1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
……。
蒼白い薄明かりが、私たちの輪郭をくっきり映し出す。
このつめたく冷えた部屋で、貴音の温もりだけが確かだった。
「それにしても」
「んん……くすぐったいわよ……」
シルクのような滑らかな感触が、私のほっぺたをなぞる。
「突然、昔話がしたいといって呼びだされた時はまこと、驚きました」
「……悪かったわね、こんな遅くに」
「いえ、伊織もこのような月の美しい夜には、何か想うことがあるのでしょう?」
そう言って、また私から視線を外して窓に浮かぶ月眺める。
……何でもお見通しってわけね。
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 20:43:29.45 ID:ovD5Ef//0
期待して支援
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 20:44:21.80 ID:emtOzEbt0
うっほー
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 20:51:00.77 ID:qtOYRfpa0
続けてみろ
なんという俺得支援
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 20:54:27.41 ID:gzht8bOY0
「……」
私と貴音の吐息がうっすらと立ちこめて、すぐに消える。
フタリで一つ分の影が伸びて、白い壁に絵をつくる。
この部屋で動いているのは、一定のリズムを刻む振り子だけだった。
まだ、十二時を知らせる鐘の音は鳴っている。
なんだか随分ロマンチックね。
まるでシンデレラになった気分よ。
……まぁ、でもそんな役が似合うのは悔しいけど貴音の方だと思うけど。
私は、唇をきゅっと結んで言った。口の端から煙のように息が漏れる。
「あ、あんたに謝りたいことがあるのよ」
「謝りたいこと……?」
胸の奥にしまってて、ずっと言えなかったこと。
……私は、貴音を取り返しのつかないくらい傷つけた。
「……話を続けるわよ」
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 20:55:02.33 ID:emtOzEbt0
早くしてくださいインドさん
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 20:56:56.94 ID:gzht8bOY0
9 :
忍法帖【Lv=36,xxxPT】 :2012/01/11(水) 21:06:15.76 ID:2m4PzY/n0
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 21:14:42.11 ID:ovD5Ef//0
ほ
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 21:15:34.84 ID:gzht8bOY0
……。
桜並木を抜けた先にある英国風のオシャレなカフェ。
窓際の3人掛けの丸いテーブルが私たちの特等席だった。
「ブラックコーヒーをちょうだい、3分で持ってきなさいよね」
「では、わたくしは紅茶をいただきましょう」
そう言って、貴音は胸の前で小さく手をあげる。
最近は、毎週のように貴音とここに来るようになった。
それと、たまにもう一人……。
隣でテーブルにおでこを乗せて、すやすやと寝息をたてているヤツを肘で小突く。
全くどういう神経してるのよ……。
「あふぅ、えっとね〜ミキはイチゴババロア!」
あくびをした後に、美希はぴんっと手をあげる。
「あんたね、いつも思うけど飲み物を頼みなさいよ……」
私がそういい終わる前に、ミキの頭がどんどんと下がっていく。
コンッとひとつ乾いた音がしてそのまま動かなくなってしまった。
はぁ……本当にこの3人でユニットなんてやっていけるのかしら……。
頭をかかえてため息をつく私を見て、また貴音がくすくす笑った。
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 21:17:48.27 ID:ojbvOg1fO
やっと来たか…待ってたぞ
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 21:26:47.30 ID:VuYWeDf40
インド王ktkr
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 21:36:52.62 ID:VuYWeDf40
ほ
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 21:39:42.33 ID:9z1otzFQ0
?
