1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/27(日) 23:29:17.23 ID:JaQ+zUJoO
帰り道、友人のYに会った。
「おっ、Aじゃん!くそ暑いのに散歩か?」
「おうY、まぁそんなところ。っていうかお前は?」
「試験の成績悪くてさ、呼び出し食らって今から行くとこ」
「ああ、お気の毒に」
笑いながら言って、ふと思い付いた。
ちょっと事件について調べてみるか。
「俺も一緒に行っていいか?
っていっても付き添いじゃなくて図書館行くんだけどさ」
「なんだ、一瞬でもお前に期待した俺がバカだった…
っていうかお前が図書館かよー。」
「涼みに行くんだよ。この暑さじゃ冷房代バカにならないし」
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/27(日) 23:33:03.42 ID:JaQ+zUJoO
「そっか。そういえば肝試し行ったんだって?」
「ああ。たいして何もなかったけどな」
「つまんねえなぁ…。
…そういえばさ、あそこで死んだ娘って変だったらしいな」
「変?」
「んんー…まぁ何年も引きこもってて頭もちょっと変だったらしいけどさ。
そういうんじゃなくて、入れないような所に現れたり。
密室っていうのか?人殺しもそういう所でばっかりだったらしいし」
「…なんだそれ」
「まぁただの噂だけどな、ここ地元じゃそんな話もあったんだ。
警察から抜け出したのも廃ビルに忍びこんだのも実はどうやったのかわかんねぇとかって」
「……」
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/27(日) 23:38:21.11 ID:JaQ+zUJoO
「あれ、ひょっとして珍しく怖がってくれてる〜?」
「え?いや…。ってなんだよそれお前の作り話か!?」
「違うよ、そういう話は本当にあったんだよ。
お前が変な顔してるから」
「ん…、すまん。なんでそんな噂が流れるようになったのかなって思って」
「知り合いの話だとよ、あのビル元々非常階段からは上れないようになってたのね、
んで中から侵入して上った跡もないのに屋上に靴があったんだと」
「あれ、あの階段って飛び降りがある前から下の方の段外されてたのか?」
「ああ。俺も昔から見た事あったし、間違いないな。
警察とかでは手すりを伝って行ったとかって事にしたらしいけど。
ずっと引きこもってた女の子ができるかねぇそんな事」
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/27(日) 23:44:08.92 ID:JaQ+zUJoO
そんな話をしているうちに大学へ着いた。
「ここまでだな。
うはぁ…説教されんのかな、俺…」
「ドンマイ」
苦笑いでYを送り出し、図書館へ向かった。
「っていってもどうやって調べよう…。ネットが早いかな」
図書館の上の階にあるパソコンルームは、夏休みも開いているようだ。
「えっと…ところでなんて検索しよう」
数年前の事件だ。「連続殺人事件」で検索して、多くの記事からそれらしきものを読んで行った。
「最初の被害者はH町の一人暮らしの大学生…。住んでたの俺と同じ町じゃねえか…。
死因は刃物で首を切られた事による失血死…」
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/27(日) 23:49:19.34 ID:JaQ+zUJoO
まとめると、最初の被害者は一人暮らしの大学生の男、次は実家住みの浪人生の男で首を切られて死んでいた。
三件目は高校三年生の男で、未遂に終わっていて、犯人はこの時に現行犯逮捕されている。
犯行はいずれも密室で行われていた――Yの言っていた事と同じだ。
犯人の少女は何年間も学校にもいかず家にとじ込もっていた。
話は要領を得ず、密室にどのように侵入したのかや、犯行の動機も不明。
精神鑑定を行なっていたが、自殺――。
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/27(日) 23:55:34.57 ID:JaQ+zUJoO
「さすがに犯人については未成年だから大した情報はないか…」
記事の近所の人の話も「ずっと見ていない」という内容のものばかりだ。
だが、ある掲示板を見ていると、「犯人の家
ttp://〇〇△△.jpg」と書かれたレスがあった。
はっとしてURLをクリックするが…
「うぁぁ…消えてる…」
さすがに数年前のものだ、残っていなかった。
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/27(日) 23:55:49.84 ID:ESkvRtZO0
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ァ / / !. | ! | | い. ’
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. / / {_j ! く/ |!└┤ ´ 辷ン /ィ´!// /:::::::::::::, '´ ゙̄ヽ: : : : : '. レ(__ノ\ | \
// !. | |' 辷 ノ ''''/ '´ |::::::::::::::{:::::::::::::::}: : : : : :|
./ | Y '''''' _r‐'了 |:::::::::::::: 、::::::::::ノ: : : : : :| ,―┴┐ | ___ ─┼─ | ヽ
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/ / ! ヽ.、 `ー ヘ_:::\__ \'´ : : : : : : : : : : / ノ| '又 ' .レ ー─' | ヽ_ ヽ/
. / /ィ\ \ マ''ァ 、_ ィ/ >ヘ、  ̄¨''¬ー- 、 _____, '´
/ / ヽ、\ Yr‐T!ア / .二\
/ / ヽ、ヽ、 / -‐、∨
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/28(月) 00:00:32.67 ID:2PErE3dnO
気が付くと外はもう日が暮れていた。
「…もう帰るか」
暗くなった道を歩きながら気付く。
「そういえば昼飯買ったのに食ってねぇ…。これ、まだ食えるのか…?」
手に下げた袋から飲み物とサンドイッチを出す。
図書館でクーラーの中にいたものの、その前に散々夏の日差しにあてていた。
「…勿体無いしいちかばちか」
歩きながらサンドイッチを頬張り飲み物を飲み干した。
家についてシャワーを浴びて一息ついた頃。
「は…腹いてえ…」
やっぱり当たった…。
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/28(月) 00:05:35.79 ID:2PErE3dnO
出るものを出しきった俺は寝る事にした。
「もうヤダ…」
タオルケットを腹にかけ目を閉じる。
昼間暑い中歩いて疲れていたのか、すぐに眠ってしまった。
夢の中で、知らない部屋にいた。
いや、昨日夢で見たのと同じ部屋か…?
――アソンデ。
誰の声だろう。子供みたいな声だ。
――……ニ、ナリタイ。
良く聞き取れない。
『私はあなたを離さない』
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/28(月) 00:10:49.44 ID:2PErE3dnO
はっと目が覚める。
「また変な夢見たな…」
怖い感じはしなかったが。
「…なんか腹減ったな…」
時計を見ると3時過ぎだった。
腹痛のせいで夕飯は食べていなかったしあれだけ下から出せば当然か…。
もう腹痛はしないし、コンビニで弁当を買って食べる事にした。
「月が綺麗だな…」
満月ではなく、少し欠けた月だったが、そんな事を考えながら歩いた。
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/28(月) 00:17:07.65 ID:2PErE3dnO
金縛りはあれ以来起きていないが、あの部屋の夢を良く見るようになった。
大抵、誰かと会話しているような夢ばかりだが、会話の相手がいつも見えない。
その夢の中では自分から動く事は出来ないので、相手を探すことも出来ない。
まるでテレビでも見ているような感覚だ。
不思議な夢だとは思うが怖くもないし、あまり気にしないでいた。
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/28(月) 00:22:16.99 ID:2PErE3dnO
ちょっリアルで腹痛い
ちょっと休憩
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/28(月) 00:28:22.25 ID:2PErE3dnO
うひぃ
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/28(月) 00:36:11.21 ID:2PErE3dnO
夏休みに入り、バイトに遊びにと忙しく過ごしているうちに、
すっかり金縛りの事や事件の事なんて忘れてしまっていた。
そんなある晩、またまたWの家に集まって飲んで帰って来た時の事だ。
「あー飲んだ飲んだぁー」
そう言って布団に倒れ込む。
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/28(月) 00:44:59.89 ID:2PErE3dnO
大の字になってそれから、姿勢を変えようとする。
「……!!」
体が動かない。金縛りだ。
「ウソだろ…」
ついつい目だけを動かして辺りを見る。
まだ眠ってすらいない。明かりすら付けたままだ。
横から、前に見たのと同じ少女の顔が現れる。
少女はじっと目を見つめた後、口を開いた。
「ねぇ…知らない…?」
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/28(月) 00:45:56.59 ID:U6kXpabS0
調子に乗っちゃだめーwwwwwwwwww
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/28(月) 00:50:52.28 ID:2PErE3dnO
「はぁ!?なんだよ!?何も知らねぇよ!」
声は出せるが、恐怖で言葉が荒くなる。
なんで俺がこんな目にあってるんだ!?
「あの娘…知らない…?」
少女はこっちの気持ちも知らないで――いや、幽霊が知るはずもないが――語りかけてくる。
「あの娘って誰だよ!?知らねぇよ!!とっとと消えろ!!」
少女は首を傾げて瞬きをした。
「いなくなったの…」
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
少女がそう言った瞬間。
あの廃ビルの屋上にいた。
たまに月明かりが差すが、すぐに雲で隠れる。
体が勝手に動いて靴を脱ぐ。
――何だ!?何をする気だ!?
手すりをやっとの思いで乗り越える。
――!!…やめろ、やめろ!!
そして、迷いなく身を投げる。