1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
夕方部室へ入ると黒髪の娘がしゃがみ込み、「怖い、怖い。」と震えている。
どうした?と聞くと虫がいるという。
指挿す方向を見ると小さな蜘蛛が窓に張り付いている。
ちり紙で包み屑箱に捨てる。
「始末したよ、ただの蜘蛛じゃないか、君は本当に小心者だなぁ。」
「ありがとう、虫は苦手なんだ。」とまだ不安げな表情で窓を見る。
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 17:06:04.64 ID:x3H4LjKQP
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 17:07:43.55 ID:o9VTcJ8SP
ヨロイモグラあずにゃん
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 17:11:59.59 ID:xKw2WHxKP
この小心者は澪という。
体型はスラッとして長く艶のある黒髪を持ち、端整な顔立ちで他生徒からも慕われている。
極端な小心者で照れ屋であるが、こと練習となるとたちまち厳しくなる。
そうしてるとガタンと大きな音を立てながら乱暴に扉を引き「来たぞ。」と言い放ち、
髪を上げ、
おデコを丸出しにした、やんちゃ坊主のような小柄な娘がドカっと椅子に座る。
澪を見て「どうしたんだ?」と聞くが「なんでもない。」と返される。
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 17:14:23.67 ID:xKw2WHxKP
「また何かに脅えていたんだろ?」
「うるさい。」
澪はこの律というおデコだけには強く当る、幼馴染みだからだ。
「お疲れ様。」と最後に入って来たのは紬だ。
紬は財閥の一人娘だ。
私達と同じ制服でありながら紬だけはどこか違うのだ、
全てを兼ね備えた容姿はもちろん、決定的に私達と違うのは気品?というやつだろうか。
誰が見てもいい所のお嬢様だ。
人当たりも良く、金持ちである事を鼻にかけない。
これが生粋のお嬢様という物なのだろう。
この四人で軽音部を始めた。
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 17:18:07.61 ID:xKw2WHxKP
そもそも私はクラブ活動などする気は無かったのだが幼馴染みが、
「君はこのままじゃ、ルンペンプロレタリアートになるぞ?」と脅してきたのだ。
クラブごときで大げさなと思ったがバツが悪く、
部員募集の掲示板でたまたま目にした軽音部に入る事にした。
なんの楽器が出来る訳でもなかった。
それどころか軽音部がどんな活動をするクラブなのかさえ知らなかったのだ。
単に四人集まらないとクラブとして成立せず人数合わせで入ったようなものだ。
おデコもいい加減な性格なので二人でサボってばかりで澪に怒鳴られてしまう。
しかも紬が毎日のように余ったと言って高級菓子を持ってくるものだから尚更である、
澪も菓子が好物なのでこの場だけは揃ってムシャムシャと食べている。
ふむ面白い
夏目漱石の奴に影響されてるだろw
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 17:24:11.11 ID:xKw2WHxKP
「おいしいなぁ。」
私のような貧乏人では一生口に入らなかったであろう高額な菓子だけあって皆至福の表情だ。
「いつも悪いな、ムギ。」
澪は必ず申し訳なさそうに呟く。
「いいのよ、どうせ腐らせるだけだもの。」
「こんなの腐らせたら罰が当るぜ?いくらでも持ってきてくれよ、食べ切れなかったら持って帰るからな。」
おデコの無神経な一言で澪と言い合いになる。
その様子を紬は微笑んで見ている。
私は彼女が真剣に怒ったり泣いたり感情を剥き出しにした姿を見た事が無い、いつも私達の前では微笑んでいる。
生まれた時から幸せな生活を送ってきた者の余裕なのだろう。
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 17:30:20.40 ID:xKw2WHxKP
菓子メインのクラブ活動が終り家に帰る。
いつも通り妹が先に帰っている。
ネギを刻みながら、お帰りとこれもいつもの光景だ。
両親がいない私達は国の保護を受けて生活している。
私は家事等が一切出来ない。
いや、やる気が無いので妹に全て任せっきりである。
妹は一言も不満を漏らさず黙々と家事をこなす。
そんな私がクラブなど入ったものだからますますバツが悪い。
菓子を食べ、遊んでるも同然の活動内容。
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 17:36:09.44 ID:xKw2WHxKP
