( ^ω^)(´・ω・`)('A`)こたつ話のようです

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72こんな駄作より歩くようです読もうぜ
それから二人はどれくらい歩き続けたのだろう?

いつしか空を覆っていた灰雲は晴れ、乾いた地面には太陽の光が差し込みはじめていた。
地平線の先は空の青に溶けていて、荒野は彩りを取り戻していた。

そしてその青の先に男は、一本の立木を見つけ出す。

「あ、木の実が生ってる!」

嬉しそうな声を上げた後ろの影――女は、頭を覆っていた布を取ると、
前を歩いていた男を追い越し、茶色の髪をたゆらせながら一目散に立木へと駆け出していった。
遅れて男が到着した頃には彼女は枝の上にのぼっていて、たわわに実った赤い実をせっせと胸に集めていた。

その姿を見上げながら男は木陰の下に入り、立木の太い幹に背を預けて瞼を閉じた。
木漏れ日の心地よさに彼がうとうとしていると、その頭の上に何かが落ちてくる。

軽い衝撃に瞼を開くと、赤い木の実が一つ、彼の目の前に転がっていた。