( ^ω^)( ・∀・)ヴィップハザードのようです

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442 ◆f3StfLHJdo :2010/12/05(日) 15:56:17.52 ID:/ShF5JUMO
 
( ^ω^)「すげえお……」

 雪が積もり、朝陽がそれを照らす。
 ずっと暗闇にいたからか。その景色が、妙に神々しく感じた。
 
 
( ^ω^)「……」

( ・∀・)「……」

 なんとなく振り返ってみる。
 惨劇が繰り返されたセント・アイスフォート研究所跡。

 灰色の薄汚れた外観。初めて見た時から、それは変わらない。
 それなのに、最初とは明らかに違う部分があった。
 
 
( ・∀・)「……静かだね」

( ^ω^)「?」

( ・∀・)「最初来たときは、もっと騒々しかった気がする」

( ^ω^)「…ああ」
 
 
 そこにあるのは、殺人や実験の現場ではなかった。
 研究所跡が、静かに佇んでいた。
 
443以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 15:57:28.56 ID:Lr6Hd72e0
しえええんえええんええん
444 ◆f3StfLHJdo :2010/12/05(日) 15:59:38.34 ID:/ShF5JUMO
 
 
 そして二人はあと一つ、最初とは決定的に違うところを見つけてしまう。

 いや、来た時から大きく変わってしまったのは、何よりこの二人なのかもしれない。

 たった一晩で「そういうもの」に敏感になってしまったのだ。
 研究所の外壁の陰から、「それ」が覗くのをすぐに見つけてしまったのが、何よりの証拠だ。
 
 
 

(;^ω^)「──避けろォォ!!!」
 
445 ◆f3StfLHJdo :2010/12/05(日) 16:03:00.16 ID:/ShF5JUMO
 
 
<メノυфU>「ギシャァアアア!!」

(;・∀・)「うおっ!?」
 
 寸前で横っ飛びにかわした二人の間を、「それ」が貫いた。
 降り積もった雪が、煙のように巻き上がる。
 
 
(;・∀・)「シット!こいつは…!」

(;^ω^)「…ニコチュー!!」

<メノυфU>「シュゥゥゥ……」
 
 
 逃げ切っただけで、倒したわけではない。
 二人を一撃で気絶させた、弾丸を避ける化け物。ニコチューがそこにいた。
 
 
(;^ω^)「最悪だお…こんな時に…」

(;・∀・)「このままじゃヘリが来る前にやられてしまう」
 
446 ◆f3StfLHJdo :2010/12/05(日) 16:10:34.28 ID:/ShF5JUMO
 
 
 マガジンは残り少ない。体力も限界に来ている。
 おまけに足場は積もった雪。最悪だとしか言いようがない。
 
 
<メノυфU>「フシュゥゥウ…」

(;^ω^)「ああ…ちくしょう……」

(;・∀・)「……」
 
 
 朝陽を背に、じりじりと詰め寄るニコチュー。
 ゆっくりと研究所の方へ後ずさる二人。
 
 
( ・∀・)「…ブーン。スタングレネードはまだ持ってるよな?」

(;^ω^)「え?ああ、あるけど…」

( ・∀・)「よし、まだ終わってないぞ」
 
447以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 16:26:46.58 ID:A6MypleK0
支援
448以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 16:35:03.83 ID:4OZM3ksX0
4
449 ◆f3StfLHJdo :2010/12/05(日) 16:37:23.94 ID:/ShF5JUMO
 
 
(;^ω^)「…え?」

( ・∀・)「いいか、俺の合図でスタングレネードを放るんだ。爆発したら、そこのハシゴから一気に屋上まで行くぞ」

(;^ω^)「屋上?ちょっと待てお、それじゃ逃げ場がないじゃんかお…奴の格好の的だお」

( ・∀・)「大丈夫、俺に任せてくれ」

(;^ω^)「任せろってお前…」

( ・∀・)「忘れたのか?"奴は高い所が好きだ"」
 
 
 ニコチューから目を離さないまま、ニヤリと笑うモララー。
 それを見て、ブーンもようやく理解した。
 
 
( ^ω^)「…なるほどね」
 
450 ◆f3StfLHJdo :2010/12/05(日) 16:39:56.80 ID:/ShF5JUMO
 
 
 モララーに向けて、ニヤリと返すブーン。
 そして、スタングレネードの安全ピンを抜く。

 ニコチューと距離を取るために後ずさっていた足が、研究所の壁に触れた。
 
 
( ・∀・)「今だ!!」

( ^ω^)「行くおバケモノ!!」

<メノυфU>「ギッ!?」
 
 
 ニコチューの目の前で、目くらましの光が広がった。
 怯んだのか、ニコチューはその場から動こうとしない。
 
 
( ・∀・)「急げ!」

( ^ω^)「おう!!」

 そして、そのニコチューを背に、二人はハシゴを登っていく。
 
 
 
<メノυфU>「…………」
 
451 ◆f3StfLHJdo :2010/12/05(日) 16:43:32.38 ID:/ShF5JUMO
 
 
<メノυфU>「………」

<メノυфU>「………ギ」

<メノυфU>「ギシャァアアアアア!!」

(;・∀・)「!!早く!」

(;^ω^)「着いたお!ほら!!」
 
 
 先に屋上に着いたブーンに手を引かれ、勢いよく屋上へ飛び出したモララー。
 その足先の数センチメートル下を、ニコチューの大きな爪が貫いた。
 
 
(;^ω^)「あっぶねえ…なんつー瞬発力してんだお」

( ・∀・)「ここまで来れば大丈夫だな」
 
452 ◆f3StfLHJdo :2010/12/05(日) 16:48:18.56 ID:/ShF5JUMO
 
 
 屋上の真ん中に立ち、静かに現れたニコチューにM4を向ける。
 これで舞台は整った。
 
 
( ^ω^)「さあ来いお!高いところが好きなんだろう!?」

<メノυфU>「ギシャァアアア!!」
 
 
 人間には考えられないほどの大ジャンプを披露し、そのまま二人に向かって降下するニコチュー。
 しかし、その体は銃弾によって撃ち落とされた。
 
 
<メノυфU>「ギガッ…!?」

( ・∀・)「読み通りだ。この化け物は屋根のない空間でも、なるべく高いところから攻撃したがる」
 
453 ◆f3StfLHJdo :2010/12/05(日) 16:55:36.17 ID:/ShF5JUMO
 
 
 高い所を好むニコチューは、屋根のない場所だと恐らく上に飛ぶ。
 降下時は銃弾を避けられないし、スピードも目で追える程度だ。攻撃するのはたやすい。
 
 
 モララーがそれに確信を持ったのは、最初にニコチューに攻撃された時のことを思い出したからだ。

 ニコチューが銃弾を避けて飛び回っていたのはあくまで天井付近だった。
 つまり、ニコチューは低い場所を好まない性格をしている。常に壁や天井を這っていると見て間違いない。

 それなら、もし壁や天井のない空間だとどうだろう。
 壁がないから飛び回れない。天井がないから高い所にいれない。

 それなら、ニコチューが取る行動パターンは、たった一つ。
 
454以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 16:57:08.87 ID:Lr6Hd72e0
たかk 支援
455 ◆f3StfLHJdo :2010/12/05(日) 16:57:54.66 ID:/ShF5JUMO
 
 
( ・∀・)「…高い所まで飛びたいんだろう?」

<メノυфU>「ギガァアアア!!!」
 
 
 その為に、わざわざ危険を冒してニコチューを屋上に誘い込んだのだ。

 こんな性格の化け物が、獲物より下に行くはずがない。ということは、屋上からは死角となる研究所の外壁を動き回る心配もない。

 何度でも真上に飛び上がる化け物を、ただひたすら撃てばいい。
 
456以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 17:03:26.78 ID:MdtZWYaB0
しえん
457 ◆f3StfLHJdo :2010/12/05(日) 17:07:32.92 ID:/ShF5JUMO
 