妹も遊びたいだろうに中等部の頃からクラブどころか毎日急いで下校し食材等を買って帰るのだ。
二人分の朝食、昼食の弁当、夕食。休日には掃除洗濯の毎日。
それが終ると部屋に籠もり宿題、予習。
自由等ほとんど無い。
まるで下女のような扱いだ。
それを分かっていながら手伝おうともしない、
夕食が出来るまでギターを掻き鳴らす。
それでも笑顔。
私の前ではいつも笑顔なのだ。
私は甘える。
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 17:41:04.21 ID:+ersZ2qeO
ふむふむ
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 17:45:00.07 ID:xKw2WHxKP
憎まれ口の一つでも叩いてくれれば少しは変わるのかもしれない。
「憂。」
「なに?」
両親は何を考えて妹にこの名を付けたのだろうか。
名に反し憂い等見せる事の無い妹。
「いや、いい。」
「そう。」
笑顔。
澪はスラッとなんかしてないだろ
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 17:52:34.42 ID:xKw2WHxKP
数年前、軽音部に入ったはいいが担当のギターを買う金があるはずも無かった。
おデコが皆で日雇いで働きギターを買う足しにしようと持ちかけた。
皆、それに賛成してくれた。
それはあまりにも申し訳がないので断ったが、
クラブ存続の為だと言うので断り切れず世話になる事にした。
普段人を使う立場であるお嬢様にまでそんな事をさせてしまったのだ、
しかもそのお嬢様の顔利きで安価で手に入った。
自分でも呆れるが一応軽音部の形にはなった。
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 17:55:30.33 ID:S9rsAk4SO
なんか昔の文豪チックだなwwww
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 18:00:50.24 ID:xKw2WHxKP
夏に澪が合宿をしようと言い出した。
合宿と言ってもどこへ行くのか、私は電車賃でさえやっと払えるかどうか。
金が無いのはおデコも同じだ。
「父の別荘があるのでそこを借りましょう。」
私達はまたお嬢様に頼る事になった。
「冗談だろう?」とおデコ。
私も同じ事を思っていた。
私は遠い昔泊まった事のある民宿のような所を想像していたのだ。
別荘と言えど私の家がいくつ入るだろうか。
海辺の大きな西洋風の屋敷だ。
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 18:06:53.50 ID:xKw2WHxKP
澪は本当に使っていいのか?と恐縮する。
おデコなどはすっかり興奮してしまい泳ぐ準備を始めている。
「遊びに来たんじゃないんだぞ。」と澪。
「ここまで来て遊ばずにいられるかってんだ。」
また口喧嘩の始まりだ。
紬は見かねて「せっかくだから少しくらい楽しみましょう。」と澪をなだめる。
私は泳ぐ気にはなれず浜辺で皆を見ていた。
「泳がないの?」と紬が近づく。
「うん、泳ぐより見ている方がいいな。」
「そう。」と隣に腰を下ろす。
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 18:09:08.94 ID:61L+xihi0
しえん
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 18:12:14.82 ID:xKw2WHxKP
波打ち際で澪とおデコが笑いながら会話をしている。
「仲が良いのか悪いのか分からないな、あの二人。」
「仲が良いからあんなに喧嘩が出来るのよ。」
澪はおデコの母親役、おデコは澪にとってなんなのだろう。
臆病で照れ屋な澪が本気で感情を表すのはおデコにだけだ。
「私には幼馴染などいないから羨ましいわ。」
「いるんでしょう?」
「うん、いることはいるけど遠くに行っちゃったなぁ。」
「エリートなんだ、法律家にでもなるんじゃないかな。」
「幼馴染には変わり無いわ。」
「でもあの二人みたいにはなれなかったなぁ。」
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 18:17:12.46 ID:xKw2WHxKP
あの二人は性格は正反対、言動もまるで違う。
結びつけてる物が何かは解らない。
「そろそろ戻りましょう。」
館内に戻るもおデコが渋り演奏の練習にはならない。
澪は憤慨するが私もやる気が無かった。
そのくせ二人共、飯だけは人一倍ガツガツ食う。
