1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
代理バースト!!
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 00:46:12.68 ID:0GsgIhG90
支援ボンバー!
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 00:46:42.40 ID:tvLu3BDw0
そして最後に
作者オチきましたー
では、第八話から投下します。
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 00:49:58.38 ID:KND3QJdT0
よっし支援
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 00:50:26.87 ID:of46X0gGO
今日は盛況だな
満月が照らし出す、平原の中で停まったままの列車。
その進行方向の線路上を、巨大な魔法光装置を備えた鉄ねの装甲車が阻む。
周囲には他に三台、列車を囲むようにして停車している。
その全てに、VIP軍の象徴である鷹の紋章が彫られていた。
車内は水を打ったように静まり返っている。
静寂を破ったのは、列車の乗客の血気盛んそうな男の一人だ。
( ^Д^) 「どういうこった、検問なんざ聞いてねーぞ」
若者は屈強な身体に毛皮を纏い、腕に独特の模様のタトゥーを入れている。
言葉に特有の訛りがあることから、辺境の部族だろう。
軟弱そうな方の仕官がその問いに答えた。
( ><)「この列車に大罪人が搭乗した可能性があるとの報告があったんです!
急遽検問を執り行うんです!ご協力をお願いするんです!」
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 00:53:46.46 ID:6mbDbyHxO
この時間からだと…
支援
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 00:54:25.48 ID:19qKh+FF0
( ^ω^) (大罪人・・・?)
( <●><●>)「速やかに指示に従ってください」
<;ヽメ∀´>「お、横暴ニダ!」
<ヽメ∀´>「ニダーは誉れ高き闘技大会に参加するために来たニダ!
こんなところでそんな謂れの無い侮辱を、」
<ヽメ∀ >「う゛」
ステッキが男の脇腹から生えて、今度は鮮血を吐き出し仰臥する。
鉄錆の匂いが漂う車内の緊張感は、頂点に達した。
( <●><●>)「で?どうするんです?検問をパスして帝都に入るか、公務執行妨害罪でこの場で捕縛されるか?
ああ、逃げても構いませんよ?その場合列車を囲む我々を全て相手することになります」
( <●><●>)「私には、皆さんは賢明な判断をしてくれると分かってます」
冷静で慇懃な物言いは、何よりの強烈な脅しだ。
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 00:55:02.23 ID:KND3QJdT0
支援
( ^ω^)ゴッドイーターのようです!
第二章 『Les Souhaits ridicules』
第八話 運命の車輪
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 00:56:42.53 ID:8fQWHhz00
支援
ゲームやってないから敬遠してたらゲーム関係ないのな
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 00:56:54.80 ID:IZcIf3daO
これ好きだ支援
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 00:57:22.33 ID:Q8vLETNnO
明日読もう支援
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 00:57:23.74 ID:R1g1QRx2O
しえん
広漠な平原、コートを着込んだ軍兵に囲まれて屈強な猛者共が裸で並ぶ様は異様だった。
魔法光装置が恥ずかしげもなく照らし、男たちの全てを曝し出す。
( ^ω^)「さ、寒いお」
ガチガチと歯を鳴らして全身に鳥肌を立てながら、身体を震わせる。
少年とてそこまで貧相なわけではないのだが、如何せん、厳つい筋肉に囲まれすぎている。
まるで、小人になったような気分だ。
( ゚∋゚)「やれやれ、面倒に巻き込まれたな」
隣に並ぶクックルはさほど動揺していないようだった。
立ち上がり並ぶ男は、他のどの者たちよりも頭の位置が抜きん出ている。
大男だとは思っていたが、これほどとは思わなかった。ちょっとした巨人だ。
引き締まった体は細部に於いて芸術とも呼ぶべき筋肉で造形されている。
さらに――――視線が足の間に釘付けになった。
( *^ω^) ( 貴 方 が 神 か ! )
そうか。やっぱり体の大きさにも比例するものなのか。
ブーンは戦慄した。恐れ戦いた。クックルやべぇ。マジパネェ。
そしておもむろに反対側を見た。
( ^Д^) 「くそッ、やってられねぇ」
( ^ω^) (……。)
反対側の男もブーンよりはずっと大きな体をしている。
( ^ω^)(ミドリ亀、よりかは少し?)
それは言いすぎというものだ。
だがブーンは、身体の大きさにアレの大きさは比例しないということを学んだ。
( ゚∋゚)「ブーン君、君は……酷いな」
Σ( ^ω^)「おっ!??」
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 01:04:14.71 ID:of46X0gGO
支援
まさか二大イベントの今日くるとか、でも、もしもしからだが支援。
心臓が口から飛び出そうになる。うっかり自分も全裸だということを忘れていた。
深淵を覗く者もまた、深淵に見られているのだ。
( ;^ω^)「ぶ、ブーンのはまだ成長途中だお!!」
( ゚∋゚)「成長?傷が成長するのかね?」
( ^ω^)「傷?」
( ^Д^)「おめぇ、虐待でもされてたのか?」
左の男も、怪訝そうに眉を顰めて声を掛けてきた。
少年の体には、全身を覆うほどの傷痕が刻まれている。 それこそ、他の誰より抜きん出て多い。
先のユッセで着いた傷痕も、それより古い傷も、重なるようにあった。
周囲の兵も、男たちも、ぎょっとしたように注目している。
( *^ω^)「おっおっ、なんという羞恥プレイ」
( ;^Д^)「心の傷は浅そうだな」
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 01:08:04.84 ID:KND3QJdT0
支援
( ゚∋゚)「一体何があったんだね」
( ^ω^)「旅なんかしてるといろいろあるお」
( ^Д^)「違いねぇが、やられすぎじゃねwwww」
( ゚∋゚)「うむ。肉体が傷の迫力に負けてるな」
( #^ω^)「ほっとけお」
幾らなんでも、ブーンの身体とクックルの肉体美を比べるのには無理がある。
さらに神のごとき股間に輝くイチモツが、少年の心を余計卑屈にさせた。
先程の青い軍服二人が、端から順に向かって来るのが見える。
他の軍員は皆深緑色の軍服を着ているのを見るに、階級が上なのだろう。
( ><)「両手を挙げるんです。次にゆっくりと回るんです!」
( <●><●>)「早くしろ」
ひょろ男に指示されても知らん顔していた男が、長身に一睨みされ渋々従う。
先程の脅しは有効に作用していた。
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 01:11:35.61 ID:5TYYBn140
キター!支援!
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 01:11:48.38 ID:KND3QJdT0
しえん
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 01:11:57.37 ID:of46X0gGO
何話構成?
( ><)「どこにも刺青がないんです!」
( <●><●>)「…戻れ」
( ^ω^)(刺青のある男を捜してるお…?)
許可を出された男は、忌々しげに舌打ちしたり、安堵にため息を着いたりして順に車内へと戻っていく。
ブーンの隣まで仕官が近づいてきた。つまりミドリ亀の番だ。
( ><)「次!名前と出身を言え!なんです!」
( ^Д^) 「……西の辺境ハルヒ出身、プギャー・ゾルゲだ」
仏頂面で睨み付ける男を眺め、長身の男がほう、と息を洩らした。
( <●><●>)「戦士の一族の若者ですか」
( ^Д^) 「それがどうした。早く済ませろよ」
ドスの利いた声でプギャーが威嚇する。彼には脅しなど効いていない。
むしろ、脅されたことによりブチ切れているようだった。
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 01:13:54.70 ID:sg1Su8l/0
しえn
( ;^ω^)「…(大丈夫かお、ミドリ亀)」
空気が張り詰めた。
ひょろ男が、怯えたように裏返った声を上げる。
( ;><)「で、では両手を挙げて回ってください!」
( ^Д^) 「ちっ、まるで犬みてぇだな」
ミドリ亀は思いのほかあっさりと従った。ブーンは少しミドリ亀のことを見直した。
やましい所がなければ、相手は帝国軍だ。無理に問題を起こすより、従った方が早い。
今は闘技大会を控えた大事の前の小事。ミドリ亀もまた、それを分かっている。
一応彼の名誉の為に補足しておくが、ミドリ亀はやはり、言いすぎだ。
( <●><●>)「オーケーです。行ってください。健闘を期待しています」
さも当然と言わんばかりに、プギャーは長身の男の脇を大股で通り抜ける。
( ;^ω^)(おっおっ、次はブーンの番だお)
草踏む軍靴が、少年の前で止まった。
( ;><)「うッ…?」
( <●><●>)「これは……酷い」
夥しい傷痕のある身体を見咎め、凝視する二人。
( *^ω^)「・・・(軍モノ視姦プレイktkr)」
( ;><)「ひどいんです!可哀想なんです!誰がこんなことをしたんです!?わかんないんです!」
( ^ω^)「え、いや、誰がと言われても(萎えるわー)」
( <●><●>)「……自分、ですか?」
( ;^ω^)「なんですと!?」
不味い。疑惑が長身の男の目に顕れている。
どうやら自分が刺青を消すために身体に傷をつけたのではと思っているらしい。
だが、ここで自分がゴッドイーターであることをバラせば、忌み人としてさらに怪しまれることになる。
どちらにせよ、連行は免れないだろう。
( ;^ω^)「…(面倒なことになってきたお)」
( ><)「名前と出身を言うんです!」
( ;^ω^)「ブーン・バロス。レムリアの谷出身だお」
( ゚∋゚) ( <●><●>) (>< ) !!
空気が変わった。三者から一斉に驚愕と、剣呑な視線が突きつけられる。
だがブーンにはその理由が分からなかった。同時にクックルも驚いている。
長身の男がブーンを指差し言い放った。
( <●><●>)「私には分かっています……」
( <●><●>)「この大罪人を捕えよ!」
( ;^ω^)「おおおおおおッ!!!?」
( ><)「はいなんですッ!全員で取り押さえるんですッ!!」
狼狽する全裸の少年の眼前に、軍服の男たちが一斉に群がり、銃剣を突きつける。
このままでは、大罪人として逮捕されてしまう。いくらなんでも、本末転倒にもほどがある。
重罪の容疑などかけられれば、拷問で死ぬ可能性もある。
依頼を果たすどころではない。
( ;^ω^)「ま、待つお!身に覚えのないことだお!」
鋭い銃剣の先の真ん中で、両手を挙げて逆らう意思のないことを表明する。
解ける誤解なら解いておきたい。
もしも駄目そうなら、・・・・・・逃げるしかない。
( <●><●>)「ブーンとはよく名乗ったものです。
つい一昨日、ブーンと名乗る大逆犯から皇帝に対し、殺害予告があったんです。
ブーン・バロス。貴方を重要な容疑者として連行するんです」
しまった。まずい。
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 01:26:43.76 ID:0GsgIhG90
支援
反逆罪とは。
いくらなんでも罪が重すぎる。
怪しい、というだけですぐに殺されてもおかしくない。
( ;^ω^)「・・・・(これはいよいよ逃げるしかないかお)」
囲む兵はざっと見積もって13人。上空に飛び上がりひょろ男の後ろに付こう。
これだけ怯えているのだ、咄嗟の反応は出来ないだろう。
長身の男は俊敏そうだが、ひょろ男を盾にすれば初撃を躊躇うかもしれない。
逃亡しきれるか――――?
気乗りはしないが、仕方ない。
( #゚∋゚) 「お待ちくださいッッッッ!!!!!!11111」
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 01:27:30.88 ID:0GsgIhG90
支援
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 01:28:51.42 ID:0GsgIhG90
支援
大気を震わせるかの如くの怒声で、クックルが吼えた。
並んでいた男たちも、銃剣を携えた兵隊も、ブーンでさえ、竦み上がるような怒声。
ひょろ男も、その場に動けず凍りついた。
ただ一人、長身の軍服を除いて。
( <●><●>)「・・・・・。」
帯刀している柄に手を翳し、無表情にクックルを眺める。
( ゚∋゚)「その少年の身の潔白は、私が保証します」
( <●><●>)「ほう。どう保証するんです?」
皮肉げな言葉に、殺気を匂わせる。
( ゚∋゚)「その少年は私のチームのメンバーです、不当な逮捕で失うわけには参りません」
( <●><●>)「不当だと?さては貴方も共犯者ですか?」
陽炎のように長身の体躯が揺らいだ。
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 01:33:47.88 ID:of46X0gGO
支援
ブーンが見た時にはすでに、長身の男は恐るべき速さで巨躯の前に現れ、鞘は空だった。
( ;゚ω゚)「クックル!」
( <●><●>)「―――!」
( ∋ )「・・・。」
細く針のような形状の刀身を、血が伝い降りる。
クックルは己の右目の前でその剣先を、掴み取っていた。
( ゚∋゚)「ワカッテマス=ビロード。貴方は頭の良い方です。ですから、分かっている筈です」
( ;<●><●>)「何故私の名を。名乗った覚えはありませんが」
周囲の兵たちは、桁外れの動きを見せる二人に、呆然と眺めているしか出来ないでいる。
ブーンはワカッテマスの剣を握る手が震えているのを見た。
理由は二つ。彼は見た目通りプライドの高い男だ。
よもや自分の動きが見切られるとは思っていなかった。
さらに名まで知られては動揺も隠せない。が、それだけではない。
動かせないでいるのだ。驚異的な力に刀身ごと封じられている。
( ゚∋゚)「わざわざ犯人が、自分の名を検閲で名乗ると本当にお思いですか?」
( ^ω^)「・・・・。」
その通りだ。自分が罪人と知っていて、
捕まり処罰されると分かった上で馬鹿正直に名乗り出るなど、正気の沙汰ではない。
( ゚∋゚)「この少年の傷をよくご覧下さい。命に関わるような深い傷まで、自分で付けられるものでしょうか」
( ;<●><●>)「くッ! 離せ!」
鉄面皮とも思われた男の無表情は、今やくるくると表情を変える。圧倒されているのだ。
クックルは言われたとおり、拳を開いて刀身を離す。解放されたワカッテマスは後ろに体をよろけさせて後退した。
体勢を立て直し、剣を構えて憎憎しげに睨み付ける。
( <●><●>)「貴様、何者だ?」
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 01:38:34.30 ID:0GsgIhG90
支援
( ゚∋゚)「元VIP帝国軍中将、クックル・アルレクツ。出身はVIP帝都であります」
( ><)「輝ける豪腕のクックル様なんです!?」
それまで怯えて震えていたひょろ男が、急に憧憬が入り混じった声を上げた。
どうやらクックルは、軍の関係者でしかも尊敬されるような男だったらしい。
帝国軍にまるで知識の無いブーンでも、それは理解できた。
( <●><●>)「輝ける豪腕……?ふっ、くくく、アハハハハハハハッ!」
( ><)「ワカッテマス、何故笑うんです!中将に失礼なんです!」
( <●><●>)「ふん、元、中将だ。そうですよね?
戦場が怖くて逃げ出した貴方が、今更闘いの祭典に何の用です」
( ゚∋゚)「……関係の無いことです」
( <●><●>)「関係ない?ハッ!そうです、わかってます。今更貴方は軍にも何の関係もない。
我々の仕事に口出ししないで戴こう」
( ゚∋゚)「では、懸命な判断をお願いいたします
貴方は帝国軍少尉。人の上に立ち、正しく護る立場です」
( <●><●>)「何だと?」
全ての視線がワカッテマス少尉に集中していた。
一部始終を聞いていた者たちがワカッテマスの動向を覗っている。
ここで間違った判断を下すことは、戦士たちの反軍感情を煽り、兵卒からの信頼を失うことになりかねない。
それはつまり、自分の少尉としての立場を危うくするということだ。
ワカッテマス=ビロード少尉は歯噛みした。唇から鉄錆の味がする。
( ><)「少尉……ッ」
不安げな顔でひょろ男が見ている。
決断を下さねばならない。間違いの無い判断を。
( <●><●>)「・・・・・・・行け」
( ^ω^)「おっ?」
( <●><●>)「二度は言わん」
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 01:42:41.78 ID:0GsgIhG90
支援
( <●><●>)「だが勝手に帝国を出ることは許しませんよ…覚えておくんですね、ブーン」
細い刀身をギラつかされ、ブーンは慌てて列車へと走った。
寒さで凍えそうだ。
一刻も早く列車に戻り服を着たかったが、クックルが気になって歩きながら後ろを振り返る。
クックルも検査を受けているようだった。
( ;><)「す、すみませんが中将、回ってほしいんです!」
( ゚∋゚)「元、中将です。クックルで構いません」
( *><)「そ、そんな恐れ多いんです!く、くっく、る…ふゃぁぁあああッ」
( #<●><●>)「早くしろ、時間がないんです」
( ><)「よ、よしなんです!お帰り下さって大丈夫なんです!」
( ゚∋゚)「お勤め、ご苦労さまです」
擦れ違い様、あからさまな殺気を放ちながら少尉が呟いた。
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 01:44:41.39 ID:0GsgIhG90
支援
( <●><●>)「楽しみにしていますよ、闘技大会で、貴方が逃げ出す様を見るのを、ね」
( ゚∋゚)「……」
クックルがこちらに向かって来るのが見える。どうやら無事検問をパスしたようだ。
当たり前といえばそうだが、ブーンは安堵の息を洩らした。
( ^ω^)「助かったお、クックルさん」
車内に戻って着替えを済ませて元の位置に座る。
まだ着替えているクックルを見上げ、礼を言った。
クックルが入って来た時、車内の視線が一斉に彼を貫いた。
ブーンは一瞬何か起きるのではと不安に駆られたが、当人は全く動じることがない。
( ゚∋゚)「急に敬称はいらない。もう私は中将でも何でもないんだ」
クックルも着替え終わると、ブーンの横に詰めて座った。大人と子どものような体格差だ。
その体格差が頼もしく思える。本当にこの男なら、優勝するかもしれない。
( ^ω^)「手は大丈夫なのかお?」
( ゚∋゚)「掠り傷だ、心配する程ではない」
( ^ω^)「でも、一応手当てさせてくれお。恩人に何かお返しがしたいお」
( ゚∋゚)「私は軍紀を正したまでだ。君はとても大罪人には見えない。…だが、有り難く受けよう」
クックルは大きな掌を少年に差し出した。まだ赤く血が滲み出ている。
酒で湿らせた布切れで傷を拭く。
( ^ω^)「それにしても、手配犯と同じ名前なんて酷い偶然だお」
( ゚∋゚)「……。果たして偶然かね」
( ^ω^)「お?」
( ゚∋゚)「分かっていて、君の名を使ったという可能性もある」
( ^ω^)「犯人がブーンの名を、わざわざ名乗ったと?」
( ゚∋゚)「心当たりはないのかね」
( ;^ω^)「うーん。ブーンはたまに一人称がブーンだお。あり過ぎて分からないお」
( ゚∋゚)「全然たまにじゃねぇ。そのガキみたいな悪癖やめろ」
綺麗に傷口をふき取った後、薬草を磨り潰した軟膏を塗り包帯を巻いた。
( ^ω^)「これで治りも早い筈だお」
( ゚∋゚)「ふむ、済まないな」
( ^ω^)「助けてもらったことに比べたらまだ小さいお」
( ゚∋゚)「いいや、十分だよ。…ところで君は、レムリアの出身だそうだな」
( ^ω^)「お?そうだお。」
( ゚∋゚)「……薔薇の谷は今も?」
( ^ω^)「クックルは谷に来たことがあるのかお?」
レムリアの谷は辺境のさらに奥地にある村だ。その存在を知る者も多くない。
まして、谷が別名薔薇の谷と呼ばれていることを知っているのはもっと小数だ。
レムリアンローズと呼ばれる、谷でしか採れない薔薇は、至極貴重な価値を誇る。
そんな貴重な薔薇を提供することで、広大な砂漠の国、ガチホモ共和国の庇護の下、
ひっそりと薔薇農家は息づいている。
( ゚∋゚)「ああ…。素晴らしい谷だった。村人も皆親切で、良くしてもらった」
( *^ω^)「なんだか照れるお。けど、ブーンももうずっと帰ってないんだお」
( ゚∋゚)「そうか……」
懐かしむような瞳の奥に、憂いに似た翳りがあった。
戦場から逃げ出したと蔑まれていたが、きっと理由があるんだろうと思えた。
気にはなったが、聞くことはしなかった。自分が聞かれても、話せないことがあるからだ。
それに、きっとクックルは話さないだろう。
( ФωФ)「なぁお」
猫が短く鳴いた。
( *゚∋゚)「にゃんこちゃん!! 会いたかったよおおおおお!」
大男がすぐさま抱きすくめた。ぐぇ、とまた短く鳴く声が腕の中から聞こえる。
( ;^ω^) (なんとなく、分かった気がするお…)
こんなに生き物を愛する男が、命を奪う生業を続けられる筈はない。
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 01:53:10.25 ID:0GsgIhG90
薔薇…そしてガチホモ…支援
検査を受けた男たちが続々と戻ってくる。しかし数が多い。皆一斉に帰ってきた。
どうやら他の者を検査する必要が無くなったらしい。誰かしら捕まったのだ。
「おい、大罪人あいつだってよ」
「いや、身体に刺青は無かったんだろ?また冤罪じゃねぇだろうな」
「でもあいつ最初っからおかしかったろ。一言も喋らねぇし、暗そうな奴だったぜ」
「何て言ったっけ、ヒッキーとか何とか…」
( ^ω^)「ヒッキー?」
ブーンは何となしに、陰鬱そうな男の顔を思い出した。
列車が止まった直後、男たちの喧騒の中で一人だけ黙って見守っていた男が居た。
『(-_-)「……。」』
( ^ω^)「あいつかお……」
( ゚∋゚)「列車が動き出すぞ」
空はもう白み掛けていた。
ゆっくりと動力炉の始動する音が響き、車輪がレールの上を回りだす。
間も無く列車は、漸く燃料補給所に辿り付くだろう。
車輪は、レールの上で回転スピードを上げてゆく。
乗客たちの運命を乗せ、VIP帝国へと。
第九話へ
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 01:57:51.16 ID:sg1Su8l/0
しえn
すいません、今日の投下は八話のみです。
支援ありがとうございます。颯爽と支援してくださるその背中、まじぱねぇっす。
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 01:59:00.54 ID:00qLZXSU0
おつ
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 01:59:27.93 ID:sg1Su8l/0
おっつん
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 01:59:56.68 ID:of46X0gGO
おつ
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 02:02:29.17 ID:0GsgIhG90
乙!
こちらこそおつです。おつありがとうございます。
すみません、途中で書き込んでしまいました。
話数のことですが、二章は結構長くなりそうです。一応今は二十話でめどをつけたいと思ってますが…
また、こんなビッグネームが揃ってしかも深夜、お付き合いくださり感激でした。
また書きあがり次第十話を投下しにきます…!
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 02:16:48.79 ID:hfsbAHGo0
乙!
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 02:21:50.82 ID:19qKh+FF0
ずっと下げになっていたのに今気づきました。すみません。
すいません。そして次回の投下は九話です。
もう今日は駄目そうなんでイってきます。おやすみなさい。
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 02:22:35.19 ID:0GsgIhG90
ゆっくりやすめwww乙
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 02:25:54.14 ID:KND3QJdT0
おつ
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
シメジ乙wwwwww