( ^ω^)( ・∀・)ヴィップハザードのようです /番外編

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1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
代理という名の神かもしれない
2 ◆f3StfLHJdo :2010/12/08(水) 00:00:03.02 ID:8sLlfrWaO
スレたて代理ありがとうございます!

今回は番外編ということですが
ヴィップハザードのようです をまだ読んでいない方には信じられないくらいのネタバレですので、ある意味閲覧注意ということで

それでは投下します
3 ◆f3StfLHJdo :2010/12/08(水) 00:04:07.90 ID:8sLlfrWaO
 
 
 
 ヴィップハザードの全容が明らかにされた、アラスカでの「セント・アイスフォート事件」から1年9ヶ月後。

 警察や政府の手によって完全封鎖されたセント・アイスフォート研究所跡地に、登山装備を施した一人の男が現れた。
 
 
 
(;^ω^)「こ、こんなに遠かったのかお…」
 
 
 米軍直属特殊部隊スターズ隊員、ブーン・ホライズン。
 彼こそ、ヴィップハザードの全てが記述された資料をこの研究所跡から持ち出し、米軍を通してマスコミに公表した第一人者だ。
 
4 ◆f3StfLHJdo :2010/12/08(水) 00:07:53.98 ID:8sLlfrWaO
 
 
 結論から言うと、マスコミがヴィップハザードに関する記事をばらまいたおかげで、世間では暫くお祭り騒ぎだった。
 形だけで言えば、これは単なる新兵器開発の未遂だ。しかし、その強烈で現実味の無い内容が、世界中を混乱させた。

 ウイルスを通して、対象となる生物を「二度生かす」という、新しい概念の生物災害。
 何より恐ろしいのが、セント・アイスフォート研究所跡にて命を失ったある男が、たった一人でこのヴィップハザードの研究を成功させていたという事実だ。
 その頭脳と行動力は、何か別の慈善的なものに当てるべきだった。という声が最も多かった。
 
5 ◆f3StfLHJdo :2010/12/08(水) 00:11:17.60 ID:8sLlfrWaO
 
 
( ^ω^)「動機は知らないけど…それでも世間の言う通りだお、シャキン」
 
 
 PMC密行部第3課傭兵部隊チームアルファ隊長、シャキン。
 研究所跡にて散ったこの男こそ、セント・アイスフォート事件の主犯であり、ヴィップハザードの研究の第一人者である。

 彼がこの研究に動き出したきっかけには、未だに認知度が低い、悲しい世界情勢がある。
 彼は正しい世界を築きたかった。ただそれだけなのだ。
 
6 ◆f3StfLHJdo :2010/12/08(水) 00:18:16.44 ID:8sLlfrWaO
 
 
( ^ω^)「あまり変わってないおね…」

 ブーンはその場に立ったまま、完全封鎖された研究所跡をしみじみと眺めた。
 灰色の平べったい建物。お世辞にも綺麗とは言えない外観。
 あの時と違うのは、雪が降り積もっていないことくらいか。
 
 
( ^ω^)「……この事は一生忘れないお。みんなの死も、何もかも」
 
 
 たった一つの資料をめぐって、米軍直属特重装殊部隊ラフィンとチームアルファが争っていた。
 そこにスターズの二人が派遣され、彼らは米軍の期待通り、その資料を持ち帰った。

 この一晩の事件を含む、ヴィップハザードの研究により失われた命の数は、計37人。
 実験の為に拉致された人間達、興味本位で研究所跡に侵入した人間達、実験の有無や資料の存在を見極める為に派遣された人間達。その理由は実に様々だ。
 
7以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:22:50.83 ID:SAw0SZ1CQ
たまたま『ようです』検索したら番外編が来てたとは…
もちろん支援するぜ!
8以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:24:20.29 ID:sJbyjOWo0
あーこれ二年前くらいに見たわー
9 ◆f3StfLHJdo :2010/12/08(水) 00:25:13.22 ID:8sLlfrWaO
 
 
 だからこそ忘れない。
 人の賢さと愚かさ。人の強さと弱さ。それら全てが凝縮されたのが、このセント・アイスフォート事件なのだから。
 
 
 
 ブーンは研究所跡に入ろうと外壁の外を回ったが、どこも完全に封鎖されていた。
 
 
( ^ω^)「困ったお…これじゃ来た意味がないお」

( ^ω^)「…あ!わかったお!」
 
 
 急に閃いたブーンは、研究所跡の外庭の方へと急いだ。
 そこは、ヴィップハザードが生んだ化け物、ニコチューと最後に対峙した場所だ。
 そこで機転を利かせたモララーが、外庭のハシゴから屋上へと移動し、ニコチューを倒したのだ。
 
