「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」

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706笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2011/01/06(木) 21:44:37.40 ID:oCCaKHOc0
【上田明也の探偵倶楽部after.act15〜「私女だけど旦那の実家がわりとセレブだった」〜】

笛吹探偵事務所にある茜さんの部屋の中。
そこにある持ち運べるサイズの量子コンピュータ。
それは対都市伝説対近代兵器の仕掛けが施されたF-No.製作の一品である。
対戦車ライフルを受けても無事なそれの名前はエメラルドタブレット。
OSの名もまたエメラルドタブレット。
茜さんが自ら作ったセキュリティ、動作速度、他OSとの互換性、全てにおいて完璧なOSである。
ただしブラウザはネットに転がっていた都市伝説「オペラ最強伝説」を使用している。
というより契約しなくても高い性能を発揮している「オペラ最強伝説」の為にエメラルドタブレットが作られたと言っても良い。
なんせ「オペラ最強伝説」は性能こそ高いが普通の素材で出来たコンピュータはそれを使うだけで簡単に壊れてしまう。

「さーて、今日は大変だったなあ……。」

エメラルドタブレットの前に座る部屋の主。
上田茜、もしくは笛吹茜。
旧姓は暮地、暮地茜。
彼女は赤い部屋というネット発祥の都市伝説なので途轍もなくパソコンが好きだ。
一日中座っていても飽きない程に。
そんな彼女が入り浸っているサイトがある。
【仮面ライダーT倶楽部】
最近放送中の仮面ライダーTのファンサイトだ。
マイナーなサイトなのであまり人も来ておらず、ファン同士でまったりチャットができるので彼女はそのサイトがお気に入りだった。
そして彼女は今日もチャットルームに入る。

「ねーちゃん、入室っと。」
707笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2011/01/06(木) 21:47:32.88 ID:oCCaKHOc0
チャット画面がエメラルドタブレットの液晶に表示される。

ねーちゃん「おいすー」
イナズマ「ねーちゃんINしたおっおっ」
【イーヴィル】「こん^^」
R-O-R"「ねーちゃん働けーw」
ねーちゃん「お前らまた雑談してたのかとww」
イナズマ「働けーw」
R-O-R"「冗談じゃなくねーちゃんは働くべき、ブレイクダンス踊ってうpしてる場合じゃない」
イナズマ「今回の新曲の振り付けはマジ神だった、女性にあんなパワープレイは普通無理」
ねーちゃん「イナズマのリリックもグーなのよ。言ってなかったけど、就職したよ><」
【イーヴィル】「ちょっとほっぺつねってきますね」
イナズマ「えっ、うそ……」
R-O-R"「大喜びじゃん!彼氏さんも絶対喜ぶって!」
ねーちゃん「いや、就職と言っても彼の所に永久就職、みたいな……。」
【イーヴィル】「なん…だと…?」
ねーちゃん「子供も出来た、胎教は仮面ライダーTサウンドトラックでやってる。」
R-O-R"「……つまりこの前の動画って。」
ねーちゃん「うん、中に居たぽいね。」
イナズマ「旦那発狂ものだな。」
ねーちゃん「撮影したビデオは全力で隠した。」
【イーヴィル】「マジで洒落にならんぞ……。」
708笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2011/01/06(木) 21:49:42.36 ID:oCCaKHOc0
「まったく……、ねーちんはもっと親の自覚を持つべきっと。」

キーボードを叩くのは「組織」のE-No.0であるエーテル・エリオット。
彼のHNは「R-O-R"」、ちょっと違うが化学式のエーテルを意識している。

「しかし結婚ねえ……。上田の所を思い出させるな。」

彼は仕事の合間の息抜きにチャットを楽しんでいた。

ねーちゃん「今日は旦那が激辛麻婆豆腐を作ってくれます><」
イナズマ「冗談だよね?そんな刺激物作る訳無いよね?」
ねーちゃん「大好物だお」
【イーヴィル】「頼むから釣りだと言ってくれ」
ねーちゃん「昨日は酢豚だったお、私料理できないから作ってくれたお」

「しかも旦那の料理のレパートリーもそっくりじゃねえか。
 ねーちゃんマスクで顔隠して踊ってるから解らないんだよな。
 本人だったら面識0ではないから解るけど……」

ねーちゃん「旦那の友達のお医者さんにはオッケーもらってるってばw」
R-O-R"「信じて良いよね!?良いよね!?」
ねーちゃん「うむ、任せてくれ。」
イナズマ「……ねーちゃんの旦那ってどんな人なんだ?」
【イーヴィル】「ニートしてたねーちゃん養ってるんだから余程人間できてるんじゃね?」

