みしていた。
「あ、また考えてる」
一緒に作業をしていたやすなが私の顔を覗き込みながら少し不満そうに言った。
「いきなり何だ」
146 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 02:06:39.14 ID:l6HlhUiS0
「自分が幸せになるなんて悪いなぁ〜、って顔してるよ」
……本当にこいつは変に鋭いな。
「いいじゃん。他人なんてさ」
そばにあった椅子に腰かけると、やすなは元気に言った。
「ソーニャちゃんの人生なんだから、好きなように生きなきゃ損だよ」
「……そうかもな」
この広い青空の下、私はまだ生きている。
どうしようもなく愛おしいバカと一緒に。
おわり
147 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 02:08:09.83 ID:UCe1brUi0
うおおおHAPPYENDで良かった!!!
乙!
148 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 02:08:23.73 ID:p2RcofNU0
嵐が過ぎた後に語るにも乙ていく
149 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 02:08:27.91 ID:dPrX2/eI0
いい終わりだ
150 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 02:08:31.40 ID:eP6XNMLRO
乙乙乙
151 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 02:08:32.66 ID:zfamXQB90
完走したー
152 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 02:08:44.25 ID:l6HlhUiS0
以上です。
こんなに長く、そして遅くまで付き合ってくれてありがとう。
保守してくれた人もありがとう。
153 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 02:09:04.22 ID:s72OFsh10
脳内再生すんなりだったわ
あぎりさんが素敵すぎた
乙
154 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 02:09:45.40 ID:N/nrFQJs0
すごく良かった
乙やで
155 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 02:10:37.91 ID:5AW7Cd0O0
乙!
いい話をありがとう
156 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 02:10:57.07 ID:P//OXr9N0
し
157 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 02:11:13.84 ID:zfamXQB90
鯖落ちはさんだからどうなるかと思った
158 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 02:17:10.18 ID:5ECRRtrq0
追いついたら丁度終わった
乙!よかった
159 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 02:18:37.73 ID:/BTrrh3HO
乙!!
160 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 02:29:45.08 ID:DxyzbOqd0
良かったよおつおつ
アニメも終わっちゃってどうしような・・・
161 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 02:30:20.86 ID:wN9TUCu70
乙乙!!!
乙
エロ描写がやけにリアルだったwww
163 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/31(土) 02:32:54.08 ID:/jilVMp90
おつ
開いたら終わってた
165 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
乙! 最高だったよ!!
また暇があったらSS書いてくれ!