( ^ω^)(´・ω・`)('A`)こたつ話のようです

このエントリーをはてなブックマークに追加
76こんな駄作より歩くようです読もうぜ
「おいしいよ! 食べなよ!」

「いただくお」

頭上から響いた女の明るい声に応えて拾い上げた実を口に含めば、
シャキっとした歯ごたえとともに、甘くみずみずしい果汁が男の口の中に広がった。

それは千と数十年前に食べたリンゴという果物の味と良く似ていて、
それから懐かしいことを思い出したらしい彼は、年甲斐もなく口元を緩めた。

大地と一本の実のなる木。かつての世界の書物の中に、そんな話があったっけ。

禁断の実を食べたアダムとイブが楽園を追放される話。今の僕たちと良く似ている。
それならば、僕がアダムで彼女がイブで、この実を口にした僕たちは楽園を追放されるのだろうか?

そんなはずはないか。だって僕は、とうの昔に楽園を追放されているのだから。