麦野がそう言うと滝壺は無言でうなずき、ポケットから透明なケースを取り出す。
絹旗は不思議そうな目で透明なケースを見ている。
絹旗「滝壺さんも超難儀していますよね。『体晶』がないと能力を発動できないなんて」
滝壺「別に。私にとっては、こっちの方が普通だったから」
そう答え、そして麦野の方へ向く。
滝壺「検索対象は『未元物質(ダークマター)』でいい?」
麦野「いいから、とっととやっちゃいなさい」
滝壺は白い粉末をほんの少しだけ舐めた。彼女の目が光る。
まるでそちらの方が正常であるかのように、背筋を伸ばして滝壺理后はたたずんでいる。
滝壺理后は、『能力追跡(AIMストーカー)』のという能力を持つ、大能力者(レベル4)である。
一度記憶したAIM拡散力場の持ち主を補足し、たとえ太陽系の外まで逃れても居場所を探知できる能力である。
滝壺「AIM拡散力場による検索を開始。
近似・類似するAIM拡散力場のピックアップは中止。
該当する単一のAIM拡散力場のみを結果報告するものとする。
検索終了まで五秒」
機械のように放たれる声。
そして、正確な答えはやってきた。