滅多に口に出来無い牛肉など出されては仕方が無い。
入るだけ口に詰め込み犬のように汚い。
「なんて奴らだ。」と澪は呆れて言う。
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 18:20:08.88 ID:xKw2WHxKP
私はこの中ではおデコと一番気が合う。
だらし無い所やいい加減な所がそっくりだ。
大抵二人で列を乱してしまう。
話も合うし、どっちも飽きっぽく貧乏人。
類は友を呼ぶ。
駄目人間なのだ。
床につく。
澪とおデコは隣に並んで話をしている。
相変わらず喧嘩から普段通りに戻る境目が分からない。
おデコは疲れて眠りたがってるが澪が話を止めないようだ。
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 18:25:04.95 ID:xKw2WHxKP
私の隣には紬がいる。
「友達と泊まり込むのは初めてだったから楽しかったわ。」
「世話になってばっかりだったね。」
「私がした訳じゃないわ。」
「君は普段どんな生活をしてるの?」
「退屈。」
「退屈?」
「そうよ。」
「…前から聞いてみたかったんだけど、」
「大金持ちのお嬢様ってどんな気分?」
「分からないわ、物心ついた頃からそうだったから。」
「でも辛い事なんて無いんでしょう?」
「…泳いだから疲れちゃった、もう寝ましょう。」
最後の合宿が終った。
3
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 18:30:06.83 ID:xKw2WHxKP
季節は秋に変わったがいつもと同じ生活だ。
珍しくおデコが学校を二日も休んでいた。
澪に聞いても分からないという。
こんなものだから仕方無く担任に住所を聞いておデコの家に向かった。
よく考えると数年の付き合いになるが私は部の誰の家にも足を踏み入れた事が無い。
担任に貰った地図を手に数十分も歩いた所で酒屋から出て来るおデコを見つけた。
「なんだ、お前か。」
そんな言い草は無いだろうと思いながら
「なにしてるんだ?病気にでもなったのかと思ったぞ。」
「病気は病気でも金欠病だ、ところでどうしたんだ?」
「学校に来ないんで家に行こうとしたんだよ。」
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 18:35:22.03 ID:xKw2WHxKP
「今、家は駄目だ、向こうで話そう。」
私もなるべく家の中は見られたくはないので気持ちは分かった。
「なぜ学校に来ない。」
「ちょっと家がゴタついてな。」
「…そうか」
「唯。」
「ん?」
「学校辞める事になったよ。」
余りにも唐突なので返事が出来無い。
顔を上げおデコの目を見つめていた。
ふむ
「今まで行けてたのが不思議なくらいさ。」
「クラブも抜けさせてもらう、申し訳無い。」
「…これからどうするんだ?」
「さぁな。」
おデコが下を向いて呟く。
「唯、500円ほど貸してくれないか?」
「私も持ち合わせがないんだ、300円でいいか?」
「あぁ、すまんな。」
「貧乏人は辛いなぁ、唯。」
「…そうだな。」
「明日学校で皆に話して手続きして終わりだ。」
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 18:40:55.83 ID:+ersZ2qeO
おもちろい
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 18:48:13.11 ID:gS6cKVHF0
唯の口調がアレなのに見入っちゃうな
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 19:04:29.03 ID:S9rsAk4SO
面白い
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 19:34:12.73 ID:xKw2WHxKP
「辞めるにしても付き合いは出来るだろう?」
「疫病神みたいなもんだぞ。」
「…そう悪いばかりじゃないさ。」
おデコは失笑し
「じゃあこれで帰るよ、明日な。」
「…あぁ。」
おデコは背を向けて歩き出す。
私も溜息をつき立ち上がる。
「唯!」
おデコが振り返りながら叫んだ。
「運の悪い奴はな、とことん最後まで悪いんだよ。」
太宰治「 けいおん」
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 19:40:33.69 ID:oZBHt/VEO
泣けてきた
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 19:41:52.22 ID:+ersZ2qeO
りっちゃん…
