(´・ω・`)朝焼けディミヌエンドのようです

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149以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:11:10.82 ID:kje6NzyC0
支援
150以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:12:13.94 ID:JSkOSief0
考えても仕方なかった。相変わらず音は聴こえてくる。
泥棒だろうと犬だろうと、何かが侵入していることはたしかだ。
ショボンは部屋の中にある一番重く分厚い辞典を持ち、忍び足で近づいていった。

音の主人は壁の向こうにいる。聴こえてくる位置、間隔的に、動物ではなさそうだ。
人間だろう。ならばやはり、泥棒という線が濃い。ショボンは一度大きく息を吸い、
辞典を高く掲げ、意を決して飛び出した。

そこにいた人物が、驚いた様子でこちらへ振り向いた。

(;´・ω・`)「……おかえりなさい」

(;`・ω・´)「……うん」

とりあえず、辞典は背中に隠した――。
151以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:14:14.19 ID:JSkOSief0
(´・ω・`)「今日はずいぶん、早いね」

シャキンは曖昧な声で返事をしてきた。

シャキンと顔を合わせるのは久しぶりだった。Aが来てからは、一度も会っていない。
しかしAが来る以前はよく一緒にいたかというと、そういうわけでもない。

シャキンは夜遅く、ほとんどはショボンが眠ってから帰ってきていた。
そしてショボンが起きるよりも早く、会社へと出かけていった。
生活している跡だけが、家の中に残っていた。Aと同じだった。

どちらともなく椅子に座った。テーブルを挟んで、向かい合わせになる。
気まずい。ショボンは視線を別の場所へ向けた。

台所が視界に入る。そういえば何も食べてなかったと、ショボンは思い出した。
思い出した途端に、お腹が減ってきた。しかし、自分の分だけ作るのも気が引ける。

(´・ω・`)「あの、夕飯は?」

(`・ω・´)「いや、いい」

(´・ω・`)「そう……」
152以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:16:14.27 ID:JSkOSief0
シャキンがリモコンでテレビを点けた。
チャンネルが切り替わる。一往復して、情報番組のところで止まった。
老舗の和菓子店を取材している様子が、映し出されている。

商品はすべて手作りされているらしい。
八十は越えているであろう老婆が、煮詰まったあずきを掻き混ぜながら答えていた。
家族それぞれが自分の役割を担っている。

老婆は家庭が円満だからこそ成り立っているのだといって、わらった。
アナウンサーも、わざとらしく調子を合わせていた。

(`・ω・´)「……ショボン」

(´・ω・`)「なに?」

(`・ω・´)「その……勉強は、どうだ?」

(´・ω・`)「……うん、まあ、それなりに」

(`・ω・´)「そうか……」

会話が続かない。
153以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:18:13.37 ID:kje6NzyC0
支援
154以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:18:18.25 ID:JSkOSief0
テレビは和菓子店の取材から、今日一日のニュースをダイジェストでまとめた
放送に変わっていた。次第に暗くなり始めた室内に、テレビの明かりだけが
煌々と輝いている。ふたりともテレビを見た格好のまま、動こうとしない。

(´・ω・`)「父さん、来週の日曜日、暇、ない?」

シャキンは無言のまま、胸ポケットから手帳を取り出した。
紙をめくる小気味いい音が響き渡る。止まった。

(`・ω・´)「いや……」

シャキンが手帳を閉じ、しまうのを目で追った。
この話は、今ので打ち切られたようだった。忙しいのなら仕方ない。
仕事なのだから、仕方ない。

来週の日曜は、合唱の発表日だった。どうせ、うまくいくかもわからない。
155以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:18:54.47 ID:kje6NzyC0
支援
156以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:19:42.94 ID:BURwqto60
しえん
157以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:20:20.50 ID:JSkOSief0
(´・ω・`)「部屋、戻るね」

いいかげん暗さの増してきた部屋に、明かりを灯した。
テレビの光が、周囲の光量に溶け込んだ。シャキンはテレビを見続けている。
ショボンは部屋から出ようとした。

(`・ω・´)「ショボン」

呼び止められた。何事かとショボンは振り返る。
だがシャキンは、同じ姿勢のまま、長いこと沈黙していた。
シャキンはテレビから視線を動かさない。

(`・ω・´)「……体は、大丈夫か?」

ようやく吐き出された声からは、特に表立った感情を感じられなかった。

おそらく事故のことを聴いているのだろう。
シャキンは、ショボンの身の回りで起っていることを、何も知らない。
父はぼくが寝不足だったことも、Aに悩まされていることも、知らない、気づいてもいない。

直隠しにしているのだから、当り前だった。
158以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:22:20.23 ID:JSkOSief0
(´・ω・`)「うん、特に、なんとも」

部屋に戻った。開きっぱなしの携帯が目に入った。
ショボンはそのときになってようやく、デレのことを思い出した。

デレは無事に帰れただろうか。モララーなら滅多矢鱈に乱暴を働くことはないと思う。
しかしあのブーンは、目の血走った野良犬は、その限りではない。
モララーが躾けたといっても、はずみというものがある。

ショボンは携帯を手に取った。デレは今朝、メールを送ったといっていた。
何事もなければ、連絡が来ていてもおかしくない。
Aのメッセージを消し、受信ボックスを開いた。

『勝手に欠席するなんて、次期部長として許せません。明日は必ず来なさい。たっぷり叱ったげるからね。
 PS:変に気にすることなんてないよ。悪いのは全部、モララーなんだから』

新着欄の一番上に、デレからのメールが表示されていた。
ショボンは返信の為の文章を書きかけ、やめた。携帯を閉じる。
ベッドで寝そべっているアラマキくんを、見当付けずに放り投げた。


 
159以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:24:09.55 ID:kje6NzyC0
支援
160以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:24:20.60 ID:JSkOSief0


 
そろそろ、本当に気が狂いそうだった。

朝、眼が覚めると共に、アラマキくんが視界に映った。
投げ捨ててやる。ショボンは腕を伸ばした。
しかし、その手はアラマキくんへと届く前に中空で止まった。

(;´・ω・`)「ういぃっ! いっっつぅっ!」

激痛が走った。始めはそれが、どこからきた痛みなのかわからなかった。
全身の至る所が、神経を通じて悲鳴を上げているようだった。
振り上げた左腕に巻かれた包帯を見て、どこが原因だったのか気づけた。

へたくそによれて巻かれた包帯は、所々赤く滲んでいる。
隙間から、黒ずみへこんだ傷口が覗いていた。意識が遠のきそうになった。
今度は何なんだ。何をしてくれたんだ。

ショボンは起き上がった。携帯はすでに開いている。Aが開けたのだ。
今日ばかりは見過ごせない。何が書かれているか、確認しなければ気が済まなかった。
ショボンは乱暴にボタンを押した。

『退治した』

 書かれていたのは、それだけだった。


 
161以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:26:20.77 ID:JSkOSief0


 
授業中も休み時間も、気が気ではなかった。

突然に扉が開き、モララーがブーンを連れてやってくるのではないか。
隣の教室から、虎視眈々とこちらを狙っているのではないか。
モララーとはクラスが違う。確認できないという事実が、想像を逞しくした。

モララーの手下の臨時部員は、ショボンのクラスにもいる。彼らの存在も気になった。
普段は表立って対立することはない。お互いに干渉しないようにしている。
しかし今日に限って、彼らの視線がこちらへ向けられていた。

神経過敏になっている、というわけではなさそうだった。
ショボンの方から視線をよこすと、一瞬だけ視線が合い、
すぐさま逸らされた。それが三回ほど続いた。

見張られているようで、気味が悪かった。
モララーに言いつけられているのかもしれない。
逃げないように監視し、携帯で連絡を取り合っているのだ。

想像は悪い方向へ際限なく膨らんでいった。
だが、放課後まで何事もなく時間は過ぎていった。
162以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:27:02.97 ID:kje6NzyC0
しえん
163以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:27:44.01 ID:kje6NzyC0
支援
164以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:28:01.74 ID:cvwyKOI20
支援させて頂く
165以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:29:22.52 ID:XSw5PUIgO
支援!
166以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:30:21.61 ID:JSkOSief0
ζ(゚、゚*ζ「――最低限、メールくらいは返しなさい。いいわね?」

(;´・ω・`)「はい、すいませんでした」

部室へ入るやいなや、本当に説教されてしまった。
デレは一頻り怒ったらすっきりしたのか、ぐちぐちと話題をひきずることなく、
笑顔ですっぱりと打ち切った。ペニサスが苦笑いしているのが見えた。

渡辺とヒートもやってきた。ふたりとも、昨日ショボンが来なかったことについて、
とやかく尋ねてきたりはしなかった。ヒートは何か訊きたそうにしていたが、
どこかで踏みとどまっているようだった。

いつも通りの練習が始まる。何も事件は起らない。ショボンはときどき扉の方を見た。
廊下から足音が聴こえてくると、否応なく意識はそちらへ向った。
何事もなかった。不自然なまでに。

それにしても――。
167以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:33:22.71 ID:kje6NzyC0
支援
168以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:35:59.33 ID:8uipfRF0P
めっちゃ引き込まれる
169以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:42:25.10 ID:BURwqto60
続きが気になるね
170さるマジマブダチ:2011/01/26(水) 23:45:04.95 ID:JSkOSief0
从'ー'从「臨時部員の人たち、来ないね〜」

臨時部員の姿は、ひとりとしていなかった。
いつも事件を起す者がいないのだから、何か起るわけがなかった。不思議に思った。
モララーが何かを企んでいるにしても、ひとりやふたりは向わせると思うのだが。

ζ(゚、゚*ζ「来ないでいいよ。こっちのがのびのびできるもん」

デレは胸を張りながら答えた。
矮小な胸を突き出したその姿は、強がっているようにも見える。

しばらく五人で練習を続けた。円滑に、何の支障もなく練習できたのは久しぶりだった。
それでも五人では、どんなに声を出しても広い部屋内に空虚な隙間ができてしまった。

だからこそ、遠くから迫る異質な音すらも耳まで届いた。
171以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:45:53.22 ID:XSw5PUIgO
支援!!
172以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:46:55.97 ID:kje6NzyC0
この支援量でも…最近の猿はバケモノか…
173以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:47:06.07 ID:JSkOSief0
古い掃除機がノズルよりも大きなゴミを無理矢理吸い取ろうとしているかのような、
耳障りな音。硬いものが床とぶつかって響く、甲高い音。どちらも、よく、聴き覚えがある。

それらが人の足音と歩調を合わせ、徐々に、徐々に近づいてきた。
不協和音が巨大化する。そして――第二音楽室の扉が開いた。

確かめるまでもなかった。目を背けたかった。
そこには、モララーとブーンがいた。

( ・A・)「最後通告だ」

ブーンの曲がった鼻から、ぶぅんぶぅんという例の鼻息が漏れている。
垂れた涎が点々と、ショボンとの間隔を狭めてきた。

( ・A・)「合唱を、やめろ」

モララーは抑揚なく敵意を突きつけてきた。
雰囲気に圧倒されてか、だれも、デレでさえも口を挟めないでいる。
昨日のような展開はありえない。今度こそ、自分で解決しなければならないのだ。
174以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:49:06.51 ID:JSkOSief0
(;´ ω `)「ぼくは――」

歌をやめる。そういえるものなら、迷わずそういっていた。
痛い思いはしたくない。肉体的にも、精神的にも。人に嫌われるのは、苦痛だ。
それが友達なら、なおさらだった。それでも、答えは決まっていた。もう、何年も前から。

(´ ω `)「――歌い続けるよ」

モララーの顔が歪んだ。怒りのためではなかった。視界が、かつての光景と被った。

(  A )「……残念だ。残念だな、本当に。……行けぇ!」

叫び声がブーンの枷を取り払った。ブーンを止めるものは、もはやない。
ショボンは覚悟した。

これからあの牙が、ぼくの肉を突き破るのだろう。
それは左腕にある怪我よりも痛いに違いない。
だからといって逃げるわけにはいかなかった。これは当然の報いなのだ。罰だ――。

だが。
175以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:49:22.55 ID:BURwqto60
モンキーは消えな 支援
176以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:49:45.51 ID:kje6NzyC0
支援
177以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:50:57.52 ID:8uipfRF0P
ここがクライマックスか…?
178以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:51:06.63 ID:JSkOSief0
ブーンは鼻を鳴らすだけで、元の位置から一歩も動かなかった。耳と尻尾が垂れ下がり、
怪物じみていた表情はすっかり情けないものに変貌してしまっている。

( ・A・)「なにをやってる。さあ行け」

モララーに圧され、ブーンはようやく動き出した。
それもゆっくりとした動作で、とても襲い掛かってくるような気配はない。
ブーンがショボンの前までやってきた。

するとそのまま、転がった。ショボンでも知っている。
腹を丸出しにした、完全服従のポーズだった。

あまりのことに、だれも、何もしゃべらなかった。
しかし、これで終わりではなかった。
179以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:51:46.74 ID:kje6NzyC0
(U^ω^)…
180以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:53:06.63 ID:JSkOSief0
扉が勢いよく開いたかと思うと、ぞろぞろと臨時部員が入室してきた。
広々としていた教室が、みるみる人で埋まっていく。
臨時部員はショボンたち、そしてモララーを取り囲んだ。

そして、一斉に頭を下げた。

(;-_-)「すいませんモララーさん! ぼくたちに、合唱をさせてください!」

そういったのは、いつかショボンの前へやってきたヒッキーという一年生だった。
ヒッキーを先頭に、綺麗に並んだお辞儀が扇形に拡がっていた。
モララーはその様子を一瞥すると、天井に顔を向けて溜息をついた。

( ・A・)「……勝手にしろ」

モララーがお辞儀の列を抜け、去っていく。
その間も、臨時部員たちは微動だにせず頭を下げたままだった。
モララーが人の列を抜け切った。そこで一旦止まり、こちらへ振り返ってきた。
181以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:53:58.33 ID:8uipfRF0P
しかし音楽室に犬を連れてくる中学生を想像すると…どうしても微笑ましい
182以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:54:48.73 ID:IX2BMRHW0
地の文すっ飛ばして台詞だけ読んでたらさっぱりわからんww
183以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:55:06.92 ID:JSkOSief0
( ・∀・)「おい、お嬢様」

ζ(゚、゚;ζ「な、なによ」

デレも急展開の連続に思考がついていっていないのだろう。
お嬢様と呼ばれても、つっこもうともしなかった。

( ・∀・)「かばん、悪かったな。そのうち弁償するからな」

それだけいうと、モララーは今度こそ去っていった。
廊下に響く足音が、段々と遠ざかっていく。

(-_-)「ショボンさん、ぼく、あなたには負けませんから」

いつの間にか頭を上げていたヒッキーが、唐突に宣戦布告してきた。
何に負けないのか、何で勝とうというのか、さっぱりわからない。

足元では、ブーンが仰向けに転がっていた。


 
184以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:57:07.72 ID:JSkOSief0


 
入り口は左腕の怪我だった。ショボンは家に帰ってから、
ずれて意味をなくした包帯を完全にほどいた。黒く乾いた傷跡は、
四つのくぼんだ形をしていた。まるで、犬に噛まれた痕のように。

『退治した』。Aはそう書いていた。ブーンはショボンに服従して、
従順な飼い犬のように成り代わっていた。つい昨日までは、
鼻を鳴らし凶暴な面で襲い掛かってきたというのに。

昨日と今日の間に、何かがあったことは明白だった。
そしてそれは、“ブーンがショボンに懐く”という結果を
もたらす行動でなければならなかった。可能な人物は、限られていた。

臨時部員の変容も、異常だといえた。彼らはモララーに忠誠を誓っている。
事実、先の出来事のときも反旗を翻したわけではなく、歌わせてほしいと懇願しただけだ。
185以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:58:30.68 ID:XSw5PUIgO
しっえ
186以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:59:09.35 ID:JSkOSief0
今にして思えば、今日、教室でショボンを見ていたのも、
先の出来事を気にしてのことだったのだろう。冷静になって思い出すと、
彼らの視線は監視という強気なものではなかった。もっと戸惑いを含んだ、
それこそ、ショボンと同じ表情をしていた。

ではなぜ、彼らは急に歌いたいなどと言い出したのだろうか。
合唱を続けているうち、たのしさに気づいたのか。ひとりふたりならありえるかもしれない。
だが、全員が全員そんな理由だとは思えない。

それに、たのしいという理由だけで、あのモララーを裏切れるとは思えない。
何か、彼らにとってとてつもなく魅力的な条件を提示されたか、
あるいは破滅的な状況を回避する手段になるぐらいでないと、納得できそうにない。

つまり、だれかが臨時部員を懐柔したのだ。ショボンでは当然ない。
デレやペニサスといった、正規部員でもないだろう。
仮に彼女たちなら、もっと早くに行動していたはずだ。

他に合唱部の内情を知っている人物を探る。渋澤の名前が思い浮かぶが、
すぐに否定する。絶対にありえない。仮定する必要も感じないが、これも正規部員同様、
介入するならもっとはやく介入していただろう。
それに、こんな回りくどい方法を取る必要もない。
187以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/27(木) 00:00:19.95 ID:beKW93N10
渡辺やヒートが友人に頼んだという可能性を考えてみる。
ありえなくはないが、そこまで暇な人物がそういるだろうか。
臨時部員全員を懐柔するとなると、相当な時間が必要になる。
それこそ、夜通し行動しなければならないくらいに。

ショボンは携帯を開いた。方法や理由など、不可解な点は残っている。
しかしショボンには、他に思い当たる人物がいなかった。
すべての条件が、彼、あるいは彼女に向かっていた。 

(´・ω・`)「きみがやったことなの? きみは、いったいだれなの?」

九時を回り、視界が赤い、生命力のある色に覆われた。
ショボンは起き上がると、すぐさま携帯を確認した。

『ぼくは朝焼けのアラマキくん! きみの味方さ!』

思わず、ベッドに転がったアラマキくんを見てしまった。


 
188以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/27(木) 00:05:22.46 ID:beKW93N10
これにて序幕〜第一幕は終わり、本日の投下は終了しました

いや、真面目に支援ありがとうございました
まさかVIPのさるがここまで凶暴とは思わなかった

続きはまた明日(もう今日ですが)投下する予定ですが、
長さ的に今日と同じくらいになることを考慮して、避難所でやるかもしれません
時間的にちょっと、きついのです

とりあえず今日寝て起きてから、どっちに投下するか決めようと思います
重ね重ね、ありがとうございました

いやーほんと、さるこわい
189以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/27(木) 00:07:24.86 ID:ws3umWYcP
嘘…連載かよ…




面白かった。これから追わせてもらうぜ
190以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/27(木) 00:07:56.42 ID:NkKGyryV0
乙カレー
191以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/27(木) 00:11:29.76 ID:nwX/3SNq0
192以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/27(木) 00:13:38.81 ID:5/4apAWOO
連載か。楽しみが増えたぜ
乙乙!
193以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/27(木) 00:31:21.39 ID:YIqKq9tT0
乙です
なにが起こるかわからないスリルがある
194以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/27(木) 00:34:24.55 ID:nYqOpdV80
久々に期待
195以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/27(木) 01:39:42.90 ID:FbcnW+LVP
読むほ
196以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/27(木) 01:40:25.64 ID:nwX/3SNq0
いいね
197以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/27(木) 10:13:57.56 ID:uzw09ovx0
ふむ
198以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします