1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
代理です。作者が来るまでしばらくお待ちください。
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/10(金) 21:34:34.46 ID:ixPwQp2+0
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/10(金) 21:35:43.73 ID:oeuEbt0GO
きた!支援!
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/10(金) 21:35:55.72 ID:CK/OyixYI
sie
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/10(金) 21:36:03.63 ID:ixPwQp2+0
_
( ゚∀゚)「おいっす」
( ・∀・)「おう」
教室に入ると、ジョルジュと短い挨拶を交わして自分の席に向かう。
白黒の縞模様のマフラーを外すと、首筋を冷たい空気が撫でた。
(;・∀・)「しっかし、寒いな……暖房どうなってるんだよ」
ひとりごちて、視線を暖房が置いてある方向へと移す。
テントウムシの冬眠のように、クラスメイトが排気口の前で固まっていた。
なるほど、あれなら暖気が教室中に広がらないもの仕方ない。
( ‐∀‐)(だからといって、前を確保するために早く来るのもなー)
頬杖をついて眺めながら、布団にくるまっている心地よさと天秤にかける。
僕の頭の中で、布団が僅差の勝利を収めた時。
突如、ドアの方から何かが勢いよくぶつかる音がし、思わずそちらを向いた。
o川*゚ー゚)o「みんなー!!! おっはよー!!!」
( ・∀・)「……え?」
キュートが開かれた前方のドアの前に立って、元気よく挨拶していた。
o川*゚ー゚)oは残像のようです
第八話 死んでも忘れない気がしてる
「キューちゃんやー! ほんまもんのキューちゃんやー!」
「なんということでしょう、あんなに寂しかった教室がこんなに色鮮やかにいいい!!」
_
( ;∀;)「キューちゃああああああん会いたかったよそのおっppぶべらっ」
教室中の人という人が、一斉にキュートの元へ駆け寄っていく。
頑なに暖房の前から離れようとしなかった集団も例外じゃない。
あまりにも強大な人の壁は、叫びながら飛び込んでいったジョルジュもたやすく跳ね返すほどだ。
「キューちゃん待望論が湧きあがってたのは知ってるけど!
だけど落ち着こうっ!? この勢いじゃ誰か死んじゃうって!!」
余計なひと言を付け加えながら、僕の席からでは姿の見えないキュートがみんなを制する。
事態を飲み込めない頭の片隅で、どこか懐かしさを感じた。
(;・∀・)「……って、懐かしんでる場合じゃない。
待て。色々と待て、何が起きてる? もう学校来れないんじゃなかったのか?」
僕は確かにひと月ほど前、キュートの口からそう聞いた。
あの時の様子からして、実は全部嘘だったなんて事はないだろう。
もし嘘だったらグーで殴るレベルの嘘だ。
「そうだ、こんな事してる場合じゃない! ちょっ、ごめんどいてどいて!」
突如、慌てたようなキュートの声が聞こえてきた。
そして直後、もごもごと人混みが動き始める。
o川*>д<)o「うーん……だーりゃー!!!」
人混みの中からまず最初に、かき分けるように突き出された両腕が出てくる。
次にすぽん、という音でも聞こえてきそうな勢いでキュートの全身が飛び出してきた。
そして、きょろきょろと辺りを見渡して、僕と目があった瞬間。
o川*^ー^)o「あーモララーいたー!! 会いたかったよー!!」
(;・∀・)「うおおおおおおおあああああっ!?」
花の咲いたような笑顔でキュートは僕の胸の中に飛び込んできた。
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/10(金) 21:43:45.82 ID:FJnsMScSO
し
(; ∀ )「おっごおおお……」
したたかに後頭部を床に打ちつけた。
視界にいくつもの星がちかちかと光りながら飛び交っている。
まずいと思ったのか、あせったようなキュートの謝罪の声が聞こえてきた。
(; ∀ )(散々心配させた挙句、これかよ……)
ふつふつと、心の中に怒りが湧きあがってくる。
そうだ、ちょうど胸元にいるんだし、ガツンと説教してやろう。
後頭部の針で刺すような痛みに耐えながら、キュートの方へ顔を向けた。
(#・∀・)「お前な、久しぶりに会っていきな……」
o川;゚ー゚)o「ご、ごめん……だいじょぶ? 痛かったよね?」
( ・∀・)「」
心配そうな表情のキュートの顔が、息がかかるほど近くにあった。
謝罪の言葉を紡ぐために動く唇に、自然と視線が向く。
頭は痛みも忘れ、勝手に公園でも出来事をフラッシュバックさせた。
( /∀//)「だ、だっだっだだっだだだだ大丈夫、だ……よ……」
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/10(金) 21:44:31.85 ID:oeuEbt0GO
支援
o川;゚ー゚)o「ちゃんと喋れてないよ? 頭打っちゃったの?」
( //∀/)「ぜ、じぇんじゅえんふぇいき! にゃんともない!」
まともな事を喋ろうとしても、キュートの顔が目に入るので色々思い出してしまう。
その度にどうしようもないくらいパニックになって、頭の中が真っ白に染まる。
( //∀/)「え、えっとね、うん、ちょ、ちょっと離れてくれないかな……」
o川;゚ー゚)o「え、どうしたの? ねえ?」
太ももをつねる事でなんとか少しだけ冷静さを取り戻した。
かつてないくらいにどもりながら、キュートに僕の上から退くように促す。
( //∀/)「まあ、その、ええ、なん、という、か……色々思い出しちゃうんで……」
頭上に?マークでも浮かんでそうな表情で、キュートが理由を尋ねてくる。
顔から火が吹き出そうなほど恥ずかしかったけど、仕方なく答えた。
o川;゚ー゚)o「色々……? うーん……」
o川;゚ー゚)o
o川;゚д゚)oそ
o川*//д/)o「ぁ……ぅ……ぁ……」
残像きた支援
キュートはしばらく、表情をころころと変えて悩んでいた。
やがて、何かに感づいたように大きく目を見開くと、顔を鮮やかな赤色に染めた。
耳まで茹でダコのようになり、口をぱくぱくさせながら小さく声を漏らしている。
( //∀/)「分かったんだったら……って、なんでもっとくっついてくるんだよ!!」
何故かキュートは僕の制服を握りしめ、顔を胸に押し付けてくる。
ううー、と唸りながら一向に離れようとしない。
( //∀/)「どうしたんだよ……」
「だってぇ……」
顔を上げないままキュートが消え入りそうな声で呟く。
胸にかかる吐息の温かさに、落ち着き始めた心臓が再び高鳴り始めた。
o川*//д/)o「顔見られたくないし、見れないよぉ……」
ちらりと潤んだ瞳で僕を見上げて、そう言うとキュートはまたすぐに顔を伏せた。
制服がより強く握りしめられ、引っ張られるのを肌で感じる。
( //∀/)(ああああああああ可愛いなちくしょおおおおおお!!!)
「おい、おいコラそこのバカップル。ふたりして何顔赤くしてんだ」
殺気を含んだ低い声が聞こえて、意識を現実に引き戻される。
辺りを見渡すと、クラスメイト一同が僕達を取り囲むように立っていた。
みんな一様に表情は冷めきっていて、異様な不気味さを醸し出している。
「何があった、俺達の知らないところでふたりに何があった」
「返答によっては殺す。モララーだけ殺す」
_
(# ∀ )「よし、女子はキューちゃんを確保。男子はモララーを取り押さえろ。
モララーから事情を聞き出せ。何をやっても聞き出せ。聞き出したら内容次第で殺せ」
(;・∀・)「ちょっと待て、今回ばかりはみんな本気だとしか思えないんだけど!?」
いつの間にか現れたボロボロのジョルジュが、みんなに物騒すぎる指示を出す。
じわりじわりと、包囲網が狭まってくる。もっと早く逃げるべきだったかもしれない。
o川;゚ー゚)o「みんなストップストップ! ビークール!」
ようやく元に戻ったキュートが立ち上がり、みんなを制止しようとする。
体が自由になった僕も、立ち上がってふたりがかりで訴えかけようとした。
_
(#゚∀゚)「悪いがいくらキューちゃんの頼みでも、今回ばかりは譲れねぇ!
全員、構え! 目標捕捉! 突撃ぃぃいいいい!」
しかし、ジョルジュはキュートの制止を振り切った。
号令と共に人の壁が迫ってくる。
(;・∀・)「のおおおおおおおおおお!!!」
o川;゚ー゚)o「いっ……みんなごめん! まだ捕まるわけにはいかないの!
モララー、逃げるからしっかり握って離しちゃダメだよ!」
そう言うと、キュートはまだ立てていない僕の手を掴む。
(;・∀・)「えっ、ちょttうおわああああああああ!!!」
僕が反射的にキュートの手を握り返すと、見える景色が一気に後ろへ流れていった。
みんなの声が遠ざかったかと思うと、あっという間に聞こえなくなる。
体が慣性のままに右へ左へ振り回され、全身が満遍なく打ちつけられる。
(; ∀ )(地獄は……ここにあったのか……)
限りなく引き伸ばされた一瞬の中で、僕に分かったのはそれだけだった。
o川;゚ー゚)o「ここまで来れば大丈夫かな……ってここ、どこ?」
(; ∀ )「」
唐突にキュートが止まって、地獄が終わりを告げる。
頭上から聞こえてくる声からして、めちゃくちゃに走ってここに辿り着いたらしい。
そんな事よりも全身が猛烈に痛い。体を動かす気が削がれるほどだ。
o川;゚д゚)o「ねーモララー、ここって……うわぁ!?」
現在地を尋ねようとして僕を見たのか、キュートは驚きの声をあげた。
すぐに繋いでいた手を離して、僕の体を心配そうに揺さぶってくる。
o川;゚д゚)o「大丈夫!? ねえ!」
(; ∀ )「う、ご……かさ、ないで……痛い」
気持ちはありがたいけど、揺さぶられる度に激痛が走る。
もしかして、逃げても逃げなくてもこうなる運命だったのかもしれない。
o川; - )o「……ごめんね、また迷惑かけて」
視線だけ動かして見た表情は、泣きそうになるのをこらえているように見えた。
(;‐∀・)「また、とか言うなよ。迷惑だなんて思ってない」
そう言ってキュートの頭に手を置き、柔らかな髪をくしゃくしゃと撫でる。
撫でている間だけは、不思議と痛みは耐えられる程度に感じられた。
(;‐∀・)「とりあえず、そっとしといてくれ」
o川*゚ー゚)o「……うん」
僕の手を取って頭から離すと、キュートはそっと体の脇に置いてくれた。
元気は取り戻してくれたらしく、静かに微笑むと何故か僕の頭の横へと移動する。
o川*゚ー゚)o「よいしょ、っと」
(;‐∀・)「ん……?」
キュートが僕の頭を持ち上げて手を離す。
しかし、頭は高い位置で保たれていた。
頭の下に何かが入れられているようで、後頭部にほどよい柔らかさを感じる。
o川*゚ー゚)o「初めてやったんだけど、具合はどうですかー?」
その何かが、キュートの膝だと理解するのに時間はかからなかった。
(;・∀・)「な、えええっ!?」
o川*゚ー゚)o「はーい、安静にしてましょーねー」
(;・∀・)「あ、はい……」
慌てて跳ね起きそうになる僕の額を、キュートが手のひらで抑えつける。
為す術もなく体の力を抜くと、そのまま僕の頭を撫で始めた。
同じ体温のはずなのにやたら温かく、同じ手なのにやたら柔らかく感じる。
(;・∀・)「なあ、なんで学校に来れたんだ?」
やる事もないから、ずっと聞く機会を失っていた疑問をぶつけてみた。
o川*゚ー゚)o「おお、なんと奇遇な。モララーに会ったら絶対言おうと思ってたの」
運命かもね、とキュートは嬉しそうに微笑む。
そう言うには些細な事すぎる気はするけど、感じた本人は至って幸せそうだ。
野暮な事は言わないでおこうと思い、替わりに僕も微笑み返した。
o川*゚ー゚)o「えっとね……あの後、あたりまえだけど家に帰ったの。
そしたら、わたしの事はもちろん探してたんだけど、それとは別件で大騒ぎで」
(;・∀・)「別件?」
研究員にとって、キュートが脱走した事と同じくらい慌てる事なんてあるのだろうか。
マウスとは訳が違う、国が介入してくるほどの研究の唯一の研究対象なのに。
o川*゚ー゚)o「わたしが帰ってきたら、研究所のお偉いさんが喧嘩してたの。
詳しく言うと、荒巻博士の支持派と反対派が」
(;・∀・)「なんでそんな事になってたんだ?」
o川*゚ー゚)o「支持派の人が、わたしが脱走したのは反対派がまた研究でわたしを縛ったからだ、って。
逆に反対派の人は、支持派がわたしを外に出さなきゃこんな事は起きなかった、って。
恥ずかしい話だけど、責任のなすりつけ合いしててさ」
恥ずかしいというか、みっともない話だと思った。
非常事態と呼べる状況で、大の大人が互いの揚げ足を取りあっているなんて。
o川*゚ー゚)o「しかし、それを知ったわたしの頭はフル回転! いい事を思いついたわけ!」
自信したくて仕方ない、と言わんばかりにキュートは目を輝かせて口角をつり上げる。
実際に見た事はなかったけど、どや顔というのはこういう顔の事を言うんだろう。
( ・∀・)「面白い、聞かせてもらおうじゃん」
キュート可愛い支援
o川*゚ー゚)o「喧嘩してるところに颯爽と飛び込んでいったわけよ!
話は聞かせてもらった! みたいな感じで!」
o川*>д<)o「それでね、わたしはこう言ってやったの!
『わたし、また普通の生活がしたい! ダメなら何度でも脱走してやるから!』
その場にいた人たち、みんな目を丸くしちゃって……面白かったなぁ」
悲壮感に溢れていた以前の独白とは違い、実に楽しそうに僕に語りかける。
ころころ変わる表情の中に、悲しみを含んだ物はひとつもなかった。
o川*^ー^)o「これで勢いづいた支持派に、反対派はすっかり抑えこまれちゃったの。
それで、色々お偉いさんと話し合って一ヶ月。
ようやく話がついて今日、学校に来れたというわけなんですよー!」
キュートは頬が緩むのを隠しきれないような笑顔を浮かべる。
頭を撫でる手に少しだけ、力が込められるのを感じた。
( ・∀・)「……よかったな、本当に」
o川*^ー^)o「うん!」
キュートの笑顔の奥に、一枚の扉が見えた。
扉に付いたガラスの向こうには、曇りひとつ無い笑顔に似た青空が広がっていた。
( ・∀・)「そういえば、ここって……」
痛みが治まってきた体を起こして、周囲を見渡す。
確認した限り、ここは踊り場のようなスペースになっている。
そばにあるのは一枚の扉と下に続いている階段だけ。
o川;゚ー゚)o「あ、そうだった。ここってどこ?」
( ・∀・)「うーん……多分だけどその扉の先、屋上になってるんじゃないかな?」
o川*゚д゚)o「屋上!? 行く行く!」
キュートは屋上、と聞くなり眼をきらきらと輝かせながら立ち上がる。
いそいそと扉の前まで歩いていくと、ドアノブを握りしめた。
(;・∀・)「待て待て落ち着け! 普通こういうところには鍵がかかっていt」
o川*゚д゚)o「開いたー!」
(;・∀・)「なんですとおおおおおおおお!?」
ドアはあっさり開いて、キュートは青空の下へと飛び出していった。
どうやら僕が思っているより、セキュリティーというのは緩いものらしい。
o川*>д<)o「うっひゃー、さっむーい!」
キュートはスカートを押さえながら、自分の体を抱いて震わせていた。
晴れているとはいえ、クリスマスまであと一ヶ月に迫っている。
加えて、屋上は高い場所にあるので風が強いから当たり前の結果と言えよう。
(;・∀・)「だったら早く中に戻ってこい、風邪ひくぞ」
o川*>д<)o「そんな事言ってー、内心は
『ああ、キュートのスカートがめくれてもう少しで見えそう! 風頑張れ!』
とか思ってるんでしょー! えっちー!」
(;・∀・)「欠片も思ってねえよ!
ていうか、さっきからテンション高いけどめっちゃ震えてるし!
いいからさっさとこっち来い、僕まで寒くなってくる」
o川*゚ー゚)o「うん……正直、自分が言いだしたからすぐ戻るに戻れなかった」
きっかけを掴んだキュートはすごすごと中に戻ってくる。
多分、久しぶりの学校ではしゃいでいるんだろう。
元からこんな感じだった気がしないでもないけど。
o川*゚ー゚)o「あ、そうだ。モララーって放課後空いてる?」
はーはーと息を吹きかけて、手を温めながらキュートが僕に問いかけてきた。
余程寒かったらしいが、なんで変な意地を張っていたんだろうか。
( ・∀・)「んー、帰宅部だし特に予定はないな」
o川*゚ー゚)o「おー! だったら、帰り一緒にどっかに寄ろうよ!
お母さんからおこづかいもらっちゃった!」
嬉々として自分のブレザーのポケットを叩いて見せる。
よく見ると少し膨らんでいる。恐らく財布だろう。
( ・∀・)「いいよ、行きたいところとかあるのか?」
o川*゚ー゚)o「んーとねー」
キュートは宙を見つめながら、顎に手をやって考え始める。
ぶつぶつと独り言を呟いたり、眉間にしわを寄せたり首をかしげたり。
その様子を見ているだけで何時間でも待てるほど、僕を飽きさせない表情の変わりっぷりだ。
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/10(金) 22:09:58.49 ID:CK/OyixYI
sie
o川;^ー^)o「全然思いつかなかったけど、モララーと一緒ならどこでもいいや」
キュートは申し訳なさそうに笑うと、結局僕に一任した。
よく考えれば、今までろくに遊んだ経験もないはずだ。
行きたいところを思いつく事も、キュートにとっては難しい事なんだろう。
(;・∀・)「まいったな……とりあえずぶらぶらと街を歩くか。
歩いてれば何かしら楽しそうなものが見つかるだろ」
o川*゚ー゚)o「それでおっけー! 楽しみだねー、早く放課後にならないかなぁ」
待ちきれないのか、落ち着きなく僕の周りをくるくると歩き回る。
ステップのごとく軽やか足取りで、歩くたびにスカートが生き物のように揺れた。
(;・∀・)「せっかく学校来たんだから、このままここで暇つぶしってのはなしだぞ。
みんなだってキュートに会いたいだろうし、教室に戻ろう」
正直、教室に戻れば確実に五体満足でいれない気はした。
だけど、このまま戻らないと確実に殺されるだろう。
だったらせめて、命は助かる方がいいに決まっている。
(;・∀・)(キュートに気を取られて、僕は放置してくれると有難いな……)
僕が僅かな希望にすがっていると、チャイムが鳴り響いた。
僕たち以外に誰もいないからか、やたら大きく聞こえる。
携帯で時間を確認すると一時間目の始業のチャイムだった。戻るタイミングとしては好都合だ。
o川*゚ー゚)o「そうだね、みんなとも会いたいし戻ろっか。
ちょうどチャイムも鳴った事だし、戻ってもみんな襲ってこないよ……多分」
(;・∀・)「多分ってちっちゃく呟くなよ、不安になるだろうが」
o川*゚ー゚)o「おっと、こりゃ失礼」
キュートは舌をちろっと出して誠意のこもっていない謝罪をする。
そして振り向いて、床に置かれた自分の鞄を肩にかけて立ち上がった。
o川*゚ー゚)o「わたしが先に行くね。そしたらみんな少しは気が緩むよ」
(;‐∀‐)「情けないけど、今回ばかりは是非そうしてもらいたい……」
o川*^ー^)o「あはは、りょーかーい」
軽く微笑むと、キュートは階段に向かって歩き出す。
10分くらいしたら僕も行こう、そう考えながら背中をみつめていた時だった。
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/10(金) 22:13:24.04 ID:FJnsMScSO
支援
急に振り返ったキュートは、照れ笑いを浮かべながら言った。
o川*^ー^)o「せっかく彼氏とデートなのに、死なれたら嫌だしね……えへへ」
( ・∀・)「え?」
聞き返した時には、すでにキュートはいなくなっていた。
( ・∀・)「え?」
薄らいでいく残像から目を離せないまま、僕はもう一度間抜けな声を出さずにはいられなかった。
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/10(金) 22:14:21.32 ID:uFP+vrDb0
支援
( ・∀・)「……落ち着け、落ち着くんだ僕」
そうだ、まずは落ち着く必要がある。
冷静になってから、ゆっくりと考える時間を取ろう。
まずは頭を冷やすべく、再び屋上へのドアを開いた。
( ・∀・)「うん、いい感じに寒いぞ。これでだいぶ落ち着いた。僕は落ち着いた」
とりあえず近くの柵に寄りかかって、街を見下ろしてみる。
住宅街のそばという事もあって、人通りはそれほど多くない。
ゆったりと、静かに時間が流れているように感じた。
( ・∀・)「よーし、落ち着いたぞ。当社比で言うとさっきまでの3割まで落ち着いたぞ。
何回でも言うけど、僕はとっくに落ち着いた。うん、間違いない」
薄々分かっていた事だけど、全く落ち着けていない。
変わった事と言えば、冷たい風に吹かれて寒くなっただけだ。
( ・∀・)「いや、待て。落ち着けていなくても考えられるはずだ。そうだ考えろ、考えるんだ僕」
ひとまず、何故キュートがあんな事を言ったのか考える事にした。
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/10(金) 22:16:20.52 ID:uFP+vrDb0
支援
物事には順序というものがある。彼氏彼女の関係になる事も例外じゃない。
まず、相手の事を好きになる。それから、告白して気持ちを相手に伝える。
そして、相手がOKを出せば晴れてふたりは恋人同士になるわけだ。
( ・∀・)「僕はキュートの事が好きだ。これはゆるぎない事実だ。
そして、キュートも公園での会話からして僕の事が好き。ここまでは何も問題はない」
問題はここからだ。僕には告白した覚えもないし、された覚えもない。
しかし、キュートの中では告白があった事になっている。
となると、ひとつの可能性が考えられる。
( ・∀・)「何かしらの行動を、キュートは告白と受け取った」
放課後に呼びだして付きあって下さいと頼み、よろしくお願いしますと返答する。
これだけが告白というわけじゃない。やり方は人によって無限にあるものだ。
( ・∀・)「何か……何か告白っぽい行動……」
ようやく冷え始めた頭の中の記憶の糸をたどっていく。
しかし、すぐに思考は終わる事になった。
思い出せなかったのではなく、心当たりが見つかったからだ。
(;・∀・)「……あれしかないよな」
瞼を閉じると、今でも鮮明に思い浮かんでくる。
――――――
o川*;д;)o『モララーの事……好きな人の事知れてよかったに決まってるじゃん!!!』
( ‐∀‐)『……そっか』
o川*;д;)o『ぁ……』
( ‐∀‐)『普通って幸せなことかもしれないけど、まだ知らないキュートだけの幸せもきっとあるさ。
もし、見つからないって言うなら、一緒に探すから。ずっと一緒にいて探してやるから』
――――――
好きだと伝えて、その後に抱きしめられて、ずっと一緒にいる、と言われる。
多少は間接的な表現かも知れないけど、告白の了承と受け取ってもおかしくない。
(;・∀・)「まいったな……」
別にキュートと付き合う事は全く問題じゃない、むしろ大歓迎だ。
しかし、あの時の僕は了承する意味で言ったのではない。
この事を知ったら、キュートはひどく傷つくだろう。
(;・∀・)「どうしよう……」
僕の理想としては、まずはキュートの誤解を解きたい。
( ・∀・)(それで……きちんと僕から言おう)
こういうのは男から言うべきだと思っている。
今時はそうとは限らないのかもしれないけど。
( >∀<)「へぶしっ!」
思案にふけっていると、くしゃみが出た。
よく考えたら、結構長く風に吹かれていてすっかり体は冷え切っている。
それに、教室にも戻らないといけない。
(;・∀・)「どうやってそこまで持っていくかは後で考えよっと……」
柵から離れて教室へと戻るべく、ドアへ早足で歩き出した。
教室に戻ると、みんなが授業そっちのけで僕を追ってきて、再び逃げる事になったのはまた別の話だ。
〜〜〜〜〜〜
(゚、゚トソン「それでは、これでホームルームを終わります」
先生がそう告げると、途端に教室は喧騒に包まれた。
鞄に教科書を詰めながら、前の席で大きく伸びをするキュートの背中を見つめる。
すると、視線に気付いたのか、キュートはこちらを振り返った。
o川*゚ー゚)o「実に、長かった。あまりにも、長すぎた」
(;・∀・)「前にも同じような事言わなかったか?」
o川*゚ー゚)o「そうだっけ? 多分、その時もさいっ……こうに楽しみにして待ってたんだよ」
これでもかというくらい溜めに溜めてそう述べる。
そして、勢いよく立ち上がると僕に向かって右手を差し出してきた。
o川*゚ー゚)o「それよりさ、早く行こう! これ以上は一秒も待てないよ!」
イルミネーションでも入れているかのように、綺羅綺羅と輝く瞳で真っ直ぐ射抜いてくる。
せわしなく手を開いたり閉じたりしているのは、早く手を取れという催促だろうか。
(;・∀・)「んー、ああ」
o川;゚ー゚)o「あ……」
一瞬悩んで、手を取らずに立ち上がった。
ぼそりとキュートの残念そうな声が聞こえて、胸を針で刺したような痛みが襲う。
支援!
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/10(金) 22:24:22.02 ID:uFP+vrDb0
支援
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/10(金) 22:26:04.63 ID:fCMQoIbBO
支援
僕だってキュートが望むような事をしたい、してやりたい。
それでも、誤解を解いた上で改めて告白すると僕は僕自身で決めた。
ならば、それまではキュートの好意に甘える訳にはいかない。
( ‐∀‐)(それが……僕なりの、けじめだ)
キュートの方へと向き直り、しょんぼりとしてしまっている顔を見つめる。
ハの字に下がった眉が、僕のした事にどれだけ心を痛めたのかを表していた。
これからもっと傷つけるかもしれないと思うと、鼻の奥にツンとした刺激が走った。
(; ∀ )「……キュート」
o川;゚ー゚)o「……なあに?」
(; ∀ )「キュートに言わなきゃいけない事があるんだ。
街に行く途中で話すから、聞いて欲しい」
o川*゚ー゚)o「……分かった」
僕の心情を察したのか、キュートは僕を見るなり表情を和らげて頷いてくれた。
キュートの目の中で僕がどんな顔をしていたのかは分からない。
だけど、きっと気を使わせてしまうような表情だったのだろうと思うと申し訳なかった。
〜〜〜〜〜〜
o川*゚ー゚)o「そっかぁ、そうだったんだ」
(;・∀・)「ごめん……」
たくさんの店が並ぶ大通りに着いた頃、僕は全てを話し終えた。
キュートは前方を見たまま何度もぼそぼそと呟きながら頷く。
しかし、すれ違う騒がしい街の喧騒にかき消されて、僕の耳には届かない。
o川*゚ー゚)o「で?」
( ・∀・)「……うん?」
唐突に僕の方を向いて、キュートが問いかけて来た。
あまりにも脈絡がなく、意図が読み取れずに思わず聞き返してしまう。
o川*゚ー゚)o「勘違いしちゃったわたしにも責任はあるし、もうこの事はおしまいにしてさ。
問題はこれから私たちはどうするの、って事だよ」
(;・∀・)「えーと、それは、その」
やけにあっさりとしたキュートの態度に、思わずたじろぐ。
動揺し過ぎて、すれ違ったスーツを着た男性とぶつかってしまった。
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/10(金) 22:28:21.00 ID:uFP+vrDb0
支援
o川*゚ー゚)o「さっきモララーが言ってた事からして、ちゃんとした告白すればいいんでしょ?」
(;・∀・)「飛躍しすぎな気もするけど、まあ……」
o川*゚ー゚)o「よし、じゃあ改めて。わたし、モララーの事すk」
(;・∀・)「わああああああ!! 待って、ちょっと待って!」
いきなり告白を始めたキュートを慌てて制止する。
道行く人が何人かこちらを振り返るのが見えたけど、それに構っている場合じゃない。
遮られた本人は不満げに頬を膨らませて、眉間にしわを寄せて僕を睨みつけてくる。
o川#゚д゚)o「なんでー! これだったらいいんでしょー!?」
(;・∀・)「いやいいんだけど! いいんだけど駄目なの!」
o川#゚д゚)o「けちー! 説明を要求する!」
そう言うと、キュートは僕の前に仁王立ちして立ちはだかった。
説明するまで逃がさない、という意味なんだろうか。
気恥かしさを覚えて、防寒具が煩わしくなるほど体が熱くなるのを感じながら、口を開いた。
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/10(金) 22:30:58.32 ID:uFP+vrDb0
支援
(;‐∀‐)「えーと、ですね。
今回こんな誤解が起きたのは、僕が原因だと思う訳でして」
o川#゚ー゚)o「はい!」
(;‐∀‐)「それで、僕なりにけじめを付けようと思ったんです」
o川#゚ー゚)o「それで!?」
(;‐∀‐)「またキュートから言わせるのもあれなんで、僕からきちんと告白しようと思いまして……
だからさっき、キュートの告白を遮った次第でございます。はい、すいません」
o川#゚ー゚)o「モララーからわたしに告白するつもりだったなら、なんで早く言わ……え?」
かりかりしていたキュートの様子が、僕の説明が終わった途端に一変する。
目を白黒させて、口をはしたなくぽかんと開けたまま固まる。
o川*゚д゚)o「もららーカラ、ワタシニ……コクハク」
o川*゚д゚)o「あ、え? それって、その、つまり……わたしの事……」
o川//д/)o「え、え、え? モララーが? わたしの事、すっ、すぅ、す……」
キュートの顔がどんどん赤くなっていくにつれて、落ち着きがなくなっていく。
せわしなく髪をいじったり、手で顔を仰いだり、右往左往したり。
ニヤニヤが止まらない
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/10(金) 22:32:36.13 ID:uFP+vrDb0
支援
o川*//д/)o「ね、ねぇっ! わたし……また勘違いしてない、よね?」
キュートは死にそうなほど潤んだ目で、僕を見つめてくる。
喜びか、悲しみか、恥ずかしさか。どういう感情で潤んでいるのかは分からない。
僕はその目を見つめ返しながら、はっきりとキュートに告げる。
( ・∀・)「そんな心配するなって、勘違いじゃないよ」
o川*//д/)o「……ふはぁ」
緊張の糸が切れたのか、キュートは近くにあったガードレールに倒れるように寄りかかった。
手袋を外し、胸元を摘まむと引っ張っては離してを繰り返している。
o川*゚ー゚)o「……モララー」
( ・∀・)「ん?」
ようやく落ち着いたらしいキュートが、小さな声で僕を呼んだ。
呼びかけに答えると、キュートは立ち上がって僕に向かって軽く頭を下げた。
o川*゚ー゚)o「ありがと」
( ‐∀‐)「……こちらこそ、ありがとう」
キュートが顔を上げるのを待って、僕も立ち上がって頭を下げた。
o川*゚ー゚)o「で?」
(;・∀・)「……うん?」
ついさっきと同じようなキュートの問いかけ。
思わず素っ頓狂な声が喉の奥から漏れた。
o川*゚ー゚)o「ほらほら、ハグハグ」
キュートは僕の正面に立つと、両腕を広げてみせる。
どうぞ来て下さいと言わんばかりの体勢だ。
(;・∀・)「ハグというのは……抱きしめるアレの事ですか?」
o川*゚ー゚)o「いえーす、きゃもぉーん!」
(;・∀・)「なんで今、ここで?」
徐々ににじり寄ってくるキュートから、逃げるように後ずさりしながら質問する。
すると、ぽかんとした顔で質問に質問で返してきた。
o川*゚ー゚)o「え? だってそっちから言ってくれるんでしょ?
だからどうぞ来て下さい、ってやってるんだよ」
( ・∀・)「」
sien
(;・∀・)「あのさ、時と場所ってものを考えたりは……」
学校の下校時間とも重なって、街は多くの人が行き来している。
こんなところで告白なんて、それこそドラマや漫画の世界でしかない事だ。
o川*゚-゚)o「本気だったらどこででも出来ると思ってたのに……」
(;・∀・)「うっ……」
キュートは両腕を下げて視線を落とし、残念そうに小さく呟いた。
その言が、氷柱のような冷たさを持って胸に突き刺さる。
言い返す言葉も浮かばす、ただただ黙り込んでしまう。
o川*゚ー゚)o「そんな落ち込まないでよ、冗談だってば」
(;‐∀‐)(よかった……)
キュートはすぐに顔を上げると少し背伸びをして、僕の頭を軽くぽんぽんと叩く。
向こうは冗談のつもりで言ったらしいけど、結構本気で受け取ってしまった。
好きな人の一挙手一投足というのは、どうしても気にしてしまうものなんだと悟った。
o川*゚ー゚)o「んー、今日のところは我慢してあげるけど」
キュートは僕の頭から頬へと手をスライドさせると、指でぐりぐりと突いてきた。
そして、悪戯を思いついたような笑みを浮かべる。
支援
o川*゚ー゚)o「ずっと待たされるのは、やだよ?」
(;・∀・)「待たせない!ぜっんぜん待たせない、約束する!」
o川*゚ー゚)o「それじゃ、はいっ」
キュートは右手の小指を立てて、僕の目の前に持ってきた。
すぐに意図を理解し、無言で指を絡ませる。
o川*゚ー゚)o「ご唱和ください、せーの……」
互いの顔を見合わせ、タイミングを取る。
キュートの合図で同時に小声で歌い始めた。
o川*゚ー゚)o「「ゆーびきーりげーんまん、うーそついたらはーりせんぼんのーます」」(・∀・ )
o川*゚ー゚)o「ゆーびきっ……たっ!!」
(;・∀・)「いってえ! ひっかかった!」
o川*^ー^)o「あっははは、ごめんねー」
擦れた場所を咥える僕を見ながら、実に嬉しそうに笑う。
約束を守ったら、もっと笑ってくれるんだろうか。
そう考えると、自然と僕も笑みがこぼれてきた。
o川*゚ー゚)o「それではそれでは、今後の為に街を散策しに行こう!
ムード作りが上手く出来ないであろうモララーのために!」
( ・∀・)「おい、後半どういう事だおい」
o川*゚ー゚)o「気にしなーい気にしなーい、行こう行こうっ」
キュートはそう言って僕の手を引き、人混みを掻き分けて歩いていく。
人が僕達を避けているかのように、不思議と誰にもぶつかる事はない。
o川*゚ー゚)o「〜〜♪」
( ・∀・)「……」
鼻歌を口ずさみながら、歩いていく後ろ姿を見つめる。
繋がれた手からは同じ体温のぬくもりが伝わってくる。
手袋をしていない手を温めるように、ほんの少し力を込めて握った。
〜〜〜〜〜〜
o川*^ー^)o「あー、楽しかったー」
日は暮れてすっかり辺りも暗くなり、淡いオレンジの街頭が灯る。
その灯りに照らされて、僕の横を歩くキュートの髪が綺羅綺羅と光りながら宙を舞う。
o川*゚ー゚)o「あれだけ見て回ったのに、見れてないところもあるんだよね……世間は広いね」
( ・∀・)「この街より大きい街なんてたくさんあるぞ。
これくらいで驚いてちゃ、この先驚きっぱなしだ」
o川*゚д゚)o「ほんとー!?」
いちいち反応が大げさだと思ったけど、よく考えればキュートの知ってる世間はとても狭い。
家と研究所と学校、キュートにとって今まではそれが全てだった。
だけど今日、ささやかな自由をキュートは手に入れた。
o川*゚ー゚)o「ここより大きい……何があるんだろ……どれだけあるんだろ」
これがきっかけで、だんだん自由に出来る事も増えていくかもしれない。
そして、いつかは普通の生活が送れるようになるかもしれない。
まだ小さな希望だけど、まるで自分の事のように嬉しかった。
o川*゚ー゚)o「ねぇねぇ」
( ・∀・)「ん?」
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/10(金) 22:44:21.89 ID:uFP+vrDb0
支援
青春だぬぇ
ぼんやりとしていると、キュートが制服の袖を引っ張って僕を呼んだ。
キュートの方へ向くと、上目遣いで真っ直ぐに見つめてくる。
o川*゚ー゚)o「今度は行ってないところに行こうね。
それで、もう行くところが無くなっちゃったら今度は隣町とか行くの。
隣町も行っちゃったら、えっと……」
( ・∀・)「そうだな。たくさん、色んなところに行こうな」
o川;゚ー゚)o「あっ、でもわたしの時間がないかも……」
そう言うとキュートは顎に指を添えて、うんうんと唸り始める。
なんとも余計な心配だ、と思った。
肩くらいの高さにあるキュートの頭に手を置くと、わしゃわしゃと撫でまわしてやる。
( ‐∀‐)「時間が出来るまでいつまでも付き合ってやるって。気にするな」
o川*>д<)o「わっぷ……もー、髪がぐちゃぐちゃー」
キュートは乱れた髪を手櫛で直しながら、ひとりごちる。
しかし、その後に小さくありがと、と呟いたのを僕は聞き逃さなかった。
o川*゚ー゚)o「あ、ここまででいいよ」
( ・∀・)「ん、そう?」
不意にキュートが立ち止まってそう告げる。
内心は、もう少しこうして歩いていたかったけど仕方がない。
o川*゚ー゚)o「じゃーねー、また明日っ」
( ・∀・)「ああ、また明日な」
また明日、という別れの挨拶が今はとても大切なものに思える。
喜びを噛みしめるように、オウム返しをして別れた。
( ・∀・)「また明日……か」
遠ざかっていくキュートを眺めながらぽつりと呟いた。
キュートは周囲の目も気にせず、姿が見えなくなるまで手を振っていた。
( ・∀・)「僕も……帰るか」
こんなに明日が楽しみなのは、いつ以来だろう。
様々な思いを巡らせながら、ざわつく人混みの中へと紛れていった。
〜〜〜〜〜〜
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/10(金) 22:49:59.56 ID:fCMQoIbBO
支援をくれてやろう
「おい! 救急車はまだか!」
「動かすんじゃない! 下手に動かすと危険だ!」
「うわあああああああああああああああん!!! ああああああああん!!」
「ああ……あああ……」
「う……やばいよあれ、死んでんじゃね?」
「血まみれじゃん……動かないし……」
「なんだなんだ、何があったんだ?」
「俺見てたんだけど、なんか最初は子供が道路に飛び出してさ」
「その子が車に轢かれそうになったと思ったら、急に女の子が飛び出して来たんだよ」
「うっわぁ……それであれ?」
「ああ、うん……ただ、妙なんだよな」
「妙?」
「その女の子なんだけど、飛び出して来たっていうかさ……」
「急にその場に現れた、っていう感じなんだよね」
o川*゚ー゚)oは残像のようです
第八話 死んでも忘れない気がしてる
終わり
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/10(金) 22:50:33.44 ID:uFP+vrDb0
支援
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/10(金) 22:52:58.11 ID:fCMQoIbBO
なんちゅう引きだよ……
乙
今北鬱だけはいやあああっっ!!
乙、待ってる。
以上で第八話は終わりです。壷に別れを告げてjaneで投下しました。
次回でついに最終回です、なんとかここまでやってこれました。
これもひとえに読んでくれる皆様のおかげです。最後までお付き合いいただければ幸いです。
次回の投下ですが、23日にネット環境のない実家に帰省する予定です。
なので、この日までに投下がなければ今年中に完結はないと思います。
なるべく頑張りますけど、駄目だった場合は1月中旬頃に投下予定です。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
最後に感想、批評、質問などありましたら気軽に書いていってください。
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/10(金) 22:56:20.72 ID:FJnsMScSO
乙!
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/10(金) 22:56:21.98 ID:7gn+qz80O
乙!
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/10(金) 22:56:22.96 ID:rwsyde2w0
乙!
ついに最終回か……
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/10(金) 23:13:53.19 ID:KOPlorEUO
シベリア図書館より
どなたかo川*゚ー゚)oは残像のようですに乙を配達してプリーズ!
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 00:49:07.52 ID:mQs3ritFO
乙です
乙!
今北乙
ずっと楽しみにしてたんだぜ?
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 01:31:33.76 ID:ZgRwdVDo0
乙!
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
来てたか乙