71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 05:53:08.50 ID:6p2Lm2Cr0
カンカンカンカンカン
階段を登り、ラボの上の三階の部屋の玄関を開け、中に入る。
そこにはやはり、巨大な黒球があった。
なんのためにこんなものを
思いながら、急いでスーツを探す。
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 05:56:14.74 ID:6p2Lm2Cr0
岡部「あった」
岡部と名前の書いてあるケースをあけると
まゆりの着ていた黒いラバー状のスーツがあった。
急いで服を脱ぎ、スーツを着る
着ながら横目にケースのふたの裏に書いてあるものを見つける
セツメショ(笑)
と書いてある字の下に
図で右腕の上腕部が青く塗られていた。
ためしに右腕をまさぐってみると
スーツの右腕上部が青白く光り始める
セツメショ?説明書ということか
だが悠長に説明を聞く時間はなかった、
岡部は急いで部屋を出た。
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 06:00:04.20 ID:6p2Lm2Cr0
ダッダッダッダッダッ
さっきまでは想像だったが、このスーツの動増強性は確かだとわかった
さっきまでより移動速度がかなり速い。
道の角を曲がると、
三人の姿と道の前後で三人を囲む二体の巨大ゴリラの姿が見えた。
クリスが両腕を前方に構え、2mの巨体からビュッッビュッと放たれるゴリラの腕をかわしている。
岡部のほうの巨体ゴリラはまゆりのスーツを警戒してか、距離を保っている。
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 06:06:09.37 ID:6p2Lm2Cr0
岡部「クリス!!おまえらこっちだああああああ!!!」
岡部は叫び、全力で走る。
前方の巨体ゴリラが振り返って岡部のほうを向いた。
後方でクリスがもう一体の巨体ゴリラの腕をよけると
もう片方の腕がクリスに伸び肩を掠める
ゴッ
クリスはきりもみして回転し、はしだの足元まで転がった
クリス「うっ・・・くっ・・・」
クリスが痛みに眉を寄せる。
クリスを殴ったゴリラがクリスに近づく。
岡部の前方ではもう一体の巨体ゴリラが腕を上げ構える
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 06:12:37.33 ID:6p2Lm2Cr0
岡部「うおおおおおおおおおおおおおおお!!」
岡部が足に力をこめると、スーツの脚部がメリメリと音をたてて
血管のような繊維が浮かび上がる。
岡部は地面を蹴りアスファルトを割ってジャンプした。
岡部「おおおおっ!?」
ジャンプした岡部自身が驚いたほどだった。3mほど上空まで体が浮かび、
下を見ると目の前にいたゴリラが過ぎ去っていく。
岡部の体は大きく放物線を描き、前方のゴリラの上方を飛び越え、
後方の巨体ゴリラと倒れたクリスの間に着地した。
スーツの足部が衝撃を吸収し、ブシュウウウウゥゥゥゥゥ!!!と音を立てる。
岡部はスーツの性能に驚くとともに、
目の前の巨体のゴリラに集中した。
バッ
2mの巨体に向かって片手をかざす。
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 06:19:21.89 ID:6p2Lm2Cr0
岡部「蛮行はそこまでだゴリラ星人よ」
片手をかざして言うものの、実際はこれでこの2mある巨体のゴリラが殺せるのか疑問だった。
右の腰には黒い刀を下げてきていた。柄のボタンを押すと刀の刀身が伸びることを確認している。
岡部の目前の巨体ゴリラが右腕を岡部に振りぬく。
ゴンッと鈍い音を立てる。
岡部は左腕で巨体ゴリラの腕を受ける。
受けた左腕に痛みはない
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 06:25:59.37 ID:6p2Lm2Cr0
岡部「おおおおおおおおおっ」
岡部は右腕を振りかぶる。
右腕を覆うスーツがメキメキと音をたてて擬似筋繊維を浮き上がらせる
右腕を振り切る
ボキィッ
骨が折れるような音を立てて、岡部の右腕が巨体ゴリラのわき腹に突き刺さる
巨体ゴリラはウゴォっとうめき声をあげて倒れた
はぁっ、はぁっ
岡部「や、やったのか・・・?」
クリス「後ろ!岡部!!」
クリスの声ではっと振り返るともう一体の巨体ゴリラが
