天海春香と行く 大人の七夕祭り 日帰りバスツアー開催

僕は単なる１ファン

５年前、偶然テレビで、デビューしたての春香ちゃんを見て以来、

ずっとファン

アイドルにハマるなんて思いもしなかったけど、彼女を見て、胸が高鳴った

世間的に無名の頃から、週に２，３通はファンレターを書いた

五年後か……真美（17）

うむ、詳しく頼む支援

小さなイベントにも、足しげく通った

何度目かのサイン会に、花束を持って行ったとき、

「〜さん、いつもありがとうございます！これからも、応援よろしくお願いしますネ！」

と言われた時は、涙が出た

正直どうでもいいんだがｗ

アイドルの追っかけをしているなんて言うと、キモいオタクを想像するかもしれない

でも僕は、出来る限り清潔感のある恰好を心がけてるし、

普通に就職して、普通に働いている

>>10
「僕の彼女はガテン系」という傑作エロゲーをやってて思いついただけ

仕事は辛いけれど、春香ちゃんを思い浮かべれば耐えられた

最近では上司からも、忍耐強いと僕を評価してくれているらしい

春香ちゃんがいなかったらちょっと耐えられたか分からない

春香ちゃんも今では、７６５プロでデビュー同期のみんなと一緒に

アイドルランクもけっこうな上位に位置している

テレビでの露出が増えたのはいいんだけど

直接会えるイベントが減ってさびしい

春香ちゃんのファンを大事にする姿勢は有名だし、

バスツアーもきっと彼女の発案なんだろうと思う

「あれ？もう受付してるな……急いで申し込もう……」

そんなこんなで、バスツアーを明日を明日に控えた７月６日

僕はいつものようにネットでニュースをチェックしていた

「ん？天海春香……？」

知名度が高いとはいえ、ニュースのトップに来るのは珍しい

妙な胸騒ぎとともに、ページを開いた……

>>2
ほう……

『天海春香、元プロデューサーと結婚、妊娠も！』

「嘘だ！！！！！」

６畳一間のカベの薄いアパートで思わず叫んでしまった

ドンっ

隣の部屋から壁ドンされてしまった……

手の震えが止まらない……

「…嘘だよ、嘘……」

そう呟きながら、真偽を確かめるためネットを徘徊する

「あ　り　え　な　い　これは」

「まーた飛ばしか」

「机と話してればいいスポーツ新聞の記者は楽でいいね」

「いや、こういう話題での○○の的中率は異常」

……


結局一睡もできなかった

昨日の夜からニュースは怖くて見れなかった

憔悴しきった状態で、でも少しだけ誤報だという希望を持って

僕はバスツアーに参加することにした

集合場所にはたくさんの参加者がいた

今の春香ちゃんの人気を考えれば当然だ

しかし、参加者の表情は一様に暗く、

真っ青を通り越して幽霊のような面持ちで待つ奴もいる

バスは定刻通りに出発した

添乗員から、ツアーの行先は千葉県野○市、清○公園だと聞かされた

僕は、疲れ切った体の一方で、妙な興奮状態からイマイチ言葉が頭に入らない

諸注意の後、おもむろに添乗員は真面目な顔をして言った

「実は皆さんに大切なお知らせがあります」

「報道にもありました通り、天海春香さんはご結婚なされます」

「お相手は以前の御担当プロデューサーで、

現在も人気プロデューサーとして活躍されている……」

頭をバットで殴られたかと思った

それくらいの衝撃だった。でも、妙に納得している自分もいた

思考がまとまらない

涙はでなかった

バス内はやや騒然としていたが、昨日から報道されていたからか

叫びだす奴はいなかった

「もう一つ、おめでたいことに天海春香さんはお子様も授かっているそうです」

事務的に、添乗員は言った

「ですから、大変申し訳ございませんが、ご本人と赤ちゃんの健康を

考慮いたしまして少々予定に変更があります……」

バス内は無言だった

隣の奴は目を血走らせている。きっと僕もそうだろう

現地に着いたのはもう昼だった

春香ちゃんの姿が見える。隣にはやよいちゃんも

スタッフに紹介されて、２人は簡単なあいさつをした

その後、すぐ昼食の時間となった

本来、春香ちゃんが作るおかずが一品、付くはずだったらしいが、

相当な手間であるらしく、取りやめになった

「それはいいんだけど……」

用意された食事は、

○ッコーマンの烏龍茶や皿に1本だけ乗せられたソーセージ、

「7〜8人」と書かれた紙が添えられたバナナ切り落とし……

周囲もザワザワしている

遠くで、ビール一杯５００円で〜すという声が聞こえる

