金糸雀「あのコトって夜中にゴミ箱漁って…」水銀燈「おいやめろ」

「ほんと、つまんないわぁ」

「またいつもと同じ一日…」

「つまんなぁい」

「どうして…」

「お父様は私を捨てたのかしらぁ…」

「最後にお父様と会ってから、14万6482分47秒ね…」

「ためしに数回人間に接触してみたけど」

「ほんっと、吐き気がするわぁ」

「もう二度とお父様以外の人間に関わりたくないものねぇ」

「でもそうなると、ものすごい暇なのよねぇ…」

「石が何個あるか数える遊びの続きでもしようかしらぁ」

「飽きたわ」

「あ、そういえば…」

「数えるといえば…」

「まだ自分の髪の毛が何本なのか数えたことなかったわねぇ」

「自分を知るいい機会かもしれないわぁ」

「…せんにじゅう　あれ？」

「…せんさんじゅうだったかしら」

「………」

「ああもう！なによこれ！くっだらないくっだらない！ばかじゃなぁい！？」

「ほんとにほんとにつまんなぁい！」

「………」

「結局、これになるのよね、最終的に」

「チェックメイト！」

「ふふ、あなた中々強かったけど、所詮私の敵じゃないわぁ」

「あはは」

「この一人チェスも最初は楽しかったのに、だんだんむなしくなってきたわぁ」

「………」

「いつまで続くのかしら…この生活」

「あ」

「おいしそうな鳩…」

「お腹もすいたし、そろそろご飯の時間ね」

「ゆっくりゆっくり…」

ﾊﾞｯ

「食料ゲット！」

「近づいても中々逃げないから捕まえやすいのよねぇ」

「もうじき日が暮れるわね」

「早く夜にならないかしらぁ」

「街から人間が消える素敵な時間」

「私の時間だわぁ」

「夜が来たわぁ」

「さて、出かけましょう」

「ここのゴミ箱は他と比べて色んな雑誌が捨ててあるからお気に入りなのよねぇ」

「回収回収っと…」

「普段人間どもが蠢いてる場所を飛び回るのってなんだか不思議な気分だわぁ」

「ちょっと一休みしましょう」

「はぁ…」

「つまんなぁい」

「なんか…眠くなってきちゃった…」

「ここで寝たら…まずいわ…」

「鞄…」

「5分だけ…」

水銀燈も孤独なら、書いてる>>1も孤独という

「ふぁ…」

「………」

「………」

「あれ…私…」

「！！！」

(どこよ…ここ…！？)

(家の中…みたいね)

男「目、覚めた？」

銀「…誰よ…貴方」

男「散歩してたら君を見つけてね…他の人に見つかる前に運んできたんだ」

銀「人攫いじゃない」

男「人じゃないじゃないか…道端にローゼンメイデンが落ちてたときはびっくりしたよ」

銀「え…」

？「貴女が…水銀燈…？」

銀「！？」

？「やった！やっと会えたわ！ずっと探してたのよ！」

銀「探してた…？貴女は…」

金「ローゼンメイデン第2ドール、金糸雀よ！」

銀「第2…？」

男「そういうことさ。数ヶ月前にカナと出会ってね」

銀「まさか私に妹がいたとはね…」

金「お姉ちゃん！」

銀「気色悪いわぁ、やめなさい」

金「うぅ…」

男「ミルクでも入れてくるよ」

銀「紅茶にして頂戴」

銀「聞きたいことは色々とあるけれど…貴女、鞄は持ってるのかしら？」

金「当然よ！あれがなきゃ眠れないわ！」

銀「ちょっと持ってきなさい」

金「これよ！へへーん！」

銀「何威張ってるのよ…」ｷﾞｭ

金「ちょっ、何するの！？」

銀「逃げるのよ、一緒に、どういう事情があるか知らないけど、人間なんかと一緒に暮らしてると碌なことがないわぁ」

金「に、逃げるって、えぇ！？」

せめてセリフの前に名前入れろや

金「お姉ちゃん、羽根…」

銀「あら、貴女にはないの？」ﾊﾞｻｧ

金「すごいわ！かっこいい！」

銀「………」

金「でも、何も言わずに出てきちゃったわ…」

銀「いいのよぉ、人間ってのは汚いの。あの男も貴女を売ろうとしてたに違いないわ」

金「そんなこと…　いつもカナに優しくしてくれて」

銀「優しい人ほど…よ。気をつけなさい」

銀「ところでカナリア…だったかしら」

金「カナでいいわよ！」

銀「………カナ」

金「なぁに？」

銀「お父様はどこに言ったのかしら」

金「気付いたら…一人だったかしら…」

銀「………真似しないで頂戴」

金「えへへ」

銀「使い方間違ってるわよ」

金「気にしないかしら！」

銀「だから…」

2008年ごろのローゼンSSはすごかったなぁ

銀「お腹すいたわね」

金「ご飯の時間だわ！」

銀「鳩でも探しに行こうかしら」

金「…え？」

銀「ああ、そういえば貴女、人間と一緒に暮らしてたのよねぇ」

金「そうよ、ちょっと貰ってくるわ！」

銀「私は食べないわよ、そんなもの」

金「じゃあ私だけ食べるわ」

銀「おい」

銀「鳩うめー！」

金「……」もぐもぐ

銀「…………」

金「…………」

銀「…………」

金「いる？」

銀「いらないわよ！」

金「……」もぐもぐ

銀「………」

銀「飽きたわ」

金「え？」

銀「鳩、飽きたなと思ってねぇ。別に意味はないわよぉ、ただの話題づくりで」

金「…………？」むしゃむしゃ

銀「………」

銀「やっぱりちょっと貰おうかしら」

銀「へぇ、貴女楽器なんてできるの」

金「ヴァイオリンよ！」

銀「ちょっと貸してみなさい」

銀「…………」

銀「なによこれぇ、音すら出ないじゃない」

ちゃららら〜ん

金「出るわよ…？」

銀「……もう一回かしなさい」

ｷﾞｰｰｰｰｰｰ

銀「もういいわぁ…聴くほうに専念するから」

銀(なんでこの子…頭悪いくせにこういうことはできるのよ…)

金さん銀さんかよ

銀「あれから172時間48分…」

銀「貴女の演奏を聴くこととチェスは毎日してるのに飽きないのが不思議だわぁ」

金「お姉ちゃん！チェスで対戦するかしら！」

銀(チェスって…考えなきゃ勝てないから最初は中々勝てなくてイライラするのよね…
　　それで嫌になってやめちゃうパターンも多いらしいのよ)

銀(まぁ…昔人間に聞いた話なんだけど…
　　この子がチェス嫌いになったら相手がいなくなるからわざと負けてるのよ、今は)

銀(負けっぱなしはシャクだからたまに勝つけどね…。
　　それにしてもヴァイオリンなんて弾けるから意外と器用というかこういうのはできるもんだと思ったら…)

銀(最近になってやっと駒の動きを覚えたレベルなのよね…
　　ルールは未だに間違えるし、結構な確率で盤の向きも間違えるのよ…教えてるのに)

金「チェックメイト！」

銀「またカナの勝ちね…ほんと私に勝つなんて中々の策士ね、貴女」

金「策士…？」

銀「いいセンスってことよ」(頭いいとは言わないわ、あえて)

金「カナ、策士よ！ふふ、策士かしら！」

銀「だからかしらの使い方…」

金「？」

銀「まあいいわ、…チェスは楽しいかしらぁ？」

金「策士のカナには相性のいいゲームかしら！」

銀「ふふ、ならよかったわ」

金「うーん…」

銀「どうしたのよぉ」

金「曲のタイトルが思い浮かばないの」

銀「曲…？自作…？　ちょっと聞かせなさいよぉ」


銀「思ってた以上にいい曲じゃない」

金「ほんとうに！やった！嬉しいわ！」

銀「タイトルね…そうね…　†終わりのない追走曲《ｶﾉﾝ》†　なんてどうかしら？」

金「………」

銀「………」

金「かっこいいかしら！！」

銀「でしょお！！」

金「お、お姉ちゃん…ゴミ箱漁るのは感心しないわ…」

銀「妙な言い方しないで頂戴。これは立派な情報収集なのよ」

金「そうなの…？」

銀(そういえばカナに出会ってからゴミ箱に入ってるりんごをかじることもなくなったわね…)

銀(そろそろやめるべきかしら…これ)

金「でも夜の街を歩くのは楽しいかしら！」

銀「でしょお」

金「昼間は堂々と出歩けないから気持ちいいわ！」

銀「不思議ね…一人のときはほとんど何をやってもつまらなかったのに」

金「え？」

銀「なんでもないわぁ。さ、今日はもう眠りにつきましょう」

金「明日も楽しみかしら！」

銀「ふふ、明日も演奏、聴かせて頂戴ね」

金「お安い御用かしら！」

おわり

SSって難しい

おもしろかった
短編集みたいにしてつづけてくれ

金糸雀可愛い

乙
久しぶりにローゼンSSみた

短いが綺麗にまとまっていてよろしい

よかったよ

レスなしで落ちてると思ったら
お前らありがとう

策士の由来はここだったのか
†終わりのない追走曲《ｶﾉﾝ》†ってたしかに水銀燈っぽい厨二センスだな

乙

乙

乙ー