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 21:40:28.90 ID:T1GcLNZQ0
帰国したのか
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 21:42:56.76 ID:gzht8bOY0
約束をした、あの日からもう1か月が過ぎた。
そろそろ桜の花も散る頃ね……。
窓の外を眺めると、グレーのアスファルトにピンクの模様が出来ている。
貴音が、目を伏せたまま紅茶の匂いを嗅いで言う。
「今回の【おーでぃしょん】、一体だれが選ばれるのでしょう」
私はシュガーを小さじで3杯入れる。
うぅ、やっぱりオレンジジュースが飲みたいわ……。
「そんなの、この伊織ちゃんに決まってるじゃない」
「ん〜お凸ちゃん緊張でガチガチだったの。ミキ的には無理って思うな」
「な、な、ななんですってー!」
こ、この金髪毛虫はまた私をおちょくって!
「っていうか誰がお凸ちゃんよ!」
立ち上がってテーブルを思い切り叩いた。周りの客が一斉に振り返る。
ウェイターが大慌てでモップを持ってくる。
あ、またやっちゃったわ……。
はぁ、また注文しなおさなきゃいけないじゃない。
「あら?」
だけど、テーブルを見下ろすと、不思議とコーヒーは一滴も零れていなかった。
見ると……。
貴音はカップを持ったまま、空いた左手で縁をしっかりと抑えていた。
「な……」
ぱくぱくと魚のように口を開く私を見て、貴音は笑って言った。
「やはりわたくし達はまこと、相性の良い仲間と言えるのではないでしょうか」
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 21:44:02.86 ID:3OprIiad0
4
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 21:53:51.96 ID:3OprIiad0
10分だと危険だな
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 22:01:59.22 ID:BXFFOKkp0
週末に帰るって話だったから死んだかと思ってたぜ
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 22:06:16.53 ID:VuYWeDf40
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 22:11:41.21 ID:gzht8bOY0
「あはっ、おデコちゃんと貴音って何だか夫婦みたいだね」
「は、はぁ?!」
その言葉を聞いた瞬間、765プロにある古びた瞬間湯沸かし器みたいに、一気に顔が熱くなった。
思わずうさちゃんを振り落としそうになる。
「い、いきなりなに言ってんのよ!バカバカッ!」
「さて、だとしたら伊織が夫になるのでしょうか……」
「あんたもノらなくていいからっ!」
指さすと、貴音はカップを音も無く置いて、ゆっくり微笑む。
周りの客は今度は私たちを見ながら和やかにひっそりと笑う。
私は、わざと大きな音をたてて椅子に座る。
まったく、とんだ赤っ恥をかいちゃったじゃないの!
テーブルに広げた反省会ノートには、それぞれ違った筆跡で、文字がびっしり埋まっている。
貴音は細くてやけに達筆な字で漢字ばっかり使う。
美希はまるっこい字で……
この余白にかかれてる、怒りながら額を光らせてるキャラクターってまさか私じゃないでしょうね……。
「さっ、気を取り直して反省会の続きよ」
「了解なの〜リーダーさん」
「三人寄れば文殊の知恵、というものですね」
……この時はただひたすら先へ進んでいくのが楽しかった。
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 22:21:28.85 ID:VuYWeDf40
しえ
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 22:29:21.39 ID:jChfeX+y0
ほ
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 22:35:14.22 ID:0iKBjiOu0
書きためるっていってたじゃないですかw
支援
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 22:35:23.27 ID:0iKBjiOu0
書きためるっていってたじゃないですかw
支援
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 22:38:01.40 ID:+Ec1ZEhy0
おでこかわいいよおでこ
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 22:42:45.69 ID:0iKBjiOu0
支援
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 22:47:30.46 ID:gzht8bOY0
……。
忙しなく流れて行く人通りの中、美希はマイペースに手をゆっくりと振る。
「じゃあね〜、おデコちゃん、貴音」
「ごきげんよう。星井美希」
「あんた次は遅刻するんじゃないわよ」
ふらふらと歩く美希の背中を、笑顔で見送る貴音を、横目で眺める。
……最近気づいたことだけど貴音の表情って基本的に2パターンしか無いのよね。
何考えてるんだがさっぱりわかんないけど、無表情でだんまりしてる時。
それと、何考えてるんだかさっぱりわかんないけど、ちょっと楽しげに笑う時。
きっとポーカーをやったら765プロで一番強いんでしょうね……。
まぁ、常識知らずのこいつがルールを知ってるか怪しいもんだけど。
せっかくだし今度教えてあげようかしら。
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 22:52:43.39 ID:BIgmNxj30
追いついた
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 22:57:44.62 ID:BIgmNxj30
C
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 22:58:22.37 ID:gzht8bOY0
「さぁ、明日もまた【れっすん】の日々ですね、あなたと一緒に」
そう言って、貴音は銀髪をかきあげる。ほのかに甘い匂いが鼻をくすぐった。
私は、うさちゃんを少し強く握って、見上げて言った。
「ねぇあんたって、私といて楽しい?」
「それは、もちろんです。伊織との日々は、かけがえの無いものですよ」
「なっ……!」
こ、こいつは……。
こういう気恥かしげなことも平気で言ってのけるから驚いたもんだわ。
呆れている私を見て、貴音は私の身長に合わせて膝を曲げた。
途端に眉を八の字にしてうろたえる。
「も、もしや伊織は、私といて楽しくないのでしょうか?」
「はぁ、楽しいわよ、色々な意味でね……」
「わたくし伊織にまた嫌われてしまったらどうしたものかと……」
「あんたは私が認めてあげたライバルなんだから、も〜っとしゃきっとしなさい」
「ふふっ、そうですね、伊織には負けませんから」
それでも私が一番なんだけどね!
ま、でもあんたもソコソコかもね。
……たまに、貴音の普段とは違った表情を見ると、
ほんのちょっとだけ今日はラッキーな日だったわって、思った。
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 22:59:57.82 ID:8VHKPNeR0
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 23:02:13.64 ID:+c/vl7050
いおりん可愛い
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お姫ちんでかいもんな
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 23:13:22.23 ID:75+vRKmL0
ほす
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 23:20:41.69 ID:Emzwy1ra0
桃尻お姫ちん可愛いよ…
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 23:23:08.92 ID:gzht8bOY0
「お嬢様、今日の朝食のメニューは……」
「食パン1枚でいいわよ!」
たくさんの料理の中から、オレンジジュースだけを選んで掴む。
グラスから水滴がこぼれて、テーブルクロスにシミを作った。
大急ぎで飲み干して、鏡を見ながらヘアスタイルを整える。
ち、遅刻じゃない!
今日は、よ〜〜やく新しいプロデューサーが来る日だっていうのにっ!
このスーパーアイドル伊織ちゃんの実力を魅せる時がついに来たのね!
無言で銀色のプレートを片づける執事に、リボンを選びながら言った。
「あ、言っておくけどこの前の超高級のヤツにしなさいよね!」
「かしこまりました」
最近は、早朝から貴音とのレッスンがあるから、ゆっくりモーニングジュースも飲めないのよね。
お腹が減ったら事務所のお煎餅でも齧ろうかしら。
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 23:28:02.46 ID:nITsO5xJ0
ほ
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 23:36:03.67 ID:qtolCLP10
保守