 
<メノυфU>「ギ、ガ…!!」
 
 何度も撃ち落とされ、血みどろになった体を起こすニコチュー。
 ブーンとモララーを睨みながら、やはり同じように大きく飛び上がった。

 その体に銃口を向ける。
 だが、その銃口の先で、突如ニコチューの体が幾多の肉片となって吹き飛ばされた。
 
 
( ・∀・)「!?」

( ^ω^)「おい…」
 
458 ◆f3StfLHJdo :2010/12/05(日) 17:08:59.33 ID:/ShF5JUMO
 
 
( ゚∀゚)「ギャハハハハ!!化け物がいると聞いて飛んで来りゃ、ずいぶんテンションのたけえ野郎じゃねえか!!ピョンピョンピョンピョンと楽しそうだなおい!!」

<#丶`Д´>「要救助者の目の前でバルカン砲なんか使うなニダ!!あと声でかいニダ!」

( ゚∀゚)「てめえこそうっせえよ!!ご自慢のメスでち〇この皮切ってやろうか!?ギャハハハハハ!!」

<#丶`Д´>「んだとてめえ!!縫い殺されたいニダか!」
 
 
( ^ω^)「…ジョルジュ!ニダー!」

( ・∀・)「はは…助かった……!」

(´・ω・`)「無事だったか!二人とも!」

( ^ω^)「…ショボンさん!!」

(´・ω・`)「今ハシゴを降ろすぞ!」
 
459以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 17:10:13.90 ID:X7RkJvcC0
しえん
460以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 17:10:53.54 ID:4f25X/EVO
支援
461 ◆f3StfLHJdo :2010/12/05(日) 17:13:33.16 ID:/ShF5JUMO
 
 
 ヘリの中へ入り、心地悪い椅子に腰を下ろす。

 ふと、二人は窓の外に目をやった。
 下界に佇む研究所が、だんだん小さくなっていく。
 
 
( ・∀・)「終わった…んだな」

( ^ω^)「…ああ、終わったお」

(´・ω・`)「よく帰ってきてくれた。ご苦労だったな」

( ・∀・)「あ、そういえば…」
 
 
 担いでいたリュックを外し、中から資料を取り出した。

 今回の任務はこの資料を取ってくること。
 たったそれだけなのに。
 
 
(´・ω・`)「ミッション・コンプリート。今回も任務は成功だ」
 
 言いようのないほどの達成感が、体中に湧いてくるのを感じた。

 資料を取ってくる。たったそれだけなのに。
 
462 ◆f3StfLHJdo :2010/12/05(日) 17:17:01.79 ID:/ShF5JUMO
 
 
( ^ω^)「…ははっ、ハハハハ」

( ・∀・)「あはっ、ハハハ…!」

( ゚∀゚)「おいおいどうした!!寒さで頭狂ったかぁ!?」

<丶`Д´>「火傷の痕があるニダ…お前ら一体何してたニダ?」

(´・ω・`)「ニダー、応急手当てをしてやれ。…やれやれ、帰ってからが大変だなこりゃ…」
 
 
 
 愛おしいほどに騒がしい機内。
 二人は、もう一度窓の外を振り返ってみた。
 
 
 灰色の平べったい建物は、もう見えなくなっていた。
 
 
 
 
 
 ヴィップハザード 完
 
 
463以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 17:18:58.73 ID:9cQDpkQO0
お疲れ様、面白かった
464以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 17:19:08.25 ID:ONLu6S6F0
おつなの
465以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 17:22:07.99 ID:L0G7SK6i0
乙!面白かったよ
466以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 17:23:21.71 ID:cpuHjKQ30
467ミーシャ姫 ◆VIP.PRNCS6 :2010/12/05(日) 17:26:23.73 ID:pK+gCHjx0
乙乙
468以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 17:26:44.15 ID:rkn3LdOU0
面白かった
469以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 17:27:50.30 ID:uZpRO0CP0
おつおつ
470以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 17:35:31.98 ID:DEUA31DhO
バイオにおけるゾンビって被害者みたいなもんだよな
471以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 17:36:53.70 ID:Lr6Hd72e0
おつつつ ゾンビ視点のSSとかちょっとみてみたいよな 

どうせかゆ うま だらけだろうけど
472 ◆f3StfLHJdo :2010/12/05(日) 17:37:23.18 ID:/ShF5JUMO
これにてヴィップハザードを完結とさせていただきます!
支援や保守、コメントや応援レスをくれた方々、ありがとうございました。本当に嬉しかったです。

さるさんを20回くらい喰らったり(←マジで)、よく寝落ちしたりと、皆さんには本当にご迷惑をおかけしました。
申し訳ないです…
 
 
さて、何か質問やコメント等がありましたら、このスレがある限りは受け付けたいと思います!
473以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 17:47:38.23 ID:981dNDRHO
>>472

処女作?


次回作or続きを書く可能性は?
474以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 17:47:39.49 ID:NEqAs/q90
乙ポニテなんたらかんたら
楽しかったよ

やっぱり元ネタはピンク色のアレかい?
475以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 17:53:39.72 ID:aBY8MHScQ
乙乙
まさかこんなにすぐに完結するとは思ってなかったw
保守してた甲斐があったよ
476 ◆f3StfLHJdo :2010/12/05(日) 17:54:13.55 ID:/ShF5JUMO
>>473
ブーン系(台本形式の小説?)としては処女作です
続きや別作は今のところ予定はないですが、近いうちに書きたいとは思ってます

>>474
ありがとうございます
元ネタというか、原作は一応ピンク色のあれです
477以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 17:55:46.64 ID:NEqAs/q90
>>476
やっぱりか
あの時から支援してて良かったず

続編もあるのであれば期待してるよ
478 ◆f3StfLHJdo :2010/12/05(日) 17:59:14.96 ID:/ShF5JUMO
評価欲しさにVIPに投下してみましたが
まさかここまでいただけるとは…(;_;)
皆さん本当にありがとうございます
479以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 18:01:56.09 ID:aBY8MHScQ
次回作期待してるぜ!
480以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 18:07:44.80 ID:3f6VL5Sy0
2点
481以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 18:42:54.69 ID:tbDevd+y0
>>480
屋上
482以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 19:22:39.78 ID:cvzJxbx2O
乙 ずっと見てたぜ
終わりかたかっこいいなあ
483以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 19:50:03.36 ID:X+OTy5U+0
484以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 19:50:57.61 ID:X+OTy5U+0
    パーン _, ,_  パーン
パーン_, ,_  ( ・д・)  _, ,_パーン
  ( ・д・) U☆ミ (・д・ )
   ⊂彡☆))Д´>>480 ☆ミ⊃  パーン
    , ,∩彡☆ ☆ミ∩, ,
  (   )  パーン (   )
 パーン      パーン
485以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 20:04:29.03 ID:jhuSo4cw0

凄く楽しめたよ、また投下するならその時は超支援するぜ
486以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 20:10:20.64 ID:sfgS8oMc0
乙 久々に良作だった

最近の作者は逃亡が多いからすっぱり終わらせてくれて気持ちよかった
487以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 20:34:56.90 ID:1lmkIWjjO
488以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 20:46:15.00 ID:kqJi/X9jO
乙乙!!
489以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 21:16:14.93 ID:q85GwHVPO
3/3点
490以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 21:38:59.89 ID:kqJi/X9jO
つまり満点ということか
491以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
いるかどうか分からんが>>1
もしいたら答えてくれれば嬉しいんだが、結局ラフィンがいた経緯(スターズが来る前からいた理由etc)と回収した資料の内容はどんななんだ?
アナザーストーリーかアーカイブで説明してくれたら尚嬉しい