「ああー、言われて見れば気になるかも。ねーちゃんがあの赤い部屋だったら本当に笑っちまうな。」

そう思ってエーテルは「身バレしない範囲で旦那との出会いとかkwsk」
709以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/06(木) 21:50:51.12 ID:LFZ6k63f0
支援
710笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2011/01/06(木) 21:51:37.21 ID:oCCaKHOc0
ねーちゃん「私がニートしてたら本当に偶々マンションの隣の部屋で、何時の間にか通ってくるようになった」
R-O-R"「すげえ偶然だwwwww」
イナズマ「その人居なかったらまだニートしてたのかよwwww」
ねーちゃん「今でも働いたら負けだと思ってる。」
【イーヴィル】「親来たノシ」
イナズマ「おっつー」
R-O-R"「ノシ」
ねーちゃん「ノシ、それで今日は旦那の実家行ってきました。お義母さん怖かった(´・ω・`)」
イナズマ「姑にいびられたとか?」
R-O-R"「まあ元ニートの嫁はなあ……。」
ねーちゃん「いや、そうじゃなくて。」
イナズマ「?」
ねーちゃん「お義母さんは良い人だった(`・ω・´)私の身の上話でわりとほろほろと泣いていたレベル」
R-O-R"「じゃあ何が怖かったの?」
ねーちゃん「いや双子でさ。同じ顔の人が二人いるって怖くね?」
イナズマ「質量を持った残像!?」
【イーヴィル】「親居なくなったよ!よ!」
ねーちゃん「おかー」
R-O-R"「おか>< 今度は仕事オチ」
イナズマ「オカノシ」
【イーヴィル】「ノシ」
ねーちゃん「ノシ」
ねーちゃん「とりあえず旦那の家行ってお義母さんに会った訳よ。」
ねーちゃん「まあお義父さんと違って至って普通の良い人だった。」
イナズマ「義父の方は酷いの?」
ねーちゃん「ああー、此処だけの話ひどい。」
【イーヴィル】「kwsk」
ねーちゃん「ええー、あのあれよ、紅の蓮丈パパンみたいな冷酷な感じ。」
711笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2011/01/06(木) 21:52:53.40 ID:oCCaKHOc0
イナズマ「何ソレ怖い」
ねーちゃん「旦那も重度のロリコンだし、家も和風で立派だし、マジで紅ワールド、金持ちって居るのね」
【イーヴィル】「もしかして旦那さんって腕から角出したり刃物の扱いが異様に上手かったりサイボーグだったりする?」
ねーちゃん「ねーよwでも中華料理は上手い、家に居た専属のコックさんが教えてくれたそうだ」
イナズマ「コックの居る家とかwwwww」
ねーちゃん「コックさんの娘だとか言う女中さんも居たぜ。私と違って美人だったwwww」
【イーヴィル】「ねーちゃんも美人だよw」
イナズマ「ねーちゃんチュッチュ」
ねーちゃん「やめてイナズマさん、あたし人の妻なんです><」
イナズマ「サーセンwwwww」
【イーヴィル】「なんてこったい、浮気現場を押さえちまった……」
ねーちゃん「どうか旦那には……」
【イーヴィル】「俺は幼女の頼みしか効かんぞ!」
イナズマ「イブたんぶれねえなw」
ねーちゃん「イブたんマジ犯罪者、ウチの旦那と話合うと思うよ。」
【イーヴィル】「ねーちゃんの旦那ロリコンなの!?つまりねーちゃんもロリ……じゃねえよな、脚長いし」
イナズマ「あの姫様スカートの下から脚が出てきた時は驚いた」
【イーヴィル】「ねーちゃんマジ美脚」
ねーちゃん「ほめるなよ^^最近体型が崩れてきて困る」
【イーヴィル】「しかしロリコンなら何故ねーちゃんと結婚したのか。」
ねーちゃん「そこはほら、……出来たから覚悟決めたんじゃねえかと」
イナズマ「ねーちゃん策士……」
ねーちゃん「浮気の回数が目に見えて減ったよ。」
【イーヴィル】「えっ」
イナズマ「おっと、悪い奴なんじゃねえか?」
ねーちゃん「其処以外は完璧人間なのよぅ、なんていうか放っておけないタイプ」
【イーヴィル】「それは良い人なのか悪い奴なのか解らないな……」
ねーちゃん「偶に小さい女の子で性欲発散しないときついって言ってた。」
712笛 ◇rpv9CinJLM (代理):2011/01/06(木) 21:53:49.84 ID:oCCaKHOc0
イナズマ「アウトオオオオオ!」
【イーヴィル】「わかり合えるのかも知れない。」
ねーちゃん「義父さんもなんか外で女作ってるって義母さんが言ってたのよね。浮気はきっと家系。」
【イーヴィル】「家系か!」
イナズマ「留まることを知らない性欲か」
ねーちゃん「スペック高い分代々短命に終わるからその前に子孫残そうとしてエロくなるとか言ってた」
【イーヴィル】「ジョースター!?」
イナズマ「いや、ジョースターは浮気しないからちょっと違う。」
ねーちゃん「とりあえずお前らライダーの話をすべき」
【イーヴィル】「そんな事言って、ねーちゃんが自分の旦那自慢したいくせに><」
イナズマ「自分語りには付き合うぜ。どうせ今日は暇だし」
ねーちゃん「お前ら優しいのな。」
R-O-R"「仕事\(^o^)/」

