唯「まだ眠いよぉ……」
澪「もう11時過ぎだぞ! 昼と言っても過言じゃない」
唯「クリスマスくらい寝かせてぇ……」
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 13:51:06.82 ID:tWz3VBARO
ほう
澪「クリスマスだから、出かけるんだろ!」
そう言って、彼女は私から毛布を剥ぎ取った。……寒いよぅ。
澪「ほら、シャキッとする!」
唯「うう……」
澪ちゃんは私の背中を軽くバシンと叩いて喝を入れ、「ご飯準備してくるから」と出て
いってしまった。
※
唯「ふぁぁ……眠い……」
キッチンではフライパンを熱する音に混じって、ムーディなジャズ・ミュージックが垂
れ流されていた。昼飯時にはあまり似つかわしくないメロディだけど、澪ちゃんのお気に
入りの曲らしい。ボーカルの無いそれに即興で適当な歌詞をつけながら洗面所で顔を洗い、
身だしなみを整える。そろそろ髪切ろうかな。
唯「ねえ、ホントに出かけるの?」
テーブルに着きながら問いかける。
澪「当然。いつもは唯がせっつく癖に」
唯「そりゃあ、そだけど……」
昨日みんなで集まって散々騒いだだけに、満足感と倦怠感で胸がいっぱいというのが本
音だったり。それにちょっと頭痛いし。もしや昨日ジュースだと思って飲んでたアレはチ
ューハイか何かだったのかな。
唯「りっちゃん達もう帰ったの?」
澪「ああ。唯がお寝坊さんだったから」
唯「そっか。それにしても、澪ちゃんは元気だねえ」
なんだか今日は妙にテンションが高いみたい。まるでロックフェスにでも繰り出すかの
如し、だ。まあ、たまにはこんな澪ちゃんもかわいいからいいけど。
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 13:58:17.85 ID:tWz3VBARQ
続けろks
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 13:58:51.78 ID:qFOPJWIH0
支援
澪「はい。起き抜けだし、軽くな」
そうこうしてるうちに準備が終わったらしく、出来たての炒飯を並べる澪ちゃん。
唯「ねえ、やっぱり家でゴロゴロしながらポケ戦かエンドレスワルツでも見てようよー」
澪「ダーメ。せっかくのクリスマスなんだし、さ。唯はどこか行きたいところないのか?」
唯「んー。3駅先のショッピングモールが新装オープンしたらしいから、そことか」
澪「映画館の隣のやつか。じゃあ映画でも見てから色々回ろう。あ、先に言っとくけどホラーは見ないからな」
そうして活き活きと今日のプランを立てはじめた彼女。……うん、いつもは私が振り回
してるわけだし、こういう時くらい付き合ってあげますか。
澪「ちょうど近くだし、夜はイルミネーションも見て来ようか」
唯「いいねえ、イルミネーション。あそこのやつ1回ちゃんと見てみたかったんだー」
澪「食べ終わったら、すぐ着替えて準備して行こう」
※
景色も見えないくらい混みあっていた電車を降りて、駅から出る。冷たい外の空気が頬
を撫でた。それから、それとは違う冷やっとしたものが鼻先に触れる。
澪「唯! ゆい! 雪降ってる! ホワイトクリスマスだッ!」
唯「ホントだ……。出てくる時は降ってなかったのに」
疎らで積もりそうにないとはいえ、神様も気の利いたことをしてくれるものだ。普段は
大人びた――という言い方は、もうすぐ成人する私たちには相応しくない形容かもしれな
いけど――彼女がまるで子供のようにはしゃぐ姿はなんだか少しおかしかった。
唯「今日は澪ちゃんが元気だから、私はどうすればいいのか迷っちゃうよ」
澪「ン……。どうかしたか?」
唯「ううん。なんでも」
澪「唯、早く行こ」
唯「あ、待ってよー」
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 14:04:32.47 ID:tWz3VBARO
テンション高い澪はかわいい
澪ちゃんを追って少し早足で映画館へ向かう。
唯「わりと混んでる?」
澪「土曜だしな」
唯「プラス、クリスマスと」
澪「学生証準備しとけよ」
唯「分かってるって。もう、子供扱いしないでよぉ」
澪「はは。ごめん、ごめん」
唯「あ、順番来たよ」
つまんね
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 14:09:26.80 ID:+NhaHjiv0
唯澪好きだけど最近の唯澪SSのキャラ崩壊ぶりにはうんざり
律梓並にキャラ崩壊多いよね
このスレには期待してるよ
窓口「こんにちは。何になさいますか?」
澪「えっと、蒼穹のファフナー Heaven and Earth 大人二枚」
窓口「次の上映でよろしいでしょうか云々」
唯「はい」
窓口「こちら全て自由席となっております云々」スッ
唯「どうも」
ほら。私だって映画の券くらい買えるのだ。私達は代金を払ってチケットを受け取ると、
とりあえず人ごみの中から脱出した。
唯「私、飲み物買ってくるよ。何がいい?」
澪「ン……。唯と同じのでいいや」
唯「りょうかーい」
唯「なっににしっよおっかなあー」
並んでる間、メニューを眺めて品定めをする。
唯「そうだ!」
案外早く順番は回ってきた。
※
唯「澪ちゃーん」
澪「お、結構早かったな……って」
唯「ふぇ」
澪「なんで一つなんだよ」
唯「いやーこう、二つストロー刺して一緒に一つの飲みたいなー……とか」
澪「どこのバカップルだ」
唯「N女のバカップル? 今日澪ちゃんテンション高いからいけるかなーと思ったんだけど」
澪「はあ……お前なあ……。ったく、邪魔にならないように隅の方座らないとな」
唯「やったー!」
澪「おい。映画見に来たんだぞ……」
唯「えへへ」
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 14:18:39.98 ID:tWz3VBARQ
支援
※
上映終了後!
唯「うむうむ。ええ話じゃった……」
澪「唯、次行くぞ、次。ショッピングだ!」
唯「切り替え早っ! もうちょっと余韻に浸ろうよー」
澪「ほら、時間無くなっちゃうぞ」
唯「待ってったら〜」
慌てて澪ちゃんを追いかける。……どうせなら手でも引いてくれればいいのに。
ショッピングモール!
唯「ここも人多いね」
澪「迷子にならないように気をつけろよ」
唯「だから子供扱いしないでよぉ。だったら澪ちゃんが――あらっ」
澪ちゃんの腕を取ろうとしたら見事に空振りしてしまった。
唯「ちぇー」
澪「はは。ほら、置いてくぞ」
唯「わわ」
※
唯「あっこの服かわいいー」
澪「おー、良いんじゃないか。唯に似合いそう」
唯「いやいや、澪ちゃんに似合うかなって」
澪「私!? わ、私は無理! こういうかわいい系は……」
唯「えー、そんなことないよ。澪ちゃんかわいいもん」
澪「ば、バカ、何言ってんだ」
唯「もっとスカートとかはいてもいいと思うんだけど」
澪「私はパンツルック派なの。て言うか唯だってそうだろ」
唯「そうだけど、私はそれなりにスカートもはくし、それにズボンでもかわいいのはあるよー」
澪「ぐ……」
唯「あ、これとかどう?」
澪「だから私はこういうのは……」
唯「まあまあ試着してみんしゃい」
澪「お、おい!」
私は狼狽する澪ちゃんを半ば無理やり試着室に押し込めた。
唯「どう?」
澪「……ちょっと待って」
唯「ほーい」
澪「……出来た」
唯「おお」
澪「ど、どうかな……?」
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 14:36:31.47 ID:tWz3VBARO
C
唯「かわいい、かわいい」
澪「そ、そう……?」
唯(お、満更でもなさそう)
澪「じゃあまた着替えるから」
唯「うーん……よし、それ買ったげる!」
澪「え、そんな悪いよ」
唯「まあまあ。クリスマスプレゼントと思って」
澪「それは昨日貰ったし……」
唯「気にしない、気にしない」
※
澪「なんか悪いな。結局買って貰っちゃって」
唯「だから気にしなくていいってば」
澪「唯は何か欲しいものないのか?」
唯「私?」
澪「うん。唯にも今日の分のクリスマスプレゼント買ってあげるよ」
唯「ン……。じゃあ、アレで」
私が指差す先には、アイスクリームのお店。澪ちゃんは少し呆れたように笑ってから、
「了解」と呟いた。
澪「お前ってホント、年中アイスだよな」
二人並んで椅子に腰かけ、冷たいアイスを頬張りながら彼女が言った。
唯「美味しいんだから仕方ないじゃーん。寒い日に食べるアイスは格別だよ」
澪「そんなもんかな」
唯「そんなもんだよ。これにコタツがあれば言う事無し!」
澪「はは。それは家に帰ってからな」
唯「あ、澪ちゃんの一口ちょーだい」
澪「あ、おい」
唯「んー、おいひ〜」
澪「む、私だって」
そう言うと今度は澪ちゃんが私のアイスを一口パクり。
唯「お、やったなー」
また向こうのアイスを食べ返す。そうやってしばらくお互いのアイスを食べ合っていた。
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 14:57:43.44 ID:qFOPJWIH0
しえん
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 15:00:16.63 ID:aAMyFswqO
アイス
※
唯「ふぅ……。次どうする?」
澪「上に楽器店があるみたいだからそこ行こ」
唯「はーい。しっかりエスコートしてね」
澪「任せなさい」
唯「おー今日は自信満々」
楽器店!
唯「レフティフェア……は、やってないみたいです」
澪「ま、そう都合よくやってるものでもないよ」
唯「ベースはあの辺じゃない?」
澪「あ、ホントだ」
しばらく並べられた沢山の楽器を二人で眺める。大好きなベースに囲まれた澪ちゃんは
子供みたいに目をキラキラさせていて、今のところギターはギー太一筋で買い変える気も
ない私は、どちらかというとその横顔に見とれていた。
澪「唯! ゆい! これどうかな!?」
唯「え、あ、なに?」
何やら気に入ったものがあったらしく、興奮気味にベースを構えて見せる澪ちゃん。
唯「ン……。似合ってるとは思うけど……」
澪「けど?」
唯「かわいそうなエリザベス。新しい女が出来たらポイなのね……」
よよよと芝居がかった泣き真似をしてからかってみる。
澪「なんでそうなる! それに、流石に楽器買うお金はないよ。ちょっと持ってみただけ」
唯「うむ。やっぱり澪ちゃんにはエリザベスが一番だよ」
澪「唯は……もう一生ギー太と添い遂げそうだな」
唯「そりゃーもちろん。ギー太も澪ちゃんもお墓の中まで持っていくからね!」
澪「はいはい」
唯「またそうやって適当にあしらうー」
私は結構本気なんだけど。
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 15:09:21.90 ID:tWz3VBARQ
かわ澪
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 15:09:50.79 ID:qFOPJWIH0
澪ちゃんかわ唯
唯ちゃんかわ澪
※
その後も適当にお店を回っていたら、すっかり晩ご飯の時間になってしまっていた。
澪「そろそろご飯にしようか」
唯「何にする?」
澪「混んでるみたいだし、入れる所でいいよ。ご馳走は昨日食べたしね」
唯「そだね。そこのファミレスにしよっか」
ファミレス!
唯「私サイコロステーキー」
澪「私は、カルボナーラスパゲティにしようかな。デザートはどうする?」
唯「あ、じゃあいちごのケーキ!」
澪「昨日食べたのにまたか……」
唯「ケーキなら毎日でもおっけーだよ。澪ちゃんは?」
澪「食後はコーヒーだけでいいや。太るし」
唯「じゃあ注文しちゃおっか。ボタン押させてー」
澪「子供か、お前は……」
食後!
唯「ふう……。食べた、食べた」
澪「ケーキまで入るのかー?」
唯「甘いものは別腹だよー。あ、澪ちゃん、イチゴあげる。メリークリスマース!」
澪「は? むっ……」
私はショートケーキのてっぺんに乗っていたイチゴを澪ちゃんの口に押し込んだ。
澪「ゆ、唯……?」
唯「ふふ。澪ちゃんだから、特別ね」
澪「〜〜! ……ったく、お前は!」
澪ちゃんは顔を真っ赤にして何やらモゴモゴ言っていた。愛い奴め。
唯「えへへ」
愛い奴愛い奴
※
澪「もう少し中を見て回ったら、イルミ見に行こうか」
唯「うん。……あ、本屋さんだ。本屋さんもおっきーね」
澪「本屋か……そういえばベース雑誌の最新号まだ買ってなかったな」
唯「買ってきなよ。私待ってるから」
澪「そう? 悪いな」
唯「あ、私が買ってるファッション誌の新しいやつもあったら買ってきてー」
澪「分かったー」
そういうと澪ちゃんは雑誌コーナーの方へ行ってしまった。私は漫画でも見て来ようか
な。……お、向こうにはゲームセンターもあるのかあ。
いぴjぴjp
唯「……」
澪「お待たせ。1月号でいいんだよな」
唯「ありがと。澪ちゃん、澪ちゃん」
澪「なんだよ」
唯「プリクラやらない? そこに良さそうなのがあったんだけど」
澪「プリクラかあ……久しぶりにいいかもな」
唯「じゃ、とつげ〜き!」
プリクラ!
唯「澪ちゃん表情硬い〜。もっと笑って」
澪「そう言われても、久しぶりで加減が……」
唯「思いっきり崩して変顔でもいいんじゃない?」
澪「それはやめとく……」
唯「えー」
澪「あ、ほらもう……」
唯「じゃあこうだ!」
シャッターが下りる瞬間、私は澪ちゃんの頬にキスをした。
唯「なかなか良く撮れたね」
澪「まったく、なんて事してくれるんだ」
唯「いい思い出になったでしょ」
澪「こんなの、どこに貼ればいいんだよ」
唯「携帯とか?」
澪「みんなに冷やかされるからやだ」
唯「あとでこっそり貼っとこーっと」
澪「お前なー!」
唯「きゃー」
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 15:50:54.11 ID:1jD9up7o0
死にたくなってきた
※
澪「よし、それじゃあイルミ見に行こうか!」
唯「おー!」
唯(ふう。何とか機嫌直してくれた……)
澪「どうした? 唯、早く行こう」
唯「あ、うん」
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 15:59:02.47 ID:zIXuai9a0
唯澪だと別れを切りだすのは唯
イルミネーションスポット!
唯「さむ! 人多っ! それに――」
それに、すごく――。
澪「綺麗、だな」
唯「……うん。とっても綺麗」
木々が纏う色取り取りの明かりが、空を、街を、そして私達を照らしていて。まるで、
光に包まれてるみたいだった。昼間降っていた雪は積もることもなく止んでしまっている。
けれど、十分に幻想的なその光景は、私に人工の明かりも捨てたもんじゃないなと思わせ
てくれた。
澪「唯」
隅の方で二人並んで、しばらくそれを眺めていると、不意に澪ちゃんが口を開いた。
唯「なぁに?」
澪「今日はごめんな。唯、疲れてたのに。私、付き合いだして初めてのクリスマスだからって浮かれちゃって」
唯「ン……。もう、そういうこと言う場所でも雰囲気でもないでしょ」
澪「ご、ごめん」
唯「謝らなくていいってば。今日は楽しかったし、それに、澪ちゃんにエスコートして貰えて嬉しかった……かな」
いつもは私が振り回してばかりだったから。今日は澪ちゃんの方から率先して私を連れ
回してくれて、家から出て良かったって思えた。
唯「だから、これからも我がまま言ってくれていいよ。その方が、私は嬉しいな」
澪ちゃんは初め少し驚いたように目を見開いた後、すぐ柔らかに微笑んでくれた。私も
それに答えるように笑いかける。それからしばらく、二人寄り添って地上に輝く星々をた
だ眺めていた。
澪「ほら」
突然、澪ちゃんが腕――肘の辺りを突き出してきた。
澪「その、周りもカップルだらけだし、してない方が浮いてるって言うかさ……」
そして、意図を図りかねていた私へ取り繕うように、もごもごと早口で何か言いはじめ
る彼女。冬の夜の白んだ空気に浮かぶその横顔は、サンタさんの服みたいに真っ赤になっ
ている。それで、ようやく察することが出来た鈍い私の口からは、思わず笑い声が漏れて
しまった。
澪「わ、笑うな!」
唯「ふふ。ありがとう。澪ちゃん大好きッ!」
そう言って彼女の腕に飛びつく。
澪「私も。――愛してる」
(了)
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 16:18:07.54 ID:tWz3VBARO
乙
良かったよ
乙!
2人とも可愛いなあ
唯澪が何時までも幸せでいれたらいいね
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 16:45:38.14 ID:tWz3VBARQ
おつー
唯澪は微妙な距離感がたまらんな
おつ
なんか綺麗だな
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 17:04:17.23 ID:aAMyFswqO
おつ
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 17:16:55.30 ID:kEHW5wYT0
短かったけど良かった乙
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 17:20:10.39 ID:skrRLYLfO
乙
次は食糞希望
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
素敵やん