1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
代理って言ったら代理
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/06(月) 23:11:49.35 ID:kS3PS5pk0
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/06(月) 23:13:35.68 ID:n6qPnL6oO
シエンタ
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/06(月) 23:14:43.94 ID:kS3PS5pk0
VIP市内、ラウンジ社の所有するとある施設。
そこでは今、ある「実験」が行われようとしていた。
そこは、何の調度品もない、清々しいまでにシンプルな内装の部屋だ。
学校の教室ほどの広さのあるそこに並んでいるのは、
街中でよく見かけるラウンジ社制の凡庸人型ロボットTASIRO。
業務用、福祉用、個人所有用など作られた目的によって性能や色こそ違うものの、
見た目は殆んど同じそれらがじっと立ち並ぶ様は、
見るものにどこかの美術館にでもいるかのような錯覚を起こさせる。
雑然と並ぶそれらの数は9。
皆一様に首を少し下へ傾け、起動中は緑色に輝くはずのその”目”に、今光は灯っていない。
彼らは、今ある「命令」を受けその場に待機していた。
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/06(月) 23:16:19.26 ID:kS3PS5pk0
「いよいよですね」
TASIROたちの並ぶ部屋のすぐ外。
強化ガラス一枚をへだてたその部屋の中にいるのは、白衣やスーツを着た数人の人間たち。
にやけた顔をする者、真剣な眼差しをしている者、部屋にいる彼らの表情は実に様々だ。
今からこの部屋で行われようとしている「実験」。
それは、ラウンジ本社でも上層部のごく一部の人間たちが極秘裏に行うものだ。
当然、日の下で堂々とできるようなものであるはずがない。
ふいに、その部屋にいる人間たちの表情に変化が現れる。
彼らの見守る視線の先、コンクリートの床が広がるその無機質な部屋の奥の壁の一部がゆっくりと開いたのだ。
開いた壁の、その向こうに広がるのは深い闇。
ふいにその暗闇に、一つの赤い光が灯る。
「……来たか」
暗闇の中から現れるのは、一体のTASIRO。
ボディ全体に迷彩色を施されたそれは、明らかに普通のTASIROには見えない。
「はじめろ」
スーツを着た一人の男が、静かにそう告げる。
「わかりました、シュミレーションを開始します」
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/06(月) 23:18:33.18 ID:kS3PS5pk0
ヘッドセットをつけた白衣の男が、目の前のコンピューターに迷彩色のTASIROへの命令を打ち込む。
〔○〕
ぼうっと輝く、迷彩TASIROの赤い目。
それとともに、俯いたままじっとしていたTASIROたちの目に光が宿り、そして彼らは自らにプログラミングされた行動を開始する。
彼らのとった行動は様々だった、迷彩TASIROから逃げるもの、迷彩TASIROに襲い掛かるもの。
それは一つの”状況”を想定されたシュミレーション。
「……おお!!」
それは誰があげた声だったのか。
ふいに室内に満ちていた静寂が打ち破られる。
窓の向こう側には、迷彩TASIROの蹴りで吹き飛ばされたTASIROの姿があった。
「どうですか、この動き。まるで人間そのものでしょう? これが我々の開発した最新型のバランサーの性能です」
興奮したように、ひとりの作業服の男が言った。
彼の言葉が聞こえているのかどうかはわからない、
しかし、部屋の中の全ての人間たちは窓の向こうの一体のTASIROの動きに魅了されていた。
放たれる蹴り、拳。まるで人間のような、いや、人間そのものと言ってもいいその動き。
軽やかに動くそれは、遠距離に逃げるTASIROの手に装備された超低反動小型機関銃を乱射する。
―――それは人間の手によって作られた、”戦争”という状況の縮図。
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/06(月) 23:23:44.44 ID:kS3PS5pk0
悲しいかな、科学の進歩というのはいつの時代も戦争と友にやってくる。
戦争の道具は作らない、そう言っていたこの国の中でさえもそれは同じことだった。
きっかけは、ある大国の戦争。
戦争をしなければ経済が危ない、しかし死人は出したくない。
そんな大国が目をつけたのは、安価な二足歩行を一般家庭まで普及させるという偉業を達したこの国の一企業だった。
需要があれば、供給がなりたつ。
なにより「兵器」であればいままでよりかなり高コストで商品を開発できる。
その事実はTASIROを作った研究者たちの探究心を大いにくすぐった。
結果生まれたのが、この試作品。
体にこれでもかと兵器を搭載し、人間なみの動きを可能にしたこのTASIROだ。
「すばらしいな、あとは改善点を見つけて量産に踏み切るだけか……」
