1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
代理だ! 文句あるか?!
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 21:53:43.51 ID:/PJiTKCZ0
私は一向に構わんッ!
3 :
◆6ZgdRxmC/6 :2010/12/19(日) 21:58:05.24 ID:Bfp+HM5G0
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 21:59:00.32 ID:BYHc3BaA0
ハイペースだね
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 21:59:54.00 ID:Bfp+HM5G0
そこは、市内でも比較的に賑やかな部類に入る、繁華街だった。
大型ショッピングモールや、ブティック、公園など様々な施設の点在するそこは、
週末である今日、多くの人々で賑わってるはずだった。
( ω ) ……なんだお、これ
建物が、燃えていた。
道路が、何か”怪獣でも暴れまわったかのように”ぼろぼろに砕かれている。
道端に、真っ二つになった車が何台も何台も重ねられているのが見えた。
ここがはたして、あの賑やかな繁華街だというのだろうか?
( ω ) 僕は、まだ夢を見ているのかお……?
夢なら覚めてくれ、そう彼は思った。悪夢にしたってこれは酷すぎる。
燃える建物、砕かれた街。そしてそこに散らばるのは
(# ω ) 嘘だお……嘘だお!!
―――炎に包まれた、人間の死体。
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:00:56.68 ID:Bfp+HM5G0
(# ω ) おおおおおおおおおおおおお!!!!
目を閉じ、叫び声を上げながら、ブーンは地獄絵図と化した街中を走る。
その光景をこれ以上見続けて、気が触れないという自信が今のブーンにはなかった。
(# ω ) ッ!!!
目を閉じたまま走っていた彼は、何かにつまづき、転ぶ。
鼻をつくのは、焼けた肉の臭い。
いやだ、見たくない。
そう思っているはずなのに、目が無意識に開き、
自分が何につまづいたのかをついつい確認してしまう。
(# ω ) く……くそッ……なんで……なんでだお!!
削げ落ちた黒い肌に、恐怖と絶望が張り付いたような表情。
予想した通り、黒こげになった人間の顔がそこにはあった。
( ω ) みんな、みんな死んでしまったのかお……?
頭をぶんぶんと左右に振り、彼は自分の頭に浮かんだ妄想を振り払う。
そんなはずはない、きっとどこかに、生きている人がいるはずだ。
( ω ) 誰か……誰かいませんかお!!
叫ぶ彼の声に、かすかな反応が返って来た。
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:02:11.97 ID:Bfp+HM5G0
(;^ω^) !! 誰かいるんですかお!?
それはかすかな、本当にかすかな声だった。
集中しなければ聞き逃してしまいそうなその声を頼りに、ブーンは声の主を探す。
声は、建物と建物の間。路地裏に設置されたゴミ箱のあたりから聞こえてくるようだった。
(;^ω^) 大丈夫ですかお!! 一体何……
ゴミ箱の裏から人間の手が出ているのを確認した彼は、そこに駆け寄る。
( ゚ω゚) が……
「ミ ズ クダサ……ィ」
そこにいたのは、声から察するに男性らしかった。
目の前にいる彼を男性と判断するのに、なぜ声で判断しなければいけなかったかというと、
見た目で性別を判断できないほど、その男性の外見が徹底的なまでに破壊されていたからだ。
( ゚ω゚)
ブーンは、その場にへたりこんでしまった。
ひどい話だが、彼はそのときこんなことを思ったのだ。
「こんなものが、人間であるはずがない」と
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:02:58.79 ID:Bfp+HM5G0
「ミズ オネ ガ ィ ノド カワイ テ……」
ゆっくりと、まるで映画で見るゾンビのように緩慢な動作でこちらに手を伸ばす彼。
その顔の右半分には無数の水ぶくれが点在し、とてもではないがまともに見られるような状態ではない。
よっぽどの高熱にさらされたのだろう。体の所々が炭化し、髪の毛は全て溶けてなくなっている。
それはブーンの知る、『人間』の姿ではなかった。
「ミズ ミズ ミズヲ 」
ゆっくりとブーンに差し出された手は、やがて徐々に力を失い、そしてコンクリートの地面に落ちた。
( ゚ω゚) お……
両膝を地面についたまま、ブーンは自分の目の前で何が起こっているのか、理解できないままでいた。
やがて頭がだんだんと判断力をとりもどし、そして、彼は嘔吐した。
( ;ω;) おえええ!! おええええ!!!
涙なのか胃液なのか分からないものが、ぼたぼたと地面に落ちる。
体の振るえが止まらない。
もう自分が何を考えていいのかすら、ブーンには分からなかった。
( ;ω;) ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさい!!
気がつくと、ブーンはその言葉を繰り返していた。
それが目の前の死体にむけた言葉であると、自分で気がつくまでに数秒かかった。
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:03:14.28 ID:BYHc3BaA0
むう
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:04:00.63 ID:Bfp+HM5G0
一体自分が何のことについて謝っているのかさえ分からなかった。
( ;ω;) ごめんなさい、ごめんなさい!! ごめんなさい!!
ただ、”謝らなくてはならない”という強迫観念にも近い感情が彼の口を動かしていた。
:( ω ): ごめんなさい……ごめんなさい……
その内、彼は震え始めた。
訳も分からぬまま謝り続けていた彼の頭が、
次第に自分が何について謝っているのかということを理解し始めたのだ。
ごめんなさい。
水をあげられなくてごめんなさい。
気持ち悪い、怖いなんて思ってしまってごめんなさい。
なにもできなくて、ごめんなさい。
―――守れなくて、ごめんなさい。
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:05:07.25 ID:BYHc3BaA0
支援
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:05:43.20 ID:Bfp+HM5G0
:( ω ):
自分のせいだ。心の底で、彼は自分を責めていた。
この状況を作ったのは、恐らくあの『王』だろう。
首が無くなっていたから、あのTASIROは倒されたのだと思っていたが、
なんらかの方法であの廃工場から抜け出した『王』が暴れまわったと考えなければ
ブーンは今のこの状況を説明することができなかった。
自分があのとき、激情にかられてあさはかな行動をとらなければ、
仲間と連携して『王』と戦っていれば、
倒していれば、
この人は死なずにすんだのに。
:( ω ): ごめんなさい
自分がいくら謝っても、目の前の男性や、道端で焼け死んだ人々が生き返ることはない。
それでも、謝らずにはいられなかった。
それが、今の彼にとって唯一の『自分にできること』だった。
そしてそれしかできないという事実が、たまらなく無力だった。
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:06:27.88 ID:Bfp+HM5G0
( ω ) !
がさり。
震える彼の耳に、そんな小さな音が聞こえる。
( ^ω^) 誰か、いるのかお……?
よたよたと音の方に、路地裏のさらに奥に歩を進めるブーン。
たどりついたのは、路地の突き当たりの小さな空間。そこにいたのは
::*(; ;)*::
膝を抱えてうずくまる、小さな少女だった。
(;^ω^) だ、大丈夫かお!?
駆け寄ろうとするブーンに、少女は小さく怯えたような声を上げる。
*(; ;)* こ、こないでッ!! お、おばけ!!
(;^ω^) ……お?
金切り声をあげる少女の言葉に、ブーンは足を止めた。
どうやら、この少女はかなり混乱しているらしい。
当然である、こんな恐ろしい目にあったのだから。
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:07:53.01 ID:BYHc3BaA0
しえん
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:08:23.11 ID:Bfp+HM5G0
(;^ω^) お、落ち着くお。大丈夫だお、僕はお化けじゃないお
*(; ;)* え……?
警戒を緩めた少女にブーンは近付き、そっと小さな頭をなでた。
( ^ω^) よかったお……生きてる人がいて……
怖かったかお? もう大丈夫だお
*(; ;)* あ……え……あ……?
( ^ω^) ……教えて欲しいお、一体ここで何が―――
*(; ;)* うわあああああああああああああああああん!!!
(;^ω^)て
緊張の糸が切れたのだろう。
大声を上げながらブーンの胸に顔を押し付けた少女は、わんわんと泣きじゃくった。
少女の驚くほど小さくたよりない震えるその体を、
ブーンは、抱きしめ、ただ撫でてやることしかできなかった。
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:09:17.04 ID:Bfp+HM5G0
*(; ;)* こわかったよぅ!!
”ケータイでんわのおばけ”がきたの!!
そいつがてをこっちにむけただけで、みんなもえちゃった!!
(;^ω^) 携帯電話の……お化け?
*(; ;)* みんなみんなもやされちゃったの!! パパも、ママも!!
(;^ω^) ……
*(; ;)* おばけみたいなかおのおじさんが、あたしをここにつれてきてくれたの!
「ここでじっとしてて」っていって、でも、でも……ッ!!
再びがたがたと震えだす少女の体。
『お化けみたいな顔のおじさん』というのは、先ほど出会った男性のことだろう。
きっと彼は最後の力を振り絞って、少女をここに匿ったのだ。
しかし、この路地裏から出るだけの体力すら、彼は持っていなかった。
*(; ;)* おじさん、もどってこないの!! ねえ、おにーさん、おじさんみなかった!?
必死に叫ぶ彼女の問いかけに、ブーンは答えることができなかった。
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:10:25.41 ID:Bfp+HM5G0
しばらく時間が経って、少しだけ落ち着いた彼女に、ブーンは訊ねてみた。
( ω ) ちょっと聞いてみてもいいかお?
*(; ;)* ?
『携帯電話のお化け』という言葉を聞いてから、
ブーンの頭には想像しうる限りで最悪のシナリオが浮かんでいた。
( ω ) キミを襲ったのは、TASIROじゃなかったのかお?
*(; ;)* ちがうよ、おそったのは、『おばけ』。『ケータイでんわのおばけ』だよ
( ω ) ……そいつは、どんな格好をしていたのかお?
こんなことを、まだショックから立ち直っていないであろうこの少女に聞くのはあまりに不謹慎だ。
それが分かっていても、ブーンはそれを聞かざるを得なかった。
震える少女は、少し躊躇していたが、やがて小さく掠れる声で言った。
*(; ;)* ケータイをてとかあしとかにつけた、おとこのひとだった
―――そして想像の域を出なかった最悪のシナリオは、少女の言葉によって現実に変わってしまった。
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:11:11.61 ID:Bfp+HM5G0
( ω ) そうかお……間違い、ないんだおね……
呟いたブーンは、ゆっくりと立ち上がる。
*(; ;)* おにーさん? どっかにいっちゃうの?
( ω ) ごめんだお、僕は行かなくちゃいけないお
*(; ;)* やだ!! やだよ!! ここにいてよ!! こわいよぅ!!
叫びながらブーンの服の袖にしがみつく少女。
よほど怖いのだろう、自分を見上げるその目は必死で、
しかし、それでもブーンは行かなければならなかった。
( ω ) 助けがくるまで、ここを動いちゃだめだお?
*(; ;)* やだ!! やーだぁ!!!
駄々をこねる少女の頭に、ブーンはゆっくりと掌を置いた。
自分の掌が収まるほどの、彼女の小さな頭。
守らなくてはならない、だから自分は行かなくては。
これ以上、この少女のような人間を増やしてはいけない。
( ^ω^) 絶対戻ってくるお、だからここで待ってて欲しいお
目線の高さをあわせて、ブーンは少女に笑いかける。
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:11:28.16 ID:BYHc3BaA0
支援
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:13:13.91 ID:Bfp+HM5G0
*(; ;)* もどってくるの? ほんとに?
( ^ω^) おっお、ほんとだお。おにーさんは嘘吐かないお
*(; ;)* やくそくする? いのちかける?
( ^ω^) おっお、お安いごようだお
べそをかきながら、少しだけ迷って、それから少女は言った。
*(; ;)* じゃ、ゆびきり
( ^ω^) お!
少女の小さな小指と、ブーンの大きな小指が絡まる。
嘘を吐いたら針千本飲むと約束して、ブーンは少女を置いてその場を去った。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:15:19.07 ID:Bfp+HM5G0
( ^ω^) ……デレ
路地裏を出て、ブーンはポケットの中の彼女に呼びかける。
ζ(゚ー゚*ζ ……はい
( ^ω^) 大きなセキラの反応、感じるかお?
ζ(゚ー゚*ζ はい
( ^ω^) 案内して欲しいお
ζ(゚ー゚*ζ ……
淡々と質問に答えていた彼女が、ふいに黙る。
なんとなく彼女の内心を察したブーンは、「大丈夫だお」と笑った。
( ^ω^) 僕は、どんなときも『僕にできること』をするだけだお。
だから、頼むお、デレ
ζ(゚ー゚*ζ ……分かりました
デレの案内で、走り始めるブーン。
彼の頭では、さっき少女が言った何気ない一言がずっと反響していた。
( ^ω^)(『命賭ける』……かお)
冗談抜きに、命を賭けるしかない彼に、その言葉はとても重く、そして痛く響いた。
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:15:46.65 ID:BYHc3BaA0
しえん
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:17:05.79 ID:Bfp+HM5G0
( ^ω^)彼らは携帯電話を武器に戦うようです
第十四話「不屈」
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:17:49.85 ID:Bfp+HM5G0
そこは、ラウンジ社の所有するビルの近くに位置する飲食店街だった。
人間の焼死体があたりに転がるその場所で、二人の少年が対峙している。
('Aナ) どういうつもりだ……これは
二人の内の一人、左目に傷のある中学生くらいの少年―――ドクオが掠れた声で言った。
少年の手には、自分のものである携帯ゲーム機と、
クーのものであるはずの黒い折りたたみ式の携帯電話が握られている。
それに対して、彼より年上で、全身に不規則な赤い光の模様を纏った少年、
モララーは普段通りのなんでもない口調で返す。
( ・∀・) 見れば分かるでしょ? クー先輩のデバイスだよ
('Aナ) ……そういうことじゃねえ、なんであんたがこれを持ってんのかって聞いてんだよ
実際は答えなど、聞くまでもなく分かっていた。
しかし、それでもドクオは聞いてしまった。目の前の彼を”試し”、
セキラを持つにふさわしい人間だと判断したのは、他ならぬドクオ自身だったからだ。
本当は答えなんて聞きたくもなかった。
信じた人間に絶望するのは、ここにくるまでに経験したジョルジュとの戦いだけで、もうこりごりだった。
( ・∀・) 倒したからさ
だから、あいかわらず動揺する様子もなく、平然と答える彼に、ドクオの声はさらに掠れる。
( A ) ……倒したってのは、つまり
ドクオが質問を最後まで言い終わる前に、モララーは答えた。
( ・∀・) そうだ、ボクが殺した
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:18:26.58 ID:hJINek2v0
支援
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:18:36.24 ID:Bfp+HM5G0
( A ) !!
( ・∀・) ボクがクー先輩を殺した。
戦って倒した。だから彼女の持ってたデバイスが、二つともここにある
( A ) あんたが? クーを? はは、冗談キツいぜ。あんたは、あんたはそんな人間じゃねえだろ
震える声。被った野球帽のつばを握り、表情を隠した彼は、しかし感情を隠しきれず、叫んだ。
(#'Aナ) あんたは、あんたの夢のために戦うんじゃなかったのかよ、モララー!!!
激情にかられる彼に、しかしモララーはひるまない。
( ・∀・) そうさ、これがボクの夢だよ。ドクオ
声の調子をまったく変えず、モララーは両手を広げ、空を仰ぐ。
( ・∀・) この光景。破壊された街、死に絶える人々、
そして、何よりそれをやったのがこのボクだという現実。
これこそがボクの夢。ボクがずっと憧れ続けてきた、夢。
::(# A ): これが……こんなもんが『夢』……だと……!!
怒りを抑えきれず、俯き肩を怒らせるドクオに、モララーは
( ・∀・) ……じゃあ訊くけどさ、ドクオ。
キミは、どういうものがボクの夢だったら納得してくれるんだい?
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:18:46.77 ID:BYHc3BaA0
ふむ
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:19:35.23 ID:Bfp+HM5G0
::(# A ): !……それは
( −∀−) 『宇宙飛行士になること』、とか?
『人の助けになりたい』、とか?
そういう綺麗な夢だったら、キミはボクの夢を認めてくれたのかな?
::(# A ): 当たり前だろ!! そういうもんが『夢』っていうんじゃないのか!!
( −∀−) 確かにそうだね、でもねドクオ、
『夢』というのは、決して誰かにとって有益だとは限らない
モララーの淡々とした声色が、ふいに悲しいものへと変わった。
( ・∀・) 『夢』は、ときとしてその夢を見た人間も、
そしてそれに巻き込まれた人間も滅ぼしてしまうかもしれない。
そういう恐ろしいものでもあるんだ。
::(# A ): 分かんねえ!! 分かんねえよ、そんなこと言われたって俺には分かんねえ!!!
( ・∀・) ……それはキミが幸せな証拠だよ
叫ぶドクオにそれだけを言って、モララーはこの話はおしまいとばかりに手を二度叩く。
そして、左手の指でドクオを指すと、言った。
( ・∀・) とにかく、キミにできることは一つだけなんじゃないかな?
何のためにボクがわざわざキミにデバイスを渡したか、分かるよね?
(#'Aナ) ……自分を倒させるため、か
( ・∀・) 正解。さすがだねドクオ
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:20:19.91 ID:Bfp+HM5G0
少しだけ口元を緩めるモララー。
その姿は、その答えをドクオが出したことを、心底喜んでいるようだった。
(#'Aナ) あんた本当は、自分が間違ってると思ってるんじゃねえのか
( ・∀・) こんな状況が正しいと思える人間がこの世にいると思うかい?
(#'Aナ) そう思うなら、なんでだよ
( ・∀・) それが『夢を見る』ってことなのさ
なんでもないことのようにさらっと言うモララー。
ドクオは彼が何を考えているのか全く分からなかったし、分かりたくもなかった。
そんなドクオだったが、しかし一つだけ、彼は理解した。
―――もうこの男は、誰かに止められない限り自分では止まることができないのだと。
( ・∀・) さあ、かかってきなよ『正義の味方』。この『怪獣』が相手だ
モララーの体から、紅に染まる雷が何本も這い出て、周囲の道路を破壊する。
早く戦闘体勢に入らなければお前を殺すぞ、と、それはそういう態度だった。
(#'Aナ) 俺は、
( ・∀・) ?
(#'Aナ) 俺は『正義の味方』でもなければ、あんたの『夢』の理解者でもねえ
自分を正義だと語るつもりはねえし、あんたの気持ちなんてちっともわかない。
でも、俺はあんたを止めたい。
あんた一人の『夢』のために、これ以上誰かが犠牲になるのを見たくない!!!
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:20:56.77 ID:BYHc3BaA0
支援
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:22:22.18 ID:Bfp+HM5G0
(#'Aナ) だから、俺はあんたを止める。これ以上、誰だって傷つけさせるもんか!!
ドクオは手に持っていたクーの携帯電話を高く空に投げた。
続いてポケットから二つの携帯電話を取り出し、宙に投げる。
一つは、ツーという少女のものである赤いセパレート携帯。
そしてもうひとつは―――
(#'Aナ) 胸糞悪ぃけど使わせてもらうぜ、ジョルジュ。
言っとくけど、俺はまだ、てめえを許したわけじゃねえからな!!!
―――彼の悪友のものである、紫色のスマートフォンだった。
('e')『また、戦うのですね。マスター』
コマンドを入力しているゲーム機の画面に、文字が表示された。
(#'Aナ) 悪ぃなセント、もう一踏ん張りだ。これを俺たちの最後の戦いにすんぞ!!!
言いながら、ドクオは正中線上に沿わせ、顔の前で持っていたゲーム機を下腹部に持っていく。
それが調度自分のヘソの下の辺り、丹田の前に来たところで、彼は持っていたゲーム機を横に180度回転させた。
('e') ―Form Change:「Amazing Kicker」―
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:24:11.66 ID:Bfp+HM5G0
ドクオの腰の周りに、ゲーム機の両端から出たセキラのベルトが巻きつく。
中空から落下してきた三つの携帯電話が、そのベルトから飛び出したセキラの触手に絡めとられ、
それぞれ彼の、両足と、左腰に固定された。
( ・∀・) へえ……ボクのAmazingとはちょっと違うんだね
ドクオの腰から下の下半身を、絶え間なく変化し続ける赤い幾何学模様が覆っている。
右足にジョルジュの紫色の携帯電話。左足にツーのセパレート携帯。
そしてドクオのゲーム機の左側には、クーの黒い携帯電話が、地面と垂直になる形で取り付けられていた。
(#'Aナ) いくぜ!!
ドクオの、下半身の幾何学模様の変化のスピードが、ふいに上昇する。
変化し続ける幾何学模様はどんどん増殖し始め、やがてそれは彼の下半身全体を覆う輝きとなった。
そしてその輝きが臨界点に達したとき、ドクオの姿が、消えた。
(・∀・ ) !?
(#'Aナ) はッ!!
次の瞬間、モララーの体は後方に吹っ飛ばされていた。
彼の目の前には、足の裏を彼に向けるドクオの姿がある。
自分が凄まじい加速力を持ったドクオの『蹴り』に吹き飛ばされたのだと彼が理解したときには、
すでにドクオは次の攻撃に移っていた。
(#'Aナ) うらうらうらァ!!
空中を飛んでいくモララーの体に、次々と攻撃が命中する。
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:25:10.20 ID:Bfp+HM5G0
(・∀・ ) ふぅん……考えたね
(#'Aナ) !!?
モララーの体は、落ちる前に繰り出されるドクオの蹴りのせいで
未だ空中に浮いたままである。体にかなりの衝撃が加わっているはずのモララーの声は、
しかし何故か平然としたままだった。
(・∀・ ) 強化につかうセキラを足に集中し、それを四つのデバイスで制御する。
その結果、キミは人間にはありえないスピードを発揮することに成功したわけだ
喋るモララーを、ドクオが一際強い蹴りで空へ舞い上げる。
空中に浮くモララーの態度に違和感を覚えながらも、
ドクオは彼の真下で、右足に集めたセキラを沈静化しない程度に活性化させていた。
(・∀・ ) そのスピードがあれば、左目が塞がって距離感がつかめないという
キミのハンデもフォローできる。
間合がつかめなくても、その速さがあればボクに攻撃が当たる距離まで楽々入ることができるからね
重力に呼ばれ、地上に落ちてくる彼の体に、
ドクオは思い切り強化されたハイキックを打ち込んだ。
しかし―――
(#'Aナ) がッ……!!?
ドクオの目に映ったのは、
自分の攻撃を受けながらこちらの腹に向けて放たれたモララーの拳。
そしてダメージを受けたのは、なぜかドクオのほうだった。
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:26:09.34 ID:BYHc3BaA0
しえしえ
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:27:09.83 ID:Bfp+HM5G0
(・∀・ ) ……ッ さすがに今のはちょっと痛かったね
攻撃を受けた腹を撫でながら、モララーは言う。
(#'Aナ) ちッ……あんた、こんな短時間に俺の弱点を!!
地面に片膝を付き、腹を押さえながらドクオはモララーを睨みつける。
人間では実現不可能な速さを誇る彼の弱点。
それは、足にあまりにセキラを集中させ過ぎたため、
上半身の防御力が普通のFighter並みに落ちてしまうということだった。
(−∀− ) ふふふ、セキラが頭に回ってるせいかな?
冗談めかして言う彼に、ドクオはすぐさま立ち上がり、再び彼に向かって飛ぶ。
(#'Aナ) らァ!!
横腹、顎、頭、連続で蹴りを叩き込むドクオだが、
モララーはそれに対し、澄ました顔で微動だにしない。
(−∀− ) 効かないよ
(#'Aナ) こんの野郎おおお!!!
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:30:01.54 ID:Bfp+HM5G0
それでもドクオは諦めない、何度も何度も、モララーに向かって蹴りを叩きこむ。
(#'Aナ) なんでだよ、どうしてそんな澄ました顔してやがる!!
おかしい、とドクオは思った。
セキラと四つのデバイスの力によって、
自分の蹴りの一発一発は、鉄板も貫けるほどの威力まで高められているはずだ。
なのになぜ、こいつには自分の蹴りが通じない?
(・∀・ ) さて、そろそろ飽きてきたね
……おかえしだ!!
まったく動かず、棒立ちしていたモララーがふいに動き、その左腕を横に振るう。
(# A ) ッ!!
襲い来るのは、赤い衝撃波。
吹き飛ばされるドクオの体から赤い炎が上がった。
(# A ) ああああああ!!!!?
セキラの膜に守られているため、その炎が直にドクオを焼くということがなかったが、
それでもその高熱の片鱗はドクオに伝わってくる。
(・∀・ ) ふんッ!!
パニックに陥っているドクオの上半身に、モララーは思い切り拳を叩き込んだ。
(# A ) が……は……!!?
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:30:49.01 ID:BYHc3BaA0
支援
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:31:44.64 ID:Bfp+HM5G0
吹き飛ばされたドクオの体は、
そのまま後ろにあった店の自動ドアを突き破って店内に転がり込む。
(# A ) ……ふぅ……ふぅ……!!
胸を押さえながら仰向けに倒れこむドクオ。
セキラの防御が薄い場所に攻撃を加えられたその部位からは、
まるで焼けるような痛みが湧き上ってくる。
(# A )(アバラ、イっちまったな、こりゃ)
先ほど吹き飛ばされたときの風圧と、地面に転がったことで彼の体を包む炎は消えていた。
もたもたしてはいられない。きっとモララーは自分に止めを刺すためにここにやってくるだろう。
そう思うのに、あまりの胸の痛みに、体がうまく動かない。
(’e’)『マスター、このままですと相手に一撃しか当てられないまま負けるということになりますよ?』
(# A ) るせェ、……ぜぇ、ぜぇ……分かってらァ!
頭の中に直接流れる合成音声に、悪態をつきながら立ち上がるドクオ。
(# A ) ……はぁ、はぁ……まてよ? 「一撃しか当ててない」だと?
(’e’)『ええ、先ほどのマスターの連撃の中で、当たっていたのはたったの一発だけです』
どういうことだ? と彼は考える。
胸の痛みを一時的に忘れ、冷静に思い直してみると、
確かに先ほどの連続攻撃でモララーが痛がっていたのは一発だけだ。
なぜだ、あのときはなぜ攻撃が効いた?
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:32:41.58 ID:Bfp+HM5G0
('Aナ) ……なるほど、そういうことかよ
( ・∀・) なにが?
見れば、入り口にモララーの姿があった。
('Aナ) さっきの俺の攻撃がなんで効かなかったのか、ってことだよ
再びドクオの下半身に浮かび上がる幾何学模様の変化のスピードが上がり始める。
やがて彼の下半身が赤い輝きにつつまれるが、しかし、ドクオは動かない。
( ・∀・) どうしたのさ、さっきみたいに向かってこないの?
('Aナ) あんたの方からくればいいだろ?
モララーの挑発に、ぶっきらぼうに返すドクオ。
その姿を見たモララーは、ふいに笑い声をあげた。
( ・∀・) あははははは!! そっか、バレちゃったか
先ほど、自分の攻撃がモララーに効かなかった理由。
それは単純なものだった。
('Aナ) セキラの鎧だな? しかもかなり強力なヤツだ。
避けられないほど早い攻撃なら、圧倒的な防御力で受け止めちまえばいいってことだろ
( ・∀・) そうだよ、ただ防御するためのセキラの流動にかなり神経を使うから
自分で動けなくなっちゃうってのが欠点だけどね
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:33:45.75 ID:BYHc3BaA0
ほう
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:33:59.96 ID:Bfp+HM5G0
( ・∀・) でも、それが分かったからってなんだってのさ?
モララーの左掌がこちらに向けられた。
(#'Aナ) !! またかよ!!
ドクオの体から炎が上がる。
それに戸惑う一瞬の隙を、モララーは見逃さない。
( ・∀・) はあああああ!!!
強化された脚力で、モララーは一瞬で自らの間合にもぐりこむ。
ばちばちと音をたてながら赤く輝くその拳を、モララーは再びドクオに向かって振るった。
(;・∀・) あれっ!!?
が、しかし彼の攻撃は、思い切り空を切った。
(#'Aナ) 油断したな!!
(; ∀ ) !!!
足に纏うセキラをつかって天井に張り付いていたドクオが、
そこから落下する速度を利用して強力な踵落としをモララーの脳天に打ち込んだ。
攻撃動作をとっていたモララーは”セキラの鎧”による防御体勢をとることができず、
防御の薄い脳天に、まともに攻撃が入る。
(#'Aナ) そう何回も同じ手が通用するかってんだ!!
モララーに落とした踵を軸に、ドクオはくるりと宙返りして、着地した。
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:34:47.57 ID:Bfp+HM5G0
(; ∀ ) く……ふ……ああ、効くね、これは
頭をさすりながらふらふらとよろめくモララー。
ドクオは下半身に纏っているセキラを活性化させ、脚力を最大限に強化させる。
(; ∀ ) なら、これはどうかな……ッと!!
(#'Aナ) !?
よろめくモララーの左手がこちらに向き、転瞬、ドクオの周りの空間を真っ赤な炎の壁が囲む。
(#'Aナ)(これは……目くらましのつもりか?)
無駄だ、とドクオは思った。
自分がモララーに攻撃を与えられるチャンスは、モララーの強力なセキラの鎧が消える瞬間、
つまり、彼がこちらに攻撃してくるためにセキラの流動を攻撃に集中する、その一点をつくしかないのだ。
この程度の安い挑発に乗ってやるつもりはない。
そう思うドクオだが、やがて彼はモララーの本当の狙いに気付いた。
(# A ) (!!……息が!!)
そもそも、『火』とは物質の急激な酸化現象である。
つまり、それによって酸素が消費されるのは至極当然の道理。
そして周りで燃えているのは、モララーが燃やそうと思ったものを全て焼き尽くす高温の炎。
(# A )(ちッ……ここから動くしかないってことかよ!!)
しびれを切らせ、こちらに攻撃してくるであろうモララーを
返り討ちにするために活性化させていたセキラを、モララーの攻撃から逃れるために使い、
ドクオは自らを囲む”炎の檻”から脱出した。
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:36:00.33 ID:BYHc3BaA0
支援よ
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:36:24.05 ID:Bfp+HM5G0
(#'Aナ) ぜェ……ぜェ……!!
音速に近いスピードで、ドクオは建物の中から飛び出す。
走りながら考えるのは、これまでの戦闘の状況。
こちらの最大の武器は、下半身のセキラを活性化させ、亜音速のスピードを可能にする”超加速”
しかし、モララーが纏うセキラの鎧の圧倒的な防御力の前では、そのスピードも意味が無い。
それを崩し、彼に攻撃を当てるには、向こうが攻撃してくる瞬間、
モララーのセキラの鎧が無くなるその一瞬を待つしかない。
しかし、あの”炎の檻”の前では、自分が相手の攻撃をずっと待ち続けるという作戦も無効化されてしまう。
正直、勝つ手段が全く見つからない。
―――まずい、このままでは冗談抜きに自分は負ける。
『何を弱気になっているのです、あなたらしくもない』
頭に響くセントの声。どうやらセキラと融合している今の状態のせいで、
自分の思考は彼に筒抜けになっているようだ。
(#'Aナ) るせェ……勝手に心読んでんじゃねえよ
(-e-)『モララーのセキラの鎧を打ち消す手段、本当はまだあるんじゃないですか?』
(#'Aナ) なんだと……?
(’e’)『あのモララーと言う男はジョルジュと会ったことがないでしょう?』
それはそうだが、それが一体―――
(#'Aナ) !!……お前、まさか……!!
しえ
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:38:35.48 ID:Bfp+HM5G0
(’e’)『あの男は”ジョルジュの戦い方”を知らない、
それが今の私たちにとっての大きなアドバンテージになる、違いますか?』
(#'Aナ) ……そりゃあ……違わねえけど……
(-e-)『なら、迷うことはないはずでしょう?』
自らのセキラにそう諭されながら、しかしドクオはまだ迷っていた。
(# A ) 俺はまだ、あいつを許したわけじゃない……!!
(#’e’)『いつまで甘ったれたことを言っているつもりですか!!』
(# A ) !!
(#’e’)『”ジョルジュを許せない”などと、
今はそんな悠長なことを言っている場合ではないことくらい、あなたにだって分かっているでしょう!!
この戦いに負ければ、あなたは死ぬんですよ!!?』
頭に響くセキラの叫び声に、ドクオは沈黙する。
普段滅多に声を荒げないセントが、今自分のために叫んでいる。
怒ってくれている。
(#'Aナ) ……それでも、俺は曲げねぇぞ、セント
小さく、しかし決意を籠めた低い声でドクオは言った。
(#’e’)『マスター!!』
(#'Aナ) 俺は、ジョルジュを許さない。でも、モララーのことも許すつもりはない
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:40:30.45 ID:Bfp+HM5G0
(’e’)『!!』
(#'Aナ) だから、俺が”あいつの真似”をするのは、ジョルジュを許したからじゃない。
分かったな? セント
(’e’)『まったく……貴方という人は』
つくづく意地っ張りですねと笑うセントの声に、少年は小さくうるせえと返した。
ふいにドクオは超加速を解いた。
急に停止した足が砂埃を上げながらずざざざざと地面をすべる。
完全に停止したドクオは、自分が逃げてきた方向、モララーがいるであろうそちらに身体を向ける。
('Aナ) ミセリ、居るだろ?
左腰につけたクーのデバイスに軽く触れながら、ドクオは話しかけた。
ミセ*゚ -゚)リ ……うん、居る
('Aナ) お前さんにも手伝ってもらうぜ
ミセ*゚ -゚)リ ……
ミセリは答えない。
('Aナ) ……嫌か?
ミセ*゚ -゚)リ ……わかんない
('Aナ) そっか……
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:41:20.55 ID:Bfp+HM5G0
('Aナ) なあミセリ、クーは、あいつはほんとに……
「ほんとに死んだのか」と言おうとして、しかしドクオは言葉につまった。
なぜか、その先の言葉が出てこなかった。
ミセ*゚ -゚)リ わかんない……けど、信じたくない
('Aナ) そっか、うん。俺もだ
再び場に気まずい静寂が訪れる。
そろそろモララーが追いついてくるころだ。
急がなければと思わなければならないのだろうが、しかしなぜだかドクオはそういう気分にはなれなかった。
ミセ*゚ -゚)リ ドクオは、ドクオは怒ってるの? モラくんのこと
不安そうな声でミセリが聞く。
('Aナ) ……ああ、確かに人並みには怒ってるよ。
でも、どっちかっつーと俺はそれ以上に”許せない”って気持ちのほうが大きい。
ミセ*゚ -゚)リ なにそれ? どー違うの?
('Aナ) わかんね。ただ、なんとなく違う
ふ、とドクオは空を仰ぐ。
下の街の風景は地獄絵図そのものなのに、空の方はバカみたいに晴れ渡っていた。
今日の夕焼けは綺麗になりそうだな、と、なぜだか彼はそんなことを考えた。
('Aナ) 思うんだ、俺はきっと許しちゃいけないんだろうなって
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:42:11.55 ID:Bfp+HM5G0
ぽつり、と少年は呟く。
('Aナ) 他の誰が許しても、きっと俺だけは許しちゃだめなんだ
ミセ*゚ -゚)リ ……何、何の話?
戸惑った様子の声に、少年は少しだけ微笑んだ。
('ーナ) ”人の弱さ”の話。他の全ての人間が許したとしても、
俺だけはそれを許しちゃいけねーって話さ
ミセ*゚ -゚)リ でも、でもさ、弱い人はいるよ?
誰かに手を差し伸べられなきゃ、自分では立ち上がれない人も居るんだよ?
('Aナ) そうだな、確かにそうだ。でも、それをやるのは俺じゃない。
人間には皆役割ってもんがある。
俺の役割は、きっとその弱さを”絶対許さないこと”なんだ。
”優しく手を差し伸べる”なんてのは、俺のガラじゃない。それはむしろ―――
―――怪獣の親友の、いつもニコニコしたあいつの領分だろうさ。
これは遺言なのかもしれない、そう彼は思った。
でなければなぜ自分は、本当は時間がないのに、ミセリとこんな呑気な話をしているというのだろう?
ミセ*゚ -゚)リ ……いいよ
('Aナ) んあ?
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:42:39.30 ID:BYHc3BaA0
支援
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:42:56.06 ID:Bfp+HM5G0
ぼそり、と聞こえる小さな声がよく聞き取れず、ドクオは間の抜けた声で聞き返す。
ミセ*゚ー゚)リ 手伝ってあげる、ドックンの”許さない”っていうヤツ
('Aナ) いいのか? その、気が進まなかったんじゃねえの?
ミセ*゚ー゚)リ まあね、正直、今でもあんまし気が進まないけどさ
そう言うミセリの口調には、少しだけいつもの元気さが戻ってきていた。
ミセ*゚ー゚)リ クーは……クーはね、結局最後の一撃までモラくんを助けたいと望んでた
('Aナ) ……そっか、あいつらしいな
ミセ*゚ー゚)リ だからね、ドックンの話を聞いて思ったの。
もし優しく手を差し伸べられることではモラくんが助けられないっていうんなら
ドックンの”許さない”ってヤツにかけてみるのもいいかなって
('Aナ) ”許さないことで救われる”ってか? なんか矛盾してねーか、それ
ミセ*゚ー゚)リ 全てはドックン次第だよ、あたしらにはサポートしかできないし
('Aナ) 確かにな……そうかもしれねえ
ぼそりとそう呟いた少年は、ポケットから何かを取り出し、
そして、右足の携帯電話にそれを接続した。
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:44:13.83 ID:Bfp+HM5G0
景色が、めまぐるしい速度で変わっていく。
( ・∀・) うっひゃあ、すごいね、これは!
亜音速の速度でビルの間を駆け抜ける少年―――モララーは、
彼が走ることで発生する衝撃波によって割れるビルの窓を見ながら、楽しげに叫んだ。
ドクオのAmazing Kickerは、モララーのUltimateに比べれば格下である。
ゆえに、ドクオにできることなら、モララーにできない道理はない。
セキラを足に集中しての超加速を楽しんでいたモララーは、しばらく走ったところで、
交差点のど真ん中でたたずむドクオの姿を見つけた。
( ・∀・) や、ドクオ。元気かい?
超加速状態のまま思い切り地面に着地するモララー。
その衝撃で、彼の降り立ったアスファルトがまるで爆撃でも受けたかのように砕けた。
('Aナ) ……
( ・∀・) ふふん、こんなところで立ってるとこを見ると降参かな? 『正義の味方』
腕をくんでにやにやと笑うモララー。ドクオはしばらく黙ってその様子を眺めていたが、
ふいに口を開く。
('Aナ) 俺は、あんたを許さねえ
おちゃらけていたモララーの表情が、ふいに真剣なものに変わった。
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:45:07.29 ID:Bfp+HM5G0
( ・∀・) ……ま、そうだろうね。許さなくていいよ。無理に許そうとする必要なんてない。
ボクは『怪獣』。許されるとか許されないとか、もはやそういう領域の存在じゃない
('Aナ) 違う
( ・∀・) ?
('Aナ) 俺が許さないのは、『あんたの弱さ』だ。モララー。
あんたはその『怪獣』とやらを、いつまでも自分の中にただの『夢』として
自分の中に封じ込めておけなかった。俺は、あんたのその『弱さ』を許さない。
( ・∀・) ……
今度はモララーの方が黙る番だった。
ふたたび沈黙。戦闘のまっただなかだというのに、その静寂には緊張が全く無い。
ただ、静かなだけ。
そういう静かさが二人の間に流れた。
( ・∀・) 『正義の味方』そのものの発言だね、ドクオ。
そうだ、キミはそれでいい。『正義の味方』は”人の弱さ”を
―――”悪”と呼ばれるそれを、決して許してはならない
( ∀ ) それがキミの『正義の味方らしさ』だというのなら、
怪獣であるボクにできるのはただ一つ。
自分自身の弱さに言い訳なんてしない……
ばちり、ばちりと、モララーを包むセキラが爆ぜる。
( ∀ ) ただ、圧倒的な力を持ってねじ伏せる。キミのその『強さ』を!!
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:46:13.81 ID:Bfp+HM5G0
モララーの全身が赤く輝き、辺りの空間を真っ赤な光が包み込む。
光が消えたときには、もうすでにモララーの姿も、そしてドクオの姿も無かった。
肉眼では確認できないほどの速度に―――超加速状態に入ったのである。
(# ∀ ) らああああああああああああ!!!
( A #) おおおおおおおおおおお!!!
速度の急激な上昇に、二人の相対的な時間感覚が崩れる。
今、彼ら二人の目には、自分たち以外の全てのものがまるでスロー再生されたビデオのように、
ゆっくりと動いているように感じられた。
空中に静止する砂埃をかき分けながら、二人の拳と足が激突する。
速度の面でも、威力の面でも、勝るのは当然モララーの方である。
弾かれるドクオの足、しかしドクオは攻撃のてを緩めない。
両足を、まるで身体全体を回転させるようにして動かし、モララーに連続した蹴りを放つ。
( A #) オラオラオラあああああああああああ!!!
蹴る、蹴る……蹴る!
幾度と無く繰り返される蹴りの雨。
しかしモララーはその全てを拳で受け止めた。
(# ∀ ) ―――!!
モララーの拳が、一際大きく振りかぶられる。
固められたその拳には、活性化させられたセキラが籠められていた。
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:47:06.35 ID:BYHc3BaA0
sienn
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:47:58.73 ID:Bfp+HM5G0
( A #) !!
一瞬、ドクオの表情に変化が見られ、次の瞬間。
(# ∀ ) く ら え ッ ! ! !
モララーの左拳から発せられた極太のセキラの光線が、ドクオの居た場所を焼き払っていた。
超加速状態が終了する。
拳を空中に放った姿勢のまま、モララーは止まっていた。
先ほどの攻撃の際に破壊されたのだろう。
少し離れた場所にあるビルに、大きな穴が開いている。
そして、そのモララーの手前には
('Aナ;)
―――しゃがみこむ、ドクオの姿があった。
( ∀ )(なぜだ? どうやってあの攻撃をやり過ごした?)
かわす暇など無かったはずだ。
もちろん、ドクオには自分の攻撃を防御するだけの防御力など無い。
では、なぜ?
( ∀ )(そういえば、攻撃の瞬間。ほんの一瞬だけ腕が何かに引っ張られたような……)
そう思った彼は、腕に目をやり、そして見つけた。
―――自分の腕に、”赤い光の紐”が巻きついているのを。
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:49:24.87 ID:Bfp+HM5G0
('Aナ;) 予想どーりだぜ、あんたなら、キメるときはそういう大技で来ると睨んでたんだ
( ・∀・) なるほど、このセキラのヒモでボクの攻撃を反らしたワケね
見れば、その紐の先はドクオの右足のデバイス―――紫色のスマートフォンに繋がっていた。
( ・∀・) でも、だからなんだってのさ? 死ぬのがちょっと遅くなっただけでしょ
こんなもの、外すのは簡単だ。とモララーは思った。
この攻撃は、ブーンが使っていたWhipという形態変化と同系のものだろう。
相手のセキラに巻きつき同化するというこの形態の性質は確かにやっかいだが、
今の自分は5つのデバイスで、完璧なセキラコントロールを可能にしたUltimate。
同化している腕の部分のセキラを消してしまえば、こんな紐をふりほどくことなどたやすい。
モララーは左腕のセキラを消し、そしてドクオの足から伸びるセキラの紐を振りほどこうとして、
―――そして、できなかった。
(;・∀・) え!?
驚くモララー。その隙を見逃さず、ドクオは足のセキラを限界まで活性化させて、宙に舞い上がる。
(;・∀・)(こ、これは、何だ……一体?)
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:49:38.68 ID:BYHc3BaA0
支援
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:51:28.02 ID:Bfp+HM5G0
おかしい、とモララーは思った。
普通のセキラの紐であれば、今の対処法で間違いなく振りほどけるはずだ。
なのに、なぜ同化した部分のセキラを解除した今の状態でもなお、
この紐は自分の腕に巻きついてはなれないのか。
モララーは、自分の左腕に巻きついた紐をよく見て、そして気付いた。
セキラの赤い光のその奥に、セキラそのものを纏っている”黒い紐”が見えることに。
(;・∀・)(これは……携帯の充電用のコードじゃないか!!)
それは、ドクオの悪友―――ジョルジュ長岡が得意とした戦法だった。
携帯電話の充電器、ACアダプタを接続した状態で携帯電話を武器に形態変化させる。
ドクオは、彼のその戦法を応用したのだった。
('Aナ)(セキラの防御膜も無くなり、わずかに相手の動揺も誘う)
(’e’)―Get Set……―
('Aナ)(まさに攻撃には最高の機会……これで最後だ!)
宙を舞う少年は、叫んだ。
('Aナ#) アサルトッ!!!
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:52:17.07 ID:Bfp+HM5G0
(’e’)―Assault:「アメイジングバンカー」―
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:52:58.41 ID:Bfp+HM5G0
(; ∀ ) !!
中空より、まばゆいばかりの赤い輝きがこちらに迫ってくる。
('Aナ#) おりゃあああああああアアアアアアアア!!!
赤い光の向こうに、こちらに向かって左足を向けるドクオの姿が見えた。
(#・∀・) 舐めるな!!
モララーが吼える。
瞬時に右足のデバイスでセキラを活性化させたモララーは、
上段回し蹴りによって、それを向かってくるドクオの足にぶつけた。
('Aナ#) くッ!!
(#・∀・) ―――ッ!!
ぶつかり合う二人の蹴り。
周囲に飛び散るのは赤すぎるほどに紅いセキラの輝き。
拮抗するふたりの力。
しかし、単純なセキラの量では
(#・∀・) !!
―――やはりモララーに分があった。
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:54:53.33 ID:Bfp+HM5G0
まばゆい輝きの中、空中に押し戻されるドクオの身体。
勝った、そうモララーが思ったとき、空中の少年が再び叫んだ。
('Aナ#) アサルトッ!!!
ミセ*゚ー゚)リ ―Assault:「アメイジングパイル」―
ドクオの左腰に取り付けられたデバイス。
そこで限界まで活性化されたセキラが、まるで釘打機から吐き出される釘のように、
ドクオの左足を伝って、接触しているモララーの右足に向かって放たれた。
(;・∀・) なッ……!!?
('ーナ#) なんてこたぁねえ……ただのガキの悪あがきさ。
こんなことをしたからって、あんたに勝てる見込みはゼロだ。
それでも俺はあんたに負けたわけじゃない―――
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:56:06.47 ID:Bfp+HM5G0
「―――『あんたを許さないということ』。それを俺は曲げてねえからな」
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:57:16.48 ID:Bfp+HM5G0
( A )
( ∀ ) 『不屈の精神』……か、
壁にもたれかかるように座っているドクオの姿を見下ろしながら、
モララーはぼそぼそと呟いていた。
あの攻撃のあと、ドクオはモララーの蹴りの威力と自らの攻撃の反動によって吹き飛び、
後方に位置する壁に激突していた。ゆえに、壁にもたれかかる彼にはすでに意識がない。
形態変化も解かれており、彼の身につけていた四つのデバイスは、座り込む彼の周りに散乱している。
( ∀ ) ……きっとボクは素直にキミの『強さ』を賞賛するべきなんだろうね
ぷすぷすと言う音と友に、彼の右足のデバイスから煙が上がっている。
煙の元である携帯電話に入ったヒビが、ドクオの攻撃の凄まじさを物語っていた。
( ∀ ) キミは『強かった』よドクオ。きっとボクなんかより、ずっと
モララーは、胸のうちにクーを倒したときと同じ、
もやもやとした気持ちの悪い感情が湧き上ってくるのを感じでいた。
( ∀ ) これで二人目か。『正義の味方』も残すところ候補は一人になっちゃったね
( ΦωΦ) ……モララー殿
( ∀ ) 分かってる。……そこにいるね? ブーン
呟いて、モララーはゆっくりと振り返る。
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:57:17.06 ID:BYHc3BaA0
しえーん
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 22:58:45.77 ID:Bfp+HM5G0
( ^ω^)
そこには、右手に携帯電話を持ったままたたずむ、彼の姿があった。
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 23:00:03.27 ID:Bfp+HM5G0
( ^ω^)彼らは携帯電話を武器に戦うようです
第十四話「不屈」
おわり
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 23:00:45.84 ID:Bfp+HM5G0
―次回予告―
( ^ω^) やっぱり、君だったのかお
(・∀・ ) 覚えてるかい、ブーン。昔みんなで怪獣ごっこをやってたときのこと
ζ(゚ー゚*ζ―Form Change:「Ultimate」―
( ∀ ) ボクはもう『怪獣』だから……『人間』じゃないから……
第十五話「怪獣」
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 23:02:32.53 ID:BYHc3BaA0
乙でした
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 23:02:59.17 ID:Bfp+HM5G0
+おまけ:「解説」+
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 23:03:41.26 ID:BYHc3BaA0
おっと失礼
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/19(日) 23:05:01.25 ID:Bfp+HM5G0
Samurai:「サムライ」
セキラを刀型に形態変化させるクーのSwordに加え、
もう一つのデバイスを扱うことによって発現した形態。
Sword Shot Iaiの三つの形態を、使用者の意思で自由に変更でき、
そして使用者は下腹部に装着したデバイスにより、Fighterより強い防御力と身体能力を得る。
使用者はクー。
Amazing Kicker:「あめいじんぐきっかー」
四つのデバイスを下半身に集中することにより、脚力を最大限に強化し、
亜音速での高速移動を可能にした形態変化。
速度や足の攻撃力はAmazingに比べ高いが、
代わりに上半身の防御力がFighter並みに落ちてしまうという弱点がある。
使用者はドクオ
73 :
訂正>>31:2010/12/19(日) 23:06:47.47 ID:Bfp+HM5G0
(#'Aナ) だから、俺はあんたを止める。これ以上、誰だって傷つけさせるもんか!!
ドクオは手に持っていたクーの携帯電話を高く空に投げた。
続いてポケットから二つの携帯電話を取り出し、宙に投げる。
一つは、ツーという少女のものである赤いセパレート携帯。
そしてもうひとつは―――
(#'Aナ) 胸糞悪ぃけど使わせてもらうぜ、ジョルジュ。
言っとくけど、俺はまだ、てめえを許したわけじゃねえからな!!!
―――彼の悪友のものである、紫色のスマートフォンだった。
(’e’)『また、戦うのですね。マスター』
コマンドを入力しているゲーム機の画面に、文字が表示された。
(#'Aナ) 悪ぃなセント、もう一踏ん張りだ。これを俺たちの最後の戦いにすんぞ!!!
言いながら、ドクオは正中線上に沿わせ、顔の前で持っていたゲーム機を下腹部に持っていく。
それが調度自分のヘソの下の辺り、丹田の前に来たところで、彼は持っていたゲーム機を横に180度回転させた。
(’e’) ―Form Change:「Amazing Kicker」―
74 :
◆6ZgdRxmC/6 :2010/12/19(日) 23:09:22.34 ID:Bfp+HM5G0
そんなわけで、第十四話「不屈」でした。
読んでくれたやつらほんとありがとう。
代理スレ立てしてくれた
>>1もまじさんくす。
早ければ来週中に投下が終わるかなとか思います。
そんなわけで、今回の投下を狩猟します。
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
あらためて乙