1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
変態紳士の名の下に
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 22:53:18.59 ID:yP0h6ArBO
乙でござい
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:01:42.40 ID:xdYbdPY00
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:03:07.77 ID:tnvGN4AkO
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:06:40.70 ID:LdqLDn6h0
>>1
変態め
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:13:09.35 ID:8J/mT9m20
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:23:08.26 ID:TVfOjp3f0
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:26:38.26 ID:OF/dVves0
1000 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/03/27(日) 23:25:04.54 ID:2KUmV0EP0 [11/11]
1000なら熟女覚醒
おい何でだよ・・・
覚醒しちまったじゃねぇか・・・
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:27:57.72 ID:InEXp95yO
>>1
変態野郎が
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:28:20.70 ID:2KUmV0EP0
わるかった
わるかった……
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:28:37.22 ID:OF/dVves0
焦りが焦りを呼び、やがては不安を引き連れて来る。
それでもドクオは決して、神になど祈らない、奇跡など願わない。
神に祈り、奇跡を願うのは諦めた人間のする事だ。
自分で何かをしようとしないで、他人任せに都合のいい展開を期待する行為を、ドクオは嫌う。
小振りなM84と自分の実力だけが、自分自身の命を助けることを忘れなかった。
必死になって生き延びる事だけを思考した。
状況的に、精確な射撃では逆に意味がない。
出された結論は、とても短かった。
川 ゚ -゚)「そろそろ諦めるか?
今なら、そこから落ちるだけで許そう。
私が手を出すまでもない」
('A`)「手癖が悪いのに、よく言うぜ」
正確な射撃で意味がないのならば、照準は適当でいい。
仮説であるが、副椀は素直クールの近くに来た銃弾を叩き落とすようだ。
つまり、手を出さなくても良い弾にまで手を出すと云う事。
そこが狙い目だ。
ドクオは左手をコートの中に入れ、指の間に弾倉を挟んで取り出した。
左手の指が挟む弾倉は、全部で4つ。
既に装填されている弾倉と合わせて五つ。
M84を片手で構える。
川 ゚ -゚)「面白い、やってみろ」
言われるまでもない。
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:29:15.70 ID:N/d2eJnKO
855 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/03/27(日) 23:20:34.88 ID:+UJI+nkWO [6/6]
質・量共に歩く越えてると思うが
859 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/03/27(日) 23:23:46.57 ID:9+hAzpmb0 [7/7]
>>855 俺は歯車かなり好きだけど、それだけは絶対に無い
信者にも叩かれる歯車哀れすぎwwwwwwwwwwwwww
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:30:44.82 ID:TVfOjp3f0
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:32:06.45 ID:OF/dVves0
('A`)「やってやるよ」
適当に狙いを定め、ドクオは銃爪を引き絞る。
次弾が自動で装填される。
単純なシーケンスを、ドクオは可能な限り素早く行った。
撃ち尽くす前に、次の弾倉を備える。
薬室に一発だけ残し、空になった弾倉を排出。
新たな弾倉を入れ、銃爪を引く。
反動で照準が激しく上下するのも構わない。
瞬く間に弾倉二つを空にし、三つ目の弾倉を装填した。
足元に薬莢がパラパラと散らばる。
三対の副椀は、無駄のない動きで銃弾を止める。
極限まで無駄を削ぎ落とした動作だが、それでも完璧な事はこの世にない。
薬室内に一発を残した状態で4つ目を装填、左手が持つ弾倉は残り一つ。
M84の中の弾と合わせ、27発。
そんな事を考えている間に、20発に減った。
銃身が熱を持ち、その熱は人差し指にも伝わる。
痛みさえ覚える。
銃爪を引く速さは、コンマ1秒も遅延しない。
集弾率も悪くは無い。
少しずつ。
本当に少しずつだが、一発毎に見えて来た。
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:32:16.72 ID:2KUmV0EP0
ラスボス支援
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:32:42.19 ID:XlDB1ec30
キーワードの並びが、変態歯車紳士になっててワロタwww
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:35:55.08 ID:TVfOjp3f0
頑張るなぁ・・・
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:36:05.06 ID:OF/dVves0
僅かな隙間が。
最後の弾倉に交換し、ドクオは思考を切り替えた。
ここからは、一発でも良い。
12発で道を開き、一発で終わらせる。
呼吸を止め、反動を抑える為に足に力を入れる。
腹筋を固め、だが必要な力以外は入れない。
撃って。
撃って、撃って。
兎に角、撃つ。
予定通りに弾を撃った後、意識を一点に集中させ、最後の一発を撃ち込む。
ドクオの射撃は正確で、寸分違わず狙い通りに銃弾は進んだ。
他の弾の対応に追われていた六本の腕の迎撃を見事にすり抜け、素直クールの胸に吸い込まれる。
唐突に、周囲が静寂に突かれた。
風鈴が鳴る様な、透き通った残響音が聞こえたのはその直後。
この音。
ドクオは、この音は知っている。
音の正体。
それは、複数の刃が擦れ合う音。
刃の数は、12。
(;'A`)「な、なんでそれを……」
川 ゚ -゚)「ん?
これがどうかしたのか?」
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:36:46.87 ID:xdYbdPY00
ロマネナイフか
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:37:17.15 ID:bm6v0nWzO
なくしたやつか…
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:37:49.29 ID:TVfOjp3f0
ここで出てくるのか
完結したら全部読むから頑張って完結させてください。
支援
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:38:53.71 ID:2KUmV0EP0
そういえばロマネナイフも第一話から出てたっけ
そういや二本って言ってたっけな
ここでもう一本がか
ナイフまで来ちゃった…
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:40:01.53 ID:OF/dVves0
軽く刃を振ると、"絡め取られた"銃弾が地面に落ちた。
風に吹かれ、12の刃が風鈴の様な音を鳴らす。
嘗てその刃は、ドクオの手に渡った代物。
一時的に手にした事があるからこそ、その性能の良さと扱い辛さを知っている。
その刃の名は―――
(;'A`)「なんで、ロマネナイフを持ってるんだよ!?」
ドクオは、ロマネスクの愛用していた特殊なそれの名を口にした。
ナイチンゲールで紛失してしまった得物が、どうして素直クールの手にあるのか。
川 ゚ -゚)「思い当たる節が無い訳ではあるまい?
自分の力で考える前に人に訊くとは、あまりにも情けないな」
思い当たる節ならあった。
そして、その説明も出来る。
(;'A`)「……人の頭をなんだと思ってやがる」
ロマネナイフを失う直前、ドクオは敵との交戦で気を失った。
あの時だ。
更衣室で気を失ったのは、素直クールがドクオの頭を殴ったからだ。
そうしてから、素直クールの持つ副椀のドリルでドクオを殺そうとした敵を屠った。
今なら分かる。
ドクオを気絶させ、ロマネナイフを奪ったのは他ならぬ素直クールだったのだ。
何時の間にナイチンゲールに潜入し、あの場に現れたのかは知らない。
ただ、ロマネナイフを奪った張本人が目の前にいる事実に変動は無い。
そういえばこの最終話、完全に暗殺じゃなくなってるよな
いや歯車王相手に暗殺は無理だろうけど・・・
あのシーンはここで使うのか
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:42:51.87 ID:vgqjrjTK0
なんでなんで
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:44:01.90 ID:OF/dVves0
ロマネナイフを見せつける為に、素直クールがわざと一発だけ通した事に、ドクオは気付かされる
川 ゚ -゚)「感謝するのならば分かるが、まさか文句を最初に言われるとはな。
これ一つで命が買えたと思えば安い物だろう。
まだ、お前にこれは早い」
これ見よがしにロマネナイフを動かす。
弾倉の弾が無くなって遊底が後退したままの事を忘れ、ドクオは歯噛みした。
文句一つなく、それはもっともな言葉だった。
ナイチンゲールの一件で助けられなければ、確かにドクオは殺されていた。
自覚しているからこそ、悔しかった。
一言一句、全て正論だったのだから。
川 ゚ -゚)「だが、そんな些細な事はまぁいいだろう。
そんな間柄じゃないしな」
どうしてか、ドクオは素直クールが上機嫌な様子に見えた。
こんな状況なのに、先程からドクオの思考は安定しない。
素直クールの強さに臆していないと言えば、それは嘘になる。
だが、それが原因ではないと断言できる。
もっと別の要因が、ドクオの精神を乱しているのだ。
心のどこかに浮かび上がる、奇妙な感情。
感動に似た感情は、どうしてか素直クールから目を逸らす事を許さない。
なんとなく、ドクオは理由が分かった。
川 ゚ -゚)「お前は自分の持つ力でここまで来れた。
その点を私は評価している」
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:44:45.88 ID:LdqLDn6h0
しええ
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:44:52.55 ID:TVfOjp3f0
支援
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:45:32.90 ID:2KUmV0EP0
まだ謎は残ってるよな…
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:46:01.00 ID:bm6v0nWzO
そうかだから切り札なのか
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:46:40.48 ID:vgqjrjTK0
なんだかんだドクオ自身のことはまだ全然分かってないしな
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:47:27.99 ID:TVfOjp3f0
('A`)の秘密って何だろうな
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:47:30.30 ID:007qbdJS0
デレとでぃの動きも気になるところ
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:48:06.76 ID:OF/dVves0
('A`)「お褒めの言葉ありがとう。
成績表にはA+か、優を付けておいてくれ」
川 ゚ -゚)「ふふ……
まだ冗談を言えるようだな」
不意を突いた攻撃をする様子は無く、素直クールは手の中でロマネナイフを弄び始めた。
一度に響く独特の音色。
何故、素直クールは上機嫌なのだろうか。
理由は、ドクオが思っているのと同じなのかもしれない。
これから殺す相手に対して抱くのは、親愛に似た感情だ。
川 ゚ -゚)「お前は何故、私が歯車王だと気付いた?」
('A`)「最初に名乗った時だ」
ロマネナイフを動かす手を、素直クールは止めた。
切り出しの言葉は的確だった。
('A`)「ヒートの苗字と自分の字が違うってのを知ってるぐらい優秀なくせに、モララーが兄者の話をした時に驚いてた。
あれで見事に引っ掛かったよ。
他にもあるが、一番の理由は別にある。
全員の素性を調べた情報屋のくせに、"俺"を真っ先に疑わなかった事だ」
川 ゚ -゚)「なるほど。
お前の登録情報が途中から記載されている事か?
それとも、名を変えている事か?」
('A`)「やっぱり知っていやがったか」
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:49:03.25 ID:LdqLDn6h0
ドクオの名前ってまだでてないよな……
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:49:05.17 ID:TVfOjp3f0
wktk
やっぱりドクオ・タケシって…
本名はまだだもんな
>>37 暗殺って公に知られずに殺すことだからまだ大丈夫な気がする
改めて伏線の多さに脱帽
最終的に殺すことになったらそれでいいとか言ってなかったっけ
56 :
>>37これって暗殺じゃないんだぜ?:2011/03/27(日) 23:54:04.49 ID:OF/dVves0
川 ゚ -゚)「当然だ。
なぁ、ドクオ・タケシ?
いや、違うな。
そうだな、私もお前と同じように呼ばせてもらおう。
呼ばれなくなって、随分と久しいだろう?」
空気を味わう様に吸い込み、素直クールはその名を口にする。
今まで隠してきた、ドクオの本当の名前を。
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:54:16.59 ID:LdqLDn6h0
うおおお
予想は当たってるか…
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:55:55.00 ID:InEXp95yO
ようやく本名が分かるのか
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:56:02.02 ID:bm6v0nWzO
は
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:56:02.83 ID:TVfOjp3f0
wktkが、止まらないッ!
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:56:28.23 ID:76o1FmYVO
川 ゚ -゚)「ドクオ・タカシ」
そうか
暗殺計画は1部で
3部になってから作戦名も変わったのか
wktk
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:59:56.58 ID:OF/dVves0
川 ゚ -゚)「なぁ、ドクオ・ルリノよ」
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:59:59.22 ID:vgqjrjTK0
ドクオ・TDN
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:00:23.76 ID:qMBIeg/x0
複線っていえるのこれ、ただのこじつけじゃね
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:00:33.97 ID:U64AN0Bw0
マジか!
えっ
外れたぁぁぁぁぁ
ちくしょー! しえーん!
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:00:54.92 ID:BDBfSKA2O
ルリノだと
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:01:16.68 ID:Vu3fJpvk0
ルリノってまさか、えっ
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:01:17.45 ID:dk9mFG030
初代の血縁者ってことか…?
