1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
一応書き溜め済み
立ったら投下する
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:18:37.53 ID:K/Z+spsA0
事の始まりは、金曜日の部活終わりだった。
澪「みんな、明日は何か予定あるか?」
律「いや、別に〜」
唯「私はヒマだから家でのんびりする予定〜」
梓「唯先輩はいつもですよね・・・てか勉強は」
澪「・・・ムギは?」
紬「私も夕方までなら空いてるかな」
律「でも、澪から遊びの誘いって珍しいな」
唯「あ、もしかして澪ちゃんも昨日のテレビ観たの?
駅の反対側に最近オープンした新しいアイス屋さんが大人気なんだって!」
3 :
忍法帖【Lv=8,xxxP】 :2011/04/06(水) 23:18:58.74 ID:yllqGxoc0
支援
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:19:05.20 ID:K/Z+spsA0
澪「バカ、そんな訳ないだろ。・・・ミーティングをやろうと思うんだ」
唯「みーてぃんぐ?」
澪「そう。学祭ライブに向けたミーティングと練習」
律「なんでまたいきなり」
澪「私たちは受験生だから仕方ないけど、今年はどうしても勉強中心で練習時間が削られてるだろ。
正直、このままじゃ学祭でちゃんとした演奏ができるかどうか怪しいんじゃないかって」
律「普段からちゃんと練習しないからいけないんだぞ」
澪「後でちゃんと殴るからな。・・・で、ちょうど新曲が出来上がったことだし、
明日は休日返上でライブの構成決めたり新曲の練習とかやりたいんだ」
律「ぶーぶー!休日は学生の権利だぞ」
唯「そーだそーだ!」
紬「クリームソーダ?」
がん☆ごん☆
律「くぁぁぁぁ・・・何故私だけ、しかも2発」
澪「さっきの分も込みだ」
澪「という訳で、明日は9時に部室に集合ってことでいいな」
律「へーい」
唯「はーい」
紬「うん!」
澪「梓もいいよな?」
梓「あ、はい。大丈夫です」
もちろん、断る理由なんてなかった。
今の私に、部活より優先するようなイベントなんてあるはずがない。
・・・そのはずだった。
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:20:20.43 ID:o5fAxy8F0
次の日
9時半
澪「誰もこない…」グズン
〜完〜
その日の夜。
意外な相手からの電話に私はベッドから飛び起きた。
『やっほー、梓。久しぶり♪元気にしてる?』
電話の先の相手は、中学の時仲が良かった友達の一人だった。
卒業後は進路が分かれ、彼女は隣県の高校に進学した。
高校入学当初は、お互いに無理矢理時間を作って遊ぶこともあったが、
それぞれの新しい人間関係の拡大や、相手に彼氏が出来たりしたことなどから
徐々に疎遠になっていき、最近は電話やメールのやりとりも途絶えていたのだ。
梓「びっくりしたよ〜ホント久しぶりだね」
お互いの近況や、他の友達のことなど、他愛もない話で盛り上がる。
ちなみに例の彼氏とはあの後程なくして何もないまま終わったとのこと。ざまみろ。
『ところでさ、明日とかって・・・暇だったりする?』
梓「えっ・・・?」
明日。
『私が企画したんじゃないんだけど、何かたまたま予定が合うヤツが多いみたいで、
明日急遽集まらね?って話になってんの』
明日は・・・
『私もちょうど都合が良くて。他にも来られそうなヤツ片っ端から声かけてみてって言われたから、
まず梓に連絡してみたんだけど』
部活の、ミーティングが・・・
『あ〜やっぱ急すぎて無理っぽい?アンタも結構忙しそうだしね・・・』
新曲の、練習が・・・
『でも結構メンバー集まるよ?元クラスの女子だと来られない人数の方が少ないくらいだし。
もはやプチ同窓会みたいなノリで騒いじゃおうって感じ』
梓「そ、なんだ」
・・・だけど。
行きたい。行きたいに決まってる。
高校に入ってから一度も会ってない友達も数人来るらしい。
来年になって、お互いに受験生の身分になったらなおさら行動が制約される。
こんな機会、もう二度と無いかもしれないのだから。
『それで・・・どうする?』
梓「もちろん・・・行くに決まってるよ。久しぶりにみんなの顔見たいもん!」
『だよね!良かったぁ。私も久しぶりに梓と会うの楽しみにしてるね♪』
梓「うん、じゃあ明日ね」
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:22:01.92 ID:K/Z+spsA0
そうして電話が切れる。
携帯のディスプレイには1時間半を超える通話時間が記録されていた。
梓「あちゃあ・・・」
来月、お母さんのカミナリを覚悟しておく必要がありそうだ。
梓「さて、と」
とりあえず、ダブルブッキングを解消すべく軽音部の先輩に明日行けない旨を・・・
そこでふっと気づく。
梓「いやいや・・・」
言えるわけ、ないじゃん・・・
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:22:42.65 ID:yAdNHxrlO
俺「あの子たちと仲良いのか?」
律「大事な仲間ってやつだな!」
俺「へぇ…みんなかわいいな…」
律「なんだよその言い方…」
俺「冗談だよ。一番かわいいよ…律……」チュ
律「あっ…ちょっと……///」
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:22:45.05 ID:K/Z+spsA0
澪先輩から・・先輩から直々に言い渡された休日集合を、
後輩の私が「友達と遊ぶんで無理です」なんて理由で断れるわけがない。
梓「バカだな、私って」
ため息をつきながら、携帯の着信履歴を開き、ついさっきまで話していた友達の番号にコールする。
『あれ、梓?どうしたの?』
梓「ん、ごめんね、ちょっと・・・」
『もしかして、やっぱり行けないんだ〜とか言うつもりじゃないよね?』
梓「いや、あの・・・」
『やめてよね?もう他の人にも一通り話しちゃったんだから。
梓が来るなら行くってヤツもいるし。人気者だね、アンタ』
梓「・・・」
『それで、何の用なの?』
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:23:10.53 ID:K/Z+spsA0
梓「いや、明日行くのはいいけど、場所とか時間とか聞いてないし・・・」
『あれ、言ってなかったっけ?ごめんごめん、えっとね・・・』
梓「ん、おっけー。そっちこそ遅れずに来てよね」
再び、電話が切れる。
梓「どうしよう、言えなかった・・・」
とはいえ、大して後悔はしていなかった。
相手のペースに流されるままだったのは、そもそも積極的に断る気持ちがなかったから。
絶対に行きたい、友達との約束。
絶対に断れない、先輩との約束。
だったら・・・
梓「嘘、ついちゃおうかな」
風邪でもひいたことにして、部活に行けない合理的な理由を作れば。
でも、それは・・・
自分の中の理性と欲望が入り交じり、行動をためらわせる。
天使と悪魔が頭の中で囁くっていうのはこういうことなんだろう。
白あずにゃん「あんなに優しい先輩方を騙して、裏切るようなことなんて出来ないよ」
黒あずにゃん「じゃあ昔からの友達を裏切るのはいいの?みんな会えるのを楽しみにしてるのに」
白あずにゃん「もっとちゃんと練習しようって言い続けてたのは他でもない、私なんだよ」
黒あずにゃん「練習は放課後でも、来週でもいくらでもできるじゃん。こんなチャンスは二度と無いかもよ」
梓「・・・」
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:24:18.28 ID:K/Z+spsA0
私の心は、黒あずにゃんの方に惹かれていってしまったようだ。
・・・そうだよ、明日を逃したら二度と会えないかも知れない。
付き合いが悪いと愛想尽かされて、縁を切られちゃうかも知れないんだ。
黒あずにゃん「大丈夫、たった1回サボったくらいどうってことないよ」
黒あずにゃん「私は唯先輩や律先輩と違って普段しっかり練習してるから、少しくらい出遅れたって余裕だよ」
黒あずにゃん「とにかく・・・明日私は部活の練習より、友達と遊びたいんだ。そうでしょ?」
・・・うん、そうなんだ。
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:25:05.05 ID:K/Z+spsA0
新規メール画面を開き、嘘だらけの本文を手早く打っていく。
『家に帰ってから、少し気分が悪かったので計ったらちょっと熱が出てました。
本当に申し訳ないんですけど、明日の練習は行けないかも知れないです』
それを4人の先輩に同時送信する。
即座に4通の返信。
律『おいおい大丈夫かぁ?とにかく暖かくしてさっさと寝るんだぞ』
澪『練習のことは気にしなくていいから。早く治すことだけ考えて』
紬『梓ちゃん大丈夫?こじらせないようにゆっくり休んでね』
唯『あずにゃ〜〜〜ん!心配だよう。
今からお見舞い行こうか?何か食べたいのある?』
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:25:44.30 ID:K/Z+spsA0
梓「うう・・・」
白あずにゃんが残した良心がひしひしと痛む。
しかし、もう後戻りはできない。
『みなさん、ありがとうございます。そんなに酷くはないと思うので、全然大丈夫です。
念のため、明日の昼から病院に行ってみようと思います』
・・・とりあえず、この嘘は信じてもらえたようだった。
「昼から」と言ったのは友達との約束も午後からだったからだ。
明日は両親ともに朝から終日外出してるし、もしも午前中誰かがお見舞いに来てもどうにかごまかせるだろう。
友達との待ち合わせ場所も、先輩たちの通学ルートや普段遊ぶエリアからは離れている。
おそらく、鉢合わせることはないはずだ。
梓「ごめんなさい、先輩方。私どうしても・・・」
翌日、土曜日。
昨夜は結局まともに寝付けなかった。
待ち合わせ場所への移動は内心びくびくしながらであったが、
到着し、懐かしい顔と再会した途端にそんな不安はどこかに吹き飛んでしまった。
ゲーセンで遊んで、カラオケで騒いで(さすがに少し自重したけど)、
わいわいご飯食べて、買物で散財して。
時間を忘れるほどに盛り上がった。
あっという間に日も暮れ、そろそろお開きの時間。
十数人の集団が、それぞれの方向に少しずつバラけていく。
『じゃーねー、梓。冬休みになったら時間作るからまた遊ぼうよ』
梓「うん、私もその時は時間作るよ。またね!」
別れの寂しさと、楽しい時間の余韻。
しかし、そんな気分も次の瞬間、一瞬で砕け散ってしまう。
梓「・・・え?」
突然、背中に突き刺さるような鋭い視線を感じた。
射すくめられたような恐怖が全身を襲う。
恐る恐る、後ろを振り返ってみる。
・・・誰も、いない。
『おーい、梓〜』
・・・気のせい、だった?
『梓ってば!』
梓「うわっ!な、なに?」
『・・・何か顔色悪いよ?どうしたん?』
まだ残っていた友達が、心配そうな顔で話しかけてきた。
梓「ううん、何でもない。ちょっとはしゃぎすぎて疲れちゃったのかも」
『何老け込んじゃってんだか』
梓「・・・うるさいな」
そうだよ。何をびびってんだろ、私。
『あ、そういえばさ』
思い出したように友達が言う。
『さっき、あっちの角を曲がった先にあるアイス屋で、桜高の制服着た人見かけたよ』
梓「え・・・」
『3人組で、二人はギターのケースみたいなの背負ってたから、ひょっとしたら梓の知り合いだったのかなって』
嘘、まさか・・・
梓「・・・それって、どんな感じの人たちだった?」
『えっとね・・・ギター背負った子が店の前ではしゃいでて、それをヘアバンドした子がなだめてたよ。
そんで、もう一人ギター背負ったロングの子がそれ見て呆れてた!』
梓「あ、あ・・・」
『知り合いと一致する?』
梓「うん・・・いやぁ、どうかな?うちは軽音部の他にジャズ研ってあるから、そっちの人かも・・・」
『へぇ、そうなんだ』
梓「・・・ごめん。そろそろ私も帰るね。なんだか本当に疲れちゃったみたいで」
『ん、分かった。バイバイ』
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:27:43.76 ID:K/Z+spsA0
・・・どうしよう。どうしよう。
たぶん、間違いない。澪先輩たちだ。
でも、なんで・・・
その時、昨日の部室でのやりとりがフラッシュバックした。
『でも、澪から遊びの誘いって珍しいな』
『あ、もしかして澪ちゃんも昨日のテレビ観たの?
駅の反対側に最近オープンした新しいアイス屋さんが大人気なんだって!』
梓「新しい・・・アイス屋さん」
やっぱりそうだ。
唯先輩のことだから、きっと練習後にだだこねて、律先輩と澪先輩と一緒に・・・
梓「やばいよ、これ・・・」
嘘ついて、練習サボったのがバレちゃった・・・
24 :
忍法帖【Lv=23,xxxPT】 :2011/04/06(水) 23:28:15.65 ID:+2IdiWH30
白あずにゃん「あんなに優しい先輩方に嘘つくなんて駄目だよ。正直に言おうよ」
黒あずにゃん「あんな頭がお花畑の奴らなんて騙すの楽勝だぜ」
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:28:17.20 ID:K/Z+spsA0
梓「そ、そだ!メールでっ」
慌てて携帯を取り出す。
とにかく先輩たちにメールを送ってみよう。
『みなさん、ご心配おかけしました!
今朝の時点でほとんど熱も下がってたのですが、念のため病院で診てもらいました。
特に問題なかったので、月曜日は学校に行けそうです。新曲、楽しみにしてますね。
元気になったので、今から昨日唯先輩が言ってたアイス屋さんに行ってみようと思います』
・・・こんな感じでいいかな。
上手くごまかせるかも知れないし、もしかしたら笑って許してくれるかも・・・
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:29:02.31 ID:K/Z+spsA0
もしバレてても、唯先輩なら・・・
頭の中で、理想的な返信を思い浮かべる。
『あずにゃん、見〜て〜た〜よ〜!練習サボっちゃうような悪い後輩は明日一日
猫耳つけて猫語しか喋っちゃいけない刑に処すから覚悟しとくよーに!!』
いいです、いいですから!
明日は猫耳強制されようが抱きつかれようが文句言いませんから、だから・・・
梓「お願いっ!」
祈るように送信ボタンを押す。
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:29:26.11 ID:K/Z+spsA0
しばらくして、メール着信を示すランプが点灯した。
着メロの流れる暇も与えず即座に画面を開く。
『着信:1件』
『梓ちゃん、ひどい風邪じゃなくて安心しました。だけど、油断しない方がいいよ。
今日はあんまり出歩かない方がいいんじゃないかな?