 
( ^ω^)「確か、屋上からも入り口があったお!」

 ハシゴを登り、屋上に立つ。
 そこには、黒ずんだニコチューの血痕が未だに残っていた。
 
10 ◆f3StfLHJdo :2010/12/08(水) 00:30:00.18 ID:8sLlfrWaO
 
 
( ^ω^)「すごい強敵だったお…」

 今思い返しても、なんだか信じられない。
 銃弾をも避ける瞬発力に、大きく鋭い爪に、とにかく凶暴な性格。
 まるで空想の世界にいるような化け物と、現実で対峙したのだ。
 随分と苦労をしたが、ニコチューの「高い場所を好む」という単純な性格故に、勝負をつけることができた。
 
 
 
( ^ω^)「お、あったお」
 
 
 下へと続くであろう扉が、床に設けられていた。
 ここは外壁ほど厳しく封鎖されてはいない。汚れた「KEEP OUT」のテープを外し、ブーンは重い扉を開けた。
 
11 ◆f3StfLHJdo :2010/12/08(水) 00:37:13.38 ID:8sLlfrWaO
 
 
(;^ω^)「ちょwww換気ww」
 
 
 中は思っていたよりも廃れてきていた。
 侵入した時よりも埃っぽいし、所々に蜘蛛の巣らしきものが見える。

 相変わらず薄暗い廊下の、セント・アイスフォート研究所跡二階。
 ブーンはキョロキョロと見回しながら、廊下を進んだ。
 
 
( ^ω^)「…ここは随分と綺麗になってるお」

 ブーンはある部屋の前で足を止めた。
 2‐A3。ラフィンの4人が待機していた場所だ。
 当時は武器や食料、医療品などが山のようにあったが、今では綺麗さっぱり無くなっている。

 ただ、天井にある無数の弾痕だけは、あの時のままだった。
 
12 ◆f3StfLHJdo :2010/12/08(水) 00:42:01.73 ID:8sLlfrWaO
 
 
 部屋の中を一通り眺めたあと、ブーンは階段を下りた。

 最初にラフィンに襲われたときの弾痕が、まだ壁に残っている。
 
 
( ^ω^)「あの時は本当に焦ったお…」
 
 
 他の人間がいること自体が予想外だったのに、ましてや攻撃されるなんて、夢にも思っていなかった。
 それも、同じ米軍に。
 
 
( ^ω^)「今となっては良い思い出だお、うん」
 
 
 
 階段を下りると、またも当時より片付いた廊下が現れた。
 ラフィンが携帯していた対戦車ロケット砲、ディームハントロケットを被弾した場所だ。
 
 ロケットによって崩れた壁も、出来上がった瓦礫の山も、綺麗さっぱり無くなっていた。
 
13以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:44:14.28 ID:sJbyjOWo0
チッ、しょうがねぇ///
14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:44:23.22 ID:CucWKj5NO
ネルマエ支援
15 ◆f3StfLHJdo :2010/12/08(水) 00:45:41.85 ID:8sLlfrWaO
 
 
 ブーンは一階を回ることなく、そのまま地下へと向かった。
 もちろん、一階に思い入れが無いわけではない。ただなんとなく、地下へと急ぎたかった。
 
 
(;^ω^)「うわ…真っ暗だお……」
 
 
 電気の通っていない今、地下の廊下は暗闇と化していた。
 もし幽霊なんてものが実在するのなら、恐らくこういう場所を好むのであろう。
 此処で37人が犠牲になったのだ。幽霊の一体や二体、出てきてもおかしくはない。

( ^ω^)「…いや出てきてほしいわけじゃないからね」
 
 
 懐中電灯で辺りを照らしながら、ブーンは廊下を進んだ。
 回の字に成っている廊下の、左側を歩む。
 
16 ◆f3StfLHJdo :2010/12/08(水) 00:49:00.59 ID:8sLlfrWaO
 
 
( ^ω^)「懐かしいお…ここでモララーと大喧嘩したんだお」

 爆発の跡がちらほら残る、科学実験室。
 相棒のモララーと戦った場所だ。

 あれは喧嘩なんてものじゃなかった。
 まさに殺し合いだ。銃を持った人間同士の戦いなので、それは必然的なものだったのかもしれないが。
 
 
 
( ^ω^)「…そろそろ行くかお」
 
 
 一番奥の部屋、医療実験室へ向かう。
 ブーンが今回この研究所跡を訪れた目的が、この医療実験室なのだ。
 
17 ◆f3StfLHJdo :2010/12/08(水) 00:54:46.94 ID:8sLlfrWaO
 
 
( ^ω^)「……」

 チームアルファと最初に出会った場所。
 その雰囲気の良さに、少し羨ましく感じた覚えがある。
 
 
( ^ω^)「さて……」

 とりあえず目的地には着いた。
 背負っていた登山用の大きなリュックをおろし、ボロボロな椅子に座り込む。
 そして、静かに声を洩らした。
 
 
( ^ω^)「…この研究所から、全てが始まったんだお」
 
 
 誰の耳にも届かない、小さな声を。
 
18 ◆f3StfLHJdo :2010/12/08(水) 00:59:34.63 ID:8sLlfrWaO
 
 
( ^ω^)「運命って言葉は嫌いだお」
 
 
 それでも、独り言を続ける。
 
 
( ^ω^)「すべては定められしこと、それは神のみぞ知ること…そんなもの、信じられるわけないお」

( ^ω^)「だって」
 
 
 暗闇が、ブーンを包む。
 
 
( ^ω^)「人の道は、人が創るもんだお」
 
 
 彼は、ゆっくりと銃を取り出した。
 
19 ◆f3StfLHJdo :2010/12/08(水) 01:03:28.45 ID:8sLlfrWaO
 
 
( ^ω^)「それとも、本当に神様ってもんがいて、人の運命を定めているのかお?」

( ^ω^)「…なんかそんな気もしてきたお…」
 
 
 オートマティックの拳銃を、セーフティーを解除し、静かにスライドさせる。
 カチン、という音が辺りに響いた。
 
 
( ^ω^)「そうだ…最後に神様を気取るのも悪くないお」
 
 
 その銃口を、自らの側頭部に当てる。
 
20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 01:04:03.87 ID:sJbyjOWo0
!?
21 ◆f3StfLHJdo :2010/12/08(水) 01:08:15.03 ID:8sLlfrWaO
 
 
( ^ω^)「これは運命だお」
 
 
 目を閉じる。
 
 
( ^ω^)「すべては我の定めし事象…従うがいいお」
 
 
 引き金に、人差し指を当てる。
 
 
( ^ω^)「覚悟を決めたならば、行くがよい」
 
22 ◆f3StfLHJdo :2010/12/08(水) 01:12:02.85 ID:8sLlfrWaO
 
 
 
「さあ死ね。ブーン・ホライズンよ」
 
 
 
23 ◆f3StfLHJdo :2010/12/08(水) 01:14:58.21 ID:8sLlfrWaO
 
 
 すべては神の定めしこと。すべては人の定められしこと。

 ならば、人の生とは一体何なのか。

 それはただのゲームなんかじゃないし、神の単なる娯楽であるはずもない。
 ブーン・ホライズンが自ら命を経った理由。果たしてこれも、定められしこと、なのだろうか。
 
 
 彼が死ななければならなかった理由。

 それは、この日より少し遡った時の、ある事件がきっかけとなる。
 
 
 
 
 To be countienued...
 
 
24 ◆f3StfLHJdo :2010/12/08(水) 01:21:34.72 ID:8sLlfrWaO
以上で番外編は終わりです
番外編というよりスピンオフかな?

とりあえず今回はヴィップハザードの続編を宣伝するような形で書かせていただきました
本当は原作のスレに書きたかったのですが、余裕で落ちてますしね…

支援の皆さんありがとうございました!
そしてヴィップハザードをまとめてくださったサイトの皆さん、ありがとうございます!!
25以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 01:22:40.14 ID:jTODEePC0
はやく続編つくれよks
26以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 01:23:15.38 ID:SAw0SZ1CQ
なんだと…続きが気になるじゃないか
続きはいつ頃投下予定?
27以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 01:23:18.48 ID:a1Az6vHH0
乙!
次はいつぐらいに投下するの?
28 ◆f3StfLHJdo :2010/12/08(水) 01:32:22.61 ID:8sLlfrWaO
時期はよくわかりませんが…
とりあえず前のように一つのスレに全話投下するなら2ヶ月後くらいになるかと思います
29以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 01:35:19.54 ID:sJbyjOWo0
俺の は 唖然 と した
30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 01:39:24.77 ID:CucWKj5NO
ゆっくりでいいよ、頑張って下さい
31以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 03:48:15.83 ID:05YNjdrgO
32以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします