男「クリスマスか……」女「はい、クリスマスですよ」
1 :
代理:
2 :
-----------v-----------------:2010/12/25(土) 19:32:51.75 ID:CjkvBCCp0
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| |:: |:::: | ∠二二l┌━━┷┐
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おわり
そろそろお前の役目は終わりそうだな。
女(……誰ですか?)
何だ?忘れてしまったのか?
女(忘れた……?私は、何を忘れたんですか?)
何かイレギュラーな事でも発生したのかな。まあいいか。
女(どういう事なんですか!?私は何を忘れてるんですか!?)
すぐに思い出す。だから、少しの間待っておけ。
………………………………………………………………………………………………
4 :
>>1マジサンクス! これで完結できる!! そして鳥間違えた ◆1IahjnNtgQ :2010/12/25(土) 19:50:32.71 ID:Wg/aVi6b0
――十二月二十五日 二十時
男「女さん、起きないなぁ……」
男(どうしたんだろ。普通に寝てるようにしか見えないけど、何かあったのかな……)
男(……まさか、クリスマスが終わろうとしてるから、消えかかってるとか!?)
男(有り得る。というか、こんな非日常な事が起こったんだ。何が起きてもおかしくなんかない)
男(もし消えるとするなら、どうしよう……)
男(俺のできる事……それってなんだろ……)
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 20:09:20.51 ID:Wg/aVi6b0
男(俺が出来る事なんて、たかが知れている……。その中で俺が出来ることといえば――)
男「楽しませる事くらい、だよな……」
男(逆に言えば、それ位しか出来ない……)
男(無力がこんなにも歯痒いなんて、初めてだ。今まで何も思わなかったのにな……。恋は人を狂わせるってのは本当みたいだ……)
男(……さて、時間も遅いけど行ってくるか!)
……………………………………………………………………………………………………………………………………………………
――コンビニ
男(スーパーとかに行くと時間がかかるからここになったけど、あるのかな……)
店員「いらっさっせー」
店員(あ。あん時の美少女を連れてた彼氏。……なんで一人なんだ?)
男「お、あったあった。なら、あとは……」ブツブツ
店員(……こんな時間にケーキを見てどうするんだ?時間的にはぴったりだろうけど、ちょっと無計画すぎんだろ)
店員(……………………………………………………クリスマスなのに働いてる俺が言っても仕方ねーか)
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 20:21:39.42 ID:Wg/aVi6b0
〜♪
店員「――あ、いらっしゃいま……どうしたんだ?」
少女「何。雪がチラッと降ってきたからね。君と一緒に見たいと思ってここまで足を運んできたんだ。ついでに冷えた身体も温めれるから一石二鳥だろう?」
店員「まあそりゃそうだが、一人とはいえお客さんが居るんだから迷惑になるような事をするな」ヒソ
少女「……随分と僕は信用されていないようだね。それとも、僕は見ず知らずの人に迷惑を掛けるような人に見えるのかい?」
店員「今現在進行形でしてるだろうが。店員がくっちゃべってたらお客さんからのイメージが悪いっつーの……」ヒソ
少女「その点なら問題ないよ」
店員「……一応聞いておこう」
少女「なに。簡単な事さ」トコトコ
男(これって酒っぽく見えるけどこんな所に陳列して大丈夫なのか……?ああ、ちゃんとジュースって書いてる)
少女「やあ、昨日ぶりだね」
男「――ん、あれ?昨日の不思議な人さん」
少女「……随分な呼び方じゃないか。僕はそんなに珍妙かな?」
男「あ!いえ、その……すいません」
少女「まあ、昨日のお陰で今日は客足が良かったからね。それで許してあげようじゃないか」
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 20:33:54.16 ID:Wg/aVi6b0
少女「とまあ、こういう事さ」クルッ
男「?」
店員「いや、全然解決してねーよ……まあいいか」スタスタ
男「えっと……同居人さんですか?」
店員「ええ、そうです。昨日はこいつがお世話になったようで、ありがとうございました」
男「いえいえ、俺は特別何かした訳じゃ……それどころか、こんな綺麗な物をくれたのでお世話になったのは俺の方ですよ」
少女「ところで、これからパーティをするような物ばかり選んでいるが、彼女さんの為にかな?」
男「あ……えっと、そんな所です」
店員(やっぱ彼女か……)
少女「何を残念がってるのかな?僕というものがありながら失礼じゃないか?」
店員「……なんの事だ」
少女「顔を見れば分かるよ。それとも、僕が分からないとでも思ってるのかい?」
店員「ち」
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 20:53:16.26 ID:Wg/aVi6b0
少女「それに……昨日は二人であんなに激しくしたじゃないか……」モジモジ
男「…………」
店員「おい止めろ馬鹿。どう考えても誤解されるような発言をすんな。ただ単にイヴのパーリィしただけだろうが」
少女「なに。イタズラ心というものが芽生えてね。さっきのお仕置きだよ」
店員「心臓に悪いわ!」
男「な、仲が宜しいようで……」
少女「君達も相当に仲が良いように見えたよ。正直、羨ましくなるくらいのものだったね」
少女「そうそう、もうキスやその次の事はしたのかい?」
男「ぶふぉう!!?」
店員「てめえいきなり何クソ笑えねえもんを真面目な面で聞いてんだ!!すいませんすいません!許してください!!てめえも謝れ!!」
少女「いや、これはかなり真剣に聞いているよ。こんなに胸がざわついたのは久し振りだからね」
店員「……あれか」
男「え、えーと……一体どういう事なんですか?」
少女「僕は危険や息災が僅かながら予知できるという変な特技があってね。それが君から感じられたんだよ」
男「は、はぁ……」
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 21:01:57.35 ID:f4a658/20
待ってた、けど。少女なんていたっけか
10 :
>>9店主にすると店員と一緒に会話に加わることになるから変更しました:2010/12/25(土) 21:09:18.47 ID:Wg/aVi6b0
少女「信じられないとは思うが、近い内に君達は何かしら辛い事が起きる。だから、それまでの間にやりたい事はきっちりとやっておくと良い」
男「それは信じるとして……なぜキスとかの話になったんですか?」
少女「そこは女の勘かな。彼女はきっと待っていると思うよ」
男「……そうですか」
少女「さて、そろそろ帰る方が良いかもしれないね。彼女さんを大切に、ね」
…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………
店員「ありがとうございました」
少女「……ふむ。もう一つ言わなければならない事があるようだ」
男「はい?」
少女「帰る時は最短のルートを通らず、ここから三つ目……いや、二つ目の信号から迂回して帰ると良い。それと、何が起きても足を止めずに帰る事だ。」
少女「これは注意ではなく、警告だよ」
男「……はい」
〜♪
少女「…………」
店員「…………」
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 21:22:53.31 ID:Wg/aVi6b0
店員「……お前は出来る限りの事をした」ポン
少女「……何を言ってるのかな?頭に手を乗せるなんて、君らしくないじゃないか」
店員「そんな辛そうな顔をしてたら、こうするに決まってるだろ」
店員「何はともあれ、あれ以上の事はお前にはできねえよ。後者はともかく、前者のはどうしようもない事なんだろ?」
少女「…………」
店員「……ほら、胸貸してやるからいくらでも泣け」ギュ
少女「――――ぅ、あ……ひっく……。君、は……ずるい、人だ――うあぁ……」
店員「本当に……変な風に頑固だよなお前って」
……………………………………………………………………………………………………………………………………
男(二つ目の信号から迂回して……か)
男(何かあるのかなんて知らないけど、とりあえず言う事を聞いておくか)
男(…………………………………………………………………………………………?)
男(何か、悲鳴が聴こえたような?なんだろう――)
少女『何が起きても足を止めずに帰る事だ』
男(……いや、帰ろう)
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 21:28:57.90 ID:NkayOyI90
おお!
待ってた
期待
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 21:33:31.93 ID:Wg/aVi6b0
――男宅
ガチャ――。
男「ただいまー」バタン
…………。
男(まだ起きてないのか……)スタスタ
男「――――!」
女「…………」ボー
男「女さん!」
女「…………あ」
男「良かった、起きたんだね!」
女「……え、私……?――――!!」
女「今!!今は何日の何時ですか!?」
男「え……今は夜の九時半過ぎだけど……二十五日の」
女「もうそんなに……」
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 21:33:51.30 ID:f4a658/20
それはいいけどさ
あの店主がこんな少女になったと考えると、なんか
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 21:56:16.14 ID:Wg/aVi6b0
男「女さん、どうしたの?」
女「……………………………………………………」
男「…………?」
女「………………………………………………………………思い出したんです、全部」
女「私がここに居る理由――私が生まれた理由――私の存在している理由が……」
男「女さん……?」
女「私は、強い想いが集まって生まれた存在です。……厳密には人間ではない、という事になりますね」
女「神様や創造主、と言えば分かりやすいでしょうか。そのような存在がありまして、それに届いた願いが反映されるんです」
女「詳細は分かりませんが、クリスマスとイヴの日に強力な呪いとも呼べる程の願いが私を創り出した原因の一つでしょう」
女「なぜこの二日だけ桁違いなのかは分からないです。むしろお正月とかの方が強い願いが集まりそうなんですけれど……」
男(本当に呪いかもね……特に俺みたいな非リア充なら……)
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 22:11:01.47 ID:C4Drtyzr0
おっさんが少女にクラスチェンジか
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 22:43:57.65 ID:f4a658/20
どうした
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 22:45:18.84 ID:Wg/aVi6b0
女「さらに不思議な事に、私の使命は『男さんとイヴとクリスマスの二日間一緒に居る』というものでした」
女「なぜ、この二日間なのか……もっと長くても――いえ、ずっと一緒に居てもいいのに……」
『クリスマスにデートすることになってしまう強力な呪いがかかるからくれぐれも気をつけろ』
男「…………」
女「私は……ずっと一緒に居たかったです……」
男「……俺も、一緒に居たいって思ってる」
女「……男さん。私は男さんに何かしてあげたいです。消える前に、何か……」
少女『そうそう、もうキスやその次の事はしたのかい?』
男「…………」
少女『それまでの間にやりたい事はきっちりとやっておくと良い』
男「……女さん」
女「はい……」
男「今日が最後ならさ――」
男「思いっきり楽しもう?ほら、パーティとかしてさ」ガサッ
19 :
>>17すまん。ちょっとリアル用事で席外してた。 追記:リア充爆発しろ:2010/12/25(土) 22:56:31.54 ID:Wg/aVi6b0
男「嫌な事とか全部忘れちゃうくらいにさ」
女「……えへ。はいっ!」
男「よっし!じゃあまずはケーキとか食べようケーキ!」
女「いきなりメインに走りますか……」
女(ちょっとだけ、期待していたんですけどね……でも)
男「うわー……甘そう……いかん涎が――」
女(こういうのも、充分楽しいですよね♪)
男「女さん、どうしたの?」
女「いえ、なんでもないですよっ」
女(私の悩みとか、全部掻き消してくれる。だから、私はこう答えれるんです)
女「お皿持ってきますね」
男「あ、いやいいよ」
女「?」
男「……昨日のパフェみたいに一緒に食べよう?」
女「!……はいっ!」
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 23:07:50.90 ID:Wg/aVi6b0
男「はい、女さんどうぞ」
女「はいっ――んくっ」モクモク
女「〜〜〜〜〜〜っ♪」
男「女さんって甘いものが好きだよね」
女「はい!大好きです!」
女「でも、これだけ美味しく食べれるのは、男さんが居るからですよ?」
男「は、恥ずかしいなそれ……」
女「えへへー」
……………………………………………………………………………………
男「さあ、罰ゲームで五つを一口で食べてもらおうか」
女「…………っ」パクッ
女「に゙ゃあ゙ぁああ!!?!辛い!!!辛いのです!!!ジュース!ジュース!!」ゴクゴク
男「あ、それ炭酸……」
女「〜〜〜〜〜〜っっ!!?!?!」プルプル
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 23:19:45.65 ID:Wg/aVi6b0
男「…………」ドキドキ
カチ――ビヨーン
男「黒髭ぇぇぇええ!!!」
女「はい、十二本刺さってるので十二回空気を入れてくださいね」
男「もう爆発しそうなくらい膨れてるよねこの風船……」
シュ……シュ……シュ……シュ……シュ……シ――バァンッ!!
男「ぎやああっ!!」
女「やったーっ♪」
…………………………………………………………………………
女「はぅー……一通り遊び終わりましたね」
男「ソ、ソウダネ……フーセンコワイフーセンコワイフーセンコワイ」
女「……あと一時間もしない内に日付が変わりますね」
男「……そうだね」
女「あ、そうだ。最後に行きたい場所があるんですけど」
男「うん?」
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 23:31:26.73 ID:Wg/aVi6b0
――町を見渡せる高台
女「やっぱりここから見る町って綺麗ですよねー」
男「うん……綺麗だって思えるようになった」
女「あれ、前は思ってなかったんですか?」
男「前にも言ったと思うけど、生きる理由が俺には無かったんだ」
男「金だけあって親も友人も知人も居ない俺は、ずっとあの部屋で引き篭もってた。それで、ただなんとなくで生きてた」
男「どうでも良かったんだよね、何もかも。だけど、女さんが来てからそれが崩れた」
男「楽しいっても思ったし、ご飯とかも美味しいって思えた。――何より、初めて人を好きになった」
男「たった一日で好きになるなんてありえないって今まで思ってたけど、実際に好きになれた」
男「なんで好きになったかなんて分からない。たぶん、好きになったから好きになったんだと思う」
女「……好きになったから好き、ですか?」
男「そ。理屈や理由なんて無いよ。言葉通り、好きだから好きなんだ」
女「……その気持ち、なんとなくですが分かります」
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 23:37:26.46 ID:eG7mvCnD0
前スレのまとめないの?
話が分からん
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 23:37:51.04 ID:Wg/aVi6b0
女「私も男さんが好きですけど、それの理由は?って聞かれたらちょっと悩んじゃいます」
女「男さんは優しくて、どこの誰かも分からない私に良くしてくれて、そして私の悩みとかを全部吹き飛ばしてくれちゃいます」
女「でも、それで好きになったかって言われたら違うと思うんです。確かに魅力ではありますが、男さんを好きになった理由がそれとは思いにくいです」
女「なんで男さんを好きになったかなんて、私にも分かりません……」
女「でも、私のこの想いは本物です。『私は男さんを好きになった』というのは確かなのですから」
男「……ありがとう」
女「お礼を言うのは私の方です」
女「こんな私を好きになってくれて、ありがとう……」
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 23:39:18.15 ID:uNuEENDx0
この速さで俺にアンカーをうっかりつけちゃった奴は
今年の冬はロングブーツを履いたすきとおるような肌の黒髪ショートの美少女と
クリスマスにデートすることになってしまう強力な呪いがかかるからくれぐれも気をつけろ
あり得ないと思うかもしれないけど、きっかけなんてこんなもんだ
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 23:40:32.81 ID:f4a658/20
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 23:42:00.57 ID:7EPIfR+F0
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 23:42:07.51 ID:Wg/aVi6b0
女「……最後に言わなくちゃいけないことがあるんです」
男「何?」
女「私って、実はすごくズルイんですよ?」
男「またまた。とてもそう思えないよ」
女「ふふ――本当なんですよね、これ」
男「まあ、俺はそう思えないから信じないけどね」
女「ホントですか?」
男「うん、本当」
女「……えへへ」
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 23:43:45.76 ID:uNuEENDx0
>>26 それは違うな!
俺が…俺たちが願う限りクリスマスは終わらない!たとえ年が明けようともな!
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 23:51:36.41 ID:f4a658/20
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 23:56:17.61 ID:Wg/aVi6b0
女「……つがいのネックレス、大事にして下さいね?」
男「そりゃ勿論」
女「絶対ですよ?」
男「信用ならないかな……」
女「ふふっ……信じてても聞きたくなるのが女の子なんですっ」
男「……ずっと、ずっとずっと大事にするよ」
女「はい……約束です」
男「うん、約束だ」
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 23:59:59.21 ID:Wg/aVi6b0
女「男さん」
男「何……?――――っ!?」
女「ん……ちゅ……」
女「……初めてで最後の、ファーストキスです」
女「私はたった二日という、確かに少ない人生でした。でも、私は幸せです」
女「初めて触れてくれた人が好きな人で――私が消えちゃう瞬間まで触れてくれているのも好きな人……――」
女「こんなに幸せな事って、他に無いと思いますよ?」
女「だから、私は世界で一番幸せ者です……」
女「こんな重い枷を押し付けちゃう……そうして、男さんの目を私だけに止めちゃう」
女「だから、私はズルイんで、す……」
男「女、さん……」
女「最後、なんで……すから……ぐすっ――泣か、ないで、ひっく……だ――いよ……。笑って、送ってくださいっ!」
女「ありがとう――そして」
女「さようなら……大好きな男さん」
カチ――。
十二月二十六日午前零時――。
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/26(日) 00:02:18.51 ID:7OwLfO900
男「……女さん?」
…………。
男「ねえ……女さん……?」
…………。
男「…………」チャリ……
この場所には、俺がただ一人だけ立ってた。
34 :
◆1IahjnNtgQ :2010/12/26(日) 00:08:00.61 ID:7OwLfO900
ニャー
男「…………?」
猫「にゃー」
男「お前……この間の……?」
猫「にゃ」コク
男「どうしたんだよお前……こんな時間に……。もしかして、飼い主が居ないのか?」
猫「にゃっにゃっ」コク
男「……そっか。なら、ウチに来い」
猫「みゃ!」ピョン
男「わっと……どうしたんだよいきなり肩なんかに」
猫「……」ペロッ
男「……慰めてくれてるのか?」
猫「にゃ」ペロペロ
男「……ありがとな」
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/26(日) 00:18:19.61 ID:7OwLfO900
――翌日 朝
カチコチカチコチカチコチカチコチ
男「…………」
カチコチカチコチカチコチカチコチ
男「…………」キョロ
カチコチカチコチカチコチカチコチ
男「そりゃ……居る訳ないよな……」
猫「にー……ぁ?」
……………………………………………………………………
男「テレビ、何も面白くないな……」
次のニュースです――昨夜午後九時過ぎに無差別殺人事件が――
男「……残ったお菓子。勿体無いな」
――目の交差点で――……が突っ込み、近くに居た住民を――
男「…………」モグモグ
男「……不味い」
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/26(日) 00:27:11.66 ID:7OwLfO900
――犯人はトラックから降り……ナイフを使って、駆けつけてきた人々を――
男「昨日はあんなに美味しかったのに……」
犯行理由は現在警察が――プツン
男「……外に出よう」
………………………………………………………………………………………………
男「……あ」
少女「おや」
店員→男性「お」
少女「やあおはよう」
男性「おはようさん」
男「……おはようございます」
男性「あれ、彼女はどうしたんだ?」
少女「…………」ゲシッ
男性「いって!何する――いや、悪かった……」
男「いえ……」
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/26(日) 00:34:43.30 ID:7OwLfO900
…………………………………………………………………………………………
男性「そっか……遠い所に引っ越しちまったのか……」
男「はい……」
少女「…………」
男性「…………」
男「あ、えっと……今日は二人で露店ですか?」
少女「あ、ああ。そうだよ」
男性「俺も休みだったからな。正直、こいつ一人だと心配なんだよ」
少女「まったく心配性なんだから……」
男性「あん?心配して何が悪いんだ?それに――」
男(…………)
男(……俺と女さんも、形は違えどこんな感じだったのかな)
少女「ほら、ムキになるってことは――」
男(幸せそうだ……)
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/26(日) 00:38:32.61 ID:7OwLfO900
男(当たり前だけど、二十六日になったらクリスマスの文字が無くなったな……)
男「……あれ?」
男(珍しいな……クリスマスセールが今日までの所もあるんだ……)
男「…………はぁ」
男「クリスマスか……」
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/26(日) 00:40:48.76 ID:7OwLfO900
女「はい、クリスマスですよ」
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/26(日) 00:44:54.56 ID:7OwLfO900
男「――え?」
女「あそこに書いてるのですよね?」
男「え、あれ……え?」
女「どうしたんですか?」
男(女さんのそっくりさん……?いやでも――)
女「?」チャリ……
男(あのつがいのネックレスは――)
女「珍しいですよね、二十六日までクリスマスセールをするなんて」
男「――――」
女「……男さん?」
男「どうして――」
女「……なんででしょうかね。私にも分かりません」
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/26(日) 00:46:03.09 ID:UoSZvGgv0
最高
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/26(日) 00:46:46.60 ID:X/4J3NUb0
おおおおお!
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/26(日) 00:54:09.44 ID:7OwLfO900
女「あ、でも今この場で分かってる事はありますよ」
男「――――?」
女「……ただいま、です」
男「……………………おかえり……女さん」
…………………………………………………………………………………………
男「奇跡、なのかな」
女「何がですか?」
男「女さんがこうやって戻ってきたのって」
女「奇跡……あ、すごく良い例えですね」
男「?」
女「今回、私が生まれたのは人々の願いによる奇跡です」
女「奇跡は昔では良く起きていました。雨を呼んだり巨大な妖怪を倒したり、と」
女「今では個人の願いの強さが弱いのでそうそうに奇跡なんて起きませんが、昔は一人でも起こす人が居ました」
女「なので、誰かが私の存在し続けて欲しいと願ったから、私はこうして戻ってきたのかもしれません」
女「これって、ちゃんと同じ奇跡ですよ」
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/26(日) 01:00:06.69 ID:7OwLfO900
女「私自身、消える直前まで残りたいって強く願ってました。そして――」
女「男さんも、今の今まで無意識でも願ってくれてたんじゃないですか?」
男「…………えだよ」
ガバッ。
女「――きゃっ」
男「当たり前……だよ……っ!」ギュゥ
女「…………えへ」
女「やっぱり……私は幸せ者ですね……」
男「もう……どこにも行かないで……」
女「ふふ――」
女「勿論ですよ」
女「大好きな男さんの願いですもの……」
完
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/26(日) 01:02:47.94 ID:7OwLfO900
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/26(日) 01:04:23.37 ID:X/4J3NUb0
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/26(日) 01:05:58.80 ID:UoSZvGgv0
おつ
願えば俺にも彼女が・・・
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
乙乙