( ^ω^)戦闘諜報員がピザデブだったらこうなるようです

このエントリーをはてなブックマークに追加
80以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 21:46:47.62 ID:ySa/sHfH0
イカニート!?
81以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 21:54:31.25 ID:6DRLXXat0
まさかさるか
82以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 21:54:57.49 ID:b8tehFDV0
これのクーって結構情緒不安定だよな
83以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 21:58:14.28 ID:3J0BOLbkO
フェイズ2やるたびに麻薬打ってるくらいだからねえ
さるよけさるよけ
84すみません猿ってました ◆GOO3eNv.Vk :2011/03/29(火) 22:02:53.85 ID:B0jYCHuR0

ィk=--ト、
以R[゚::7

それは、黒い機械だった。
いや、あれは機械ではない。
見た目はおよそサイボーグのような出で立ちだが、確かにその中には人間がいる。

分厚い装甲を着こんだアームスーツとは違う、機動性に富んだスリムな強化外骨格だった。

頭部は横から覗くと戦闘機を彷彿とさせるような『兜』が取り付けられており、
眼と思わしき幾つものセンサが不気味な音を立てて暗闇を見つめていた。

川 ; -゚)「(あのスキン、どこかで見たことがある……確か徳川重工で開発していた
      拡張現実インターフェースだ……)」

コスト対効果が悪過ぎることと、機能の需要が吊り合わず製品化されていない代物である。
少なくともニューソク社にあのような装備はない。

金属的な印象を受ける『兜』に反して、肢体が纏う戦闘スーツは
ラバーともゴムともつかないダークグレーの素材で覆わていた。

その“皮膚”の下からは筋骨隆々な人工筋肉が浮き出ており、
図体の大きさに反してどことなく流麗なイメージを彷彿させる。
85以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 22:04:33.48 ID:b8tehFDV0
徳川……

本田忠勝か
86以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 22:05:38.63 ID:ncGGfIW90
>>85
なるほど……
87以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 22:06:00.06 ID:b8tehFDV0
間違えた本多忠勝だった
88 ◆GOO3eNv.Vk :2011/03/29(火) 22:08:37.12 ID:B0jYCHuR0

人工筋肉を用いたマッスルスーツの概念自体は
既に軍事産業においても技術科・工業化の域に達している。

一年前の東欧で衝突したニンジャマンことショボン=ダッチマンも
似たような装備の力を借りて闘犬部隊を翻弄したことは記憶にも新しい。

ゆえに、一見オーバーテクノロジーにも見えるこの手の
BDU(戦闘服)は別段、戦場において珍しい存在でもないわけで、
むしろ、この突然の闖入者の異常点はその体躯に取り付けられた
数々のアサルトアクセサリの方にあった。

ィk=--ト、
以R[゚::7

武器だらけなのである。

胸部、椀部、腰部、背部、両脚部には手榴弾や突撃銃、スカウトナイフを初めとする
様々な重火器が、文字通りこれでもかという程に取り付けられていた。

これらを全て撃ち尽くせば一体どれほどの人間を殺せるのだろうか。

もはや歩く火薬庫といっても過言ではない様相であり、それが見る者に
言いようのない不安の圧迫を感じさせる要因となっていた。

宝石狂のブルジョアジーですらここまで着飾ることはないだろう。
武器は殆どが頑丈な金属製。
重量過多でまともに動けないはずだ。
89以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 22:10:23.53 ID:b8tehFDV0
ニンジャマン編から一年も経ってんだ
知らなかった
90 ◆GOO3eNv.Vk :2011/03/29(火) 22:14:47.41 ID:B0jYCHuR0

重装歩兵の担ぐ武器兵器は通信機器やバッテリーを含めて五十キロ以上の重量に
なることもあるが、この機械鎧はそれ以上の質量を己の身体に積み込んでいるようである。

加えて、身体に纏うもの全てが『攻撃兵器』という点も異様に映った。
このイカれた鎧は防弾や防刃といった類の防御兵器を一切装着していないのである。

銃器や弾薬を吊るためのベストこそ装備しているものの、マッスルスーツ以外に
身を守ってくれるものは身につけていなかった。

守ることを放棄した、攻撃するためだけの騎士。

( ФωФ)「…………」

ィk=--ト、
以R[゚::7「…………」

対峙する化け物と機械鎧。
さながら魔王と勇者。

しかし、そちらが正義なのかは分からない。
言葉を交わしたわけでもない。
にも関わらず、互いに、相手の抹殺を考えていた。
まるでこの世に産み落とされたときからそう定められていたかのように。

屋敷の周囲が騒がしくなってきた。
これだけの騒動を起こせば公安が気付かないわけがない。
絶え間ないサイレンの音が雨音に紛れて遠くから聞こえてくる。
91 ◆GOO3eNv.Vk :2011/03/29(火) 22:18:21.16 ID:B0jYCHuR0

(;゚∋゚)「何ということだ……よもやあの二人が同時に現れるとは……」

この事態にもっとも驚愕していたのは執事のクックルだった。

エクストの生体情報が危険域に達したことを受け、
クールの庭園に増援を派遣した直後に把握したことだった。

そのエクストももういない。屋敷も酷い損傷を受けている。
今は何より自分の主人をどうやってこの場を脱させるかが最重要課題だった。

(;゚∋゚)≪最悪だ。酷過ぎる。まさか奴が直々に出張ってくるなんて、
     こちらの想定が甘すぎたのか。
     早くシイナ様を安全なところにお連れしなくては……≫

地下室のモニターに拳を叩きつけるクックル。
内蔵をえぐられるような思いを抱いていたのはモナーも同じだった。

(;´∀`)≪撤収! 撤収! 撤収モナー!!≫

从#゚×ナ从≪何やねん! ここまでされておいて今さら退けっていうんかい!!
         それでも金玉ついとるんかわれぇ!!??≫

頭部から血を流すねーやんが横転したバンの無線装置に唾を吐く。
車の外ではモララーがラドンのビーストと激しい交戦を繰り広げていた。
92以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 22:21:14.85 ID:3J0BOLbkO
モララーはまだ無事か
ギコは…
93以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 22:23:14.76 ID:ncGGfIW90
ちょっと前までこいつらものほほんとしていたのにな
えらい事になってる
支援
94 ◆GOO3eNv.Vk :2011/03/29(火) 22:23:32.70 ID:B0jYCHuR0

(;´∀`)≪屋敷側でイレギュラーが発生したモナ。
       参謀、死にたくなければモララーを連れて逃げるモナ≫

随所に仕込んだスパイカメラから送られてくる映像を
見ながらモナーは珍しく狼狽している。
不鮮明なモニターには二つの人影が映されていた。

(;´∀`)「(完全に見誤ったモナ。まさかあのバケモノがこんなに
       速く動いているなんて……これでは計画が水の泡モナ
       せめて闘犬部隊の全滅だけは避けないと……)」

上司の聞いたこともない声色に多少の戸惑いをみせるねーやんが、
困ったように車内の割れた窓から外を除く。

「フラストレーション!!」
ちょうどモララーが相手のビーストに鳩尾を喰らわせているところだった。

从゚×ナ从≪んなこと言ったってなあ。こっちは今交戦中なんや。
      それにさっきの意味不明な光と爆発で周りのパンピーも
      流石に気付き始めとる。公安の介入は時間の問題やで≫

(;´∀`)≪回収班を向かわせているモナ。多少強引でもいいから
       その場を離れるモナ。渡辺ちゃんはどうなってるモナ?≫

从゚×ナ从≪ラドンの連中に持ってかれてまったわ。
     ギコとミルナからも通信が途絶えっぱなしやし……≫
95以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 22:24:37.15 ID:4meMi9Xd0
支援
96 ◆GOO3eNv.Vk :2011/03/29(火) 22:24:44.62 ID:B0jYCHuR0
(;´∀`)≪ギコは行方知れず。ミルナは死んだモナ≫

从゚×ナ从≪は? あのオッサン死んでもーたんか!?
     馬鹿は休み休み言えやハゲ≫

(#´∀`)≪ハゲでもいいからとっとと命令に従うモナよ!
       まだこの程度の被害で済んだだけなら万々歳モナ!!!≫

从;゚×ナ从≪何や……一体何が起こっとるんや……≫




(#ФωФ)「!!」

ィk=--ト、
以#[゚::7「ッ!!!」

全ての事情を知る者達が憂う要素は既に激突していた。

方や、素手で地を砕くスーツ姿の化物。
方や、重機関銃で空気を裂く機械鎧の化物。

その二体が一撃でも当れば即死を免れない闘いを繰り広げている。
97以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 22:28:30.17 ID:b8tehFDV0
主人公どこいったんや
98 ◆GOO3eNv.Vk :2011/03/29(火) 22:28:57.55 ID:B0jYCHuR0

川  - )「うぐううううう……うう」

一方のクールは自らが行使したフェイズ2による副作用に苦しんでいた。
直ぐ近くでは恐ろしいやり取りが続いているというのに、
五感の全てが狂ったようにかき乱され、動くことも逃げることも叶わなかった。

川; - )「薬……クすりィ……」

苦しみから解放してくれる薬剤プラグはない。
口から吐瀉物を零しながら芋虫のように地面を這うクールに
前触れもなく血だらけの手が差し伸べられた。

(メ-Д゚)「隊長、大丈夫ですか。しっかりして」

川; - )「ぎ、ギコ? 生きていたのか……」

クールの霞む目にギコの安堵の表情が映る。
この男もよほど手ひどくやられたのだろうか、身体は泥と血に塗れ、呼吸も乱れている。
左手が奇妙な方向に曲がっていることから骨折もしているようだった。

(メ-Д゚)「眼やら肉やら持ってかれていますけどね。
     あいつらは何です? ラドンですか?」

川; - )「構わなくていい。私も……よくわからん」

(メ-Д゚)「そうですか……撤退命令が出ています。
     さあ、行きましょう。ここは危ない」
99 ◆GOO3eNv.Vk :2011/03/29(火) 22:32:14.79 ID:B0jYCHuR0

そう言ってギコがクールの肩を持ち、立ちあがったときだった。

「「「動くな。貴様らは包囲されている!」」」

大型照明が庭を照らし、拡声器から威圧的な声が発せられる。
同時に真っ黒な装備に身を固めた男たちが侵入者たちを取り囲んだ。

二十人以上はいるだろう。
全員が強力な武器を手に持ち、緑色のレーザーサイトをギコたちの身体へ当てている。
クックルが派遣した傭兵たちだった。

( ФωФ)「…………」

ィk=--ト、
以R[゚::7「…………」

傭兵達の包囲網は二体の化物にも及んでいた。
男と鎧は互いに次の一手を構えたまま、鬱陶しそうに黒い影たちを眺める。
このまま無視して闘うか、それとも一端手を休めて皆殺しにすべきか思案しているようだった。

(メ-Д゚)「(くそ!! ここで異能が使えていれば……)」

自分の胸に浮かぶ光点も見て舌打ちするギコ。

平素なら何とか出しぬける人数だが、今のギコの身体はそこら中を負傷しており
まともに交戦できる状況ではなかった。強行突破は難しい。
100以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 22:35:29.30 ID:ncGGfIW90
ギコ生きてたか
支援
101 ◆GOO3eNv.Vk :2011/03/29(火) 22:37:37.12 ID:B0jYCHuR0

「「「動くな!! そこの!!」」」

傭兵たちはどちらかというとギコとクールよりも人外たちのほうに関心を割いていた。

瞬きを一切しないスーツ姿の男と、見たこともない装備を纏った強化骨格。

才能と実力があるゆえに傭兵達はこの二体の存在が絶対に闘ってはいけない相手であることを
本能的に理解していた。
隊長らしき男が拡声器を強く握りしめる。

「「「これより貴様らを拘束する。抵抗する場合は即刻射殺する」」」

( ФωФ)

「「「おい、動くな! 動くなと言っているだろう!!」」」

ィk=--ト、
以R[゚::7

「「「構わん! 殺せ!!」」」

そして黒ずくめの傭兵たちは死んだ。
何事もなかったかのように再び決闘を始めた人外たちの攻撃に巻き込まれて。

人外にとって、武装包囲は憂慮すべき脅威ですらなかった。
機械鎧が撃ちだす制圧射撃の射線上にいた者は為すすべなく撃ち抜かれ。
スーツ男が振るう拳は近場にいる者を粉砕する。
傭兵達の行為は象の喧嘩に蟻が介入することに等しかった。
102以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 22:41:55.85 ID:ySa/sHfH0
さあピザデブの出番だぞ
103 ◆GOO3eNv.Vk :2011/03/29(火) 22:43:33.93 ID:B0jYCHuR0

( ФωФ)「ヌっ、ン!!」

ィk=--ト、
以;[゚::7「グフッ!?」

姿の消える奇怪な業で機械鎧の攻撃を掻い潜ったスーツ男が
その頑丈な腹部に強烈なアッパーを打ち込んだ。

数百キロある鎧が僅かに宙に浮き、拡散しきれなかった衝撃を
内蔵で受け止めた強化骨格が僅かに苦悶の声を漏らす。

ィk=--ト、
以#[゚::7「ウォオオオ!!」

機械鎧は手にしていた銃を放り捨て、格闘戦へと切り替えた。
有蹄類のDNAを採用した人工筋肉が膨れ上がり、
それをアクチュエーターが出力全開状態で稼働する。

鉄板すら撃ち抜く小さな大砲がスーツ男の顔に迫り、それを紙一重で避けた男は再び拳を唸らせた。
死者累々の庭園には金属部品が吹きとぶ音と人外の鮮血が散る音だけが響いている。

川; - )「バケモノどもめ……なんて闘いだ……
     まるで、我々の力が児戯のようじゃないか……」

(メ-Д゚)「隊長。足を止めないで……逃げるんです。
     あいつら、おれたちのことは眼中にない。速く!」
104以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 22:47:11.05 ID:3J0BOLbkO
しえん
105以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 22:57:56.66 ID:Joc/qgee0
さるが強いのか?
106 ◆GOO3eNv.Vk :2011/03/29(火) 22:59:12.47 ID:B0jYCHuR0
クールが石造のように固まってしまっていることにギコは窮していた。
情けないことに無理やり担ぐだけの力も残っていない。
仕方なく、人外たちからある程度離れた場所で自分の異能を展開する。

(メ-Д゚)「くそっ、体力が……血を流し過ぎて……集中できない。
     こんな面積じゃ二人分は……せめて隊長だけでも……」

異能で編み上げた不可視のマントがクールの身体を包み、ギコは一人になった。

(メ-Д゚)「なんなんだあいつら……ビーストにしたって強すぎる……。
     何なんだよ。クソッ……こんな、隠れることしかできねーなんて……」

( ФωФ)「ぬン!!」

ィk=--ト、
以R[゚::7「オオ!!」

人外たちの激しい闘争の収束は未だに見えない。

もう何合打ち合ったのかも分からなかった。

右を打てば左を打たれ。
腹を抉られれば、頭部を揺さぶる。
互いに一歩も譲らず実力は拮抗しているように見えた。
107 ◆GOO3eNv.Vk :2011/03/29(火) 23:01:05.04 ID:B0jYCHuR0

( ФωФ)「フーッ……」

ィk=--ト、
以R[゚::7「…………」

しかし、どれほど平らに見える壁でも僅かな歪みはあるものだ。

幾年もの年月と風雨はその歪みを少しずつ、少しずつ、浸食していく。
やがてそれは壁の内部を蝕み、鉄骨を腐食し、漆喰を脆くする。

数百にもおよぶ打撃と銃撃の打ち合いはやがて双方の壁の
目に見えない差を巨大な穴へと変えていった。

ィk=--ト、
以;[゚::7「ぐっ……」

機械鎧が片膝を付いた。
呼吸音が荒い。
過酷な運動を強いられた人工筋肉は自らが生み出した加重に耐えきれずに断線を始め、
流麗な頭部スキンも猛烈な攻撃に晒されたために所々が破損している。

( ФωФ)「フー……諦めろ……フーッ。変えようのない差なのだ……」

スーツを着る男が初めて口を開いた。
くぐもった、聴く者の腹を動かすような、暗い、濁った声だった。
言葉の合間に入る深い呼吸音は生きとしものの魂を吸う音か。
108 ◆GOO3eNv.Vk :2011/03/29(火) 23:03:48.10 ID:B0jYCHuR0

(メ-Д゚)「(あ、あいつ……そうだ、オヤジを殺ったやつじゃないか)」

男の着るダークスーツは機械鎧のそれと同じく、既に傷だらけになっており、
上体は肌が露わになっている。

その皮膚は石のように硬く、熱せられた鉄のように赤黒い。
その姿を見たギコはいつかのテレビ番組で見た東洋の『鬼』とよばれる怪物を思い出した。

ィk=--ト、
以R[゚::7「ダ、黙れ……まだ終わっていない」

鎧も口を開く。
変声機を介しているのか、機械のような声になっている。

( ФωФ)「フゥーッ……止めておけ。互い、異能が通用しない。
       相性ガ悪いというやつだ。フーッ……単純な生物と
       しての性能なら、フゥー……我輩の方が高い」

(メ-Д゚)「(会話? あいつら、知り合いなのか? もっと近くへ行こう)」

ィk=--ト、
以R[゚::7「憤怒の魔獣には手を出させない。去れ」

( ФωФ)「そうはいかない……フーッ。
       あの女は連れて行く……フー……。
       あれは――――――」

(*゚ー゚)「要だから、でしょう?」
109 ◆GOO3eNv.Vk :2011/03/29(火) 23:06:49.87 ID:B0jYCHuR0

ィk=--ト、
以R[゚::7「!?」(ФωФ )

(メ-Д゚)「(シイナ=ヴィルヘルム!……まだ逃げていなかったのか)」

雨が止んでいた。
血なまぐさい戦場に似合わない、透き通った声。

ワンピースの上にジャケットを着込んだシイナが
割れた雲から覗く月光を背に濡れる芝生の上に立っていた。

隣には例によって執事が立っているが、その顔は緊張に染まっている。
そしてその肩には―――――

从- -从

(メ-Д゚)「(渡辺っ……!?)」

気を失った渡辺が担がれていた。
見たところ怪我はしていないようだが、ガスの影響でまだ意識を失っているらしい。

ィk=--ト、
以#[゚::7「シイナ=ヴィルヘルム!
      貴様、ノコノコ現れるとはいい度胸だな!
      この魔女め!! 殺してやろうか!?」

(;゚∋゚)「!!」
110 ◆GOO3eNv.Vk :2011/03/29(火) 23:11:18.87 ID:B0jYCHuR0

機械鎧が叫ぶ。
猛る破壊の権化にクックルが反射的に立ちはだかった。

ィk=--ト、
以#[゚::7「邪魔だ。雑魚に用はない!!」

(;゚∋゚)「し、シイナ様を殺す前に私を殺せ!!」

両手を大きく拡げ、焔のような息吹きを一身に受けるクックル。
その噂を聴いているだけに、内心では震えが止まらなかった。

この化物が少し本気になれば、屋敷の敷地ごと灰塵に帰すことなど造作もないのだ。
懐に忍ばせる幾重のときも自分の命を守ってくれていた拳銃でさえ、
今は頼りない玩具に感じられる。

( ФωФ)「フーッ……まあ待て。先ずは話だ。
       魔女よ。未だ覚醒しない憤怒の魔獣をここに連れて何を企む」

両手をだらりと下げたスーツ男が、濁った瞳をシイナに向ける。

見つめられれば生殺与奪を嫌がおうにも奪われそうな人外を、平然とした表情で
見つめ返しながらシイナは大袈裟な身振りで困った声を出す。

(*゚ー゚)「まったくもう、皆して私を魔女魔女って。
    仮にも貴方たちを生んだ身なのだから、
    母親に対して少しは敬意を払いなさいな」
111 ◆GOO3eNv.Vk :2011/03/29(火) 23:12:03.55 ID:B0jYCHuR0

ィk=--ト、
以#[゚::7「誰が母だ!! フザけたこと言うと焼き殺すぞ!!」

(*゚ー゚)「やってみなさい。やれるものなら」

ィk=--ト、
以#[゚::7「っ……女狐がァ……」

やんわりと笑うシイナに対して機械鎧は言葉を詰まらせる。

しかし、それでも荒れ狂う憎悪と怒りが肉体から噴出し、
近くにいるクックルとギコの精神を激しく揺さぶった。

(*゚ー゚)「そう血気盛んにならないで。久しぶりに家族が集ったんだもの。
    皆元気そうで何よりよ。
    とはいえ、そのうちの一人はお寝んねしちゃってるけど」

112以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 23:12:33.83 ID:3J0BOLbkO
生んだ?
113以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 23:13:03.73 ID:ncGGfIW90
ええー!?
母親てどういう事
114以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 23:14:52.30 ID:GHXyFDq/0
oi

おい

今追いついた

ドMが死んだ・・・だと・・・
115 ◆GOO3eNv.Vk :2011/03/29(火) 23:15:18.82 ID:B0jYCHuR0

そう言って、シイナは慈しむように二人の人外、腹を痛めて生んだ息子たちを見つめる。

彼らが、自分に対して一切の愛情を持たないこと。
彼らが、自分に百年祟っても消えない憎悪を抱いていること。
彼らが、例え人類全てを犠牲にしてでも自分を殺そうとしていること。

その全てを理解したうえで、シイナは息子たちの名前を
落とした真珠を拾うかのように呼んでいく。

(*゚ー゚)「相変わらず鋭い目つきねロマネスク。
     純潔の魔獣≪ライン・モンストール≫の真名はやっぱり
     貴方に相応しいわ。私の審美眼は間違ってなかったみたい」

( ФωФ)「フーッ……貴様にその名を言われると背筋に何かが通る。これは殺意か?」

ィk=--ト、
以#[゚::7「構わない。ロマネスク。今ここでお前が動けば
      この女を永久に葬ることができる」


(*゚ー゚)「こら、あなたも大概にしなさい。
    物事には出来ることと出来ないことがるの。
    ドイツできっちりそのことを教えたはずよ? 
    ホライゾン……いいえ、狂乱の魔獣≪デリル・モンストール≫」

(メ-Д゚)「!?」
116以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 23:15:31.31 ID:+Y+5aoCuO
ピザデ……マチコさんマジ空気
117以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 23:15:37.13 ID:pILTU+V30
えっ
118以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 23:19:28.23 ID:ncGGfIW90
えっ
これマチコさん?
てかモンストールさんたちは皆兄弟なの?
119以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 23:20:19.97 ID:pILTU+V30
イトーイヒローイイカニート
120 ◆GOO3eNv.Vk :2011/03/29(火) 23:21:21.85 ID:B0jYCHuR0

(メ;-Д゚)「(ちょ、ちょっと待て。あの強化骨格が内藤?
       まさか……でも……)」

空に立ちこめていた雲が大きく裂けた。

(*゚ー゚)「お帰りなさい。私の子供たち」

( ФωФ)

ィk=--ト、
以R[゚::7

从-ー-从~゜

巨大な月が顔を覗かせ、世界最悪の兄妹たちを照らし出した。






つづく

121以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 23:24:45.62 ID:6DRLXXat0
なんだと・・・
122以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 23:27:24.99 ID:ySa/sHfH0
最初から居たのかよ
123 ◆GOO3eNv.Vk :2011/03/29(火) 23:27:53.64 ID:B0jYCHuR0
以上になります。
猿ってしまってこんなに時間がかかってしまいました。
支援して下さった方々ありがとうございました。

前回、書き忘れましたが、件の震災で私の安否を心配
してくださった方々、無用な憂いを持たせてしまって申し訳ありませんでした。

私は無事でしたが、無関係な人間ではなかったので、
実生活において暫らく喪に服していました。

震災に見舞われた方々と街々の早急な復興を願います。
124以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 23:31:53.28 ID:ySa/sHfH0
おつん
125以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 23:35:27.92 ID:ncGGfIW90
おつ
126以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 23:37:12.22 ID:3J0BOLbkO
乙乙
衝撃の展開続きだな
wktkして待ってるけど無理はしないでね
127以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 23:44:27.13 ID:6DRLXXat0
おっつだぜ
128以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 23:45:40.07 ID:pILTU+V30
ピザデブには道化が似合う
129以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
ギャグが少ない