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:01:28.35 ID:qMBIeg/x0
ドクオ女かよwwwwwwwww
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:01:48.62 ID:b3uo3ytx0
まさかのまさかのルリノとは
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:02:12.98 ID:iZA/nh7RO
('A`)「どうも、ドクオ・ロリノです」
やっぱりか
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:02:40.81 ID:zV+oj+OT0
ノ(^−^ノリル
ノ(^−^ノリル これが
('A`) これだと・・・?
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:03:58.18 ID:X7XXgUW7O
うええええ!?
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:04:01.53 ID:NDCOmeJD0
――――――――――――――――――――
昔。
ドクオがこの世に誕生したのは、今から25年前の話。
そして。
その生涯の中で初めて人を殺した時の事を、ドクオは今でも鮮明に覚えている。
殺す直前に見せた相手の顔を。
恐怖に引き攣り、怯えきったその顔を。
殺した後に見せた無様な顔を。
目を大きく見開き、絶望の表情を浮かべるその顔を。
殺した理由を。
手に残る痺れた感触を。
鼻につく濃密な血の匂いを。
対象を殺した後に残った、あの気持ちを。
いつもと同じ、曇った気候を。
当時の服装では、肌寒いと感じる気温を。
じめじめとした湿度を。
ドクオがその手で人を殺め、屍を生み出した場所を。
冷気を帯びた空気が辺りを支配する、深夜の静けさを。
火照った体を冷やす、風の心地よさを。
全てを思い出せる。
時が過ぎた今でも、後悔は微塵もない。
―――全ては、25年前に遡る。
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:05:08.80 ID:Vu3fJpvk0
回想か
過去話キタ
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:05:31.45 ID:U64AN0Bw0
こっから('A`)の過去編か
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:06:07.87 ID:vKlJDio4O
('A`)「ばかばっか」
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:08:01.94 ID:NDCOmeJD0
ドクオが生まれたのは、裕福とは言えない家庭だった。
そして、幸せとは無縁の家庭でもあった。
物心が付いた頃は、まだそこまで悲惨だとは思わなかった。
それが自然だったからだ。
裏通りにポツンと存在する、寂れたアパート。
25年前のある日、そこで産声を上げたのが今のドクオ・タケシ。
いや、ドクオ・ルリノである。
体重は3542g、身長は54cmと健康な男児であった。
父親の名をドクオは知らない。
母親の名も、知らなかった。
知る機会も無かった。
今でも知りたいとは思わない。
金を使うのを惜しみ、免許を持っているかどうかも分からない助産師の助けを経て、自宅で出産。
望んで生まれた子供では無く。
また、祝福されて生まれた子供では無かった。
道具。
そう。
自分達の幸せの為に使う、"道具"として。
ドクオは、愛されることなくこの世に生まれ落ちた。
淀み、腐り、腐敗した家庭に。
初代歯車王、ノリル・ルリノの、その末裔として。
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:08:25.99 ID:BDBfSKA2O
ドクオの過去か
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:09:10.69 ID:Vu3fJpvk0
末裔がなんでそんなに転落したんだ…
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:09:15.58 ID:iZA/nh7RO
ドクオさん超主人公だな
もうちょっと遺伝子的に優遇されてもいいはず
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:11:10.11 ID:X7XXgUW7O
隠し子?はたまた秘蔵っ子?
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:12:02.13 ID:NDCOmeJD0
ノリル・ルリノの血を引く父は、酷く粗暴な性格をしており、酒癖も悪かった。
プライドが異常なほど高く、自分に流れる血を尊い物だと信じて疑っていなかった。
そのくせ、自堕落でどうしようもなく自己中心的な考えをしていた。
手癖は最悪を極め、ドクオが生まれる前の段階から日常的な暴行を妻に加えていた。
異常なプライドは保身へと走り、滅多なことでは外出もしなかった。
きっと、自分の正体を知ったら周囲の人間が掌を返し、彼をどうにかしようとするだろうと危惧していたのだ。
日夜あるはずのない誇大妄想を膨らませ、悦に至る父。
彼の妻は、暴行されても別れようとはしなかった。
彼女もまた、信じていたのだ。
いつの日か今の歯車王が死に、歯車王の血を引く夫が成り上がる日を。
都の王として夫が君臨すれば、自分はその妻として注目される。
確かに今は金に困っているが、それも少しの我慢。
今は、耐える時。
妻は常に自分にそう言い聞かせ続けていた。
そんな二人の間に生まれたドクオの存在は、彼等の豊かな老後を確約する物であった。
ドクオがある程度仕事ができるようになったら、夫がその地位を引き渡す。
収入と権力は減ることなく、仕事だけが無くなる。
何もかもがこちらの意志で自由に出来るのだ。
面倒な事は全てドクオに押し付ける。
だから、愛情など最初から必要無かった。
愛情は自分の為だけに。
父も母も、永久に来る事のない日に想いを馳せ、ドクオが成長する様子を見ていた。
この時から既に、彼等はドクオを歯車の一つとして利用する事だけを考えていたのは、言うまでもない。
大切な道具を決して壊さないよう、彼等はぞんざいな注意を払っていた。
どっくん…
ドクオ…
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:14:31.52 ID:dk9mFG030
俺も影の薄さと底辺な暮らしぶりには定評があるので
もしかしたら王の末裔かもしれない
おお...
血縁で歯車王は継げるのか?
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:16:03.80 ID:U64AN0Bw0
ドクオ・・・
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:16:03.62 ID:NDCOmeJD0
―――生後2カ月目を迎えた、ある日の夜の事である。
赤子であるドクオは、空腹を訴える為に夜泣きをした。
それが、ある意味で始まりであった。
(#・父・)「うるせぇ!
そいつを黙らせろ!」
居間で安物のウィスキーを飲んで酔っ払っていた父親は、母親の寝室にずかずかと怒鳴りこんで来た。
顔を真っ赤にし、口から酒臭い息を撒き散らす夫に、ドクオを抱きかかえた母親は困惑の表情を浮かべる。
J(;'ー`)し「そ、そんな事言っても……」
何をしていいのか分からないと云う言葉は、夫の言葉が上塗りした。
(#・父・)「いいから早く黙らせろ!」
育児の知識に疎い母親は、ドクオが空腹を訴えているのに気付かず、寝かしつけようと試みた。
当然、いくら揺さぶられても空腹が満たされる事は無い。
加えて、父親の怒号は赤ん坊にとっては騒音以外の何物でもない。
ますます泣き叫ぶドクオに業を煮やし、父親は母親を殴ろうと手を上げた。
母親は咄嗟に自分の顔を守るため、躊躇いなく我が子を手放した。
煎餅の様に薄い布団の上に落とされ、ドクオは更に泣いた。
ドクオを置き去りにして、母親は逃げるように後退る。
我が子よりも、我が身の方が大事だったからだ。
床で泣くドクオを乱暴に持ち上げ、興奮状態の父親は風呂場へと連れて去った。
J(;'ー`)し「な、何をするつもりなの!」
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:16:26.00 ID:EPY8DptNO
赤子の頃から修羅場やないか!
あれ、J('ー`)しって…
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:18:38.40 ID:X7XXgUW7O
このカーチャンは…
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:20:01.51 ID:NDCOmeJD0
母親は追ったり止めたりしようとはせず、叫ぶだけで動こうともしなかった。
脚を掴んで逆さまにされ、湯船に沈められたドクオの姿を見る事は、結局無かった。
濡れてぐったりとしたドクオを連れて戻ってきたのを見た母親は、急いで抱き寄せ、息をしている事を確認した。
流石に、自分達の明るい将来を約束する道具を壊す愚は犯さなかったようだ。
命が無事だったと云うよりは、道具が失われなかった事に対して母親は安堵の息を漏らした。
(・父・)「けっ!
酒が不味くならぁ。
いいか!
さっさと寝かせろよ!」
J(;'ー`)し「ごめんなさい……ごめんなさい……」
夫でもなく、ましてや、我が子に対してでもなく。
母親はただただ、自分の罪悪感を隠す為に謝った。
夫が投げてよこしたドクオは、もう泣く元気すらなかった。
胸元に抱き寄せたのが幸いし、ドクオは弱々しい動きで母親の乳房を探す事が出来た。
ようやく我が子の要求に気付き、母親は授乳させた。
その日の夜は、ドクオはもう泣かなかった。
翌朝。
母親はドクオを抱きかかえ、居間で爆睡する父親の横で朝食を摂った。
不穏な空気を感じ取り、ドクオが不安げな表情を浮かべる。
上手く見えない眼を必死に動かし、周囲を見渡す。
J( 'ー`)し「大丈夫よ、お母さんが守るから」
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:20:09.65 ID:zV+oj+OT0
お前らの愛する熟女様ですよ?
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:20:25.75 ID:Ti5lHSAc0
最終話支援
寝る
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:20:34.62 ID:dk9mFG030
ドックン…
覚醒してないから駄目
ん?誰か来たみたいだな
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:22:35.25 ID:U64AN0Bw0
支援
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:24:36.04 ID:NDCOmeJD0
騒音並みの父親の寝息が、すぐ近くから聞こえてくる。
昨夜の事もあり、その中で言われた言葉は説得力の欠片が微塵も無かった。
最も、ドクオにはまだ言っている言葉の意味は分からないのだが。
それでも、感受性の高い赤子のドクオは、上辺だけの言葉に惑わされることなく、本質を体で感じ取っていた。
この人間は、少なくともドクオの事を好いていない。
ドクオの事を守ろうとはしない。
愛されていない。
愛情など、最初から注がれる様な存在ではない、と。
J( 'ー`)し「ね?」
不安げな表情を、ドクオは変えなかった。
信用性、皆無。
未だ両親の識別が出来ないが、敵味方、善悪の区別は付けられた。
意識的な物では無く、それは本能的に判断した行動だった。
笑わせようと必死にあやす母親を、不信の目付きで見るドクオに、母親は気付かなかった。
彼女は、ドクオの目を見ていなかったからだ。
正確に言えば、確かにドクオを見ていかかもしれない。
ドクオと云う名前の道具、歯車を。
自分の朝食を終えてから、母親はドクオに授乳させた。
ふと、父親が大きな欠伸と共に起床した。
冬眠中の熊が起きる様に、ゆっくりと体を起こす。
(・父・)「ふぁあああ……
ん?
おい、俺の飯はどこだよ?」
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:25:06.59 ID:Vu3fJpvk0
支援
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:25:07.71 ID:vKlJDio4O
戦闘描写よりも人の醜い部分を書き出すのに熱が入る作者
カーチャン・・・
砂塵の都で確か"スナオ"ってなm
ん?こんな時間に誰だよ
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:27:04.72 ID:iZA/nh7RO
J('ー`)し スナ・オカーチャン
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:28:02.60 ID:NDCOmeJD0
不機嫌な声でそう言うと、母親は条件反射的に授乳を中断し、ドクオをその場に置いて台所へと避難した。
食パンをトースターに入れ、朝食の準備に取り掛かる。
取り繕った妻の行動は、夫に目にはこの上なく不愉快に映った。
床に転がっていた灰皿を、妻に向けて投じる。
狙いは外れ、ガス台に当たった。
(#・父・)「避けてんじゃねぇよ!」
単に自分のコントロールが悪いだけなのだが、父親はそれを認めようとはしなかった。
先程まで妻が朝食を摂っていた机を、怒りに身を任せて蹴り飛ばす。
机の上に乗っていた皿が、床のドクオに落ちて来た。
幸い、そこまで高さが無かったから大事には至らなかった。
が、突然の痛みにドクオは泣いてしまった。
まだ幼いから仕方がない。
仕方がないのに、父親はそれを許さなかった。
(#・父・)「うるさい!」
夫の怒鳴り声に身を震わせ、ドクオの母親は目を逸らした。
同じ言葉を呟きながら。
J(;'ー`)し「ごめんなさい……ごめんなさい……」
―――離乳期を迎えても、状況は一向に変わらなかった。
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:29:06.65 ID:Vu3fJpvk0
おうふ…
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:29:28.52 ID:dk9mFG030
地獄やで…
120 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:29:43.83 ID:U64AN0Bw0
なんともまぁ
幼少期のグロさに定評のある作者
122 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:30:44.93 ID:BDBfSKA2O
なんて言っていいか……
よく生き延びられたよな…
124 :
忍法帖【Lv=8,xxxP】 :2011/03/28(月) 00:31:37.19 ID:yAP2ahsJ0
支援
125 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:32:02.55 ID:NDCOmeJD0
ペースト状の離乳食を安心して食べられるのは、父親が酔い潰れた時だけ。
理不尽な仕打ちに泣きながらも、ドクオは食べた。
そうしなければ死んでしまうからだ。
雑誌や新聞を丸めた比較的柔らかい物で叩かれ、その度に泣いた。
泣く度に父親は怒鳴り、母親は泣き叫ぶ。
事ある毎にドクオを虐待する父親と、その度にドクオを見捨てて逃げる母親。
J(;'ー`)し「さぁ、ご飯を食べましょうね」
スプーンに乗せた離乳食を、ドクオの口元へと運ぶ。
ぎこちない手つきで食事を与えて日が経っても、一向にその手が慣れる気配は無い。
むしろそれどころか、ドクオに伸ばす手が震えている始末だ。
恐れているのだ。
我が子の無垢な表情が。
咎めているのか。
何を考えているのかも分からない。
自分の思い通りにならない。
どうしてもっと人の言う事を聞かないのか。
母親は次第に、育児に対して疑問を抱き始めた。
J(;'ー`)し「おいしい?」
額には冷や汗が浮かんでいた。
ただの赤ん坊相手に。
機嫌を窺い、機嫌を損ねてはいけない。
大の大人が、どうしてこのような行為を強いられなければいけないのか。
ろくなもんじゃないな
127 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:33:29.49 ID:U64AN0Bw0
支援
砂塵の都のことも踏まえると変わらなかったんだな、この性格
129 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:36:15.49 ID:NDCOmeJD0
寝静まった父親を起こさない内に、母親は早くこの作業を終えたい衝動に駆られていた。
二人とも分かっている事だが、決してドクオを殺してはいけない。
死に至らしめる様な事があれば、それは自分達の老後に影響を及ぼす。
今から二人目を作るにしても、同じ事を繰り返すだけになる。
現歯車王が死んでから名乗り出て、そこから作るか。
そうすればベビーシッターを雇えば解決だ。
だが、親を裏切る可能性が生まれる。
今は耐えなければならないと、ドクオの母親は自分に言い聞かせた。
黙々と離乳食を食べるドクオは、何も見ていない様な冷たい眼で母親を見上げていた。
母親は寒気を覚えた。
夫が自分に対して暴力を振るう際に見せる目とは、まるで別の次元。
あれは単純な暴力だが、こちらはそうではない。
底なしの深淵。
暗い闇が自分を見ている錯覚。
自分の心を見抜かれ、暴かれ、罵られ。
何か、とてつもない化物を相手にしている気がした。
ドクオは黙ったままだった。
喜怒哀楽や、母親の顔を覚えている頃なのに。
笑顔一つ見せない。
J(;'ー`)し「ど、どうだったかしら?」
用意されていた離乳食を食べ終えたドクオに、母親はそう尋ねた。
ドクオは意味のない言葉で返したが、少なくとも感謝や満足のそれにはとても聞こえなかった。
この頃になると、ドクオは多少の物音でも泣かなくなった。
例えば父親が酔った勢いで酒瓶を振り回し、家具を破壊しても目を覚ますだけ。
わーい外道だー
131 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:38:36.73 ID:U64AN0Bw0
『愛されなかったということは、生きなかったことと同義である』
↑思い出した
132 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:38:45.58 ID:Vu3fJpvk0
こええ
133 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:40:03.67 ID:NDCOmeJD0
流石にドクオに害が及べば、泣いて訴えた。
それ以外の事に関しては、例えば話しかけられてもほとんど反応を示さなかった。
する必要がないと判断したからである。
自分に暴力をふるい、毎回見捨てる二人を両親とは認めなかった。
J(;'ー`)し「何か言ってよ」
反応はしない。
ただ、声の方に顔を向けるだけ。
感情を廃したドクオの顔を見て、母親は手にしていたスプーンを取り落としてしまった。
J(;'ー`)し「……っく」
惨めな自分に苛立ち、母親はスプーンを拾い上げ、食器をまとめて流し場へと向かった。
ドクオを一人残して。
流し台に食器を置き、お湯を捻り出して手を温める。
その努力も虚しく、凶悪な肉食獣を前にして命からがら逃げ出した小動物の様に、その手は悴んでいた。
愛情など、抱く理由がない。
忌々しいこの赤ん坊が早く成長して、自分達の老後を豊かに過ごせるようになる事を、母親は心の底から願った。
―――ドクオが生まれてから、半年の時が過ぎた。
この頃になるとドクオは、平均以上の記憶力が芽生え、手の動きも活発になった。
逆を言えば、それ以外にはほとんど学べていなかった。
好奇心を抱く余裕も、遊ぶ事や笑う事もその機会が無かった為、殆ど知らないでいた。
コミュニケーション能力も未発達で、両親が何であるかも分からなかった。
だから、愛する事と愛される事を知らないは当然だった。
度重なる虐待によって、ドクオの心は欠落したまま体と知能だけが成長し、心は冷たく成長していた。
134 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:41:31.40 ID:Vu3fJpvk0
支援
しえん
25年後、そこには輝く('A`)の姿が!
いや、すまん
137 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:42:42.51 ID:U64AN0Bw0
支援
138 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:44:01.67 ID:NDCOmeJD0
J( 'ー`)し「ちょっとお母さん出かけて来るから、良い子で留守番しているのよ
この頃から、母親はドクオと父親を残して外出する事が多くなった。
生活は苦しかったが、どんな状況であれ父親は酒を要求したからである。
道具を道具として成長させる為、養育費も必要であったのは、言うまでもない。
金を稼ぐのは、全て母親の仕事だった。
日がな一日、酒を飲むか、寝て過ごす父親は断固として仕事をしようとしなかった。
事実上、この家に働き手は一人しかいない。
その欠落を埋める為、母親は仕事を掛け持ちで働き始めたのだ。
ドクオが生まれる前は一つだけだったが、新たに仕事を増やしたのである。
都の歴史上最も有名なルリノの存在が知られることのないよう、母親は旧姓を使って仕事をしていた。
スーパーマーケットで朝から夕方まで働き。
それから間もなく、スーパーマーケットの近所にある居酒屋で深夜まで働いた。
文字通り朝から晩までの仕事で、帰宅は翌日になることも珍しくなかった。
正直なところ、母親はそこまで苦痛に感じていなかった。
こうして稼いだ金は、やがては自分達の生活に反映される。
そう考えると、これは出資として悪くない。
今の内にドクオに母親の重要性を擦り込めれば、少なくとも自分を裏切る可能性が減る。
一方、この頃からがドクオにとって苦痛の日々の始まりだった事は、彼女の関心事では無かった。
家に残しているのは、気性の荒い酔っ払い。
子育てを面倒と考えている半面、その子供の世話になろうとしている厚かましさを隠そうともしていない。
悪影響にならない筈がなかった。
139 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:44:56.33 ID:Vu3fJpvk0
うわぁ
140 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:45:43.07 ID:EdVcjjKA0
ひでぇ
わあ…
真っ直ぐ育てというほうが無理だな
143 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:46:22.74 ID:vKlJDio4O
ああ、だから獣熟女の事も最初は苦手だったのか
頭なでられると反射で肩がすくむ、って言ってたな
145 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:48:09.09 ID:NDCOmeJD0
朝、母親はドクオに食事を与えてから仕事に出かける。
家で唯一、直接的な危害を軽減させる存在がいなくなる瞬間である。
遊び相手をするような性格も優しさも持ち合わせていない父親は、毎日飽きずに大音量でテレビを見ながらゴロゴロしていた。
一方のドクオは、ベビーベッドの傍らで胡坐をかいて座っていた。
きょろきょろと辺りを見渡しては、音のする方向に首を向ける。
四つん這いの状態で動き回るには、床は衣類やゴミなどで汚れ過ぎている。
早くも掴まり立ちが出来るようになっていたドクオは、壁などを使ってどうにか一人で家を歩き回ろうとした。
中古の家具屋で購入したボロボロの木製のベビーベッドの手摺を掴み、ドクオは頑張って立ち上がる。
ここまではいいのだが、この先だ。
何かを掴む事でようやく立つ事が出来ているドクオが家の中を自由に歩き回るには、どうしたって一人歩きをする必要がある。
好奇心のあるドクオは、危険など考えずに行動に移した。
恐る恐ると云った感じで、ドクオは歩く。
その姿を横目で見た父親は、直ぐに興味を失ったようにテレビに視線を移した。
テレビの向こうでは、お笑い芸人が体を張って笑いを取ろうとしているところだ。
おぼつかない足取りで一歩、また一歩とドクオは一人孤独に歩行の練習をしていた。
そして遂に、ドクオの手が手摺から離れた。
上手にバランスが取れない。
頭の重さにつられ、ふらふらとする。
それでも、ドクオは一人で歩いた。
三歩程進んだ所で、バランスを崩したドクオはクッションの上に転んだ。
初めて一人歩きをした瞬間、ドクオの父親はテレビの芸人が派手に転んだのを見て下品な笑い声を上げていた。
その笑い声に重なる様にして、ドクオの泣き声が響く。
舌打ちと共に父親は立ち上がり、ドクオを持ち上げてそのままベビーベッドに入れた。
(#・父・)「静かにしてろ!」
クズすぎるぜ…
なんでこの都こんなにクズ多いんだよwwwww
148 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:50:14.67 ID:Vu3fJpvk0
しえ
クズのすくつやな、この都は
150 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:52:03.15 ID:NDCOmeJD0
恫喝するように言いつけ、また寝転がってテレビを見始めた。
我が子が初めて一人で歩いた事に興味を全く示さず、ましてや、関心さえ持っていなかった。
どころか、気付いてすらいなかった。
だがドクオにとっては違った。
偉大な一歩を単独で成功させ、新たな世界を開拓する可能性をその手に収めたのだ。
歩けることは知る事に繋がり。
知る事は進む事に繋がる。
進む事は、生きる事その物。
ドクオの成長には無関心な父親だったが、食事だけはしっかりと与えた。
死なれても困るし、成長に支障が出ても困るからだ。
己の野望を実現させるためには、ドクオには何が何でも育ってもらわなければいけない。
母親が用意しておいた幼児食を与え終えると、父親は直ぐに自分の世界に没頭した。
自分の脚で立つ事を学んだドクオは、食事を終えてからも一人で歩行の練習を行った。
何度も転び、その度に諦めずに何度も立ち上がった。
転んで泣く度に父親が怒鳴り、それでもドクオは止めなかった。
どうしても歩きたかったのだ。
何度も何度も。
歩いて。
転んで。
泣いて。
そして、立ち上がった。
ベビーベッドの狭い世界の中で。
柵で仕切られ、隔たれたこの世界。
誰の助けも借りずに、ドクオはその世界の中で懸命に足掻いた。
ドクオ…
ちくしょう、目から汗が…
152 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:53:47.09 ID:Vu3fJpvk0
(´;ω;`)ブワッ
生きろよ…
154 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:56:02.39 ID:NDCOmeJD0
幸いなことに、足場は柔らかい布団であった為、いくら転んでもドクオが怪我を追う事は無かった。
次第に転ぶ事にも慣れ、一度転んだだけでは泣かない様になった。
それは、驚異的な成長ぶりであった。
確かに、生長せざるを得ない環境にあったのも一つの要因であるが、それでも一般的に見れば驚異的だった。
掴まり立ちを覚えて間もないのに歩く事を覚え、その日の内に誰に強いられた訳でもないのに練習をして。
転んでもまた練習を再開する。
必要な段取りを幾つも省き、ドクオは成長していた。
だが、その事に気付いた者は誰一人としていなかった。
誰も、ドクオを見ていなかったから。
見ていたのは道具。
道具を見る目に、愛情は欠片も無かった。
―――転機が訪れたのは、ドクオが3歳になった頃だった。
三年間も生き延びれば、ある程度の人格が形成されてくる。
言葉も話せるようになり、いよいよドクオは幼稚園に入園する運びとなった。
この都では、一部の幼稚園では様々な事情を考慮して、家庭の問題や詳しい事を聞かない園も存在していた。
例えば都の住民票を持たない不法入国者の子供など、金さえ払えば普通の幼稚園同様の教育を受けられた。
両親は自分達の素性を知られないようにと、そう云った非合法の幼稚園にドクオを入園させた。
これまでの環境とは一変して、ドクオは暴力と理不尽の無い生活に身を置いた。
だからと言って、ドクオに対する暴力が無くなった訳ではない。
家に帰ると、酒を飲んで酔った父親が溜まった鬱憤をドクオにぶつけて来たのだ。
なまじ、ある程度成長している事もあってその暴力はより直接的になった。
なったのだが、少しだけ違う部分があった。
暴行する個所は、いつも決まってドクオの背中だったのだ。
例えば棒で、脚で、近くにあった適当な何かでドクオを叩く時は決まって背中。
背中…?
オウフ…
支援
157 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:00:01.77 ID:NDCOmeJD0
日常生活で外傷が表立たない場所となると、服を着る場所に限られてくる。
顔に傷が残れば、それこそ目出し帽でも被らない限り人目に付く。
3歳で目出し帽を被るのは、かなり不自然だ。
不自然は目立つ。
目立つのは避けたいのが、ドクオの両親の意向だった。
上着を脱がない限り見られることのない背中に集中して暴力を振るうのは、虐待の世界ではもはや定石だ。
一時的とはいえ、ドクオは幼稚園と云う避難所を得る事が出来、そこで成長した。
家庭に比べれば、そこはドクオにとって正に平和そのものだった。
痛みも。
悲しみも無い。
生きる事を学び、遊びながら様々な事を感じた。
友人と呼べる者は出来なかったが、それが不幸だとは思わなかった。
暴力とは遠い世界にいるだけで、ドクオは満足だったからだ。
一応は表社会の幼稚園に通っていたが、実はその幼稚園の経営は、非常に不鮮明な点が多かった。
それでも潰れずにいられたのは、利用する者が多かったからである。
不法入国者達の数は年々増加し、彼らが連れて来た、もしくはここで産んだ子供には選べるだけの幼稚園がない。
料金は安く、詳しい事を追求してこない。
設備は全て中古、職員は資格や経験さえあれば構わない。
確かに全てが最低限の幼稚園だったが。
異国の言葉や、この都で使われている公用語を学ぶだけでなく、都のルールを知るには最適な場所だった。
都のルール。
この都に生きる上で必要不可欠な、所謂一つの心理。
食べられる時に食べる。
己の身を守るためには、時には沈黙が必要。
158 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:00:24.12 ID:dk9mFG030
狸と入浴したときに言ってたあれか…
159 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:01:46.37 ID:Vu3fJpvk0
あーなるほど……
伏線回収のペースがハンパないぞ
頑張れドクオ
162 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:02:36.10 ID:U64AN0Bw0
一番分かり辛いトコか・・・
そして伏線はまだまだあるという現実
割と真面目に紳士の体力が心配
164 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:04:01.71 ID:NDCOmeJD0
等と云った、子供の内に学べる事をドクオは周囲よりも早い段階で学習した。
父親の元を離れられる午前から夕方までの間が、ドクオにとっての安全な時間。
昼食時につましい食事を隣の子供に取られないよう、必死に守る事でさえ安全と言えた。
不衛生で理不尽の待っている家に比べれば、どんな場所でも安全だった。
次の仕事までの空き時間で迎えに来た母親は、いつも同じような台詞を言ってドクオを受け取り、家に帰った。
帰路の間も、母親は決まって同じ台詞でドクオの機嫌を窺った。
小さな声でイエスかノーかの回答をしている内に、母親は無言になった。
家に着くと、母親は逃げるように次の仕事場へと向かう。
一日の終わりにドクオを迎えるのは、やはり父親による理不尽な暴力だった。
理由なき暴力。
自分の鬱憤を晴らす為の暴力。
言葉を理解できるようになったドクオに暴力と共に浴びせられたのは、罵詈雑言だった。
馬鹿。
阿呆。
塵。
屑。
気持ち悪い。
喋るな。
見るな。
触るな。
汚い。
臭い。
糞以下。
不愉快。
165 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:04:15.38 ID:BDBfSKA2O
あの古傷か
166 :
忍法帖【Lv=8,xxxP】 :2011/03/28(月) 01:04:30.46 ID:yAP2ahsJ0
2日続けてとか変態紳士は大丈夫なのか…
167 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:04:58.81 ID:Vu3fJpvk0
絶倫だな
168 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:07:01.74 ID:NDCOmeJD0
無能。
低能。
無価値。
下等。
酔いが廻るにつれ、罵倒の言葉よりも先に手が出た。
晩御飯は、母親が仕事先で貰って来た賞味期限の迫った弁当。
最悪の場合、消費期限が過ぎた弁当だった。
酸っぱい匂いのする弁当でも、ドクオは我慢して食べた。
何度も腹を下す事が何度もあった。
しかし、他所の人間が飲んで腹を下す水を飲んでも、途上国の人間がそうならないのと同じように、ドクオも何時しかそうなった。
普通の子供らしい綺麗な心や純粋な瞳は、荒んだ心と濁った瞳になっていた。
―――幼稚園を卒園し、ドクオはいよいよ小学生になる時を迎えた。
自分の意志を言葉で表現する事も、物の名称や人の名前を呼ぶ事も出来る。
相変わらず心の一部が欠落したまま、ドクオは成長していた。
背中の傷が増え、太股や腹部にも少しずつであるが傷が増えていた。
入学する学校を選んでいる、そんなある日の出来事。
一人である程度の事が出来るようになったドクオは、朝食を作ろうと朝早くに起きる母親に合わせるように起床した。
卒園が迫ってから、ドクオの朝は早かった。
早ければ早いだけ、安全な時間が増える事に気付いたからだ。
ところがそれを、母親は自分に懐いているから早起きしているのだと勘違いしていた。
確かに間違いではない。
父親に比べ、母親はドクオを守らない代わりに何もしてこない。
瓶で殴ったり、唾を吐きかけたりして来ないだけある意味で無害な存在だ。
無害であるが、好ましい存在ではない。
不憫なんて言葉じゃ片づけられないな
170 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:09:00.36 ID:Vu3fJpvk0
ひでえ…
171 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:09:04.26 ID:U64AN0Bw0
支援
172 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:10:03.29 ID:NDCOmeJD0
火にかけたヤカンが、ガラガラと沸騰した音を出していたのを、ドクオは何となく覚えている。
今でも覚えているのは、その後だ。
J( 'ー`)し「あら、どうしたの?」
足元で自分を見上げるドクオに気付き、母親はヤカンから視線を移した。
ドクオは無言だったが、その視線がヤカンとマグカップに注がれているのに母親は気付いた。
J( 'ー`)し「ふふっ、ねぇ、ドクオちゃん。
美味しい紅茶の淹れ方、知ってるかしら?」
一部が欠けたティーポットにティーパックを入れ、そこにお湯を注いだ。
思えば。
これが最初の事だった。
勉強以外で、何かを両親に教えてもらったのは。
だから、時が流れた今でも鮮明に覚えていられた。
不思議だったのは、母親が教えたのはその一回だけだったのだが、ドクオは完璧に覚えたと云う点だ。
強烈な思い出と云い難いが、どうしてか忘れる事が出来なかった。
―――更にその翌日、ドクオは別の事を学んだ。
非合法の幼稚園は少数あれど、小学校となると皆無に等しい。
都には幾つかの学校があるが、そのどれもが私立だ。
歯車王は教育に関してはほとんど無関心で、都の中に歯車王が関与した学校は一つもない。
一つの例外なく外部の人間、もしくは都の出身者が独自の思想を持って創立した物だった。
173 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:10:58.27 ID:zV+oj+OT0
紅茶も複線とは変態だな
174 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:11:34.77 ID:U64AN0Bw0
カーチャン・・・
紅茶は母親に教えてもらった、って前にあったな
ジョルが褒めてくれたあれか
177 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:13:06.07 ID:NDCOmeJD0
ただし、数は多くない。
顧客である子供の数が少ない訳では無く、単純に学校に通える子供の数がそこまで多くないのだ。
学校に通えない、通わない子供の数の多さはこの当時は少しだけ問題視され、今は忘れ去られている。
世界の最先端を行く都の暗部を快く思わない人間が、当時の表社会には腐るほど溢れていた。
日常的にあちらこちらの道で演説を行う者。
どこから湧き出て来たのだろうか、駅前では子供達を引き連れた大人が募金活動を行っている。
その様子を、ドクオは一人で出かけた先の路地裏からこっそりと見ていた。
母親は仕事で不在、となれば、一人である程度外出できるドクオが家に残る道理は無かった。
裏通りから表通りへと続く、その中間地点。
灰色の場所で、その募金活動は行われていた。
見るからに育ちがよく、顔色の良い子供達が何かに取りつかれたかのように同じ言葉を繰り返す。
恵まれない子供達に、と。
老女が募金をする。
老婆が募金をする。
老人が募金をする。
子供までもが、募金をした。
みすぼらしい格好のドクオは、それが不思議でたまらなかった。
金の価値とその利便さは知っているが、その貴重さも知っている。
手に入れる為には労働が必要であり、求める額の金を得る為には相応の労働をしなければいけない。
ではどうして、その労働の結晶である金を、見ず知らずの子供に与えるのか。
自分の為に使うのが自然だ。
小学校に入学する前の段階でそう思ってしまうほど、ドクオは世の中の事を知っていた。
無論、恵まれない、と云う言葉の意味も知っている。
少ないと云う事だ。
178 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:13:31.30 ID:Vu3fJpvk0
支援
179 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:13:51.07 ID:iZA/nh7RO
ジョルジュはいいキャラだったな……
180 :
兄者:2011/03/28(月) 01:14:02.90 ID:sYL1R5cTO
まさかの遭遇…
支援
181 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:16:03.61 ID:NDCOmeJD0
だが、彼等は何が少ないのか。
知恵か。
知識か。
それとも常識か。
ドクオよりも立派な服を着て。
見るからに栄養の行き届いた顔をして。
あれだけの声を出せて。
何より、あの眼は何だ。
今まで見て来た同年代の子供達に、あんな眼をした者はいなかった。
生き生きとして、眼に映る全てが綺麗な物だと信じてやまない眼。
不可解極まりなかった。
横で声を出している大人の眼を見ると、ドクオは不快な気分になった。
悦に入る眼だ。
食事を与えたり話しかけたりする時に母親がドクオに見せる、あの眼によく似ている。
少しずつ自分の思い通りに事が進み、それに満足している眼だ。
何に満足しているのかは知らないが、彼等は自分達の事しか考えていない。
その場から移動したくなって、ドクオは前でも上でもなく、下を向いて歩き始めた。
生きる為に必要な物。
それは決して、あの忌々しい光景を眺めている事ではない。
最も簡単に生存を可能にする物、それは金。
金があれば白いパンが食べられる。
緑や白い綿埃の様なカビが一面に生えたパンを食べずに済む。
酸っぱい匂いの弁当を食べて、腹を下さなくていい。
菓子も買える。
182 :
忍法帖【Lv=8,xxxP】 :2011/03/28(月) 01:17:42.34 ID:yAP2ahsJ0
これだけ綿密に伏線を組める変態紳士に感動支援
そら歪むわ
思考が子供のレベルじゃねえな
こんな環境じゃ仕方ないのかもしれないが
185 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:19:03.44 ID:NDCOmeJD0
買ってもらった事など一度もない。
時々。
本当に時々だが、チョコレートや飴を母親がくれた覚えがあった。
単に仕事場で貰った物だったのだが、幼いドクオはそれを区別などしなかった。
日々の食事よりも遥かに美味しく、何度でも食べたいと思う味だった。
甘くて、そして満たされる味。
腹が膨れるのではなく、心の底が落ち着く。
だからドクオは、菓子が大好きだった。
幼稚園で他の子供達と遊んでいる時に、とある子供がこう言っていた。
自動販売機の下や、兎に角狭くて暗い所には硬貨が落ちている場合がある。
拾った硬貨で菓子を買う事もあるし、運がいい時には紙幣を拾う事もあると云う。
この話を聞いて以来、ドクオは時間の許す限り外に出て金を探した。
所がそう上手く見つかる筈もなく、ドクオに見つけられるような硬貨であればとっくに路上生活者が拾っていた。
現実の厳しさを幾つも知っているが、こうした事に関してはまだまだ子供であった。
ひょっとしたらこんな所にと膝を突いて自動販売機の下を覗き込むが、あるのはゴミだけだった。
実は後5分早ければ、ドクオは缶ジュース一杯分の硬貨を拾えたのだが、5分早く別の大人が回収した後だった。
めげずに膝を突いては金を探し、次々に場所を移してゆく。
最初は自宅の近くだけを探していたが、ドクオは次第にその活動範囲を広げていた。
道を覚え、どうすれば自宅に帰れるか。
決してそれを忘れないよう心掛けたのは、何度も迷って困った経験があったからだ。
誰も助けてくれなかったが、その度に運よく見知った道に戻る事が出来、こうしてまた金を探す事が出来ている。
急がず焦らず、確実にドクオは一人で成長を続けた。
硬貨を探して、その日で二週間目になる。
二週間目にしてドクオは遂に、それを見つけた。
186 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:19:20.62 ID:Vu3fJpvk0
どっくん環境のわりに真っ当に育ったんだな…
187 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:21:41.89 ID:U64AN0Bw0
支援
こんなクズ親から出て今では義を重んじる漢だぜ?
189 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:22:07.54 ID:NDCOmeJD0
白銀色に輝く硬貨が一枚。
壁に出来たヒビに、運よく刺さっていたのだ。
誰かに横取りされない内に、ドクオはそれをヒビから取り出して、汚れを拭き取った。
おもちゃや、紛い物の類では無い。
本物の硬貨だ。
産まれて初めて、ドクオは自分の力で自分の金を手に入れた。
その日は遅かったので家に帰る事にして、はしゃいで落としたりしないよう、ズボンのポケットにしっかりとしまった。
家に帰り、ドクオは直ぐにトイレに駆け込んだ。
父親にこれが見つかれば、確実に奪い取られる。
それだけは嫌だと、ドクオは思った。
そこでドクオは、トイレの隅に置いてある予備のペーパーの芯の下に、硬貨をそっと隠す事にした。
明日これを持って、母親にどこか菓子を売っている店に連れて行ってもらえば、と考えたのだ。
トイレから出て、ドクオは父親の待つリビングへと向かった。
好き好んで行く訳ではない。
そうしなければ食事が食べられないからである。
賞味期限が切れているか、それとも消費期限が迫っているか、それが重要だ。
リビングの真ん中で寝転がっている父親を起こさないよう、ドクオは慎重にその脇を通り抜ける。
起こすと後が面倒な上に、暴力が待っている。
寝る時は、耳を塞いで丸くなって眼を閉じる。
早めに寝るのが、ドクオの知る限り最善の手段だった。
足元に注意を払い、音の鳴る瓶や空き缶を蹴飛ばさないように歩いた。
自分の不注意で、今日の終わりを憂鬱な気分で締めくくりたくは無いと云う事だけを考え、一歩一歩を踏み出す。
確かに足元には注意を払っていた。
十分過ぎるほどの細心の注意だ。
190 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:23:06.84 ID:Vu3fJpvk0
支援…
頑張れ('A`)!
192 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:25:06.97 ID:NDCOmeJD0
だが足りなかった。
足元では無く、自分の体の周りに対する注意が。
洗濯籠から溢れての山を形成していた、洗濯物の一端をドクオの服の裾が掠め、山が小さく崩れた。
微かな音で済めば良かったのだが、バランスを崩した洗濯物の山が雪崩のように一気に倒れてしまった。
(-父・)「んぁっ?」
物音に気付いてのそりと起き上がった父親は、酒臭い息を吐き、周りを見渡した。
間もなくドクオの存在に気付き、怯えたその顔と、ドクオが倒した洗濯物の山を見比べた。
近くに転がっていた空きビンを掴むのを見たドクオは、咄嗟に頭を押さえて屈んだ。
空きビンはドクオの予想を裏切り、屈んだドクオの腕に当たった。
子供の動きなど、酔っ払いでも分かる。
屈んだのを見てから投げれば、当たらないわけがない。
服の下に感じる痛みを耐え、ドクオは無言で父親を見た。
どうして、こんな酔っ払いに暴力を振るわれなければならないのだろうか。
ドクオの眼から、そんな気持ちが伝わったのだろう。
半ばまで落ちた瞼の眼で、父親は睨み返す。
ふらりと立ち上がり、怯え竦んだドクオの前に来て、いきなり胸倉を両手で掴んだ。
苦しげな顔をするドクオを意に介さず、父親は持ち上げる。
父親による生涯初めての抱っこは、暴力性に富んでいた。
(#・父・)「いいか!」
唾を飛ばして低く怒鳴る。
血走った眼が、ドクオではない何かを見て宙を彷徨う。
193 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:26:08.89 ID:Vu3fJpvk0
あー…
この父親にマジでイラッとくるぐらいのめり込んでるわ…
支援
195 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:28:22.55 ID:NDCOmeJD0
(#・父・)「よく覚えておけ!
おレ、俺はなぁっ!」
片手に持ち替え、空いた手でドクオの顔を平手打ちにする。
まずは右から。
(#・父・)「歯車王の子孫なんだぞ!
えぇっ?!」
次は左。
(#・父・)「この都が誰のおかげでこうなってると、オ、お、思う?
お、オオ、俺がいるからだ!」
右。
(#・父・)「それ、れ、なのに何だ、その眼は!
第い、い、イチ、俺はお前の、ち、父親だぞ!
あぁ?!」
左右。
口の端を切り、そこから血が滲む。
(#・父・)「俺は誰よりも偉いんだよ!」
泣き出したのも構わず、ドクオを揺さぶる。
父親が日頃溜めて来た鬱憤が、運悪くこの時破裂してしまったのだ。
こうなってしまえば、この家でこの男を止める者はいない。
(#・父・)「だからお前らは!」
抱っこじゃねぇwwwww
うわぁ・・・
酷いにも程があるわ
198 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:31:17.23 ID:NDCOmeJD0
さっきよりも強く右から。
(#・父・)「もっと!」
左、右、またその繰り返し。
頬の一部が赤く腫れ、お多福風邪にでもなったかのようだ。
(#・父・)「俺を!」
高く持ち上げ。
(#・父・)「敬え!」
洗濯物の上に叩き落とす。
やせ細った体は跳ね上がる。
(#・父・)「尊べ!」
横たわるドクオの背中を、遠慮なしに蹴る。
(#・父・)「感謝しろ!」
蹴る。
蹴る。
蹴り飛ばす。
(#・父・)「俺のおかげで生きていられるんだ!
お前らみたいな屑でも、お、俺がいるから生きてるんだよ!
次にそ、そんな目をしてみやがが、れ!
ブッ殺してやる!」
199 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:31:43.88 ID:Vu3fJpvk0
無理だろ……
ドクオだって歯車王の子孫だぞ!
201 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:33:00.41 ID:lUs1qvs5O
つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
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つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
つ
202 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:33:48.59 ID:lUs1qvs5O
んねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
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つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
つ
203 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:34:19.45 ID:NDCOmeJD0
ロクに運動もしないから体力がなく、父親は子供相手に暴力を振るうだけでも肩で息をする。
己に流れる歯車王の血に酔い痴れ、それを誇り、そして驕り高ぶった。
異常だった。
そして、愚かだった。
自分で成し得た何かでは無く、遠い昔に彼の先祖が成し得た物を己のそれと勘違いしていた。
信じていた。
彼は信じて疑わなかった。
何よりも気高い血を持ち、その血はこの都では最高の栄誉であると。
最高の栄誉を受け継いでいる自分は、誰よりも偉い。
崇拝されて然るべき存在だと思っていた。
思い上がりを正すどころか、日々膨らませる妄想によってそれは肥大化して行った。
肥太った醜悪な豚の様に。
―――その翌日。
背中の至る所に出来た打撲傷が、ズキズキと痛む。
朝。
いつもより早く、ドクオは眼を覚ました。
一週間の内、母親は一日だけ休日を設けていた。
長く働き続ける為に体を休ませる目的もあるが、生活必需品を買う目的も兼ねていた。
母親について行けば、家から少しでも離れていられる。
気が進まないが、それでも殴られるのに比べたら遥かにマシな選択だ。
それに、今日はいつもとは違う。
204 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:34:43.14 ID:lUs1qvs5O
ワンパターンつまんね
つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
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つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつま
205 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:35:41.38 ID:Vu3fJpvk0
欝展開しか思いつかねえ…
206 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:35:51.93 ID:zV+oj+OT0
だな・・・
ちょっとだけでも幸せを…
208 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:36:02.01 ID:NDCOmeJD0
ドクオは朝早く起きて、一人でトイレへと向かい、前日に隠しておいた硬貨をポケットにしまった。
予定ではこの後、母親と近くのスーパーマーケットに行く事になっている。
見つからない様にそこで菓子を買うのだと、ドクオは密かに決めていた。
飴か、それともガムか。
何でもいい。
甘くて、少しでも嫌な事を忘れさせてくれさえすれば。
早くその時が来ないかと、ドクオは心待ちにしていた。
出来る限り父親に近付かず、ポケットの中にある硬貨をさり気無く必死に守る。
気付かれてはいけない。
母親だろうが、父親だろうが。
味方は自分しかいないのだ。
害を成す父親か、それとも何もしないで傍観する母親か。
そして遂に、時間がやって来た。
J( 'ー`)し「ドクオちゃん、出かけましょうか」
無言で母親の後ろについて家を出て行く。
幸いと云うか、いつもの通り父親は寝入っていた為、返事も反応もない。
手を繋ごうと母親が言ってきた時、その提案を受けるか受けないか、少しだけ躊躇った。
結局、ドクオは自分から力を入れる事はしなかったが、手を繋いだ。
下手に反発して機嫌を損ねられでもして、予定が変わるのは好ましくない。
幼いと言っても、ドクオは人一倍考えて生きていた。
スーパーマーケットに到着して、最初にすること。
母親のために買い物かごを取ることではない。
209 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:36:10.18 ID:lUs1qvs5O
くだらん
糞ニートのゴミが
つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
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つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまん
先が見える…鬱が…
211 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:37:22.82 ID:lUs1qvs5O
人少なくなったなぁ?
ひゃはははははははははは
みんなつまらないってよwwww
つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
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つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
つ
212 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:37:41.69 ID:BDBfSKA2O
まだ40%だと冗談だろ
213 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:37:44.07 ID:Vu3fJpvk0
え、これで四割とか嘘だろ紳士
214 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:39:02.24 ID:POlUM0x50
支援
215 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:39:02.47 ID:NDCOmeJD0
まずは、繋いだ手を離すことだった。
多くの人で賑わうスーパーマーケットでは、競合店と渡り合うために、地道な努力をしている。
例えば接客の質。
頼まれる前に行動をする、その接客精神を武器に戦う。
例えば価格競争。
他店よりも一円でも安く、多く売る。
薄利多売の精神で、主婦層を取り込む。
一部の高級店を除外して、ほぼ全てのスーパーマーケットはこの方法を取り入れていた。
そして、もう一つ。
今日、ドクオ達がやって来たスーパーマーケットでは、別の努力もしていた。
子供から年寄りまで、それは等しく効果を生む。
試食である。
ただの試食では無く、多く、そして丁寧に調理された試食品の提供だ。
母親の声を無視して、ドクオは惣菜、青果、鮮魚、生肉、デイリー、ドライの各部門の試食品コーナーへと走った。
一週間に一度、こうして清潔な場所で美味しい食事を摂取する事で、ドクオは空腹感を満たした。
周囲の人間が、クスクスと笑うのも構わない。
惣菜ではカツサンドを三切れ。
青果では四等分にカットされたパイナップルを、八つ。
鮮魚ではマグロの刺身を五切れ。
精肉では生ハムを十枚まとめて食べた。
デイリーではソーセージを六本食べてから、牛乳を二杯。
ドライでチョコレートを食べ、最後にデイリーに戻ってオレンジジュースで喉を潤す。
外周に沿って廻るだけで、家で出されるどの食事よりも腹が満たされた。
満足げな溜息を吐いて、ドクオはドライコーナーの一角に移動した。
216 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:39:14.88 ID:lUs1qvs5O
つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
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つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
つんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
つ
食事が悲惨だってことは一番つらい
218 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:40:17.64 ID:lUs1qvs5O
つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
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つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつま
219 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:40:35.07 ID:Vu3fJpvk0
だからあんなに食事に拘ってるのか
220 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:41:24.90 ID:lUs1qvs5O
つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
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つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
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つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつ
221 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:42:02.03 ID:NDCOmeJD0
常々、ドクオは店内を見て回り、どこに何があるのかをある程度把握している。
菓子が売っている場所。
客動線の流れの、やや終盤の方。
店の中央に並ぶドライコーナーでも、デイリー寄りの棚に菓子は売っている。
色取り取りの菓子が売られているコーナーには、子供は勿論のこと、その保護者も見受けられる。
皆綺麗な格好をしていて、ドクオだけが浮いていた。
汚れて擦り切れ、臭う服。
もう何日、洗濯していないのか。
どうでもいい。
今は、何もかもがどうでもよかった。
重要なのは自分の外見ではない。
菓子だ。
何を置いても、菓子を選べると云う自由。
自由は楽しみ。
初めて手にする、購入する自由と機会に、ドクオは胸を躍らせた。
楽しかった。
ポケットにある硬貨で買える物は限られているが、それでも選べるのだ。
何と表現すればいいのか。
この、胸がくすぐったい感覚は。
あれも、これも、それも買える。
チョコレートも、飴も、ガムも、よく分からない何かも。
買える。
買える、買えるのだ。
自分の意志で、誰にも邪魔されないで自分の為に何かを得る。
222 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:42:53.43 ID:U64AN0Bw0
これで金落としてたりしてたら・・・
223 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:43:06.02 ID:lUs1qvs5O
こじつけ歯車ファンタスティック(爆笑)
つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
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つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまん
224 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:43:27.36 ID:Vu3fJpvk0
あああ
ああ…
226 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:44:20.13 ID:lUs1qvs5O
こじつけ歯車ファンタスティック(爆笑)
バーカ
つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
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つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
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つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね
つまんねつまんねつまんねつまんねつ
この流れ・・・まさか
228 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:45:02.01 ID:NDCOmeJD0
腐ってもいない。
食べても誰も笑わない。
ただただ、ドクオはそれが嬉しかった。
思わずポケットにしまっていた硬貨を取り出し、改めてその額を確認する。
ポテトチップスか、安いチョコレートが買えるぐらいだ。
一概にポテトチップス、チョコレートとは言い切れない。
確かに分類上は同じだろうが、種類が豊富に取り揃えられている。
無数の可能性を選択するのは、ドクオ自身。
選ぶ時間。
選ぶ行為。
全て。
そう、全てが新鮮だった。
今までは見ているだけだったのに。
今日は違う。
自分は選べる。
買える。
得られる。
周りの子供達が気味悪がるのも構わず、ドクオは買える額の菓子を一つ一つ見比べた。
こちらは何かが入っていないが、そちらには無い物が入っている。
イラストが描いてある商品は、幼いドクオの心を掴んだ。
もう少しだけ金があれば、その横に置いてある商品を買える。
ここで、ドクオは金の偉大さとその便利さを知った。
いや、少し語弊があるか。
以前から金の便利さや、その力は知っていた。
229 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:45:40.19 ID:Vu3fJpvk0
なんかもう心臓が痛い
ドクオ……
哀しい結末しか考えられないのがな…
232 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:47:06.66 ID:U64AN0Bw0
昔菓子買おうとして金足りなくて、レジで恥ずかしい思いしたのを思い出した・・・。
子供は駄菓子でお金のありがたみをしるんだけど、どっくんは…
(´;ω;`)ブワッ
234 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:47:56.91 ID:BDBfSKA2O
イヤな予感しかしない
235 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:48:04.91 ID:NDCOmeJD0
が、不完全な知識だった。
せいぜいが、食事を買えるとか、酒を買える程度しか知らなかった。
金の有無で、こうも世界が変わるのかと、ドクオは眼を輝かせて商品を見入っていた。
可能性と、選択肢を広げる力が、金にはある。
掌に一枚だけ乗っているこの硬貨でさえ、その力を秘めている。
菓子はドクオに想像力と、そして知識を与えた。
新しい単語だ。
知らない単語が多く書かれていて、ドクオは努力して文脈からその意味を推測した。
意味は後で母親に聞けばいい。
それまでは、こうして未知の単語を覚え、どの菓子を買うのかを考えているだけで十分だった。
思考する事は嫌いでは無かった。
むしろ、好きな部類に入る。
どうしてか、考えれば考えるほど、知れば知るほどに楽しかったからだ。
未知が好きだった。
一つ知るだけで、ドクオは十の世界が広がった気がした。
知らない単語でも、知っている単語が変化した物だとすぐに気付けた。
文脈から、次の単語を想像する。
想像した単語の派生系を想像する。
それが気持ちよかった。
幼稚園でそう云った事が起きると、ドクオはその意味を先生に訊いた。
大抵、その派生系や想像した単語の意味は合っていた。
間違った事は一度もない。
パッケージ一つからドクオが得る情報量は、通常の子供よりも遥かに多かった。
両親はおろか、ドクオの自身もその事を知らない。
地頭が素晴らしかったんだな
金の価値に関する描写が生々しい・・・
これが小学生の思考って凄まじい環境だな
238 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:51:30.32 ID:NDCOmeJD0
J( 'ー`)し「あら、どうしたの、それ?」
背後から声を掛けられ、ドクオは身を震わせた。
声が指し示している対象は、ポテトチップスの袋では無い。
掌にある硬貨だ。
急いで隠しても、もう遅い。
J( 'ー`)し「お菓子を買いたいの?」
頷かない。
返答するつもりも無かった。
J( 'ー`)し「……ねぇ、ドクオちゃん。
お母さんね、菓子を買うよりももっと気持ちのいいお金の使い方を知ってるの。
だから、今はお菓子を買うのを待ってみようか?」
首を横に振って拒否した。
したのだが。
J( 'ー`)し「じゃあ、まずはお買い物を終わらせましょうか」
硬貨を持たない方の手首を掴まれ、無理やりに連れて行かれる。
手に持っている商品の値段は、ドクオには買えない額だった。
その為、ドクオは適当な棚にそれを押し込んだ。
菓子を買う以上に良い事があれば、それに越した事は無い。
仕方なく母親に連れて行かれ、会計を済ませ、店を出た。
片手に買い物袋を下げ、母親はもう片方の手でドクオの手を掴む。
不安げな表情を浮かべたまま、ドクオは連れて行かれる。
どこに向かうのか、見当もつかない。
239 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:52:19.68 ID:hzqttPaUO
祭の時ガキ二人に五万やってて変だと思ったが…
ドッキュン…
うわああああ…
241 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:52:23.02 ID:U64AN0Bw0
あぁ・・・
うあああああああ
俺も幼稚園くらいの時に家にあったゲームの攻略本で漢字覚えたなあ…
244 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:54:03.54 ID:NDCOmeJD0
分かる事が一つだけあった。
自分の知っている場所が近付いていると云う事。
同時にそれは、忌み嫌う場所が近付いていることも指示していた。
心臓の辺りがざわつく。
妙な気分だった。
不安。
言い表すなら、正に不安だった。
不安の要素、それは―――
J( 'ー`)し「ほら、あの人達よ」
―――募金活動をしている、子供と大人の集団だった。
買い物袋で連中を指し、母親はどこか得意げな顔をしている。
真意を理解したドクオは、嫌だ、と逃げようとした。
それはそうだ。
嫌いな連中に、連中の喜ぶ餌を与えるなんて、冗談でもお断りだ。
これは自分の金だ。
見ず知らずの、誰かも分からない人間に与えるなんて嫌だった。
逃げようとするドクオの手は、女とは言っても大人に掴まれている為、振りほどく事は敵わなかった。
J( 'ー`)し「ドクオちゃん、お金、渡して?」
疑問形で訊かれたが、明らかな命令だった。
それでもドクオは拒否した。
誰の努力で、その金が今ここにあるのか。
毎日地べたに顔を押し付けて探した、ドクオの努力の賜物だ。
245 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:54:44.46 ID:Vu3fJpvk0
……
246 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:55:03.79 ID:dk9mFG030
J( 'ー`)し「性感マッサージっていってね…」
ふざけんなぁぁぁぁぁぁ!
ドクオの努力の結晶だぞ!
248 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:55:51.02 ID:U64AN0Bw0
あーあ・・・
ほんとクズの描写に定評のある作者だよ
251 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:57:08.80 ID:NDCOmeJD0
それをどうしようと、金の持ち主であるドクオが決定権を持っている。
奪われてなるものかと、ドクオは抵抗した。
所詮は子供の抵抗。
母親はドクオの手が握り締める硬貨を無慈悲に奪うと、ドクオの手を離した。
急いで母親の脚にしがみ付く。
泣き叫んだ。
止めて、止めてと。
それは自分の金だと。
菓子を買うのだと。
精一杯主張した。
無駄だった。
ズルズルと引き摺られ、連中の前にまでやって来てしまった。
母親の顔を見て、募金をしていた子供達が笑顔を浮かべる。
後ろにいた大人達の内、何人かが母親に気付いて声を掛けて来た。
(・ )` ´( ・)「おや、スナオさん、今日も来てくれたんですか?
前の話の気持ちが決まりましたか?」
スナオ、とは誰の事だろうか。
話しかけている対象が母親である以上、それが母親を指示しているのは明白だ。
明白だが、母親の本名を一文字も知らないドクオは、違和感を覚えた。
覚える必要もないので、ドクオは泣くのを続けた。
母親の名前よりも、あの一枚の硬貨の方が重い。
何としても奪い返さなければ、あの努力が全て無駄に終わる。
252 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:57:12.03 ID:BDBfSKA2O
あちゃー
なんという偽善
なんというクズっぷり
スナオ…?
募金してる私サイコー!私エラーイ!
こういう思考なんだな
さすがクズ
しない善よりする偽善なんていうけど
カーチャンのはただのエゴだな
257 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:59:29.16 ID:U64AN0Bw0
子供の嫌がることは進んでやるんだな
258 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:59:39.87 ID:Vu3fJpvk0
画面見るのがちょっと辛くなってきた
259 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:00:02.92 ID:NDCOmeJD0
J( 'ー`)し「えぇ、でも、今日は少し事情が違うの。
この子のお金を募金しに来たの」
(・ )` ´( ・)「でも、泣いてますよ?」
そんな事、見れば分かる筈だ。
目が付いているのなら。
(・ )` ´( ・)「それに、嫌がっているように見えますが……」
そんな事、聞けば分かる筈だ。
耳が付いているのなら。
J( 'ー`)し「それが、いざ募金するとなったら急に泣いちゃってね。
気にしなくて平気です。
それと、あの話はもう少し考えさせていただいてもいいかしら?」
嘘を吐かれた。
どうして。
何故、そんな嘘を吐く。
(・ )` ´( ・)「そうですか、何だか悪い気がしますね。
例の件ですけど、上の方々にもスナオさんの名前は広まってますから、気が向いたら教えてください。
我々はいつでもスナオさんを待っていますよ」
こちらの方が、母親よりも幾らかマシだった。
J( 'ー`)し「そう言ってもらえると嬉しいです。
それじゃあ、たったこれだけだけど」
>前の話の気持ちが決まりましたか?
これは…
261 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:01:43.54 ID:U64AN0Bw0
262 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:01:54.86 ID:dk9mFG030
ヒートの過去話の時も思ったけど本当に胸糞悪くなるババアですね
もう止めたげてくれ…
何よりも恐ろしいのはこんなババアが世の中にはたくさんいるということです
265 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:02:47.72 ID:mORzu0pCO
支援
266 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:03:02.37 ID:NDCOmeJD0
たったこれだけ。
少ない。
これっぽっち。
誰にとって、それがたったこれだけだと云うのか。
ドクオにとって、その硬貨はささやかな幸せを実現する物だった。
硬貨には、金額以上の価値があった。
何も知らない他人がその価値を決めていい訳がない。
その価値を、たったこれだけ、と評する権利はこの人間には無い。
無慈悲にも硬貨は子供の手が持つ募金箱に落とされ、硬貨同士が触れる音が小さく鳴った。
失ったのは一枚の硬貨だけではない。
可能性を失った。
奪われた。
奪い取られ、貶され、笑われた。
笑っている。
母親は、何故か笑っている。
奪うのが楽しいのか。
無力さに、ドクオは全身の力が抜け落ちた。
泣くのさえ止めた。
体力と涙の無駄だったからだ。
その場に崩れ落ちたドクオを強引に立ち上がらせ、母親は手首を握って歩き始めた。
引き摺られるようにドクオは歩かされる。
呆然。
ただ呆然としていた。
心の中の何かが、空っぽになってしまった様な、そんな錯覚。
267 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:03:42.89 ID:U64AN0Bw0
( A )
クズ親が…
269 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:04:29.50 ID:Vu3fJpvk0
流石食事と屑の描写に定評のある作者だな
クズとしか言いようがないな…支援
271 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:06:02.05 ID:NDCOmeJD0
徐々に浮かび上がって来たのは、どうしようもない怒りと悲しみだった。
J( 'ー`)し「ドクオちゃん。
あのお金でね、沢山の子供達が救われるのよ?
それって、お菓子よりも素敵なことだと思わないかしら?」
思わない。
見ず知らずの人間を救おうとは思わなかったし、それに、あの金がその為に使われるかどうかも分からない。
それだったら、自分の為に菓子を買った方が良かった。
J( 'ー`)し「その内、分かるわ。
きっとね」
その日は、ドクオは多くを失った。
一枚の貨幣に乗っていた淡い希望や、その可能性は二度と戻る事は無い。
だが代わりに得た物もあった。
情報、知識である。
母親は、このボランティアと呼ばれる行為が言わば、自分の使命の様に感じている事。
少なくとも、ドクオの気持ちよりも自己満足を重要視していたのは間違いない。
もう一つ。
金を失うと、こうも虚しい気持ちになり、ましてやそれが奪われたとなると憤怒を覚える事を。
―――ようやく入学を決めた小学校への手続きを控えた前日の夜、ドクオの人生を狂わせる事件が起きた。
いつものように酒に酔った父親が、母親の持っていた何かを破り捨てた事が判明したのが切っ掛けだった。
何を捨てたのか、寝室で布団に包まって耳を塞いでいたドクオには分からなかったが、母親は泣き叫んでいた。
悲痛な叫び声を聞いて、ドクオは気の毒とは微塵も思わなかった。
人の金を奪って笑顔だったくせに、いざ自分がやられると泣き叫ぶ。
272 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:07:06.73 ID:Vu3fJpvk0
支援
ああもう…支援!
274 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:08:06.61 ID:BDBfSKA2O
いらつきながら支援
金持ってないア○ネスだな
支援
277 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:09:09.43 ID:NDCOmeJD0
実に気持ちが良かった。
いい気味だ。
J(;'ー`)し「な、何てことをしたの!」
(#・父・)「あ゛っ?!
うるせぇな!
黙ってろって―――」
一瞬の間。
(#・父・)「―――言ってるんだよ!!」
壁で隔たれた寝室にまで届いたのは、怒鳴り声ともの凄い平手打ちの音。
遅れて何かが倒れる音が続き、嫌でもドクオに何が起きたのかを想像させた。
J(;'ー`)し「これじゃあ、入学できないじゃない!」
入学できない。
一体、どういう意味だろうか。
いや、意味は分かるが、状況的な意味が理解出来ない。
(#・父・)「そんなもんどうでもいいんだよ!
それより酒だ、酒とツマミ買って来い!」
J(;'ー`)し「馬鹿な事言わないで!
今あるお金は、入学するのに必要なお金なのよ!」
もう一回、平手打ちの音が響いた。
278 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:10:18.02 ID:dk9mFG030
クズvsクズ
279 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:10:42.67 ID:BDBfSKA2O
予想どうりだ
なんでドクオに不幸のベクトルが向くんだよ…
にっちもさっちもどっちもクズ…
282 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:12:11.71 ID:NDCOmeJD0
(#・父・)「そんなのどうでもいいんだよ!
あんな餓鬼よりも、俺の酒の方が大切だ!」
J(;'ー`)し「いい加減にしてよ!
私が稼いだお金よ!
あなたの為じゃない、私の為のお金よ!」
(#・父・)「何を勘違いしてるんだ!
忘れるなよ、俺が、俺がいなけりゃ意味無いってことをよぉ!!
俺がその気になれば、お前なんかいなくてもいいんだよ!」
J(;'ー`)し「くっ……!
もう嫌、こんな生活はもう我慢できない!
私は自分のやりたい事をやらせてもらいます!」
馬鹿にした様な笑い声が聞こえて来た。
(#・父・)「どこに行くアテがあるんだ?
どこにもないくせに!」
J(;'ー`)し「お生憎様。
私は、あなたの様なアル中とは違うのよ。
前から誘われてた場所があったから、そっちに行くわ。
後は一人で勝手にやればいいわ!」
荒い跫音を立て、母親が家から出て行った。
父親は馬鹿の様に叫び狂い、近くにある家具を破壊し始めた。
283 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:12:38.88 ID:Vu3fJpvk0
屑の見本市やでぇ
284 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:13:08.05 ID:U64AN0Bw0
んで逃げたのか
自己満のために
おい!
ドクオ置いてくなよ!
売春かな
クズのバーゲンセールやでぇ
288 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:14:57.06 ID:9SFFmw6DO
クズすぎわろた
289 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:15:02.23 ID:NDCOmeJD0
(#・父・)「ふ、ふざけんじゃねぇぞ!
お、俺をこんな目に合わせやがって!
腸引きずり出してブッ殺してやる、この糞尼ァァァァァ!!」
皿が割れ、ガラスが砕ける音が鮮明にドクオの耳に届く。
何が起きたのか、幼いドクオの頭は必死になって考えていた。
答えは直ぐに分かった。
ドクオを残して、逃げたのだ。
奇しくも、この出来事の少し前から、ドクオの家の近所で異変が起き始めていた。
夜。
恐ろしい夜が、この周辺にも訪れたのだ。
何が起きているかは知らないが、父親は決して窓辺には近寄らず、明かりは消し、カーテンを引いた。
夜が訪れると、どの家も同じような事をする。
ドクオはまだこの時知らなかった。
裏通りを舞台として、裏社会の組織同士の抗争が夜な夜な行われている事を。
普段眠りに付いている時、家の外ではサプレッサーを付けたイングラムやUZIが火を吹いている事を。
まだ、知らなかった。
―――母親がドクオを残して逃げ出した、その翌日。
小学校への入学は叶わず、ドクオは結局家に残る事しか出来なかった。
代わりに、入学に備えて蓄えてあった貯金が残される事となり、少なくともすぐに餓死する心配は無かった。
ただし、貯金をどうこう出来る知識をドクオは知らず、自然な流れで金は父親が管理する事となった。
管理とは名ばかりで、ただ自分の欲を満たす為に使う事になるのだが。
290 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:15:12.74 ID:BDBfSKA2O
ここまでクズだと笑えてくるな
291 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:16:25.40 ID:Vu3fJpvk0
どうやって現在に繋がるんだ……
ここからどうやってドクオが育つのかが凄い気になる
293 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:17:17.59 ID:U64AN0Bw0
多重人格障害の疑いアリにも納得しそうな環境だな
294 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:18:02.13 ID:NDCOmeJD0
いつもより早くに目を覚ましたドクオは、朝食をとる為にリビングへと向かった。
恐る恐る覗き込んだリビングの中央には、大の字になって爆睡する父親がいた。
その周囲は破壊された家具が散乱し、陶器類やビン類の割れやすい類は悉く砕けていた。
元からあまり掃除はされていない部屋ではあったが、ここまで酷くなった事は無かった。
あまりにも酷い状況に、ドクオは顔を顰めた。
足元をよく見ながら、ドクオは陶器の破片を踏まないよう、そして何か音を立てないよう慎重に歩きだした。
文字通り足の踏み場は元から無かったが、どうにかこうにか台所へと辿り着けた。
トースターを使うと音が出る為、ドクオは賞味期限が一昨日の食パンを袋から三枚取り出して、その場にしゃがみ込んで貪った。
パサパサしたパンは、起きたばかりのドクオの口の中から水分を奪い取った。
冷蔵庫の中から牛乳を取り出すべく、静かに扉を開き、それを手に取った。
コップに注ごうと、いつも使っていた物を探す。
それは直ぐに見つかった。
床で粉々になっていた。
諦め、ドクオはそのまま直に口を付けて紙パックの牛乳をのどに流し込んだ。
朝一番に飲む冷たい牛乳の美味さ。
消費期限が切れた弁当よりも遥かに満足できる。
パンを口に詰め込み、ゴクゴクと喉を鳴らして牛乳を全て飲み切る。
汚れた食器の溜まった流し台に紙パックを置き、ドクオは来た道を戻って寝室に向かった。
どうやら、昨晩は相当酒を飲んだようで、父親は起きる気配を見せなかった。
今の内なら、外に出られる。
よれよれになった寝間着を着替え、玄関に行く。
玄関を見ると、母親の靴だけが無くなっていた。
もう戻らない事を呆気なく受け入れたドクオは、頭の中からその存在を削除した。
無事に靴を履き終え、ドクオは早朝の都へと出て行った。
義にあついドクオとの繋がりがないぜ…
抗争中…なんだよな…
297 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:20:31.99 ID:Vu3fJpvk0
抗争中に家出か
298 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:21:04.38 ID:NDCOmeJD0
早朝。
都では濃霧が発生する時間帯。
不運にも、ドクオの起きた時間はそれに重なっていた。
まだ濃霧の危険性を知らないドクオは、好奇心の導くまま、真っ白な世界を歩いた。
奇妙な感覚だった事は、僅かだが覚えている。
目の前は真っ白。
確かなのは足元の感触と自分の存在だけ。
静まり返った世界は、いつもドクオが知る世界とはまるで別の世界に感じ取れた。
しかし代わり映えのない世界は、次第にドクオの好奇心を不安へと塗り替えて行った。
何もない。
何も、分からない。
白の世界は不気味だった。
見渡しても白。
足元の地面は辛うじて見える。
だが、目を前に向けると何もない。
後ろに向けても、左右に向けても変わらない。
その時、爪先が何かにぶつかった。
不意打ちを食らい、ドクオは前に倒れた。
だが、石畳に顔を打ちつける事は無かった。
打ち付けたのは何か別の、少しだけ柔らかい物だった。
布。
ドクオの着ている物とは別の、もっとしっかりとした生地だ。
"あの女"や、父親が着ているのよりも上質である。
例えそれが、何かで湿っていたとしても、だ。
299 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:21:32.87 ID:U64AN0Bw0
朝っぱらはドンパチもやんないじゃね?
300 :
忍法帖【Lv=6,xxxP】 :2011/03/28(月) 02:21:33.13 ID:mORzu0pCO
ドクオの過去を読み切らんと寝れる気がせん支援
301 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:22:04.72 ID:9SFFmw6DO
夢もキボーもありゃしない…
ドンパチの後か…
303 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:23:26.01 ID:JITZJZNZO
日本もいつかこうなるのか
304 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:24:02.52 ID:NDCOmeJD0
顔に何か濡れた物に触れた様な感じがして、ドクオは顔を上げてそれを手で拭ってみた。
赤黒い。
血だった。
誰かの血。
ドクオは人間が血を出すのは、鼻血を除いて、普通では有り得ないと認識していた。
血を出すのは人間だけではないが、何か衣服を纏うのは人間ぐらいでしかない。
途端に真実を理解したドクオは、慌てて起き上がった。
誰に躓いたのか、急いで確認しようとする。
一歩でも下がれば、確認が出来ない。
膝を突いて、誰かの服の上に手を這わせる。
体の膨らみと服の形から、顔の場所を割り出した。
血がべっとりと付いた手で、顔に触れる。
顔は近づけなかった。
掌から伝わる感触で、男だと分かった。
鼓動も感じ取れず、息もしていない。
服の所々に穴が空き、そこから血が出ているようだった。
初めて目にする人間の死を目の当たりにして、ドクオは冷静を保ったままだった。
何故か。
生まれながらに心が強いからか。
違う。
死を知らないだけだ。
人間の死を、いきなり感じ取ってもドクオはどう対処すればいいのか分からないだけなのだ。
どうしてか、心がとても苦しかった。
理由が分からないまま、ドクオは男が傷を癒す為に寝ているのだと勘違いした。
まだ6歳かそこらだよな…
306 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:25:39.30 ID:U64AN0Bw0
ドクオ・・・
307 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:27:02.23 ID:NDCOmeJD0
起こすか、それともこのままでいるか。
ドクオはどうしようかと考えあぐねた。
気付かなかったとはいえ、ドクオの不注意でぶつかってしまった以上謝るのが道理だと考えた。
その為にはまず起こす必要がある。
揺さぶってみるが意味はなく、突っついた所で効果は無かった。
襟を掴んで立ち上がらせようとしたが、非力なドクオに男を持ち上げるだけの力がある筈もなく、上半身が僅かに持ち上がっただけだった。
しかし、意味はあった。
諦めてドクオが手を離した時、地面に何か硬い物ぶつかる音がする。
音のする場所を手で探ると、そこには男の手と硬い物があった。
腕時計のはめられた手を持ち上げると、男の手が変わった形の何かを持っているのに気付いた。
色は黒く、全体のフォルムは角ばっている。
大きさはドクオの手よりも大きく、フォルムの先端には丸い筒状の物が備わっている。
正体は何か分からないが、どうしてか背筋が寒くなった。
その時、空が僅かに明るさを取り戻し、辺りを包んでいた濃霧が晴れ始めた。
明らかになるのは周囲の情景。
惨劇の跡だった。
血を流して倒れている人間が、そこらじゅうにいた。
白の世界は途端に血の赤へと変わり、心は不安と得体の知れない恐怖に支配された。
奇妙だと感じたのは、血の海の所々が金色に輝いている事だ。
ドクオの足元にも、その金色があった。
真鍮の輝き。
血の海に浸っていても、露出した部分の輝きを隠す事は出来ない。
黄金に似た輝きは、人間の持つ貪欲な心を容赦なく擽る。
ドクオとて例外ではない。
308 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:29:23.94 ID:Vu3fJpvk0
oh…
309 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:30:02.50 ID:NDCOmeJD0
導かれるまま、足元の円柱状の真鍮を摘まみ上げた。
固まった血が不細工な迷彩柄を作り出していて、その真鍮は純粋な黄金色をしている訳ではなかった。
ただ、輝いてはいた。
これだけ綺麗な物が、足元に散らばっている。
ただし、息をしていない、穴だらけで血まみれの人間の体が山の様にあるのだが。
心は躍っていたが、血溜に散らばるそれを拾い上げる気には、もうなれなかった。
今はこの場から去る事が重要だと感じ、ドクオはそれに従った。
手と顔に付いた真っ赤な血を洗い流そうと、見知った道を探してドクオは走る。
探せども、探せども、一向に知る道には出なかった
ここは裏通り。
迷えば大人でさえ無事では済まない。
高く聳え立つ建物に囲まれているが、背の高い木々が生い茂る樹海で迷うのと大差ない。
考え様によっては、樹海の方がまだ安全だ。
森には多種多様な生物がいるが、何か危害を加えない限り、敵意や悪意を向けて来る生物はほとんどいない。
裏通りにはどんな人間でもいる。
変態から殺人者、果ては偽善者まで。
この裏通りにおいて若い女性は最も危険だが、子供の場合は性別を問わず危険だ。
子供の利用価値は非常に大きい。
純粋で、疑う事をせず、命令に刃向う事も疑問に思う事もない。
上手く飼い馴らせば、忠実な奴隷にも立派な殺人鬼にもなり得る可能性を秘めている。
それが子供だ。
周囲の環境次第でどのようにでも変化できる、変幻自在の純白のキャンパス。
だからこそ、子供が一人でいるのは危険なのだ。
特に、ここでは。
310 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:30:32.81 ID:U64AN0Bw0
銃器との初めての出会いか・・・
わああああ…
壮絶過ぎる過去だな
313 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:33:11.66 ID:NDCOmeJD0
早朝とは雖も、起きている住民はいる。
泣きそうな顔をして走り回る子供を心配する者はおらず、数人の視線がその背に注がれているだけ。
視線を注いでいた者の内、奴隷商を営む男と、誘拐を生業とする男が、跫音を立てない様にその後ろから付いて行く。
幼いドクオなら、容易く利用できると考えての行動だった。
裏社会を牛耳る勢力が抗争を繰り広げる一方で、彼等の仕事は右肩上がりだった。
特に、水平線会の会長である荒巻は少年兵の有効性を知っており、頻繁に少年を買っては抗争の場に送り込んでいた。
一人当たり300万近くで取引されるだけあって、当然リスクも付き纏う。
水平線会と対立するクールノーファミリーが、去年のある時期から子供の人身売買に対して嫌悪感を露わにしているからだ。
少年兵を使う荒巻は勿論の事、売り物として子供を売買する者達も嫌っている。
取り締まるとまでは行かないが、取引や商品の仕入れの現場にクールノーファミリーが居合わせた場合、関係者は確実に殺すよう指示が下されていた。
先日も三人ほど、取引現場となった場所の街灯に逆さまに吊られた状態で、無残な死体となって発見された。
眼球を抉り、脇の下と腹に一発の銃痕があった。
以来、子供の人身売買は相当のリスクを孕んでいる事が知れ渡り、子供に手を出すのを止めた者が相次いだ。
だがそれでも止めない者はいる。
ドクオの後ろを付ける二人がそうだ。
道中、手の仕草で分け前を折半する事に決め、久しぶりの獲物に二人は舌舐めずりをした。
背後でそのような事が起きている事を知らないドクオは、道を探して走っていたが、人の気配がまるでない路地裏に来て、遂に走るのを止めた。
知らない場所に一人でいることが、絶望的な孤独感をドクオに植え付け、脚を止めさせていた。
どこをどう進んだのか、ドクオは完璧に記憶していた。
ただ、記憶していなかったのは家を出てから濃霧が晴れるまでの道程だ。
見もしていない道程を記憶するだけの余裕はなく、それは幼さ故に仕方がない事で、非難するべき事柄ではない。
誰もドクオを非難できない。
捕食者の笑みを浮かべる者達は非難するどころか、感謝する有様だ。
ようやっと背後の気配に気付いたドクオは、急いで振り返った。
314 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:33:16.38 ID:mORzu0pCO
容赦なく支援
よく今まで生きてたなドクオ
316 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:34:10.01 ID:Vu3fJpvk0
支援
317 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:35:02.58 ID:9SFFmw6DO
眠いけど練れないしえん
318 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:35:26.70 ID:TbVblwXH0
改行でもtxtファイルは容量が増えるんだよねー
さらに「。」も増える
単文を駆使した地道な容量稼ぎ
ご苦労様
普通に書けるのにそこまで浅ましく成果、数字を求めている様をみると
普段から別のスレでもそれとなく歯車の名前をだしたり工作活動してるのかなー
なんて邪推をしてみたり♪
紫煙
320 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:36:12.47 ID:NDCOmeJD0
ドクオの眼が映したのは、二人の男の姿。
一人は小太りで、もう一人は痩せ細っていた。
共通している点は二点。
不気味に笑んでいる事と、右手が上着のポケットに伸びている事だ。
本能的に危険を察知したドクオは、男達と向き合ったまま一歩下がった。
もう一歩下がる前に、小太りの男が笑顔を顔に張り付けたまま言った。
| ^o^ |「怪我 を している の ですか?
恐れる こと は ありません」
公用語で話されたが、ドクオの知る限りここまで訛っていて変わっている話し言葉は初めて聞いた。
単語単語の間に一拍置いて、次の単語を口にする。
分かりやすいと言えばその通りだが、早口で一通りの汚い言葉を聞いているドクオには、少しだけ煩わしいという気持ちが沸いた。
それ以上に沸いたのは、恐怖心だった。
彼等の笑みの意味が分からない。
未知の物に対する好奇心は湧き上がらず、恐怖だけが染み出してくる。
魅了もされないし、惹かれもしない。
不快感と恐怖の入り混じった感情は、ドクオに逃亡を命じた。
的確な選択であり、素早い行動だった。
今の歳にしては、だが。
| ^o^ |「少し 話 を しましょう」
似た訛りである事から、もう一人の男も同じ出身、同じ環境で育った事が分かった。
分かるのと同時に逃げようとしたドクオの肩を、痩せた男が掴んでいる。
振り向く間も与えられず、ドクオは強引に男と向き合わされた。
肩に乗せられた手に込められた力は、いつもドクオを殴る父親に比べれば優しい方だ。
321 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:37:17.70 ID:TbVblwXH0
まるで歯車さんは
無意味な残業をして「いい仕事をした」と思ってる
思考停止の輩みたいだね
どっくん逃げてー
323 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:37:51.70 ID:JITZJZNZO
支援\(^o^)/
こんな過去でよく今まで生きてきたな…
325 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:38:50.54 ID:zV+oj+OT0
326 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:39:02.27 ID:NDCOmeJD0
動きを封じるにはそれで十分過ぎた。
| ^o^ |「君 の お母さん が 君 を 呼んで います」
| ^o^ |「ですから 私達 が 連れて 行き ましょう」
彼等二人が犯した間違いは、母親と云う名詞を使った事にあった。
昨晩母親に見捨てられたドクオに、母親と云う名詞は何の意味もない。
逆に、怒りを思い出させるだけだった。
安心させる為か、僅かに力を緩めた男の手からドクオは逃れ、何も言わずに走り出した。
| ^o^ |「お待ち なさい」
| ^o^ |「お母さん が 困って しまいますよ」
人目のある所に逃げられると、クールノーファミリーの眼があるかもしれない。
商売の都合上、出来る限りこの路地裏で仕事を終わらせる必要があった。
ポケットの中から強力な睡眠薬の入った小型の注射器を取り出し、二人の男もドクオを追った。
大人と子供の脚力では、差はあっという間に縮まった。
太った一人がドクオの腕を掴み、もう一人が注射器を上腕部に刺す。
睡眠薬を注射しようと親指に力を込めたその時。
痩せた男の体は見えない何かによって、後方へと吹き飛び、壁に衝突して頭が破裂した。
その勢いで、注射器の中身は注がれることなく、ドクオの腕から抜け落ちる。
茫然とその様子を眺めていた男が、その頸椎を360度捻転して絶命した。
地面に落ちていた注射器の上に倒れ、注射器は呆気なく砕けた。
遅れて突風がドクオの頬に吹きつけ、杖をついた黒い髪の一人の人間がドクオに背を向けた状態で現れた。
一瞬の出来事に、ドクオの思考は混乱した。
327 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:39:22.80 ID:BDBfSKA2O
昨日から寝ずに見てるが限界だ
明日まで残ってますようにおやすみ
若き日のロマきた?
329 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:42:13.45 ID:NDCOmeJD0
情報を整理してから1秒後にようやく追いつき、自分が助けられた事に気付いた。
顔は見えないが、背格好と黒い男性用のスーツを身に纏っていることから男だと分かった。
風がスーツの裾を翻し、心地の良い香りが鼻腔に届く。
???「やれやれ、少し懲りたと思ったらこれだ。
処理は任せたぞ」
(■_>■)「了解致しました」
建物の影から、サングラスをかけた別の男が現れ、首が一回転して絶命した男の髪を掴んで引き摺り運び始めた。
黙々と命令を遂行する男は、冷たい機械を彷彿とさせた。
頭が潰れた男の横に置いて、サングラスの男は戻って来る。
???「小僧、怪我は無いか?」
初めて。
初めて、ドクオは本当の優しさの入り混じった声を聞いた。
優しさの籠った声の男が振り返り、その男の顔を見て、ドクオの口から小さく声が漏れた。
瞼の上に深い傷跡があり、男の眼は開かれていなかったからだ。
極力それに臆さないよう努力して、ドクオは震える声で礼を言った。
( ФωФ)「うむ。
気にするでない。
して、小僧。
どうしてこのような場所にいるのだ?
ここはお主の様な者が来るような場所では無いぞ。
さては迷ったか?
どこまで行けば、家までの道が分かる?」
330 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:42:16.40 ID:Vu3fJpvk0
誰だ
ロマ?
もしかしてまだ出てきていない「幼馴染」って…!
333 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:43:30.01 ID:U64AN0Bw0
( ФωФ)来たー!
334 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:43:45.71 ID:JITZJZNZO
ξ φωφ)ξ
336 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:45:22.06 ID:NDCOmeJD0
支援、保守、ありがとうございました!
キリのいい所で、本日の投下は一旦終わらせていただきます
明日の計画停電が上手く行けば、続きを投下していきたいと思います
ちなみに今の段階ですと、45%ぐらい投下する事が出来ました
それから、J( 'ー`)しのその後とかに関しては、エピソード1に続いております
それでは、また明日お会いできる事を楽しみにしております
337 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:45:39.55 ID:BDBfSKA2O
ロマネスク登場!!
まだ45%か…乙でした!
339 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:46:06.75 ID:U64AN0Bw0
乙!
楽しみにしてる!
340 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:46:48.17 ID:Wnk60/De0
変態紳士超乙
341 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:46:56.58 ID:Vu3fJpvk0
乙、やっと寝れるぜ
過去編終わって50%ぐらいかな
とりあえず変態紳士乙
投下は明日の夜?
まだ半分もいってないんだな…
乙!明日も楽しみだ!
344 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:49:14.85 ID:TbVblwXH0
( ФωФ)「うむ。
気にするでない。
して、小僧。
どうしてこのような場所にいるのだ?
ここはお主の様な者が来るような場所では無いぞ。
さては迷ったか?
どこまで行けば、家までの道が分かる?」
なんだこれは
酷い改行厨だな
文量とレス稼ぎがなければとっくに投下は終わってそう
345 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:49:42.13 ID:JITZJZNZO
乙、良いものを見せてもらった
乙乙!昨日の夜から投下しっぱなしなんだから、今日はもうゆっくり休めよ
347 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:50:37.80 ID:BDBfSKA2O
乙
楽しみにしてるぞ
乙
初めて読んだが面白かった
過去分も読んでみるわ
349 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:54:15.28 ID:WIYWkSdNO
乙華麗
乙 明日も楽しみにしてる
351 :
兄者:2011/03/28(月) 02:59:23.99 ID:sYL1R5cTO
残念ながら途中参加だったから、まとめでもじくっり読みます
超乙
乙乙!!停電回避されるといいな
353 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
乙。やっと半分に入るってとこか。明後日までかかるんじゃね?