1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
代理
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 00:29:41.34 ID:wV6dNXzr0
大阪やで
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 00:32:20.87 ID:PDhqIBQfO
>>1 代理ありがとうございます
ぬらぬらと投下していきます
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 00:33:20.04 ID:uzPvOGrxO
しえしえ
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 00:34:50.21 ID:PDhqIBQfO
毎日毎日同じことの繰り返し。
朝起きて、昼から村の漁業を手伝って、適当な飯を食べて、風呂に入って寝る。
酒は飲めるのだが、いまだに美味しいとは思えないから飲まない。
( ・∀・) 「つまんねぇ…」
この世界は、退屈だ。
時計と同様にずっと規則的な活動を、ぐるぐると繰り返すばかり。
もっと、違う生き方があるはずだ。
生まれてからくすぶっていた魂が叫び始めたのは、ついこの間。
ボロボロになった船が、この村へ流れ着いた。
初めは物珍しさから皆が寄って見ていたが、今では僕ぐらいしか見に行かない。
あの船を見た時、衝撃が走った。
広大な海原を走るその船を想像しては、抑えられない程に胸が高鳴っていた。
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 00:36:34.79 ID:PDhqIBQfO
( ・∀・) "シンセカイ"のようです
intro‐荒狂曲
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 00:38:23.06 ID:PDhqIBQfO
広大な海原に流れる"安定"と言う板切れ一枚。
皆が躍起になってそれにしがみついて、手放そうとはしない。
( ・∀・) 「それじゃあ駄目なんだよ」
この島を囲む海を眺めながら、ぼやく。
世界はこんなにも広いのに、こんな小さな一切れだけを知って果てるなんて、馬鹿げてる。
ボロボロになるまで走り続け、その存在を誇示する様に見知らぬ土地で朽ち果てた船を見て湧いたこの気持ち。
ロマン――。
おそらくそう呼ぶに相応しいのだろう。
それが僕の心を掴んで、離さないでいる。
そしてそれを追い求める手段だが―――。
( ・∀・) 「! 来た来た!」
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 00:39:11.21 ID:qHyXQE3G0
支援
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 00:39:42.19 ID:6WObYddrI
sie
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 00:40:03.78 ID:PDhqIBQfO
この村へと月に一度来る貨物船。
それに潜み込んで島を出るのだ。
大きな船ではないが、まだちっぽけな僕が乗るにはこのぐらいがいいだろう。
余りにも簡単で、単純過ぎるくらい単純な計画。
見つかれば即御陀仏のギャンブルだ。
しかしそれでいい。
何もせず、試みることもなく果てるくらいならば、大志を抱いて逝ってやるさ。
兎にも角にも、僕はもうこんな日々にうんざりしているのだ。
そんなことを唾と共に吐き出した。
船が砂浜に乗り上げ、船員達が貨物を降ろしているのを、じぃっと見つめる。
早く全部吐き出しちまえと思いながら、岩陰に隠れてひたすらに。
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 00:40:27.55 ID:qHyXQE3G0
支援
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 00:42:47.54 ID:PDhqIBQfO
数分してから、一人を除いた数名の船員が降りる。
(;・∀・) 「糞…そりゃ見張りが残るか……」
完全に忘れていた。
見張りがいるとなると、乗り込むのは厳しいか。
そんなことを考えていた僕に、思わぬ助け舟が。
_
( ゚∀゚) 「ほんじゃあちょいちょいと稼いで来てくれー」
ミ,,゚Д゚彡 「あぁ、また後でな」
_
( ゚∀゚) 「俺は寝てるわ」
ミ,;゚Д゚彡 「いや、見張れよ……」
そのまま降りた船員達は、貨物を運びながら村の方へと歩いていく。
見張りの眉毛はそれを見守り、一つ伸びをしてから舟へと戻っていった。
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 00:44:09.68 ID:PDhqIBQfO
( ・∀・) 「……」
チャンスだ。
本当にアイツが寝るかは分からないが、乗り込むのならば今日しかない。
そのまま岩陰で懐の時計を何度も何度も確認し、しばらく時が経つのを待った。
( ・∀・) (奴らはいつも二時間程度、市を開く……)
最初に確認してから、長針が一周。
もうこの高ぶる気持ちを抑えるのも、限界だ。
( ・∀・) (行くか…!)
