バレンタインだから地獄兄弟の真似してたら妹に泣かれた

どうしたもんやら

もうバレンタインもチョコもないんだよ・・・！

笑った

いやな、夜勤明けで疲れて帰ってきて、寝て起きたらリビングからチョコの良い匂いがしたんだよ
妹が彼氏にチョコ作ってたんだろうなーとか思ったわけ
俺って彼女居ない暦＝年齢の童貞喪男だからさ、すっげー腹立たしくって

寝起きのボサボサの頭にスウェットで、ホッパーゼクター持ってないからロストドライバー巻いてさ
俯き気味にリビングに入ったらキッチンに立ってた妹が俺見てギョッとするわけ

自己反省も兼ねて適当に顛末書く

「お兄ちゃんバイトだったの？お疲れ様」

もうすぐ大学生だってのに未だにお兄ちゃんって呼ぶんだぜ、非処女の癖にな
もちろん腰のロストドライバーには気づいただろうが、普段から部屋でエターナルメモリ鳴らしてたから薄々感づいてたとは思う
で、妹の声も無視して食パンを生で食ってた

で、一枚食べ終わった辺りでテーブルの上に妹が何かを置いた
包装されたチョコだった

「たっくん（彼氏）にあげる筈のが余っちゃったからｗｗ」

はにかみ気味にそう言う妹を見て、不意に思ったのは「ああ、やっぱり三次元の女はクソだ」だった
我ながら童貞根性が染み付いてると思う、思わず口をついて出たのは

「笑えよ」

だった

妹は「え？」って顔してた　まあ当たり前だな
なんかベルト巻いて妹に当り散らそうとしてる自分が恥ずかしかったけど、
二十歳越えて童貞の時点で既に恥ずかしいからもういいやとか謎の諦めが頭ん中に渦巻いてた

「どうせ俺なんて……」

そう言ってチョコを手にしておもむろに立ち上がる俺、妹は明らかにビビってた気がする
精神異常者にレイプされるエロマンガとか、多分まんまな感じだったと思う

たっくんにあげるはずだったとか照れ隠しに決まってんじゃん
それはお前のために作ったんだよ

よくわからない怒りのままに床にチョコを叩きつけた、なんか嫌な音がした

「もう、クリスマスもバレンタインもないんだよ……」

マキシマムドライブ、カカオブレイクだ
すっかり堕落しきった気分だった俺は、矢車さん見たいな目付きで思いっきり妹にガン飛ばしてた
妹唖然、数秒の沈黙の後に走って階段駆け上がって部屋のドア思いっきり閉める音が聞こえた

落ちたチョコはあんまり食う気しなかったからテーブルの上に置き直して、食パンもう一枚食って部屋に戻ってきた
妹の部屋の前通り過ぎた時に思いっきり嗚咽してる声が聞こえた、今更ながら罪悪感マックス
今は俺も泣きたい

たたたたたっくん！バレンタインチョコが…！