両腕を頭上であわせて、一息に岡部に振り下ろした
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 06:32:33.46 ID:6p2Lm2Cr0
岡部は両腕を頭上でクロスし、
打ち下ろしを阻む
巨体ゴリラの両腕に押し下げられ、
岡部は体ごと両足をアスファルトにまりこませる。
岡部「あああああっ!!」
叫ぶと、押し込んでくる巨体ゴリラの腕を振り払い、再度ゴリラが腕を振りかぶる前に
腰の刀の柄をとり、ボタンを押す。
刀の柄からシュンッと刀身があらわれる。
それを両手で持ち、体全体に力を込め、メキメキというスーツの音とともに下から逆袈裟斬りに打ち上げる。
ガガガッ
刀は巨体ゴリラの右腋から心臓部までを切り裂き、体に刺さったままとまった。
巨体ゴリラの体から浅黒い血が噴き出し、巨体は倒れた。
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 06:39:03.40 ID:6p2Lm2Cr0
黒く塗りつぶされた夜の狭い通りで、
四人の男女と、倒れた人間ゴリラの巨体があった。
クリスがおそるおそる岡部にかけよる
クリス「岡部、岡部、・・・そのスーツ、本当なの?」
岡部「はぁっ・・・はぁっ・・・」
岡部はしばらく息をついて、答えた。
岡部「ああ、信じがたいことだが・・・」
そう言って前方の暗闇を見つめる
岡部「だが、まだだ」
岡部の見つめる先にはドラム缶のような腕を引きずる
1.5mほどの巨腕のゴリラが口を赤くベトベトにして、
こちらに歩いてきていた。
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 06:45:41.74 ID:6p2Lm2Cr0
ヒタッヒタッヒタッ
腕ゴリラが四人のいるほうに近づいてくる
あの腕だ、あれが危ない。ドキンドキンと打つ鼓動の音をわずらわしく感じながら思った。
途中で腕ゴリラの足が止まる。
ドラム缶のような腕がプランと揺れたかと思うと、
突然腕ゴリラの姿が消えた
そして次に腕ゴリラの姿を見たとき
すでに岡部の眼前でドラム缶の腕を下方に振りかぶっていた。
岡部「おおおおおおっ!?」
驚いて体をのけぞらせる、巨腕が岡部の鼻先をかすめ、
轟音とともに突風が吹き荒れる。
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 06:53:23.96 ID:6p2Lm2Cr0
目の前には腕を上部に伸びきらせて上体をそらせる腕ゴリラ
岡部「ああああああああああああっ!!」
岡部は右腕を振りかぶり、スーツの擬似筋繊維がメキメキと音をたて、
腕ゴリラの腹部に殴りかかる
ブン
腕ゴリラは体をそらし、突き出された岡部の右腕を避ける
岡部はそのまま前のめりになる。
腕ゴリラは、ドラム缶の腕を振り上げ、
前のめりになっている岡部をめがけて振り下ろした
岡部「ひいっ・・・!」
岡部は足を前に出して踏みとどまり横にそれた。
ガァンッ!!!
あたりに轟音とアスファルトが飛び散る。
見ると、ドラム缶のような腕が半分ほどアスファルトにめり込んでいた。
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 06:56:50.90 ID:6p2Lm2Cr0
岡部「はぁっ!はぁっ!はぁっ!」
ドキン! ドキン! ドキン!
視界が赤く染まり、心臓の音が耳を打つ。
腕ゴリラを見ると、自販機の明かりに照らされた巨腕のゴリラは、クリスたちのほうに向き直っていた。
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 07:01:00.26 ID:6p2Lm2Cr0
急速に心臓がしめつけられる
岡部「うおおおおおおおおおおおお!!」
叫びながら腕ゴリラに突進すると、腕ゴリラははじかれたように
岡部のほうに向き直りドラム缶のこぶしを放つ
ビュンッ
岡部はしゃがんで巨腕をかわす
そしてアッパー気味に右腕を腕ゴリラに突き刺す
ガッ
手ごたえが合った、だが岡部の右腕が打ちぬいたのは腕ゴリラのもうかたほうの巨腕だった。
まるで鉄を殴ったような感覚。恐ろしく硬く、ナイフで突き刺せないはずだと思った。
そして岡部の右腕を受けた巨腕のもう一方の腕が、岡部を右側から殴りつける。
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 07:07:48.96 ID:6p2Lm2Cr0
バァァァァン!!!
世界が爆発した。
岡部は吹き飛ばされ、ガァンッと凄まじい破壊音をたて自販機に体をほとんどめり込ませた。
混乱しながら考えをめぐらせる
食らった!?スーツは大丈夫か!!?
スーツが壊れては勝つ見込みがなくなる。岡部は指先に力を込める。
するとスーツの擬似筋繊維がメキメキと音を立ててこたえた。まだスーツは使える。
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 07:14:29.93 ID:6p2Lm2Cr0
岡部がめり込んだ自販機から起き上がる。
腕ゴリラを見ると、ヒタヒタとクリスたちのほうに歩いているのが見えた。
岡部「やめろ・・・」
岡部はたたらを踏みながら腕ゴリラのほうにかける
気がつくと、腕ゴリラは岡部の懐に入っていて、
下から打ち上げた巨腕が岡部の腹部に突き刺さる。
バアァァァァン!!!
岡部の体の下方でダイナマイトが爆発したように岡部の体が上空に打ち上げられる。
岡部「はっ・・・はぁっ・・・!!」
地上10数メートルを滞空する岡部の目の前には深い藍色の空が広がっている。
体中がきしむ、スーツはまだ動くようだが、スーツの耐衝撃性を貫通して岡部の体に衝撃が走っていた。
迫る地上をみて、岡部の目がさらに見開いた。
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 07:20:22.90 ID:6p2Lm2Cr0
腕ゴリラが、岡部の落下地点でドラム缶の巨腕を大きく振りかぶっている。
振りかぶった腕ゴリラの筋肉がメリメリと浮き上がっている。
あれは、スーツが持たない。落下しながら冷静に分析が進む。
このままじゃ死ぬ!何かないか!
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 07:26:47.82 ID:6p2Lm2Cr0
あたりを見回すが、岡部の回りには何もない中空が広がっているだけである。
ふと自分の右腕が青白く光っているのが見えた。
右腕の上部から画面が浮き上がり、さまざまな文面が並んでいる。
説明書?黒球の部屋の文字が頭に浮かぶ
あわてて文面を読む岡部の目に
ぼーぎょ
という文字が映る
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 07:33:41.99 ID:6p2Lm2Cr0
ぼーぎょ・・・防御!
わらにもすがろうという思いでどうにか操作を進めようとする
右腕上部に移った画面を触ると、タッチパネルのように操作できることがわかった
ビュウウウウウウウウウウウウウウッ
地面が迫る
防御メニューを押し、操作すると
右腕の前方が青白く発光しだした
岡部が地面を見ると、巨腕のゴリラが眼前に近づいてくる
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 07:40:19.38 ID:6p2Lm2Cr0
上空10数メートルに打ち上げられた岡部が落下してくる。
巨腕のゴリラはドラム缶のような巨大な腕を大きく振りかぶり
筋肉をメリメリと隆起させ、
岡部の落下にあわせて全力で振りぬく
凄まじい破壊力が振りぬかれる
バジバジ!!!!バジバジバジッ!!!!!!!
岡部の足部が落下の衝撃を吸収し、ブシュウウウと音を立てる。
腕ゴリラが放った渾身の巨腕は、
岡部がかざした右腕の前方の青白い発光の前でプラズマを発しながら制止していた。
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 07:46:34.07 ID:6p2Lm2Cr0
次いで爆発音
ボオオオンッ!!
岡部の右腕の前方でプラズマを発してブルブルと震えながら制止していた巨腕が
すさまじい爆発音を立てて跳ね上がった、跳ね上がる巨腕に引っ張られ、
腕ゴリラが後ろにのけぞる。
助かった!だがなにが起こった!?防御機能!?
混乱する岡部の目の前にノーガードの腕ゴリラが映る。ここしかない!
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 07:51:11.46 ID:qyRlTeNI0
詠矢以来の黒歴史ktkr
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 07:54:09.18 ID:6p2Lm2Cr0
岡部「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおああっ!!!」
岡部は全身に力を込めて、スーツの軟体性外骨格が震え、擬似筋繊維がメリメリと音を立てて隆起する。
岡部は腕ゴリラの懐に飛びこみ、渾身の力を込めて右腕を打ち込む
岡部が放った右腕が腕ゴリラの腹部にめり込む、
攻撃は一撃で終わらない。
さらに左腕を振りかぶり、
左下から腕ゴリラの腹部を打ち抜く
オゴォッ!!
腕ゴリラがうめき、たたらを踏んでよろめく。
そのよろめく腕ゴリラのアゴを、岡部の右腕が打ち抜く、
ベキベキ音をたてながら宙に打ち上げられた腕ゴリラは、放物線を描いて10メートル後方まで吹き飛ばされた。
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 08:05:49.77 ID:6p2Lm2Cr0
はるか前方に腕ゴリラがドサッと落下し転がる
岡部「はぁ・・・はぁ・・・」
ドキン!ドキン!ドキン!
心臓が鐘のように頭に響いている
やったか?これでいいのか?
腕ゴリラを見ると、
腕ゴリラはピクピク震えて、よろめきながら立ち上がろうとしていた。
岡部は振り返り、ゆっくりとクリスたちのほうに歩いていき、
巨体のゴリラに突き刺さった黒い刀を抜いた。
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 08:10:59.51 ID:v3sMw5jb0
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 08:12:02.08 ID:9sb64zZR0
黙って見てろよ
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 08:12:36.32 ID:6p2Lm2Cr0
ダッダッダッダッダッ
腕ゴリラが一直線に走ってくる
岡部は腕ゴリラの正面に立ち、
刀を両腕で持ち上げた。
岡部「おおおおおおおおおおおああああああっ!!!」
叫び、全身に力を入れる。
両腕を上げた岡部を包むスーツがビシビシ音を立て
筋繊維を浮き上げさせていく。
眼前の腕ゴリラに全力で刀を振り下ろす。
腕ゴリラは巨腕を持ち上げて防ごうとする、
その腕が損傷ですばやく上がらない。
刀が腕ゴリラの脳天をとらえ、ザザザザザッと
腕ゴリラを縦一文字に切り裂く。
巨腕のゴリラは縦に真っ二つに切り裂かれ、二手に分かれながら仰向けに倒れた。
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 08:15:01.29 ID:0MCkbhTJ0
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 08:19:54.42 ID:6p2Lm2Cr0
強く刀を握りながら足の力が抜ける
クリス「岡部っ!」
脱力してへたりこむ岡部にクリスとはしだとまゆりがかけよる。
岡部「ああ助手よ、肩は大丈夫か?」
クリス「たいしたことないわ、それよりあなたよ。そのスーツ・・・」
クリスはそういうと岡部の着ている黒いラバー状のスーツをしげしげと眺める。
岡部「ああ、いったい誰がなんのためにこんなことをしているのかはしらんが」
右手を上げて見つめる
岡部「こいつはいいものだ」
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 08:26:59.14 ID:6p2Lm2Cr0
まゆり「私たち助かったんだよね?ね?オカリン」
ダル「あんた、漢だったぜオカリン」
ダルが親指を立てる
岡部はあたりを見回す。
息たえた巨体のゴリラが二体。目の前には真っ二つの巨腕のゴリラ。
電灯が明滅し、そばの自販機は人一人ぶんがおさまるくらい破壊されている。
ゴリラ星人はこれで全部なのか?ほかにもいないとは限らない。もしそうだったら
あたりを見回していると、再び四人に消失が起こり始めた。
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 08:33:22.20 ID:6p2Lm2Cr0
四人があらわれたのは、黒球の部屋だった。
明かりはついておらず、暗い部屋にカーテンのない窓の外から薄い光が差し込んでいる。
クリス「助かった?・・・助かったのね私たち」
はしだ「いったいなんだったん?ここラボの上の部屋っしょ?」
息をつく岡部にまゆりが抱きつく
まゆり「オカリイイィィン!恐かった!まゆしぃはとても恐かったのです!」
岡部に抱きついたまゆりは声を上げて泣きはじめた。緊張が解けたのだろう。
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 08:40:10.09 ID:6p2Lm2Cr0
四人のほかに、部屋には誰もいなかった。おそらく助からなかったのだろう。
岡部「とりあえず今日は帰ろう。ダル、まゆりをラボに連れて行ってやってくれ。クリスティーナは俺と残ってくれ」
ダル「オッケー。ほらまゆしぃ、なきたいならいくらでも俺の胸で泣くといいぜ?」
まゆりはダルと一緒に三階の玄関を出た。
クリスは部屋の中央の黒球を見つめる
クリス「実に興味深いわ。今まで見た技術、明らかに現代科学を超越してる・・・」
クリスは黒球を見つめて言う。黒球に触ろうとはしない
クリス「一体誰が何のためにこんなことを・・・」
クリスは岡部のほうをむいた
クリス「ねぇ岡部、これって世界線の変動と何か関係があるのかしら?」
岡部「ふむ」
岡部はうつむいて考え込んだ。
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 08:47:08.07 ID:6p2Lm2Cr0
事件から四日後、
岡部とまゆりは二人ラボで過ごしていた。
まゆり「ねぇオカリン、オカリンもからあげを食べませんか?」
からあげをほおばりながら雑誌を見ていたまゆりが岡部に声をかける。
岡部は床に座り込み、床に置いたPCの画面を見ていたが、まゆりの声に気がつき、時計を見ると、立ち上がって、冷蔵庫を開けてドクペをとると
まゆりが座るソファの向かいのイスに腰掛けた。
岡部「では少々いただくとしよう」
まゆり「クリスちゃん遅いねぇ、女の子が夜遅く出歩くのは感心しないのです」
そう言ってため息をつくまゆり
岡部「クリスティーナは特別なミッションを受けているのだ、すぐに来るから心配するな」
まゆり「ごめんね、まゆしいが食料を食べ過ぎたのです。反省してます」
岡部「いやいい、食料の量を計り違ったこちらにも非があるのだ。主にじょ〜しゅぅにな」
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 08:54:04.03 ID:6p2Lm2Cr0
まゆり「ところでオカリン?今日のラボはものの配置がちょっと変なのです」
岡部「うむ」
まゆりが見渡したラボ内はPCが床に置かれ、いつもは棚の上にあるものが
すべて床の低い位置に下ろされている。
岡部「これは組織の陰謀と関係がある極秘機密だ、いかにまゆりといえど明かすわけにはいかないのだ、すまんな」
まゆり「オカリンには秘密が多いねー」
まゆりはそう言うと、ふと自分の胸元に視線を落とす
まゆり「あれ?」
驚くまゆり、岡部の視線はまゆりの胸元に掲げられた懐中時計をとらえていた。
まゆり「あれー、まゆしぃの懐中時計、故障しているのです。おかしいなぁ、最近修理したばっかりだったのに」
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 08:57:07.05 ID:i6rYv/nW0
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 09:00:07.85 ID:6p2Lm2Cr0
岡部「まゆり、これからお前に最重要命令を下す」
岡部の声にまゆりはハッとしたようにこたえる
まゆり「はっ、ハイ」
岡部「今すぐ俺がいいというまでソファにうつぶせになって目をつぶっていろ。俺がいいというまで絶対だ、いいな」
まゆりは言われるままにソファにつっぷした。こもった声で岡部にたずねる
まゆり「こ、これでいい、オカリン?」
そのとき、ラボの玄関がバンッと開き、マシンガンで武装した覆面が三人飛び込んできた、
覆面達が岡部とまゆりにむかって銃を構える。
そのとき、覆面達は違和感に気づいた
***「うっうわあああああああああっ!?」
覆面が悲鳴を上げる、覆面たちが自分の腕を見ると、それぞれの肘から先が消失し、
その消失部分から激しく血を噴き出していた。
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 09:06:11.30 ID:6p2Lm2Cr0
覆面の仲間が玄関から突撃したのを見ていたほかの覆面たちが異常に気づく
そしてさらに異変、崩れ落ちる三人の男達のほうから、
棒状に閃くなにかと、プラズマをまとったかげろうがこちらに接近してくる。
ヒュンッヒュンヒュンヒュンヒュンッ
ラボの玄関から建物の入り口にかけて、
棒状の閃光とプラズマのかげろうが数名の覆面の男達をすり抜けて通り過ぎると、
覆面の腹部は切り裂かれ、ズトッと腕が落ち、
次々に覆面たちが悲鳴を上げ始める。
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 09:12:40.95 ID:6p2Lm2Cr0
「ひあああああああああああ!!」
「手がっ・・・あああああああああああっ!」
建物の外に待機していた十数名の覆面たちも建物の中からあがるいくつもの悲鳴に気づく
建物の入り口が陽炎でゆがんだかと思うと
道路の真ん中で陽炎がゆがんだ
バチチチチッバチチチッ
何もない空間が陽炎にゆがみ
そこから人影が、
全身を黒いラバー状のスーツでぴったりと身をつつんだ牧瀬クリスが、
青白く閃く黒い刀を肩にかけて姿を現した。
クリス「おっとナイフに持ち替えたほうがいいんじゃないかしら?仲間に当たるわよ?」
目に見えて動揺する覆面の男達に
あいたてをつきだし人差し指をたてて横にふる
クリス「チッチッチッ、お楽しみはこれからなんだぜ?」
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 09:19:12.19 ID:6p2Lm2Cr0
ラボの室内で玄関でもがき、息絶えた覆面たちに目をやり、外から立て続けに聞こえる断末魔の悲鳴を聞いて、
始まったか、と岡部は思った。
まゆり「なに?なになに?オカリン?もういい、もういいの?」
岡部「まだだまゆり」
岡部はそういいながら、向かいの窓を見つめていた。
向かいの窓にいくつもの人影が見える。
バリィンッと音をたてて窓ガラスが割られる
窓からはいくつものマシンガンの銃口が伸び、
岡部の後ろでソファに伏せるまゆりにむけられていた。
ガガガガガガガガガガガッ!!!!
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 09:25:14.17 ID:6p2Lm2Cr0
いくつもの銃口から数十発の弾丸が吐き出される。
窓から岡部をはさんでまゆりに銃弾が向かう
岡部は窓の覆面たちに向かって右手を突き出す。
岡部の前方が青白く発光しはじめた
バジジジジジッ バジジジッ
窓のいくつものマシンガンから放たれた数十発の銃弾は、
岡部の突き出した右腕の前方で完全に静止していた。
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 09:31:22.23 ID:6p2Lm2Cr0
青白い発光が終わると、ザラザラザラと床に銃弾が落ちていく。
岡部「フッフッフッ」
右腕を突き出しながら岡部が笑う
岡部「歓迎しよう機関の戦闘員どもよ」
バッバッ
両手を上にかかげ、クロスし、横に突き出す
岡部「だがむべなるかな、この地獄のムァ〜ッドサイエンティスツ、ふぉうおういんきょ〜うまがじきじきに相手をしてやるぅぅぅおぅ!」
ポーズをとったままニヤリと笑った
覆面の男達は混乱しながらも
ナイフを抜いて窓から侵入してきた
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 09:37:52.67 ID:6p2Lm2Cr0
ラボの外ですべての覆面をした人間を切り落としたクリスはラボからの銃声と、
岡部の大声を聞いた。
そしてラボがある建物の向かいの建物の屋上に目をやる。
歩きはじめ、じょじょに加速していく
ダッダッダッダッ
向かいの建物に走り
ダンッ
上空に飛んだ
クリスの体が上空に飛翔し、放物線を描いて
向かいの建築物のコンクリートの屋上に着地する
屋上に着地したクリスは大声で叫んだ
クリス「岡部!準備完了!!」
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 09:44:05.23 ID:6p2Lm2Cr0
岡部の眼前に覆面の男が突進してくる
岡部はスーツの筋繊維をメリメリ緊張させラボの奥に蹴り飛ばした。
次に突撃してきた覆面のナイフをかわし、上からこぶしを打ち下ろして
覆面を床に叩きつける。二人の覆面はおそらく即死だろう。
その間にラボには覆面たちが7人、窓から侵入してきていた。
岡部はまゆりのほうに後ずさる。
クリス「岡部!準備完了!!」
クリスの声を聞いて岡部は叫んだ!
岡部「かまわん!やれ!オペレーションヴァルキュリアスを発動せよ!!」
そういうと岡部は急いで床に突っ伏した。
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 09:47:47.63 ID:pXFr9X0m0
立て直したのにスレタイそのままなのはわざと?
ウーパーじゃなくてウーパだからな
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 09:49:36.95 ID:pXFr9X0m0
既出だったか
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 09:51:05.52 ID:6p2Lm2Cr0
岡部「オペレーションヴァルキュリアスを発動せよ!!」
岡部の声を聞いて、
クリスはラボの向かいの建物の屋上から、
ラボのほうを見て刀を構える。
刀を水平に構えて、柄のスイッチを押す、
シュイイイイイイイン
すると刀がどんどんと伸びていき、水平に10mほどにまでの刀身になった。
クリス「ほおおおおおおおおおおおおおああっ」
クリスが全身に力を込めクリスをつつむスーツがメリメリと音を立てて筋繊維を浮き上がらせる
両手でもった刀が、すさまじい力で振られ、10mの刀身が
ラボの向かいの建物からラボの真ん中を横一閃に切り裂いた
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 09:57:29.00 ID:6p2Lm2Cr0
ザザザザザザザザッ
ラボの内部、床から1m上あたりを黒い刀身が一瞬で水平に切り裂いていく
鋭い刀身が7人の覆面たちの腹部を真っ二つに切り裂き、
覆面たちは血液と腸を撒き散らしながらドサドダと上半身と下半身を別々にして崩れ落ちる。
ドサドサという音を聞いて岡部は顔を上げる。
そこには14個の上半身と下半身、そしておびただしい血液の池ができあがっていた。
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 10:04:31.05 ID:6p2Lm2Cr0
岡部「これはひどいな」
岡部は振り返ってまゆりを見た。
岡部「まゆり、まゆり?生きてるか?」
まゆりは動かない
岡部「まゆり?」
岡部は静かにまゆりに手を置く
まゆり「オカリン、もういい?まゆしぃはちょっと恐くなってきたのです」
生きている、まゆりが生きている、
岡部は意外なことがあったような、混乱した感覚で
まゆりを抱きしめた
まゆり「ひゃっ、どうしたのオカリン?」
岡部「ぐすっ、まゆり、よかった。うぐ、まゆりぃ」
嗚咽を漏らしながらまゆりを抱きしめる岡部に、
まゆりは何度ももう目をあけていいかと聞いていた。
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 10:11:40.44 ID:6p2Lm2Cr0
ラボの襲撃事件から二日後、
岡部は一人ラボの建物の三階の部屋に座っていた。
目の前には黒い金属球が鎮座している。
薄暗い部屋の中にカーテンのない窓から陽光がさしている。
岡部「まゆりは今も生きている。ダイバージェンスの壁を越えたのは間違いじゃなかった」
黒球の前で岡部は続ける
岡部「この黒球がいったいなんで、だれがどんな目的でここにおいているのかわからないが、今まゆりを死なせずにすんだ。俺にはそれがすばらしい」
岡部は手に持った黒いラバー状のスーツを黒球の前に置いた。
岡部「誰か聞いているか?これはあなたに返す。もう使うこともあるまい」
岡部はしばらく黒い球を見つめると、スッと立ち上がり
部屋をあとにした。
ガチャとドアをあけ、玄関から外に出る。
玄関のドアが閉められ、部屋には黒い金属球だけがのこった。
薄暗い何もない部屋、その中央で黒い球は何も言わずにただそこにあった。 END
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/31(月) 10:17:45.67 ID:6p2Lm2Cr0
冒頭から書くといったな? あれは嘘だ
<⌒/ヽ___ < 寝 る !
/<_/____/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
なんで地の文使ってるのに肝心の表現がムチャムチャとかズザザザッなのはどうして?
シュイイイイイインwwwwwww