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 23:42:51.65 ID:DGDfWurX0
保守
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 23:43:17.64 ID:ojbvOg1fO
今回はまた一段と遅いなw
臙脂色のリボンを口元に咥えていると、背中越しから低い声がした。
「伊織、アイドルはまだ続いているようだな」
……髪を結ぶ手がピタリと止まった。
お兄様、今日は家にいるのね。
振り向かずに、きゅっとキツく結び目を作る。
「……ま〜たイヤミを言いに来たのかしら」
「いや、正直、最近のお前が羨ましいよ」
「えっ」
驚いて振り返る。そのまま固まる。
お兄様は、水瀬の標語をじっと眺めている。
ブラックコーヒーを、最小限の手つきで口へ運んだ。
……今、何て言ったのかしら。
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 23:53:20.23 ID:17oGM1TV0
ほ
46 :
忍法帖【Lv=5,xxxP】 :2012/01/11(水) 23:56:45.16 ID:EBzTkmtH0
支援。ひびたかも良いが、この二人もかなり可能性を秘めている。
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 23:56:51.53 ID:gzht8bOY0
「楽しくやっているようで何よりだ」
「な、なによいきなり」
「水瀬グループの社長なんてやってると、どうしてもキレイ事じゃ済まされないことも出てくる」
「……」
「その点、伊織。お前の仕事が羨ましくもある」
「……」
素直に嬉しかった。お兄様が私のことを少しだけど認めてくれた。
目の前がぼやける。慌てて腕で拭う。
「後はもう少し結果を残してくれれば言うことはないんだがな」
「……っあったり前でしょっ!」
うさちゃんを掴んで、急いでお兄様の隣をすり抜ける。
顔をゼッタイに見られないように。
重たい扉を押して、外へ出ると、かすかに蝉が鳴いていた。
太陽がじりじり照りつける。じっとりと汗を掻く。
季節はいつのまにか夏になっていた。
最近は深夜番組のミニコーナーくらいの仕事は舞いこんでくる。
この先は、今日来るプロデューサー次第ってとこね。
貴音、ユニットが組めそうよ。
一体、その時あんたはどんな顔をするのかしら。
「にひひっ」
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/11(水) 23:58:55.09 ID:Emzwy1ra0
お姫ちんも可愛いが…
たかいおに喜ぶ伊織も可愛い!
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 00:03:03.08 ID:17oGM1TV0
やよいおりがいいと思ったが
たかいおもいいもんだな
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 00:08:25.39 ID:E39t/6570
いいね
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 00:10:32.97 ID:n6Iv9c6NO
あ
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 00:15:44.27 ID:Eqw+Xqaz0
最後までのこってくれよ
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 00:21:11.15 ID:0PMZ8wua0
ポンコツのクーラーががたがた音を立てる。
「うっ……男の人ですぅ……」
「あらあら〜 そんな緊張しないでちょうだい〜」
その音が掻き消されるように、私たちのざわめきが事務所に響く。
更にそれより大きな声で、そいつは深くお辞儀をした。
「あ、あのっこ、これからよろしくお願いします! これから765プロのプロデューサーになりました……」
テレビでは大手プロダクション提供のCMが流れてる。
CGまで使っちゃって随分と手が込んでるじゃない。
ふぅん、961プロっていうのね……。
「目標は……そうだ! うちでもこんなコマーシャルが流せるくらいの事務所になることです!」
鼻息を荒くして、テレビを強引に叩く。
砂嵐が一瞬映って、すぐに妙な高笑いがテレビから聞こえる。
真っ白なホワイトボードをみんなが一斉に眺める。
「が、が、が頑張ります!」
……やる気はあるみたいだけど、なんか空回ってる感じね。ホントに大丈夫なのかしら。
「あふぅ、そこの人〜。ミキ、お昼寝してるんだから静かにしてほしいの」
ソファで毛布に包まっている美希が言う。
「美希、いくら頼りの無い殿方といえども、礼節が足りませんよ」
貴音がいつもの声のトーンで美希を揺する。
「あ、あはは……」
新人プロデューサーの顔が引きつる。
「あー……この二人ちょっと天然入ってるから気にしないでちょうだい」
皆が新人に注目する中、なぜか律子だけが私をじっと見つめていた。
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 00:25:06.70 ID:pEbCX6ib0
ほ
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 00:33:01.87 ID:XnhQc9Yx0
お兄さんがデレたw
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 00:42:39.02 ID:VFm09ySC0
h
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 00:42:55.64 ID:uIAY6XNV0
保守
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 00:52:18.48 ID:0PMZ8wua0
……あら、意外とこれイケるじゃない。
ソファでお煎餅を齧りながら5冊目のノートにペンを走らせる。
「どう思う?」
「どう?とは」
貴音はこの蒸し暑い日に、紫のカーディガンを羽織って煎茶をすすっている。
安いボールペンで顔をテキトーに書いてみた。とんとんとペン先で叩いて言った。
「こいつよ、こいつ」
「誠実な殿方で好感が持てるのではないでしょうか」
「ふぅん」
あんたはそう思うのね……。ま、悪いヤツじゃ無さそうだけど。
いつのまにか反省会ノートは、ただの自由帳になっていた。
ラーメン屋の名前がびっしりと並んで、上から順に一口メモが並ぶ。
二十郎とかなんだかに行った時は思わずカルチャーショック受けちゃったわよ……。
「美希は?」
「ん〜これ誰?」
「聞いた私が悪かったわ……」
美希はその周りにまた私たちの似顔絵を書く。至る所にハートや星を散りばめる。
その時、遠くで律子が私に向かって手招きしているのに気づいた。
……一体何の用かしら。
「ちょっと行ってくるわ」
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 00:52:27.36 ID://RP3ps80
ほ
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 00:59:40.67 ID:XnhQc9Yx0
保守
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 01:10:14.71 ID:AE5SRTZb0
この速度だったらSS速報に行ったがいいのでは…
貴音可愛い支援
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 01:15:40.46 ID:0PMZ8wua0
「へっ……」
思わず、うさちゃんを床に落とす。
のぼせた頭から、熱が段々と引いていく。
律子が満面の笑みでクリップボードを握りしめる。
「ふふふ……驚くのも無理はないわね」
「ど、どういうことよ」
「前にちゃんと言ったでしょ、ユニットを組む気が無いかって」
「それは聞いたけど……」
「あの頼れるプロデューサー殿が来てくれて、私もようやくこのプロジェクトに専念できるわ」
“頼れる”という部分を強調て律子は言った。
武者震いをしながらクリップボードを差し出す。
私と、あずさと、亜美のポラロイドが張ってある。
その下にずらりと契約スポンサーと出演予定番組が並んでいる。
「おめでとう。この先1年間はもう色んな番組に引っ張りだこよ」
「1年……」
目を逸らすと、律子は不思議そうな顔を浮かべた。
「どうしたの? 嬉しくないの……?」
嬉しいわよ……今すぐ兄さんにメールで報告したいくらい……。
嬉しいけれど……。
私は、スカートの裾をぎゅっと握りしめて、目をキツく瞑った。
すると、貴音のいつもの笑顔が、瞼の裏にぼんやり浮かんだ。
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 01:20:26.79 ID:pnVesmEIO
なんて空気の読めない律ちゃん…
64 :
愛の波動砲 ◆GgSaTo1XUM :2012/01/12(木) 01:20:50.57 ID:QiQmvBU00
いおたかとか俺特以外の何ものでもない
シエン・モーラン
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 01:24:01.32 ID:o+A/vKxH0
ワンダリングスターはいおたか量産機
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 01:27:46.16 ID:IFVAbNOH0
>>64 伊織の業火、タカゾードフレイム!
しえん
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 01:36:12.63 ID:uIAY6XNV0
保守
68 :
魔神火炎砲 ◆GgSaTo1XUM :2012/01/12(木) 01:36:23.32 ID:QiQmvBU00
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 01:41:23.09 ID:qvM4H+Wc0
伊織貴音美希とか俺得すぎるC
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 01:43:04.35 ID:0PMZ8wua0
「そうですか」
貴音の表情は変わらない。
だけど、微かにカップを持つ手が震えていることに私は気付いた。
──では、いつか皆で、更なる高みを目指しましょう
あの嬉しそうな横顔を思い出す。
貴音はよく笑う。
けれど子供のようなあの無邪気は笑い方は、その時だけだった。
「……」
喉が渇いてきたわ。
だけど、目の前にぼんやり映るアイスコーヒーを飲む気にはどうしてもなれなかった。
私は、絞り出すように言った。
「ね、ねぇ。私断ろうかと……」
「水瀬伊織、いけませんよ」
「えっ……」
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 01:43:56.95 ID:GHjFboIR0
残っててくれほし
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 01:49:11.81 ID:0PMZ8wua0
いつもの穏やかな声とは違って、低く威圧感のあるトーンだった。
顔をあげると、いつになく真剣な顔をした貴音がいた。
「律子嬢の想いを、汲むべきです」
「だ、だって……!」
「それに、わたくし達のした約束は、高みを目指すこと」
「……」
「あなたと共にいる事ではありません。違いますか?」
──違うわよ。
「えっ……」
驚いて、周りを見渡す。いつものカフェの光景が広がっているだけだった。
今、私と全く同じ声がどこからかしたんだけど……。
そして、なぜか胸の奥がむず痒くなった。
その感覚はすぐに体の奥へと引っ込んでいく。
気のせい……か。
「伊織……?」
「……」
私は、ひとつ、小さく頷いた。
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 01:50:27.74 ID:fcNCd5hT0
可愛い!いおりん
Pが全然でてこねぇww
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 02:05:50.75 ID:0PMZ8wua0
「では、笑ってくれませんか?」
「わ、わかってるわよ」
顔を下に向けて、笑顔の練習をする。
ピカピカのタイルには、口の端がひくひくと引きつった私が映っている。
……負けないわ。
「……にひひっ」
「ふふっ、それでこそ伊織です……おや」
そう言って、貴音は突然人差し指を立てて口をぽっかりと開ける。
こ、今度は何よ……。
「わたくしに少々考えがあるのですが」
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 02:16:56.71 ID:Ezer7Pkf0
保守
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 02:28:05.94 ID:0PMZ8wua0
社長室のデスクの下に宝物のように置いてある箱の埃を払う。
美希が口に咥えたペンライトで照らす。
ゆっくりと開けると、ピンク色のフリルのついたステージ衣装が入っていた。
「なんだかこういうのドキドキするね〜」
「バレたら律子にこってり絞られるわよ……」
貴音は神経を張り詰めさせて、入口を見張っている。
「気配を察知したら、わたくしが合気道で……」
765プロ秘蔵のステージ衣装に、袖を通す。
ピッタリと身体に張り付いて、軽くて動きやすい。
スポットライトの中で踊れたら、きっと最高の気分なんでしょうね。
着替えが終わると、貴音が持ち込んでたカメラを用意する。
しばらく手のひらで転がしていると……貴音の首が斜め45度傾いた。
「あーいいわよ、私がやるから……」
ペンライトで照らしながら、タイマーをセットする。
何を言いだすかと思ったら……。
ほんっとーに貴音といると飽きないわ……。
>>1は寝たのかい?
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 02:32:52.26 ID:YNzJZdew0
写真…なんか切ないな
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 02:46:14.13 ID:0PMZ8wua0
事務所の時計は夜中の11時を回っていた。
「じゃ、いくわよー」
机にカメラを置いてボタンを一つ押す。
暗闇の中、ピッ……ピッ……と規則的な音が鳴る。
二人の待つ窓際に立って、うさちゃんを抱きしながら、歯を見せて笑った。
美希は顔の横で人差し指と親指を立てて、ウィンクする。
貴音は……
……へぇ、あんたピースサインなんてするのね。
また、知らない貴音の一つを見ることが出来たのね。
そう思ったら、胸の奥でトクン、とひとつ音が鳴って……。
じんわりと、そこから熱が広がった。
貴音に手を握られた時に似ていた感覚だった。
その瞬間、それを上書きするかのようにフラッシュが瞬いた。
貴音は、私と美希の肩に手の優しく乗せて言った。
「1年後、これを夢現では無いと証明しましょう。各々道は違えど、目指す場所は一つです」
続けて、貴音は言った。
そしてこの日々をいつまでも忘れないように、って。
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 02:48:16.01 ID:0PMZ8wua0
いおたか 第二部 完!
ごめんなさいでした……寝不足のせいか全然進まなかった……。
明日また続き書きます。終わらせます。
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 02:48:25.47 ID:5aoM3WHU0
切ないな…
りっちゃんが小町なんて作らなければ…
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 02:49:18.83 ID:5aoM3WHU0
乙!何時頃になりそうだい?
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 02:53:57.25 ID:0PMZ8wua0
夕方仕事から帰ってきたら速攻書きます!
合間に出来れば保守っときます
なんとか山場までは力尽きないように頑張る
保守してくれた方、読んでくれた方本当にありがとうございました。
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 03:01:03.23 ID:LjtCKmOd0
素晴らしい
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 03:02:58.81 ID:+jQ6puVV0
無理ない範囲で頑張ってくれ
乙!
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 03:08:41.13 ID:Pj+2RsQyi
やっぱあんたSS速報で書いた方がいいよ乙
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 03:14:26.52 ID:/iepxB+OO
保守
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 03:26:35.77 ID://RP3ps80
プロデューサーが過労死する展開はありそうですか?
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 03:40:51.09 ID:fcNCd5hT0
ほ
保守…いいところでおわらせやがって
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 04:24:30.43 ID:LjtCKmOd0
み
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 04:45:36.23 ID:5aoM3WHU0
もうねる。誰か頑張ってくれ
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 05:02:51.83 ID:nw8jHEJW0
ほ
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 05:21:26.18 ID:Cxtj1WZa0
天国騒動あってから、多少保守間隔ながくなった?
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 05:44:35.07 ID:sXPy+fTj0
保守
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 05:56:51.48 ID:sXPy+fTj0
ほ
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 06:11:12.09 ID:Y8hcsFz+O
あーインスピレーション湧いてきたわ
続き書いていい?
結構有名な書き手なんだが
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 07:11:53.52 ID:AE5SRTZb0
貴音可愛いなぁ
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 07:50:25.32 ID:Xbo80ifs0
ほ
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 08:03:03.29 ID:GHjFboIR0
保守するのか落とすのか
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 08:07:04.98 ID:mqVggscP0
ほっはー
ほっしゅ
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 09:14:30.85 ID:Xbo80ifs0
サンキューホッシュ
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 09:16:01.74 ID:pnVesmEIO
俺「は、春香が欲しい!んだけれど……」
春香「はい////」
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 09:57:25.60 ID:Xbo80ifs0
そういや倒産のときも良いいおたかだった
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 10:31:44.45 ID:a2YectsK0
VIP初のいおたかSSじゃないだろうか
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 10:41:42.72 ID:ueyLfCf10
保守
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 10:55:20.11 ID:Ezer7Pkf0
保守
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 11:11:48.95 ID:4S2+u84D0
保守
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 11:28:55.51 ID:fcNCd5hT0
いおたか、保守
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 11:47:35.74 ID:Ezer7Pkf0
ほ
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 11:47:41.01 ID:QOtBMcXtO
ほあっ!
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 12:07:30.18 ID:K9ZOM6uv0
ほ
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 12:24:38.49 ID:fcNCd5hT0
地震ゆれた?
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 12:51:19.11 ID:ct+Fjllm0
h
ほ
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 12:58:50.59 ID:Pj+2RsQyi
いおたかは多分この人が結構書いてる
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 13:00:49.37 ID:J4ef0iIG0
響が悔しがってる
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 13:17:12.64 ID:GCq55jyk0
ギャグも好きだけどやっぱこの人はシリアスだ
122 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 13:35:12.09 ID:BEOhBfOM0
保守
123 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 13:57:03.44 ID:XnhQc9Yx0
支援
ほ
125 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 14:30:48.29 ID:GHjFboIR0
ほー
126 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/12(木) 14:40:05.16 ID:N6r//BGe0
前スレググっても出ないんだが
127 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
ほしゅー