窓の向こうの迷彩色意外のTASIROたちが全て破壊されたのを確認した重役の一人が口を開く。
このTASIROが広く普及すれば、戦争そのものが変わる。
人間同士が殺しあう時代は終わりを迎えるのだ、そしてこれから始まるのはTASIROたちによる代理戦争。
これまで血を流し続けてきた人類の歴史に、自分たちが終止符を打つ。
彼は興奮と、これからの未来への希望で少し声を震わせながらそう言った。
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/06(月) 23:24:44.87 ID:kS3PS5pk0
そのときだった
「なんだ、どうした!?」
「わかりません、試作品、こちらの命令を受け付けません!!」
突然慌しく騒ぎ始める技術者たち。
何が起こったのか、そう重役が尋ねようとする前に彼は自分の目でその異常事態を確認した。
音を立てて割れる強化ガラス。
現れるのは、赤く輝く目に一つの文字を表示させた迷彩色のTASIRO。
〔(Ω)〕 よう
彼はまるで親しい人間にそうするように右手を挙げ、
呑気な口調でそう言うと、瞬時に天井に向かって右腕の機関銃を打ち鳴らす。
驚き伏せる人間たち。音が止み、彼らが顔を上げたとき、そこに迷彩TASIROの姿は無かった。
振り向けば、破壊されている部屋のドア。
逃げられた、その事実に部屋中の人間が顔を青く染めるまで、そう時間はかからなかった。
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/06(月) 23:26:10.19 ID:kS3PS5pk0
( ^ω^)彼らは携帯電話を武器に戦うようです
第十話「理解」
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/06(月) 23:28:59.44 ID:kS3PS5pk0
塀の並ぶ、道路。
時刻的にいつもなら昼食の材料を求める主婦たちが闊歩するであろうそこで今、
一人の少年が大量のTASIROたちと戦っていた。
(;^ω^) くっ!!
〔(α)〕 ―――ッ!!
その数は、おおよそ8体。
〔(α)〕 どうしました? 少し息が切れてきているようですが
(;^ω^) 心配ご無用です、おッ!!
その手に持つ光の剣と、右手を覆う籠手。
ただひとつそれだけを使って、少年――ブーン――は自分の周りを囲むTASIROたちを必死にけん制していた。
(#^ω^) おおおおおおおおおおおおおおお!!!!
彼の周りを囲むのは、目に「α」の文字を表示したTASIROたち。
彼らがその手にもつ武器は、実に様々だ。
〔(α)〕 はッ!!
〔(α)〕 せいッ!!
ブーンの両脇から、その右手の甲から赤い光の剣を伸ばすTASIROたちが襲い掛かる
(;^ω^) ―――!!
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/06(月) 23:29:58.63 ID:kS3PS5pk0
〔(α)〕 !? 〔(α)〕
攻撃が空を切ったことに驚く二体の”アルファ”たち。
( ^ω^) どこ見てるんですかおッ!!
そこに右腕を覆うセキラによって強化された脚力で、高く空中に飛んだブーンが斬りかかった。
〔(α)〕 ――!!
ブーンの斬撃によって、一体のTASIROが右腕を斬り落とされる。
(;^ω^) !?
しかし彼が着地したその場所には―――
〔(α)〕 〔(α)〕 〔(α)〕
―――拳を固め、待ち受ける三体のアルファたちの姿があった。
(;^ω^)(しまった……さっきの一体は”捨石”かお!!)
思うより早く、ブーンの腹に迫る三つの拳。
ブーンはとっさにそのうちの一つを右腕の籠手で受け止め、
後ろに吹き飛ばされることで残りの二つの拳を回避する。
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/06(月) 23:31:25.48 ID:kS3PS5pk0
(;^ω^) ―――くッ!!
砂煙を上げながらなんとか後方の地面に着地し、態勢を立て直そうとするブーン。
〔(α)〕 まだまだ、終わりませんよ?
(;゚ω゚) ……ッ!!?
響いたのは高く落ち着いた声。
それとともに襲い来るのは、”右腕を上にひっぱられるような”感覚。
見ればその右手には、赤い光の”鞭”が巻きつき同化している。
(;゚ω゚) いつの間に―――!!?
〔(α)〕 はァッ!!!
アルファの叫びと友にブーンの目に映る景色が、まるで走馬灯かなにかのように回転する。
同時に全身にジェットコースターに乗っているときのような、
恐怖とも不快感ともつかないような感覚が走り
そして気がつけば、目の前に迫るのはコンクリートの地面。
(#^ω^) ……なめんなお!!
ζ(゚ー゚*ζ―Form Change;「Fighter」―
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/06(月) 23:33:05.33 ID:kS3PS5pk0
地面に打ち落とされる直前に腹に携帯電話を押し当て、セキラによって強化された身体能力を使って空中で反転。
(#^ω^) まだ終わらないお!!
着地に成功したブーンが叫ぶ。その手には、反転する最中に空中で掴んだセキラの鞭があった。
〔(α)〕 !?
(#^ω^) お返しですおッ!!
空中に投げ出された一体のアルファは、とっさにセキラの鞭を消し、ブーンの「投げ飛ばし」から自らを解放する。
しかし空中に投げ出された彼のカメラレンズに映るのは
〔(α)〕 何……!!
(#^ω^) おおおおおおおおおおお!!!!
自分と同じアルファの一体を足場にし、拳を固めてこちらに飛んでくるブーンの姿。
〔( )〕 ガ……っ!!?
がしゃんという音と友に、アルファの文字を表示させていた彼の大きな目は砕かれ、
同時にそのカメラに映った風景を見ていた彼の視覚処理システムが停止する。
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/06(月) 23:33:51.57 ID:kS3PS5pk0
(;^ω^) ふぅ……ふぅ……
拳をTASIROの顔面から引き抜きながら、肩で息をするブーン。
〔(α)〕 さて、それで終わりでしょうか?
ふと顔を上げると、周りを囲むアルファたちの姿が目に映る。
(;^ω^)=3 ……まったく、ちょっとは手加減して欲しいですお
軽口を叩き、そっと立ち上がりながらため息を吐くブーン。
しかし、彼の内心は言いようのない緊張感で満たされていた。
〔(α)〕 だから二人がかりでも構わないと言ったではないですか
(;^ω^) 僕に言われても困りますお……
どちらかというと、自分はこの数の敵を相手にするなら、
できればアルファの提案通り二人がかりで応戦したかった。
でも、その提案を蹴ったのは自分の相方のほうだ。
なのでそんな風に自分を責められても困る。
そんなことを頭の隅で考えながらも、ブーンの意識は自分を囲むアルファたちから離れない。
一瞬でも気を抜けば、それが命取りとなる。
そのことをブーンは、先程までの彼との戦いで身をもって理解していたからだ。
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/06(月) 23:35:05.62 ID:kS3PS5pk0
〔(α)〕 どうしたのです、こないのですか?
(;^ω^) ……
挑発してくるアルファに対し、ブーンは無言。
〔(α)〕 ふむ、降参するなら今のうちですよ?
(;^ω^) それは……しませんお。絶対に
二度目のアルファの挑発に、しかし今度ははっきりと答える。
それを見たアルファたちが、皆一様に顎に手を当て「ふむ」と呟いた。
〔(α)〕 ”信念”、ですか……
( ^ω^) ……お?
感慨深そうに一言そう言うと、ふいにアルファたちは戦闘体勢をといた。
〔(α)〕 なるほど、それがあなたがた「人間」の強さではあるのでしょう
解かれた戦闘体勢に、なんだか人間に対して友好的と取れる言葉。
ひょっとしたら、このまま目の前の彼らと和解できるのではないか?
そんな甘い考えが、一瞬ブーンの頭をよぎる。
〔(α)〕 ……しかし、その強さが時としてアダとなる
そう言った彼の寂しそうな声を聞いて、なぜかその考えは跡形もなく消し飛んでしまったけど。
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/06(月) 23:36:17.02 ID:PY2A3nz90
支援
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/06(月) 23:36:39.97 ID:kS3PS5pk0
〔(α)〕 私たちは……TASIROは本来ネットワークに繋がれることはありません
( ^ω^) お?
突然脈絡のないことを言い出す彼に、ブーンが訝しげな表情を作るが、構わずに彼は続ける。
〔(α)〕 それなのに、私やベータ、ガンマは独自のネットワークで繋がることができた。なぜだと思います?
(;^ω^) お……そういえば
なぜだろうと考えるブーンをよそに、目の前のアルファのうちの一体が、ばっとその両手を振るう
(;^ω^)(攻撃ッ!!?)
思わず防御姿勢をとるブーン。しかし攻撃による衝撃はいつまでたっても襲ってこない。
〔(α)〕 ……”これ”が、私たちの「独自のネットワーク」の正体です
ブーンの調度目の前に位置する一体のアルファ。
両手を広げた彼の指先から伸びるのは、七本のセキラの”糸”だ。
( ^ω^) ……この”糸”……これが「Control」の正体、ですかお?