エーテルはチャットのログを見て気付く。

「うわ、これ絶対上田家だ……。」

ねーちゃん「おめ^^」
【イーヴィル】「おっつー」
イナズマ「乙カレー」

「恐らくなあ……、これ上田に伝えるべきなのか……?
 『ねーちゃん、もしかして旦那さんの仕事ってこれから送るメールの職業ですか?』っと」

探偵と打ち込んだメールを送る、ねーちゃんから帰ってきたメールを確認する。
こうしてエーテルの胃痛の種がまた一つ増えるのであった……。
【上田明也の探偵倶楽部after.act15〜「私女だけど旦那の実家がわりとセレブだった」〜fin】
713以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/06(木) 21:54:50.71 ID:LFZ6k63f0
そしてエーテルの胃痛が増えたwwww
エーテル苦労しすぎだろwwww
714歯車ズレる  ◆nBXmJajMvU :2011/01/06(木) 22:08:18.98 ID:oCCaKHOc0
 −−−げほげほと、咳き込んでいる声がした
 慌てて視線をやれば、ディランが大量に血を吐き出している
 骨が、内臓に刺さっているのかもしれない
 いかに都市伝説とはいえ、早く治療すべきだろう

 苦しむディランのその姿に……ニーナは一瞬、己の記憶に違和感を覚えた
 気のせいだ、と切り捨てようとするが…しかし、一度生まれた違和感は、そう簡単には消えてくれない


『またね、ニーナちゃん』


「………っ」

 脳裏に、記憶が蘇る
 己の記憶とは、矛盾した、記憶が


『うん、僕は大丈夫だけど………気をつけてね、バーナード。そのお仕事が終わったら、ニーナちゃんと、ゆっくり暮らすんでしょう?』


 …何故
 何故、この淫魔が、親しげに、祖父と話していた?


『あぁ、わかってる、気をつけるさ……お前が、辛いの我慢して話してくれた事、無駄にしたかぁねぇからな』


 何故、祖父は
 淫魔と、親しげに話しているのだ?
715歯車ズレる  ◆nBXmJajMvU :2011/01/06(木) 22:11:47.31 ID:oCCaKHOc0


 覚えのある記憶が、フラッシュバックする
 血塗れで倒れている祖父
 虫の息の祖父を、誰かが踏みつけている

 …違う
 自分が覚えている記憶と、違う

 血塗れの祖父
 それは、同じ
 だけれども

 祖父を
 踏みつけているのは
 誰??


「−−−−−−−−−−−っ!!」

 痛い
 痛い、痛い、痛い
 記憶の矛盾
 何かがおかしい

 しかし、それに気付けない
 気付きかけているけれど、思い出せない


 思い出したら
716歯車ズレる  ◆nBXmJajMvU :2011/01/06(木) 22:13:49.27 ID:oCCaKHOc0
 自分が、壊れてしまうような……


 いや
 もう、思い出しかけている
 祖父を踏みつけ、自分を見下してきていたの、は


「……う」
「ニーナ?」

 カタカタと、震え出したニーナ
 ウッドドック伝説が、小さな木の十字架へと戻る……ニーナの精神が、不安定になったせいだ

 カタカタ、カタカタと
 ニーナは己の頭を抱えて、震え続けている

 思い出しかけている、記憶を否定するように
 こんなものが真実であるはずがない、と否定するように

「…う、違うっ!違う、違う、違うっ!!そんな訳、ない、エイブラハム司祭様が………あんなこと、するはずないっ!!」
「………っ!!」

 エイブラハム
 その、名前に……吐血が一旦収まり、呼吸を整えていたディランが…びくり、と体を跳ねらせて、反応した
 だが、その反応は、ニーナの激しい変化の前に隠されてしまって