新曲はみんなの評判が結構良くてうれしかった。梓ちゃんも気に入ってくれるとうれしいです』
梓「うう、ごめんなさい。ムギ先輩・・・」
ムギ先輩は夕方から用事があるとのことだったから、早めに切り上げて帰っていたのだろう。
問題は、他の3人の先輩たちの反応。
しかし、なかなか返信が来ない。
携帯を握りしめたまま家路を急ぐ。
結局、家に帰り着くまでの間も、そして帰り着いてからも。
待っていた返信が届くことはなかった。
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:29:54.46 ID:K/Z+spsA0
翌日、日曜日。
目が覚めて、即携帯をチェックする。
いくつか来ていた友達からのメールを読み飛ばし、お目当てのメールを探すが・・・
梓「はぁ・・・」
これはもうそういうことだろう。
梓「すごく怒ってる、よね・・・」
そう考えると昨日のメールは逆効果もいいところだ。
バレたのが分かって取り繕うために送ったというのがミエミエ。
火に油を注ぐようなもの。
動揺のあまり自ら墓穴を掘ってしまったことになる。
梓「なんで、こんなことしちゃったんだろう・・・」
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:30:29.98 ID:Wu7VTfrn0
唯「お前軽音部やめろよ」
とにかく、直接会って謝ろう。
・・・そもそも、会ってもらえるかどうか分からないけど。
とりあえず唯先輩の家に行ってみることにした。
唯先輩なら最悪追い返されることはないはずだ。
それに、憂に間に入ってもらえば少しは話しやすくなるかもしれないし・・・
唯&憂の家。
梓「・・・こんにちは」
憂「あ、梓ちゃん。どうしたの、何か用事?」
梓「う、うん。ちょっと唯先輩に話があって」
憂「お姉ちゃんに?ちょっと待ってね」
憂「お姉ちゃ〜ん、梓ちゃんが来たよ〜!お話があるんだって」
唯「・・・」
憂「お姉ちゃん?」
唯「・・・お、おかけになった電話番号は現在使われておりません、よ〜」
二階から中途半端に声色を変えた声が聞こえた。
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:31:24.90 ID:K/Z+spsA0
梓「・・・」
憂「・・・」
梓「・・・やっぱり、私帰るね」
憂「えっ?いや、ちょっと待っててよ!今お姉ちゃん呼んでくるから」
半ば無理矢理に憂に家の中に引き込まれる。
二階から拒む姉と説得する妹とのやりとりがしばらく聞こえた後、
階段を下りてくる2つの足音が続いた。
梓「唯先輩・・・」
唯「・・・」
今日の唯先輩は、いつものように抱きついては来なかった。
その顔は、普段めったに見せないような真剣な眼差しで、その眼には明らかに分かる非難の色があって。
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:32:19.05 ID:K/Z+spsA0
梓「あの、先輩」
唯「・・・私の部屋で話そっか、中野さん」
梓「えっ」
なかのさん・・・?
憂「お、お姉ちゃん?」
唯「ほら、来ないの?」
梓「はい・・・」
憂「あ、ちょっと待って。今ジュースとお菓子を・・・」
唯「憂」
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:32:42.13 ID:K/Z+spsA0
憂「えっ、何?」
唯「お菓子はいいや。悪いんだけど、2人だけにしてくれるかな。
大事な話があるんだ。・・・中野さんと」
憂「・・・うん、分かったよ。お姉ちゃん」
憂が心配そうな眼差しでこちらを見てくる。
憂「梓ちゃん・・・」
梓「・・・ごめんね」
それが、精一杯だった。
唯先輩に従って部屋に入る。
先輩は手早くベッドの上の布団を押しのけて、座れそうなスペースを作った。
唯「さ、座って」
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:33:11.91 ID:K/Z+spsA0
梓「・・・」
唯「・・・」
梓「あの・・・」
唯「やっちゃったね、あずにゃん」
梓「えっ・・・」
あず、にゃんって・・・
梓「ひっ、うぇぇっ・・・」
また、「あずにゃん」って呼んでくれた・・・
その瞬間、今まで我慢していた涙があふれてきた。
体を支えきれず、その場でへたり込んでしまう。
梓「ごめっ、ごめんなさ・・・いっ!嘘、ついちゃ、てえっ・・・」
梓「ほんとにぃ、すいませ・・・でしたぁ・・・」
唯「わわっ、ちょっと泣きすぎだよ〜!」
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:33:28.78 ID:K/Z+spsA0
唯「気分は落ち着いた?あずにゃん」
梓「はい・・・」
唯「よしよし。それじゃ今からお説教タイムの始まりだよ」
梓「・・・」
唯先輩は泣きじゃくる私を抱き寄せて、ベッドに座らせてくれた。
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:33:57.56 ID:K/Z+spsA0
唯「やっぱりあれはあずにゃんだったんだね」
梓「・・・はい」
梓「唯先輩たちは・・・アイス屋さんにいたんですか?」
唯「うん、そだよ。
テレビで紹介してたアイスがどうしても食べたかったから、
帰りにりっちゃんと澪ちゃん誘って行ってみたんだ」
唯「その帰りに、私たちとそう変わらないくらいの子たちがいっぱい集まってるの見かけて。
よく見たらその中に、楽しそうにおしゃべりしてるあずにゃんがいたの」
梓「・・・」
唯「あんまり見かけない顔だったけど、別の高校の友達?」
梓「・・・中学の頃の友達なんです」
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:34:30.29 ID:K/Z+spsA0
唯「ああ〜いいねぇ。
私も高校に入ってからなかなか会えてない友達、たくさんいるよ」
梓「昨日、久しぶりにみんなで会おうって話になったんです。
でも昨日は部活の練習があって、だから、私・・・」
唯「うんうん、それはもう練習どころじゃないよ!
それなら私だって友達の方に行きたいもん」
梓「・・・」
唯「でもさ」
唯「やっぱ嘘ついちゃうのはダメだよ」
梓「はい・・・」
唯「何で、嘘ついちゃったの?」
梓「あの、その・・・」
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:34:45.54 ID:mAe7fvaY0
でも唯も律もサボッてるっていっちゃあサボッてるからお互い様じゃね?
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:35:09.51 ID:K/Z+spsA0
唯「・・・」
唯先輩の眼がまた厳しいものに変わる。
ここはもう、正直に話すしかないと思った。
梓「昨日の練習は、澪先輩からの先輩命令でしたから・・・
それを友達と遊びたいから断るなんて、できないと思って」
唯「だから嘘ついたの?」
梓「・・・」
唯「つまりあずにゃんは、私たちに正直に話しても許してもらえないと思ったんだね」
梓「・・・」
唯「そっか、何かがっかりだなぁ・・・」
梓「え・・・」
唯「私たちって、そんなにあずにゃんに信用されてなかったのかぁ・・・」
41 :
忍法帖【Lv=23,xxxPT】 :2011/04/06(水) 23:36:08.17 ID:+2IdiWH30
唯「中野さんの上の口は嘘つくからちょっと下の口に聞いてみようか」
梓「なっ・・・どうしてそうなるんですか?そんなことないですっ!」
唯「だってそうじゃん。あずにゃんは私たちのことを
久しぶりに昔の友達と遊びたい後輩のお願いを聞かずに無理矢理練習させるようなひどい先輩だと思ってたんでしょ?」
梓「そんな・・・そんなことっ!」
唯「私はさ、あずにゃんのこと本当に信じてて、大切に思ってるよ?
私よりギター上手いし、憂とも仲良くしてくれてるし、すごくいい子だもん!」
梓「・・・ぃやだっ」
唯「でも、あずにゃんが私たちのこと信じてくれないなら・・・」
梓「やだ、やだあっ!」
唯「・・・」
梓「もう二度と嘘ついたりしません!先輩たちを裏切るようなこと、しません!
