1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
第一志望のN女子大の受験を終えて、残すはすべり止めのR大学のみ
学校もなく、最近みんなと会ってない気がする
梓は一人で寂しくないだろうか
あ、さわ子先生もいるから大丈夫……かな?
澪「勉強に集中できないなぁ……」
すべり止めの勉強はどうも力が抜けてしまう
澪「一旦気分転換に外に出ようか……」
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 21:33:27.77 ID:ONrzTdIl0
豆や鬼が支配していた町も、見ないうちに甘い匂いに包まれていた
澪(そういえばN女子大の合格発表はバレンタインの日だっけ)
女子高に居る私達にとって、本来バレンタインなど友情を確かめる日でしかない
でも私は違う
澪(律……最近話してないな……)
一緒に勉強しよう、と言えば会うことは簡単なのだけど
彼女との勉強は勉強にならない恐れがある
あと、大学に行っても彼女に勉強を教え続けるのは彼女にとって良くはない
だからできるだけ彼女が泣きついてくるまで放置しているのだ
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 21:37:09.29 ID:ONrzTdIl0
澪(キットカットでも買って帰るかな……)
女「あー!これ可愛い!」
男「バレンタインのお返しに買ってあげるよ」
女「えー!今欲しいなー!」
澪(声おっきい……)
私は律とどういう関係になりたいのだろうか
男「じゃあ今買ってあげるよ」
女「きゃー!優しいー!」
澪(……カップル爆発しろ)
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 21:38:00.49 ID:+CkuKu4X0
リア充爆発しろ
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 21:43:04.91 ID:ONrzTdIl0
その瞬間である
ぼんっ!
と、耳に響く大きな音がした
焦げた臭いが辺りに漂う
まだ寒いはずの外気が何故か暖かい
視界の先には……
先ほどのカップルが倒れていた
殺すのだけはやめてな
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 21:49:52.63 ID:ONrzTdIl0
誰かが大声で「救急車!」と叫んで、私の意識はようやく現実に戻った
カップルの周りには人だかりができている
何があったのだろう
……理解していたが、理解したくなかった
澪(これってもしかして……)
私のせい?
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 21:52:48.47 ID:60pujQBzO
矢部「リア充なんか」
千葉「しねばいいのに」
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 21:54:34.22 ID:Tl5lWWnJ0
DTBかとおもった
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 21:55:11.63 ID:ONrzTdIl0
結局私はそのまま予定通りキットカットを買って帰った
チョコレートを食べると集中力が上がる、という噂を聞いたことがある
カロリーは……頭を使って糖分を消費するから大丈夫だろう
なにより、先ほどの光景を忘れるためには勉強しかなかった
その日の夜、私の携帯に1通のメールが届いた
『今日一緒に勉強しようぜ、場所は唯んちな』
律からだ
こんなメール1通でも、貰えれば嬉しいものだ
カップル爆発しても動じない澪さんパネェ
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 22:00:08.92 ID:ONrzTdIl0
翌日の朝、私は手早く外出の用意を済ませ、唯の家に向かった
澪「おじゃましまーす」
憂「あ、澪さん! どうぞ上がってください」
澪「みんなは?」
憂「ムギさんは遅れるそうです、律さんはまだみたいですね」
やっぱり律を起こして一緒に行くべきだったか
澪「唯は……寝てるんだな」
憂「はい」クスッ
ムギさん・・・?
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 22:06:00.72 ID:1rhBvb6XP
また爆発させるのかお前は・・・
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 22:06:33.41 ID:0UzZw7St0
なんちゃらエクスプロージョンって毎回つまんないよ
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 22:06:38.74 ID:ONrzTdIl0
人が集まるまでゆっくりしてようと思っていたが、唯を起こすので手いっぱいだった
唯が起きた瞬間を狙ったかのようなタイミングで、律とムギが到着した
全員揃って、さて勉強だと言おうとしたその時、律の口から聞きたくない言葉が放たれた
律「そういえば昨日の事件しってるか?」
紬「知らないわ」
唯「ん、私も知らない」
律「お前は寝てたからだろ、なんでも昨日この辺で爆発事件があったらしい」
澪「……」
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 22:11:17.89 ID:ONrzTdIl0
律「被害者は男女カップルで、イチャイチャしてたら突然爆発したらしいぜ」
唯「その人たちはどうなったの?」
律「なんとか……軽傷で済んだらしい」
紬「恐いわ……」
澪「そ、そんなくだらない話より勉強だろ!」
律「くだらなくないって!私達が被害者になる可能性もあるんだぞー!」
澪「そんなことないから早く勉強だ勉強!」
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 22:15:25.00 ID:ONrzTdIl0
正直私は自分に他人を爆発させる能力があるなんて信じていなかった
たまたまタイミングが合ってしまっただけとしか思えない
でも何故か私の脳が、完全な否定をさせてはくれないのだ
「澪ー、みーお―!」
澪「ん?」
律「澪、どうした? 具合悪いのか?」
澪「う、うん……ちょっとな……」
唯「大丈夫? ちょっと休む?」
澪「うん、そうさせてくれ……」
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 22:19:45.04 ID:ONrzTdIl0
憂ちゃんに介抱されつつ、私は平沢家の居間でぐったりと寝転がった
唯はいつもこんな状態なんだろうな、と思うと今の自分の状況が滑稽に思えてきた
お昼が近づいて、ニュース番組が始まった
私はニュースを何も聞かないで、チャンネルを変えた
憂「ニュース……嫌いでしたか?」
澪「今頭痛いから……たくさん情報が入ってくるのは辛いんだ」
憂「そうですか」
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 22:26:09.94 ID:ONrzTdIl0
昼時になるとみんなが唯の部屋からぞろぞろとお腹をさすりながら出てきた
律「澪、大丈夫か?」
澪「大丈夫だ、具合悪いのも治ってきたよ」
紬「良かったー」
唯「ところで澪ちゃん、憂、みんなでご飯食べに行かない?」
憂「私は大丈夫だよ、澪さんは?」
澪「ああ、外の空気も吸いたいし、丁度いいな」
しえん
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 22:32:35.90 ID:ONrzTdIl0
私達5人は当てもなくふらついて、何か食べられる店を探した
律「カツ丼なんてどうだ!受験に勝つって奴で!」
唯「カツは昨日食べたからいいや」
律「なんだと!抜け駆けか!」
憂「ご、ごめんなさい」
律「ああ、憂ちゃんは別に悪くないから!」
唯「私だって悪くないよう!」
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 22:37:39.85 ID:ONrzTdIl0
紬「牛丼は?」
澪「……もっと女子高生らしい食べ物はないのか?」
律「なんだよ女子高生らしい食べ物って」
唯「じょしこうせいじょしこうせい……ジャージャー麺?」
律「語感じゃねーかよ!」
澪「語感も大して合ってないと思う……」
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 22:42:44.90 ID:ONrzTdIl0
そんな会話をしていると、妙な人だかりに遭遇した
律「おーおー、なんかやってるなぁ」
唯「バレンタインフェア?」
紬「素敵ね♪」
澪「……」
私は込み上げる黒い感情を抑えるので精一杯だった
憂「澪さん? どうしたんですか、恐い顔して……」
澪「!」
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 22:47:46.99 ID:ONrzTdIl0
律「澪ー、嫉妬かぁー?」ニヤニヤ
澪「ち、違うよ!」
ダメだ……他人に言われると……律に言われると意識してしまう
唯「幸せそうだねー」
紬「恋って素敵よねー」
澪(……ば、爆発しろ)
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 22:52:59.51 ID:ONrzTdIl0
ぼんっ!と音がする
その音を聞くと、私の理性は崩壊した
澪(爆発しろ……爆発!爆発!爆発!)
辺りから強烈な爆発音と悲鳴
地獄を体現したかのような光景だった
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 22:56:27.23 ID:T7zDXPWjP
世界はそれーでもー
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 22:56:47.35 ID:ONrzTdIl0
紬「きゃあああああああ!」
ガラスを引っ掻いたようなムギの悲鳴に、私は思考を止め、仲間たちを振りかえった
唯「怖いよぅ……ひっく……」
憂「お、おねえちゃあん……」
律「……な、なんだよこれ」
やってしまった
抑えきれなかった
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 23:00:39.62 ID:ONrzTdIl0
澪「……っ!」
私は気が付けば走りだしていた
律「お、おい! 澪、どこ行くんだ!」
もう律に会わせる顔なんてない
律「危ないぞ! 犯人がどこにいるか……」
犯人は私だ
……私は、すべてを棄てて逃げ出した
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 23:04:29.03 ID:ONrzTdIl0
ここはどこだろう
気が付けば知らない町にいた
近場にこんなところがあったなんて、と感心していたが
ふと辺りが暗くなっていることに気が付いた
私以外の人は誰もいない
澪「遠くまで来ちゃったのかなぁ……」
不安と絶望と疲労が私を襲う
澪「……もう帰れないし……どこかわからないし」
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 23:09:28.94 ID:ONrzTdIl0
ぐぅー、と私の心境に合わない緊張感のない音が聞こえる
そういえば昼から何も食べていない
澪「私、このまま飢え死にしちゃうのかな……」
?「秋山澪さん」
澪「誰ですか!? わ、私を知ってるんですか!?」
?「はい、私は……」
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 23:23:29.85 ID:Hq5GNCVcO
ふひ
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 23:26:55.69 ID:ONrzTdIl0
澪がいなくなって二日
姿なき爆弾魔のニュースは絶えない
澪は大丈夫だろうか
唯「りっちゃん、今日も探しにいこ」
律「ああ」
私達は澪の捜索を続けていた
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 23:30:47.55 ID:ONrzTdIl0
カップルを襲う爆弾魔のニュースが続き、バレンタインまであと1週間を切ろうと言うのに町に人はいなかった
いるのは「どうせカップルしか襲われないんでしょ?」という肝っ玉なおばさんぐらいだ
そんな中、私は見覚えのある人影を見つけた
律「あれは……もしかして澪? フード被ってて見えないな……」
その人影は黒っぽい上着で身を包み、ゆらゆらと町中を歩いていた
律「……爆弾魔かもしれないし、ちょっと追いかけてみよう」
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 23:35:56.98 ID:ONrzTdIl0
黒服の女性は依然、ふらふらと歩き続けている
律「……何かを探してるのか? ……やっぱり爆弾魔?」
大きめの公園に着くと、そこにはいかにも喧嘩が好きそうな男と、ケバい女がいた
恐いもの知らずとはこういうものか、と私があきれていると
黒服の女性は彼らに手をかざした
その瞬間
ぼんっ!と音がした
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 23:40:24.65 ID:ONrzTdIl0
律「何してんだお前!」
私は頭に血が上っていて相手が爆弾魔だということを忘れ、爆弾魔のかざされた手を掴んだ
爆弾魔は少し驚いた様子で、ビクッという振動が彼女の手から私の手に伝わった
律「なんか言えよ!」
私は爆弾魔の顔を思い切り殴った
爆弾魔は予想外に無抵抗だった
爆弾魔のフードから見慣れた顔が私を見ていた
薄々想像はしていた
爆弾魔は……澪だった
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 23:45:49.56 ID:ONrzTdIl0
律「澪! なんでお前が!」
澪「ふふ、ふふふふ……」
澪の放つ不気味な雰囲気に足がすくんで動けない
澪「さよなら……律」
私はその言葉を聞いて死を覚悟した
しかし、またも予想に反して澪は走っていってしまった
律「まて!澪!」
その言葉も虚しく、澪はどこかへ消えてしまった
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 23:50:21.86 ID:ONrzTdIl0
「う、うーん……」
律「あ、そうだ!救急車!」
澪とのやりとりですっかり忘れていたカップルの存在をようやく思い出し、私は救急車を呼んだ
カップルはとりあえず無事だったようだ
良かった、澪が人殺しをしないで済んで……
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 23:55:58.58 ID:ONrzTdIl0
澪が爆弾魔であることは誰にも言わなかった
いや、言えなかった
本当はそれは澪のためにはならないのだろうが、私には澪を社会の敵にする勇気がなかった
このまま誰にも言わなければ、澪は何食わぬ顔で帰ってきて、爆弾魔は自然消滅するかもしれない
……ダメだ、そんな方法で解決するのは良くない
何よりそれでは私が今まで通り接することができないだろう
なんとか私が澪を説得したいんだけど……
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 00:00:26.25 ID:O8Jza2bC0
律「あのさ、私澪に悪いことしたかな?」
唯「それが原因なんだとしたら、りっちゃんが最近澪ちゃんに冷たかったからじゃない?」
律「!」
意外な人物からの指摘を受け、私は反論できなかった
いや、思い当たる節があったからかもしれない
紬「確かに、澪ちゃんちょっと寂しそうだったわね」
唯「そういえばいなくなった日も澪ちゃん、カップル見て恐い顔してたって憂が言ってたよ」
律「……」
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 00:05:57.14 ID:O8Jza2bC0
律「そうか、じゃあ尚更あいつに会わないとな!」
唯「うん、りっちゃんも元気出てきたね」
律「ああ、会ったら一発殴ってやる!迷惑掛けやがってってな!」
紬「ちょっと乱暴だけどその意気よ!」
まぁ、すでに一発殴ってるんだけどな
でも今度会ったらもう一度殴ってやる!
今度は怒りじゃない、澪を更生させるために、私の気持ちを伝えるために殴るんだ!
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 00:12:14.37 ID:O8Jza2bC0
次の日の澪捜索にはある作戦があった
澪の事情を知る私でなければ、絶対に思いつかない作戦だ
題して
町のデートスポット巡り大作戦!
まぁ、デートスポットは一人で巡るわけだけど
奴の狙いはカップルだ
デートスポットのほうが遭遇率は高いはずだ
そして奴の行動範囲はこの町内
きっと会うことができるはずだ
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 00:17:54.47 ID:O8Jza2bC0
まずは公園
先日の事件のせいか人はいない
まぁ初めから期待などはしていなかったが
次にショッピングモール
人が多いところにはまだカップルが大勢いる
人の集団の中にいれば安全だ、と思う人間が多いようだ
全く、カップルというのは節操がない
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 00:23:29.88 ID:O8Jza2bC0
次にゲームセンター
澪は一人では行ったことはないだろうが、今の澪ならどうだろう
あまりコアなゲームには触れず、カップルが楽しめそうなコーナーを回る
不審がられない程度にてきとうなゲームをたまにやる
しかし澪の姿は見当たらなかった
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 00:29:47.83 ID:O8Jza2bC0
収穫が無く、とぼとぼと帰る途中
ライブハウスの前で黒い人影を見つけた
律「澪!」
「!」
影は少し大げさに肩をびくつかせたかと思うと、走りだした
律「待てよ!」
今度は逃がさない
逃がすわけにはいかない
結構面白いな
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 00:35:30.98 ID:O8Jza2bC0
澪は思ったより速く、また見失いそうになったが
信号がそれを防いでくれた
流石の爆弾魔も、大きな通りの車が頻繁に行きかう横断歩道を渡るわけにはいかず、立ち往生していた
律「捕まえた!」
澪「……間に合った」
律「え?」
澪の声と同時に、私の体に何か熱いものが接触する
同時に大きな音が聞こえる
次第に意識は遠くなっていった……
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 00:41:29.21 ID:O8Jza2bC0
目が覚めた時には、私は病室にいた
律「……私」
唯「目が覚めたんだね、りっちゃん!」
梓「もう!心配したんですよ!」
紬「まさか爆弾魔に会っちゃうなんて……」
律「みんな……」
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 00:42:26.78 ID:HdgcVaLF0
リア充爆発しろ
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 00:47:02.12 ID:O8Jza2bC0
和「でも軽傷で済んで良かったわ」
憂「律さん、りんご剥けましたよ」
律「悪いな、みんな」
そうか、私が勝手に動いたらみんなに迷惑をかけてしまうのか
なら仕方ないな
律「……これから言う話、信じてくれるか?」
その場にいる全員が頷くのを確認し、私は私の知る限りの真実を全て話した
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 00:55:56.83 ID:O8Jza2bC0
梓「じゃあ澪先輩が爆弾魔だっていうんですか!?」
律「ああ、澪はなんらかの方法でカップルを爆発させている」
唯「何らかの方法……」
憂「まさか……」
律「心当たりがあるのか!?」
紬「彼女は……不死者になったのかも」
律「不死者?」
信じてもらえない話をしたつもりが、信じられない話の応酬を食らってしまった
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 00:58:27.91 ID:u2l7HacpO
イモート
ピュアと来てバレンタインか
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 01:00:19.21 ID:O8Jza2bC0
ムギの説明によると、
不死者とはある日平凡な生活を送っていた人間が突然、バラバラになっても再生する異常な生命力と
超人的な能力を得ることがあるらしい
それが不死者
澪はその不死者で構成される組織に入ってしまったかもしれないと言うのだ
律「そんなことってあるのかよ……」
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 01:06:36.16 ID:O8Jza2bC0
憂「試してみます?」
そう言うと憂ちゃんは先ほどりんごを剥いていたナイフを自らの手に当てた
血が噴き出し、傷口はどんどん開いていく
しかし、数秒たってからその傷はどんどん小さくなっていき、最終的には元通りになってしまった
私と梓と和はその光景をただあっけらかんと見ていた
憂「これで信じてくれますよね?」
律「……あ、ああ」
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 01:11:27.27 ID:O8Jza2bC0
みんなにも協力してもらって、早速動きたいところだったが
一応数日は絶対安静と言うことで、私は動くことはできなかった
でも、たまには頼るのもいいだろう
みんなは私の作戦を実行し、デートスポットをしらみつぶしに探していった
……しかし、特に成果は得られなかったようだ
紬「作戦がバレて方法を変えたのかも……」
律「じゃあどうすればいいんだよ……」
もうすぐバレンタイン
滑り止めの受験もあるし、
みんなでN女子大の合格発表を確認してお祝いするって約束したじゃないか!
エクスプロージョンシリーズか
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 01:17:31.75 ID:O8Jza2bC0
2月13日
結局今日の滑り止め受験までに澪は見つからなかった
爆弾魔の事件もないらしく、どこかに潜伏しているのかもしれない
どの問題が難しかっただの疲れただの話していると、憂ちゃんからメールが届いた
憂『律さん、至急純ちゃんに会ってください! 私の家にいます、理由は後で説明します!』
律「……純ちゃんに?」
メールの件を二人に伝え、途中ムギと別れて唯と一緒に平沢家に向かった
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 01:24:10.99 ID:O8Jza2bC0
唯「ただいまぁ、あ、甘い匂いがする!」
律「おじゃましまーす」
憂「おかえりお姉ちゃん、ちょっと律さんだけいいですか?」
唯「私はー?」
憂「ちょっと待っててね」
私は憂ちゃんに連れられるまま、憂ちゃんの部屋に入った
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 01:31:55.25 ID:O8Jza2bC0
純「どうもこんにちは」
律「よう鈴本さん」
純「鈴木です……」
律「ははっ、ごめんごめん」
純「そんな意地悪するなら教えませんよー」
律「え、何を?」
純「実は今日……私が澪先輩を見かけます」
律「……?」
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 01:36:29.13 ID:O8Jza2bC0
憂「純ちゃんは予知夢を見ることができるんです」
律「それも……不死者とか言うのの力?」
純「私は違います、生まれつきみたいなもんです」
……世の中不思議に溢れてるもんだな
と、そんなことより
律「で、澪に会えるのか?」
純「はい、それなんですけど……」
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 01:41:00.91 ID:O8Jza2bC0
何故か言葉を濁され、不安が私の中に過る
純「誰かが爆死します」
律「……!」
そうか、澪が誰かを殺してしまうのか
憂「そこで私の出番なんです」
律「え?」
純「爆死するのは女性のほう、男性のほうは無傷でした」
憂「だから私がその女性になれば、死にはしません」
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 01:46:21.44 ID:O8Jza2bC0
律「で、でも……」
純「男性役は……お願いできますね?」
律「……ああ、そういうことか」
やってやる
今度こそ澪を助ける!
律「よし、じゃあ早速準備だな!」
純「こんなこともあろうかとさわ子先生に男装衣装借りてきました!」
律「う……やっぱちょっと抵抗あるな……」
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 01:51:02.58 ID:O8Jza2bC0
街中、大きな商店街
爆弾魔が数日いなくなっただけで町はカップルで賑わっている
もしかするとこの瞬間を組織とやらは狙っているのだろうか
私は男装をし、憂ちゃんも普段とは少し違う格好をして、町を歩いていた
純ちゃんは少し後ろで私達の行動を観察している
憂ちゃんは私にベタベタしてくる
もちろん恋人の演技だ
私はちょっとその状況に恥じらいを感じてしまった
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 01:56:53.48 ID:O8Jza2bC0
しばらく歩くと純ちゃんが「そろそろです」と耳打ちした
純ちゃんとの距離を離し、所定の位置に着く
純ちゃんの話が正しければ……
ぼんっ!
と爆発音が聞こえた
相当近い
私の隣、憂ちゃんが爆発した音だ
しかし私は怯まない
目の前に居る黒服を睨みつける
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 02:02:27.48 ID:O8Jza2bC0
私の接近にうろたえる黒服
周囲の注目は爆発した憂ちゃんに集まる
とうとう私は澪を捕まえた
律「澪ぉ!歯ぁ食いしばれぇ!」
ゴスッ、と鈍い音が私の拳から伝わって頭に響く
澪「……っつ!」
律「お前、人様に迷惑かけんじゃねー!」
澪「……」
澪は決して私のほうを向かず、何かを探すように辺りを見回している
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 02:09:14.71 ID:O8Jza2bC0
律「と、一発殴ってスッキリした……澪、ごめんな」
澪「……!」
澪の焦点がようやく私に合う
律「構ってやれなくて、それでカップルに嫉妬して……爆発させて発散してたんだろ?」
澪「……ちょっと違うけど、だいたい合ってる」
律「久々に聞いたな、澪の声」
澪「……」
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 02:14:17.93 ID:O8Jza2bC0
律「ほら、これ」
澪「!?」
律「チョコレート、一日早いけどな」
澪「……本命?」
律「ばーか、友チョコだよ」
澪「……」
律「本命は明日お前から貰うんだからな」
澪「律……!」
律澪の部分だけ読んだ
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 02:19:41.90 ID:O8Jza2bC0
唯「捕まえたー!」
律「な、なんだ!?」
澪「もしかして!」
曜子「うぅ……」
紬「こっちが本体ね」
梓「もう一人逃げて行きます! 私はこっちを追いかけます!」
律「……どういうことだ?」
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 02:47:26.20 ID:O8Jza2bC0
唯「私達もみんなの後を追ってたんだよ、そしたらね」
紬「澪ちゃんが捕まった瞬間に怪しい人影が見えたものだから」
曜子「う〜……」
律「つまり、澪はこいつに唆されたのか?」
澪「ち、違う、私が会ったのは……」
紬「三浦茜」
澪「……どうしてその名前を!」
紬「そっか、やっぱり彼女が不死者の支配者……」
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 02:50:24.24 ID:O8Jza2bC0
三浦茜
数日だけ桜ケ丘高校にいた生徒
彼女は特殊な家庭で生まれ育ったらしい
紬「彼女の父親、傭兵なの」
律「またとんでもない家庭だな!」
紬「それで……その雇用先は私の家の取引先なの」
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 02:54:07.45 ID:O8Jza2bC0
澪「どうしてそこまで詳しいんだ?」
紬「元同級生が彼女を見たって言ってたらしくね、この町の行方不明者は不死者の組織に入った可能性があるから……」
澪「傭兵の娘だから彼女は監視から逃れる術に詳しかったのか……」
律「で、この子は?」
曜子「……もう逃げませんから離してください」
唯「ウチのクラスの佐々木曜子ちゃんだよ?」
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 02:59:43.44 ID:O8Jza2bC0
曜子「実は……澪さんじゃなくて私が爆発させていたんです」
澪「え!?」
律「どういうことだ!場合によっちゃあ……」
曜子「ひっ!わ、私の能力は他人の妄想を具現化する能力なんです……」
律「なんだその卑怯な能力は……」
曜子「これで澪さんを助けてあげてって言われて……」
紬「結局三浦茜の掌の上ってわけね……」
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 03:18:17.29 ID:O8Jza2bC0
唯「今回のことは黙っておいてあげるから、何かあったら私達に相談してね!」
曜子「……うん」
憂「無事に一件落着だったみたいだね」
唯「あ、憂!」
純「全く、周りの人に言い訳するの大変でしたよ……」
律「お疲れさん!」
澪「……ごめん」
曜子「あっ、私もごめんなさい」
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 03:20:53.93 ID:O8Jza2bC0
翌日、私達は揃って合格発表を見に行った
プチケーキの甘い味は、私達が掴み取った勝利の味だった
本命があるから私には甘すぎたかもしれないけど……
おわり
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 03:23:38.78 ID:O8Jza2bC0
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 03:28:37.89 ID:3QpDoWnNO
おちゅ
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 03:46:08.35 ID:8yVJQgKZ0
ここで三浦茜か
乙
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 03:49:54.65 ID:5EKjNPwc0
>>76 澪「イヴ・エクスプロージョン」と唯「イモート・エクスプロージョン」て繋がってるようには思えないんだが
やっぱり繋がってるの?
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/14(月) 05:24:03.27 ID:v5GJZL0sO
乙
お疲れ様、次も楽しみに待ってる
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
次は
唯「シスター・エクスプロージョン」
でお願いします