「いや、違う……嘘、嘘、嘘!!!そんな訳ないっ!!」
「……ニーナ!?」
717歯車ズレる  ◆nBXmJajMvU :2011/01/06(木) 22:16:03.88 ID:oCCaKHOc0
 蘇りかけた記憶を、否定するように
 蘇りかけた記憶から、逃げ出すように

 ニーナは叫び、路地裏を飛び出した




「……っと!?」

 突然、路地裏から飛び出してきた、小さな人影
 それにぶつかりそうになって、慌ててヘンリーは数歩、後ろに引いた
 続けて飛び出してきた黒い影が、小さな人影を追いかけていったのが、見えた

「…ニーナ?どうして、学校街に…?」

 その、小さな人影が
 自分が知っている少女であった事実に、首をかしげながら
 ヘンリーは、ニーナが飛び出してきた路地裏に、何気なく視線をやって…

 感じた、血の匂いに
 倒れている、その人に
 青ざめながら、慌てて駆け寄る

「ディランさん!?」
「先生!?……先生、どうしたの、先生っ!!」

 倒れているディランの傍らで、少女(ヘンリーの直感的に、100%乙女)が必死にディランに声をかけている
 ……だが、その声は、ディランに届いていないようで
718歯車ズレる  ◆nBXmJajMvU :2011/01/06(木) 22:19:03.51 ID:oCCaKHOc0
「………い」

 青ざめた、表情で
 小さく、血をはきながら……ディランは、何か、小さな声で呟いている

「……ごめんな、さい……」

 それは
 過去の傷を、抉られたような
 そんな、震えた。声

「御免なさい、御免なさい、御免なさい、御免なさい、御免なさい、御免なさい、御免なさい、御免なさい、御免なさい、御免なさい、御免なさい、御免なさい、御免なさい、御免なさい、御免なさい、御免なさい、御免なさい、御免なさい………」

 何度も、何度も、何度も、何度も、何度も
 まるで、壊れた人形のように
 ディランは、誰かに、何かに向かって
 謝罪の言葉を、繰り返し続けていた








to be … ?
719以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/06(木) 22:20:53.56 ID:oCCaKHOc0
三面鏡の人に焼き土下座orz
もうちょっと、事態を動かしてみた
ヘンリーが来たんで、ディランの怪我は大丈夫でしょう
ただ、ヘンリーが、ニーナが学校街に来てる事実を把握しちまいましたが
720目隠しするように  ◆nBXmJajMvU :2011/01/06(木) 22:29:46.50 ID:oCCaKHOc0
 どれだけ、走っただろうか
 それすらもわからないまま、ニーナは走っていた
 ただ、なるべく、人のいない方向へ方向へ、と進んでいたような気がする

「嘘、嘘、嘘……あんなの、嘘………っ、そんな訳、ない……っ」

 口から漏れ出すのは、否定の声
 違う、違う、と
 蘇りかける記憶を否定する

「嘘、違う……だって、エイブラハム司祭様は……私を、保護して、くれて………っ」

 脚がもつれ、転んでしまう
 気付けば、ずいぶんと人気のない場所に来てしまっていた
 周囲に、人影はない

「う……ぁ……」

 ぼろぼろ、ぼろぼろと、涙がこぼれ落ちる
 違う
 あんな光景が、事実であるはずがない

 ならば
 この記憶は、何なのだ?

 祖父は、あの淫魔に殺されたはずなのだ

 ジャア、ナゼ、ソフハアノインマトシタシゲニシテイタ?

 突然、あの淫魔がやってきて……自分に、襲い掛かってきて
721以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/06(木) 22:30:01.84 ID:LFZ6k63f0
乙でしたー
これはお互い大ダメージだなあ
722目隠しするように  ◆nBXmJajMvU :2011/01/06(木) 22:32:56.88 ID:oCCaKHOc0
 それから、祖父が、自分を庇ってくれて……そして、殺されたのだ

 チガウ、ソフハ、アノインマトソレヨリマエカラシリアイダッタ

 目の前で、祖父を殺されて
 怯えていた時に、エイブラハム司祭達が来てくれて……

 ホントウニ?
 ソレジャア、ソフヲフミツケテイタノハダレダ?


『−−−−−ッ踏まないで!!』


 あの、叫びを
 自分は、誰に向けたのだった?

「………ぅ」

 痛い、痛い、痛い、痛い、痛い……
 記憶が、這いずりあがってくる
 ズキズキと、なぜか、背中が痛んだ

 矛盾した、暖かな記憶
 それと一緒に、何か、別の記憶も這い上がってきて…

「………ぁ」

 涙を流し続けるニーナ
 その、目元に
723目隠しするように  ◆nBXmJajMvU :2011/01/06(木) 22:35:03.53 ID:oCCaKHOc0
 そっと……誰かの手が、当てられた



 ……追いついた!
 人の多い商店街を駆け抜けて行ったニーナ
 追いつくのに、若干、時間がかかってしまった

 星が、ニーナを見つけた時
 その、ニーナの傍に……ぶかぶかのローブを着て、長い杖を持った、長身の男の姿が、見えて

「っ!?」

 何者かは、わからない
 だが、ニーナの状況が状況だ
 星は走る速度を速める

「っ【ニーナから、離れ……】」
「忘れろ、思い出すな」

 ぼそり
 ローブを着た、その男は
 座り込んでいるニーナの傍らにしゃがみこみ…その目元を、手で覆っていた

「思い出せば、お前は壊れる。思い出すな。忘れろ。壊れたくなくば、その記憶、封じてしまえ」
「…………ぁ」

 ぷつん、と……糸の切れた、人形のように、ニーナが倒れこむ
 ローブの男は立ち上がり……駆けつけてきた星に気付いて、ニーナから距離をとる
724目隠しするように  ◆nBXmJajMvU :2011/01/06(木) 22:40:21.27 ID:oCCaKHOc0
 慌てて、星はニーナを抱き上げた
 …気を失っているようだ、外傷は、ない
 その頬は、涙でうっすら濡れていた

「…ニーナに、何をした?」
「何だよ。俺様、悪い事はしてないぞ」

 敵意をにじませる星の言葉に、ローブの男はむくれた表情をして見せた
 …何だか、ずいぶんと子供っぽい男だ

「俺様は、そいつが思い出したらヤバそうな事を、一旦忘れさせてやっただけだぞ?思い出したら、あの気に食わない野郎の思い通りになっちって…その餓鬼、壊れるぞ」

 あっさりと、残酷な事を言い放つ
 思い出せば、ニーナの心が壊れると
 まるで、確定しているかのように、男は言い切った

「そんな餓鬼、どうなろうと知ったこっちゃねーけど。そいつが壊れたらカインが悲しむから、俺様嫌だ」
「…どう言う事だ?」

 警戒はとかないまま、ニーナを抱きかかえる
 いつでも、攻撃できるように
 いつでも、ここから離脱できるように

「どういう事って、簡単だよ。そいつは、利用されてて、本当の事を思い出したら発狂する。俺様はそうなると不都合だから、そうならないようにしてやった。そいつを助けてやったんだぜ?」

 ありがたく思えよ、と
 けらけら、男は笑って
 ……直後、その姿は、漆黒の蝶の群れへと変わった
 ひらひら飛び回り、姿を消していく
725目隠しするように  ◇nBXmJajMvU(代理):2011/01/06(木) 22:47:19.43 ID:6oR4GTya0
「……助けた?よく言うよ」

 確かに、ニーナは助かったかもしれない
 …だが、一時的なものに過ぎない
 あの男がやった事は、ただ、その瞬間が訪れるのを遅らせただけに過ぎない
 根本的に、ニーナを救ったわけじゃ、ない

 小さく、寝息を立て始めたニーナ
 恐ろしい夢でも見ているのだろうか、小さく、震えて


 ……ぎゅう、と
 自分を抱き上げている星のスーツを、その小さな手でしっかりと握り締めたのだった






to be … ?
726目隠しするように(代理)◇nBXmJajMvU:2011/01/06(木) 22:47:43.47 ID:LFZ6k63f0
「……助けた?よく言うよ」

 確かに、ニーナは助かったかもしれない
 …だが、一時的なものに過ぎない
 あの男がやった事は、ただ、その瞬間が訪れるのを遅らせただけに過ぎない
 根本的に、ニーナを救ったわけじゃ、ない

 小さく、寝息を立て始めたニーナ
 恐ろしい夢でも見ているのだろうか、小さく、震えて


 ……ぎゅう、と
 自分を抱き上げている星のスーツを、その小さな手でしっかりと握り締めたのだった






to be … ?
727以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/06(木) 22:53:35.15 ID:6oR4GTya0
ありゃ、被ったかorz 申し訳ない・・・
728以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/06(木) 22:56:42.85 ID:LFZ6k63f0
おお、被ってしまった……
申し訳ないです
729首切魔を巡る物語。の人☆:2011/01/06(木) 23:01:30.12 ID:PGwOU15s0

書きながらだから、遅くなるかもだけどゆるしてくだせー
次、俺投稿しまーす
730以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/06(木) 23:01:48.10 ID:oCCaKHOc0
代理投下感謝です〜!

とりあえず、ニーナは(一時的に)どうにかなりました
ただし、後でどうなるかは知らん
731首切魔を巡る物語。の人☆:2011/01/06(木) 23:02:50.57 ID:PGwOU15s0
あ、目隠しするようにさん。乙でした!!
ニーナのこの後の展開楽しみにしてます!!
732以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/06(木) 23:03:14.57 ID:LFZ6k63f0
それにしても茜さん人間らしくなったなあ、契約の影響かね
そして星君はニーナちゃんにフラグか……
733以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/06(木) 23:04:29.05 ID:oCCaKHOc0
首切魔の人wktk支援体勢

ニーナは、生き延びればいいよね!!
734首切魔を巡る物語。の人☆:2011/01/06(木) 23:05:33.93 ID:PGwOU15s0
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???「はい、俺っす。はい、どうやらそんな感じっすね」

時刻はまだ昼の3時くらいだろうか
少し西側に傾きかけている太陽がビルとビルの間の道を照らす
どうやらそこはつい1時間ほど前にとある少年が蜘蛛に化けた女と戦った場所であるようだ

???「まだ強い霊気がのこってます。はい、どうやら風を使ったみたいで、はい。
今、キツネのやつに調べさせてます」

その道の真ん中に立って男が携帯で電話をしている
今にも倒れてしまいそうな青白い顔が特徴の男だ
体型はひょろっと長く、まるで棒のような印象がもてて、着ている服は
まるで喪中のような黒1色のスーツ、そして手には白い手袋をつけていた
735以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/06(木) 23:08:51.08 ID:oCCaKHOc0
しえしえ
736首切魔を巡る物語。の人☆:2011/01/06(木) 23:10:36.34 ID:PGwOU15s0
???「はい、わかりました。それでは、」

と、電話が終わったらしく、男は携帯を耳から離しポケットに入れる
それから振り返り、大声で叫ぶ。

???「おい!!キツネ!、聞いたか?」

すると、にょきっと地面から可愛らしい女の子の首がはえる
美少女であるだけにコンクリートの地面から首が生えてるのは
まるでそこに生首があるかのようで異質だった
いや、もう地面から首がはえてるので十分に異質だが

キツネ「きこえてる!大声で叫ぶな」

???「くひひひひ、でもようでもようでもよう!!
久しぶりの狩りだぜぇ!おら、わくわくしてきたぞぉ!!」

さっきとは人が変わったように大声で興奮したようにはなす黒服の男
それに対し不機嫌そうな顔でキツネは答える

キツネ「楽しくない!人を殺すのは嫌い」
737以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/06(木) 23:13:20.29 ID:oCCaKHOc0
美少女生首w
738首切魔を巡る物語。の人☆:2011/01/06(木) 23:15:50.67 ID:PGwOU15s0
首をぶんぶんと振るキツネ

???「くひひひひ、殺しはしないさ
相手が素直だったらなぁ…」

黒服の男の顔が不気味に歪む。

???「さあて、今回はどうなのかなぁ?
……っと時間だ。キツネ場所は?」

歪んだ男の顔が急に元の不幸せそうな顔にもどる
キツネは地面から、にょきっと体を全部だして答える。

「大丈夫!問題ない」

???「うし!じゃあいくか!
くひひひ、『組織』過激派、ラクヨウ。行くぜ」

キツネ「同じく!行くよ」

____________
遡る事1時間前
__________________
_______________________


俺「ふんふん、つまりお前ら都市伝説と契約すると。
契約者が力を持ったり、お前らの力がアップするわけだ」
739以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/06(木) 23:16:08.80 ID:oCCaKHOc0
しえしえ
740首切魔を巡る物語。の人☆:2011/01/06(木) 23:21:06.80 ID:PGwOU15s0
俺は凛から都市伝説についてレクチャーを受けていた
場所は蜘蛛女を倒した場所と同じで、とりあえずこっちにむかっているという
響と合流するためだ
あいつは携帯を持っていないので、連絡がとれないのだ

俺「にしては、俺自体はあまり変わってない感じがするんだがな」

凛「そりゃ、そうだろう。詳しいことはわからないんだけど
契約したばっかだからね、まだマスターにも能力が宿ってないんだろう」

ずいぶんと面倒くさい設定だ

俺「つーことは直に俺も風みたいになって
お前みたいにバヒュヒューンって敵を切り刻んだりできるってわけか?」

と俺が蜘蛛女の時の凛の戦いかたを思い浮かべながら話す

凛「さあ、どうだろうね
私もまだ契約なんてしたことないからさーマスターがどんな能力に目覚めるかなんて
わからねーよ」
741以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/06(木) 23:22:53.91 ID:oCCaKHOc0
しえええええん
742首切魔を巡る物語。の人☆:2011/01/06(木) 23:23:51.32 ID:PGwOU15s0
俺「ふーん」

ふんふん、都市伝説についてやっとすっきりしてきた感じだ


凛が急に詰め寄ってくる

凛「あ、あと。私は天狗を探すために契約したんだからね
勝手に自分の都合の良いように私をつかわないでよ!!」

何を言ってるんだろうこいつは?
もともとこいつが俺の命を拾うとか言い始めて了承しただけじゃないか

俺「わかってるよ
俺の命はあんたのものだ。一生、お前についていく、そうゆう約束だろ」

口だけじゃ信憑性が足りないと思ったので凛の手を握る。

俺「いまじゃ、頼りないかもしれないが、直にもっと強くなってみせるさ。
だから…俺の命、好きにつかってくれよな。」
ニコッ

あと、特別にとびっきりの笑顔を見せた
これだけやれば信じてもらえるだろう
と思って凛の顔を凝視していると
743以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/06(木) 23:24:20.41 ID:oCCaKHOc0
支援
744首切魔を巡る物語。の人☆:2011/01/06(木) 23:26:54.04 ID:PGwOU15s0
凛「な……なに……」

お、赤くなってきた
どうでもいいけどもともとが色白だから顔が赤くなったら本当に印象がかわるな
本当にどうでもいいけど

凛「なにいってんだ!お前は!?
そ、そんなことわかってるよ!!!」

俺「おわっ」

とドンと突き飛ばされた
腰を思い切りコンクリにぶつけた。
いててて、怒ってしまったのだろうか?
俺が腰を押さえてると

凛「ああ!?す、すまん!つい!」

と凛がいきなり慌て始めた。
怒ったり慌てたり一体なんなんだこいつは?

凛「ほ、ほらつかまれ。」

と凛が手をさしのばしたのでとりあえずその手をつかもうとすると

響「おにいちゃーーーーーーーん!!」

道の向こうから響がやってきた
745以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/06(木) 23:27:33.25 ID:oCCaKHOc0
やだこのツンデレ可愛い支援
746首切魔を巡る物語。の人☆:2011/01/06(木) 23:28:19.73 ID:PGwOU15s0
すまん。ぜんぜんすすまないから
今日はこれでやめます!
支援ありがとございました!!
747以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/06(木) 23:30:24.21 ID:6oR4GTya0
乙です〜
凛ちゃんかぁいいwwwwww
キツネちゃんも気になるぜ!
そして修羅場のヨカーン
748以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/06(木) 23:30:51.05 ID:oCCaKHOc0
乙でした〜!
おぉう、これは凛ちゃんと響ちゃんが対面するかな、wktkだ

じゃ、今から代理投下するね
749はないちもんめ ◇YdAUTYI0AY (代理):2011/01/06(木) 23:34:00.46 ID:oCCaKHOc0
「やっほー、大樹居る?」
「友美さん・・・」
ずかずかと上がり込んでみれば不安そうな大樹の顔
「その様子だと、感付いてるみたいだね?」
「望の身に・・・何かあったのですね?」
「ご名答、K-0が動き始めた
 そして、望は・・・奴等に攫われた」
「・・・何の為に?」
「あれ?意外と冷せ「早くしてください」・・・でも無さそうだね
 さぁ?望をどう利用するのかまでは私も知らないよ
 ただ、娘だからってのが理由とも思えないけど・・・」
「今、なんと?」
「娘だからってのが理由とは思えないけど?」
「待ってください、どういう事ですか!?」
あれ?驚いてる?
「・・・もしかして母さんから聞いてなかった?
 望の本当の父親はK-0だよ」
それを聞いた瞬間大樹は部屋から飛び出そうとする
「待てぃ」
それを友也が押さえつけた
「落ち着きなよ、今アンタが慌てふためいてもどうにもならないでしょ?
 大樹、翼は?」
「・・・まだ帰ってきてませんが」
あの役立たず肝心な時に・・・仕方ない
750はないちもんめ ◇YdAUTYI0AY(代理):2011/01/06(木) 23:40:45.33 ID:6oR4GTya0
「大樹、アンタ影守の家わかる?」
「それは知ってますが・・・」
「なら、今すぐ影守の所へ向かえ
 護衛には友也を付ける
 詩織」
「描写されてなかったけど最初から居るよー」
「アンタは私と一緒に行動な・・・そろそろ時間も無くなって来る頃だ」
さて、と
「大樹、今の内に聞いておきたい事はある?
 答えられる範囲でなら答えてあげるけど?」

続く?
751赤い幼星 † 幼魔と幼子と雪姫と  ◆7aVqGFchwM :2011/01/07(金) 00:19:05.18 ID:ZTuZbuoo0
(ライサ>お姉様〜! 次はね、次はねー♪
(レクイエム>おいおい、そんなにはしゃいでると危ないぞ?

既に日も落ちかけてきた、学校町のとある公園
そこに、ベンチに座る白髪の少女――レクイエムと、青髪の幼女――ライサがいた
ライサが無邪気に走り回る姿を、レクイエムは微笑ましく眺めていた

(レクイエム>(ふっ・・・数日前まで、他人のことなど全く気にもかけていなかったのに・・・
        ・・・・ダメだ、こんなことを考えているとあいつのことが頭から離れないっ!?
        落ち着けレクイエム・リッケンバッカー、忘れろ、忘れろ・・・)
(ライサ>お姉様ぁ〜?
(レクイエム>忘れ・・・・・・ん?
(ライサ>ブランコやりたいから手伝ってー♪
(レクイエム>あぁ分かった、今行く

また微笑みながら、彼女は立ち上がり、ライサの元へ行く
ライサも、楽しそうにスキップしながら、ブランコに向かう
丁度、ライサが自動販売機の前を通りかかった時だった

バッ!!と、フード付きの服を着た男が、斧を構えて自動販売機の下の隙間から飛び出した―――「下男」だ
下男の狙いは、目の前にいる青い髪の幼女

(ライサ>きゃっ―――――――
(レクイエム>ライサぁ!!

レクイエムは胸の谷間に手を入れ、小ビンを掴み取った


瞬間、
ひゅうっ、と冷たい風が吹いた
752赤い幼星 † 幼魔と幼子と雪姫と  ◆7aVqGFchwM :2011/01/07(金) 00:21:06.27 ID:ZTuZbuoo0
(ライサ>・・・・・・・・・あ、あれ?

縮こまってびくびくと涙目になって震えていたライサが顔を上げると、
そこには氷付けになった下男が地に伏していた

(レクイエム>ライサ! 怪我は無いか!?
(ライサ>ぁ・・・お姉様ぁ!!

傍に駆け寄ってきたレクイエムに、泣きながらひしとしがみ付くライサ

(レクイエム>すまない・・・もう、怖くないからな・・・
       しかし、これは・・・R-No.8か?
(少女>あ、あの・・・大丈夫ですか?

ふと、少女の声がして、レクイエムは声のする方を見る
青い着物を着た中学生くらいの少女と、20代前後の青年がそこにいた

(レクイエム>(この娘・・・都市伝説か? それにこの冷気は・・・)
(青年>よかった、どうやら無事みたいだな
(レクイエム>貴様等が助けてくれたのか・・・恩に着る
       是非、礼をしたいところだが・・・
(青年>いや、礼なんていいよ
(少女>そうですよ、困った時はお互い様、ですから

少女の言葉に頷く青年
しかし、彼の目が終始レクイエムの胸に視線が行っていたのは気の所為だろうか
753赤い幼星 † 幼魔と幼子と雪姫と  ◆7aVqGFchwM :2011/01/07(金) 00:23:25.18 ID:ZTuZbuoo0
それはともかく
気をつけて、と言葉を残すと、2人は公園から立ち去ろうとした
止めるように、レクイエムは2人を呼び止めた

(レクイエム>待て! せめて、名前だけでも教えてくれないか?

ちら、と少女と青年は互いに視線を交わし、

(青年>俺は、白峰 徹
(少女>私はユキと申します
(レクイエム>私はレクイエム・リッケンバッカー・・・貴様等への恩、必ず忘れはしない

ぱしゃり、と2人の画像を撮った後、彼女はライサを抱き上げて公園から忽然と消えた


この出会いが、後の彼女達にどう影響するのかは、誰も知らない・・・


   ...To be Continued
754以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/07(金) 00:27:01.14 ID:ZTuZbuoo0
犬神憑きと怪人アンサーの人に焼き土下座orz
宣言通り、レクイエム達と会わせちゃいました
台詞とか合ってるかどうか超心配ですorz
あと、徹くんは胸に興味をお持ちだということであんなシーン書いちゃったの(氷付けにされました

ちなみに、写真撮ったのは「ヒエロニムスマシン」の能力で写真の人物の所在や健康状態が分かるからだぜ
755以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
シャドーマンの人様乙ですー
やったー!かぁいい幼女達と出会えたー!
台詞等、問題ないですよー