QB「僕と契約して魔法少女になってよ!」喪女「えっ」

このエントリーをはてなブックマークに追加
1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
QB「僕の名前はQB。僕と契約して魔法少女になってよ」

喪女「なにそれ」

QB「僕と契約して魔法少女になれば、なんでも一つだけ願いを叶えるんだよ」

喪女「あー、私もアニメの観すぎで頭おかしくなったか。幻覚が見えるなんて」

QB「僕は夢でも幻覚でもないよ」ビシバシ

喪女「いたっ!うわ、ホントに変な生命体がいるんだ!」

QB「やれやれ。最近の子供達はすぐに僕を幻覚扱いする。夢もキボーもありゃしない」
2以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:02:34.54 ID:w0gPQMxb0
喪女「それで、なんなのさ魔法少女って」

QB「読んで字のごとく、魔法を使う少女の事さ。人々を絶望に陥れる魔女と戦って欲しいんだ」

喪女「その代わり願いを一つだけ叶えてくれるの?」

QB「うん。本人の資質次第だけど、大抵の奇跡は叶うね」

喪女「うーん、それなら一生ニートで過ごすとか……」

QB「夢もキボーもないなぁ。言っておくけど、それは君が魔女との戦いに命を投げ出してまで叶えたい願いかい?」

喪女「そう言われると……ていうかさ、私みたいなひきこもりニートじゃなくて、もっと他の人の所に行けばいいんじゃないの?」

QB「それがそうもいかないんだよ。個人個人に資質があってね。君には中々凄い素質があるんだ」
3以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:03:41.87 ID:w0gPQMxb0
喪女「アニメで例えると?」

QB「ギンガナカジマくらいだね」

喪女「うーん、それって喜んで良いのか悪いのか……それにしても、願いかぁ……」

QB「無理強いはしないし、催促もしないよ。ゆっくり考えてくれればいい。また明日来るから。それじゃあね」ヒョイ

喪女「あ、行っちゃった……」
4以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:06:49.58 ID:w0gPQMxb0
コンコン

母「喪女、あなた誰と喋ってたの?」

喪女「え!?えーっと、iPTTで外人と……」

母「そう……。ねぇ、バイトは見つかった?お外に出るだけでもいいから、家から出ましょう?」

喪女「ゴメン、今探し中。バイト見つかったらちゃんと外に出るから」

母「早く見つかるといいわね。今日はもう寝なさい」

喪女「はーい。おやすみお母さん」

母「おやすみなさい」
5以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:08:56.36 ID:w0gPQMxb0



喪女「(願いか……バイト引き籠もり治したい……は奇跡にしては安いなぁ。どうせ自分の力じゃ無理だけど)」

喪女「(これ以上お母さんにもお父さんにも迷惑かけたくないし……)」

喪女「(……昔はこんなんじゃなかったのに……)」

喪女「(ZZZ……)」



翌日

QB「やあ喪女。願いごとは決まったかい?」

喪女「うん、あのね、私。誰かの役に立ちたい。昔アニメで見た、子供の頃に夢見た、誰かを助ける正義の魔法少女になりたい」

喪女「だから、私の願いは、誰かを助けれる正義の味方になる事」

QB「いいのかい?その願いは君がやる気になれば、努力すれば叶う程度なんだよ?それは命を投げ出すに足りるのかい?」

喪女「いいの。私は奇跡でもなきゃ変われっこないから。このまま生きててもどうしようもないから」

QB「わかった。君の願いはエントロピーを凌駕した。さあ、受け取って。これが君の魔法少女の証。ソウルジェムだ」

喪女「綺麗……」
6以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:09:45.93 ID:w0gPQMxb0

QB「それは魔女に反応する仕組みになっている。それを使って街中を歩き回って、魔女を探して倒すんだ」

喪女「えっ」

QB「えっ」

喪女「外に……出るの?」

QB「君の家の中にわざわざやってくるわけないだろう。それに君の願いの力で外に出るのに抵抗はないはずだよ」

喪女「そういえば条件反射で嫌がったけど、あんましどうって事ない気がする。これが奇跡なんだねQB!」

QB「(安い奇跡だなぁ……)」

喪女「それじゃあ、正義の魔法少女第一話、行きますか」

喪女「お母さん、ちょっと出かけてくるね!」

母「え!?喪女が外に!?」

喪女「行ってきまーす!」ガチャ

母「あぁ……三年前から外に出なかった喪女が外に行くなんて……お父さんに言って今日はお祝いにしましょう」
7以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:11:37.92 ID:w0gPQMxb0



喪女「……魔女みつからないね」

QB「そんな簡単に見つかるほどばんばんいたら世界は滅んでるよ」

喪女「魔女を倒さないと、何かデメリットでもあるの?」

QB「なんかゲーム脳的な言い方だね。魔法少女が魔法を使い過ぎるとソウルジェムはどんどん濁っていくんだ」

QB「だから魔女の落とすグリーフシードっていう魔女の卵を使って浄化しないと、魔法が使えなくなるんだよ」

喪女「ん?魔法が使えなくなるだけなら別にいいような」

QB「ギクッ」

喪女「まぁでも、魔法が使えないと人助けできないもんね」

QB「あぁ、それで思い出したよ。君の魔法少女の力を」

喪女「魔法少女の力?普通にファンタジーな事ができるんじゃないの?」

QB「そこまで便利でもないよ。身体や物の強化や、今の科学でも普通に出来るほどの効力を生むのが精一杯だ」

喪女「えーなにそれつまんない」
8以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:11:57.80 ID:vXU/iQYR0
大人にソウルジェム濁って魔女になるって事実知っても、反応は淡白そうだよなあ。
9以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:13:24.33 ID:w0gPQMxb0
QB「でもね、魔法少女は契約の際に、3つの贈り物がある」

喪女「なんぞそれ」

QB「まずは、ソウルジェム。次が本人のイメージする、魔女と戦うための武器。そして最後が、願いに応じた魔法さ」

QB「魔法少女の使う魔法は願い事に大きく左右される。例えば病気を治したいとかだったら、治癒効果」

QB「生きたいとかだったら命を縛り付けるって事で拘束魔法。誰かの心や考え方に影響させたなら幻惑魔法、生まれた理由を知りたいとかだったら、自分の未来が見えるんだ」

喪女「なんかやけに具体的だね。私の場合は?」

QB「君の場合は誰かの役に立つ自分になりたいだからね。ソウルジェムに思いを集中させる事で、どこに困ってる人やピンチな人がいるかわかるよ」

QB「それがあれば、魔女に被害被ってる人の場所もわかるんだ」

喪女「へー、やってみよう」パァァ

QB「どうだい?見つかったかい?」

喪女「……ねぇ、QB。これって困ってる人の場所がわかるんだよね」

QB「そうだけど?」

喪女「うんう。なんでもない。隣町になにかすっごいものを感じたよ」

QB「それは複数人の人間が魔女に操られてるんだ。早く行こう」

喪女「言われなくても!」
10以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:14:08.64 ID:w0gPQMxb0

隣町

喪女「ハァ……ハァ……ゼィ……」

QB「(まさか身体強化してもここまで息が切れるなんて……)これは魔女の結界。魔女はここで身を守ってるんだ」

喪女「そ……そう……変身……しな……くちゃ……ね……ゴホゴホッ」

QB「(これ負けるんじゃないかな)」

喪女「変☆身」パアァ

喪女「魔法少女喪女参上!」

QB「君の武器は双剣かい?魔女相手には細かい技巧よりも派手な技とか物理攻撃のほうが向いてる気がするんだけどなぁ」

喪女「だって、正義の味方っていったら真っ先にこれが思い浮かんだんだもん」

QB「ふーん。ま、とりあえず戦ってみなよ。細かい部分は僕がサポートするよ」

喪女「ありがとう、QB」
11以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:15:26.46 ID:w0gPQMxb0

喪女「これでトドメ!」

魔女「あーうー」バタ

喪女「た……倒したよ!私が倒したよQB!」

QB「おめでとう喪女。初めてにしては中々よく戦えてたよ。これで魔女に操られていた人達は助かった。これは誇っていいよ。君の手柄だ」

喪女「えへへ……」

QB「さあ、これがグリーフシードだ。ソウルジェムの汚れをこれに移すんだよ」

喪女「……」

QB「どうしたんだい喪女。大丈夫だよ。ある程度吸ったら孵化するけどそうなる前に僕が食べるから」

喪女「なんか、私が魔女を倒した証なのに使うのが勿体ない。これは記念にとっておこ」

QB「わけがわからないよ
12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:15:31.87 ID:FWSW8ltw0
喪女さん月厨かよw
13以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:17:46.64 ID:w0gPQMxb0

翌日

喪女「それじゃ、行きますか」

QB「こんな朝から魔女退治かい?そこまで頑張らなくても」ツカネムイ

喪女「そうじゃないの。私はね、魔女だけじゃなくて、困ってる人も助けたいの。だから、人助けに行くわ」

QB「そうかい。僕はもう少し寝てるよ」キュップイ

喪女「さて、ソウルジェムに精神集中してと……」

喪女「!ここから南東の方向にピンチが危ないわ!」

喪女「正義の魔法少女喪女、行きます!」
14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:17:57.51 ID:FANj6I7E0
モジョマジョ
なんかそんな単語が浮かんだ
15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:18:28.69 ID:w0gPQMxb0

電車内

ほむ「(うぅ……この人さっきから私のお尻触ってる……)」

お前ら「フヒッ!フヒッ!」

ほむ「(どうしよう……恥ずかしくて声出せない……)」

お前ら「ほむっほむほむぅ!」

ほむ「ほむぅ……」

ガッシャァン!

喪女「そこまでよ!」

みんな「!?」
16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:19:29.49 ID:4G+9Fe2d0
パチュリーのAAが浮かんだ
17以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:20:19.57 ID:w0gPQMxb0

喪女「そこのあんた、今痴漢してたでしょ!このカメラにばっちり収まってるよ!」

お前ら「え!?というか電車の外から撮ってる!?」

喪女「どななの?痴漢されたの?」

ほむ「え?あ、はい……」

喪女「さぁ、次の駅で降りるのね」

お前ら「そ……そんな……豚箱入ったらアニメが観れなくなっちまう」

喪女「そうやって苦しんで、自分の罪を認め反省しなさい。あんたは若いんだから、まだまだやり直せるよ」

ほむ「お姉さん……」

喪女「それじゃ、私は用事があるからこれで!」ダッ!

ほむ「お姉さん!?」

会社員「走ってる電車の窓から飛び降りたぞあの子……」

中学生「しかも宙返りして着地した……」
18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:21:46.99 ID:Nj0EoyThO
きたぞレジェンドだ!
19以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:22:55.98 ID:w0gPQMxb0

QB「お帰り喪女。どうだい?正義の魔法少女の感想は」ペラ

喪女「ただいま。今日だけで8人も助けちゃった。見返りはないけど、自分が役に立ててるってのは嬉しいよ」

QB「それはよかったよ。ところで夢喰いメリーの4巻はどこにあるんだい?」

喪女「ないよ。その巻だけ立ち読みで済ませたもの」

QB「なんでだよ!ここまで揃ってるんだから一冊くらい買って全部揃えようよ!わけがわからないよ!」

喪女「しょうがないなぁ。じゃあブックオフで買ってくるよ」

QB「僕も着いてくよ。クロマティ高校を立ち読みしたいしね」ピョン

喪女「のんきだなぁ」
20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:24:19.53 ID:w0gPQMxb0

そんなこんなで数ヶ月が過ぎた

喪女も魔女との戦いに馴れ、その傍ら人助けをした

不良「おら、とっとと金出せよ」ドガッ

学生「だから……お金はないんだ……」

不良「あ?万引きでも盗みでも強盗でもしろや!」ドガッ

学生「そんな事できるわけ……」

喪女「待ちなさい!弱い物虐めは駄目よ!」

不良「あ?女はすっこんでろ!」ブンッ!

喪女「女の子の顔を殴ろうとするなんて、さいてー」パシッグキッ

不良「おうぁ……腕が……チッ、覚えてやがれ!」

QB「今時あんなセリフ言うヤツなんてクロマティ高校にも出てこないよ」

喪女「クロマティ高校はもう終わってるけどね。君、大丈夫だった?」

学生「うぅ……ありがとう……」

喪女「まったく、あんな酷い事するなんて、許せないわね。それじゃあね」シュバッ
21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:25:31.16 ID:w0gPQMxb0



喪女「ふー、今日の人助け終わり」

QB「お疲れ様喪女」

喪女「魔女の戦いにも馴れたし、人助けも順調。このまま悪がなくなればいいのに」

QB「それは難しいんじゃないかなぁ。君は抑止力になるにしては、影で動きすぎてる」

喪女「いいのよ。目立って正義の味方なんて名乗ったら、そのうち名声を求めるようになっちゃうでしょ?自己満足のまま終わらせればいいのよ」

QB「そんなもんなんだね人間は。夢喰いメリーの主人公も見返りを求めてなかったし、わけがわからないや」

喪女「あはは。私にはメリーみたいな相棒はいないけどね」

QB「」チラッチラッ

喪女「どうしたのQB?」

QB「なんでもないよ。僕はメリーのアンソロコミックを読むとするよ」

メリー「あ、いつの間に買ったのよ。私にも見せてよ」

QB「きゅっぷい」
22以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:27:16.92 ID:w0gPQMxb0

母「喪女?入るわよ」

喪女「あ、お母さん。どうしたの?」

母「あなた、最近よく外に出てるけど、なにしてるの?」

喪女「だから、ひきこもり脱出の為に外を散歩してるだけですしおすし」

母「ふーん。そう」

喪女「そうなんです」

母「……」

喪女「……」

母「……魔法少女」ボソッ

喪女「ブッ!」

喪女「知ってたの!?」

QB「喪女!カマかけだ!」

喪女「あ」
23以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:27:54.70 ID:w0gPQMxb0
母「ふふっ。あなたは本当に隠し事が下手ね」

喪女「いやはや……」

母「怒ってるわけじゃないのよ。ただ、私は嬉しい。ずっと自分を閉じてたあなたが、誰かを助けるために動いてくれて」

喪女「お母さん……」

母「どうして魔法なんて使えるかは聞かないわ。ただ、これだけは約束して。絶対に危ない事はしないって」

喪女「……うん」

母「それじゃ、おやすみ喪女」

喪女「おやすみ。お母さん」

ガチャ

QB「いいお母さんだね」

喪女「お父さんもだよ。こんな私を育ててくれたんだもん。自慢の両親だよ。QBには家族とかいないの?」

QB「僕たちは全員がほぼ同じ思考をリンクしているからね。そういう概念はないよ」

喪女「へー(向こうで夢喰いメリーとかクロマティ高校とか流行るのかな)」
24以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:28:30.34 ID:w0gPQMxb0

翌日

喪女「あそこで反応はあるわ!」

QB「!女の子が橋から飛び降りた!」

喪女「マジ!?加速そーちっ!」

ドポンッ!

喪女「(ザバァン)ぷはぁ!大丈夫!?」

「あれ……私……なんで橋から飛び降りようと……そうだ、恭介が……」

QB「心が弱くなった人間は魔女に狙われやすくなる。その子も何かどうしようもない悩みがあったんだよ」

喪女「解説はいいから助けてよ!魔法少女でも人抱えて服着てたら溺れるわ!」

QB「ほら、ロープだよ喪女」バッ

喪女「ありがとうQB!」
25以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:30:15.30 ID:Nj0EoyThO
QBさん更正しとる
26以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:30:21.22 ID:viEH5yoc0
支援
27以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:30:27.05 ID:w0gPQMxb0
喪女「あなた、名前は?」

「美樹……さやか……」

喪女「そう、さやかちゃん。どうして飛び降りようとしたの?」

さやか「それは……私、幼なじみがいるんです。彼は凄いヴァイオリストで……」

喪女「へー、彼氏?」

さやか「ち、違います!そ、それで彼が一週間前に交通事故に遭って……生きてたんだけど、左手が使い物にならなくて……」

喪女「あー、ヴァイオリンが弾けなく……」

さやか「恭介は、ヴァイオリンが凄く上手で……コンクールにも出てて……それなのにいきなり弾けなくなって……私どうしたらいいかわからなく……」

喪女「(そこを魔女につけこまれたのか)大丈夫よ、さやかちゃん」

さやか「何がですか!」

喪女「だってね──────奇跡も、魔法もあるんだから」
28以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:32:29.19 ID:w0gPQMxb0
>>22の後に入れ忘れ

母「ふー。あなたが外に出るようになってから、ところどころで正義の魔法少女が出るって聞いたのよ」

喪女「えーっと……」
29以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:33:35.77 ID:w0gPQMxb0

さやか「そんな無責任な事……」

喪女「私があの時通りかかって貴女を助けたのって、凄い偶然じゃん?」

さやか「……」

喪女「あんなミラクルなタイミング、もう奇跡よ奇跡。神様は、あなたの事を見捨ててない。だから、信じてれば、きっと奇跡は起きるって」

さやか「でも、私はこれからどうすれば……」

喪女「その彼と一緒にいてあげれば?多分彼、すっごく心細いと思う。彼が諦めたら終わりなんだから、ずっと彼を支え続けてあげて」

さやか「お姉さん……」

喪女「喪女よ。名前で呼んで」

さやか「へへ……喪女さん格好いいですね。まるで、正義の味方みたいです」

喪女「そう?結構嬉しいな」
30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:34:31.70 ID:w0gPQMxb0

さやか「助けて貰ってありがとうございました。私、恭介を励まします。どれだけ経っても、ずっと傍にいます」

喪女「偉いね、君は。私にも支えてくれる幼馴染みが欲しかったよ」

さやか「あはは……。喪女さんは十分強いじゃないですか。私もいつか、喪女さんみたいな誰かを助けれる正義の味方になりたいです」

喪女「あっはは。楽しみにしてるね。それじゃあ、気をつけて帰りなよ」

さやか「はい。今日はありがとうございました」

タッタッタ

喪女「さてQB。魔女はまだこの近くにいるよね?」

QB「魔女は一晩くらい経たないと移動しないからね。さやかを襲った魔女はこの辺にいるよ」

喪女「それじゃ、いっちょやりますか!」
31以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:36:20.19 ID:w0gPQMxb0

帰り道

喪女「ふー。グリーフシードも取れたし、へとへと。早く帰って夢喰いメリー読みたいわ」

QB「僕もたいがいだけど、君もあの漫画好きだね」

喪女「だっていいじゃない。夢を奪う悪いヤツを倒して、夢を守る女の子なんて」

QB「そういえば、君は幼い頃の正義の味方に憧れ夢に見てたんだったね」

喪女「そういう事。ちっちゃい頃の夢が叶って正義の味方になれて、誰かの役に立てたんだから。感謝してるよQB」

QB「きゅっぷい」

喪女「あははは。なにそれ照れ隠し?ただいま──────お母さん?」

QB「!喪女、見ちゃだめだ!」

喪女「お母さん……お父さん……どうしたの……なんで、そんな血まみれ……あぁ!!!!!」
32以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:38:22.71 ID:w0gPQMxb0

ガタッ

学生「!」

喪女「あんた……昨日の……これ、あんたがやったの……?」

学生「仕方なかったんだ……」ボソッ

喪女「何が仕方ないってのよ!なんで私の……お父さんと……お母さんを……」

学生「殺す気はなかったんだ……留守だったから忍び込んで金目のものを探してたら、急に帰って見つかったから……」

喪女「アンタ……!」ブンッ

学生「あんたのせいだ……今日、あんたに負けて逆上した不良に、凄く殴られたよ。それで、とんでもない額の金を持ってこいって言われたんだよ!」

喪女「!」

学生「だから僕は空き巣でもするしかなかったんだ!あんたが……中途半端に……人助けなんてするから……」

喪女「あ……あ……」

学生「正義の味方なんだろ?僕を昨日助けたんだろ?一度助けたのに今度は許さないのか?何も知らずに正義ごっこなんてしないでくれよ!迷惑なんだよ!」

喪女「私のせいで……お父さんとお母さんが……」ガクッ

学生「くっ……」ダッ
33以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:38:36.32 ID:6BU8qr810
夢喰いメリーってアニメは糞だったけど、原作は面白いの?
34以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:40:41.97 ID:w0gPQMxb0
>>33
糞面白い。勢いで全巻揃えた




QB「冷凍食品しか作れなかったけど、食べるかい?」

喪女「……いらない」

QB「……一応言っておくけど、彼の言ったのは戯れ言だよ。君が彼を助けきれなかったのは事実だけど、だからと言って誰かを殺していい理由になんかならない」

喪女「わかってるよ……でもね。私、なにが正しいのかわからなくなっちゃったの」

喪女「正しいと思ってた事が、実は正しくなかった。本当に自己満足で助けただけで、その後の事なんて考えもしなかった」

QB「本当に正しい事なんてないよ。相対的に正しいってだけさ」

喪女「だったらさ、私のやってた事って、独りよがりに自分の正義を押しつけてただけなんだね」

喪女「もう、怖いよ。自分の正義なんて信じられない」

喪女「私、正義の味方失格だね」

QB「……」
35以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:43:15.28 ID:w0gPQMxb0

喪女「ねぇ、ソウルジェムが濁りきったらさ、どうなるの?魔法が使えなくなるだけなんて、ただの人間に戻ったような甘い話はないよね」

QB「ソウルジェムが濁りきったら、魔女になる。その時に発生するエネルギーを回収して宇宙の寿命を延ばすのが、僕達インキュベーダーの役目だ」

喪女「そうなんだ……」

QB「驚かないんだね」

喪女「私ね。ずっとQBが隠し事してる事知ってたよ」

QB「……」

喪女「だって、私の能力は困ってる人を探すんだもん。初めて使った時、QBがとっても困ってるってわかった」

喪女「QBは、宇宙の為に私たちを騙してたんだね」

QB「……それで、君はどうするんだい?ここでソウルジェムを破壊すれば、少なくとも君が目の敵にしてきた魔女にはならずに済むよ」

QB「エネルギー回収ノルマは達成できなくなるけど──────僕は、君に魔女になって欲しくはない」
36以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:44:56.59 ID:w0gPQMxb0
喪女「あはは。QBったら、らしくないね」

喪女「私は、そんな事できないや」

喪女「私、QBのお陰で夢を叶えれたし、少しでも助けれた人がいる。それなのに、そんな自分を否定して、QBに貰ったソウルジェムを壊す事なんてできない」

喪女「それに、QB困ってるんでしょ?だったらさ、私の魂使ってよ。星に持ってってよ」

喪女「正義の味方の、最後の人助けだよ」

QB「喪女……」

喪女「それに、私が魔女になっても、きっと正義の味方が倒しに来てくれるよ」

QB「美樹、さやかの事かい?」

喪女「あっはは」

喪女「私はもうすぐ消えるけど、もしまた会えたら、友達になってね」

QB「そんなの……無理だ。科学的に考えられない」

喪女「魔法少女は条理を覆すものでしょ?」

喪女「ばいばい、QB。私の、最初で最後のお友達」

パキィンンン
37以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:45:19.61 ID:DEV4sEMxO
しえべえ
38以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:45:59.95 ID:w0gPQMxb0

QB「喪女……魔女になったか……」

QB「どうやら性質は『憧景』。子供の頃の正義の味方を夢に見た、君らしいね」

QB「魔女としての名前をつけないと」

QB「最後まで夢を守って、正義の味方を信じて僕のために魔女になったんだ」

QB「子供の頃の夢を叶えて魔女になった君に、君の好きな漫画からもじってこう呼ぶよ」






QB「──────エリー」
39以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:48:37.21 ID:Nj0EoyThO
箱の奴だっけ影の奴だっけ?
40以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:49:38.11 ID:w0gPQMxb0

一年後

さやか「まどか、大丈夫!?」

まどか「さやかちゃん、その姿……」

さやか「まぁ、心境の変化といいますか(今の魔女、どこか懐かしい気がしたなぁ)」

QB「(エリー。君の願い通り、君の信じた正義の味方だ、ちゃんと君を止めてくれたよ)」

QB「それにしても、今回集められた人間は、廃棄物を川に垂れ流した工場のリーダーに、闇金の社員」

QB「インチキ占いで金をふっかけてる占い師に、ヤクザをバックにしてのし上がった議員の娘」

QB「とんでもなく乱暴だ。殺すほどでもないし、間接的すぎる」

QB「けど、君が魔女になってからも、正義の味方を夢に見てるってわかって、なんでか嬉しい……これが感情ってヤツなのかな」

QB「僕にとって友達っていうのはわからない。他の生命体との関係なんて、自分に利益があるかないかじゃないか」

QB「けど、君と過ごした日々は、楽しかったよ」

QB「僕のほうからお願いするよ」

QB「また会えたら──────僕と契約しなくても、友達になってよ」



おしまい
41以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:51:57.70 ID:2fRh0Kew0
きれいなQBだった
42以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:52:28.40 ID:w0gPQMxb0
なんとなく考えたエリーの昔話。昔晒したけど誰もいなくて落ちた。支援してくれた人ほんとうにありがとう
ぶっちゃけエリーに関しては途中で気づかれると思ってた

>>39
箱。影はエルザマリアだっけ
43以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:52:28.79 ID:Nj0EoyThO
>>40
仁美の悪口はそこまでだ、乙
44以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:52:36.70 ID:o+pQ5aKv0
いい物語だった。乙
45以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:53:46.19 ID:DEV4sEMxO
乙まど
46以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:55:38.11 ID:w0gPQMxb0
>>34の後にまた入れ忘れが……

喪女「正義の味方なんて夢のまま終わらせて、私はずっとこの狭い部屋の中で生きてればよかったんだ」

QB「それは、違うよ。少なくとも君に救われた人はいたハズだ」

喪女「優しいね、QBは。思えば、私がソウルジェムを手にして魔法少女になってから、ずっと一緒にいてくれたね」
47以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 22:58:56.97 ID:0f7ITh7q0
短いけれど良かった乙
48以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 23:03:34.67 ID:4ZFlTmH80
なかなかいい話だった 乙
49以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 23:05:44.50 ID:9AkwQLpP0
50以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 23:07:29.04 ID:sms9U0/30
これはラビット速報に載る

俺のレスはエリーちゃん色にしてください!
51以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 23:12:14.20 ID:eS5ko4cE0
>>8
喪女は大人とは限らない
52以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/11(日) 23:15:47.80 ID:ngPNIYzO0
乙乙乙
53以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
なんとなく読んだら意外といい話だった