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 19:42:09.60 ID:xKw2WHxKP
次の日、部室に入るとおデコと澪が口喧嘩をしている。
ハラハラしながら様子を見ている紬に訪ねると、
やはり辞める事で揉めているらしい。
いつもの喧嘩とは違う。
「まぁ、落ち着いて話そう。」
と澪を宥める。
「…もう話しても無駄だ。」
澪は泣き声でそう呟き、早足で帰ってしまった、紬がそれを追って出て行く。
私はおデコと下校する。
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 19:46:41.43 ID:xKw2WHxKP
「チクショウ。」
「おい、家に来い。」
「今日は泊まっていけ。」
「いきなりなんなんだ?」
「いいから来い。」
断れそうに無いので渋々とおデコについて行く。
おデコの家に行くのは初めてだ。
「入れ入れ。」
玄関に入ると私は呆然とした。
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 19:51:02.87 ID:xKw2WHxKP
まるで熊が暴れたかのように壁や家具が滅茶苦茶になっているのだ。
ふと横を見ると中等部くらいの男子が扉の隙間からこちらを見ていた、
目を合わせるとすぐに閉じてしまった。
台所もおデコが昇っている階段も見られたもんじゃない。
おデコの部屋に入ると女学生らしいものは何も無かった。
「驚いたか?」
「…うん、なんなんだあれは?」
「親父がやったのさ。」
「酒飲んでは暴れるんだ、お袋もとうとう家を出ちまった。」
「さっさとくたばればいいのに。」
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 19:56:40.42 ID:xKw2WHxKP
「お前はいいな、出来の良い妹がいて余計な奴もいない。」
無神経な言葉が癪に障ったが返す言葉が見つからない。
おデコは扉を開け叫んだ、さっきの男の子を呼んだようだ。
「弁当三つ買って来い、あとビールはツケでな。」
「弟か?」
「あぁ、あいつは学校に行かなくなってな。」
しばらくして弟が弁当とビールが入った紙袋を置いてまた下に戻って行った。
「飲め飲め。」
「毎日こうなのか?」
「何が?」
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 20:00:22.82 ID:+ersZ2qeO
荒れ荒れ
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 20:02:50.87 ID:xKw2WHxKP
「毎日酒飲んでるのか?」
「そうだよ、やってられるかよ、文句あるのか?」
さっきの仕返しをしてやろうとしてしまった。
「それじゃ親父さんと同じじゃないか?」
「なんだと?」
「君まで酒に溺れて駄目になってどうする。」
「こんな事じゃあ弟と一緒に破滅するだけだ。」
妹の事を考えると、自分はどの口が言えるのだろうと思いかけた後。
「優秀な妹に世話されて飼い犬みたいに生きてるお前に言われたくないよ。」
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 20:07:29.68 ID:+ersZ2qeO
言われちったwww
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 20:08:50.35 ID:xKw2WHxKP
仕返しなど止めておけば良かった、がもう後に引けない。
じゃあ勝手にしろと私は出て行こうと扉を開けようとした時、
「待てよ。」
「悪かったよ、せめて弁当食って行ってくれ。」
おデコはうつむき、元々小さな身体が更に小さく見えた。
私が鈍感なのか、おデコが悩んでいる素振りなど見た事が無い。
学校やクラブでの活発さは造り物だったのだろうか。
なぜ彼女は誰にも見られたく無いであろう現状を私に見せたのだろう。
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 20:15:14.87 ID:xKw2WHxKP
「なぁ、唯。」
「なんで私はこんな所へ生まれて来たんだろうな。」
「ムギみたいな家に生まれていたら幸せだったのかな。」
「たぶん…そうだろうね。」
世の中は不公平だ。
だがそれを言った所で何も変わりはしない。
いや、私はもう変わる事さえ諦めているのだ。
「澪はまだ怒ってるのかな…」
私は泊まる事なく夜遅くに家に帰った。
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 20:19:13.49 ID:+ersZ2qeO
落ち込んじゃうりっちゃん可愛い!
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 20:20:09.27 ID:xKw2WHxKP
次の日、部室には澪だけがいる。
澪は感傷的になってすまなかったと謝罪する。
おデコも気にしていた事を伝えると「そうか…」と床を見つめる。
澪は眠れなかったのか酷い隈を作りしんどそうにしている。
小刻みに震えているようだ。
調子が悪いのかと尋ねようとした時
「ちょっと。」と部室から出る。
便所に行ったようだ。
少しすると戻って来たが顔が先ほどより赤くなっている。
震えも無い。
私はハッとし聞いた。
寸爪F
寸卅F __
}卅{ /: : : : : : :`丶
|卅| , :´/:{: : : : : : :ヽ : ヽ
|卅| {: :/=ハ: :ヽ: : !: :} : : :i
≪|卅|== ∨{:/ \}\ト ; :|: :│
《 |卅| i: :ハ ^ ^∨:.|):.:|
l| |卅ト、_ |:.从 q /: :リ: :N
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{::::::::>《_人》:::<:ハ. ^ァy<) ∨_{/ }
}::i::::\YW:::/:i::} 〈《 \  ̄´ {
| :i::::::: \//::::i::| /二ニニ\_,, -< |
/:::i:::::::::::::o ::::::::i::| { |i *`ト-1 |
{::::;::::::::::::::::::::::::/i::| }j* *i{ / 池 j
/:|:/i::::::::::::::o:::::::::::i:| / ニニニニ/ 沼 ′
く:::j::::>=-、::o :::::::::i:| { { j/\ /
<>─┬i¬Ti>┘ rく人*、( ー─ァ<ヽ
 ̄ ̄ ̄ ̄´  ̄ ̄ ̄ ー──-ゝ-‐'┘
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 20:25:40.05 ID:xKw2WHxKP
「君はヒロポンをやってるのと違うか?」
澪は目を閉じ黙っている。
「私も数年前一度だけやった事があるが二日寝ずとも、なんともなく活気が溢れた。」
「その後凄まじい疲労感がありもう一度と躊躇ったが切りがないと止めたんだ。」
「あれは続けちゃいけない、廃人になる。」
澪は苦笑いの後、「そんな物やってないよ。」とイスに座った。
「それより律は大丈夫かな、昨日喧嘩したから訪ねに行き辛い。」
「律はああ見えて気が弱いんだ、昔から。」
「小さい頃は家から追い出されて弟を連れよく家に来てたもんだ。」
「優秀な妹に世話されて飼い犬みたいに生きてるお前に言われたくないよ。」
-ー──- 、
/:/::::::::|::::::l:::::::::ヽ
/::::/\/_:_ |:::.|∧::::.::::ヽ
/:::::::.{:::/ 八::| ヽ::::::::::i ブヒー (^oo^)
{:/::/::|::/⌒ヽ /⌒ヽヽ:.:::::::::}
/::/::::/ {_O ノ {_ O ノ ヽ::::::::::i
|:/::::/ し'(OO) し' /:::::::::::| ブヒー (^oo^)
|/:::::.{ r-〜ヽ /:::/:::.:ノ
|::∧:::\ {/__} /:::/::::::/
\/\::::>-rァt-ァ--/::/:::::ノ
(  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ) │
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し∪. ∪∪ しJ
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|:::」.ィ ┴――┴‐- L::::::::|
|´ : | , -‐ 、 ‐- 、| `T ト、 ありゃー
l: : : |{ じ じ }: : :V::::::} 優秀な妹に世話されて飼い犬みたいに生きてるお前に言われたくないよ
〃!: : | ー ー | i: : }_/
/ |:i ; | u ' jイ : ハ
l:ト、:ト . ^TTIト .イ/: /: :ヽ
| ヾ ィ>イl川´}∨∠ェー ´
_.. ヘ ヽ 川||/ ハー- ._
, ィ''´ } ンrtく { /ヽ
/ l 、\ {_/ |o| \_} / ,
{、 l >--\ |o| 、 ,′ 、
ハ_} / _二ヽ \ Ll V/ ヽ
{ / -- 、ン‐ヘ {i __}
に7 ‐ァ-一'’_¨二\二二¨ `Y⌒ヾ_-―‐ノ
// /ヽ、<´ ミ=三ゝ=ミ `>ノ ノ `ヽ |
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 20:27:49.40 ID:+ersZ2qeO
戦後すぐって感じだな
自殺未遂まだー?