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 00:46:13.45 ID:PDhqIBQfO
まるでこそ泥の様に、せかせかと小走りで船へ向かう。
市が開かれている今は誰も来ないと分かっていても、ついつい周りを確認してしまう。
そうして、何とか僕は船へと辿り着いた。
( ・∀・) (んで、あの眉毛は……)
舐め回す様に、慎重に、慎重に船内を観察する。
時が凄まじい早さで経過している様に感じるが、焦ってはいけない。
こんな時こそ冷静でなければ、すぐにくたばってしまうだろう。
_
( ‐∀-) 「zzz...」
マジで寝てやがった。
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 00:48:17.15 ID:PDhqIBQfO
( ・∀・) 「と、呆れてる場合じゃないな…」
ハッとなり、すぐさま口を紡ぐ。
流石に小さい声だったからか、起きる気配はなかった。
息を漏らさずに、胸を撫でて安堵する。
これ以上とないチャンスなのだ。
くだらないミスで、ふいにして溜まるか。
しかし、呟いてしまったのは油断の証拠。
心の中で一度だけ頬を張り、気を引き締める。
( ・∀・) (確かさっき、アイツ等が売り物を出してた場所は……)
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 00:48:34.45 ID:+jRIaWrsO
ほほぅ 最後まで書き溜めしているのか……
今時珍しい骨のある作者だな!!
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 00:49:59.70 ID:qHyXQE3G0
支援
18 :
>>16 ゴメン、この一話分しか書き溜めてない…しかもイントロだからそんなに長くないんだ……:2010/11/26(金) 00:50:11.28 ID:PDhqIBQfO
三つの扉が並んでいる。
その中の右端。
先程見た記憶にある、貨物庫の扉を開く。
( ・∀・) (さってさて、後は隠れてその時を待ちますか…)
扉を閉め、その荷物の中に身を隠した。
ここからだ――、ここから僕の"シンセカイ"が拓かれる。
_
( ‐∀-) 「zzz...」
_
( ゚∀-) 「………」
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 00:51:50.95 ID:UaBPEI620
約束を抱いての人かな?
支援
20 :
>>16 ゴメン、この一話分しか書き溜めてない…しかもイントロだからそんなに長くないんだ……:2010/11/26(金) 00:52:23.05 ID:PDhqIBQfO
――――――――――――――――――――――
それからしばらくして、外がざわめき始めた。
( ・∀・) (帰ってきたか…)
野太い声に下品な笑い声、体格のいいその体の重みで軋む船の音。
いよいよ出航の時が近づいてきている。
ミ,;゚Д゚彡 「お前マジで寝てんなよ…」
_
( ゚∀゚) 「いや、寝るって言ったろ……それにオレ乗組員でもないし」
そんな会話が聞こえてきた。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 00:52:39.60 ID:+jRIaWrsO
オーケー、ブックマ削除
夜通し保守する作業にはもううんざりだ
22 :
名前欄の消し忘れキライ >>21 投下の度に立てる感じです:2010/11/26(金) 00:55:02.08 ID:PDhqIBQfO
( ・∀・) (じゃあ誰だよお前……)
心の中でだけ、毒づく。
声に出せば、この旅は一瞬でおしまいだ。
ミ,,゚Д゚彡 「よーし!それじゃあ出るか!!」
あまり多くない人数だが、野太い低音が重なり大きくなったそれが大気を震わす。
思わず驚いてしまったが、それ以上に胸が熱くなった。
とうとう僕は、この世界の一握りにも満たない小さな生まれ故郷を出るのだ。
( *・∀・) (うひょー!行くぜ!船出の時だぁぁあああ!!)
数回、大きく揺れる。
そうして僕は、海原で板切れを手放した。
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 00:56:14.95 ID:uzPvOGrxO
支援
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 00:57:37.22 ID:PDhqIBQfO
――――――――――――――――――――――
出航してから荷物の搬入やら何やらで何度か扉が開かれた。
そうして誰かが僕に近づき、近づく足音に比例する鼓動と、反比例する呼吸。
何度も何度も繰り返された。
(;・∀・)
ミ,,゚Д゚彡 「よし、売り物の整理はこんなもんかねー」
毛むくじゃらがそう言って出てから、誰も来なくなった。
今まで張り詰めていた糸が切れ、思わず安堵の溜め息が出る。
流石にもう、大丈夫だろう。
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 00:59:18.11 ID:qHyXQE3G0
支援
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 00:59:27.42 ID:PDhqIBQfO
僕は僕を密輸する。
待っていたって、誰も迎えになんて来やしないんだから。
しかし―――
( ・∀・) (この揺れは心地良くて、眠くなるねー……)
我慢しなければ、と思えば思う程厄介なもので。
睡魔って奴は必死に抵抗する相手に対して、しつこく攻めてくる。
( ‐∀‐) (寝ちゃ駄目だ寝ちゃ駄目だ寝ちゃ駄目だ……)
頭では分かっていても、止められず。
気づかぬ内に僕は白旗を上げて、意識を手放していた―――。
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 00:59:30.08 ID:uPRYvBIb0
普通保守なんてするもんじゃないのに頼まれもせずに保守する奴が増えた
支援
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 01:01:18.23 ID:PDhqIBQfO
――――――――――――――――――――――
まだ見ぬ"シンセカイ"と、そこに立つ自分が見えた時だ。
目覚まし代わりの水を被り、体に違和感があった。
( ・∀・) 「……」
両手両足が、縛られている。
そこで漸く、さっきのが夢であったと気づく。
そして、自分が見つかってしまったことにも。
( ・∀・) 「寝てたのか…」
_
( ゚∀゚) 「うん、おはよー少年」
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 01:03:07.10 ID:qHyXQE3G0
支援
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 01:03:22.31 ID:PDhqIBQfO
見張りをしていた眉毛が、目の前にいた。
現実はそんなに、甘くない。
( ・∀・) 「……」
_
( ゚∀゚) 「だんまりはよくないぜー?心と心のキャッチボールへいへーい」
何だか無性に、腹が立つ男だった。
( ・∀・) 「…おはようございます」
_
( ゚∀゚) 「よく出来ました」
日に焼けて真っ黒になった顔に、白い三日月が浮かぶ。
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 01:03:47.38 ID:qHyXQE3G0
支援
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 01:05:09.96 ID:PDhqIBQfO
_
( ゚∀゚) 「いんやー、誰か乗ったとは思ったけど、こんな少年とはねー……」
( ・∀・) 「悪いか?」
_
( ゚∀゚) 「んなことねぇよ、肝が据わってていいぐらいだ」
只、と言葉を続けながら、腰元のサーベルを抜いて僕の首筋に当てる。
_
( ゚∀゚) 「命は大切にしろ。何故乗り込んだ?」
途端に真面目な顔になり、低い声で語り掛けてきた。
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 01:06:01.38 ID:qHyXQE3G0
しえーん
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 01:07:22.80 ID:PDhqIBQfO
チェック・メイト―――。
僕の旅は始まって一日としない内に、王手を掛けられてしまった。
せめてどれだけの時間、旅をしていられたのか。
それを記録として胸に抱いて、派手に散ろう。
( ・∀・) 「今、何時……?」
_
( ゚∀゚) 「質問の返答次第で、教えてやるよ」
つまりその言葉は、"返答次第では即斬り捨てる"と言うことだろう。
あまりの緊張に足が震え、体が冷たくなり心の臓は大きく喚く。
しかし、答えなければ先に進めないのだ。
一度唾を飲み込み、覚悟を決める。
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 01:08:11.88 ID:qHyXQE3G0
支援
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 01:09:32.74 ID:PDhqIBQfO
( ・∀・) 「世界が退屈で、仕方ないんだ」
_
( ゚∀゚) 「……へぇ」
( ・∀・) 「毎日毎日同じことの繰り返し、誰かの航路を辿らされてるだけ」
目の前の男は、ニヤニヤと笑って聞いている。
何となく、本当に何となくだが、コイツに全てをぶちまけてしまいたい気分になった。
そうしてスッキリしてから逝くのも、悪くないだろう。
( ・∀・) 「村の奴らは皆して安定にしがみついて、流されているだけだ」
( ・∀・) 「何故?世界はこんなに広いのに、あんな一切れにも満たない島で満足してやがる」
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 01:11:15.09 ID:PDhqIBQfO
( ・∀・) 「とにかく僕はもう耐えられないんだ、あんな退屈な世界」
_
( ゚∀゚) 「……」
( ・∀・) 「誰も迎えになんて来やしない。だったら、自分で"シンセカイ"を迎えに行かなくちゃいけない」
首筋に当てた刃はそのままに、男は黙って、只聞いてくれていた。
こんな僕の遺言を聞いてくれるのだから、ありがたい。
感謝をしつつ、僕は覚悟を決めてこの男に命を託した。
( ・∀・) 「さぁ、煮るなり焼くなり好きにしろって。僕がもう、言うことはない」
_
( ゚∀゚) 「……了解」
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 01:13:05.74 ID:PDhqIBQfO
一言だけ呟き、サーベルを持つその手に力が込められる。
焼ける様な痛みが走り、一筋の温い液体が流れるのを感じた。
_
( ゚∀゚) 「ちなみに今は、午前二時を過ぎてる」
最後に記録だけを渡してくれた。
確か短針はあの時、二時を指していたはずだ。
( ・∀・) 「ありがとう、半日も旅が出来たことが分かったよ」
そう言って、目を瞑る。
_
( ゚∀゚) 「……おい、一つだけ」
覚悟を決めていた僕に、男は話し掛けて来る。
どうせ最後だ、命を託した男の言葉を胸に刻んでおこう。
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 01:15:05.22 ID:PDhqIBQfO
_
( ゚∀゚) 「世界の退屈を嘆く様な、つまらない大人にだけはなるな」
( ・∀・) 「……ははっ!肝に命じておくよ」
何故かそれが可笑しくて、一度だけ笑い了承した。
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 01:17:06.70 ID:PDhqIBQfO
そうして、僕に当てていた刃を引き剥がす。
殺さないのかと問い掛けてみたが、男は笑うだけだった。
( ・∀・) 「何でだよ……」
_
( ゚∀゚) 「死ぬ覚悟ァ、して来てんだろ?」
( ・∀・) 「じゃなきゃ、ここにいない」
_
( ゚∀゚) 「生意気な糞餓鬼だな」
笑って、そう言った。
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 01:19:06.25 ID:PDhqIBQfO
_
( ゚∀゚) 「オレに付いて来い」
(;・∀・) 「……は?」
そうして告げられたのは、信じられない言葉だった。
_
( ゚∀゚) 「死ぬ覚悟はしてんだろ?だったら一緒に"シンセカイ"ってのに行こうじゃねぇか」
サーベルを元の位置に戻しながら、僕を誘う。
( ・∀・) 「この貨物船の、一員になれってか…?」
_
( ゚∀゚) 「オレはこの船の乗組員じゃあねぇから、それはねぇな」
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 01:21:32.77 ID:PDhqIBQfO
そう言えば、毛むくじゃらとそんな話をしていたな。
思い出したと共に、もう一つの疑問を思い出す。
( ・∀・) 「あんたは、何者なんだ?」
_
( ゚∀゚) 「別に何でもねぇよ、楽しそうだから連れてきてもらっただけの男だ」
僕を縛っていた縄を解きながら、答えた。
そのまま僕から離れると木箱を一つ開けて、その中身を漁り始めた。
ついでに首に包帯を巻いてもらえれば言うことなしなんだが。
なんて思っていると、思考を読んだかの様に包帯を投げ渡してきた。
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 01:25:10.16 ID:PDhqIBQfO
_
( ゚∀゚) 「自分で巻けるだろう?それを巻いたら、外に出て来い」
一言残して、男は貨物庫から出て行った。
( ・∀・) (よく分からないが、悪い奴ではなさそうだ)
それに、仲間はいた方がいいだろう。
怪しい男には違いないが、悪意がある様には見えなかった。
包帯を巻きながら、ぼうっと考えていた。
(;・∀・) 「……っつーかこれって…売り物の包帯じゃねぇの…?」
勝手に使ってもいいのだろうか、等と言う疑問が一瞬頭をよぎる。
( ・∀・) 「まぁ、僕には関係ないしいいか」
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 01:27:09.63 ID:PDhqIBQfO
――――――――――――――――――――――
_
( ゚∀゚) 「おー、来たか…。その包帯、なかなか様になってんじゃねぇの」
言われても嬉しくない褒め言葉をもらい、つい顔をしかめてしまう。
それに対してかわいくねぇ等と言いながら、笑う。
( ・∀・) 「あんたは笑ってばっかりだな」
_
( ゚∀゚) 「男は笑って前だけ見てりゃいいんだよ、ほれ」
そう言いながら、男は僕に大きな麻袋を一つ寄越した。
見た目に反して随分と軽く――なんてことはない。
見た目通りの重さで、僕の両腕にズシリとした負荷がかかる。
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 01:29:08.51 ID:PDhqIBQfO
(;・∀・) 「何だこりゃ……」
_
( ゚∀゚) 「荷物」
(;・∀・) 「いや、それは分かるけど……」
僕の言葉なんて聞いてない様に、男は船の柵まで歩いていく。
それから身を乗り出すと、一度こちらを見てニヤリと笑いながら―――
―――落ちた。
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 01:31:27.76 ID:PDhqIBQfO
(;・∀・) 「………、え?」
信じられなかった。
僕を旅へ誘った男が、共に過ごした少しの時間だけを残して、夜の海に身投げしたのだ。
手に持つ麻袋のせいで上手く動けないが、焦りつつ男が落ちたところまで行き、下を見る。
_
( ゚∀゚) 「何してんだ?早く乗れよ」
貨物船の横に取り付けられた小型船に、男は乗っていた。
( #・∀・) 「……この野郎」
いやらしく笑うその顔に流石の僕も腹が立ったが、今はそれを飲み込んで船へと降りる。
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 01:33:18.07 ID:PDhqIBQfO
_
( ゚∀゚) 「ぶはっ、焦ってやんの!」
( #・∀・) 「あんたムカつくなぁ……」
_
( ゚∀゚) 「まぁまぁ!怒るなっての!」
ゲラゲラと下品に笑いながら、麻袋を漁る。
そこから現れたのは、白い瓶。
_
( ゚∀゚) 「とりあえずオレらの船出だ、呑もうぜ」
船乗りは、大抵が酒好きだ。
その点で僕は、船乗りには向かないだろう。
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 01:38:21.95 ID:PDhqIBQfO
( ・∀・) 「船乗りってのは、本当に酒が好きだね」
_
( ゚∀゚) 「あー、確かになァ……オレは船乗りじゃねぇがな」
そう言えば、楽しそうだから付いて来ただけの男だったか。
しかしながら、体格も顔も肌の色も、全部知っている訳ではないが嗜好や性格まで、船乗りの様だ。
_
( ゚∀゚) 「んー……親父が船乗りだったから…かな?」
考えて捻り出された答えは、酷く曖昧だったが納得の出来るものだった。
_
( ゚∀゚) 「んなこたぁどうだっていいんだよ!とりあえず呑もうぜ」
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 01:40:12.47 ID:PDhqIBQfO
( ・∀・) 「…酒は味が分からないから嫌いだ」
_
( ゚∀゚) 「カカッ、餓鬼め!」
まるで、子供の様な大人だった。
僕を馬鹿にするとその蓋を開け、口を付けて傾ける。
大きく膨らんだ喉仏が、二度三度と上下に動いた。
、
( *>∀<) 「ウメーッ!お前も呑んでおけ!」
( ・∀・) 「だから……」
_
( ゚∀゚) 「祝いの……いや、記念か?まぁそんな感じの酒だ。一口含むだけでもしとけ」
( ・∀・) 「……」
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 01:42:28.64 ID:PDhqIBQfO
何も言わずに、受け取る。
手を出した時の男の顔は、心底嬉しそうだった。
仕方なしに出した手だったと思えば、少しの罪悪感から苦笑いが浮かぶ。
その瓶に顔を近づけると、濃厚なアルコールの臭いが鼻を刺す。
しかし、それに混じって芳醇な香りが流れてきた。
( ・∀・) 「…これは……」
_
( ゚∀゚) 「手作りの葡萄酒だ」
口を付け、傾ける。
独特の酸味と程良い甘さ、そしてドロリとしたアルコール特有の味が、口の中を満たした。
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 01:44:17.81 ID:PDhqIBQfO
_
( ゚∀゚) 「どうだ?」
大きな目を細めながら聞かれる。
喉を鳴らして呑み込むことで答えると、一度だけ頷いた。
_
( ゚∀゚) 「悪くねぇだろ?」
( ・∀・) 「あぁ―――」
悪くはないな。
笑いながら、そう答えてやった。
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 01:46:04.83 ID:PDhqIBQfO
_
( ゚∀゚) 「そういや坊主、名前は?」
( ・∀・) 「さっきから坊主坊主って…あんまり変わんない様に見えるけど、あんた何歳だよ」
_
( ゚∀゚) 「先に質問したのはオレだから、お前の名前が先な」
本当に子供臭い男だ。
しかし、何だか分からないが男としての魅力はある。
これがカリスマってものだろうか。
( ・∀・) 「モララーだ、歳は十八」
_
( ゚∀゚) 「やっぱり糞餓鬼じゃねぇか!オレはジョルジュ長岡、二十一だ」
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 01:48:06.14 ID:PDhqIBQfO
ジョルジュ長岡――。
先程の酒を白いグラスに入れ、僕に手渡しながら答えた。
たかだか三つしか変わらない癖に見下してくるのだが、何だか悪い気がしない。
きっと、兄がいたならこんな感じなのだろう。
( ・∀・) 「どうも」
_
( ゚∀゚) 「よっし!そんじゃあオレらの航海を記念して!」
―――乾杯!
次第に明るんできた空と、昇りつつある日の出を見ながら、掛け声と共にグラスを合わせた。
これから楽しくなりそうだ。
そんなことを思いながら、漸く僕は――いや、僕達は"シンセカイ"へと走り出した。
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 01:50:10.59 ID:PDhqIBQfO
_
( ゚∀゚) 「ところでこの船どこに向かってんだ?動かし方もわかんねぇし」
(;・∀・) 「は……?」
先行きは、不安ではあるが―――。
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 01:50:29.67 ID:37meXszZ0
sien
mixi垢を御希望の方は
こちらから申請でどうぞ
id=27267693
57 :
◆kfuPUnAWpda0 :2010/11/26(金) 01:55:11.74 ID:PDhqIBQfO
そんなワケでオレです、
>>19が大正解でビビりました
ってな感じでintro終わりです、何とか避けたいけどこのままだといずれ戦闘シーンを書かなきゃいけなくなりそうだ…!
とにかく支援&代理スレ立て、いつもいつもありがとうございます!!
もし何か質問、意見、感想、批評、アドバイス、性癖のカミングアウトなどなどございましたらどうぞお願いします
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 01:56:53.93 ID:U3DaIBKi0
ロリコンでドMなんだ
59 :
◆kfuPUnAWpda0 :2010/11/26(金) 02:02:16.54 ID:PDhqIBQfO
>>58 オレはローションとか好きです、それがレズ物だったりするとたまりません
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 02:03:21.08 ID:8T+EK6wuO
自分の作品が某スレで叩かれてるのを見て気分が高陽しちゃうくらいにはドMです
乙
61 :
◆kfuPUnAWpda0 :2010/11/26(金) 02:16:26.95 ID:PDhqIBQfO
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
ロリババァが好きだ
ロリババァというのは純粋にロリ容姿に大人の精神ってだけじゃ駄目なんだよ
大きく分けると
神、吸血鬼などの不老不死設定によって生まれた王道ロリババァ
こども先輩や小学生先生などの、純粋に背が低く若々しいため、年上なのにロリにしか見えないという天然製造ロリババァ
耳年増故に幼女らしからぬ言動をするだけの疑似ロリババァ
なんてのが居るけれど、目的は二つあってソフ倫を掻い潜る18歳以上にするためってのと、もう一つはドSにするため
俺が重要なのは後者だと思ってる
ロリコンでドMな男の幼女にいじめられたい願望は、しかし幼女という精神年齢では果たしてくれないんだよ
何故かと言えば、幼稚であるが故に毒を吐いたり高圧的な口調を取らせると違和感があるんだ
それを逆にギャップとして利用し、昇華した結論がロリババァなんだと思う
たまに見せる外見相応の女の子らしい、いや少女らしい行動、可愛らしさ!
神や化け物として恐れられた故に、恋愛経験の少なさから見せる照れ、恥じらい、普段の理知的な知性とのギャップ
だからこそ味わえる、こんな小さな子に虐げられるという背徳感!
まさしくロリコンでドMである者たちのために存在すると言って過言ではない!
故にロリババァが大好きだ!