上海・千変万化:中国館ブームは続くよ=鈴木玲子
http://mainichi.jp/select/opinion/suzuki/news/20101206dde012070032000c.html 中国人は何事にも熱い。まるで伸長する中国の国力を反映するかのようにパワフルだ。10月末に閉幕した
上海万博の中国館が今月1日にリニューアルオープンし、大勢の中国人観光客らが押し寄せている。
閉幕から1カ月余りが過ぎ、日本館では外面を覆っていた薄膜の一部が撤去されるなど各館で
撤去作業が進む。
保存される中国館は万博で一番人気のパビリオンだったが、入館者数は1日約5万人と限りがあった。
一方で万博入場者数は1日平均約40万人で、大多数の人は万博に来ても同館に入れず、外観を
眺めるだけだった。このため万博事務局は早くから再オープンを公表していた。期間は来年5月末までの
半年間で、1日約3万人が入館できる。展示の大部分は万博当時のまま。目玉として人気を誇った
北宋時代(10〜12世紀)の絵巻を動画と音声で再現した横幅128メートルの巨大映像「清明上河図」も
引き続き展示されている。
内モンゴルで建築を学ぶ大学生の王楠さん(21)は「中国館の外観の鮮やかな赤色はインパクトがある」と
驚きの声を上げた。友人の栗娟さん(21)は「『清明上河図』は描かれた人々が生き生きと動き、素晴らしい
技術ね」と見入っていた。上海の曹愛珠さん(74)は「腰が悪いから」と携帯式の椅子を持参しながらも
元気はつらつ。「万博中に中国館に一度入ったけど、じっくり見られなかったからまた来た。中国館は一番
金がかかっている。すごいわね」と満足げに話す。多くの中国人が、躍進する国力を体現するかのような
スケールの大きな展示に感服し、誇らしげに語る姿が印象的だった。
>>144 一方、記念スタンプ押し場は黒山の人だかり。1人で100枚近い絵はがきに押し続けるつわものもいた。
周りから「押しすぎだ」と文句が上がってもお構いなしだ。
入館券は1枚20元(約250円)。日付指定はなく、当初は購入枚数の制限もなかった。銭之広副館長は
「制限をかけると(買えなくなるのではないかと)市民に緊張を与えかねない」と説明していたが、1人で
100枚買う人も出現。買い占め横行ぶりに結局、初日の午後には1人5枚に制限した。また売り場に客が
殺到し、販売開始から2時間後に警官隊が売り場前を一時閉鎖した。ダフ屋の鼻息も荒く、
「1枚50元(約630円)。チケットを買うのに数時間並ぶことを考えれば安いもんだ」と吹っ掛けていた。
中国館ブームはまだまだ続く。(上海支局)
毎日新聞 2010年12月6日 東京夕刊