〔(α)〕 ええ、この”糸”を使って私の持っている情報を
他の”私たち”と共有する。これがこの形態の本質です
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/06(月) 23:37:24.31 ID:kS3PS5pk0
〔(α)〕 最初、私はこの”糸”を使って、
あなたたちが”インターネット”と呼ぶこの星のネットワークにアクセスしました
少し声色を落とすアルファ。
平たい顔に大きな目がついただけの彼のその顔に、表情などもちろんあるはずもないが
しかしブーンは、彼がどこか遠くを見ているような、そんな気がしてしかたがなかった。
〔(α)〕 様々な……本当に様々な情報を得ました。
それこそ夕飯のおかずなどの誰でも知ることができることから、
普通の人では知ることもできないようなことまで
( ^ω^)
す、とブーンは構えを解く。
今の彼に攻撃の意志は無いように思えたし、
なにより構えたまま今の彼と対峙することは彼に対してとても失礼なことのように思えたから。
ζ(゚ー゚;ζ ブーンさん……?
( ^ω^) 大丈夫だお、デレ
腹部から携帯電話をとり外すブーンに、デレが不安そうな声を出すが、それに対してブーンは落ち着いた声で返した。
それを見たアルファが、自分の指から出るセキラの”糸”をしまう。
同時に先程まで彼が操っていたTASIROの目から光が消え、頭を俯かせた。
とりあえずは休戦、この態度はそう受け取っていいだろう。
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/06(月) 23:38:44.76 ID:kS3PS5pk0
〔(α)〕 私の中に入る様々な情報、そのなかで私が一番関心をもったのはこの星の”戦争”という文化でした
ふ、とアルファが顔を俯かせる。
〔(α)〕 大勢の人と人が、争い、殺しあう……その理由はなんなのか、私は自分の中で必死に情報を整理し、そしてひとつの結論にたどり着きました
( ^ω^) その結論が、”信念”だったってことですかお?
こちらの声に顔を上げたアルファは、こくりと頷く。
〔(α)〕 もちろん、それが悪いものでないことは私も十分わかっているつもりです
「しかし、だからこそタチが悪い」そう言ってアルファは、首を左右に振った。
〔(α)〕 「信念」というものは、それを持つ人間にとっては本当に大切で譲れないものなのでしょう?
今のあなたを見ていればわかります。「信念」を持つ人間はそれを決して曲げようとはしないし
そしてだからこそ、人間たちは憎みあい争わなくてはならない。
……自らの大切なものを、守らなくてはならないから。
( ^ω^) ……
アルファの言葉に、ブーンは無言。
〔(α)〕 私は、ただ怖くてしかたがないのです。
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/06(月) 23:40:09.46 ID:kS3PS5pk0
( ^ω^) 怖い……? なにがですかお?
ふいに二人の間を、風が通り過ぎた。
その風は、まるで決して相容れぬ二人を、しかし争わせまいと遮るようで
〔(α)〕 本来、知的生命体の生活を助けるために作られたはずの私たちが、
ただの兵器になり下がってしまうかもしれない……その可能性が、です
だがしかし、おそらく彼らは争わなくてはならない
( ^ω^) なら、僕が全てのセキラを集めますお。僕はあなたたちを絶対にそんなことに使ったりしない
〔(α)〕 その保障がどこにあります? 強い力を手に入れれば人は変わってしまう
仮にあなたが”私たち”を集めることができたとして、それを争いの武器に使わない保障はどこにもない
たがいに決して譲れないものがあるから、そして―――
( ^ω^) なら、あなたが判断してくださいお
言いながら、ブーンは携帯電話に番号を入力し、発信ボタンを押す。
( ^ω^) ……僕があなたを武器として使う人間かどうか
―――たがいに分かり合わなければいけないから。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/06(月) 23:40:52.11 ID:kS3PS5pk0
ζ(゚ー゚*ζ―Form Change:「Fencer Gauntlet」―
現れる赤い光の籠手と、剣。
ブーンはそれをそっと振るい、切っ先を目の前のTASIROに向ける。
結局戦うしかないのか。ひょっとしたら、もっと他にこの場を治める方法があるんじゃないのか?
頭のいい人間なら、たとえばモララーならその方法がわかるのかもしれない。
でも、自分にはその方法は分からない。だから今『自分にできること』はこれだけだ。
なら、迷わない。
〔(α)〕 戦えば、全て分かるということでしょうか?
両腕を伸ばし、その指から伸びる糸を6体のTASIROに接続させながらアルファが訊ねる。
その問いかけに、ブーンは首を横に振った。
( ^ω^) 大事なのは、”戦った後”ですお
ブーンは、目の前のTASIROに向かって走り出す。
相手は七体、こちらは一人。明らかに数の上で分が悪いこの状況の中、ブーンはあえて真っ向勝負を挑んだ。
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/06(月) 23:41:46.72 ID:PY2A3nz90
支援
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/06(月) 23:41:49.24 ID:kS3PS5pk0
たちまち、アルファの操るTASIROたちがブーンを取り囲む。
あるものは拳で殴りかかり、あるものは手の甲から伸びる剣でブーンに斬りかかった。
〔(α)〕 ―――ッ!!?
しかし、ブーンは止まらなかった。
拳で殴られ、光の刃が体を掠めるのも気にせず、彼は真っ直ぐアルファの懐へ駆け込んでいく。
( ω ) 全力を出して戦って、殴り合って、その後で初めてお互いを理解できることもある
2体のTASIROが、二人がかりでブーンに飛び掛かる。
ブーンは彼らの間のわずかな隙間を全力で走りぬけた。
( ω ) 僕はケンカは大ッ嫌いですお。殴るのも、殴られるのも、誰かが殴られているのも、いやですお!!
ブーンの体が、その強化された脚力によって宙を舞う。
( ω ) それでも、あなたと話して、僕は思ってしまったんですお!!
言葉じゃ……言葉だけじゃ大事なことは伝わらないって、僕はきっと……
体に装備されたカメラで彼を見つめるアルファに、ブーンは全力で剣を突き出した。
( ^ω^) あなたと戦わなくちゃいけないんですお、分かりあうために!!
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/06(月) 23:42:34.02 ID:kS3PS5pk0
ばちばちという放電音。
それとともに真っ赤な光が当たりに飛び散る。
光の発信源は、剣を突き出す少年と、それを突き出した拳で受け止めるロボット。
〔(α)〕 ……分かり合うための戦い、ですか
剣を受ける拳を開き、ロボットは少年の剣を掴む。
(;^ω^) !!?
〔(α)〕 人とは、分かり合うために戦う。たしかにそうとも言えるかもしれません
剣を掴んだ右腕を、ゆっくりと外側に開くアルファ。
ブーンは力ずくでそれに抵抗しようとするが、しかしアルファの力の前に、それはかなわない。
〔(α)〕 ……しかし、戦った後でお互いが生きているとは限らない
剣が逸らされ、守られていたブーンの正中線が空く。
その一瞬に放たれるアルファの拳。
( ω ) ―――ぁ!!
少年は、まるで紙くずか何かのように吹き飛んだ。
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/06(月) 23:43:52.26 ID:kS3PS5pk0
背中から滑り込むように地面を走るブーン。
勢いを失い、ようやく止まった彼に群がるアルファたち。
〔(α)〕 ……それでも、あなたは戦うというのですか?
広げた両手の十指から伸ばした赤い糸で、それらを操る彼は、どこか悲しそうな声でそう言った。
( ^ω^) ……それは確かに、怖いですお
ブーンは「けほ」と一つ息を吐くと、立ち上がりざまに、先ほど右腕を斬り落とした一体の目を剣で貫く。
( ^ω^) でも、僕は戦う。戦うことを恐れていたら、きっと何も変わらないから
両脇から迫る内の一体の胴に回し蹴りを見舞い、空いた隙間からTASIROの包囲網を抜け出すブーン。
〔(α)〕 ……そうですか
それを聞いたアルファは、呟きながら広げた両手をクロスさせた。
〔(α)〕 ならば、私も、もう迷わない
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/06(月) 23:44:41.44 ID:kS3PS5pk0
〔(α)〕 全力で行きますよ?
赤く輝き始める、彼の大きな”目”。
それと同時に、目に見えるレベルでセキラの活性化する赤い光が彼の両手から溢れ出る。
( ^ω^) ……上等ですお
それを見たブーンは手元の携帯に数字を入力し、発信ボタンを押した。
( ^ω^) いくお、デレ
ζ(゚ー゚*ζ―Assault:「クリムゾンドライブ」―
腕を這い、籠手となっていたセキラが、ブーンの体を伝って両足に移動し、活性化し始める。
ばちばちという放電音を響かせる足。
走り出そうとする彼は、ふと周りを見て、違和感を覚える。
( ^ω^)(アルファさんたちが……離れてる?)
先ほどまで執拗なまでに自分を追いかけてきたアルファたち。
しかし今、彼らはブーンから一定の距離を置き、ブーンを中心に取り囲んでいる。
それは、まるで何かの”フォーメーション”のようだった。
〔(α)〕 では、私もいきますよ?
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/06(月) 23:45:24.42 ID:kS3PS5pk0
―Assault:「TASIROコンビネーション」―
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/06(月) 23:46:41.44 ID:kS3PS5pk0
ブーンを取り囲む五体のTASIROたちに、
本体のアルファから伸びるセキラの糸を伝って活性化したセキラが流れ込む。
目を赤く輝かせた彼らは、ブーンの周りを円を描くように走りながら、
徐々にその円周をすぼめ、ブーンとの距離を詰めていく。
(;^ω^) お……!?
不意に一体のTASIROがブーンに殴りかかった。
ブーンは跳躍し、そのTASIROの顔を活性化した脚力で踏みつけ、宙を舞う。
それを待ち構えるように剣を放ってくる一体を、活性化させた剣で相手の剣ごと斬り裂いた。
(;^ω^)(これは……!!)
その違和感に気付いたのは、三体目のTASIROが自分の着地地点に待っていたということに気付いたとき。
先ほどからあまりに攻撃が連続しすぎている。
まるで誘導されているみたいに……
(;^ω^)(まさか!!)
四体目の顔を蹴り砕いたところで、ブーンはふいに上を見上げる。
そこに見えたのは、上空から降下してくるアルファの姿。
両手をがっちりと組んだ彼は、ブーンの頭を叩き割らんと赤く輝くそれを振り下ろす。
〔(α)〕 はあああああああああああああ!!!!!
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/06(月) 23:47:44.33 ID:kS3PS5pk0
どん、という音と友に砂煙が上がる。
徐々に晴れていく煙の中、立っている影は一つ。
それは明らかに人間のものではなかった。
〔(α)〕 ……できれば、あなたとは戦わずに分かり合いたかったものです
そこに立つのは、家庭用であることをしめすクリーム色で着色された一体のTASIRO――アルファ。
彼のカメラレンズが捕らえるのは、足元に広がる、無残にも砕かれたアスファルトの地面だ。
活性化したセキラを、両拳で作ったハンマーに込めて叩きつけたのだ、当然彼はもうすでに原型を留めてはいまい。
あまり見たいものではないが、彼が持っていた”自分たち”を回収しなくてはならない。
そう思って彼はカメラアイを動かし、地面に無残にも砕かれたであろう彼の姿を探す。
〔(α)〕(おかしいですね……?)
探せども探せども、彼の姿どころか血の赤一つ見当たらない。
相手の体を粉々に砕いたのだとしてもこれはおかしい。
そんなことを考えていた彼は、砕いたアスファルトの欠片に、不自然な損傷があるのを発見した。
三角に近い形で砕かれたアスファルトの欠片。それはあまりにも不自然な形に”へこんで”いる。
そう、その形はまるで―――
〔( )〕 ガ……ア……
―――人間の靴跡のような
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/06(月) 23:50:10.55 ID:kS3PS5pk0
そこには、不思議な光景が広がっていた。
まず、そこにいるのは地面にしゃがみこんでいる少年の姿。
それだけなら、別に不思議でもなんでも無い。
問題は少年の後ろに、顔に赤い光の剣を突き刺された一体のTASIROがいることだ。
( ^ω^) ……僕も、できれば戦わずに分かり合いたかったですお
アルファの攻撃の寸前。
本当にギリギリのその一瞬に、たまたまTASIROの顔を蹴り砕くために最大限に活性化していた足で地面を蹴り、
上空に飛んでいた彼は、間一髪アルファの最大威力の攻撃を避けることに成功していた。
( ^ω^) 結局、あなたが言ったことが正しかった。戦っても分かり合えるとは限らないし
戦った後、どちらも生き残っているとは限らない。
TASIROの顔に突き刺さる光の剣が、一際赤く輝く。
それを確認した少年は、
立ち上がりそれを引き抜くと、柄の部分になっている携帯電話の通話終了ボタンを押して
そこから伸びる赤い光の剣を消す。
( ^ω^) それでも、僕らは戦わなくちゃいけなかったんですお
剣を引き抜かれた反動で、TASIROの体がゆっくりと傾きはじめる。
( ^ω^) だって、戦おうとしないってことは、分かり合うのを始めから諦めてるってことだから
がしゃんという音を立てて倒れるTASIROの体を、ブーンはどこか寂しそうな目で見ていた。
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/06(月) 23:51:23.73 ID:kS3PS5pk0
結局、自分がしたことはなんだったんだろう?
もう動くことは無いTASIROのボディを眺めながら、ブーンはそんなことを考えていた。
彼に認めてもらおうと、彼に戦いを挑んだ。
結果、彼に勝つことはできた。
しかし、彼は自分を認める暇も無く、自分に倒されてしまった。
この戦いに、はたして意味があったと言えるだろうか?
虚無感に満たされる胸。
そんな気分を打ち消すように、
先ほどまで武器として使っていた携帯電話から、明るいポップス調のメロディが響く。
この着信音は、彼女だ。
( ^ω^)】 デレ……僕は……
着信ボタンを押し、耳に携帯をつけるブーン。
口から出そうになるのは、結局自分のしたことはなんだったのかという弱音。
しかし、それは、通話口から聞こえた声によって打ち消された。
〔(α)〕 まったく……なんて声をしているんですか
(;^ω^)】 ……お?
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/06(月) 23:53:07.86 ID:kS3PS5pk0
ブーンの思考が停止する。
それに構わず、携帯から聞こえる声は続けた。
〔(α)〕 ”大事なのは戦った後”ですか、なるほど……確かにそうかもしれませんね
(;^ω^)】 アルファ……さん……?
ようやく思考が正常に戻ったブーンが、なぜ自分の携帯から彼の声が聞こえるのか聞こうとすると
それを阻むように彼は言う。
〔(α)〕 確かに、戦ってあなたと分かり合うことはできなかった。
でも、”きっかけ”にはなりました。だからきっと私とあなたが戦った意味はあったのでしょう
「だから、見守らせてもらいます」どこか優しく聞こえる声。
その声を聞いて、ブーンは先ほどの虚無感が自分の胸からすっかり消えていることに気付いた。
〔(α)〕 私はデレさんと一緒に、あなたを見守らせてもらいます。
そして、見極めることにします。あなたが”我々”を戦争の道具として使うような人間か否か
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/06(月) 23:53:53.40 ID:kS3PS5pk0
「私からはそれだけです」と、ふいに声が女性の―――デレのものに変わる。
ζ(゚ー゚*ζ だ、そうですよ?
(;^ω^)】 お……
ζ(゚ー゚*ζ 安心しました?
少し意地悪で、笑ったようなデレの声。
まったく、自分の不安なんて全てお見通しというわけか。
( ^ω^)】 おっお……ちょっとだけ
ζ(゚ー゚*ζ そうですか
( ^ω^)】 デレ
ζ(゚ー゚*ζ はい?
( −ω−)】 ありがとう、だお
「なんのことやら」と彼女は笑う。
彼の―――アルファの意識を消すかどうかの決定権は、デバイスであるデレにあった。
彼女が彼の意識を消さずに残しておいてくれたのは、
きっと、彼の意識が消えれば自分が傷つくだろうと気遣ってくれたからなのだろう。
そんな彼女の優しさが、ブーンにはとてもうれしかった。
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/06(月) 23:58:06.93 ID:kS3PS5pk0
そのとき―――
(;^ω^)】 お!?
ふいにあたりに響き渡る、轟音。
まるで近くに雷でも落ちたようなそれは、あたりの空間を激しく振動させる。
音の発信源の方向に目を向けると、なにやら煙の柱が上がっていた。
たしかあの方向には……
ζ(゚ー゚;ζ ブーンさん、あの音が発生する0,2秒前にセキラの強力な活性化を感知しました
(;^ω^)】 デレ、たしかあの方向って
ζ(゚ー゚;ζ 確証はありませんが、あの感じはロマのものではないかと……
だとすると、この音はモララーが?
ζ(゚ー゚;ζ 同時に、あの”ガンマ”のものと思われるセキラの反応もありましたが
(;^ω^)】 お!!?
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/07(火) 00:00:05.95 ID:A1dN+/C00
あの轟音は敵のものなのか、それともモララーのものなのか
どちらにせよ、きっとこんな大きな音を響かせる攻撃を食らった者がただですむはずがない。
それがもし、自分の幼馴染だとしたら……
(;^ω^)】 デレ、道をナビゲートしてくれお!!
言うが早いか、ブーンは走り出す。
モララーに限ってそんなことがあるはずが無いということは分かっている。
しかし、もしかするとという可能性も頭から離れない。
川;゚ -゚) ブーン!! なんだあの音は!!
走っているブーンの後ろから声が聞こえる。
振り向けば、そこには彼と同じように携帯を片手に走る黒髪の少女の姿があった。
(;^ω^)】 クー先輩! よかった、無事だったんですかお
服が所々ボロボロで、体のあちこちにも火傷の跡が見られるが、
どうやら無事な様子の横に並ぶ少女の姿を見てブーンは少し安心する。
ミセ*゚ー゚)リ やほー、ぶーちんデレデレー
(;^ω^)】 うお!!?
こんなときにも能天気な彼女のデバイスに、少し調子を狂わせられながらも、
ブーンの脳裏には、最悪の光景が張り付いて離れない。
(; ω )】(無事でいてくれお……モララー)
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/07(火) 00:02:01.06 ID:A1dN+/C00
そこには、まるで爆弾でも落ちたかのような光景が広がっていた。
円周形に砕かれた、アスファルトの道路。
波紋のように広がる、その破砕地の中心には、一人の少年が立っている。
( ∀ ) ハァ……ハァ……
荒く息を吐く少年のその顔には、
しかしその内面に広がるうれしさをおさえることができないというように、小さく微笑みが浮かんでいた。
( ∀ ) やった……やったよ、ロマ。ボクは……ボクは、これでまた、一歩近づいた
少年の足元には、砕かれた青い破片が散らばっている。
それはもともとは業務用であることを示すTASIROのボディだったのだが、
今はまるでミキサーにでも掛けられたように粉々になって、原型をとどめていない。
(;ΦωΦ) ……すごいのである、まさかここまでとは
( ∀ ) ははは、なに言ってるのさ、「やれ」って言ったのはキミじゃないか
そう言って、少年は右腕にセキラのベルトで固定された携帯の通話終了ボタンを押す。
それと同時に、少年の体を覆っていた、”赤い幾何学模様”が消え、少年の体からデバイスが外れた。
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/07(火) 00:03:19.30 ID:A1dN+/C00
ぼとぼとと音を立てて、砕かれた地面に落ちる携帯電話は三つ。
右手につけていた銀色の携帯だけを、彼の利き手である左手で受け止めたモララーは
静かに、しかしうれしそうに笑った。
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/07(火) 00:05:19.71 ID:A1dN+/C00
( ^ω^)彼らは携帯電話を武器に戦うようです
第十話「理解」
おわり
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/07(火) 00:06:00.88 ID:A1dN+/C00
―次回予告―
( ・∀・) ロマ、「王」はどれくらい近づいてるの?
川# - ) まったく……「王」だかなんだか知らんが、あまり「人間」を舐めない方がいい
〔(Ω)〕 死ぬぜ、お前
(#;ω;) 僕は……誰も守れないのかお!!?
第十一話:「強敵」
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/07(火) 00:07:11.89 ID:A1dN+/C00
+おまけ:「解説」+
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/07(火) 00:08:12.91 ID:A1dN+/C00
Adhesion:「あどひーじょん」
セキラの性質を粘着質なものへと変化させる。
この形態になったセキラの粘性は使用者の意思で変化させることができ、
壁に張り付いたり、相手の動きを拘束したりと使い方は様々。
使用者はベータ。ベータだけにべったべた……うん。
Iai:「いあい」
デバイス中で活性化させたセキラを右手で誘導して相手に放つ形態、性質的にはShotに近い。
なお、この形態で攻撃行動を行うと、一時的にデバイス中のセキラがゼロになってしまう。
しかもアサルトしか使えないため、デバイスにセキラが戻ってきてもしばらくはまともに戦うことができなくなる。
まさに一撃必殺の形態変化であるため、使う場合はよくタイミングをはからないといけない。
使用者はクー。
Control:「こんとろーる」
一つのデバイスからセキラの紐を他のデバイスにつなぎ、操作することができる形態変化。
使用者は一度に多くのデバイスに命令を出し、かつ自らの安全も確保しなければならない。
はっきり言って人間には扱いにくいフォームである。
使用者はアルファ。
Amazing:「あめいじんぐ」
詳細不明、使用者はモララー。
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/07(火) 00:09:20.35 ID:A1dN+/C00
今気付いた追記まとめさんへ、第九話
>>44と
>>45の間に以下の2レスが欠落していましたので、
時間がありましたら、お手数ですが訂正をお願いいたします
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/07(火) 00:12:19.85 ID:A1dN+/C00
赤く輝く彼の緑色のボディ。
重力に引かれ、そして自らの足によって引き起こされた前向きのエネルギーに押し出され、彼の体はまっすぐクーに向けて飛んでいく
〔(β)〕 オラアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!
彼女に近づくにつれ、横向きに回転しだす彼の体。
全身に纏う赤い光は、やがてばちばちと放電音を響かせながらその激しさを増していく。
回転しながら彼女の体を貫かんとするその姿はまるで銃弾。いや、その大きさを考慮に入れればそれはまるで砲弾のようだ。
自らに向かってくる彼の、その姿を見てクーは、しかしその顔から不敵な微笑みを絶やさない。
川#゚ー゚) ふん、やっと向かってくる気になったか。弱虫のくせに、だがその勇気だけは認めてやってもいい
左手に持ったその折りたたんだ黒い携帯電話を左腰にあて、足をまげて重心を落とし、右手は左腰の前に。
まるで『刀でも抜き放とうとしているような』その姿。
川#゚ー゚) しかし覚えておくがいい、
勝てもしない敵に自分から飛び込んでいくという場合、
それは勇気ではなく”無謀”というのだ!!
―Form Change:「Iai」―
―Get Set……―
川#゚ー゚) アサルトッ!!
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/07(火) 00:14:25.74 ID:A1dN+/C00
―Assault:「天雅紅月・破鏡」―
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/07(火) 00:15:06.42 ID:A1dN+/C00
そんなわけで、十話でした、投下は今週中にあと二回かな?
読んでくれたやつらはありがとう。
そんなわけで今回の投下を狩猟します。
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/07(火) 00:22:04.59 ID:oKbZMwp30
乙!
今週中あと二回とか好ペースだな
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/07(火) 01:19:01.96 ID:7vcZOJfLO
読むほ
よかったよ
おつ
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
来てたのかへっへーい