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 20:30:52.11 ID:xKw2WHxKP
「昨日彼女の家に行ったんだ、初めて知った。」
「そうか… 酷い親父さんでさ、母親が逃げ出してからあいつは変わってしまったよ。」
「昔はもっと素直で優しい奴だったんだよ。」
「律は私がいないと駄目なんだ。」
逆だ、律がいないと駄目なのは君の方だ。
口には出す事が出来なかった。
その夜、律は自殺した。
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 20:31:55.84 ID:oZBHt/VEO
死んだ…
──────── 、
/´ ヾ ヽ丶
. /_ __ヾ ヽ
/: : /\i / : :: : : : : :ヽ
/: : : :/\/ __ノ (__ i : :_ |: : : : : : :
/:/: :.{: ::/ i : : | : : :|: : : :i
{:/: :/: :|: / /⌒ヽ /⌒ヽ ヽ::|: : : }: : :} : : |
. /: :/ : 八/ / } / O } 〉|: :/: : /: : .〈
/: :/: : : : / {_O ノ {_ ノ∧人:/: : /: : : :∧
| :/: : : : / しノ (O O) しし'/: : : : :/ :/ヽ: : : : |
|/: : : : :.{ r-〜く /: : : : :/:./ ノ : : |: :|
|: : : :/ :丶 |/ ', /: : : : :/: /Y: : : : :|: :|
| : : ∧: : : \ {/ } /: : : : :/: /: :|: : : : ハノ
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\:_:_|.:.:.:/./厶ヾ" /|_/|_:/:.:ヽ/
/YYY.:.:.:.:./.:ィ7ト、V.: /YYヽ.:.:.:.:.:.}
/\ /.:.:.:.:く〃 // }}'ゆ.:.{ /∨.:.:./
. /:.:.:.:.V.:.:.:.:.:.:.{{i // ノノ:い.:∨.:.:.:.:}.:.:/
ぉぅぃぇ
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 20:36:52.59 ID:oZBHt/VEO
www
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 20:37:40.89 ID:xKw2WHxKP
私はその事を朝学校で担任に聞いて初めて知った。
澪も紬もそうだ。
澪は放心状態で青ざめ魂が抜けたようになっていた、
その後倒れ病院へ運ばれた。
律は昨日の夜、寝ている父親の首を包丁で刺し殺し、その後自分の首を刺した。
後日彼女の親戚であろう人が通夜、葬儀を行った。
自宅にはまともな写真が無かったらしく遺影は担任が用意した入学式の写真。
棺は開けられる事が無く中の彼女を見る事が出来なかった。
紬は意外と気丈で涙を流さない。
いや、私と同じで実感が無いだけだろうか。
帰宅後慣れない酒を飲み過ぎ次の日の葬儀には出席できなかった。
「ごめんなぁ、こんな時までどうしようもないなぁ、私は。」
唯「あーう!まんまどこでつか?でてきてくだたい!("q")」
ここで一つ皆さんには思い出して頂きたい。唯は家を出る前料理(?)をしていたこと。
それを盛大にこぼし、ゲロまで吐いたこと。
その現場、台所にはそれらを食べにきた蟻やゴキブリが湧いていた。
幼少期唯はザリガニを捕食目的で獲っていた。今回の蟻やゴキブリも例外では無い。
唯「あー!ありたんとごきたん!いいこでつねー、いただきまつ!(^q^)/」
なんと醜い光景。唯はボリボリと、ピーナッツでも摘まむように蟲を手で掴み、口に運び、咀嚼して、呑み込んでいる。
唯「んまんま(^q^)/」
クチャクチャ
数分後、常人もとい健常者なら目を覆うほどの数の蟲を全て平らげてしまった。
唯「ごちとーたまでつ!♪(^q^)」
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 20:41:57.95 ID:xKw2WHxKP
部室、数年の馴染みがあるのに全く違う部屋に入ったみたいだ。
紬がこちらを向き少し微笑む。
「葬式に出なくて悪い事をした。」
「仕方無いわ、お茶煎れるわね。」
もう部で話が出来るのは紬しかいなくなった。
「一昨日彼女に泊まって行けと言われたのに帰ってしまったんだ。」
「あの時泊まっていたら変わったのかな。」
紬はついていた頬から手を離し
「変わらないと思うわ、三日や四日の出来事での結果ではなかったんでしょう?」
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 20:45:23.23 ID:xKw2WHxKP
「…だけど、」
「皆、駄目になってしまったな。」
「皆?あなたは駄目になったの?」
「駄目だよ、見れば分かるだろう。」
「私は駄目になんてなってないわよ?」
「自分が駄目なのを人のせいにしちゃいけないわ。」
頭に血が昇る。
「君はお嬢様だもんな、何不自由なく生きてきたんだ。」
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 20:48:04.26 ID:xKw2WHxKP
「あなたがこのままどんどん駄目になって死んだ誰かが救われると思うの?」
「綺麗事だよそれは。」
「金持ちには分からない。」
「お金があれば悩む事が無いとでも思ってるの?」
「あぁ、人間の悩みの九割は大金があれば解決するだろうよ。」
「律だって金があればあんな事にはならなかった。」
紬は溜息をつく。
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 20:52:20.96 ID:xKw2WHxKP
「そうかもしれないわね、それじゃこれで帰るわね。」
紬は鞄を持ち扉に向かう。
振り返り「この前聞かれた事を答えて無かったわね。」
「お嬢様もね、意外と辛いのよ。」
「普通の家では有り得ない苦労が山ほど出来るわ。」
「人間は悩みも辛さも無くしたいなら消えるしかないのよ。」
「さようなら。」
最後の一人の友達も失った。
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 20:57:13.89 ID:xKw2WHxKP
ちょっと中断しないといけなくなりました
戻るのがいつになるか分からないです すいません
まだこの話は長くなるので落ちたらまた立て直します
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 20:59:03.72 ID:oZBHt/VEO
唯ぼっち…
いつもは爆笑するけどこのスレでは笑えないな
そうかい待ってるよ
おもしろい
おもしろいんだけれども
なぜけいおんでやった
長くなることと落ちたら立て直すことに関係はあるの?
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 21:03:37.62 ID:Hppc6Xf/0
手法も展開も何番煎じだよと
製作でやれよ
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 21:54:09.93 ID:mirvKajn0
太宰の人間失格風か
これは新しい
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 22:34:39.32 ID:+ersZ2qeO
死人が出ると途端にやる気をなくす
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/02(日) 23:38:08.44 ID:ZF5SztUM0
うん
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/03(月) 00:01:02.49 ID:oswgbzl/0
たん
雲丹
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/03(月) 01:00:16.09 ID:oswgbzl/0
ほ
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/03(月) 02:28:02.71 ID:tx3hetpg0
す
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/03(月) 03:07:39.57 ID:36S5097F0
唯「恥の多い生涯を送って来ました」
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/03(月) 03:59:54.09 ID:oswgbzl/0
ほ
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/03(月) 06:13:00.50 ID:Q8Mo78lU0
h
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/03(月) 09:06:57.78 ID:tx3hetpg0
i
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/03(月) 10:13:53.24 ID:oswgbzl/0
r
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/03(月) 10:28:23.13 ID:YhJl4iK50
いつ戻ってくるかわからんのに保守するのは辛いな
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/03(月) 12:35:58.15 ID:Bjl0WvTn0
ほし
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/03(月) 14:20:33.58 ID:tx3hetpg0
の
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/03(月) 16:24:51.61 ID:Bjl0WvTn0
保守
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/03(月) 17:14:50.93 ID:z66Tqfzk0
ほ
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/03(月) 18:01:19.69 ID:oswgbzl/0
の
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/03(月) 19:26:17.91 ID:oswgbzl/0
る
ぎ
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/03(月) 21:01:37.92 ID:AiELpKXwP
ぽ
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/03(月) 21:33:36.66 ID:oswgbzl/0
げ
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/03(月) 22:00:14.38 ID:oswgbzl/0
ろ
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/03(月) 22:15:00.57 ID:AiELpKXwP
パソコン
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/03(月) 22:54:09.13 ID:oswgbzl/0
ぐ
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/03(月) 23:26:39.92 ID:oswgbzl/0
が
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/04(火) 00:23:15.16 ID:YYngMQu10
ん
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/04(火) 01:35:04.19 ID:YYngMQu10
の
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/04(火) 02:03:49.77 ID:YYngMQu10
まぁ、立て直すとか言ってた気がするし落としてもいいのかな?
とりあえず最後の保守
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: