1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
唯「うつ病の妹と共に」
心臓が凍えるような衝撃を、そのとき私は受けました。明け方、普段は絶対に起きないような時間に何か妙な気配を感じて目覚めると、バタンと家のドアがしまる音が聞こえました。
私は大学生になってから初めての夏休みで、久しぶりに両親と妹がいる実家に帰省――と言うのかはわかりませんが――してきたのです。
そして両親は私が帰ってきて二日後に海外へ出かけていってしまったのでこの家には私と妹の憂しかいないなずです。
身体が冷えるのを強く感じて私は起き上がり、部屋の外に出ました。隣の部屋のドアが開きっぱなしで、中には誰もいませんでした。
私はすぐに家の外に出ました。そして、家の前のアスファルトで仰向けに横たわっている妹を発見したのです。その姿を見たとき、私の心臓はぎゅっと握りつぶされたように苦しくなりました。
妹は眠っていたのではなく、大の字になって、まだ明けきらない夏の早朝の青空に向かって大きく目を見開いていたのです。
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/11(木) 03:29:58.89 ID:TTq72xOc0
「どうしたの、憂? こんなところで寝てないで家の中に入ろうよ」
私はかろうじてそれだけの言葉を囁いて彼女の腕をとり、抱き起こして玄関の中に引き入れた。妹は何の抵抗も示さず、導かれるままに寝室に戻ると、布団の中に横になった。
私の頭の中は極度の混乱でいっぱいでした。
これはいったい、どういうことなんだろう?
妹の手をとって一緒に横になって私は不安に染まりました。
ブリブリイイイイイブリュリュウウウゥゥゥ
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/11(木) 03:32:04.07 ID:TTq72xOc0
1.うつとの出合い
違和感は前日から始まっていました。午前四時過ぎ、つい今の出来事と同じようなことがあったのです。玄関の音で目を覚ました私が階段を下りると、憂が立っていたのです。
「こんな時間にどうしたのー……ってういー!?」
憂は靴のまま家の中に上がろうとしました。寝ぼけていた私もこれには驚きました。
しかし、妹は寝ぼけてはいないようでした。やけに饒舌な口ぶりで近所に住むおばあちゃんのことが心配になって、その家の前を歩いてきたということを言いました。
このとき、私は妹の顔に何か影のようなものを感じていました。
夕飯の材料を買いに二人でスーパーに行ったときも、妹はサンドイッチ、おにぎり、バナナ、オレンジ、桃など、抱えきれないほどの食べ物をかごに入れたりしました。
さらに何を思ったのか、握力増進用の合成樹脂リングまで持ち入れたのです。
何かが憂のなかでおかしい。
買い物をする妹をまじまじと長め眺めながら、私の胸は不安に慄きました。妹はケチとはいかないまでも無駄遣いはしない子でした。
それに、食べ物を買うときはしっかりと品質を見て選ぶはずが、ひどく適当に取っている感じがする。こんな憂を見たことがありませんでした。
「珍しいね、憂がこんなにいっぱい買うなんて」
かろうじてこれだけ言うと、妹はにっこり笑った。
「お姉ちゃんがなんて言うか、気になっちゃったの」
これが憂の返事でした。
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/11(木) 03:35:04.18 ID:JP5Sk8q1O
誰か三行で
家に帰っても憂は一通りの家事はするものの、夕飯はほとんど手をつけませんでした。疲れているのかもしれないと思った私は洗い物を代わってやりましたが、その間ずっと彼女はぼうっとソファに座っているだけでした。
テレビでやっている番組は、洗い物をしている最中の私もくすりと笑っていましたが、憂はなんのも反応示しませんでした。そして、私が洗い物終わったよと言うとはっとしたように風呂に走っていきました。
慌ててついていくと、服を脱ぎ始めました。しかし、お風呂はあたたまっていませんでした。
何かが起こる。
ぞっとするようなものに触れるような思いで私は確信しました。憂のおかしな様子はお風呂から出ても続きました。彼女はずっと私と腕を組み、けいおん部の話をし続けていました。
そうして私の部屋のベッドの上で話を聞いているうちに私はとろとろと眠ってしまっていました。
そして、気がつくと隣にいた憂がいなくて、家の外でアスファルトに大の字になっている憂を見つけたのです。
なんでけいおんSSのスレタイってどれもこんなに気持ち悪いの?
しかも内容もどっかで見たことあるようなものばっかりだし
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/11(木) 03:39:46.25 ID:cjCe/pbgO
やめろ、今すぐやめろ、やめないなら死ね
私は憂がきちんとソファで眠りなおしたのを見て、海外にいる両親に電話をかけました。
国際電話は料金がかさんでしまうので、普段はしない約束でしたが、私は憂のことが心配で仕方がなかったのです。
「そう……それじゃあ、病院に連れていってあげて。保険証とかの場所はわかるよね?」
お母さんは何か思い当たる節があるようでした。
私は救急車を呼ぼうとも思いましたが、騒ぎを起こしてはならない気がしたので、日が昇るのを待って憂を病院に連れて行きました。
お姉ちゃん、どこに行くのと聞く妹になんとかごまかしの言葉を返しながらバスに揺られていると、彼女はしだいにどこへ行くのかわかってきたみたいで、すこしずつ顔色をゆがめ始めました。
子どもみたいにぐずる憂をなだめて私は病院の受付で憂の様子を簡単に伝えました。そして看護士さんは私にこの診療室に行ってくださいと紙をくれました。
そこには、精神科・M医師と書かれてありました。
いっしょに診療室へ入ると憂は急に身体を振るわせ始めて、診察を受けている間ずっと震えていました。
「どうしましょうか、入院させることもできますが、自宅療養という方法もあります」
私は迷わず自宅療養を選びました。精神科において入院させるということがどういうことか、私でも知っています。倫理の授業でそういう映画を見たこともあります。
そこで食べるご飯はとてもおいしくなさそうで、私は憂に私が作ったご飯を食べさせてあげたくて帰ってきたのです。
「だけど、自宅療養は人手がかかる場合もありますよ。お宅は病院からも遠いですし」
先生が重ねて尋ねてきましたが、私は是非自宅療養にしてくださいとお願いしました。
私の頭の中では、私と憂の友達のたくさんの顔が浮かんできました。
きっと、みんな協力してくれるはずだ。
甘えるというよりも、すがる思いでした。一人うなずいた私の顔に憂の手が伸びてきました。
身を引く暇もなく彼女は私の髪のヘアピンをむしりとると、その手中に収めた。
「どうしてそんなことをするの?」
私が訊くと、妹は勝ち誇ったように笑いました。
「いちど、こうしてみたかったの」
そのヘアピンは中学生ぐらいのときにお母さんからプレゼントされたものでした。憂がいいなぁ、私にもちょっと貸してと言ったとき、私はすこし意地悪をしていやだよーと舌を出しました。
ちょっとした出来心でも憂にとっては深く根付いていたのかもしれません。それが今、姿を現したようでした。そう思うと髪をいじくられたわずらわしさというものも消え去りました。
先生からはセレネースという向精神剤とその副作用を抑えるアキネトンという筋肉注射が施行され、そのあとに点滴注射を受けました。
いやがると思った憂を私は後ろから抱きかかえましたが、案に相違して彼女はこれらの処置を極めておとなしく受け入れて、薬が効き始めるとゆっくりと眠り始めました。
帰りのタクシーの中、よく似た頭を撫でながら私はこれからの生活に不安を覚えました。
このまま、憂がよくわからないままだったらどうしよう。
しかし、それは杞憂でした。タクシーが家に着いたとき、そこには既に事態を知った親友達が待っていました。
澪ちゃんにりっちゃん、ムギちゃんに純ちゃんにさわちゃん。
そしてあずにゃん。憂が眠っている間に私が電話をしたのは彼女だけだったのに、私は目がすごく熱くなってあふれ出るものを抑えることができませんでした。
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/11(木) 03:49:47.26 ID:xTQ1hLW/0
憂ぃ(´;ω;`)
この日は憂はおとなしくしていて、時折みんなと混じってご飯の用意などもしました。そしてたまに見せてくれるいつもの笑顔に私は本当に安心しました。
私はノートに憂のことを書くことにしました。病院で看護記録のつけかたをすこし教わったので、それにならって書くようにしました。すこし長いですが、初めの日なのでそのまま記します。
十七時五十分 体温37.7度
十九時十五分 私につらいと言ってソファに横になる。話しかけると「うん」とはっきり返事。憂になにかをするときは必ず説明すること。目は閉じているけど、それ以外にはいやなことはないようで、右手はしっかりと私の手を握っている。
二十時十五分 体温37.9 やや身体が熱く、唇が乾燥しているようなので、ぬるめのお茶を飲ませる。
二十時二十五分 ときどき、足の指をぴくぴくと動かすのみ。半分眠っているよう。
二十時四十分 体温は下がったようで、足の指も動かなくなった。
二十一時 急に目をさます。体温37.6 しきりに私の手を握ったり、タオルで包んだり、拭ったりする。
二十一時二十分 トイレに行く。ずっと私の手は握ったまま、小のようだけどとても長かった。
二十二時 処方された薬を飲ませる。しばらくひとりごとのようにおしゃべりを続ける。体温は37.8
二十三時 入眠。それまでずっとおしゃべりしていた。
薬を飲むとき、こういう言い方もおかしいですが、がっついているようでした。でも、そういうところ以外、たとえばおしゃべりをしているときなどはいつもの憂で、私もいつもどおり話をしていました。
夜中は何人かずつ交代で憂を見てくれていたようです。私は二日分の疲れが一気にぶり返して朝まで眠ってしまいました。
憂は私といっしょに朝食を食べたかったみたいで、私が起きるのを待っていました。それから、憂はヨーグルトを一つ食べて、お粥を少しだけ食べてまた眠りました。
四十分ほどして目が覚めると、小さな声で喋り始めました。けいおん部のことや家事のこと、話はガールズトークとも言えないほどつじつまのないもので、やはりとても饒舌でした。
そのあとはまた眠ったり起きたりを繰り返して一日を終えました。パジャマの上にエプロンだけは外そうとしませんでした。
さわちゃんだけは学校の予定があるからと帰ってしまいましたが、澪ちゃんとりっちゃんはご飯を作ってくれて、ムギちゃんは洗濯をしてくれて、あずにゃんと純ちゃんは広い家を掃除してくれました。
みんな、ときどきで私と憂の近くに寄って話をしたり、ご飯の味見を憂としてくれました。私はこの日もずっとつきっきりで世話を焼いてくれた親友たちに本当に感謝しました。
後に、憂にこのことを語って聞かせたとき、驚いたことにこの頃の記憶が全くなくなっていました。よって、感謝はしていましたが、あまり心に残らないようなものになりました。私は本当に妹の病がただごとではないことを実感しました。
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/11(木) 03:53:33.45 ID:cjCe/pbgO
死ね
大不評なようなのでやめますか。
一応、御木達哉「うつ病の妻と共に」という手記小説を元に書いたわけですが、誰かが死ぬという話でもないです。
面汚し、失礼しました。
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/11(木) 04:03:48.28 ID:xTQ1hLW/0
書けカス
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/11(木) 04:04:28.46 ID:rQj/Oklx0
なんだよやめるのか
期待してたのに
好きなものをぐちゃぐちゃにされると心地いい
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/11(木) 04:05:49.03 ID:l0PMq2BlP
消えろゴミ
ん?
これうつ病と戦う妹のなんたらかんたらサイトの丸パクリじゃないか
大丈夫なのか?
書け
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/11(木) 04:57:39.97 ID:nmbk81IBO
書けカス
カスカス言ってるやつは死ね
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/11(木) 08:06:31.12 ID:79hoKwE8O
おもしろい
ハッピーエンド期待
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/11(木) 09:33:58.53 ID:xTQ1hLW/0
マダァ?(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/11(木) 09:51:43.14 ID:kog0AGyDO
>>26 ハッピーエンドにはならない予感 てかうつって治るもんなの?
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/11(木) 09:56:53.80 ID:ssqNxjXbO
なんでキレてる奴いるん?
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/11(木) 09:59:18.57 ID:+0il51DJO
早く書けクズ
携帯から失礼、スレ立てた者です
起きてみて、スレ残っててびっくりしました
賛否様々かと思いますが、また続きを書くことにします
ただ、今日は用事があるので、また夜中になると思います
上でも書きましたが、これはある大学病院の夫婦の実話で、人が死んだりするような特別な事件もありません
眠くなったから寝ます
戻ってくるのは夜中になると思います
を言い換えただけだろ
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/11(木) 11:45:47.24 ID:eNYCzTUxO
うつ病ってこんなんなんだ……
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/11(木) 11:51:37.24 ID:D0poJv+u0
支援
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/11(木) 12:01:15.12 ID:nkRMjfQs0
もうやめてくれ…
これ以上ぼくを追いつめないでほしいにゃん…
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/11(木) 12:23:13.82 ID:swHTn60O0
ようやくサインバルタ一本で安定してきた俺になんてスレ読ませやがるんだ
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/11(木) 13:04:07.04 ID:QmP4fcS40
地の文にもっと改行いれて欲しい
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/11(木) 16:23:07.15 ID:QmP4fcS40
ほ
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/11(木) 16:49:37.78 ID:lhTegf8wO
ほ
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/11(木) 17:50:20.60 ID:vB+zC6DOO
まさに憂鬱
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/11(木) 18:52:11.64 ID:vB+zC6DOO
ほ
読みにくいw
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/11(木) 20:32:21.53 ID:QmP4fcS40
ほ
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/11(木) 20:32:41.77 ID:9UovRWGw0
ほ
ほ
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/11(木) 21:53:25.07 ID:VOyZaldr0
ほ
多少なり改行は欲しい
読みにくいよ
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/11(木) 22:48:19.37 ID:qcRtn0+wP
もしかして今日も来るの3時頃なのか?
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/11(木) 22:59:08.11 ID:XtvLmjfeO
唯「きつえん」でスレ立ててくれよ
今度は完結させっからさ
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/11(木) 23:27:54.84 ID:kKeqSxzkO
かえるまでほしゅだよ
雰囲気がしゃぶすたに似てる
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/12(金) 00:43:33.20 ID:PLNJ/5NI0
まだ帰って来ないのかい
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/12(金) 00:49:07.60 ID:yqLst2r8P
凄いの来そうだな
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/12(金) 01:42:00.37 ID:55t+LTntO
寝る前に保守
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/12(金) 02:08:29.41 ID:BaEOFiZC0
鬱じゃなくて糖質な件。
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/12(金) 02:11:59.16 ID:taOZY0t50
なおるの?
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/12(金) 02:28:58.00 ID:wtl5P2z80
なんてこったい
保守ありがとうございました。
まだ書いている途中ですが、投下しながらやります。
来たか
2.妹の日課
一週間ほど経ちましたが、未解決の問題はいくつも残りました。
一つは、やはり全身の倦怠感がどうにもとれないことです。
これまでは昼間に横になるという姿を見せたことがなかった妹が、寸暇を惜しむように横になるのです。
さらに、食欲は全くなくなってしまいました。
どうにか促して体重計に乗せてみると、既に3キロも落ちていました。
首回りの陰影が濃くなっています。
「憂ちゃん、ちゃんと食べさせてあげてるのか?」
澪ちゃんがため息と心配をこめて言いました。
みんなが泊り込んでくれたのは初めの三日間だけで、それからは私が言ってみんなは家に帰ってもらいました。
それでもこうして順番に様子を見に来てくれていました。
二人になった私と憂はいっしょに家事をしながら過ごしていましたが、一つのことが終わらないうちに憂はソファに横になるのです。
物事に対する意欲の喪失というのは、想像を絶するものでした。
けいおん部に入った憂はキーボードとお茶の用意をしていたみたいですが、私の前でそれは一度も見せてくれませんでした。
また、外の世界の全てのことから興味を失ったみたいに家から出ることがなくなりました。
ただ、薬だけは毎日決められた時間に飲んでいます。
「ありがとう、ごめんね、お姉ちゃん」
そのたびに憂は優しい顔で微笑んでいました。
そんなある夜、憂がまた目を覚まして歩き出しました。
心配し続ける私の身体が順応していたのか、私は眠っている間も半分は覚醒しているような状態でした。
憂はリビングでテーブルにてのひらを打ち付けていました。
私が寄るのを感じ取ると、すがりついて悲鳴をあげました。
「眠れないの! なんとかして!」
私を見上げる妹の目は尋常ではありませんでした。
私はつい落胆しでしまいました。
少し落ち着いてきたかなと思った矢先でしたので。
「さあ、憂。ともかくベッドに戻ろうよ。横になっていれば眠くなってくるよ」
私は背中をさすってあげましたが、そんな言葉で彼女が納得するはずがありませんでした。
「だめ、だめ、眠れないの。なんとかして!」
「わがまま言わないでよ、憂。私だって急なことでたいへんなんだもの」
いけないとは知りつつも、私の口が言ってしまうと、憂の目の色が変わりました。
「お姉ちゃんに今の私がわかるはずがない。いつ私は消えてなくなろうか考えてるんだ」
「わかった、わかったよ、憂。ごめんね」
私は憂の肩を抱きしめてくりかえし背中をさすりました。
「憂の言うとおりかもしれないよ。私は憂が本当に思っていることまではわからないもん。ね、こうしようよ。私はこのソファに座るから、私の膝の上で憂は眠りなよ。眠れなくてもいいじゃない。こうして二人でいようよ」
明るい口調で言いながらも、私の気持ちは暗澹としていました。
このまま憂が寝付けずにさらに錯乱するようなことになったら、どうなってしまうのだろう。
そして、万が一にも私の身体が完全に眠りに落ちてしまったら、どうなってしまうのだろう。
そうでなくとも、私はずっと安眠ができていなかったのです。
眠るとき、私は憂の左手の上にそっと右手を乗せます。
そして、暗闇の中で耳を澄ませながら、妹の寝息が聞こえてくるのを息をひそめて待つのです。
魚釣りに似ている。
私はそう考えました。
かずかな手ごたえにじっと神経を尖らせる。
呼吸の音がやがて規則的な寝息に移行すると、やった、とおもうのです。
私の手の中の憂がぴくついてきたら、寝入り始めた証拠です。
このとき、私は緊張の極みに立たされます。
わずかな身じろぎで憂が目覚めてしまうなど許されないのです。
息をひそめ、闇の中にひたすら耳を澄ませます。
やがて妹の規則ただしい寝息が伝わってきて、私のこころは安らぐのです。
そして、私の膝と枕を交換して、私も眠り始めるのですが、熟睡はできません。
「すう、すう」
脳の右半分が常に覚醒して妹の気配をうかがっているのです。
ふと目覚めて、憂の胸に手をおいて、また安らかな寝息を待つのです。
私は本当に眠っているのかな。
寝返り一つにも神経を集中させながら、私は夜通し考えます。
たぶん、熟睡はほとんどないはずです。
とろとろと眠ってはまた目覚め、また眠っては目覚めます。
夜がこれほど長いということを、私ははじめて知りました。
この先、私たちはどうなるんだろう。
朝、目が覚めて私ははやめにムギちゃんに来てもらいました。
ムギちゃんは甘いプリンを持ってきてくれて、私も憂もいっしょに食べました。
お風呂に入るときに私の体重も計ってみたら、3キロ減っていました。
「お姉ちゃんも、私といっしょだね」
夜中のことをすっかり忘れたように憂は笑いました。
私は憂といっしょにまた病院にいきました。
先生に一週間の様子を細かく説明して、薬を変えてみました。
アモバンという睡眠薬。アビリットというカプセル。セレネースはやめてリーゼという薬。
どうやら、一週間の私の記録がとてもよかったようで、薬は安定した効果をもたらしてくれました。
食欲も上向いてくれたようで、ご飯をお茶碗一杯食べてくれました。
洗い物をしながら私はぽろぽろと涙を流しました。
ちなみに、病院で試験的に憂一人に診察を受けさせているとき、隣の人が涙ながらに看護士さんに言っていました。
「今日、ついに家内を入院させることにしました」
近所の人や心配してくれる人に聞くに耐えられない暴言を吐いてしまうのだそうです。
私は膝の上で丸めたにぎりこぶしにさらにぎゅっと強く力をこめました。
憂が私の手から離れるなんて、させたくはありません。
病院に行って薬を変えてから二日後のことです。
あずにゃんが来ることを伝えると、憂は楽しそうに言いました。
「梓ちゃんに、ギターを持ってきてもらって」
憂は新しく買ってもらったというキーボードをテーブルの上に用意していました。
私は本当に嬉しくなって、あずにゃんに伝えました。
あずにゃんは超特急で来てくれました。
そして、初めて二人の演奏を私に聴かせてくれました。
あずにゃんのギターは相変わらず上手で、憂のキーボードは優しく流れる川のように私を包んでくれました。
途中から、私もいっしょに演奏しました。
憂がはじめて作った曲も教えてもらって、いっしょに練習しました。
きっと、私が帰ってくるまで、憂は毎日こうしていたんだな。
そして、新しいけいおん部のことも教えてもらいました。
一年生が二人、二年生が一人、入部してくれたそうです。
この話は実は五月の頃に電話で聞いていましたが、憂は失念していたみたいでした。
でも、直接妹の顔を見ながら話を聞いて、私も気分が上向いていくのを感じていました。
今日は終了です。
エピソード数としてはだいたい5〜10になると思います。
地の文の多さと改行などは仕様としか言いようがありません。元の本がそうなので。
会話なんかも、想像して書くこともできるでしょうが、殺伐とした雰囲気になってしまいそうなので、SSではありえないくらいに少ないでしょう。
ただ、縦書きの文章では全く苦にならない長さでも、画面の横書きにすると、非常に長く感じるのは、心理的なものがあるんでしょうね、興味深いです。
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/12(金) 06:59:13.07 ID:UbquYpv9O
ほ
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/12(金) 07:50:34.51 ID:7wbJAbJN0
なぜうぃなのよ
元の本がそうなので、ってそこまで丸パクリなのかよ
読みやすく要約してるんじゃなかったのか…
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/12(金) 10:53:28.55 ID:qjqy334sO
☆
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/12(金) 13:37:01.20 ID:gdG7NVjBO
おい
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/12(金) 14:49:06.78 ID:P3OmubvJO
ちゃんと終わらせて
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/12(金) 16:10:46.11 ID:qjqy334sO
ほ
パクリってレベルじゃねーぞ
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/12(金) 17:36:38.95 ID:wtl5P2z80
ひうぃごー
もしかして、全文パクリなのか?
名前だけ置き換えた
1マス開けてるのが読みにくいと思ったらコピペしてんのか?
それはやめた方がいいぞ?
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/12(金) 17:48:34.25 ID:v3Y3iSV90
著作権関連で通報したほうがよさげ?
何、文まんま一緒なの?
携帯から失礼します、スレ立てた者です
さすがに全文丸パクリのコピペじゃないです
とはいえ、完全に自分の文章という訳でもないです、半々といったところです
手元に文庫を置いて表現を唯らしく換えるといった形です
それでもレスの反応からやはり問題アリと判断しましたので、大まかなエピソードを引用して続きは自分で書こうと思います
それでもという場合は申し訳ありませんがここまでとさせていただきます
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/12(金) 18:12:19.59 ID:wtl5P2z80
かまわん書け
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/12(金) 18:53:33.67 ID:AMqR3N/U0
つづけてくれ、面白いよ
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/12(金) 19:05:43.78 ID:Rti8gHUaO
パクリなら止めちまえ
けいおんならどんなのでもいいってわけじゃねーぞ
あと止める→周りがつづけろ言う→じゃあ続けますとかうぜー
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/12(金) 19:45:43.26 ID:OEWyucOG0
;
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/12(金) 20:23:07.52 ID:AMqR3N/U0
ほ
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/12(金) 20:52:34.59 ID:uXEHEuhUO
決してブレるなどうのこうの
胸が苦しい
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/12(金) 21:43:51.25 ID:ozQHULAhP
ほ
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/12(金) 22:36:58.14 ID:dpPqTtdDO
唯憂なら支援
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/12(金) 23:22:42.79 ID:kiqVL2Ej0
ほし
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/12(金) 23:28:06.90 ID:YK2PrVDqO
数年前にガチ鬱で家庭崩壊させかけた俺にはキツいスレだ
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 00:20:59.19 ID:DkFbUnXg0
ほ
ここまででは正直、期待できないが、とりあえず最後までやってみろ。
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 02:01:42.00 ID:qKP2JL6/P
ほし
保守ありがとうございます。投下していきます。
やっぱり完全に自分の文章で書くのは大変ですね。
3.姉として
海外にいる両親から電話が来ました。
今は仕事が長くて、夏の間に帰れるかもわからないという話でした。
私は憂の様子を伝え、最後に前にもこういうことがあったのと訊ねました。
以前、電話をしたとき、お母さんは憂の様子を知っていたようでしたので。
「実はね、二回、あったの」
それは、私が大学入学と一人暮らしを始めてすぐの時と、五月の中頃に今と同じように両親が海外へ出張したときだそうです。
「一日ずつだけだったんだけどね。何もしたがらないでずっとぼうっとしていたの」
二回目はお母さんが家に帰ってきたとき、家の前でずっと空だけを見ていたそうです。
お母さんが話しかけるまで、まったく気づかなかったと言っていました。
「たぶんね、いきなり一人になっちゃって、すごく寂しい思いをしたせいじゃないかと思うの」
それは私もなんとなく考えていたことでした。
憂の容態は千変万化でしたが、一つだけ、変わらないことがありました。
どうやら、私といっしょにいたいみたいです。
お母さんとの電話を終えると、リビングで何かが落ちる音がしました。
急いで戻ると、憂が顔に手をあててうずくまっています。
「どうしたの、憂、だいじょうぶ?」
「痛い、痛いの」
どこが痛いのと訊くと、目が痛いと返ってきました。
手で覆われた顔の輪郭から涙がつたっています。
これまで、痛みを訴えることがなかったので、私は驚いて妹の顔を上げさせて手をどけてもらいました。
妙なことに、涙が出ているのは左目だけでした。
どうしたことだろうと思ってあたりを見渡してみると、テーブルの上にお父さんのコンタクトレンズのケースがありました。
「コンタクトをつけたの?」
憂はうなずきました。
もちろん、妹は視力が悪いわけではありません。
つける必要のないコンタクトレンズをつけた理由を問い質すよりも、妹の負荷を取り除くことが先です。
泣きじゃくる妹に我慢してもらって、左目を大きく開いて見ると、確かにコンタクトレンズがありました。
それも、本来あるべきところから半分以上ずれて、レンズのへりが瞳に乗っていました。
「痛い、痛いよ」
「ごめんね、我慢して」
ずっと前にお父さんが同じようなことになったのを治したことがあるので、私はレンズを外しにかかりました。
コンタクトはハードタイプなので、左手でまぶたを大きく開かせて右手の人差し指で目じりを押さえて外側へ引っぱります。
しかし、むずがる憂の眼球がごろごろと動くので、一向に外れません。
私はコンタクトがあった場所へ走って専用のスポイトでレンズを吸いだそうとしました。
「痛い、痛い」
「お願いだから、我慢して」
ずれたレンズを吸い出すのも一苦労で、加えて憂は逃げようとします。
私も必死になって、憂を頭ごと押さえつけて、ようやくレンズを外すことができました。
そのときには、私は妹の肩にのしかかっていました。
憂は床に爪を立てて、もがいていたはずみで中指の爪を割っていました。
また、全力で掴むようにしていた憂の顔には私の指の後がはっきり残っていました。
「どうしてコンタクトなんてつけたの?」
噴き出した汗を拭いながら訊ねましたが、妹は応えませんでした。
ずっと床にお尻をつけて座り込み、パチパチとまばたきを続けていました。
割れた爪を消毒して絆創膏をはって、私はコンタクトレンズを自分の部屋の引き出しに隠しました。
二週間が過ぎる頃には、生活パターンはおおよそ決まっていました。
まず、起床はだいたい七時から八時の間です。
薬がよく効いているのか、憂が夜中に起きだすことはなくなりました。
私が先に起きたときは、朝ごはんの用意をしつつこまめに妹の部屋を訪れて、起きていたらいっしょに食べます。
憂が先に起きていたとき、これはどうやら彼女は私が起こしに来るまでは布団を出るつもりがないようで、じっとおとなしく天井と空を
見つめています。
朝ごはんは、大抵はムギちゃんが持ってきてくれたプリンやゼリーです。
いくつか冷蔵庫に入っているものの中から憂が一つ選んで食べます。
それで食事は終わりです。
食べるのはすごくゆっくりですが、それでも五分とかからないので、私も早く食べ終わるためにパン一枚ですませます。
もちろん、私はそれでは足りないので、お昼までは憂の目に入らないように間食します。
お昼は二人で作ります。
憂の調子がいいときは憂が火の前に立っても平気ですが、大抵は私が切ったりお鍋を動かしたりします。
夏なので、おそばが簡単で助かります。憂も自分の要領で食べられるから文句を言うことはありません。
お昼ごはんを食べた後は横になることが多いです。
私はその間に朝干した洗濯物を取り込んで、家の中を掃除します。
掃除することにまだ慣れていない私は、一日ごとに順番に部屋を掃除していくことにしています。
掃除が終わると二人で夕ご飯の買出しに行きます。
これは数少ない私と憂の外出です。
ただ、夕ご飯を作るのは、私一人の役割りになっていました。
一人暮らしを始めて多少できるようになっていたとはいえ、私ではそのレパートリーは限られていました。
また、朝と昼で取れなかった栄養を補うために苦心するのですが、憂は食べたくないときはほんの少しで箸を置いてしまうのです。
もしも私がそのことをなじったりしたら、
「食べたくないから、仕方ないよ」
と返ってくることでしょう。
だから私はそのようなことは決してしません。
憂が食べたもの、その時の様子はきちんと記録してあります。
チャーハン お皿の三分の一程度、スープは飲み干した
焼き魚 完全に骨を取り除いた後、完食
麻婆豆腐 手をつけず
手巻き寿司 トロとあなごの二つ
ワンタン麺 半分ほど
豚の冷しゃぶ ごまでいくらか食べた後、トイレで吐く
鮭茶漬け 軽快に完食「これ好き」とはっきりと言う
豆腐のみそ汁 何も食べたくないと言ったため
朝と昼と合わせてなるべく水分があるものを選ぶのは、トイレに行きやすくするためと寝ている間に体温が上がって水分不足にするためです。
トイレなどを忘れてもらしたりすることはないので、なるべく動いてもらうためにトイレに行くようにしています。
お風呂は私が先に入って、次に憂が入ります。
妹が先に入ることになんとなく不安があったので、こうしています。
不思議と、二人で入りたいとは言わないので、私も言いません。
不用意につっついて安寧を崩してしまうことを、私は恐れているのでしょう。
生活に慣れてくると、私はそろそろと一人暮らしの部屋を引き払うことを考え始めました。
今日の分は終了です。
憂が食べたもの、その時の様子はきちんと記録してあります。
チャーハン お皿の三分の一程度、スープは飲み干した
焼き魚 完全に骨を取り除いた後、完食
麻婆豆腐 手をつけず
手巻き寿司 トロとあなごの二つ
ワンタン麺 半分ほど
豚の冷しゃぶ ごまでいくらか食べた後、トイレで吐く
鮭茶漬け 軽快に完食「これ好き」とはっきりと言う
豆腐のみそ汁 何も食べたくないと言ったため
朝と昼と合わせてなるべく水分があるものを選ぶのは、トイレに行きやすくするためと寝ている間に体温が上がって水分不足になるのを防ぐためです。
トイレなどを忘れてもらしたりすることはないので、なるべく動いてもらうためにトイレに行くようにしています。
お風呂は私が先に入って、次に憂が入ります。
妹が先に入ることになんとなく不安があったので、こうしています。
不思議と、二人で入りたいとは言わないので、私も言いません。
不用意につっついて安寧を崩してしまうことを、私は恐れているのでしょう。
生活に慣れてくると、私はそろそろと一人暮らしの部屋を引き払うことを考え始めました。
とてつもない間違いをしてしまったので、修正しました。
今度こそ今日は終了です。
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 04:43:44.81 ID:74IkZ7iBO
ほ
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 07:21:29.31 ID:osmYZemw0
し
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 08:58:40.27 ID:osmYZemw0
い
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 09:36:17.07 ID:3D+uVN4S0
乙んぽ
毎度毎度同じこと言わせんな
1がいなくなったら落とせよ
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
>>1へ
面白い試みと内容で楽しませてもらってる
が、完全に数日掛けを前提に考えていたのなら最初からパー速でやってくれ。