買って飲んだ。こんなに胃にクるビールは初めてだった……

食事が終わったら、お楽しみ会ということで、巨大迷路を巡るとのことだった

入り口で、やよいちゃんがけなげに、

「うっうー、頑張ってくださいねー。はい、たーっち！」

本来、春香ちゃんともハイタッチの予定だったが、取りやめになった

やよいちゃんの横で、

「がんばってくださいね！応援、してますから！」

続けろ支援

迷路の中では、いろいろと仕掛けが用意してあった

クリア時間によってグッズを手渡しでプレゼント　クイズを解くとプレゼント等々

しかし、完徹明けと妙なテンションに、さっきのビールが相まって、

視界がグルグルする

壁にもたれかかりながら、「人生の迷路」という単語が、頭を駆け巡った……

何とかゴールすると、春香ちゃんとやよいちゃんが手渡しで水を配っていた

「お疲れ様です！」

元気な様子は、今までと変わらず天使だった……

次のイベントは、春香ちゃん、やよいちゃんと３人で写真を撮れる、というものだった

始まる前、春香ちゃんと偉そうな人が何か揉めていた

スタッフも心なしかピリピリしている

結局、予定通り行うということで、幽鬼のような顔色の参加者たちも

若干頬に赤みがさしてきたように思える

最後は、トークイベントと、ミニライブ

ステージは、今の春香ちゃんの格を考えるとあり得ないほど簡素だった

冒頭、春香ちゃんから、結婚、妊娠の報告があった

「ファンの皆さんを裏切るような形になってしまい、ごめんなさい……」

目には涙が浮かんでいた

僕はもう、いたたまれなくなって下を向いていた

そうしたら、

「おめでとう春香ちゃん……」

横から小さな声が聞こえた

「春香ちゃん、幸せになってね！」

今度は大きな声だった

ふと横を見ると、禿げたオッサンが、涙ながらに祝福の言葉をかけていた

……おめでとう
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　幸せに……

いつしか声は参加者全員に広がった

「あ、ありがとうございます！ありがとうございます！」

春香ちゃんも号泣していた……

その後、やよいちゃんがなんとか場をつなぎ、

ライブへと突入。ややスローテンポな曲でまとめたいいライブだった

そして最後の曲

I Want

「この曲は、私にとって、一番思い出深い曲なんです……

ファンのみんなに愛されて、私も大好きで……

聞いてください、太陽のジェラシー！」

―追いかけて　逃げるふりをして　そっと潜る私マーメイド―
―つかまえて　「好きだよ」　と云ってほしい―
―熱い永遠の今　きっときっと未来がはじまる―

「おめでとう」「幸せになってね」

ファンから声援が飛ぶ

「春香ちゃん、王子様にしっかりつかまえてもらってね！」

横のオッサンが叫んでいた

>>40
スマンが人魚姫が好きなもんで

用意された笹には春香ちゃんの

―みんながいつでも笑顔でいますように！―

と書かれた短冊が踊っていた

……ライブ後、参加者を乗せて帰るバスを、春香ちゃんはずっと見送っていた

ずっとずっと、手を振りながら見送っていた……

解散後、帰宅の電車に乗ったとたん僕は嗚咽した

周囲のお客さんには迷惑をかけてしまったが仕方ない

「……僕は好きだよ……ずっと好きだよ……」

「だからおめでとう」

おめでとう、おめでとうと言いながらひたすら泣きじゃくった

明日からも僕はきっと１ファン

ずっと１ファン


おわり

元ネタは飯田さんのアレ

裏切って云々言ってるけど
春香さんは5年前に婚約してるよって教えてあげたい

画像がまた酷いんだよなこれ

>>48
婚約というか、振られたというか

正直いいようのない不安感があって怖かった
レイプなり腹パンなりするかと…

>>49
コピペと画像見るたび泣いてしまう

>>50
でも言われてるほど残念なエンドじゃないよねあれ
ともかく乙

>>51
途中で揉めてるのはスタッフにそんなこと言われたから

水も手渡ししてるし、もし逆上したファンが襲い掛かったら

どうすんだ？って

読んでいただいた皆さん、どうもありがとうございました

カラオケのSSに触発されてもう一本書き溜めてるところなので、

その時はまたよろしくお願いします

おまけ

雪歩「いつも応援してくれるファンの皆さんと頑張ってふれあいますぅ」

雪歩「ちょっと無理して新宿の会場押さえちゃいました」

雪歩「うう、大赤字です……」

雪歩「でも、皆さん、喜んでくれるといいなあ……えへへ……」


おわり