だから、だから・・・!」
唯「・・・」
梓「もっ・・・そんな意地悪なことっ・・・言わないでぇ・・・」
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:37:00.84 ID:K/Z+spsA0
唯「・・・」
梓「ひっぐ・・・うぇぇ・・・」
唯「・・・ごめんね、あずにゃん。ちょっと言い過ぎちゃったかな」
唯「でも、みんなが怒ってるのはそこだと思うんだ」
唯「先輩の命令を聞かなかったから、とかはどうでもよ・・・くはないか。けどね。
それよりもショックだったのは、そういう言いにくいことを正直に相談してもらえなかったってことなんだよ」
梓「・・・ごめんなさい」
唯「中野さん」
梓「!」
唯「・・・って呼ばれたとき、どう思った?」
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:37:27.95 ID:OEq3AYnw0
支援
梓「・・・ぐすっ」
梓「ショック、でした」
唯「・・・」
梓「私が唯先輩を怒らせて、嫌われちゃったから・・・もう二度と呼んでもらえないんだと思って」
最初はこんな変なあだ名、嫌だったはずなのに。
いつの間にかそれが当たり前になってて。
呼んでもらえないと分かったとき、どうしようもなく悲しくなった。
そして、また呼んでもらえたとき、嬉しくて、ほっとして、涙が止まらなかった。
唯「そっかそっか」
そう言うと、先輩は再び私をゆっくり抱きしめてくれた。
唯「私だって、つらかったんだよ?あんな呼び方するの」
梓「先輩・・・」
唯「だけど、あの時はああ呼ばなきゃいけないような気がしたんだ。
・・・あずにゃんに、分かってもらうために」
ぎゅっ・・・
抱きしめる先輩の腕が少し強くなった。
梓「せん、ぱい・・・」
唯「でも、もう二度と呼ばないし、呼ばせないでね?
あずにゃんはずっとあずにゃんだよ。
卒業しても、大人になっても、ずっとずっと・・・」
梓「私のこと・・・許してくれるんですか?」
唯「うん、許したげる!
あずにゃんのこと・・・信じてるからね」
梓「はいっ・・・ありがとう、ございます!」
唯「でも、他の人たちにはちゃんと謝らなきゃダメだよ?
りっちゃんと澪ちゃんとムギちゃん、みんなに」
梓「・・・分かってます」
唯「最初はね、澪ちゃん達もそこまで怒ってなかったんだよ。
とりあえず今度会ったら一言注意してやらないとな、くらいで」
梓「あ・・・」
唯「だけどあずにゃん、あの後また嘘のメール送っちゃったでしょ」
梓「はい・・・」
唯「あれで澪ちゃんがキレちゃったんだ。
ふざけてる!とか、謝るどころかごまかすなんて!ってさ」
唯「りっちゃんも、これはちょっとキツいお仕置きが必要だな、って言ってた」
梓「・・・」
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:38:22.26 ID:a3hT7yCU0
しえん
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:38:53.03 ID:K/Z+spsA0
唯「ホントは、あずにゃんが謝りに来ても会っちゃダメだって言われてたんだ」
唯「だから、ちょっといないフリしてみたんだけど・・・失敗しちゃった」
梓「・・・あれじゃ居留守になってないですよ」
唯「あれぇ?おかしいなぁ。・・・でも、やっぱり会って良かったよ。
あずにゃんがちゃんと反省してるって分かったもん」
梓「先輩・・・」
唯「・・・あわわっ!」
梓「ど、どうしたんですか?」
唯「・・・ひょっとして、このままだと私も明日2人に怒られちゃう!?」
梓「ゆ、唯先輩は悪くないですっ!私が全部・・・」
唯「あっ、そうだ!
あずにゃんは今日、憂に会いに来たことにすればいいんだよ!
そこにたまたま私がいたことにして・・・」
梓「無理がありすぎですよ・・・
それに、もうこれ以上先輩たちに嘘つきたくないです」
唯「そっか、そだよねぇ。
よし、じゃあ正直に話して2人で怒られよう!」
梓「先輩、本当に・・・」
唯「すとっぷ!私はもういっぱい謝られたからこれ以上謝るのナシ!
ごめんもすいませんも面目ないも全部禁止だよ!」
梓「・・・はい」
唯「あっ、もうこんな時間!
あずにゃんも一緒にお昼ご飯食べようよ、ね?」
気がつくと、時計は既に12時を回っていた。
梓「え、でも・・・」
唯「大丈夫!憂に頼んで作ってもらうから」
梓「・・・ありがとうございます」
そんなこんなで唯先輩は私を許してくれた。
最初はちょっと怖かったけど、すぐにいつもの先輩に戻ってくれた。
一緒に下に降りると、既に3人分の昼食がテーブルに並んでいた。
憂も特に何か問い質すでもなく、いつも通りにもてなしてくれた。
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:39:49.88 ID:K/Z+spsA0
唯「それじゃ、あずにゃん。明日学校でね」
憂「梓ちゃん、またね!」
梓「あ、はい。ありがとうございました。
憂もありがと。お昼ごちそうさまでした」
梓「・・・あの、唯先輩」
唯「なーに?」
梓「さっきの話なんですけど・・・
大人になってもあずにゃんはやめてほしいです」
唯「えぇ〜・・・いいじゃん・・・
あずにゃんは永久に不滅なんだよ?」
梓「ダメったらダメです」
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:40:10.91 ID:K/Z+spsA0
唯「うぅ・・・あんまりいけずなこと言うと許したの取り消しちゃうぞっ!」
梓「それは・・・困ります」
唯「・・・へへっ」
梓「ふふっ・・・」
憂「あははっ、二人とも変なの」
梓「・・・それじゃ、おじゃましました。
失礼します!」
2人のおかげで、本当に気持ちが軽くなった。
明日のことを考えたら、とても笑ってなんていられないけど・・・
でも、ちゃんと向き合わなきゃいけないと思ってる。
自分の愚かさが招いた種なんだから・・・
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:40:42.56 ID:K/Z+spsA0
翌日、月曜日。
登校中に先輩たちと鉢合わせないように、普段より早く家を出た。
逃げてちゃいけないけど・・・でもやっぱり今はまだ心の準備が出来てない。
無事に教室までたどり着いた時、唯先輩からメールが来た。
『さくせんてじゅん!』
『今日、あずにゃんは放課後まで部室や3年の教室に来ないこと!
で、澪ちゃんは今日日直で、りっちゃんはテストの点が悪かったから放課後さわちゃんに呼び出しくらうはず!!
だから、そのスキに2人で部室に行って、まずムギちゃんに謝って話をしよう!』
梓「唯先輩・・・」
気を遣わせちゃって、ほんとすいません。
心の中でお礼を言う。
そして、あっという間に放課後。
駆け足で校舎を駆け上がり、部室へと急ぐ。
扉の前で一息ついて・・・
梓「失礼しますっ!」
ガチャッ
梓「・・・あれ?」
紬「あ、梓ちゃん」
ムギ先輩・・・1人だけ?
梓「あっ・・・お、お疲れ様ですっ!」
紬「うん」
梓「あの、唯先ぱ・・・あ、いえっ、他のみなさんはまだ・・・」
紬「えっとね、澪ちゃんは今日日直で遅くなるって。
りっちゃんと唯ちゃんはテストの点が悪かったからさわ子先生に呼ばれて職員室に行ってるみたい」
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:41:32.16 ID:K/Z+spsA0
・・・唯先輩ぃ・・・作戦、頓挫しちゃいましたよぉ・・・
・・・でも、ムギ先輩と2人きりにはなれた。
ちゃんと、謝らなきゃ。
梓「あのっ、ムギ先輩」
紬「・・・」
梓「一昨日は、本当にすいませんでした!
私、風邪だなんて、嘘ついて・・・それで」
紬「うん・・・唯ちゃんから全部聞いたわ」
梓「・・・」
紬「私はその場にいなかったから、あまり強いことは言えないけど、
それでもやっぱり・・・いい気持ちはしなかったかな」
梓「・・・すいません」
紬「でもでも、梓ちゃんがすごく友達思いなんだな、っていうのは分かった」
梓「・・・へっ?」
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:42:02.65 ID:K/Z+spsA0
紬「どうしても梓ちゃんに会いたいって友達をがっかりさせたくないから、断れなかったのよね」
梓「いや、あの・・・」
紬「ふふっ、ちょっとうらやましいわ」
梓「ムギ先輩?」
紬「私、そういう友達ってほとんどいなかったから・・・」
梓「・・・」
紬「だから、梓ちゃんはすごく悪いことしたわけじゃないと思うの。
ちょっと間違えちゃっただけで」
ムギ先輩なりに、どうにか慰めようとしてくれてるのかな・・・?
でも、それをそのまま受け入れることはできなかった。
梓「そんなこと・・・ないですよ。
先輩たちに嘘ついて、騙そうとして・・・それが悪くないだなんて」
58 :
忍法帖【Lv=12,xxxPT】 :2011/04/06(水) 23:42:23.40 ID:1lRmqxrJ0
しえん
59 :
忍法帖【Lv=23,xxxPT】 :2011/04/06(水) 23:42:32.14 ID:+2IdiWH30
紬「とでも言うとおもったの?」
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:42:35.22 ID:Wu7VTfrn0
あ、あんたなんかに支援なんてしてあげないんだからね//
紬「・・・ねぇ、梓ちゃん」
梓「はい」
紬「梓ちゃんは一昨日、友達と遊んで楽しかった?」
梓「それは・・・はい。すごく・・・すごく、楽しかったです。でも・・・」
紬「でも?」
梓「今はもう、後悔ばっかりです。何であんなことしたんだろうって。
もし出来るなら・・・なかったことにしたいです」
紬「それはダメ!」
梓「ひゃあっ!」
紬「・・・それは違うと思うわ」
梓「あ・・・そ、そうですよね!
なかったことにしたいなんて、まったく反省してないですよね・・・
すいません、私・・・」
紬「そうじゃないわ。・・・あのね、梓ちゃん。私思うの」
紬「梓ちゃんが友達と遊んで楽しかった気持ちも、
その時嘘をついたせいで今感じてる後悔の気持ちも、
そのどちらも梓ちゃんにとって大切な思い出で、
しっかり心の中にとっておかないといけないものなんじゃないかって」
梓「よく・・・わからないです」
紬「うーん・・・なんだろう?
ええっと・・・あ、ギター!ギターよ」
梓「ギター?」
紬「ギターやピアノの練習と似てると思うの」
梓「はぁ・・・」
紬「音楽も、何度も練習して、何度も失敗してようやく弾けるようになるわよね」
梓「はい・・・まぁ」
紬「失敗したことを忘れずに参考にして、ここに気をつけようとか、ここはこうしようとか・・・
同じ失敗を繰り返さないようにして」
梓「あ・・・」
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:43:50.05 ID:K/Z+spsA0
・・・そっか。
紬「・・・梓ちゃんは今回失敗しちゃった。でも、その失敗を忘れずにいれば、
また今度同じような選択をしないといけない時、正しい選択ができるわよね」
梓「・・・先輩方に正直に話して・・・」
紬「そうよね・・・そうしてたら、きっとみんな笑って認めてくれてたと思うわ」
梓「はい・・・」
紬「失敗して初めて気がつくことってたくさんあるから・・・」
紬「私も、色々知らないことだらけで、みんなに迷惑かけてばっかりだけど、
それでも一度失敗して、教えてもらったり学んだりしたことは、
二度と同じ失敗をしないように気をつけてるの」
梓「ムギ先輩・・・」
紬「だから、失敗したことをなかったことにしたいなんて言っちゃダメよ」
梓「はいっ・・・ありがとうございます!」
・・・何だか、すごく嬉しかった。
すべてを許してもらう為には、友達との大切な思い出まですべて否定しなければいけないと思っていたから。
ムギ先輩は、そんな私の硬直した心を解きほぐして、救い出してくれた。
その後、先輩は特製のラベンダーティーを淹れてくれた。
気分を落ち着かせる効果があるらしい。
その温かさに涙が出そうになったが、これ以上ムギ先輩に心配かけたくないので、何とか耐えきった。
しばらくして・・・
扉の向こうから、急ぎ足で階段を上ってくる足音が聞こえてきた。
慌てて立ち上がり、訪問者を待ち構える。
ガチャッ!
唯「あ〜ずにゃ〜んっ!」
梓「わわっ!」
ものすごい勢いで部室に飛び込んできた唯先輩が、ものすごい勢いで抱きついてきた。
梓「せ、先輩、ちょっと・・・」
唯「ごめんねぇ〜、あずにゃん・・・
よく考えたら私もテストボロボロだったの忘れてたよ・・・」
梓「・・・冷静に考えたら予想できた話でしたね」
唯「あっ・・・でも、その様子だとムギちゃんとは仲直りできたんだよね!?」
梓「あ、はい。それは・・・」
紬「ふふっ、私はもともとそんなに怒ってなかったけどね」
唯「・・・あっ、何だかきれいな色のお茶!あずにゃんだけずるい!
ムギちゃん、私にもちょうだい!」
紬「はいはい、今唯ちゃんの分も淹れるね」
梓「・・・はぁ」
律「・・・おーい、そろそろ私も入っていいかぁ?」
梓「わぁっ!」
突然後ろから聞こえてきた声に飛び上がって後ずさる。
梓「り、律先輩・・・お疲れ様です!」
律「ん・・・おーっす」
唯「りっちゃんにはこっちの話が終わるまで少し待っててもらったんだよ」
梓「そ、そうなんですか?」
律「そのまま忘れられたかと思ったけどな・・・で、梓。
次は私の番か?」
律先輩もムギ先輩と同じように、ある程度は唯先輩から話を聞いているんだと思う。
それでも、謝らなければいけないことに変わりはないけど。
梓「あ・・・そのっ・・・」
律「・・・」
梓「律先輩、すいませんでした!
正直に言わずに、嘘ついてごまかそうとしたりして・・・」
律「わかった。・・・梓、ちょっとこっち来い」
律先輩は強い口調で、私に窓際まで来るように命じた。
梓「な、なんですか・・・?」
律「いいから、早く来なさい」
梓「は、はい・・・」
おそるおそる従い、先輩の正面に移動する。
梓「先、輩・・・?」
律「よし梓。目を瞑って歯を食いしばれ」
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:45:51.98 ID:K/Z+spsA0
梓「えぇっ!」
唯「り、りっちゃん、まさか・・・」
律「・・・部長として、けじめはつけなきゃいけないから」
梓「ひっ・・・」
言われたとおりに目を閉じ、下を向く。
今からひっぱたかれるのかな。
・・・そういう覚悟が、まったくなかったわけじゃないけれど。
唯先輩にムギ先輩、2人続けて優しく許してくれたから、
どこかで律先輩や澪先輩もこんな感じで許してくれるんじゃないかって期待があった。
でもそれは、ただの甘え。希望的観測でしかないんだ・・・
だけど・・・怖いよぉ・・・
ガタガタと体が震えているのが自分でも分かる。
紬「りっちゃん・・・」
律「いいから、黙って見てろ」
律「・・・じゃあ、行くぞ」
梓「は、いっ・・・」
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:46:06.71 ID:K/Z+spsA0
ばちんっ☆
梓「!?」
梓「いっ・・・い・・・」
梓「いったぁぁぁいっ!」
いきなり額に炸裂した予想外な痛みに無意識にしゃがみこみ、絶叫する。
律「やったぜっ!」
唯「どっきりっ!」
紬「大成功〜!」
梓「ど・・・どっきり?」
まだ痛む額をさすりながら、どうにか立ち上がる。
律「ふふふ・・・どうよこのデコピンの威力。聡を実験台にして改良を重ねた甲斐があったってもんだぜ」
梓「えっ・・・えっ?」
紬「梓ちゃん、大丈夫?」
唯「すごい音したねぇ」
梓「・・・律、先輩、怒ってたんじゃ・・・?」
律「ん・・・そりゃまぁ、怒ってたのは怒ってたけどさ。
でも、生意気な後輩への罰ならこれくらいで十分っしょ」
梓「・・・」
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:47:04.37 ID:K/Z+spsA0
律「唯から色々話聞いてたしな。
説教しなきゃいけないことはもう唯と・・・多分ムギとでほとんど言っちゃってるだろうし。
だったらこれ以上私が言うようなことは何もないだろ?」
梓「・・・」
律「だから、お仕置きに1発デコピンかましてそれでもうチャラってこと」
梓「な・・・なんですか、それ・・・」
律「え?」
梓「どう、反応っ、したら・・・いいのかっ・・・わからなっ、ですっ」
律「あ、梓?」
梓「いたい、よぉ・・・ひっぐ・・・」
デコピンの痛みで、今まで我慢していた涙腺が一気に崩壊したみたいだ。
痛みと安堵がごちゃ混ぜになって、止め方が分からない。
律「ちょ・・・あれ?ひょっとしてマジで痛かった?」
唯「もう、りっちゃん、やりすぎだよ!」
律「わああ、ごめんっ、梓!泣くなぁっ!」
律「・・・落ち着いたか?」
梓「・・・はい」
律「・・・正直、すまんかった」
梓「いえ・・・やっぱり、そもそもの原因は私ですし」
律「・・・」
73 :
忍法帖【Lv=12,xxxPT】 :2011/04/06(水) 23:47:44.93 ID:1lRmqxrJ0
これは澪がキレるのか?
紬「後は、澪ちゃんだけ、なんだけど・・・」
梓「そう・・・ですね」
律「とんだラスボスが出てきたもんだよ。
今日一日、うちらでさえまともに話できなかったしな」
唯「澪ちゃん、何でか分からないけどすごく怒ったままなんだよね・・・
私の説明もほとんど聞いてくれなかったし」
律「・・・ま、分からないことはないんだけどさ」
唯「え、何か言った?りっちゃん」
律「いんや、独り言」
紬「・・・」
梓「土曜日の練習を言い出したのは澪先輩ですから・・・
それは、一番怒ってて当然だと思います」
唯「あずにゃん・・・」
律「それはそうなんだけど、な」
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:48:00.18 ID:vpyn0GSy0
まさか•••
あの爺さんがこのss書いてたりしないよな?
76 :
忍法帖【Lv=12,xxxPT】 :2011/04/06(水) 23:52:43.84 ID:1lRmqxrJ0
ん?
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:57:24.88 ID:c9tYrEqv0
律「・・・梓」
梓「は、はい」
律「うちらも横にいてフォローはするけど、
結局最後はお前と澪が直接話して解決するしかないだろうから」
梓「・・・分かってます」
唯「頑張って、澪ちゃんとも仲直りしようね!」
紬「澪ちゃんもきっと、梓ちゃんと今まで通りの関係に戻りたいと思ってるはずだから」
梓「はい・・・ありがとうございます、みなさん」
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 23:58:59.48 ID:XchACVk10
中学生日記みたい
澪「・・・私が、どうかしたのか?」
その瞬間、元に戻りかけていた部室の空気が一瞬で凍り付いた。
梓「あ・・・」
椅子が倒れるほどの勢いで立ち上がり、すぐさま頭を下げる。
梓「み、澪先輩!今回は・・・本当にすいませんでした!
私、もう二度と嘘ついたりしませんから・・・その・・・」
澪「・・・ムギ、私にもお茶もらえる?」
紬「え・・・う、うん・・・今、淹れるね」
梓「あ・・・」
澪先輩は、私の方を見ようともせず、そのまま自分の定位置に座った。
律「澪、あとお前だけだぜ」
澪「・・・」
律「スパッと許しちゃえよ、もう」
唯「もう多数決で3対1だし!」
梓「先輩、あの・・・」
澪「梓」
梓「は、はいっ」
澪「立ってないで座ったら?・・・そこに立ってられると落ち着かないよ」
梓「・・・すいません」
今日ほど、このいつも通りの席配置を呪いたい日はない。
すぐ右正面に、澪先輩が座ってるのだ。
うつむいたまま、ちらちらと上目で先輩を伺うが、
まったくこちらを見てくれる気配はなかった。
律「・・・たく」
梓「えと・・・先輩・・・」
澪「・・・そういえば梓」
梓「な、なん・・・ですか」
澪「風邪の方はもう大丈夫なのか?」
梓「!」
律「おい」
梓「・・・すいません」
澪「大丈夫かって聞いてるんだけど」
梓「・・・っ」
澪「ま・・・今みんなとはしゃいでたくらいだし、大丈夫なのかな」
梓「・・・っく」
律「おい澪」
澪「・・・それとさ、ムギ」
紬「何?」
澪「あの曲、やっぱムギのオリジナルの楽譜でやった方がいいんじゃないかな」
紬「澪ちゃん!でも、あれは・・・」
澪「・・・だって、任せられないよ」
紬「そんなこと・・・」
・・・あの曲って、新曲のこと?
オリジナルがどうとか、よく分からないけど・・・
任せられないっていうのは、多分私のこと言ってるのかな・・・?
唯「澪ちゃん、もうやめようよ・・・」
澪「・・・ああ、そういえば梓は昨日唯の家に行ったらしいじゃないか。
何の用事だったんだ?」
梓「それは・・・あの・・・」
唯「・・・ち、違うんだよ!澪ちゃん!
あずにゃんは昨日憂に用事があって家に来て・・・
それでたまたま私がいたから少しお話しただけで・・・」
澪「・・・唯には聞いてないよ」
唯「うっ・・・ごめん」
梓「や、やめてくださいっ!唯先輩は何も悪くないんです!」
唯「あずにゃん・・・」
梓「私が勝手に押しかけたせいで、唯先輩にも迷惑かけちゃって・・・」
唯「そ、そんなことないよ!」
梓「悪いのは全部私ですから・・・だから・・・
唯先輩にまでそういうこと言うの・・・やめてください」
澪「・・・わかってるよ、そんなこと」
梓「そ、そんなこと、って・・・」
澪「つまり梓は・・・最初に唯、次にムギ、そして律。
謝りやすい相手から順番に片付けていったってことか」
梓「・・・」
紬「澪ちゃん!」
律「・・・そろそろいい加減にしとけよ、お前」
・・・嫌だよ、もう。こんなの・・・
なんで、どうして、こんな・・・
梓「・・・っく・・・や、もう・・・」
澪「何か汚くないか?そういうの」
梓「もうっ、いやだぁ・・・っ」
唯「あ、あずにゃん!?」
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/07(木) 00:02:56.11 ID:q6RkBxcY0
梓「いくら謝ってもっ・・・澪先輩っ・・・話も聞いてくれないし・・・」
紬「梓ちゃん・・・」
梓「私の顔っ、見てくれないから・・・」
律「・・・」
梓「どしたら・・・ひっく・・・いいのかっ、わかんなっ・・・」
澪「梓・・・」
梓「どうしてっ・・・聞いてくれないんですかっ・・・?
どうしてっ・・・分かってくれないんですかぁっ・・・」
澪「なっ・・・何もっ・・・分かってくれなかったのは、梓の方じゃないか!」
梓「わっ・・・かんないっ・・・!
澪先輩なんかっ・・・きら・・・いっ・・・」
澪「・・・梓っ!」
・・・殴られる・・・!
思わず目を瞑り、身を縮める。
しかし、どれだけ待っても、その瞬間は訪れなかった。
86 :
忍法帖【Lv=12,xxxPT】 :2011/04/07(木) 00:03:08.18 ID:9mt3S/0z0
良スレ
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/07(木) 00:03:28.35 ID:q6RkBxcY0
ゆっくりと開いた目に映ったものは、
振り上げられた澪先輩の腕と、それを抑えている、3つの腕・・・
律「澪、やめろ」
唯「澪ちゃん、ダメだよっ!」
紬「やめて、お願い・・・」
澪「あ・・・」
律「澪、梓に謝れ。いくら何でもやりすぎだろ」
澪「な・・・んだよっ!・・・律、お前が・・・
お前のせいでもあるんだからな!」
律「・・・!」
唯「あっ、澪ちゃん!」
澪先輩は掴まれた腕をふりほどき、部室を飛び出て行ってしまった。
紬「・・・梓ちゃん、大丈夫?」
梓「は、はい・・・でも、ひぐっ・・・私、最低です
謝らなきゃいけなかったのに・・・逆ギレしちゃって・・・うえぇっ・・・」
唯「落ち着いて、あずにゃん・・・
今のは、澪ちゃんもよくないよ。
りっちゃんに八つ当たりもしちゃって・・・」
律「八つ当たり、か・・・」
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/07(木) 00:03:35.10 ID:7//XDj7P0
こんな部活で、先輩四人で後輩自分一人だとオレだったら心が折れてるわ
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/07(木) 00:03:48.60 ID:N+rZCZt90
これは俺の古傷が抉られる…
90 :
忍法帖【Lv=23,xxxPT】 :2011/04/07(木) 00:03:48.63 ID:yszNmu8E0
甘ったれんなよ髪型ツインテールからグドンにすんぞ
紬「りっちゃん?」
律「案外、回り回って・・・そうでもなかったりしてな」
唯「・・・どういうこと?」
律「んー・・・あのさ、梓」
梓「はい」
律「澪のヤツ、最近やたらと梓のこと気にかけるようになってたんだよ。
梓が気がついてたどうかはわからないけど」
梓「私は・・・別に」
律「今更言うことじゃないけど・・・うちら卒業したら軽音部は梓1人になっちゃうだろ?」
梓「そ、ですね」
律「・・・で、頑張って部員勧誘してメンバーが集まったとしても、今度は部長としての仕事がある」
梓「・・・」
律「練習スケジュールの管理したり、ライブの計画仕切ったり、他の部員に気を配ったり・・・とか?
私はあんまりやった記憶がないからよくわかんないんだけどさ」
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/07(木) 00:05:13.79 ID:q6RkBxcY0
唯「さすがりっちゃん。すごい説得力」
律「うるせぇ。・・・で、やっぱそういうのってそれなりに責任が伴うことなんだって。
・・・澪が言うには」
梓「責任・・・」
律「梓には、来年から新しい軽音部を作って、それを引っ張っていく自覚と責任をしっかり持ってほしい・・・ってな」
梓「・・・」
律「ま、現部長があまりにだらしないから、次期部長様に必要以上に期待が集まってるってことかな。
・・・私のせいってのはそういう意味だよ」
紬「そんなことないわ。りっちゃんはしっかり部長としてみんなをまとめてるもの」
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/07(木) 00:07:31.69 ID:Sv+E2ZrP0
律「へへっ・・・で、そんな感じで決意を新たにしたそばからこういう事が起きて・・・
澪もちょっと頭に血が上っちゃったんじゃねーのかな?」
梓「あ・・・」
唯「・・・澪ちゃんは、色々考え過ぎちゃったんだね」
律「よく考えりゃ勝手すぎる話だけどな。
・・・結局、先輩として後輩に対して十分な引き継ぎはできそうにないし」
梓「そんなこと・・・そんなことないです!
先輩たちはみんな、私に色々なことを教えてくれてます!
律先輩も、唯先輩も、ムギ先輩も・・・澪先輩だって!
なのに私は、それを裏切るようなことを・・・」
律「だからもうそれはいいって、梓」
紬「梓ちゃん、これ・・・」
ムギ先輩が差し出してくれたのは、真新しいふたつの楽譜だった。
梓「え・・・先輩、これって・・・」
紬「これが今回書いた新曲よ・・・こっちが正式版」
指し示された方の楽譜を目で追いかけ、その後両方を比較してみる。
梓「もしかして・・・」
唯「そう、この曲はあずにゃんとむったんが主役なんだよ!」
紬「最初はいつも通り唯ちゃんがリードギターのつもりで書いたんだけど、
後から、梓ちゃんがリードをやることを前提にして変更したの」
律「澪の提案なんだよ」
梓「澪・・・先輩が?」
律「これまではどうしても梓は唯の後ろに回ることが多かったからさ。
だからこの曲は、梓中心にして、梓のために作ってあげたいんだって」
梓「で、でも・・・唯先輩」
唯「あずにゃん、私に遠慮なんてしなくていいんだよ?」
律「元々梓の方が上手いから心配なんてしてないけど、
これをライブでばっちり決められたら梓にとっても自信になるだろうし、
私たちも安心して後を託せるってこと」
梓「・・・わかりました。
私、やります!やってやるです!」
紬「ふふっ」
唯「私が横からしっかり支えてあげるから大船に乗ったつもりでいていいよ、あずにゃん」
律「泥舟じゃなきゃいいけどなー」
梓「・・・不安です」
唯「ぶーぶー」
梓「あ、でも澪先輩はやっぱりダメだって・・・」
律「そんなの本心なわけないだろ?」
唯「もし本気でも、多数決したら私たちの勝ちだし!」
紬「そうね、せっかく作り直したんだし、使ってもらえないのは嫌かな」
梓「でも・・・その前に澪先輩にちゃんと謝らないと」
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/07(木) 00:09:33.83 ID:Sv+E2ZrP0
律「えー、ほっといたら寂しくなって戻ってくるんじゃないの?
・・・鞄もベースもここに置いたままだし」
紬「りっちゃん、それはかわいそうだわ」
唯「りっちゃんひどい!」
律「じょ、冗談だって・・・」
梓「でも・・・澪先輩、今どこに・・・」
律「大方うちらの教室にでもいるだろうから、行ってやってくれよ、梓。
きっと、梓に嫌いって言われてマジ凹みしてると思うぜ」
梓「あ・・・私、本当にひどいこと言っちゃった・・・」
律「ああやめやめ!そんなのはもうお互い様だろ?とにかく行ってきなよ」
梓「・・・はい!私行ってきます!」
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/07(木) 00:10:09.85 ID:Sv+E2ZrP0
3年2組の教室。
沈みかけの夕日が、教室中をオレンジに染めていた。
澪「・・・梓に、嫌いって、言われた・・・」
澪「あたりまえ、だよな・・・あんなひどい態度取ったんじゃ・・・」
澪「それどころか唯やムギにまで・・・」
澪「うぅっ・・・」
梓「澪先輩!」
教室の隅で影と一体化していた澪先輩を見つけ、私は教室に飛び込んだ。
澪「あ、梓・・・」
梓「そのっ、澪先輩!
ホントのホントのホントのホントに・・・すいませんでした!」
澪「え・・・」
梓「先輩たちは・・・澪先輩は、私のことを考えて色々としてくれてたのに、私はそれを知らずに・・・
何も分かろうとしなかったのは、私の方で・・・」
澪「梓・・・」
梓「ホント、情けなくて、申し訳なくてっ・・・」
澪「・・・」
梓「だけど私、これからは・・・あっ」
謝罪の言葉は、澪先輩が私を抱きしめたことで途切れさせられた。
澪「もう、いいよ・・・
こっちこそ、ごめんな、梓」
梓「澪先輩・・・」
澪「おかしいって・・・やり過ぎだって分かってたのに・・・自分で自分をコントロールできなくなってたんだ。
梓のためには、先輩として毅然とした態度を取らなきゃいけないとか勝手に考えて、止まらなくなって・・・」
梓「・・・」
澪「嫌な思いさせて・・・ホントにごめん」
梓「いえ・・・元はと言えば私の自業自得ですし・・・」
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/07(木) 00:10:53.63 ID:tFULPvny0
でもこれは、普段唯ちゃん達がまともに練習してないのと、
唯ちゃん達が受験のせいで練習出来ないせいだから、
100lあずにゃんが悪い訳じゃないし、可哀想だな
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/07(木) 00:11:00.75 ID:Sv+E2ZrP0
澪「あのさ・・・梓」
梓「はい?」
澪「さっきの・・・私のこと嫌いってやつなんだけど」
梓「あ、あれは・・・忘れてくださいっ!
澪先輩のこと、嫌いなんてあり得ません!」
澪「・・・ホントに?」
梓「ほんとです」
澪「ホントのホントに?」
梓「ほんとのほんとにです」
澪「うぅ・・・よかったぁ・・・よかったよぉ・・・」
梓「先輩・・・泣かないでくださいよ・・・」
澪「唯やムギも・・・怒ってないかな?
二人にもひどいこと言っちゃったし」
102 :
忍法帖【Lv=23,xxxPT】 :2011/04/07(木) 00:11:32.46 ID:yszNmu8E0
りっちゃん・・・・・
梓「・・・怒ってるわけ、ないじゃないですか。
みなさん、澪先輩のこと心配してました。
澪先輩がここにいるだろうって教えてくれたのは律先輩ですし」
澪「律は・・・いいんだ。
あいつがだらしなさ過ぎるのが原因のひとつなんだし」
梓「・・・」
澪「部室、戻ろうか。
みんなを待たせちゃ悪いしさ」
梓「はい!」
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/07(木) 00:13:22.30 ID:Sv+E2ZrP0
唯「あ、2人ともお帰り〜」
梓「みなさん、お騒がせしてすいませんでした」
澪「・・・」
律「あっれー?澪ちゃんは?もしかしてごめんなさいも言えないのかな?」
澪「な・・・なっ!」
律「なぁ、こういう時素直に頭を下げられるかどうかで先輩としての器量が試されると思わないか?」
澪「お前が・・・言うのかよっ!」
律「ふふーん」
澪「・・・みんな、迷惑かけて、ごめん。
・・・その、許してくれる、かな」
唯「もちろん!お帰り、澪ちゃん」
紬「これでみんな仲直りね」
律「許してほしければそれなりの・・・ぐはっ!」
澪「・・・調子に乗るな」
梓「当然の報いです」
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/07(木) 00:14:10.11 ID:JOe7v5FS0
ひさびさの良スレ•••
あっ黄色でお願いします
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/07(木) 00:14:58.10 ID:j1q4xn+70
何かがたりない
どう見てもゴキブリが悪いのに、無理やりいい話にもっていこうとするのが・・・
吐いた
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/07(木) 00:20:43.08 ID:X9teLZ0A0
パッピーエンドは望んでない
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/07(木) 00:21:55.61 ID:9mt3S/0z0
てか終わり?
梓「あの・・・澪先輩」
澪「なに?」
梓「改めてなんですけど・・・この新曲、私がリード弾いても良いですか?」
澪「・・・当たり前だろ。梓のために作り直してもらったんだから。
大丈夫、梓ならちゃんと務められるさ」
律「・・・さっきは自分でダメだって言ったくせにさ」
澪「律、何か言ったか?」
梓「律先輩は黙っててください」
律「・・・」
唯「私がついてるから安心していいよ!澪ちゃん」
澪「唯は邪魔しないようにな」
梓「唯先輩はおとなしくしててください」
唯「ぶーぶー」
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/07(木) 00:23:46.71 ID:Hb1/5vTB0
律、唯、梓がウザ過ぎる
律「さてと、雨降って地が固まったところで新曲の練習でもするか?」
澪「そうだな」
紬「やろうやろう」
唯「ささ、あずにゃんは真ん中にどうぞ〜」
梓「ええっ!い、いつものところでいいですってば」
唯「いやいや、位置取りもいまからやっとかないと本番とまどっちゃうでしょ?」
梓「うう・・・わかりました」
律「んじゃ、とりあえず1回やってみるぞ〜」
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/07(木) 00:24:46.32 ID:WVdh0CQ10
・・・私の愚かな行動がきっかけで起きた今回の騒動だったけど、
その中で、先輩たちが私やこれからの軽音部のことを本当に考えてくれてるってことや、
私がこれからやらなければいけないことが見えてきた気がする。
いつまでもこの先輩たちと一緒に音楽をやっていたい。
・・・でも、いつかは訪れるその時に、ちゃんと前を向けるように。
先輩たちが安心して次のステージに進めるように。
私もやるべきことをしっかりやろう、そう思った。
だけど、もうしばらくの間は・・・
この最高の先輩たちと演奏ができる最高の時間を噛みしめていたいと思う。
おしまい
すいません
途中何回か連投で怒られました
117 :
忍法帖【Lv=23,xxxPT】 :2011/04/07(木) 00:27:24.73 ID:yszNmu8E0
さりげに澪のフォローいれてたのに澪の律に対する扱い酷えな
あれがなけりゃ仲直りもできてないぞ
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/07(木) 00:32:22.46 ID:FVjKJKMw0
みんなあずにゃんのために頑張っていたんだね…
俺もこんな部活に入りたかった…
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/07(木) 00:33:27.10 ID:vpxYXOMBO
澪うぜぇな
所詮SSだしどうでもいいが
120 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/07(木) 00:37:58.45 ID:4tsjWz2h0
もうゴキを甘やかすのはやめようよ
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/07(木) 00:41:15.16 ID:xcfsgq4D0
ここからどうやってエロにもっていくのか楽しみですな
122 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/07(木) 00:46:47.45 ID:Ad1RW1qY0
まずあずにゃんに限ってこんな嘘つかないだろ
乙
123 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/07(木) 00:51:15.48 ID:V9ebLmTM0
相手からかかってきた電話の通話時間を気にするとはこれいかに
124 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/07(木) 00:56:56.68 ID:3TqswhZlO
澪の口調がおかしい。けど乙